フードロックの固定構造
【課題】 ラジエータコアサポートに対して3箇所の締結部で固定することにより必要剛性を確保しつつ、ラジエータコアサポートに対して容易に固定可能なフードロックの固定構造の提供。
【解決手段】 フードロック本体7aの締結部にそれぞれ挿通穴7e,7fを設け、ラジエータコアサポート1におけるフードロック本体7aの左右方向両端部の挿通穴7eに対応する位置にそれぞれボルト穴6aを設け、フードロック本体7aの左右方向両端部の挿通穴7fとそれぞれ対応するラジエータコアサポート1のボルト穴6aにボルトB1を挿通して両者を締結し、ラジエータコアサポート1におけるフードロック本体7aの下方中央部の挿通穴7fと対応する位置に、該挿通穴7fに挿通するピン部9を設けた。
【解決手段】 フードロック本体7aの締結部にそれぞれ挿通穴7e,7fを設け、ラジエータコアサポート1におけるフードロック本体7aの左右方向両端部の挿通穴7eに対応する位置にそれぞれボルト穴6aを設け、フードロック本体7aの左右方向両端部の挿通穴7fとそれぞれ対応するラジエータコアサポート1のボルト穴6aにボルトB1を挿通して両者を締結し、ラジエータコアサポート1におけるフードロック本体7aの下方中央部の挿通穴7fと対応する位置に、該挿通穴7fに挿通するピン部9を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フードロックの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フードロックのフードロック本体には、図外のエンジンのフードの全閉状態においてフード側に設けたストライカと係合し、且つ、フードを全閉状態に拘束するラッチと、フードの半開状態においてストライカと係合し、且つ、フードを半開状態に拘束するセカンダリーラッチ及びリリースレバーと、フードの全閉状態においてセカンダリーラッチをストライカと係合する係合方向へ付勢するスプリングを主要な構成として備えられている(特許文献1参照)。
【0003】
また、通常、フードロック本体の左右方向両端部及び下方中央部の3箇所には、ラジエータコアサポートとの締結部が形成されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−120100号公報
【特許文献2】特開2004−243800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のフードロックの固定構造にあっては、フードロック本体の左右方向両端部及び下方中央部の3箇所の締結部がラジエータコアサポートに対して全てボルトによる締結で固定されるため、両者の締結作業、特にフードロック本体の下方中央部におけるボルトの締結は狭小なスペースに工具を挿入して締結する必要があるため大変手間が掛かるという問題点があった。
【0005】
なお、フードロックとラジエータコアサポートの締結部を仮締めしておき、ラジエータコアサポートを車両に搭載してフード側との高さを微調整した後に締結部を本締めする場合もあり、このような場合には、前述したフードロック本体の下方中央部付近には、既に熱交換器やバンパフェイシア等の周辺部材が近接して配置されているため、前述した調整は困難を極める。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ラジエータコアサポートに対して3箇所の締結部で固定することにより必要剛性を確保しつつ、ラジエータコアサポートに対して容易に固定可能なフードロックの固定構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載の発明では、フードロック本体の左右方向両端部及び下方中央部の3箇所にラジエータコアサポートとの締結部が形成されたフードロックの固定構造において、前記フードロック本体の締結部にそれぞれ挿通穴を設け、前記ラジエータコアサポートにおけるフードロック本体の左右方向両端部の挿通穴に対応する位置にそれぞれボルト穴を設け、前記フードロック本体の左右方向両端部の挿通穴とそれぞれ対応するラジエータコアサポートのボルト穴にボルトを挿通して両者を締結し、前記ラジエータコアサポートにおけるフードロック本体の下方中央部の挿通穴と対応する位置に、該挿通穴に挿通するピン部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、フードロック本体の左右方