説明

ピロール化合物

式(I)の化合物またはその誘導体(式中、A、B、Z、R1、R2a、R2b、Rx、R8およびR9は明細書にて定義されているとおりである。)、かかる化合物の製法、かかる化合物を含む医薬組成物ならびに医薬におけるかかる化合物の使用を記載する。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、ピロール誘導体、それらの調製のためのプロセス、それらを含む薬学的組成物、および医薬品におけるそれらの使用、具体的には、EP受容体でのPGEの作用によって媒介される症状の処置におけるそれらの使用に関する。
【0002】
(従来技術)
EP受容体は7−膜貫通受容体であり、その自然界でのリガンドは、プロスタグランジンPGEである。PGEはまた、他のEP受容体(EP型、EP型、およびEP型)に対しても親和性を有している。EP受容体は、平滑筋の収縮、痛み(特に、炎症性の痛み、神経病による痛み、および内臓の痛み)、炎症、アレルギー活性、腎臓の調節、および胃または腸粘膜の分泌に関係している。本発明者らは、EP受容体に対して高い親和性で結合する、化合物の新規のグループを、本発明において発見した。
【0003】
多数の総論には、プロスタノイド受容体、ならびに、最も一般的に使用されている選択的アゴニストおよびアンタゴニストの、特徴と治療上の妥当性が記載されている:Eicosanoids;From Biotechnology to Therapeutic Applications, Folco, Samuelsson, Maclouf, and Velo編, Plenum Press, New York, 1996, 14章, 137-154およびJournal of Lipid Mediators and Cell Signalling, 1996, 14, 83-87およびProstanoid Receptors, Structure, Properties and Function, S Narumiyaら、Physiological Reviews 1999, 79(4), 1193-126。The British Journal of Pharmacology(1994, 112, 735-740)による論文には、プロスタグランジンE(PGE)が、マウスの脊髄において、EP受容体サブタイプを通じて異痛症を、そしてEPおよびEP受容体を通じて痛覚過敏を生じることが示唆されている。さらに、The Journal of Clinical Investigation(2001, 107(3), 325)による論文では、EPノックアウトマウスにおいては、痛みを感じる応答がおよそ50%減少することが示されている。AnesthesiaおよびAnalgesiaによる2つの論文では、(2001, 93, 1012-7)EP受容体アンタゴニスト(ONO-8711)が慢性狭窄障害のラットモデルにおいて、痛覚過敏および異痛症を軽減すること、および(2001, 92, 233-238)同じアンタゴニストが、齧歯類の外科手術後の痛みのモデルにおいて、機械的な痛覚過敏を阻害することが示されている。S. Sarkarらは、Gastroenterology, 2003, 124(1), 18-25において、ヒトの痛覚過敏のモデルについて、内臓の痛みの処置におけるEP受容体アンタゴニストの効力を明らかにしている。したがって、選択的プロスタグランジンリガンド、アゴニスト、またはアンタゴニストは、それについてのプロスタグランジンE受容体サブタイプを考慮して、従来の非ステロイド系坑炎症剤と同様の抗炎症性、解熱、および鎮痛特性を有しており、加えて、ホルモン誘導性の子宮収縮を阻害し、そして抗ガン作用を有する。これらの化合物は、無差別的なシクロオキシゲナーゼ阻害因子である、NSAIDの機構をベースとする副作用のいくつかを誘導する能力を低下させる。特に、これらの化合物は、胃腸毒性を有する可能性が低く、腎臓の副作用の可能性が低く、出血時間に対する影響が小さく、そしてアスピリン感受性の喘息患者において喘息の発作を誘導する能力が低い。さらに、有用である可能性があるプロスタグランジン経路を節約することにより、これらの薬剤は、NSAIDSおよび/またはCOX−2阻害因子全体の効率を高めることができる可能性がある。
【0004】
The American Physiological Society(1994, 267, R289-R-294)においては、研究により、ラットにおいてPGEによって誘導される高熱が、主にEP受容体を通じて媒介されることが示唆されている。
【0005】
WO96/06822(1996年3月7日)、WO96/11902(1996年4月25日)、EP 752421-A1(1997年1月8日)、WO01/19814(2001年3月22日)、WO03/084917(2003年10月16日)、WO03/101959(2003年12月11日)、WO2004/039753(2004年5月13日)、およびWO2004/083185(2004年9月30日)には、プロスタグランジンによって媒介される疾患の処置に有用であるとして、複数の化合物が開示されている。
【0006】
P. Lacombeら(220th National Meeting of The American Chemical Society, Washington D. C., USA, 2000年8月20日〜24日)には、ヒトEPプロスタノイド受容体についてのリガンドとして、2,3−ジアリルチオフェンが開示されている。Y. Ducharmeら(第18版、International Symposium on Medicinal Chemistry; Copenhagen, Denmark and Malmo, Sweden; 2004年8月15日〜19日)には、EP受容体アンタゴニストとして2,3−ジアリルチオフェンが開示されている。
【0007】
ピロール誘導体の新規のグループは、EP受容体を超えてEP受容体について選択的であり、したがって、EP受容体でPGEの作用によって媒介される症状の処置に有用である可能性がある。このような症状としては、炎症性の、免疫学的、骨の、神経変性、おいよび腎臓の疾患および痛みが挙げられる。
【0008】
式(I)の化合物およびその誘導体が本発明にしたがって提供される:
【0009】
【化1】

