パネル構造体
【課題】機能の種類を問わず構成部材を可及的に共通化して、現場での機能の決定あるいは機能の変更が可能で、一部のメンテナンスも容易にできるパネル構造体を提供する。
【解決手段】両側の支柱1a,1b間に化粧材13を備えてなるパネル構造体Pにおいて、(a)両側の縦連結部材11の間に複数個の水平な帯状のベース材12を平行に配設して化粧材支持体10を構成し、(b)化粧材支持体の各ベース材に化粧材を当該ベース材を被覆する状態で着脱自在に取り付けてパネル単体2を構成し、(c)そのパネル単体を1個又は複数個前記両側の支柱間に設けて、その支柱の対向面間に取り付けた下枠3aと上枠3bとで前記パネル単体を前記支柱に固定した。
【解決手段】両側の支柱1a,1b間に化粧材13を備えてなるパネル構造体Pにおいて、(a)両側の縦連結部材11の間に複数個の水平な帯状のベース材12を平行に配設して化粧材支持体10を構成し、(b)化粧材支持体の各ベース材に化粧材を当該ベース材を被覆する状態で着脱自在に取り付けてパネル単体2を構成し、(c)そのパネル単体を1個又は複数個前記両側の支柱間に設けて、その支柱の対向面間に取り付けた下枠3aと上枠3bとで前記パネル単体を前記支柱に固定した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として門袖、塀、仕切壁等の外構用のパネル構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
門袖、塀、仕切壁等の外構には、目隠し、通風、遮光、採光、装飾などの一つ又は複数の機能を有する各種のものがある。そして、これらの外構の多くは、通常、現場施工により製造されているが、近年、工場で生産し現場に搬送して設置するパネル構造体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−276121号公報
【特許文献2】実開平5−73197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、提案に係るパネル構造体は、有する機能によりそれぞれ構成部材が異なる(共通性が無い)ので、購入者の求める機能毎に構成部材の異なるパネル構造体を生産する必要がある。また、生産時に採用が決定された機能を果たすための構造を備えて設置されると、その後のメンテナンスを構成部材の一部のみに対して行うことが容易でないとともに、既設の機能を他の機能に変更することは到底できない。
【0005】
例えば、通風機能を有するパネル構造体はフレームの中にルーバーブレードを一定の間隔をもって配設され、タイルによる装飾機能を有するパネル構造体は下地材にタイルを貼ってあり、また、塗り壁による装飾機能を有するパネル構造体は壁下地材に壁塗りをしてあるから、それぞれが一方から他方に変更することはできない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、機能の種類を問わず構成部材を可及的に共通化して、現場での機能の決定あるいは機能の変更が可能で、一部のメンテナンスも容易にできるパネル構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、両側の支柱間に化粧材を備えてなるパネル構造体において、(a)両側の縦連結部材の間に複数個の水平な帯状のベース材を平行に配設して化粧材支持体を構成し、(b)前記化粧材支持体の各ベース材の片面又は両面に前記化粧材を当該ベース材を被覆する状態で着脱自在に取り付けてパネル単体を構成し、(c)そのパネル単体を1個又は複数個前記両側の支柱間に設けて、その支柱の対向面間に取り付けた下枠と上枠とで前記パネル単体を前記支柱に固定したことを特徴としている(請求項1)。
【0008】
本発明は、上記パネル構造体において、ベース材を化粧材支持体の高さ方向に隙間を開けて配設し、各ベース材の片面又は両面に化粧材を、各化粧材間にベース材間の隙間と連通する隙間を開けて固着したことを特徴としている(請求項2)。
【0009】
また、本発明は、上記パネル構造体において、化粧材が金属板とタイルの1種類又は複数種類であることを特徴としている(請求項3)。
【0010】
さらに、本発明は、化粧材の背面に形成された係止溝にベース材の表面に形成された係止縁を係合させて、その化粧材をベース材に保持していることを特徴としている(請求項4)。
【0011】
さらに、本発明は、ベース材間に隙間が設けられる場合の化粧材支持体のベース材の上端面と下端面の一方又は双方が傾斜面に形成されていることを特徴としている(請求項5)。
【0012】
さらに、本発明は、上記パネル構造体において、ベース材を化粧材支持体の高さ方向に隙間を開けずに配設し、上側のベース材の下端部と下側のベース材の上端部とにそれぞれ嵌合する嵌合部と被嵌合部とを設けたことを特徴としている(請求項6)。
【0013】
さらに、本発明は、化粧材がその化粧材をベース材に固着するビスを隠蔽するカバー部を含むことを特徴としている(請求項7)。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、化粧材支持体は、各種の化粧材の支持のために共通に使用される。従って、化粧材の種類が金属板、タイル又はそれらの組合わせのいずれであっても、共通の化粧材支持体を用いて、通風機能のあるパネル構造体、タイルによる装飾機能を有するパネル構造体を提供することができる。また、機能の種類を生産時に決定しても、現場施工時、メンテナンス時などに任意に変更することもできる。
【0015】
請求項2の発明によれば、ベース材は化粧材支持体の高さ方向に隙間を開けて配設され、各ベース材の片面又は両面に化粧材が、各化粧材間にベース材間の隙間と連通する隙間を開けて固着されるので、通風機能、目隠し機能、採光機能を有するパネル構造体を提供するとができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、化粧材が金属板とタイルの1種類又は複数種類であるので、求めに応じた機能又は求めに応じた機能と装飾性を有するパネル構造体を容易に提供することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、化粧材の背面に形成された係止溝にベース材の表面に形成された係止縁を係合させて、その化粧材をベース材に保持しているので、化粧材の装着及び取り外しが容易にできる。また、別の取付部材を必要としない。従って、製造コストの低減効果が得られる。
【0018】
