説明

ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤

本発明は、一般式(I)のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、このような化合物の調製法および医薬品における化合物の使用を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、そのような化合物の合成法、医学における化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの最近の研究報告は、癌細胞における染色体の転座がヒストンアセチル化および脱アセチル化の過程に関与する蛋白質を破壊し、これらの異常蛋白質が異常な遺伝子リプレッションを引き起こすことを示唆している。ヒストンは、ヒストン八量体に支持されてヌクレオソームを形成するDNAを含む、染色質の蛋白質成分である。これらのヒストン蛋白質は、脱アセチル化されると荷電し、DNA主鎖に引きつけられる、リジンを多く含む末端を有する。これにより染色質構造が凝縮されて、遺伝子転写に関与する蛋白質が近づけなくなり、転写抑制が起こる。
【0003】
ヒストン脱アセチル化(HDAC)酵素の阻害はそのような遺伝子リプレッションを軽減し、急性前骨髄球性白血病の治療におけるレチノイン酸の使用に類似の様式で分化およびアポトーシスのプログラムを回復しうる−「転写療法」の一形態−ことが提唱されている。HDACを阻害するいくつかの化合物が記載されており、いくつかは第I相および第II相臨床試験に入っている。これらの化合物はインビトロおよび動物異種移植モデルで増殖中の癌細胞において細胞周期停止、分化、および細胞死を誘導することが示されている。最も強力なHDAC阻害剤、トリコスタチンA(TSA)は、1970年代にストレプトマイセス・ハイグロスコピウス(Streptomyces hygroscopicus)から白癬菌(trichopyhton)に対する抗真菌抗生物質として単離された。インビトロでは強力であるが、TSAは安定性に限界があり、したがって治療上有用ではない。スベロイルアニリドヒドロキサメート(SAHA)などの類似の構造を有する新規化合物が前臨床モデルで活性を有し、第I相試験である程度の抗癌活性が示されている。しかし、この化合物も速やかに排出され、活性を示すには多量の投与を必要とする。第I相試験が行われた他のHDAC阻害剤は重大な副作用を有する(すなわち、デプシペプチド)か、または間接的メカニズムによりヒストンのアセチル化に影響をおよぼす(CI-994)。その他はまだ臨床試験の初期段階にある。
【0004】
強力で、代謝的に安定な、HDAC阻害剤は、現在臨床試験中の化合物の多くよりも、治療上有用であると考えられる。
【発明の開示】
【0005】
代謝的により安定で、インビボでの酵素の攻撃に対してより強固であると考えられる、HDACの阻害剤である一連の新しい化合物であって、同配体S(=O)n(トリコスタチン(TSA)のC=Oの代わり)の存在によって特徴付けられる化合物を調製した。
【0006】
本発明の第一の局面に従い、一般式(I)の化合物:

(式中、
R1は(C6またはC10)アリール、(C6またはC10)アリールアルキル、(C6またはC10)ヘテロアリール、(C3-C8)ヘテロシクロアルケニル、(C5-C8)シクロアルケン環、(C5-C8)シクロアルキル、(C5-C8)ヘテロシクロアルキルでもよく、またはその組み合わせで連結もしくは縮合環系を形成してもよく、環状部分は(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1- C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C1-C10)チオアルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシル、(C1-C10)ヒドロキシルアルキル、ハロ、(C1-C10)ハロアルキル、アミノ、アミド、(C1-C10)アルキルアミノ、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C1-C10)アルコキシカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニル、(C1-C10)アルキルチオカルボニル、(C1-C10)アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、(C1-C10)アルキルスルフィニル、または(C1-C10)アルキルスルホニルで置換されていてもよく、
R2およびR3はそれぞれ独立に水素、(C1-C12)アルキル、置換(C1-C12)アルキル、または一つもしくは複数のC=C結合もしくはC≡C結合を含む不飽和(C1-C12)、(C6またはC10)アリールまたは(C6またはC10)ヘテロアリールでもよく、またはその組み合わせで連結もしくは縮合環系を形成してもよく、あるいは飽和または不飽和炭化水素鎖の間にO、S、NR、CO、C(NR)、N(R)SO2、S02N(R)、N(R)C(O)O、OC(O)N(R)、N(R)C(O)N(R)、OC(O)、C(O)O、OS02、SO2O、またはOC(O)O(ただしRは独立に水素、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C1-C10)ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシル、(C1-C10)ハロルアルキルであってもよい)が割り込んでいてもよく、各飽和または不飽和炭化水素鎖は(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシル、(C1-C10)ヒドロキシルアルキル、ハロ、(C1-C10)ハロアルキル、アミノ、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C1-C10)アルコキシカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニル、(C1-C10)アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、または(C1-C10)アルキルスルホニルで置換されていてもよい、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C1-C10)チオアルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシル、(C1-C10)ヒドロキシルアルキル、ハロ、(C1-C10)ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、アミド、(C1-C10)アルキルアミノ、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C1-C10)アルコキシカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニル、(C1-C10)アルキルチオカルボニル、(C1-C10)アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、(C1-C10)アルキルスルフィニル、または(C1-C10)アルキルスルホニルであってもよく、
あるいはR2およびR3は、3個までのヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、硫黄またはリンを含んでいてもよい、(C6またはC10)アリール、(C6またはC10)アリールアルキル、一つまたは複数のヘテロ原子を含む5員炭素環、6員炭素環または7員炭素環であってもよい(C6またはC10)ヘテロアリール環、(C3-C8)ヘテロシクロアルケニル、(C5-C8)シクロアルケン環、(C5-C8)シクロアルキル、(C5-C8)ヘテロシクロアルキル連結環系を形成してもよく、ただし本明細書において定義される他の環がそのように形成された環に縮合していてもよい。
あるいはR1およびR2は、(C6またはC10)アリール、(C6またはC10)アリールアルキル、一つまたは複数のヘテロ原子を含む5員炭素環、6員炭素環または7員炭素環であってもよい(C6またはC10)ヘテロアリール環、(C3-C8)ヘテロシクロアルケニル、(C5-C8)シクロアルケン環、(C5-C8)シクロアルキル、(C5-C8)ヘテロシクロアルキル連結環系を形成してもよく、形成された環は前述の定義のR1基でさらに置換されていてもよく、または形成された環は前述の定義のR1基もしくはR1R2N基(R1およびR2は前述の定義のとおり)で置換されていてもよい、他のC6アリール基に縮合していてもよく、ただし本明細書において定義される他の環がそのように形成された環に縮合していてもよく、
nは0、1または2であってもよく、
Xはヒドロキシル(-OH)、-OR、NHR、ヒドロキサメート(-NHOH)、NHOR、NROR、NRNHR、またはSRであってもよく
ただし各R基は独立に水素、C1-C6アルキルまたは置換C1-C6アルキルであってもよく、かつ
Yは0、1もしくは2個の酸素原子、またはNR(RはH、OH、ORまたは炭素原子であってもよく、ただしRはC1-C6アルキルまたは置換C1-C6アルキルであってもよい)であってもよい。
Qは

(式中、mは1から4の整数であり;nは1から8の整数であり;かつR4およびR5はそれぞれ独立に水素、無置換または置換C1-C10アルキル、一つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含む炭素原子10個までの不飽和炭化水素鎖、C6またはC10アリール、5から10員複素環基、C1-C10アルコキシ、C1-C10チオアルコキシ、ヒドロキシル、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、アミド、(C1-C10アルキル)カルボニルオキシ、(C1-C10アルコキシ)カルボニル、(C1-C10アルキル)カルボニル、(C1-C10アルキル)チオカルボニル、(C1-C10アルキル)スルフロニルアミノ、アミノスルホニル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10アルキルスルホニル、または間にO、S、NR、CO、C(NR)、N(R)SO2、S02N(R)、N(R)C(O)O、OC(O)N(R)、N(R)C(O)N(R)、OC(O)、C(O)O、OS02、SO2O、もしくはOC(O)O(ただしRは前述の定義のとおりである)が割り込んでいる飽和もしくは不飽和C3-C12炭化水素鎖(飽和または不飽和炭化水素鎖は前述の定義のとおりに置換されていてもよい)である)である)
およびその薬学的に許容される塩が提供される。
【0007】
一般式(I)の化合物は、構造(I)のCOX基に隣接するCH=CHに取って代わる飽和結合(置換基を有する、または有していない)を含んでいてもよい。加えて、鎖結合(全体または部分として)はいかなる飽和レベルのものであってもよく、末端基とCOX末端とを連結する鎖上のいかなる場所に縮合されている環も組み込むことができる。
【0008】
一般式(I)の化合物の定義は下記であることが好ましい:
R1は(C6またはC10)アリール、(C6またはC10)アリールアルキル、(C6またはC10)ヘテロアリール、(C3-C8)ヘテロシクロアルケニル、(C5-C8)シクロアルケン環、(C5-C8)シクロアルキル、(C5-C8)ヘテロシクロアルキルでもよく、またはその組み合わせで連結もしくは縮合環系を形成してもよく、環状部分は(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルケニル、(C1-C6)アルコキシ、(C1-C6)チオアルコキシ、ヒドロキシル、(C1-C6)ヒドロキシルアルキル、ハロ、(C1-C6)ハロアルキル、アミノ、アミド、(C1-C6)アルキルアミノ、(C1-C6)アルキルカルボニルオキシ、(C1-C6)アルコキシカルボニル、(C1-C6)アルキルカルボニル、(C1-C6)アルキルスルホニルアミノで置換されていてもよく、
R2およびR3はそれぞれ独立に水素、(C1-C4)アルキル、置換(C1-C4)アルキル、または一つもしくは複数のC=C結合もしくはC≡C結合を含む不飽和(C1-C4)、(C6またはC10)アリールまたは(C6またはC10)ヘテロアリールでもよく、またはその組み合わせで連結もしくは縮合環系を形成してもよく、あるいは飽和または不飽和炭化水素鎖の間にO、S、NR、CO、C(NR)、N(R)SO2、S02N(R)、N(R)C(O)O、OC(O)N(R)、N(R)C(O)N(R)、OC(O)、C(O)O、OS02、またはSO2O(ただしRは独立に水素、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルケニル、(C1-C4)アルキニル、(C1-C4)アルコキシ、(C1-C4)ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシル、(C1-C4)ハロルアルキルであってもよい)が割り込んでいてもよく、各飽和または不飽和炭化水素鎖は(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルケニル、(C1-C4)アルキニル、(C1-C4)アルコキシ、ヒドロキシル、(C1-C4)ヒドロキシルアルキル、ハロ、(C1-C4)ハロアルキル、アミノ、(C1-C4)アルキルカルボニルオキシ、(C1-C4)アルコキシカルボニル、(C1-C4)アルキルカルボニル、(C1-C4)アルキルスルホニルアミノで置換されていてもよい、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルケニル、(C1-C4)アルキニル、(C1-C4)アルコキシ、ヒドロキシル、(C1-C4)ヒドロキシルアルキル、ハロ、(C1-C4)ハロアルキル、アミノ、アミド、(C1-C4)アルキルアミノ、(C1-C4)アルキルカルボニルオキシ、(C1-C4)アルコキシカルボニル、(C1-C4)アルキルカルボニル、(C1-C4)アルキルスルホニルアミノであってもよく、
あるいはR2およびR3は、3個までのヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、硫黄またはリンを含んでいてもよい、(C6またはC10)アリール、(C6またはC10)アリールアルキル、(C6またはC10)ヘテロアリール、(C3-C8)ヘテロシクロアルケニル、(C5-C8)シクロアルケン環、(C5-C8)シクロアルキル、(C5-C8)ヘテロシクロアルキル連結または縮合環系を形成してもよい。
あるいはR1およびR2は、(C6またはC10)アリール、(C6またはC10)アリールアルキル、(C6またはC10)ヘテロアリール、(C3-C8)ヘテロシクロアルケニル、(C5-C8)シクロアルケン環、(C5-C8)シクロアルキル、(C5-C8)ヘテロシクロアルキル連結または縮合環系を形成してもよく、形成された環は前述の定義のR1基でさらに置換されていてもよく、または形成された環は前述の定義のR1基もしくはR1R2N基(R1およびR2は前述の定義のとおり)で置換されていてもよい、他のC6アリール基に縮合していてもよく、
nは0、1または2であってもよく、
Xはヒドロキシル(-OH)、-OR、NHR、ヒドロキサメート(-NHOH)、NHOR、NROR、NRNHR、またはSRであってもよく
ただし各R基は独立に水素、C1-C4アルキルまたは置換C1-C4アルキルであってもよく、かつ
Yは0、1もしくは2個の酸素原子、またはNR(RはH、OH、ORまたは炭素原子であってもよく、ただしRはC1-C4アルキルまたは置換C1-C4アルキルであってもよい)であってもよい。
Qは

(式中、mは1から4の整数であり;nは1から8の整数であり;かつR4およびR5はそれぞれ独立に水素、無置換または置換C1-C4アルキル、一つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含む炭素原子10個までの不飽和炭化水素鎖、C6またはC10アリール、5から10員複素環基、C1-C4アルコキシ、C1-C4チオアルコキシ、ヒドロキシル、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、アミド、(C1-C4アルキル)カルボニルオキシ、(C1-C4アルコキシ)カルボニル、(C1-C4アルキル)カルボニル、(C1-C4アルキル)チオカルボニル、(C1-C4アルキル)スルフロニルアミノ、アミノスルホニル、C1-C4アルキルスルフィニル、C1-C4アルキルスルホニル、または間にO、S、NR、CO、C(NR)、N(R)SO2、S02N(R)、N(R)C(O)O、OC(O)N(R)、N(R)C(O)N(R)、OC(O)、C(O)O、OS02、SO2O、もしくはOC(O)O(ただしRは前述の定義のとおりである)が割り込んでいる飽和もしくは不飽和C3-C12炭化水素鎖(飽和または不飽和炭化水素鎖は前述の定義のとおりに置換されていてもよい)である)である。
【0009】
さらに好ましい態様において、必要な変更を加えて、置換基C1-C6はC1-C4で置き換えてもよく、基C1-C4はC1-C3で置き換えてもよい。
【0010】
一般式(I)の範囲内の好ましい化合物群は式(Ia)を有する:

(式中、R1、R2およびR3は前述の定義を有する)。より好ましい態様において、化合物は式(Ib)で定義することができる。

【0011】
一般式(I)の範囲内のさらに好ましい化合物群は(A)、(B1)、(B2)および(C)(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は前述の定義を有し、各R基は独立に水素、Cl-C6アルキルまたは置換C1-C6アルキルであってもよい)である。
【0012】

特に、置換基および環などの範囲が(I)に対して概説したとおりである、タイプ(A)について、VおよびWは芳香環(または複素環もしくは脂環)の間の一重結合を構成してもよく、あるいはこれらはV=CRおよびW=Nの形(結合RC=Nが存在するように)、もしくはV=NおよびW=CRの形(結合N=CRが存在するように)、またはこれらの結合いずれかの飽和版(アルキルアリール、複素環、または他の置換基を有する、または有していない)、またはVWもしくはWV=RRC-OもしくはRRC-Sの形の結合を取ってもよい。加えて、COXに連結した鎖結合はいかなる飽和レベルのものであってもよく、末端基とCOX末端とを連結する鎖上に縮合されている環を組み込むこともできる。
【0013】


