ホログラム記録媒体、ホログラム装置
【課題】 光導波路型のホログラム記録媒体において多層記録を実現する。
【解決手段】 コア層2が複数積層されたホログラムメモリ11において、コア層2を二色ホログラムで構成する。これによれば、それぞれ波長が同等とされる参照光B1、信号光BSの照射のみではコア層2が記録可能な状態に励起されず、参照光B1と、これと波長の異なるゲート光B2を照射した場合にのみコア層2を記録可能な状態とすることができる。従来では、信号光BSが他のコア層2にも照射されて記録対象のコア層2以外に無効なパターンが焼き付いて多層記録が不可能とされていたが、参照光B1とゲート光B2が照射される記録対象のコア層2のみを記録可能な状態とすることができるので、上記無効パターンの焼き付きを効果的に防止でき、多層記録を実現することができる。
【解決手段】 コア層2が複数積層されたホログラムメモリ11において、コア層2を二色ホログラムで構成する。これによれば、それぞれ波長が同等とされる参照光B1、信号光BSの照射のみではコア層2が記録可能な状態に励起されず、参照光B1と、これと波長の異なるゲート光B2を照射した場合にのみコア層2を記録可能な状態とすることができる。従来では、信号光BSが他のコア層2にも照射されて記録対象のコア層2以外に無効なパターンが焼き付いて多層記録が不可能とされていたが、参照光B1とゲート光B2が照射される記録対象のコア層2のみを記録可能な状態とすることができるので、上記無効パターンの焼き付きを効果的に防止でき、多層記録を実現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路型のホログラム記録媒体と、光導波路型のホログラム記録媒体に対する情報信号の少なくとも記録を行うホログラム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、光導波路型のホログラムメモリへの情報信号の記録原理について、その概要を示した図である。
先ず、光導波路型のホログラムメモリ101は、例えば図示するようにしてクラッド層103、コア層102、クラッド104層をこの順に積層して成る。コア層102は、この場合の光導波路であり、これを挟む2つのクラッド層103、104よりも屈折率の高い部材により形成されている。
光導波路は、光が屈折率の高い領域に伝播する性質を有することを利用したものである。つまり、このように屈折率の低いクラッド層103、104の間に屈折率の高いコア層102が挿入されることで、後述するようにして入射される参照光B1がこのコア層102を介して伝播するようにされている。
【0003】
そして、このようなホログラムメモリ101に対しては、光導波路としてのコア層102に伝播させた参照光B1に対し、外部から照射した信号光BSを干渉させてその干渉縞を焼き付けることで、情報信号を記録するようにされる。
【0004】
このような記録動作を可能とする具体的な構成例としては、例えば図9(a)に示されるものとなる。
図9(a)において、レーザダイオードLDsから出射されたレーザ光は、コリメータレンズL1にて平行光とされた後、例えば液晶素子等による空間変調器105によって記録されるべき情報信号に基づく変調を受ける。そして、空間変調器105により変調されたレーザ光は、信号光BSとして対物レンズL2を透過してホログラムメモリ101のコア層102に集光される。
光導波路としてのコア層102に対しては、その端部側から照射された参照光B1が伝播するようにされる。
この場合、参照光B1と信号光BSは、同じ波長でお互いに位相が揃ったコヒーレント光とされる。そして、上記のようにして信号光BSが参照光B1が伝播するコア層2に集光されることによっては、これら参照光B1と信号光BSとが重なった部分において光が干渉する。
【0005】
図9(b)は、このように参照光B1と信号光BSとが干渉した部分を拡大した図であるが、この部分では、図示するようにして信号光BSに応じた干渉縞Wが形成される。
このとき、コア層102としては所定の光の照射に応じて屈折率が変化するフォトリフラクティブ材料により構成されていることで、この干渉縞Wは屈折率の異なる部分として焼き付くものとなり、これによって情報信号が記録されることになる。
【0006】
なお、関連する従来技術については以下の特許文献を挙げることができる。
【特許文献1】特開2001−325730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、先の図9(a)においては、ホログラムメモリ101として、光導波路としてのコア層2が単層とされる場合を例示したが、光導波路型のホログラムメモリとしては、コア層を複数積層して多層記録を行うことも考えられる。
ここで、このようにして複数の記録層が形成され、多層記録が可能なホログラムメモリに対しては、当然のことながら各記録層ごとに情報信号を記録することができるようにされている必要がある。
しかしながら、従来の記録の手法では、ホログラムメモリとして複数の記録層が形成されたとしても、各記録層ごとに情報信号を記録することが不可能とされていた。
【0008】
このことを、次の図11を参照して説明する。
図11は、従来技術に基づき記録層を多層に構成したホログラムメモリ111に対して情報が記録される際の様子を模式的に示した図である。
