説明

プラズマ発生アセンブリ

少なくとも一対の実質的に等間隔に離隔した電極(2)を備え、該電極(2)間の間隔はプロセスガスの導入時にプラズマゾーン(8)を形成するようになっており、必要に応じて、気体、液体及び/または固体前駆物質が通過できる大気圧プラズマアセンブリ(1)において、前記少なくとも一対の電極(2)は内壁(5)及び外壁(6)を有するハウジング(20)を備え、前記内壁(5)は非多孔性の誘電体材料から形成され、前記ハウジング(20)は実質的に、少なくとも実質的に非金属性導電性材料を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一対の離隔した電極対を備え、少なくとも一方の電極が実質的に非金属であるプラズマ発生アセンブリに関する。
【0002】
物質が連続的にエネルギーを供給されるとき、その温度が上昇し、通常、固体から液体に、さらには気体にその状態が変化する。エネルギーを供給し続けると、この系はさらなる状態変化を受け、高エネルギー衝突により、気体の中性原子あるいは分子が分解され、負の電荷を帯びた電子、正あるいは負の電荷を帯びたイオン及び他の粒子種を生成する。集団的なふるまいを示すこの帯電した粒子の混合物は「プラズマ」と呼ばれる。その電荷に起因して、プラズマは外部の電磁界によって強く影響を受け、それゆえ、その電磁界によって容易に制御できるようになる。さらに、プラズマは、その高いエネルギー含量によって、他の物質の状態、たとえば液体あるいは気体処理を通して不可能であるか、あるいは困難であるプロセスを達成できるようになる。
【0003】
「プラズマ」という用語は、その密度及び温度が数桁の大きさで変動する広範囲の系を網羅する。あるプラズマは非常に高温で、その全ての微視的な粒子種(イオン、電子等)が適当な熱平衡状態にあり、その系に投入されるエネルギーは、原子/分子レベルの衝突を通して広範囲に分散される。しかしながら、他のプラズマ、特に衝突の頻度が比較的低い低圧(たとえば、100Pa)のプラズマは、非常に異なる温度でその成分である粒子種を有し、「非熱平衡状態(non-thermal equilibrium)」プラズマと呼ばれる。これらの非熱平衡状態プラズマでは、自由電子は非常に高温であって、数千ケルビン(K)の温度を有し、一方、中性及びイオン性の粒子種は低温のままである。自由電子の質量はほとんど無視できるので、系全体の熱容量は小さく、プラズマは室温に近い温度で動作し、それにより損傷を与えるような熱負荷をかけることなく、プラスチックあるいはポリマーのような温度の影響を受けやすい材料(temperature sensitive materials)を処理できるようになる。しかしながら、ホットエレクトロンは、高エネルギーの衝突を通して、強い化学的及び物理的反応性を可能にする高い化学ポテンシャルエネルギーを有する遊離基及び励起された粒子種の豊富な発生源を形成する。低温動作と高反応性とのこのような組み合わせによって、非熱平衡状態プラズマは技術的に重要となり、さらに製造及び材料処理のための非常に有力なツールになり、仮にプラズマを用いずに達成できるにしても、非常に高い温度あるいは有毒で攻撃的な化学薬品を必要とすることになる処理を達成することができる。
【0004】
プラズマ技術を工業に適用する場合に、1つの便利な方法は、処理すべきワークピース/サンプルを沈めたり通過させたりするガス混合物及び蒸気であってもよいプロセスガスの容積内に、電磁力を結合することである。これは、大きな電位差がかけられている隣接する電極間の間隙の中にプロセスガス(たとえばヘリウム)を流すことによって達成される。電極間の電位差の作用により気体原子及び分子が励起されることによって、その間隙(以下、プラズマゾーンと称する)内にプラズマが形成される。そのプロセスガスはイオン化され、化学的遊離基、UV放射、励起された中性原子及びイオンを生成するプラズマになり、それらはサンプルの表面と反応する。低い励起状態に戻るときに光を放出する励起された化学種によって、プラズマ生成に一般的に関連するグロー(glow)が引き起こされる。プロセスガスの組成、駆動電力周波数、電力結合モード、圧力及び他の制御パラメータを正確に選択することにより、そのプラズマプロセスを、製造業者が必要とする特定の用途に調整することができる。
【0005】
プラズマの広い化学的及び熱的範囲のため、プラズマは多くの技術的な用途に適しており、その応用形態は広がり続けている。非熱平衡状態プラズマは特に、表面の活性化、表面の洗浄、材料エッチング及び表面のコーティングに有効である。
【0006】
ポリマー材料の表面活性化は、自動車産業において先駆けて行われ、幅広く用いられている工業用プラズマ技術である。したがって、たとえば、リサイクルのために好ましいポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィンは、無極性の表面を有し、結果として、コーティングあるいは接着処理にはあまり好ましくない。しかしながら、酸素プラズマによる処理の結果として、高い湿潤性を与える表面極性基が形成され、結果として、金属塗料、接着剤あるいは他のコーティングに対する良好な適用範囲(excellent coverage)と接着性とを与える。したがって、たとえば、プラズマ表面工学技術は、車両内の計器盤、ダッシュボード、バンパー等の製造に、及び玩具等の産業における部品組立てに不可欠である。ポリマー、プラスチック、セラミック/無機金属及び他の材料のあらゆる形状の部品の印刷、塗装、接着、積層及び全般的なコーティングにおいて、多くの他の用途が可能である。
【0007】
世界的な環境に関する法律が益々広がり、強化されることにより、製造時の、特に部品/表面の洗浄に対する溶剤及び他の湿式の化学薬品の利用を低減あるいは排除するための産業界への実質的な圧力が高まっている。詳細には、プラズマ対向基材の脱脂作業(CFC-based degreasing operations)の大部分が、酸素、空気あるいは他の無毒性の気体を用いて行われるプラズマ洗浄技術によって置き換えられている。プラズマによる水系の予備洗浄を組み合わせると、酷い汚れの部品であっても洗浄することができ、得られる表面品質は通常、従来の方法から得られる品質よりも優れている。あらゆる表面汚染有機物質を常温プラズマにより迅速に捕捉し、安全に排出することのできるCO2ガス及び水に変換することができる。
【0008】
またプラズマは、大量の材料、たとえば不要な材料を除去するエッチングも実行することができる。したがって、たとえば、酸素系プラズマはポリマーをエッチングすることができ、それは回路基板等の製造において用いられる1つのプロセスである。金属、セラミック及び無機物のような種々の材料が、前駆ガスを注意深く選択し、プラズマ化学反応に注意を払うことによりエッチングされる。現在、ナノメートルの限界寸法に至る構造が、プラズマエッチング技術によって製造されている。
【0009】
主流の産業に急速に現れつつあるプラズマ技術は、プラズマコーティング/薄膜堆積の技術である。通常、プラズマをモノマーガス及び蒸気に適用することにより、高いレベルの重合が達成される。したがって、高密度で、緊密に編成され、三次元に結合された薄膜が形成され、その薄膜は熱的に安定しており、化学的に非常に耐久性があり、機械的に高い強度を有する。そのような薄膜は、非常に複雑な表面であっても、基材にかかる熱負荷を確実に低くする温度で適正に堆積される。それゆえ、プラズマは、繊細で、熱の影響を受けやすい材料、及び頑強な材料のコーティングの場合に理想的である。プラズマコーティングでは、薄い層の場合であっても微小孔が発生しない。コーティングの光学特性、たとえば色は多くの場合に個別に調整することができ、プラズマコーティングは無極性材料、たとえばポリエチレン、及び鋼(たとえば、金属反射板上の耐食薄膜)、セラミック、半導体、織物等であっても良好に接着する。
【0010】
総てのこれらのプロセスにおいて、プラズマ工学技術は、材料本体に全く影響を及ぼすことなく、所望の用途あるいは製品に個別に調整された表面効果を生成する。したがって、プラズマ処理は、全く異なる1組の要件を満足するように、その表面を個別に設計するための自由度を与えながら、その本体の技術的及び商業的な特性を得るために材料を選択できるようにする多用途の有力なツールを製造業者に提供し、非常に優れた製品の機能性、性能、寿命及び品質を与えるとともに、製造企業の生産能力に対する著しい付加価値を与える。
【0011】
これらの特性は、産業界がプラズマ系処理を採用するための有力な動機を提供し、この動きは、1960年代以来、マイクロエレクトロニクス産業界によって推進されており、低圧グロー放電プラズマ(low pressure Glow Discharge plasma)が、半導体、金属及び誘電体処理のための高度先端技術で、高資本コストのエンジニアリングツールとして開発されてきた。同じ低圧グロー放電タイプのプラズマは1980年代以来、他の産業分野にも段々と浸透してきており、より抑えたコストで、強い接着/結合強度を得るためのポリマー表面活性化のようなプロセスと、高品質の脱脂/洗浄と、高性能のコーティングの堆積とを提供している。こうして、プラズマ技術が大きく取り上げられてきた。グロー放電は、真空圧及び大気圧の両方で発生させることができる。大気圧グロー放電の場合、ヘリウムまたはアルゴン等のガス(プロセスガス)を希釈剤として利用し、高周波数(たとえば1kHzを超える)電源を用いて、ペニング電離機構(Penning ionisation mechanism)によって大気圧で均質なグロー放電を発生させる(たとえば、カナザワ等 日本応用物理学会誌 1998年 21号 838頁(J. Phys. D: Appl. Phys. 1988, 21, 838)、オカザキ等 日本プロセスシンポジウム プラズマ化学 1989年 2号 95頁(Proc. Jpn. Symp. Plasma Chem. 1989, 2, 95)、カナザワ等 物理研究における核装置と方法 1989年 B37/38号 842頁(Nuclear Instruments and Methods in Physical Research 1989, B37/38, 842)、及びヨコヤマ等 日本応用物理学会誌 1990年 23号 374頁(J. Phys. D: Appl. Phys. 1990, 23, 374)を参照)。
【0012】
しかしながら、プラズマ技術の採用は、大部分の工業プラズマシステムに関する主な制約、すなわち低圧で動作する必要性によって限定されてきた。部分真空動作は、周囲を閉じて密封した反応装置システムによって、個別のワークピースのオフラインによる一括処理のみが提供されることを意味する。処理能力は低いか、中程度であり、真空を得るための必要性によって、資本及びランニングコストが加算される。
【0013】