向両端部及び下方中央部の3箇所にラジエータコアサポートとの締結部が形成されたフードロックの固定構造において、前記フードロック本体の締結部にそれぞれ挿通穴を設け、前記ラジエータコアサポートにおけるフードロック本体の左右方向両端部の挿通穴に対応する位置にそれぞれボルト穴を設け、前記フードロック本体の左右方向両端部の挿通穴とそれぞれ対応するラジエータコアサポートのボルト穴にボルトを挿通して両者を締結し、前記ラジエータコアサポートにおけるフードロック本体の下方中央部の挿通穴と対応する位置に、該挿通穴に挿通するピン部を設けたため、ラジエータコアサポートに対して3箇所の締結部で固定することにより必要剛性を確保しつつ、ラジエータコアサポートに対して容易に固定可能できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
以下、実施例1を説明する。
図1は本発明の実施例1のフードロックの固定構造を示す全体分解斜視図、図2はフードロックの斜視図、図3はブラケット部の斜視図、図4はピン部の斜視図、図5は図3のS5−S5線における断面図、図6はラジエータコアサポート、フードロック、ブラケット部の固定を説明する図である。
図7はラジエータコアサポートアッパの中央部付近を示す拡大図、図8はブラケット部とラジエータコアサポートの固定を説明する図、図9はフードロックの仮保持を説明する図である。
【0011】
先ず、全体構成を説明する。
図1に示すように、本実施例1のフードロックの固定構造が採用されたラジエータコアサポート1は、車幅方向に延在するラジエータコアサポートアッパ2と、このラジエータコアサポートアッパ2に並行するラジエータコアサポートロア3と、ラジエータコアサポートアッパ2とラジエータコアサポートロア3の両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド4,4と、ラジエータコアサポートアッパ2とラジエータコアサポートロア3の中央部同士を結合するフードロックステイ5を備え、これらは全て樹脂を用いた射出成形により一体的に形成されている。
また、フードロックステイ5の両側には図示を省略するファンを搭載するためのファン開口部10,10が形成されている。
【0012】
ラジエータコアサポートアッパ2は、車両後方側に開口した略コ字状断面に形成される他、その中央部6にはフードロック7を装着するための空間Oが車両前方側に向けて開口した状態に形成されると共に、左右に所定間隔で離間したボルト穴6aが設けられている。
【0013】
その他、フードロックステイ5におけるラジエータコアサポートアッパ2との結合部付近には、左右に所定間隔で離間した貫通穴5aが設けられている。
【0014】
図2に示すように、フードロック7は、フードロック本体7aと、図外のエンジンのフードの全閉状態においてフード側に設けたストライカと係合し、且つ、フードを全閉状態に拘束するラッチ7bと、フードの半開状態においてストライカと係合し、且つ、フードを半開状態に拘束するセカンダリーラッチ7c及びリリースレバー7dと、フードの全閉状態においてセカンダリーラッチ7cをストライカと係合する係合方向へ付勢するスプリングSが主要な構成として備えられ、各構成部材が全て金属製である。
【0015】
また、フードロック本体7aの左右方向両端部には、それぞれ挿通穴7eが設けられ、一方、下方中央部には挿通穴7fが設けられている。
【0016】
図3に示すように、ブラケット部8は、下端を除く周縁が皿状に立ち上げられた金属製板材から成るブラケット部本体8aと、該ブラケット部本体8aの屈折した上部に装着された金属製のピン部9で構成されている。
ブラケット部本体8aの上部中央には後述する貫通穴8bが形成され、一方、下部には左右に所定間隔で離間した貫通穴8cが形成されている。
【0017】
一方、ピン部9は、図4に示すように、異径の円柱状に形成された台座9aと、この台座9aから縮径する段差を有して延びる円柱状の係止部9bと、この係止部9bから拡径する段差を有する円盤状の頭部9cで構成され、図5に示すように、ブラケット部8の貫通穴8bに挿入された状態で台座9aがブラケット部8の貫通穴8bに全周に亘って溶接X1されることにより固定されている。
【0018】
そして、図6に示すように、フードロック本体7aの各挿通穴7eと中央部6の各ボルト穴6aにワッシャWを介してそれぞれボルトB1が挿通され、これにより、フードロック7の左右方向両端部がラジエータコアサポート1に固定されている。