先ず、この場合は、図示する対物レンズL11によって信号光BSを図中において最も上層に位置するコア層102に集光し、且つ参照光B1をこの最も上層のコア層102に伝播させている。すなわち、これによって、この最も上層のコア層102において参照光B1と信号光BSとを干渉させて情報信号の記録を行っているものである。
なお、ここで確認のために述べておくと、信号光BSと参照光B1としては、それぞれを干渉させて干渉縞Wを形成するために、通常は同等の波長による光ビームを用いるようにされる。
【0009】
しかしながら、上記のようにして信号光BSの集光位置及び参照光B1を伝播させるコア層102の選択により、記録を行うコア層102の選択を行ったとしても、この場合、信号光BSは図示するようにしてこの選択されたコア層102を透過し、さらに下層に位置するコア層102に対しても照射されてしまう。
これら下層に位置するコア層102では、参照光B1は伝播していないことから、干渉縞Wとしての情報信号は記録されることはない。しかし、上記のようにして信号光BSがこれら下層のコア層102に対しても照射されてしまうことから、これらコア層102に対しては、図中にXと示したように信号光BSに応じた所要のパターンが焼き付いてしまう可能性があり、これによって無効な情報が記録されたり、或いは既に信号が記録済みである場合にはこれらが破壊されてしまう可能性があった。
【0010】
このようにして従来の手法では、記録層が多層とされるホログラムメモリ111に対しては、各記録層ごとに情報信号の記録を行うことが実質的に不可能であるとされていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明では以上のような問題点に鑑み、先ずはホログラム記録媒体として以下のように構成することとした。
すなわち、本発明のホログラム記録媒体は、クラッド層に挟まれたコア層が備えられて光導波路が形成される光導波路型のホログラム記録媒体であって、上記コア層が、第1の光の照射に応じては電荷キャリアが準安定順位に励起され、さらに上記第1の光とは波長の異なる第2の光の同時の照射に応じては電荷キャリアが安定順位に励起される性質とされたフォトリフラクティブ材料によって構成されているものである。
【0012】
また、本発明ではホログラム装置として以下のように構成することとした。
つまり、クラッド層に挟まれたコア層が備えられて光導波路が形成される光導波路型のホログラム記録媒体について少なくとも記録を行うホログラム装置として、先ずは、上記ホログラム記録媒体に対し、記録されるべき情報信号に基づいて変調される信号光を照射するための信号光源を備える。
また、上記ホログラム記録媒体における上記光導波路の端部側から、参照光としての第1の光を導入するための第1の光源を備える。
その上で、上記第1の光とは波長が異なる第2の光を上記光導波路の端部側から導入するための第2の光源とを備えると共に、上記第1の光源からの上記第1の光と、上記第2の光源からの上記第2の光とが同一の上記光導波路に対して導入されるように構成されているものである。
【0013】
上記本発明のホログラム記録媒体の構成によれば、光導波路としてのコア層は、所要の波長による第1の光の照射のみでは記録可能な状態である安定順位には励起されず、これに加えて波長の異なる第2の光が照射されることではじめて記録可能な状態に励起されることになる。
つまりこれによれば、従来のように互いが同等の波長とされる参照光、信号光のみの照射ではコア層が記録可能な状態に励起されないようにすることができるので、選択されたコア層以外に信号光が照射されても、これらのコア層にはパターンが焼き付かないようにすることができる。また、これに対し、参照光・信号光による波長の光と共に波長の異なる第2の光とが照射されたコア層は記録可能な状態とすることができるので、このコア層に対しては信号光に応じた情報信号を記録することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
このようにして本発明のホログラム記録媒体の構成によれば、それぞれ波長が異なるようにされた第1の光と第2の光とが照射されたコア層でのみ情報信号を記録することができ、それ以外のコア層での信号光の照射に応じたパターンの焼き付きは効果的に防止することができる。すなわち、これによって従来は不可能とされていた多層記録を実現することができるものである。
【0015】
そして、本発明のホログラム装置としては、信号光源と共に、上記第1の光と上記第2の光とを同一の光導波路(コア層)に対して導入するようにされた第1の光源と第2の光源とを備えるようにされていることで、上記本発明のホログラム記録媒体に対応して情報信号を記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
図1(a)は、本発明における第1の実施の形態としてのホログラム装置の構成について示した図である。
なお、この図においては、第1の実施の形態のホログラム装置における主に光学系の構成のみを抽出して示している。また、ホログラム記録媒体としてのホログラムメモリ11については、その断面構造を示している。
【0017】