しかしながら、大気圧プラズマは、プラズマゾーンからウエブを自由に出し入れすることができ、それゆえ、大面積あるいは小面積のウエブあるいはコンベヤで搬送される個別のワークピースをオンラインで連続して処理できるようにする開口ポート/周辺システムを産業界に提供する。処理能力は高く、高圧動作によって得られる高い粒子種流束によって増強される。織物、パッケージング、紙、医療、自動車、航空宇宙等のような多くの産業分野は、連続したオンライン処理にほぼ完全に頼って、大気圧の開口ポート/周辺構成プラズマは新たな産業処理能力を提供するようになる。
【0014】
コロナ及びフレーム(flame)(同様にプラズマ)処理システムが、約30年間、制限された形態の大気圧プラズマ処理能力を産業界に提供してきた。しかしながら、製造するのが容易であったにもかかわらず、これらのシステムは工業レベルにおいて大規模に使用されることはなかった。これは、コロナ/フレームシステムに大きな制約があったためである。そのシステムは単一の表面活性化プロセスを提供する周囲空気において動作し、多くの材料に対して無視できる効果しかなく、大部分の材料に対してはその効果が弱い。その処理は多くの場合に不均一であり、コロナプロセスは厚いウエブすなわち三次元ウエブへの適合性はなく、一方、フレームプロセスは熱の影響を受けやすい基材(heat sensitive substrates)への適合性がない。産業界のニーズを満たす高度システムを開発するために、大気圧プラズマ技術が大気圧プラズマスペクトルにさらに深く進出する必要があることは明らかである。
【0015】
大気圧におけるプラズマ処理は著しく進歩している。大気圧グロー放電の安定化において注目すべき研究が行われており、オカザキサチコ、コゴママスヒロ、ウエハラマコト及びキムラヨシヒサ著「50Hz電源を用いた大気圧において、空気、アルゴン、酸素、窒素中における安定したグロー放電の出現(Appearance of stable glow discharge in air, argon, oxygen and nitrogen at atmospheric pressure using a 50Hz source)」(日本応用物理学会誌 26号(1993年) 889−892頁(J. Phys. D: Appl. Phys. 26 (1993) 889-892))に記載される。さらに、米国特許第5,414,324号明細書(ロス(Roth)ら)には、最大5cmの間隔をあけた一対の電気絶縁金属板電極間で、大気圧下における定常状態のグロー放電プラズマの発生及び1〜100kHzで1〜5kVの実効(rms)電位で励振されたラジオ周波数(RF)が記載されている。米国特許第5,414,324号明細書は、絶縁された金属板電極を使用すること、電極板を用いる際に観測された問題、及び電極の先端において絶縁破壊を阻止する必要性を論じている。その特許はさらに、銅板の形をとる電極及び水冷システムを使用することを記載しており、水はいかなる電極表面にも直接接触しない。
【0016】
米国特許第5,185,132号明細書には、金属製の板電極が鉛直構成で用いられる大気圧プラズマ反応方法が記載されている。しかしながら、板電極はプラズマを生成するために鉛直構成で用いられるだけであり、続いてプラズマは、電極板間から、鉛直に配置された電極の下の水平面上に送り出される。
【0017】
欧州特許出願公開第0431951号明細書では、希ガス/反応性ガスの混合物をプラズマ処理することにより生成される粒子種で、基材を処理する大気圧プラズ発生マアセンブリが提供される。少なくとも部分的に誘電体被覆された金属製の電極が互いに平行に配置され、電極間のスリットの下を通る基材と垂直になるように、鉛直に整列される。この大気圧プラズマ発生アセンブリは、処理される基材の幅を表面処理ユニットの幅に事実上制限する一体型の表面処理ユニットを必要とし、そのためシステムが扱いにくくなる。
【0018】
誘電体でコーティングまたは誘電体に接着される、金属板及び/またはメッシュタイプの電極を用いる際に直面する1つの主な問題は、電極表面と誘電体との間の一致性の問題である。いずれか一方の表面上、特に金属表面上の表面汚損のために、金属板が小さくても、その金属板と誘電体との間の完全な一致性を確保することはほとんど不可能である。それゆえ、工業的に利用するのに適したこのタイプの電極を構成するのは非常に難しく、それが工業規模の大気圧プラズマ工程を開発する際の主な問題になっている。
【0019】
国際公開第02/35576号明細書は、縦形誘電体板の背面に取り付けられる金属製の電極を使用することを記載しており、その面上に、導電率が制限された液体を噴霧して、熱管理及び電極不動態化の2つの機能を提供する。水のような、或る程度導電性の液体を用いることにより、金属表面上の起伏のある「高所」から生じる可能性がある微小放電を軽減するのを助けることができ、また十分に一致しない電極と誘電体との間のギャップにわたって或る程度導電性の経路を設けることにより、金属製の電極と誘電体表面との一致性も改善することができる。或る程度導電性の水は、誘電体において電気的な表面を滑らかにする効果があるので、ほぼ均一な表面電位を生成する。この技術は、適当な噴霧分散システムを構成するのが複雑であることと、各大気圧プラズマアセンブリからの水の十分かつ一定の排出を確保するのが困難であることという問題を抱える。
【0020】
金属製の電極に直に接触する冷却水を用いることにより不均一性は減少するが、不均一性がなくなるわけではなく、必要とされるプラズマ装置をかなり複雑にし、かつコストを上昇させる可能性がある。表面粗さが残ることも端面にばりを生じることもなく、かつ大きな誘電体表面に確実かつ密接して取り付けることができる完全な金属製の電極を作ることは難しい。水のような或る程度導電性の液体を用いることにより、金属表面上の起伏のある「高所」から生じる可能性がある微小放電を軽減するのを助けることができ、また十分には一致しない電極と誘電体との間のギャップにわたって或る程度導電性の経路を設けることにより、金属製の電極と誘電体表面との一致性も改善することができる。或る程度導電性の水は、誘電体において電気的な表面を滑らかにする効果があるので、ほぼ均一な表面電位を生成する。
【0021】
水電極は、電極と水面あるいは水柱(water column)との間に直流(D.C.)アークプラズマを生成するための発生源として、既に文献に記載されている。たとえば、P.アンドレ(P. Andre)ら(日本応用物理学会誌 2001年 34(24)号 3456〜3465頁(J. of Physics D: Applied Physics (2001) 34 (24), 3456-3465))は、流水の2つの水柱間に直流放電を生成することを記載する。
【0022】
A.B.サヴェリーヴ(A.B. Saveliev)及びG.J.ピエッチェ(G.J. Pietsch)(高圧低温プラズマ化学に関する第8回箱根国際シンポジウム 2002年7月21〜25日 ピュハジェルヴェ エストニア(Hakone VIII Conference Proceedings-International Symposium on High Pressure, Low Temperature Plasma Chemistry, July 21-25 2002, Puehajaerve, Estonia))も、表面放電を生成するために水電極を適用することを記載する。表面放電は、そのデバイスが誘電体に取り付けられる平坦な電極からなり、棒状の表面電極が誘電体の表面と直に接触するような上記の平行板グロー放電とは異なり、その放電は誘電体表面に沿った点放電として存在する。サヴェリーヴによって記載される例では、水電極は主に透過性の電極を設けるために用いられる。
【0023】
T.セルファヴィ(T. Cserfavi)ら(日本応用物理学会誌 1993年 26号 2184〜2188頁(J. Phys. D: Appl. Phys. 26, 1993, 2184-2188))は、金属陽極と、陰極としての役割を果たす、開口した水の容器の表面との間のグロー放電として説明される放電の生成を記載する。しかしながら、電極間に誘電体が配置されないので、これは先に定義されたようなグロー放電ではなく、そのようなシステムにおいて見られることになる現象は、金属製の電極と水表面との間を「飛び越える」放電である。水面と陽極との間の空隙における放電は、水に溶解した塩の性質を特定するために発光分光法によって解析される。
【0024】
米国特許第6,232,723号明細書では、多孔性の非金属の電極を用いて、その電極の孔の中の隅々まで導電性流体を行き渡らせることにより、プラズマを生成している。しかしながら、見たところ電極間に誘電体材料が配置されていないので、電極間の短絡に起因する問題が生じる可能性があることが暗示される。
【0025】
その中を導電性の液体が流れる誘電体材料から形成される電極を利用する流動システムが、米国特許第4,130,490号明細書及び特開平07−220895号公報に記載されている。米国特許第4,130,490号明細書は、酸化することによって空気あるいは酸素雰囲気から汚染物を除去するための手段を記載しており、電極から離れて位置する冷却液容器に対して水のような冷却液がその中を通って行き来する金属管状の内部電極を備える。外部電極は、注入口及び排出口を有する誘電体材料のハウジングを備えており、注入口及び排出口を通って、容器との間で導電性の冷却液が行き来する。電極間のギャップが、汚染物が酸化される気体チャンバを画定する。
【0026】
本出願は、誘電体表面に一致する導電性媒体を利用して、これまで必要とされていた金属製の電極をなくすことができるようにし、内壁及び外壁の界面に対して長期の接着性/接触性を示す導電性媒体を用いることにより、結果として誘電体表面が均一に帯電し、かつプラズマによって生成される熱が熱管理されるようにすることを試みる。
【0027】
本発明によれば、少なくとも一対の実質的に等間隔に離隔した電極を備え、その電極間の間隔はプロセスガスの導入時にプラズマゾーンを形成するようになっており、必要に応じて、気体、液体及び/または固体前駆物質が通過できるプラズマグロー放電及び/または誘電障壁放電発生アセンブリが提供され、少なくとも一対の電極対は内壁及び外壁を有するハウジングを備え、内壁は非多孔性の誘電体材料から形成され、ハウジングは実質的に、少なくとも実質的に非金属性導電性材料を有することを特徴とする。
【0028】
プラズマゾーンは、電極間に電位差をかける際に、プラズマを生成することができる隣接する電極対の向かい合う壁部(これ以降、内壁と呼ばれる)間の領域であることを理解されたい。
【0029】
各電極は内壁及び外壁を有するハウジングを備えることが好ましく、少なくとも内壁は誘電体材料から形成され、ハウジングは、「従来の」金属板あるいはメッシュの代わりに、内壁に直に接触する少なくとも実質的に非金属性導電性材料を有する。本発明者は、本発明による電極を用いてグロー放電を生成することにより、結果として均一なグロー放電が生成され、金属板電極を利用するシステムに比べて不均一性を小さくできることを確認しているので、このタイプの電極が好ましい。本発明では、決して電極の内壁に金属板が直に固定されることはなく、非金属性導電性材料が電極の内壁に直に接触することが好ましい。
【0030】
