説明

ブラシホルダ装置及びポンプ用モータ

【課題】簡易な構成で、軸受を確実に保持することができるブラシホルダ装置を提供する。
【解決手段】ブラシホルダ装置2は、中央に回転軸が貫通するための開口部34が形成された略円盤状のフレーム35と、フレーム35の一方の面35aに設けられた、整流子に向けて付勢され先端部が整流子の外周面に摺接されるブラシを収容保持するホルダ本体部36と、フレーム35の他方の面35bに設けられた、回転軸を軸支する支持ベアリング17を保持するベアリング収容部37とを備える。ベアリング収容部37は、フレーム35の他方の面35bからの長さL1が、ベアリング収容部37に収容された支持ベアリング17の長さL2の2/3以上となるように、周方向に間隔をおいて形成された複数のベアリング保持壁41を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシホルダ装置及びポンプ用モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、DCモータには、電機子(回転子)の整流子に当接させる給電用のブラシを保持するブラシホルダが設けられている。ブラシホルダは、整流子の径方向に配設されたブラシを、整流子に向けて付勢可能に保持するものである。このようなブラシホルダとして、ブラシを保持する面の裏面側に、前記電機子の回転軸を保持するベアリング(軸受)を収容するベアリングハウジングを設けたブラシホルダが提案されている。そして、ベアリングをベアリングハウジングに固定するために、種々の構成が提案されている。例えば、非特許文献1には、ブラシホルダにおいてボールベアリング保持部の内周面に、内側に向けて突出する突起を設け、この突起に既存の溝付きボールベアリングを圧入し、突起が溝に嵌るように固定する樹脂製のブラシホルダが提案されている。
【非特許文献1】日本電装公開技報95P−125
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のブラシホルダはベアリングが圧入によリ固定されているため、ベアリングハウジングに径方向から大きな衝撃力が加わる等して過大なスラスト力が作用すると、ベアリングハウジングの保持力が不足する場合があった。又、ベアリングハウジングから露出されたベアリングの部分に偏荷重が加わって偏摩耗することにより、ベアリングの寿命が低下するという問題があった。更には、ベアリングは、ベアリングハウジングに圧入されるため、そのベアリングハウジングの内径を高精度に形成する必要があり、加工工数が多く必要であった。
【0004】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡易な構成で、確実に軸受を保持することができるブラシホルダ装置及びポンプ用モータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、環状円盤部の一方の面に整流子に向けて付勢され先端部が前記整流子の外周面に摺接されるブラシを収容保持するホルダ本体部を備え、前記環状円盤部の他方の面に前記整流子を固定する回転軸を軸支する軸受を保持する軸受収容部を備えたブラシホルダ装置であって、前記軸受収容部は、前記環状円盤部の他方の面からの長さが該軸受収容部に収容された前記軸受の長さの2/3以上となるように、周方向に間隔をおいて形成された複数の軸受保持壁を備えていることを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブラシホルダ装置において、前記軸受保持壁は、その付根部分に他の部分よりも内径が大きくなるように大径部が形成されていることを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のブラシホルダ装置において、前記軸受保持壁の前記軸受に当接する当接面には、ローレットが形成されていることを要旨とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうち何れか1項に記載のブラシホルダ装置において、前記軸受保持壁の前記軸受に当接する当接面には、先端に向けて幅が漸減すると共にその先端部が周方向に分割されて前記軸受に当接するように形成された突出部が設けられていることを要旨とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のうち何れか1項に記載のブラシホルダ装置と、前記ホルダ本体部に保持されたブラシに摺接される整流子と、前記ブラシからの給電により回転する電機子と、前記環状円盤部の他方の面側に設けられた、前記電機子と共に回転する偏心カムと、該偏心カムと前記ブラシホルダ装置に収容された軸受を収容するポンプハウジングと、前記偏心カムの偏心運動により流体を圧送する圧送手段と、を備えたポンプ用モータであって、前記軸受保持壁は、前記圧送手段による流体の圧送方向と直交する方向に形成され、前記軸受は、前記軸受保持壁に保持されていない圧送方向部分を前記ポンプハウジングによって保持されていることを要旨とする。