請求項5の発明によれば、ベース材間に隙間が設けられる場合の化粧材支持体のベース材の上端面と下端面の一方又は双方が傾斜面に形成されているので、通風機能及び目隠し機能あるいはさらに採光機能に優れる。
【0019】
請求項6の発明によれば、ベース材を化粧材支持体の高さ方向に隙間を開けずに配設し、上側のベース材の下端部と下側のベース材の上端部とにそれぞれ嵌合する嵌合部と被嵌合部とを設けたので、化粧材同士の振動接触による騒音発生が無く、パネル単体の耐風圧強度も大きくなる。
【0020】
請求項7の発明によれば、化粧材がその化粧材をベース材に固着するビスを隠蔽するカバー部を含むので、金属板を化粧材支持体に固着するビスが外観に露見しないため、外観体裁に優れたパネル構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係るパネル構造体の正面図である。
【図2】本発明に係るパネル構造体の基本的構成要素を示す分解斜視図である。
【図3】主としてベース材の形状の一例を示す化粧材支持体の一部縦断面図である。
【図4】パネル構造体の組立順序を説明する図である。
【図5】下枠と下固定金具の斜視図である。
【図6】下固定金具による支柱と下枠と化粧材支持体との接続を示す断面図である。
【図7】上下の化粧材支持体の支柱に対する連結手段の一例を示す図であり、(a)は中間固定金具の斜視図、(b)はその中間固定金具により化粧材支持体を支柱に固定した状態を示す縦断面図、(c)は(b)の平面図である。
【図8】上枠と上固定金具の斜視図である。
【図9】図1のA−A線断面図である。
【図10】図1のB−B線断面図である。
【図11】化粧材がタイルである場合のパネル構造体の図9に対応する断面図である。
【図12】化粧材がタイルである場合のパネル構造体の図10に対応する断面図である。
【図13】化粧材に金属板とタイルを用いた場合のパネル構造体の断面図である。
【図14】ベース材の他の形状の一例を示す断面図である。
【図15】ベース材のさらに他の変化例を示す断面図である。
【図16】さらに他の形態のパネル構造体を示す断面図である。
【図17】図1のC−C線断面図である。
【図18】図1のD−D線断面図である。
【図19】塗り壁用化粧材支持体の展開図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は縦断面図である。
【図20】片面にタイル張り、他面に塗り壁を備える場合の化粧材支持体の展開図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態に付いて図面を参照しながら説明する。
本発明に係るパネル構造体Pは、基本的には、図2に示すように、少なくとも、地面に所定の間隔をもって立設される左右の支柱1a,1bと、その支柱1a,1bの間に取り付けられる1個又は複数個のパネル単体2と、そのパネル単体2をその下辺と上辺において両側の支柱1a,1bに固定する下枠3a及び上枠3bとからなっている。
【0023】
支柱1a,1bは同一の断面矩形の中空形材で形成されている。パネル単体2は、図2の例では、隣り合う支柱1a,1bの間に2個取り付けられているが、3個以上としても良く、2個の高さと等しい高さの1個のみとしてもよい。
【0024】
パネル単体2は、化粧材支持体10の表と裏のいずれか片面又は両面に後述される化粧材13を着脱自在に取り付けて構成されている。
【0025】
化粧材支持体10は、図2,3に示すように、左右両側の縦連結部材11,11の間に複数個の水平な帯状のベース材12,…を平行に配設し、縦連結部材11,11の互いに反対側からビスb1を各ベース材に形成されているビスホール12kにねじ込む周知の接続技術により、縦連結部材11,11とベース材12,…を連結して構成されている。
【0026】
ベース材12は、図3に一例を示すように、正面壁12a、背面壁12b、上面壁12c、下面壁12dを有する帯状の中空形材で形成され、上端面12cと下端面12dがほぼ同一の右肩上がり勾配を有し、正面壁12aと背面壁12bの下端部と中間位置にそれぞれ係止縁12e,12f;12g,12hが突設されており、上端部の正面側と背面側にそれぞれ正面と背面に開口する溝12i,12jを有している。係止縁12e,12f;12g,12hは、後述するように、化粧材13を取り付けるためのものであり、溝12i,12jは、後述するように、化粧材取付後にカバー14を取り付けるためのものである。また、上面壁12cと下面壁12dには、ベース材12を縦連結部材11にビスb1で接続するためのビスホール12kが設けられている。
【0027】
パネル構造体Pを設置するには、図4に示すように、先ず設置現場の地面Gに両側の支柱1a,1bを所定間隔を持って立設し(図4(a))、その支柱1a,1bの対向面の所定位置に断面コ字形の細い長尺形材からなるチリ隠し部材15をスタータとして固着して位置出しを行い、次に、支柱1a,1bの対向面の所定の高さに下枠3aをそのスタータ15に当接して所定位置に固定する(図4(a))。下枠3aは、図5に示すように、角筒状に形成されている。下枠3aを固定するには、下固定金具16Aの挿入部16aを下枠3aの中空部17の端部に挿入し、下枠3aの外側からビスb2(図6)を下枠3aの孔18に貫通し、挿入部16aの側面のねじ孔19aにねじ込むことにより堅牢に接続する。下固定金具16Aの挿入部16aの正面から起立する連結片16bは、高さ方向中間位置から上側部分が下枠3aの中央側に変位している。そして、挿入部16aの正面及び連結片16bの下半部が支柱1aの対向面に当接され、連結片16bの孔19bに貫通されるビスb3により固着される(図4(b))。
【0028】
そして、支柱1a,1b間に固定された下枠3aの上側に最初の化粧材支持体10が嵌合され、両側の縦連結部材11の側面に開口する溝11aの下端部に下固定金具16Aの連結片16bを挿入し、化粧支持体10を固定する(図4(c))。
【0029】
図2に示すように、支柱1a,1bの高さ方向に複数個の化粧材支持体10が取り付けられる場合は、図7に示すように、上下対称形に成形された中間固定金具16Bの下半部16cを下側の化粧材支持体10の縦連結部材11の側面に開口する溝11aの上端部に挿入すると共に、その中間固定金具16Bの中間部16dをその中間部16dに形成された孔16gを貫通したビスb4で支柱1a,1bの対向面に固着し、続いて、上側の化粧材支持体10の縦連結部材11の溝11aに中間連結金具16Bの上半部16eを挿入することにより上下の化粧材支持体10,10を連結する(図4(d))。中間固定金具16Bの中間部16dの両側に突出する突起16fは、中間固定金具16Bの下半部16cを下側の化粧材支持体10の縦連結部材11の溝11aの上端部に挿入したときに、その突起16fが縦連結部材11の上端面に係止して、中間固定金具16Bが溝11a内に落ち込むことを防止するために設けられている。