【0010】
式中:
Aは、所望により置換されていてもよいアリール、または所望により置換されていてもよい5−もしくは6−員ヘテロシクリル環、または所望により置換されていてもよい二環式ヘテロシクリル基を示し;
Bは、フェニル環またはピリジル環を示し;
Zは、O、S、SO、またはSOを示し;
は、CO、CN、CONR、CHCO、OR、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいSOアルキル、SONR、NRCONR、COアルキル、2H−テトラゾール−5−イル−メチル、所望により置換されていてもよい二環式複素環、または所望により置換されていてもよいヘテロシクリルを示し;
2aおよびR2bは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアルコキシ、CN、SOアルキル、SR、NO、所望により置換されていてもよいアリール、CONR、または所望により置換されていてもよいヘテロアリールを示し;
は、所望により置換されていてもよいアルキル(ここでは、非末端炭素原子の1つまたは2つが、NR、O、およびSOから別々に選択される基で所望により置換されていてもよく、nは、0、1、または2である);所望により置換されていてもよいアルケニル;または所望により置換されていてもよいアルキニルを示すか:あるいは、Rは、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいCQ−ヘテロシクリル、所望により置換されていてもよいCQ−二環式ヘテロシクリル、または所望により置換されていてもよいCQ−アリールを示し;
は、水素または所望により置換されていてもよいアルキルを示し;
は、水素または所望により置換されていてもよいアルキルを示し;
は、水素または所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいSOアリール、所望により置換されていてもよいSOアルキル、所望により置換されていてもよいSOヘテロアリール、CN、所望により置換されていてもよいCQアリール、所望により置換されていてもよいCQヘテロアリール、またはCORを示し;
は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、または所望により置換されていてもよいアリールを示し;
は、水素、CF、Cl、またはC1-3アルキルを示し;
は、ハロゲン、水素、CF、またはC1-3アルキルを示し;
およびQは、それぞれ、水素およびCHから別々に選択され;
ここでは、Aが6員環である場合は、R置換基とピロール環は互いに、1,2−、1,3−、または1,4−の関係で炭素原子に対して結合され、そしてAが5員環または二環式ヘテロシクリル基である場合は、R置換基とフェニル環は、互いに、1,2−または1,3−の関係で、置換することが可能な炭素原子に対して結合される。
【0011】
Aは、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよい6員ヘテロシクリル環、または所望により置換されていてもよい二環式ヘテロシクリル基であることが適切である。Aは、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいピリジル、または所望により置換されていてもよいイソキノリルであることがさらに適切である。Aがピリジルである場合は、Rとピロール基はピリジン環の2位および6位に結合させられることが適切である。
【0012】
Aが、メチルまたはフルオロによって所望により置換されていてもよいフェニル;ピリジル(ここでは、Rとピロール基は、ピリジン環の2位および6位に結合させられる);およびイソキノリルから選択されることが、なおさらに適切である。
【0013】
Aについての状況に応じた置換基には、ハロゲンまたは所望により置換されていてもよいC1-3アルキルから別々に選択される、4個までの置換基、好ましくは、0個または1個の置換基が含まれる。
【0014】
Aについての適切な状況に応じた適切な置換基としては、フルオロおよびCHが挙げられる。
【0015】
1つの実施形態においては、Aはピリジルである。
【0016】
1つの態様においては、Aは、ピロリル基で3位が置換された6−メチル安息香酸、またはピロリル基で6位が置換されたピコリン酸である。別の態様においては、Aは、ピロリル基で3位が置換された6−フルオロ安息香酸である。
【0017】
Bがフェニルであることが適切である。
【0018】
ZがOであることが適切である。
【0019】
がCOHであることが適切である。
【0020】
2aが水素であることが適切である。
【0021】
2bが、水素、ハロゲン、および所望により置換されていてもよいC1-4アルキル、例えば、CFから選択されることが適切である。R2bが、Br、Cl、またはCFであることがさらに適切である。
【0022】
2bが、Z置換基に対して1,4−関係で、そしてピロール環に対して1,3−関係で配置されることが好ましい。
【0023】
xとしては、所望により置換されていてもよいC3-8アルキル、所望により置換されていてもよいCHピリジル、所望により置換されていてもよいCHチエニル、または所望により置換されていてもよいCHフェニルが挙げられることが適切である。1つの態様においては、Rxは、所望により置換されていてもよいCHフェニルを示す。
【0024】
xについての適切な状況に応じた置換基は、CHフェニルに1個から3個のCl、F、Br、CH、およびCFから選択される置換基が含まれている場合には、特定の置換基が、Cl、Br、およびFから選択される。
【0025】
xが所望により置換されていてもよいアルキルである場合は、これは好ましくは、C3-8アルキルであり、例えば、シクロペンチルメチレンまたはイソブチルであることが適切である。
【0026】
は、水素またはC1-4アルキルであることが適切である。
【0027】
は、水素またはC1-4アルキルであることが適切である。
【0028】
は、水素またはC1-4アルキルであることが適切である。
【0029】
は、水素またはC1-4アルキルであることが適切である。
【0030】
は、水素、CF、またはC1-3アルキルを示すことが適切である。1つの態様においては、Rは、水素、CH、またはCFである。別の態様においては、Rは、水素、またはCFである。別の態様においては、RはCHである。なおさらなる態様においては、RはClである。
【0031】
は、水素であることが適切である。
【0032】
とQが、それぞれ水素であることが適切である。
【0033】
式(I)の化合物の例として、実施例1から80の化合物およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0034】
1つの態様においては、式(I)の化合物の例として、実施例1から56、69から72、74、75、および78の化合物、ならびにそれらの誘導体が挙げられる:
6−{2−[5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2,4−ジメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2,6−ジクロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル−安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2−メチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2−クロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2,3,6−トリフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2−フルオロ−4−クロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2−フルオロ−4−ブロモ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2,4−ジクロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
4−{2−[5−トリフルオロメチル−2−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル安息香酸;
6−{2−[5−ブロモ−2−ベンジルオキシ−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−ブロモ−2−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−ブロモ−2−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−ブロモ−2−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−ブロモ−2−(2−フルオロ−4−クロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−ブロモ−2−(2,4−ジクロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−ブロモ−2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−ブロモ−2−(2−フルオロ−4−ブロモ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−ブロモ−2−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−クロロ−2−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−クロロ−2−(2−クロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−クロロ−2−(2−フルオロ−4−クロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−クロロ−2−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−クロロ−2−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−クロロ−2−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−クロロ−2−(2,4−ジクロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−クロロ−2−(2−フルオロ−4−ブロモ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−クロロ−2−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−クロロ−2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−クロロ−2−(2,3,6−トリフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−クロロ−2−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−トリフルオロメチル−2−(2−フルオロ−4−クロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−トリフルオロメチル−2−(2−クロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−トリフルオロメチル−2−(2,3,6−トリフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−トリフルオロメチル−2−(2−メチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−トリフルオロメチル−2−(2−クロロ−6−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−トリフルオロメチル−2−(2−フルオロ−4−ブロモ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−トリフルオロメチル−2−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−トリフルオロメチル−2−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−トリフルオロメチル−2−(2,4,6−トリフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−トリフルオロメチル−2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−トリフルオロメチル−2−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
6−{2−[5−トリフルオロメチル−2−(2,4−ジクロロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−イソキノリン−1−カルボン酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−フェニル]−5−トリフルオロ−メチル−ピロール−1−イル}−安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−トリフルオロ−メチル−ピロール−1−イル}−安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−フェニル]−5−トリフルオロ−メチル−ピロール−1−イル}−安息香酸;
3−{2−[5−クロロ−2−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−トリフルオロ−メチル−ピロール−1−イル}−安息香酸;
3−[2−(2−ベンジルオキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−安息香酸;
3−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−安息香酸;および
6−{2−[5−クロロ−2−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−フェニル)−ピロール−1−イル]−ピコリン酸。
【0035】
例のさらなるセットは、実施例57〜68、73、76、77、79、および80の化合物、ならびにそれらの誘導体である:
3−[2−(5−クロロ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−メチル安息香酸;
3−[2−(5−クロロ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−安息香酸;
3−[2−(5−ブロモ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−安息香酸;
3−[2−(5−ブロモ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−メチル安息香酸;
3−[2−(5−クロロ−2−シクロペンチルメトキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−安息香酸;
3−[2−(5−クロロ−2−シクロペンチルメトキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−メチル−安息香酸;
3−[2−(5−ブロモ−2−シクロペンチルメトキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−安息香酸;
3−[2−(5−ブロモ−2−シクロペンチルメトキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−メチル安息香酸;
3−[2−(5−クロロ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−フルオロ−安息香酸;
3−[2−(5−ブロモ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−フルオロ−安息香酸;
3−[2−(5−ブロモ−2−シクロペンチルメトキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−フルオロ−安息香酸;
3−[2−(5−クロロ−2−シクロペンチルメトキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−フルオロ−安息香酸;
3−[2−(5−ブロモ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−メチル安息香酸;
3−[2−(5−クロロ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−6−フルオロ−安息香酸;
3−[2−(5−ブロモ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−6−フルオロ−安息香酸;
3−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−クロロ−ピロール−1−イル]−安息香酸;および
6−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−クロロ−ピロール−1−イル]−ピコリン酸。
【0036】
式(I)の化合物の特定の例としては、実施例13、15、17、19、21、22、24、26、29、50、51、52、および53の化合物、ならびにそれらの誘導多が挙げられ、例えば、実施例24、29、51、および52の化合物、ならびにそれらの誘導体である。
【0037】
式(I)の化合物の誘導体としては、薬学的に許容される誘導体が挙げられる。
【0038】
本発明は、他の場所に明確に示されていない限りは、以下の定義を使用して記載される。
【0039】
用語「薬学的に許容される誘導体」は、式(I)の化合物の任意の薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステル、あるいは、式(I)の化合物の塩またはエステルの溶媒和物、あるいは、レシピエントに投与されると式(I)の化合物を(直接または間接的に)生じることができる任意の他の化合物を意味する。
【0040】
式(I)の化合物を、化合物中の官能基のいずれかについてその薬学的に許容される誘導体を提供するように修飾することができること、および、式(I)の化合物を1つ以上の位置で誘導することができることは当業者に明らかである。
【0041】
薬学的な使用について、上記に記載される塩は薬学的に許容される塩であるが、他の塩について、例えば、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩の調製において使用を見出すことができる場合もあることが理解される。
【0042】
薬学的に許容される塩としては、Berge, Bighley and Monkhouse, J. Pharm. Sci. , 1977, 66, 1-19に記載されている塩が挙げられる。用語「薬学的に許容される塩」は、無機塩基および有機塩基を含む薬学的に許容される塩基から調製される塩を意味する。無期塩基に由来する塩としては、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、マンガンを含む塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。具体的な塩はナトリウム塩である。薬学的に許容される有機塩基に由来する塩としては、第一級、第二級、第三級アミンの塩;自然界に存在している置換されたアミンを含む置換されたアミンの塩;および環状アミンの塩が挙げられる。特定の薬学的に許容される有機塩基としては、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。塩はまた、塩基性イオン交換樹脂、例えば、ポリアミン樹脂から形成させることもできる。本発明の化合物が塩基性である場合には、塩は、無機酸および有機酸を含む薬学的に許容される酸から調製することができる。このような酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
【0043】
式(I)の化合物は、結晶形態でも、また非結晶形態でも調製することができ、結晶形態である場合は、必要に応じて水和または溶媒和させることができる。本発明には、種々の量の水を含む化学量論の水和物ならびに化合物が、その範囲に含まれる。
【0044】
適切な溶媒和物としては、薬学的に許容される溶媒和物、例えば、水和物が挙げられる。
【0045】
溶媒和物としては、化学量論的溶媒和物、および非化学量論的溶媒和物が挙げられる。
【0046】
用語「ハロゲンまたはハロ」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を示すように、より好ましくは、フッ素、塩素、および臭素を示すように使用される。
【0047】
基として、または基の一部としての、用語「アルキル」は、直鎖、分岐鎖、または環状鎖のアルキル基、あるいはそれらの組み合わせを意味する。本明細書中で以前に定義されていない限りは、アルキルの例として、C1-8アルキルが挙げられ、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、1,1−ジメチルエチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシル、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0048】
基として、または基の一部としての、用語「アルコキシ」は、酸素原子が鎖に結合させられている、直鎖、分岐鎖、または環状鎖のアルキル基を意味する。本明細書中で以前に定義されていない限りは、アルコキシの例として、C1-8アルコキシが挙げられ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソ−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、シクロペントキシ、またはシクロヘキシルオキシが挙げられる。
【0049】
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有している、示された数の炭素原子の、直鎖または分岐鎖の構造、およびそれらの組み合わせを意味する。ここでは、水素が、さらなる炭素−炭素二重結合によって置き換えられている場合がある。C3-8アルケニルとしては、例えば、エテニル、プロペニル、1−メチルエテニル、ブテニルなどが挙げられる。
【0050】
用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有している、示された数の炭素原子の、直鎖または分岐鎖の構造、およびそれらの組み合わせを意味する。C3-8アルキニルとしては、例えば、エチニル、ピロピニル、ブチニルなどが挙げられる。
【0051】
基として、または基の一部としての、用語「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素、または硫黄から選択される1から4個のヘテロ原子を含み、未置換であるか、または、例えば、3個までの置換基、好ましくは、1個もしくは2個の置換基によって置換されている、芳香族または非芳香族の5または6員環を意味する。5員のヘテロシクリル基の例としては、フリル、ジオキサラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、またはテトラゾリルが挙げられる。6員のヘテロシクリル基の例としては、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、またはテトラジニルが挙げられる。
【0052】
用語「二環式ヘテロシクリル」は、本明細書中で使用される場合は、それぞれが、酸素、窒素、および硫黄から選択される、4個まで、好ましくは1個または2個のヘテロ原子を含む、縮合させられた二環式芳香族ヘテロシクリル環システムまたは非芳香族二環式ヘテロシクリル環システムを意味する。それぞれの環は、4個から7個、好ましくは、5個または6個の環原子を有することができる。二環式ヘテロ芳香族環システムには、炭素環が含まれる場合がある。二環式ヘテロシクリル基の例としては、キノリニル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピリドピラジニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾオキシチアゾリル、インドリル、ベンズトリアゾリル、またはナフチリジニルを挙げることができる。二環式ヘテロシクリル基がイソキノリルであることが適切である。
【0053】
基として、または基の一部としての、用語「アリール」は、5員または6員の芳香環を意味し、例えば、フェニル、または7から12員の二環式環システムであり、ここでは、少なくとも1つの環が、芳香族、例えば、ナフチルである。アリール基は、4個まで、好ましくは、1つから3個の置換基で置換することができる。1つの態様においては、アリール基はフェニルである。
【0054】
基として、または基の一部としての、用語「ヘテロアリール」は、単環である5員または6員の芳香環、あるいは、そのような単環である5員または6員の芳香環を2つ含む、縮合させられた二環式芳香環システムを意味する。これらのヘテロアリール環には、窒素、酸素、または硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子が含まれ、ここでは、酸化窒素、一酸化硫黄、および二酸化硫黄が、許容されるヘテロ原子置換基である。ヘテロアリール基は、1つ以上の置換基で、例えば、1つまたは2つの置換基で、状況に応じて置換することができる。本明細書中で使用される「ヘテロアリール」の例として、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インゾリル、およびインダゾリルが挙げられる。
【0055】
アルキル、アルケニル、またはアルキニル基についての適切な置換基としては、本明細書中で以前に定義されていない限りは、OH、CO、NR、(O)、−OC1-6アルキル、またはハロ、例えば、Cl、Br、またはFが挙げられる。ここでは、RとRは、式(I)の化合物について本明細書において上記に定義されたとおりである。アルキルまたはアルケニル基は、1つ以上の適切な置換基によって、例えば、5個、4個、3個、または2個の適切な置換基で、置換することができる場合もある。特定の置換されたアルキル基として、1つ以上のフッ素原子、例えば、CFで置換されたものが挙げられる。
【0056】
アルコキシ基についての適切な置換基としては、本明細書中で以前に定義されていない限りは、OH、およびハロ、例えば、Cl、Br、またはFが挙げられる。アルコキシ基は、1つ以上の適切な置換基によって、例えば、5個、4個、3個、または2個の適切な置換基で、置換することができる場合もある。
【0057】
他の場所で定義されていない限りは、A、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル基についての特定の適切な置換基としては、ハロゲン、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシが挙げられる。
【0058】
ヘテロ原子である窒素によって、C1-8アルキル基の炭素原子を置き換える場合、または窒素がヘテロアリール、ヘテロシクリル、または二環式ヘテロシクリル基の中に存在している場合は、窒素原子は、水素およびC1-8アルキル、好ましくは、水素およびC1-6アルキル、より好ましくは、水素から選択される、1つまたは2つの置換基で置換されることが適切である。
【0059】
式(I)の化合物は、ここでは、以下の反応図式および実施例に示されるように調製することができる。以下のプロセスは、本発明の別の態様を構成する。
【0060】
【化2】

【0061】
式中、Pは、適切な保護基、例えば、メチルまたはエチルエステルであり;=OP'は、適切なカルボニル保護基を示し;A、B、Z、R2a、R2b、R、およびRxは、式(I)の化合物について定義されたとおりであり、Rは、水素、C1-3アルキル、またはCFであり、そして、Rは、水素、C1-3アルキル、またはCFである。
【0062】
がClである式(I)の化合物は、Rが水素である式(I)の化合物の、適切な塩素化剤、例えば、N−クロロスクシンイミドでの処理によって調製することができる。これは、実施例で説明されるように、脱保護工程の前に行われることが最も好都合である。
【0063】
同様に、Rがハロゲンである式(I)の化合物は、Rが水素である式(I)の化合物を、適切なN−ハロスクシンイミド、例えば、N−クロロスクシンイミド,N−ブロモスクシンイミド、またはN−ヨードスクシンイミドで処理することによって、調製することができる。
【0064】
当業者は、保護基の使用が不可欠である場合を認識するであろう。RがCOHである場合は、適切な保護基Pは、C1-4アルキルまたは所望により置換されていてもよいベンジルのような、エステルを形成する基である。式(II)の化合物の脱保護に適切な反応条件としては、例えば、エタノール性水酸化ナトリウム溶液中での加熱、または水素化によって行われる加水分解が挙げられる。適切なカルボニル保護基としては、アセタールおよび環状アセタール、例えば、1,3−ジオキソランが挙げられる。
【0065】
式(II)の化合物を得るための、式(IV)の化合物の式(III)の化合物との反応に適切な反応条件としては、トルエン溶液中のp−トルエンスルホン酸触媒とともに加熱すること、またはN−メチル−ピローリジノン溶液中のp−トルエンスルホン酸触媒とともに加熱することが挙げられる。加熱は、マイクロ波放射を使用して行うことができる。
【0066】
式(I)の化合物またはその誘導体の調製のためのプロセスもまた、本発明にしたがって提供される:
【0067】
【化3】

