説明

ビーム処理システムに対するガス送達

それぞれのガス源用のサイクリング弁によって、複数のガス源からビーム・システムの試料室内へのガス流が制御され、弁が開いている相対時間および弁の上流の圧力によって、試料室内のガス圧が決定される。真空室の内部に配置されたガス弁が、ガスを遮断する際の迅速な応答を可能にする。好ましいいくつかの実施形態では、使用中も真空システムの外部に置かれる容器内の固体または液体材料から前駆体ガスが供給され、この容器は、重大な漏れを生じることなく、ガス注入システムに容易に接続され、またはガス注入システムから容易に分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる2009年11月16日に出願した米国特許仮出願第61/261,622号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、ビーム処理システム、イオン・ビームまたは電子ビーム・システムにガスを供給するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
エッチングまたは付着によってある表面にフィーチャを形成する目的には、電子ビーム・システム、イオン・ビーム・システム、レーザ・ビーム・システム、クラスタ・ビーム・システム、中性粒子ビーム・システムなどのビーム・システムが使用される。ビーム誘起付着プロセスは、ビームの存在下で反応して、その表面のビームが衝突したエリアに材料を付着させる前駆体ガスを使用する。例えば、タングステンヘキサカルボニルなどの気体有機金属化合物を試料の近くに供給し、試料の表面に吸着させる。この有機金属化合物は、イオン・ビーム、電子ビームなどの荷電粒子ビームの存在下で分解して金属と揮発性有機化合物とを形成し、金属はその表面に残り、揮発性有機化合物は真空ポンプによって除去される。エッチング・プロセスは、加工物の表面と反応して揮発性化合物を形成する前駆体ガスを使用する。例えば、ヨウ素を使用して、シリコン・ウェーハをエッチングすることができる。ヨウ素は、ビームの存在下で反応して、シリコンとヨウ素の揮発性化合物を形成し、この揮発性化合物は基板表面を離れ、真空ポンプによって除去される。
【0004】
前駆体ガスは、「ガス注入システム」すなわち「GIS」によって真空内へ導入される。ガス注入システムは一般に、ガス源と、試料の近くに配置され、加工物に向かってガスを導く針、漏斗などのガス誘導器とを含む。一般に、室温で固体または液体である材料から生成された前駆体ガスが、真空室内のクルーシブル(crucible)から供給される。このガス流は、固体または液体を加熱してその蒸気圧を増大させ、それによってガスがガス誘導器を通って真空室へ流入するようにすることによって生成される。例えば、タングステンヘキサカルボニルは室温で固体であり、これを一般に約55°Cまたは60°Cまで加熱してその蒸気圧を上昇させ、それによって真空室内への適当な流れを生じさせる。
【0005】
先行技術のシステムは例えばJorgen Rasmussenの「Gas Injection System」という名称の米国特許第5,435,850号明細書に記載されている。Rasmussenのガス注入システムは、固体または液体の源材料(source material)がその中に格納されたクルーシブルを含む。クルーシブルは真空室内に配置される。このクルーシブルを加熱して源材料の蒸気圧を増大させ、源材料からのガスを試料へ流す。ガス流は、クルーシブルに供給する熱量と、弁開口のサイズを制御する弁内のプランジャの位置とによって調節する。クルーシブルの容量は限られているため、多くの用途ではクルーシブルの頻繁な再充填が必要となる。前駆体化学物質の一部は危険な性質を有するため、再充填時には特別な安全設備が必要となり、そのような設備は、現場で直ちに入手できない可能性がある。このようなシステムではさらに、再充填後に、毎回、針が荷電粒子ビームの衝突位置を指すように、位置合せをし直す必要がある。温度および弁開口を制御する方式は、荷電粒子ビーム・システムの試料室内の圧力を制御する能力を限定されたものにする。
【0006】
別のタイプのガス注入システムが、Casellaの「Gas Delivery Systems for Particle Beam Processing」という名称の米国特許第5,851,413号明細書に記載されている。Casellaのシステムでは、前駆体が真空室の外側に格納され、この前駆体が、導管を通って、試料の近くのガス濃縮器へ流入する。真空室の外側に前駆体ガスを格納するシステムは一般に、ガス流を制御するために、ステッピング・モータ制御のダイヤフラム弁などの弁を含む。
【0007】
先行技術のシステムでは、荷電粒子ビーム試料室内の前駆体ガスの圧力が、ガス源の温度またはダイヤフラム弁の開口の程度だけを制御することによって制御されるため、荷電粒子ビーム試料室内の前駆体ガスの圧力の制御は限定される。試料室からは、真空ポンプによってガスが絶えず除去されており、そのため、流入するガス流と流出するガス流とが等しくなったときに、平衡した室圧に到達する。試料室内を低圧に維持することができるように、入力ガス経路上には、流れを制限する絞り(aperture)が必要である。しかしながら、このような絞りは、試料室の圧力を所望の動作圧にするのに必要な時間を増大させる。
【0008】