本発明に従って用いられる誘電体材料は、任意の適当な誘電体から形成することができ、その例には、限定はしないが、ポリカーボネート、ポリエチレン、ガラス、ガラス積層体、エポキシ充填ガラス積層体などが含まれる。誘電体は、電極内の導電性材料による誘電体の反りあるいは傷を防ぐために、十分な強度を有することが好ましい。用いられる誘電体は機械加工可能であることが好ましく、50mmまでの厚さで、より好ましくは40mmまでの厚さで、最も好ましくは15〜30mmの厚さで設けられる。選択された誘電体が十分に透明でない場合には、ガラスなどの窓を用いて、生成されたプラズマを診断のために視認できるようにする。
【0031】
電極はスペーサなどによって離隔して配置することができ、スペーサも誘電体材料から形成されることが好ましく、それにより、導電性液体の端面間で放電するための電位をなくすことによってシステムの全体的な絶縁耐力が高められる。
【0032】
本発明のプラズマアセンブリによる電極対は、任意の適当な幾何学的形状及び大きさを有してもよい。最も簡単な幾何学的形状が平行板であることは明らかであり、その平行板が1m以上の表面積をとることができることにより、ウェブなどのための工業用プラズマ処理の用途に適した大規模なプラズマゾーンを形成する能力を有することができるが、代替的には、粉末及び液体などを処理するために同心円状の配管の形をとるか、あるいは管状にしてもよい。
【0033】
実質的に非金属性導電性材料には、極性溶媒のような液体、たとえば水、アルコール及び/またはグリコールあるいは塩水溶液ならびにそれらの混合物を用いてもよいが、塩水溶液であることが好ましい。水だけを用いるとき、水道水あるいはミネラル含有水(mineral water)を含むことが好ましい。水は、たとえば塩化ナトリウムまたは塩化カリウムであるアルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩のような水溶性の塩を最大約25重量%含むことが好ましい。上記のイオン性塩を用いて液体の導電率を高めることにより、不均一性が大幅に減少し、それにより従来技術の金属板電極が不要になる。これは、本発明の電極内に存在する導電性材料が実質的に完全な一致性を有し、それにより誘電体表面において完全に均一な表面電位を有するためであり、その特徴は、本発明の電極によって影響されるプラズマが、より均一なグローを与え、プラズマ形成が弱いことを示す暗いエリアが存在しないために、使用時に観測することができる。これはさらに、本明細書に記載される電極間で生成されるプラズマでは、局在化した点放電が観測されないという事実によって裏付けられる。導電性液体内のイオン種のタイプ及び濃度を変更することにより、本発明の電極のキャパシタンス及びインピーダンスが容易に制御される。そのような制御を利用して、電極間にプラズマを生成するために利用されるRF発生器及び変圧器システムにおいて用いられるインピーダンス整合回路の必要性を軽減することができる。
【0034】
本発明の電極において用いられる少なくとも実質的に非金属性導電性材料が誘電体容器内にある水、アルコール及び/またはグリコールあるいは塩水溶液のような極性溶媒である場合には、選択される誘電体に応じて電極を透明にすることができ、それにより、光学的に診断するために容易に確認できるようになるとともに、実質的に非金属性導電性材料そのものが、グロー放電装置のようなプラズマ装置から熱負荷を除去することに寄与する。本発明を国際公開第02/35576号明細書に記載される噴霧過程と比較すると、これは熱除去の問題を大幅に簡単にすると同時に、電極被覆、それゆえ電極不動態化をも改善する。導電性液体を用いることはさらに、一定の電荷分布を確保することにより誘電体表面における電位の均一性を高めるが、金属製の電極の誘電体面に対する一致性を確保することができない。導電性液体の一致性により、電極の内壁及び/または外壁の表面に、液体が一定かつ密接に接触できるようになる。
【0035】
代替的には、実質的に非金属性導電性材料は1つ以上の導電性ポリマー組成物の形態をとってもよく、通常、ペーストの形で供給してもよい。そのようなペーストは現在、マイクロプロセッサチップセットのような電子部品を接着し、かつ熱管理するために、エレクトロニクス業界において用いられている。これらのペーストは通常、流動し、表面の凹凸に一致するだけの十分な流動性を有する。
【0036】
本発明による導電性ポリマー組成物に適したポリマーは、シリコーン、ポリオキシポリオレフィンエラストマ、シリコーンワックスのような蝋を基にするホットメルト、樹脂/ポリマー混合物、シリコーンポリアミドコポリマーまたは他の有機シリコーンコポリマーなど、あるいはエポキシ、ポリイミド、アクリレート、ウレタンまたはイソシアネート系ポリマーを含んでもよい。それらポリマーは通常、銀からなる導電性粒子を含むが、金、ニッケル、銅、多種多様な金属酸化物、及び/またはカーボンナノチューブを含む炭素、あるいは金属化されたガラスまたはセラミックビーズを含む代替的な導電性粒子を用いてもよいであろう。用いられる場合がある具体的なポリマーの例は、欧州特許第240,648号明細書に記載される導電性ポリマー、あるいはダウコーニング社によって市販されるDow Corning(登録商標)DA6523、Dow Corning(登録商標)DA6524、Dow Corning(登録商標)DA6526BD及びDow Corning(登録商標)DA6533のような銀充填オルガノポリシロキサン系組成物、あるいは(アブレスティック エレクトロニック マテリアルズ アンド アドヘーシヴズ(Ablestik Electronic Materials & Adhesives))からのAblebond(登録商標)8175、Epo−Tek(登録商標)H20E−PFCまたはEpo−Tek(登録商標)E30(エポキシテクノロジー社(Epoxy Technology Inc))のような銀充填エポキシ系ポリマーを含む。
【0037】
上記のように、本発明の主な利点は、液体/ペーストを用いて、電極の内壁及び外壁との界面に対する一定かつ密接な接触/接着を確保することによる一致性である。接触/接着は、液体あるいはペーストのような流動可能な媒体を用いることにより得てもよいが、表層剥離に繋がることになるその表面において、機械及び熱応力を吸収することができる導電性媒体を、電極の内壁及び外壁の表面両方に物理的に接触させることによって得てもよい。その場合に、熱及び導電性の両方の特性を有する接着性エラストマを、電極の内壁及び外壁の表面間の媒体として用いることができる。誘電体表面に導電性ペーストを適用することができ、化学結合させて、構造的に制約のあるペーストに誘電体を結合することにより、構造的な強度を与えながら電気及び熱の両方を伝導し、かつより硬質(rigid)な接着剤の表層剥離に繋がるおそれのある応力も吸収することになるエラストマの導電性媒体を形成することができる。本発明の一致性の態様の1つの主な利点は、液体/ペーストを用いて、電極の内壁及び外壁の界面との一定かつ密接な接触/接着を確保することによって、大きな表面積の電極を製造する機会が与えられることである。これは、適当な速度で工業規模の基板を処理するために、大きな表面積の電極システムが必要とされる、工業規模の用途に対する大きな利点である。
【0038】
このプラズマアセンブリはたとえば、金属製ヒートシンクを含む複合電極が結合された誘電体材料から形成される内壁を含み、全体として構造的に一体化され、その間には接着性の軟質な界面を形成する熱伝導性及び導電性の充填エラストマが与えられる。
【0039】
熱除去はプラズマアセンブリにおいて、特に金属板タイプの電極を用いるプラズマアセンブリの場合に大きな問題である。しかしながら、上記のような電極では、液体による熱の対流の効果によって、この問題は大幅に小さくなる。さらに、導電性液体の対流を通して、電気的な高所が除去される。上記のような1つ以上の電極を用いるとき、電極によって生成される熱を、たとえば冷却コイルを使用し、かつそこから熱を除去する手段として電極の外壁を用いることにより散逸してもよいと考えられ、それゆえ外壁は適当なヒートシンクから形成されることが好ましい。ヒートシンクは形態としては金属であることが好ましく、外側に突出したフィンを含んでもよく、冷却過程を促進するために、冷却流体、通常は空気あるいは外部の冷却コイルを用いてもよい。
【0040】
金属板電極を用いる大気圧グロー放電システムのようなプラズマシステムが現在直面している大きな問題のうちの1つは、電極を物理的に置き換えることなく、活性化されたプラズマゾーンを通る基板の経路長を変更する方法がないことである。1つの解決策は、プラズマゾーンの中を通過する基板の速度を変更することにより、基板がその中に存在する時間を変化させることであるが、上記のタイプの電極はさらに簡単な解決策を提供する。たとえば水、アルコール及び/またはグリコールあるいは塩水溶液及びそれらの混合物のような極性溶媒を用いるとき、各電極は注入口を備えることが好ましく、注入口及び排出口を備えることがさらに好ましい。注入口及び排出口はいずれも、水、アルコール及び/またはグリコールあるいは塩水溶液及びそれらの混合物のような極性溶媒を導入及び除去できるようにするためのバルブを備えてもよい。バルブは任意の適当な形態を含んでもよく、特に、経路長を変更する手段として、基板が通過するプラズマ処理ゾーンのように用いられる。バルブ制御される注入口及び排出口を有することにより、排出口バルブ及び注入口バルブを開き、液体が排出口から流出できるようにするが、液体が注入口から流入するのを防ぐことによって、あるいは注入口バルブを開くことによりさらに多くの液体を導入し、予め決定された量の液体を導入して電極の実効的なサイズを大きくすることのいずれかによって、電極システムの経路長を容易に変更してもよい。これはさらに、特にプラズマゾーンを通過する基板の相対的な速度を変更するのが難しい場合に、本発明の1つ以上の電極を用いて、プラズマ処理されている基板のためのプラズマ反応時間をユーザがより良好に制御できることも意味する。
【0041】
米国特許第4,130,490号明細書及び特開平07−220895号公報に教示されるように、電極システムを通してたとえば水、アルコール及び/またはグリコールあるいは塩水溶液及びそれらの混合物の極性溶媒を容器との間で連続して循環させる必要性を避けることは、本発明による電極システムのために必要とされる装置が連続した対流をもはや必要としない手段として著しく簡単にされることを意味する。
【0042】
本発明による各電極は、ハウジングを2つ以上のセクションに実質的に分割するように設計されるサポートリブを用いることにより、セグメント化する(segmented)ことができる。このセグメント化(segmentation)は、プラズマゾーン経路長の可変性を助ける形で付加的な利点を提供し、たとえば異なるセグメント間で電気的な連続性が確立されない場合には、個々のセグメントは個々の電極として動作し、プラズマゾーンの経路長が要求される目的に合わせて容易に変更され、かつ最適化されるようにするであろう。サポートリブは内壁または外壁のいずれか、あるいは両方に取り付けてもよく、電気的な連続性を備えることは、結線して接続することによって、あるいは導電性液体が用いられている場合には、セクション間に導電性液体経路が連続して存在することによって保持される。内壁及び外壁をサポートリブに固定することにより、実質的に非金属性導電性材料からの内部圧力によって最大圧力が引き起こされるエリアが減少し、それにより、内壁及び/または外壁に歪みを引き起こす可能性のある力が減少する。サポートリブを導入することによって、プラズマゾーンの経路長を容易に変更し、かつ最適化してもよい。