いずれも置換基および環の範囲が前述のIに対して定義したとおりであり、n=0、1または2である、タイプ(B1)および特に(B2)について。しかし、タイプ(B2)について特に注目すべきは、Y=原子なし、OもしくはO2またはNRであり、Z=CRまたはNであり、n=0、1または2であり、X=NHOH、OH、NROR、CRROHまたはX、YおよびZに対する前述の基および置換基のいかなる組み合わせも含む、Xの派生物もしくは関連基である。加えて、鎖結合はいかなる飽和レベルのものであってもよく、末端基とCOX末端とを連結する鎖上に縮合されている環を組み込むこともできる。(B1)および(B2)の両方について、ZはN、もしくはCの一原子結合であってもよく、その場合、-CHもしくは-CRで表すことができ、または様々な原子、特にC、O、N、S、SO、SO2の組み合わせの二原子結合であってもよく、飽和、部分飽和、または不飽和環の一部を形成する。
【0014】

Y=原子なし、OもしくはO2またはNRであり、n=0、1または2であり、X=NHOH、OH、NROR、CRROHまたはX、YおよびZに対する前述の基および置換基のいかなる組み合わせも含む、Xの派生物もしくは関連基である、タイプ(C)について(本明細書において実験上の詳細は記載していない)。加えて、鎖結合はいかなる飽和レベルのものであってもよく、末端基とCOX末端とを連結する鎖上に縮合されている環を組み込むこともできる。
【0015】
定義:
本明細書において「化合物」なる用語は文脈がそうではないことを要求しない限り「塩」または「水和物」を含む。
【0016】
本明細書において用いられる「ハロゲン」またはその略語である「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。
【0017】
本明細書において用いられる「ヘテロ」とは、炭素原子ではない一つまたは複数の原子の存在を意味する。適当なヘテロ原子には、それぞれO、S、NおよびPで表される酸素、硫黄、窒素またはリンが含まれる。
【0018】
本明細書において用いられる「(C1-C6)アルキル」なる用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する。そのようなアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、およびヘキシルである。1〜5個の炭素原子(C1-C5)、または1〜4個の炭素原子(C1-C4)が好ましいと考えられる。
【0019】
本明細書において用いられる「(C1-C12)アルキル」なる用語は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する。そのようなアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルおよびドデシルである。1〜10個の炭素(C1-C10)原子、または1〜6個の炭素原子(C1-C6)が好ましいと考えられる。
【0020】
部分的炭素-炭素結合の存在が一般式(I)において示され、完全な二重結合または一重結合(その場合、炭素の全原子価を埋めるために水素原子が含まれる)のいずれかを示していると解釈すべきである。
【0021】
「(C6またはC10)アリール」なる用語はフェニルおよびナフチルを含む。
【0022】
本明細書において用いられる「(C5-C8)シクロアルキル」なる用語は、5から8個の炭素原子を有する脂環式基を意味する。そのようなシクロアルキル基の例は、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0023】
本明細書において用いられる「(C5-C8)シクロアルケン環」なる用語は、5から8個の原子を有し、加えて一つまたは複数の二重結合を有する脂環式基を意味する。そのようなシクロアルケニル基の例は、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルである。
【0024】
本発明の化合物において、不斉炭素原子の存在は鏡像異性体を生じさせる。いくつかの不斉炭素原子の存在はジアステレオ異性体を生じさせ、これらはそれぞれ二つの鏡像異性体からなり、それぞれの不斉中心で適当なRまたはS立体化学を有する。本発明はすべてのそのようなジアステレオ異性体、光学活性鏡像異性体、およびその混合物を含むと理解される。
【0025】
「適当な塩」なる用語は、式(I)の化合物を、その対イオンが化合物の所期の使用を妨害しない酸または塩基と接触させることにより調製される塩を意味する。例には、リン酸誘導体のナトリウム塩もしくはマグネシウム塩、または一般式(I)の化合物がカルボン酸である場合、一級、二級もしくは三級アミンから生成される塩が含まれる。一級アミン塩の例はシクロヘキシルアンモニウム塩であってもよく、適当な二級アミン塩はピペリジン塩であってもよく、三級アミン塩はトリエチルアミン塩であってもよい。
【0026】
本明細書において置換基Rとは、独立に水素、C1-C6アルキルもしくは置換C1-C6アルキル、または置換ベンジル(C6アリール)であってもよい基と定義される。構造式を決めるために複数の基Rを用いる場合、それぞれの基Rは独立に本明細書において定義される意味を有すると考えられる。
【0027】
アルキルアミノには、文脈がそうではないことを明記しない限り、モノニトロ置換炭素原子、ジニトロ置換炭素原子またはトリニトロ置換炭素原子が含まれる。アミノには、Rが水素であってもよいCONRが含まれる。
【0028】
縮合環系には、芳香族および脂環式両方の環系が含まれる。環は完全もしくは部分飽和または不飽和であってもよい。
【0029】
文脈がそうではないことを明記しない限り、ベンゼン環(C6アリール)への置換はオルト位、メタ位またはパラ位でありうるが、パラ位の置換が好ましい。
【0030】
本明細書において用いられる「(C6-C10)ヘテロアリール」なる用語は、環に一つまたは複数のヘテロ原子を有する6員環系または10員環系を意味する。
【0031】
本明細書において用いられる「(C3-C8)ヘテロシクロアルケニル」なる用語は、一つまたは複数のヘテロ原子が環に存在する、3〜8員、好ましくは5員、6員または7員を有する環系を意味する。
【0032】
本明細書において用いられる「(C5-C8)ヘテロシクロアルキル」なる用語は、一つまたは複数のヘテロ原子が環に存在する、5〜8員、好ましくは5員、6員または7員を有する環系を意味する。
【0033】
一般式(I)の範囲内に入る好ましい化合物は、R2およびR3が両方とも水素であり;R2がメチル(CH3)であり、R3が水素であり;R2が水素であり、R3がメチル(CH3)であり;またはR2およびR3が両方ともメチル(CH3)であるものである。
【0034】
好ましくは、R1は、ハロ、好ましくは塩素、(C1-C10)アルコキシ、好ましくはメトキシ(-OCH3)、(C1-C10)アルキルアミノ、好ましくはジメチルアミノで置換されていてもよい、(C6またはC10)アリールである。
【0035】
好ましくは、Xは-OH、-OCH3、-OC2H5またはNHOHである。
【0036】
好ましくは、Yは一つまたは二つの酸素原子である。
【0037】
R2およびR3が両方とも水素(H)である場合、Yは0個の酸素原子であり、nは1であり、R1は下記の一つであってもよく

かつXは-OH、-OCH3、-OC2H5またはNHOHであってもよい。
【0038】
そのような化合物の例は化合物6a、6b、6c、6d、6e、7b、および7cである。
【0039】
R2およびR3が両方とも水素(H)である場合、Yは1個の酸素原子であり、nは1であり、R1は下記の一つであってもよく

かつXは-OH、-CH3、-OC2H5またはNHOHであってもよい。
【0040】
そのような化合物の例は化合物8a、8b、8c、8d、9a、および9bである。
【0041】
R2およびR3が両方とも水素(H)である場合、Yは2個の酸素原子であり、nは1であり、R1は下記の一つであってもよく

かつXは-OH、-CH3、-OC2H5またはNHOHであってもよい。
【0042】
そのような化合物の例は化合物10a、lOb、lla、13b、および14aである。
【0043】
R2およびR3が両方ともメチル(CH3)である場合、Yは0個の酸素原子であり、nは0であり、R1は下記であってもよく

かつXは-OCH3、-OC2H5または-OHであってもよい。
【0044】
そのような化合物の例は化合物21aおよび22bである。
【0045】
特に好ましい化合物は6-ベンゼンスルホニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキサミド(化合物11a)および6-(-4-クロロベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキサミド(化合物9a)である。
【0046】
好ましい一般式Iの化合物には、独立に、またはいかなる適合性の組み合わせでも、下記が含まれる:

6-フェニルスルファニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸

6-(4-クロロ-フェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル

6-フェニルスルファニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル

6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル

6-(4-メトキシ-フェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル

6-(4-クロロ-フェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド

6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド

6-フェニルスルフィニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル

6-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル

6-(4-メトキシ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル

6-ベンゼンスルフィニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸

6-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド

6-(4-メトキシ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド

6-ベンゼンスルホニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸

6-ベンゼンスルホニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル

6-ベンゼンスルホニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド

6-(ナフタレン-2-イルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル

6-(ナフタレン-2-イルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド

4-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-2-メチル-ペンタ-2-エン酸メチルエステル

6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-4-メチル-ヘプタ-2,4-ジエン酸エチルエステル

6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-4-メチル-ヘプタ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド
または下記の化合物の一つ
6-(4-クロロ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28b)
7-(4-クロロ-フェニルスルファニル)-ヘプタン酸エチルエステル(28c)
6-(4-アミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28d)
6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28e)
6-(4-((4-クロロベンジル)-メチルアミノ)-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28f)
6-(4-(4-クロロベンゼンスルホニルアミノ)-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28g)
6-(4-ブロモ-フェニリルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28h)
6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-イルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28i)
6-(4-クロロ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド(29b)
6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸ヒドロキサミド(29c)
6-(4-(4-クロロベンゼンスルホニルアミノ)-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸ヒドロキサミド(29g)
6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-イルスルファニル)-ヘキサン酸ヒドロキサミド(29i)
6-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(30b)
7-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘプタン酸エチルエステル(30c)
6-(4-ジメチルアミノ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(30e)
6-(4-((4-クロロベンジル)-メチルアミノ)-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(30f)
6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-イルスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(30i)
6-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド(31a)
7-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘプタン酸ヒドロキシアミド(31c)
6-(4-ジメチルアミノ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド(31e)
6-(4-((4-クロロベンジル)-メチルアミノ)-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸ヒドロキサミド(31f)
6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-スルフィニル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド(31i)
(2E,4E)-5-(5-ジメチルアミノ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ペンタ-2,4-ジエン酸エチルエステル(41a)
(2E,4E)-5-(5-ジメチルアミノベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ペンタ-2,4-ジエン酸ヒドロキサミド(42a)
(E)-3-(3-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-フェニル)-アクリル酸エチルエステル(51a)
(E)-3-(3-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-フェニル)-N-ヒドロキシ-アクリルアミド(52a)
【0047】
本発明のもう一つの態様において、一般式(I)において示す置換カルボニル基-COXを-CH2OHで置き換えてもよい。このタイプのそのような化合物の例は下記である:

4-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-2-メチル-ペンタ-2-エン-1-オール
【0048】
本発明の第二の局面に従い、一般式(I)の化合物の調製法であって、一般式(II)の化合物を一般式(III)に加え、

(式中、Wはハロゲン原子(例えば、臭素、塩素、ヨウ素)、またはベンゼンスルホネート、パラトルエンスルホネート、トリフルオロメチルスルホネートであってもよい脱離基である)
その後任意に加水分解、または酸化および加水分解を行う段階を含む方法が提供される。
【0049】
加水分解は、アルカリ条件下、例えば、ヒドロキシルアミン水溶液、または水性溶液中の水酸化アルカリ金属、例えば、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム存在下、ヒドロキシルアミン水溶液中で適当に実施することができる。酸化は過酸、例えば、メタクロロ過安息香酸、または過ヨウ素酸ナトリウムを用いて行うことができる。
【0050】
本発明のこの局面の方法の好ましい態様は、一般式(5)の化合物を一般式(4)の化合物に加え、

その後任意に加水分解、または酸化と次いで加水分解を行う段階を含むこともできる。
【0051】
本発明のこの局面の方法の好ましい態様は、一般式(20)の化合物を一般式(17)の化合物に加え、

その後任意に加水分解、または酸化と次いで加水分解を行う段階を含むこともできる。
【0052】
本発明のこの局面の方法のもう一つの好ましい態様は、一般式(5)の化合物を一般式(27)の化合物に加え、

その後任意に加水分解、または酸化と次いで加水分解を行う段階を含むこともできる。R13は前述の定義のR2と同様でありうる。
【0053】
本発明のこの局面の方法に従って調製した化合物を、一般式(II)の化合物を一般式(III)に加えた生成物に対応するアルデヒド化合物を安定化リンイリド化合物とさらに反応させることにより、さらに誘導体化することも望ましい。

または反応は下記の式の化合物を用いて行うこともできる:

(式中、R12は本明細書におけるR15の定義のとおりである)。
【0054】
適当に、安定化リンイリド化合物は(トリフェニルホスファニリデン)-酢酸エチルエステルである。

【0055】
R14は水素、(C1-C6)アルキル、好ましくはメチルもしくはエチル、またはフェニル、または前述の定義の5員複素環、6員複素環もしくは7員複素環(ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル)、あるいはその置換誘導体であってもよい。
【0056】
R15は水素、(C1-C6)アルキル、好ましくはメチルもしくはエチル、またはフェニル、または前述の定義の5員複素環、6員複素環もしくは7員複素環(ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル)、あるいはその置換誘導体であってもよい。
【0057】
R17は前述のRの定義のとおりである。
【0058】
本発明の第三の局面に従い、一般式(I)の化合物の調製法であって、一般式(IV)の化合物を一般式(Va)または(Vb)に加え、

その後任意に加水分解、または酸化および加水分解を行う段階を含む方法が提供される。
【0059】
R6は前述のR1の定義のとおりである。
R7、R8、R9、およびR10はそれぞれ独立に前述のR2の定義のとおりである。
R11は本明細書の定義のR14のとおりである。
R12は本明細書の定義のR15のとおりである。
R6およびR7は前述の定義のR1およびR2のとおり縮合することができる。
R8およびR9は前述の定義のR2およびR3に対する定義のとおり縮合することができる。
【0060】
本発明のこの局面の方法の好ましい態様は、一般式(39)の化合物を一般式(40)の化合物

または一般式(50)の化合物

に加え、その後任意に加水分解、または酸化と次いで加水分解を行う段階を含むこともできる。
【0061】
本発明のこの局面の方法の好ましい態様は、一般式(50)の化合物に一般式(49)の化合物の酸化により得られるアルデヒド