図1は、ガス注入システムで使用される一般的な先行技術のダイヤフラム弁100を示す。弁100は、弁体102と、ステッピング・モータ104、空気圧弁などのアクチュエータとを含み、このアクチュエータは、供給管112の開口のところに形成された座110の上にダイヤフラム108を配置する弁棒106の位置を制御する。弁棒106がダイヤフラムを座110の開口に押し付けているときには、ガスは開口を通って流れない。図1に示すように、弁棒が動いて開口から離れると、ダイヤフラムは、ガスが、供給管112から弁に流入し、出口管114を通って弁から流出することを可能にする。ガス・システムの出口で圧力が測定され、この圧力は次いで、較正表(calibration table)を使用して相関がとられて、制御システムへフィードバックされる。
【0009】
このダイヤフラム弁は、部分的に開いた位置で使用され、流れは、開口の程度および上流のガス圧に依存する。所望の室圧を与える開口の程度が決定された後は、室内の圧力を調整する必要が生じない限り、弁は一般にそのままの位置に留まる。この流れ制御は粗いものであり、弁棒の位置と流量との間の相関はそれほど高くはない。すなわち、第1のシステムにおいて第1試料室の圧力を与える弁設定が、第2のシステムおいても同じ圧力を与えるとは限らない。このようなプロセスでは、処理ガス間の比を所望の比に維持することが好ましい。それぞれの構成要素の制御が正確でないときには、所望の比を維持することが困難なことがある。
【0010】
米国特許出願公開第2009/0223451号明細書は、ビーム機器に前駆体ガスを送達するシステムを記載している。このシステムは、キャリヤ・ガスを使用して、前駆体ガスを希釈し、前駆体ガスを、1つまたは複数のクルーシブルから、単一の主管路を通して、針へ、次いで試料真空室内へ運ぶ。キャリヤ・ガスとそれぞれのクルーシブルからのガスの流れは、部分的に、空気圧弁のデューティ・サイクル(duty cycle)を制御することによって制御される。それぞれのクルーシブルの一部および主管路は、試料真空室に開いたガス・エンベロープ(gas envelope)内にある。単一の主管路を使用すると、クルーシブルの弁を閉じたときに主管路内に前駆体ガスが残り、それにより主管路の浄化処理が必要となる。この浄化処理は時間をとり、前駆体ガスを無駄にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/261,622号明細書
【特許文献2】米国特許第5,435,850号明細書
【特許文献3】米国特許第5,851,413号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0223451号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、ビーム支援プロセスに対するガス流の制御を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
好ましいいくつかの実施形態によれば、それぞれのガス源に対するサイクリング弁(cycling valve)によって、複数のガス源からビーム・システムの試料室内へのガス流が制御され、弁が開いている相対時間および弁の上流の圧力によって、試料室内のガス圧が決定される。真空室の内側に配置されたガス弁が、ガスを遮断する際の迅速な応答を可能にする。
【0014】
好ましいいくつかの実施形態によれば、使用中も真空システムの外側に置かれる容器内の固体または液体材料から前駆体ガスが供給され、この容器は、重大な漏れを生じることなく、ガス注入システムに容易に接続され、またはガス注入システムから容易に分離される。
【0015】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより十分に理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなり広く概説した。以下では、本発明の追加の特徴および利点を説明する。開示される着想および特定の実施形態を、本発明の同じ目的を達成するために他の構造を変更しまたは設計するベースとして容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、このような等価の構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨および範囲を逸脱しないことを当業者は理解すべきである。
【0016】
次に、本発明および本発明の利点のより完全な理解のため、添付図面に関して書かれた以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】先行技術のダイヤフラム弁を概略的に示す図である。
【図2】ガス注入システム内の圧力を調節する好ましいシステムを概略的に示す図である。
【図3】サイクリング弁に対する一般的な制御信号を示す図である。
【図4】異なる弁デューティ・サイクルおよび振動数に対する室圧を、時間に対して示す図である。
【図5】弁制御信号の異なるパルス幅に対する室圧を、パルス数に対して示す図である。
【図6】静的デューティ・サイクルおよび動的に変化するデューティ・サイクルに対する室圧を、デューティ・サイクルに対して示す図である。
【図7A】本発明のGISの好ましい一実施形態を概略的に示す図である。
【図7B】図7Aの実施形態のノズル部分を示す図である。
