説明

プロジェクタ装置を備える電子機器

【課題】プロジェクタ装置を備える電子機器で投影に関する操作を簡略化する。
【解決手段】プロジェクタ付き携帯電話機10は、操作部1および表示部2間の相対角θが80度の投影姿勢にされた状態で2秒が経過すると、プロジェクタモジュール6による情報の投射を自動的に行う。スクリーン上に投射される像が台形状にならないように、レンズシフトによるあおり効果、画像処理を用いたキーストン補正を行うことによって投射像の形状を方形状に補正する。投影姿勢において方形状の投射像を得るために必要なレンズシフト量やキーストン補正量をあらかじめ初期補正値としてCPU内に記憶させておき、投射を開始する前に初期補正値による補正を自動的に行う。プロジェクタ付き携帯電話機10は、投影姿勢でない状態が0.5秒以上経過すると、プロジェクタモジュール6による情報の投射を自動的に終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像やテキストなどの情報を投射するプロジェクタ装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの小型機器にプロジェクタを搭載した電子機器が知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、小型化されたプロジェクタを搭載し、プロジェクタを旋回可能なハウジングに取り付けた携帯電話機が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特表2004−515974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のプロジェクタ装置つき携帯電話機は、プロジェクタ装置で情報を投射するために以下の操作を行う必要がある。すなわち、折り畳み可能な支持体を使用位置へ動かし、プロジェクタ装置の電源をオンし、ハウジングを旋回させて投射方向を調整するので、投射に関していくつもの操作が必要で手間がかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、プロジェクタ装置を備える電子機器に適用され、電子機器の態様を変える可動部と、可動部の状態に応じてプロジェクタ装置に像の投射を開始させる投射制御手段とを備えることを特徴とする。
上記電子機器の投射制御手段は、可動部が所定の状態で第1の時間が経過した場合に像の投射を開始させることもできる。また、投射制御手段は、像の投射を開始させた以降に可動部が所定の状態と異なる状態で第2の時間が経過した場合に像の投射を終了させることもできる。
請求項4に記載の発明は、プロジェクタ装置を備える電子機器に適用され、電子機器の動きを検出する動き検出手段と、動き検出手段によって検出される動きの大きさが所定値以下で第1の時間が経過した場合にプロジェクタ装置に像の投射を開始させる投射制御手段とを備えることを特徴とする。
上記電子機器の投射制御手段は、像の投射を開始させた以降に動き検出手段によって検出される動きの大きさが所定値を超えて第2の時間が経過した場合に像の投射を終了させることもできる。
動き検出手段は姿勢センサを含めてもよく、この場合は姿勢センサの出力値から動きの大きさを検出するとよい。
電子機器はさらに、所定時間ごとに被写体像を撮像して撮像信号を出力する撮像手段を備えてもよく、この場合の動き検出手段は、撮像手段から出力される撮像信号の時間変化を用いて動きの大きさを検出するとよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、プロジェクタ装置を備える電子機器で投影に関する操作を簡略化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施の形態によるハンドホールドで用いることが可能なプロジェクタ付き携帯電話機10の斜視図である。図1において、携帯電話機10は操作部1と表示部2とが回動可能な折り畳みヒンジ部3で支持され、折り畳みヒンジ部3を回動中心に折り畳み自在(態様変更可能)に構成されている。折り畳みヒンジ部3には、操作部1および表示部2間の相対角θがたとえば、80度の位置と150度の位置とに不図示のクリック機構が設けられている。80度はプロジェクタ部の投影姿勢に対応し、150度は電話機の通話姿勢に対応する。