先ず、第1の実施の形態のホログラム装置としては、図示するホログラムメモリ11としての、光導波路型によるホログラム記録媒体に対する情報信号の少なくとも記録を行う、記録装置として構成されたものである。
また、この場合、光導波路型のホログラムメモリ11としては、記録層(コア層2)を複数備えるものとされ、これに対応してホログラム装置としては、後述するようにして各記録層ごとの情報信号の記録が可能となるように構成される。
【0018】
先ず、図1(a)に示されるホログラム装置において、図示するレーザ光源LDsから出射されたレーザ光は、コリメータレンズL1にて平行光に変換され、空間変調器5に入射する。空間変調器5は、例えば二次元に配列された液晶素子により構成され、図示しない所定の回路部から入力される記録データに基づき各画素のオン/オフを制御する。つまり、このような空間変調器5を透過したレーザ光は、上記記録データに基づき二次元的に光量が変調され、これによってホログラムメモリ11に対して記録されるべき情報信号に応じた信号光BSが得られる。
そして、このように空間変調器5を透過して得られた信号光BSは、この場合は図示する対物レンズL2と近接レンズL3を透過することで、ホログラムメモリ11内の所定のコア層2に対して集光するようにされる。
【0019】
ここで、上記のようにして図1(a)に示されるホログラム装置では、対物レンズL2とホログラムメモリ11の表面との間に、近接レンズL3を挿入するものとしているが、この近接レンズL3の挿入により、さらなる高記録密度化が図られる。
【0020】
先ず、この近接レンズL3を設けたことによる動作の説明の前に、従来の記録の手法について触れておく。
従来の記録手法では、ホログラム記録媒体に対して、信号光BSを対物レンズL2のみによって集光して照射するものとされていた。そして、このように信号光BSを対物レンズL2のみにより集光して記録動作を行う手法では、図10に示されるようにして、記録密度の向上に限界があるものとされていた。
【0021】
図10は、或る入射角度で以てホログラムメモリ101に照射された信号光BSと、光導波路を伝播する参照光B1とが干渉して干渉縞Wを形成する様子を模式的に示した図である。なお、ここでは一例として記録層が単層とされるホログラムメモリ101を例示している。
ここで、高記録密度化を図るためには、干渉縞Wをより細かいパターンにより焼き付けることができればよい。そして、ホログラムメモリ101に焼き付けられる干渉縞Wの周期Λは、ホログラムメモリ101の屈折率がns(正確には光導波路の有効屈折率neffであるが、一般的にコア層102とクラッド層103の屈折率差は微少であるからその差は考慮しない)、ホログラムメモリ101に照射される光ビームの波長をλ0とした場合に、
「Λ=λ0/2ns・sinθ」
により表すことができる。但し、この場合θは信号光BSと参照光B1の為す角の半分である。
【0022】
上記の式から、ホログラムメモリ101に刻むことのできる干渉縞Wの最小周期は、θがπ/2(90°)とされたときの、Λ=λ0/2nsであることがわかる。そして、θが90°となるということは、参照光B1と信号光BSとが一直線上で対向して伝播したときである。
また、上記式より、この場合は屈折率nsの値を大きくすることによっても、周期Λの値は小さくできることが理解できる。
従って、干渉縞Wをより小さなパターンとするためには、ホログラムメモリ101の屈折率nsを高くし、参照光B1と信号光BSとの為す角を0〜180°の間でできるだけその幅を広くすればよいことになる。
【0023】
しかしながら、実際において、参照光B1と信号光BSとが為す角を拡大することによっては、照射した信号光BSがホログラムメモリ101の表面にて反射されて、コア層102に到達できなくなってしまう。
上記もしたように干渉縞Wの周期Λが最小となるのは、参照光B1と信号光BSとが一直線上に対向されたときである。つまり、この図10中のθ0が90°となるときである。
しかしながら実際において、大気中の屈折率はn=1である。また、ホログラムメモリ101は所要の屈折率=nsを有している。
このため、スネルの法則:
「n0・sinθ0=ns・sinθs」
より、図中θ0がある臨界角θ0s:
「θ0s=sin-1 ・ns」
以上となるときには、空気とホログラムメモリ101との界面で光が全反射してしまい、導波路への信号光BSの入射が困難となる。この結果、実際において信号光BSの入射角を拡大することによっては、或る臨界角を超えた場合に信号光BSがコア層に到達できず、情報信号の記録ができなくなってしまうことになる。
【0024】
このようにして、従来の手法によりホログラムメモリに対して記録動作を行う場合には、信号光BSの入射角の拡大に限界があり、これに伴って記録密度の向上にも限界があるものとされていた。
【0025】
そこで、実施の形態では、信号光BSをコア層2に集光させるための構成として、対物レンズL2と共に上記した近接レンズL3を設けるものとしている。
この近接レンズL3としては、次の図1(b)に示されるようにして、対物レンズL2と対向する面の形状が概球形とされ、その反対側となるホログラムメモリ11の表面(信号光BSの照射を受ける面:情報記録面)と対向する面の形状は平面形状とされた、概半球面レンズとされる。
