説明

プロセスカートリッジおよびそれを用いる画像形成装置

【課題】新品と使用済み品とを区別することが可能でありながら、装置故障を引き起こしにくく、かつ、リサイクルが容易なプロセスカートリッジを実現する。
る。
【解決手段】ドラムカートリッジ1において、回転軸12とともに回転する円柱状部材15の外周に可動子16の嵌合部17を嵌合させ、カバー21の貫通孔20aに可動子16の突出部18を貫通させる。突出部18の外周には第1のネジ部18aを設け、貫通孔20aに設けた第2のネジ部と螺合させる。電子写真装置の駆動軸31によって感光体ドラム2を駆動し、ギア11およびギア14を介して回転軸12を回転させ、可動子16をリーフスイッチ32を押圧する位置からD向きに移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に装着されるプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機などの画像形成装置には、感光体ドラムカートリッジ、現像槽カートリッジ、帯電ユニット、およびクリーナユニットなどの各種プロセスカートリッジが着脱可能に設けられる。これらプロセスカートリッジは、使用による劣化や消耗材の使い切りなどがあるために、適当な時期で別のカートリッジと交換する必要が生じる。このとき、新品のカートリッジに交換される場合もあれば、既に使用されたがまだ使用可能である使用済み品のカートリッジに交換される場合もある。
【0003】
プロセスカートリッジは、その交換時期を見極めるために、また、使用履歴に合わせてプロセス条件を適正化するために、画像形成装置に装着されている間に画像形成装置側で使用回数や使用時間などの履歴を保存することが多い。プロセス条件の適正化の例としては、感光体が使用による膜減りや感度変化を起こすために、累積使用時間に応じて帯電電位や現像条件などを変えることや、現像剤が、使用によるトナーの消費や帯電特性の変化を起こすために、現像条件や攪拌時間などを補正することなどが挙げられる。
【0004】
ここで、新たに装着されたカートリッジが新品である場合には、装着開始時から履歴を記録することに問題は起こらないが、使用済み品の場合には既にある程度使用されているので、装着開始時から新品と同様に履歴の記録を開始すると、その交換時期やプロセス条件の適正化を誤る原因となる。従って、プロセスカートリッジは、画像形成装置に装着される際に、新品であるか使用済み品であるかを画像形成装置側で区別することができるようになっているのが好ましい。
【0005】
画像形成装置への装着の際に新品のカートリッジと使用済み品のカートリッジとを画像形成装置が区別する方法は既に幾つか開示されている。
【0006】
特許文献1には、トナーカートリッジが新品であるか使用済み品であるかを区別するために、新品のトナーカートリッジに予め可折爪を設けておくことが記載されている。当該トナーカートリッジが装置本体に挿入されると、可折爪が装置本体に取り付けられた検出スイッチを押圧するため、新品のトナーカートリッジが装置本体に挿入されてトナー補給がなされたことが検知される。またこのときに、可折爪は、検出スイッチとの当接による押圧力によって折れるようになっている。従って、使用済み品が装置本体に挿入されても、既に可折爪が折れているために検出スイッチは押圧されない。当該文献においては、このようなトナーカートリッジの検出を行うことにより、新品のトナーカートリッジのみによる検出スイッチの押圧回数を計数してトナー補給回数を検出し、現像器の寿命を正しく検出しようとしている。
【0007】
特許文献2には、新品の現像ユニットにヒューズを設けておき、当該現像ユニットを複写機に装着している間に所定のタイミングでこのヒューズを焼き切ることが記載されている。ヒューズが焼き切れた現像ユニットは、以後、複写機に装着して使用してもヒューズに導通がないことから、既に使用されたものであることが分かる。当該文献においては、このような現像ユニットを用いることにより、現像ユニットが新品であるか使用済み品であるかを判別し、使用済み品が複写機で使用されることを防止しようとしている。
【0008】
特許文献3には、現像装置の現像槽上部に現像剤の貯留室を設け、新品の現像装置の現像槽を、上記貯留室と現像ローラおよび攪拌ローラを備える空間とに予めフィルム状のシール部材で仕切っておくことが記載されている。この現像装置が複写機に装着されるとシール部材は巻き取られ、貯留室から現像ローラおよび攪拌ローラを備える空間へ現像剤が供給される。新品の現像装置が複写機に装着されるときには、シール部材が巻き取られるまで、シール部材を挟むように配された一対の電極片が互いに接触しないため、現像装置が新品であることが検出される。現像装置を一旦使用すると、上記シール部材は巻き取られて上記電極片が互いに接触するようになるので、以後、この現像装置を複写機に装着しても、現像装置が使用済みであることが検出される。当該文献においては、現像装置が複写機に装着されたときに、シール部材の巻き取りを行うべきか否かを判別するために、上述のような新品と使用済み品との区別を行っている。
【特許文献1】特開平2−99980号公報(1990(平成2)年4月11日公開)
【特許文献2】特開平2−308277号公報(1990(平成2)年12月21日公開)
【特許文献3】特開平2−51182号公報(1990(平成2)年2月21日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1の技術では新品のトナーカートリッジが装置本体に装着されるときに可折爪が折れるために、折れた爪が装置本体に引っ掛かるなどして装置故障を引き起こす虞がある。この技術をプロセスカートリッジに応用した場合にも同様の問題が起こる。また、特許文献3の技術では新品の現像装置が複写機に装着されてシール部材が巻き取られる際に、現像装置がシール部材を不用意に噛み込むことにより装置故障が引き起こされる虞がある。
【0010】
また、引用文献1の技術では可折爪が折れてしまうために、トナーカートリッジさらにはプロセスカートリッジをリサイクルしようとすると、カートリッジを可折爪の付いた状態に再生せねばならず、また、引用文献2の技術ではヒューズが焼き切れてしまうために、現像ユニットをリサイクルしようとすると、ヒューズを交換しなければならない。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、新品と使用済み品とを区別することが可能でありながら、装置故障を引き起こしにくく、かつ、リサイクルが容易なプロセスカートリッジを実現することにある。また、上記プロセスカートリッジを用いる画像形成装置を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のプロセスカートリッジは、上記課題を解決するために、画像形成装置に使用され、動作するときに回転軸が駆動される、交換可能なプロセスカートリッジであって、前記回転軸の駆動力によって移動可能な可動子を備え、前記可動子が所定位置にあるときには、前記プロセスカートリッジが前記画像形成装置に装着されて前記回転軸が駆動されると、前記可動子は前記駆動力により前記所定位置から移動し、その後は前記回転軸が駆動されても前記所定位置以外にあり続け、前記可動子が前記所定位置以外にあるときには、前記プロセスカートリッジが前記画像形成装置に装着されて前記回転軸が駆動されても、前記可動子は前記所定位置以外にあり続けることを特徴としている。
