説明

フロントウインド支持構造

【課題】歩行者保護性能の確保と、フロントウインド部材の振動抑制によるNV性能の確保との両立を図り、さらに、フロントウインド部材の下端位置の設定自由度が向上し、レイアウト的に有利となるフロントウインド支持構造の提供を目的とする。
【解決手段】カウルパネル11の自由端となる前端部でフロントウインド部材10を支持し、ボンネット1後端部とフロントウインド部材10下端部との間に支持部材14が設けられ、支持部材14は、ボンネット1閉時の荷重を受けることにより、フロントウインド部材10下端部の振動を抑制可能に設けられたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンルームを開閉可能に覆うボンネットと、フロントウインド部材(フロントウインドガラス)を車室内側から支持するカウルパネルと、エンジンルームと車室とを前後方向に仕切るダッシュパネルとを備えたようなフロントウインド支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロントウインド部材としてのフロントウインドガラスを支持する構造としては、特許文献1に開示された構造がある。
すなわち、図12に示すように、前片71、下片72、後片73、上片74を一体形成した側面視凹形状のカウルボックス75を設け、このカウルボックス75の後片73の後側部にカウル閉断面76を形成すべく、上述の下片72の後部下側72aと、上片74の後部下側74aとの間にパネル部材77を接合固定している。
【0003】
そして、上述のカウルボックス75における上片74の上面側に、図示しない接着剤を用いてフロントウインドガラス78を取付け、一方、エンジンルームを開閉可能に覆うボンネット79を設け、このボンネット79の下面側には補強部材としてのボンネットレインフォースメント80を一体的に設け、このボンネット79の後部下側とフロントウインドガラス78の傾斜下端側との間において、カウルボックス75の上方開口部75aを、カウルカバー81で覆い、さらに該カウルカバー81とボンネットレインフォースメント80との間を、シール部材82でシールすべく構成したものである。なお、図12において、矢印Fは車両の前方を示す。
【0004】
上述のカウルボックス75およびカウル閉断面76は、車幅方向の略全幅にわたって延びるもので、このように、図12に示す従来構造においては、車幅方向に延びるカウル閉断面76が形成されているので、カウル部の剛性が向上し、安定した走行性能が得られると共に、カウル閉断面76でフロントウインドガラス78の傾斜下端部が支持されているので、車両走行時におけるフロントウインドガラス78先端の揺れもなく、NV性能(Nはnoiseの略でノイズ、Vはvibrationの略で振動を意味し、NV性能とはノイズ、振動に関する性能のこと)を確保することができる利点がある。
【0005】
しかしながら、図12に示す従来構造においては、次のような問題点があった。
つまり、フロントウインドガラス78は剛性が高いカウル閉断面76で支持されているので、図12に矢印xで示すような上方からの衝撃荷重の入力に対して充分な衝撃吸収性能が得られない問題点があった。
このような問題点を解決し、車両と歩行者との接触時における歩行者の保護を図るためには、特許文献2に開示されたようなオープンカウル構造が考えられる。
【0006】
この特許文献2に開示されたオープンカウル構造は、図13に示すように、前後方向に延びるカウルトップ底面部83と、このカウルトップ底面部83の後端部から上方に延びる側面視くの字状のカウルトップ後面部84と、このカウルトップ後面部84の上端部からフロントウインドガラス88の下面に略沿うように前方斜め下方に延びるカウルトップ上面部85との三者83,84,85で、車両前方側が開放したオープンカウル構造のカウルトップ86を形成し、上述のカウルトップ上面部85の所定部に接着剤87を用いてフロントウインドガラス88を取付けたものである。
なお、図13において、89はロアカウル、90はカウルグリルである。また、図中、矢印Fは車両の前方を示す。
【0007】
このように、図13に示す従来構造は、カウル部が閉断面ではなく、車両前方側が開口したオープンカウル構造であるため、図13に矢印xで示す上方からの衝撃荷重の入力時には、フロントウインドガラス88を含む各要素84,85,88が図13の実線状態から同図の仮想線状態に変形して、充分な衝撃吸収性能が得られ、歩行者保護を図ることができる利点がある。
【0008】
しかしながら、図13に示す従来構造においては、フロントウインドガラス88の下端部がオープンカウル構造で支持されている関係上、車両走行時にフロントウインドガラス88の先端の振動に起因してフロントウインドガラス全体が太鼓膜のように振動し、車室内騒音が発生する問題点があった。
そこで、近年においては、NV性能の確保と、歩行者保護性能の確保と、の両立を図ることが要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−225388号公報
