説明

プラズマ処理装置

【課題】
試料台保護部材の消耗を抑制することで試料台保護部材の寿命を延長し、装置稼働率の向上と試料台が露出することによる試料台の消耗を防ぐことができるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】
円板状の試料台112と、試料台112の側面の消耗を低減するための試料台保護部材(206、203、200)とを備えたプラズマ処理装置において、試料台保護部材(図面上では203)を冷却するための冷却用ガス流路205を有する。また、イオンを試料台保護部材200へ引き込む導体リング201や、試料台保護部材203と試料128との距離を調整する機構(204、250〜252、260、132)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空容器内に配置された処理室に処理ガスを供給してプラズマを形成し、処理室内の試料(ウエハ)を処理するプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ処理等に用いられるプラズマ処理装置、例えばプラズマエッチング処理装置は、真空状態に減圧した処理容器(以下、真空容器とする)内に処理ガスを供給してプラズマを形成し、ウエハ載置用試料台(以下、試料台とする)に被処理対象であるウエハを載置してウエハに処理を施す。試料台は主として、静電気力でウエハを固定する機能、ウエハの温度を制御する機能、プラズマ中のイオンを引き込んでエッチングをアシストするための高周波バイアスをウエハに印加する機能を持つ。
【0003】
上記高周波バイアスは試料台を構成する金属プレートに直接印加され、ウエハ上のシース部に生じる電位差がプラズマ中のイオンを引き込む力として作用する。このとき、試料台のウエハ載置面以外がプラズマに晒されていると、その部分にもイオン引き込みが生じるため、試料台が摩耗してしまう。しかし、ウエハ載置面以外の外周部に試料台保護部材(以下、サセプタとする)を配置することで、試料台の摩耗を抑制することができる。サセプタのプラズマ照射面はプラズマの影響および高周波バイアスの影響を絶えず受け、消耗するため、定期的に交換が必要となる。
上記のようなサセプタを用いた試料台の従来技術としては、例えば、特許文献1や特許文献2がある。
【0004】
特許文献1はサセプタ(保護部材)を二分割または三分割とすることで、サセプタの消耗した部分や処理による反応生成物が付着した部分のみを交換することができ、これにより装置のメンテナンス性を向上し装置の稼働率向上が図れるというものである。
【0005】
特許文献2は、試料台に数ヶ所設けられたピンに従って、サセプタ(保護部材)を試料台に設置することで、サセプタを試料台と同心円状に設置。プラズマ入熱によって高温となったサセプタからウエハへの輻射入熱を均一にすることで、ウエハの温度分布の偏りを抑制するといものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−230234号公報
【特許文献2】特開2010−199511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、サセプタ(試料台の保護部材)は処理を続けていると消耗するため、定期的な交換が必要になる。しかしながら、交換を実施するためには真空容器を開放しなければならず、交換作業のたびに処理を停止しなければならない。そのため、装置稼働率が低下し、工程に影響を与えていた。また、サセプタが消耗し続けると試料台が露出し、試料台自身がプラズマによって消耗してしまう。
【0008】
本発明は、サセプタ(試料台保護部材)の消耗を抑制することでサセプタ(試料台保護部材)の寿命を延長し、装置稼働率の向上と試料台が露出することによる試料台の消耗を防ぐことができるプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための一実施形態として、排気ポンプを備えた真空処理容器と、該真空処理容器内に配置され、供給された処理ガスにプラズマ生成用高周波電源からの高周波エネルギを供給してプラズマを生成するアンテナと、前記真空処理容器内に配置された円板状の試料台と、前記試料台の側面の消耗を低減するために前記試料台側面の周囲にリング状に配置されたサセプタとを備え、該試料台にイオン引き込み用高周波電圧を供給して、前記プラズマ中のイオンを加速して前記試料台上に載置した試料にプラズマ処理を施すプラズマ処理装置において、前記サセプタを冷却するためのサセプタ冷却用ガス流路が備えられていることを特徴とするプラズマ処理装置とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サセプタを冷却することにより、サセプタの寿命を延長し、装置稼働率の向上と試料台が露出することによる試料台の消耗を防ぐことができるプラズマ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施例に係るプラズマ処理装置の概略全体構成を示す縦断面図である。