【0068】
式中:
Aは、所望により置換されていてもよいアリール、または所望により置換されていてもよい5−もしくは6員ヘテロシクリル環、または所望により置換されていてもよい二環式ヘテロシクリル基を示し;
Bは、フェニル環またはピリジル環を示し;
Zは、O、S、SO、またはSOを示し;
は、CO、CN、CONR、CHCO、OR、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいSOアルキル、SONR、NRCONR、COアルキル、2H−テトラゾール−5−イル−メチル、所望により置換されていてもよい二環式複素環、または所望により置換されていてもよいヘテロシクリルを示し;
2aおよびR2bは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアルコキシ、CN、SOアルキル、SR、NO、所望により置換されていてもよいアリール、CONR、または所望により置換されていてもよいヘテロアリールを示し;
xは、所望により置換されていてもよいアルキル(ここでは、非末端炭素原子の1つまたは2つが、NR、O、およびSOから別々に選択される基で所望により置換されていてもよく、nは、0、1、または2である);所望により置換されていてもよいアルケニル;または所望により置換されていてもよいアルキニルを示すか:あるいは、Rは、所望により置換されていてもよいアルケニル、所望により置換されていてもよいCQ−ヘテロシクリル、所望により置換されていてもよいCQ−二環式ヘテロシクリル、または所望により置換されていてもよいCQ−アリールを示し;
は、水素または所望により置換されていてもよいアルキルを示し;
は、水素または所望により置換されていてもよいアルキルを示し;
は、水素または所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいSOアリール、所望により置換されていてもよいSOアルキル、所望により置換されていてもよいSOヘテロアリール、CN、所望により置換されていてもよいCQアリール、所望により置換されていてもよいCQヘテロアリール、またはCORを示し;
は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、または所望により置換されていてもよいアリールを示し;
は、水素、CF、Cl、またはC1-3アルキルを示し;
は、ハロゲン、水素、CF、またはC1-3アルキルを示し;
およびQは、それぞれ、水素およびCHから別々に選択され;
ここでは、Aが6員環である場合は、R置換基とピロール環は互いに、炭素原子1,2−、1,3−、または1,4−の関係で結合され、そしてAが5員環または二環式ヘテロシクリル基である場合は、R置換基とフェニル環は、互いに、置換することが可能な炭素原子1,2−または1,3−の関係で結合され;
このプロセスには:
式(IV)の化合物:
【0069】
【化4】

【0070】
(式中、P'は、適切なカルボニル保護基を示し、R2a、R2b、R、R、B、Z、およびRxは、式(I)の化合物について上記で定義されたとおりである);
を、式(III)の化合物:
【化5】

【0071】
(式中、AおよびRは、式(I)の化合物について上記で定義されたとおりであり、そしてPは適切な保護基である);
と反応させること、
および、必要に応じて、任意の順序で、
1つの基Rを別の基Rに;および/または
1つの基Rを別の基Rに;および/または
1つの基Rxを別の基Rxに;および/または
1つの基Rを別の基R
変換させて、脱保護を行うこと;ならびに/あるいは
このように形成させられた式(I)の化合物の誘導体を形成させること
が含まれる。
【0072】
中間体および式(I)の化合物中の特定の置換基を、当業者に公知の従来の方法によって他の置換基に変換することができることは明らかである。
【0073】
基Rは、当業者に公知の従来の有機変換の使用によって別の基Rに変換することができる。例えば、R=COHをアミド、例えば、CONHCQアリールまたはCONHCQヘテロアリール(ここでは、QとQは、水素およびCHから選択される)に、例えば、Richard Larock, Comprehensive Organic Transformations,第2版,Wiley-VCH, ISBN 0-471-19031-4に記載されているようなアミドの調製のための従来の方法によって、変換することができる。
【0074】
任意の反応中間体および式(I)の化合物中の特定の置換基を、当業者に公知の従来の方法によって他の置換基に返還することができる。変換することができる置換基の例としては、1つの基Rxの別の基Rxへの変換;および基A上の1つの置換基の基A上の別の置換基への変換が挙げられる。このような変換の例としては、アミノ基を得るためのニトロ基の還元;アミノ基のアルキル化およびアミド化;エステルの加水分解、ヒドロキシ基およびアミノ基のアルキル化;ならびに、カルボン酸のアミド化およびエステル化が挙げられる。このような変換は当業者に周知であり、例えば、Richard Larock, Comprehensive Organic Transformations,第2版,Wiley-VCH, ISBN 0-471-19031-4に記載されている。
【0075】
例えば、Rxがp−メトキシベンジルである場合は、フェノールまたはピリジノールを得るためのエーテルの切断が、例えば、HCl/ジオキサンまたはHBr/酢酸、あるいは、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)を使用して、行われる。Rxがメチルである場合は、フェノールを得るためのエーテルの切断が、例えば、ナトリウムメタンチオレートを使用して行われる。ピリジノールを生じるためのエーテルの切断は、例えば、トリフルオロ酢酸の存在下で行われる。別のRx基、例えば、置換されたベンジル基への変換は、フェノールまたはピリジノールの適切に置換された臭化ベンジルとの反応によって行うことができる。当業者は、保護基Pの別の保護基Pへの変換もまた、使用される反応条件下で生じる場合があることを理解するであろう。Rxがベンジルである場合は、フェノールまたはピリジノールを得るためのエーテルの切断を、公知の方法、例えば、H−Pd/CまたはNHCOH−Pd/Cにしたがって水素化によって行うことができる。その後、得られたフェノールまたはピリジノールを、上記のように別の基Rxに変換させることができる。
【0076】
上記の手順のいくつかの間に特定の反応性置換基を保護することが必要である場合があることは、当業者に明らかである。当業者には、保護基が必要である場合は明らかであろう。標準的な保護および脱保護技術、例えば、Greene T. W. 「Protective groups in organic synthesis」, New York, Wiley(1981)に記載されている技術を使用することができる。例えば、カルボン酸基をエステルとして保護することができる。カルボニル基をアセタールまたは環状アセタール基として保護できることが、適切である。このような基の脱保護は、当該分野で公知の従来の手順を使用して行われる。保護基を従来の手段によって相互変換できることは、明らかであろう。
【0077】
が水素以外である場合の式(IV)の化合物(式(IV')の化合物)は、以下の経路を通じて調製することができる:
【0078】
【化6】

【0079】
式中、Lは、離脱基、例えば、ハロ(例えば、臭素)またはトシル基であり;B、Z、R2a、R2b、およびRxは、式(I)の化合物について定義されたとおりであり;Rは、CFまたはC1-3アルキルであり、そしてRは水素、C1-6アルキル、またはCFである。
【0080】
式(VI)の化合物を式(IV')の化合物に変換するための適切な反応条件としては、式(VI)の化合物を式(V)のビニルケトンとともに、溶媒(例えば、エタノール)中のチアゾリウム塩(例えば、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−臭化メチルチアゾリウム)と有機塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、加熱することが挙げられる。
【0081】
式(VI)の化合物の調製に適している反応条件としては、式(VIII)のサリチルアルデヒドを式(VII)の化合物Rx−Lと、N,N−ジメチルホルムアミド、2−ブタノン、アセトン、またはテトラヒドロフランのような溶媒中で、塩基(例えば、炭酸カリウム)の存在下で反応させることが挙げられる。
【0082】
が水素である式(IV)の化合物は、例えば、以下の経路を通じて調製することができる:
【0083】
【化7】

【0084】
式中、=OP'は、保護されたカルボニル基、例えば、アセタールまたは環状アセタール基(例えば、1,3−ジオキソラン基)を示し;B、Z、R2a、R2b、およびRxは、式(I)の化合物について定義されたとおりであり、そしてRは、水素、C1-6アルキル、またはCFである。
【0085】
式(III)、(V)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、および3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−臭化メチルチアゾリウムは市販されているか、あるいは、当業者に公知の方法によって容易に調製される。
【0086】
式(III)の化合物:
【0087】
【化8】

【0088】
(式中、Pは適切な保護基であり、RおよびAは式(I)の化合物について上記で定義されたとおりである)は市販されているか、あるいは、アミンを調製するための公知の方法にしたがって、例えば、実施例に記載される方法を使用して、市販されている物質から容易に調製することができる。アミンの調製のための方法は、The Amino Group, S. Patai(編), Interscience, New York 1968、およびその中に引用されている参考文献にまとめられている。アミンの調製は、Richard Larock, Comprehensive Organic Transformations,第2版,頁753-879, Wiley-VCH, ISBN 0-471-19031-4にも記載されている。
【0089】
式(V)の中間体:
【0090】
【化9】

【0091】
(式中、RおよびRは、式(I)の化合物について上記で定義されたとおりである)は市販されているか、あるいは、ビニルケトンの調製のための公知の方法にしたがって容易に調製することができる。例えば、FCCOCHCH=CHは、M. Tordeuxら, J. Fluorine Chemistry, 1982, 20(3), 301-306の方法にしたがって調製することができる。
【0092】
式(VII)の中間体:
【0093】
【化10】

【0094】
(式中、Lは上記で定義されたとおりであり、Rxは式(I)の化合物について定義されたとおりである)は市販されているか、あるいは、市販されている化合物の公知の変換によって容易に調製することができる。
【0095】
式(VIII)の中間体:
【0096】
【化11】

【0097】
(式中、R2a、R2b、Z、およびBは、式(I)の化合物について定義されたとおりである)は市販されているか、あるいは、当業者に公知の方法によって、例えば、適切な市販されている出発物質から実施例に記載される方法を使用して、容易に調製することができる。アルデヒドの調製は、The Chemistry of the Carbonyl Group, S. Patai(編), Interscience, New York, 1966、およびその中に引用されている参考文献にまとめられている。
【0098】
式(IX)の中間体:
【0099】
【化12】