【0030】
こうして、最初の化粧材支持体10の上側に他の化粧材支持体10の下端部を中間固定金具16Bにより連結した後は、その上側の化粧材支持体10の上側に上枠3bを載せ、その上枠3bの長手方向両端部を支柱1a,1bの対向面に固着する(図4(e))。この固着には、図8に示された上固定金具16Cを用いる。
【0031】
上固定金具16Cは、下固定金具16Aと近似の形状を有する。すなわち、図8に示すように、上固定金具16Cは、平面コ字形の挿入部16hと、その挿入部から下方に延長する垂下部16iを有し、垂下部の上半部には側方に突出する係止片16jを有する。垂下部16jの下半部は上枠3bの中央側に変位している。そして、上固定金具16Cは、垂下部16iを最上位の化粧材支持体10の縦連結部材の側面に開口する溝11aの上端部に挿入し、係止片16jを縦連結部材の上端面に係止させた状態で挿入部16hの正面の孔19bからビスを支柱1a又は1bにねじ込んで固定する。左右の上固定金具16Cを固定した後、支柱1a,1b間において上枠3bを水平状態にしたまま下降し、その上枠の下面壁の幅方向両端に形成してあるスリット3b1に上固定金具16Cの挿入部16hの両側片を挿入し、その両側片の上端面を上枠3cの上端面に当てて止める。そして、上枠の側面に設けてある孔18からビス(不図示)を挿入部16hの両側面に設けているねじ孔19aにねじ込んで上枠3bを支柱1a,1b間に固定する。
【0032】
上記のようにして、支柱1a,1bの間に1個又は複数個の化粧材支持体10を固定した後、好ましくは、スタータ15と反対側にスタータと同構成部材からなるチリ隠し部材15’を取り付ける(図4(f))。そして、各化粧材支持体10のベース材12の表面と裏面の一方又は双方に、後述のようにして化粧材13を取り付けて、パネル単体2を構成する(図4(g))。
【0033】
図9及び図10は図4(g)の化粧材13として裏面に開口する長尺アルミニウム形材で形成されている金属板13Aを用いるパネル単体2dにおける金属板13Aのベース材12に対する取付例を示す。すなわち、金属板13Aは、下端部にベース材12の下側の係止縁12e又は12fに係止される被係止縁131を、上端部にベース材12の正面壁又は裏面壁にビスb5により接続される端縁132を有している。また、被係止縁131と端縁132との間の中間部133には、パネル構造体の正面又は背面に任意の装飾性を具備するための任意の形状、例えば、図示の例のように単純な平面又は波面その他の押出成形により得られる凹凸面を備えることができる。
【0034】
そして、図9の右側の金属板13Aは、被係止縁131を先にベース材12の下側係止縁12eに係止した後、端縁132をビスb5により正面壁12aに固着して取り付けられる。図9の左側の金属板13Aは、同様にして、被係止縁131を先にベース材12の下側係止縁12fに係止した後、端縁132をビスb5により裏面壁12bに固着して取り付けられる。以後、最上位のベース材まで、上側のベース材12…に順次他の金属板13Aが同様にして取り付けられる。そして、一つの金属板を取り付けるたびに、又は、一つの化粧材支持体10に全ての金属板を取り付けた後に、各ベース材の溝12i,12jにビスb5を隠蔽するためのカバー14を嵌着して、パネル構造体P3におけるパネル単体2dの外観体裁を向上させている。なお、ベース材12に対する金属板13Aの取付順序は任意である。
【0035】
なお、図9の下枠3aは、下枠3aの意匠性向上を図るとともに、下枠の機械的強度アップを図るため、一例として角筒状の本体3a1の正面側と背面側に断面略角S字形の付加部材3a2を嵌合とビスb6により固着し、その付加部材3a2の開口に蓋部材3a3を嵌着して、下枠3aと下固定金具16Aを結合するビスb2の露出する頭とビスb6を隠蔽すると共に、外観が角筒状に見えるように構成してある。
【0036】
図10の上枠3bは、下枠3aと同様に、本体3b1、付加部材3b2及び蓋部材3b3とを有して、下枠3aとほぼ同様に構成されているが、図示の好ましい実施の形態においては、本体3b1の下部の厚みを薄くすることにより断面逆凸字形に形成されて、その本体3b1の正面側と背面側に固着された断面略角S字形の付加部材3b2の下端部と本体3bの下部との間に上枠直下のベース材12の正面側の溝12i及びカバー14の一部が飲み込まれるように構成してある。
【0037】
図9,10に示す例では、ベース材12同士が上下方向に平行状態で等間隔に離間してあり、また、ベース材12の上面壁12cと下面壁12dの正面側半分が上り勾配を有するため、各化粧材13Aの間に通風可能な隙間Cが形成されている。すなわち、この例のパネル構造体P3は、装飾機能と通風機能を有し、しかも、その隙間が傾斜しているため、目隠し機能をも有している。
【0038】
図11は、図2の化粧材13として、例えばレンガ調のタイル又は通常のタイルと同様の外観を有するセラミック製又は樹脂製のタイル13Bを化粧材支持体10に支持させてなるパネル単体2eを取付けたパネル構造体P4の図9に対応する断面図であり、図12は同じく図10に対応する断面図である。図1のパネル構造体P1,P2のパネル単体2a,2bは、上記パネル単体2eと同一構成である。タイル13Bは横帯状に形成されたものであって、それを化粧材支持体10に支持させて上下方向に接続してパネル単体2eを構成しても良いし、横帯状のタイルを複数枚連続させた面積を有するものを1個又は複数個を化粧材支持体10に支持させてパネル単体2eを構成しても良い。
【0039】
タイル13Bは、背面側の上下にベース材12の上下の係止縁12g,12e;12h,12fと係合する溝134a,134bを有している。これにより、タイル13Bの背面の各溝134a,134bにベース材12の上下の係止縁12g,12e;12h,12fを係合させて保持するとともに、そのタイル13Bの上面とベース材12の溝12i,12jの底壁との間に例えば板ばねからなるクリップ20を嵌着して、タイル13Bの脱落を防止している。
この実施の形態においても、上面壁12cと下面壁12d上面壁と下面壁に勾配を有するベース材12同士の間に隙間を設けることにより、通風機能を備えている。
【0040】
