説明

プラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物

【課題】プラスチックレンズ成形型に付着した樹脂汚れの除去を容易化可能とするプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物、およびこれを用いたプラスチックレンズ成形型を構成するガラス型の清浄化方法、並びに、プラスチックレンズの製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で示されるフェニルエーテルおよび一般式(2)で示されるフェニルエーテルから選ばれる少なくとも1種のフェニルエーテルを含有するプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物、およびこれを用いたプラスチックレンズ用成形型を構成するガラス型の清浄化方法、ならびに、プラスチックレンズの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックレンズは、無機レンズに比べて軽くて割れ難く染色し易い。加えて、ハードコート層に関する技術の向上と、より高い屈折率を有する樹脂材料の開発とによって、より薄くて軽いプラスチックレンズの製造が可能となっている。これらの技術進歩により、眼鏡レンズの分野をはじめとする多くの分野で、プラスチックレンズは無機レンズに代わって普及してきた。
【0003】
従来、プラスチックレンズを構成する樹脂として最も多用されてきたのは、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートをラジカル重合させることにより得られる樹脂である。しかし、最近では、この樹脂よりも屈折率が高い樹脂材料が開発されている。その代表的なものは、含硫ウレタン樹脂、含硫エポキシ樹脂、ポリチオ(メタ)アクリレート樹脂、含硫ポリ(メタ)アクリレート樹脂、エピスルフィド樹脂等の含硫黄樹脂である。含硫黄樹脂を用いて成形されたプラスチックレンズ基材の屈折率は1.55以上と高い。
【0004】
プラスチックレンズ基材の成形型としては一般的に1対のガラス型が用いられる。この1対の成形型が、固定用テープまたはガスケット等のシール材によりシールされることにより、シール材と1対のガラス型とで囲まれたキャビティーが形成される。このキャビティーに重合性モノマー等を注入し、重合性モノマーを重合硬化させることによりプラスチックレンズ基材が得られる。得られたプラスチックレンズ基材は所定の洗浄剤組成物を用いて洗浄される(例えば、特許文献1参照)。一方、ガラス型については、脱型後、洗浄され、複数のプラスチックレンズを成形するために何度も繰り返し使用される。ガラス型の再使用前には、成形型としての使用により付着した汚れが除去される。ガラス型に付着した汚れとしては、例えば、プラスチックレンズ基材を構成する樹脂およびその未重合物、ガスケットからブリードアウトした可塑剤、固定用テープの粘着剤、作業者の指紋、および雰囲気中のほこり等が挙げられる。
【0005】
これらの中でも、上記樹脂は高度に架橋しており非常に強固にガラス型に固着しているため、極めて除去し難い。
【0006】
ガラス型を洗浄するための洗浄剤としては、従来から、KOH等のアルカリ剤を含むアルカリ洗浄剤が使用されてきた。しかし、屈折率が1.55以上の含硫黄プラスチックレンズ基材を形成したときにガラス型に付着する樹脂は、従来のより屈折率が低いプラスチックレンズ基材を形成したときにガラス型に付着する樹脂よりも、より強固にガラス型に付着している。そのため、ガラス型に付着した樹脂の剥離はより難しく、その上ガラス型への付着量も多い。このような背景下、上記樹脂汚れに対して比較的高い洗浄性を示す洗浄剤組成物が特許文献2および特許文献3に開示されている。
【特許文献1】特開2001−129500号公報
【特許文献2】特開2006−124696号公報
【特許文献3】特開2003−81660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2または特許文献3に開示された洗浄剤組成物を用いた洗浄では、上記樹脂汚れを完全に除去できないことが判明した。
【0008】
本発明は、プラスチックレンズ成形型に付着した樹脂汚れを良好に除去可能とするプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物、およびこれを用いたプラスチックレンズ成形型を構成するガラス型の清浄化方法、並びに、プラスチックレンズの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物は、下記一般式(1)で示されるフェニルエーテルおよび一般式(2)で示されるフェニルエーテルから選ばれる少なくとも1種のフェニルエーテルを含有する。
【化1】