【0008】
操作部1の底面1aには、プロジェクタ付き携帯電話機10を平面上に載置した場合に安定するように小型脚部12a〜12dが設けられている。操作部1の表示部2側の面1bには後述する第1操作部材112などが設けられ、操作部1の側面1cには小型脚部11が設けられている。小型脚部11は、プロジェクタ付き携帯電話機10の相対角θを図1のように80度に開いた状態(投影姿勢)で当該側面1cを下にして平面上に載置した場合(横位置載置)に、折り畳みヒンジ部3および表示部2に配設されている小型脚部21とともに3点で安定して載置されるように構成されている。
【0009】
表示部2の操作部1側の面2bには、後述するメイン液晶表示器204が配設され、表示部2の外側の面2aには、サブ液晶表示器4が配設されている。表示部2の面2aにはさらに、カメラの撮影レンズ5およびプロジェクタモジュール6がそれぞれ配設される。プロジェクタモジュール6は円筒形状に構成され、表示部2の面2aに設けられている丸穴Mに回転自在に嵌入され、図1に示す正位置(0度とする)と、正位置を基準に左右それぞれの向きにプロジェクタモジュール6を90度回転させた2つの位置との計3箇所にクリック機構(不図示)が設けられている。
【0010】
図2は、図1のプロジェクタ付き携帯電話機10の構成を説明するブロック図である。図2において、操作部1側にはCPU101と、メモリ102と、姿勢センサ103と、近距離通信部104と、TVチューナー106と、マイク107と、外部インターフェイス(I/F)108と、電源109と、通信制御部110と、アンテナ7と、GPSアンテナ111と、第1操作部材112と、スピーカー113と、開閉角度スイッチ(SW)114とが備えられ、着脱可能なメモリカード105が実装されている。
【0011】
表示部2にはカメラ部200と、プロジェクタモジュール6(プロジェクタ部)と、第2操作部材205と、スピーカー206と、メイン液晶表示器204と、サブ液晶表示器4とが備えられている。
【0012】
CPU101は、制御プログラムに基づいて、プロジェクタ付き携帯電話機10を構成する各部から入力される信号を用いて所定の演算を行うなどして、プロジェクタ付き携帯電話機10の各部に対する制御信号を送出することにより、電話機動作、カメラ動作、プロジェクタ動作をそれぞれ制御する。なお、制御プログラムはCPU101内の不図示の不揮発性メモリに格納されている。
【0013】
メモリ102はCPU101の作業用エリアとして使用される。姿勢センサ103は、プロジェクタ付き携帯電話機10の姿勢を検出し、検出信号をCPU101へ送出する。これによりCPU101は、撮影時には画像の天地を示す天地情報(縦位置撮影および横位置撮影の識別を含む)を取得し、プロジェクタ使用時には図1に示すような縦位置で載置されているか、小型脚部11、21および折り畳みヒンジ部3によって横位置に載置されているかを判定する。
【0014】
近距離通信部104は、たとえば、赤外線通信回路によって構成され、CPU101の指令により外部機器との間でデータを送受信する。TVチューナー106は、CPU101の指令によりテレビ放送を受信する。CPU101は、受信画像をメイン液晶表示器204に表示させ、受信音声をスピーカー206で再生させる。メモリカード105は不揮発性メモリによって構成され、CPU101の指令により、例えばカメラ部200より出力される画像データ、TVチューナー106より出力される映像・音声データなどのデータの保存および読み出しが可能である。
【0015】
マイク107は、集音した音声を電気信号に変換してCPU101へ送出する。音声信号は、録音時にはメモリカード105に記録され、通話時には通信制御部110へ送られる。外部インターフェイス108は、CPU101の指令により不図示のケーブルまたはクレードルを介して外部機器との間でデータを送受信する。
【0016】
スピーカー113は、CPU101から出力された音声信号による音声を再生する。第1操作部材112は、電話機のダイヤルボタンなどを含み、押下されたボタンに対応する操作信号をCPU101へ送出する。GPSアンテナ111はGPS衛星からの信号を受信し、受信データをCPU101へ送出する。CPU101は、GPSアンテナ111からの受信データを用いて位置情報を演算可能に構成されている。通信制御部110は無線送受信回路を含み、CPU101の指令により不図示の基地局を介して他の電話機との間で通信を行う。通信制御部110は、電話音声の他にもカメラ部200で撮影された画像データや、プロジェクタモジュール6で投射するための画像データなどを送受信可能に構成されている。アンテナ7は通信制御部110の送受信アンテナである。