【特許文献2】特開2008−100533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は、カウルパネルの自由端となる前端部でフロントウインド部材を支持し、ボンネット後端部と該フロントウインド部材の下端部との間に支持部材を設け、該支持部材が、ボンネット閉時の荷重を受けることにより、フロントウインド部材下端部の振動を抑制するように設けられる構成により、歩行者保護性能の確保と、フロントウインド部材の振動抑制によるNV性能の確保との両立を図り、さらに、フロントウインド部材の下端位置の設定自由度が向上し、レイアウト的に有利となるフロントウインド支持構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明によるフロントウインド支持構造は、エンジンルームを開閉可能に覆うボンネットと、フロントウインド部材を車室内側から支持するカウルパネルと、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルとを備えたフロントウインド支持構造であって、上記カウルパネルの自由端となる前端部でフロントウインド部材を支持し、上記ボンネット後端部とフロントウインド部材下端部との間に支持部材が設けられ、該支持部材は、ボンネット閉時の荷重を受けることにより、フロントウインド部材下端部の振動を抑制可能に設けられたものである。
上記構成によれば、カウルパネルの自由端となる前端部、すなわちカウルパネル前端部でフロントウインド部材が支持されているので、歩行者保護性能を阻害しない。つまり、上方からの衝撃荷重入力に対して充分な衝撃吸収性能が得られ、歩行者保護を図ることができる。
【0012】
しかも、ボンネット後端部とフロントウインド部材との間に上記支持部材を設けて、ボンネット閉時の荷重により該支持部材にてフロントウインド部材下端部の振動を抑制すべく構成したので、車両走行時におけるフロントウインド部材下端部の振れを抑制して、車室内騒音の発生を防止し、これにより、NV性能の確保を図ることができる。
すなわち、NV性能の確保と、歩行者保護性能の確保との両立を図ることができる。
また、ダッシュパネル側から支持部材を上下方向に向けて設ける構造ではないので、フロントウインド部材の下端位置の設定自由度が向上し、レイアウト的にも有利となる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記支持部材は、ボンネット閉時の荷重によりフロントウインド部材下端部へ上向きの荷重を付加して、該フロントウインド部材の振動を抑制可能に設けられたものである。
上記構成によれば、支持部材に対して下向きに作用するボンネットからの荷重を、支持部材が上向きの力としてフロントウインド部材へ作用させて、該フロントウインド部材の振動を抑制することができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記支持部材は、ボンネットからの荷重を受ける荷重受け部と、該荷重受け部より後方に設定された支点と、該支点より後方へ延出され、フロントウインド部材を下方から支持するウインド支持部とを有するものである。
上記構成によれば、車両前方から順に、支持部材の荷重受け部、支点、ウインド支持部が存在するので、荷重受け部に入力される下向きのボンネット閉荷重を、支点を介してウインド支持部から上向きに作用させ、フロントウインド部材に対して上向きの荷重を付加して、該フロントウインド部材下端部の振動を抑制することができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記支持部材がカウルグリルであることを特徴とする。
上記構成によれば、既存の部材(カウルグリル)を有効利用して、フロントウインド部材下端部の振れを抑制し、車室内騒音の発生を防止することができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記支持部材は、ボンネット閉時の荷重によりフロントウインド部材下端部へ下方向きの荷重を付加して、該フロントウインド部材の振動を抑制可能に設けられたものである。
上記構成によれば、支持部材に対して下向きに作用するボンネットからの荷重を、同方向の下向きの力としてフロントウインド部材に作用させることで、該フロントウインド部材の振動を抑制することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記支持部材はカウルグリルであり、該カウルグリルは上記ボンネットの開閉中心近傍に設定された保持支点により上下方向に変位可能に構成され、上方からのボンネット閉時の荷重を受けて該カウルグリルが下向きに付勢されて上記フロントウインド部材の振動を抑制するものである。