一つのパネル単体に装着される化粧材13は、単一種類に限定されるものではなく、図13に例示するように、金属板13Aとタイル13Bとを任意の順序で取り付けることもできる。
また、タイルの他の例として、タイル135の多孔性表面にコケ植物又は地衣類等136を繁殖させて又は貼り付けたものを、例えばアルミ形材製の支持部材137の表面側に取り付けて緑化タイル13B´を構成し、その緑化タイル13B´を金属板13Aと同様の取付方法により、あるいはタイル13Bと同様の取付方法により化粧材支持体10に取り付けることもできる。コケ植物又は地衣類等136に代えて、又はこれに加えて人口芝を貼り付けても良い。
【0041】
図11,12のタイル13Bを図13の緑化タイル13B´で置換して、緑化パネル構造体とすることもできる。
【0042】
上述したパネル構造体P1〜P5は、いずれもベース材12の上下面に斜めの隙間Cを備えたものであるが、図14に示すように、ベース材12の上下面を水平として、各化粧材13Aの間に通風性を有し、かつ、一部透視可能な隙間C´を備えることもできる。さらに、図15に例示するように、ベース材12同士の間に隙間Cを設けると共に、ベース材の上面に裏面から正面方向に上り傾斜する斜面を有するカバー21を嵌着すると、騒音の出ない円滑な通風が可能であると共に、隙間Cに入射する太陽光がパネル構造体を透過する方向に反射されるため、優れた採光機能が得られる。さらに、傾斜面によって排水性が向上する。
【0043】
通風性も透光性も望まれない場合は、図16に例示するように、ベース材12´の上下面を水平にするとともに、各ベース材の上下面を当接させた状態で縦連結部材11に固定することにより、目隠し機能と遮音機能を有するパネル構造体P8を作ることができる。
【0044】
なお、図16に示すように、一つのベース材12に複数の化粧材13B,…を取り付けるように構成することもできる。また、各ベース材の上面壁と下面壁の一方に突条121を、他方にその突条が嵌合し得る凹条122を設けることにより、ベース材12´を順次突条121と凹条122を嵌合させながら縦連結部材11に固定して、ベース材同士が相互補強する堅牢なパネル構造体P8を提供することができる。
【0045】
上述の例では、支柱間に固定された化粧材支持体10に化粧材13を取付けたが、化粧材を先に化粧材支持体10に取付け、その化粧材支持体10を支柱間に固定することもできる。
【0046】
図1の2cは、本発明によるパネル構造体を構成するパネル単体2bの上側に設けられたルーバーパネルである。このルーバーパネル2cは、図17,18に示すように、左右の縦桟22の間に複数個のルーバーボード23を水平状態で上下方向に等間隔ずつ離間して接続し、左右の縦桟22の上端部間と下端部間に上桟24と下桟25を懸架接続してなっている。そして、ルーバーパネル2cをパネル単体2bから上方に延長された縦連結部材11の間に嵌合し、ルーバーパネル2cの下桟25を、パネル単体2bの上端部を支柱1b,1cに固定するための上枠3b’の上面にビスb7により取り付けた固定部材26に接続し、ルーバーパネル2cの上桟24をパネル単体2aの下端を支柱1a,1bに固定するための下枠3aと同一構成の部材3a’を上枠とし、その上枠3a’を支柱1b,1cの対向面に図8に示された下固定金具16Aを用いて固定し、その上枠3a’の下面に固定部材26と同一構成の固定部材27を固着し、その固定部材26,27の正面側からビスb8をルーバーパネル2cの上、下端部に設けられた上、下桟24,25にねじ込んでルーバーパネル2cを取り付けてある。
上記の上枠3b,3a´、下枠3a,3cの形状構造は、単なる一例である。
【0047】
図19は、化粧材支持体10のベース材12の両面に化粧材の代わりに壁下地材28を取り付けたタイル用化粧材支持体10Aの一例を示す。その壁下地材28に漆くい等を塗り付けて、塗り壁を備えたパネル構造体を作ることができる。
図20は、化粧材支持体10のベース材12の片面には壁下地材28を、他面にはベース材の係止縁を露出させた塗り壁・タイル用化粧材支持体10Bを示す。この塗り壁・タイル用化粧材支持体10Bを用いて、片面に塗り壁を備え、他面にタイル張りをしたパネル構造体を作ることができる。
また、図3のベース材12自体の正面壁12aと背面壁12の一方又は双方を、係止縁12e,12f,12g,12h及び溝12i,12jを有しない平坦面として、そのベース材を壁下地材として使用し、前記平坦面に漆くい等を塗り付けて、塗り壁を備えたパネル構造体を提供することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係るパネル構造体は、外構用に限らず、間仕切り壁に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
P1〜P8 パネル構造体
1a,1b,1c 支柱
2a〜2i パネル単体
3a,3c 下枠
3b,3a´ 上枠
10 化粧材支持体
11 縦連結部材
12 ベース材
13 化粧材
13A 金属板
13B タイル
13B´ 緑化タイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として門袖、塀、仕切壁等の外構用のパネル構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
門袖、塀、仕切壁等の外構には、目隠し、通風、遮光、採光、装飾などの一つ又は複数の機能を有する各種のものがある。そして、これらの外構の多くは、通常、現場施工により製造されているが、近年、工場で生産し現場に搬送して設置するパネル構造体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−276121号公報
【特許文献2】実開平5−73197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、提案に係るパネル構造体は、有する機能によりそれぞれ構成部材が異なる(共通性が無い)ので、購入者の求める機能毎に構成部材の異なるパネル構造体を生産する必要がある。また、生産時に採用が決定された機能を果たすための構造を備えて設置されると、その後のメンテナンスを構成部材の一部のみに対して行うことが容易でないとともに、既設の機能を他の機能に変更することは到底できない。
【0005】
