説明

プラズマシステム

表面をプラズマ処理するプロセスにおいて、口及び出口を有すると共にプロセスガスが入口から出口へ流れる誘電体ハウジング内で、非平衡状態大気圧プラズマが発生する。少なくとも一部が誘電体材料で形成された配管が、誘電体ハウジングの出口から外側へ延び、配管の端部がプラズマの出口を形成する。処理される表面は、表面が非平衡状態大気圧プラズマと接触するようにプラズマの出口に隣接して配置され、プラズマの出口に対して移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマシステムすなわちアセンブリ、及びこのアセンブリを使用して基材を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物質が連続的にエネルギーを供給されるとき、その温度が上昇し、通常、固体から液体に、さらには気体にその状態が変化する。エネルギーを供給し続けると、この系はさらなる状態変化を受け、高エネルギー衝突により、気体の中性原子あるいは分子が分解され、負の電荷を帯びた電子、正あるいは負の電荷を帯びたイオンおよび他の粒子種を生成する。集団的なふるまいを示すこの帯電した粒子と他の励起した粒子との混合物は「プラズマ」と呼ばれ、物質の第4の状態である。その電荷に起因して、プラズマは外部の電磁界によって強く影響を受け、それゆえ、その電磁界によって容易に制御できるようになる。さらに、プラズマは、その高いエネルギー含量によって、他の物質の状態、たとえば液体あるいは気体処理を通して不可能であるか、あるいは困難であるプロセスを達成できるようになる。
【0003】
「プラズマ」という用語は、その密度および温度が数桁の大きさで変動する広範囲の系を網羅する。あるプラズマは非常に高温で、その全ての微視的な粒子種(イオン、電子等)が適当な熱平衡状態にあり、その系に投入されるエネルギーは、原子/分子レベルの衝突を通して広範囲に分散される。しかしながら、他のプラズマ、特に衝突の頻度が比較的低い低圧(たとえば、100Pa)のプラズマは、非常に異なる温度でその成分である粒子種を有し、「非熱平衡状態(non-thermal equilibrium)」プラズマと呼ばれる。これらの非熱平衡状態プラズマでは、自由電子は非常に高温であって、数千ケルビン(K)の温度を有し、一方、中性およびイオン性の粒子種は低温のままである。自由電子の質量はほとんど無視できるので、系全体の熱容量は小さく、プラズマは室温に近い温度で動作し、それによりサンプルへ損傷を与えるような熱負荷をかけることなく、プラスチックあるいはポリマーのような温度の影響を受けやすい材料(temperature sensitive materials)を処理できるようになる。しかしながら、ホットエレクトロンは、高エネルギーの衝突を通して、強い化学的および物理的反応性を可能にする高い化学ポテンシャルエネルギーを有する遊離基および励起された粒子種の豊富な発生源を形成する。低温動作と高反応性とのこのような組み合わせによって、非熱平衡状態プラズマは技術的に重要となり、さらに製造および材料処理のための非常に有力なツールになり、仮にプラズマを用いずに達成できる場合には、非常に高い温度あるいは有毒で攻撃的な化学薬品を必要とすることになる処理を達成することができる。
【0004】
プラズマ技術を工業に適用する場合に、1つの便利な方法は、プロセスガスの容積内に、電磁力を結合することである。プロセスガスは、電磁力を加えることによってプラズマ状態に励起する単一ガス、又は、ガスと蒸気との混合物であってもよい。プロセスガスがイオン化すると共に励起され、化学ラジカル、イオン並びにUV放射を含む種を発生し、それらはワークピース/サンプルの表面と反応するか、又は、相互作用することができるので、ワークピース/サンプルは、プラズマ自体、若しくは、プラズマに起因する帯電した、且つ/若しくは、励起された種に浸漬させるか又はそれらを通過させることによって発生したプラズマによって処理される。プロセスガスの組成、駆動電力周波数、電力結合モード、圧力および他の制御パラメータを正確に選択することにより、そのプラズマプロセスを、製造業者が必要とする特定の用途に調整することができる。
【0005】
プラズマの広い化学的及び熱的範囲のため、プラズマは多くの技術的な用途に適している。非熱平衡状態プラズマは特に、表面の活性化、表面の洗浄、材料エッチングおよび表面のコーティングに有効である。
【0006】
1960年代以来、マイクロエレクトロニクス産業は、高度先端技術での低圧グロー放電プラズマ(low pressure Glow Discharge plasma)と、半導体、金属及び誘電体処理のための高資本コストのエンジニアリングツールとを開発してきた。同じ低圧グロー放電タイプのプラズマは1980年代以来、他の産業分野にも段々と浸透してきており、強い接着/結合強度を得るためのポリマー表面活性化と、高品質の脱脂/洗浄と、高性能のコーティングの堆積とを提供している。グロー放電は、真空圧及び大気圧の両方で達成することができる。大気圧グロー放電の場合、ヘリウムまたはアルゴン等のガスを希釈剤として利用し、高周波数(たとえば1kHzを超える)電源を用いて、ペニング電離機構(Penning ionisation mechanism)によって大気圧で均質なグロー放電を発生させる(たとえば、カナザワ等 応用物理学会誌 1998年 21号 838頁(J. Phys. D: Appl. Phys. 1988, 21, 838)、オカザキ等 日本プロセスシンポジウム プラズマ化学 1989年 2号 95頁(Proc. Jpn. Symp. Plasma Chem. 1989, 2, 95)、カナザワ等 物理研究における核装置と方法 1989年 B37/38号 842頁(Nuclear Instruments and Methods in Physical Research 1989, B37/38, 842)、及びヨコヤマ等 応用物理学会誌 1990年 23号 374頁(J. Phys. D: Appl. Phys. 1990, 23, 374)を参照)。
【0007】
コロナおよびフレーム(flame)(同様にプラズマ)処理システムが、約30年間、大気圧プラズマ処理能力を産業界に提供してきた。しかしながら、その高い製造能力にもかかわらず、これらのシステムは市場に浸透してこなかったか、あるいは低圧、一括処理のみのプラズマタイプほど広範には産業界では取り上げられなかった。それは、コロナ/フレームシステムには大きな制約があったためである。フレームシステムは、コーティングを堆積するときに極めて有効であり得るが、高温(>10,000K)で動作する。したがって、フレームシステムは、金属及びセラミックのような一定の高温基材にしか適さない。コロナシステムは、通常、単一の表面活性化プロセス(すなわち、酸化)を提供する周囲空気において動作し、多くの材料に対してごくわずかな効果しかなく、大部分の材料に対してはその効果が弱い。コロナ放電が、ポイント電極と平面電極との間で発生する不均一放電であるため、その処理は多くの場合に不均一となる。コロナプロセスは厚いウエブ又は三次元の加工材料への適合性がない。
【0008】
種々の「プラズマジェット」システムが、大気圧プラズマ処理手段として開発されている。プラズマジェットシステムは、一般に、2つの電極間で誘導されるガス流から成る。電力が電極間に印加されるため、プラズマが形成され、このプラズマが、種々の基材を処理するのに使用することのできるイオン、ラジカル、及び活性種の混合物を生成する。プラズマジェットシステムによって生成されたプラズマは、電極間の空間(プラズマゾーン)からフレームに似た現象として誘導され、遠隔の物体を処理するのに使用することができる。