【0043】
本発明による電極を備える、工業規模において用いることのできるタイプのプラズマアセンブリの一例では、本発明による平行に離隔した第1及び第2の電極対を備える大気圧プラズマアセンブリが提供され、各電極対の内側板間の間隔は第1のプラズマゾーン及び第2のプラズマゾーンを形成し、その大気圧プラズマアセンブリはさらに、第1のプラズマゾーン及び第2のプラズマゾーンを通して連続して基板を移送する手段と、霧状にされた液体あるいは固体コーティング形成材料を上記第1のプラズマゾーンあるいは第2のプラズマゾーンのうちの一方に導入するように構成されるアトマイザとを備える。そのような装置のための基本概念は、本発明の優先日の後に公表され、参照により本明細書に援用される本出願人の同時係属である国際公開第03/086031号明細書(特表2005−524930号公報)に記載される。好ましい実施形態では、電極は垂直に配列される。
【0044】
本明細書においてこれまでに説明してきたように、導電性材料として液体を用いることの1つの大きな利点は、各電極対が各電極内に異なる量の液体を有することができ、結果として、異なるサイズのプラズマゾーン、したがって経路長が変更され、異なる電極対の間を基板が通過するときに、基板の反応時間が異なるようにできることである。これは、第1のプラズマゾーン内の洗浄過程のための反応時間が、基板にコーティングが塗布されているときの第2のプラズマゾーン内の経路長及び/または反応時間とは異なる場合があり、これらを変更することに含まれる行為が、異なる量の導電性液体を異なる電極対に導入することだけであることを意味するかもしれない。両方の電極がこれまでに述べられたとおりである場合、電極対の各電極において同じ量の液体が用いられることが好ましい。
【0045】
本発明の電極は、たとえばパルス式プラズマシステムのような任意の適当なプラズマシステムにおいて用いてもよいが、任意の適当な圧力で操作することのできるプラズマグロー放電及び/または誘電体障壁放電発生アセンブリにおいて用いることが特に想定される。詳細には、それらの電極は、低圧あるいは大気圧グロー放電アセンブリに、詳細には非熱平衡タイプのアセンブリに組み込むことができ、大気圧システムで用いることが最も好ましい。
【0046】
本発明の電極を用いるプラズマ処理過程において用いられるプロセスガスには、任意の適当な気体を用いてもよいが、たとえばヘリウム、ヘリウム及びアルゴンの混合物、さらにケトン及び/または関連する化合物を含むアルゴン系混合物のような、不活性ガス、あるいは不活性ガス系混合物であることが好ましい。これらのプロセスガスは単独で、あるいは潜在的な反応性ガス、たとえば窒素、アンモニア、オゾン、酸素、水、二酸化窒素、空気あるいは水素のような酸化ガスおよび還元ガスと組み合わせて利用してもよい。しかしながら、プロセスガスは実質的には、上記の潜在的な反応性ガスのうちの1つ以上を含んでもよい。プロセスガスは、単独の、あるいは酸化ガスまたは還元ガスと組み合わせたヘリウムであることが最も好ましい。ガスの選択は、試みられることになるプラズマ過程に依存する。ヘリウムあるいは任意の他の不活性ガスまたは不活性ガス系混合物と組み合わせて、酸化プロセスガスあるいは還元プロセスガスのような潜在的な反応性ガスが必要とされるとき、90〜99%の不活性ガスあるいは不活性ガス混合物と、1〜10%の酸化ガスあるいは還元ガスとを含む混合物において用いられることが好ましい。
【0047】
酸化条件下で、本発明の方法を用いて、基板上に酸素含有コーティングを形成してもよい。たとえば、霧状のシリコン含有コーティング形成材料から、基板表面上にシリカ系コーティングを形成することができる。還元条件下で、本発明によるプラズマアセンブリを用いて基板に酸素を含まないコーティングを設けてもよく、たとえば、霧状のシリコン含有コーティング形成材料から、炭化シリコン系コーティングを形成してもよい。
【0048】
窒素含有雰囲気において、窒素を基板表面に結合することができ、窒素及び酸素の両方を含む雰囲気において、硝酸塩を基板表面に結合し、かつ/または基板表面上に形成することができる。そのようなガスは、コーティング形成物質にさらす前に、基板表面を予備処理するために用いてもよい。たとえば、基板の酸素含有プラズマ処理は、続いて塗布されるコーティングへの接着性を改善することができる。酸素ガスあるいは水のような酸素含有材料をプラズマに導入することにより、酸素含有プラズマが生成される。
【0049】
現在、多種多様なプラズマ処理を利用することができるが、本発明の電極にとって特に重要なプラズマ処理は、表面活性化、表面洗浄、材料エッチング及びコーティングの塗布を含む。一連のプラズマシステムによって作動する一連のプラズマゾーンの中を通すことにより、基板を上記の任意の適当な組み合わせで活性化及び/または処理してもよく、要求される付加的な成分などを与える本発明による1つ以上の電極対を含んだプラズマシステムのうちの少なくとも1つは、個々のプラズマゾーンにおいて利用可能である。たとえば、1つの基板が一連のプラズマゾーンを通過する場合には、基板は第1のプラズマゾーンにおいて洗浄及び/または活性化され、第2のプラズマゾーンにおいて表面活性化され、第3のプラズマゾーンにおいてコーティングあるいはエッチングされてもよい。
【0050】
代替的には、本出願人の同時係属である国際公開第02/028548号明細書に記載されるように、第1のプラズマゾーンは、ヘリウムガスプラズマを用いてプラズマ処理することにより、基板の表面を洗浄及び/または活性化するために用いてもよく、第2のプラズマゾーンは、たとえばガス前駆物質、あるいはアトマイザまたはネブライザを通して液体噴霧前駆物質または固体噴霧前駆物質を加えることにより、前駆物質のコーティングを塗布するために用いてもよい。さらに代替的には、第1のプラズマゾーンは、酸化(たとえば、酸素/ヘリウムプロセスガス)あるいはコーティングの塗布の手段として用いてもよく、第2のプラズマゾーンは、異なる前駆物質を用いて第2のコーティングを塗布するために用いられる。予備処理及び事後処理ステップを有する一例として、汚れ/燃料に耐性のある外側表面にSiOx障壁を処理するように構成された次の工程があり、太陽電池のためにあるいは自動車の用途において用いてもよく、その場合には、基板が最初に基板のヘリウム洗浄/活性化によって予備処理され、続いて第1のプラズマゾーンにおいてポリジメチルシロキサン前駆物質からSiOxを堆積させる。さらに、SiOx層の余分な架橋を与えるためのヘリウムプラズマ処理があり、最後に、過フッ素前駆物質を用いてコーティングが塗布される。任意の適当な予備処理を試みてもよく、プロセスガス、たとえばヘリウムを用いて、基板を水洗、乾燥、洗浄あるいはガス抜きしてもよい。
【0051】
基板がコーティングされることになるさらに別の実施形態では、複数の一連のプラズマアセンブリではなく、電極間に形成されるプラズマゾーンを通過する基板を変更するための手段とともに単一のプラズマアセンブリを用いてもよい。たとえば、最初にプラズマゾーンを通過する物質は、プラズマゾーンを形成するために電極間に電位をかけることによって励起されるヘリウムのようなプロセスガスだけにしてもよい。結果として生成されるヘリウムプラズマを用いて、プラズマゾーンを通過するか、あるいはプラズマゾーンに対して動く基板を洗浄及び/または活性化してもよい。その後、1つ以上のコーティング形成前駆物質を導入してもよく、プラズマゾーンを通過することによって励起されて基板を処理する。基板は、何度もプラズマゾーンの中あるいはプラズマゾーンに対して動かされて複数の層形成を達成してもよく、適当な場合には、1つ以上の材料を置き換えること、付加すること、あるいはその導入を停止することによって、たとえば反応性ガスあるいは液体及び/または固体のような1つ以上のコーティング形成前駆物質を導入することによって、コーティング形成前駆物質の組成を変更してもよい。
【0052】
そのシステムが前駆物質で基板をコーティングするために用いられている場合には、コーティング形成前駆物質は、任意の従来の手段、たとえばアトマイザを用いて霧状にしてもよい。アトマイザは、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmのコーティング形成物質の液滴サイズを生成する。本発明において用いるのに適したアトマイザは、ソノ−テック社(ミルトン、ニューヨーク、アメリカ)(Sono-Tek Corporation, Milton, New York, USA)あるいはドイツのメツィンゲンにあるレッヒラー有限会社(Lechler GmbH of Metzingen, Germany)から市販されるアトマイザである。本発明の装置は、特定の用途を有してもよい複数のアトマイザを含んでもよく、たとえば、その装置は、モノマーが混和しないか、あるいは異なる相、たとえば第1の相が固体であり、第2の相が気体あるいは液体である2つの異なるコーティング形成物質から、基板上にコポリマーコーティングを形成するために用いられる。
【0053】
用いられているプロセスガスと組み合わされた電極対によって生じたプラズマゾーンの中を、基板が通過するという条件で、基板及びプラズマゾーンは互いに対して動いてもよく、すなわち、基板が隣接する電極対間を物理的に通過するかまたは電極対の近くを通過してもよいことは理解されたい。後者の例では、プラズマゾーン及び基板は互いに対して動き、すなわち電極が固定された基板を横切って動くかまたは基板が固定された電極システムに対して動いてもよいことも理解されたい。さらに別の実施形態では、電極システムは基板から離隔し、プラズマゾーンを通過してきた励起された化学種によって基板がコーティングされるが、必ずしもプラズマによって影響を受けないようにしてもよい。
【0054】