【図2】第1の実施例に係るプラズマ処理装置における試料台とサセプタの詳細構造図である。
【図3】図2で示したサセプタにおいて、中サセプタとウエハ裏面との隙間を調整するための作業フロー図である。
【図4】第1の実施例に係るプラズマ処理装置における試料台と他のサセプタ(ロードセルを用いた場合)の詳細構造図である。
【図5】第2の実施例に係るプラズマ処理装置における試料台とサセプタの詳細構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例により説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の第1の実施例について図面を用いて以下説明する。
まず、装置構成について説明する。
図1は、本実施例に係るプラズマ処理装置の概略全体構成を示す縦断面図である。図中の高周波電源110、直流電源114、高周波バイアス電源117、排気ゲートプレート118、コンダクタンス可変バルブ119、ターボ分子ポンプ120、排気ポンプ122、ゲートバルブ126、搬送用ロボット127は、それぞれ図示しないコントローラーによって動作を制御される。なお、同一符号は同一の構成要素を示す。
【0014】
真空容器100の内部には、処理室101が配置されている。また、真空容器100の上部には処理室101内に高周波を供給する高周波電源110と処理室101内に電磁波を供給するソレノイドコイル109が、下部にはウエハなどの被処理対象である基板状の試料がその上面に載置される試料台112とターボ分子ポンプ120などからなる排気装置が備えられている。
【0015】
さらに真空容器100は、処理室101と、ウエハ128を真空容器100内に搬送する搬送用ロボット127を有する搬送室125とを開放あるいは閉鎖して、両者間を連通、遮断するゲートバルブ126を備えている。
【0016】
処理室101上方には、処理室101を密閉する天井部材が備えられており、この天井部材は、石英等の誘電体で構成された石英プレート105およびシャワープレート102から構成され、石英プレート105とシャワープレート102の間には微小隙間103がある。この微小隙間103は円筒形状の空間であり、この空間の下方にシャワープレート102が配置されている。このシャワープレート102には多数の小孔が円形状に配置して設けられている。石英プレート105および、シャワープレート102の外周側にはガスリング104が配置される。ガスリング104には、前記微小隙間103に処理ガスを供給するためのガス通路が設けられており、処理ガスは、処理ガス供給元123から、処理ガス供給配管124およびガスリング104のガス通路を介して、前記微小隙間103に供給され、その後、シャワープレート102に設けられた多数の小孔を介して処理室101内に均等に分散して供給される。
【0017】
処理室101の側面には、処理室の側壁となる側壁部材111を備えている。側壁部材111は、ガスリング104およびシャワープレート102の下面に接して配置され、処理室101内に生成されるプラズマを区画する。
【0018】
真空容器100の上部に配置されているソレノイドコイル109の上方には、電磁波を供給する高周波電源110が配置される。高周波電源110から供給された電磁波はアイソレータ(図示せず)、整合器108を経由して導波管107内を伝播し共振空間106を通過した後、石英プレート105およびシャワープレート102を介して、処理室101に導入される。
【0019】
処理室101下方にある試料台112は円筒形状を有しており、試料台112上面上方は誘電体膜に被覆されている。試料台112内部には、同心円状または螺旋状に図示しない流路が配置されており、この流路に温調ユニット115により温度または流量(流速)を調節された冷媒が導入され、試料台112の温度が調節されている。ウエハ128は試料台112上面に載置された状態で、プラズマからの入熱を受けるが、試料台112の温度を調節することで、試料台112に載置されたウエハ128の温度を調節する。また、試料台112とウエハ128との熱伝導を向上するために、試料台112上面の誘電体膜とウエハ128裏面との間には熱伝達性ガス流路113が設けられており、熱伝達性ガス供給元116から熱伝達性ガス供給配管131を介して、He等の熱伝達性を有するガスが供給される。供給される熱伝達性ガスの圧力は圧力計132により検知される。