【0010】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、軸受保持壁は、環状円盤部の他方の面からの長さが、軸受収容部に収容された軸受の長さの2/3以上とされる。このため、軸受は、一方の端部が環状円盤部の他方の面に設置され、他方の端部近傍までが軸受保持壁に保持されて、確実に保持される。又、軸受保持壁は、他方の面からの長さが軸受に対して2/3以上の長さまでとされるためその厚みを薄くすることができると共に、周方向に間隔をおいて複数形成されており周方向に分離されているため、1枚1枚の軸受保持壁はそれぞれ可撓性に優れる。このため、軸受保持壁の内径が高精度で形成されなくても、軸受を軸受収容部に圧入固定することが可能であり、軸受収容部を簡易な構成とすることができる。
【0011】
又、前記軸受保持壁に保持されていない軸受部分によってポンプハウジング等の被装着部材と嵌合することにより、高精度の嵌合が可能となる。更に、回転軸に径方向から荷重が加わる場合には、前記軸受保持壁に保持されていない軸受部分を被装着部材によって当該軸受の長さ全体でもって保持することが可能である。従って、ブラシホルダ装置にダメージを与えず、軸受に偏荷重が加わらないため、軸受の耐久性を向上させることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、軸受保持壁の大径部が形成された部分は他の部分よりも肉薄とされるため、軸受保持壁の可撓性が向上し、より容易に軸受を圧入することができるようになる。又、軸受保持壁の付根部分に大径部が形成されるため、軸受保持壁は軸受の中央部分を保持することとなり、軸受は安定して保持される。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、軸受保持壁の軸受に当接する当接面に形成されたローレットの凸条が軸受に食い込むことにより、軸受は軸受保持壁に強固に固定される。このため、軸受はより一層確実にブラシホルダ装置に保持される。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、突出部の先端を割れた状態で軸受に当接させることで、軸受収容部を軸受に密着させることができ、軸受収容部の軸受保持力を向上することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、軸受保持壁は圧送手段による流体の圧送方向と直交する方向に形成され、軸受は軸受保持壁に保持されていない圧送方向部分をポンプハウジングによって保持されている。このため、圧送手段で圧送される流体による荷重を、軸受の軸受保持壁に保持されていない部分を保持するポンプハウジングによって、軸受の長さ全体で受け止めることが可能である。従って、ブラシホルダ装置にダメージを与えず、軸受に偏荷重が加わらないため、耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡易な構成で、確実に軸受を保持することができるブラシホルダ装置及びポンプ用モータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ポンプ用モータ1は、ブラシホルダ装置2と、ブラシホルダ装置2に保持されたブラシ3が摺接されて回転するモータ部4と、モータ部4の回転により流体を圧送するポンプ部5とを備えている。
【0018】
モータ部4は、略有底円筒形状のヨーク6を備えており、その開口側端部は後述するポンプハウジング18にボルト7で固定されている。又、ヨーク6のポンプハウジング18側の開口部には、ブラシホルダ装置2が内嵌されている。ヨーク6は、その内周面に磁石8が固着されており、該磁石8に対向して回転子9が回転可能に収容されている。回転子9は回転軸10を中心に回転可能とされており、回転軸10には、ブラシホルダ装置2の一方の面に保持されたブラシ3に摺接される整流子11と、ブラシ3からの給電により回転する電機子12とが固定されている。回転軸10は、ブラシホルダ装置2を貫通してポンプ部5側に突出しており、回転軸10のポンプ部5側の端部にはボールベアリング13が圧入により固定されている。尚、ブラシホルダ装置2のブラシ3の保持構造については後述する。
【0019】
そして、回転軸10のボールベアリング13に隣接する位置(モータ部4側)には、電機子12と共に回転する偏心カムとしての偏心ベアリング14が固定されている。この偏心ベアリング14は、ボールベアリング15と、その内輪に圧入された偏心ブッシュ16とを備えており、回転軸10が偏心ブッシュ16の軸芯部に圧入されて固定されている。このため、回転軸10が回転すると、偏心ベアリング14は偏心運動する。
【0020】
又、回転軸10の軸方向に略中間部には、ブラシホルダ装置2の他方の面に保持された軸受としての支持ベアリング17が圧入により固定されている。回転軸10は、支持ベアリング17及びボールベアリング13により片持ち支持されている。尚、ブラシホルダ装置2の支持ベアリング保持構造については後述する。
【0021】
