説明

パルスレーダ用アンテナ装置

【課題】大地による強い反射や送信アンテナから受信アンテナへの直接結合による干渉がある場合においても、低コストで干渉波を効率的に抑圧し、また、アンテナを単一のエレメントで構成し、低コストで検知範囲の広いパルスレーダ用アンテナ装置とする。
【解決手段】送信アンテナ1と受信アンテナ2とを車体4のバンパ5の内側の左右端近傍に配置し、送信アンテナ1と受信アンテナ2との少なくとも一方を、ビームパターンのヌル方向に大地面が位置するように設置し、且つ送信アンテナ1を大地面とのなす入射角がブルースター角iB近傍となるように設置する。これにより、送信アンテナから大地方向に輻射される電力を弱めると同時に、大地方向から伝播して受信アンテナに入力される電力を弱め、大地反射波による干渉を効果的に抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大地からの反射波と送受信アンテナ間の直接干渉波とが強い場合においても、反射波によるレーダ性能の悪化を軽減することが可能なパルスレーダ用アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パルスレーダによる測距は、送信アンテナからパルス状の信号を出力し、その信号が目標物に当たって反射し、受信アンテナで受信されるまでの時間を計測することで、目標物までの距離を算出している。このパルスレーダによる測距技術は、自動車等の車両においても安全支援技術の一つとして採用されており、自動車の周囲をパルスレーダによりセンシングして障害物を認識する。
【0003】
このようなパルスレーダでは、パルス信号の送信が完了しない間にターゲットからの反射パルスが帰ってくる至近距離の測距を行う場合、送信アンテナから回折して受信アンテナに直接入り込む回折波が妨害信号となり、測定距離や位置精度が大きく影響を受ける。このため、従来から、妨害信号による干渉を低減する技術が各種提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、送信アンテナと受信アンテナとの間に電波を遮るための遮蔽板を設ける技術が開示されている。また、特許文献2には、アンテナを直線状に並べて配置しアレイアンテナを構成することにより、アンテナのビームパターンを細く絞り、送信アンテナと受信アンテナとのアイソレーションを高める技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−279649号公報
【特許文献2】特開2003−344535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、パルスレーダは、車両のバンパ等にアンテナが装着される等、比較的大地に近い部分に装着されることが多く、また、車載のパルスレーダにおける歩行者や路上の障害物の検出等のように、至近距離での測距精度を要求される場合がある。
【0006】
車載パルスレーダに適用した例を図14に示す。図14においては、車体100のバンパ101の内側に、送信アンテナ102と受信アンテナ103とが配置されている。この配置例では、送信アンテナ102からパルス信号の放射が完了し、ターゲットからの反射パルスが戻ってくる領域では、ターゲットから反射または散乱された応答信号Sに、大地104からの反射波105等の周囲環境で乱反射されたクラッタ信号を加算したものとなる。この場合、クラッタ信号が妨害信号Iとなる。さらに、パルス信号の送信が完了しない間にターゲットからの反射パルスが帰ってくる至近距離の測距においては、送信アンテナ102から回折して受信アンテナ103に直接入り込む回折波106が妨害信号Iに追加される。
【0007】
従って、アンテナを比較的大地に近い部分に設置し、至近距離の測距を行う場合には、送信アンテナから出力された信号が直接受信アンテナに回り込む第1の干渉波に加えて、大地で強く反射された第2の干渉波が直接受信アンテナで受信されてしまう。このため、目標物からの弱い反射信号は、それと比較して遥かに強い第1,第2の干渉波と重なり合って受信アンテナで受信されることになり、結果的にレーダの受信感度を大幅に悪化させてしまうという問題がある。
【0008】
これに対し、従来の技術では、送信波が回折して受信アンテナに戻ってくる回折波のみを抑圧(消去)することを考慮しており、送信波が大地から反射して受信アンテナに戻ってくる“大地からの反射波”を抑圧(消去)することについては、考慮されていない。
【0009】
すなわち、従来の技術では、車載パルスレーダ等のようにアンテナを比較的大地に近い部分に設置して至近距離の測距を行う場合、大地からの反射波を抑圧することができず、S/I比を十分に改善することができないという問題が生じる。さらには、パルス信号の送信が完了し、ターゲットからの反射パルスが戻ってくる領域では、妨害波は殆ど大地からの反射波によって構成されるので、従来の技術では、S/I比を全く改善することができない。