【0019】
さらに、ブラケット部8の各貫通穴8cとフードロックステイ5の各貫通穴5aにそれぞれリベットR1が挿通され、これにより、ブラケット部8がラジエータコアサポート1に固定される他、該ブラケット部8のピン部9はフードロック本体7aの挿通穴7fに挿入された状態となっている。
【0020】
次に、作用を説明する。
このように構成されたフードロック7をラジエータコアサポートに装着する際には、先ず、図7、8に示すように、ピン部9が装着されたブラケット部8の各貫通穴8cとフードロックステイ5の各貫通穴5aを合致させた状態としてそれぞれリベットR1を挿通することにより、ブラケット部8をラジエータコアサポート1に固定する。
【0021】
次に、図9に示すように、フードロック7を斜めにした状態でラジエータコアサポート1の中央部6とブラケット部8との間に挿入して該フードロック本体7aの挿通穴7fにブラケット部8のピン部9を挿入させた状態で起立させる。
この際、図5に示すように、ピン部9の係止部9bによって挿通穴7fとの間に僅かな隙間W1が形成されるため、両者が相対変位した際には、挿入穴7fとピン部9の係止部9bを確実に係止させることができるようになっている。
【0022】
また、ブラケット部8のピン部9でフードロック7を仮保持でき、ラジエータコアサポート1の製造ラインでの搬送中にフードロック7が脱落するのを防止できる。
【0023】
最後に、フードロック本体7aの各挿通穴7eとラジエータコアサポートアッパ2の中央部6の各ボルト穴6aを合致させた状態としてそれぞれボルトB1を挿通することにより、フードロック7をラジエータコアサポート1に固定する(図6参照)。
【0024】
このように構成されたフードロック7は、フードロック本体7aの左右方向両端部及び下方中央部の3箇所にラジエータコアサポート1との締結部が形成されることになる。
【0025】
従って、フードロック7をラジエータコアサポート1に対して堅固に固定でき、エンジンフードが上方に引っ張られた際におけるフードロック7の必要剛性を確保できる。
【0026】
ここで、従来の発明にあっては、フードロック本体の左右方向両端部及び下方中央部の3箇所の締結部がラジエータコアサポートに対して全てボルトによる締結で固定されるため、両者の締結作業、特にフードロック本体の下方中央部におけるボルトの締結は狭小なスペースに工具を挿入して締結する必要があるため大変手間が掛かるという問題点があった。
【0027】
また、フードロックとラジエータコアサポートの締結部を仮締めしておき、ラジエータコアサポートを車両に搭載してフード側との高さを微調整した後に締結部を本締めする場合もあり、このような場合には、前述したフードロック本体の下方中央部付近には、既に熱交換器やバンパフェイシア等の周辺部材が近接して配置されているため、前述した調整は困難を極める。
【0028】
これに対し、本実施例1のフードロックの固定構造にあっては、前述したように、フードロック7の下方中央部をブラケット部8のピン部9により支持させることができ、フードロック7の必要剛性を確保しつつ、ラジエータコアサポート1への装着が容易となる。
【0029】
次に、効果を説明する。
以上、説明したように、本実施例1のフードロックの固定構造にあっては、フードロック本体7aの左右方向両端部及び下方中央部の3箇所にラジエータコアサポート1との締結部が形成されたフードロックの固定構造において、フードロック本体7aの締結部にそれぞれ挿通穴7e,7fを設け、ラジエータコアサポート1におけるフードロック本体7aの左右方向両端部の挿通穴7eに対応する位置にそれぞれボルト穴6aを設け、フードロック本体7aの左右方向両端部の挿通穴7fとそれぞれ対応するラジエータコアサポート1のボルト穴6aにボルトB1を挿通して両者を締結し、ラジエータコアサポート1におけるフードロック本体7aの下方中央部の挿通穴7fと対応する位置に、該挿通穴7fに挿通するピン部9を備えるブラケット部8を設けたため、ラジエータコアサポート1に対して3箇所の締結部で固定することにより、必要剛性を確保しつつ、ラジエータコアサポート1に対して容易に固定可能できる。
【0030】
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、ブラケット部8及びピン部9の形状は適宜設定でき、例えば、図10に示すように、その先端が下方に屈折した略鍵形状のピン部20にしても良い。