例えば、通風機能を有するパネル構造体はフレームの中にルーバーブレードを一定の間隔をもって配設され、タイルによる装飾機能を有するパネル構造体は下地材にタイルを貼ってあり、また、塗り壁による装飾機能を有するパネル構造体は壁下地材に壁塗りをしてあるから、それぞれが一方から他方に変更することはできない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、機能の種類を問わず構成部材を可及的に共通化して、現場での機能の決定あるいは機能の変更が可能で、一部のメンテナンスも容易にできるパネル構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、両側の支柱間に化粧材を備えてなるパネル構造体において、(a)両側の縦連結部材の間に複数個の水平な帯状のベース材を平行に配設して化粧材支持体を構成し、(b)前記化粧材支持体の各ベース材の片面又は両面に前記化粧材を当該ベース材を被覆する状態で着脱自在に取り付けてパネル単体を構成し、(c)そのパネル単体を1個又は複数個前記両側の支柱間に設けて、その支柱の対向面間に取り付けた下枠と上枠とで前記パネル単体を前記支柱に固定したことを特徴としている(請求項1)。
【0008】
本発明は、上記パネル構造体において、ベース材を化粧材支持体の高さ方向に隙間を開けて配設し、各ベース材の片面又は両面に化粧材を、各化粧材間にベース材間の隙間と連通する隙間を開けて固着したことを特徴としている(請求項2)。
【0009】
また、本発明は、上記パネル構造体において、化粧材が金属板とタイルの1種類又は複数種類であることを特徴としている(請求項3)。
【0010】
さらに、本発明は、化粧材の背面に形成された係止溝にベース材の表面に形成された係止縁を係合させて、その化粧材をベース材に保持していることを特徴としている(請求項4)。
【0011】
さらに、本発明は、ベース材間に隙間が設けられる場合の化粧材支持体のベース材の上端面と下端面の一方又は双方が傾斜面に形成されていることを特徴としている(請求項5)。
【0012】
さらに、本発明は、上記パネル構造体において、ベース材を化粧材支持体の高さ方向に隙間を開けずに配設し、上側のベース材の下端部と下側のベース材の上端部とにそれぞれ嵌合する嵌合部と被嵌合部とを設けたことを特徴としている(請求項6)。
【0013】
さらに、本発明は、化粧材がその化粧材をベース材に固着するビスを隠蔽するカバー部を含むことを特徴としている(請求項7)。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、化粧材支持体は、各種の化粧材の支持のために共通に使用される。従って、化粧材の種類が金属板、タイル又はそれらの組合わせのいずれであっても、共通の化粧材支持体を用いて、通風機能のあるパネル構造体、タイルによる装飾機能を有するパネル構造体を提供することができる。また、機能の種類を生産時に決定しても、現場施工時、メンテナンス時などに任意に変更することもできる。
【0015】
請求項2の発明によれば、ベース材は化粧材支持体の高さ方向に隙間を開けて配設され、各ベース材の片面又は両面に化粧材が、各化粧材間にベース材間の隙間と連通する隙間を開けて固着されるので、通風機能、目隠し機能、採光機能を有するパネル構造体を提供するとができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、化粧材が金属板とタイルの1種類又は複数種類であるので、求めに応じた機能又は求めに応じた機能と装飾性を有するパネル構造体を容易に提供することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、化粧材の背面に形成された係止溝にベース材の表面に形成された係止縁を係合させて、その化粧材をベース材に保持しているので、化粧材の装着及び取り外しが容易にできる。また、別の取付部材を必要としない。従って、製造コストの低減効果が得られる。
【0018】
請求項5の発明によれば、ベース材間に隙間が設けられる場合の化粧材支持体のベース材の上端面と下端面の一方又は双方が傾斜面に形成されているので、通風機能及び目隠し機能あるいはさらに採光機能に優れる。
【0019】
請求項6の発明によれば、ベース材を化粧材支持体の高さ方向に隙間を開けずに配設し、上側のベース材の下端部と下側のベース材の上端部とにそれぞれ嵌合する嵌合部と被嵌合部とを設けたので、化粧材同士の振動接触による騒音発生が無く、パネル単体の耐風圧強度も大きくなる。
【0020】
請求項7の発明によれば、化粧材がその化粧材をベース材に固着するビスを隠蔽するカバー部を含むので、金属板を化粧材支持体に固着するビスが外観に露見しないため、外観体裁に優れたパネル構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係るパネル構造体の正面図である。
【図2】本発明に係るパネル構造体の基本的構成要素を示す分解斜視図である。
【図3】主としてベース材の形状の一例を示す化粧材支持体の一部縦断面図である。
【図4】パネル構造体の組立順序を説明する図である。
【図5】下枠と下固定金具の斜視図である。
【図6】下固定金具による支柱と下枠と化粧材支持体との接続を示す断面図である。
【図7】上下の化粧材支持体の支柱に対する連結手段の一例を示す図であり、(a)は中間固定金具の斜視図、(b)はその中間固定金具により化粧材支持体を支柱に固定した状態を示す縦断面図、(c)は(b)の平面図である。
【図8】上枠と上固定金具の斜視図である。
【図9】図1のA−A線断面図である。
【図10】図1のB−B線断面図である。
【図11】化粧材がタイルである場合のパネル構造体の図9に対応する断面図である。
【図12】化粧材がタイルである場合のパネル構造体の図10に対応する断面図である。
【図13】化粧材に金属板とタイルを用いた場合のパネル構造体の断面図である。
【図14】ベース材の他の形状の一例を示す断面図である。
【図15】ベース材のさらに他の変化例を示す断面図である。
【図16】さらに他の形態のパネル構造体を示す断面図である。
【図17】図1のC−C線断面図である。
【図18】図1のD−D線断面図である。
【図19】塗り壁用化粧材支持体の展開図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は縦断面図である。
【図20】片面にタイル張り、他面に塗り壁を備える場合の化粧材支持体の展開図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態に付いて図面を参照しながら説明する。