上記構成によれば、既存のカウルグリルを支持部材として有効利用し、ボンネット開閉中心近傍(例えば、ボンネット支持用のヒンジブラケットの近傍)にカウルグリルの保持支点を設けたので、ボンネット閉時に支持部材としてのカウルグリルを下向きに付勢することができ、これにより、フロントウインド部材の振動を抑制し、NV性能の確保を図ることができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記カウルパネルは上記フロントウインド部材の下端部よりもさらに前方に延出する延出部を有し、上記支持部材は該延出部と、フロントウインド部材の下端部の上面とに上側から当接することで、該フロントウインド部材の振動を抑制するものである。
上記構成によれば、支持部材に入力されたボンネット閉荷重が、該支持部材の後部と上述のカウルパネルの延出部とに荷重分散されるので、支持部材がフロントウインド部材の下端部の上面に当接していても、該フロントウインド部材に対して過大荷重が付加されることがなく、フロントウインド部材のひび割れ等を阻止することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、カウルパネルの自由端となる前端部でフロントウインド部材を支持し、ボンネット後端部と該フロントウインド部材の下端部との間に支持部材を設け、該支持部材が、ボンネット閉時の荷重を受けることにより、フロントウインド部材下端部の振動を抑制するように設けたので、歩行者保護性能の確保と、フロントウインド部材の振動抑制によるNV性能の確保との両立を図り、さらに、フロントウインド部材の下端位置の設定自由度が向上し、レイアウト的に有利となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のフロントウインド支持構造を備えた車両前部の斜視図
【図2】図1の部分斜視図
【図3】フロントウインド支持構造を示す斜視図
【図4】図3のA−A線矢視断面図
【図5】支持部材の作用説明図
【図6】衝撃荷重入力時の側面図
【図7】フロントウインド支持構造の他の実施例を示す斜視図
【図8】フロントウインド支持構造のさらに他の実施例を示す斜視図
【図9】図8の部分拡大斜視図
【図10】図8のB−B線矢視断面図
【図11】衝撃荷重入力時の側面図
【図12】従来のフロントウインド支持構造を示す側面図
【図13】従来のフロントウインド支持構造を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
歩行者保護性能の確保と、フロントウインド部材の振動抑制によるNV性能の確保との両立を図り、さらに、フロントウインド部材の下端位置の設定自由度が向上し、レイアウト的な有利化を図るという目的を、エンジンルームを開閉可能に覆うボンネットと、フロントウインド部材を車室内側から支持するカウルパネルと、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルとを備えたフロントウインド支持構造において、上記カウルパネルの自由端となる前端部でフロントウインド部材を支持し、上記ボンネット後端部とフロントウインド部材下端部との間に支持部材が設けられ、該支持部材は、ボンネット閉時の荷重を受けることにより、フロントウインド部材下端部の振動を抑制可能に設けるという構成にて実現した。
【実施例1】
【0022】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面はフロントウインド支持構造を示し、図1は該フロントウインド支持構造を備えた車両前部の斜視図、図2は図1の部分斜視図、図3はフロントウインド支持構造を示す概略斜視図、図4は図3のA−A線矢視断面図である。
【0023】
図1、図4において、エンジンルーム5(図4参照)の上方を開閉可能に覆うボンネット1を設け、このボンネット1の下面には図4に示すように、ボンネットレインフォースメント2を一体的に接合固定している。
【0024】
また、図1に示すように、エンジンルーム5(図4参照)の前方部に位置してフロントバンパの外表面を構成するバンパフェイス3を設けると共に、エンジンルーム5の側方部に位置してボンネット1の側部と、バンパフェイス3の後部と、図示しないフロントピラーの下部およびヒンジピラーの前部との間を覆うフロントフェンダパネル4を設けている。ここで、上述のバンパフェイス3は走行風の取入れ部3a,3bを有する樹脂製部材にて構成することができる。
【0025】
さらに、図4に示すように、エンジンルーム5と車室6とを車両の前後方向に仕切るダッシュパネル7を設けている。このダッシュパネル7は上側に位置するダッシュアッパパネル8と、下側に位置するダッシュロアパネル9とを備えている。
これらダッシュアッパパネル8およびダッシュロアパネル9は、図3に示すように、何れも車幅方向の略全幅にわたって延びるパネル部材であって、上述のダッシュロアパネル9は、図4に示すように、上下方向に延びる主体部9aと、この主体部9aの上端9bから車両前方に延びるフランジ状の取付け片9cとを備えている。
【0026】
