説明

パラ−クマル酸すなわちパラ−ヒドロキシ桂皮酸誘導体類および化粧品または皮膚科組成物中でのそれらの使用

【課題】脱色活性に優れた組成物を提供する。
【解決手段】化粧品または皮膚科組成物中での一般式(I)で示されるパラ−クマル酸誘導体の使用。


[式中、Zは酸素または−NH−基であり、XおよびYは同一でありそして各々がCH基またはCH基を表す]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は本質的に、脱色活性を有するかもしくはメラニン形成に対する抑制効果を有するか並びに/または抗ラジカルおよび/もしくは抗炎症活性を有する化粧品または製薬学的、そして特に皮膚科または局所、組成物の製造用の活性剤としての少なくとも1種のパラ−クマル酸(para−coumaric acid)(「p−クマル酸」とも称する)の使用に関する。
【0002】
本発明はまた、このようにして得られた脱色活性を有するかもしくはメラニン形成に対する抑制効果を有するか並びに/または抗ラジカルおよび/もしくは抗炎症活性を有する化粧品組成物または製薬学的そして特に皮膚科組成物も包括する。
【0003】
本発明はまた、脱色活性剤としてp−クマル酸誘導体を使用する美容ケア方法または治療的な脱色処置方法も包括する。
【0004】
本発明はまた、上記のp−クマル酸誘導体を使用する抗ラジカルおよび/または抗炎症効果を得るための美容ケア方法または治療的な脱色処置方法も包括する。
【背景技術】
【0005】
発明の背景
太陽照射線を防ぐために、皮膚はこの機能に特に適する分化した細胞、すなわちメラニン細胞、を有する。複雑な工程であるメラニン形成過程中に、これらの細胞が皮膚構造を保護し且つ太陽紅斑を縮めるために必要な時間を増加させる効果を有する濃い顔料であるメラニンを製造する。しかしながら、必ずしも全てのメラニン類が保護性ではない。特に、極端に光毒性であるフェオメラニンとして知られるメラニンの一形態がある。全てのメラニン類と同様に、それはある種の形態のフリーラジカルと反応可能であるが、それはまたさらに毒性が強く且つ角質細胞の遺伝物質に不可逆的な損傷を引き起こす傾向があるフリーラジカルの形成も引き起こしうる。さらに、メラニン形成ユニットの機能不全に伴うある種の疾患は色素増強を引き起こす傾向があり、それは場合によっては特に見苦しい。
【0006】
それ故、メラニン合成抑制剤の使用は高度に色素沈着した皮膚の漂白またはある種の非美容面における色素増強の抑制の場合のような真の脱色が望まれる用途だけでなく顔貌を明るくするためおよび皮膚に光度をそして表面組織に光輝を与えるための用途にとっても、化粧品学において特に有利である。メラニン合成のこの抑制は真の病理学を処置するための治療処置に関しても特に有利である。
【0007】
パラ−クマル酸すなわちパラ−ヒドロキシ桂皮酸は多くの研究においてメラニン製造の抑制剤として記載されてきた。しかしながら、これらの物質はメラニン合成に対する有意な抑制効果を得ることを可能にしない。この過度に弱い活性は強い充分な効果を得ることを可能にせずそしてそれ故これらの物質は化粧品または製薬学的局所用途において見苦しい色素沈着を効果的に防ぐためにはほとんど使用されていない。
【0008】
先行技術はチロシナーゼを抑制するために特にビタミンC(もしくはその誘導体類)またはコウジ酸(もしくはその誘導体類)の使用を挙げているが、これらの分子は使用される濃度では細胞毒性であるかまたはほとんど効果がない。特に化粧品組成物中での脱色剤としてのフェルラ酸またはカフェー酸を使用することは既知の実施法である。しかしながら、これらの組成物は脱色活性の効果に関して完全に満足のいくものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、それ故、例えばカフェー酸またはフェルラ酸の如き現在使用されているものより活性の大きい脱色剤の提供よりなる技術的問題を本質的に解決することである。
【0010】
本発明の他の目的は、これらの脱色剤を用いる組成物、これらの脱色剤を用いる美容ケア方法および/または製薬学的処置方法、並びに抗ラジカルおよび/または抗炎症活性を
与えるためのこれらの脱色剤の使用を提供することでもある。
【0011】
本発明の別の目的は、活性化合物が植物から抽出される組成物を提供することでもある。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、局所的に適用できる組成物を提供することでもある。
【0013】
本発明のさらなる目的は、主として皮膚が少なくとも一つの色素増加した領域を有する場合に、皮膚の色素増加を防ぐための、特に美容目的の、脱色剤を提供することでもある。
【0014】
本発明のさらなる目的は、上記の技術的問題を安全で且つ信頼のおける方法でそして、特に人間において、例えば使用する活性剤の細胞毒性を減ずることにより、特に望ましくない副作用を回避しながら解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の要旨
本発明は、パラ−クマル酸、特にカフェー酸、フェルラ酸の新規な化学的誘導体類、またはある場合にはこれらの2種の分子の混成誘導体(hybrid derivatives)の合成により上記問題を解決する。ここに記載されたこれらの新規な誘導体分子のメラニン合成に対する抑制効果は極端に強く、これらの分子の毒性学的特徴は化粧品および皮膚薬品用途に関して完璧であり、そして化粧品または製薬学的調合物中へのこれらの導入は重大問題に遭遇することなく可能である。これらの物質はそれ故、化粧品および製薬学的用途に関して全く適する。
【0016】
さらに、一つの好ましい態様では、チラミン、ドーパミンまたはチロソール誘導体にグラフト化されたパラ−クマル酸誘導体類である本発明に従い得られる物質の脱色効果をチラミン、ドーパミンまたはチロソール誘導体との混合物としてのパラ−クマル酸から誘導される化合物、例えばカフェー酸またはフェルラ酸の効果と比べることにより、本発明の化合物活性が該混合物と対比して顕著に優れていることが予期せぬことに見出された。
【0017】
それ故、本発明は、化粧品または製薬学的組成物中の活性成分としての有効量の下記一般式(I):
【0018】
【化1】

【0019】
[式中、
Zは酸素または−NH−基であり、
XおよびYは同一でありそして各々がCH基(シスもしくはトランス)またはCH基を表し、
nは1〜12の範囲にわたる数、好ましくは整数であり、
RaおよびRbは同一もしくは相異なり、好ましくは同一であり、そして水素原子、線状もしくは分枝鎖状の好ましくはC1−12のアシル基、線状もしくは分枝鎖状の好ましくはC1−12の飽和もしくは不飽和アルキル基、塩化されたもしくは塩化されていないスルホニル基(SOH)、または塩化されたもしくは塩化されていないホスホネート基(PO)を表し、ORaおよび/またはORbは可能なら解離された形態、例えばO−Na+の形態における塩基の存在下にあり、
、R、R、R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素原子;ヒドロキシル基;ハロゲン原子;塩化されたもしくは塩化されていない酸官能基;アル
デヒド官能基;アミド官能基;塩基性もしくは塩化された形態の(第一級、第二級、もしくは第三級)アミン官能基;シアノ基;チオール基;ニトロ基;糖(O−ヘテロシド);線状もしくは分枝鎖状の好ましくはC1−12のアルコキシド基;線状もしくは分枝鎖状の好ましくはC1−12のアルキル鎖;線状もしくは分枝鎖状の好ましくはC1−12のアルケニル鎖;線状もしくは分枝鎖状の好ましくはC1−12のチオアルキル鎖;線状もしくは分枝鎖状の好ましくはC1−12のアルコキシ鎖;好ましくはC1−12のアルケニルオキシ鎖;塩化されたもしくは塩化されていないサルフェート基;塩化されたもしくは塩化されていないスルホニル基;塩化されたもしくは塩化されていないホスホネート基;塩化されたもしくは塩化されていないホスフェート基;またはシラノール基であり、ここで好ましくはC1−12の炭素に基づく鎖は置換されていてもよい]
のパラ−クマル酸から誘導される少なくとも1種の化合物の使用に関する。特に好ましい態様では、組成物は局所的に投与される。ここで使用される用語「有効量」は、独立してまたは組み合わせを包含するここに開示されている利点を包含する明白な利点を有意に誘発するのに充分な化合物または組成物の量を意味する。
【0020】
有利には、使用される化合物はトランス化合物であるが、本発明はシス化合物またはシス/トランス混合物も包括し、それは好ましくは比較的多い量のトランス化合物を含んでなる。
発明の詳細な記述
以下の本文において、一般的に同定される基(Ra、Rb、R、R、など)は該基を含んでなるいずれかの式、そして特に一般式Iに言及する。それ故、有利な態様から製造できる全ての組み合わせは本発明により包括される。
【0021】
有利には、本発明は、局所組成物中の脱色剤としてのまたは抗ラジカルもしくは抗炎症活性を有する活性成分としての以上で定義された一般式(I)を有するパラ−クマル酸から誘導される有効量の少なくとも1種の化合物の使用を包括する。そのような局所組成物は一般的には皮膚科学的に許容可能な担体をさらに含んでなる。ここで使用される用語「皮膚科学的に許容可能な担体」は、組成物またはそれらの成分が過度の細胞毒性、非相容性、不安定性、アレルギー応答などなしで人間の皮膚組織との接触使用に適することを意味する。そのような担体は調合される局所組成物の意図する作用によって化粧品用途、製薬学的用途、または両者に許容可能であるとして認可されうる。
【0022】
有利には、RaおよびRbは互いに独立して水素原子、線状もしくは分枝鎖状のC1−12アシル基、塩化されたもしくは塩化されていないスルホニル基(SOH)、塩化されたもしくは塩化されていないホスホネート基(PO)を表し、そして好ましくは水素原子を表す。
【0023】
有利には、好ましい誘導体は化学式II:
【0024】
【化2】