本発明に係るパネル構造体Pは、基本的には、図2に示すように、少なくとも、地面に所定の間隔をもって立設される左右の支柱1a,1bと、その支柱1a,1bの間に取り付けられる1個又は複数個のパネル単体2と、そのパネル単体2をその下辺と上辺において両側の支柱1a,1bに固定する下枠3a及び上枠3bとからなっている。
【0023】
支柱1a,1bは同一の断面矩形の中空形材で形成されている。パネル単体2は、図2の例では、隣り合う支柱1a,1bの間に2個取り付けられているが、3個以上としても良く、2個の高さと等しい高さの1個のみとしてもよい。
【0024】
パネル単体2は、化粧材支持体10の表と裏のいずれか片面又は両面に後述される化粧材13を着脱自在に取り付けて構成されている。
【0025】
化粧材支持体10は、図2,3に示すように、左右両側の縦連結部材11,11の間に複数個の水平な帯状のベース材12,…を平行に配設し、縦連結部材11,11の互いに反対側からビスb1を各ベース材に形成されているビスホール12kにねじ込む周知の接続技術により、縦連結部材11,11とベース材12,…を連結して構成されている。
【0026】
ベース材12は、図3に一例を示すように、正面壁12a、背面壁12b、上面壁12c、下面壁12dを有する帯状の中空形材で形成され、上端面12cと下端面12dがほぼ同一の右肩上がり勾配を有し、正面壁12aと背面壁12bの下端部と中間位置にそれぞれ係止縁12e,12f;12g,12hが突設されており、上端部の正面側と背面側にそれぞれ正面と背面に開口する溝12i,12jを有している。係止縁12e,12f;12g,12hは、後述するように、化粧材13を取り付けるためのものであり、溝12i,12jは、後述するように、化粧材取付後にカバー14を取り付けるためのものである。また、上面壁12cと下面壁12dには、ベース材12を縦連結部材11にビスb1で接続するためのビスホール12kが設けられている。
【0027】
パネル構造体Pを設置するには、図4に示すように、先ず設置現場の地面Gに両側の支柱1a,1bを所定間隔を持って立設し(図4(a))、その支柱1a,1bの対向面の所定位置に断面コ字形の細い長尺形材からなるチリ隠し部材15をスタータとして固着して位置出しを行い、次に、支柱1a,1bの対向面の所定の高さに下枠3aをそのスタータ15に当接して所定位置に固定する(図4(a))。下枠3aは、図5に示すように、角筒状に形成されている。下枠3aを固定するには、下固定金具16Aの挿入部16aを下枠3aの中空部17の端部に挿入し、下枠3aの外側からビスb2(図6)を下枠3aの孔18に貫通し、挿入部16aの側面のねじ孔19aにねじ込むことにより堅牢に接続する。下固定金具16Aの挿入部16aの正面から起立する連結片16bは、高さ方向中間位置から上側部分が下枠3aの中央側に変位している。そして、挿入部16aの正面及び連結片16bの下半部が支柱1aの対向面に当接され、連結片16bの孔19bに貫通されるビスb3により固着される(図4(b))。
【0028】
そして、支柱1a,1b間に固定された下枠3aの上側に最初の化粧材支持体10が嵌合され、両側の縦連結部材11の側面に開口する溝11aの下端部に下固定金具16Aの連結片16bを挿入し、化粧支持体10を固定する(図4(c))。
【0029】
図2に示すように、支柱1a,1bの高さ方向に複数個の化粧材支持体10が取り付けられる場合は、図7に示すように、上下対称形に成形された中間固定金具16Bの下半部16cを下側の化粧材支持体10の縦連結部材11の側面に開口する溝11aの上端部に挿入すると共に、その中間固定金具16Bの中間部16dをその中間部16dに形成された孔16gを貫通したビスb4で支柱1a,1bの対向面に固着し、続いて、上側の化粧材支持体10の縦連結部材11の溝11aに中間連結金具16Bの上半部16eを挿入することにより上下の化粧材支持体10,10を連結する(図4(d))。中間固定金具16Bの中間部16dの両側に突出する突起16fは、中間固定金具16Bの下半部16cを下側の化粧材支持体10の縦連結部材11の溝11aの上端部に挿入したときに、その突起16fが縦連結部材11の上端面に係止して、中間固定金具16Bが溝11a内に落ち込むことを防止するために設けられている。
【0030】
こうして、最初の化粧材支持体10の上側に他の化粧材支持体10の下端部を中間固定金具16Bにより連結した後は、その上側の化粧材支持体10の上側に上枠3bを載せ、その上枠3bの長手方向両端部を支柱1a,1bの対向面に固着する(図4(e))。この固着には、図8に示された上固定金具16Cを用いる。
【0031】
上固定金具16Cは、下固定金具16Aと近似の形状を有する。すなわち、図8に示すように、上固定金具16Cは、平面コ字形の挿入部16hと、その挿入部から下方に延長する垂下部16iを有し、垂下部の上半部には側方に突出する係止片16jを有する。垂下部16jの下半部は上枠3bの中央側に変位している。そして、上固定金具16Cは、垂下部16iを最上位の化粧材支持体10の縦連結部材の側面に開口する溝11aの上端部に挿入し、係止片16jを縦連結部材の上端面に係止させた状態で挿入部16hの正面の孔19bからビスを支柱1a又は1bにねじ込んで固定する。左右の上固定金具16Cを固定した後、支柱1a,1b間において上枠3bを水平状態にしたまま下降し、その上枠の下面壁の幅方向両端に形成してあるスリット3b1に上固定金具16Cの挿入部16hの両側片を挿入し、その両側片の上端面を上枠3cの上端面に当てて止める。そして、上枠の側面に設けてある孔18からビス(不図示)を挿入部16hの両側面に設けているねじ孔19aにねじ込んで上枠3bを支柱1a,1b間に固定する。
【0032】
上記のようにして、支柱1a,1bの間に1個又は複数個の化粧材支持体10を固定した後、好ましくは、スタータ15と反対側にスタータと同構成部材からなるチリ隠し部材15’を取り付ける(図4(f))。そして、各化粧材支持体10のベース材12の表面と裏面の一方又は双方に、後述のようにして化粧材13を取り付けて、パネル単体2を構成する(図4(g))。
【0033】
図9及び図10は図4(g)の化粧材13として裏面に開口する長尺アルミニウム形材で形成されている金属板13Aを用いるパネル単体2dにおける金属板13Aのベース材12に対する取付例を示す。すなわち、金属板13Aは、下端部にベース材12の下側の係止縁12e又は12fに係止される被係止縁131を、上端部にベース材12の正面壁又は裏面壁にビスb5により接続される端縁132を有している。また、被係止縁131と端縁132との間の中間部133には、パネル構造体の正面又は背面に任意の装飾性を具備するための任意の形状、例えば、図示の例のように単純な平面又は波面その他の押出成形により得られる凹凸面を備えることができる。