また、上述のダッシュアッパパネル8は、図4に示すように、その前後方向の中間下部に上述の取付け片9cに溶接固定される中間取付け片8aと、この中間取付け片8aの後端から斜め上方に立上がる立上り片8bと、この立上り片8bの後端から後方に延びるフランジ状の後部取付け片8cと、上述の中間取付け片8aの前端から前方かつ上方に立上がる立上り片8dと、この立上り片8dの前端から車両前方に延びるフランジ状の前部取付け片8eとを有し、車両側面視で略凹形状に形成されている。
【0027】
図4に示すように、上述のダッシュアッパパネル8には、フロントウインド部材としてのフロントウインドガラス10を車室内側から支持するカウルパネル11が取付けられている。なお、上述のフロントウインド部材としては、ガラス製または強化プラスチック製のものを用いることができる。
【0028】
このカウルパネル11も車幅方向の略全幅にわたって延びるパネル部材であって、該カウルパネル11は、その自由端となる前端部にウインド支持部11aを設けると共に、その後部下側には取付け片11bを設けており、該取付け片11bをダッシュアッパパネル8のフランジ状の後部取付け片8cに溶接固定することで、カウルパネル11をダッシュアッパパネル8に取付けたものである。
上述のカウルパネル11のウインド支持部11a上面には、接着剤12を用いて、フロントウインドガラス10の傾斜下端部を支持させている。要するに、カウルパネル11の自由端となる前端部(ウインド支持部11a参照)でフロントウインド部材としてのフロントウインドガラス10を支持したものである。
【0029】
また、図4に示すように、カウルパネル11と、ダッシュアッパパネル8とで、前上方向に開口を有する閉断面13を形成し、オープンカウル構造と成している。換言すれば、カウルパネル11とダッシュアッパパネル8との両者で、閉断面ではなく、断面13を形成したものであり、かつ、ダッシュアッパパネル8側から上下方向に延びる支持部材を出さないように構成したものである。
【0030】
しかも、図4に示すように、ボンネット1後端部(詳しくは、ボンネットレインフォースメント2の後端下部)とフロントウインドガラス10の傾斜下端部との間には、支持部材14を設け、この支持部材14は、ボンネット1の閉時の荷重を受けることにより、フロントウインドガラス10下端部の振動を抑制するように設けられている。
【0031】
この実施例1では、図3、図4に示すように、複数の支持部材14を車幅方向に間隔を隔てて設けている。つまり、車幅方向の中央に位置する支持部材14と、車幅方向の左側中間部に位置する支持部材14と、車幅方向の右側中間部に位置する支持部材14との合計3個を用いているが、該支持部材14の配置数量、配置間隔は、この実施例のものに限定されるものではない。
【0032】
また、この支持部材14は、図4に示すように、ボンネットレインフォースメント2の下面に当接して、ボンネット1からの荷重(閉荷重)を受ける荷重受け部14aと、この荷重受け部14aより後方かつ下方に設定された支点14bと、この支点14bより後側上方へ延出され、フロントウインドガラス10の傾斜下端部を下方から支持するウインド支持部14cと、このウインド支持部14cにフロントウインドガラス10を隔てて対向し、フロントウインドガラス10の傾斜下端部の上面側に位置する上片部14dと、を有し、これら各要素14a,14b,14c,14dを一体形成したものであり、この支持部材14は平面から見て車両の前後方向に指向する細長い形状に構成されている。
【0033】
さらに、上述の支持部材14は、ダッシュアッパパネル8のフランジ状の前部取付け片8eに取付けられるもので、この際、該支持部材14の支点14b(シーソー構造の中間支点)が形成されるように、該支点14bと前部取付け片8eとに開口形成した開口部に上方からクリップ15(または、ファスナ)を挿入し、このクリップ15を用いて支持部材14をダッシュアッパパネル8に取付けている。
【0034】
そして、この実施例1において、支持部材14は、図5に示すように、ボンネット1閉時の荷重(図5の矢印a参照)により、支点14bを介して、ウインド支持部14cにフロントウインドガラス10下端部への上向きの荷重(図5の矢印b参照)を付加して、該フロントウインドガラス10を上方に押圧付勢して、その振動を抑制可能に設けられたものである。つまり、該支持部材14は、図5に示すように、シーソーの如き作用を奏するように構成されている。
【0035】
また、この実施例では、支持部材14のウインド支持部14cは、カウルパネル11におけるウインド支持部11aの下面に位置しており、一方で、支持部材14の上片部14dは、接着剤16を用いて、フロントウインドガラス10の傾斜下端部の上面に接合固定されている。
【0036】
ところで、図2、図3に示すように、上述のボンネット1のリヤ側左右両端部はそのリヤ側中間部に対して車両後方に位置しており、このボンネット1のリヤ側左右両端部よりも、さらに、後方位置には、ボディ側に固定されたボンネット1用のヒンジブラケット17,17を左右一対設け、これら左右一対のヒンジブラケット17,17にボンネットヒンジ18,18を枢着して、これら左右のボンネットヒンジ18,18に上述のボンネット1を取付けており、これにより該ボンネット1はその開閉中心19を支点として開閉可能に構成されている。