【図8】本発明の好ましい一実施形態に基づく前駆体ガスを供給するために使用される好ましい供給ボトル(supply bottle)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好ましい一実施形態によれば、マイクロバルブ(microvalve)などの「サイクリング」弁によって、ビーム・システムの試料室内へのガス流を制御する。本明細書で使用するとき、サイクリング弁は、開位置と閉位置の間を反復することによって流れを制御する弁であって、所与の期間中の弁が開いている時間の比率によって流れが制御される弁を意味する。弁を迅速に、一般に1ヘルツよりも大きな振動数で反復させることによって、その用途が必要とする大きさにガス流を均等化することができる。弁を通過するガス流を制御するために、各サイクル中の弁が開いている時間と、1秒あたりのサイクル数、すなわちサイクル振動数の両方を調整することができる。弁が開いている時間の百分率は「デューティ・サイクル」と呼ばれる。当然ながら、流れは、弁の前後の圧力差によっても決定される。ほとんどの用途で、試料室内の圧力は、弁の入力側のガス圧よりもはるかに低く、そのため、流れは主に、弁の入力側の圧力によって決定される。
【0019】
図2は、本発明の一般的なビーム・システム200の1種類のガスのガス経路の概略図を示す。ガス源202は、試料室204内に配置された第2の弁210にガス管路208によって接続された第1の弁206を通してビーム・システム室204にガスを供給する。弁206および210はマイクロバルブ、すなわちガス流を絞ることによってではなく、弁が開いている時間の比率を調整することによって流れを制御する小さな弁であることが好ましい。第1の弁206は、ビーム・システム204へのガス流を調節するために使用され、第2の弁210は、第1の弁206が故障した場合にシステム室204への流れを止める遮断弁として使用される。ガスが試料室に注入される位置の近くに遮断弁である第2の弁を配置すると、浄化しなければならない管路内のガスがより少なくなるため、室からガスを浄化するのに必要な時間が短縮される。前駆体をガスの状態に維持するため、管路208は加熱されることが好ましい。ガス流路に沿った他の領域も加熱してもよい。マイクロバルブ内での凝縮を防ぐために、スポット・ヒータを使用してマイクロバルブを加熱することもできる。
【0020】
弁206および210は、関数発生器222および電源224からの信号を結合して、これらの弁に駆動信号を供給するコントローラ220によって制御される。弁206および210は市販のマイクロバルブであることが好ましい。マイクロバルブは一般に、弁を閉位置にバイアスするばね力に逆らって弁を開くソレノイドを備える。ソレノイドのコイルに電流が流れると、ソレノイド内のプランジャが移動して弁座から離れて、ガスが弁座を通過することを可能にする。電流が切られると、ばねがプランジャを弁座に戻して、ガス入口を密閉する。図3は一般的な駆動信号302を示す。駆動信号302は、弁を開くための初期インパルスを提供する、一般に、約100ミリ秒(ms)の間、約12ボルト(V)の初期電圧パルス304と、弁を開位置に維持するのに十分な一般に約3〜5Vの「保持」電圧306とを含む。「保持」信号306のパルス幅308および振動数、すなわち1秒あたりのサイクル数はともに制御可能である。コントローラ220は、初期パルス304の継続時間および高さを設定し、次いで、プログラムされた時間の間、ソレノイドの電圧を保持電圧306に切り替える。
【0021】
好ましい一実施形態では、試料室内のガスが所望のガス圧に到達するのに要する時間を、パルス幅308を設定することによって制御し、室内において維持するガス圧を、各サイクルの振動数を調整することによって調節する。すなわち、各サイクル中により長い時間にわたって弁が開き続け、その結果、室圧がより急速に上昇するように、パルス幅308を設定することができる。弁が開閉を交互に繰り返す速度を調整して、試料室内の圧力を所望の圧力にする。この振動数があまりに小さい場合、室内の圧力は変動する。すなわち、真空室内の圧力の十分な均一性を維持するためには、この振動数を十分に高くすべきである。このようなパルス幅変調(PWM)制御方式を使用して、システムの圧力範囲全体にわたる流れ制御、したがって圧力制御を提供することができる。
【0022】
図4は、動作振動数およびデューティ・サイクルが室圧にどのような影響を及ぼすのかを、時間を追って示す。丸点によって示されたデータ点は振動数1/3Hzを表し、三角形によって示されたデータ点は振動数1Hzを表し、正方形によって示されたデータ点は振動数3Hzを表す。1つにまとめられ参照符号402によって示された3本の線は、デューティ・サイクル25%を表し、すなわち、各サイクルの全時間のうち25%の時間、弁が開いており、各サイクルの全時間のうち75%の時間、弁が閉じていることを表している。参照符号404によって示された3本の線はデューティ・サイクル9.9%を表し、参照符号406によって示された3本の線はデューティ・サイクル3%を表す。線402は、デューティ・サイクル25%が約7.7×10-5ミリバール(mbar)の室圧を生み出すことを示している。振動数3Hzに対応する線402Aは、圧力が比較的に安定していることを示しており、振動数1/3Hzに対応する線402Cは、室圧がかなり大きく変動することを示している。線404は、デューティ・サイクル9.9%が、真空室内において3.9×10-5mbarの圧力を生み出すことを示しており、線406は、デューティ・サイクル3%が、真空室内において1.9×10-5mbarの圧力を生み出すことを示している。デューティ・サイクルは、振動数およびパルス幅に関係していることに留意されたい。
【0023】
図5は、弁にパルスを与えたときに、室内の圧力がどのように増大するのかを示している。菱形によって示されたデータ点は5msパルスを、すなわち、各サイクル中に弁は約5ms間、開いていたことを表す。正方形は10msパルスを表し、三角形は25msパルスを表す。図5は、パルス数が同じであれば、パルス持続時間が長いほど室圧はより急速に増大し、その増大は、弁が開いている時間だけに基づいて予想される増大よりも大きいことを示している。
【0024】