【0034】
そして、図9の右側の金属板13Aは、被係止縁131を先にベース材12の下側係止縁12eに係止した後、端縁132をビスb5により正面壁12aに固着して取り付けられる。図9の左側の金属板13Aは、同様にして、被係止縁131を先にベース材12の下側係止縁12fに係止した後、端縁132をビスb5により裏面壁12bに固着して取り付けられる。以後、最上位のベース材まで、上側のベース材12…に順次他の金属板13Aが同様にして取り付けられる。そして、一つの金属板を取り付けるたびに、又は、一つの化粧材支持体10に全ての金属板を取り付けた後に、各ベース材の溝12i,12jにビスb5を隠蔽するためのカバー14を嵌着して、パネル構造体P3におけるパネル単体2dの外観体裁を向上させている。なお、ベース材12に対する金属板13Aの取付順序は任意である。
【0035】
なお、図9の下枠3aは、下枠3aの意匠性向上を図るとともに、下枠の機械的強度アップを図るため、一例として角筒状の本体3a1の正面側と背面側に断面略角S字形の付加部材3a2を嵌合とビスb6により固着し、その付加部材3a2の開口に蓋部材3a3を嵌着して、下枠3aと下固定金具16Aを結合するビスb2の露出する頭とビスb6を隠蔽すると共に、外観が角筒状に見えるように構成してある。
【0036】
図10の上枠3bは、下枠3aと同様に、本体3b1、付加部材3b2及び蓋部材3b3とを有して、下枠3aとほぼ同様に構成されているが、図示の好ましい実施の形態においては、本体3b1の下部の厚みを薄くすることにより断面逆凸字形に形成されて、その本体3b1の正面側と背面側に固着された断面略角S字形の付加部材3b2の下端部と本体3bの下部との間に上枠直下のベース材12の正面側の溝12i及びカバー14の一部が飲み込まれるように構成してある。
【0037】
図9,10に示す例では、ベース材12同士が上下方向に平行状態で等間隔に離間してあり、また、ベース材12の上面壁12cと下面壁12dの正面側半分が上り勾配を有するため、各化粧材13Aの間に通風可能な隙間Cが形成されている。すなわち、この例のパネル構造体P3は、装飾機能と通風機能を有し、しかも、その隙間が傾斜しているため、目隠し機能をも有している。
【0038】
図11は、図2の化粧材13として、例えばレンガ調のタイル又は通常のタイルと同様の外観を有するセラミック製又は樹脂製のタイル13Bを化粧材支持体10に支持させてなるパネル単体2eを取付けたパネル構造体P4の図9に対応する断面図であり、図12は同じく図10に対応する断面図である。図1のパネル構造体P1,P2のパネル単体2a,2bは、上記パネル単体2eと同一構成である。タイル13Bは横帯状に形成されたものであって、それを化粧材支持体10に支持させて上下方向に接続してパネル単体2eを構成しても良いし、横帯状のタイルを複数枚連続させた面積を有するものを1個又は複数個を化粧材支持体10に支持させてパネル単体2eを構成しても良い。
【0039】
タイル13Bは、背面側の上下にベース材12の上下の係止縁12g,12e;12h,12fと係合する溝134a,134bを有している。これにより、タイル13Bの背面の各溝134a,134bにベース材12の上下の係止縁12g,12e;12h,12fを係合させて保持するとともに、そのタイル13Bの上面とベース材12の溝12i,12jの底壁との間に例えば板ばねからなるクリップ20を嵌着して、タイル13Bの脱落を防止している。
この実施の形態においても、上面壁12cと下面壁12d上面壁と下面壁に勾配を有するベース材12同士の間に隙間を設けることにより、通風機能を備えている。
【0040】
一つのパネル単体に装着される化粧材13は、単一種類に限定されるものではなく、図13に例示するように、金属板13Aとタイル13Bとを任意の順序で取り付けることもできる。
また、タイルの他の例として、タイル135の多孔性表面にコケ植物又は地衣類等136を繁殖させて又は貼り付けたものを、例えばアルミ形材製の支持部材137の表面側に取り付けて緑化タイル13B´を構成し、その緑化タイル13B´を金属板13Aと同様の取付方法により、あるいはタイル13Bと同様の取付方法により化粧材支持体10に取り付けることもできる。コケ植物又は地衣類等136に代えて、又はこれに加えて人口芝を貼り付けても良い。
【0041】
図11,12のタイル13Bを図13の緑化タイル13B´で置換して、緑化パネル構造体とすることもできる。
【0042】
上述したパネル構造体P1〜P5は、いずれもベース材12の上下面に斜めの隙間Cを備えたものであるが、図14に示すように、ベース材12の上下面を水平として、各化粧材13Aの間に通風性を有し、かつ、一部透視可能な隙間C´を備えることもできる。さらに、図15に例示するように、ベース材12同士の間に隙間Cを設けると共に、ベース材の上面に裏面から正面方向に上り傾斜する斜面を有するカバー21を嵌着すると、騒音の出ない円滑な通風が可能であると共に、隙間Cに入射する太陽光がパネル構造体を透過する方向に反射されるため、優れた採光機能が得られる。さらに、傾斜面によって排水性が向上する。
【0043】
通風性も透光性も望まれない場合は、図16に例示するように、ベース材12´の上下面を水平にするとともに、各ベース材の上下面を当接させた状態で縦連結部材11に固定することにより、目隠し機能と遮音機能を有するパネル構造体P8を作ることができる。
【0044】
なお、図16に示すように、一つのベース材12に複数の化粧材13B,…を取り付けるように構成することもできる。また、各ベース材の上面壁と下面壁の一方に突条121を、他方にその突条が嵌合し得る凹条122を設けることにより、ベース材12´を順次突条121と凹条122を嵌合させながら縦連結部材11に固定して、ベース材同士が相互補強する堅牢なパネル構造体P8を提供することができる。
【0045】
上述の例では、支柱間に固定された化粧材支持体10に化粧材13を取付けたが、化粧材を先に化粧材支持体10に取付け、その化粧材支持体10を支柱間に固定することもできる。
【0046】