【0020】
さらに、試料台112は、ウエハ128を試料台112に静電気にて吸着させるための直流電源114および処理中に試料台112に載置されたウエハ128表面にイオンを加速させるための高周波バイアス電源117を備えている。
【0021】
試料台112の側面でウエハが載置される面の外周側には、プラズマによるスパッタやエッチングから試料台112を保護するためにサセプタ129が配置される。サセプタ129の材料としては、石英、アルミナ、イットリア等が使用できる。
【0022】
試料台112の下方には、真空容器100内を真空状態にするため、またはガスやプラズマ、反応生成物を排気するための排気装置を備えている。この排気装置は、排気用開口を開閉する排気ゲートプレート118、排気用開口に連通する通路上のコンダクタンス可変バルブ119およびターボ分子ポンプ120からなる。さらに、ターボ分子ポンプ120には排気ポンプ122が接続されており、ターボ分子ポンプ120によって処理室101から排気された反応生成物等は排気配管121を通って排気ポンプ122に送られる。また、処理室101内の圧力は、処理室用圧力計130にて検知している。
【0023】
次に、試料(ウエハ)の処理手順について説明する。
このような、プラズマエッチング装置に対して、所定の処理を施される対象のウエハ128は、ゲートバルブ126開の状態で搬送用ロボット127上に載せられて、搬送室125から真空容器100内に搬送され、試料台112上面に載置される。
【0024】
搬送用ロボット127が真空容器100外に移動した後、ゲートバルブ126を閉鎖し、次に、直流電源114からの直流電圧により、試料台112上面の載置面上に載置されているウエハ128を静電気で吸着し、保持する。なお、ウエハ128を吸着後、搬送用ロボット127を移動し、ゲートバルブ126を閉鎖してもよい。
【0025】
ウエハ128が試料台112に吸着された状態で、熱伝達性ガス供給元116より試料台112上面の誘電体膜とウエハ128裏面との間の熱伝達性ガス流路113にHeガスを供給し、温調ユニット115で調整された所定の温度となるようにウエハ128を冷却する。
【0026】
次に、処理ガスが処理ガス供給元123より処理ガス供給配管124を介して微小隙間103に導入され、シャワープレート102に形成された多数の小孔を通して処理室101内へ供給される。共振空間106を通過し石英プレート105およびシャワープレート102を介して処理室101に導入された電磁波と、ソレノイドコイル109による磁場の相互作用によって、処理ガスがプラズマ化されプラズマがウエハ128上方に形成される。さらに、高周波バイアス電源117により、試料台に高周波電力が印加され、ウエハ128上面上方に形成された高周波バイアスによるバイアス電位とプラズマ電位との電位差によりプラズマ中のイオンをウエハ128上に引き込み、エッチング反応をアシストしつつ、処理が開始される。尚、処理中、排気ゲートプレート118は常に開いており、コンダクタンス可変バルブ119の開度を変えることで排気速度を変化させ、処理室101内の圧力を調整している。
【0027】
エッチング処理の終了後、プラズマ発生用の電磁波と磁場の導入および高周波バイアスが停止され、直流電源114からの直流電圧の供給が停止され、静電気力が低下、除去される。
【0028】
次に、前述したようにコンダクタンス可変バルブ119、ターボ分子ポンプ120及び排気ポンプ122の働きにより、処理室101内の反応生成物や残留した処理ガスを排気する。
【0029】
その後ゲートバルブ126を開き、搬送用ロボット127により処理済みウエハ128を真空容器100外に搬出し、搬出完了後、ゲートバルブ126を再び閉鎖する。
【0030】
次に、本発明に係るプラズマ処理装置におけるサセプタについて説明する。図2は、試料台とサセプタの詳細構造を示したものである。
【0031】
本実施例で用いたサセプタは外サセプタ、中サセプタ、内サセプタの3つの部分に大きく分れており、外サセプタ200内部には導体リング201が配置され、固定用ボルト202により中サセプタ203を挟んで駆動軸260に固定された駆動リング204に数ヶ所で固定されている。これらのサセプタは試料台側壁周辺を取り囲むようにリング状に配置されている。駆動軸260は、ステッピングモーター250に軸252を介して接続されたアーム251の先端に取り付けられている。外サセプタ200は導体リング201を覆うように配置されるため、外サセプタ200には導体リング201に干渉しないように導体リング201用の空間が備えられている。導体リング201はアルミニウム等の導体で構成され、試料台112側に向かおうとするイオンを分散させるために、導体リング201は外サセプタ200内で高さを極力高くしたL型形状としている。