【0025】
により表され、ここで基R〜R、X、Y、Zおよびnは式Iで挙げられた要素を表す。
【0026】
有利には、好ましい化合物は化学式III:
【0027】
【化3】

【0028】
により表され、ここで基R、R、RおよびR、X、Y、Zおよびnは一般式Iで挙げられた要素を表す。
【0029】
好ましくは、本発明はRa、Rb、R、R、RおよびRが好ましくは水素を表し、Rが好ましくはメトキシ基を表し、そしてRが水素であり、XおよびYが各々CH基を表しそしてnが2に等しい一般式Iに相当するフェルラ酸として知られるパラ−クマル酸誘導体を包括する。
【0030】
これらの誘導体は下記式(IVaおよびIVb)により表すことができ、ここでRおよびRは一般式Iで挙げられた要素を表す:
【0031】
【化4】

【0032】
上記のIVaおよびIVbにおいて、RおよびRは好ましくは水素であり、それは以下の式IVa1およびIVb1に相当する:
【0033】
【化5】

【0034】
好ましくは、本発明にこれも関連する化合物は、RaおよびRb、R、R、R、R並びにRが好ましくは水素を表し、Rが好ましくはヒドロキシル基を表し、そしてRが好ましくは水素を表し、XおよびYが各々CH基を表しそしてnが2に等しい一般式Iに相当するカフェー酸誘導体として知られるパラ−クマル酸誘導体である。これらの誘導体は下記式(VaおよびVb)により表され、ここでRおよびRは一般式Iに挙げられた要素を表す:
【0035】
【化6】

【0036】
式VaおよびVbにおいて、RおよびRは好ましくは水素であり、それは以下の式Va1およびVb1により記載される2種の誘導体に相当する:
【0037】
【化7】

【0038】
本発明は、置換基Ra、Rb、R、R、R、R、R、R、RおよびRが水素を表しそしてnが好ましくは2に等しい一般式Iに相当するパラ−クマル酸誘導体にも関する。有利には、R、R、R、およびRは水素を表す。有利には、置換基RおよびRは場合により塩化された形態であってもよいヒドロキシル基、またはメトキシ、および水素原子から選択される。有利には、置換基RおよびRは場合により塩化された形態であってもよいヒドロキシル基、またはメトキシ、および水素原子から選択される。好ましくは、n=2である。有利には、置換基RおよびRは場合により塩化された形態であってもよいヒドロキシル基、および水素原子から選択される。
【0039】
第一の態様によると、パラ−クマル酸誘導体は、Ra、Rb、R、RおよびRが好ましくは水素原子を表し、Rが好ましくはメトキシ基を表し、XおよびYが各々独立してCH基を表しそしてnが2に等しいフェルラ酸誘導体であり、これらの誘導体は多分下記式(IIaおよびIIb):
【0040】
【化8】

【0041】
[式中、
、R、RおよびRは以上で定義された通りである]
により表される。有利には、式IIaおよびIIbにおいて、R、R、RおよびRは各々水素原子を表す。
【0042】
第二の態様によると、式IIaおよびIIbにおいて、R、RおよびRは各々水素原子を表しそしてRはヒドロキシル基を表し、それは下記式:
【0043】
【化9】

【0044】
により記載される2種の誘導体に相当する。有利には、パラ−クマル酸誘導体はRa、Rb、R、RおよびRが好ましくは水素原子を表し、Rが好ましくはヒドロキシル基を表し、XおよびYが各々CH基を表しそしてnが2に等しいカフェー酸誘導体であり、これらの誘導体は多分下記式(IIIaおよびIIIb):
【0045】
【化10】

【0046】
[式中、
、R、RおよびRは以上で定義された通りである]
により表される。
【0047】
有利には、式IIIaおよびIIIbにおいて、R、R、RおよびRは各々水素原子を表す。有利には、式IIIaおよびIIIbにおいて、R、R、Rは各々水素原子を表しそしてRはヒドロキシル基を表し、それは下記式IIIa1およびIIIb2:
【0048】
【化11】

【0049】
により記載される2種の誘導体に相当する。有利には、置換基Ra、Rb、R、R、R、R、R、RおよびRは各々水素原子を表し、Rはヒドロキシル基を表し、nは2に等しく、これらの誘導体は多分下記式(VIaおよびVIb):
【0050】
【化12】

【0051】
[式中、XおよびYはCHまたはCH基である]
により表される。
【0052】
1つの有利な態様によると、化合物は植物から抽出され、該抽出物は好ましくは
【0053】
【化13】