【0037】
なお、図3において、20はサスペンションタワー部、21はホイールエプロンフロント、22はホイールエプロンリヤ、23はエプロンレインフォースメントアウタ、24はエプロンレインフォースメントインナ、25はフロントサイドフレームアウタであり、また、図中、矢印Fは車両の前方を示す。
【0038】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下作用を説明する。
図3に示すボンネット1の開閉中心19を支点として該ボンネット1を閉成すると、図5に矢印aで示すように、該ボンネット閉時の下向きの荷重が支持部材14の荷重受け部14aに作用する。
【0039】
支持部材14の荷重受け部14aにボンネット閉時の下向きの荷重が作用すると、支点14bを介してそのウインド支持部14cには、フロントウインドガラス10(図4参照)の傾斜下端部を、その下方から上方に押上げるような上向きの荷重(図5の矢印b参照)が付加されて、フロントウインドガラス10が上方に押圧付勢されるので、このフロントウインドガラス10の振動、特に、走行時の振動を抑制して、車室内騒音の発生を防止することができ、これにより、NV性能を確保することができる。
【0040】
ところで、フロントウインドガラス10に対して図6に矢印cで示すように、上方からの衝撃荷重が入力されると、この実施例のフロントウインド支持構造はフロントウインドガラス10を上下方向に延びて突っ張る部材を一切用いていないので、フロントウインドガラス10は図6仮想線の状態(非衝突時のノーマルな状態)から同図に実線で示すように、その傾斜下端側が下方へ変位し、これに伴って、カウルパネル11、支持部材14、ダッシュアッパパネル8の立上り片8d、前部取付け片8eが図6の仮想線状態から同図の実線状態に変形するので、上方からの衝撃荷重の入力に対して、充分な衝撃吸収性能が得られて、歩行者保護性能を確保することができる。
【0041】
このように、図1〜図6で示した実施例1のフロントウインド支持構造は、エンジンルーム5を開閉可能に覆うボンネット1と、フロントウインドガラス10を車室6内側から支持するカウルパネル11と、エンジンルーム5と車室6とを仕切るダッシュパネル7とを備えたフロントウインド支持構造であって、上記カウルパネル11の自由端となる前端部(ウインド支持部11a参照)でフロントウインドガラス10を支持し、上記ボンネット1後端部とフロントウインドガラス10下端部との間に支持部材14が設けられ、該支持部材14は、ボンネット1閉時の荷重(図5の矢印a参照)を受けることにより、フロントウインドガラス10下端部の振動を抑制可能に設けられたものである(図4参照)。
【0042】
この構成によれば、カウルパネル11の自由端となる前端部、すなわちカウルパネル11前端部でフロントウインドガラス10が支持されているので、歩行者保護性能を阻害しない。つまり、上方からの衝撃荷重入力(図6の矢印c参照)に対して充分な衝撃吸収性能が得られ、歩行者保護を図ることができる。
【0043】
しかも、ボンネット1の後端部とフロントウインドガラス10との間に上記支持部材14を設けて、ボンネット1閉時の荷重(図5の矢印a参照)により該支持部材14にてフロントウインドガラス10下端部の振動を抑制すべく構成したので、車両走行時におけるフロントウインドガラス10下端部の振れを抑制して、車室内騒音の発生を防止し、これにより、NV性能の確保を図ることができる。
【0044】
すなわち、NV性能の確保と、歩行者保護性能の確保との両立を図ることができる。
また、ダッシュパネル7側から支持部材を上下方向に向けて設ける構造ではないので、フロントウインドガラス10の下端位置の設定自由度が向上し、レイアウト的にも有利となる。
【0045】
さらに、上記支持部材14は、ボンネット1閉時の荷重(図5の矢印a参照)によりフロントウインドガラス10下端部へ上向きの荷重(図5の矢印b参照)を付加して、該フロントウインドガラス10の振動を抑制可能に設けられたものである(図4、図5参照)。
この構成によれば、支持部材4に対して下向きに作用するボンネット1からの荷重(図5の矢印a参照)を、支持部材14が上向きの力(図5の矢印b参照)としてフロントウインドガラス10へ作用させて、該フロントウインドガラス10の振動を抑制することができる。
【0046】
加えて、上記支持部材14は、ボンネット1からの荷重を受ける荷重受け部14aと、該荷重受け部14aより後方に設定された支点14bと、該支点14bより後方へ延出され、フロントウインドガラス10を下方から支持するウインド支持部14cとを有するものである(図4、図5参照)。
この構成によれば、車両前方から順に、支持部材14の荷重受け部14a、支点14b、ウインド支持部14cが存在するので、荷重受け部14bに入力される下向きのボンネット閉荷重(図5の矢印a参照)を、支点14bを介してウインド支持部14cから上向きに作用(図5の矢印b参照)させ、フロントウインドガラス10に対して上向きの荷重を付加して、該フロントウインドガラス10下端部の振動を抑制することができる。
