説明

ビーム照射装置

【課題】構成の複雑化とレーザ光の利用効率の低下を同時に解消し得るビーム照射装置を提供することを課題とする。
【解決手段】走査ミラー201を2次元駆動してレーザ光を水平方向および垂直方向にスキャンさせる。走査ミラー201のレーザ光入射面は、これによって反射されたレーザ光を平行光よりやや拡散した状態に変換するよう設計されており、また、スキャン動作時に走査ミラー201がP−P’方向およびY軸方向に変位しても、レーザ光の拡散状態が略変化しないような曲面に設計されている。したがって、走査ミラー201によって反射されたレーザ光は、アクチュエータ200の駆動に応じて、拡散状態が殆ど変わらない状態で、目標領域内をスキャンする。レーザ光は、走査ミラー201に反射されても殆どパワー減衰しない。また、一つの走査ミラー201を駆動すればよいから構成の簡素化が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーム照射装置に関し、たとえば、車間検出器や距離検出器等に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ光を用いて前方車両との距離等を検出する検出器が家庭用乗用車等に搭載されている。この検出器には、前方空間にレーザ光を照射するためのビーム照射装置が配備されている。ここで、ビームは、たとえば、ビーム走査用レンズ(走査レンズ)をレーザ光軸に垂直な方向に変位させることにより、目標領域内において、水平方向および垂直方向にスキャンされる。この場合、走査レンズを変位させるための構成として、たとえば特許文献1に示すアクチュエータが用いられる。
【0003】
しかし、このスキャン機構では、レーザ光が走査レンズに入射する際に、走査レンズ表面にてレーザ光が反射されるとの問題が生じる。特に、走査レンズ周辺部では、レンズ表面に対するレーザ光の傾斜が大きくなるため、走査レンズ表面におけるレーザ光の反射が大きくなってしまう。このため、レーザ光の利用効率の低下がさらに顕著になるとの問題が生じる。
【0004】
これに対し、特許文献2に記載の発明のように、2つのガルバノミラーを用いてレーザ光をスキャンさせれば、表面反射によるレーザ光の利用効率の低下を回避することができる。しかし、この場合には、2つのガルバノミラーを個別に駆動制御する必要があるため、構成の複雑化ないし大型化の問題が生じ、また、部品点数の増加が招来されるとの問題も生じる。
【特許文献1】特開平11−83988号公報
【特許文献2】特開平2−232617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、構成の複雑化とレーザ光の利用効率の低下を同時に解消し得るビーム照射装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み本発明は、それぞれ以下の特徴を有する。
【0007】
請求項1の発明は、目標領域にレーザ光を照射するビーム照射装置において、レーザ光を出射する光源と、前記レーザ光が入射されるとともに該レーザ光の光軸を横切る方向に2次元駆動されることにより該レーザ光の反射方向を該駆動方向に平行な方向に変化させる曲面形状の反射面を有するミラーと、前記光軸を横切る前記方向に前記ミラーを2次元駆動するアクチュエータとを有することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のビーム照射装置において、前記レーザ光は平行光よりも拡散した状態で前記反射面によって入射され、前記反射面は、平行光よりも拡散しかつ入射時よりも平行光に近づくよう前記レーザ光を収束させる面形状を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のビーム照射装置において、前記光源は、前記ミラーに入射する際の前記レーザ光の光軸と前記ミラーによって反射された前記レーザ光の光軸が不一致となるよう、前記ミラー面に対し斜め方向から前記レーザ光が入射される位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1ないし3の何れか一項に記載のビーム照射装置において、前記ミラーによって反射されたレーザ光の一部を分離する光学素子と、前記光学素子によって分離された光を受光するとともに受光位置に応じた信号を出力する受光素子と、前記受光素子からの信号をもとに前記目標領域上における前記レーザ光の照射位置を検出する検出回路とをさらに有することを特徴とする。
【0011】