【0054】
から選択される化合物を含んでなる。
【0055】
使用される活性化合物の健康的な起源の保証を使用者に与えるために、特に植物から誘導される、天然化合物を、特に化粧品中で使用することは全く有利である。当業者は植物から抽出される天然化合物を使用する種々の利点も認識している。溶媒、好ましくは有極性溶媒、そして好ましくは水、水/アルコール混合物またはポリオール、例えば水/グリコールもしくは水/エタノール混合物、またはポリオール、またはアルコール、例えばエタノールを用いて原料物質として使用される植物の抽出物を得ることが有利である。酢酸エチルもしくはアセトン、または上記の溶媒類のいずれかの混合物を使用することもできる。抽出物は好ましくは濾過されそして次に乾燥される。中程度の、例えば45℃への加熱で抽出を行うことも可能である。抽出は好ましくは撹拌しながら行われる。抽出方法は当業者に既知である。使用される植物の部分は得ようとする抽出物の機能に応じて変動しうる。
【0056】
本発明は、特に、脱色活性またはメラニン形成に対する抑制効果を、特に個体の皮膚組織の少なくとも一つの領域への局所適用により、発揮させるための上記化合物の使用に関する。
【0057】
本発明は特に、皮膚組織の該領域の色素沈着を減ずるための上記化合物の使用に関する。
【0058】
本発明は、以上で定義された通りの組成物の局所適用を含んでなる美容ケア方法にも関する。ここで使用される用語「局所適用」は、皮膚組織の表面上に本発明の組成物を適用または延展することを意味する。
【0059】
有利には、美容ケアは適用領域内の皮膚の色素沈着を減ずることを可能にする。
【0060】
本発明は、また、ここに記載されたパラ−クマル酸誘導体化合物を含んでなる局所的に適用される化粧品組成物の調合物にも関する。さらに、皮膚の健康および/または物理的外観を改良するための多数の化粧品活性成分が当該技術で知られているため、当業者は個体の皮膚に対して複数の利点を与えうる化粧品組成物を調合することが有用であること、並びに、ここに記載された化合物は1種もしくはそれ以上の他の化粧品活性成分と組み合わされる場合には相乗効果を有しうることも認識するであろう。それ故、上記化合物を含
んでなる化粧品組成物は追加の化粧品活性成分または当業者に一般的に既知である他の化粧品成分をさらに含んでなりうる。好ましくは、組成物は人間の皮膚組織と接触するので、追加成分はそのような組織への適用に適していなければならず、すなわち、組成物に導入される場合にそれらが論理的な医学的判断の範囲内で過度の細胞毒性、非相容性、不安定性、アレルギー応答などなしで適する。CTFA Cosmetic Ingredient Handbook, Eleventh Edition (2006)は、皮膚ケア産業において普遍的に使用されている多種の非限定的な化粧品および製薬学的成分を記載しており、それらは本発明の局所組成物中での使用に適する。これらの成分種の例は、研磨剤、吸収剤、美容成分、例えば香料、顔料、彩色剤/着色剤、精油、皮膚感覚剤、収斂剤など(例えば、クローブ油、メントール、カンファー、ユーカリ油、オイゲノール、乳酸メンチル、アメリカマンサク蒸留物)、抗−アクネ剤、抗−ケーキング剤、発泡防止剤、抗微生物剤(例えば、ブチルカルバミン酸ヨードプロピル)、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、膨張剤、キレート化剤、化学的添加剤、着色剤、化粧品収斂剤、化粧品抗生物質、変性剤、薬品収斂剤、外用鎮痛剤、組成物の膜形成および直接性を助けるための膜形成剤または材料、例えば、重合体(例えば、エイコサンおよびビニルピロリドンの共重合体)、不透明化剤、pH調節剤、噴射剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚漂白および明色剤(例えば、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、アスコルビル燐酸マグネシウム、アスコルビルグルコサミン)、皮膚−コンディショニング剤(例えば、雑多性および閉塞性を包含する加湿剤)、皮膚円滑および/または治癒剤(例えば、パンテノールおよび誘導体類(例えばエチルパンテノール)、アロエ・ベラ、パントテン酸およびその誘導体類、アラトイン、ビサボロール、およびグリシルリジン酸二カルシウム)、皮膚処置剤、濃稠化剤、並びにビタミン類およびそれらの誘導体を包含するが、それらに限定されない。
【0061】
本発明は、また、特に色素増加のある個体の皮膚組織の少なくとも一つの領域への局所適用による、脱色活性またはメラミン形成に対する抑制効果を発揮させるための製薬学的組成物の製造のための有効量の以上で定義された少なくとも1種の化合物の使用にも関する。
【0062】
本発明は、また、抗ラジカルおよび/または抗炎症活性を与えるための化粧品または製薬学的組成物の製造のための有効量の以上で定義された少なくとも1種の化合物の使用にも関する。とりわけ、それらの抗ラジカル活性によって、本発明から誘導される化合物はL−ドーパ分子を減じて発色化合物へのその酸化を停止させうる。それらの高い抗ラジカル活性のために、本発明から誘導される化合物は抗−炎症性化合物であり、とりわけ、UVストレスなどの間に発生したフリーラジカルは炎症カスケードを誘発する。これが、抗ラジカル性質が炎症カスケードを抑制する理由である。
【0063】
本発明は特に下記の好ましい化合物に関し、それらは特に説明されている。
【0064】
しかしながら、純粋に説明として示されておりそして本発明の範囲を何らかの方法で制限するものと考えるべきでない実施例を参照しながら説明記述を読んだ後に、本発明の他の目的、特徴および利点は当業者に明らかになるであろう。
【0065】
実施例は本発明の必須部分を構成しており、そして実施例を包含する記載の内容から先行技術に関連して新たに現れる特徴はその機能およびその普遍性において本発明の必須部分を構成する。それ故、各実施例は一般的範囲を有する。
【0066】
さらに、実施例では、全ての百分率は断らない限り重量基準で示され、そして温度は断らない限り摂氏温度で表示され、そして圧力は断らない限り大気圧力である。
【実施例】
【0067】
I−フェルラ酸(4−ヒドロキシ−3−メトキシ桂皮酸)誘導体類
実施例1:N−トランス−フェルロイルドーパミン(SO−I−146):
【0068】
【化14】

【0069】
フェルラ酸(300mg、1.54ミリモル)およびトリエチルアミン(1.5当量、2.31ミリモル)のDMF(3.5mL)中溶液を氷浴を用いて3または4℃に冷却する。アミンである3−ヒドロキシチラミン(ドーパミン)(1当量、1.54ミリモル)を媒体に加え、引き続きBOP(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(1当量、1.54ミリモル)のジクロロメタン(3.5mL)中溶液を加え、混合物を氷浴中で約30分間にわたりそして室温において20時間にわたり撹拌する。撹拌を次に停止しそしてジクロロメタンを真空下で蒸発除去する。30mLの水を残りの溶液に加えそして得られた混合物を酢酸エチル(3×75mL)で抽出する。有機相を連続的に100mLの1NHCl溶液、100mLの水および100mLの1M炭酸水素ナトリウム(NaHCO)溶液で洗浄する。それを次に硫酸ナトリウム上で乾燥しそして蒸発乾固する。得られた生成物はシリカゲルのカラム上でのクロマトグラフィー後に白色沈殿の形態である。
実施例2:N−トランス−フェルロイル−3,4−ジメトキシドーパミン:
実施例1から誘導されるプロトコルをフェルラ酸およびドーパミンの代わりにフェルラ酸および2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチルアミンを用いて適用すると、得られた化合物はN−トランス−フェルロイル−3,4−ジメトキシドーパミンである。
実施例3:N−トランス−フェルロイルチラミン:
実施例1から誘導されるプロトコルをフェルラ酸およびドーパミンの代わりにフェルラ酸およびチラミンを用いて適用すると、得られた化合物はN−トランス−フェルロイルチラミンである。
実施例4:N−トランス−フェルロイル−4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルメチルアミン:
実施例1から誘導されるプロトコルをフェルラ酸およびドーパミンの代わりにフェルラ酸および4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルアミンを用いて適用すると、得られた化合物はN−トランス−フェルロイル−4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルメチルアミンである。
実施例5:N−ジヒドロフェルロイルチラミン:
実施例1から誘導されるプロトコルをフェルラ酸およびドーパミンの代わりにジヒドロフェルラ酸およびチラミンを用いて適用すると、得られた化合物はN−ジヒドロフェルロイルチラミンである。
実施例6:N−ジヒドロフェルロイルドーパミン:
実施例1から誘導されるプロトコルをフェルラ酸およびドーパミンの代わりにジヒドロフェルラ酸および3−ヒドロキシチラミンを用いて適用すると、得られた化合物はN−ジヒドロフェルロイルドーパミンである。
実施例7:フェルラ酸エステル:トランス−フェルラ酸2−(p−ヒドロキシフェニルエチル)の合成:
【0070】
【化15】

【0071】
フェルラ酸(4−ヒドロキシ−3−メトキシ桂皮酸、250mg、1.28ミリモル)をジクロロメタン(10mL)の中に溶解させそしてDMAP(ジメチルアミノピリジン、157mg、1.28ミリモル)を加える。2種の生成物を溶解させた後に、チロソール(353.7mg、2.56ミリモル)を加え、引き続きEDCI[1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド、368mg、1.92ミリモル]を加える。得られた混合物を室温において20時間にわたり撹拌する。反応媒体を次に酢酸エチル(32mL)および水(6mL)で希釈する。有機相を水相から分離し、それを酢酸エチルで再抽出する。有機相を一緒にし、硫酸マグネシウム上で乾燥し、飽和NaCl溶液で洗浄しそして蒸発乾固する。5/5酢酸エチル/シクロヘキサン混合物を用いるシリカゲルのカラム上でのクロマトグラフィー後に、生成物は白色沈殿の形態で得られる。
実施例8:トランス−フェルラ酸2−(3,4−ジヒドロキシフェニルエチル):
上記の実施例7から誘導されるプロトコルをフェルラ酸およびチロソールの代わりにフェルラ酸および3−ヒドロキシチロソールを用いて適用すると、得られた化合物はトランス−フェルラ酸3,4−ジヒドロキシフェニルエチル(式IVb2)である。
II−カフェー酸(3,4−ジヒドロキシ桂皮酸)誘導体類
実施例9:N−トランス−カフェオイルチラミン:
【0072】
【化16】