【実施例2】
【0047】
図7はフロントウインド支持構造の他の実施例を示すもので、この実施例2においては、カウルグリル26で支持部材を構成したものである。このカウルグリル26の断面形状は図4で示した支持部材14とほぼ同等の形状となる。
すなわち、この実施例2においては、支持部材として車幅方向の略全長にわたって延びるカウルグリル26を、ボンネット1の後端部とフロントウインドガラス10の傾斜下端部との間に設け、該支持部材としてのカウルグリル26が、ボンネット1閉時の荷重を受けることにより、フロントウインドガラス10下端部の振動を抑制するように設けられている。
【0048】
また、支持部材としてのカウルグリル26は、ボンネット1閉時の荷重によりフロントウインドガラス10の下端部へ上向きの荷重を付加して、このフロントウインドガラス10の振動を抑制するように設けられたものである。
【0049】
さらに、支持部材としてのカウルグリル26は、図7に斜視図で示すように、ボンネット1からの荷重を受ける荷重受け部26aと、この荷重受け部26aよりも下方に設定された支点26bと、該支点26bよりも後側上方へ延出され、フロントウインドガラス10を下方から支持するウインド支持部26cとを有するものである。
【0050】
しかも、この実施例2においても、支持部材としてのカウルグリル26の荷重受け部26aが支点26bよりも車両前方に位置するように形成されており、上述の支点26bにおいて図7に黒丸で示す部分が、クリップ15を用いて、ダッシュアッパパネル8の前部取付け片8eに上方から取付けられている。
なお、各部の側面から見た断面形状は、図4の各要素14,14a,14b,14cを26,26a,26b,26cに置き換えた構造となる。
【0051】
このように、図7で示した実施例2のフロントウインド支持構造においても、エンジンルーム5を開閉可能に覆うボンネット1と、フロントウインドガラス10を車室6内側から支持するカウルパネル11と、エンジンルーム5と車室6とを仕切るダッシュパネル7とを備えたフロントウインド支持構造であって、上記カウルパネル11の自由端となる前端部でフロントウインドガラス10を支持し、上記ボンネット1後端部とフロントウインドガラス10下端部との間に支持部材としてのカウルグリル26が設けられ、該カウルグリル26は、ボンネット1閉時の荷重を受けることにより、フロントウインドガラス10下端部の振動を抑制可能に設けられたものである(図4、図7参照)。
【0052】
この構成によれば、カウルパネル11の自由端となる前端部、すなわちカウルパネル11前端部でフロントウインドガラス10が支持されているので、歩行者保護性能を阻害しない。つまり、上方からの衝撃荷重入力に対して充分な衝撃吸収性能が得られ、歩行者保護を図ることができるものである。
【0053】
しかも、ボンネット1後端部とフロントウインドガラス10との間に上記支持部材としてのカウルグリル26を設けて、ボンネット1閉時の荷重により該カウルグリル26にてフロントウインドガラス10下端部の振動を抑制すべく構成したので、車両走行時におけるフロントウインドガラス10下端部の振れを抑制して、車室内騒音の発生を防止し、これにより、NV性能の確保を図ることができる。
すなわち、NV性能の確保と、歩行者保護性能の確保との両立を図ることができる。
【0054】
また、ダッシュパネル7側から支持部材を上下方向に向けて設ける構造ではないので、フロントウインドガラス10の下端位置の設定自由度が向上し、レイアウト的にも有利となる。
【0055】
特に、この実施例2においては、上記支持部材をカウルグリル26で構成したので、既存の部材(カウルグリル26)を有効利用して、フロントウインドガラス10下端部の振れを抑制し、車室内騒音の発生を防止することができ、NV性能を確保することができる。
【0056】
なお、図7で示したこの実施例2においても、その他の構成、作用、効果(特に、請求項2、3、4に関する点)については、先の実施例1と同様であるから、図7において図3と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略するが、図7のカウルグリル26には複数の走行風取入れ用の開口部を図示していないが、走行風取入れ用の開口部の有無、形状はこの実施例のものに限定されるものではない。
【実施例3】
【0057】
図8〜図11はフロントウインド支持構造のさらに他の実施例を示し、図8はフロントウインド支持構造を示す斜視図、図9は図8の部分拡大詳細図、図10は図8のB−B線矢視断面図、図11は衝撃荷重入力時の側面図である。なお、図8〜図11において、前図と同一の部分には同一符号を付している。
【0058】
図8、図10に示すように、この実施例においても、ボンネット1の後端部下面とフロントウインドガラス10の傾斜下端部との間に、支持部材としてのカウルグリル30を設けている。
【0059】