なお、上記発明における「光源」は、以下の実施形態において、半導体レーザ100が対応する。また、上記発明における「ミラー」は、以下の実施形態において、走査ミラー201が対応する。また、上記発明における「アクチュエータ」は、以下の実施形態において、アクチュエータ200が対応する。また、上記発明における「光学素子」は、以下の実施形態において、ビームスプリッタ300が対応する。また、上記発明における「受光素子」は、以下の実施形態において、PSD500が対応する。また、上記発明における「検出回路」は、以下の実施形態において、PSD信号処理回路60、ADC70および制御回路10が対応する。
【0012】
ただし、以下の実施形態は、本発明の技術的範囲を何ら制限するものではない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レーザ光は、ミラーの駆動に応じて反射方向が変えられ、これにより、目標領域内においてスキャンされる。
【0014】
本発明によれば、ミラーの反射作用によってレーザ光のスキャンが行われるため、上記特許文献1のように、レンズ表面における反射によってレーザ光の利用効率が低下する等の問題が生じることはない。また、一つのミラーを駆動するのみでスキャン動作が行われるため、上記特許文献2のように、アクチュエータの構成が複雑化ないし大型化することはなく、また、部品点数の増加等の問題が生じることもない。
【0015】
したがって、本発明によれば、構成の複雑化とレーザ光の利用効率の低下を同時に解消し得るビーム照射装置を提供することができる。
【0016】
本発明の特徴ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、例示であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0018】
まず、図1に実施の形態に係るビーム照射装置の構成を示す。図示の如く、ビーム照射装置は、制御回路10と、DAC(Digital Analog Converter)20と、レーザ駆動回路30と、アクチュエータ駆動回路40と、ビーム照射ヘッド50と、PSD(Position Sensitive Detector)信号処理回路60と、ADC(Analog Digital Converter)70を備えている。
【0019】
制御回路10は、レーザ駆動回路30およびアクチュエータ駆動回路40を駆動制御するためのデジタル信号をDAC20に出力する。DAC20は、制御回路10から入力されたデジタル信号をアナログ信号(制御信号)に変換してレーザ駆動回路30およびアクチュエータ駆動回路40に出力する。
【0020】
レーザ駆動回路30は、DAC20から入力された制御信号に応じて、ビーム照射ヘッド50内の半導体レーザ100を駆動する。アクチュエータ駆動回路40は、DAC20から入力された制御信号に応じて、ビーム照射ヘッド50内のアクチュエータ200を駆動する。
【0021】
ビーム照射ヘッド50は、前方空間に設定された目標領域にレーザ光をスキャンさせながら照射する。なお、ビーム照射ヘッド50の構成については、追って、図2を参照して詳述する。
【0022】
PSD信号処理回路60は、ビーム照射ヘッド50内に配されたPSD500から入力された電圧信号をADC70に出力する。ADC70は、入力された電圧信号をデジタル信号に変換して制御回路10に出力する。制御回路10は、入力された電圧信号をもとに、PSD受光面上におけるレーザ光の収束位置を検出する。そして、検出結果に応じて、後述の如く、ビーム照射ヘッド50から目標領域に照射されるレーザ光の照射位置にサーボを掛ける。
【0023】
図2に、ビーム照射ヘッド50の光学系を示す。
【0024】
図示の如く、ビーム照射ヘッド50は、半導体レーザ100と、アクチュエータ200と、ビームスプリッタ300と、集光レンズ400と、PSD500備えている。
【0025】
半導体レーザ100から出射されたレーザ光は、アクチュエータ200に支持された走査ミラー201に入射される。ここで、走査ミラー201は、レーザ光の入射面が凹曲面とされており、同図のP−P’方向と、これに垂直な同図のY軸方向に変位可能となるよう、アクチュエータ200によって支持されている。したがって、走査ミラー201によって反射されたレーザ光は、アクチュエータ200の駆動に応じて、Y−Z平面方向に出射角度が変化する。これにより、目標領域におけるレーザ光のスキャンが行われる。
【0026】
なお、走査ミラー201のレーザ光入射面は、これによって反射されたレーザ光を平行光よりやや拡散した状態に変換するよう設計されている。また、この入射面は、スキャン動作時に走査ミラー201が同図のP−P’方向およびY軸方向に変位しても、レーザ光の拡散状態が略変化しないような曲面に設計されている。したがって、走査ミラー201によって反射されたレーザ光は、アクチュエータ200の駆動に応じて、拡散状態が殆ど変わらない状態で、目標領域内をスキャンする。