一方、ポンプ部5は、ポンプハウジング18を備えており、ポンプハウジング18に前記ヨーク6が固定されている。ポンプハウジング18には、前述したボールベアリング13及び偏心ベアリング14が挿入される収容部19が形成されている。この収容部19は、先端部が縮径された略円柱形をしており、その縮径部20にボールベアリング13が緊密に嵌入されている。このように、回転軸10のポンプ部5側の先端部は、縮径部20に固定されたボールベアリング13に軸支されている。
【0022】
又、収容部19の拡径部21の中央には、偏心ベアリング14が偏心運動可能に配置されている。この偏心ベアリング14の外周面一部には、プランジャ支持体22に往復運動可能に緊密に収容配置されたプランジャ23が当接している。プランジャ23の中央部には流路が形成されており、オイルが流入可能とされている。
【0023】
更に、プランジャ23はこれ自体圧縮コイルバネ24によって押圧付勢されており、且つ、その軸方向下端部には圧縮コイルバネ25によって押圧付勢されたチェックボール26が離間可能に当接している。
【0024】
又、このチェックボール26に対向する位置には別のチェックボール27が圧縮コイルバネ28によって押圧付勢されており、これらのチェックボール26,27によってチェック弁が構成されている。尚、上述したプランジャ23、チェックボール26,27、吸入孔29及び吐出孔30は、圧送手段に相当する。
【0025】
又、ポンプハウジング18は、図1図示状態で偏心ベアリング14よりも若干上側に、回転軸10の軸方向に貫通孔31が形成されており、この貫通孔31内にはブラシホルダ装置2に設けられた保持部32が収容されている。保持部32には配線兼用プレート33が埋設されており、保持部32は貫通孔31を貫通して配線兼用プレート33の一端側をポンプハウジング18から露出させている。そして、この配線兼用プレート33の他端側はブラシ3に電気的に接続されている。
【0026】
上記の構成において、配線兼用プレート33を介してブラシ3に給電されると、回転子9が回転し、偏心ベアリング14が偏心運動する。すると、偏心ベアリング14の周面の一部に当接しているプランジャ23が往復運動する。これにより、チェックボール26,27が規則的に開放状態と閉塞状態とを繰り返し、吸入孔29から吸入されたオイルが吐出孔30から吐出される。又、図1においては説明上、プランジャ23を下方に一つとして示したが、水平方向に対向して2つ形成されている。
【0027】
一方、図2(a),(b)に示すように、ブラシホルダ装置2は、中央に回転軸10が貫通するための開口部34が形成された環状円盤部としてのフレーム35と、フレーム35の一方の面35aに設けられたホルダ本体部36と、フレーム35の他方の面35bに設けられた軸受収容部としてのベアリング収容部37とを備えている。ブラシホルダ装置2は樹脂製とされており、フレーム35とホルダ本体部36とベアリング収容部37とが一体成型によって形成されている。
【0028】
ホルダ本体部36は、周方向に等間隔で放射状に配置された複数のブラシ3(本実施形態では一部のみを図示)を保持する。これらブラシ3は、それぞれ開口部34の中心方向に向けて常に付勢された状態でホルダ本体部36に収容され、回転軸10が開口部34を貫通する以前の状態では各ブラシ3の先端部は整流子11の外周面よりも若干内側に突出した状態となるように付勢される。このため、各ブラシ3は、その先端面が整流子11の外周面に摺接されるようにホルダ本体部36に収容保持される。尚、各ブラシ3の上端面はピッグテール(図示略)が延出されており、ブラシ3はこのピッグテールを介して配線兼用プレート33に電気的に接続されている。
【0029】
ベアリング収容部37は、回転軸10を軸支する前記支持ベアリング17を保持している。ベアリング収容部37は、周方向に間隔をおいて形成された複数(本実施形態では4つ)の軸受保持壁としてのベアリング保持壁41を備えている。尚、各ベアリング保持壁41は、前記圧送手段による流体の圧送方向と直交する方向(回転軸10の軸方向)に形成されている。又、ベアリング保持壁41はポンプハウジング18の拡径部21に径方向に延びるように形成された溝部21aに収容されるとともに、支持ベアリング17のベアリング保持壁41に保持されていない部分は拡径部21の内周面に嵌合保持されている(図1参照)。尚、説明の都合上、図1においては圧送手段とベアリング保持壁41とが平面上同じ位置となるように示されているが、実際にはベアリング保持壁41は図2(a)に示すように配置されている。
【0030】
尚、圧送手段による流体の圧送方向にはベアリング保持壁41は設けられておらず、支持ベアリング17のこの部分はポンプハウジング18の拡径部21の内周面に保持されている(図1参照)。このため、上記圧送手段により圧送されるオイル(流体)により支持ベアリング17に加わる荷重は剛性の大きいポンプハウジング18によってその支持ベアリング17の全長でもって受け止められる。
【0031】
又、周方向に隣接するベアリング保持壁41の間には、フレーム35に連続して内径側に延びる係止面35cが形成されている。支持ベアリング17は、この係止面35cに軸方向にモータ部4側への移動を規制されている。このため、支持ベアリング17の一端側は、フレーム35の他方の面35bに設置されている。