この実施例3においては、上述のカウルグリル30は、ボンネット1閉時の荷重によりフロントウインドガラス10の傾斜下端部へ下方向きの荷重を付加して、該フロントウインドガラス10の振動を抑制するように設けられている。
すなわち、カウルグリル30は図8に示すように車幅方向の全幅にわたって延びるものであるが、このカウルグリル30の左右両サイド部が車両後方にラウンドする部分には、図9に示すように、ヒンジブラケット17に当接する突部30aを一体形成し、ヒンジブラケット17におけるボンネット1の開閉中心19の近傍かつ後方に設定された保持支点31により上記突部30aを枢着している。
【0060】
要するに、上述のカウルグリル30はボンネット1の開閉中心19近傍に設定された保持支点31により上下方向に変位可能に構成されており、上方からのボンネット閉時の荷重を受けて該カウルグリル30が下向きに付勢されて、フロントウインドガラス10を下方向に付勢することで、フロントウインドガラス10の振動を抑制するように構成したものである。
【0061】
図面では、カウルグリル30の保持支点31を、車両左側のものについてのみ図示したが、該保持支点31は左右一対設けられており、このため、カウルグリル30は左右の保持支点31,31を結ぶ仮想支点軸線32(図8参照)を中心として、上下方向に変位可能に構成されている。
【0062】
一方、図10に示すように、カウルパネル11はフロントウインドガラス10の傾斜下端部よりもさらに前方かつ下方に延出する延出部11cを有し、支持部材としてのカウルグリル30の後部30b、後端部30cが、この延出部11cと、フロントウインドガラス10の傾斜下端部の上面とに上側から当接することにより、ボンネット1の閉時に、該フロントウインドガラス10の振動を抑制するように構成している。
ここで、上述のフロントウインドガラス10の傾斜下端部の上面と、カウルグリル30の後端部30c下面とは、接着剤33で互に接合されている。
【0063】
図10に示すように、この実施例においては、ボンネットレインフォースメント2の後端下部と、カウルグリル30の下部と、ダッシュアッパパネル8の前部取付け片8eの上部との間には、第2のカウルグリル34を設けている。
この第2のカウルグリル34は、ダッシュアッパパネル8の前部取付け片8eに接続固定されると共に、その上側前片34aには、該第2のカウルグリル34とボンネットレインフォースメント2との間をシールするシール部材35が設けられている。
なお、図8においては、図示の便宜上、第2のカウルグリル34を図示省略している。
【0064】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下作用を説明する。
図8、図9に示すボンネット1の開閉中心19を支点として該ボンネット1を閉成すると、カウルグリル30の遊端部30d(図10参照)に、ボンネット閉時の下向きの荷重が作用する。
【0065】
上述のカウルグリル30は、ボンネット1の開閉中心19近傍に設定された保持支点31により上下方向に変位可能に構成されているので、このカウルグリル30が上方からのボンネット閉時の荷重を受けて、フロントウインドガラス10の傾斜下端部に対して、下方向きの荷重を付加するので、該フロントウインドガラス10の振動を抑制することができる。これにより、車両走行時におけるフロントウインドガラス10振れが防止され、車室内騒音発生の防止を図って、NV性能を確保することができる。
【0066】
ところで、フロントウインドガラス10に対して、図11に矢印cで示すように、上方からの衝撃荷重が入力されると、この実施例のフロントウインド支持構造は、フロントウインドガラス10を上下方向に延びて突っ張る部材を一切用いていないので、フロントウインドガラス10は図11の仮想線の状態(非衝突時のノーマルな状態)から同図に実線で示すように、その傾斜下端側が下方へ変位し、これに伴って、各要素11,30,34が図11の仮想線状態から同図の実線状態に変形するので、上方からの衝撃荷重の入力に対して、充分な衝撃吸収性能が得られて、歩行者保護性能を確保することができる。
【0067】
このように、図8〜図11で示した実施例3においては、上記支持部材(カウルグリル30参照)は、ボンネット1閉時の荷重によりフロントウインドガラス10下端部へ下方向きの荷重を付加して、該フロントウインドガラス10の振動を抑制可能に設けられたものである(図10参照)。
この構成によれば、支持部材(カウルグリル30参照)に対して下向きに作用するボンネット1からの荷重を、同方向の下向きの力としてフロントウインドガラス10に作用させることで、該フロントウインドガラス10の振動を抑制することができる。
【0068】
また、上記支持部材はカウルグリル30であり、該カウルグリル30は上記ボンネット1の開閉中心19近傍に設定された保持支点31により上下方向に変位可能に構成され、上方からのボンネット閉時の荷重を受けて該カウルグリル30が下向きに付勢されて上記フロントウインドガラス10の振動を抑制するものである(図8、図9、図10参照)。