【0009】
米国特許第5,198,724号明細書及び米国特許第5,369,336号明細書は、外側円筒陽極によって囲まれると共に陰極として作用するRF駆動式金属針から成る、第1の「低温(cold)」すなわち非熱平衡状態大気圧プラズマジェット(以降、APPJと称する)を記載している。米国特許第6,429,400号明細書は、吹き出し(blown)大気圧グロー放電(APGD)を発生するシステムを記載している。このシステムは、電気絶縁体管によって外側電極から分離された中央電極を備える。そのデザインが従来技術に伴う高温を発生しないことを、発明者は主張している。カング(Kang)ら(表面塗装技術,2002年,171号,141〜148頁(Surf Coat. Technol., 2002, 171, 141-148))はまた、2つの同軸電極を通してヘリウムガス又はアルゴンガスを供給することによって動作する13.56MHz RFプラズマ源を記載している。アーク放電を防止するために、中央電極の外側に、誘電体材料が塗られる(load)。国際公開第94/14303号明細書は、プラズマジェット形成を高めるために、電極円筒が出口に尖った部分を有するデバイスを記載している。
【0010】
米国特許第5,837,958号明細書は、電力供給された中央電極と誘電体コーティングされた接地電極とを利用する同軸金属電極に基づくAPPJを記載している。接地電極の一部分は、露出したままにされて、ガス出口の近くでむき出しのリング電極を形成する。ガス流(空気又はアルゴン)は、上端を通して入り、渦巻きを形成するように誘導され、これによりアークが閉じ込められると共に集束されている状態が保たれて、プラズマジェットを形成する。大面積をカバーするために、複数のジェットが組み合わされて、適用範囲を増加させることができる。
【0011】
シュッツェ(Schutze)ら(IEEE会報 プラズマ科学,1998年,26(6)号,1685頁(IEEE Trans. Plasma Sci., 1998, 26(6), 1685))は、同心電極を使用したデバイスを記載しているが、電極間に誘電体は存在しなかった。プロセスガスとして、高流量のヘリウム(He)(通常、92標準リットル/分(slm))を使用することによって、アーキングを回避し、安定したプラズマフレームを発生することが可能であった。
【0012】
米国特許第6,465,964号明細書は、APPJを発生する代替的なシステムを記載しており、そのシステムでは、電極の対が円筒管の周りに設置されている。プロセスガスは、管の上端を通して入り、底部を通して出る。AC電界が2つの電極間に提供されると、管内の2つの電極間にプロセスガスが流れることによってプラズマが発生し、これによって、出口にAPPJが生じる。電極の位置は、電界が軸方向に形成することを確実にする。この技術を、大面積の基材への適用にまで拡張するために、中央管及び電極が矩形管形状を有するように再設計するように、デザインを修正することができる。これによって、リールツーリールプラスチックフィルム(reel to reel plastic film)のような大きな基材を処理するのに使用することのできる大面積プラズマが生じる。
【0013】
他の著者らは、平行板技術に基づく大面積プラズマジェットの形成を報告している。ゲラルディ N.(Gherardi, N.)ら、応用物理学会誌 2002年 33号 L104〜L108頁(J. Phys D: Appl. Phys, 2000, 33, L104-L108)は、2つの平行電極間で形成された誘電体バリア放電(DBD)プラズマに、N、SiH、及びNの混合物を通過させることによる、シリカコーティングの製品を記載している。反応器を出る種は、下流の基材上に堆積することが可能になった。欧州特許第1171900号明細書は、ヘリウムAPGDを作るのに(RF)電力を使用する平行板反応器を記載している。これは、ジェットシステムの同心電極の代わりに容易にスケールアップしたものと考えられる。別のデバイスは、間隙によって分離された2つの穴開き円形板から成る。上部板は13.56MHz RF電源に接続され、下部電極は接地される。プロセスガスの層流が、上部板の穴を通過し、電極間間隙に入る。ここで、ガスはイオン化し、プラズマが形成される。(イオン化を制限する)Heを含むガス混合物を使用し、高流速を使用し、RF駆動式電極を適切に離間することによって、アーキングが装置内で防止される。その後、プロセスガスは、第2電極内の穴を通ってデバイスを出る。
【0014】
欧州特許第0431951号明細書は、平行板反応器を出るガスによって基材を処理するシステムを記載している。このシステムは、1つ又は複数の平行板反応器を通してガスを流すことと、励起された種が、ガス出口に隣接して設置された基材と相互作用することを可能にすることとを含む。
【0015】
トシフジら(表面塗装技術,2003年,171号,302〜306頁(Surf. Coat. Technol., 2003, 171, 302-306)は、ガラス管内部に設置された針電極を使用して形成された低温アークプラズマの形成を報告した。同様のシステムが、ディネスキュ(Dinescu)ら(ISPC16の会報,タオルミナ,イタリア,2003年6月(Proceedings of ISPC 16, Taormina, Italy, June 2003))によって報告されている。ジャンカ(Janca)ら(表面塗装技術,1999年116〜119,547〜551頁(Surf. Coat. Technol. 116-119(1999), 547-551)は、高周波数プラズマ「ペンシル」を記載しており、内蔵式中空電極を有するペンシル形状の誘電体を使用して、大気圧でプラズマを発生し、圧力を低下又は増加させる。プラズマジェットを通って流れる活性材料として、ガス、液体、又は分散粒子(粉末)の混合物を使用することができる。
【0016】
米国特許第5,798,146号明細書は、対向電極の使用を必要としない単一針のデザインを記載している。代わりに、単一の鋭利な電極が管内に設置され、電極に高電圧を印加することによって電子の漏れが生じ、この電子の漏れがさらに、電極を囲むガスと反応して、イオン及びラジカルの流れを生成する。第2電極が存在しないため、これは、アークの形成を生じない。代わりに、ガス流によって放電空間から運ばれる低温プラズマが形成される。プラズマを集束させるか又は分散させために、種々のノズルヘッドが開発されてきた。システムは、種々の基材を活性化するか、洗浄するか、又はエッチングするのに使用してもよい。ストッフェル(Stoffel)ら(プラズマ供給源科学技術,2002年,11号,383〜388頁(Plasma Sources Sci. Technol., 2002, 11, 383-388)は、生物医療で使用するための同様のシステムを開発した。
【0017】
国際公開第02/028548号明細書は、霧化した液体及び/又は固体のコーティング材料を、大気圧プラズマ放電又はそれから得られるイオン化ガス流内に導入することによって、基材上にコーティングを形成する方法を記載している。国際公開第02/098962号明細書は、液体形態又はガス形態のシリコン化合物に基材をさらし、その後、プラズマ処理又はコロナ処理、特に、パルス大気圧グロー放電又は誘電体バリア放電を使用した酸化又は還元によって後処理することによって、低表面エネルギーの基材をコーティングすることを記載している。国際公開第03/085693号明細書は、プラズマを発生するようになっている1つ又は複数の平行電極装置と、プロセスガスを導入する手段と、反応剤を霧化して導入する霧化器とを有する、大気圧プラズマ発生アセンブリを記載している。そのアセンブリは、プロセスガス及び反応剤用の出口のみが、電極間のプラズマ領域を通るようになっている。