そしてこのとき、ホログラムメモリ11の表面と、この近接レンズL3の平面形状とされた面との間には、当該近接レンズL3を透過する信号光BSの波長以下の長さとなるギャップGを設けるものとしている。
【0026】
ここで、このように近接レンズL3を設け、記録媒体との間に透過する光の波長以下のギャップGを設ける技術は、所謂ニアフィールド記録と呼ばれる技術として知られている。
このようなニアフィールド記録の技術によれば、原理的に近接レンズL3に対する光の入射角がθ0=90°とされた場合にも、入射光は空気と記録媒体表面との界面にて全反射せず、記録媒体内に近接場光(エヴァネッセント光)として染み出し、内部に到達できるようになる。
つまり、これによれば、先の図10にて説明したような臨界角を超える広い入射角としても、信号光BSをコア層2に到達させることができる。そして、これによれば、従来では臨界角に伴う記録密度の限界があったのに対して、本例ではこの限界を超えてさらなる高記録密度化を図ることができる。
【0027】
なお、図1(a)では、近接レンズL3におけるホログラムメモリ11の表面と対向する側の面形状が全体にわたって平面とされた例を示しているが、少なくともホログラムメモリ11と対向する面の一部が平面とされていればよく、必ずしも全面が平面とされる必要はない。
【0028】
ところで、図1(a)にも示されているように、実施の形態のホログラム装置が対応するホログラムメモリ11としては、光導波路としてのコア層2が複数設けられ、記録層が複数形成されている。そして、このようにして複数の記録層が形成され、多層記録が可能なホログラムメモリ11に対しては、当然のことながら各記録層ごとに情報信号を記録することができるようにされている必要がある。
【0029】
しかしながら、従来の記録の手法では、ホログラムメモリ11に複数の記録層が形成されたとしても、各記録層ごとに情報信号を記録することが不可能とされていた。
このことを、図11を参照して説明する。
図11は、従来技術に基づき記録層を多層に構成したホログラムメモリ111に対して情報が記録される際の様子を模式的に示した図である。
先ず、この場合は、図示する対物レンズL11によって信号光BSを図中において最も上層に位置するコア層102に集光し、且つ参照光B1をこの最も上層のコア層102に伝播させている。すなわち、これによって、この最も上層のコア層102において参照光B1と信号光BSとを干渉させて情報信号の記録を行っているものである。
なお、ここで確認のために述べておくと、信号光BSと参照光B1としては、それぞれを干渉させて干渉縞Wを形成するために、通常は同等の波長で且つお互いの位相が揃ったコヒーレント光を用いるようにされる。
【0030】
しかしながら、上記のようにして信号光BSの集光位置及び参照光B1を伝播させるコア層102の選択により、記録を行うコア層102の選択を行ったとしても、この場合、信号光BSは図示するようにしてこの選択されたコア層102を透過し、さらに下層に位置するコア層102に対しても照射されてしまう。
これら下層に位置するコア層102では、参照光B1は伝播していないことから、干渉縞Wとしての情報信号は記録されることはない。しかし、上記のようにして信号光BSがこれら下層のコア層102に対しても照射されてしまうことから、これらコア層102に対しては、図中にXと示したように信号光BSに応じた所要のパターンが焼き付いてしまう可能性があり、これによって無効な情報が記録されたり、或いは既に信号が記録済みである場合にはこれらが破壊されてしまう可能性があった。
このことから、従来の手法では、記録層が多層とされるホログラムメモリ111に対しては、各記録層ごとに情報信号の記録を行うことが実質的に不可能であるとされていた。
【0031】
そこで、実施の形態では、同様に記録層が多層とされるホログラムメモリ11について、参照光B1・信号光BSの波長による光ビームの照射のみでは、コア層2が記録可能な状態に励起されないようにし、参照光B1・信号光BSの波長の光ビームと共に、さらに異なる波長による光ビームが同時に照射された場合にのみコア層2が記録可能な状態に励起されるように構成するものとしている。
【0032】
ここで、このように或る特定の条件で光ビームを照射した場合にのみ記録媒体を記録可能な状態に励起させることを可能とする技術は、いわゆる「二色ホログラム」として知られている。
この二色ホログラムとは、バイポーラロンを形成するようなフォトリフラクティブ材料である。例えば、Pr(プラセオジム)を添加したニオブ酸リチウム結晶や、定比に近い組成によるニオブ酸リチウム結晶(不純物を含まないか或いはFeを含むもの)を還元処理したものを挙げることができる。
このような二色ホログラムでは、ある波長による光の照射に応じて、電荷キャリアが順安定順位(中間励起順位)に励起され、さらに他の波長による光の照射に応じて電荷キャリアが安定順位に励起される。
【0033】
第1の実施の形態では、このような二色ホログラムによりコア層2を構成する。このようにすることで、参照光B1、信号光BSの波長による光ビームの照射のみでは、コア層が記録可能な状態には励起されないので、上述したようにして選択された以外のコア層2に対して信号光BSが照射されたとしても、信号光BSに応じたパターンが焼き付かないようにすることができる。