この構成によれば、既存のカウルグリル30を支持部材として有効利用し、ボンネット開閉中心近傍(例えば、ボンネット支持用のヒンジブラケット17の近傍)にカウルグリル30の保持支点31を設けたので、ボンネット閉時に支持部材としてのカウルグリル30を下向きに付勢することができ、これにより、フロントウインドガラス10の振動を抑制し、NV性能の確保を図ることができる。
【0069】
さらに、上記カウルパネル11は上記フロントウインドガラス10の下端部よりもさらに前方に延出する延出部11cを有し、上記支持部材(カウルグリル30参照)は該延出部11cと、フロントウインドガラス10の下端部の上面とに上側から当接することで、該フロントウインドガラス10の振動を抑制するものである(図10参照)。
この構成によれば、支持部材(カウルグリル30参照)に入力されたボンネット閉荷重が、該支持部材(カウルグリル30参照)の後部と上述のカウルパネル11の延出部11cとに荷重分散されるので、支持部材(カウルグリル30)がフロントウインドガラス10の下端部の上面に当接していても、該フロントウインドガラス10に対して過大荷重が付加されることがなく、フロントウインドガラス10のひび割れ等を阻止することができる。
【0070】
なお、図8〜図11で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図8〜図11において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0071】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のフロントウインド部材は、実施例のフロントウインドガラス10に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、歩行者保護性能のさらなる向上を図るために、カウルグリル30の車幅方向中間部には脆弱部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…ボンネット
5…エンジンルーム
6…車室
7…ダッシュパネル
10…フロントウインドガラス(フロントウインド部材)
11…カウルパネル
11c…延出部
14…支持部材
14a…荷重受け部
14b…支点
14c…ウインド支持部
19…開閉中心
26…カウルグリル
30…カウルグリル
31…保持支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームを開閉可能に覆うボンネットと、
フロントウインド部材を車室内側から支持するカウルパネルと、
エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルとを備えたフロントウインド支持構造であって、
上記カウルパネルの自由端となる前端部でフロントウインド部材を支持し、
上記ボンネット後端部とフロントウインド部材下端部との間に支持部材が設けられ、
該支持部材は、ボンネット閉時の荷重を受けることにより、フロントウインド部材下端部の振動を抑制可能に設けられたことを特徴とする
フロントウインド支持構造。
【請求項2】
上記支持部材は、ボンネット閉時の荷重によりフロントウインド部材下端部へ上向きの荷重を付加して、
該フロントウインド部材の振動を抑制可能に設けられた
請求項1記載のフロントウインド支持構造。
【請求項3】
上記支持部材は、ボンネットからの荷重を受ける荷重受け部と、
該荷重受け部より後方に設定された支点と、
該支点より後方へ延出され、フロントウインド部材を下方から支持するウインド支持部とを有する
請求項2記載のフロントウインド支持構造。
【請求項4】
上記支持部材がカウルグリルである
請求項2または3の何れか1に記載のフロントウインド支持構造。
【請求項5】
上記支持部材は、ボンネット閉時の荷重によりフロントウインド部材下端部へ下方向きの荷重を付加して、該フロントウインド部材の振動を抑制可能に設けられた
請求項1記載のフロントウインド支持構造。
【請求項6】
上記支持部材はカウルグリルであり、該カウルグリルは上記ボンネットの開閉中心近傍に設定された保持支点により上下方向に変位可能に構成され、上方からのボンネット閉時の荷重を受けて該カウルグリルが下向きに付勢されて上記フロントウインド部材の振動を抑制する
請求項5記載のフロントウインド支持構造。
【請求項7】
上記カウルパネルは上記フロントウインド部材の下端部よりもさらに前方に延出する延出部を有し、
上記支持部材は該延出部と、フロントウインド部材の下端部の上面とに上側から当接することで、該フロントウインド部材の振動を抑制する
請求項5または6記載のフロントウインド支持構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−1006(P2012−1006A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134696(P2010−134696)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】