【0018】
国際公開第03/097245号明細書及び国際公開第03/101621号明細書は、コーティングを形成するために、霧化されたコーティング材料を基材上に塗布することを記載している。霧化されたコーティング材料は、超音波ノズル又はネブライザのような霧化器を出るときに、励起された媒体(プラズマ)を通過して基材に到る。基材は、励起された媒体から遠くに配置される。プラズマはパルス的に発生する。
【0019】
電極と基材との間の距離が小さ過ぎると、導電性基材、特に、接地された金属製の基材を処置するために、多くのプラズマジェットタイプのデザインを使用することができない。プラズマが、電力供給された電極と基材との間で絶縁破壊して高温アークを形成する傾向がある。事実上、基材は対向電極として作用する。しかし、電極と基材との間の距離が十分(〜150mm以上)であると、安定したプラズマジェットを形成することができる。しかし、こうした距離に設置された基材を処理するために、ジェットは、かなり長い距離にわたって安定でなければならない。使用されるプロセスガスにかかわりなく、プラズマジェットは、空気に暴露されるとクエンチし、これがほとんどのジェットの長さを制限することがわかった。フレームの長さを延長する一つの方法は、空気の同伴を最小にすることである。これは、層流のガス流を維持することによって達成することができる。ガスの乱流は、空気との混合を最大にし、急速にプラズマをクエンチする。しかし、層流であっても、プラズマジェットは通常、75mmよりも小さい。
【0020】
本発明の第1実施形態では、フレームライクと呼んでもよいプラズマからの非平衡状態放電は、配管の長手方向の長さに閉じ込められることにより、かなりの距離に渡って安定させることができることを、本発明者らは示している。これにより、空気の混合が防止され、フレームライク非平衡状態プラズマ放電のクエンチが最小となる。フレームライク非平衡状態プラズマ放電は、少なくとも配管の出口まで延び、通常は、出口を越えて延びる。
【0021】
したがって、本発明による表面をプラズマ処理する方法では、入口及び出口を有すると共にプロセスガスが該入口から該出口へ流れる誘電体ハウジング内で、非平衡状態大気圧プラズマが発生し、少なくとも一部が誘電体材料で形成された配管が、前記誘電体ハウジングの出口から外側へ延び、前記配管の端部がプラズマの出口を形成し、処理される表面は、該表面が前記非平衡状態大気圧プラズマと接触するように前記プラズマの出口に隣接して配置され、前記プラズマの出口に対して移動する。
【0022】
表面をプラズマ処理する装置は、
入口及び出口を有する誘電体ハウジングと、
前記入口から前記出口までプロセスガスを流す手段と、
前記プロセスガス中に非平衡状態大気圧プラズマを発生する手段と、
少なくとも一部が誘電体材料で形成されると共に前記誘電体ハウジングの出口から外側へ延びる配管であって、該配管の端部がプラズマの出口を形成する配管と、
処理される表面を前記プラズマの出口に隣接するように維持しながら、前記処理される表面を前記プラズマの出口に対して移動する手段と
を備える。
【0023】
本発明による外側へ延びる配管の使用により、フレームライク非平衡状態大気圧プラズマ放電の長さを、配管を越えるように延ばし、その長さは、特定のプロセスガスを使用することにより達成することのできる長さである。プロセスガスとしてヘリウムまたはアルゴンを使用すると、少なくとも150mm、しばしば300mmを超えて延びるフレームライク非平衡状態大気圧プラズマ放電を発生させることができ、導電性基材、さらに接地された金属片でさえも処理するのに使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
プラズマは一般に、誘電体バリア放電プラズマ、コロナ放電プラズマ、拡散誘電体バリア放電プラズマ、又はグロー放電プラズマのような任意のタイプの非平衡状態大気圧プラズマであり得る。拡散誘電体バリア放電プラズマ又はグロー放電プラズマが好ましい。好ましいプロセスは、「低温」プラズマであり、ここで用語「低温」は、200℃より低い温度、好ましくは、100℃より低い温度を意味することを意図している。これらは、(フレームベースシステムのような熱平衡状態プラズマと比較すると)衝突が比較的稀であるプラズマであり、非常に多様な温度でそれらプラズマの構成種を有する(したがって、一般に「非熱平衡状態」プラズマと呼ばれる)。
【0025】
非平衡状態大気圧プラズマを発生するための、本発明による1つの好ましいデバイスは、単一の電極のみを有する。対向電極が無いにもかかわらず、このデバイスは、やはり非平衡状態プラズマフレームを生じる。ヘリウムのような作動ガスに近接して電力供給された電極が存在することは、強力なRF場を生成するのに十分であり、強力なRF場は、プラズマイオン化プロセスを生じることを可能にし、外部プラズマジェットを形成する。
【0026】
単一の電極のみを有するこのようなデバイスの一例が、図1に示されている。このデザインは、適当な誘電体ハウジング8によって囲まれた管7から成る。管7は、誘電体ハウジング8を越えて延びている。任意に霧化された表面処理剤を含むプロセスガスは、開口部6に入る。単一の電極5は、管の外側に設置され、誘電体ハウジング8の層内に収容されている。電極は、適当な電源に接続されている。対向電極は必要ない。電力が印加されると、局所電界が電極の周りに形成される。これらの電界は、管内のガスと相互作用してプラズマが形成され、プラズマは、管7の端部にある開放部9まで延び、そして開放部9を越えて延びている。
【0027】
ヘリウムプラズマジェット及びアルゴンプラズマジェットと同様に窒素プラズマジェットを形成する改善された能力と、プラズマの改善された点火能力とを有する代替的なデザインでは、むき出しの金属電極が使用される。単一の、好ましくは鋭利な電極が、プラスチック管のような誘電体ハウジング内に収容され、誘電体ハウジングをエーロゾル(霧化された表面処理剤)及びプロセスガスが流れる。電力が針電極に印加されるため、電界が形成されてプロセスガスがイオン化される。
【0028】
これは、図2を参照することによってよりよく理解することができる。図2は、適当な誘電体ハウジング10内に収容された金属電極12を示している。この誘電体ハウジングは、ポリテトラフルオロエチレンのような適当な誘電体材料から構築してもよい。プロセスガス及びエーロゾルは、誘電体ハウジング内の1つ又は複数の開口部11を介して誘電体ハウジング内に入る。電位が電極に印加されるので、プロセスガスがイオン化され、得られるプラズマは、出口パイプ13の開放部14を介して外に延びるように誘導される。出口パイプ13のサイズ及び形状を調整することによって、プラズマフレームのサイズ、形状、及び長さを調整することができる。
【0029】
鋭利な先端を有する金属電極の使用は、プラズマ形成を容易にする。電位が電極に印加されるため、電界が発生し、この電界がガス内の帯電粒子を加速してプラズマを形成する。電界密度は電極の曲率半径に逆比例するため、鋭利な先端がプロセスに役立つ。金属の2次電子放出係数が大きいため、電極は、ガス内に電子の漏れをもたらす可能性もある。プロセスガスは電極を通過して移動するため、プラズマ種が電極から運び去られて、プラズマジェットを形成する。