一方で、記録が行われるべきコア層2に対しては、参照光B1と共にこれと波長の異なる他の光ビームを同時に照射することで、当該コア層2を記録可能な状態に励起することができ、これによって参照光B1と信号光BSとの干渉による干渉縞Wを焼き付けることができるようになる。
【0034】
なお、二色ホログラムについては、例えば以下の文献に記載されている。
・特開2001−5369号公報
・(M.Lee, S.Takekawa, Y.Furukawa, Y.Uchida, K.Kitamura, H.Hantano and S.Tanaka, “Photocromic effecting near-stoichiometoric LiNbO3 and two-color holographic recording”, J.Appl.Phys., Vol.88, p.4476, 2000)
また、これらの文献の記載に倣い、本明細書としても、上記のようにして参照光B1と共に同時に照射されることで二色ホログラムを記録可能な状態に励起させるための光ビームのことを「ゲート光」と呼ぶこととする。
【0035】
そして、実施の形態のホログラム装置としては、上述のようにして二色ホログラムによるコア層2が形成されたホログラムメモリ11に対応すべく、参照光B1と共に、上記したゲート光をコア層2の端部側から照射するための光源を別途備えるようにされる。
この光源としては、図示するレーザ光源LD2を備える。このレーザ光源LD2は、図示するゲート光B2として、参照光B1、信号光BSの光源となるレーザ光源LD1、レーザ光源LDsが出力するレーザ光とは波長の異なるレーザ光を出力するようにされる。
そしてこの場合、上記レーザ光源LD1と上記レーザ光源LD2とは、同一のコア層2に対して参照光B1とゲート光B2とが導入されるように構成される。
さらに、図中に破線で囲うようにして、例えばこれらレーザ光源LD1とレーザ光源LD2とを、図中Y軸方向(コア層2の積層方向)に一体的に移動可能な可動部SMを備えるようにされていることで、これら参照光B1とゲート光B2とを導入するコア層2を選択することができるようにされている。
【0036】
ここで、具体的にこの場合の各レーザ光の波長として、それぞれ参照光B1、信号光BSの光源となるレーザ光源LD1及びレーザ光源LDsが出力するレーザ光の波長は、例えば850nmである。
これに対し、レーザ光源LD2が出力するゲート光B2の波長は、例えば310nmである。
【0037】
上記のような構成された第1の実施の形態としてのホログラム装置の動作としては、先ず、可動部SMによって、レーザ光源LD1とレーザ光源LD2とによる参照光B1とゲート光B2との照射位置を、記録が行われるべきコア層2に合わせるようにされる。このように参照光B1とゲート光B2とが導入された当該コア層2は、安定順位に励起されて記録可能な状態となる。
そして、先に説明した動作によって、空間変調器5に対して印加されたデータに基づく信号光BSがホログラムメモリ11内部に照射される。これにより、上記のようにして参照光B1とゲート光B2とが照射されたコア層2では、参照光B1とこの信号光BSとが干渉して干渉縞Wが形成されると共に、上述のようにして記録可能な状態に励起されていることで、この干渉縞Wが焼き付いて情報信号が記録されるものとなる。
【0038】
つまり、このような第1の実施の形態のホログラム装置の動作によれば、参照光B1とゲート光B2とを同時に照射したコア層2に対してのみ、選択的に信号光BSに応じた干渉縞Wを情報信号として記録することができ、また、参照光B1とゲート光B2が照射されない他のコア層2は安定順位となっていないことから、信号光BSが照射されてもパターンが焼き付くことはない。これによって、従来は不可能とされていた多層記録が可能となるものである。
【0039】
これまでで説明したようにして、図1(a)に示した第1の実施の形態のホログラム装置によれば、先ずはニアフィールド記録により、従来の限界を超えたさらなる高記録密度化を実現することができる。
その上で、第1の実施の形態では、ホログラムメモリ11が備える各コア層2として二色ホログラムを用い、ホログラム装置側では各コア層2に対して選択的に参照光B1・ゲート光B2を照射することで、多層記録を実現することができる。
【0040】
なお、図1(a)に示したホログラム装置としては、ホログラムメモリ11として複数のコア層2を備えて多層記録が可能とされる場合を例示したが、コア層2を1つのみ備える単層のホログラムメモリ10に対応する構成とすることができる。
そして、この場合は、特にコア層2を選択して記録を行う必要がなくなるので、コア層2として必ずしも二色ホログラムを用いる必要はない。また、ホログラム装置としても、ホログラムメモリ10に対してゲート光B2は照射する必要は特になく、例えば次の図2に示すようにして、図1(a)に示した構成からゲート光B2を照射するためのレーザ光源LD2を省略した構成とすることもできる。また、これと共に可動部SMも省略することができる。
【0041】
或いは、図1(a)に示したホログラム装置としては、次の図3に示されるように、近接レンズL3を省略した構成とすることもできる。つまり、この場合は、空間変調器5を透過して得られた信号光BSを、対物レンズL2によってのみ所要のコア層2に対して集光するように構成するものである。