本発明の電極は、基板をコーティングするのに適したアセンブリ内に組み込まれる場合がある。基板上に形成されるコーティングのタイプは、用いられるコーティング形成前駆物質によって決定される。コーティング形成前駆物質は、有機物あるいは無機物、固体、液体あるいは気体、あるいはそれらの混合物でもよい。適当な有機コーティング形成前駆物質は、カルボキシレート、メタクリレート、アクリレート、スチレン、メタクリロニトリル、アルケン及びジエン、たとえばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート及び他のアルキルメタクリレート、ならびに、たとえば有機官能基メタクリレートを含む対応するアクリレート、グリシジルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート及びフルオロアルキル(メタ)アクリレートを含むアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、フマル酸及びエステル、イタコン酸(及びエステル)、無水マレイン酸、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化アルケン、たとえば塩化ビニル及びフッ化ビニルのようなハロゲン化ビニル、フッ化アルケン、たとえばパーフルオロアルケン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、プロピレン、アリルアミン、ハロゲン化ビニリデン、ブタジエン、N−イソプロピルアクリルアミドのようなアクリルアミド、メタクリルアミド、エポキシ化合物、たとえばグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドール、酸化スチレン、一酸化ブタジエン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、メチレングリコールジグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(及びそのオリゴマー)、酸化ビニルシクロヘキセン及び酸化ポリエチレン系ポリマーを含む。ピロール及びチオフェンならびにそれらの誘導体のような導電性ポリマー、リン含有化合物、たとえばジメチルアリルホスホネートを用いてもよい。適当な無機コーティング形成前駆物質は、コロイド金属を含有する金属及び金属酸化物を含む。チタネート、スズアルコキシド、ジルコネートならびにゲルマニウム及びエルビウムのアルコキシドのような金属アルコキシドを含む有機金属化合物も適当なコーティング形成前駆物質であろう。
【0055】
代替的に、シリコン含有物質を含むコーティング形成組成物を用いて、シリカ系コーティングあるいはシロキサン系コーティングを基板に設けてもよい。適当なシリコン含有物質は、限定はしないが、シラン(たとえば、シラン、アルキルシラン、アルキルハロシラン、アルコキシシラン、エポキシシラン及び/またはアミノ官能基シラン)ならびに、直鎖式シロキサン(たとえば、ポリジメチルシロキサン)及び環式シロキサン(たとえば、オクタメチルシクロテトラシロキサン)を含み、有機官能基直鎖式及び環式シロキサン(たとえば、ケイ素−水素結合含有、ハロゲン官能基、エポキシ官能基、アミノ官能基及びハロアルキル官能基直鎖式及び環式シロキサン、たとえばテトラメチルシクロテトラシロキサン及びトリ(ノノフルオロブチル)トリメチルシクロトリシロキサン)を含む。たとえば、基板コーティングの物理的な特性を調整して、特定の要件(たとえば、熱特性、屈折率のような光学特性、及び粘弾性特性)のために、種々のシリコン含有物質の混合物を用いてもよい。
【0056】
コーティングされる基板は、先に記載されたように、アセンブリを通して移送されるだけの十分な柔軟性を有する任意の材料、たとえばプラスチック、たとえばポリオレフィンのような熱可塑性プラスチック、たとえばポリエチレン及びポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(たとえば、ポリアルキレンテレフタレート、特にポリエチレンテレフタレート)、ポリメタクリレート(たとえば、ポリメチルメタクリレート、及びヒドロキシエチルメタクリレートのポリマー)、ポリエポキシド、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリジメチルシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂およびメラミンホルムアルデヒド樹脂、それらの配合物及びコポリマーを含んでもよい。好ましい有機高分子材料はポリオレフィン、特にポリエチレン及びポリプロピレンである。代替的には、コーティングされる基板には、たとえばアルミニウム、銅、鉄あるいは鋼あるいは金属化された薄膜から形成される薄い金属箔を用いてもよい。コーティングされる基板は上記のタイプであることが好ましいが、本発明のシステムはさらに、ガラス、金属板及びセラミックなどの硬質の基板を処理するためにも用いてもよい。
【0057】
本発明によるアセンブリによって処理することのできる基板は、合成及び/または天然繊維、織繊維あるいは不織繊維、粉末、シロキサン、布、織繊維あるいは不織繊維、天然繊維、合成繊維セルロース系材料、及び有機高分子化合物の粉末あるいは配合物、ならびに本出願人の同時係属である国際公開第01/40359号明細書に記載されるような有機高分子材料と混和するかあるいは実質的に混和しない有機シリコン含有添加剤の形であってもよい。基板の寸法は、大気圧プラズマ放電が生成される体積の寸法、すなわち本発明による電極の内壁間の距離によって制限される。一般的なプラズマ生成装置の場合、プラズマは、3〜50mm、たとえば5〜25mmのギャップ内に生成される。したがって、本発明は、薄膜、繊維及び粉末をコーティングするのに特に有用である。
【0058】
大気圧における定常グロー放電プラズマの生成は、用いられるプロセスガスにより、5cmまで離隔して配置することのできる隣接する電極間で得ることが好ましい。電極は、1〜100kHz、好ましくは15〜40kHzにおいて1〜100kV、好ましくは4〜30kVの実効(rms)電位でラジオ周波数により励振される。プラズマを形成するために用いられる電圧は通常2.5〜30kV、最も好ましくは2.5〜10kVであるが、実際の値は、化学物質/気体の選択、及び電極間におけるプラズマゾーンのサイズに依存するであろう。
【0059】
大気圧グロー放電アセンブリは任意の適当な温度で動作してもよいが、室温(20℃)〜70℃の温度で動作することが好ましく、通常30〜40℃の範囲内の温度において用いられる。
【0060】
本発明によって準備される電極は、本出願人の同時係属である国際公開第02/35576号明細書に記載されるような金属電極及び冷却システムを組み込む設計よりも、製造するのが簡単でありかつ安価である。たとえば、国際公開第02/35576号明細書に記載されるような電極の面上に液体を流す必要をなくすことにより、本発明の電極では、内壁と外壁との間の距離を短縮することができ、それにより、必要とされる導電性材料の体積を削減し、アセンブリの重量を削減することができる。
【0061】
また本発明による電極は、隣接する電極間の完全な等間隔及び平行位置を確保するという複雑な要求を緩和し、これは、金属電極のような板の場合に特に問題であり、さらに光学的に透過性である誘電体を用いてプラズマ観測及び診断を容易にすることができる。
【0062】
さらに、そのようなアセンブリは、その界面において電極と誘電体材料との間の一致性を確保するという複雑な要求を緩和し、同様の用途に金属板電極を用いる際に、さらに大きな問題が観測される。
【0063】
本発明は、添付の図面を参照するだけでこれ以降に例示として与えられ、本発明のいくつかの実施形態の以下に記載される説明から、さらに明確に理解されよう。
【0064】
図1を参照すると、参照符号2によって示される一対の非金属製の電極を有する大気圧プラズマアセンブリ1が提供される。各電極2はハウジング20の形をとり、チャンバ11を有し、その一端には注入口3が、その他端には排出口4があり、導電性塩溶液が存在するときに、注入口3及び排出口4を通して導入あるいは排出することができる。図1の場合、電極は塩溶液に完全に浸漬される。注入口3及び排出口4はいずれもバルブを備えており、導電性塩溶液の導入及び排出を制御するために用いられる。各電極2は、誘電体材料から形成される内壁5と、誘電体材料あるいは金属のいずれかから形成される外壁6とを有する。スペーサ7が、電極2の隣接する端部を所定の距離だけ離隔して保持する。使用時に、隣接する電極2の内壁5間のギャップはプラズマゾーン8を形成する。ケーブル10によって、各注入口3に電源9が接続される。図2〜図5bの場合にも、同じ参照符号が用いられる。
【0065】
使用時に、バルブ3a及び4aが開けられ、導電性液体がハウジング20の注入口3を通してチャンバ11に導入され、排出口4を通して排出される。その後、バルブ3a及び4aは閉じられて、電極システムの使用時に、それ以上の溶液が導入あるいは排出されるのを防ぐ。その導電性液体は、電極2の導電性部分としての役割及び各電極2の温度を熱管理する手段としての役割の両方を果たし、内壁5及び外壁6の両方との界面と形状が一致する。システムにおいて用いられる電圧が、そのシステム内に液体が存在する間に液体の温度を著しく上昇させる可能性があるので、導電性液体は、注入口3を介してチャンバ11に導入される前に冷却される。排出口4を介して電極から排出されると、導電性液体は外部の冷却手段(図示せず)に誘導され、その後、必要が生じた場合には、注入口3を介して再び導入することにより、将来の電極システムのために再利用することができる。
【0066】
プラズマゾーン8においてプラズマを起こすために、電極2の間に電極電位がかけられる。一旦、電極2間に適当な電極電位がかけられると、プロセスガス、通常はヘリウムがプラズマゾーン8の中に流され、励起されてプラズマを形成する。図1に示される各電極2は、液体の一致性及び導電性流体と内壁5との間の界面における横方向の導電性のため、誘電体材料から形成される内壁5との界面において完全に均一な電位を生成する。
【0067】
図2〜図5は、図1に示される実施形態に対する複数の設計の代替形態を示す。これらは、誘電体材料から形成される内壁5の、内部圧力の衝撃に起因する曲げなどのような歪みを最小限に抑え、好ましくは完全になくすことと、電極を冷却する代替の/付加的な手段を提供することとを特に対象とする。これらの設計の代替形態は、大きな表面積の内壁5を有する電極の場合、すなわち、たとえばプラズマゾーンが1m以上の断面積を有するように大きなプラズマゾーン8を有するシステムの場合に特に有用である。
【0068】
図2では、各電極2は、ハウジング20を2つのセクション22,23に実質的に分割するサポートリブ15を用いることよりセグメント化される。サポートリブ15は内壁5及び外壁6に取り付けられ、電気的な連続性を備えることは、セクション22,23間に連続した導電性液体経路18が存在することによって保持される。内壁5及び外壁6をサポートリブ15に固定することにより、最大圧力が作用するエリアが小さくなり、それにより、歪みを引き起こす可能性のある力が低減される。図2の「セグメント化された」電極は、経路長が可変であるという付加的な利点を提供し、各セグメントが個別の電極として動作する場合には、プラズマゾーンの経路長を容易に変更し、かつ最適化することができる。この事例では、電極内の導電性液体の高さがバルブ3a及び4aの動作によって制御される。チャンバ11,22,23が図2に示されるように導電性流体で満たされているとき、導電性液体は、図1に関連して説明されたように、注入口3aから導入され、排出口4aを通して排出される。しかしながら、経路長が変更されることになるとき、すなわちチャンバ11,22,23が導電性液体で満たされていないとき、注入口3a及び排出口4aを通して導入されかつ排出される液体を用いて、チャンバ11,22,23の、導電性液体を含まない領域内のエアポケットに真空が形成されるのを防ぐ。