ただし、kは、1または2であり、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数が3及び/または4のオキシアルキレン基であり、n1及びn2は、平均付加モル数であり、n1とn2は相互に異なっても良く、m1及びm2は、AOが炭素数が3のオキシアルキレン基(PO)からなる場合はPOの平均付加モル数であり、AOが炭素数が4のオキシアルキレン基(BO)からなる場合はBOの平均付加モル数であり、AOがPOとBOとを含む場合はPOの平均付加モル数とBOの平均付加モル数とを合計した数であり、m1及びm2は相互に異なっても良く、n1は3〜100の数、n2は3〜100の数、m1は0〜0.2×n1の数、m2は0〜0.2×n2の数であり、(EO)n1(AO)m1および(EO)n2(AO)m2の各々におけるEOとAOの配列は、ブロックでもランダムでもよく、AOがPOとBOとを含む場合、POとBOの配列は、ブロックでもランダムでもよく、EOは、AO中のPOおよび/またはBOからなる配列中に、ブロックで、またはランダムに入り込んでいてもよい。
【0010】
本発明のプラスチックレンズ基材用成形型を構成するガラス型の清浄化方法は、前記ガラス型を本発明のプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物を用いて洗浄する洗浄工程を含む。
【0011】
本発明のプラスチックレンズの製造方法は、所定の間隔で対向して配置された1対のガラス型を含む成形型を用いてプラスチックレンズ基材を成形する成形工程と、前記ガラス型を前記プラスチックレンズから脱型する脱型工程と、前記脱型工程後、本発明のガラス型の清浄化方法を用いて前記ガラス型を清浄化する清浄化工程と、を含み、前記1対のガラス型は、複数のプラスチックレンズ基材を成形するために、前記清浄化工程を経て繰り返し使用される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プラスチックレンズ成形型に付着した樹脂汚れを良好に除去可能とするプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物、およびこれを用いたガラス型の清浄化方法、並びに、プラスチックレンズの製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施形態1)
本発明のプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物(以下、「洗浄剤組成物」と略する場合もある。)は、特定のフェニルエーテルを含有することにより、プラスチックレンズ成形型を構成するガラス型に強固に付着した樹脂汚れ(プラスチックレンズ材料の硬化物)を良好に除去できるものである。
【0014】
(特定のフェニルエーテル)
本発明の洗浄剤組成物に含まれる特定のフェニルエーテルは下記一般式(1)または下記一般式(2)により表される。
【0015】
【化2】




ただし、kは、1または2であり、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数が3及び/または4のオキシアルキレン基であり、n1及びn2は、平均付加モル数であり、n1とn2は相互に異なっても良く、m1及びm2は、AOが炭素数が3のオキシアルキレン基(PO)からなる場合はPOの平均付加モル数であり、AOが炭素数が4のオキシアルキレン基(BO)からなる場合はBOの平均付加モル数であり、AOがPOとBOとを含む場合はPOの平均付加モル数とBOの平均付加モル数とを合計した数であり、m1及びm2は相互に異なっても良く、n1は3〜100の数、n2は3〜100の数、m1は0〜0.2×n1の数、m2は0〜0.2×n2の数であり、(EO)n1(AO)m1および(EO)n2(AO)m2の各々におけるEOとAOの配列は、ブロックでもランダムでもよく、AOがPOとBOとを含む場合、POとBOの配列は、ブロックでもランダムでもよく、EOは、AO中のPOおよび/またはBOからなる配列中に、ブロックで、またはランダムに入り込んでいてもよい。平均付加モル数は、1H−NMRにより測定できる。
【0016】
EOとAOの配列がブロックである場合、EOのブロックの数、AOのブロックの数は、各平均付加モル数が上記範囲内にある限り、それぞれ1個であってもよいが2個以上であってもよい。また、EOからなるブロックの数が2個以上である場合、各ブロックにおけるEOの繰り返し数は、相互に同じであってもよいが、異なっていてもよい。AOのブロックの数が2個以上である場合も、各ブロックにおけるAOの繰り返し数は、相互に同じであってもよいが、異なっていてもよい。EOがAO中のPOおよび/またはBOからなる配列中にブロックで入り込んでいる場合も同様に、EOのブロックの数は、1個であってもよいが2個以上であってもよし、EOからなるブロックの数が2個以上である場合、各ブロックにおけるEOの繰り返し数は、相互に同じであってもよいが、異なっていてもよい。
【0017】
AOがPOとBOとを含み場合、POとBOの配列が、ブロックである場合、POのブロックの数、BOのブロックの数は、平均付加モル数が上記範囲内にある限り、それぞれ1個であってもよいが2個以上であってもよい。また、POからなるブロックの数が2個以上である場合、各ブロックにおけるPOの繰り返し数は、相互に同じであってもよいが、異なっていてもよい。BOのブロックの数が2個以上である場合も、各ブロックにおけるBOの繰り返し数は、相互に同じであってもよいが、異なっていてもよい。
【0018】
また、エーテル結合を構成する酸素原子(O)には、適度な水溶性を確保する観点から、EOが結合されていると好ましい。