【0100】
(式中、R2a、R2b、Z、およびBは、式(I)の化合物について定義されたとおりである)は市販されているか、あるいは、当業者に公知の方法によって、例えば、適切な市販されている出発物質から実施例に記載される方法を使用して、容易に調製することができる。酸塩化物の調製は、The Chemistry of the Carbonyl Group, S. Patai(編), Interscience, New York, 1966、およびその中に引用されている参考文献にまとめられている。
【0101】
本発明に式(I)の全ての異性体、およびそれらの薬学的に許容される誘導体が含まれることが理解され、これには、全ての幾何異性体、互変異性体、および光学異性体の形態、ならびにそれらの混合物(例えば、ラセミ混合物)が含まれる。式(I)の化合物中にさらなるキラル中心が存在する場合は、本発明には、その範囲に、全ての可能なジアステレオ異性体が含まれ、これにはそれらの混合物も含まれる。種々の異性体形態は、従来の方法によって他のものから1つのものを分離または分解することができ、また、任意の所定の異性体を、従来の合成方法、あるいは、立体特異的合成または不斉合成によって得ることもできる。
【0102】
本発明の化合物はEP受容体に結合し、したがってこれらは、EP受容体でのPGEの作用によって媒介される症状を処置することにおいて有用であると考えられる。
【0103】
EP受容体でのPGEの作用によって媒介される症状としては、痛み;発熱;炎症;免疫疾患;異常な血小板機能に関係する疾患;性的不能または勃起障害;骨疾患;非ステロイド系抗炎症薬の血液動態の副作用;循環器疾患;神経変性疾患および神経変性;外傷後の神経変性;耳鳴り;依存性を生じる物質に対する依存性;I型糖尿病の合併症;ならびに腎不全が挙げられる。
【0104】
式(I)の化合物は、鎮痛剤として有用であると考えられる。したがってこれらは、痛みの処置または予防において有用であると考えられる。
【0105】
式(I)の化合物は、急性の痛み、慢性的な痛み、神経病の痛み、炎症性の痛み、内臓の痛み、ガンおよび線維筋痛に伴う痛み、偏頭痛に伴う痛み、緊張性頭痛および群発性頭痛、ならびに、機能性腸疾患に伴う痛み、心臓性ではない胸痛、および非潰瘍性の消化不良を処置するための鎮痛剤として有用であると考えられる。
【0106】
式(I)の化合物は、疾患の緩和の性質および関節構造の保護を含む慢性的な関節痛(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ様脊椎炎、通風性関節炎、および若年性関節炎);骨格筋の痛み;腰背部および頸部の痛み;捻挫および筋違い;神経因性疼痛;交感神経依存性疼痛;筋炎;ガンおよび線維筋痛に伴う痛み;偏頭痛に伴う痛み;インフルエンザまたは他のウイルスへの感染(例えば、感冒)に伴う痛み;リウマチ熱;機能性腸疾患、例えば、非潰瘍性の消化不良、心臓病ではない胸痛、および過敏性腸症候群に伴う痛み;心筋虚血に伴う痛み;術後の痛み;頭痛;歯痛;ならびに月経困難症の処置において有用であると考えられる。
【0107】
本発明の化合物は、神経因性疼痛の処置に特に有用であると考えられる。神経因性疼痛症候群は、神経の損傷後に発症し得、生じる痛みは、数ヶ月間から数年間、さらには、もともとの怪我が治癒するまで持続する場合もある。神経損傷は、末梢神経、後根、脊髄、または脳の特定の領域に生じ得る。神経因性疼痛症候群は、通常は、疾患またはそれらを誘発する事象にしたがって分類される。神経因性疼痛症候群としては:糖尿病性神経障害;坐骨神経痛;非特異的腰痛;多発性硬化症の痛み;線維筋痛;HIVに関係する神経障害;へルペス後の神経痛;三叉神経痛;および身体外傷、切断術、ガン、毒素、または慢性的な炎症症状によって生じる痛みが挙げられる。これらの症状は治療することが困難であり、いくつかの薬剤が限られた効力を有していることが知られてはいるが、完全な痛みのコントロールがほとんどできていない。神経因性疼痛の症状は均一ではなく、多くの場合、突然の発症する伝激痛、または持続的な灼熱痛として記載される。さらに、通常の痛みのない感覚、例えば、「しびれてピリピリする感覚」(錯感覚および異常錯感覚)、接触に対する感度の増加(感覚過敏)、無害な刺激の後の痛みの感覚(動的、静的、または熱的アロデニア)、無毒な刺激に対する感度の増加(温熱性、冷感、機械的痛覚過敏)、刺激の除去後の持続的な痛みの感覚(痛覚過敏)、あるいは、選択的な感覚経路の欠損または不全(痛覚鈍麻)にともなう痛みが存在する。
【0108】
式(I)の化合物はまた、発熱の処置においても有用であると考えられる。
【0109】
式(I)の化合物はまた、炎症の処置、例えば、皮膚症状(例えば、日焼け、火傷、湿疹、皮膚炎、乾癬);眼科疾患(例えば、緑内障、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、および眼組織の急性損傷(例えば、結膜炎));肺疾患(例えば、喘息、気管支炎、肺気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、愛鳥家病(pigeon fancier's disease)、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD);消化器疾患(例えば、アフター性潰瘍、クローン病、アトピー性胃炎、gastritis varialoforme、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、胃腸逆流症);臓器移植;炎症性の要素を有している他の症状(例えば、血管障害、偏頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症、重症筋無力症、多発性硬化症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、歯肉炎、心筋虚血、発熱、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、腱炎、滑液包炎、およびシェーグレン症候群)の処置においても有用であると考えられる。
【0110】
式(I)の化合物はまた、自己免疫疾患、免疫不全疾患、または臓器移植のような、免疫疾患の処置においても有用であると考えられる。式(I)の化合物はまた、HIV感染の潜伏期間を長くすることにおいても有効である。
【0111】
式(I)の化合物はまた、異常な血小板機能に関係している疾患(例えば、閉塞性の血管疾患)の処置においても有用であると考えられる。
【0112】
式(I)の化合物はまた、利尿作用を有している薬剤の調製にも有用であると考えられる。
【0113】
式(I)の化合物はまた、性的不能または勃起障害の処置においても有用であると考えられる。
【0114】
式(I)の化合物はまた、骨粗鬆症(特に、閉経後骨粗鬆症)、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、パジェット骨疾患、骨溶解、骨転移を有しているかまたは骨転移を有していない悪性腫瘍の高カルシウム血症、関節リウマチ、歯周炎、変形性関節症、骨痛、骨減少症、ガンによる悪液質、結石症(calculosis)、結石症(lithiasis)(特に、尿路結石症)、固形ガン、通風および強直性脊椎炎、腱炎、ならびに滑液包炎のような異常な骨代謝または骨吸収を特徴とする骨疾患の処置においても有用であると考えられる。
【0115】
式(I)の化合物はまた、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)およびシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害因子の血流動態への副作用を弱めるためにも有用であると考えられている。
【0116】
式(I)の化合物はまた、高血圧または心筋虚血;機能性または臓器の静脈機能不全;静脈瘤の治療;痔;ならびに、動脈圧の明らかな低下に関係するショック状態(例えば、肺血性ショック)のような心循環器疾患の処置においても有用であると考えられている。
【0117】
式(I)の化合物はまた、認知症、特に、変性認知症(老年性認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、およびクロイツフェルトヤコブ病、ALS、運動ニューロン疾患を含む);血管性認知症(多発梗塞性認知症を含む);ならびに、頭蓋内占拠性病変;外傷;感染および関連する症状(HIV感染を含む);代謝物質;毒素;酸素欠乏症およびビタミン欠乏症に関係している認知症;ならびに、老化に伴う軽度認識障害、特に、老化に伴う記憶障害のような、神経変性疾患および神経変性の処置においても有用であると考えられる。
【0118】
式(I)の化合物はまた、脳梗塞、心停止、肺のバイパス、外傷性脳損傷、脊髄損傷などのような外傷後の、神経保護の処置、ならびに、神経変性の処置においても有用であると考えられる。
【0119】
式(I)の化合物はまた、耳鳴りの処置においても有用であると考えられる。
【0120】
式(I)の化合物はまた、依存性を生じる物質に対する依存性の防止または減少、あるいは、依存性を生じる物質に対する耐性もしくは逆耐性の防止または減少においても有用であると考えられる。依存性を生じる物質の例としては、オピオイド(例えば、モルヒネ)、CNS抑制薬(例えば、エタノール)、精神刺激薬(例えば、コカイン)、およびニコチンが挙げられる。
【0121】
式(I)の化合物はまた、1型糖尿病の合併症(例えば、糖尿病性細小血管症、糖尿病性網膜症、糖尿病性ネフロパシー、黄斑変性症、緑内障)、ネフローゼ症候群、再生不良性貧血、ブドウ膜炎、川崎病、およびサルコイドーシスの処置においても有用であると考えられる。
【0122】
式(I)の化合物はまた、腎不全(腎炎、特に、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、腎炎症候群)、肝機能障害(肝炎、肝硬変)、胃腸障害(下痢)、および結腸ガンの処置においても有用であると考えられる。
【0123】
式(I)の化合物はまた、過活動膀胱および切迫性尿失禁の処置においても有用である。
【0124】
処置との言及には、他の場所で明記されていない限りは、確立された症状の処置と予防的な処置の両方が含まれることが理解される。
【0125】
本発明のさらなる態様にしたがって、本発明者らにより、ヒト用の薬または動物薬において使用される、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される誘導体が提供される。
【0126】
本発明のさらなる態様にしたがって、本発明者らにより、EP受容体でのPGEの作用によって媒介される症状の処置に使用される、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される誘導体が提供される。
【0127】
本発明のさらなる態様にしたがって、本発明者らにより、EP受容体でのPGEの作用によって媒介される症状に罹患しているヒトまたは動物被験体を処置する方法が提供される。この方法には、上記被験体に対して、有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される誘導体を投与することが含まれる。
【0128】
本発明のさらなる態様にしたがって、本発明者らにより、痛み、あるいは炎症性疾患、免疫疾患、骨疾患、神経変性疾患、または腎疾患に罹患しているヒトまたは動物被験体を処置する方法が提供される。この方法には、上記被験体に対して有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される誘導体を投与することが含まれる。
【0129】
本発明の別の態様にしたがって、本発明者らにより、EP受容体のPGEの作用によって媒介される症状を処置するための治療薬の製造のための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される誘導体の使用が提供される。
【0130】
本発明の別の態様にしたがって、本発明者らにより、痛み、あるいは炎症性疾患、免疫疾患、骨疾患、神経変性疾患、または腎疾患のような症状を処置または予防するための治療薬の製造のための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される誘導体の使用が提供される。
【0131】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される誘導体は、薬学的組成物の形態で投与されることが好都合である。このような組成物は、1つ以上の生理学的に許容される担体または賦形剤との混合物としての従来の様式での使用のために提示されることが好都合である。
【0132】
したがって、本発明の別の態様においては、本発明者らにより、ヒトまたは脊椎動物用の医薬品中での使用に適応させられた、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される誘導体を含む組成物が提供される。
【0133】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される誘導体は、任意の適切な様式での投与のために処方することができる。これらは、例えば、局所投与または吸入による投与のために、あるいは、より好ましくは、経口、経皮、または非経口投与のために処方することができる。薬学的組成物は、それが式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される誘導体を徐放することができるような形態とされる場合もある。
【0134】
経口投与については、薬学的組成物は、例えば、許容される賦形剤を用いて従来の手段によって調製される、錠剤(舌下用錠剤を含む)、カプセル剤、散剤、液剤、シロップ剤、または懸濁剤の形態とすることができる。
【0135】
経皮投与については、薬学的組成物は、経皮パッチ、例えば、経皮イオン導入パッチの形態とすることができる。
【0136】
非経口投与については、薬学的組成物は、注射または静注として(例えば、静脈内に、経脈管的に、または皮下に)投与することができる。組成物は、油性媒体または水性媒体中の懸濁液、溶液、または乳濁液のような形態とすることができ、また、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤のような処方用の物質を含めることもできる。注射による投与については、これらは、好ましくは、保存剤が添加されている、単位容量の提示物、または多用量の提示物の形態とすることができる。
【0137】
あるいは、非経口投与については、有効成分は、適切な媒体で再構成される粉末形態とされる場合もある。
【0138】
本発明の化合物はまた、デポー調製物として処方される場合もある。このような長時間作用型の処方物は、移植によって(例えば、皮下または筋肉内に)、あるいは、筋肉注射によって投与することができる。したがって、例えば、本発明の化合物は、適切な高分子物質または疎水性物質とともに(例えば、許容される油中の乳濁液として)、またはイオン交換樹脂とともに、あるいは、難溶性誘導体として(例えば、難溶性の塩として)処方することができる。
【0139】
本発明で使用されるEP受容体化合物は、例えば、以下の他の治療薬と組み合わせて使用される場合もある:COX−2阻害因子、例えば、セレコキシブ、デラコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パラコキシブ、またはCOX−189;5−リポキシゲナーゼ阻害因子;NSAID、例えば、ジクロフェナック、インドメタシン、ナブメトン、またはイブプロフェン;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;DMARD、例えば、メトトレキセート;アデノシンA1受容体アゴニスト;ナトリウムチャンネルブロッカー、例えば、ラモトリジン;NMDA受容体調節因子、例えば、グリシン受容体アンタゴニスト;ガバペンチンおよび関連化合物;三環系抗うつ薬、例えば、アミトリプチリン;神経安定化抗てんかん薬(neurone stabilising antiepileptic drug);モノアミン作動性吸収阻害剤、例えば、ベンラフェクシン;オピオイド鎮痛薬;局所麻酔薬;5HTアゴニスト、例えば、トリプタン、例えば、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、アロモトリプタン、またはリザトリプタン;ニコチン性アセチルコリン(nACh)受容体調節因子;グルタミン酸受容体調節因子、例えば、NR2Bサブタイプの調節因子;EP受容体リガンド;EP受容体リガンド;EP受容体リガンド;EPアゴニストおよびEPアゴニスト;EPアンタゴニスト;EPアンタゴニストおよびEPアンタゴニスト;カンナバノイド受容体リガンド;ブラジキニン受容体リガンドおよびバニロイド受容体リガンド。化合物が他の治療薬と組み合わせて使用される場合は、化合物は、任意の便利な経路によって、連続してまたは同時にいずれかで、投与することができる。
【0140】
さらなるCOX−2阻害因子は、米国特許第5,474,995号、同第5,633,272号;同第5,466,823号、同第6,310,099号、および同第6,291,523号;ならびに、WO96/25405、WO97/38986、WO98/03484、WO97/14691、WO99/12930、WO00/26216、WO00/52008、WO00/38311、WO01/58881、およびWO02/18374に開示されている。
【0141】
したがって、さらなる態様においては、本発明により、さらなる治療薬または物質とともに式(I)の化合物またはその薬学的に許容される誘導体を含む組み合わせが提供される。
【0142】
上記の組み合わせは、薬学的処方物の形態での使用のために提示されることが好都合である場合があり、したがって、薬学的に許容される担体または賦形剤とともに上記で定義される組み合わせを含む薬学的組成物が、本発明のさらなる態様に含まれる。このような組み合わせの個々の成分は、別の薬学的処方物または組み合わせられた薬学的組成物において、連続してまたは同時のいずれかで投与することができる。
【0143】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される誘導体が同じ疾患状態に対して活性がある第2の治療薬と組み合わせて使用される場合は、それぞれの化合物の用量は、それらの化合物が単独で使用される場合の用量とは異なる場合がある。適切な用量は、当業者には容易に明らかであろう。
【0144】
ヒトの処置についての、式(I)の化合物またはそれらの薬学的に供される誘導体について提案されている一日量は、0.01から30mg/kg体重/日であり、より具体的には、0.1から10mg/kg体重/日である。これは、1回の用量として、または分割量として、例えば、1日あたり1回から4回までで投与することができる。成人についての用量範囲は、一般的には、8から2000mg/日、例えば、20から1000mg/日、好ましくは、35から200mg/日である。
【0145】
宿主、特に、ヒト患者に投与される式(I)の化合物の正確な量は、かかりつけの医師の責務である。しかし、使用される用量は、患者の年齢および性別、処置される正確な症状およびその重篤度、ならびに投与経路を含む多数の要因によって変化する。
【0146】
本発明にしたがって投与される場合には、本発明の化合物には容認できない毒物学的影響はない。
【0147】
本明細書中に記載される、特許および特許出願を含むがこれらに限定されない全ての刊行物は、個々の刊行物が、あたかも全て示されているかのように具体的かつ個々に引用により本明細書中に組み入れられているかのように、引用により本明細書中に組み入れられる
【0148】
以下の実施例は、限定するものではなく、本発明の薬理学的活性のある化合物の調製を説明する。
【0149】
実施例
略語:
Bn(ベンジル)、Bu、Pr、Me、Et(ブチル、プロピル、メチル、エチル)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DCM(ジクロロメタン)、DME(エチレングリコールジメチルエーテル)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、EDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)、EtOAc(酢酸エチル)、EtOH(エタノール)、HPLC(高圧液体クロマトグラフィー)、LCMS(液体クロマトグラフィー/質量分光法)、MDAP(質量制御自動調製)、MeOH(メタノール)、NMR(核磁気共鳴(スペクトル))、NMP(n−メチルピロリドン)、Ph(フェニル)、pTSA(パラ−トルエンスルホン酸)、SPE(固相抽出)、TBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド)、THF(テトラヒドロフラン)、s、d、t、q、m、br(一重線、二重線、三重線、四重線、多重線、ブロード)
「ビオテージ」なる語は予め装填されたシリカゲルカートリッジをいう。
【0150】
LCMS
・カラム:3.3cmx4.6mmID、3μmABZ+PLUS
・流速:3ml/分
・注入容量:5μl
・温度:RT
・UV検出範囲:215−330nm
・溶媒: A:0.1%ギ酸+10mM酢酸アンモニウム
B:95%アセトニトリル+0.05%ギ酸
勾配:時間 A% B%
0.00 100 0
0.70 100 0
4.20 0 100
5.30 0 100
5.50 100 0
【0151】
質量制御自動調製(Mass Directed Auto Preparation)
ハードウェア:
ウォーターズ600 グラジエントポンプ
ウォーターズ2767 注入/収集装置
ウォーターズ試薬マネージャー
マイクロマスZMD質量分析計
ギルソン・アスペック−ウエス収集装置
ギルソン115ポストフラクションUV検出装置
ソフトウェア:
マイクロマス・マスリンクス・バージョン4.0
カラム:
使用のカラムは、典型的には、長さが100mmまでで内径が20mmのスペルコLCABZ++カラムである。固定相の粒度は5μmである。
溶媒:
A: 水性溶媒=水+0.1%ギ酸
B: 有機溶媒=MeCN:水 95:5+0.05%ギ酸
メーキャップ溶媒=MeOH:水 80:20+50ミリモル酢酸アンモニウム
ニードル・リンス溶媒=MeOH:水:DMSO 80:10:10
【0152】
使用方法は目的とする化合物の分析的保持時間による。15分の作動時間、これは10分の勾配工程と、5分のカラムフラッシュと再平衡工程とを含む。
MDP1.5−2.2=0−30%B
MDP2.0−2.8=5−30%B
MDP2.5−3.0=15−55%B
MDP2.8−4.0=30−80%B
MDP3.8−5.5=50−90%B
【0153】
流速:
流速 20ml/分
【0154】
2−ベンジルオキシ−5−クロロ−ベンズアルデヒド
【0155】
【化13】