図6は、デューティ・サイクルを動的に変化させたときに比べて、デューティ・サイクルを一定にしたときに、室圧がどのように変化するのかを示す。
【0025】
図7Aは、本発明に基づくガス注入システム(GIS)700の一実施形態を示す。ガス注入システム700は、壁702を貫いて真空室704内へ延び、そのため、真空室704の内側の部分706と、真空室704の外側の部分708とを含む。システム700は、2つのタイプのガス源、すなわち後により詳細に説明する容器710内の固体および液体と、ガス・タンク712とを含む。ガス源710および712は、真空室704の外側の部分708にあり、そのため、それらのガス源が空になったときには容易に交換することができる。さらに、真空室の外側にガス源を配置すると、より大容量の容器を使用することができる。気密キャビネット(airtight cabinet)716が、容器710および制御弁720を真空環境内に維持する。いくつかの実施形態では、例えば固体または液体前駆体材料を含むクルーシブルである、容器710のうちの1つの容器などのガス源が、気密キャビネットの外側に広がる部分を有することなく、気密キャビネット716の内部に完全に含まれる。こうすることによって、クルーシブルまたは他のガス源の設計を単純にすることができる。気密キャビネット716は、試料室704内の真空に接続されるが、容器710の交換または再充填を容易にするために、弁(図示せず)を閉じることによって真空状態で分離することができる。
【0026】
シリンダ(cylinder)712はそれぞれ高圧管路721によって弁720に接続される。試料室の外側にガス源を維持すると、複数のガス源を配置する空間が確保でき、真空室内において必要な空間が低減し、他の機器を配置する余地が生じる。室716から排気するためにフォアポンプ(forepump)722が使用される。フォアポンプ722は、ガス容器710を交換した後のキャビネット716の排気を速め、キャビネット716内のガスが試料室704内へ拡散し、試料室704からガスを排気するのに必要となる時間を省く。
【0027】
キャビネット716は、1つのガス源から漏れが生じた場合に2次的なガス封じ込め構造を提供し、換気された別個の蓄積ボックスの必要性を排除する。多くのビーム・システムは、複数のポートを使用して、試料室に機器およびツールを取り付けるように構築される。このようなポートの数は限られている。本発明は、単一のGISポートを通して複数のガスを注入することを可能にし、それによって、単一のフリー・ポートを有する既存の試料真空室に複数のガスを供給する能力を提供する。
【0028】
図2に関して上で説明したとおり、弁720は、例えばパルス幅変調制御方式を使用してガス流を調節し、第2の弁724は、第1の圧力制御弁が故障した場合の遮断弁である。室が排気されており、ガス圧を迅速に所望のレベルにしたいときに、弁724を使用して、迅速な室圧回復を提供することもできる。加熱されたガス管路726が、キャビネット716内に配置された弁720を、試料室704内へ延びる部分706に配置された弁724に接続する。管路726は、真空キャビネット716から、真空室704の壁702の開口を通って延び、そのため、弁724は、部分706に、すなわち真空室704の内部にある。
【0029】
弁724によって生み出された磁界が荷電粒子ビームに影響を及ぼすことを防ぐために、部分706の多くは、好ましくはミューメタル(mu−metal)からなるシールド725によって取り囲まれている。ガス管路726は例えば、抵抗型ヒータと、ガス管路の温度を測定する一体型の抵抗型熱デバイスとを含む直径1/8インチのテフロン(Teflon・登録商標)管である。この加熱された可撓性のガス管路は、障害物を避けてガス管路を配管することを可能にする。ガス管路726内を、試料室に到達する前にガスが凝縮しないことを保証する適当な温度に維持するため、プログラマブル・ロジック・コントローラなどのコントローラ730が、ガス管路内のこの温度測定デバイスを使用して、抵抗型ヒータにフィードバックを提供する。コントローラ730はさらに弁720および724を制御する。いくつかの実施形態では、前駆体をガスの状態に維持するため、弁720および弁724の近くにヒータが配置される。
【0030】
弁724の出口管路728は、針734で終わる漏斗形ノズル732にガスを供給する。針734は、加工物(図示せず)の近くに挿入することができ、または使用しないときには後退させて加工物から遠ざけることができる。図7Bは、GIS700のノズル領域の端面図を示し、図7Aに関して上で説明した各部の関係を示す。図7Aおよび7Bに示したシステムは、固体源、液体源およびガス源に適合する。ボトル710およびシリンダ712は、試料室の外側での容易な再充填を提供し、換気フード(fume hoood)を必要としない。図7Aに示すように、各ガス容器710は、個別に対応する弁720、管路726、弁724、732への管路728をそれぞれ有することが好ましい。これは、複数のガス源によってガスが供給される単一の主管路を含む先行技術の一部のシステムとは異なる。ガス源ごとに個別の管路があること、および試料室704へのガスの出口点の近くに弁があることによって、主管路をパージする必要がなくなり、弁を閉じてガス流を止めた後にシステム内に残るガスが非常に少なくなるため、ガスの変更がより効率的になる。
【0031】