【0030】
本発明のさらなる実施形態では、プラズマジェットデバイスは、対向電極がない、単一の中空電極から成る。ガスは、電極の中心を通って吹き出される。RF電力が印加されて、これは、電極の近傍に強力な電磁場の形成を生じる。これによって、ガスがイオン化してプラズマが形成され、プラズマが電極を通して運ばれてプラズマフレームとして出る。このデザインの厳密な性質(narrow nature)は、3次元形状の基材上に機能コーティングを堆積するために、集束された細いプラズマが周囲の条件下で発生することを可能にする。
【0031】
より一般的には、1つ又は複数の電極は、ピン、板、同心管若しくはリング、又は針の形態をとることができ、これを介してガスを装置内に導入することができる。単一の電極を使用してもよく、又は複数の電極を使用してもよい。電極は、誘電体によって覆われてもよく、又は誘電体によって覆われなくてもよい。複数の電極が使用される場合、複数の電極は、誘電体で覆われた電極と覆われない電極との組み合わせであることができる。1つの電極が接地されてもよく、又は代替的に、接地される電極がなくてもよい(浮動電位)。接地される電極がない場合、電極は同じ極性を有してもよく、又は反対の極性を有してもよい。第1電極が第2電極内に同軸に設置される同軸電極構成を使用してもよい。1つの電極が電力供給され、他の電極が接地されてもよい。アーキングを防止するために、誘電体層を含むことができるが、この構成はあまり好ましくない。
【0032】
電極は、任意の適当な金属でできていてもよく、たとえば、金属ピン、たとえば、溶接ロッド又は平坦な断面の形態であってもよい。
【0033】
プラズマのイオン化を高めるために、電極は、放射性元素をコーティングするか、又は、組み込むことができる。放射性金属を使用してもよく、たとえば、電極は、0.2〜20重量%、好ましくは、約2重量%の放射性トリウムを含むタングステンから形成してもよい。これは、イオン化を始動することのできる放射性粒子の放出及び放射を通して、プラズマ形成を促進する。こうしたドープした電極は、より効率的な2次電子放出を提供し、したがって、デバイスは衝当(strike)し易い。
【0034】
1つ又は複数の電極に対する電源は、プラズマの発生について知られているように、無線周波数電源であり、1kHz〜300GHzの範囲にある。最も好ましい範囲は、超低周波数(VLF)3kHz〜30kHz帯域であるが、低周波数(LF)30kHz〜300kHzの範囲もまた、首尾よく使用することができる。1つの適当な電源は、双極パルス波、高周波数及び高電圧発生器である、ハイデン研究社(Haiden Laboratories Inc.)のPHF−2Kユニットである。PHF−2Kユニットは、従来の正弦波高周波数電源に比べて、高速な立上り時間及び立下り時間(<3μs)を有する。したがって、PHF−2Kユニットは、よりよいイオン発生及びより高いプロセス効率を提供する。PHF−2Kユニットの周波数はまた、プラズマシステムに適合するように可変(1〜100kHz)である。電源の電圧は、好ましくは、少なくとも1kV超から10kVまでまたは10kV超である。
【0035】
PHF−2K電源が、図1に示されるプラズマ発生デバイスの単一電極デザインに接続されて、ある範囲の実験が実施されたときに、安定したヘリウムプラズマジェット及びアルゴンプラズマジェットが容易に形成されることがわかった。アルゴンフレームを生成するために、ヘリウムプラズマジェットを点火し、次にアルゴンに切り換えることがはるかに容易であることがわかった。PHF−2K電源が、図2に示されるプラズマ発生デバイスの単一電極デザインに接続されたときに、ヘリウム、アルゴン、酸素、窒素、空気、及びこれらのガスの混合物を含むある範囲のプロセスガスを使用して、プラズマジェットを生成することが可能であった。
【0036】
誘電体ハウジングは、任意の非導電性材料、たとえば、プラスチック材料であることができる。たとえば、図2のデバイスでは、単一の鋭利な電極は、たとえば、ポリアミド、ポロプロピレン、又はPTFEのプラスチック管内に収容され、エーロゾル及びプロセスガスがそこを通って流れる。
【0037】
図1のデバイスを使用する際に、管7のための誘電体材料の選択が重要な影響を及ぼすことがわかった。ポリアミドを誘電体材料として使用すると、プラズマは急速に高温になり過ぎ、パイプが過熱する。ポリプロピレンの場合に同様な問題に遭遇した。ポリアミドをPTFEで置き換えると、この問題がなくなった。プラスチックをアルミナに置き換えることによって、剛性誘電体を管7又は誘電体ハウジング8若しくは10に使用することができる。
【0038】
一般に、プラズマを生成するのに使用されるプロセスガスは、ヘリウム、アルゴン、酸素、窒素、空気、及び、これらのガスの混合物、又はこれらのガスと他の材料との混合物を含むある範囲のプロセスガスから選択することができる。最も好ましくは、プロセスガスは、実質的に、ヘリウム、アルゴン及び/又は窒素から成る不活性ガスを含み、すなわち、これらのガスのうちの1つ、又はこれらのガスのうちの2つ以上の混合物を、少なくとも90容量%、好ましくは95容量%含み、任意選択で、5又は10容量%まで別のガスあるいは同伴された液滴又は粉末粒子を有する。
【0039】
一般に、プラズマは、プロセスガスとしてヘリウムを使用すると、アルゴンを用いるのに比べて低電圧で点火することができ、アルゴンを使用すると、窒素又は空気を用いるのに比べて低電圧で点火することができる。図2の鋭利な電極デバイスを使用すると、PHF−2K電源を使用して、純粋のアルゴンプラズマを3kVで直接点火することができる。図2の装置において鋭利な電極の代わりに、尖っていない金属電極を使用すると、アルゴンプラズマを5kVで点火することができる。図1の単一電極デザインを使用すると、少なくとも6.5kVの電圧が要求される。
【0040】
誘電体ハウジングの出口から外側に延びる、ある長さの配管の使用によって、フレームライクの非平衡状態大気圧プラズマ放電を、かなりの距離にわたって安定化する。こうしたシステムを使用して、少なくとも150mm又はさらに300mmを超えて延びるフレームライクの放電を作ることが可能である。こうしたシステムは、導電性又は半導電性の基材、さらに金属片のような接地された導電性基材を処理するのに使用することができる。図1の装置では、誘電体ハウジング8を越えて延びる管9の部分が、プラズマフレームを延長する管として作用する。図2の装置では、出口パイプ13が、プラズマフレームを延長する管として作用する。十分に長い管の使用は、プラズマによって発生した放電が、プラズマを管内に閉じ込めることによって、長さが1メートルを超える距離にわたって延びることができることを可能にする。アークが形成されることを防止するために、電力供給された電極は、接地された基材から十分離れた距離に維持される。
【0041】