【0027】
走査ミラーによって反射されたレーザ光は、ビームスプリッタ300によってその一部が反射され、目標領域に照射されるレーザ光(照射レーザ光)から分離される。分離されたレーザ光(分離光)は、集光レンズ400を通してPSD500上に収束される。PSD500は、同図のX−Y平面に平行な受光面を有しており、この受光面上における分離光の収束位置に応じた電流を出力する。ここで、受光面上における分離光の収束位置と目標領域上における前記照射レーザ光の照射位置は一対一に対応している。よって、PSD500から出力される電流は、目標領域上における前記照射レーザ光の照射位置に対応するものとなっている。
【0028】
PSD500からの出力電流は、上記の如く、PSD信号処理回路60に入力される。PSD信号処理回路60は、入力された電流から分離光の収束位置を表す電圧信号をADC70に出力する。ADC70は、入力された電圧信号をデジタル信号に変換して制御回路10に出力する。制御回路10は、入力された電圧信号をもとに、受光面上における分離光の収束位置を検出する。
【0029】
図3に、アクチュエータ200の構成(分解斜視図)を示す。
【0030】
同図を参照して、走査ミラー201は、ミラーホルダー202中央の開口に装着される。ミラーホルダー202には、4つの側面にそれぞれコイルが装着されており、各コイル内にヨーク203中央の突出部が図示矢印のように挿入される。各ヨーク203は、両側の舌片が一対のヨーク固定部材205の凹部に嵌入される。さらに、それぞれのヨーク固定部材205に、ヨーク203の舌片を挟むようにして磁石204が固着される。この状態にて、ヨーク固定部材205が磁石204とともにベース(図示せず)に装着される。
【0031】
さらに、ベースには一対のワイヤー固定部材206が装着されており、このワイヤー固定部材206にワイヤー207を介してミラーホルダー202が弾性支持される。ミラーホルダー202には四隅にワイヤー207を嵌入するための孔が設けられている。この孔にそれぞれワイヤー207を嵌入した後、ワイヤー207の両端をワイヤー固定部材206に固着する。これにより、ミラーホルダー202がワイヤー207を介してワイヤー固定部材206に弾性支持される。
【0032】
駆動時には、ミラーホルダー202に装着されている各コイルに、上記アクチュエータ駆動回路40から駆動信号が供給される。これにより、電磁駆動力が発生し、走査ミラー201がミラーホルダー202とともに2次元駆動される。
【0033】
図4は、アクチュエータ200を駆動して走査ミラー201を、図2の中立位置からP’方向に変位させたときのレーザ光の光路を示すものである。なお、図中、点線は、走査ミラー201が中立位置にあるときのレーザ光の光路を示している。また、図中の破線は、走査ミラー201が中立位置にあるときの状態を示している。
【0034】
この場合、照射レーザ光の照射方向(L’)は、走査ミラー201が中立位置にあるときの照射方向(L)から反時計方向に所定角度だけ変化する。また、PSD500の受光面上における分離光の収束位置は、走査ミラー201が中立位置にあるときの収束位置からX軸方向左側に所定量だけシフトする。ここで、照射レーザ光の変化角度と、分離光のシフト量は、上記の如く、一対一に対応している。したがって、分離光の収束位置をもって照射レーザ光の照射位置を検出することができる。
【0035】
図5は、アクチュエータ200を駆動して走査ミラー201を、図2の中立位置からP方向に変位させたときのレーザ光の光路を示すものである。なお、図中、点線は、走査ミラー201が中立位置にあるときのレーザ光の光路を示している。また、図中の破線は、走査ミラー201が中立位置にあるときの状態を示している。
【0036】
この場合、照射レーザ光の照射方向(L’)は、走査ミラー201が中立位置にあるときの照射方向(L)から時計方向に所定角度だけ変化する。また、PSD500の受光面上における分離光の収束位置は、走査ミラー201が中立位置にあるときの収束位置からX軸方向右側に所定量だけシフトする。上記と同様、照射レーザ光の変化角度と、分離光のシフト量は、一対一に対応している。したがって、分離光の収束位置をもって照射レーザ光の照射位置を検出することができる。
【0037】
走査ミラー201をY軸方向に変位させたときには、図4と図5の場合と同様、照射レーザ光の照射方向は、走査ミラー201が中立位置にあるときの照射方向から走査ミラー201の変位方向に所定角度だけ変化する。また、PSD500の受光面上における分離光の収束位置も、走査ミラー201が中立位置にあるときの収束位置からY軸方向に所定量だけシフトする。したがって、この場合も、分離光の収束位置をもって照射レーザ光の照射位置を検出することができる。