【0010】
この点、特許文献1に開示されているような送信アンテナと受信アンテナとの間に遮蔽板を設ける技術によると、ミリ波帯のレーダのように高周波信号の周波数が高い場合には、バンパ内に無理なく実装可能なサイズの遮蔽板で、回折波に対して充分な干渉波抑圧が可能であるが、例えばVHF帯のパルスレーダのように高周波信号の周波数が比較的低い場合、回折効果が非常に大きいので、充分に回折波を抑圧するにはバンパ内に装着できないほど大きなサイズの遮蔽板が必要になる。遮蔽板をバンパ内に納まるサイズにすると、充分に干渉波を抑圧することが困難となる。
【0011】
また、特許文献2に開示されているようなアンテナのビームパターンを細く絞る技術では、アンテナ素子が多数必要になり、アンテナ全体のサイズが大きくなってしまう。アンテナ素子のサイズは周波数に反比例するので、高周波信号の周波数が高い場合には問題ないものの、VHF帯のパルスレーダのように高周波信号の周波数が比較的低い場合には、アレイアンテナが車載できないくらい大きくなってしまい、アレイアンテナを車載可能なサイズにすると、同様に、充分に干渉波を抑圧することが困難となる。
【0012】
また、アンテナをアレイ化した場合には、各アンテナ素子に供給する電圧振幅と位相を個別に最適化するための制御部がアンテナ素子数分必要になる。さらに、アンテナをアレイ化した場合には、アンテナの指向性が細く絞られるためレーダの探知範囲が狭くなってしまう。
【0013】
このような問題を解消するためには、各アンテナ素子に供給する電圧振幅と位相を時間的にコントロールし、アンテナの指向性を電子制御により走査する技術や、モータでアンテナ自体を物理的に動かしてアンテナのビームを機械的に走査する技術を採用することが考えられる。しかしながら、これらの技術では、探知範囲全体を掃引するのに時間がかかるばかりでなく、制御装置のコストが上昇するという問題が発生する。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、大地による強い反射や送信アンテナから受信アンテナへの直接結合による干渉がある場合においても、低コストで干渉波を効率的に抑圧することのできるパルスレーダ用アンテナ装置を提供することを第1の目的とし、アンテナを単一のエレメントで構成し、低コストで検知範囲の広いパルスレーダ用アンテナ装置を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明によるパルスレーダ用アンテナ装置は、パルス状のレーダ波を送信し、目標物からの反射波を受信するまでの時間から目標物との距離及び方位を検出するパルスレーダ用アンテナ装置であって、単一のエレメントで構成される送信アンテナと、上記送信アンテナとは別の単一のエレメントで構成される受信アンテナとを備え、上記送信アンテナと上記受信アンテナとの少なくとも一方を、ビームのヌル方向に地面が位置するように設置すると共に、上記送信アンテナを、大地面とのなす入射角がブルースター角近傍となるように設置することを特徴とする
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、大地による強い反射や送信アンテナから受信アンテナへの直接結合による干渉がある場合においても、低コストで干渉波を効率的に抑圧することができると共に、単一のエレメントによるアンテナとしてコスト低減及び検知範囲の拡大を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図10は本発明の実施の第1形態に係り、図1は送受信アンテナの目標物に対する配置を示す説明図、図2は送受信アンテナの地表面に対する配置を示す説明図、図3は車体側面に送受信アンテナを配置した例を示す説明図、図4はバンパ内側に送受信アンテナを設置した様子を示す説明図、図5はアンテナの座標系を表す説明図、図6はXY面のアンテナビームパターンを示す説明図、図7はZX面のアンテナビームパターンを示す説明図、図8は乾燥大地表面における反射を示す説明図、図9は入射角と反射係数との関係を示す説明図、図10は送信アンテナの配置を示す説明図である。
【0018】
本実施の形態は、車載のパルスレーダ装置に適用するものであり、微弱無線帯のレーダ信号を利用する。すなわち、図1及び図2に示すように、本実施形態におけるパルスレーダ用アンテナ装置は、パルス状のレーダ波を送信する送信アンテナ1と、目標物3から反射される反射波を受信する受信アンテナ2とが、車体4のバンパ5の内側の左右端近傍に配置されて構成されている。
【0019】