マイクロバルブ724は一般に磁界および電界を生み出し、それらの磁界および電界が、加工物を処理するために使用されている電子ビーム、イオン・ビームなどの荷電粒子ビームを妨害することがある。シールド725はミューメタル材料から作られていることが好ましく、加工物上のビームの衝突点を変化させると考えられる弁724の磁界および電界から荷電粒子ビームを遮蔽するように配置されていることが好ましい。シールド725があるだけで、荷電粒子の軌道に影響を及ぼす。シールド725は荷電粒子ビーム・カラムから比較的に遠いため、この影響は極めて小さいが、使用前に荷電粒子ビーム・カラムを調整するときに荷電粒子ビーム内の非点収差補正装置(stigmator)を調整することによってこの影響を補償することができる。シールド725を動かした場合には、非点収差補正装置に対する電圧を調整する必要が生じると考えられるため、シールドは、固定された位置に維持し、非磁性針734だけを挿入し、または後退させることが好ましい。
【0032】
先行技術では、ガス流を低減させて試料室内の圧力を所望の圧力に維持するために、流れ制限絞りが必要であった。これらの絞りは、室の圧力を迅速に必要な圧力にする能力を低下させ、試料真空室内において達成可能な圧力範囲を狭める。試料室内において達成可能な圧力はしばしばGISによって制限された。本発明のサイクリング弁は流れ制限絞りの必要性を排除し、したがって、はるかに大きな流量範囲、したがって真空室内におけるより大きな圧力範囲を提供する。オペレータは、室内における必要な真空のみによって制限された値に、圧力を設定することができる。
【0033】
低揮発性の固体および液体に対して最もよく機能し、室温でガスの状態にあるガスを取り扱うことができない先行技術のカセット・システムとは違い、本発明の実施形態は、全てのタイプの処理ガスを試料真空室内へ供給する能力を提供する。システム真空室の外側で上記化学物質を移動させることにより、化学物質をより迅速に、かつより容易に再充填し、切り替えることができる。好ましい一実施形態では、システム内を通して前駆体ガスを運ぶキャリヤ・ガスを必要とすることなく、前駆体ガスが、ガス容器710から、システム内を通って針734へ流れる。
【0034】
本発明の実施形態は、単一のGISポートを通して真空室内へ複数のガスを導くが、他の実施形態では、複数のポートが使用される。本明細書に記載したシステムは、複数の源からのガスが同時にノズル732へ流れることを可能にし、それにより、複数の前駆体ガスを試料表面に同時に供給することを可能にすることを当業者は認識するであろう。
【0035】
図8は、ガス供給容器800の好ましい一実施形態を示す。ガス供給容器800は一般に、ガラス製のボトル802を含み、ボトル802には、ボトル802と密封膜806の間の気密シールを提供するシールリング804が装着されている。ボトル802は、固体または液体前駆体ガス源810を含む。ガス供給容器800は、医療分野において血清に対して使用されている容器と同様のセプタム・ボトルとすることができる。容器800は、GIS内の弁(図示せず)へと続くガス導管814に接続された針812などの中空管を、一般に高品質のテフロン・シリコーン・セプタムである密封部材806に突き刺すことによって、ガス注入システムに接続される。例えば、ボトル802は、例えばXeF2、W(CO6)、ナプテレン(Napthelene)、TEOS、ヨウ素、またはトリメチル(メチルシクロペンタジエニル)白金を含む。ボトル802が空になったら針812を引き抜く。密封部材806が針穴を閉じ、残った内容物を閉じ込める気密シールを形成する。供給容器800は、換気フードなしで交換することができ、液体前駆体や固体前駆体の両方に適合する。クイックリリース・フィッティングなど、他のタイプのシールを使用することもできる。
【0036】
ガス供給容器800を使用して、マイクロビーム・システムに前駆体ガスを供給する好ましい方法は、密封膜を有するボトルであり、処理ガスを生成する固体または液体材料を含むボトルを用意することを含み、この膜は、固体または液体材料をボトルの中に維持し、この方法はさらに、ボトルからノズルへの前駆体ガスの流れを制御する弁にガス導管によって接続された中空管を、ボトルに挿入することを含み、この管の挿入は、膜を貫いてガスが流れることを可能にし、この方法はさらに、ノズルからのガスを真空室内の試料の表面に導くことを含む。
【0037】
ガス注入システムの好ましい実施形態では、真空室内の圧力を、約1.5×10-6以内の正確さで、約1×10-6mbarから1×10-4mbarの間の圧力に制御することができる。マイクロバルブは、GIS内の比較的に小さな空間に組み込むことができ、迅速な応答および制御を提供する。
【0038】
本発明の好ましい一実施形態は、環境が制御された試料室を有するマイクロビーム処理システムに複数の処理ガスを供給するガス注入システムであって、
・複数の処理ガスを供給する複数のガス源と、
・複数のガス源のそれぞれのガス源に結合され、試料室の外部に配置された流量制御弁であり、対応するガス源からのガスの流量を調整する流量制御弁と、
・複数のガス源のそれぞれのガス源に結合され、試料室の内部に配置された遮断弁と、
・一組の第1のガス導管であり、それぞれの第1のガス導管が、1つの流量制御弁から対応する遮断弁へガスを導く一組の第1のガス導管と、
・一組の第2のガス導管であり、それぞれの第2のガス導管が、対応する遮断弁から試料室環境内へガスを導く一組の第2のガス導管と
を備えるガス注入システムを含む。
【0039】
好ましい実施形態によれば、ガス注入システムの全ての第2のガス導管が、処理ガスを試料に向かって導く共通のノズルにガスを供給することができる。ガス注入システムはさらに、試料室の外部に配置された気密キャビネットを備えることができ、この気密キャビネットは、流量制御弁と、複数のガス源のうちの少なくとも一部のガス源とを含む。ガス注入システムの複数のガス源は、室温で固体の材料および室温で液体の材料を含むことができる。
【0040】
本発明の好ましい一実施形態はさらに、環境が制御された試料室に処理ガスを供給するマイクロビーム処理システムであって、