【0017】
電源109は、たとえば、着脱可能な電池パックおよびDC/DC変換回路などで構成され、プロジェクタ付き携帯電話機10内の各部に必要な電力を供給する。開閉角度SW114は、折り畳みヒンジ部3の回動角を検出し、操作部1および表示部2間の相対角θが80度(投影姿勢)にされたことを検出するとオン信号(Hレベル)をCPU101へ送出し、上記角度以外ではオフ信号(Lレベル)を送出する。
【0018】
メイン液晶表示器204は、CPU101の指令により画像やテキストなどの情報を表示する。サブ液晶表示器4は、CPU101の指令により画像やテキストなどの情報を表示する。第2操作部材205は、メイン液晶表示器204の表示内容に関連づけられたボタンなどを含み、押下されたボタンに対応する操作信号をCPU101へ送出する。スピーカー206は、相対角θが150度である通話姿勢時にCPU101から出力された音声信号による音声を再生する。
【0019】
カメラ部200は、撮影レンズ5と、イメージセンサ201と、レンズ駆動部202と、カメラ制御CPU203とを含む。イメージセンサ201としては、CCDやCMOS撮像素子などが用いられる。カメラ制御CPU203は、CPU101の指令によりイメージセンサ201およびレンズ駆動部202を駆動制御する。レンズ駆動部202は、カメラ制御CPU203からズーム制御信号を受けると、制御信号に応じて撮影レンズ5を構成するズームレンズ(不図示)をテレ側もしくはワイド側へ駆動する。撮影レンズ5は、イメージセンサ201の撮像面上に被写体像を結像させる。カメラ制御CPU203はイメージセンサ201に撮像を開始させ、撮像終了後にイメージセンサ201から蓄積電荷信号を読み出し、所定の信号処理を施した上で画像データとしてCPU101へ送出する。なお、カメラ部200で撮影した画像データを送信する場合にはCPU101から通信制御部110へ画像データが送出される。また、撮影画像を投射する場合にはカメラ制御CPU203からCPU101を経由してプロジェクタモジュール6へ画像データが送出される。CPU101では、プロジェクタモジュール6で投射される画像データに対して台形歪み補正処理が施される。
【0020】
プロジェクタモジュール6は、投影レンズ61と、液晶パネル62と、LED光源63と、LED駆動部64と、液晶駆動部65と、レンズ駆動部66とを含む。LED駆動部64は、CPU101から出力されるLED駆動信号に応じてLED光源63に電流を供給する。LED光源63は、供給電流に応じた明るさで液晶パネル62を照明する。
【0021】
液晶駆動部65は、画像データに応じて液晶パネル駆動信号を生成し、生成した駆動信号で液晶パネル62を駆動する。具体的には、液晶層に対して画像信号に応じた電圧を画素ごとに印加する。電圧が印加された液晶層は液晶分子の配列が変わり、当該液晶層の光の透過率が変化する。このように、画像信号に応じてLED光源63からの光を変調することにより、液晶パネル62が光像を生成する。
【0022】
レンズ駆動部66は、CPU101から出力される制御信号に基づいて、投影レンズ61を光軸に対して直交する方向へ進退駆動する。投影レンズ61は、液晶パネル62から射出される光像をスクリーンなどへ向けて投射する。
【0023】
プロジェクタモジュール6による投射像について詳細に説明する。プロジェクタ付き携帯電話機10は、操作部1および表示部2間の相対角が80度の投影姿勢に設定され、所定時間が経過すると自動的に投射を開始する。図3は、平面P上に上記縦位置で載置されたプロジェクタ付き携帯電話機10からスクリーンSに投射された像Ivを説明する図である。図3(a)はスクリーンSを正対する向きに見た図であり、図3(b)はスクリーンSを右側方から見た図である。図3(a)において、投射像Ivの投射光束の中心点Cはプロジェクタモジュール6の開口中心Oより上方向にオフセットされている。すなわち、図3(b)に示すように、投射光束の中心線Fcが水平線に対して角度αの投影角度に調整されることにより、投射光束の下端が平面Pと平行もしくは上向きにされている。なお、プロジェクタモジュール6の回転位置は0度にセットされている。また、図中点Cは投射される光束の中心(投射像Ivの中心)を表し、開口中心Oおよび点Cを結ぶ線が上記光束の中心線Fcに相当する。