【0073】
カフェー酸(300mg、1.66ミリモル)およびトリエチルアミン(1.5当量、2.49ミリモル)のDMF(3.5mL)中溶液を氷浴を用いて3または4℃に冷却する。アミンであるチラミン(1当量、1.66ミリモル)を媒体に加え、引き続きBOP(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1当量、1.66ミリモル)のジクロロメタン(3.5mL)中溶液を加え、混合物を氷浴中で約30分間にわたりそして室温において20時間にわたり撹拌する。撹拌を次に停止しそしてジクロロメタンを真空下で蒸発除去する。30mLの水を残りの溶液に加えそして得られた混合物を酢酸エチル(3×75mL)で抽出する。有機相を連続的に100mLの1NHCl溶液、100mLの水および100mLの1M炭酸水素ナトリウム(NaHCO)溶液で洗浄する。それを次に硫酸ナトリウム上で乾燥しそして蒸発乾固する。シリカゲルのカラム上でのクロマトグラフィーによる精製後に、生成物は白色沈殿の形態で得られる。
実施例10:N−トランス−カフェオイルドーパミン:
実施例9から誘導されるプロトコルをカフェー酸およびチラミンの代わりにカフェー酸および3−ヒドロキシチラミン(ドーパミン)を用いて適用すると、得られた化合物はN−トランス−カフェオイルドーパミンである。
実施例11:N−トランス−カフェオイル−4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルメチルアミン:
実施例9から誘導されるプロトコルをカフェー酸およびチラミンの代わりにカフェー酸および4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルアミンを用いて適用すると、得られた化合
物はN−トランス−カフェオイル−4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルメチルアミンである。
実施例12:N−トランス−カフェオイル−3,4−ジメトキシドーパミン:
実施例9から誘導されるプロトコルをカフェー酸およびチラミンの代わりにカフェー酸および2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチルアミンを用いて適用すると、得られた化合物はN−トランス−カフェオイル−3,4−ジメトキシドーパミンである。
実施例13:ジヒドロカフェオイルチラミン:
実施例9から誘導されるプロトコルをカフェー酸およびチラミンの代わりに3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸およびチラミンを用いて適用すると、得られた化合物はジヒドロカフェオイルチラミンである。
実施例14:カフェー酸エステル:トランス−カフェー酸2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル(式IVb1)の合成:
実施例7から誘導されるプロトコルをフェルラ酸およびチロソールの代わりにカフェー酸およびチロソールを用いて適用すると、得られた化合物はトランス−カフェー酸2−(4−ヒドロキシフェニルエチル)(式IVb1)である。
実施例15:トランス−カフェー酸2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)エチル(式IVb2):
上記の実施例14から誘導されるプロトコルをカフェー酸およびチロソールの代わりにカフェー酸および3−ヒドロキシチロソールを用いて適用すると、得られた化合物はトランス−カフェー酸2−(3,4−ジヒドロキシフェニルエチル)である。
III−クマル酸(4−ヒドロキシ桂皮酸)誘導体類
実施例16:N−ジヒドロクマロイルチラミン:
【0074】
【化17】

【0075】
3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸すなわちp−ジヒドロクマル酸(1g、6.02ミリモル)およびトリエチルアミン(1.5当量、9.03ミリモル)のDMF(10mL)中溶液を氷浴を用いて3または4℃に冷却する。アミンであるチラミン(1当量、6.02ミリモル)を媒体に加え、引き続きBOP(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(1当量、6.02ミリモル)のジクロロメタン(10mL)中溶液を加え、混合物を氷浴中で約30分間にわたりそして室温において20時間にわたり撹拌する。撹拌を次に停止しそしてジクロロメタンを真空下で蒸発除去する。100mLの水を残りの溶液に加えそして得られた混合物を酢酸エチル(3×75mL)で抽出する。有機相を連続的に100mLの1NHCl溶液、100mLの水および100mLの1M炭酸水素ナトリウム(NaHCO)溶液で洗浄する。それを次に硫酸ナトリウム上で乾燥しそして蒸発乾固する。カラム上でのクロマトグラフィーによる精製後に、生成物がシリカゲルの白色沈殿の形態で得られる。
実施例17:(パラ−クマル酸のエステル):トランス−クマル酸2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル:
上記の実施例7から誘導されるプロトコルをフェルラ酸およびチロソールの代わりにp−クマル酸およびチロソールを用いて適用すると、得られた化合物はトランス−クマル酸2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル(XおよびYがCHである式VIb)である。
実施例18:ジヒドロクマル酸2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル:
上記の実施例7から誘導されるプロトコルをフェルラ酸およびチロソールの代わりにp−ジヒドロクマル酸(またはフロレチン酸)およびチロソールを用いて適用すると、得ら
れた化合物はジヒドロクマル酸2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル(XおよびYがCHである式VIb)である。
実施例19:N−3−(4−ホスフェートフェニル)プロパノイル−2−(4−ホスフェートフェニル)エチルアミン:
【0076】
【化18】

【0077】
実施例16の生成物(180mg、0.63ミリモル)および水素化ナトリウム(37.8mg、1.57ミリモル、2.5当量)を4mLの無水DMF(2mL)中にアルゴン下で溶解させる。得られた混合物を0℃において30分間にわたり激しく撹拌し、そして1mLのジエチルホスフェートクロリド(273μL、3当量)のDMF(1mL)中溶液を次に加える。撹拌を一晩にわたり続ける。反応媒体を10mLの氷水に注入しそして酢酸エチル(2×10mL)で抽出する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥しそして蒸発乾固して薄色残渣を与える。
【0078】
以上で得られた残渣(300mg)を3mLの無水ジクロロメタン中に溶解させそして得られた溶液を0℃に冷却する。過剰のトリメチルシリルブロミド(1mL)を撹拌しながら滴下し、そして撹拌を室温において4時間にわたり続ける。溶媒を次に真空下で蒸発除去する。85/15水/メタノール中での逆相クロマトグラフィーによる精製およびカラム画分の凍結−乾燥後に、生成物が白色沈殿の形態で得られる。
実施例20:N−トランス−3−(3−メトキシ−4−ホスフェートフェニル)プロペノイル−2−(4−ホスフェートフェニル)エチルアミン:
実施例19のプロトコルを実施例1から誘導された生成物に適用すると、得られた化合物はN−トランス−3−(3−メトキシ−4−ホスフェートフェニル)プロペノイル−2−(4−ホスフェートフェニル)エチルアミンである。
実施例21:N−トランス−3−(3,4−ジホスフェートフェニル)プロペノイル−2−(4−ホスフェートフェニル)エチルアミン:
実施例19のプロトコルを実施例9から誘導された生成物に適用すると、得られた化合物はN−トランス−3−(3,4−ジホスフェートフェニル)プロペノイル−2−(4−ホスフェートフェニル)エチルアミンである。
実施例22:N−トランス−3−(3−メトキシ−4−サルフェートフェニル)プロペノイル−2(4−サルフェートフェニル)エチルアミン:
【0079】
【化19】

【0080】
実施例3から誘導された生成物(150mg、0.455ミリモル)の2mLのDMF中溶液にピリジンおよび三酸化硫黄の錯体(2.73ミリモル、6当量)を加える。得られた溶液を室温において20時間にわたり撹拌しそして4mLの炭酸水素ナトリウム水溶液を次に加える。逆相カラムクロマトグラフィー(水)による精製後に、生成物が白色沈殿の形態で得られる。
実施例23:N−トランス−3−(3−メトキシ−4−サルフェートフェニル)プロペノイル−2(3,4−ジサルフェートフェニル)エチルアミン:
実施例22のプロトコルを実施例1から誘導された生成物に適用すると、得られた化合物はN−トランス−3−(3−メトキシ−4−サルフェートフェニル)プロペノイル−2(3,4−ジサルフェートフェニル)エチルアミンである。
実施例24:N−3−(4−サルフェートフェニル)プロパノイル−2(4−サルフェートフェニル)エチルアミン:
実施例22のプロトコルを実施例16から誘導された生成物に適用すると、得られた化合物はN−3−(4−サルフェートフェニル)プロパノイル−2(4−サルフェートフェニル)エチルアミンである。
本発明の実施例25:本発明は上記実施例に記載されたパラ−クマル酸誘導体類の1種を含有することが知られる植物抽出物に関する:
記述中で述べられたように、本発明は天然抽出物、好ましくは植物抽出物、を用いて有利に行われる。以下の表1は植物中で同定された天然誘導体類を記載する。
【0081】
【表1】