【0013】
上記の発明によれば、可動子が所定位置にあるプロセスカートリッジを画像形成装置に装着してプロセスカートリッジの回転軸を駆動すると、可動子が所定位置から所定位置以外に移動し、その後は回転軸が駆動されても可動子は所定位置以外にあり続ける。また、可動子が所定位置以外にあるプロセスカートリッジを画像形成装置に装着してプロセスカートリッジの回転軸を駆動しても、可動子は所定位置以外にあり続ける。従って、新品のプロセスカートリッジの可動子を所定位置に設置しておけば、画像形成装置での新品の使用開始時にのみ可動子が所定位置にあり、それ以外には可動子が所定位置以外にあることになるため、可動子の位置が所定位置にあるか否かを画像形成装置により検出することにより、画像形成装置に装着されたプロセスカートリッジが新品であるのか使用済み品であるのかを判別することができる。
【0014】
また、可動子が所定位置にあるか否かが検出されるようにすると、可動子は、所定位置からその他の位置へ移動しさえすればよいので、位置検出に伴う破損および破損品の除去を必要とせず、また、大きな移動を行う必要がないとともに移動に伴って基本的に変形する必要もないため、可動子とその他の部材との不要な干渉が生じにくい。従って、従来のようにプロセスカートリッジから分離した部材が装置内で引っ掛かったり、フィルム状の部材がプロセスカートリッジ内で装置に噛み込まれたりすることがない。さらに、可動子は破損や変形が前提となっていないため、形状復元の再生処理が基本的に不要であることから、所定位置以外に移動した可動子を所定位置に戻して再使用したり、別のプロセスカートリッジで再度使用したりすることが容易に可能となる。
【0015】
以上により、新品と使用済み品とを区別することが可能でありながら、装置故障を引き起こしにくく、かつ、リサイクルが容易なプロセスカートリッジを実現することができるという効果を奏する。
【0016】
本発明のプロセスカートリッジは、上記課題を解決するために、前記可動子は、前記所定位置に戻すことが可能であることを特徴としている。
【0017】
上記の発明によれば、プロセスカートリッジを何回も新品として検出されるようにすることができるという効果を奏する。
【0018】
本発明のプロセスカートリッジは、上記課題を解決するために、リサイクルされることを特徴としている。
【0019】
上記の発明によれば、プロセスカートリッジがリサイクルされるとき、可動子が何度も使用可能であることから、リサイクルを容易かつ低コストで実施することができるという効果を奏する。
【0020】
本発明のプロセスカートリッジは、上記課題を解決するために、前記回転軸と同軸で、前記回転軸とともに回転する一方、前記回転軸の軸方向には移動不能な円柱状部材を備え、前記可動子は、前記円柱状部材の側面に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部に固定された突出部とを備え、前記嵌合部は、前記円柱状部材の側面に対して、前記軸方向には移動可能で前記円柱状部材の円周方向には係合可能であり、前記突出部は、前記回転軸と同軸で側面に第1のネジ部が設けられた円柱部を備え、前記円柱部は、前記嵌合部から、前記軸方向に沿って前記プロセスカートリッジの内側から外側へ向かう第1の向きに突出し、前記プロセスカートリッジのフレームに固定される固定子を備え、前記固定子には前記可動子の前記突出部が前記嵌合部から見て前記第1の向きに貫通するとともに貫通状態で前記第1のネジ部と螺合する第2のネジ部を有する貫通孔が設けられ、前記螺合により前記突出部が前記貫通孔に螺嵌している螺嵌状態で前記可動子が前記回転軸の回転方向に回転すると前記第1のネジ部が前記第2のネジ部に対して前記第1の向きと反対の第2の向きに移動し、前記螺嵌状態における前記可動子の位置の所定のものを前記所定位置とすることを特徴としている。
【0021】
上記の発明によれば、所定位置にあった可動子は、回転軸の駆動力で回転する円柱状部材の回転によって、円柱状部材の側面に対して第2の向きに移動する。そして、可動子の第1のネジ部と固定子の第2のネジ部との螺合が解除されたときに移動を停止し、回転を続ける。このように、円筒状部材、可動子、および固定子の組合せにより、小型で移動距離の小さい、新品と使用済み品とを区別するための機構を実現することができるという効果を奏する。
【0022】
本発明のプロセスカートリッジは、上記課題を解決するために、前記回転軸と同軸で、前記回転軸の軸方向には移動不能な円柱状部材を備え、前記可動子は、前記円柱状部材の側面に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部に固定された突出部とを備え、前記嵌合部は、前記円柱状部材の側面に対して、前記軸方向には移動可能で前記円柱状部材の円周方向には回転不能であり、前記突出部は、前記回転軸と同軸で側面に第1のネジ部が設けられた円柱部を備え、前記円柱部は、前記嵌合部から、前記軸方向に沿って前記プロセスカートリッジの内側から外側へ向かう第1の向きに突出し、前記回転軸とともに回転するとともに前記軸方向には移動不能な回転子を備え、前記回転子には前記可動子の前記突出部が前記嵌合部から見て前記第1の向きに貫通するとともに貫通状態で前記第1のネジ部と螺合する第2のネジ部を有する貫通孔が設けられ、前記螺合により前記突出部が前記貫通孔に螺嵌している螺嵌状態で前記回転子が前記回転軸の回転方向に回転すると前記第1のネジ部が前記第2のネジ部に対して前記第1の向きと反対の第2の向きに移動し、前記螺嵌状態における前記可動子の位置の所定のものを前記所定位置とすることを特徴としている。
【0023】
上記の発明によれば、所定位置にあった可動子は、回転軸の駆動力で回転する回転子の回転によって、円筒状部材の側面に対して第2の向きに移動する。そして、可動子の第1のネジ部と固定子の第2のネジ部との螺合が解除されたときに移動を停止する。このように、円筒状部材、可動子、および回転子の組合せにより、小型で移動距離の小さい、新品と使用済み品とを区別するための機構を実現することができるという効果を奏する。
【0024】