・制御された環境内の加工物を処理する試料室と、
・ガス注入システムであり、
・処理ガスを供給するガス源、
・試料室の外部に配置された流量制御弁であり、ガス源からの処理ガスの流量を調整する流量制御弁、
・試料室の内部に配置された遮断弁、
・流量制御弁から遮断弁まで延びる第1の導管、および
・遮断弁から試料室環境まで延びる第2の導管
を含むガス注入システムと、
・処理ガスと加工物の表面との間の反応を開始させることによって加工物を処理するビームを供給するビーム源と
を備えるマイクロビーム処理システムを含むことができる。
【0041】
好ましい実施形態によれば、マイクロビーム処理システムの流量制御弁を、開位置と閉位置とを交互に繰り返すことによって流体の流れを制御するように適合されたサイクリング弁とすることができる。毎秒1回よりも速い速度で開位置と閉位置とを交互に繰り返すように、流量制御弁を適合させることができる。流量制御弁は、パルス幅変調された電気信号によって駆動することができる。
【0042】
好ましい実施形態によれば、マイクロビーム処理システムの遮断弁を、開位置と閉位置とを交互に繰り返すことによって流体の流れを制御するように適合されたサイクリング弁とすることができる。
【0043】
好ましい実施形態によれば、マイクロビーム処理システムはさらに、流量制御弁および遮断第2弁の動作を制御するコントローラを備えることができ、このコントローラは、第1の弁を使用して処理ガスの流量を調整し、第2弁を遮断弁として使用するようにプログラムされている。
【0044】
好ましい実施形態によれば、マイクロビーム処理システムはさらに、流量制御弁の動作を制御するコントローラを備えることができ、このコントローラは、各サイクル中の流量制御弁が開いている時間の長さを制御することによって、試料室のガス圧の増大速度を制御するようにプログラムされ、1秒あたりのサイクル数を制御することによって、試料室内の圧力を制御するようにプログラムされている。
【0045】
好ましい実施形態によれば、マイクロビーム処理システムのビーム源は、荷電粒子ビーム・カラムまたはレーザ・システムを備えることができる。
【0046】
好ましい実施形態によれば、マイクロビーム処理システムの流量制御弁は、弁を開閉させる電磁石をプランジャに備えることができる。あるいは、流量制御弁は圧電マイクロバルブを備えることができる。
【0047】
好ましい実施形態によれば、マイクロビーム処理システムのガス注入システムは、試料室の外部に配置された気密キャビネットを含むことができ、この気密キャビネットは、ガス源および流量制御弁を含む。
【0048】
好ましい実施形態によれば、請求項5に記載のマイクロビーム処理システムはさらに、試料室内の試料に処理ガスを導くノズルを備えることができる。
【0049】
好ましい実施形態によれば、マイクロビーム処理システムの処理ガスは、前駆体ガス、キャリヤ・ガスまたは浄化ガスを含むことができる。
【0050】
好ましい実施形態によれば、マイクロビーム処理システムのガス注入システムは、
・複数のガス源と、
・複数のガス源のそれぞれに結合され、試料室の外部に配置された流量制御弁であり、ガス源からのガスの流れを低減させる流量制御弁と、
・複数のガス源のそれぞれに結合され、真空室の内部に配置された遮断弁と、
・流量制御弁から遮断弁まで延びる第1の導管と、
・遮断弁から試料室まで延びる第2の導管と
を含む。
【0051】
好ましい実施形態によれば、マイクロビーム・システムはさらに、試料室の外部に配置された気密キャビネットを備えることができ、この気密キャビネットは、流量制御弁と、複数のガス源のうちの少なくとも1つのガス源とを含む。
【0052】
マイクロビーム・システムの好ましい実施形態によれば、ガス源のうちの少なくとも1つが、キャビネットの外部に配置されたタンクを含むことができる。
【0053】
マイクロビーム・システムの好ましい実施形態によれば、気密キャビネット内のガス源は、密封膜を有するボトルを含むことができ、このボトルは、処理ガスを生成する固体または液体材料を含む。
【0054】
本発明の好ましい一実施形態はさらに、ガス源と、試料室内へガスを導入するためのオリフィス(orifice)とを含むマイクロビーム・システムに前駆体ガスを供給する方法であって、
・第1のガス源から第1のガスを供給すること、
・第1のガス流を、試料室の外部の第1のガス流制御弁に通すこと、
・第1のガスを、オリフィスを通して試料室に注入すること、
・第1のガス流制御弁を使用して、試料室内の第1のガスの圧力を制御すること、
・試料室内の加工物を処理するために、加工物に向かってビームを導くこと、
・試料室内に配置された第1の遮断弁を使用して、試料室への第1のガスの流入を止めること、
・第2のガス源からガスを供給すること、
・第2のガスを、試料室の外部の第2のガス流制御弁に通すこと、
・第2のガスを、オリフィスを通して試料室に注入すること、
・第2のガス流制御弁を使用して、試料室内の第2のガスの圧力を制御すること、
・試料室内の加工物を処理するために、加工物に向かってビームを導くこと、および
・試料室内に配置された第1の遮断弁を使用して、試料室への第1のガスの流入を止めること
を含む方法を含むことができる。
【0055】
マイクロビーム・システムに前駆体ガスを供給する方法の好ましい実施形態によれば、第1のガスの流れを制御すること、または第2のガスの流れを制御することが、サイクリング弁を使用して、第1または第2のガスの流れを調整することを含むことができる。
【0056】
マイクロビーム・システムに前駆体ガスを供給する方法の好ましい実施形態によれば、サイクリング弁を使用することが、毎秒1回よりも速い速度でサイクリング弁を循環させることを含むことができる。