プラズマフレームを延長する管は、たとえばポリアミド、ポリプロピレン又はPTFEといったプラスチックのような、少なくとも部分的に誘電体材料で形成される。管は、好ましくは、プラズマの出口が基材に対して移動できるように、可撓性がある。300mmより長い長さにわたってプラズマジェットを安定化させるために、パイプの隣接片を接続するように、好ましくは鋭利な縁を有する導電性シリンダを使用することが有益である。これらの導電性シリンダは、好ましくは接地されない。好ましくは、これらの導電性シリンダは、両側で丸く鋭利な縁を有する。プロセスガスは、これらの導電性シリンダ内部を通過するときに、金属と接触する。プラズマ領域内部で生成された自由電子は、鋭利な導電性縁の近くに強い電界を誘導し、導電性シリンダ内部のプロセスガスをさらにイオン化する。導電性シリンダの他方の鋭利な縁は強い電界を生成し、続くパイプセクション内でガスのイオン化を始動する。こうして、パイプ内部のプラズマが延長される。複数の金属コネクタの使用によって、プラズマが、数メートル、たとえば、3〜7メートルにわたって延びることが可能になる。プラズマの最大長に対する限界が存在し、この限界は、電流通路に対するプラズマの抵抗によって生じる電圧降下によって得ることができる。
【0042】
それぞれのプラズマガスを用いてプラズマジェットの品質を実証するために、誘電体ハウジング10を越えて200mm延びる管すなわち出口パイプ(13)がある状態と無い状態での図2の装置を使用した。異なるガスを直接比較するために、標準的な条件のセットを選択し、各ガスについて、各プラズマジェットの特性を評価した。結果を以下の表1に示す。ヘリウムジェットは、最も安定し、且つ最も低温のプラズマであるが、アルゴンと比較するとほとんど差が存在しない。窒素プラズマ及び空気プラズマは、安定性が低く、より高い温度で動作する。
【0043】
【表1】

【0044】
表1から分かるように、誘電体ハウジングの出口から外側に延びる配管の使用により、プラズマジェットの長さがかなり延びる。ヘリウムジェットまたはアルゴンジェットの長さが、200mmを超えて延ばされる。(フレームが配管13の端部を超えて延びた。)これは、もっと長い配管を使用することにより、さらに延ばすことができるであろう。配管13を使用した窒素プラズマジェットの長さは、配管13を用いないヘリウムプラズマジェットまたはアルゴンプラズマジェットよりも長くなった。
【0045】
表面を処理する多くの好ましいプロセスにおいて、プラズマは、霧化された表面処理剤を含んでいる。例えば、好ましくはエーロゾルとして、重合可能な前駆物質をプラズマジェットに導入すると、制御されたプラズマ重合反応が生じて、配管のプラズマの出口に隣接して配置された基材上に、プラズマポリマーが堆積する。本発明のプロセスを使用すると、ある範囲の機能的なコーティングが、多数の基材上に堆積された。これらのコーティングは基材に埋め込まれ、前駆物質分子の機能性のある化学的性質(functional chemistry)を保持する。
【0046】
図3は、図2に示されるピンタイプの電極システムの改良版を示している。図3では、プロセスガスは、プラズマ領域15の上流に入る。霧化された表面処理剤は、プロセスガス流に組み込むことができる。代替的なデザインでは、霧化された表面処理剤のエーロゾルは、プラズマ内に直接導入される。これは、第2ガス入口地点16を電極17の先端に接近して配置することによって達成される。エーロゾルは、第2ガス入口地点16で直接付加することができ、主なプロセスガスもプラズマ領域15の上流に入る。代替的には、プロセスガスの一部(又は全て)はまた、電極の先端に隣接するエーロゾルと共に付加することができる。このセットアップを使用して、プラズマ及び前駆物質は、電極17を囲む誘電体ハウジングの出口から延びる適当な管18を通して出る。
【0047】
図4は、導電性の基材又は3D物体若しくは管の内部の処理のための長いプラズマを発生する好ましいデバイスを示している。図3と同様に、電力供給された電極19は、プロセスガス20及びエーロゾル21と相互作用して、プラズマを生成する。プラズマの長さは、プラズマがデバイスを出るときに、プラズマを管22に閉じ込めることによって延長される。プラズマがこの管内に閉じ込められる限り、プラズマは、外部大気との相互作用によってクエンチしない。プラズマの長さをさらに延長するために、管の隣接する片を接続するための導電性リング23が、管22に組み込まれている。導電性リング23は、両側に丸い鋭利な縁を有している。得られたプラズマは、プラズマの出口24を通って出る前に、かなりの距離にわたって延長され得る。
【0048】
図5は、図4に記載されたタイプの装置の使用状態の図である。プロセスガスとしてアルゴンを使用し、配管22の出口24を越えてプラズマフレームが延びている。図6は、アルゴンプラズマフレームを使用して金属製の基材25を処理する図5の装置の図である。電極19と金属製の基材25との間にアーチングはない。図7は、プロセスガスとしてヘリウムを使用した同じ装置の図である。さらに長い配管22を使用すると、フレームが出口24を越えて延びる。
【0049】
プラズマは、好ましくは、霧化された表面処理剤を含む。霧化された表面処理剤は、例えば、重合可能な前駆物質であり得る。好ましくはエーロゾルとして、重合可能な前駆物質をプラズマジェットに導入すると、制御されたプラズマ重合反応が生じて、プラズマの出口に隣接して配置された基材上に、プラズマポリマーが堆積する。本発明のプロセスを使用すると、ある範囲の機能的なコーティングが、多数の基材上に堆積された。これらのコーティングは基材に埋め込まれ、前駆物質分子の機能性のある化学的性質を保持する。
【0050】
従来技術と比較して、本発明のプラズマ処理ステップのために拡散誘電バリア放電アセンブリまたは大気圧グロー放電アセンブリを使用する利点は、本発明の方法が大気圧の条件下で行われるので、基材コーティングを形成するために、液体と固体の両方の霧化された重合可能なモノマーを使用してもよいことである。さらに、重合可能なモノマーは、プラズマ放電、またはキャリアガスなしに得られる流れに導入することができる。前駆物質モノマーは、たとえば、直接注入によって直接導入することができ、それによりモノマーは、プラズマ内に直接注入される。
【0051】
本発明による表面処理剤は、たとえば、膜を成長させるか、または既存の表面を化学的に改質させるのに使用することのできる材料を含み、大気圧プラズマ内で、またはプラズマ強化化学気相堆積(plasma enhanced chemical vapor deposition)(PE−CVD)プロセスの一部として反応性のある、任意の適切なコーティングを行うのに使用することのできる前駆物質材料であることが理解される。本発明は、多くの異なるタイプのコーティングを形成するのに使用してもよい。基材上に形成されるコーティングのタイプは、使用されるコーティング形成材料によって決まり、本方法は、基材表面上にコーティング形成モノマー材料を(共)重合させるのに使用してもよい。
【0052】
コーティング形成材料は、有機物又は無機物、固体、液体又は気体、あるいはそれらの混合物でもよい。適当な有機コーティング形成材料は、カルボキシレート、メタクリレート、アクリレート、スチレン、メタクリロニトリル、アルケン及びジエン、たとえばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート及び他のアルキルメタクリレート、対応するアクリレート、有機官能基メタクリレート及びアクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレート及びメタクリレート、グリシジルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート及びフルオロアルキル(メタ)アクリレート、たとえば
【0053】
【化1】

【0054】