【0156】
5−クロロサリチルアルデヒド(10.1g、64.6ミリモル)、臭化ベンジル(11.5ml、96.7ミリモル)およびKCO(17.9g、13.0ミリモル)をDMF(65ml)中60℃にて18時間加熱した。室温に冷却して、EtOおよびHOを添加した。層を分離し、水相をEtOで抽出した。合した有機抽出液を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して表記化合物を得た(15.8g、100%)。
H NMR(400MHz,CDCl)5.18(2H,s)、7.00(1H,d,J=9Hz)、7.32−7.44(5H,過剰なm)、7.47(1H,dd,J=3Hz,J=9Hz)、7.80(1H,d,J=3Hz)、10.50(1H,s)。
【0157】
以下の化合物を2−ベンジルオキシ−5−クロロ−ベンズアルデヒドと同様の方法により適当な中間体より調製した。
【0158】
【表1】

【0159】
5−クロロ−2−シクロペンチルメトキシ−ベンズアルデヒド
【0160】
【化14】

【0161】
5−クロロサリチルアルデヒド(1g、6.4ミリモル)、シクロペンチルメチルトシラート(1.9g、7.5ミリモル)およびKCO(3.5g、25.4ミリモル)をDMF(10ml)中60℃にて18時間加熱した。室温に冷却して、EtOAcおよびHOを添加した。層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。合した有機抽出液を乾燥させ(MgSO)、濾過して濃縮した。残渣を一連の勾配のEtOAc(5−50%)を含有するイソヘキサンでのバイオテージ(Biotage)を用いるクロマトグラフィーにより精製し、表記化合物を油として得た(0.91g、65%)。
LCMS t=3.99
【0162】
以下の化合物を5−クロロ−2−シクロペンチルメトキシ−ベンズアルデヒドと同様の方法により適当な中間体より調製した。
【0163】
【表2】

【0164】
1−(2−ベンジルオキシ−5−クロロ−フェニル)−ペンタン−1,4−ジオン
【0165】
【化15】

【0166】
2−ベンジルオキシ−5−クロロ−ベンズアルデヒド(4.04g、16.41ミリモル)、メチルビニルケトン(1.64ml、19.7ミリモル)、臭化3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム(654mg、2.60ミリモル,0.15当量)およびトリエチルアミン(3.4ml、28.7ミリモル)をエタノール(5.5ml、3M)中80℃にて5時間加熱した。冷却した後、該混合物をEtOAcで希釈し、飽和NH4Clおよび飽和NaHCOで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過して濃縮した。残渣を一連の勾配のEtOAc(5−15%)を含有するイソヘキサンでのバイオテージを用いるクロマトグラフィーにより精製し、表記化合物を油として得た(4.01g、81%)。
H NMR(400MHz,CDCl)2.18(3H,s)、2.78(2H,d,J=6Hz)、3.23(2H,d,J=6Hz)、5.15(2H,s)、6.95(1H,d,J=9Hz)、7.23−7.50(6H,過剰なm)、7.70(1H,d,J=3Hz)。
【0167】
以下の化合物を1−(2−ベンジルオキシ−5−クロロ−フェニル)−ペンタン−1,4−ジオンと同様の方法により適当な中間体より調製した。
【0168】
【表3−1】

【0169】
【表3−2】

【0170】
3−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−メチル−安息香酸メチルエステル
【0171】
【化16】

【0172】
1−[5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル]−ペンタン−1,4−ジオン(111mg)、5−アミノ−2−メチル−安息香酸(61mg)およびpTSA(触媒量)をNMP(4.5mL)中150℃にて10分間マイクロ波を用いて加熱した。該混合物をEtOで希釈し、2M HClで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過して蒸発させた。残渣をMDAPで精製して、表記化合物を得た(89mg)。
LCMS t=4.04分、[MH]432/434
【0173】
以下の化合物を3−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−メチル−安息香酸メチルエステルと同様の方法により適当な中間体より調製した。
【0174】
【表4】

【0175】
6−[2−(5−トリフルオロメチル−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−2−ブロモ−ピリジン
【0176】
【化17】

【0177】
CHCN(5ml)中の1−(2−ベンジルオキシ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−ペンタン−1,4−ジオン(1.5g、4.3ミリモル)、2−アミノ−6−ブロモピリジン(0.75g、4.3ミリモル)およびp−TSA(10mg、触媒量)を密封容器中200℃にて1.5時間マイクロ波を用いて加熱した。冷却した後、該反応物を濃縮し、残渣を溶出液としてイソヘキサン/EtOAc(5%)でのバイオテージを用いるクロマトグラフィーにより精製し、表記化合物を得た(645mg、31%)。
LCMS t=4.14[MH]487/489。
【0178】
以下の化合物を6−[2−(5−トリフルオロメチル−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−2−ブロモ−ピリジンと同様の方法により適当な中間体より調製した。
【0179】
【表5】

【0180】
実施例1:6−{2−[5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸
【0181】
【化18】

【0182】
n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、1.44mL、2.31ミリモル)をTHF(20ml)中の6−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−2−ブロモ−ピリジン(700mg、1.54ミリモル)に−78℃にて添加した。この温度で1時間経過した後、CO固体を加え、該溶液を室温にまで加温した。反応混合物を蒸発乾固させ、得られた黄色油を10%EtOAc/シクロヘキサンでトリチュレートした。混合物を濾過し、残渣を集めた。濾液はLCMSによりいくつかの生成物を含有することが判明し、それを蒸発乾固させ、5%EtOAc/シクロヘキサンでトリチュレートして濾過した。残渣を集めた。LCMS t=3.81分[MH]419/421。
【0183】
6−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−ピコリン酸メチルエステル
【0184】
【化19】

【0185】
該酸(400mg、0.95ミリモル)および塩化チオニル(173μL、2.38ミリモル)のメタノール(5mL)中溶液を、N下、還流温度で3時間攪拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、残渣をCHClに溶かした。該溶液を2N NaOH(水性)で洗浄した。有機相を蒸発乾固させ、生成物を褐色固体として得た(217mg、0.50ミリモル,53%)。
H NMR(CDCl):δ2.38(3H,s)、3.94(3H,s)、4.69(2H,s)、6.13(1H,d,J=3Hz)、6.35(1H,d,J=3.26Hz)、6.61(1H,d,J=8Hz)、7.05−7.09(3H,m)、7.25−7.30(5H,m,過剰)、7.64(1H,t,J=7.8Hz)、7.97(1H,d,J=7.5Hz)。
【0186】
以下の化合物を6−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−ピコリン酸メチルエステルと同様の方法により適当な中間体より調製した。
【0187】
【表6】

【0188】
3−[2−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−メチル−安息香酸メチルエステル
【0189】
【化20】