【0082】
そこで、種々の組成物を上記表の植物から製造した。本発明はこれらの植物からのいずれかの抽出物、特に以下の実施例26に従い得られた抽出物、を包括する。
【0083】
それ故、好ましくは有極性溶媒または有極性溶媒の混合物を用いて、場合により還流下で、好ましくは表1に挙げられた植物種の、抽出を行うことが好ましい。抽出が行われたら、溶液を濾過しそして場合により有極性溶媒または有極性溶媒の混合物の中に再溶解させてもよい。
本発明の実施例26:本発明から誘導されるパラ−クマル酸誘導体類の1種を含有することが知られる植物を用いて行われた抽出:
好ましくは、ヒビスクス・カンアビウス(Hibiscus cannabius)抽出物を切断された樹皮から還流エタノール中で10%(w/w)で製造する。抽出を1時
間にわたり行いそして溶液を次に濾過し、エタノールを除去しそして得られたN−トランス−フルロイルチラミン(実施例3から誘導された生成物)を水/グリコール混合物の中に5%(w/w)で溶解させそして次に異なる遮断しきい値を有するセラミックフィルターを通して限外濾過し、そして最後に0.45μmで濾過する。
【0084】
好ましくは、ヒビスクス・カンアビウス(Hibiscus cannabius)抽出物を切断された樹皮から酢酸エチル中で10%(w/w)で製造する。抽出を1時間にわたり行いそして溶液を次に濾過し、酢酸エチルを除去しそして得られたN−トランス−フルロイルチラミン(実施例3から誘導された生成物)を水/グリコール混合物の中に5%(w/w)で溶解させそして次に異なる遮断しきい値を有するセラミックフィルターを通して限外濾過し、そして最後に0.45μmで濾過する。
【0085】
好ましくは、ヒビスクス・カンアビウス(Hibiscus cannabius)抽出物を切断された樹皮からアセトン中で10%(w/w)で製造する。抽出を1時間にわたり行いそして溶液を次に濾過し、アセトンを除去しそして得られたN−トランス−フルロイルチラミン(実施例3から誘導された生成物)を水/グリコール混合物の中に5%(w/w)で溶解させそして次に異なる遮断しきい値を有するセラミックフィルターを通して限外濾過し、そして最後に0.45μmで濾過する。
【0086】
好ましくは、ヒビスクス・カンアビウス(Hibiscus cannabius)の抽出物を切断された樹皮から75%の水および25%のブチレングリコールよりなる混合物の中で10%(w/w)で製造する。浸透を一晩にわたり45℃において行いそして得られたN−トランス−フルロイルチラミン(実施例3から誘導された生成物)を次に異なる遮断しきい値を有するセラミックフィルターを通して限外濾過し、そして最後に0.45μmで濾過する。
【0087】
好ましくは、リシウム・チネンス(Lycium chinense)の抽出物を切断された樹皮から還流エタノール中で10%(w/w)で製造する。抽出を1時間にわたり行いそして溶液を次に濾過し、エタノールを除去しそして得られたN−トランス−ジヒドロカフェオイルチラミン(実施例13から誘導された生成物)を水/グリコール混合物の中に5%(w/w)で溶解させそして次に異なる遮断しきい値を有するセラミックフィルターを通して限外濾過し、そして最後に0.45μmで濾過する。
【0088】
好ましくは、リシウム・チネンス(Lycium chinense)抽出物を切断された樹皮から酢酸エチル中で10%(w/w)で製造する。抽出を1時間にわたり行いそして溶液を次に濾過し、酢酸エチルを除去しそして得られたN−トランス−ジヒドロカフェオイルチラミン(実施例13から誘導された生成物)を水/グリコール混合物の中に5%(w/w)で溶解させそして次に異なる遮断しきい値を有するセラミックフィルターを通して限外濾過し、そして最後に0.45μmで濾過する。
【0089】
好ましくは、リシウム・チネンス(Lycium chinense)抽出物を切断された樹皮からアセトン中で10%(w/w)で製造する。抽出を1時間にわたり行いそして溶液を次に濾過し、アセトンを除去しそして得られたN−トランス−ジヒドロカフェオイルチラミン(実施例13から誘導された生成物)を水/グリコール混合物の中に5%(w/w)で溶解させそして次に異なる遮断しきい値を有するセラミックフィルターを通して限外濾過し、そして最後に0.45μmで濾過する。
【0090】
リシウム・チネンス(Lycium chinense)の抽出物を切断された樹皮から75%の水および25%のブチレングリコールよりなる混合物の中で10%(w/w)で製造する。浸透を一晩にわたり45℃において行いそして得られたN−トランス−ジヒドロカフェオイルチラミン(実施例13から誘導された生成物)を水次に異なる遮断しきい値を有するセラミックフィルターを通して限外濾過し、そして最後に0.45μmで濾過する。
【0091】
表1に挙げられた他の抽出物も上記の種々のプロトコルに従い実施例3および13の化合物を参考にして得られた。行われたプロトコル変更は当業者には彼の一般的知識に基づき直接行われる。
本発明の実施例27:p−クマル酸誘導体類を用いる単離されたチロシナーゼの抑制のイ
ンビトロ試験:
チロシナーゼはL−ドーパからのL−ドーパキノンのそして次にドーパクロームの生成に触媒作用を与える。ここで、ドーパクロームは490nmにおける可視分光法により定量化されうる着色された化合物である。酵素活性を改変可能な活性剤の使用は490nmにおける光学濃度における変動により反映されるであろう。ドーパクロームの生成速度の比が種々の試験分子を用いて得られる活性化または抑制を正確に測定可能にする。
【0092】
試験しようとする試料を真菌チロシナーゼ(シグマ(Sigma))の存在下で5分間にわたり撹拌しながらインキュベートする。チロシナーゼ基質であるL−ドーパ(シグマ)を10分間にわたり光の不存在下で、試験分子の存在下または不存在下で、インキュベートする。抑制百分率の計算は、試験ODを分子なしの負対照と比較することにより、行われる。使用した正対照は0.01%=45%±5%抑制でのコウジ酸(シグマ)である。
【0093】
このインビトロ試験に関しては、p−クマル酸誘導体を10−4Mおよび10−5Mの最終濃度で試験した。得られた結果を表2に記載する。
【0094】
【表2】

【0095】
以上の表2から、試験誘導体が低濃度でもチロシナーゼを抑制することは明らかである。
本発明の実施例28:p−クマル酸誘導体類を用いるヒト・チロシナーゼの抑制のインビトロ試験:
健康なドナーから得られたメラニン細胞から得られたヒト・チロシナーゼはL−ドーパからのL−ドーパキノンの生成に触媒作用を与える。ここで、L−ドーパキノンは色素原:3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)を用いる490nmにおける可視分光法により定量化されうる着色されうる。この試薬はチロシナーゼにより合成されたo−キノン類を捕獲して、高いモル光学濃度を有する安定で且つ可溶性の化合物であるMBTH−o−キノンを与える。
【0096】
それ故、酵素活性を改変可能な活性剤の使用は負対照で得られたもの(100%活性)と比べた490nmにおける光学濃度における変動により反映されるであろう。
【0097】
メラニン細胞抽出物は、熱衝撃により行われる正常なヒト・メラニン細胞の細胞膜の溶解後に得られる。上澄み液を回収しそして次にMBTH(シグマ)およびL−ドーパ(シグマ)と共にインキュベートする。30分後に測定された490nmにおけるODを、試験した各活性剤に関して、試験OD(試験分子)を負対照(分子なし)に関するODと比較することにより、計算する。使用した正対照は0.1%(60%±5%抑制)でのコ
ウジ酸である。得られた結果を表3に照合させる。
【0098】
【表3】

【0099】
以上の表3から、パラ−クマル酸誘導体類の抑制活性は存在するが、単離されたヒト・チロシナーゼの特定モデルでは控えめであることは明らかである。
本発明の実施例29:正常なヒト・メラニン細胞への試験活性剤の適用後に単層として試験されたヒト・チロシナーゼの抑制の試験:
正常なヒト・メラニン細胞(腹部手術から得られた)を24−ウエル・プレートに1個のウエル当たり80000個の細胞の割合で植え付ける。それらを集密培養しそして活性剤を24時間にわたり培養培地に適用する。24時間後に、培地を除去しそしてメラニン細胞を機械的作用により剥がす。抽出を熱衝撃により行いそして上澄み液を次に回収しそしてMBTH(シグマ)およびL−ドーパ(シグマ)と共にインキュベートする。30分後に490nmにおけるODを測定し、そして490nmにおけるODを比:負対照(処理されなかった対照)のOD490nm/蛋白質濃度に関して試験の蛋白質含有量(各培養ウエルで測定される)に対して比較することにより、チロシナーゼ抑制を計算する。抗−チロシナーゼ活性の百分率はこのようにして処理対照と比較して計算される。実験の負対照はメラニン細胞に0.1%(20%±5%の測定された抑制)で適用されるコウジ酸である。
【0100】
【表4】