本発明のプロセスカートリッジは、上記課題を解決するために、前記回転軸と同軸で、前記回転軸とともに回転する一方、前記軸方向には移動不能な円柱状部材を備え、前記可動子は、前記円柱状部材の側面に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部に固定された突出部とを備え、前記嵌合部は、前記円柱状部材の側面に対して、前記軸方向には移動可能で前記円柱状部材の円周方向には係合可能であり、前記突出部は、前記回転軸と同軸の回転中心軸を有し、かつ、前記嵌合部から、前記プロセスカートリッジの内側から外側へ向かう第1の向きに突出し、かつ、突出方向に直交する方向の成分を有するストッパーを突出途上に備え、前記プロセスカートリッジのフレームに固定される固定子を備え、前記固定子には前記可動子の前記突出部が前記嵌合部から見て前記第1の向きに貫通する貫通孔が設けられ、前記貫通孔には前記突出部が所定の向きにあるときにのみ前記ストッパーを前記貫通孔に通過可能とする切り欠き部が形成されており、圧縮バネをさらに備え、前記圧縮バネの一端は、前記可動子の前記嵌合部に前記第1の向きと反対の第2の向きに当接し、前記圧縮バネの他端は、前記固定子に前記第1の向きに当接し、前記可動子の前記突出部が前記ストッパーを含めて前記固定子の前記貫通孔を貫通している状態における前記可動子の位置の所定のものを前記所定位置とすることを特徴としている。
【0025】
上記の発明によれば、所定位置にあった可動子は、回転軸の駆動力で回転する円柱状部材の回転によって、突出部がストッパーごと固定子の貫通孔に対して通過可能となり、圧縮バネの力で円柱状部材の側面に対して第2の向きに移動する。そして、可動子が円柱状部材に当接するか、圧縮バネが伸びきるかすると移動を停止し、回転を続ける。このように、円筒状部材、可動子、固定子、および、圧縮バネの組合せにより、小型で移動距離の小さい、新品と使用済み品とを区別するための機構を実現することができるという効果を奏する。
【0026】
本発明の画像形成装置は、上記課題を解決するために、前記プロセスカートリッジが装着され、前記可動子が前記所定位置にあるか否かを検出する検出手段を備えていることを特徴としている。
【0027】
上記の発明によれば、可動子の移動を利用して、プロセスカートリッジが新品であるか使用済み品であるかを容易に検出することができるという効果を奏する。また、画像形成装置本体側に検出手段を備えているので、トナー付着などによる検出接点や検出窓の不良が起こりにくいという効果を奏する。
【0028】
本発明の画像形成装置は、上記課題を解決するために、前記プロセスカートリッジが装着され、前記可動子の前記突出部の突出先端によって押圧されるか否かによって前記可動子が前記所定位置にあるか否かを検出する検出手段を備えていることを特徴としている。
【0029】
上記の発明によれば、可動子の突出部の突出先端の移動を利用して、プロセスカートリッジが新品であるか使用済み品であるかを特に容易に検出することができるという効果を奏する。また、画像形成装置本体側に検出手段を備えているので、トナー付着などによる検出接点の不良が起こりにくいという効果を奏する。
【発明の効果】
【0030】
本発明のプロセスカートリッジは、以上のように、可動子を備え、前記可動子が所定位置にあるときには、前記プロセスカートリッジが前記画像形成装置に装着されて前記回転軸が駆動されると、前記可動子は前記駆動力により前記所定位置から移動し、その後は前記回転軸が駆動されても前記所定位置以外にあり続け、前記可動子が前記所定位置以外にあるときには、前記プロセスカートリッジが前記画像形成装置に装着されて前記回転軸が駆動されても、前記可動子は前記所定位置以外にあり続ける。
【0031】
それゆえ、新品と使用済み品とを区別することが可能でありながら、装置故障を引き起こしにくく、かつ、リサイクルが容易なプロセスカートリッジを実現することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の実施の一形態について図1ないし図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0033】
まず、本実施の形態に係るプロセスカートリッジを備えた電子写真装置(画像形成装置)のプロセス部の概略構成を、図7を参照して説明する。
【0034】
上記プロセス部は、図7に示すように、主に感光体ドラム2、帯電ローラ3、露光部(図示せず)、現像装置4、転写用放電ローラ5、クリーニング部6、除電部(図示せず)、および、定着ローラ7を備えている。このうち、感光体ドラム2、帯電ローラ3、現像装置4、および、クリーニング部6は、新品と使用済み品とが電子写真装置によって区別される対象となるプロセスカートリッジとして電子写真装置に装着し得るものであり、順にドラムカートリッジ、帯電ユニット、現像槽カートリッジ、および、クリーナユニットとして提供される。また、図7中において、Pは記録用紙、Lは上記露光部から照射されて感光体ドラム2表面に静電潜像を書き込む光ビームを示している。
【0035】
感光体ドラム2は、所定方向(図7に示す矢印A方向)に回転しており、まず、その外周表面が帯電ローラ3によって均一帯電される。均一帯電された感光体ドラム2の表面には、露光部により画像データに応じて制御される光ビームLが照射され、静電潜像が形成されて保持される。
【0036】
感光体ドラム2上に形成された上記静電潜像は、感光体ドラム2の回転によって、現像装置4と対向する位置まで移動し、該現像装置4によってトナーを供給されて可視化される。このとき、現像装置4の現像ローラ4aは、感光体ドラム2に供給するトナーを担持搬送するために所定方向(図7に示す矢印B方向)に回転している。
【0037】
なお、本実施の形態では、感光体ドラム2の感光体は有機光半導体で構成されており、帯電ローラ3によって−700Vに帯電される。現像ローラ4aは、円筒状の導電性ゴム弾性材料で構成されており、−400Vの現像バイアスが印加されて感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。
【0038】
転写用放電ローラ5は、感光体ドラム2上に現像によって形成されたトナー像を用紙Pに転写する。クリーニング部6は、転写用放電ローラ5よりも感光体ドラム2の回転方向下流側に配置されており、該クリーニング部6は転写後の感光体ドラム2表面の残留トナーを除去する。除電部はクリーニング部6のさらに下流側に配置されており、感光体ドラム2表面を除電する。定着ローラ7は上下一対のローラからなり、トナー像が転写された後の用紙Pが上下のローラ間に搬送されると、該用紙Pを加熱および加圧し、トナー像を用紙P上に定着させる。
【0039】
次に、上記構成のプロセス部のドラムカートリッジが、新品と使用済み品とが電子写真装置によって区別される対象となるプロセスカートリッジとなっている実施例を説明する。
【実施例1】
【0040】
第1の実施例について、図1ないし図3を用いて説明する。
【0041】
図1(a)に、本実施例に係るドラムカートリッジ1の一端部付近の構成を示す。
【0042】
ドラムカートリッジ1は、感光体ドラム2、ギア11、回転軸12、廃トナー搬送スクリュー13、ギア14、円柱状部材15、可動子16、カバー21、および、フレーム22を備えている。
【0043】
ドラムカートリッジ1は、図7において紙面手前側を電子写真装置の前面側として、当該前面側から背面側へ向かう向きに電子写真装置に装着される。この装着の向きは、図1(a)では矢印Cの向き(以後、C向きと称する。)である。また、ドラムカートリッジ1を取り外すときの向きは、C向きと反対である矢印Dの向き(以後、D向きと称する。)となる。C向き(第1の向き)で規定される向きは、感光体ドラム2の回転中心軸および回転軸12の軸方向に沿って、ドラムカートリッジ1の内側から外側へ向かう向きであり、D向き(第2の向き)で規定される向きは、上記軸方向に沿って、ドラムカートリッジ1の外側から内側へ向かう向きである。ドラムカートリッジ1は、電子写真装置に備えられた駆動軸31によって回転駆動される。