【0019】
ガラス型表面に付着した樹脂汚れの剥離性及び洗浄剤組成物中の水系媒体への特定のフェニルエーテルの溶解性を向上させる観点から、好ましくは、n1が3〜70の数、m1が0〜0.1×n1の数、n2が3〜70の数、m2が0〜0.1×n2の数、より好ましくは、n1が3〜50の数、m1が0、n2が3〜50の数、m2が0である。
【0020】
なかでも、n1=5〜50、m1=0のポリオキシエチレン−3,5−ビス(1−フェニルエチル)フェニルエーテル等のポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、n2=5〜50、m2=0のポリオキシエチレン−2,4、6−トリス(1−フェニルメチル)フェニルエーテル等のポリオキシエチレントリベンジル化フェニルエーテルが好ましく、n1=5〜50、m1=0のポリオキシエチレン−3,5−ビス(1−フェニルエチル)フェニルエーテル等がより好ましい。
【0021】
本発明の洗浄剤組成物は、プラスチックレンズの生産性を向上させる観点から、上記特定のフェニルエーテルを主成分とする溶液の態様でガラス型の洗浄に使用されると好ましい。この場合、洗浄剤組成物中における上記特定のフェニルエーテルの含有量は、ガラス型表面に付着した樹脂汚れの剥離性を向上させる観点から、2重量%以上が好ましく、4重量%以上がより好ましい。また、リンス性を向上させる観点から、20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。よって、洗浄剤組成物中における特定のフェニルエーテルの含有量は、2〜20重量%が好ましく、2〜15重量%がより好ましく、4〜15重量%がさらに好ましい。
【0022】
(溶媒)
洗浄剤組成物を前述した溶液の態様で使用する場合、洗浄剤組成物に含まれる溶媒は、溶媒としての役割を果たすことができるものであれば特に制限はなく、例えば、超純水、純水、イオン交換水、または蒸留水等を挙げることができるが、超純水、純水、またはイオン交換水が好ましく、純水がより好ましい。なお、純水及び超純水は、例えば、水道水を活性炭に通し、イオン交換処理し、さらに蒸留したものを、必要に応じて所定の紫外線殺菌灯を照射、又はフィルターに通すことにより得ることができる。例えば、25℃での電気伝導率は、多くの場合、純水で1μS/cm以下であり、超純水で0.1μS/cm以下を示す。
【0023】
洗浄剤組成物中における溶媒の含有量は、洗浄剤組成物の安定性および取り扱い性を向上させ、かつ、廃液処理性等を向上させて環境へ配慮を行う観点から、80〜98重量%が好ましく、85〜98重量%がより好ましく、85〜96重量%がさらに好ましい。
【0024】
(任意成分)
また、本発明の洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、通常の洗浄剤組成物に含まれる他の成分、例えば、洗浄工程において泡の発生を抑制する消泡剤、本発明に係る洗浄剤組成物に含まれる前記溶媒以外の水溶性有機溶剤、EDTA等のキレート剤、pH調整剤、防腐剤、防錆剤等が含まれていてもよい。
【0025】
消泡剤としては、例えば、シリコーン、高級アルコール、高級脂肪酸やその塩、プルロニック型コポリマー、テトラニック型コポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、本発明の洗浄剤組成物にこれらを配合することができる。消泡剤の含有量は、泡の発生を抑制し、リンス性を阻害しない観点から、洗浄剤組成物総量中、0.01〜3.0重量%が好ましく、0.05〜2.0重量%がより好ましく、0.1〜1.0重量%がさらに好ましい。
【0026】
洗浄剤組成物に水溶性有機溶剤が含まれていていると、樹脂汚れへの特定のフェニルエーテルの親和性が高まる。そのため、樹脂汚れへの洗浄剤組成物の濡れ性が高まり、洗浄剤組成物による樹脂汚れの除去性能がさらに向上する。
【0027】
水溶性有機溶剤としては、多価アルコール類または水溶性グリコールエーテル類等が挙げられる。多価アルコール類としては、例えば、γブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、またはプロピレングリコール等が挙げられる。水溶性グリコールエーテル類等としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、またはトリエチレングリコール等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし2種以上混合して用いてもよい。これらの中でも、樹脂汚れへの特定のフェニルエーテルの親和性、樹脂汚れへの洗浄剤組成物の濡れ性をさらに高める観点から、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、またはトリエチレングリコールが好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、またはトリエチレングリコールがより好ましい。なお、本願において水溶性有機溶剤は20℃における水に対して少なくとも1.5重量%以上溶解するのものをいう。
【0028】