また、ブラケット部8とピン部9は必ずしも別体で構成する必要はなく、例えば、図11に示すように、ブラケット部8の一部を切欠折り曲げ加工してピン部30を形成しても良い。
【0031】
さらに、ブラケット部8、ピン部9、ラジエータコアサポート1は必ずしも別体で構成する必要はなく、これら三者を、樹脂を用いた射出成形、または金属を用いたプレス加工成形で一体的に形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1のフードロックの固定構造を示す全体分解斜視図である。
【図2】フードロックの斜視図である。
【図3】ブラケット部の斜視図である。
【図4】ピン部の斜視図である。
【図5】図3のS5−S5線における断面図である。
【図6】ラジエータコアサポート、フードロック、ブラケット部の固定を説明する図である。
【図7】ラジエータコアサポートアッパの中央部付近を示す拡大図である。
【図8】ブラケット部とラジエータコアサポートの固定を説明する図である。
【図9】フードロックの仮保持を説明する図である。
【図10】その他の実施例のピン部を説明する図である。
【図11】その他の実施例のピン部を説明する図である。
【符号の説明】
【0033】
O 空間
R1 リベット
S スプリング
W ワッシャ
X1 溶接
1 ラジエータコアサポート
2 ラジエータコアサポートアッパ
3 ラジエータコアサポートロア
4 ラジエータコアサポートサイド
5 フードロックステイ
6 中央部
6a ボルト穴
6b 貫通穴
7 フードロック
7a フードロック本体
7b ラッチ
7c セカンダリーラッチ
7d リリースレバー
7e、7f 挿通穴
8 ブラケット部
8a ブラケット部本体
8b、8c 貫通穴
9 ピン部
9a 台座
9b 係止部
9c 頭部
10 開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、フードロックの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フードロックのフードロック本体には、図外のエンジンのフードの全閉状態においてフード側に設けたストライカと係合し、且つ、フードを全閉状態に拘束するラッチと、フードの半開状態においてストライカと係合し、且つ、フードを半開状態に拘束するセカンダリーラッチ及びリリースレバーと、フードの全閉状態においてセカンダリーラッチをストライカと係合する係合方向へ付勢するスプリングを主要な構成として備えられている(特許文献1参照)。
【0003】
また、通常、フードロック本体の左右方向両端部及び下方中央部の3箇所には、ラジエータコアサポートとの締結部が形成されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−120100号公報
【特許文献2】特開2004−243800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のフードロックの固定構造にあっては、フードロック本体の左右方向両端部及び下方中央部の3箇所の締結部がラジエータコアサポートに対して全てボルトによる締結で固定されるため、両者の締結作業、特にフードロック本体の下方中央部におけるボルトの締結は狭小なスペースに工具を挿入して締結する必要があるため大変手間が掛かるという問題点があった。
【0005】
なお、フードロックとラジエータコアサポートの締結部を仮締めしておき、ラジエータコアサポートを車両に搭載してフード側との高さを微調整した後に締結部を本締めする場合もあり、このような場合には、前述したフードロック本体の下方中央部付近には、既に熱交換器やバンパフェイシア等の周辺部材が近接して配置されているため、前述した調整は困難を極める。