【0044】
感光体ドラム2は上記回転中心軸を中心軸とする円筒形状をなしている。ギア11は、感光体ドラム2のC向き側の一端に嵌着されており、その中心に上記駆動軸31がD向きに嵌挿される。廃トナー搬送スクリュー13は、図7のクリーニング部で回収された廃トナーを搬送する部材であり、回転軸12の回転によってトナー搬送力を得る。ギア14は回転軸12のC向き側の一端に嵌着されており、ギア11と互いに噛合するようになっている。すなわち、廃トナー搬送スクリュー13は、駆動軸31からギア11およびギア14を介して駆動力を得て回転する。
【0045】
円柱状部材15は、回転軸12と同軸の円柱母体を有する部材であり、ここでは、ギア14の一部をなしてギア14の歯車部からC向きに延びるように設けられている。円柱状部材15は、回転軸12とともに回転し、回転軸12の軸方向には移動不能である。なお、この円柱母体は、平面が円周に沿って湾曲されてなる側面を備えたものであればよく、円柱の内部が充填されたものであるか中空のものであるかなどは問わない。図3は、図1(a)におけるE−E線断面図であるが、上記円柱状部材15の側面には、3つの係合部材15a・15b・15cが互いに120°の間隔を置いて、半径方向外側に突出するように、かつ、軸方向に延びるように設けられている。図1(a)において円柱状部材15の中に描いた破線で囲まれた領域15zは、係合部材15a・15b・15cのうちの1つを示したものである。また、円柱母体の側面の外側に隣接して示した斜線領域15dは、円柱状部材15が回転したときに係合部材15a・15b・15cが通過する領域を示している。
【0046】
可動子16は、嵌合部17および突出部18を備えている。
【0047】
嵌合部17は、互いに同軸の、内側中空円柱部17aおよび外側中空円柱部17bを備えている。内側中空円柱部17aは円柱状部材15の側面に外側から嵌合する部分である。外側中空円柱部17bは内側中空円柱部17aの外側に配置された部分である。内側中空円柱部17aと外側中空円柱部17bとは、それぞれのD向き側端部で互いに接続されている。また、内側中空円柱部17aのC向き側端部は円形状端面で閉塞されている。外側中空円柱部17bのC向き側端部は、内側中空円柱部17aのC向き側端部よりもさらにC向き側に長く延びて開口されている。嵌合部17が円柱状部材15に嵌合した状態では、内側中空円柱部17aおよび外側中空円柱部17bは回転軸12と同軸となる。
【0048】
また、内側中空円柱部17aの側面には、3つの係合部材170a・170b・170cが互いに120°の間隔を置いて、半径方向内側に突出するように、かつ、軸方向に延びるように設けられている。図1(a)において内側中空円柱部17aの中に描いた破線で囲まれた領域170zは、係合部材170a・170b・170cのうちの1つを示したものである。また、内側中空円柱部17aの側面の内側に隣接して示した斜線領域170dは、内側中空円柱部17aが回転したとき、すなわち可動子16が回転したときに係合部材170a・170b・170cが通過する領域を示している。
【0049】
前記円柱状部材15の斜線領域15dと、前記可動子16の斜線領域170dとに重なりがあるために、円柱状部材15が回転すると、円柱状部材15の係合部材15a・15b・15cと内側中空円柱部17aの係合部材170a・170b・170cとが互いに係合し、可動子16を回転させるようになる。このように、嵌合部17は、円柱状部材15の側面に対して、回転軸12の軸方向には移動可能で、円柱状部材15の円周方向には係合可能である。
【0050】
突出部18は、嵌合部17の内側中空円柱部17aのC向き側端部を閉塞する円形状端面の中心からC向きに突出した円柱部で構成されている。嵌合部17が円柱状部材15に嵌合した状態では、突出部18の円柱部は回転軸12と同軸となる。突出部18は、突出先端付近を除いてその側面に第1のネジ部18aを備えている。
【0051】
カバー(固定子)21は、中空円柱部19および貫通孔部20を備えている。中空円柱部19は、D向き側端部がフレーム22の回転軸12の軸方向に直交する平面部分に固定された円柱状部材であり、その中空部に可動子16を内包するようになっている。中空円柱部19の内径は、可動子16の外側中空円柱部17bの外径よりも大きくなるように設定されている。中空円柱部19のC向き側端部は中心に開口部19aが設けられた円環状端面となっている。貫通孔部20は、中空円柱部19の開口部19aのC向き側面上に設けられた、開口部19aと同軸で開口部19aよりも径の大きい円環状板である。貫通孔部20は、中心に開口部19aと同軸で開口部19aよりも径の小さい貫通孔20aを有している。貫通孔20aは、突出部18が中空円柱部19の内側から外側へ向かう向きに貫通する孔である。貫通孔20aの内面には第2のネジ部が設けられており、突出部18を貫通孔20aに貫通させるときには、突出部18の第1のネジ部18aが第2のネジ部と螺合するようになっている。突出部18において突出先端から第1のネジ部18aまでの距離は貫通孔部20の板厚以下に設定されており、突出部18が貫通孔20aに対して貫通状態にあるときは常に第1のネジ部18と第2のネジ部とが互いに螺合するようになっている。
【0052】
図1(b)に、図1(a)の可動子16とカバー21とをD向きに見た場合の平面図を示す。図1(a)のように可動子16が円柱状部材15に嵌合し、カバー21がフレーム22に固定された状態では、貫通孔20aは突出部18とともに回転軸12と同軸となり、突出部18は貫通孔20aをC向きに貫通する。
【0053】
なお、上記構成のドラムカートリッジ1において、可動子16およびカバー21はドラムカートリッジ1の本体に対して着脱可能である。取り付けるときには、まず可動子16をカバー21の貫通孔20aに貫通させる。第1のネジ部18aと第2のネジ部との螺合により、突出部18を貫通孔20aに螺嵌させていくと、可動子16の外側中空円柱部17bのC向き側端部がカバー21の中空円柱部19のC向き側端面に当接するところで貫通動作が停止される。次にこの状態で可動子16の内側中空円柱部17aを円柱状部材15に嵌合させ、カバー21をフレーム22に固定する。取り付けの手順としては、この他に、まず可動子16を円柱状部材15に嵌合させておき、次いでカバー21を突出部18にねじこんで取り付け、カバー21をフレーム22に固定するようにしてもよい。可動子16およびカバー21をドラムカートリッジ1の本体から取り外すときには、上記と逆の手順を踏めばよい。
【0054】
また、円筒状部材15、可動子16、および、カバー21は成形樹脂で作られている。この他、金属などを用いることも可能である。
【0055】
次に、上記ドラムカートリッジ1を電子写真装置に装着したときに、当該ドラムカートリッジ1が新品であるか使用済み品であるかを区別する動作について説明する。