または一般式(40)の化合物

を加え、その後任意に加水分解、または酸化と次いで加水分解を行う段階を含むこともできる。
【0062】
本明細書において、いくつかの反応スキームに言及するが、これらは目的または例示のために示すにすぎず、本発明を制限すると解釈されるべきではない。スキーム1、2、3、4および5を図1から5に示す。図6は本発明の第二および第三の局面に記載の方法の一般化を示す。
【0063】
合成経路
すべてのスキームおよび実験項において、ヒドロキサム酸に結合した鎖の一部を形成するC=C二重結合はすべて、トランス異性体またはトランス-トランス異性体として単離した(R1およびR2、またはR2およびR3は、上で用いた立体化学についての記載「トランス」のために無視する)。スキーム1において、スルフィド(タイプ7)、スルホキシド(タイプ9)およびスルホン(タイプ11)結合を含むヒドロキサム酸誘導体への一般経路を示す。これらのタイプはチオール5を不飽和ブロモエステル4(または同様のクロロもしくはヨード誘導体)に加えてエステル6を得る段階を含む一連の工程を通して調製することができ、6はメタ過ヨウ素酸ナトリウム(または過酸化水素などの同様の酸化剤)を用いて8へと酸化することができる。対応するスルホン10は、6または8を、通常はメタクロロ過安息香酸などの過酸を用いて酸化することにより調製することができる。6、8または10のヒドロキシルアミンとの反応(通常は水溶液であるが、そうでなければヒドロキシルアミン塩酸塩などの塩および典型的には水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの塩基)。不飽和ブロモエステル4は、対応するエステル3を通常はN-ブロモスクシンイミドと250W(すなわち、小規模反応には100〜500Wの範囲)の太陽灯を用いてブロム化することにより調製した。そのようなブロム化は、過酸化ジベンゾイルなどの過酸化物開始剤を用いて行うこともできる。エステル3は対応するカルボン酸2を硫酸(または他の触媒)存在下、適当なアルコール(ROH)で処理することにより、都合よく調製することができる。
【0064】
スキーム1には一連の一般構造を記載しているが、特に興味が持たれる化合物は化合物群2〜4ならびに6〜11、13および14についてR2=R3=H;R2=Me、R3=H;R2=H、R3=MeおよびR2=R3=Meを含む。
【0065】
スキーム1は、様々な置換基を有する、または有していない、芳香環および芳香族複素環、単環、縮合または重縮合環系を含む(化合物5〜11で示される単環式ベンゼン環の代わりに)ことが意図されるが、これらに限定されることはない。一例として、2-ナフタレンチオール12はブロモエステル4と反応してエステル13を生じ、これをヒドロキシルアミン水溶液と反応させてヒドロキサム酸14が得られることが示された。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤として、タイプ7、9、11および14のヒドロキサム酸が特に興味深い。対応するカルボン酸6、8、10および13のいくつかもヒストン脱アセチル化酵素阻害剤である。
【0066】
スキーム2において、N,N-ジメチルアミノ基を含むヒドロキサム酸誘導体(例えば、25)およびその原料である対応するエステル(例えば、24)への一般経路を示す。24などのエステルの加水分解により、対応するカルボン酸が得られるが、これらもヒストン脱アセチル化酵素阻害剤でありうる。25などのヒドロキサム酸誘導体は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤として特に注目に値し、ヒストン脱アセチル化酵素の強力な阻害剤であるトリコスタチンAと密接な構造上の類似性を有する。スキーム2はN,N-ジメチルアミノ基で例示しているが、モノアルキル、ジアルキル、アルキルとアリール、ジアリール、一つまたは複数の複素環置換基ならびに不飽和および/またはヘテロ原子官能基を有する様々な他の置換基を含むが、これらに限定されることはない、窒素に結合した様々な置換基を含むことが意図される。スキーム2の合成系路は、オルト位もしくはパラ位のいずれか、または両方の追加の置換基に適用することも意図される。また、適宜、オルト位、メタ位またはパラ位の2つまたはそれ以上の組み合わせに結合した複数のそのようなアミノ(または同様のN-置換基)に適用することも意図される。
【0067】
スキーム2の主な特徴は、カルボニル化合物(ホルムアルデヒドで例示しているが、様々なカルボニル化合物に適用可能である)をジスルフィド18で還元的アミノ化した後、トリ-n-ブチルホスフィン(または他のホスフィン)を用いて切断することにより、インサイチューでチオール20を得、これを不飽和ブロモエステル17と反応させて、スルフィド21を得ることである。21の還元は水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)を用いて都合よく行い、アルコール22を得、これをピリジン-三酸化硫黄複合体で処理して、単離する必要のないアルデヒド23を得、これをインサイチューで(トリフェニルホスファニリデン)-酢酸エチルエステルなどの安定化リンイリドと反応させて24または関連するスルフィドとし、これをヒドロキシルアミン(またはヒドロキシルアミンの塩もしくは他の誘導体)と反応させて25などのヒドロキサム酸を得る。スキーム2の経路は、アミノおよび他の窒素含有置換基を組み込むために特に有効である。還元的アミノ化の範囲は、芳香族アミノ基(ArNH2)をまず一つのアルデヒドまたはケトンと還元条件下で反応させ、次いで、得られた二級アミンを第二のアルデヒドまたはケトン(第一のアルデヒドまたはケトンと同じでもよく、異なるものでもよい)と、再度還元条件下で反応させてもよいものである。
【0068】
スキーム3において、スルフィド(タイプ29)、スルホキシド(タイプ31)およびスルホン(タイプ33)結合を含むヒドロキサム酸誘導体への一般経路を示す。これらのタイプはチオール5をブロモエステル27(または同様のクロロもしくはヨード誘導体)に加えてエステル28を得る段階を含む一連の工程を通して調製することができ、28はメタ過ヨウ素酸ナトリウム(または過酸化水素などの同様の酸化剤)を用いて30へと酸化することができる。対応するスルホン32は、28または30を、通常はメタクロロ過安息香酸などの過酸を用いて酸化することにより調製することができる。28、30または32のヒドロキシルアミンとの、アルカリ、典型的には水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム存在下、または非存在下での反応(通常は水溶液であるが、そうでなければヒドロキシルアミン塩酸塩などの塩および典型的には水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの塩基)。ブロモエステル27は、ブロモ酸26を硫酸(または他の触媒)存在下、適当なアルコール(ROH)で処理することにより、都合よく調製することができる。
【0069】
スキーム3の有用な特徴は、カルボニル化合物(ホルムアルデヒドで例示しているが、様々なカルボニル化合物に適用可能である)の芳香族アミノ基を有する化合物28(例えば、R13=NH2)による還元的アミノ化である。ホルムアルデヒドまたはその等価物と別のアルデヒド、特に芳香族またはヘテロ芳香族アルデヒドとの組み合わせを用いた還元的アミノ化の一般法を行い、アミン28dの三級アミン28fへの変換(p-クロロベンズアルデヒドおよびホルムアルデヒドを用いて)において例示している。そのような方法のスキーム3への組み込みは、アミノおよび他の窒素含有置換基を組み込むために特に有効である。還元的アミノ化の範囲は、芳香族アミノ基(ArNH2)をまず一つのアルデヒドまたはケトンと還元条件下で反応させ、次いで、得られた二級アミンを第二のアルデヒドまたはケトン(第一のアルデヒドまたはケトンと同じでもよく、異なるものでもよい)と、再度還元条件下で反応させてもよいものである。したがって、R1または他のアリール置換基がアミノ(NH2)であるタイプ28を、二級または三級アミンを含むそれらの誘導体に変換することができ、次いでそれらのアミノエステルを加水分解して対応するカルボン酸とするか、または本明細書に記載の方法によって対応するヒドロキサム酸に変換することができる。
【0070】
スキーム3の注目すべき任意の特徴は、芳香(または芳香族複素)環上の置換基のボロン酸との、通常は配位型パラジウム触媒のスズキ反応によるカップリングが可能であることである。一例は、ブロモ化合物28hのビフェニリル誘導体28iへの変換である。28hまたは類似のそのような化合物(塩化物、O-トリフルオロメタンスルホネートなど)のいくつかの他の金属触媒カップリング法、特にヘック反応および関連する方法が考えられる。そのような金属触媒法を27などのハロゲン化アルキル(おそらく、適当に硫黄を保護して)との反応前に、早い段階で実施することもできる。
【0071】
スキーム3は、様々な置換基を有する、または有していない、芳香環および芳香族複素環、単環、縮合または重縮合環系を含む(化合物26〜33で示される単環式ベンゼン環の代わりに)ことが意図されるが、これらに限定されることはない。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤として、タイプ29、31および33のヒドロキサム酸が特に興味深い。対応するカルボン酸エステル28、30および32、ならびに/またはそれらの対応するカルボン酸のいくつかもヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であると思われる。
【0072】
スキーム3には一連の一般構造を記載しているが、特に興味が持たれる化合物は化合物群26〜33についてR2=R3=H;R2=Me、R3=H;R2=H、R3=MeおよびR2=R3=Meならびにn=1または2を含む。
【0073】
スキーム4において、ベンゾチオフェン環に結合したN,N-ジメチルアミノ基を含むヒドロキサム酸誘導体(例えば、42)およびその原料である対応するエステル(例えば、41)への一般経路を示す。41などのエステルの加水分解により、対応するカルボン酸が得られるが、これらもヒストン脱アセチル化酵素阻害剤でありうる。スキーム4はN,N-ジメチルアミノ基で例示しているが、モノアルキル、ジアルキル、アルキルとアリール、ジアリール、一つまたは複数の複素環置換基ならびに不飽和および/またはヘテロ原子官能基を有する様々な他の置換基を含むが、これらに限定されることはない、窒素に結合した様々な置換基を含むことが意図される。スキーム4の合成系路は、いずれかの環、または両方の環上の追加の置換基に適用することも意図される。また、様々な位置の複数のそのようなアミノ(または同様のN-置換基)に適用することも意図される。
【0074】
スキーム4の主な特徴は、カルボニル化合物(ホルムアルデヒドで例示しているが、様々なカルボニル化合物に適用可能である)のニトロ化合物36による還元的アミノ化である。スキーム4にはそれ自体では例示していないが、ホルムアルデヒドまたはその等価物と別のアルデヒド、特に芳香族またはヘテロ芳香族アルデヒドとの組み合わせを用いた還元的アミノ化の一般法を行い、アミン28dの三級アミン28fへの変換(p-クロロベンズアルデヒドおよびホルムアルデヒドを用いて)において例示している。37またはジメチルアミノ基が他の置換基で置き換えられている二級もしくは三級アミンの還元を、水素化アルミニウムリチウムを用いて都合よく行い、アルコール38を得、これをピリジン-三酸化硫黄複合体で処理してアルデヒド39を得、これをホスホネート(40)(または適宜(トリフェニルホスファニリデン)-酢酸エチルエステルなどの安定化リンイリド(またはビニローグ同族体、特にn=1))と反応させて41または関連するベンゾチアゾールとし、これをヒドロキシルアミンと、アルカリ、典型的には水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム存在下、または非存在下で反応(通常は水溶液であるが、そうでなければヒドロキシルアミン塩酸塩などの塩および典型的には水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの塩基)させて42などのヒドロキサム酸を得る。スキーム4の経路は、アミノおよび他の窒素含有置換基を組み込むために特に有効である。還元的アミノ化の範囲は、芳香族アミノ基(ArNH2)をまず一つのアルデヒドまたはケトンと還元条件下で反応させ、次いで、得られた二級アミンを第二のアルデヒドまたはケトン(第一のアルデヒドまたはケトンと同じでもよく、異なるものでもよい)と、再度還元条件下で反応させてもよいものである。
【0075】
スキーム4は、様々な置換基を有する、または有していない、芳香環および芳香族複素環、単環、縮合または重縮合環系を含む(化合物34、36〜39、41および42で示される単一の置換基R1の代わりに)ことが意図されるが、これらに限定されることはない。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤として、タイプ42のヒドロキサム酸が特に興味深い。対応するカルボン酸エステルおよび/またはそれらの対応するカルボン酸のいくつかもヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であると思われる。
【0076】
スキーム4には一連の一般構造を記載しているが、特に興味が持たれる化合物は化合物群41(R=H、メチルまたはエチル)および42についてR15=HまたはMeおよびn=1または2を含む。同様に興味が持たれるものは、同じ化合物であるが、部分飽和鎖を有し、タイプ41および42で示したもの以外の置換基を有する、または有していない化合物である。例えば、飽和または部分飽和ホスホネートまたはリンイリドを39と反応させると、41に対応する部分飽和系を生じ、これを42に対応するヒドロキサム酸に変換することができた。または、41のベンゾチアゾール環に隣接した部位での選択的還元を、おそらくはEt3SiH-TFAなどのシラン-酸試薬により達成することができた。最後に、完全飽和鎖を、41の二重結合の典型的には水素および炭素担持パラジウム触媒(または他の還元法もしくは異なる還元系)を用いた接触水素添加により得ることができた。次いで、そのようにして得たエステルを前述の方法により42に対応する飽和鎖ヒドロキサム酸に変換することができた。
【0077】
スキーム5において、スルフィド(タイプ52)を含むヒドロキサム酸誘導体への一般経路を示す。これらのタイプはチオール45を46などのp-クロロニトロ芳香族またはヘテロ芳香族化合物(およびその関連するハロまたは他の置き換え可能な置換基類縁体)に加えてスルフィド47を得る段階を含む一連の工程を通して調製することができ、47のニトロ基はアミノに還元することができ、これは単離により、または好ましくはインサイチューで前述の方法および範囲に従い、還元的アミノ化することができる。したがって、ホルムアルデヒドまたはその等価物と別のアルデヒド、特に芳香族またはヘテロ芳香族アルデヒドとの組み合わせを用いた還元的アミノ化の一般法を行い、アミン47aの三級アミン48aへの変換(およびホルムアルデヒドを用いて)において例示している。還元的アミノ化の範囲は、芳香族アミノ基(ArNH2)をまず一つのアルデヒドまたはケトンと還元条件下で反応させ、次いで、得られた二級アミンを第二のアルデヒドまたはケトン(第一のアルデヒドまたはケトンと同じでもよく、異なるものでもよい)と、再度還元条件下で反応させてもよいものである。
【0078】
アミン48またはジメチルアミノ基が他の置換基で置き換えられている二級もしくは三級アミンの還元を、水素化アルミニウムリチウム(しかし、おそらくは他の還元剤でもよく、接触還元の可能性を除外することはない)を用いて都合よく行い、アルコール49を得、これをピリジン-三酸化硫黄複合体で処理して49に対応するアルデヒドを得、これを(好ましくはインサイチューで)(トリフェニルホスファニリデン)-酢酸エチルエステルなどの安定化リンイリド(またはビニローグ同族体、特にn=0または1))と反応させて51または関連するスルフィドとし、これをヒドロキシルアミンと、アルカリ、典型的には水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム存在下、または非存在下で反応(通常は水溶液であるが、そうでなければヒドロキシルアミン塩酸塩などの塩および典型的には水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの塩基)させて52などのヒドロキサム酸を得る。
【0079】
51に対応するスルホキシドおよびスルホンは、主にメタクロロ過安息香酸などの過酸を用いた酸化によるが、おそらくはジオキシランまたは空気と、金属、金属の塩あるいは金属もしくはそれらの塩または金属と塩の組み合わせを含んでいても、いなくてもよい触媒などの他の試薬により調製することができると予想される。さらに、51に対応するスルホキシドおよび/またはスルホン(特にR4=H、MeまたはEt)ならびに52に対応するスルホキシドおよび/またはスルホンのいくつかはヒストン脱アセチル化酵素を著しく阻害すると予想される。
【0080】
エステル45は、カルボン酸44を硫酸(または他の触媒)存在下、適当なアルコール(ROH)で処理することにより、都合よく調製することができる。カルボン酸44は、カルボン酸43を亜鉛および塩酸の混合物で処理することにより、都合よく調製することができる。(鉄やスズを含む亜鉛以外の金属も適当でありうる)。
【0081】
スキーム5は、それらのいかなる場合にも、様々な置換基を有する、または有していない、芳香環および芳香族複素環、単環、縮合または重縮合環系を含む(化合物43〜46で示される単環式ベンゼン環の代わりに、および/または化合物47〜52で示されるベンゼン環の一方もしくは他方または両方の代わりに)ことが意図されるが、これらに限定されることはない。
【0082】
スキーム5には一連の一般構造を記載しているが、化合物群51(R=H、メチルまたはエチル)および同様に52について特に興味が持たれる化合物は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であると思われるもの、特に後者。同様に興味が持たれるものは、同じ化合物であるが、部分または完全飽和鎖を有し、タイプ51および52で示したもの以外の置換基を有する、または有していない化合物である。例えば、飽和または部分飽和ホスホネートまたはリンイリドを49と反応させると、51に対応する部分飽和系を生じ、これを52に対応するヒドロキサム酸に変換することができた。または、51(n=2)の(ヘテロ)芳香環に隣接した部位での選択的還元を、おそらくはEt3SiH-TFAなどのシラン-酸試薬により達成することができた。最後に、完全飽和鎖を、51の二重結合の典型的には水素および炭素担持パラジウム触媒(または他の還元法もしくは異なる還元系)を用いた接触水素添加により得ることができた。次いで、そのようにして得たエステルを前述の方法により42に対応する飽和鎖ヒドロキサム酸に変換することができた。
【0083】
前述の反応スキームにおいて、安定化リンイリドまたはホスホネート化合物(例えば、40または50)の使用について言及しており、適当な場合にいずれかを用いることができる。所望の最終生成物の全体の炭素鎖長を伸ばすために、リンイリドまたはホスホネート化合物の炭素鎖長を伸ばしうることは明らかであると思われる。
【0084】
本発明の第四の局面に従い、一般式(I)の化合物、ならびに任意に薬学的に許容される補助剤および/または希釈剤を含む薬学的組成物が提供される。
【0085】
医薬品は通常は、薬学的に許容される担体を通常含む無菌の薬学的組成物の一部として供給されることになる。この薬学的組成物はいかなる適当な剤形でもよい(患者への望ましい投与法に依存する)。
【0086】
単位投与剤形で提供されてもよく、一般には密封容器で提供され、キットの一部として提供することもできる。そのようなキットは通常は(必須ではないが)使用説明書を含む。複数の単位投与剤形を含むこともできる。
【0087】
薬学的組成物は、任意の適当な経路、例えば、経口(口腔内または舌下を含む)、直腸内、鼻内、局所(口腔内、舌下または経皮を含む)、腟内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を含む)経路による投与に適合させることができる。そのような組成物は薬学の技術分野において公知の任意の方法により、例えば、無菌条件下で活性成分を担体または賦形剤と混合することにより調製することができる。
【0088】
経口投与に適合させた薬学的組成物は、カプセル剤または錠剤などの分離した単位;散剤または顆粒剤;液剤、シロップまたは懸濁剤(水性もしくは非水性の液体中;または食用のフォームもしくはホイップとして;または乳剤として)として提供することができる。
【0089】
錠剤またはゼラチン硬カプセル剤に適した賦形剤には、乳糖、トウモロコシデンプンまたはその誘導体、ステアリン酸またはその塩が含まれる。ゼラチン軟カプセル剤と共に用いるのに適した賦形剤には、例えば、植物油、ろう、脂肪、半固体、または液体ポリオールなどが含まれる。液剤およびシロップの調製のために用いることができる賦形剤には、例えば、水、ポリオールおよび糖が含まれる。懸濁剤の調製のために、油(例えば、植物油)を用いて水中油または油中水懸濁剤を提供することができる。
【0090】
経皮投与に適合させた薬学的組成物は、長期間にわたって受容者の表皮に密接に接触し続けることを意図した、分離したパッチとして提供することができる。例えば、Pharmaceutical Research, 3(6):318 (1986)に概説されているとおり、活性成分をイオン導入法によりパッチから送達することができる。
【0091】
局所投与に適合させた薬学的組成物は、軟膏、クリーム、懸濁剤、ローション、散剤、液剤、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾルまたはオイルとして製剤することができる。眼または他の外部組織、例えば、口および皮膚の感染に対して、組成物は好ましくは局所用軟膏またはクリームで適用する。軟膏に製剤した場合、活性成分はパラフィンまたは水分散性軟膏基剤のいずれかと共に用いることができる。または、活性成分は水中油クリーム基剤または油中水基剤と共にクリームに製剤することもできる。眼への局所投与に適合させた薬学的組成物には、活性成分を適当な担体、特に水性溶媒に溶解した点眼剤が含まれる。口中の局所投与に適合させた薬学的組成物には、ロゼンジ、香錠および洗口剤が含まれる。直腸内投与に適合させた薬学的組成物は坐剤または浣腸剤として提供することができる。
【0092】
鼻内投与に適合させた、担体が固体である薬学的組成物には、粒径が例えば20〜500ミクロンの範囲の粗末が含まれ、これは鼻吸入剤を、例えば、鼻に近づけた粉末の容器から鼻を通して急速に吸入することにより摂取する様式で投与する。鼻スプレーまたは点鼻薬として投与するための、担体が液体である適当な組成物には、活性成分の水溶液または油溶液が含まれる。
【0093】
吸入による投与に適合させた薬学的組成物には、様々なタイプの計量加圧エアロゾル、ネブライザーまたは吸入器により発生させることができる細粒粉剤またはミストが含まれる。
【0094】
腟内投与に適合させた薬学的組成物は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤として提供することができる。
【0095】
非経口投与に適合させた薬学的組成物には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および所期の受容者の血液と実質的に等張にさせる溶質を含んでいてもよい、水性および非水性滅菌注射溶液;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含んでいてもよい、水性および非水性滅菌懸濁剤が含まれる。注射用溶液に用いることができる賦形剤には、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセリンおよび植物油が含まれる。組成物は単位用量または複数用量容器、例えば、密封アンプルおよびバイアルで提供することができ、使用直前に滅菌液体担体、例えば、注射用の水を加えるだけでよい、凍結乾燥状態で保存することができる。即時調合注射溶液および懸濁液を、滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することもできる。
【0096】
薬学的組成物は保存剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、臭気剤、塩(本発明の物質はそれ自体薬学的に許容される塩の形で提供されることもある)、緩衝剤、コーティング剤または抗酸化剤を含んでいてもよい。薬学的組成物は本発明の物質に加えて治療上の活性物質も含むことができる。
【0097】
本発明の物質の用量は、治療する疾患または障害、治療する個人の年齢および状態などに応じて、広い範囲で変動することがあり、用いる適当な用量を医師が最終的に決定することになる。
【0098】
用量は、患者の年齢、体重および状態、ならびに投与経路を含む、様々な因子に依存する。特定の患者の用量は医師が決定することになる。しかし、典型的には、本発明の化合物をヒト成人に投与する場合、各投与経路のために採用される用量は体重1kgあたり0.001〜500mg、最も一般的には0.01〜100mg/kgの範囲、例えば、0.01〜50mg/kgである。そのような用量は、例えば、1日に1〜5回、ボーラス注射、数時間にわたる注入、および/または反復投与により投与することができる。例えば、癌患者に本発明の化合物と共に与えてもよい、別の化学療法剤または抗新生物薬の用量および投与のタイミングは、同様に様々な因子に依存し、医師が決定することになる。
【0099】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体または希釈剤を同時に含む薬学的組成物として用いるために製剤する。組成物は典型的には通常の方法に従って調製し、薬学的に適当な剤形で投与する。好ましい薬学的組成物は無菌で、発熱物質を含まない。さらに、本発明の薬学的組成物は典型的には、実質的に純粋な光学異性体である、本発明の化合物を含む。
【0100】
経口投与に適した組成物は、必要があれば、着色料または着香料を含んでいてもよい。典型的には、カプセル剤または錠剤は5〜500mg、好ましくは10〜500mg、より好ましくは15〜100mgの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0101】
この用量を適当な頻度で繰り返してもよい。副作用が発生すれば、投与の量および/または頻度を通常の臨床業務に従って減らすことができる。
【0102】
本発明の第五の局面に従い、医薬品において用いるための一般式(I)の化合物が提供される。
【0103】
理論に縛られることなく、薬物治療において本発明の化合物を最大に適用しうる疾患は癌の分野であると考えられる。例えば、癌性腫瘍増殖、特に充実性腫瘍の治療。
【0104】