【0024】
投射像のオフセットは上述した投影角度αによって得られるが、このままでの投射像は台形状になってしまう。そこで、上述したレンズ駆動部66で投射レンズ61をシフトさせてあおり効果を得て、あおり効果に応じて投影する表示データに対するキーストン補正(台形歪み補正)を施すことによって投射像Ivを方形状に補正する。レンズシフト量やキーストン補正量は、あらかじめ上記80度の投影姿勢の状態で投射像Ivを方形状に補正するための初期補正値がCPU101内に記憶されている。
【0025】
図4は、CPU101で行われるプロジェクタ制御処理の流れを説明するフローチャートである。図4による処理は、プロジェクタ付き携帯電話機10の電源スイッチがオンされている間繰り返し行われる。図4のステップS11において、CPU101は開閉角度スイッチ114がオンか否かを判定する。CPU101は、開閉角度スイッチ114からオン信号が入力される(すなわち、操作部1および表示部2間の相対角が80度の投影姿勢にされる)と、ステップS11を肯定判定してステップS12へ進み、開閉角度スイッチ114からオン信号が入力されない(すなわち、投影姿勢にされていない)場合にはステップS11を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。
【0026】
ステップS12において、CPU101は開閉角度スイッチ114からのオン信号が2秒以上継続されているか否かを判定する。CPU101は、当該オン信号が2秒以上継続された場合にステップS12を肯定判定してステップS13へ進み、継続時間が2秒に満たない場合にはステップS11へ戻る。これにより、プロジェクタ付き携帯電話機10が折り畳まれた状態から開かれる過程、もしくは開かれた状態から折り畳まれる過程で一時的に開閉角度スイッチ114からオン信号が出力されたとしてもステップS13へ進まないようになる。
【0027】
ステップS13において、CPU101はプロジェクタモジュール6の電源をオンしてステップS14へ進む。具体的には、プロジェクタモジュール6への電力供給を開始するように電源109へ指令を送る。ステップS14において、CPU101はプロジェクタモジュール6の初期設定を施してステップS15へ進む。初期設定は、液晶駆動部65を初期化する、上記初期補正値に対応するレンズシフトをレンズ駆動部66に行わせる、およびLED光源63のオフを維持する、を含む。
【0028】
ステップS15において、CPU101はプロジェクタモジュール6に投射を開始させてステップS16へ進む。具体的には、メイン液晶表示器204に表示している内容と同一内容を液晶パネル62上に形成するように液晶駆動部65へ指令を送り、メイン液晶表示器204の表示をオフさせた後でLED光源63をオンするようにLED駆動部64へ指令を送る。これにより、プロジェクタモジュール6による最初の投射内容(初期画面)は、メイン液晶表示器204に表示されている内容と同一になる。初期画面以降にプロジェクタモジュール6が投射する内容は、カメラ部200によって撮影される画像、TVチューナー106により受信される放送画面、通信制御部110によって受信される情報などに適宜変更可能であるが、図4のフローチャートにおいてはこれらの選択処理を省略する。
【0029】
ステップS16において、CPU101は開閉角度スイッチ114がオフか否かを判定する。CPU101は、開閉角度スイッチ114からオフ信号が入力される(すなわち、操作部1および表示部2間の相対角が80度の投影姿勢でなくなる)と、ステップS16を肯定判定してステップS17へ進み、開閉角度スイッチ114からオフ信号が入力されない(すなわち、投影姿勢のまま)場合にはステップS16を否定判定し、ステップS15へ戻る。これにより、プロジェクタモジュール6による投射中は常に開閉角度スイッチ114の状態が監視される。
【0030】