【0056】
新品のドラムカートリッジ1に前記手順で可動子16およびカバー21を取り付けて、当該ドラムカートリッジ1を電子写真装置に装着すると、図1(a)に示すように、可動子16の突出部18の突出先端がカバー21の貫通孔20aからC向きに最大限に突出した状態で、電子写真装置の背面側を向く。電子写真装置のこの箇所にはリーフスイッチ(検出手段)32が設けられており、突出部18は当該リーフスイッチ32を押圧するようになっている。これにより、電子写真装置側では、ドラムカートリッジ1が装着されたことを検出する。しかも、後述の説明から分かるように、リーフスイッチ32が押圧されるのはドラムカートリッジ1が新品であるときのみであるので、装着されたドラムカートリッジ1が新品であることも検出することができる。
【0057】
ドラムカートリッジ1が装着された電子写真装置を使用すると、電子写真装置本体の駆動軸31からドラムカートリッジ1に伝達される回転軸12の駆動力により、円柱状部材15が回転する。これにより、円柱状部材15の係合部材15a・15b・15cが可動子16の係合部材170a・170b・170cに係合して可動子16を回転させる。可動子16をカバー21にC向きに貫通させたときの回転方向は、回転軸12の回転方向とは逆向きになるように設定されており、円柱状部材15により起こされる可動子16の回転により、突出部18の第1のネジ部18aは貫通孔20aの第2のネジ部に対してD向きに移動し、突出部18は徐々にカバー21内に引き込まれていく。このとき、可動子16の嵌合部17の内側中空円筒部17aは、円柱状部材15の側面に対してD向きに移動可能であるので、可動子16の全体はD向きに移動する。第1のネジ部18aの全てが第2のネジ部よりもD向き側に移動し終えたときに、突出部18の貫通孔20aに対する螺嵌が解除され、可動子16は回転軸12の軸方向には移動を停止して、回転軸12の周りの回転を続ける。
【0058】
図2に、このようにして可動子16が移動し終えた状態を示す。突出部18の突出先端がD向きに移動したことにより、電子写真装置のリーフスイッチ32への押圧が解除される。また、可動子16は第1のネジ部18aの全てが第2のネジ部よりもD向き側に移動し終えたときに、回転軸16の軸方向への移動を停止するので、突出部18の突出先端付近は貫通孔20a内に留まり、貫通孔20aよりもC向き側に突出する部分がなくなる。
【0059】
上述の動作により、新品のドラムカートリッジ1を電子写真装置に装着して一旦使用すると、可動子16がリーフスイッチ32を押圧する初期の所定位置からリーフスイッチ32を押圧しない所定位置以外の位置へ移動し、しかもその後は回転軸12が回転してもリーフスイッチ32を押圧しない位置にあり続けるので、再びリーフスイッチ32を押圧することがない。従って、使用済み品のドラムカートリッジ1を電子写真装置に装着して回転軸12を駆動しても、可動子16はリーフスイッチ32を押圧しない位置にあり続ける。このように、新品のドラムカートリッジ1の可動子16を上記所定位置に設置しておけば、電子写真装置での新品の使用開始時にのみ可動子16が所定位置にあり、それ以外には可動子16が所定位置以外にあることになるため、可動子16の位置が所定位置にあるか否かをリーフスイッチ32により検出することにより、電子写真装置に装着されたドラムカートリッジ1が新品であるのか使用済み品であるのかを判別することができる。
【0060】
また、このように可動子16が所定位置にあるか否かが検出されるようにすると、可動子16は、所定位置からその他の位置、この場合はD向き側の任意の位置へ移動しさえすればよいので、位置検出に伴う破損および破損品の除去を必要とせず、また、大きな移動を行う必要がないとともに移動に伴って基本的に変形する必要もないため、可動子16とその他の部材との不要な干渉が生じにくい。従って、従来のようにプロセスカートリッジから分離した部材が装置内で引っ掛かったり、フィルム状の部材がプロセスカートリッジ内で装置に噛み込まれたりすることがない。さらに、可動子16は破損や変形が前提となっていないため、形状復元の再生処理が基本的に不要であることから、所定位置以外に移動した可動子16を所定位置に戻して再使用したり、別のドラムカートリッジで再度使用したりすることが容易に可能となる。
【0061】
可動子16が所定位置に戻すことが可能であると、ドラムカートリッジ1を何回も新品として検出されるようにすることができる。また、ドラムカートリッジ1がリサイクルされるとき、可動子16が何度も使用可能であることから、リサイクルを容易にかつ低コストで実施することができる。
【0062】
以上により、新品と使用済み品とを区別することが可能でありながら、装置故障を引き起こしにくく、かつ、リサイクルが容易なプロセスカートリッジを実現することができる。
【0063】
また、上記ドラムカートリッジ1によれば、円柱状部材15、可動子16、およびカバー21の組合せにより、小型で移動距離の小さい、新品と使用済み品とを区別するための機構を実現することができる。また、可動子16の突出部18がカバー21の貫通孔20aに対して貫通状態にあるときに常に第1のネジ部18aと第2のネジ部とが螺合するとしたので、可動子16の移動後は、可動子16の全体がカバー21内に退避することとなり、ドラムカートリッジ1を電子写真装置から取り外したときに可動子16を他物体にぶつけて破損するといったトラブルを起こしにくい。
【0064】
なお、可動子16の突出部18がカバー21の貫通孔20aに対して貫通状態にあるときに常には第1のネジ部18aと第2のネジ部とが螺合していなくてもよい。可動子16が所定位置にあるか否かを検出することができればよいとする場合には、少なくとも可動子16が所定位置にある状態での貫通状態において、第1のネジ部18aと第2のネジ部とが螺合するようにすればよい。
【0065】
次に、ドラムカートリッジ1の変形例の構成について説明する。
【0066】
変形例のドラムカートリッジは、図1(a)のドラムカートリッジ1において、可動子16の嵌合部17を、円柱状部材15の側面に対して、回転軸12の軸方向には移動可能で円柱状部材15の円周方向には回転不能にする。回転不能にするには、円柱状部材15の係合部材15a・15b・15cまたは可動子16の係合部材170a・170b・170cをなくし、可動子16を、回転軸12の駆動力が伝達されてもこれによる回転を阻止する部材で支持すればよい。また、カバー21をフレーム22に固定せずに、回転軸12の駆動力によって回転軸12とともに同軸で回転するとともに回転軸12の軸方向には移動不能な回転子とする。このようにするには、カバー21を回転軸12に貫通孔20a以外の箇所で同軸に連結し、軸方向には固定すればよい。
【0067】
このような構成のドラムカートリッジによれば、新品のものに可動子16を前記所定位置となるように取り付けて、ドラムカートリッジを電子写真装置に装着した後に回転軸12を駆動することで、カバー21が回転して可動子16の突出部18がドラムカートリッジ1の場合と同様にD向きに移動する。従って、ドラムカートリッジ1と同様の効果が得られる。