水溶性有機溶剤の含有量は、洗浄剤組成物の安定性を低下させずに、樹脂汚れに対する十分な親和性と濡れ性を洗浄剤組成物に付与する観点から、上記特定のフェニルエーテル100重量部に対して、5〜150重量部が好ましく、10〜120重量部がより好ましく、50〜120重量部が更に好ましい。
【0029】
pH調整剤としては、塩基性化合物、または酸性化合物等が挙げられる。塩基性化合物としては、アンモニア、水酸化カリウム、水溶性有機アミン、または四級アンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。酸性化合物としては、硫酸、塩酸、硝酸、またはリン酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、または安息香酸等の有機酸等が挙げられる。
【0030】
防腐剤としては、ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、(5−クロロ−)2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、過酸化水素、または次亜塩素酸塩等が挙げられる。
【0031】
上記特定のフェニルエーテルによるガラス型表面に付着した樹脂汚れの剥離性を向上させる観点から、pHは適切な値に調整されていると好ましく、本実施形態の洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、5〜11が好ましく、6〜10がより好ましく、7〜9がさらに好ましい。pHは、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定できる。
【0032】
なお、上記において説明した各成分の含有量は、使用時における含有量であるが、本発明の洗浄剤組成物は、その安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存及び供給されてもよい。この場合、製造・輸送コストを低くできる点で好ましい。濃縮液は、必要に応じて前述の溶媒で適宜希釈して使用すればよい。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物が上記濃縮液である場合、上記濃縮液中の特定のフェニルエーテルの含有量は、洗浄剤組成物の製造・輸送コストを低くする観点から、20重量%以上が好ましく、100重量%でもよい。なお、上記濃縮液を溶媒で希釈する際、ゲル化させることなく均一な溶液を得る観点から、上記濃縮液は前述した好適な水溶性有機溶剤を含有していると好ましく、その含有量は、濃縮液中のフェニルエーテル100重量部に対して、5〜150重量部が好ましく、10〜120重量部がより好ましく、50〜120重量部が更に好ましい。
【0034】
次に、本実施形態の洗浄剤組成物の調製方法の一例について説明する。
【0035】
本実施形態の洗浄剤組成物の製造方法は、何ら制限されず、例えば、特定のフェニルエーテルと、溶媒と、必要に応じて任意成分とを混合することによって調製できる。
【0036】
(実施形態2)
次に、本発明の洗浄剤組成物を用いたガラス型の清浄化方法の一例、およびこの方法を用いたプラスチックレンズの製造方法の一例について説明する。
【0037】
図1に、本発明のプラスチックレンズの製造方法の一例のフロー図を示している。図1に示したフロー図は、本発明のプラスチックレンズの製造方法の一例である眼鏡用プラスチックレンズの製造方法について説明するものである。
【0038】
図1に示すように、本発明のプラスチックレンズの製造方法の一例は、プラスチックレンズ基材を成形する成形工程(S1)と、脱型工程(S2)と、ガラス型の清浄化工程(S3)と、プラスチックレンズ基材の外周研削工程(S4)と、アニール工程(S6)と、プラスチックレンズ基材の内面研磨工程(S7)と、染色工程(S9)と、ハードコート層形成工程(S13)と、反射防止層形成工程(S15)と、防汚層形成工程(S16)とを含む。
【0039】
なお、内面研磨工程(S7)と、染色工程(S9)と、反射防止層形成工程(S15)と、防汚層形成工程(S16)は、必ずしも必要ではなく、無くてもよい。プラスチックレンズ基材またはプラスチックレンズの清浄化工程(S5、S8、S10、S12、S14)では、リンス液として、通常、純水等が用いられる。
【0040】
まず、成形工程(S1)では、1対のガラス型を所定の間隔で対向するように配置し、1対のガラス型の間に例えば環状のガスケットを配置する。そして、この状態をクリップ等の保持具を用いて保持する。これにより、1対のガラス型とガスケットによりキャビティーを有するプラスチックレンズ用成形型が形成される。
【0041】
次に、キャビティーに、プラスチックレンズ基材原料として重合性組成物を注入する。次いで、重合性組成物を例えば熱重合により重合させる。
【0042】
重合性組成物が重合することによって得られるプラスチックレンズ基材は、含硫ウレタン樹脂、含硫エポキシ樹脂、ポリチオ(メタ)アクリレート樹脂及びエピスルフィド樹脂からなる群より選ばれる1種以上の重合性樹脂からなると好ましい。プラスチックレンズ基材がこれらの樹脂からなると、屈折率が例えば1.55以上のプラスチックレンズを製造でき、薄いプラスチックレンズを製造できる。
【0043】