ステップS17において、CPU101は開閉角度スイッチ114からのオフ信号が0.5秒以上継続されているか否かを判定する。CPU101は、当該オフ信号が0.5秒以上継続された場合にステップS17を肯定判定してステップS18へ進み、継続時間が0.5に満たない場合にはステップS15へ戻る。これにより、投射中にプロジェクタ付き携帯電話機10にうっかり触れてしまうことによって一時的に開閉角度スイッチ114からオフ信号が出力されたとしてもステップS18へ進まないようになる。
【0031】
ステップS18において、CPU101は、プロジェクタモジュール6に投射を終了させてステップS11へ戻る。具体的には、LED光源63をオフするようにLED駆動部64へ指令を送るとともに、プロジェクタモジュール6による投射を開始する前にメイン液晶表示器204に表示していた内容(初期画面)を再度メイン液晶表示器204に表示させる。
【0032】
以上説明した第一の実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)プロジェクタ付き携帯電話機10は、操作部1および表示部2間の相対角が80度の投影姿勢にされた状態(ステップS11を肯定判定)で所定時間(上記例では2秒間)が経過する(ステップS12を肯定判定)と、プロジェクタモジュール6による情報の投射を自動的に行うようにした。これにより、投影姿勢へ態様を変えるだけでよく、投射前の操作が簡略化できるので使い勝手が向上する。また、投影姿勢が2秒間続くと投射させるようにしたので、プロジェクタ付き携帯電話機10が折り畳まれた状態から通話姿勢まで開かれる過程、もしくは通話姿勢から折り畳まれる過程において一時的に相対角が80度になっても不要な投射を行うことが防止される。
【0033】
(2)スクリーンS上に投射される像Ivが台形状にならないように、レンズシフトによるあおり効果や画像処理を用いたキーストン補正を組み合わせることによって投射像Ivの形状を方形状に補正する。投影姿勢において方形状の投射像Ivを得るために必要なレンズシフト量やキーストン補正量をあらかじめ初期補正値としてCPU101内に記憶させておき、投射を開始する前に初期補正値による補正を自動的に行うようにした(ステップS14)。したがって、投射開始後に投射像を確認しながら補正操作を行う必要がなくなり、投射開始後の操作が簡略化できるのでプロジェクタとしての使い勝手が向上する。
【0034】
(3)プロジェクタ付き携帯電話機10は、投影姿勢でない状態が0.5秒以上経過する(ステップS17を肯定判定)と、プロジェクタモジュール6による情報の投射を自動的に終了する(ステップS18)ようにした。0.5秒の継続を終了要件としたので、投射中にうっかりプロジェクタ付き携帯電話機10に触れた場合に意図に反して投射が終了されてしまうことを防止できる。
【0035】
図4のフローチャートのステップS12において、プロジェクタ付き携帯電話機10が台上などに安定して載置されていることを合わせて判定するようにしてもよい。すなわち、プロジェクタ付き携帯電話機10が投影姿勢にされていることと、プロジェクタ付き携帯電話機10が安定して載置されていることの両方を判定する。この場合には、開閉角度スイッチ114からのオン信号が2秒以上継続され、かつ姿勢センサ103による検出信号の変化が2秒以上継続して所定値以下の場合にステップS13へ進み、開閉角度スイッチ114からのオン信号が2秒に満たない場合、もしくは姿勢センサ103による検出信号の変化が所定値を超える場合にはステップS11へ戻るようにする。投影姿勢と載置状態とを両方検出することで、プロジェクタとして使用される状況を確実に判定し、投射処理へ進めることができる。
【0036】
また、上記ステップS12において、プロジェクタ付き携帯電話機10が安定して載置されていることのみを判定するようにしてもよい。この場合には、姿勢センサ103による検出信号の変化が2秒以上継続して所定値以下の場合にステップS13へ進み、姿勢センサ103による検出信号の変化が所定値を超える場合にはステップS11へ戻るようにする。安定して載置されている状態のみを検出しても、プロジェクタとして使用される状況を確実に判定し、投射処理へ進めることができる。なお、プロジェクタ付き携帯電話機10が安定して載置されていることを判定して投射処理へ進んだ場合は、安定な載置が判定されなくなると投射を終了させる。この場合はステップS17において、姿勢センサ103による検出信号の変化が所定値を超える状態が0.5秒続くとステップS18へ進み、投射を終了させる。