【0032】
又、各ベアリング保持壁41は、フレーム35の他方の面35bからの長さL1が、ベアリング収容部37に収容された支持ベアリング17の長さL2の2/3以上となるように形成されている。このため、フレーム35の他方の面35bに設置された支持ベアリング17のベアリング収容部37から露出される部分は、他方の面35bからの長さ方向(即ち、回転軸10の軸方向)に1/3よりも短いものとされる。このように、例えば支持ベアリング17が他方の面35b近傍部分のみが保持される場合と比較して軸方向に長い部分で保持されるため、支持ベアリング17は確実に保持される。
【0033】
更には、各ベアリング保持壁41は、他の部分よりも内径が大きくなるように、その付根部分(モータ部4側端部)に大径部42が形成されている。この大径部42が形成されることにより、各ベアリング保持壁41のポンプ部5側の端部は支持ベアリング17に当接する当接面43とされ、大径部42が形成された部分はこの当接面43が形成される部分よりも肉薄とされている。尚、本実施形態では、当接面43が支持ベアリング17の軸方向略中央部となるように大径部42が形成されている。
【0034】
上記構成により、各ベアリング保持壁41は可撓性を有するものとされており、当接面43側の端部が径方向外側に向けて撓むことができるように構成されている。このため、ベアリング収容部37の内径が支持ベアリング17の外径よりも多少小さくても支持ベアリング17をベアリング収容部37に圧入することができるため、ベアリング収容部37の内径を高精度で形成するための加工工程を省略することができる。
【0035】
又、各ベアリング保持壁41の当接面43にはローレットが形成されており、ベアリング収容部37は、各ベアリング保持壁41の当接面43が支持ベアリング17の外周面に圧接された状態で支持ベアリング17を保持するように構成されている。
【0036】
次に、本実施形態におけるポンプ用モータ1及びブラシホルダ装置2の特徴的な作用効果を記載する。
(1)ブラシホルダ装置2のベアリング保持壁41は、フレーム35の他方の面35bからの長さL1がベアリング収容部37に収容された支持ベアリング17の長さL2の2/3以上となるように構成されている。このため、支持ベアリング17は、一方の端部がフレーム35の他方の面35bに設置され、他方の端部近傍までがベアリング保持壁41に保持されて、確実に保持される。
【0037】
(2)ベアリング保持壁41は、他方の面35bからの長さL1が支持ベアリング17に対して2/3以上の長さまでとされるため、他方の面35bからの長さがL2の2/3よりも短い場合(例えば、半分までの長さ)と比較して厚みを薄くすることができると共に、周方向に間隔をおいて複数形成されており周方向に分離されているため、1枚1枚のベアリング保持壁41はそれぞれ可撓性に優れる。このため、ベアリング保持壁41の内径が高精度で形成されなくても、支持ベアリング17をベアリング収容部37に圧入固定することが可能であり、ベアリング収容部37を簡易な構成とすることができる。
【0038】
(3)ベアリング保持壁41の大径部42が形成された付根部分は他の部分よりも肉薄とされるため、ベアリング保持壁41の可撓性が向上し、より容易に支持ベアリング17を圧入することができるようになる。又、ベアリング保持壁41の付根部分に大径部42が形成されるため、ベアリング保持壁41は支持ベアリング17の中央部分を保持することとなり、支持ベアリング17は安定して保持される。
【0039】
(4)ベアリング保持壁41の支持ベアリング17に当接する当接面43にローレットが形成されているため、ローレットの凸条が支持ベアリング17に食い込むことにより、支持ベアリング17はベアリング保持壁41に強固に固定される。このため、支持ベアリング17はより一層確実にブラシホルダ装置2に保持される。
【0040】
(5)ベアリング保持壁41は、圧送手段による流体の圧送方向と直交する方向に形成され、支持ベアリング17はベアリング保持壁41に保持されていない圧送方向部分をポンプハウジング18によって保持されている。つまり、支持ベアリング17は、圧送手段により流体の圧力を受ける部分はポンプハウジング18の拡径部21の内周面に保持される。このため、圧送手段で圧送される流体による荷重を、支持ベアリング17のベアリング保持壁41に保持されていない部分を保持するポンプハウジング18によって、支持ベアリング17の長さ全体で受け止めることが可能である。従って、ブラシホルダ装置2にダメージを与えず、支持ベアリング17に偏荷重が加わらないため、耐久性を向上させることができる。
【0041】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・ベアリング保持壁41の支持ベアリング17に当接する当接面43に、ローレットに替えて、図3に示すように、先端に向けて幅が漸減すると共にその先端部が周方向に分割されて支持ベアリング17に当接するように形成された突出部44を設けてもよい。このように構成すれば、突出部44の先端を割れた状態で軸受に当接させることで、ベアリング収容部37を支持ベアリング17に密着させることができ、ベアリング収容部37の支持ベアリング17保持力を向上することができる。又、ベアリング保持壁41の当接面43を、このような突出部44とローレットの両方が混在するように形成してもよい。