【0190】
ベンジルエーテル(2g、4.49ミリモル)をエタノール(50mL)に溶かし、該溶液を、N下、Pd(OH)(炭素上20%、150mg)に添加した。水素添加を75分間にわたって行った(130mL H)。反応混合物をセライトを介して濾過し、エタノールを通して洗浄し、蒸発させて赤色油とした。該残渣を一連の勾配の0−3%EtOACを含有するシクロヘキサンで溶出するバイオテージ25Sを用いるクロマトグラフィーにより精製した。この操作により表記化合物を黄色油として得た(846mg、2.38ミリモル、53%)。
LCMS t=3.64分[MH]356/358
【0191】
3−{2−[5−クロロ−2−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル−安息香酸メチルエステル
【0192】
【化21】

【0193】
フェノール(141mg、0.397ミリモル)および臭化2,6−ジフルオロベンジル(82mg、0.397ミリモル)を炭酸カリウム(110mg、0.794ミリモル)と一緒にDMF(1mL)中60℃にて16時間加熱した。反応混合物をHOで希釈し、EtOで2回抽出した。有機抽出液を集め、MgSO上で乾燥させ、蒸発乾固させた。該残渣を一連の勾配の0−5%EtOACを含有するシクロヘキサンで溶出するSPEシリカカートリッジ(5g)を用いるクロマトグラフィーにより精製した。この操作により、表記化合物を無色油として得た(108mg、0.225ミリモル、57%)。LCMS t=4.08[MH]482/484。
【0194】
以下の化合物を3−{2−[5−クロロ−2−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル−安息香酸メチルエステルと同様の方法により適当な中間体より調製した。
【0195】
【表7−1】

【0196】
【表7−2】

【0197】
【表7−3】

【0198】
【表7−4】

【0199】
実施例2:3−{2−[5−クロロ−2−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル−安息香酸
【0200】
【化22】

【0201】
このメチルエステル(108mg、0.225ミリモル)をEtOH(2mL)中2N NaOH(0.5mL、水性)と一緒に120℃に5分間マイクロ波にて加熱した。反応混合物をCHClで希釈し、2N HCl(水性)と一緒に振盪し、疎水性フリットを用いて分離させた。有機相を蒸発させて表記化合物を赤色ガムとして得た(64mg、0.137ミリモル、61%)。
LCMS t=3.89分[MH]468/470。
【0202】
以下の化合物を3−{2−[5−クロロ−2−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−6−メチル−安息香酸と同様の方法により適当な中間体より調製した。
【0203】
【表8−1】

【0204】
【表8−2】

【0205】
【表8−3】

【0206】
【表8−4】

【0207】
6−[2−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−ピコリン酸エチルエステル
【0208】
【化23】

【0209】
ベンジルエーテル(300mg、0.693ミリモル)をエタノール(10mL)に溶かした。該溶液をN下で水酸化パラジウム(100mg)に添加した。水素添加を3時間にわたって行った(16mLのHを消費した)。LCMSは出発物質がいくらか残っていることを示した。該溶液をN下でセライトを介して濾過し、新たな触媒(100mg)に添加した。水素添加を1.5時間続けた。LCMSは出発物質が残っていないことを示した。該反応混合物をセライトを介して濾過し、蒸発乾固させた。H NMR(CDCl)はメチルおよびエチルエステルの混合物が形成されたことを示した。粗生成物を炭酸カリウム(3当量、308mg)を含むEtOH(10mL)と一緒に40℃で攪拌し、すべての生成物をエチルエステルの形態に変換した。LCMSによりこの工程の完了が確認された。粗生成物を5%EtOAc/20%CHCl/75%シクロヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィー(SPE、10g、Si)を用いて精製し、該生成物を褐色ガムとして得た(121mg、0.353ミリモル、51%)。LCMS t=3.95分[MH]337および449
【0210】
6−{2−[5−ブロモ−2−メトキシ−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸エチルエステル
【0211】
【化24】

【0212】
6−{2−[5−ブロモ−2−メトキシ−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−2−ブロモ−ピリジン(1.15g、2.73ミリモル)、Pd(PPhCl(96mg、0.14ミリモル)、トリエチルアミン(2.25ml)およびエタノール(7.5ml)の混合液を一酸化炭素気体で飽和させた。ついで、該混合物を一酸化炭素の雰囲気下還流温度で16時間加熱した。冷却後、揮発物を真空下で除去し、この粗油を溶出液としてイソヘキサン/EtOAc(7−25%)でのバイオテージを用いるクロマトグラフィーにより精製し、表記化合物を得た(710mg、63%)。
LCMS t=3.63[MH]415/417。
【0213】
以下のエステルを6−{2−[5−ブロモ−2−メトキシ−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸エチルエステルと同様の方法により適当な中間体より調製した。
【0214】
【表9】

【0215】
3−[2−(5−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−ピコリン酸エチルエステル
【0216】
【化25】

【0217】
3−[2−(5−トリフルオロメチル−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−ピコリン酸エチルエステル(0.32g、0.7ミリモル)、活性炭上パラジウム(50%の水を含有する10%パラジウム/活性炭)(71mg)、ギ酸アンモニウム(0.21g、3.3ミリモル)およびEtOH(5ml)を窒素雰囲気下60℃で1時間攪拌した。冷却後、該混合物を濾過し、溶媒を真空下で除去した。残渣を10%EtOAc/イソヘキサンで溶出するバイオテージ40Mを用いるクロマトグラフィーにより精製し、表記化合物を黄色油として得た(0.226g、87%)。
LCMS t=3.46[MH]391
【0218】
6−[2−(5−ブロモ−2−ヒドロキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−ピコリン酸
【0219】
【化26】

【0220】
DMF(75ml)中の6−{2−[5−ブロモ−2−メトキシ−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸エチルエステル(980mg、2.36ミリモル)およびナトリウムメタンチオラート(830mg、11.8ミリモル)を100℃で4時間加熱した。冷却して、該混合物を2MHCl(250ml)で希釈し、EtOAc(3x150ml)で抽出した。有機物を水(2x50ml)、ブライン(50ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮して表記化合物を黄色油として得た(1.2g)。LCMS t=3.84分[MH]373/375。
【0221】
以下のフェノールを6−[2−(5−ブロモ−2−ヒドロキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−ピコリン酸と同様の経路にて適当な中間体より調製した。
【0222】
【表10】

【0223】
6−[2−(5−ブロモ−2−ヒドロキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−ピコリン酸メチルエステル
【0224】
【化27】

【0225】
メタノール(10ml)中の6−[2−(5−ブロモ−2−ヒドロキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−ピコリン酸(1g)および濃硫酸(0.2ml)を55℃で5時間加熱した。冷却後、NH水溶液(.880)(2ml)を添加し、該混合物を真空下で濃縮した。残渣を2M HCl(50ml)とEtOAc(50ml)の間に分配した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過して濃縮した。残渣を一連の勾配のEtOAc(10−50%)を含有するイソヘキサンでのバイオテージを用いるクロマトグラフィーにより精製し、表記化合物を油として得た(550mg)。LCMS t=3.26分[MH]387/389
【0226】
6−{2−[5−ブロモ−2−ベンジルオキシ−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸メチルエステル
【0227】
【化28】

【0228】
6−[2−(5−ブロモ−2−ヒドロキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−ピコリン酸メチルエステル(0.11g、0.28ミリモル)、臭化ベンジル(0.035ml、0.28ミリモル)およびKCO(0.43g、0.31ミリモル)をブタン−2−オン(4ml)中還流温度で16時間加熱した。該混合物を冷却し、CHCl(20ml)で希釈し、水(2ml)と一緒に振盪した。有機物をNaSOカートリッジを装着した相分離カラムを用いて分離し、濃縮した。残渣を溶出液としてイソヘキサン/EtOAc(10−15%)でのバイオテージを用いるクロマトグラフィーで精製し、表記化合物を得た。LCMS t=3.89[MH]477/479。
【0229】
以下のエステルを6−{2−[5−ブロモ−2−ベンジルオキシ−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸メチルエステルと同様の経路により適当な中間体より調製した。
【0230】
【表11−1】

【0231】
【表11−2】

【0232】
【表11−3】

【0233】
【表11−4】

【0234】
【表11−5】

【0235】
【表11−6】

【0236】
【表11−7】

【0237】
実施例21:6−{2−[5−ブロモ−2−ベンジルオキシ−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸
【0238】
【化29】

【0239】
6−{2−[5−ブロモ−2−ベンジルオキシ−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸(150mg)をエタノール(5ml)および2M NaOH(1ml)に溶かし、密封容器中、120℃で15分間、マイクロ波を用いて加熱した。冷却後、反応物をCHCl(20ml)で希釈し、希塩酸(3ml)と一緒に振盪させた。有機物をNaSOカートリッジを装着した相分離カラムを用いて分離して濃縮し、表記化合物を得た。LCMS t=3.97分[MH]463/465
【0240】
以下の酸を6−{2−[5−ブロモ−2−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−メチル−ピロール−1−イル}−ピコリン酸と同様の経路により適当な中間体より調製した。
【0241】
【表12−1】

【0242】
【表12−2】

【0243】
【表12−3】

【0244】
【表12−4】

【0245】
【表12−5】

【0246】
【表12−6】

【0247】
【表12−7】

【0248】
【表12−8】

【0249】
【表12−9】

【0250】
3−[2−(5−クロロ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−メチル安息香酸エチルエステル
【0251】
【化30】

【0252】
1−[5−クロロ−2−イソブチルオキシフェニル]−ペンタン−1,4−ジオン(0.065g、0.23ミリモル)、3−アミノ−6−メチル−安息香酸エチル(0.041g、0.23ミリモル)およびpTSA(触媒量)の無水アセトニトリル(1mL)中溶液をマイクロ波反応器中にて10分間160℃にて加熱した。反応混合物をCHCl(10mL)で希釈し、2N HCl(1mL)と一緒に振盪させ、有機物を分離し、乾燥させ(MgSO)、真空下で濃縮した。この油をシリカクロマトグラフィー(シクロヘキサン→シクロヘキサン中20%EtOAc)に付して精製し、表記化合物を黄色油として得た(0.058g、60%)。
LCMS rt=4.56分[MH]426/428
【0253】
以下のエステルを3−[2−(5−クロロ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−メチル安息香酸エチルエステルと同様の経路により適当な中間体より調製した。
【0254】
【表13】

【0255】
実施例57:3−[2−(5−クロロ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−メチル安息香酸ナトリウム塩
【0256】
【化31】

【0257】
3−[2−(5−クロロ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−メチル安息香酸エチルエステル(58mg)をエタノール(2ml)および2M NaOH(1ml)に溶かし、密封容器中、100℃で5分間、マイクロ波を用いて加熱した。冷却後、反応物をCHCl(20ml)で希釈し、希塩酸(3ml)と一緒に振盪させた。有機物をNaSOカートリッジを装着した相分離カラムを用いて分離し、かつ濃縮した。該油をシリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン→シクロヘキサン中20%EtOAc)に付して精製して酸を得た。これをメタノール(5ml)および2M NaOH(1ml)に溶かし、密封容器中、100℃で5分間、マイクロ波を用いて加熱した。冷却後、該混合物を真空下で濃縮し、得られた残渣を水で希釈し、EtOAc(x3)で抽出し、有機物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して表記化合物を得た(48mg、84%)。LCMS t=4.23分[MH]398/400
【0258】
以下の塩を3−[2−(5−クロロ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−メチル安息香酸ナトリウム塩と同様の経路により適当な中間体より調製した。
【0259】
【表14−1】

【0260】
【表14−2】

【0261】
実施例65:3−[2−(5−クロロ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−フルオロ安息香酸ナトリウム塩
【0262】
【化32】

【0263】
1−[5−クロロ−2−イソブチルオキシフェニル]−ペンタン−1,4−ジオン(0.25g、0.88ミリモル)、3−アミノ−6−フルオロ−安息香酸(0.14g、0.88ミリモル)およびpTSA(触媒量)の無水アセトニトリル(5mL)中溶液をマイクロ波反応器中160℃で10分間加熱した。冷却後、反応物をCHCl(20ml)で希釈し、希塩酸(3ml)で振盪させた。有機物をNaSOカートリッジを装着した相分離カラムを用いて分離し、かつ濃縮した。該油をシリカクロマトグラフィー(シクロヘキサン→シクロヘキサン中20%EtOAc)に付して精製し、油を得た。これをメタノール(5ml)および2M NaOH(1ml)に溶かし、密封容器中、100℃で5分間、マイクロ波を用いて加熱した。冷却後、該混合物を真空下で濃縮し、得られた残渣を水で希釈し、EtOAc(x3)で抽出し、有機物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して表記化合物を得た(0.14g、38%)。
LCMS rt=4.13分[MH]402/404
【0264】
以下の塩を3−[2−(5−クロロ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−5−メチル−ピロール−1−イル]−6−フルオロ安息香酸ナトリウム塩と同様の経路により適当な中間体より調製した。
【0265】
【表15】