【実施例2】
【0068】
第2の実施例について、図4ないし図6を用いて説明する。なお、前記実施例1と同じ機能を有する部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図4(a)に、本実施例に係るドラムカートリッジ51の一端部付近の構成を示す。
【0070】
ドラムカートリッジ51は、感光体ドラム2、ギア11、回転軸12、廃トナー搬送スクリュー13、ギア14、円柱状部材15、可動子41、カバー44、コイルバネ45、および、フレーム22を備えている。
【0071】
可動子41は、嵌合部42および突出部43を備えている。
【0072】
嵌合部42は、中空円柱部42aおよびフランジ42bを備えている。中空円柱部42aは円柱状部材15の側面に外側から嵌合する部分である。フランジ42bは、中空円柱部42aのD向き側端部に対して半径方向外側に接続された円環板である。また、中空円柱部42aのC向き側端部は円形状端面で閉塞されている。嵌合部42が円柱状部材15に嵌合した状態では、中空円柱部42aおよびフランジ42bは回転軸12と同軸となる。
【0073】
図5に、図4(a)におけるF−F線断面図を示す。図5に示すように、中空円柱部42aの側面には、3つの係合部材420a・420b・420cが互いに120°の間隔を置いて、半径方向内側に突出するように、かつ、軸方向に延びるように設けられている。図4(a)において中空円柱部42aの中に描いた破線で囲まれた領域420zは、係合部材420a・420b・420cのうちの1つを示したものである。また、中空円柱部42aの側面の内側に隣接して示した斜線領域420dは、中空円柱部42aが回転したとき、すなわち可動子41が回転したときに係合部材420a・420b・420cが通過する領域を示している。
【0074】
前記円柱状部材15の斜線領域15dと、前記可動子41の斜線領域420dとに重なりがあるために、円柱状部材15が回転すると、円柱状部材15の係合部材15a・15b・15cと中空円柱部42aの係合部材420a・420b・420cとが互いに係合し、可動子41を回転させるようになる。このように、嵌合部42は、円柱状部材15の側面に対して、回転軸12の軸方向には移動可能で円柱状部材15の円周方向には係合可能である。
【0075】
突出部43は、嵌合部42の中空円柱部42aのC向き側端部を閉塞する円形状端面の中心からC向きに突出した円柱状部材で構成されている。また、突出部43は、突出方向に直交する方向の成分を有するストッパー43aを突出途上に備えている。嵌合部42が円柱状部材15に嵌合した状態では、突出部43の円柱の中心軸すなわち回転中心軸は回転軸12と同軸となる。
【0076】
カバー(固定子)44は、D向き側端部がフレーム22の回転軸12の軸方向に直交する平面部分に固定された中空円柱状部材であり、その中空部に可動子41を内包するようになっている。カバー44の内径は、可動子41の外径よりも大きくなるように設定されている。カバー44のC向き側端部は中心に貫通孔44aが設けられた円環状端面となっている。貫通孔44aは、突出部43がカバー44の内側から外側へ向かう向きに貫通する孔である。また、貫通孔44aには、突出部43を貫通孔44aに対して挿抜するときにストッパー43aを通過可能とする切り欠き部44aが形成されている。切り欠き部44aは、突出部43の他の部分が通過可能な円形孔から、一半径方向外側に向かって形成された切り溝となっている。ストッパー43aは上記円形孔を通過することはできないが、突出部43を、ストッパー43aが切り欠き部44aと対向する所定の向きにして貫通孔44aに対して挿抜すれば、貫通孔44aをストッパー43aごと通過させることができる。カバー44がフレーム22に固定された状態では、貫通孔44aの円形孔の中心軸は、回転軸12と同軸となる。
【0077】
コイルバネ45は圧縮バネであり、その一端は可動子41の嵌合部42のフランジ42bにD向きに当接し、他端はカバー44のC向き側端部の円環状端面にC向きに当接している。
【0078】
図4(b)に、図4(a)の可動子41とカバー44とをD向きに見た場合の平面図を示す。図4(a)のように可動子41が円柱状部材15に嵌合し、カバー44がフレーム22に固定された状態では、貫通孔44aは突出部43とともに回転軸12と同軸となり、突出部43は貫通孔44aをC向きに貫通する。
【0079】
なお、上記構成のドラムカートリッジ51において、可動子41、カバー44、および、コイルバネ45はドラムカートリッジ51の本体に対して着脱可能である。取り付けるときには、まず可動子41の突出部43を、可動子41とカバー44との間にコイルバネ45を挟みながら、カバー44の貫通孔44aにストッパー43aごと貫通させる。そして、ストッパー43aが切り欠き部44b以外のカバー44の面に対向するように可動子43を回転させてストッパー43aをカバー44に係止させ、突出部43がコイルバネ45の力で貫通孔44aから抜けないようにする。次にこの状態で可動子41の嵌合部42を円筒状部材15に嵌合させ、カバー44をフレーム22に固定する。取り付けの手順としては、この他に、まず可動子41を円柱状部材15に嵌合させておき、次いでカバー44を、可動子41との間にコイルバネ45を挟みながら、突出部43が貫通孔44aをストッパー43aごと貫通するように取り付け、カバー44をフレーム22に固定するようにしてもよい。なお、可動子41、カバー44、および、コイルバネ45をドラムカートリッジ51の本体から取り外すときには、上記と逆の手順を踏めばよい。
【0080】
また、円筒状部材15、可動子41、および、カバー44は成形樹脂で作られている。この他、金属などを用いることも可能である。
【0081】
次に、上記ドラムカートリッジ51を電子写真装置に装着したときに、当該ドラムカートリッジ51が新品であるか使用済み品であるかを区別する動作について説明する。
【0082】
新品のドラムカートリッジ51に前記手順で可動子41、カバー44、および、コイルバネ45を取り付けて、当該ドラムカートリッジ51を電子写真装置に装着すると、図4(a)に示すように、可動子41の突出部43の突出先端がカバー44の貫通孔44aからC向きに所定長さだけ突出した状態で、電子写真装置の背面側を向く。このとき、突出部43はリーフスイッチ32を押圧するようになっている。これにより、電子写真装置側では、ドラムカートリッジ51が装着されたことを検出する。しかも、後述の説明から分かるように、リーフスイッチ32が押圧されるのはドラムカートリッジ51が新品であるときのみであるので、装着されたドラムカートリッジ51が新品であることも検出することができる。
【0083】