【0032】
中サセプタ203は、駆動リング204上に配置されており、駆動リング204には冷却用ガス流路205が設けられている。処理中冷却用ガス流路205には、サセプタ冷却ガス供給元270から冷却用ガス(He等)がガス供給配管271を介して供給され、ガス配管272を介してサセプタ冷却ガス供給元へ戻る。この冷却ガスにより、中サセプタ203を冷却することで中サセプタ203の消耗を軽減することができる。冷却温度としては、20℃〜50℃が望ましい。
【0033】
また、図2では中サセプタ203のみを冷却する例を示したが、他の外サセプタ200、内サセプタ206を含め少なくとも一者を冷却することにより、従来に比して消耗を軽減する効果が得られる。外サセプタ200の場合には、導体リング201を納める空間をサセプタ冷却用ガス流路として利用することもできる。なお、本実施例ではサセプタを3つの部分に分割したが、この数には限定されない。また、必ずしも分割しなくてよい。
【0034】
最内周に配置され、試料台112の保護部材である内サセプタ206の材料には耐プラズマ性の高いイットリアやアルミナ等を使用する。この内サセプタ206により、試料台207側面をプラズマやイオンの入射から保護することができる。ただし、内サセプタ206の材料として用いることができるイットリアやアルミナは、処理中に異物の発生源となる可能性があるため、内サセプタ206は処理中にプラズマに曝されない位置にあることが好ましい。
【0035】
このような構造のサセプタを備える試料台にて、ウエハ208に所定の処理を実施する場合、処理が開始される前に中サセプタ203とウエハ128裏面の隙間209が所望の隙間寸法になるように、ステッピングモーター250により駆動リング204及び中サセプタ203を上昇させる必要がある。
【0036】
図3に、中サセプタ203とウエハ128裏面の隙間209の調整作業の流れを示す。
駆動リング204及び中サセプタ203を上昇させる手順は、まず静電吸着力により試料台112にウエハが吸着された状態(ステップS300)で、ステッピングモーター250等によりアーム251および駆動軸260を介して駆動リング204及び中サセプタ203を低速で上昇させ(ステップS301)、中サセプタ203とウエハ128を接触させる。中サセプタ203とウエハ128の接触判定は、試料台112上面の誘電体膜とウエハ128裏面の間に設けられた熱伝達性ガス流路113に供給されているHe等の熱伝達性ガスの圧力変動(以下、He裏面圧とする)をモニタすることによって接触したと判断する(ステップS302)。He裏面圧は熱伝達性ガス供給元116から熱伝達性ガス流路113にHe等の熱伝達性ガスを供給するための熱伝達性ガス供給配管131上に設置されている圧力計132にて検出する。
【0037】
He裏面圧変動を検知することにより、中サセプタ203とウエハ128が接触した瞬間にステッピングモーターの動作を停止し(ステップS303)、同時に駆動リング204及び中サセプタ203の上昇量Aを装置側(図示されていないコントローラーに内蔵のメモリ等)にて記録する(ステップS304)。その後、駆動リング204及び中サセプタ203を最下点(初期高さ)まで下降させる(ステップS305)。
【0038】
上昇量Aと所望の隙間Bの差により、隙間209が所望の隙間になるような中サセプタ203の上昇量Cを、図示されていないコントローラーに内蔵のプロセッサ等により算出した後(ステップS306)、隙間209が所望の隙間寸法になるようにステッピングモーター250等にて中サセプタ203及び駆動リング204を上昇量C分だけ上昇させる(ステップ307)。中サセプタ203の上昇が完了した後、所定の処理を開始する。なお、プロセッサは、必ずしもコントローラーに内蔵される必要はない。
【0039】
上昇した中サセプタ203は、一枚目のウエハ128の処理が完了しても最下点(初期高さ)に戻す必要はなく、続けて次のウエハの処理を実施しても良い。但し、石英等で構成される中サセプタ203は処理を続けるとプラズマの影響により消耗していくため、定期的に上述した方法にて中サセプタ203とウエハ128裏面の隙間209を所望の隙間寸法になるように再調整することが望ましい。例えば、処理時間が一定時間以上に達した場合や処理室内のメンテナンスクリーニング時等に再調整を実施すると良い。
【0040】
前述したような中サセプタ203とウエハ128間の隙間209を所望の隙間寸法にする手段として、ロードセルを用いる方法もある。