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ラジエータコアサポートに対して3箇所の締結部で固定することにより必要剛性を確保しつつ、ラジエータコアサポートに対して容易に固定可能なフードロックの固定構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載の発明では、フードロック本体の左右方向両端部及び下方中央部の3箇所にラジエータコアサポートとの締結部が形成されたフードロックの固定構造において、前記フードロック本体の締結部にそれぞれ挿通穴を設け、前記ラジエータコアサポートにおけるフードロック本体の左右方向両端部の挿通穴に対応する位置にそれぞれボルト穴を設け、前記フードロック本体の左右方向両端部の挿通穴とそれぞれ対応するラジエータコアサポートのボルト穴にボルトを挿通して両者を締結し、前記ラジエータコアサポートにおけるフードロック本体の下方中央部の挿通穴と対応する位置に、該挿通穴に挿通するピン部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、フードロック本体の左右方向両端部及び下方中央部の3箇所にラジエータコアサポートとの締結部が形成されたフードロックの固定構造において、前記フードロック本体の締結部にそれぞれ挿通穴を設け、前記ラジエータコアサポートにおけるフードロック本体の左右方向両端部の挿通穴に対応する位置にそれぞれボルト穴を設け、前記フードロック本体の左右方向両端部の挿通穴とそれぞれ対応するラジエータコアサポートのボルト穴にボルトを挿通して両者を締結し、前記ラジエータコアサポートにおけるフードロック本体の下方中央部の挿通穴と対応する位置に、該挿通穴に挿通するピン部を設けたため、ラジエータコアサポートに対して3箇所の締結部で固定することにより必要剛性を確保しつつ、ラジエータコアサポートに対して容易に固定可能できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
以下、実施例1を説明する。
図1は本発明の実施例1のフードロックの固定構造を示す全体分解斜視図、図2はフードロックの斜視図、図3はブラケット部の斜視図、図4はピン部の斜視図、図5は図3のS5−S5線における断面図、図6はラジエータコアサポート、フードロック、ブラケット部の固定を説明する図である。
図7はラジエータコアサポートアッパの中央部付近を示す拡大図、図8はブラケット部とラジエータコアサポートの固定を説明する図、図9はフードロックの仮保持を説明する図である。
【0011】
先ず、全体構成を説明する。
図1に示すように、本実施例1のフードロックの固定構造が採用されたラジエータコアサポート1は、車幅方向に延在するラジエータコアサポートアッパ2と、このラジエータコアサポートアッパ2に並行するラジエータコアサポートロア3と、ラジエータコアサポートアッパ2とラジエータコアサポートロア3の両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド4,4と、ラジエータコアサポートアッパ2とラジエータコアサポートロア3の中央部同士を結合するフードロックステイ5を備え、これらは全て樹脂を用いた射出成形により一体的に形成されている。
また、フードロックステイ5の両側には図示を省略するファンを搭載するためのファン開口部10,10が形成されている。
【0012】
ラジエータコアサポートアッパ2は、車両後方側に開口した略コ字状断面に形成される他、その中央部6にはフードロック7を装着するための空間Oが車両前方側に向けて開口した状態に形成されると共に、左右に所定間隔で離間したボルト穴6aが設けられている。
【0013】
その他、フードロックステイ5におけるラジエータコアサポートアッパ2との結合部付近には、左右に所定間隔で離間した貫通穴5aが設けられている。
【0014】
図2に示すように、フードロック7は、フードロック本体7aと、図外のエンジンのフードの全閉状態においてフード側に設けたストライカと係合し、且つ、フードを全閉状態に拘束するラッチ7bと、フードの半開状態においてストライカと係合し、且つ、フードを半開状態に拘束するセカンダリーラッチ7c及びリリースレバー7dと、フードの全閉状態においてセカンダリーラッチ7cをストライカと係合する係合方向へ付勢するスプリングSが主要な構成として備えられ、各構成部材が全て金属製である。
【0015】
また、フードロック本体7aの左右方向両端部には、それぞれ挿通穴7eが設けられ、一方、下方中央部には挿通穴7fが設けられている。
【0016】
図3に示すように、ブラケット部8は、下端を除く周縁が皿状に立ち上げられた金属製板材から成るブラケット部本体8aと、該ブラケット部本体8aの屈折した上部に装着された金属製のピン部9で構成されている。
ブラケット部本体8aの上部中央には後述する貫通穴8bが形成され、一方、下部には左右に所定間隔で離間した貫通穴8cが形成されている。
【0017】