レーダの周波数帯としては、具体的には、VHF帯(30MHz〜300MHz)付近を用いることができる。好ましくは、200MHz付近から300MHz付近の周波数帯を用い、周波数が高くなればアンテナサイズが小さくなることから、装置の小型化を考慮して300MHz付近、更に具体的には322MHz付近で、なるべく322MHzに近い周波数帯を用いることが好ましい。
【0020】
送信アンテナ1及び受信アンテナ2は、少なくとも一方が、ボウタイアンテナ、ダイポールアンテナ、ループアンテナ等の単一のエレメントより構成される。従って、それらのアンテナのエレメントを集中定数素子で短縮することにより、アンテナの小型化を実現することができる。
【0021】
送信アンテナ1及び受信アンテナ2は、障害物を認識したい方向に応じて車体前後部や車体側部に適宜設置することが可能である。本実施の形態においては、送信アンテナ1及び受信アンテナ2をバンバ5に配置し、このバンバ5として、図2(a)に示すように、リアバンパ5rに送信アンテナ1及び受信アンテナ2を配置する例について説明するが、図2(b)に示すように、フロントバンバ5fに送信アンテナ1及び受信アンテナ2を配置するようにしても良い。更に、図3に示すように、車体側面のサイドプロテクタやサイドモール等のパネル状部材10の内側に、送信アンテナ1及び受信アンテナ2を配置することも可能である。
【0022】
この場合、送信アンテナ1及び受信アンテナ2を設置するバンパ5や車体側面のパネル状部材10は、一般的に樹脂製の部材で形成されることが多く、樹脂製の部材の内側にアンテナを一体成型することも可能である。
【0023】
図4は、バンパ5の内側に、送信アンテナ1及び受信アンテナ2を設置した様子を示しており、バンパフェイス裏面5bに送信アンテナ1及び受信アンテナ2を直接取り付ける、或いは、バンパフェイス裏面5bとバンパビームとの間にある発泡体に凹部を設けてアンテナを設置する等して、バンパ5の内側に送信アンテナ1及び受信アンテナ2を配置することができる。
【0024】
送信アンテナ1は、図示しないレーダ送信装置によって駆動され、送信アンテナ1からレーダ波(パルス状のレーダ信号;以下、単に「パルス信号」と記載)が空間に放射される。そのパルス信号は空気中を伝播し、目標物3の表面で反射される。目標物3からの反射信号9は、空気中を伝播し、受信アンテナ2に到達し、図示しないレーダ受信装置に入力される。
【0025】
このとき、図2に示すように、送信アンテナ1から放射されたパルス信号は、一部が受信アンテナ2に直接波6として回り込み、また、他の一部は、大地表面7にて反射され、受信アンテナ2に大地反射波8として入力される。
【0026】
このため、送信アンテナ1と受信アンテナ2との少なくとも一方を、ビームパターンのヌル(指向性パターンの落ち込み点)方向に大地面が位置するように設置し、且つ送信アンテナ1を大地面とのなす入射角iが後述するブルースター角近傍となるように設置する。
【0027】
具体的には、アンテナの座標系を図5に示すXYZの直交座標系で説明すると、先ず、座標原点とアンテナの中心を一致させ、次に、ZX面とアンテナ面が平行になるように位置を定める。このとき、アンテナビームパターンは、XY面では、図6に示すビームパターンとなり、ほぼ無指向性のパターンとなる。また、ZX面では、図7に示すビームパターンとなり、Z軸方向に輻射される電力が弱いパターンとなる。
【0028】
従って、Z軸方向に大地が位置するように送受信アンテナを設置すれば、送信アンテナから大地方向に輻射される電力が弱くなると同時に、大地方向から伝播して受信アンテナに入力される電力を弱めることができる。
【0029】
ここで、媒質a(誘電率ε1,透磁率μ1,導電率σ1)から媒質b(誘電率ε2,透磁率μ2,導電率σ2)へ平面波が伝播するときの反射係数について考える。電界が入射面に平行な平面波が伝播するときの媒質bの表面における反射係数R1、電界が入射面に直交するときの反射係数R2は、フレネルの式から、それぞれ、以下の(1),(2)式で与えられる。
R1=(μ1・n2・cos(i)−μ2・(n2−sin2(i))1/2)/(μ1・n2・cos(i)+μ2・(n2−sin2(i))1/2) …(1)
R2=(μ2・cos(i)−μ1・(n2−sin2(i))1/2)/(μ2・cos(i)+μ1・(n2−sin2(i))1/2) …(2)
【0030】
但し、上記(1),(2)式におけるiは入射角であり、nは相対屈折率である。相対屈折率nは、以下の(3)式で与えられる。
n=(μ2/μ1)1/2・((ε2−j・σ2/ω)/(ε1−j・σ1/ω))1/2 …(3)
【0031】
図8に示すように、入射角iで入射された入射波と反射波との間の乾燥大地表面における反射係数について、上述の関係を調べると、図9に示すような関係が得られる。すなわち、電界が入射面に直交する場合には、入射角iに対して破線で示すような特性となり、電界が入射面と平行の場合、入射角iに対して実線で示すような特性となり、反射係数が極小となる入射角が存在する。この電界が入射面と平行の場合に反射係数が極小となる入射角は、ブルースター角(Brewster Angle)と呼ばれる。