【0069】
図3に示されるようなさらに別の実施形態では、排出口4(あるいは注入口3(図示せず))が注入口及び排出口の両方として用いられ、電極が完全に浸漬されない限り、バルブ4aが開いた位置に保持され、使用中の温度及び/または圧力変動などに起因してチャンバ11から液体を放出できるようにする。図3では、平坦な冷却板6aが、導電性液体を収容するチャンバ11内の背面格納境界として用いられ、導電性液体が内壁5の誘電体表面と冷却板6aとの間に閉じ込められるようにする。熱は冷却板6aを通って内部の導電性液体から外側表面まで流れ、外側表面は、チャンバ11のセクション22のための図3の場合には、冷却コイル25を通って流れる水あるいは空気のような冷却された流体である2次的な冷却源によって冷却される。
【0070】
2次冷却媒体が液体、すなわち、図3に示されるような冷却コイル25を通って流れる液体である場合には、冷却板6aは、冷却コイル25内の液体の圧力が冷却板6aを歪めないようにし、圧力をチャンバ11内の導電性液体上に伝達しないで、内壁5、そして特に導電性液体と内壁5の界面との間の界面において、望ましくない歪みが生じないように設計される。冷却板6a内の多少の歪みは、内壁5と冷却板6aとの間のギャップ60を空けたままにしておくことにより、導電性液体内で調節することができる。そのようなギャップ60は、たとえば封止して空にすることができるか、あるいは任意に加圧されていない不活性ガスまたは空気で満たすか、あるいは単に外気に対して開けたままにしてもよい。その際、冷却板6a内の歪みは、チャンバ11内の導電性液体の高さの変化として調節することができる。
【0071】
熱を除去するさらに別の過程が図4に示されており、平坦な冷却板6aが、自然対流あるいは強制対流のいずれかを用いて冷却される、フィン付の外側表面30を有し、たとえば、後者の場合には、冷却用流体、通常は空気がフィン30及び冷却板6aの上に誘導され(吹き付けられ)、電極を冷却する。
【0072】
使用時に、導電性液体は各電極内に保持あるいは実質的に保持されるので、電気接続は電極2内に存在しなければならず、流動システムの場合のように、導入管内には存在しない。これは、チャンバ11内の導電性液体に電荷を供給するための優れた手段を提供する冷却板6a(図3)を通して電極電位をかけることにより、最も効果的に達成される。それゆえ、図3では、電極2は金属製の冷却板6aを備える複合電極であり、導電性液体11は複合電極を形成すると言うことができる。さらに、冷却板6aは、チャンバ11内の導電性液体のための制限表面を形成し、電極2に構造的な一体性を与えるように設計される。
【0073】
熱が、内部の冷却コイルを通してではなく、冷却板6aを通して導電性液体から除去される設計の場合、導電性液体の厚み(距離d)を短縮して、電極2内の重量をさらに削減することができる。冷却板6と内壁5との間の距離d(図1)、すなわち導電性液体層の厚みは、図1および図2に示されるような電極の場合、通常5〜45mmの範囲内にあり、好ましくは5〜30mmである。しかしながら、そのような厚みは、外壁6の表面にある局所的な電気的異常分布を冷却板6の表面にわたって拡散して均一な電荷が内壁5に供給されるようにする液体の能力によってのみ制限される。それゆえ、実際には、チャンバ11内に冷却システムを配置しない場合には、距離dは、濃縮された塩溶液から形成される導電性液体の場合には1mm未満にしてもよい。図3及び4に潜在的に示されるような、さらに小さなdの値(<10mm)を有する電極では、用いられる導電性液体は毛管力を受け、その毛管力は液体をギャップ60内に引き込む効果を有し、結果として、導電性液体内の静水頭に著しい落ち込みが生じる。この静水頭の落ち込みは、内壁5に加えられる力を低減するので、内壁5として用いられる誘電体材料の、導電性液体の重量に起因する歪みを減少する。導電性液体は実効的には自立し、1mよりも大きな表面積を有する誘電体材料5から形成される内壁を構成する際に有利である。
【0074】
小さな値のd(<10mm)では、内壁5の誘電体材料から外壁6あるいは冷却板6aへの熱伝達の対流部分は無視できるようになり、熱伝導が支配的である。それゆえ、導電性液体の熱伝導率を最適化することが有利であり、そして非流動性の複合電極ギャップ内の液体の流動性はもはや重要ではないため、もはや導電性液体の粘度を制限する必要はない。導電性液体の流動性は、導電性液体が誘電体電極表面及び金属電極表面と確実に適合するためのみに必要である。
【0075】
図1〜4に示される実施形態は全て、従来技術において示されるように、電極の中に液体を送り込む必要があることに起因して圧力を高めることを回避する。システムからポンプ圧を除去することにより、電極内に収容される液体の高さからの静水頭だけが残されて、電極壁が反る可能性、電極システムの効率及びプラズマゾーン全体にわたってむらのないプラズマを生成する能力を低下させる可能性を低減するようにする。
【0076】
図5aは1つの電極を示しており、これまでの説明において用いていた導電性液体の代わりに、チャンバ11において導電性かつ熱伝導性のペースト40が用いられており、そのペーストは電界を均一にし、かつ内壁5から冷却フィン30などを有する冷却板6aへの熱の伝達を効率的にする。図5bは、単一の誘電体67を使用し、チャンバ11bを有する電極を示しており、誘電体67の本体から作り出されている。この実施形態では、誘電体67は、冷却フィン30を有する冷却板6aを収容し、導電性液体を封入するように構成される。通常誘電体材料は、サポートリブ15を残すか、あるいは残さないようにくりぬかれ、サポートリブ15が存在する場合には、サポートリブ15はくりぬかれないセクションを残すことにより形成される。用いられる誘電体材料は通常エンジニアリングプラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートあるいはPEEKのような商標登録されている材料)あるいはエンジニアリングセラミックのシートである。その後、各電極2が組み立てられ、チャンバ11b内に導電性液体が入れられて、空気あるいは冷却された液体によって冷却することのできるフィン30が付いた金属板6aで封止される。図5bに示される実施形態では、導電性材料は通常、塩溶液のような導電性液体である。
【0077】
図5cでは、導電性液体の代わりに、内壁5と冷却板6aとの間に導電性ペースト62からなる適当に硬化させた層あるいは未硬化の層を配置することにより、くりぬかれたチャンバ11bを不要にすることができる。そのペーストは未硬化のままにすることができるが、冷却板6a及び誘電体61への接着性を改善するために硬化させることが好ましい。再び、冷却板6aは空気あるいは冷却された液体のいずれかによって冷却される。図5a、図5bおよび図5cに示される実施形態では、電位は金属製の冷却板6aにかけられ、チャンバ11内の導電性液体及びペーストそれぞれを通して内壁5の背面に均等に分散される。
【0078】
本発明のさらに別の実施形態では、導電性液体は、図6および図7に示されるように、2重の同心管構成の内側領域及び外側領域内に閉じ込められ、外側管32と内側管34との間のギャップは、使用中に管間に生成されるプラズマゾーン36を形成する。この実施形態を用いて、プラズマ処理するためにそのような同心管構成の中を移送することのできる、気体、霧状液体、粉末、繊維、薄片、泡などの材料を処理してもよい。粉末のような固体材料の場合には、たとえば図7に示されるように、実質的に垂直に配置される管を用いてもよい。図6及び7に示されるようなこの実施形態では、冷却液が注入口3a及び排出口4aを介して内側管34に導入され、内側管34の中を通って、内側管34から排出されてもよく、外側の冷却コイル25aを用いて外側管32を少なくとも部分的に包囲してプラズマの影響により生成される熱を除去してもよい。
【0079】
図8に示されるような本発明の別の実施形態では、容器38の内側表面40をプラズマ処理する必要があるときに、上記容器38は、帯電した導電性液体42の槽内に部分的に沈められる。電極が液体の形をとることにより、容器38の複雑な表面形状に対して外側電極を完全に一致させることができる。代替的には、可撓性の誘電体膜44などを用いて一致するモールドを製造し、適所に膨張ガス50を導入してもよい。内側表面40上のプラズマゾーンに作用する容器38内の対向する電極を通して、逆の電位を供給することができ、内側電極は放電が局在化するのを避けるために誘電体コーティングを有する。内側電極は固体プローブであってもよいが、その電極は自然に一致する状態になるので、電位表面間の局所的な平行関係が保持されてグロー放電プラズマの条件が向上する。代替的には、バルブ(図示せず)を介して導電性液体を液体電極51に導入しかつ排出するための注入口3c及び排出口4cを有する液体電極51を用いてもよい。そのような事例では、プラズマゾーン8は、スペーサ7aを用いることにより、そのギャップが保持される。処理するための物品は、形状的に開いているか、あるいは部分的に閉じていてもよい(たとえばビンあるいは容器)。部分的に閉じられた物体の場合には、内側の一致する表面は、導電性液体によって、あるいは導電性液体の膜がその周囲に捕らえられたままになるように導入される気体によって、加圧されて膨張する風船により生成することができる。そのような概念は、ビンあるいはそのような容器のプラズマ処理において用いることができ、それによって、そのビンは、導電性塩溶液の槽内に部分的に沈められるか、あるいは加圧されビンの表面の外形に一致する可撓性の誘電体モールド内に導入され、同時に内部の誘電体バルーンを膨張させて内側表面40に一致するようにし、内側液体電極及び外側液体電極は逆の極性を有する。
【0080】
図9aに示される本発明のさらに別の実施形態では、大気圧プラズマアセンブリ100が提供され、プラズマを達成するために用いられるプロセスガスを導入するためのプロセスガス注入口(図示せず)を含む実質的に円形の断面を有する実質的に円筒形の本体117を有する大気圧プラズマ生成ユニット107と、霧状の液体及び/または固体コーティング形成材料を導入するためのアトマイザ(図示せず)と、誘電体材料103から形成されるハウジング内に導電性液体を収容する、一対の液体収容電極104とを備える。電極103,104は、一対の電極スペーサ105によって所定の距離だけ離隔して保持される。電極は大気圧プラズマ生成ユニット107から外側に突出する。電極間のギャップはプラズマゾーン106を形成する。大気圧プラズマ生成ユニット107は、大気圧プラズマ生成ユニット107に導入されるプラズマガス及び反応物質の排出のみが、誘電体コーティングされた電極103,104間のプラズマゾーン106を通過することができるように設計してもよい。大気圧プラズマ生成ユニット107は適所に固定され、基板101が任意の形態の搬送手段(図示せず)上で大気圧プラズマアセンブリ100の下を通過し、搬送手段は、搬送手段が大気圧プラズマアセンブリ100の一部を形成しないという事実に鑑みて、処理されている基板101に合わせて変更してもよい。