【0101】
以上の表から、このモデルで得られた結果はヒト・メラニン形成の抑制に対するパラ−クマル酸誘導体類の真の効果を反映することが明らかである。観察された抑制の百分率はヒト形態とは非常に離れたモデル、すなわち、真菌チロシナーゼ、で得られたものと比べてそして正常なヒト・メラニン細胞から抽出されたチロシナーゼとの直接的な接触により顕著に優れている。
【0102】
それ故、ヒドロキシル化されたパラ−クマル酸誘導体類はヒト・チロシナーゼの抑制に対する当業者に特に予期されなかった活性を示し且つ非常に有意義であるが、広く使用されており且つ文献に記載されている真菌に基づくチロシナーゼを用いるあまり適切でないモデルに対する効果は減じられる。
【0103】
チラミンおよびドーパミンを10−4M(以上の表参照)で試験されそして非常に低い活性を示した。カフェー酸単独でも非常に低い活性を示すためにそれだからいっそう、カフェー酸およびチラミンまたはドーパミンの間の反応から誘導された分子(それぞれ、実施例9および10から誘導された化合物)は抗−チロシナーゼ活性を非常に有意に増加させることを可能にした。
【0104】
フェルラ酸およびチラミンまたはドーパミンの間の反応から誘導された分子(それぞれ、実施例1および3から誘導された化合物)は同じ効果を生じ、フェルラ酸だけが非常に
わずかに活性であった。
【0105】
ドーパミンのメチル同族体は測定可能であるが非−メチル誘導体類のものより少ないメラメラニン合成に対する抑制効果を得ることを可能にする。一方ではカフェー酸およびドーパミンのメチル同族体の間の反応から誘導される分子(実施例12から誘導される化合物)並びに他方ではフェルラ酸および同一化合物から誘導されるもの(実施例2から誘導される化合物)はそのような高い活性を可能にしない。
本発明の実施例30:実施例9、10、1および3から誘導される化合物の種々のドナーから誘導された正常なヒト・メラニン細胞への適用後のヒト・チロシナーゼの抑制の試験:
上記の実施例から誘導された化合物を種々のドナーから誘導されたが公正なフォトタイプ(phototype)のメラニン細胞に対して、実施例29に記載されたプロトコルに従い、試験した。試験したドナーは以下の通りである:
−ドナーS(実施例12で試験されたドナー):46歳
−ドナー1:40歳
−ドナー2:47歳
−ドナー3:33歳
得られた結果を以下の表に記載する。
【0106】
【表5】

【0107】
得られた結果は4人の異なるドナーに対する化合物の大きな効果を示す。
本発明の実施例31:褐色および黒色フォトタイプの種々のドナーから誘導された正常なヒト・メラニン細胞に対する実施例3、9および1から誘導された化合物の適用後のヒト・チロシナーゼの抑制の試験
実施例1から誘導された化合物を褐色フォトタイプの2人のドナーおよび黒色フォトタイプの1人のドナーから得られたメラニン細胞の培養物に対して試験する。適用されたプロトコルは実施例29に記載されたものである。褐色フォトタイプの2人のドナーに対して得られた結果を表6に記載する。
【0108】
【表6】

【0109】
褐色フォトタイプに対して得られた結果は、抗−チロシナーゼ活性が服用量−依存性であり且つ強いことを示す。黒色フォトタイプのドナー(31歳)で得られた結果を以下の表7に記載する。
【0110】
【表7】

【0111】
ネグロイド皮膚を有するドナーから誘導されたチロシナーゼに対する抑制活性は服用量−依存性でありそして一方では公正なフォトタイプから誘導されたドナーに対して得られた結果に一致する。
【0112】
本発明の実施例32:パラ−クマル酸誘導体類の細胞毒性の試験
活性剤の細胞毒性を正常なヒト・メラニン細胞に対して24−ウエルプレートの中でPNPP(P−ニトロフェニルホスフェート)を用いる検定により試験し、この物質は生
存細胞の細胞内酸ホスファターゼ類によりp−ニトロフェノールに転化される。405nmにおけるp−ニトロフェノールの吸光度は生存細胞の数に正比例する。
【0113】
活性剤を2種の濃度(10−4Mおよび10−5M)において試験しそして培養培地に加えそして37℃において24時間にわたりインキュベートする。PNPPを用いる検定は細胞ローン(cell lawn)上で行われそして結果は負対照(未処理ウエル)に関する生存率の百分率として表示される。得られた結果は以下の表8に照合される。
【0114】
【表8】

【0115】
得られた生存率の百分率が75%生存率(許容されるしきい値)より大きいため、試験分子が10−4Mおよび10−5Mのモル濃度において試験される場合にはそれらは非−細胞毒性である。10−4Mにおいて試験される場合には2個だけの分子、すなわち実施例11および12から誘導された分子、が75%より低いしきい値を有する。評価するためには、これらの分子は10−4Mより低い(例えば10−5M)濃度において単層として試験する必要があろう。
【0116】
本発明の実施例33:パラ−クマル酸誘導体類および医薬部外品分子の効果の比較:
文献でそれらの脱色活性に関して知られている分子を用いて試験を行い、これらの分子を実施例29に記載されたモデルに適用して種々の実施例に記載された分子に関してそれらの効果を比較する。マグネシウムホスフェート基で安定化されたビタミンCすなわちVitCMgPおよびコウジ酸を我々のモデルで評価した。得られた結果は表9に記載されている。
【0117】
【表9】

【0118】
試験分子は実施例29に記載されたモデルでは、はるかに低い濃度において特に活性であるパラ−クマル酸誘導体類と比較された場合に、無効であることが見出された。とりわけ、いずれの分子もパラ−クマル酸誘導体類のものに匹敵するしきい値においてヒト・チロシナーゼを抑制できなかった。
【0119】
3%および0.3%で試験されたビタミンCは、この分子がメラニン細胞に対する細胞毒性活性を有し且つ非−特異的であるため、高い抑制水準を示す。従って、この分子は我々のモデルでは活性であると考えられない。パラ−クマル酸誘導体類は正常なヒト・チロシナーゼに対して高度に有効な分子であることが見出される。
【0120】
本発明の実施例34:パラ−クマル酸誘導体類の抗ラジカル活性の試験
上記の合成から誘導された誘導体類の抗ラジカル活性をDPPHを用いるインビトロ無細胞モデルで評価した。
【0121】
1,1−ジフェニル2−ピクリルヒドラジルは、その常磁性構造のために、電子または水素ラジカルが安定な反磁性分子になることを可能にしうる。エタノール中で紫色に着色されるこのフリーラジカルは520nmにおいて強い吸光度を有する。
【0122】
電子を与える化合物の添加は、520nmにおける吸光度を測定することにより看視できるラジカルにより吸収される電子の数に比例する1,1−ジフェニル2−ピクリルヒドラジルの脱色をもたらす。
【0123】
DPPHを30分間にわたり上記の誘導体類の存在下でインキュベートし、10−5Mの濃度において、または対照に関しては単独で、試験される。インキュベーションの終了時に、520nmにおける溶液の吸光度を測定することにより上記誘導体類の抗ラジカル活性を評価する。
【0124】
各試験生成物の抗ラジカル活性を式に従い、百分率:
100−((試験化合物の存在下におけるOD520/化合物の不存在下におけるOD520)×100)
として計算する。
【0125】
【表10】