【0266】
塩化5−クロロ−2−メトキシ−ベンゾイル
【0267】
【化33】

【0268】
塩化チオニル(7.8mL,0.108モル)を5−クロロ−2−メトキシ−安息香酸(10g、0.054モル)の無水CHCl(54mL)中溶液に滴下した。反応物を還流温度にまで加熱し、窒素下で23時間にわたって攪拌した。反応混合物を冷却し、真空下で減少させた。次の段階にてその酸塩化物を直ちに使用した。
【0269】
次の酸塩化物を塩化5−クロロ−2−メトキシ−ベンゾイルと同様の経路により適当な中間体より調製し、その各々を次の段階にて直ちに使用した。
【0270】
【表16】

【0271】
1−(5−クロロ−2−メトキシ−フェニル)−3−[1,3]ジオキソラン−2−イル−プロパン−1−オン
【0272】
【化34】

【0273】
2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソラン(0.008モル、1mL)を窒素下のマグネシウム屑(0.113モル、2.73g)の無水THF(40mL)中懸濁液に滴下した。該反応物を50℃に加熱し、還流を一定に維持しながら、さらに2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソラン(0.048モル、5.61mL)を滴下した。添加終了後、反応物を0℃に冷却し、ついでカニューレを介して25分間にわたって塩化5−クロロ−2−メトキシ−ベンゾイル(0.054モル)の無水THF(40mL)中の予め冷却した(−65℃)溶液に移し、反応温度を−45℃と−65℃の範囲に維持した。添加終了後、反応物を2時間にわたって−4℃にまでゆっくりと昇温させ、水(20mL)を添加した。水層を分離し、EtOAc(2x100mL)で抽出した。抽出液を有機層と合し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空下で濃縮させた。該油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン→シクロヘキサン中15%EtOAc)に付して精製し、表記化合物をクリーム色固体として得た(1.58g、11%)。
H NMR(CDCl)−δ2.08(dt,2H)、3.09(t,2H)、3.90(m,7H)、6.90(d,1H)、7.39(dd,1H)、7.65(d,1H)。
【0274】
以下のジオキソランを1−(5−クロロ−2−メトキシ−フェニル)−3−[1,3]ジオキソラン−2−イル−プロパン−1−オンと同様の経路により適当な中間体より調製した。
【0275】
【表17】

【0276】
3−[2−(5−クロロ−2−メトキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−安息香酸エチルエステル
【0277】
【化35】

【0278】
1−(5−クロロ−2−メトキシ−フェニル)−3−[1,3]ジオキソラン−2−イル−プロパン−1−オン(1.58g、5.82ミリモル)、3−アミノ安息香酸エチル(6.4ミリモル,0.96mL)およびpTSA(触媒量)の無水1−メチル−2−ピロリジノン(6mL)中溶液をマイクロ波反応器中150℃にて12分間加熱した。反応混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、2N HCl(25mL)および飽和NaHCO(25mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空下で濃縮させた。該油をシリカクロマトグラフィー(シクロヘキサン→シクロヘキサン中5%EtOAc)に付して精製し、表記化合物を橙色油として得た(0.91g、44%)。
H NMR(CDCl)−δ1.37(t,3H)、3.24(s,3H)、4.35(q,2H)、6.40(m,2H)、6.60(d,1H)、7.04(dd,1H)、7.20(dd,1H)、7.23(ddd,1H)、7.31(dd,1H)、7.35(d,1H)、7.89(m,2H)。
【0279】
以下のピロールを3−[2−(5−クロロ−2−メトキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−安息香酸エチルエステルと同様の経路により適当な中間体より調製した。
【0280】
【表18】

【0281】
3−[2−(5−クロロ−2−メトキシ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−ピロール−1−イル]−安息香酸エチルエステル
【0282】
【化36】

【0283】
硫酸鉄(II)・七水和物(1.12ミリモル、0.310g)を3−[2−(5−クロロ−2−メトキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−安息香酸エチルエステル(0.66g、1.86ミリモル)の無水DMSO(10mL)中溶液に添加した。ヨウ化トリフルオロメチルを該溶液に2分間にわたって泡立たせた。ついで、過酸化水素(30%重量/重量の水溶液、1.26mL)を添加し、該反応物を22℃で2時間攪拌した。該反応物を亜硫酸ナトリウム飽和水溶液(100mL)に加え、該懸濁液をジエチルエーテル(100mL)で抽出した。そのエーテル抽出液を乾燥させ(MgSO)、真空下で濃縮した。粗生成物をシリカクロマトグラフィー(シクロヘキサン→シクロヘキサン中5%EtOAc)に付して精製し、表記化合物を黄色油として得た(0.34g、43%)。
LCMS t=3.94分[MH]424
【0284】
3−[2−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−ピロール−1−イル]−安息香酸
【0285】
【化37】

【0286】
ナトリウムチオメトキシド(4ミリモル、0.28g)を3−[2−(5−クロロ−2−メトキシ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−ピロール−1−イル]−安息香酸エチルエステル(0.80ミリモル、0.341g)の無水ジメチルホルムアミド(7.5mL)中溶液に添加した。反応物を100℃に加熱し、4時間攪拌した。該反応混合物を2N HCl(30mL)とEtOAc(50mL)の間に分配させた。水層を分離し、EtOAc(2x50mL)で抽出した。EtOAc層を合し、ブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空下で濃縮させた。粗生成物をシリカクロマトグラフィー(シクロヘキサンから→CHCl→CHCl中30%EtOAc)に付して精製し、黄色油を得た(0.26g、85%)。
H NMR(CDCl)−δ6.42(d,1H)、6.77(d,1H)、6.86(d,1H)、6.89(d,1H)、7.09(dd,1H)、7.44(m,2H)、7.98(s,1H)、8.02(m,2H)、8.09(m,1H)。
【0287】
実施例69:3−{2−[5−クロロ−2−(2,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−トリフルオロメチル−ピロール−1−イル}−安息香酸
【0288】
【化38】

【0289】
炭酸カリウム(0.37ミリモル、65mg)およびヨウ化カリウム(0.034ミリモル、5.6mg)を3−[2−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−ピロール−1−イル]−安息香酸(0.17ミリモル,0.065mg)の無水MeOH(1.7mL)中溶液に添加した。該反応物を60℃に加熱し、臭化2,4−ジフルオロベンジル(0.34ミリモル、44μL)を滴下した。加熱を1時間続けた。反応物を冷却し、真空下で濃縮し、2N HCl(2mL)とCHCl(2mL)の間に分配させた。有機層を集め、溶媒を除去した。粗生成物をMDAPを介して精製し、白色固体を得た(42.3mg、49%)。LCMS t=3.97分[MS−]506/508。
【0290】
以下の酸を3−{2−[5−クロロ−2−(2,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−トリフルオロメチル−ピロール−1−イル}−安息香酸と同様の経路により適当な中間体より調製した。
【0291】
【表19】

【0292】
実施例74:3−[2−(2−ベンジルオキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−安息香酸
【0293】
【化39】

【0294】
3−[2−(2−ベンジルオキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−安息香酸エチルエステル(0.046g、0.1ミリモル)を、エタノール(0.5mL)および2M 水酸化ナトリウム(1.5mL)の混合物中、100℃、マイクロ波にて2分間加熱した。冷却後、該混合物をCHClおよび2M HClで希釈し、ついで硫酸ナトリウムのカートリッジを取り付けた疎水性フリットを介して濾過し、蒸発させて表記化合物を得た。LCMS t=3.78分[MH]370;[MH]368。
【0295】
以下の酸を3−[2−(2−ベンジルオキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−安息香酸と同様の経路で適当な中間体より調製した。
【0296】
【表20】

【0297】
実施例76:3−[2−(5−クロロ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−6−フルオロ−安息香酸ナトリウム塩
【0298】
【化40】

【0299】
1−(5−クロロ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−3−[1,3]ジオキソラン−2−イル−プロパン−1−オン(0.1g、0.3ミリモル)、3−アミノ−6−フルオロ−安息香酸(0.05g、0.3ミリモル)およびpTSA(触媒量)の無水アセトニトリル(1mL)中溶液をマイクロ波反応器中160℃にて30分間加熱した。冷却後、該反応物をCHCl(20ml)で希釈し、希塩酸(3ml)で振盪させた。有機物をNaSOカートリッジを装着した相分離カラムを用いて分離し、濃縮させた。該油をシリカクロマトグラフィー(シクロヘキサン→シクロヘキサン中20%EtOAc)に付して精製して酸を得た。これをメタノール(5ml)および2M NaOH(1ml)に溶かし、密封容器中、マイクロ波を用いて100℃にて5分間加熱した。冷却後、該混合物を真空下にて濃縮し、得られた残渣を水で希釈し、EtOAc(x3)で抽出し、有機物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して表記化合物を得た(0.01g)。
LCMS rt=4.13分[MH]386/388
【0300】
実施例77:3−[2−(5−ブロモ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−6−フルオロ−安息香酸
【0301】
【化41】

【0302】
1−(5−ブロモ−2−イソブチルオキシ−フェニル)−3−[1,3]ジオキソラン−2−イル−プロパン−1−オン(0.1g、0.3ミリモル)、3−アミノ−6−フルオロ−安息香酸(0.05 g、0.3ミリモル)およびpTSA(触媒量)の無水アセトニトリル(1mL)中溶液をマイクロ波反応器中160℃にて30分間加熱した。冷却後、反応物をCHCl(20ml)で希釈し、希塩酸(3ml)と一緒に振盪させた。有機物をNaSOカートリッジを装着した相分離カラムを用いて分離し、濃縮させた。該油をシリカクロマトグラフィー(シクロヘキサン→シクロヘキサン中20%EtOAc)に付して精製し、表記化合物を得た(0.01g)。
LCMS rt=4.20分[MH]430/432
【0303】
6−[2−(5−クロロ−2−メトキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−ピコリン酸エチルエステル
【0304】
【化42】

【0305】
2−ブロモ−6−[2−(5−クロロ−2−メトキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−ピリジン(0.16g、0.4ミリモル)の無水エタノール(1.3mL)中攪拌溶液に、トリエチルアミン(0.4mL)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(5モル%)を添加した。その反応物を、一酸化炭素雰囲気下、75℃で65時間加熱した。反応物を真空下で減少させ、シリカクロマトグラフィー(シクロヘキサン→シクロヘキサン中25%EtOAc)に付して精製し、黄色油を得た(48mg、33%)。LCMS t=3.58分[MH]357/359
【0306】
以下の化合物を6−[2−(5−クロロ−2−メトキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−ピコリン酸エチルエステルと同様の経路により適当な中間体より調製した。
【0307】
【表21】

【0308】
6−[2−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−ピコリン酸
【0309】
【化43】

【0310】
6−[2−(5−クロロ−2−メトキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−ピコリン酸エチルエステル(47mg、0.132ミリモル)の無水DMF(2mL)中攪拌溶液に、ナトリウムチオメトキシド(0.66ミリモル、46mg)を添加した。反応物を100℃で4時間加熱し、冷却させ、ついでEtOAc(50mL)と2N HCl(30mL)の間に分配した。水層を分離し、EtOAc(2x50mL)で抽出した。有機物を合し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を除去した。粗生成物をシリカクロマトグラフィー(CHCl→CHCl中25%EtOAc)に付して精製し、無色のガラス結晶体を得た(31mg、74%)。LCMS t=3.62分[MH]315/317。
【0311】
実施例78:6−{2−[5−クロロ−2−(2,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル)−ピロール−1−イル]−ピコリン酸ナトリウム塩
【0312】
【化44】