【0081】
大気圧プラズマ生成ユニット107と同様に、抽出器ユニット108は実質的に円形の断面を有するほぼ円筒形であり、ポリプロピレンあるいはPVCのような誘電体材料から形成される。大気圧プラズマ生成ユニット107及び抽出器ユニット108は、より大きな直径を有する抽出器ユニット108と同心である。抽出器ユニット108は、電極を包囲すると共に、電極との間に、残留するプロセスガス、反応物及び副生成物が抽出されるチャネル109を形成するリップ115を備える。リップ115の端部は、電極のベースと同じように基板101から等距離になるように設計されるが、基板にさらに近くすることができる。抽出器ユニット108は、大気圧プラズマアセンブリ100から、残留するプロセスガス、反応物質及び副生成物を抽出するために用いられるポンプ(図示せず)への排出口も備える。大気から抽出器ユニット108への空気の侵入を最小限に抑えるために、調整バー102がリップ115の外側に設けられており、調整バーには、基板101に接触するリップシールを用いることができるか、あるいは処理される基板によっては、プラスチックフィルム業界において用いられるような、高い静電位を用いて基板の表面から静電気を除去し、任意に埃微粒子を除去するためのエアジェットあるいは除電カーボンブラシを用いる静電防止バーを用いてもよい。
【0082】
本発明の電極を用いて、平行板の誘電体面を或る低い高さまで下げることによって(図9a)、あるいはさらに簡単には、並置されかつその長さにわたって等間隔に配置される2つの非導電性の誘電体管から、対向する電極対を形成することによって(図9b)作製される電極の隣接する導電性液体チャネル間に、狭いプラズマゾーン106を形成してもよい。この管間領域内にあるプラズマガスは抽出器ユニット108を介して除去される。このように金属を含まない電極設計は、狭いギャップにわたる微小放電に繋がることになる表面粗さをなくすことにより、より均一な電界を電極間に与える。
【0083】
本発明のさらに別の実施形態(図10)は、電圧が逆の平行な対130,132に結合され、表面形状に合わせて曲げることのできる図10に示されるような平坦なシート内に形成される可撓性の管を通して、導電性液体を保持することである。交流電圧管間の電界はシートの上下両方に延び、業界内で知られているような適当なプロセスガス組成物の存在時に、これらのエリア内にプラズマゾーンを形成できるようにする。そのように形成されるシートは、或る形状の物体の表面に巻きつけることができる。これは、従来の大気圧プラズマ処理システムの中を容易に通過することができない部分的な表面あるいは大きく嵩張る物体を処理するのに特に有用であろう。代替の構成は、電圧が逆である管を、大きな径の管に形成することができる渦巻形の対として互いに巻きつけることであろう。プラズマゾーンは、この渦巻管の外側表面と、さらに有用な内側表面との両方において生成され、薄壁管あるいはビンの処理のための要求を満たすことができる。
【0084】
[実施例]
大気圧グロー放電システムにおける本発明の電極を利用した一例を、図11及び12ならびに表1を参照して以下に説明する。
【0085】
図11は、本発明の電極を組み込んだ、本出願人の同時係属である国際公開第03/086031号明細書(特表2005−524930号公報)に記載されるタイプの大気圧プラズマアセンブリを用いて、可撓性の基板がどのようにしてプラズマ処理されるかを示す。各電極対は上記図5bに示されるタイプであり、幅1.2m及び長さ1mであり、内壁5と冷却板6a(図5b)との間に24mmの適当な厚み(d)を有するブライン溶液(塩化ナトリウムの重量比で2%)を含む。大気圧プラズマアセンブリを通して基板を移送する手段が、ガイドローラ170,171及び172の形で設けられている。プロセスガス注入口175、アセンブリリブ176、及びプラズマゾーン160内に霧状の液体を導入するためのアトマイザ174が設けられている。代替的には、プロセスガス注入口175は、図11に示されるような側面ではなく、アセンブリリブ176内に配置してもよい。
【0086】
使用時に、可撓性の基板がガイドローラ170までそしてその上に移送され、それによりブライン電極120aと126aとの間のプラズマゾーン125を通って誘導される。プラズマゾーン125内のプラズマは洗浄用ヘリウムプラズマであり、すなわちプラズマゾーン125内に反応物質は誘導されない。ヘリウムは注入口175を介してシステム内に導入される。アセンブリリブ176はシステムの上側に配置され、空気よりも軽いヘリウムが逃げるのを防ぐ。プラズマゾーン125を離れると、プラズマ洗浄された基板はガイドローラ171上を通過し、ブライン電極126bと120bとの間にあるプラズマゾーン160を通って下方に誘導され、ガイドローラ172上を通り、その後、さらに処理するために同じタイプのさらに別のユニットまで移動させてもよい。しかしながら、プラズマゾーン160は、反応前駆物質を導入する手段により、基板のためのコーティングを生成する。反応前駆物質は、気体、液体及び/または固体のコーティング形成物質を含んでもよいが、アトマイザ174を通して液体あるいは固体の形で導入される液体及び固体のコーティング形成物質であることが好ましい。コーティングされる反応物質が液体あるいは固体であるという事実の重要な面は、霧状の液体あるいは固体が重力によってプラズマゾーン160の中を移動し、プラズマゾーン125とは別にして、プラズマゾーン125ではコーティングが行われないようにすることである。その際、コーティングされる基板はプラズマゾーン160を通過してコーティングされ、ガイドローラ172上に移送され、その後、収集されるかあるいはたとえばさらに別のプラズマ処理でさらに処理される。
【0087】
霧状の液体前駆物質は、液体の場合には、前駆物質の液滴からなる霧を生成するアトマイザ174からプラズマゾーン160内に導入される。前駆物質の液滴はプラズマ及び基板と相互作用し、その化学構造が前駆物質と直接かつ密接に関係するコーティングを生成する。アトマイザ174は超音波によって駆動され、液流は液体マスフローコントローラ(MFC)を用いて制御される。プラズマは、隣接する電極対間のギャップに大きな電位をかけることにより生成される。出力に高電圧変圧器を備える可変周波数発生器から、電極に対して高い電圧が供給される。この発生器からの最大電力は10kWであり、最大電圧は4kV RMS(実効値)であり、周波数は10〜100kHzの範囲である。処理中に記録された電気的な測定値は、発生器そのものから、そして電極上に取り付けられる電圧プローブ及び電流プローブから得られる。各電極は、幅が1.2mで、長さが1mである。冷却フィンとともに高圧のエアナイフを用いて電極の背面を冷却し、電極温度が確実に80℃未満に維持されるようにする。
【0088】
[グロー放電の挙動]
誘電障壁放電は、フィラメント状あるいはグローのいずれかの放電として存在する。電界ポテンシャルあるいは電荷密度のいずれかにおける局所的な不均一性によってガスのイオン化が生じ、局在化されて非常に短いタイムスパン(約2〜5ナノ秒の持続時間の範囲)にわたって極めて集中した電流が放電されるときに、フィラメント状放電が生じる。これらのタイプの放電は、フィラメント状放電の局所的に極めて強い性質に起因して、不均一なコーティングを生成するか、あるいは基板に損傷を与える可能性がある。適当な電極形状、気体組成及び電力/周波数条件と組み合わせて、本発明に従って電極を選択することにより、プラズマが電極の幅にわたって均一に形成されるグロー放電モードにおいて、大気圧誘電障壁放電を確実に発生することができる。これにより、2〜10マイクロ秒の持続時間を有する、フィラメント状放電よりもはるかに長い電流放電が生じ、結果として極めてより一様なコーティングが形成される。
【0089】
本実施例では、大気圧プラズマアセンブリにおいて電流放電を生成した後に、その放電を追跡して測定した。高速フォトダイオードを用いて、プラズマから光が放射された。図12は、1000W及び毎分10リットルのヘリウムという条件下で、プラズマから生じたフォトダイオード出力を示す。その出力は1〜3マイクロ秒の持続時間の電流ピークを示しており、明らかにグロー放電の動作モードを示す。
【0090】
[疎水性コーティング]
上記の装置は、プラズマゾーン160を通過する際に、ポリエチレンテレフタレート(PET)製不織基板の表面上に堆積するテトラメチルシクロテトラシロキサンと組み合わせて用いた。PETは、処理前には、親水性が極めて高かった。
【0091】
処理後に、水中に種々の濃度のイソプロピルアルコール(IPA)を有するプローブ溶液を用いて、疎水性レスポンス(hydrophobic response)が測定された。約400〜1000μl/minの全前駆物質流量、5〜9kWの電力および2〜10m/分の基板速度を用いて、段階としてレベル5までの疎水性レスポンスが達成されたが、基板の他の物理的な特性への悪影響は全くなかった。
【0092】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】2つの非金属製の電極を含む大気圧プラズマアセンブリの図である。
【図2】図1に示される大気圧プラズマアセンブリの別の実施形態の断面図である。
【図3】図1に示される大気圧プラズマアセンブリの別の実施形態の断面図である。
【図4】図1に示される大気圧プラズマアセンブリの別の実施形態の断面図である。
【図5a】図1に示される大気圧プラズマアセンブリの別の実施形態の断面図である。
【図5b】図1に示される大気圧プラズマアセンブリの別の実施形態の断面図である。
【図5c】図1に示される大気圧プラズマアセンブリの別の実施形態の断面図である。
【図6】電極が同心管の形をとる、大気圧プラズマアセンブリの断面図である。
【図7】粉末あるいは液体をプラズマ処理するように構成される、図6の大気圧プラズマアセンブリの断面図である。
【図8】さらに別の大気圧プラズマアセンブリの断面図である。
【図9a】さらに別の大気圧プラズマアセンブリの断面図である。
【図9b】図9aに示されるタイプの大気圧プラズマアセンブリにおいて用いるための一対の誘電体管電極の平面図である。
【図10】平坦なシート内に形成され、表面形状に合わせて曲げられる、逆電圧の平行な対として結合された可撓性の管の図である。
【図11】電極対間を通過する基板を処理するための本発明の大気圧プラズマアセンブリの図である。
【図12】生成されるプラズマがグロー放電タイプであることを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の実質的に等間隔に離隔した電極(2)を備え、該電極(2)間の間隔はプロセスガスの導入時にプラズマゾーン(8)を形成するようになっており、必要に応じて、気体、液体及び/または固体前駆物質が通過できる大気圧プラズマアセンブリ(1)において、