【0042】
・ブラシホルダ装置2を、フレーム35とホルダ本体部36とベアリング収容部37とが一体形成された樹脂製のものとしなくてもよい。例えば、ホルダ本体部36の部分を金属製とし、フレーム35の一方の面35aに組み付けて一体的に構成してもよい。又、例えば、フレーム35及びベアリング収容部37を鉄板等の金属製とし、ホルダ本体部36を樹脂製としてフレーム35と一体的となるように構成してもよい。
【0043】
・フレーム35の他方の面35bからの長さがベアリング収容部37に収容された支持ベアリング17の長さL2の2/3以上であれば、ベアリング保持壁41の長さL1をどのように設定してもよい。
【0044】
・ブラシホルダ装置2をポンプ用モータ以外のモータに適用してもよい。
・ベアリング保持壁41の数は4つに限定されず、3つ以下としてもよいし5つ以上としてもよい。
【0045】
・ベアリング保持壁41の付根部分に、大径部42を形成しなくてもよい。
・ベアリング保持壁41の当接面43にローレットを形成しなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施の形態におけるポンプ用モータの断面図。
【図2】(a)は本実施の形態におけるブラシホルダ装置をポンプ部側から見た平面図、(b)は(a)のA−A線断面図。
【図3】別例のブラシホルダ装置を説明する平面図。
【符号の説明】
【0047】
1…ポンプ用モータ、2…ブラシホルダ装置、3…ブラシ、4…モータ部、5…ポンプ部、10…回転軸、11…整流子、12…電機子、14…偏心カムとしての偏心ベアリング、17…軸受としての支持ベアリング、18…ポンプハウジング、23…圧送手段を構成するプランジャ、26,27…圧送手段を構成するチェックボール、29…圧送手段を構成する吸入孔、30…圧送手段を構成する吐出孔、34…開口部、35…環状円盤部としてのフレーム、35a…環状円盤部の一方の面、35b…環状円盤部の他方の面、36…ホルダ本体部、37…軸受収容部としてのベアリング収容部、41…軸受保持壁としてのベアリング保持壁、42…大径部、43…当接面、44…突出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状円盤部の一方の面に整流子に向けて付勢され先端部が前記整流子の外周面に摺接されるブラシを収容保持するホルダ本体部を備え、
前記環状円盤部の他方の面に前記整流子を固定する回転軸を軸支する軸受を保持する軸受収容部を備えたブラシホルダ装置であって、
前記軸受収容部は、前記環状円盤部の他方の面からの長さが該軸受収容部に収容された前記軸受の長さの2/3以上となるように、周方向に間隔をおいて形成された複数の軸受保持壁を備えていることを特徴とするブラシホルダ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシホルダ装置において、
前記軸受保持壁は、その付根部分に他の部分よりも内径が大きくなるように大径部が形成されていることを特徴とするブラシホルダ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のブラシホルダ装置において、
前記軸受保持壁の前記軸受に当接する当接面には、ローレットが形成されていることを特徴とするブラシホルダ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうち何れか1項に記載のブラシホルダ装置において、
前記軸受保持壁の前記軸受に当接する当接面には、先端に向けて幅が漸減すると共にその先端部が周方向に分割されて前記軸受に当接するように形成された突出部が設けられていることを特徴とするブラシホルダ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうち何れか1項に記載のブラシホルダ装置と、
前記ホルダ本体部に保持されたブラシに摺接される整流子と、
前記ブラシからの給電により回転する電機子と、
前記環状円盤部の他方の面側に設けられた、前記電機子と共に回転する偏心カムと、
該偏心カムと前記ブラシホルダ装置に収容された軸受を収容するポンプハウジングと、
前記偏心カムの偏心運動により流体を圧送する圧送手段と、
を備えたポンプ用モータであって、
前記軸受保持壁は、前記圧送手段による流体の圧送方向と直交する方向に形成され、
前記軸受は、前記軸受保持壁に保持されていない圧送方向部分を前記ポンプハウジングによって保持されていることを特徴とするポンプ用モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−87243(P2006−87243A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−270298(P2004−270298)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】