本発明の治療物質をヒトまたはヒト以外の動物の治療において用いることができる。治療は予防であってもよく、既存の状態に関するものであってもよい。例えば、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、神経膠腫、肺小および非小細胞癌、白血病神経芽細胞腫、前立腺癌、胸部癌、黒色腫、卵巣癌、子宮頸癌および腎臓癌を含む癌;心肥大、ならびに異常血色素症、サラセミア、および鎌形赤血球貧血を含む血液学的障害、関節炎などの自己免疫疾患、ハンチントン病、およびアルツハイマー病などの神経学的状態、および嚢胞性線維症などの遺伝子関連代謝障害、ペルオキシソーム形成不全症および副腎白質萎縮症の治療において。HDAC阻害剤は、エクスビボで造血細胞を刺激し、寄生性原生動物感染症を改善し、創傷治癒を促進し、毛包を保護するために提唱されている。したがって、本発明の物質を、前述の疾患/障害の一つまたは複数を治療するための医薬品製造において用いることができる。
【0105】
この局面に従っての好ましい使用は、一般式(I)の化合物の癌治療用医薬品の製造における使用である。
【0106】
本発明の化合物を、癌の治療において別の化学療法剤または抗新生物薬との組み合わせで用いることができる。例えば、ミトキサントロン、ビンクリスチンおよびビンブラスチンなどのビンカ(Vinca)アルカロイド、ダウノルビシンおよびドキソルビシンなどのアントラサイクリン系抗生物質、クロラムブシルおよびメルファランなどのアルキル化剤、パクリタキセルなどのタキサン、メトトレキセートおよびトムデックスなどの葉酸代謝拮抗薬、エトポシドなどのエピポドフィロトキシン、イリノテカンおよびその活性代謝物SN-38などのカンプトテシン、ならびにDNAメチル化阻害剤。
【0107】
したがって、本発明の化合物は癌を治療する際に同時、別々または逐次使用するための組み合わせ製剤として、前述の化学療法剤または抗新生物薬との複数部分のキットとして投与することができる。本発明の化合物は一緒に、または別々の場合には、医師が決めた任意の順で投与することができる。
【0108】
したがって、本発明のこの局面は、疾患状態を患っている個人の治療法であって、個人に一般式(I)の化合物の治療上有効な量を投与する段階を含む方法に拡がる。
【0109】
本発明の第七の局面に従い、疾患状態を患っている個人におけるヒストン脱アセチル化酵素活性の阻害法であって、個人に一般式(I)の化合物の治療上有効な量を投与する段階を含む方法が提供される。
【0110】
阻害は個人におけるヒストン脱アセチル化酵素活性の活性における低下と定義することができる。低下は被検者における高い活性レベルから正常なレベルへの低下でもよく、または被検者において正常と考えられるよりも低いレベルまでの低下であってもよい。
【0111】
本発明の第二およびその後の局面の好ましい特徴は、第一の局面に必要な変更を加えたものと同様である。
【0112】
本発明を下記の実施例を参照することによりさらに詳しく記載することになるが、これらは例示のために示すにすぎず、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0113】
好ましい化合物の合成
実験項
出発原料はAvocadoまたはAldrichから購入し、特に記載がない限りそのままで用いた。
【0114】
(5-アセチルアミノ-1-カルバモイル-ペンチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル
トリエチルアミン(0.8mL、5.8mmol)のDMF(35mL)溶液に、N-アセチル-L-リシン(1.0g、5.3mmol)を加えた。15分後、ジ-tert-ブチルジカーボネート(1.27g、5.8mmol)をスラリーに加えた。さらに16時間後、透明な溶液を減圧濃縮して油状物質を得た。水を十分な炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液と共に加えて、油状物質を溶解した。塩基性溶液をジエチルエーテルで三回洗浄し、未反応のジ-tert-ブチルジカーボネートがあればこれを除去した。次いで、水溶液を0℃に冷却し、濃塩酸(10M)で酸性化した。油状混合物を酢酸エチルで三回抽出した。次いで、残った有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、純粋な標題化合物を白色粉末で得た。
【0115】
[(S)-5-アセチルアミノ-1-(4-メチル-2-オキソ-2H-クロメン-7-イルカルバモイル)-ペンチル]-カルバミン酸-tert-ブチルエステルを、下記に記載のとおりに調製した:Hoffmann, K.; Brosch, G.; Loidl, P.; Jung, M. Pharmazie, 2000, 55, 601。
【0116】
ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(3a)
ソルビン酸(1.12g、10mmol)の無水メタノール(50mL)溶液に、塩化トリメチルシリル(2M、12mL)のCH2Cl2溶液を滴加した。16時間撹拌した後、混合物を減圧濃縮して淡黄色油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(60〜80℃石油エーテル:ジエチルエーテル(9:1))で精製して、標題化合物(1.23g、99%)を無色油状物で得た。
【0117】
6-ブロモヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(4a)
ソルビン酸メチル(1.26g、10mmol)およびN-ブロモスクシンイミド(1.98g、11.0mmol)のクロロベンゼン中の混合物に250Wの太陽灯を照射し、4時間還流した。次いで、(冷却した)混合物を減圧下で蒸発させて褐色油状物を得、これをカラムクロマトグラフィ(60〜80℃石油エーテル:ジエチルエーテル(9:1))で精製して、標題化合物(1.33g、65%)を透明な油状物で得た。
【0118】
6-フェニルスルファニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸(6a)
6-フェニルスルファニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(0.34g、1.45mmol)のメタノール(5mL)溶液に水酸化ナトリウム水溶液(1M、5mL、5mmol)および蒸留水(20mL)を加えた。混合物を撹拌しながら1時間加熱還流し、20℃まで冷却し、次いで減圧濃縮して約10mLとした。水溶液をジエチルエーテル(50mL)で洗浄し、次いで酢酸エチル(50mL)および塩酸(2M、10mL)の混合物に0℃で注いだ。混合物を振盪し、有機層を分離し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(25mL)、蒸留水(25mL)、および食塩水(25mL)で逐次洗浄し、次いで無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して淡黄色固体を得、これをジエチルエーテル/ヘキサンから再結晶して、標題化合物(0.30g、93%)を白色固体で得た。融点108〜110℃。
【0119】
6-(4-クロロフェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(6b)
6-ブロモヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(1.03g、5mmol)、トリエチルアミン(1.4mL、10mmol)およびヨウ化tert-ブチルアンモニウム(92mg、0.25mmol)の新しく蒸留したTHF(25mL)溶液に、4-クロロチオフェノールを窒素雰囲気下で加えた。混合物を撹拌しながら2時間還流した後、減圧濃縮した。油状物を酢酸エチル(100mL)に溶解し、次いで炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(50mL)、蒸留水(50mL)、および食塩水(50mL)で逐次洗浄した。次いで、有機層を無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(ジエチルエーテル:40〜60℃石油エーテル(1:9))で精製した。得られた黄色固体をジエチルエーテル/40〜60℃石油エーテルから再結晶して、標題化合物(0.85g、63%)を白色固体で得た。融点75〜77℃。
【0120】
6-フェニルスルファニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(6c)
6-ブロモヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(0.57g、2.8mmol)およびチオフェノール(0.28mL、2.8mmol)の溶液にトリエチルアミン(0.43mL、3.1mmol)を窒素雰囲気下で滴加した。混合物を20℃で1時間撹拌した。次いで、スラリーをろ過し、ろ液を水酸化ナトリウム水溶液(1M)と、次いで食塩水で洗浄した。有機層を無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(60〜80℃石油エーテル:ジエチルエーテル(9:1))にかけて、標題化合物(0.93g、88%)を透明な油状物で得た。
【0121】
6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(6d)
6-ブロモ-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(1.15g、5.6mmol)および4-ジメチルアミノ-ベンゼンチオール(0.86g、5.6mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液にトリエチルアミン(1.6mL、11.4mmol)をアルゴン雰囲気下で滴加した。混合物を20℃で30分間撹拌し、次いでろ過した。ろ液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチル(100mL)に溶解した。この溶液を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(50mL)、脱イオン水(50mL)および食塩水(50mL)で洗浄した。有機層を無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して黄色油状物を得、これをカラムクロマトグラフィ(60〜80℃石油エーテル:ジエチルエーテル(9:1から7:3)、すべての溶離剤は1体積%のトリエチルアミンを含む)で精製した。固体をジエチルエーテル/石油エーテルから再結晶して、標題化合物(1.0g、64%)を白色固体で得た。融点68〜70℃。
【0122】
6-(4-メトキシ-フェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(6e)
6-ブロモ-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(1.50g、7.3mmol)および4-メトキシチオフェノール(0.93mL、7.3mmol)のテトラヒドロフラン(40mL)溶液に、トリエチルアミン(1.1mL、8.0mmol)をアルゴン雰囲気下で滴加した。混合物を20℃で1時間撹拌し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチル(50mL)に溶解した。この溶液を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(25mL)、脱イオン水(25mL)および食塩水(25mL)で洗浄した。有機層を無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して黄色油状物を得、これをカラムクロマトグラフィ(40〜60℃石油エーテル:ジエチルエーテル(9:1から8:2))で精製して、標題化合物(1.6g、86%)を無色油状物で得た。
【0123】
6-(4-クロロフェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド(7b)
50%ヒドロキシルアミン水溶液(1.0ml、15.2mmol)を含む蒸留THF(9.0mL)中の6-(4-クロロフェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(0.44g、1.64mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(1M、2.6mL、2.6mmol)を0℃で30分かけて加えた。0℃で1時間撹拌した後、蒸留水(9.0mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。水溶液を酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、合わせた抽出液を無水MgS04で乾燥し、蒸発乾固した。残渣をアセトンから再結晶して、標題化合物(0.21g、48%)を淡褐色粉末で得た。融点120〜122℃(分解)。
【0124】
6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド(7c)
ヒドロキシルアミン水溶液(50%、1.21mL、18.4mmol)を含む蒸留THF(10mL)中の6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(0.556g、2.0mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(1M、2.8mL、2.8mmol)を0℃で30分かけて加えた。0℃でさらに1時間撹拌した後、蒸留水(10mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。次いで、溶液を酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、合わせた抽出液を無水MgS04で乾燥し、蒸発乾固した。固体残渣を酢酸エチルから再結晶して、標題化合物(0.24g、43%)を白色固体で得た。
【0125】
6-ベンゼンスルフィニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(8a)
6-フェニルスルファニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(0.336g、1.43mmol)のメタノール(17mL)溶液に、蒸留水(6mL)中のメタ過ヨウ素酸ナトリウム(0.37g、1.72mmol)の溶液を0℃で滴加した。混合物を20℃に戻し、次いで5時間加熱還流した。溶液を減圧濃縮して油状物を得、これを酢酸エチル(20mL)に溶解した。有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(10mL)、蒸留水(10mL)および食塩水で洗浄した。有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:60〜80℃石油エーテル(1:2から1:1から2:1))で精製した。得られた粉末をジエチルエーテルから再結晶して、標題化合物(0.29g、81%)を白色固体で得た。融点82〜84℃。
【0126】
6-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(8b)
6-(4-クロロフェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(0.396g、1.47mmol)のメタノール(20mL)溶液に、蒸留水(10mL)中のメタ過ヨウ素酸ナトリウム(0.37g、1.72mmol)の溶液を0℃で滴加した。混合物を20℃に戻し、次いで5時間加熱還流した。溶液を減圧濃縮して油状物を得、これを酢酸エチル(20mL)に溶解した。有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(10mL)、蒸留水(10mL)および食塩水で洗浄した。有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル(2:8))で精製した。得られた粉末を酢酸エチル/40〜60℃石油エーテルから再結晶して、標題化合物(0.32g、77%)を白色固体で得た。
【0127】
6-(4-メトキシベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(8c)
6-(4-メトキシベンゼンスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(1.0g、3.8mmol)のメタノール(8mL)溶液に、メタ過ヨウ素酸ナトリウム(0.856g、4.0mmol)の水(8mL)溶液を0℃で加えた。混合物を撹拌しながら1時間還流し、20℃に冷却し、次いで酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた抽出液を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(25mL)、蒸留水(25mL)および食塩水(25mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、蒸発乾固した。残渣をカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル(1:1から8:2))で精製して、標題化合物(0.92g、87%)を淡黄色油状物で得た。
【0128】
6-ベンゼンスルフィニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸(8d)
6-ベンゼンスルフィニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(0.243g、0.97mmol)のメタノール(2.0mL)溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(1M、4.0mL、4mmol)および蒸留水(10mL)を加えた。撹拌しながら1時間還流後、混合物を20℃まで冷却し、減圧濃縮した。溶液をジエチルエーテル(25mL)で洗浄し、次いで酢酸エチル(20mL)および塩酸(2M、5mL)の混合物上に0℃で注いだ。混合物を振盪し、有機層を分離し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(10mL)、蒸留水(10mL)、食塩水(10mL)で逐次洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して淡黄色固体を得、これをエーテル/ヘキサンから再結晶して、標題化合物(0.204g、89%)を白色固体で得た。
【0129】
6-(4-クロロベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド(9a)
ヒドロキシルアミン水溶液(50%、1.7ml、25.8mmol)を含む蒸留THF(15mL)中の6-(4-クロロベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(0.80g、2.79mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(1M、4.5ml、4.5mmol)を0℃で30分かけて加えた。0℃で1時間撹拌した後、蒸留水(15mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。水溶液を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、合わせた抽出液を無水MgS04で乾燥し、蒸発乾固した。残渣をアセトンから再結晶して、標題化合物(0.45g、56%)を淡褐色粉末で得た。融点159℃(分解)。
【0130】
6-(4-メトキシベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド(9b)
ヒドロキシルアミン水溶液(50%、0.7ml、10.6mmol)を含む蒸留THF(6mL)中の6-(4-メトキシベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(0.32g、1.14mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(1M、1.8ml、1.8mmol)を0℃で30分かけて加えた。0℃で1時間撹拌した後、蒸留水(6mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。水溶液を酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、合わせた抽出液を無水MgS04で乾燥し、蒸発乾固した。残渣をアセトンから再結晶して、標題化合物(0.11g、34%)を淡褐色粉末で得た。融点145〜147℃(分解)。
【0131】
6-ベンゼンスルホニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸(lOa)
6-ベンゼンスルホニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(0.70g、2.60mmol)のメタノール(8mL)溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(1M、6.0mL、6mmol)および蒸留水(20mL)を加えた。撹拌しながら1時間還流した後、混合物を20℃に冷却し、減圧濃縮した。水溶液をジエチルエーテル(50mL)で洗浄し、次いで0℃で酢酸エチル(50mL)および塩酸(2M、5mL)の混合物上に注いだ。有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(20mL)、蒸留水(20mL)および食塩水(20mL)で逐次洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して淡黄色固体を得、これを酢酸エチルから再結晶して、標題化合物(0.58g、87%)を白色固体で得た。融点148〜150℃。
【0132】
6-ベンゼンスルホニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(lOb)
6-ブロモヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(0.41g、2.0mmol)、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム(0.33g、2.0mmol)およびヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(37mg、0.1mmol)の混合物を無水THF(10mL)中、窒素雰囲気下で2時間加熱還流した。得られたスラリーを20℃まで冷却してろ過した。ろ液を減圧濃縮して油状物を得、これを酢酸エチル(20mL)に溶解した。この溶液を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(10mL)、蒸留水(10mL)および食塩水(10mL)で逐次洗浄した。有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(60〜80℃石油エーテル:ジエチルエーテル(7:3から1:1から1:1))で精製して固体を得、これを再結晶して、標題化合物(0.39g、73%)を白色結晶で得た。融点105℃。
【0133】
6-ベンゼンスルホニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド(11a)
6-ベンゼンスルホニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸(0.292g、1.15mmol)の無水ジクロロメタン(5mL)溶液に、塩化オキサリルを0℃、アルゴン雰囲気下で滴加した。次いで、ジメチルホルムアミドを1滴加えた。20℃で1時間撹拌した後、テトラヒドロフラン(5mL)中の水性ヒドロキシルアミン(50%、0.17mL、2.5mmol)を加えた。混合物をさらに1時間撹拌し、減圧濃縮して黄色泡状物を得、これをカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル(8:2)から100%酢酸エチル)で精製した。標題化合物(91mg、31%)を白色泡状物で得た。
【0134】
6-(ナフタレン-2-イルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(13b)
6-ブロモ-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(1.57g、7.66mmol)および2-チオナフトール(1.35g、8.42mmol)のジエチルエーテル(40mL)溶液に、トリエチルアミン(1.40mL、10.0mmol)をアルゴン雰囲気下で滴加した。混合物を20℃で1時間撹拌して、ろ過した。ろ液を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(25mL)、脱イオン水(25mL)および食塩水(25mL)で洗浄した。有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して黄色油状物を得、これをカラムクロマトグラフィ(40〜60℃石油エーテル:ジエチルエーテル(9:1から8:2))で精製した。ジエチルエーテル/石油エーテルから再結晶して、標題化合物(1.9g、88%)を白色固体で得た。融点73〜75℃。
【0135】
6-(ナフタレン-2-イルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド(14a)
50%ヒドロキシルアミン水溶液(1.08mL、16.4mmol)を含む蒸留THF(10mL)中の6-(ナフタレン-2-イルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(0.505g、1.78mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(1M、2.5ml、2.5mmol)を0℃で30分かけて加えた。0℃でさらに1時間撹拌した後、蒸留水(10mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。溶液を酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、合わせた抽出液を無水MgS04で乾燥し、蒸発乾固した。固体残渣を酢酸エチルから再結晶して、標題化合物(0.315g、62%)を白色固体で得た。
【0136】
2-メチルペンタ-2-エン酸メチルエステル(16b)