【0126】
上記の化合物は、10−5Mの濃度において、抗ラジカル活性を示す。それらの高い抗ラジカル活性のために、本発明から誘導された化合物は抗炎症性化合物であり、とりわけ、UVストレスなどの間に発生したフリーラジカルは炎症カスケードを誘発する。これが、抗ラジカル性質が何ゆえ炎症カスケードを抑制するかの理由である。
【0127】
用語「発明の生成物」は、一般式Iに相当する化合物、並びに好ましい化合物および特に実施例1〜26に記載された化合物を意味する。
【0128】
本発明の実施例35:水中油滴型エマルジョンタイプの化粧品または製薬学的組成物中での本発明の生成物の使用:
調合物35a:
A 水 100とする量
ブチレングリコール 2
グリセロール 3
ジヒドロキシセチル燐酸ナトリウム、 2
イソプロピルヒドロキシセチルエーテル

B ステアリン酸グリセロールSE 14
トリイソノナオイン 5
オクチルココエート 6

C ブチレングリコール、メチルパラベン、 2
エチルパラベン、プロピルパラベン、
5.5に調節されたpH

D 本発明の生成物 0.01−10%

調合物35b:
A 水 100とする量
ブチレングリコール 2
グリセロール 3
ポリアクリルアミド、 2.8
イソパラフィン、ラウレス−7

B ブチレングリコール 2
メチルパラベン、
エチルパラベン、
プロピルパラベン

フェノキシエタノール、 2
メチルパラベン、
プロピルパラベン、
ブチルパラベン、エチルパラベン

ブチレングリコール 0.5

本発明の生成物 0.01−10%

調合物35c:
A カルボナー 0.50
プロピレングリコール 3
グリセロール 5
水 100とする量

B オクチルココエート 5
ビサボロール 0.30
ジメチコーン 0.30

C 水酸化ナトリウム 1.60

D フェノキシエタノール、 0.50
メチルパラベン、
プロピルパラベン、
ブチルパラベン、エチルパラベン、

E 香料 0.30

F 本発明の生成物 0.01−10%

本発明の実施例36:油中水滴型の調合物中の本発明の生成物の使用:
A ジポリヒドロキシステアリン酸PEG30 3
カプリン酸トリグリセリド類 3
オクタン酸セテアリル 4
アジピン酸ジブチル 3
ブドウ種油 1.5
ホホバ油 1.5
フェノキシエタノール、 0.5
メチルパラベン、
プロピルパラベン、
ブチルパラベン、エチルパラベン

B グリセロール 3
ブチレングリコール 3
硫酸マグネシウム 0.5
EDTA 0.05
水 100とする量

C シクロメチコーン 1
ジメチコーン 1

D 香料 0.3

E 本発明の生成物 0.01−10%

本発明の実施例37:シャンプーまたはシャワージェル型の調合物中での本発明の生成物の使用:
A キサンタン・ゴム 0.8
水 100とする量

B ブチレングリコール、 0.5
メチルパラベン、
エチルパラベン、プロピルパラベン
フェノキシエタノール、 0.5
メチルパラベン、
プロピルパラベン、
ブチルパラベン、エチルパラベン

C クエン酸 0.8

D ラウレス硫酸ナトリウム 40.0

E 本発明の生成物 0.01−10%

本発明の実施例38:口紅型および他の無水製品の調合物中の本発明の生成物の使用:
A 鉱物蝋 17.0
イソステアリン酸イソステアリル 31.5
ジペラルゴン酸プロピレングリコール 2.6
イソステアリン酸プロピレングリコール 1.7
PEG8蜜蝋 3.0
水素化されたパーム核油 3.4
グリセリド類、
水素化されたパームグリセリド類
ラノリン油 3.4
ゴマ油 1.7
乳酸セチル 1.7
鉱油、ラノリンアルコール 3.0

B ひまし油 100とする量
二酸化チタン 3.9
CI 15850:1 0.616
CI 45410:1 0.256
CI 19140:1 0.048
CI 77491 2.048

C 本発明の生成物 0.01−5%

本発明の実施例39:水性ゲル調合物(目の輪郭剤、スリミングなど)中の本発明の生
成物の使用:
A 水 100とする量
カルボナー 0.5
ブチレングリコール 15
フェノキシエタノール、メチルパラベン 0.5
プロピルパラベン、ブチルパラベン、
エチルパラベン

B 本発明の生成物 0.01−10%

本発明の実施例40:三重エマルジョン型の調合物中の本発明の生成物の使用:
第一エマルジョンW1/0
A ジポリヒドロキシステアリン酸PEG30 4
カプリン酸トリグリセリド類 7.5
イソヘキサデカン 15
PPG−15ステアリルエーテル 7.5

B 水 65.3

C フェノキシエタノール、 0.7
メチルパラベン、
プロピルパラベン、
ブチルパラベン、エチルパラベン

第二エマルジョンW1/0/W2
A 第一エマルジョン 60

B ポロキサー407 2
フェノキシエタノール、 0.3
メチルパラベン、
プロピルパラベン、2−ブロモ−2−
ニトロプロパン−1,3−ジオール
水 100とする量

C カルボマー 15

D トリエタノールアミン pH 6.0−6.5

本発明の実施例41:本発明の生成物を含有する製薬学的調合物の製造:
調合物41a:錠剤の製造
A 賦形剤 1錠当たりのg
ラクトース 0.359
スクロース 0.240

B 本発明の生成物 0.001−0.1
本発明の生成物は、例えば、実施例1に記載された抽出方法およびその後の乾燥段階に従い、得られる。
【0129】

調合物41b:ポマードの製造
A 賦形剤
低密度ポリエチレン 5.5
液体パラフィン 100とする量

B 本発明の生成物 0.001−0.1
本発明の生成物は、例えば、実施例1に記載された抽出方法およびその後の乾燥段階に従い、得られる。
【0130】

調合物41c:注射処方の製造
A 賦形剤
等張性食塩水溶液 5ml

B 本発明の生成物 0.001−0.1g
本発明の生成物は、例えば、実施例1に記載された抽出方法およびその後の乾燥段階に従い、得られる。
【0131】

実施例42:本発明の生成物を含有する調合物の化粧品許容性の評価:
毒性試験を0.5%キサンタンゲル中に10%で導入された実施例1に従い得られた化合物に対して、ウサギに対する目の評価により、ラットへの単一経口投与による異常毒性の不存在の試験、およびモルモットに対する感作の試験により、評価した。
【0132】
ウサギにおける一次的皮膚刺激の評価
上記の調合物を希釈せずに0.5mlの服用量で3匹のウサギの皮膚に「皮膚に対する急性刺激/侵食効果」の試験に関するOCDE指示書により推奨された方法に従い適用する。生成物を21/02/のJORFで発表された1/2/1982の規定により定義された基準に従い分類する。これらの試験の結果は、本発明の生成物が皮膚に対して無刺激性として分類されたことを結論できた。
【0133】
ウサギにおける目の刺激の評価
上記の調合物を純粋状態で、一回適用で、0.1mlの割合で3匹のウサギの目に「目に対する急性刺激/侵食効果」の試験に関する1987年2月24日のOCDE指示書405により推奨された方法に従い適用する。この試験の結果は、純粋ですなわち希釈せずに指示書91/326ECの意味において、調合物が目に対して無刺激性として考えられうることを結論できる。
【0134】
ラットに対する一回経口投与による異常毒性の不存在に対する試験
記載された調合物を単一部分で経口的に2g/kgの体重の服用量で5匹の雄ラットおよび5匹の雌ラットに1987年2月24日のOCDE指示書番号401により指令されたプロトコルに従い投与した。LDおよびLD50が2000mg/kgより大きいことが見出された。試験した調合物は従って摂取により危険性調合物に分類されない。
【0135】
モルモットにおける皮膚感作可能性の評価
記載された調合物をMagnussonおよびKligmannにより記載された最大化試験にかけ、そのプロトコルはOCDE指針番号406に従う。調合物は皮膚との接触時に感作性でないと分類される。
【0136】
【表11】