【0038】
図6は、PSD500の受光面上における分離光のスポット軌道の一例を示すものである。かかる場合、制御回路10は、分離光の収束位置を目標軌道に引き込むよう、アクチュエータ駆動回路40にサーボ信号を供給する。
【0039】
今、分離光の収束位置がP(x,y)にあり、このとき、目標軌道上にあるべき収束位置がP’(x',y')であるとする。ここで、目標軌道上の収束位置P’(x',y')は、制御回路10内に設定された軌道テーブルから取得される。具体的には、照射レーザ光のスキャン位置に対応する収束位置が軌道テーブルから取得される。
【0040】
このとき、制御回路10は、P(x,y)とP’(x',y')をもとに、Ex=x−x’とEy=y−y’を演算し、演算結果をもとに、Ex=0、Ey=0になるよう、アクチュエータ駆動回路40にサーボ信号を供給する。これにより、照射レーザ光のスキャン位置は、当該タイミングにおいてスキャン軌道上にあるべきスキャン位置方向に引き戻される。これに応じて、分離光の収束位置も、当該タイミングにおいて目標軌道上にあるべき収束位置P’(x',y')の方向に引き込まれる。かかるサーボ動作によって、照射レーザ光は所期のスキャン軌道に追従するようスキャンされる。
【0041】
かかるスキャンサーボは、たとえば、レーザ光を低パワーにて発光させながら行われる。スキャンサーボの際、制御回路10は、分離光の収束位置が、障害物検出や距離検出等を行うための位置(発光点)として予め設定された位置に到達したかを監視する。そして、収束位置が発光点に到達したタイミングにて、半導体レーザ100の出射パワーを一定期間だけパルス状に高レベルに設定する。
【0042】
目標領域に障害物がある場合、パルス光の反射光が検出器の受光部によって受光される。検出器は、反射光の受光をもとに、目標領域に障害物が存在することを検出する。そして、パルス光の発光タイミングと反射光の受光タイミングの時間差から、当該障害物までの距離を算出する。
【0043】
以上のように、本実施の形態によれば、PSD受光面上における分離光の収束位置を逐次モニタすることにより、照射レーザ光のスキャン動作にサーボが掛けられる。このとき、照射レーザ光は、走査ミラー201の駆動に応じて反射方向が変えられ、これにより、目標領域内においてスキャンされる。
【0044】
このように、本実施の形態によれば、走査ミラー201の反射作用によって照射レーザ光のスキャンが行われるため、上記特許文献1のように、レンズ表面における反射によってレーザ光の利用効率に低下が生じることはない。また、一つの走査ミラー201を駆動するのみでレーザ光のスキャン動作が実現されるから、上記特許文献2のように、アクチュエータの構成の複雑化ないし大型化の問題や、部品点数の増加等の問題が生じることもない。
【0045】
したがって、本実施の形態によれば、構成の複雑化とレーザ光の利用効率の低下を同時に解消し得るビーム照射装置を提供することができる。
【0046】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他に種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0047】
たとえば、上記実施の形態では、電磁駆動回路を用いて走査ミラー201を駆動するようにしたが、圧電素子等の他の駆動手段を用いて走査ミラー201を駆動するように構成することもできる。
【0048】
また、上記実施の形態では、半導体レーザ100からのレーザ光の一部をビームスプリッタ300で分離してPSD500上に収束させるようにしたが、たとえば図7に示すように、サーボ用のレーザ光を発する半導体レーザ(サーボ用レーザ601)を別途配し、サーボ用レーザ601からのレーザ光をPSD500上に収束させるようにしても良い。
【0049】
この場合、半導体レーザ100を常時発光させる必要がないため、半導体レーザ100の長寿命化を図ることができる。また、サーボ用レーザ601は高出力で発光させる必要がないため、装置全体の消費電力を低減させることもできる。
【0050】
なお、図7の構成例では、ダイクロイックミラー602、603によって、半導体レーザ100からのレーザ光とサーボ用レーザ601からのレーザ光の光路調整が行われる。すなわち、この構成例では、半導体レーザ100とサーボ用レーザ601の出射レーザ波長が相違しており、ダイクロックミラー602および603は、それぞれ、サーボ用レーザ601からのレーザ光を略全反射し、半導体レーザ100からのレーザ光を略透過するよう設計されている。かかる構成により、半導体レーザ100からのレーザ光は、ダイクロイックミラー603を透過して目標領域へと導かれ、サーボ用レーザ601からのレーザ光は、ダイクロイックミラー603によって反射されPSD500へと導かれる。