前記少なくとも一対の電極(2)は内壁(5)及び外壁(6)を有するハウジング(20)を備え、前記内壁(5、6)は非多孔性の誘電体材料から形成され、前記ハウジング(20)は実質的に、少なくとも実質的に非金属性導電性材料を有することを特徴とする、プラズマグロー放電及び/または誘電障壁放電発生アセンブリ。
【請求項2】
複数対の電極(2)が設けられている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記非金属性導電性材料は極性溶媒である、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記極性溶媒は水、アルコール及び/またはグリコールである、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記非金属性導電性材料は塩溶液である、請求項3または4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記非金属性導電性材料は、導電性ポリマーペースト及び導電性接着剤から選択される、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記導電性ポリマーペースト及び前記導電性接着剤は硬化可能である、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記ハウジング(20)はそれぞれ、注入口(3)または注入口(3)及び排出口(4)を有し、
前記非金属性導電性材料が、前記注入口(3)及び/または排出口(4)を介して前記電極(2)に対して導入されると共に前記電極(2)から排出されるようにすることができる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記電極(2)の前記外壁(6)はヒートシンクである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記電極(2)のそれぞれの機能サイズは、前記非金属性導電性材料の導入及び排出によって変更される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記非金属性導電性材料と該大気圧プラズマアセンブリ(1)とを冷却するために、1つ以上の冷却コイル(25)または冷却フィン(30)が前記外壁(6,6a)に固定される、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記電極(2)は同心状の筒体(32,34)の形状である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記電極(2)はそれぞれ立方形状であり、
前記電極(2)はそれぞれ、前記非金属性導電性材料を収容するようになっているチャンバ(11b)を有するハウジングを備え、
前記電極(2)はそれぞれ、ヒートシンクとしての役割を果たすようになっている金属製の外壁(6a)から離れる誘電体材料(67)の単一のセクションから形成される、請求項1〜12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
平行に離隔した第1及び第2の電極対(120a,126a及び126b,120b)を備え、前記第1の電極対及び前記第2の電極対のそれぞれの間の間隔が第1及び第2のプラズマゾーン(25,60)を形成する請求項1〜13のいずれか一項に記載の大気圧アセンブリにおいて、
該大気圧プラズマアセンブリ(1)はさらに、
前記第1及び第2のプラズゾーン(25,60)を通って連続して基板(70,71,72)を移送する手段と、
前記第1または第2のプラズマゾーン(25,60)のうちの一方に、気体、または霧状の液体及び/または固体のコーティング形成材料を導入するようになっているアトマイザ(74)と
を備えることを特徴とする大気圧プラズマアセンブリ。
【請求項15】
フィルム、ウエブ、不織布及び織布、及び/または金属箔を処理するために請求項1〜14のいずれか一項に記載のアセンブリの使用。
【請求項16】
粉末及び微粒子材料を処理するために請求項1〜14のいずれか一項に記載のアセンブリの使用。
【請求項17】
一対の実質的に等間隔に離隔した電極(2)において、
該電極(2)のうちの少なくとも1つは、内壁(5)及び外壁(6)を有するハウジング(20)を備え、
前記内壁(5)は非多孔性の誘電体材料から形成され、
前記ハウジング(20)は、少なくとも実質的に非金属性導電性材料を有することを特徴とする電極。
【請求項18】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のプラズマグロー放電及び/または誘電障壁放電発生アセンブリで基板をプラズマ処理する方法であって、
前記基板を、前記電極(2)間のプラズマの作用によって形成されるプラズマゾーン(8)を通って通過させることを含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の実質的に等間隔に離隔した電極(2)を備え、該電極(2)間の間隔はプロセスガスの導入時にプラズマゾーン(8)を形成するようになっており、必要に応じて、気体、液体及び/または固体前駆物質が通過できる大気圧プラズマアセンブリ(1)において、
前記少なくとも一対の電極(2)は内壁(5)及び外壁(6)を有するハウジング(20)を備え、前記内壁(5、6)は非多孔性の誘電体材料から形成され、前記ハウジング(20)は実質的に、少なくとも実質的に非金属性導電性材料を有することを特徴とする、プラズマグロー放電及び/または誘電障壁放電発生アセンブリ。
【請求項2】
前記非金属性導電性材料は極性溶媒または塩溶媒である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記非金属性導電性材料は、導電性ポリマーペースト及び導電性接着剤から選択され
前記導電性ポリマーペースト及び前記導電性接着剤は任意に硬化可能である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記ハウジング(20)はそれぞれ、注入口(3)または注入口(3)及び排出口(4)を有し、
前記非金属性導電性材料が、前記注入口(3)及び/または排出口(4)を介して前記電極(2)に対して導入されると共に前記電極(2)から排出されるようにすることができる、請求項1〜のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記電極(2)の前記外壁(6)はヒートシンクである、請求項1〜のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記電極(2)のそれぞれの機能サイズは、前記非金属性導電性材料の導入及び排出によって変更される、請求項1〜のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記非金属性導電性材料と該大気圧プラズマアセンブリ(1)とを冷却するために、1つ以上の冷却コイル(25)または冷却フィン(30)が前記外壁(6,6a)に固定される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記電極(2)は同心状の筒体(32,34)の形状である、請求項1〜のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記電極(2)はそれぞれ立方形状であり、
前記電極(2)はそれぞれ、前記非金属性導電性材料を収容するようになっているチャンバ(11b)を有するハウジングを備え、
前記電極(2)はそれぞれ、ヒートシンクとしての役割を果たすようになっている金属製の外壁(6a)から離れる誘電体材料(67)の単一のセクションから形成される、請求項1〜のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
平行に離隔した第1及び第2の電極対(120a,126a及び126b,120b)を備え、前記第1の電極対及び前記第2の電極対のそれぞれの間の間隔が第1及び第2のプラズマゾーン(25,60)を形成する請求項1〜のいずれか一項に記載の大気圧プラズマアセンブリにおいて、
該大気圧プラズマアセンブリ(1)はさらに、
前記第1及び第2のプラズゾーン(25,60)を通って連続して基板(70,71,72)を移送する手段と、
前記第1または第2のプラズマゾーン(25,60)のうちの一方に、気体、または霧状の液体及び/または固体のコーティング形成材料を導入するようになっているアトマイザ(74)と
を備えることを特徴とする大気圧プラズマアセンブリ。
【請求項11】
導電性液体のタイプ及びイオン種の濃度を変更することにより、前記電極のキャパシタンス及びインピーダンスを制御する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
粉末及び微粒子材料、フィルム、ウエブ、合成及び/または天然不織繊維及び織繊維、布、織繊維または不織繊維、セルロース系材料、及び/または金属箔を処理するために請求項1〜1のいずれか一項に記載のアセンブリの使用。
【請求項13】
一対の実質的に等間隔に離隔した電極(2)において、
該電極(2)のうちの少なくとも1つは、内壁(5)及び外壁(6)を有するハウジング(20)を備え、
前記内壁(5)は非多孔性の誘電体材料から形成され、
前記ハウジング(20)は、少なくとも実質的に非金属導電性材料を有することを特徴とする電極。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のプラズマグロー放電及び/または誘電障壁放電発生アセンブリで基板をプラズマ処理する方法であって、
前記基板を、前記電極(2)間のプラズマの作用によって形成されるプラズマゾーン(8)を通って通過させることを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2006−515708(P2006−515708A)
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518665(P2005−518665)
【出願日】平成16年1月28日(2004.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001756
【国際公開番号】WO2004/068916
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(502286568)ダウ・コーニング・アイルランド・リミテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】Dow Corning Ireland Limited
【住所又は居所原語表記】Unit 12, Owenacurra Business Park, Midleton, Co. Cork, Ireland
【Fターム(参考)】