ガラス型としては、従来からプラスチックレンズ基材の成形に用いられるガラス型として公知のものを用いればよい。例えば、ガラス型は、イオン交換によりガラス中のNa+の一部がK+に置きかえられて、表面付近に圧縮応力を発生させた化学強化ガラスからなると好ましい。
【0044】
ガスケットには、従来からプラスチックレンズの成形型を構成するガスケットとして公知のものを用いればよい。また、このガスケットに代えて固定用テープを用いてもよい。固定用テープについても、従来からプラスチックレンズの成形型を構成するテープとして公知のものを用いればよい。
【0045】
次に、保持具による成形型の保持を解除し、成形型をプラスチックレンズから取り外す脱型を行う(S2)。
【0046】
次に、ガラス型の清浄化を行う(S3)。このガラス型の清浄化工程(S3)では、本発明の洗浄剤組成物を用いたガラス型の洗浄が1回以上、好ましくは2回以上行われ、リンス液を用いたリンスが、2回以上、好ましくは、3〜13回行われる。なお、実際のガラス型の清浄化工程では、リンス槽は、例えば5〜24槽の場合があり、多くの場合13〜18槽に分けられ、ガラス型はこれらの槽で浸漬と脱液を、好ましくは3〜13回繰返してリンスされる。
【0047】
下記表1に、上記清浄化工程の一例の流れを示している。表1に示した例では、まず、ガラス型に対して、本発明の洗浄剤組成物を用いてガラス型を洗浄する第1洗浄工程が行なわれる。次いで、残留した汚れ、又は再付着した汚れの程度に応じて、本発明の洗浄剤組成物を用いてガラス型を洗浄する第2洗浄工程が行なわれるか、または、リンス液を用いたリンス工程が行われる。その後、ガラス型に対して、リンス工程が1回以上行われる。
【0048】
リンス工程で用いられるリンス液としては、本発明のような水系の洗浄剤組成物を用いてガラス型を洗浄した場合は、原則、水であり、水道水、イオン交換水、純水等がすすぎの容易性の観点から好ましい。但し、洗浄工程からガラス型と共に持ち込まれる洗浄剤組成物が蓄積する場合がるが、その量は、リンス液の好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下である。
【0049】
洗浄剤組成物及びリンス液の好適温度の範囲は、プラスチックレンズ基材の汚染の程度等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、洗浄性の向上や水分蒸発量の低減の観点から、20℃〜90℃が好ましく、35〜80℃がより好ましく、50〜70℃がさらに好ましい。洗浄時間は、ガラス型表面に付着した樹脂の剥離性を向上させる観点から、30秒〜60分が好ましく、1〜30分がより好ましく、2〜15分がさらに好ましく、2〜5分がさらに好ましい。
【0050】
洗浄方法について、特に制限はなく、通常用いられる公知の方法が使用できる。例えば、浸漬法、浸漬揺動法、浸漬攪拌法、浸漬バブリング法、液中噴流法、浸漬超音波洗浄法等が挙げられる。
【0051】
本発明のプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物を用いてガラス型を洗浄する場合、本発明のガラス型の清浄化方法は、例えば、第1洗浄工程の直後に、第2洗浄工程またはリンス工程を行う。第1洗浄工程で用いるプラスチックレンズ成形型用洗浄剤の温度は55度以上であると好ましい。第2洗浄工程では、第1洗浄工程で用いたプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物よりも温度が20℃以上低いプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物を用いてガラス型が洗浄されると好ましい。このように、第2洗浄工程で、第1洗浄工程で用いたプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物よりも温度が20℃以上低いプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物を用いると、ガラス型およびそれに付着した樹脂汚れにヒートショックが付与される。リンス工程では、第1洗浄工程で用いたプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物よりも温度が20℃以上低い水系リンス液を用いてガラス型がすすがれると好ましい。このように、リンス工程で、第1洗浄工程で用いたプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物よりも温度が20℃以上低い水系リンス液を用いると、ガラス型および樹脂汚れにヒートショックが付与される。
【0052】
上記のようにガラス型および樹脂汚れにヒートショックが付与されると、ガラス型と樹脂汚れの熱膨張率の差を利用して、ガラス型と樹脂汚れとの界面に効率良く洗浄剤組成物を浸透させることができると考えられる。上記界面に洗浄剤組成物が効率良く浸透すると、樹脂汚れの剥離が促進され、その結果として、洗浄性が向上すると推定される。
【0053】
ガラス型およびそれに付着した樹脂汚れに上記ヒートショックを付与する場合、第1洗浄工程で用いられる洗浄剤組成物の温度は、本発明の洗浄剤組成物のガラス型と樹脂汚れとの界面への浸透性を高めるという理由から、55〜90℃が好ましく、60〜80℃がより好ましく、65〜70℃がさらに好ましい。