メタノール(250mL)中の2-メチルペンタ-2-エン酸(5.0g、44mmol)および硫酸(0.5mL)の混合物を16時間加熱還流した。溶液を20℃まで冷却し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(100mL)に溶解し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(2×50mL)、蒸留水(50mL)および食塩水(50mL)で洗浄した。有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、標題化合物(5.1g、91%)を無色油状物で得た。
【0137】
4-ブロモ-2-メチルペンタ-2-エン酸メチルエステル(17b)
2-メチルペンタ-2-エン酸メチルエステル(1.20g、9.37mmol)およびN-ブロモスクシンイミド(1.83g、10.2mmol)の無水四塩化炭素(15mL)溶液に250Wの太陽灯を照射し、2.5時間還流した。冷却後、スクシンイミドをろ去し、四塩化炭素を蒸発させ、生成物を短行程減圧蒸留して、標題化合物(1.60g、82%)を無色油状物で得た。
【0138】
4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニルジスルフィド(19)
37%ホルムアルデヒド水溶液(25mL、62.5mmol)を含むメタノール(60mL)中の4-アミノフェニルジスルフィド(2.50g、10mmol)の溶液を撹拌しながら、これに20℃で水素化シアノホウ素ナトリウム(2.60g、40mmol)および塩化亜鉛(2.74g、20mmol)のメタノール(100mL)溶液を加えた。20℃で2時間撹拌した後、溶液をNaOH(0.1M、100mL)に溶解し、メタノールの大部分を減圧下で蒸発させた。水溶液を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、合わせた抽出液を水と、次いで食塩水で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、蒸発乾固した。残渣をメタノールから再結晶して、標題化合物(2.48g、81%)を黄色固体で得た。
【0139】
4-ジメチルアミノ-ベンゼンチオール(20)
ジオキサン(10mL)および脱イオン水(2.5mL)の混合物中の4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニルジスルフィド(0.855g、2.81mmol)の溶液を20℃で撹拌しながら、これにトリ-n-ブチルホスフィン(0.75mL、2.89mmol)を加えた。20℃で30分間撹拌した後、混合物を減圧濃縮した。残渣をトルエン(3×10mL)との共蒸発により乾燥し、標題化合物(2.81mmol)を含む透明な油状物を得、これをそれ以上精製せずに用いた。
【0140】
4-(4-ジメチルアミノフェニルスルファニル)-2-メチルペンタ-2-エン酸メチルエステル(21b)
4-ブロモ-2-メチルペンタ-2-エン酸メチルエステル(0.414g、2.0mmol)の無水ベンゼン(4mL)溶液に、アルゴン雰囲気下でトリエチルアミン(0.28mL、2.0mmol)および4-ジメチルアミノ-ベンゼンチオール(0.306g、2.0mmol)の無水ベンゼン(2mL)溶液を加えた。混合物を20℃で2時間撹拌した(TLCモニタリング)。次いで、溶媒を減圧下で除去して黄色油状物を得、これをカラムクロマトグラフィ(ジエチルエーテル:60〜80℃石油エーテル:トリエチルアミン(20:79:1))で精製して、標題化合物(0.53g、95%)を無色油状物で得た。
【0141】
4-(4-ジメチルアミノフェニルスルファニル)-2-メチルペンタ-2-エン-1-オール(22b)
4-(4-ジメチルアミノフェニルスルファニル)-2-メチルペンタ-2-エン酸メチルエステル(0.279g、1.0mmol)の無水THF(4mL)溶液に、水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(1M、3.0mL、3.0mmol)を0℃、アルゴン雰囲気下で滴加した。0℃で1時間撹拌した(TLCモニタリング)後、混合物にメタノール(0.5mL:注意)と、次いで水(0.3mL)、5%水酸化ナトリウム水溶液(0.3mL)および最後に30%酒石酸ナトリウムカリウム水溶液(4mL)を加えて反応停止した。混合物を20℃で2時間撹拌し、次いでジエチルエーテル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、蒸発させて、標題化合物(0.22g、88%)を無色油状物で得た。
【0142】
6-(4-ジメチルアミノフェニルスルファニル)-4-メチルヘプタ-2,4-ジエン酸エチルエステル(24c)
4-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-2-メチルペンタ-2-エン-1-オール(0.739g、2.94mmol)およびトリエチルアミン(3.8mL、27.1mmol)のジメチルスルホキシド(10mL)溶液に、三酸化硫黄-ピリジン複合体50%(2.76mg、8.68mmol)のジメチルスルホキシド(10mL)溶液を加えた。混合物を20℃で10分間撹拌し(TLCモニタリング)、氷水(50mL)を加えた。混合物をジエチルエーテル(50mL)で抽出した。エーテル層を水(3×25mL)と、次いで食塩水(25mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。得られた黄色油状物をジクロロメタン(15mL)に溶解し、(トリフェニルホスファニリデン)-酢酸エチルエステルを一度に加えた。混合物をアルゴン雰囲気下で24時間緩やかに加熱還流した。溶媒を減圧下で除去し、未精製材料をカラムクロマトグラフィ(ジエチルエーテル:40〜60℃石油エーテル:トリエチルアミン(10:89:1))で精製して、標題化合物(0.71g、76%)を無色油状物で得た。
【0143】
6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-4-メチルヘプタ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド(25c)
6-(4-ジメチルアミノフェニルスルファニル)-4-メチルヘプタ-2,4-ジエン酸エチルエステル(0.576g、1.80mmol)の無水THF(10mL)溶液に、ヒドロキシルアミンの水溶液(50%、1.1mL、16.6mmol)を0℃で加えた。この混合物に水酸化カリウムのメタノール溶液(1M、2.9mL、2.9mmol)を0℃で40分かけて加えた。混合物を20℃で16時間撹拌し、次いで水(10mL)を加えた。溶液に濃塩酸(10M、注意)を加えてpH5に酸性化し、次いで酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機層を食塩水(25mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。黄色油状物をジエチルエーテル:メタノール(1:1)の混合物(20mL)に溶解し、濃塩酸(10M)20滴を加えた。未精製混合物を蒸発乾固して油状物を得、これをジエチルエーテルおよびエタノールの混合物で粉砕して、標題化合物(0.34g、52%)をオフホワイト固体で得た。融点177〜187℃(分解)。
【0144】
6-ブロモヘキサン酸メチルエステル(27a)
塩化アセチル(1.0mL、14mmol)のメタノール(150mL)溶液に、0℃で6-ブロモヘキサン酸(10.0g、51mmol)のメタノール(50mL)溶液を加えた。混合物を2時間加熱還流し、次いで室温まで冷却し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(150mL)に溶解し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(2×50mL)、蒸留水(50mL)、および食塩水(50mL)で連続的に洗浄した。有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、標題化合物(10.3g、96%)を無色油状物で得た。
【0145】
6-(4-クロロ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28b)
新しく蒸留したTHF(30mL)中の6-ブロモヘキサン酸メチルエステル(2.1g、10mmol)、トリエチルアミン(1.6mL、11mmol)およびヨウ化tert-ブチルアンモニウム(200mg、0.54mmol)の溶液に、4-クロロチオフェノール(1.45g、10mmol)をアルゴン雰囲気下で加えた。混合物を2時間撹拌しながら還流した後、減圧濃縮した。油状物を酢酸エチル(100mL)に溶解し、次いで炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(50mL)、蒸留水(50mL)、および食塩水(50mL)で逐次洗浄した。有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して黄色油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(ジエチルエーテル:40〜60℃石油エーテル(1:9))で精製した。標題化合物(2.5g、93%)を無色油状物で得た。
【0146】
7-(4-クロロ-フェニルスルファニル)-ヘプタン酸エチルエステル(28c)
7-ブロモヘプタン酸エチルエステル(2.5mL、12.8mmol)およびトリエチルアミン(2mL、14.3mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に、4-クロロチオフェノール(1.86g、12.8mmol)をアルゴン雰囲気下で加えた。混合物を2時間撹拌しながら還流した後、減圧濃縮した。油状物を酢酸エチル(50mL)に溶解し、次いで炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(25mL)、蒸留水(25mL)、および食塩水(25mL)で逐次洗浄した。有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して黄色油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(ジエチルエーテル:40〜60℃石油エーテル(1:9))で精製した。標題化合物(3.3g、87%)を無色油状物で得た。
【0147】
6-(4-アミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28d)
4-アミノチオフェノール(2.4g、18.9mmol)のメタノール(10mL)溶液に、トリエチルアミン(2.70mL、19.2mmol)を加えた。6-ブロモヘキサン酸メチルエステル(3.0g、18.9mmol)およびヨウ化tert-ブチルアンモニウム(350mg、0.95mmol)のメタノール(5mL)溶液を加えた。混合物を室温で16時間撹拌し、次いで減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(100mL)および水(100mL)に溶解した。有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(100mL)、蒸留水(100mL)、および食塩水(100mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して黄色油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル(2:8から1:1))で精製して、標題化合物(3.0g、62%)を無色油状物で得た。
【0148】
6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28e)
6-(4-アミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(2.5g、10mmol)のメタノール(20mL)溶液に、37%ホルムアルデヒド水溶液(2.4mL、30mmol)ならびに水素化シアノホウ素ナトリウム(2.5g、40mmol)および塩化亜鉛(2.7g、20mmol)のメタノール(150mL)溶液を0℃で加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(250mL)および水酸化ナトリウム水溶液(100mL、2M)に溶解した。有機層を水酸化ナトリウム水溶液(100mL、2M)、蒸留水(2×100mL)および食塩水(2×100mL)で連続的に洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して黄色油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル:トリエチルアミン(10:90:1から20:80:1))で精製して、標題化合物(2.2g、79%)を無色油状物で得た。
【0149】
6-(4-((4-クロロベンジル)-メチルアミノ)-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28f)
6-(4-アミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(1.5g、5.9mmol)のメタノール(60mL)溶液に、4-クロロベンズアルデヒド(834mg、5.9mmol)のメタノール(10mL)溶液を加えた。室温で1時間撹拌した後、溶液を0℃に冷却し、37%ホルムアルデヒド水溶液(1.44g、17.8mmol)を加えた。水素化シアノホウ素ナトリウム(1.49g、23.7mmol)および塩化亜鉛(11.9mmol)のメタノール(60mL)溶液を滴加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(100mL)および水酸化ナトリウム水溶液(75mL、2M)に溶解した。有機層を水酸化ナトリウム水溶液(75mL、2M)、蒸留水(2×75mL)および食塩水(75mL)で連続的に洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して黄色油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル:トリエチルアミン(5:95:1から20:80:1))で精製した。標題化合物(2.2g、83%)を無色油状物で得た。
【0150】
6-(4-(4-クロロベンゼンスルホニルアミノ)-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28g)
6-(4-アミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(950mg、3.75mmol)の無水ピリジン(6mL)溶液に、4-クロロベンゼンスルホニルクロリド(1.0g、4.9mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、溶液を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(50mL)および水(25mL)に溶解した。有機層を分離し、塩酸(3×25mL、1M)、水(25mL)、および食塩水(25mL)で連続的に洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、蒸発乾固して、標題化合物(1.25g、78%)を無色油状物で得た。
【0151】
6-(4-ブロモ-フェニリルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28h)
6-ブロモヘキサン酸メチルエステル(2.6g、12.6mmol)、トリエチルアミン(2.0mL、14mmol)およびヨウ化tert-ブチルアンモニウム(232mg、0.63mmol)のメタノール(10mL)溶液に、4-ブロモチオフェノール(2.4g、12.6mmol)をアルゴン雰囲気下で加えた。混合物を室温で16時間撹拌した後、減圧濃縮した。油状物を酢酸エチル(40mL)に溶解し、次いで炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(2×20mL)、蒸留水(2×20mL)、および食塩水(20mL)で洗浄した。有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して黄色油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル(2:98から10:90))で精製した。標題化合物(3.5g、88%)を無色油状物で得た。
【0152】
6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-イルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28i)
6-(4-ブロモ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(500mg、1.58mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(20mL)溶液を脱気し、これに、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-二塩化パラジウム(II)ジクロロメタン複合体(131mg、0.16mmol)を加えた。得られた混合物を室温、アルゴン雰囲気下で5分間撹拌した。4-クロロフェニルボロン酸(494mg、3.16mmol)を加えた。炭酸セシウム(1.8g、5.54mmol)の水(3mL)溶液を加えた。混合物を1時間撹拌しながら還流し、室温まで冷却し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(75mL)に溶解した。この溶液を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(2×50mL)、蒸留水(2×50mL)、および食塩水(2×50mL)で洗浄した。有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(ジエチルエーテル:40〜60℃石油エーテル(5:95から10:90))で精製して固体を得、これをジエチルエーテル/40〜60℃石油エーテルから再結晶して、標題化合物(465mg、84%)を固体で得た。融点87〜88℃。
【0153】
6-(4-クロロ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド(29b)
50%ヒドロキシルアミン水溶液(1.3mL、19.6mmol)を含む蒸留THF(13mL)中の6-(4-クロロフェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(0.59g、2.2mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(1M、3.5ml、3.5mmol)を0℃で滴加した。0℃で1時間撹拌した後、蒸留水(13mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。水溶液を酢酸エチル(2×25mL)で抽出し、合わせた抽出液を食塩水(20mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、蒸発乾固した。残渣をアセトンから再結晶して、標題化合物(0.54g、90%)を白色粉末で得た。融点83〜85℃。
【0154】
6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸ヒドロキサミド(29c)
50%ヒドロキシルアミン水溶液(1.7mL、25.7mmol)を含む蒸留THF(20mL)中の6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(722mg、2.6mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(1M、4.4ml、4.4mmol)を0℃で滴加した。0℃で1時間撹拌した後、蒸留水(20mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。水溶液を酢酸エチル(2×40mL)で抽出し、合わせた抽出液を食塩水(80mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、蒸発乾固した。標題化合物(377mg、52%)を無色油状物で得た。
【0155】
6-(4-(4-クロロベンゼンスルホニルアミノ)-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸ヒドロキサミド(29g)
50%ヒドロキシルアミン水溶液(0.4mL、6.3mmol)を含む蒸留THF(10mL)中の6-(4-(4-クロロベンゼンスルホニルアミノ)-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(300mg、0.7mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(1.2mL、1M、1.2mmol)を0℃で滴加した。0℃で1時間撹拌した後、蒸留水(10mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。水溶液を酢酸エチル(2×15mL)で抽出し、合わせた抽出液を食塩水(15mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、蒸発乾固した。固体残渣を酢酸エチル/ジエチルエーテルから再結晶して、標題化合物(200mg、66%)を白色粉末で得た。融点160〜163℃。
【0156】
6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-イルスルファニル)-ヘキサン酸ヒドロキサミド(29i)
50%ヒドロキシルアミン水溶液(1.9mL、28.8mmol)を含む蒸留THF(20mL)中の6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-イルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(1.0g、2.9mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(5.0mL、1M、5.0mmol)を0℃で滴加した。0℃で1時間撹拌した後、蒸留水(20mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。水溶液を酢酸エチル(2×40mL)で抽出し、合わせた抽出液を食塩水(80mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、蒸発乾固した。残渣をアセトンから再結晶して、標題化合物(923mg、91%)を白色粉末で得た。融点156〜157℃。
【0157】
6-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(30b)
6-(4-クロロフェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(2.5g、9.2mmol)のメタノール(100mL)溶液に、メタ過ヨウ素酸ナトリウム(2.6g、12mmol)の蒸留水(30mL)溶液を0℃で滴加した。混合物を60℃で1時間加熱した。溶液を減圧濃縮して油状物を得、これを酢酸エチル(100mL)に溶解した。有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(50mL)、蒸留水(50mL)、および食塩水(50mL)で洗浄した。次いで、有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル(1:1から8:2))で精製した。標題化合物(2.0g、76%)を無色油状物で得た。
【0158】
7-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘプタン酸エチルエステル(30c)
7-(4-クロロフェニルスルファニル)-ヘプタン酸エチルエステル(1.6g、5.3mmol)のエタノール(10mL)およびテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、メタ過ヨウ素酸ナトリウム(1.1g、5.3mmol)の蒸留水(10mL)溶液を0℃で滴加した。混合物を1時間加熱還流した。溶液を減圧濃縮して油状物を得、これを酢酸エチル(100mL)に溶解した。有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(50mL)、蒸留水(50mL)、および食塩水(50mL)で洗浄した。次いで、有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル(1:1))で精製した。標題化合物(1.2g、74%)を無色油状物で得た。
【0159】
6-(4-ジメチルアミノ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(30e)
6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(1.4g、5.0mmol)のメタノール(60mL)溶液に、メタ過ヨウ素酸ナトリウム(1.3g、6.0mmol)の蒸留水(20mL)溶液を0℃で滴加した。混合物を60℃で1時間加熱した。溶液を減圧濃縮して油状物を得、これを酢酸エチル(150mL)に溶解した。有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(100mL)、蒸留水(2×50mL)、および最後に食塩水(2×50mL)で洗浄した。有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:トリエチルアミン(100:1))で精製して、標題化合物(1.2g、81%)を無色油状物で得た。
【0160】
6-(4-((4-クロロベンジル)-メチルアミノ)-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(30f)
6-(4-((4-クロロベンジル)-メチルアミノ)-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(840 mg、2.1mmol)のメタノール(60mL)およびテトラヒドロフラン(30mL)溶液に、メタ過ヨウ素酸ナトリウム(504mg、2.3mmol)の蒸留水(20mL)溶液を0℃で滴加した。混合物を1時間加熱還流した。溶液を減圧濃縮して油状物を得、これを酢酸エチル(75mL)に溶解した。有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(50mL)、蒸留水(50mL)、および食塩水(50mL)で洗浄した。有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル:トリエチルアミン(50:50:1))で精製した。標題化合物(759mg、87%)を無色油状物で得た。