【0057】
マイクロビーム・システムに前駆体ガスを供給する方法の好ましい実施形態によれば、第1の弁を、パルス幅変調された電気信号によって駆動することができる。
【0058】
本発明の好ましい一実施形態はさらに、処理ガスを生成する固体または液体材料を含む膜を有するボトルを備える、マイクロビーム・システム用のガス源を含むことができる。
【0059】
本発明の好ましい一実施形態はさらに、マイクロビーム・システムに前駆体ガスを供給する方法であって、
・密封膜を有するボトルであり、処理ガスを生成する固体または液体材料を含むボトルを用意すること
を含み、この膜が、固体または液体材料をボトルの中に維持し、
・ボトルからノズルへの前駆体ガスの流れを制御する弁にガス導管によって接続された中空管を、ボトルに挿入することを含み、
この管の挿入が、膜を貫いてガスが流れることを可能にし、
・ノズルからのガスを真空室内の試料の表面に導くことを含む方法を含むことができる。
【0060】
好ましい実施形態によれば、マイクロビーム・システムに前駆体ガスを供給する方法はさらに、前駆体ガスを分解するために、試料に向かってビームを導くことを含むことができる。
【0061】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境が制御された試料室を有するマイクロビーム処理システムに複数の処理ガスを供給するガス注入システムであって、
複数の処理ガスを供給する複数のガス源と、
前記複数のガス源のそれぞれのガス源に結合され、前記試料室の外部に配置された流量制御弁であり、対応する前記ガス源からのガスの流量を調整する流量制御弁と、
前記複数のガス源のそれぞれのガス源に結合され、前記試料室の内部に配置された遮断弁と、
一組の第1のガス導管であり、それぞれの第1のガス導管が、1つの前記流量制御弁から対応する前記遮断弁へガスを導く一組の第1のガス導管と、
一組の第2のガス導管であり、それぞれの第2のガス導管が、対応する前記遮断弁から前記試料室環境内へガスを導く一組の第2のガス導管と
を備えるガス注入システム。
【請求項2】
全ての前記第2のガス導管が、前記処理ガスを試料に向かって導く共通のノズルにガスを供給する、請求項1に記載のガス注入システム。
【請求項3】
前記試料室の外部に配置された気密キャビネットをさらに備え、前記気密キャビネットが、前記流量制御弁と、前記複数のガス源のうちの少なくとも一部のガス源とを含む、請求項1に記載のガス注入システム。
【請求項4】
前記複数のガス源が、室温で固体の材料および室温で液体の材料を含む、請求項1に記載のガス注入システム。
【請求項5】
環境が制御された試料室に処理ガスを供給するマイクロビーム処理システムであって、
制御された環境内の加工物を処理する試料室と、
ガス注入システムであって、
処理ガスを供給するガス源、
前記試料室の外部に配置された流量制御弁であり、前記ガス源からの前記処理ガスの流量を調整する流量制御弁、
前記試料室の内部に配置された遮断弁、
前記流量制御弁から前記遮断弁まで延びる第1の導管、および
前記遮断弁から前記試料室環境まで延びる第2の導管
を含むガス注入システムと、
前記処理ガスと前記加工物の表面との間の反応を開始させることによって前記加工物を処理するビームを供給するビーム源と
を備えるマイクロビーム処理システム。
【請求項6】
前記流量制御弁が、開位置と閉位置とを交互に繰り返すことによって流体の流れを制御するように適合されたサイクリング弁である、請求項5に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項7】
前記流量制御弁が、毎秒1回よりも速い速度で前記開位置と前記閉位置とを交互に繰り返すように適合された、請求項6に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項8】
前記流量制御弁が、パルス幅変調された電気信号によって駆動される、請求項6に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項9】
前記遮断弁が、開位置と閉位置とを交互に繰り返すことによって流体の流れを制御するように適合されたサイクリング弁である、請求項5に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項10】
前記流量制御弁および遮断第2弁の動作を制御するコントローラをさらに備え、前記コントローラが、前記第1の弁を使用して前記処理ガスの流量を調整し、前記第2弁を遮断弁として使用するようにプログラムされた、請求項5に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項11】
前記流量制御弁の動作を制御するコントローラをさらに備え、前記コントローラが、各サイクル中の前記弁が開いている時間の長さを制御することによって、前記試料室のガス圧の増大速度を制御するようにプログラムされ、1秒あたりのサイクル数を制御することによって、前記試料室内の圧力を制御するようにプログラムされた、請求項5に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項12】
前記ビーム源が、荷電粒子ビーム・カラムまたはレーザ・システムを備える、請求項5に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項13】
前記流量制御弁が、弁を開閉させる電磁石をプランジャに備える、請求項5に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項14】