一方、ピン部9は、図4に示すように、異径の円柱状に形成された台座9aと、この台座9aから縮径する段差を有して延びる円柱状の係止部9bと、この係止部9bから拡径する段差を有する円盤状の頭部9cで構成され、図5に示すように、ブラケット部8の貫通穴8bに挿入された状態で台座9aがブラケット部8の貫通穴8bに全周に亘って溶接X1されることにより固定されている。
【0018】
そして、図6に示すように、フードロック本体7aの各挿通穴7eと中央部6の各ボルト穴6aにワッシャWを介してそれぞれボルトB1が挿通され、これにより、フードロック7の左右方向両端部がラジエータコアサポート1に固定されている。
【0019】
さらに、ブラケット部8の各貫通穴8cとフードロックステイ5の各貫通穴5aにそれぞれリベットR1が挿通され、これにより、ブラケット部8がラジエータコアサポート1に固定される他、該ブラケット部8のピン部9はフードロック本体7aの挿通穴7fに挿入された状態となっている。
【0020】
次に、作用を説明する。
このように構成されたフードロック7をラジエータコアサポートに装着する際には、先ず、図7、8に示すように、ピン部9が装着されたブラケット部8の各貫通穴8cとフードロックステイ5の各貫通穴5aを合致させた状態としてそれぞれリベットR1を挿通することにより、ブラケット部8をラジエータコアサポート1に固定する。
【0021】
次に、図9に示すように、フードロック7を斜めにした状態でラジエータコアサポート1の中央部6とブラケット部8との間に挿入して該フードロック本体7aの挿通穴7fにブラケット部8のピン部9を挿入させた状態で起立させる。
この際、図5に示すように、ピン部9の係止部9bによって挿通穴7fとの間に僅かな隙間W1が形成されるため、両者が相対変位した際には、挿入穴7fとピン部9の係止部9bを確実に係止させることができるようになっている。
【0022】
また、ブラケット部8のピン部9でフードロック7を仮保持でき、ラジエータコアサポート1の製造ラインでの搬送中にフードロック7が脱落するのを防止できる。
【0023】
最後に、フードロック本体7aの各挿通穴7eとラジエータコアサポートアッパ2の中央部6の各ボルト穴6aを合致させた状態としてそれぞれボルトB1を挿通することにより、フードロック7をラジエータコアサポート1に固定する(図6参照)。
【0024】
このように構成されたフードロック7は、フードロック本体7aの左右方向両端部及び下方中央部の3箇所にラジエータコアサポート1との締結部が形成されることになる。
【0025】
従って、フードロック7をラジエータコアサポート1に対して堅固に固定でき、エンジンフードが上方に引っ張られた際におけるフードロック7の必要剛性を確保できる。
【0026】
ここで、従来の発明にあっては、フードロック本体の左右方向両端部及び下方中央部の3箇所の締結部がラジエータコアサポートに対して全てボルトによる締結で固定されるため、両者の締結作業、特にフードロック本体の下方中央部におけるボルトの締結は狭小なスペースに工具を挿入して締結する必要があるため大変手間が掛かるという問題点があった。
【0027】
また、フードロックとラジエータコアサポートの締結部を仮締めしておき、ラジエータコアサポートを車両に搭載してフード側との高さを微調整した後に締結部を本締めする場合もあり、このような場合には、前述したフードロック本体の下方中央部付近には、既に熱交換器やバンパフェイシア等の周辺部材が近接して配置されているため、前述した調整は困難を極める。
【0028】
これに対し、本実施例1のフードロックの固定構造にあっては、前述したように、フードロック7の下方中央部をブラケット部8のピン部9により支持させることができ、フードロック7の必要剛性を確保しつつ、ラジエータコアサポート1への装着が容易となる。
【0029】
次に、効果を説明する。
以上、説明したように、本実施例1のフードロックの固定構造にあっては、フードロック本体7aの左右方向両端部及び下方中央部の3箇所にラジエータコアサポート1との締結部が形成されたフードロックの固定構造において、フードロック本体7aの締結部にそれぞれ挿通穴7e,7fを設け、ラジエータコアサポート1におけるフードロック本体7aの左右方向両端部の挿通穴7eに対応する位置にそれぞれボルト穴6aを設け、フードロック本体7aの左右方向両端部の挿通穴7fとそれぞれ対応するラジエータコアサポート1のボルト穴6aにボルトB1を挿通して両者を締結し、ラジエータコアサポート1におけるフードロック本体7aの下方中央部の挿通穴7fと対応する位置に、該挿通穴7fに挿通するピン部9を備えるブラケット部8を設けたため、ラジエータコアサポート1に対して3箇所の締結部で固定することにより、必要剛性を確保しつつ、ラジエータコアサポート1に対して容易に固定可能できる。