【0037】
プロジェクタ付き携帯電話機10が安定して載置されているか否かの状態は、姿勢センサ103による検出信号を用いる代わりにカメラ部200で得られる画像データを用いて検出するようにしてもよい。この場合には、所定時間ごとにカメラ部200で被写体像を撮像させる。CPU101は、所定時間ごとにカメラ部200から送出される画像データを直近の画像データと比較することにより、プロジェクタ付き携帯電話機10の載置状態を検出する。直近の画像データとの差(時間変化)が所定値より大きい場合はプロジェクタ付き携帯電話機10が載置されていないと判定し、上記時間差が所定値以下の場合はプロジェクタ付き携帯電話機10が安定して載置されていると判定する。
【0038】
(第二の実施形態)
図5は、本発明の第二の実施形態によるプロジェクタ付き携帯電話機50の斜視図であり、(a)は通話姿勢を示す図、(b)は投影姿勢を示す図である。図5(a)、(b)において、携帯電話機本体51に円筒形状のハウジング52が回動可能な支持部53で支持され、支持部53を回動中心にしてハウジング52が回動自在(態様変更可能)に構成されている。支持部53には、携帯電話機51およびハウジング52間の相対角γがたとえば、0度(図5(a))の位置と150度(図5(b))の位置とに不図示のクリック機構が設けられている。0度は電話機の通話姿勢に対応し、150度はプロジェクタモジュール6の投影姿勢に対応する。
【0039】
ハウジング52には、第一の実施携帯と同様のプロジェクタモジュールが収容されており(不図示)、ハウジング52の支持部53と反対側から投射光束が出力されるように構成されている。ハウジング52にはさらに、ハウジング52の回動角を検出するスイッチが備えられており(不図示)、携帯電話機本体51およびハウジング52間の相対角γ=150度(投影姿勢)にされたことを検出するとオン信号(Hレベル)を出力し、上記角度以外ではオフ信号(Lレベル)を出力する。
【0040】
携帯電話機本体51のCPUは、相対角γ=150度の投影姿勢にされた状態で所定時間(たとえば2秒間)が経過すると、プロジェクタモジュールによる情報の投射を自動的に行わせる。これにより、第一の実施形態と同様に、投射までの操作の簡略化による使い勝手の向上と、一時的に相対角γが150度になる状態での不要な投射を防止することができる。
【0041】
(第三の実施形態)
図6は、本発明の第三の実施形態によるプロジェクタ付き携帯電話機10aを説明する図である。第一の実施形態によるプロジェクタ付き携帯電話機10に比べて、プロジェクタモジュール6の配設位置および投射方向が異なる。
【0042】
プロジェクタ付き携帯電話機10aは、操作部1および表示部2a間の相対角が80度の投影姿勢に設定され、所定時間が経過すると自動的に投射を開始する。図6において、プロジェクタモジュール6の開口中心Oは平面Pから離れた位置に配設され、投射光束の中心線Fcは投影姿勢において平面Pと平行に進むように構成されている。図中点Cは投射される光束の中心を表し、開口中心Oおよび点Cを結ぶ線が上記光束の中心線Fcに相当する。
【0043】
図6に示す構成では、投射までの操作の簡略化による使い勝手の向上に加えて、投射光束の上端と下端との間の光路長を等しくすることができるので、キーストン補正を不要にできる。この結果、単純な構成で安価なプロジェクタ付き携帯電話機10aが得られる。
【0044】
上述した説明において、ステップS12の判定処理における2秒間、およびステップS17の判定処理における0.5秒間は上記例に限らず適宜選定してよい。応答性をよくしたい場合には判定時間を0秒にしてもよい。
【0045】
プロジェクタ付き携帯電話機の形態は、上述した折り畳みタイプ、折り畳みタイプに表示部の回転機構を加えたタイプ、上述した折り畳まないタイプのいずれであってもよく、機器の態様を変更する可動機構を備えていればよい。また、投影姿勢の判定に用いる角度も80度に限らず適宜設定してよい。
【0046】
以上の説明ではプロジェクタモジュール6をプロジェクタ付き携帯電話機10に搭載する例を説明したが、プロジェクタ付き携帯電話機10の代わりにノート型パソコン、PDA、電子カメラ、再生装置などの電子機器に搭載させてもよい。
【0047】