【0161】
6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-イルスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(30i)
6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-イルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(900mg、2.6mmol)のメタノール(30mL)およびテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、メタ過ヨウ素酸ナトリウム(608mg、2.8mmol)の蒸留水(8mL)溶液を0℃で滴加した。混合物を60℃で2時間加熱した。溶液を減圧濃縮して油状物を得、これを酢酸エチル(50mL)に溶解した。有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(50mL)、蒸留水(50mL)、および食塩水(50mL)で洗浄した。有機層を無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル(1:1から8:2))で精製した。得られた固体をジエチルエーテル/40〜60℃石油エーテルから再結晶して、標題化合物(763mg、81%)を固体で得た。融点64〜65℃。
【0162】
6-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド(31a)
50%ヒドロキシルアミン水溶液(4.1mL、62mmol)を含む蒸留THF(40mL)中の6-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(2.0g、7mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(12mL、1M、12mmol)を0℃で滴加した。0℃で1時間撹拌した後、蒸留水(40mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。水溶液を酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、合わせた抽出液を食塩水(75mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、蒸発乾固した。残渣をアセトンから再結晶して、標題化合物(1.8g、89%)を白色粉末で得た。融点125℃。
【0163】
7-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘプタン酸ヒドロキシアミド(31c)
50%ヒドロキシルアミン水溶液(0.9mL、13.6mmol)を含む蒸留THF(10mL)中の7-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘプタン酸エチルエステル(0.5g、1.6mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(2.5mL、1M、2.5mmol)を0℃で滴加した。0℃で1時間撹拌した後、蒸留水(10mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。水溶液を酢酸エチル(2×25mL)で抽出し、合わせた抽出液を食塩水(25mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、蒸発乾固した。残渣を酢酸エチルから再結晶して、標題化合物(0.4g、83%)を白色粉末で得た。融点103〜105℃。
【0164】
6-(4-ジメチルアミノ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド(31e)
50%ヒドロキシルアミン水溶液(2.65mL、40mmol)を含む蒸留THF(30mL)中の6-(4-ジメチルアミノ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(1.2g、4.0mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(6.8mL、1M、6.8mmol)を0℃で滴加した。0℃で1時間撹拌した後、蒸留水(30mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。水溶液を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、合わせた抽出液を食塩水(100mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、蒸発乾固した。固体残渣をアセトンから再結晶して、標題化合物(728mg、61%)を白色粉末で得た。融点95〜97℃。
【0165】
6-(4-((4-クロロベンジル)-メチルアミノ)-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸ヒドロキサミド(31f)
50%ヒドロキシルアミン水溶液(2.6mL、40mmol)を含む蒸留THF(25mL)中の6-(4-((4-クロロベンジル)-メチルアミノ)-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(1.6g、4.0mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(1M、8mL、8mmol)を0℃で滴加した。0℃で1時間撹拌した後、蒸留水(25mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。水溶液を酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、合わせた抽出液を食塩水(100mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、蒸発乾固した。固体残渣をアセトン/40〜60℃石油エーテルから再結晶して、標題化合物(867mg、53%)を白色粉末で得た。融点109〜111℃。
【0166】
6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-スルフィニル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド(31i)
50%ヒドロキシルアミン水溶液(0.65mL、9.9mmol)を含む蒸留THF(10mL)中の6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-スルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(400 mg、1.1mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(1.9mL、1M、1.9mmol)を0℃で滴加した。0℃で1時間間撹拌した後、蒸留水(10mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。水溶液を酢酸エチル(2×20mL)で抽出し、合わせた抽出液を食塩水(40mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、蒸発乾固した。残渣をアセトンから再結晶して、標題化合物(315mg、79%)を白色粉末で得た。融点108〜110℃。
【0167】
5-ニトロベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸エチルエステル(36a)
水素化ナトリウム(鉱油中60%、1.3g、33.5mmol)のジメチルホルムアミド(50mL)の懸濁液に、2-メルカプト酢酸エチル(2.95mL、27mmol)を0℃、アルゴン雰囲気下で滴加した。室温で15分間撹拌した後、2-クロロ-5-ニトロベンズアルデヒドを加えた。次いで、混合物を100℃で6時間撹拌し、室温まで冷却し、塩酸(250mL、1M)に注いだ。沈殿をろ過し、水(3×50mL)で洗浄し、減圧乾燥し、酢酸エチルから再結晶して、標題化合物(5.5g、82%)を固体で得た。融点163℃。
【0168】
5-ジメチルアミノ-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸エチルエステル(37a)
エタノール(100mL)中の5-ニトロベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸エチルエステル(2.5g、10mmol)および10%炭素担持パラジウム(250mg)の懸濁液を室温、水素雰囲気下で16時間撹拌した。混合物をセライトパッドを通してろ過した後、パッドをジクロロメタン(3×50mL)で洗浄した。合わせたろ液を減圧濃縮して無色油状物を得、これをメタノール(25mL)に懸濁した。この混合物に37%ホルムアルデヒド水溶液(2.1mL、25.9mmol)を加えた。この混合物に水素化シアノホウ素ナトリウム(2.2g、35mmol)および塩化亜鉛(2.35g、17mmol)のメタノール(140mL)溶液を0℃で加えた。混合物を室温で16時間撹拌し、次いで減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(150mL)および水酸化ナトリウム水溶液(100mL、2M)に溶解した。有機層を水酸化ナトリウム水溶液(100mL)、蒸留水(2×100mL)および食塩水(3×50mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(ジエチルエーテル:40〜60℃石油エーテル:トリエチルアミン(20:80:1))で精製して固体を得、これをエタノールから再結晶して、標題化合物(1.0g、60%)を固体で得た。融点95〜96℃。
【0169】
(5-ジメチルアミノ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-メタノール(38a)
無水テトラヒドロフラン(10mL)中の水素化アルミニウムリチウム(285mg、5.3mmol)の懸濁液に、0℃、アルゴン雰囲気下で、5-ジメチルアミノ-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸エチルエステル(1.2g、4.8mmol)の無水テトラヒドロフラン(20mL)溶液を滴下した。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで0℃に冷却した。アセトン(10mL)と次いで食塩水(40mL)を滴加してスラリーを得、これをセライトパッドを通してろ過し、パッドを酢酸エチル(3×50mL)で洗浄した。有機層を食塩水(100mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル:トリエチルアミン(60:40:1から50:50:1))で精製して固体を得、これをエタノールから再結晶して、標題化合物(927mg、93%)を固体で得た。融点123〜125℃。
【0170】
5-ジメチルアミノ-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシアルデヒド(39a)
(5-ジメチルアミノ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-メタノール(790mg、3.8mmol)およびトリエチルアミン(4.9mL、35.1mmol)のジメチルスルホキシド(20mL)溶液に、ピリジン-三酸化硫黄(1.8g、11.2mmol)のジメチルスルホキシド(20mL)溶液を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した後、水(50mL)および酢酸エチル(50mL)を加えた。有機層を水(3×50mL)および食塩水(2×50mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して無色油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル:トリエチルアミン(10:90:1から50:50:1))で精製して固体を得、これをエタノールから再結晶して、標題化合物(743mg、95%)を固体で得た。融点105〜106℃。
【0171】
(2E,4E)-5-(5-ジメチルアミノ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ペンタ-2,4-ジエン酸エチルエステル(41a)
エチレングリコールジメチルエーテル(4mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中60%、128mg、3.2mmol)の混合物に、トリエチルホスホノクロトネート(800mg、3.2mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(2mL)溶液を0℃で滴加した。混合物を室温で45分間撹拌した。5-ジメチルアミノ-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシアルデヒド(596mg、2.9mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(5mL)溶液を滴加した。混合物を90分間撹拌しながら還流し、室温まで冷却し、酢酸エチル(50mL)を加えて希釈した。混合物を水(3×25mL)および食塩水(25mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル:トリエチルアミン(10:90:1))で精製して固体を得、これをエタノールから再結晶して、標題化合物(567mg、65%)を固体で得た。融点140〜142℃。
【0172】
(2E,4E)-5-(5-ジメチルアミノベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ペンタ-2,4-ジエン酸ヒドロキサミド(42a)
(2E,4E)-5-(5-ジメチルアミノベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ペンタ-2,4-ジエン酸エチルエステル(540mg、1.8mmol)の無水THF(10mL)溶液に、ヒドロキシルアミンの水溶液(50%、1.1mL、16.6mmol)を0℃で加えた。この混合物に水酸化カリウムのメタノール溶液(2.9mL、1M、2.9mmol)を0℃で40分かけて加えた。混合物を20℃で2時間撹拌し、次いで水(10mL)を加えた。溶液に濃塩酸(10M、注意)を加えることによりpH5まで酸性化し、次いで酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機層を食塩水(25mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して固体を得、これをエタノールから再結晶して、標題化合物(367mg、71%)を橙色固体で得た。融点195℃(分解)。
【0173】
3-メルカプト安息香酸(44a)
ベンゼン(150mL)中の3-(クロロスルホニル)安息香酸(22.0g、0.10mol)および亜鉛末(87.5g、1.3mol)の懸濁液に、濃塩酸(150mL、10M)を0℃で滴加した。混合物を加熱還流し、1時間撹拌し、室温まで冷却し、セライトパッドを通してろ過した後、パッドをベンゼン(3×50mL)で洗浄した。有機層を分離し、水(100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して白色固体を得、これを水性エタノールから再結晶して、標題化合物(9.5g、62%)を固体で得た。融点147℃。
【0174】
3-メルカプト安息香酸メチルエステル(45a)
3-メルカプト安息香酸(4.8g、31mmol)のメタノール(50mL)溶液に、塩酸のメタノール溶液(1M、200mL、0.2mol)を0℃で加えた。混合物を加熱還流し、1時間撹拌し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、溶液を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(100mL)、蒸留水(100mL)、および食塩水(100mL)で連続的に洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、標題化合物を無色油状物で得た。
【0175】
3-(4-ニトロ-フェニルスルファニル)-安息香酸メチルエステル(47a)
3-メルカプト安息香酸メチルエステル(504mg、3mmol)および1-クロロ-4-ニトロベンゼン(473mg、3mmol)のテトラヒドロフラン(4mL)溶液に、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(3.3mL、1M)を0℃で滴加した。混合物を2時間撹拌しながら加熱還流し、次いで室温まで冷却した。酢酸エチル(25mL)を加え、混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(10mL)、蒸留水(2×10mL)、および食塩水(10mL)で連続的に洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して固体を得、これをエタノールから再結晶して、標題化合物(518mg、60%)を固体で得た。融点98〜100℃。
【0176】
3-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-安息香酸メチルエステル(48a)
3-(4-ニトロフェニルスルファニル)-安息香酸メチルエステル(500mg、1.73mmol)の酢酸エチル(20mL)溶液に、10%炭素担持パラジウム(50mg)を加えた。混合物を室温、水素雰囲気下で16時間撹拌し、次いでセライトパッドを通してろ過し、パッドを酢酸エチル(2×10mL)で洗浄した。ろ液を減圧濃縮して無色油状物(448mg、1.73mmol)を得、これをメタノール(5mL)に溶解した。この溶液に37%ホルムアルデヒド水溶液(0.8mL、10.2mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。この溶液に水素化シアノホウ素ナトリウム(435mg、6.9mmol)および塩化亜鉛(472mg、3.45mmol)のメタノール(15mL)溶液を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(20mL)および水酸化ナトリウム水溶液(15mL、2M)に溶解した。有機層を水酸化ナトリウム水溶液(15mL、2M)、蒸留水(10mL)および食塩水(2×20mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して白色固体を得、これをエタノールから再結晶して、標題化合物(397mg、80%)を固体で得た。融点88〜90℃。
【0177】
(3-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-フェニル)-メタノール(49a)
無水テトラヒドロフラン(2mL)中の水素化アルミニウムリチウム(61mg、1.1mmol)の懸濁液に、0℃、アルゴン雰囲気下で3-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-安息香酸メチルエステル(287mg、1.0mmol)の無水テトラヒドロフラン(4mL)溶液を滴加した。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで0℃に冷却した。アセトン(2mL)と次いで食塩水(8mL)を滴加してスラリーを得、これをセライトパッドを通してろ過し、パッドを酢酸エチル(3×10mL)で洗浄した。有機層を食塩水(25mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、標題化合物(255mg、98%)を無色油状物で得た。
【0178】
(E)-3-(3-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-フェニル)-アクリル酸エチルエステル(51a)
(3-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-フェニル)-メタノール(255mg、0.98mmol)およびトリエチルアミン(1.3mL、9.2mmol)のジメチルスルホキシド(5mL)溶液に、ピリジン-三酸化硫黄(469mg、2.95mmol)のジメチルスルホキシド(5mL)溶液を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、水(20mL)および酢酸エチル(40mL)を加えた。有機層を水(3×10mL)および食塩水(20mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して無色油状物を得た。この油状物をジクロロメタン(10mL)に溶解し、(トリフェニルホスホラニリデン)-酢酸エチルエステル(700mg、2.0mmol)を加えた。混合物を3時間撹拌しながら還流し、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(酢酸エチル:40〜60℃石油エーテル:トリエチルアミン(20:80:1))で精製して、標題化合物(240mg、74%)を無色油状物で得た。
【0179】
(E)-3-(3-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-フェニル)-N-ヒドロキシ-アクリルアミド(52a)
50%ヒドロキシルアミン水溶液(0.6mL、9.0mmol)を含む蒸留THF(15mL)中の(E)-3-(3-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-フェニル)-アクリル酸エチルエステル(327mg、1.0mmol)の溶液に、水酸化カリウムのメタノール溶液(1M、1.6mL、1.6mmol)を0℃で滴加した。0℃で1時間撹拌した後、蒸留水(15mL)を加え、混合物に濃塩酸(10M)を0℃で滴加することにより中和した。水溶液を酢酸エチル(2×20mL)で抽出し、合わせた抽出液を食塩水(20mL)で洗浄し、無水MgS04で乾燥し、ろ過し、蒸発乾固した。固体残渣をエタノールから再結晶して、標題化合物(257mg、82%)を黄色固体で得た。融点170℃(分解)。
【0180】
活性アッセイ法
化合物のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤としての活性を、高速インビトロHDAC活性アッセイ法(Ω-アセチル化リシン(MAL)の脱アセチル化に基づく)に基づき、Hoffman et al in Nucl. Acids. Res. 27 2057-2058 (1999)に記載されている改変アッセイ法を用いて調べた。
【0181】
HDAC基質N-(-4-メチル-7-クマリニル)-N-α-(tert-ブチルオキシ-カルボニル)-N-Ω(MALと略される)をHoffman et al (1999)に記載のとおりに合成した。HDAC阻害剤および基質(MAL)はHepes緩衝液(50mM、pH7.4)中で調製した。精製HDAC(100μL)、阻害剤またはHepes緩衝液(100μl)、基質(MAL、100μL、5μg/mL)およびアッセイ緩衝液(100μL、トリス-HCl(lOmM)、NaCl(lOmM)、MgCl2(15mM)、EGTA(0.1mM)、10%(v/v)グリセロール、およびメルカプトエタノール(0.007%))を37℃でインキュベートした。反応を100μlのアセトニトリルで停止し、上清中のMALおよび脱アセチル化生成物(ML)を定量した。
【0182】
完全な細胞中のHDAC活性定量のための、Joel博士によって確立され、有効性確認された新規アッセイ法において蛍光基質MALが用いられている。このアッセイ法は、公知または新規HDAC阻害剤存在下、単一の時点の反応で、全細胞HDAC活性を定量するために用いられている。
【0183】
培地1ml中の1×106CEM細胞を6濃度の阻害剤に60分間曝露し、その後20μg/ml(最終濃度5μg/mL)のMALを加えてさらに30分間置いた(すべて37℃で)。次いで、細胞を4℃で速やかに洗浄し、超音波処理により細胞溶解し、反応をアセトニトリルで停止し、上清中のMALおよび脱アセチル化生成物を高速HPLCにより定量した。
【0184】
部分精製したラット肝HDAC酵素によるアッセイ法のために、基質(5μg/ml MAL)および6濃度の阻害剤を37℃で60分間インキュベートし、その後反応を停止し、上清中のMALおよびMLを定量した。
【0185】
MALおよびMLのクロマトグラフィによる分離を、15cmのApex ODS 5μMカラムを用い、アセトニトリル/蒸留水(40:60)、2%トリフルオロ酢酸(TFA)v/v移動相、流速1.2ml/分で実施した。MALおよびMLを励起/発光波長330/395nmの蛍光検出により定量した。
【0186】
各阻害剤の活性を、最低限の5つのゼロ以外の濃度で評価した。MALおよびMLの最高値を用いて混合物のMALパーセンテージをMAL:MAL+MLの比で導いた。阻害剤非存在下でのMALパーセンテージ(典型的には22〜25%)を100%HDAC活性とし、より高濃度でのHDAC活性パーセンテージを(100%−%MAL薬物/100−%MAL無薬物×100)から導いた。これらのデータ(各阻害剤の各濃度で最低n=4)をS字状EMAXモデル(Graphpad Prism ver 2.01)に当てはめ、各阻害剤のIC50濃度を導いた。
【0187】
これらのアッセイ法を用いて、公知および新規HDAC阻害剤の活性を調べた。強力なHDAC阻害剤にとってヒドロキサム酸部分が必要であることが、フェニル酪酸ナトリウム(NaPB)(HDAC活性IC50:ラット肝HDAC 153±51μM、CEM細胞5572±2001μM)およびそのヒドロキサム酸(NaPBHA)誘導体(ラット肝HDAC 6.2±2.0μM、CEM細胞158±99μM)の活性で確認された。
【0188】
NaPB(7800±2100μM)およびNaPBHA(138±28μM)のCEM細胞における生存度パーセンテージ(3日間曝露)のIC50値は、ラット肝酵素の値よりも全細胞HDAC活性値でより密接に一致しており、全細胞アッセイ法が生物活性の指標としてはるかに良好であることが示唆された。
【0189】
【表1】