前記流量制御弁が圧電マイクロバルブを備える、請求項5に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項15】
前記ガス注入システムが、前記試料室の外部に配置された気密キャビネットを含み、前記気密キャビネットが、前記ガス源および前記流量制御弁を含む、請求項5に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項16】
前記試料室内の前記試料に前記処理ガスを導くノズルをさらに備える、請求項5に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項17】
前記処理ガスが、前駆体ガス、キャリヤ・ガスまたは浄化ガスを含む、請求項5に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項18】
前記ガス注入システムが、
複数のガス源と、
前記複数のガス源のそれぞれに結合され、前記試料室の外部に配置された流量制御弁であり、前記ガス源からのガスの流れを低減させる流量制御弁と、
前記複数のガス源のそれぞれに結合され、前記真空室の内部に配置された遮断弁と、
前記流量制御弁から前記遮断弁まで延びる第1の導管と、
前記遮断弁から前記試料室まで延びる第2の導管と
を含む、請求項5に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項19】
前記試料室の外部に配置された気密キャビネットをさらに備え、前記気密キャビネットが、前記流量制御弁と、前記複数のガス源のうちの少なくとも1つとを含む、請求項18に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項20】
前記ガス源のうちの少なくとも1つが、前記キャビネットの外部に配置されたタンクを含む、請求項19に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項21】
前記気密キャビネット内にある前記ガス源のうちの少なくとも1つのガス源が、密封膜を有するボトルを含み、前記ボトルが、処理ガスを生成する固体または液体材料を含む、請求項19に記載のマイクロビーム処理システム。
【請求項22】
ガス源と、試料室内へガスを導入するためのオリフィスとを含むマイクロビーム・システムに前駆体ガスを供給する方法であって、
第1のガス源から第1のガスを供給すること、
前記第1のガス流を、前記試料室の外部の第1のガス流制御弁に通すこと、
前記第1のガスを、オリフィスを通して前記試料室に注入すること、
前記第1のガス流制御弁を使用して、前記試料室内の前記第1のガスの圧力を制御すること、
前記試料室内の加工物を処理するために、前記加工物に向かってビームを導くこと、
前記試料室内に配置された第1の遮断弁を使用して、前記試料室への前記第1のガスの流入を止めること、
第2のガス源からガスを供給すること、
前記第2のガスを、前記試料室の外部の第2のガス流制御弁に通すこと、
前記第2のガスを、前記オリフィスを通して前記試料室に注入すること、
前記第2のガス流制御弁を使用して、前記試料室内の前記第2のガスの圧力を制御すること、
前記試料室内の前記加工物を処理するために、前記加工物に向かってビームを導くこと、および
前記試料室内に配置された第1の遮断弁を使用して、前記試料室への前記第1のガスの流入を止めること
を含む方法。
【請求項23】
前記第1のガスの流れを制御すること、または前記第2のガスの流れを制御することが、サイクリング弁を使用して、前記第1または前記第2のガスの流れを調整することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
サイクリング弁を使用することが、毎秒1回よりも速い速度で前記弁を反復させることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の弁が、パルス幅変調された電気信号によって駆動される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
処理ガスを生成する固体または液体材料を含む膜を有するボトルを備える、マイクロビーム・システム用のガス源。
【請求項27】
マイクロビーム・システムに前駆体ガスを供給する方法であって、
密封膜を有するボトルであり、処理ガスを生成する固体または液体材料を含むボトルを用意すること
を含み、前記膜が、前記固体または液体材料を前記ボトルの中に維持し、
前記ボトルからノズルへの前駆体ガスの流れを制御する弁にガス導管によって接続された中空管を、前記ボトルに挿入することを含み、
前記管の前記挿入が、前記膜を貫いてガスが流れることを可能にし、
前記ノズルからのガスを真空室内の試料の表面に導くことを含む方法。
【請求項28】
前記前駆体ガスを分解するために、前記試料に向かってビームを導くことをさらに含む、請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−510949(P2013−510949A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539078(P2012−539078)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/056895
【国際公開番号】WO2011/060444
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(501419107)エフ・イ−・アイ・カンパニー (78)
【Fターム(参考)】