【0030】
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、ブラケット部8及びピン部9の形状は適宜設定でき、例えば、図10に示すように、その先端が下方に屈折した略鍵形状のピン部20にしても良い。
また、ブラケット部8とピン部9は必ずしも別体で構成する必要はなく、例えば、図11に示すように、ブラケット部8の一部を切欠折り曲げ加工してピン部30を形成しても良い。
【0031】
さらに、ブラケット部8、ピン部9、ラジエータコアサポート1は必ずしも別体で構成する必要はなく、これら三者を、樹脂を用いた射出成形、または金属を用いたプレス加工成形で一体的に形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1のフードロックの固定構造を示す全体分解斜視図である。
【図2】フードロックの斜視図である。
【図3】ブラケット部の斜視図である。
【図4】ピン部の斜視図である。
【図5】図3のS5−S5線における断面図である。
【図6】ラジエータコアサポート、フードロック、ブラケット部の固定を説明する図である。
【図7】ラジエータコアサポートアッパの中央部付近を示す拡大図である。
【図8】ブラケット部とラジエータコアサポートの固定を説明する図である。
【図9】フードロックの仮保持を説明する図である。
【図10】その他の実施例のピン部を説明する図である。
【図11】その他の実施例のピン部を説明する図である。
【符号の説明】
【0033】
O 空間
R1 リベット
S スプリング
W ワッシャ
X1 溶接
1 ラジエータコアサポート
2 ラジエータコアサポートアッパ
3 ラジエータコアサポートロア
4 ラジエータコアサポートサイド
5 フードロックステイ
6 中央部
6a ボルト穴
6b 貫通穴
7 フードロック
7a フードロック本体
7b ラッチ
7c セカンダリーラッチ
7d リリースレバー
7e、7f 挿通穴
8 ブラケット部
8a ブラケット部本体
8b、8c 貫通穴
9 ピン部
9a 台座
9b 係止部
9c 頭部
10 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フードロック本体の左右方向両端部及び下方中央部の3箇所にラジエータコアサポートとの締結部が形成されたフードロックの固定構造において、
前記フードロック本体の締結部にそれぞれ挿通穴を設け、
前記ラジエータコアサポートにおけるフードロック本体の左右方向両端部の挿通穴に対応する位置にそれぞれボルト穴を設け、
前記フードロック本体の左右方向両端部の挿通穴とそれぞれ対応するラジエータコアサポートのボルト穴にボルトを挿通して両者を締結し、
前記ラジエータコアサポートにおけるフードロック本体の下方中央部の挿通穴と対応する位置に、該挿通穴に挿通するピン部を設けたことを特徴とするフードロックの固定構造。
【請求項1】
フードロック本体の左右方向両端部及び下方中央部の3箇所にラジエータコアサポートとの締結部が形成されたフードロックの固定構造において、
前記フードロック本体の締結部にそれぞれ挿通穴を設け、
前記ラジエータコアサポートにおけるフードロック本体の左右方向両端部の挿通穴に対応する位置にそれぞれボルト穴を設け、
前記フードロック本体の左右方向両端部の挿通穴とそれぞれ対応するラジエータコアサポートのボルト穴にボルトを挿通して両者を締結し、
前記ラジエータコアサポートにおけるフードロック本体の下方中央部の挿通穴と対応する位置に、該挿通穴に挿通するピン部を設けたことを特徴とするフードロックの固定構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−298167(P2006−298167A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122860(P2005−122860)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
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