図4にロードセルを用いた場合の試料台とサセプタの詳細構造を示す。なお、本図ではステッピングモーターやアーム、中サセプタ203を冷却するための熱伝達性ガス流路等は省略してある。
小型のロードセル400を中サセプタ203と駆動リング204との間に配置し、ステッピングモーター等により駆動リング204及び中サセプタ203を上昇して中サセプタ203とウエハ128が接触した場合、中サセプタ203を介して、ロードセル400に荷重がかかり、この荷重をロードセル400が検出することで中サセプタ203とウエハ128との接触を検出することができる。
【0041】
この時の駆動リング204及び中サセプタ203の上昇量から、現状の中サセプタ203とウエハ128間の隙間寸法がわかるため、中サセプタ203を所望の隙間寸法になるように下降させる。このような方法であっても定期的に中サセプタ203とウエハ128裏面の隙間209を所望の隙間寸法になるように再調整することが必要になる。
【0042】
これらの方法で、中サセプタ203とウエハ128裏面の隙間209寸法を制御し、この隙間を狭く保つことで、処理中にイオンが試料台112側へ侵入することを抑制し、試料台112の消耗防止及び内サセプタ206自身の消耗を軽減できる。さらに、冷却用ガス流路205にHe等の冷却ガスを流し、中サセプタ203を冷却することで中サセプタ203の消耗軽減効果を上昇させることができることは先に述べた通りである。
【0043】
外サセプタ200内に配置される導体リング201は、固定用ボルト202によって駆動リング204に固定されているため、試料台112に印加されている高周波電力が導体リング201にも印加される。
【0044】
この高周波電力により、プラズマ中のイオンは積極的に導体リング201が配置されている外サセプタ200側に引き込まれ、試料台207側や消耗が激しい中サセプタ203側に向かおうとするイオンを分散させることができ、試料台及びサセプタの消耗を軽減できる。
【0045】
上記構成のサセプタを備えたプラズマエッチング装置を用いて半導体ウエハの加工を行うことで、サセプタおよび試料台の寿命を従来よりも大幅に改善することができる。
【0046】
以上本実施例によれば、サセプタを冷却することにより、サセプタの寿命を延長し、装置稼働率の向上と試料台が露出することによる試料台の消耗を低減・防止することが可能なプラズマ処理装置を提供することができる。また、サセプタと試料との高さを調整できる機構を設けることにより、試料台の消耗をより低減することができる。また、サセプタ内部に試料台と電気的に接続されたL型の導体リングを配置することにより、試料台の消耗をより低減することができる。
【実施例2】
【0047】
本発明に係る第2の実施例について、図5を用いて説明する。なお、実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は本実施例にも適用することができる。
【0048】
図5は、プラズマ処理装置における試料台とサセプタの詳細構造図である。実施例1と異なる点をあげると、第1に中サセプタ203を駆動リングを介さずに駆動軸260に固定したこと、第2に導体リング201を固定用ボルト202で試料台112に直接固定したことである。中サセプタ203のみとすることにより移動物の質量を減らすことができ、高さ位置の調整を高精度に行なうことが可能となる。又はステッピングモーターを小型化できる。また、導体リング201を固定用ボルト202で試料台112に直接固定することにより、高周波電力を効率良く導体リングに伝えることができる。
上記構成のサセプタを備えたプラズマエッチング装置を用いて半導体ウエハの加工を行うことで、サセプタの寿命を従来よりも大幅に改善することができる。
【0049】
以上本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、サセプタを直接上下動させるため高さ位置精度を高めることができ、試料台の消耗をより低減することができる。また、サセプタ内部に配置されたL型の導体リングを直接試料台に固定することにより、試料台の消耗をより低減することができる。
【0050】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