の化学式のヘプタデシルフルオロデシルアクリレート(HDFDA)又はペンタフルオロブチルアクリレエート、メタクリル酸、アクリル酸、フマル酸及びこれらのエステル、イタコン酸(及びエステル)、無水マレイン酸、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化アルケン、たとえば塩化ビニル及びフッ化ビニルのようなハロゲン化ビニル、フッ化アルケン、たとえばパーフルオロアルケン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、プロピレン、アリルアミン、ハロゲン化ビニリデン、ブタジエン、N−イソプロピルアクリルアミドのようなアクリルアミド、メタクリルアミド、エポキシ化合物、たとえばグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドール、酸化スチレン、一酸化ブタジエン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(及びそのオリゴマー)、酸化ビニルシクロヘキセン、ピロール及びチオフェン並びにそれらの誘導体のような導電性重合体、リン含有化合物、たとえばジメチルアリルホスホネートを含んでもよい。コーティング形成材料はまた、アクリル官能基オルガノシロキサン及び/又はシランを含んでもよい。
【0055】
適当な無機コーティング形成材料は、コロイド金属を含有する金属及び金属酸化物を含む。有機金属化合物は、チタネート、スズアルコキシド、ジルコネート並びにゲルマニウム及びエルビウムのアルコキシドのような金属アルコキシドを含む適当なコーティング形成材料であってもよい。本発明は、シリコン含有材料を含むコーティング形成組成物を用いてシロキサン系コーティングを基材に提供するときに特に有用であることを、本発明者らは見出した。本発明の方法で使用するための適当なシリコン含有材料は、シラン(たとえば、シラン、アルキルシラン、アルキルハロシラン、アルコキシシラン)と、直鎖シロキサン(たとえば、ポリジメチルシロキサン又はポリヒドロゲンメチルシロキサン)及び環状シロキサン(たとえば、オクタメチルシクロテトラシロキサン)とを含み、有機官能基直鎖及び環状シロキサン(たとえば、Si−H含有、ハロゲン官能基及びハロアルキル官能基直鎖及び環状シロキサン、たとえばテトラメチルシクロテトラシロキサン及びトリ(ノノフルオロブチル)トリメチルシクロトリシロキサン)を含む。異なるシリコン含有材料の混合物を、特定の要件(たとえば、熱特性、屈折率のような光学特性、及び粘弾性特性)のために、たとえば、基材コーティングの物理的な特性を調整するのに使用してもよい。
【0056】
霧化器は、好ましくは、表面処理剤を霧化するためにガスを使用する。電極は、誘電体ハウジング内で、霧化器と組み合わせることができる。最も好ましくは、プラズマを発生するのに使用されるプロセスガスを、表面処理剤を霧化する霧化用ガスとして使用する。霧化器は、たとえば、空気圧駆動式ネブライザ、特に、カナダ、オンタリオ州、ミシソーガのバーゲナーリサーチ社(Burgener Research Inc.)によって販売されるような、または米国特許第6634572号明細書に記載されているような平行経路(parallel path)ネブライザであってもよく、同心ガス霧化器(concentric gas atomiser)であってもよい。霧化器は、代替的に、超音波霧化器であることができ、超音波霧化器では、ポンプを使用して液体表面処理剤を超音波ノズル内に輸送し、その後、超音波ノズルが霧化表面上に液体膜を形成する。超音波によって、液体膜内に定常波が形成されて、液滴が形成される。霧化器は、好ましくは10〜100μm、より好ましくは10〜50μmの液滴サイズを生成する。本発明で使用するための適当な霧化器は、ソノ−テク社(Sono-Tek Corporation)、米国ニューヨーク州ミルトン、の超音波ノズルである。代替的な霧化器は、たとえば、エレクトロスプレー技術や、静電帯電による非常に微細な液体エーロゾルを発生する方法を含んでもよい。最も一般的なエレクトロスプレー装置は、鋭く尖った中空金属管を採用し、液体が中空金属管を通って圧送される。高電圧電源が中空金属管の出口に接続される。電源がオンされ、適切な電圧に調整されると、中空金属管を通って圧送された液体は、連続した液滴の微細な霧に変換される。インクジェット技術も、キャリアガスの必要なしに、熱式方法、圧電式方法、静電式方法、及び音響式方法を使用して、液滴を発生するために使用することができる。
【0057】
本発明の一実施形態では、霧化器が電極として作用するように、電極が霧化器に組み合わされる。たとえば、平行経路霧化器が導電性材料でできている場合、霧化器デバイス全体を電極として使用することができる。代替的に、針のような導電性部品は、組み合わせ式電極−霧化器システムを形成するために、非導電性の霧化器内に組み込むことができる。
【0058】
図8の装置では、空気圧駆動式ネブライザ又は超音波霧化器であり得る霧化用デバイス31は、下方端において管34aとして延びる誘電体ハウジング34内の2つの電極32と33との間に出口がある状態で配置されている。霧化器31からの霧化された液体に対してほぼ平行に、ガスが電極32,33間を流れるように、誘電体ハウジングは、ヘリウム又はアルゴンのようなプロセスガス用の入口35を有する。非平衡状態プラズマフレーム36は、電極32,33から管34aの出口を越えて延びている。誘電体シート38及び接地された金属製の支持体39によって裏打ちされた金属製の基材37は、管34aの出口において、非平衡状態プラズマフレーム36に隣接して配置されている。重合可能な表面処理剤が霧化器31において霧化されて、無線周波数高電圧が電極32,33に印加されると、基材37は、プラズマ重合されたコーティングによって処理される。
【0059】
図9の装置では、プロセスガスの入口41と霧化用デバイス42とは共に、プロセスガス及び霧化された液体流がほぼ平行に流れるように、その出口から延びる管46を有する誘電体ハウジング43内に送り込まれている。霧化用デバイス42は、ガス及び液体の入口を有し、金属のような導電性材料で形成される。霧化器42が電極として作用するように、無線周波数高電圧が霧化器42に印加されて、管46の出口まで延びるプラズマジェット44が形成される。基材45は、霧化器42において霧化された表面処理剤でプラズマ処理されるように、管46の出口に隣接して配置されている。
【0060】
図10の装置では、電極51がハウジング56内に配置され、ハウジング56は、その出口から延びる管55を有している。プロセスガスの入口52とエーロゾル53とは共に、電極51の領域においてハウジング内に送り込まれている。重合可能な表面処理剤がエーロゾル53内で霧化されて無線周波数高電圧が電極51に印加されると、管55の出口まで延びるプラズマフレームが形成され、出口に隣接して配置された基材54が、プラズマ重合されたコーティングによって処理される。
【0061】
本発明の装置は、複数の霧化器を含んでもよく、これらの霧化器は、たとえば、2つの異なるコーティング形成材料から基材上に共重合体コーティングを形成するのにその装置が使用され、モノマーは不混和性または異なる相、たとえば、第1相が固体であり、第2相が気体又は液体である場合に、特定の有用性があってもよい。
【0062】