【0051】
また、上記実施の形態では、PSD500からの検出信号をもとに、アクチュエータ200の駆動にサーボを掛けるようにしたが、たとえば、アクチュエータを圧電素子等によって駆動する場合等、走査レンズの駆動状態が振動や外乱による影響を受け難いような場合には、サーボのための構成を省略することもできる。
【0052】
さらに、上記実施の形態では、半導体レーザ100からのレーザ光を斜め方向から走査ミラー201に入射させるようにしたが、レーザ光の入射方向はこれに限定されるものではなく、たとえば図8に示すように、正面方向から、レーザ光を走査ミラー201に入射させるようにしても良い。図8の構成例では、半導体レーザ100からのレーザ光は偏光ビームスプリッタ701にて略全反射された後、λ/4板702にて円偏光に変換され、走査ミラー201に入射される。走査ミラー201からの反射光は、λ/4板702を再び通ることにより、走査ミラー201への入射時に比べ偏光面が90度回転し、偏光ミラー701を略透過する。以降の光路は、上記実施の形態と同様である。
【0053】
なお、走査ミラー201の反射面は、たとえば、走査ミラー201を図2のP−P’方向に所定量だけ変位させたときのレーザ光の変位角と、これと同じ量だけ走査ミラーY軸方向に変位させたときのレーザ光の変位角が相違するように設定することもできる。走査ミラー201の反射面は、レーザ光の走査目的に応じた形状に、適宜、設計可能である。
【0054】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施の形態に係るビーム照射装置の構成を示す図
【図2】実施の形態に係るビーム照射ヘッド50の構成を示す図
【図3】実施の形態に係るアクチュエータ200の構成を示す図
【図4】実施の形態に係る走査ミラー駆動時のレーザ光の光路状態を示す図
【図5】実施の形態に係る走査ミラー駆動時のレーザ光の光路状態を示す図
【図6】実施の形態に係る軌道サーボの掛け方を説明する図
【図7】実施の形態に係るビーム照射ヘッド50の構成の変更例を示す図
【図8】実施の形態に係るビーム照射ヘッド50の構成の変更例を示す図
【符号の説明】
【0056】
10 制御回路
60 PSD信号処理回路60
70 ADC
100 半導体レーザ
200 アクチュエータ
201 走査ミラー
300 ビームスプリッタ
400 集光レンズ
500 PSD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標領域にレーザ光を照射するビーム照射装置において、
レーザ光を出射する光源と、
前記レーザ光が入射されるとともに該レーザ光の光軸を横切る方向に2次元駆動されることにより該レーザ光の反射方向を該駆動方向に平行な方向に変化させる曲面形状の反射面を有するミラーと、
前記光軸を横切る前記方向に前記ミラーを2次元駆動するアクチュエータと、
を有することを特徴とするビーム照射装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記レーザ光は平行光よりも拡散した状態で前記反射面によって入射され、前記反射面は、平行光よりも拡散しかつ入射時よりも平行光に近づくよう前記レーザ光を収束させる面形状を有する、
ことを特徴とするビーム照射装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記光源は、前記ミラーに入射する際の前記レーザ光の光軸と前記ミラーによって反射された前記レーザ光の光軸が不一致となるよう、前記ミラー面に対し斜め方向から前記レーザ光が入射される位置に配置されている、
ことを特徴とするビーム照射装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項において、
前記ミラーによって反射されたレーザ光の一部を分離する光学素子と、
前記光学素子によって分離された光を受光するとともに受光位置に応じた信号を出力する受光素子と、
前記受光素子からの信号をもとに前記目標領域上における前記レーザ光の照射位置を検出する検出回路とをさらに有する、
ことを特徴とするビーム照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−248179(P2007−248179A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70309(P2006−70309)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】