【0313】
6−[2−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−ピロール−1−イル]−ピコリン酸(0.098ミリモル、30.8mg)の無水メタノール(2mL)中溶液に、炭酸カリウム(0.216ミリモル、30mg)およびヨウ化カリウム(0.02ミリモル、3.2mg)を添加した。反応物を60℃に加熱し、臭化2,4−ジフルオロベンジル(0.196ミリモル、25μL)を滴下した。反応物を60℃でさらに75分間加熱した。反応物から溶媒を除去し、残渣を2N HCl(1mL)とCHCl(2mL)の間に分配した。有機層を集め、溶媒を除去した。サンプルをまず質量制御のHPLCで精製し、ついでアミノプロピルSPEカートリッジを介して精製した。所望の化合物をメタノール/水酸化ナトリウム水溶液に溶かした。有機溶媒を窒素流の下で除去し、得られた懸濁液をCHClで抽出した。抽出物を合し、乾燥させ、溶媒を除去して所望の生成物を得た(22.4mg、49%)。LCMS t=3.82分[MH]440/442。
【0314】
3−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−クロロ−ピロール−1−イル]−安息香酸エチルエステル
【0315】
【化45】

【0316】
N−クロロスクシンイミド(26mg、0.20ミリモル)を0℃にて3−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−ピロール−1−イル]−安息香酸エチルエステル(74mg、0.17ミリモル)のTHF(1.7mL)中攪拌溶液に添加した。攪拌を0℃にて1時間続け、ゆっくりと室温にまで加温させ、攪拌を一夜続けた。水を加え、該混合物をDCMで抽出した。合した抽出物を乾燥させ(NaSO)、真空下で濃縮して表記化合物を得た。
LCMS t=4.41分[MH]466
【0317】
以下の化合物を3−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−クロロ−ピロール−1−イル]−安息香酸エチルエステルと同様の経路により適当な中間体から調製した。
【0318】
【表22】

【0319】
実施例79:3−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−クロロ−ピロール−1−イル]−安息香酸ナトリウム塩
【0320】
【化46】

【0321】
3−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−ピロール−1−イル]−安息香酸エチルエステル(80mg)をEtOH(1.8mL)に溶かし、2M NaOH(0.9mL)を添加した。該混合物を室温で4.5時間攪拌し、ついで真空下で蒸発させた。水を加え、該混合物をEtOAcで抽出した。合した抽出物を乾燥させ(NaSO)、真空下で濃縮して表記化合物を得た。
LCMS t=4.09分[MH]438;[MH]436、438。
【0322】
実施例80:6−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−クロロ−ピロール−1−イル]−ピコリン酸
【0323】
【化47】

【0324】
6−[2−(5−クロロ−2−ベンジルオキシ−フェニル)−5−クロロ−ピロール−1−イル]−ピコリン酸エチルエステル(12mg)をEtOH(2mL)に溶かし、2M NaOH(1mL)を添加した。該混合物を室温で18時間攪拌し、ついで真空下で蒸発させた。2M HClを加え、該混合物をEtOAcで抽出した。合した抽出物を乾燥させ(NaSO)、真空下で濃縮した。残渣をMDAPを用いて精製して表記化合物を得た。
LCMS t=4.28分[MH]439/441/443
【0325】
本発明は、上記した個々の、および好ましい下位群のすべての組み合わせに及ぶことを理解すべきである。
【0326】
生物学的活性の測定アッセイ
式(I)の化合物は以下のアッセイを用いて試験し、インビトロおよびインビボにおけるそのプロスタノイド・アンタゴニストまたはアゴニスト活性、ならびにその選択性を測定することができる。検査対象のプロスタグランジン受容体はDP、EP、EP、EP、EP、FP、IPおよびTPである。
【0327】
化合物がEPおよびEP受容体に拮抗する能力は、機能的カルシウム動員アッセイを用いて証明することができる。簡単に言うと、化合物のアンタゴニスト特性は、天然のアゴニストホルモンであるプロスタグランジンE(PGE)によるEPまたはEP受容体の活性化に反応して、細胞内カルシウム([Ca2+)の移動を阻害するその能力により評価される。アンタゴニストの濃度が増大すると、所定の濃度のPGEが移動できるカルシウムの量が減少する。正味の効果は、PGE濃度−効果曲線をより高い濃度のPGEに置き換えることである。カルシウム感受性蛍光色素、例えば、Fluo−3、AMおよび適当な装置、例えば、Fluorimetric Imaging Plate Reader(FLIPR)を用いて、生じるカルシウムの量を評価する。受容体活性化により生じる[Ca2+の量が増大すると、色素により生じる蛍光量が増大し、シグナルを増大させる。シグナルはFLIPR装置を用いて検出することができ、得られるデータを適当な曲線適合ソフトウェアを用いて分析することができる。
【0328】
ヒトEPまたはEPカルシウム動員アッセイ(以下、「カルシウムアッセイ」という)は、EPまたはEP cDNAのいずれかを含有する適当なベクターが以前にトランスフェクトされているチャイニーズハムスター卵巣−K1(CHO−K1)細胞を使用する。培地、例えば、10%v/vウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、0.25mg/mlゲネチシンおよび10μg/mlプロマイシンを補足したDMEM:F−12を含有する適当なフラスコ中で細胞を培養する。
【0329】
アッセイのために、Verseneなどの細胞を除去する一般用試薬を用いて細胞を収穫する。384穴プレートに導入するために、細胞を適量の新鮮な培地に再懸濁させる。37℃で24時間インキュベートした後、培地を、fluo−3およびデタージェントのプルロン酸を含有する培地と置換し、さらにインキュベーションを行う。ついで、濃度−効果曲線を作成するために、一連の濃度の化合物をプレートに添加する。化合物のアゴニスト特性を評価するために、このことはFLIPRで行われうる。ついで、化合物のアンタゴニスト特性を評価するために、一連の濃度のPGEをプレートに添加する。
【0330】
このようにして得られたデータをコンピューターによる曲線適合慣用操作により分析することができる。そして、PGEにより誘発されるカルシウム動員の最大の半分の阻害(pIC50)を惹起する化合物の濃度が推定されうる。
【0331】
ヒトプロスタノイドEP受容体の結合アッセイ
H]−PGE2を用いる競合アッセイ
化合物の効力は放射性リガンド結合検定を用いて測定される。このアッセイにおいて、化合物の効力は、ヒトEP受容体に対する結合に関してトリチウム化されたプロスタグランジンE([H]−PGE)と競合するその能力から測定される。
【0332】
このアッセイはEP cDNAを含有する安定したベクターを以前にトランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣−K1(CHO−K1)細胞を用いる。細胞を、培地、例えば、10%v/vウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、0.25mg/mlゲネチシン、10μg/mlプロマイシンおよび10μMインドメタシンを補足したDMEM:F−12を含有する適当なフラスコ中で培養する。
【0333】
1mMエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(NaEDTA)および10μMインドメタシンを含有するカルシウムおよびマグネシウム不含のリン酸塩緩衝塩溶液中で5分間インキュベートすることにより細胞を培養フラスコから分離させる。250×gで5分間遠心分離することにより細胞を単離し、氷冷緩衝液、例えば、50mM Tris、1mM NaEDTA、140mM NaCl、10μMインドメタシン(pH7.4)中に懸濁させる。Polytron組織破壊器(最大設定で2×10秒のバースト)により細胞を均質化し、48000×gで20分間遠心分離に付し、膜フラクションを含有するペレットを懸濁液により3回洗浄し、48000×gで20分間遠心分離に付す。最終膜ペレットをアッセイ緩衝液、例えば10mM 2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸、1mM NaEDTA、10mM MgCl(pH6)中に懸濁させる。必要になるまでアリコートを−80℃で凍結させる。
【0334】
結合アッセイ用に、細胞膜、競合化合物および[H]−PGE(3nM最終アッセイ濃度)を100μlの最終体積で30分間30℃でインキュベートする。全ての試薬をアッセイ緩衝液中で調製する。Brandell細胞収穫器を用いてGF/Bフィルター上で急速真空濾過することにより反応を停止させる。フィルターを氷冷アッセイ緩衝液で洗浄し、乾燥させ、フィルター上に保留される放射能をPackard TopCountシンチレーションカウンターにて液体シンチレーション計測することにより測定する。
【0335】
非線形曲線適合技法(GraphPad Prism 3)を用いてデータを分析して、特異的結合の50%阻害をもたらす化合物の濃度(IC50)を測定する。
【0336】
これらの技法を適用すると、実施例の化合物はEP受容体で6.0ないし9.0のアンタゴニストpIC50値を有し、EP受容体で<6.0のpIC50値を有した。
【0337】
(本発明の)化合物を上記の投与量範囲で投与した場合に毒性は示されず/考えられない。
この記載および請求の範囲により構成される出願は、その後の任意の出願に関する基礎として用いることができる。このようなその後の出願の請求の範囲は本明細書において記載される任意の特徴または特徴の組み合わせに関する。生成物、組成物、方法、または使用の形態をとることができ、例示のために制限なく以下の請求の範囲を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):

[式中:
Aは、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよい5−もしくは6−員ヘテロシクリル環、または置換されていてもよい二環式ヘテロシクリル基を示し;
Bは、フェニル環またはピリジル環を示し;
Zは、O、S、SO、またはSOを示し;
は、CO、CN、CONR、CHCO、OR、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいSOアルキル、SONR、NRCONR、COアルキル、2H−テトラゾール−5−イル−メチル、置換されていてもよい二環式複素環、または置換されていてもよいヘテロシクリルを示し;
2aおよびR2bは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、CN、SOアルキル、SR、NO、置換されていてもよいアリール、CONR、または置換されていてもよいヘテロアリールを示し;
は、置換されていてもよいアルキル(ここでは、非末端炭素原子の1つまたは2つが、NR、O、およびSOから別々に選択される基で置換されていてもよく、nは、0、1、または2である)を示すか:あるいは、Rは、置換されていてもよいCQ−ヘテロシクリル、置換されていてもよいCQ−二環式ヘテロシクリル、または置換されていてもよいCQ−アリールを示し;
は、水素または置換されていてもよいアルキルを示し;
は、水素または置換されていてもよいアルキルを示し;
は、水素または置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいSOアリール、置換されていてもよいSOアルキル、置換されていてもよいSOヘテロアリール、CN、置換されていてもよいCQアリール、置換されていてもよいCQヘテロアリール、またはCORを示し;
は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、または置換されていてもよいアリールを示し;
は、水素、Cl、CF、またはC1-3アルキルを示し;
は、ハロゲン、水素、CF、またはC1-3アルキルを示し;
およびQは、それぞれ独立して、水素またはCHから選択され;
ここでは、Aが6員環である場合は、R置換基とピロール環は互いに、1,2−、1,3−、または1,4−の関係で炭素原子に対して結合され、そしてAが5員環または二環式ヘテロシクリル基である場合は、R置換基とフェニル環は互いに、1,2−または1,3−の関係で置換することが可能な炭素原子に対して結合される]
で示される化合物またはその誘導体。
【請求項2】
Aが置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいピリジルまたは置換されていてもよいイソキノリニルであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
実施例1ないし80の化合物およびその誘導体から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体と、医薬用担体および賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項5】
活性治療物質として用いるための、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項6】
PGEのEP受容体での作用により媒介される症状の治療において用いるための請求項1ないし3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項7】
PGEのEP受容体での作用により媒介される症状を患っているヒトまたは動物の対象を治療する方法であって、該対象に有効量の請求項1ないし3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体を投与することを含む、方法。
【請求項8】
炎症性の痛み、神経病による痛み、または内臓の痛みを患っているヒトまたは動物の対象を治療する方法であって、該対象に有効量の請求項1ないし3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体を投与することを含む、方法。
【請求項9】
PGEのEP受容体での作用により媒介される症状の治療用の医薬を製造するための請求項1ないし3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用。
【請求項10】
炎症性の痛み、神経病による痛み、または内臓の痛みなどの症状の治療または予防用の医薬を製造するための請求項1ないし3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用。

【公表番号】特表2007−513120(P2007−513120A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541906(P2006−541906)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013744
【国際公開番号】WO2005/054191
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】