100…真空容器、101…処理室、102…シャワープレート、103…微小隙間、104…ガスリング、105…石英プレート、106…共振空間、107…導波管、108…整合器、109…ソレノイドコイル、110…高周波電源、111…側壁部材、112…試料台、113…熱伝達性ガス流路、114…直流電源、115…温調ユニット、116…熱伝達性ガス供給元、117…高周波バイアス電源、118…排気ゲートプレート、119…コンダクタンス可変バルブ、120…ターボ分子ポンプ、121…排気配管、122…排気ポンプ、123…処理ガス供給元、124…処理ガス供給配管、125…搬送室、126…ゲートバルブ、127…搬送用ロボット、128…ウエハ、129…サセプタ、130…処理室用圧力計、131…熱伝達性ガス供給配管、132…圧力計、200…外サセプタ、201…導体リング、202…固定用ボルト、203…中サセプタ、204…駆動リング、205…冷却用ガス流路、206…内サセプタ、209…中サセプタ203とウエハ128裏面の隙間、250…ステッピングモーター、251…アーム、252…軸、260…駆動軸、270…サセプタ冷却ガス供給元、271…サセプタ冷却ガス配管(往)、272…サセプタ冷却ガス配管(復)、400…ロードセル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ポンプを備えた真空処理容器と、該真空処理容器内に配置され、供給された処理ガスにプラズマ生成用高周波電源からの高周波エネルギを供給してプラズマを生成するアンテナと、前記真空処理容器内に配置された円板状の試料台と、前記試料台の側面の消耗を低減するために前記試料台側面の周囲にリング状に配置されたサセプタとを備え、該試料台にイオン引き込み用高周波電圧を供給して、前記プラズマ中のイオンを加速して前記試料台上に載置した試料にプラズマ処理を施すプラズマ処理装置において、
前記サセプタを冷却するためのサセプタ冷却用ガス流路が備えられていることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のプラズマ処理装置において、
リング状の前記サセプタは、内部に導体リングを有することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
前記試料台に試料が載置された状態で、前記サセプタを上下方向に移動するための移動機構を更に有することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のプラズマ処理装置において、
前記移動機構により前記サセプタを上方へ移動する際に、前記試料と前記サセプタとの接触を検出する接触検出機構を更に備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載のプラズマ処理装置において、
前記接触検出機構は、ロードセルであることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項6】
請求項1記載のプラズマ処理装置において、
前記試料台は、その上面の内周側にウエハを載置する円板状の凸部を備え、
前記サセプタは、前記凸部の外周側面を覆い、内、中間、外の3部材に分割されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項7】
請求項6記載のプラズマ処理装置であって、
前記試料は、その外周部が前記サセプタの中間部材の直上に配置されるように前記試料台の外部に突き出すように載置されるものであり、
前記試料下方に位置する前記サセプタの中間部材を上下駆動させ、前記試料と前記サセプタの中間部材との隙間を所望の寸法に制御する機構を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のプラズマ処理装置であって、
前記サセプタの外部材は、その内部に導体部材を備え、該導体部材に高周波電力を印加することで処理中のイオンを前記サセプタの外部材に引き込むことができることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項9】
請求項8記載のプラズマ処理装置であって、
前記サセプタの外部材へのイオンの引き込み量を上昇させるため、前記導体部材の断面形状は、L型であることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項10】
請求項6から請求項9に記載のプラズマ処理装置であって、
前記サセプタの内部材は、耐プラズマ性の高い材料を用いて形成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−30693(P2013−30693A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167265(P2011−167265)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】