【0190】
いくつかの単純な不飽和ヒドロキサム酸の試験により、直鎖ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキサミドは良好なHDAC阻害活性(ラット肝HDAC IC50 0.8±0.7μM)を有するが、完全細胞におけるHDAC阻害活性は実質的には低い(IC50 47±17μM)ことが判明した。
【0191】
しかし、本発明の化合物6-ベンゼンスルホニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキサミド(CM4)および6-(-4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキサミド(CM5)により示される通り、ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキサミド主鎖に硫黄原子を介してフェニルまたはクロロフェニル基を新しく付加することにより、活性増大が起こった。
【0192】
インビトロでの化合物安定性の指標として、CEM細胞と24時間インキュベーション中の特定の化合物のHDAC阻害活性を定量するために、全細胞アッセイ法がさらに改変されている。TSAは1時間と24時間インキュベーションの間に90%よりも大きい活性低下を示し、以前に報告された低い安定性が確認された。SAHA活性は24時間で60%低下したが。新規化合物UCL2002およびUCL2007は同じ期間に活性の低下を示さなかった。
【0193】
【表2】

UCL 2002は化合物9a - 6-(4-クロロベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミドである。
UCL 2007は化合物31a - 6-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミドである。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】スルフィド(タイプ7)、スルホキシド(タイプ9)およびスルホン(タイプ11)結合を含むヒドロキサム酸誘導体への一般経路であるスキーム1を示す。
【図2】N,N-ジメチルアミノ基を含むヒドロキサム酸誘導体(例えば、25)およびその原料である対応するエステル(例えば、24)への一般経路であるスキーム2を示す。
【図3】スルフィド(タイプ29)、スルホキシド(タイプ31)およびスルホン(タイプ33)結合を含むヒドロキサム酸誘導体への一般経路であるスキーム3を示す。
【図4】ベンゾチオフェン環に結合したN,N-ジメチルアミノ基を含むヒドロキサム酸誘導体(例えば、42)およびその原料である対応するエステル(例えば、41)への一般経路であるスキーム4を示す。
【図5】スルフィド(タイプ52)を含むヒドロキサム酸誘導体への一般経路であるスキーム5を示す。
【図6】本発明の第二および第三の局面に記載の方法の一般化を示す。
【図1−1】