【0032】
前述の図2に示すアンテナに配置において、例えば、送信アンテナ1及び受信アンテナ2を、車体4のバンパ5の内側に、地上高0.5m、送受信アンテナ間隔1.5mとなるように装着した場合、送信アンテナ1から大地への入射角iは、以下の(4)式で与えられる。
i=tan-1((1.5/2)/0.5) …(4)
【0033】
上記(4)式で与えられる入射角iの値は、略56.3°であり、図9より、入射角が56.3°のとき、電界が入射面と平行の場合の反射係数は約0.1であるのに対し、電界が入射面に直交する場合の反射係数は約0.5となる。
【0034】
従って、図5〜図7に示すアンテナ座標系でZ軸方向に大地が位置するように送信アンテナ1及び受信アンテナ2の少なくとも一方を設置し、且つ、図10に示すように、送信アンテナ1と大地のなす入射角がブルースター角iB近傍となるように設置すれば、送信アンテナ1から大地方向に伝播する電力が小さくなるのみならず、大地面での反射係数を極小にすることができ、大地反射波による干渉を極小とすることができる。
【0035】
このように、本実施の形態におけるパルスレーダ用アンテナ装置は、アンテナをアレイ化せずに単一エレメントのアンテナを使用し、大地方向に送受信アンテナの少なくとも一方のヌルを向け、送信アンテナから大地への電波の入射角をブルースター角近傍となるように設置する。
【0036】
これにより、高コストのアレイアンテナや複雑な信号処理なしに、パルスレーダにおける大地反射波による干渉を効果的に抑圧することができ、測定距離や位置精度の向上を図ることができる。しかも、単一エレメントのアンテナはビーム角が広いので、低コストで探知範囲の広いパルスレーダ用アンテナを実現することができる。
【0037】
次に、本発明の実施の第2形態について説明する。図11〜図13は本発明の実施の第2形態に係り、図11は送受信アンテナの配置を示す説明図、図12は送受信アンテナの配置の第1の変形例を示す説明図、図13は送受信アンテナの配置の第2の変形例を示す説明図である。
【0038】
第2形態は、送受信アンテナの車体への設置が第1形態と異なるだけであるので、相違する部分を中心に説明する。前述の第1形態においては、図5に示した座標系において送信アンテナ1から見た受信アンテナ2の方向がX軸方向に一致してしまい、図2,図10に示すように、送信アンテナ1から受信アンテナ2への直接波6による干渉が大きくなる可能性がある。このため、第2形態では、大地反射波を抑圧することばかりでなく、送受信アンテナ間の直接干渉波を抑圧する。
【0039】
一般に、パルスレーダにおいて、送信アンテナから受信アンテナへの直接の回り込み波を抑制するには、送信アンテナから受信アンテナ方向へ送信アンテナのビームパターンのヌルが位置するようにし、且つ受信アンテナから送信アンテナ方向に受信アンテナのビームパターンのヌルが位置するように設置すれば良い。
【0040】
しかしながら、単一のエレメントで構成されるアンテナを用いた場合、アンテナのビーム角が広いため上記方法で大地反射と直接の回り込み波を同時に抑圧するのは難しい。従って、最初に、第1形態と同様の配置で、大地反射波を充分に抑圧するように送受信アンテナを設置し、次に、送受信アンテナ間の直接の回り込み波が充分に小さくなるまで、送受信アンテナの少なくとも一方を傾けて設置することで、大地反射波と送受信アンテナ間の直接回り込み波を同時に抑圧することができる。
【0041】
この場合、アンテナには偏波特性があり、効率良く電波を受信するには、電波の偏波と受信アンテナの偏波を揃えることが重要となる。本形態は、ターゲットの表面が波長に対して粗い場合や、ターゲットの大きさが波長より小さい場合は、ターゲット表面で電波が散乱されエネルギーはあらゆる方向に反射して広がっていくという現象に着目するものであり、波長が比較的長い場合にはターゲット表面で散乱が起こり、送信アンテナ1と受信アンテナ2の偏波を多少ずらしても良好な動作を確保することができる。
【0042】
具体的には、図11に示すように、送信アンテナ1と大地とのなす入射角がブルースター角iBの近傍となるように配置し、送信アンテナ1及び受信アンテナ2を互いに平行に保ったまま角度θだけ傾けて設置する。このとき、送信アンテナ1から見た受信アンテナ2の方向は、ZX面のビームパターン(図7参照)において、X軸方向からZ軸方向に角度θだけ傾いた方向になるため、0≦θ≦90°の範囲で傾き角θを大きくすればする程、送信アンテナ1から受信アンテナ2への直接波による干渉を低減することができる。
【0043】