ドラムカートリッジ51が装着された電子写真装置を使用すると、電子写真装置本体の駆動軸31からドラムカートリッジ51に伝達される回転軸12の駆動力により、円柱状部材15が回転する。これにより、円柱状部材15の係合部材15a・15b・15cが可動子41の係合部材420a・420b・420cに係合して可動子41を回転させる。可動子41が、突出部43のストッパー43aが貫通孔44aの切り欠き部44bと対向する位置に達するまで回転すると、突出部43はストッパー43aごと貫通孔44aに対して通過可能となるので、可動子41の全体はコイルバネ45による力でD向きに移動する。可動子41の嵌合部42が円柱状部材15のC向き側端面の円形状端面に当接するか、コイルバネ45が伸び切るかすると、可動子43は回転軸12の軸方向には移動を停止して、回転軸12の周りの回転を続ける。
【0084】
図5に、このようにして可動子41が移動し終えた状態を示す。突出部43の突出先端がD向きに移動したことにより、電子写真装置のリーフスイッチ32への押圧が解除される。また、図5では、可動子41がD向きに移動し終えたときに、突出部43の全体がカバー44の内側に収まり、貫通孔44aよりもC向き側に突出する部分がなくなるようになっている。
【0085】
上述の動作により、新品のドラムカートリッジ51を電子写真装置に装着して一旦使用すると、可動子41がリーフスイッチ32を押圧する初期の所定位置からリーフスイッチ32を押圧しない所定位置以外の位置へ移動し、しかもその後は回転軸12が回転してもリーフスイッチ32を押圧しない位置にあり続けるので、再びリーフスイッチ32を押圧することがない。従って、使用済み品のドラムカートリッジ51を電子写真装置に装着して回転軸12を駆動しても、可動子41はリーフスイッチ32を押圧しない位置にあり続ける。このように、新品のドラムカートリッジ51の可動子41を上記所定位置に設置しておけば、電子写真装置での新品の使用開始時にのみ可動子41が所定位置にあり、それ以外には可動子41が所定位置以外にあることになるため、可動子41の位置が所定位置にあるか否かをリーフスイッチ32により検出することにより、電子写真装置に装着されたドラムカートリッジ51が新品であるのか使用済み品であるのかを判別することができる。
【0086】
また、このように可動子41が所定位置にあるか否かが検出されるようにすると、可動子41は、所定位置からその他の位置、この場合はD向き側の任意の位置へ移動しさえすればよいので、位置検出に伴う破損および破損品の除去を必要とせず、また、大きな移動を行う必要がないとともに移動に伴って基本的に変形する必要もないため、可動子41とその他の部材との不要な干渉が生じにくい。従って、従来のようにプロセスカートリッジから分離した部材が装置内で引っ掛かったり、フィルム状の部材がプロセスカートリッジ内で装置に噛み込まれたりすることがない。さらに、可動子41は破損や変形が前提となっていないため、形状復元の再生処理が基本的に不要であることから、所定位置以外に移動した可動子41を所定位置に戻して再使用したり、別のドラムカートリッジで再度使用したりすることが容易に可能となる。
【0087】
可動子41が所定位置に戻すことが可能であると、ドラムカートリッジ51を何回も新品として検出されるようにすることができる。また、ドラムカートリッジ51がリサイクルされるとき、可動子41が何度も使用可能であることから、リサイクルを容易にかつ低コストで実施することができる。
【0088】
以上により、新品と使用済み品とを区別することが可能でありながら、装置故障を引き起こしにくく、かつ、リサイクルが容易なプロセスカートリッジを実現することができる。
【0089】
また、上記ドラムカートリッジ51によれば、円柱状部材15、可動子41、カバー44、および、コイルバネ45の組合せにより、小型で移動距離の小さい、新品と使用済み品とを区別するための機構を実現することができる。また、図5のように、可動子41の移動後は、可動子41の全体がカバー44内に退避するようになっていれば、ドラムカートリッジ51を電子写真装置から取り外したときに可動子41を他物体にぶつけて破損するといったトラブルを起こしにくい。なお、可動子41の移動後に突出部43の一部が貫通孔44aからC向きに突出する状態となる構成も可能である。
【0090】
また、本実施例では実施例1のようにネジ部を形成せずに可動子41の移動を可能にしている。ドラムカートリッジ51の製造においてネジ部を一体成形するのは困難であるので、ネジ部を設けようとするとその工程を別途追加する必要があるが、本実施例ではネジ部の形成が不要な分、製造工程が簡略化される。また、複数のネジ部の螺合の精度ばらつきや使用疲労などを考慮しなくて済む。さらには、ドラムカートリッジ51を組み立てるときにネジ部を螺合させるという作業が不要である。ただし、実施例1の構成ではネジ部を設けたことにより、可動子16の移動を可能とする構成に用いる部品の点数が少なくて済む。
【0091】
以上、各実施例について述べた。上記実施例では可動子の位置を検出する検出手段をリーフスイッチ32としたが、検出手段としてはこのような押圧されて検出を行うものに限らない。可動子が所定位置にあるか否かを検出することができればよいので、例えば、可動子16のある部分を光検出するような検出手段を用いることも可能である。
【0092】
電子写真装置が、このような、可動子が所定位置にあるか否かを検出する検出手段を備えていれば、可動子の移動を利用して、プロセスカートリッジが新品であるか使用済み品であるかを容易に検出することができる。さらに、検出手段が、前記実施例で述べたような、可動子の突出部の突出先端によって押圧されるか否かによって可動子が所定位置にあるか否かを検出するものであれば、突出先端の移動を利用して、プロセスカートリッジが新品であるか使用済み品であるかを特に容易に検出することができる。また、電子写真装置本体側に検出手段を備えているので、トナー付着などによる検出接点や検出窓の不良が起こりにくい。
【0093】
また、実施例では本発明のプロセスカートリッジの例としてドラムカートリッジを挙げたが、これに限らず、図7を用いて説明したような帯電ユニット、現像槽カートリッジ、および、クリーナユニットなどの、回転軸が駆動されて動作するプロセスカートリッジならば何にでも本発明を適用することができる。駆動される回転軸としては、例えば図7の帯電ローラ3や現像ローラ4aなどがある。また、図示されていないが、クリーニング部6が内蔵する廃トナー搬送部材の回転軸も当てはまる。感光体ドラム2の感光体、帯電ローラ3、現像ローラ4a、および、クリーニング部6のクリーニングブレードなどが、使用による劣化を起こすため、本発明を適用してプロセスカートリッジが新品であるか使用済み品であるかを区別すれば、プロセスカートリッジの交換時期の適切な判断や、プロセス条件の適正化が可能になる。
【0094】
本発明は上述した各実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、プロセスカートリッジを用いる各種画像形成装置に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施例を示すものであり、(a)はドラムカートリッジの一端部の構成を示す断面図、(b)は(a)の一部分を別の方向から見た平面図である。
【図2】図1(a)の状態から可動子が移動した状態を示す断面図である。