【0042】
ここで、近接レンズL3を設けた場合、ホログラム記録媒体の表面との間隔を信号光BSの波長以下とする必要があった。しかし、このように対物レンズL2のみで集光するものとすれば、ホログラム記録媒体の表面との間隔は任意に設定することが可能となる。
そこで、図3の構成では、対物レンズL2をホログラムメモリ11表面に対して接離する方向に移動可能として、フォーカス機能を持たせるものとしている。これによれば、各コア層2に信号光BSの集光位置を調整することが可能となる。
その具体的構成としては、図3に示されるように[対物レンズL2・空間変調器5・コリメータレンズL1・レーザ光源LDs]を図中Y軸方向に一体的に駆動可能なピックアップ7を構成するものとすればよい。
【0043】
このようなピックアップ7を設け、各コア層2において信号光BSを集光して記録を行うことができれば、各コア層2に対してその分高い光波エネルギー密度で以て信号光BSを印加できるので、これに伴って干渉縞Wの焼き付けに要する時間を短縮化することができる。そして、このように干渉縞Wの焼き付けに要する時間の短縮化が図られれば、その分記録レートの向上につながる。
【0044】
ところで、図1(a)に示したホログラム装置では、空間変調器5に平行光を透過させて情報信号に応じた光波パターンを形成して、これを信号光BSとして対物レンズL2及び近接レンズL3によって所要のコア層2に集光するように構成されていた。このような構成によると、上記所要のコア層2における信号光BSの集光面では、空間変調器5で形成された光波パターンのフーリエ変換像が得られることになるが、このことにより、この場合の信号光BSのコア層2での集光面は、単円のビームスポットが形成されるわけではなく、その外周部分にエアリーパターン様のパターンが形成されるものとなる。このエアリーパターン様のパターンは、上記集光面中心から外側となるに従ってその光量は次第に減衰はするものの、外側に無限に広がるパターンとなる。
【0045】
ここで、光導波路型のホログラム記録媒体に対する記録動作としては、一般的にコア層の平面上を複数の記録ブロックに分割し、各記録ブロックごとに信号光を集光して情報信号の記録を行うようにされる。
このような場合、上記のようにしてエアリーパターン様のパターンが形成されることによっては、各記録ブロック間で記録信号が干渉する可能性があり、この干渉した部分がノイズ成分として記録されてしまう可能性がある。
【0046】
この対策として、先の図1(a)に示した第1の実施の形態としての構成を採る場合は、各記録ブロックの間隔を充分に空けるようにすることで、このようなエアリーパターン様のパターンどうしの干渉が極力抑えられるようにすることができる。
しかしながら、このように記録ブロック間の間隔を空けるということは、その分、ホログラムメモリ11の記録密度の低下につながる。
【0047】
そこで、先の第1の実施の形態の構成に基づき、さらなる記録密度の向上を図るとした場合は、次の図4に示される第2の実施の形態としての構成を採ることができる。
この図4に示される第2の実施の形態のホログラム装置としては、図1(a)に示したホログラム装置の構成に加え、空間変調器5にて変調されて得られた二次元像のフーリエ変換像が得られる面(フーリエ変換面)に対してアパーチャ6を配し、このアパーチャ6によって信号光BSの集光位置に生じる不要なエアリーパターン様のパターンを除去するようにしたものである。
なお、この図4において、図1(a)にて説明した部分と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
図4において、エアリーパターン様のパターンを除去するための構成としては、図示する集光レンズL4、アパーチャ6、コリメータレンズL5を追加するものとしている。
この場合、集光レンズL4は、空間変調器5を透過して得られる、平行光による信号光BSを集光する。
そして、この集光レンズL4により集光された信号光BSの集光面となる位置に、アパーチャ6が配置される。
【0049】
ここで、先にも述べたように、空間変調器5を透過して得られた信号光BSの集光面は、空間変調器5で変調されて得られた二次元像の光波分布のフーリエ変換面とされ、この集光面の中心から外側にかけては、空間周波数の高い成分が無限に広がったエアリーパターン様のパターンが形成される。
この場合、外側における空間周波数の高い成分は、記録信号として必要な光波分布の周波数分布よりも周波数が高くなっていることから、情報信号の記録にとっては不要な成分となる。そこで、上記のようにして設けたアパーチャ6によって、このような集光面の外側部分に得られる不要な成分を除去することができるものである。
【0050】
そして、このアパーチャ6を通過して得られた発散光による信号光BSは、図示するコリメータレンズL5を透過することで平行光とされ、この平行光による信号光BSが、図1(a)に示したものと同様の対物レンズL2・近接レンズL3を透過するようにされる。これによって信号光BSはホログラムメモリ11内の所要のコア層2に対して集光される。