先に述べた本発明のプラズマ装置及びプロセスは、複雑な形状の物体を含む、任意の適当な基材をプラズマ処理するのに使用してもよい。用途は、配管又はボトルのような3D物体のコーティング、又は、ボトルの内部のコーティング、特にバリアコーティングを含む。例として、カテーテルの内部及び外部コーティング/処理を含む医療デバイス及びインプラント、薬物送出デバイス、投与デバイス、臨床診断器具、心臓インプラント及び補綴インプラントのようなインプラント、注射器、注射針、特に皮下注射針、壁及び床、創傷治療製品、医療用チューブを含むチューブ、粉末及び粒子が含まれる。他の用途として、電子部品のような複雑な形状の部品のコーティング、又は、印刷の付着性(print adhesion)の強化、又はワイヤ、ケーブル若しくは繊維のコーティングが含まれる。このシステムは、パターン化された表面処理の作成を可能にするために、集束式プラズマとして使用することができる。
【0063】
さらに、本発明の電極システムによるプラズマの形成によって発生した放電を、好ましくは、図3又は図4に示されるタイプのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる管の下流に輸送することによって、パイプの内壁又は他の3次元本体を処理するために、プラズマジェットデバイスを使用してもよい。このPTFE管は、コーティングされるパイプの内部に設置される。プラズマが活性化され、適切な場合には、コーティング前駆物質材料が、ガス又はエーロゾル等の形態でプラズマ内に注入される。PTFE又は同様な管は、パイプの内部表面上に均一なコーティングを堆積しながら、パイプ/配管を通って徐々に引き出される。コーティングの均一性を改善するために、PTFE管又はパイプ/配管のいずれかが、回転してもよい。プラズマジェットデバイスは、洗浄/保守の容易さのために、低コストの交換可能なノズルを有し、小型且つ携帯型である。
【0064】
内部コーティングを必要とする場合がある3次元製品は、ボトル、コンテナ、カップ及び閉じた容器、箱、カートン、パウチ及びブリスターパック、異形押出成形される(profiled)と共に予備成形されたプラスチック及びラミネートのような包装用製品を含む。
【0065】
本発明の装置及びプロセスを使用してコーティングしてもよい電子機器は、織物及び布ベースの電子プリント回路基板、フレキシブルディスプレイを含むディスプレイ、抵抗器、ダイオード、コンデンサ、トランジスタ、発光ダイオード(LED)、有機LED、レーザダイオード、集積回路(IC)、ICダイ、ICチップ、メモリデバイス、ロジックデバイス、コネクタ、キーボード、半導体基板、太陽電池、及び燃料電池のような電子部品を含む。レンズ、コンタクトレンズ、及び他の光学基材のような光学部品を同様に処理してもよい。他の用途には、軍事機器、航空宇宙機器又は輸送機器、たとえば、ガスケット、シール、異形材、ホース、電子部品及び診断部品、台所、浴室、及び台所用品を含む家事用品、オフィス家具、実験室用品が含まれる。
【0066】
小型の皮下タイプの注射針を使用することは、本体、たとえば、電気部品の非常に正確なエリアを活性化しコーティングするのを容易にするマイクロボア(microbore)の薄く安定した放電を発生するであろう。大面積のコーティングは、デバイスを変位することによって達成することができる。
【0067】
任意の適したコーティング、たとえば、表面活性化、抗微生物、摩擦低減(潤滑剤)、生体適合性、耐腐食性、疎油性、親水性、疎水性、バリア、自己洗浄、捕捉活性(trapped active)、及び印刷の付着性のためのコーティングを、本発明の装置及びプロセスを使用して塗布してもよい。
【0068】
捕捉活性材料(trapped active material)は、本発明の機器及びプロセスによって基材表面上に塗布してもよい。本明細書で使用される用語「活性材料(active material(s))」は、ある環境内に存在するときに、1つ又は複数の特定の機能を実施する1つ又は複数の材料を意味することを意図している。活性材料は、プラズマ環境内で化学結合形成反応(chemical bond forming reaction)を受けない化学種である。活性材料は、用語「反応性」と明確に区別されることが理解される。すなわち、反応性材料又は反応性化学種は、プラズマ環境内で化学結合形成反応を受ける種を意味することを意図している。活性材料は、もちろん、コーティングプロセス後に反応を受けることが可能である。
【0069】
任意の適した活性材料は、プラズマ内で化学結合形成反応を実質的に受けない場合に利用してもよい。適した活性材料の例には、抗微生物(たとえば、第4級アンモニウム及び銀ベース)、酵素、蛋白質、DNA/RNA、製薬材料、紫外線遮断薬、抗酸化剤、難燃剤、化粧用材料、治療用材料又は診断用材料、抗生物質、抗菌薬、抗真菌剤、化粧品、クレンザ、成長因子、アロエ、ビタミン、香料及び風味剤、農薬(フェロモン剤、殺虫薬、除草剤)、染料及び顔料、たとえば、フォトクロミック染料及び顔料及び触媒が含まれる。
【0070】
本発明で使用される活性材料の化学的性質は、一般的には重要ではない。活性材料は、組成物内で結合することのできる任意の固体材料又は液体材料を含み、適切な場合に、その後、所望の速度で放出することができる。
【0071】
本発明は、以下の実施例によって例示される。
【実施例】
【0072】
[実施例1]
図8の装置を使用して、フッ化炭素コーティングを、前駆物質としてペンタフルオロブチルアクリレートCH=CH−COO−CHCHCFCFから、ある範囲の基材上に堆積した。基材を管(22)のプラズマフレームの出口(24)に隣接して配置し、管を基材の端から端まで移動した。フッ化炭素コーティングを、以下の条件、すなわち、電源550W、14.8kV、100kHz、プロセスガス流(15)20標準リットル/分(slm)、アルゴン含有量2.5μl/分のフッ化炭素前駆物質表面処理剤を使用して、ガラス上に堆積した。プラズマジェットは、非常に低温であり(40℃より低い温度)、緩やかな(soft)重合プロセスを生じた。コーティングは、高いフッ化炭素濃度で堆積することができるが、1〜5又は10μl/分のような低い前駆物質の流量の使用が最良のコーティングを生成することを本発明者らは見出した。堆積したコーティングは、疎油性且つ疎水性であった。
【0073】
同じ条件を使用して、疎水性且つ疎油性のフッ化炭素コーティングを、プラスチック(ポリプロピレンフィルム)基材、金属基材、及びセラミック(シリカ)基材上に堆積した。
【0074】
[実施例2]
実施例1を、同じ流量で、アルゴンの代わりにヘリウムを使用して繰り返した。疎水性且つ疎油性のフッ化炭素コーティングを、プラスチック基材、ガラス基材、金属基材、及びセラミック基材上にプラズマ堆積した。
【0075】
[実施例3]
実施例1及び実施例2を、フッ化炭素前駆物質表面処理剤としてHDFDAを使用して繰り返した。疎水性且つ疎油性のフッ化炭素コーティングを、基材全ての上にプラズマ堆積した。研磨された金属ディスク上に堆積されたコーティングは、低摩擦コーティングとして評価した。ピンオンディスク法(pin on disc method)を使用して、摩擦特性及び磨耗特性を評価した。炭化タングステンのピンを、50gの負荷と共に使用した。試験されるサンプルをピンに接触して設置し、サンプルを回転した。摩擦対回転数を監視することによって、磨耗率を推測することができる。コーティングは、研磨に対して著しい耐性を示した。
【0076】
[実施例4]
実施例1のプロセスを、ポリプロピレンフィルム用の表面処理剤として、フッ化炭素の代わりにポリヒドロゲンメチルシロキサンを使用して繰り返した。これにより、130°を超える水接触角を有するコーティングを生成した。FTIR分析が示したところでは、コーティングは、前駆物質の機能性のある化学的性質を保持し、反応性のSi−H結合官能基が、2165cm−1のピークを生じた。