【図3】図1(a)のE−E線断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例を示すものであり、(a)はドラムカートリッジの一端部の構成を示す断面図、(b)は(a)の一部分を別の方向から見た平面図である。
【図5】図4(a)の状態から可動子が移動した状態を示す断面図である。
【図6】図4(a)のF−F線断面図である。
【図7】本発明の実施形態を示すものであり、画像形成装置のプロセス部の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0097】
1、51 ドラムカートリッジ(プロセスカートリッジ)
12 回転軸
15 円柱状部材
16、41 可動子
21 カバー(固定子)
44 カバー(回転子)
45 コイルバネ(圧縮バネ)
17、42 嵌合部
18、43 突出部
18a 第1のネジ部
20a 貫通孔
43a ストッパー
44a 貫通孔
44b 切り欠き部
32 リーフスイッチ(検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に使用され、動作するときに回転軸が駆動される、交換可能なプロセスカートリッジであって、
前記回転軸の駆動力によって移動可能な可動子を備え、
前記可動子が所定位置にあるときには、前記プロセスカートリッジが前記画像形成装置に装着されて前記回転軸が駆動されると、前記可動子は前記駆動力により前記所定位置から移動し、その後は前記回転軸が駆動されても前記所定位置以外にあり続け、
前記可動子が前記所定位置以外にあるときには、前記プロセスカートリッジが前記画像形成装置に装着されて前記回転軸が駆動されても、前記可動子は前記所定位置以外にあり続けることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記可動子は、前記所定位置に戻すことが可能であることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
リサイクルされることを特徴とする請求項1または2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記回転軸と同軸で、前記回転軸とともに回転する一方、前記回転軸の軸方向には移動不能な円柱状部材を備え、
前記可動子は、前記円柱状部材の側面に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部に固定された突出部とを備え、
前記嵌合部は、前記円柱状部材の側面に対して、前記軸方向には移動可能で前記円柱状部材の円周方向には係合可能であり、
前記突出部は、前記回転軸と同軸で側面に第1のネジ部が設けられた円柱部を備え、前記円柱部は、前記嵌合部から、前記軸方向に沿って前記プロセスカートリッジの内側から外側へ向かう第1の向きに突出し、
前記プロセスカートリッジのフレームに固定される固定子を備え、前記固定子には前記可動子の前記突出部が前記嵌合部から見て前記第1の向きに貫通するとともに貫通状態で前記第1のネジ部と螺合する第2のネジ部を有する貫通孔が設けられ、前記螺合により前記突出部が前記貫通孔に螺嵌している螺嵌状態で前記可動子が前記回転軸の回転方向に回転すると前記第1のネジ部が前記第2のネジ部に対して前記第1の向きと反対の第2の向きに移動し、
前記螺嵌状態における前記可動子の位置の所定のものを前記所定位置とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記回転軸と同軸で、前記回転軸の軸方向には移動不能な円柱状部材を備え、
前記可動子は、前記円柱状部材の側面に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部に固定された突出部とを備え、
前記嵌合部は、前記円柱状部材の側面に対して、前記軸方向には移動可能で前記円柱状部材の円周方向には回転不能であり、
前記突出部は、前記回転軸と同軸で側面に第1のネジ部が設けられた円柱部を備え、前記円柱部は、前記嵌合部から、前記軸方向に沿って前記プロセスカートリッジの内側から外側へ向かう第1の向きに突出し、
前記回転軸とともに回転するとともに前記軸方向には移動不能な回転子を備え、前記回転子には前記可動子の前記突出部が前記嵌合部から見て前記第1の向きに貫通するとともに貫通状態で前記第1のネジ部と螺合する第2のネジ部を有する貫通孔が設けられ、前記螺合により前記突出部が前記貫通孔に螺嵌している螺嵌状態で前記回転子が前記回転軸の回転方向に回転すると前記第1のネジ部が前記第2のネジ部に対して前記第1の向きと反対の第2の向きに移動し、
前記螺嵌状態における前記可動子の位置の所定のものを前記所定位置とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記回転軸と同軸で、前記回転軸とともに回転する一方、前記軸方向には移動不能な円柱状部材を備え、
前記可動子は、前記円柱状部材の側面に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部に固定された突出部とを備え、
前記嵌合部は、前記円柱状部材の側面に対して、前記軸方向には移動可能で前記円柱状部材の円周方向には係合可能であり、
前記突出部は、前記回転軸と同軸の回転中心軸を有し、かつ、前記嵌合部から、前記プロセスカートリッジの内側から外側へ向かう第1の向きに突出し、かつ、突出方向に直交する方向の成分を有するストッパーを突出途上に備え、
前記プロセスカートリッジのフレームに固定される固定子を備え、前記固定子には前記可動子の前記突出部が前記嵌合部から見て前記第1の向きに貫通する貫通孔が設けられ、前記貫通孔には前記突出部が所定の向きにあるときにのみ前記ストッパーを前記貫通孔に通過可能とする切り欠き部が形成されており、
圧縮バネをさらに備え、前記圧縮バネの一端は、前記可動子の前記嵌合部に前記第1の向きと反対の第2の向きに当接し、前記圧縮バネの他端は、前記固定子に前記第1の向きに当接し、
前記可動子の前記突出部が前記ストッパーを含めて前記固定子の前記貫通孔を貫通している状態における前記可動子の位置の所定のものを前記所定位置とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のプロセスカートリッジが装着され、前記可動子が前記所定位置にあるか否かを検出する検出手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項4ないし6のいずれかに記載のプロセスカートリッジが装着され、前記可動子の前記突出部の突出先端によって押圧されるか否かによって前記可動子が前記所定位置にあるか否かを検出する検出手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−235236(P2006−235236A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49637(P2005−49637)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】