【図1−2】

【図2−1】

【図2−2】

【図3−1】

【図3−2】

【図4−1】

【図4−2】

【図5−1】

【図5−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物:

(式中、
R1が(C6またはC10)アリール、(C6またはC10)アリールアルキル、(C6またはC10)ヘテロアリール、(C3-C8)ヘテロシクロアルケニル、(C5-C8)シクロアルケン環、(C5-C8)シクロアルキル、(C5-C8)ヘテロシクロアルキルでもよく、またはその組み合わせで連結もしくは縮合環系を形成してもよく、環状部分が(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1- C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C1-C10)チオアルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシル、(C1-C10)ヒドロキシルアルキル、ハロ、(C1-C10)ハロアルキル、アミノ、アミド、(C1-C10)アルキルアミノ、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C1-C10)アルコキシカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニル、(C1-C10)アルキルチオカルボニル、(C1-C10)アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、(C1-C10)アルキルスルフィニル、または(C1-C10)アルキルスルホニルで置換されていてもよく、
R2およびR3がそれぞれ独立に水素、(C1-C12)アルキル、置換(C1-C12)アルキル、または一つもしくは複数のC=C結合もしくはC≡C結合を含む不飽和(C1-C12)、(C6またはC10)アリールまたは(C6またはC10)ヘテロアリールでもよく、またはその組み合わせで連結もしくは縮合環系を形成してもよく、あるいは飽和または不飽和炭化水素鎖の間にO、S、NR、CO、C(NR)、N(R)SO2、S02N(R)、N(R)C(O)O、OC(O)N(R)、N(R)C(O)N(R)、OC(O)、C(O)O、OS02、SO2O、またはOC(O)O(ただしRが独立に水素、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C1-C10)ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシル、(C1-C10)ハロルアルキル(halolalkyl)であってもよい)が割り込んでいてもよく、各飽和または不飽和炭化水素鎖が(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシル、(C1-C10)ヒドロキシルアルキル、ハロ、(C1-C10)ハロアルキル、アミノ、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C1-C10)アルコキシカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニル、(C1-C10)アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、または(C1-C10)アルキルスルホニルで置換されていてもよい、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C1-C10)チオアルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシル、(C1-C10)ヒドロキシルアルキル、ハロ、(C1-C10)ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、アミド、(C1-C10)アルキルアミノ、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C1-C10)アルコキシカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニル、(C1-C10)アルキルチオカルボニル、(C1-C10)アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、(C1-C10)アルキルスルフィニル、または(C1-C10)アルキルスルホニルであってもよく、
あるいはR2およびR3が、3個までのヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、硫黄またはリンを含んでいてもよい、(C6またはC10)アリール、(C6またはC10)アリールアルキル、(C6またはC10)ヘテロアリール、(C3-C8)ヘテロシクロアルケニル、(C5-C8)シクロアルケン環、(C5-C8)シクロアルキル、(C5-C8)ヘテロシクロアルキル連結または縮合環系を形成してもよく、
あるいはR1およびR2が、(C6またはC10)アリール、(C6またはC10)アリールアルキル、(C6またはC10)ヘテロアリール、(C3-C8)ヘテロシクロアルケニル、(C5-C8)シクロアルケン環、(C5-C8)シクロアルキル、(C5-C8)ヘテロシクロアルキル連結または縮合環系を形成してもよく、形成された環が前述の定義のR1基でさらに置換されていてもよく、または形成された環が前述の定義のR1基もしくはR1R2N基(R1およびR2が前述の定義のとおり)で置換されていてもよい、他のC6アリール基に縮合していてもよく、
nが0、1または2であってもよく、
Xがヒドロキシル(-OH)、-OR、NHR、ヒドロキサメート(-NHOH)、NHOR、NROR、NRNHR、またはSRであってもよく
ただし各R基が独立に水素、C1-C6アルキルまたは置換C1-C6アルキルであってもよく、かつ
Yが0、1もしくは2個の酸素原子、またはNR(RがH、OH、ORまたは炭素原子であってもよく、ただしRがC1-C6アルキルまたは置換C1-C6アルキルであってもよい)であってもよく、
Qが

(式中、mが1から4の整数であり;nが1から8の整数であり;かつR4およびR5がそれぞれ独立に水素、無置換または置換C1-C10アルキル、一つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含む炭素原子10個までの不飽和炭化水素鎖、C6またはC10アリール、5から10員複素環基、C1-C10アルコキシ、C1-C10チオアルコキシ、ヒドロキシル、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、アミド、(C1-C10アルキル)カルボニルオキシ、(C1-C10アルコキシ)カルボニル、(C1-C10アルキル)カルボニル、(C1-C10アルキル)チオカルボニル、(C1-C10アルキル)スルフロニルアミノ、アミノスルホニル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10アルキルスルホニル、または間にO、S、NR、CO、C(NR)、N(R)SO2、S02N(R)、N(R)C(O)O、OC(O)N(R)、N(R)C(O)N(R)、OC(O)、C(O)O、OS02、SO2O、もしくはOC(O)O(ただしRが前述の定義のとおりである)が割り込んでいる飽和もしくは不飽和C3-C12炭化水素鎖(飽和または不飽和炭化水素鎖が前述の定義のとおりに置換されていてもよい)である)である)
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
化合物が一般式(I)のもので式(Ia)を有する、請求項1記載の化合物:


【請求項3】
化合物が一般式(Ib)のものである、請求項1記載の化合物:


【請求項4】
化合物が一般式(A)のものである、請求項1記載の化合物:

(式中、VおよびWが下記のとおりである:
炭素-炭素一重結合、
VがCRで、WがNであり(飽和または不飽和)
VがNで、WがCRであり(飽和または不飽和)
VWまたはWV=RRC-OまたはRRC-Sの形の結合
ただし、Vおよび/またはWが置換されていてもよい(C1-C6)アルキル、C6アリールまたは複素環であってもよく、各R基が独立に定義される)。
【請求項5】
化合物が一般式(B1)のものである、請求項1記載の化合物:

(式中、nが0、1または2であり、ZがC、O、N、S、SO、SO2の様々な原子の組み合わせの二原子結合であり、各R基が独立に定義される)。
【請求項6】
化合物が一般式(B2)のものである、請求項1記載の化合物:

(式中、nが0、1または2であり、Yは原子が存在しないか、OもしくはO2またはNRであり、Z=CRまたはNであるか;あるいは
nが0、1または2であり、X=NHOH、OH、NROR、CRROHであり;
ZがNもしくはCの一原子結合であるか、またはC、O、N、S、SO、SO2の様々な原子の組み合わせの二原子結合であり、各R基が独立に定義される)。
【請求項7】
化合物が一般式(C)のものである、請求項1記載の化合物:

(式中、Yが原子が存在しないか、OもしくはO2またはNRであり、nが0、1または2であり、XがNHOH、OH、NROR、CRROHであり、各R基が独立に定義される)。
【請求項8】
R2およびR3が両方とも水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
R2がメチル(CH3)であり、R3が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
R2が水素であり、R3がメチル(CH3)である、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
R2およびR3が両方ともメチル(CH3)である、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
R1が、ハロ、(C1-C10)アルコキシ、または(C1-C10)アルキルアミノで置換されていてもよい(C6またはC10)アリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
Xが-OH、-OC2H5、-OCH3、またはNHOHである、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
Yが一つまたは二つの酸素原子である、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
R2およびR3が両方とも水素(H)であり、Yが0個の酸素原子であり、nが1であり、R1が下記の一つであり、

かつXが-OH、-OCH3、-OC2H5またはNHOHの一つである、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
R2およびR3が両方とも水素(H)であり、Yが1個の酸素原子であり、nが1であり、R1が下記の一つであり、

かつXが-OH、-CH3、-OC2H5またはNHOHの一つである、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
R2およびR3が両方とも水素(H)であり、Yが2個の酸素原子であり、nが1であり、R1が下記の一つであり、

かつXが-OH、-CH3、-OC2H5またはNHOHの一つである、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
R2およびR3が両方ともメチル(CH3)であり、Yが0個の酸素原子であり、nが0であり、R1が下記であり、

かつXが-OCH3、-OC2H5または-OHであってもよい、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
下記である、請求項1記載の化合物:
6-フェニルスルファニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸(6a)
6-(4-クロロ-フェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(6b)
6-フェニルスルファニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(6c)
6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(6d)
6-(4-メトキシ-フェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(6e)
6-(4-クロロ-フェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド(7b)
6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド(7c)
6-フェニルスルフィニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(8a)
6-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(8b)
6-(4-メトキシ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(8c)
6-ベンゼンスルフィニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸(8d)
6-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド(9a)
6-(4-メトキシ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド(9b)
6-ベンゼンスルホニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸(10a)
6-ベンゼンスルホニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(10b)
6-ベンゼンスルホニル-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド(11a)
6-(ナフタレン-2-イルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸メチルエステル(13b)
6-(ナフタレン-2-イルスルファニル)-ヘキサ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド(14a)
4-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-2-メチル-ペンタ-2-エン酸メチルエステル(21b)
6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-4-メチル-ヘプタ-2,4-ジエン酸エチルエステル(24C)
6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-4-メチル-ヘプタ-2,4-ジエン酸ヒドロキシアミド(25c)
6-(4-クロロ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28b)
7-(4-クロロ-フェニルスルファニル)-ヘプタン酸エチルエステル(28c)
6-(4-アミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28d)
6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28e)
6-(4-((4-クロロベンジル)-メチルアミノ)-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28f)
6-(4-(4-クロロベンゼンスルホニルアミノ)-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28g)
6-(4-ブロモ-フェニリルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28h)
6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-イルスルファニル)-ヘキサン酸メチルエステル(28i)
6-(4-クロロ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド(29b)
6-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸ヒドロキサミド(29c)
6-(4-(4-クロロベンゼンスルホニルアミノ)-フェニルスルファニル)-ヘキサン酸ヒドロキサミド(29g)
6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-イルスルファニル)-ヘキサン酸ヒドロキサミド(29i)
6-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(30b)
7-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘプタン酸エチルエステル(30c)
6-(4-ジメチルアミノ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(30e)
6-(4-((4-クロロベンジル)-メチルアミノ)-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(30f)
6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-イルスルフィニル)-ヘキサン酸メチルエステル(30i)
6-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド(31a)
7-(4-クロロ-ベンゼンスルフィニル)-ヘプタン酸ヒドロキシアミド(31c)
6-(4-ジメチルアミノ-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド(31e)
6-(4-((4-クロロベンジル)-メチルアミノ)-ベンゼンスルフィニル)-ヘキサン酸ヒドロキサミド(31f)
6-(4'-クロロ-ビフェニル-4-スルフィニル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド(31i)
(2E,4E)-5-(5-ジメチルアミノ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ペンタ-2,4-ジエン酸エチルエステル(41a)
(2E,4E)-5-(5-ジメチルアミノベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ペンタ-2,4-ジエン酸ヒドロキサミド(42a)
(E)-3-(3-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-フェニル)-アクリル酸エチルエステル(51a)
(E)-3-(3-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-フェニル)-N-ヒドロキシ-アクリルアミド(52a)。
【請求項20】
4-(4-ジメチルアミノ-フェニルスルファニル)-2-メチル-ペンタ-2-エン-1-オール(22b)。
【請求項21】
一般式(I)の化合物の調製法であって、一般式(II)の化合物を一般式(III)に加え、


(式中、Wが脱離基である)その後任意に加水分解、または酸化および加水分解を行う段階を含む方法。
【請求項22】
一般式(II)の化合物が一般式(5)の化合物であり、一般式(III)の化合物が一般式(4)の化合物であり、

その後任意に加水分解、または酸化および加水分解を行う、請求項21記載の方法。
【請求項23】
一般式(II)の化合物が一般式(20)の化合物であり、一般式(III)の化合物が一般式(17)の化合物であり、


その後任意に加水分解、または酸化および加水分解を行う、請求項21記載の方法。
【請求項24】
一般式(II)の化合物を一般式(III)に加えた生成物に対応するアルデヒド化合物を安定化リンイリド化合物:

または下記の一般式のホスホネート化合物:

と反応させる、請求項21から23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
安定化リンイリド化合物が(トリフェニルホスファニリデン)-酢酸エチルエステルである、請求項24記載の方法:


【請求項26】
一般式(I)の化合物の調製法であって、一般式(IV)の化合物を一般式(Va)または(Vb)に加え、

その後任意に加水分解、または酸化および加水分解を行う段階を含む方法。
【請求項27】
一般式(IV)の化合物が一般式(39)の化合物であり、一般式(Vb)の化合物が一般式(40)の化合物であり、

その後任意に加水分解、または酸化および加水分解を行う、請求項26記載の方法。
【請求項28】
一般式(IV)の化合物が対応するアルデヒドに酸化された一般式(49)の化合物であり、

一般式(Va)の化合物が一般式(50)の化合物であり、

その後任意に加水分解、または酸化および加水分解を行う、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記請求項のいずれか一項において定義された一般式(I)の化合物と、任意に薬学的に許容される補助剤および/または希釈剤とを含む薬学的組成物。
【請求項30】
医薬品において用いるための、前記請求項のいずれか一項において定義された一般式(I)の化合物。
【請求項31】
疾患状態を患っている個人の治療法であって、個人に前記請求項のいずれか一項において定義された一般式(I)の化合物の治療上有効な量を投与する段階を含む方法。
【請求項32】
疾患状態を患っている個人におけるヒストン脱アセチル化酵素活性の阻害法であって、個人に前記請求項のいずれか一項において定義された一般式(I)の化合物の治療上有効な量を投与する段階を含む方法。
【請求項33】
乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、神経膠腫、肺小および非小細胞癌、白血病神経芽細胞腫、前立腺癌、胸部癌、黒色腫、卵巣癌、子宮頸癌および腎臓癌を含む癌;心肥大、ならびに異常血色素症、サラセミア、および鎌形赤血球貧血を含む血液学的障害、関節炎などの自己免疫疾患、ハンチントン病、およびアルツハイマー病などの神経学的状態、および嚢胞性線維症などの遺伝子関連代謝障害、ペルオキシソーム形成不全症、副腎白質萎縮症の治療、エクスビボでの造血細胞の刺激、寄生性原生動物感染症の改善、創傷治癒の促進、ならびに毛包の保護用の医薬品製造における、前記請求項のいずれか一項において定義された一般式(I)の化合物の使用。

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2006−506431(P2006−506431A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552897(P2004−552897)
【出願日】平成15年11月18日(2003.11.18)
【国際出願番号】PCT/GB2003/005035
【国際公開番号】WO2004/046094
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(501008923)クイーン メアリー アンド ウェストフィールド カレッジ (14)
【氏名又は名称原語表記】Queen Mary and Westfield College
【住所又は居所原語表記】Mile End Road,London,U.K.
【出願人】(597013168)ユニバーシティ カレッジ ロンドン (5)
【出願人】(505182362)
【Fターム(参考)】