このとき、対物レンズL2・近接レンズL3によって集光される信号光BSは、先に説明したようにしてアパーチャ6によって記録信号として必要な周波数分布よりも高い周波数帯の成分が除去されているものである。すなわち、この場合の集光面に位置するコア層2に対しては、外周の不要なエアリーパターン様のパターンが良好に除去された信号光BSを照射できる。
【0051】
このようにして第2の実施の形態のホログラム装置によれば、信号光BSとして記録に不要な成分を良好に除去することができるので、エアリーパターン様のパターンどうしの干渉を考慮しての間隔はとらずに効率的に情報信号を記録することができる。そして、このように間隔を空けずに効率的に情報信号が記録できることで、さらなる高記録密度化を実現することができる。
【0052】
なお、図4に示した第2の実施の形態のホログラム装置では、図1(a)に示したホログラム装置と同様に、近接レンズL3を備えるものとしたが、次の図5に示されるようにして近接レンズL3を省略した構成とすることもできる。
この図5に示される構成を採る場合としても、アパーチャ6が備えられることによって、図4の場合と同様に高記録密度化を図ることができる。
また、この図5にも示されているようにして、単層のホログラムメモリ10に対応する構成とされてもよい。つまり、この場合としては、図1(a)のホログラム装置が備えていたゲート光B2の照射のためのレーザ光源LD2、及び可動部SMを省略することもできる。
【0053】
さらには、次の図6に示されるようにして、図4の構成から近接レンズL3のみを省略した構成を採ることもできる。
このように近接レンズL3のみを省略して多層のホログラムメモリ11に対応して記録を行う構成とした場合としては、先の図3に示したものと同様に、フォーカス機能を与えることができる。つまり、この図6中に破線で囲うように、[レーザ光源LDs、コリメータレンズL1、空間変調器5、集光レンズL4、アパーチャ6、コリメータレンズL5、対物レンズL2]を、ピックアップ9として少なくとも図中Y軸方向に一体的に駆動することができるように構成することで、対物レンズL2による集光位置を可変することができ、これによって各コア層2で信号光BSを集光できるようにするものである。
このように各コア層2にて信号光BSを集光できることによる効果は、図3にて説明したものと同様である。
【0054】
続いて、図7は、第3の実施の形態としてのホログラム装置の構成を示している。
この図7では、先の図1(a)に示した第1の実施の形態のホログラム装置のように、近接レンズL3を設けたホログラム装置によってニアフィールド記録により高密度で記録が行われたホログラムメモリ11に対応して再生を行うことが可能な、再生装置としてのホログラム装置の構成を示している。
なお、この図としても、このような再生装置としてのホログラム装置の構成については、主にその光学系の構成のみを抽出して示している。また、この図においても、先の図1にて説明した部分と同様の部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
先ず、光導波路型のホログラム記録媒体について再生を行う場合としても、光導波路としてのコア層に対して参照光を伝播させる。この場合、ホログラムメモリ11に参照光B1を照射するための光源としては、図示するレーザ光源LD1を備える。
【0056】
ここで、コア層2に伝播する参照光B1は、当該コア層2において記録される情報信号としての干渉縞Wに応じて回折を受け、これが回折光ksとして光導波路外に放射されることになる。
この回折光ksは、上記のようにして干渉縞Wに応じて回折を受けて得られるものであるから、ホログラム記録媒体に記録された情報信号に応じた二次元像を含むものとなる。従って、この回折光ksを、例えばCCD(Charge Coupled Devices)等による二次元光センサ8上に結像して電気信号に変換することで、ホログラム記録媒体に記録された情報信号を読み出すことができる。
【0057】
図7において、ホログラムメモリ11から放射される回折光ksを二次元光センサ8に導くための構成としては、図示するようにして近接レンズL3、対物レンズL2、集光レンズL6、アパーチャ6、コリメータレンズL7を備えている。
近接レンズL3は、この場合もホログラムメモリ11の表面との間に、参照光B1の波長以下の所要のギャップGが形成されている。
この近接レンズL3には、ホログラムメモリ11から放射される回折光ksの一部が透過し、この近接レンズL3を透過した回折光ksは対物レンズL2を透過することで平行光とされた後、集光レンズL5を透過することで集光される。
【0058】
この場合、アパーチャ6は、この集光レンズL5による回折光ksの集光面に位置するようにして設けられる。
そして、このアパーチャ6を通過した発散光による回折光ksは、コリメータレンズL7により平行光に変換されて二次元光センサ8に対して照射される。
【0059】
ここで、ホログラムメモリ11の再生時においては、図からも理解されるように、参照光B1が伝播するコア層2の全面から回折光ksが放射されるものである。このことから、図7に示される構成のように、コア層2の平面上における所要部分から記録信号を読み出すにあたっては、コア層2における他の領域から放射された回折光ksも紛れ込むものとなり、これがクロストークの原因となる。