【0054】
第1洗浄工程の直後に第2洗浄工程を行う場合、第2洗浄工程では、前記洗浄剤組成物の好適温度の範囲で、第1洗浄工程で用いた洗浄剤組成物の温度よりも20℃以上、好ましくは25℃以上低い温度の洗浄剤組成物を用いてガラス型を洗浄すると好ましい。すなわち、プラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物を用いた洗浄工程が複数回行われる場合、x+1回目の洗浄工程で用いられるプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物の温度は、x回目の洗浄工程で用いられるプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物の温度よりも、20℃以上、好ましくは25℃以上低いと好ましい。
【0055】
また、第1洗浄工程の直後にリンス工程を行う場合、当該リンス工程では、前記リンス液の好適温度の範囲で、第1洗浄工程で用いた洗浄剤組成物の温度よりも20℃以上、好ましくは25℃以上低い温度のリンス液を用いてガラス型をすすぐと好ましい。すなわち、洗浄工程後に行われる複数回のリンス工程のうちの1回目のリンス工程で用いられるリンス液の温度は、上記1回目のリンス工程の直前の洗浄工程で用いられる洗浄剤組成物の温度よりも、20°以上低く、好ましくは25℃以上低いと好ましい。この場合も、ガラス型と樹脂汚れの熱膨張率の差を利用して、ガラス型と樹脂汚れとの界面に効率良くリンス液を浸透させることができる。上記界面にリンス液が効率良く浸透すると、樹脂汚れの剥離が促進され、その結果として、清浄性が向上される。
【0056】
より詳細に説明すると、ガラス型およびそれに付着した樹脂汚れに温度差が20℃以上、好ましくは温度差が25℃以上のヒートショックを付与すると、樹脂汚れが収縮し、樹脂汚れの少なくとも一部がガラス表面から剥離すると考えられ、上記剥離により新たにできたガラス表面と樹脂汚れとの隙間に洗浄剤組成物が浸透し、樹脂汚れの剥離が促進されると考えられる。
【0057】
従って、ヒートショックは、より優れた洗浄効果が発現される点から、本発明の洗浄剤組成物中で行うと好ましく、よって、第2洗浄工程で、前記洗浄剤組成物の好適温度の範囲であれば、第1洗浄工程で用いた洗浄剤組成物の温度よりも20℃以上、好ましくは25℃以上低い温度の洗浄剤組成物を用いてガラス型を洗浄すると好ましい。また、リンス液中であっても、本発明の洗浄剤組成物による洗浄直後であれば、ヒートショックを付与することによる効果が得られることから、第1洗浄工程の直後に行われるリンス工程において、リンス液の好適温度の範囲であれば、第1洗浄工程で用いた洗浄剤組成物の温度よりも20℃以上、好ましくは25℃以上低い温度のリンス液(純水等)を用いてガラス型をリンスしてもよい。洗浄性をさらに向上させる観点から、第2洗浄工程で用いられる洗浄剤組成物または第1洗浄工程の直後に行われるリンス工程で用いられるリンス液の温度は、洗浄剤組成物またはリンス液の好適温度の範囲であれば、第1洗浄工程で用いられる洗浄剤組成物のそれよりも、25℃以上低いとより好ましく、30℃以上低いとさらに好ましく、40℃以上低いとより一層好ましい。
【0058】
樹脂汚れが付着したガラス型は、一般的には、多くの槽を直列に並べた多段槽システムで清浄化される。20〜30枚程度のガラス型は、一つの治具に入れられ、コンベアーにて自動的に順次各槽内に浸漬される。槽から槽へのガラス型の移動時間は一般的には10〜60秒程度であるが、上記ヒートショック付与による効果を効果的に得る観点から、上記移動時間は短ければ短いほど望ましく、30秒以内が好ましく、20秒以内がより好ましく、10秒以内がより好ましい。多段槽システム全体は、室温、具体的には、20〜30℃の雰囲気下に配置される。
【0059】
尚、槽から槽へのガラス型の移動の間にガラス型や樹脂汚れの温度が下がる場合があるが、次の槽(ヒートショック槽)中の液温度は、この槽に入る直前のガラス型や樹脂汚れの温度より、20℃以上、より好ましくは25℃以上低い温度であると好ましい。
【0060】
リンス液の温度およびリンス時間などのリンス条件も特に限定されるものではなく、ガラス型への洗浄剤組成物の残留又は再付着の程度等に応じて適宜調整可能である。例えば、リンス液の温度は、5〜95℃が好ましく、リンス性や水分蒸発量の低減の観点より20〜80℃がより好ましく、30〜50℃がさらに好ましい。また、1回のリンス時間は一般的には30秒〜20分間程度である。
【0061】
リンス方法については、通常用いられる公知のリンス方法が使用できる。例えば、浸漬法、超音波洗浄法、浸漬超音波洗浄法、浸漬揺動法等の各種のリンス方法を単独又は組み合わせて使用できる。
【0062】
ガラス型の清浄化を行う一方で、プラスチックレンズ基材については、その外周の研削を行う(S4)(図1参照)。研削方法は、湿式または乾式のいずれであってもよい。次いで、洗浄により研削屑等をプラスチックレンズ基材から除去した後(S5)、プラスチックレンズ基材を加熱処理(アニール)してプラスチックレンズを得る(S6)。
【0063】