【0137】
【表12】

【0138】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の下記一般式(I):
【化1】

[式中、
Zは酸素または−NH−基であり、
XおよびYは同一でありそして各々CH基またはCH基を表し、
nは1〜12の範囲にわたる数であり、
RaおよびRbは同一もしくは相異なりそして水素原子、線状もしくは分枝鎖状のアシル基、線状もしくは分枝鎖状の飽和もしくは不飽和アルキル基、塩化されたもしくは塩化されていないスルホニル基(SOH)、または塩化されたもしくは塩化されていないホスホネート基(PO)を表し、
、R、R、R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素原子;ヒドロキシル基;ハロゲン原子;塩化されたもしくは塩化されていない酸官能基;アルデヒド官能基;アミド官能基;塩基性もしくは塩化された形態の第一級、第二級、もしくは第三級アミン官能基;シアノ基;チオール基;ニトロ基;糖(O−ヘテロシド);線状もしくは分枝鎖状のアルコキシド基;線状もしくは分枝鎖状のアルキル鎖;線状もしくは分枝鎖状のアルケニル鎖;線状もしくは分枝鎖状のチオアルキル鎖;線状もしくは分枝鎖状のアルコキシ鎖;アルケニルオキシ鎖;塩化されたもしくは塩化されていないサルフェート基;塩化されたもしくは塩化されていないスルホニル基;塩化されたもしくは塩化されていないホスホネート基;塩化されたもしくは塩化されていないホスフェート基;またはシラノール基であり、ここで炭素に基づく鎖は置換されていてもよい]
を有するパラ−クマル酸から誘導される少なくとも1種の化合物、並びに
皮膚科学的に許容可能な担体
を含んでなる局所組成物であって、該パラ−クマル酸誘導体がそれが局所的に適用される皮膚の領域でメラニン形成に対する脱色活性もしくは抑制効果、フリー−ラジカル−捕獲活性または抗−炎症活性を発揮するのに有効である組成物。
【請求項2】
有効量の下記一般式(I):
【化2】

[式中、
Zは酸素または−NH−基であり、
XおよびYは同一でありそして各々CH基またはCH基を表し、
nは2〜12の範囲にわたる数であり、
RaおよびRbは同一もしくは相異なりそして水素原子、線状もしくは分枝鎖状のアシル基、線状もしくは分枝鎖状の飽和もしくは不飽和アルキル基、塩化されたもしくは塩化されていないスルホニル基(SOH)、または塩化されたもしくは塩化されていないホスホネート基(PO)を表し、
、R、R、R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素原子;ヒドロキシル基;ハロゲン原子;塩化されたもしくは塩化されていない酸官能基;アルデヒド官能基;アミド官能基;塩基性もしくは塩化された形態の第一級、第二級、もしくは第三級アミン官能基;シアノ基;チオール基;ニトロ基;糖(O−ヘテロシド);線状もしくは分枝鎖状のアルコキシド基;線状もしくは分枝鎖状のアルキル鎖;線状もしくは分枝鎖状のアルケニル鎖;線状もしくは分枝鎖状のチオアルキル鎖;線状もしくは分枝鎖状のアルコキシ鎖;アルケニルオキシ鎖;塩化されたもしくは塩化されていないサルフェート基;塩化されたもしくは塩化されていないスルホニル基;塩化されたもしくは塩化されていないホスホネート基;塩化されたもしくは塩化されていないホスフェート基;またはシラノール基であり、ここで炭素に基づく鎖は置換されていてもよい]
を有するパラ−クマル酸から誘導される少なくとも1種の化合物、並びに
皮膚科学的に許容可能な担体
を含んでなる局所組成物であって、該パラ−クマル酸誘導体がそれが局所的に適用される皮膚の領域でフリー−ラジカル−捕獲活性または抗−炎症活性を発揮するのに有効である組成物。
【請求項3】
一般式(I)のRaおよびRbが互いに独立して水素原子、線状もしくは分枝鎖状のC1−12アシル基、塩化されたもしくは塩化されていないスルホニル基(SOH)、塩化されたもしくは塩化されていないホスホネート基(PO)、または水素を表す、請求項1の局所組成物。
【請求項4】
パラ−クマル酸誘導体が、
Ra、Rb、R、RおよびRが水素原子を表し、
がメトキシ基を表し、
XおよびYが各々CH基を表し、
そしてnが2に等しい
フェルラ酸誘導体である請求項1の局所組成物。
【請求項5】
パラ−クマル酸誘導体が、
Ra、Rb、R、RおよびRが水素原子を表し、
がヒドロキシル基を表し、
XおよびYが各々CH基を表し、
そしてnが2に等しい
カフェー酸誘導体である請求項1の局所組成物。
【請求項6】
置換基Ra、Rb、R、R、R、R、R、RおよびRが各々水素原子を表し、Rがヒドロキシル基を表し、そしてnが2に等しい請求項1の局所組成物。
【請求項7】
パラ−クマル酸誘導体が以下のパラ−クマル酸誘導体:
【化3】

の少なくとも1種から選択される植物抽出物である請求項1の局所組成物。
【請求項8】
組成物が化粧品組成物でありそして少なくとも1種の化粧品的に活性な成分をさらに含んでなる請求項1の局所組成物。
【請求項9】
必要とする個体の皮膚組織の少なくとも一領域に有効量の下記一般式(I):
【化4】

[式中、
Zは酸素または−NH−基であり、
XおよびYは同一でありそして各々CH基またはCH基を表し、
nは1〜12の範囲にわたる数であり、
RaおよびRbは同一もしくは相異なりそして水素原子、線状もしくは分枝鎖状のアシル基、線状もしくは分枝鎖状の飽和もしくは不飽和アルキル基、塩化されたもしくは塩化されていないスルホニル基(SOH)、または塩化されたもしくは塩化されていないホスホネート基(PO)を表し、
、R、R、R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素原子;ヒドロキシル基;ハロゲン原子;塩化されたもしくは塩化されていない酸官能基;アルデヒド官能基;アミド官能基;塩基性もしくは塩化された形態の第一級、第二級、もしく
は第三級アミン官能基;シアノ基;チオール基;ニトロ基;糖(O−ヘテロシド);線状もしくは分枝鎖状のアルコキシド基;線状もしくは分枝鎖状のアルキル鎖;線状もしくは分枝鎖状のアルケニル鎖;線状もしくは分枝鎖状のチオアルキル鎖;線状もしくは分枝鎖状のアルコキシ鎖;アルケニルオキシ鎖;塩化されたもしくは塩化されていないサルフェート基;塩化されたもしくは塩化されていないスルホニル基;塩化されたもしくは塩化されていないホスホネート基;塩化されたもしくは塩化されていないホスフェート基;またはシラノール基であり、ここで炭素に基づく鎖は置換されていてもよい]
を有する少なくとも1種のパラ−クマル酸誘導体化合物を含んでなる組成物を局所的に適用することを含んでなる脱色またはメラニン形成抑制方法。
【請求項10】
個体の皮膚組織に有効量の下記一般式(I):
【化5】

[式中、
Zは酸素または−NH−基であり、
XおよびYは同一でありそして各々CH基またはCH基を表し、
nは2〜12の範囲にわたる数であり、
RaおよびRbは同一もしくは相異なりそして水素原子、線状もしくは分枝鎖状のアシル基、線状もしくは分枝鎖状の飽和もしくは不飽和アルキル基、塩化されたもしくは塩化されていないスルホニル基(SOH)、または塩化されたもしくは塩化されていないホスホネート基(PO)を表し、
、R、R、R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素原子;ヒドロキシル基;ハロゲン原子;塩化されたもしくは塩化されていない酸官能基;アルデヒド官能基;アミド官能基;塩基性もしくは塩化された形態の第一級、第二級、もしくは第三級アミン官能基;シアノ基;チオール基;ニトロ基;糖(O−ヘテロシド);線状もしくは分枝鎖状のアルコキシド基;線状もしくは分枝鎖状のアルキル鎖;線状もしくは分枝鎖状のアルケニル鎖;線状もしくは分枝鎖状のチオアルキル鎖;線状もしくは分枝鎖状のアルコキシ鎖;アルケニルオキシ鎖;塩化されたもしくは塩化されていないサルフェート基;塩化されたもしくは塩化されていないスルホニル基;塩化されたもしくは塩化されていないホスホネート基;塩化されたもしくは塩化されていないホスフェート基;またはシラノール基であり、ここで炭素に基づく鎖は置換されていてもよい]
を有する少なくとも1種のパラ−クマル酸誘導体化合物を含んでなる組成物を局所的に適用することを含んでなる個体の皮膚組織で抗ラジカル活性、抗炎症活性、または両者を発揮させる方法。

【公開番号】特開2007−131622(P2007−131622A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301831(P2006−301831)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(506057214)エンゲルハード・リヨン・ソシエテ・アノニム (4)
【出願人】(506373387)ユニベルシテ・ジヨセフ・フーリエ−グルノーブル1 (1)
【Fターム(参考)】