【0077】
[実施例5]
実施例4のプロセスを、シロキサンの代わりにポリエチレングリコールメタクリレートを使用して繰り返した。これにより、ポリプロピレンフィルム上に、ポリ(PEGメタクリレート)の親水性コーティングを生成した。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】表面をプラズマ処理するための、本発明による装置の断面模式図である。
【図2】表面をプラズマ処理するための、本発明による代替的な装置の断面模式図である。
【図3】表面をプラズマ処理するための、本発明による別の代替的な装置の断面模式図である。
【図4】プラズマ発生装置から延びるさらに長い配管を有する、図3に示された装置の図である。
【図5】アルゴンプラズマジェットと共に使用した状態の、図4に示された装置の図である。
【図6】金属製の基材のスポット処理に使用される、図5に示された装置の図である。
【図7】ヘリウムプラズマジェットと共に使用した状態の、図4に示された装置の図である。
【図8】図1の装置に使用するための、代替的なプラズマ発生装置の断面模式図である。
【図9】図1の装置に使用するための、別の代替的なプラズマ発生装置の断面模式図である。
【図10】図1の装置に使用するための、さらに別の代替的なプラズマ発生装置の断面模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面をプラズマ処理する方法において、
入口及び出口を有すると共にプロセスガスが該入口から該出口へ流れる誘電体ハウジング内で、非平衡状態大気圧プラズマが発生し、
少なくとも一部が誘電体材料で形成された配管が、前記誘電体ハウジングの出口から外側へ延び、前記配管の端部がプラズマの出口を形成し、処理される表面は、該表面が前記非平衡状態大気圧プラズマと接触するように前記プラズマの出口に隣接して配置され、前記プラズマの出口に対して移動することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記配管は、可撓性であると共に、前記処理される表面を横切って移動することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非平衡状態大気圧プラズマは、前記電極の先端から前記プラズマの出口まで、少なくとも30mmの距離を延びることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記処理される表面は、導電性表面または半導体表面であり、
前記非平衡状態大気圧プラズマは、前記電極の先端から前記プラズマの出口まで、少なくとも150mmの距離を延びることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記配管は、接地されていない導電性シリンダに連結された誘電体材料の長さを有し、
前記非平衡状態大気圧プラズマは、前記電極の先端から前記プラズマの出口まで、少なくとも1mの距離を延びることを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記非平衡状態大気圧プラズマは、霧化された表面処理剤を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記霧化された表面処理剤は、前記誘電体ハウジングの前記入口から前記出口までのプロセスガスの流れに組み込まれることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記表面処理剤は、該表面処理剤のための霧化用ガスとしてプラズマプロセスガスを用いて、霧化器と電極との組み合わせによって、前記誘電体ハウジング内で霧化されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記霧化された表面処理剤は、前記誘電体ハウジングの前記出口に向かって傾斜した入口を介して、前記電極から下流へ向かって前記非平衡状態大気圧プラズマ内に注入されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記非平衡状態大気圧プラズマは、前記誘電体ハウジング内に配置された単一の電極の先端で発生することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
入口及び出口を有する誘電体ハウジングと、
前記入口から前記出口までプロセスガスを流す手段と、
前記プロセスガス中に非平衡状態大気圧プラズマを発生する手段と、
少なくとも一部が誘電体材料で形成されると共に前記誘電体ハウジングの出口から外側へ延びる配管であって、該配管の端部がプラズマの出口を形成する配管と、
処理される表面を前記プラズマの出口に隣接するように維持しながら、前記処理される表面を前記プラズマの出口に対して移動する手段と
を備える、表面をプラズマ処理する装置。
【請求項12】
誘電体材料からなる前記配管は、可撓性であることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記配管は、接地されていない導電性シリンダに連結された誘電体材料の長さを有することを特徴とする、請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記導電性シリンダは、両端に丸く鋭利な縁を有することを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記プロセスガス中に非平衡状態大気圧プラズマを発生する前記手段は、
前記誘電体ハウジング内に配置された単一の電極と、
該電極の鋭利な先端に大気圧プラズマを発生するために前記電極に無線周波数高電圧を印加する手段と
を備えることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記誘電体ハウジング内に配置された表面処理剤用の霧化器と、
霧化用ガスとして作用するようにプロセスガスを前記霧化器に供給する手段と
をさらに備えることを特徴とする、請求項11〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記誘電体ハウジング内の前記非平衡状態大気圧プラズマに、霧化された表面処理剤を注入する手段をさらに備えることを特徴とする、請求項11〜15のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−537834(P2008−537834A)
【公表日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539632(P2007−539632)
【出願日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004246
【国際公開番号】WO2006/048650
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(502286568)ダウ・コーニング・アイルランド・リミテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】Dow Corning Ireland Limited
【住所又は居所原語表記】Unit 12, Owenacurra Business Park, Midleton, Co. Cork, Ireland
【Fターム(参考)】