図1の2cは、本発明によるパネル構造体を構成するパネル単体2bの上側に設けられたルーバーパネルである。このルーバーパネル2cは、図17,18に示すように、左右の縦桟22の間に複数個のルーバーボード23を水平状態で上下方向に等間隔ずつ離間して接続し、左右の縦桟22の上端部間と下端部間に上桟24と下桟25を懸架接続してなっている。そして、ルーバーパネル2cをパネル単体2bから上方に延長された縦連結部材11の間に嵌合し、ルーバーパネル2cの下桟25を、パネル単体2bの上端部を支柱1b,1cに固定するための上枠3b’の上面にビスb7により取り付けた固定部材26に接続し、ルーバーパネル2cの上桟24をパネル単体2aの下端を支柱1a,1bに固定するための下枠3aと同一構成の部材3a’を上枠とし、その上枠3a’を支柱1b,1cの対向面に図8に示された下固定金具16Aを用いて固定し、その上枠3a’の下面に固定部材26と同一構成の固定部材27を固着し、その固定部材26,27の正面側からビスb8をルーバーパネル2cの上、下端部に設けられた上、下桟24,25にねじ込んでルーバーパネル2cを取り付けてある。
上記の上枠3b,3a´、下枠3a,3cの形状構造は、単なる一例である。
【0047】
図19は、化粧材支持体10のベース材12の両面に化粧材の代わりに壁下地材28を取り付けたタイル用化粧材支持体10Aの一例を示す。その壁下地材28に漆くい等を塗り付けて、塗り壁を備えたパネル構造体を作ることができる。
図20は、化粧材支持体10のベース材12の片面には壁下地材28を、他面にはベース材の係止縁を露出させた塗り壁・タイル用化粧材支持体10Bを示す。この塗り壁・タイル用化粧材支持体10Bを用いて、片面に塗り壁を備え、他面にタイル張りをしたパネル構造体を作ることができる。
また、図3のベース材12自体の正面壁12aと背面壁12の一方又は双方を、係止縁12e,12f,12g,12h及び溝12i,12jを有しない平坦面として、そのベース材を壁下地材として使用し、前記平坦面に漆くい等を塗り付けて、塗り壁を備えたパネル構造体を提供することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係るパネル構造体は、外構用に限らず、間仕切り壁に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
P1〜P8 パネル構造体
1a,1b,1c 支柱
2a〜2i パネル単体
3a,3c 下枠
3b,3a´ 上枠
10 化粧材支持体
11 縦連結部材
12 ベース材
13 化粧材
13A 金属板
13B タイル
13B´ 緑化タイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側の支柱間に化粧材を備えてなるパネル構造体において、
両側の縦連結部材の間に複数個の水平な帯状のベース材を平行に配設して化粧材支持体を構成し、
前記化粧材支持体の各ベース材の片面又は両面に前記化粧材を当該ベース材を被覆する状態で着脱自在に取り付けてパネル単体を構成し、
そのパネル単体を1個又は複数個前記両側の支柱間に設け、その支柱の対向面間に取り付けた下枠と上枠とで前記パネル単体を前記支柱に固定したことを特徴とするパネル構造体。
【請求項2】
請求項1に記載のパネル構造体において、ベース材を化粧材支持体の高さ方向に隙間を開けて配設し、各ベース材の片面又は両面に化粧材を、各化粧材間にベース材間の隙間と連通する隙間を開けて固着したことを特徴とするパネル構造体。
【請求項3】
請求項2に記載のパネル構造体において、化粧材は金属板とタイルの1種類又は複数種類であることを特徴とするパネル構造体。
【請求項4】
化粧材は、その背面に形成された係止溝にベース材の表面に前記係止溝の間隔と等しい間隔で形成された係止縁を係合させ、その化粧材をベース材に保持されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のパネル構造体。
【請求項5】
請求項1ないし4に記載のパネル構造体において、ベース材の上端面と下端面の一方又は双方を傾斜面にしたことを特徴とするパネル構造体。
【請求項6】
請求項1に記載のパネル構造体において、ベース材を化粧材支持体の高さ方向に隙間を開けずに配設し、上側のベース材の下端部と下側のベース材の上端部とにそれぞれ嵌合する嵌合部と被嵌合部とを設けたことを特徴とするパネル構造体。
【請求項7】
化粧材は、その化粧材をベース材に固着するビスを隠蔽するカバー部を含むことを特徴とする請求項1−6のいずれか1項に記載のパネル構造体。
【請求項1】
両側の支柱間に化粧材を備えてなるパネル構造体において、
両側の縦連結部材の間に複数個の水平な帯状のベース材を平行に配設して化粧材支持体を構成し、
前記化粧材支持体の各ベース材の片面又は両面に前記化粧材を当該ベース材を被覆する状態で着脱自在に取り付けてパネル単体を構成し、
そのパネル単体を1個又は複数個前記両側の支柱間に設け、その支柱の対向面間に取り付けた下枠と上枠とで前記パネル単体を前記支柱に固定したことを特徴とするパネル構造体。
【請求項2】
請求項1に記載のパネル構造体において、ベース材を化粧材支持体の高さ方向に隙間を開けて配設し、各ベース材の片面又は両面に化粧材を、各化粧材間にベース材間の隙間と連通する隙間を開けて固着したことを特徴とするパネル構造体。
【請求項3】
請求項2に記載のパネル構造体において、化粧材は金属板とタイルの1種類又は複数種類であることを特徴とするパネル構造体。
【請求項4】
化粧材は、その背面に形成された係止溝にベース材の表面に前記係止溝の間隔と等しい間隔で形成された係止縁を係合させ、その化粧材をベース材に保持されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のパネル構造体。
【請求項5】
請求項1ないし4に記載のパネル構造体において、ベース材の上端面と下端面の一方又は双方を傾斜面にしたことを特徴とするパネル構造体。
【請求項6】
請求項1に記載のパネル構造体において、ベース材を化粧材支持体の高さ方向に隙間を開けずに配設し、上側のベース材の下端部と下側のベース材の上端部とにそれぞれ嵌合する嵌合部と被嵌合部とを設けたことを特徴とするパネル構造体。
【請求項7】
化粧材は、その化粧材をベース材に固着するビスを隠蔽するカバー部を含むことを特徴とする請求項1−6のいずれか1項に記載のパネル構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−255383(P2010−255383A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109958(P2009−109958)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
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