次いで、必要に応じてプラスチックレンズの片面を研磨する(S7)。この工程を経ることにより、プラスチックレンズを所望の度数とすることができる。次いで、純水等を用いて、研磨剤等を除去してプラスチックレンズを清浄化する(S8)。
【0064】
次に、必要に応じて、プラスチックレンズを染色し(S9)、次いで、染色後のプラスチックレンズを、純水等を用いて清浄化する(S10)。染色は、従来から公知の染色液および染色方法を用いて行えばよい。
【0065】
次に、プラスチックレンズの両主表面をエッチングすることにより粗化する(S11)。粗化は、ハードコート層などとプラスチッレンズとの密着性を高めるために行う。エッチング液には、例えば、アルカリ水溶液等が用いられる。次に、プラスチックレンズを、純水等を用いてすすいで清浄化した後(S12)、両主表面上にハードコート層を形成する(S13)。ハードコート層の形成は、従来から公知の材料、形成方法を用いて行えばよい。
【0066】
次に、プラスチックレンズを、純水等を用いて清浄化した後(S14)、反射防止層および防汚コート層をこの順で形成する(S15,S16)。ハードコート層の形成および防汚コート層の形成は、それぞれ、従来から公知の材料、形成方法を用いて行えばよい。
【0067】
以上、眼鏡用プラスチックレンズの製造方法の一例、およびこれに用いられるガラス型の清浄化方法の一例について説明したが、プラスチックレンズの用途はこれに限定されない。本発明は、例えば、照明用、カメラ用、または光学素子用のプラスチックレンズの製造方法、およびこれに用いるガラス型の清浄化方法にも適用できる。また、プラスチックレンズの形態は特に限定されるものではなく、例えば、球面レンズ、非球面レンズ、累進レンズ等のいずれであってもよい。
【0068】
また、本発明のガラス型の清浄化方法、およびこの方法を用いたプラスチックレンズの製造方法は、特に、屈折率1.55以上の含硫黄プラスチックレンズの製造、さらには屈折率1.60以上の含硫黄プラスチックレンズの製造、さらには屈折率1.70以上の含硫黄プラスチックレンズの製造において好適に用いられる。
【実施例】
【0069】
〔テストピース〕
含硫ウレタン樹脂汚れが付着したガラス型として、硝酸カリウムにて化学強化処理された直径約8cmのガラス型のプラスチックレンズの成形に寄与する面に、直径約5mmのプラスチックレンズ樹脂(MR−8樹脂、三井化学(株)製、含硫ウレタン樹脂系、屈折率1.60)の固まり(樹脂汚れ)を10個成形した(0.05g/直径1cm・1個当たり)ものを用意した。なお、プラスチックレンズ樹脂は、30℃の雰囲気下で6時間、40℃の雰囲気下で7時間、50℃の雰囲気下で3時間、60℃の雰囲気下で2時間、100℃の雰囲気下で3時間、120℃の雰囲気下で3時間の合計24時間加熱することによって重合、固形化されている。
【0070】
〔洗浄剤組成物の調整〕
表2に示す組成(組成比単位は重量%)でpHが7〜9の間にある各種洗浄剤組成物(実施例1〜15、比較例1〜8)を調製し、これらの洗浄剤組成物を用いてガラス型(テストピース)を洗浄して、洗浄剤組成物の洗浄性を評価した。
【0071】
〔洗浄試験〕
含硫ウレタン樹脂汚れが付着したガラス型(テストピース)を、所定温度に保持された実施例1〜15、比較例1〜8の洗浄剤組成物に浸漬し、超音波洗浄装置(シャープ(株)製、商品名:SILENTSONIC UT−204、39kHz,200W)で2分間洗浄した(第1槽)。
【0072】
次いで、ガラス型を、所定温度に保持された実施例1〜15、比較例1〜8の洗浄剤組成物に浸漬し、第1槽での洗浄の際に用いた超音波洗浄装置と同じ超音波洗浄装置(39kHz,200W)を用いて、2分間洗浄した(第2槽)。尚、槽から槽へのガラス型の移動時間は10秒とした。
【0073】
次いで、ガラス型を、所定温度のイオン交換水に浸漬し、第1槽での洗浄の際に用いた超音波洗浄装置と同じ超音波洗浄装置(39kHz,200W)を用いて、2つの槽(第3槽、第4槽)中で各々2分間リンスした。
【0074】
次いで、ガラス型を、室温のイオン交換水に浸漬し、第1槽での洗浄の際に用いた超音波洗浄装置と同じ超音波洗浄装置(39kHz,200W)を用いて、4つの槽(第5槽〜第8槽)中で各々2分間リンスした。
【0075】
次に、1分間エアーブローした後、送風定温乾燥機((株)東洋製作所、商品名:FV−630)から供給される80℃の温風で10分間乾燥した。
【0076】
【表1】

【0077】
各プラスチックレンズ樹脂の固まりの除去状態を目視で観察した。洗浄性の評価基準として、各プラスチックレンズ樹脂の塊が完全に除去された場合を10点、一部除去された場合を5点、全く除去されない場合を0点とした。10個の各プラスチックレンズ樹脂の塊について上記観察を行い、10個のプラスチックレンズ樹脂の塊についての上記点数の合計を、洗浄性を表す指標として表2に示した。なお、上記点数の合計値が大きいほど、洗浄性能が良好であり、プラスチックレンズ樹脂がより良好に除去されていることを意味する。
【0078】
表2に記載の結果より、下記一般式(1)で示されるフェニルエーテルおよび一般式(2)で示されるフェニルエーテルから選ばれる少なくとも1種のフェニルエーテルを含む洗浄剤組成物を用いると、樹脂汚れおよびガラス型にヒートショックを付与しない場合でも、プラスチックレンズ成形型に付着した樹脂汚れを良好に除去できることがわかる。また、下記一般式(1)で示されるフェニルエーテルおよび一般式(2)で示されるフェニルエーテルから選ばれる少なくとも1種のフェニルエーテルを含む洗浄剤組成物を用い、かつ、樹脂汚れおよびガラス型にヒートショックを付与すると、プラスチックレンズ成形型に付着した樹脂汚れをより一層良好に除去できることがわかる。