図11は、送受信アンテナの両方を平行に同じ角度だけ傾けて配置した例であるが、送信アンテナ1及び受信アンテナ2を、図12に示すように、傾き角θで互いにハの字状になるように傾けて配置しても良く、或いは、図13に示すように、逆ハの字状に傾けて配置しても構わない。更には、送受信アンテナの一方だけを傾けて配置しても良く、送受信アンテナを異なる角度に傾けて設置しても構わない。
【0044】
第2形態では、大地反射による干渉波と送受信アンテナ間の直接干渉波との両方を抑制することができる。また、高コストのアレイアンテナを使用することなく、ビーム角の広い単一のエレメントのアンテナを用いることで、低コストで探知範囲の広いパルスレーダ用アンテナを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の第1形態に係り、送受信アンテナの目標物に対する配置を示す説明図
【図2】同上、送受信アンテナの地表面に対する配置を示す説明図
【図3】同上、車体側面に送受信アンテナを配置した例を示す説明図
【図4】同上、バンパ内側に送受信アンテナを設置した様子を示す説明図
【図5】同上、アンテナの座標系を表す説明図
【図6】同上、XY面のアンテナビームパターンを示す説明図
【図7】同上、ZX面のアンテナビームパターンを示す説明図
【図8】同上、乾燥大地表面における反射を示す説明図
【図9】同上、入射角と反射係数との関係を示す説明図
【図10】同上、送信アンテナの配置を示す説明図
【図11】本発明の実施の第2形態に係り、送受信アンテナの配置を示す説明図
【図12】同上、送受信アンテナの配置の第1の変形例を示す説明図
【図13】同上、送受信アンテナの配置の第2の変形例を示す説明図
【図14】従来の送受信アンテナの配置を示す説明図
【符号の説明】
【0046】
1 送信アンテナ
2 受信アンテナ
3 目標物
4 車体
5 バンパ
7 大地表面
iB ブルースター角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス状のレーダ波を送信し、目標物からの反射波を受信するまでの時間から目標物との距離及び方位を検出するパルスレーダ用アンテナ装置であって、
単一のエレメントで構成される送信アンテナと、該送信アンテナとは別の単一のエレメントで構成される受信アンテナとを備え、
上記送信アンテナと上記受信アンテナとの少なくとも一方を、ビームのヌル方向に大地面が位置するように設置すると共に、上記送信アンテナを、大地面とのなす入射角がブルースター角近傍となるように設置することを特徴とするパルスレーダ用アンテナ装置。
【請求項2】
上記送信アンテナと上記受信アンテナとの少なくとも一方を傾けて設置することを特徴とする請求項1に記載のパルスレーダ用アンテナ装置。
【請求項3】
上記送信アンテナと上記受信アンテナとの少なくとも一方を、ダイポールアンテナとすることを特徴とする請求項1又は2に記載のパルスレーダ用アンテナ装置。
【請求項4】
上記送信アンテナと上記受信アンテナとの少なくとも一方を、ループアンテナとすることを特徴とする請求項1又は2に記載のパルスレーダ用アンテナ装置。
【請求項5】
上記送信アンテナと上記受信アンテナとの少なくとも一方を、ボウタイアンテナとすることを特徴とする請求項1又は2に記載のパルスレーダ用アンテナ装置。
【請求項6】
上記送信アンテナと上記受信アンテナとの少なくとも一方のアンテナエレメントを、集中定数素子で短縮することを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載のパルスレーダ用アンテナ装置。
【請求項7】
微弱無線帯のレーダ信号を利用することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のパルスレーダ用アンテナ装置。
【請求項8】
上記送信アンテナ及び上記受信アンテナを車両のバンパに設置することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のパルスレーダ用アンテナ装置。
【請求項9】
上記バンパを樹脂製として、この樹脂製のバンパ内部に上記送信アンテナ及び上記受信アンテナを一体成型することを特徴とする請求項8に記載のパルスレーダ用アンテナ装置。
【請求項10】
上記送信アンテナ及び上記受信アンテナを、上記バンパの左右端近傍に設置することを特徴とする請求項8又は9に記載のパルスレーダ用アンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−36576(P2009−36576A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199713(P2007−199713)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】