特許請求の範囲における各構成要素と、発明を実施するための最良の形態における各構成要素との対応について説明する。ライトバルブは、たとえば、液晶パネル62によって構成される。プロジェクタ装置は、たとえば、プロジェクタモジュール6によって構成される。電子機器は、たとえば、プロジェクタ付き携帯電話機10によって構成される。可動部は、たとえば、折り畳みヒンジ部3によって構成される。投射制御手段は、たとえば、CPU101によって構成される。動き検出手段は、たとえば、姿勢センサ103およびCPU101によって構成される。撮像手段は、たとえば、カメラ部200によって構成される。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第一の実施形態によるプロジェクタ付き携帯電話機の斜視図である。
【図2】プロジェクタ付き携帯電話機の構成を説明するブロック図である。
【図3】(a)はプロジェクタ付き携帯電話機が像を投射するスクリーンを正対する向きに見た図である。(b)スクリーンを右側方から見た図である。
【図4】プロジェクタ制御処理の流れを説明するフローチャートである。
【図5】(a)は第二の実施形態によるプロジェクタ付き携帯電話機の通話姿勢を示す図、(b)は投影姿勢を示す図である。
【図6】第三の実施形態によるプロジェクタ付き携帯電話機を説明する図である。
【符号の説明】
【0049】
1…操作部
2、2a…表示部
3…折り畳みヒンジ部
6…プロジェクタモジュール
10、10a、50…プロジェクタ付き携帯電話機
51…携帯電話機本体
52…ハウジング
53…支持部
62…液晶パネル
63…LED光源
101…CPU
103…姿勢センサ
200…カメラ部
Iv…投射像
Ax…入射光軸
Fc…光束中心線
M…丸穴
P…平面
S…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタ装置を備える電子機器において、
前記電子機器の態様を変える可動部と、
前記可動部の状態に応じて前記プロジェクタ装置に像の投射を開始させる投射制御手段とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記投射制御手段は、前記可動部が所定の状態で第1の時間が経過した場合に像の投射を開始させることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記投射制御手段は、前記像の投射を開始させた以降に前記可動部が前記所定の状態と異なる状態で第2の時間が経過した場合に前記像の投射を終了させることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
プロジェクタ装置を備える電子機器において、
前記電子機器の動きを検出する動き検出手段と、
前記動き検出手段によって検出される動きの大きさが所定値以下で第1の時間が経過した場合に前記プロジェクタ装置に像の投射を開始させる投射制御手段とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器において、
前記投射制御手段は、前記像の投射を開始させた以降に前記動き検出手段によって検出される動きの大きさが前記所定値を超えて第2の時間が経過した場合に前記像の投射を終了させることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項4または5に記載の電子機器において、
前記動き検出手段は姿勢センサを含み、前記姿勢センサの出力値から動きの大きさを検出することを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項4または5に記載の電子機器において、
所定時間ごとに被写体像を撮像して撮像信号を出力する撮像手段をさらに備え、
前記動き検出手段は、前記撮像手段から出力される撮像信号の時間変化を用いて動きの大きさを検出することを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−78752(P2006−78752A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262420(P2004−262420)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】