【0079】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、例えば、眼鏡レンズ等のプラスチックレンズを製造する際の洗浄工程に好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明のプラスチックレンズの製造方法の一例を説明するフロー図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるフェニルエーテルおよび一般式(2)で示されるフェニルエーテルから選ばれる少なくとも1種のフェニルエーテルを含有するプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物。
【化1】

ただし、kは、1または2であり、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数が3及び/または4のオキシアルキレン基であり、
n1及びn2は、平均付加モル数であり、n1とn2は相互に異なっても良く、
m1及びm2は、AOが炭素数が3のオキシアルキレン基(PO)からなる場合はPOの平均付加モル数であり、AOが炭素数が4のオキシアルキレン基(BO)からなる場合はBOの平均付加モル数であり、AOがPOとBOとを含む場合はPOの平均付加モル数とBOの平均付加モル数とを合計した数であり、m1及びm2は相互に異なっても良く、
n1は3〜100の数、n2は3〜100の数、m1は0〜0.2×n1の数、m2は0〜0.2×n2の数であり、
(EO)n1(AO)m1および(EO)n2(AO)m2の各々におけるEOとAOの配列は、ブロックでもランダムでもよく、
AOがPOとBOとを含む場合、POとBOの配列は、ブロックでもランダムでもよく、
EOは、AO中のPOおよび/またはBOからなる配列中に、ブロックで、またはランダムに入り込んでいてもよい。
【請求項2】
前記フェニルエーテルの含有量が、2重量%以上である請求項1に記載のプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物。
【請求項3】
水溶性グリコールエーテルをさらに含む請求項1または2に記載のプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物。
【請求項4】
プラスチックレンズ成形型を構成するガラス型の清浄化方法であって、
前記ガラス型を請求項1〜3のいずれかの項に記載のプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物を用いて洗浄する洗浄工程を含むガラス型の清浄化方法。
【請求項5】
前記ガラス型を請求項1〜3のいずれかの項に記載のプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物を用いて洗浄する前記洗浄工程(第1洗浄工程)の直後に、第2洗浄工程、または、リンス工程を含み、
前記第1洗浄工程で用いる前記プラスチックレンズ成形型用洗浄剤の温度が55度以上であり、前記第2洗浄工程では、前記第1洗浄工程で用いた前記プラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物よりも温度が20℃以上低い請求項1〜3のいずれかの項に記載のプラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物を用いて前記ガラス型を洗浄し、
前記リンス工程では、前記第1洗浄工程で用いた前記プラスチックレンズ成形型用洗浄剤組成物よりも温度が20℃以上低い水系リンス液を用いて前記ガラス型をすすぐ、請求項4に記載のガラス型の清浄化方法。
【請求項6】
所定の間隔で対向して配置された1対のガラス型を含むプラスチックレンズ用成形型を用いてプラスチックレンズ基材を成形する成形工程と、
前記ガラス型を前記プラスチックレンズ基材から脱型する脱型工程と、
前記脱型工程後、請求項4または5に記載のガラス型の清浄化方法を用いて前記ガラス型を清浄化する清浄化工程と、を含み、
前記1対のガラス型は、プラスチックレンズ基材を複数回成形するために、前記清浄化工程を経て繰り返し使用されるプラスチックレンズの製造方法。
【請求項7】
前記プラスチックレンズ基材原料として、含硫ウレタン樹脂、含硫エポキシ樹脂、ポリチオ(メタ)アクリレート樹脂、及びエピスルフィド樹脂からなる群より選ばれる1種以上の重合性樹脂を用いる請求項6に記載のプラスチックレンズの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−53166(P2010−53166A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216436(P2008−216436)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】