【0060】
そこで、再生装置としても、上記のようにしてアパーチャ6を設ける意義がある。図7の場合、アパーチャ6は、集光レンズL6による回折光ksの集光面に位置するようにして設けられる。
このように回折光ksの集光面では、対象となる読み出し領域に記録された信号成分は中心部に現れ、その外側に他の読み出し対象領域以外からの回折光成分が混入する。従って、ここにおいてアパーチャ6を挿入して集光された回折光ksの中心部のみを通過させることで、読み出し対象領域以外から放射される不要な回折光成分を良好に除去することができる。
つまり、これによって読み出し対象領域以外に記録された信号とのクロストークを抑制することができるものである。
【0061】
上記構成による第3の実施の形態のホログラム装置によれば、近接レンズL3が設けられることで、同様に近接レンズL3を用いてニアフィールド記録により高密度に記録された信号をより確実に読み出し、これを再生することができる。
また、上記したアパーチャ6の挿入によってクロストークの低減が図られることによっては、各記録ブロックの間隔を狭めることができるので、この点でもさらなる記録密度の向上を図ることができる。
【0062】
なお、図7に示した例では、ニアフィールド記録が行われたホログラム記録媒体に対応して再生を行う再生装置としての構成を例示したが、ニアフィールド記録によらない記録手法により記録が行われたホログラム記録媒体について再生を行うとした場合には、例えば次の図8に示されるように、図7に示した構成から近接レンズL3を省略した構成を採ることができる。
また、この図8にも示されているように、1つのコア層2のみを備えるようにされて、コア層2が二色ホログラムとされない単層のホログラムメモリ10に対応して再生を行うこともできる。
【0063】
なお、確認のために述べておくと、再生装置の場合は、記録装置の場合とは異なり、ホログラム記録媒体の単層/多層に関わらず、ゲート光B2照射のためのレーザ光源LD2は不要である。すなわち、ゲート光B2は、記録時において、ホログラム記録媒体が多層とされる場合に所要のコア層2を選択的に記録可能な状態に励起するために必要となるものであり、多層によるホログラム記録媒体について再生を行う場合は、参照光B1の照射位置のみを調整すればよいからである。
【0064】
ここで、本発明としてはこれまでに説明した各実施の形態に限定されるべきものではない。
例えば、各実施の形態において、対物レンズL2と近接レンズL3とは別体で構成されるものとしたが、これらを一体に構成することもできる。
また、実施の形態では、ホログラム記録媒体について記録が可能な記録装置と、再生が可能な再生装置の構成をそれぞれ別々に示したが、ホログラム記録媒体に対する記録及び再生が可能な記録再生装置として構成することもできる。
【0065】
また、信号光BS、参照光B1、ゲート光B2の波長としても、先に例示したものに限らず、ホログラムメモリ11のコア層2に用いる二色ホログラムの材質に応じて適宜変更されて良いものである。
【0066】
また、特に第3の実施の形態の再生装置としては、記録可能なホログラム記録媒体について再生を行う場合について例示したが、再生専用のホログラム記録媒体に対応して情報信号の再生を行うこともできる。
ここで、再生専用のホログラム記録媒体では、実施の形態で例示したホログラム記録媒体と同様にクラッド層に挟まれたコア層による光導波路が形成され、コア層とクラッド層との界面に凹凸の断面形状によるホログラムパターンが形成されて情報信号が記録されている。従って、このような再生専用のホログラム記録媒体についても、同様に光導波路としてのコア層の端部側から参照光を照射することによってホログラムパターンに応じた回折光を導波路外に放射させることができ、この回折光に基づく像を二次元光センサ上に結像することで情報信号を再生することができる。
このことから、先の図7、図8に示したホログラム装置の構成が採られれば、再生専用のホログラム記録媒体についても同様に再生を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明における第1の実施の形態としてのホログラム装置の構成について示した図である。
【図2】第1の実施の形態のホログラム装置の他の構成例について示した図である。
【図3】第1の実施の形態のホログラム装置のさらに他の構成例について示した図である。
【図4】第2の実施の形態のホログラム装置の構成について示した図である。
【図5】第2の実施の形態のホログラム装置の他の構成例について示した図である。
【図6】第2の実施の形態のホログラム装置のさらに他の構成例について示した図である。
【図7】第3の実施の形態のホログラム装置の構成について示した図である。
【図8】第3の実施の形態のホログラム装置の他の構成例について示した図である。
【図9】光導波路型のホログラム記録媒体への情報信号の記録原理の概要を説明するための図である。
【図10】或る入射角度で以てホログラム記録媒体に照射された信号光と、光導波路を伝播する参照光とが干渉して干渉縞を形成する様子を模式的に示した図である。
【図11】従来の記録の手法による多層ホログラム記録媒体に対する記録動作について説明するための図である。
【符号の説明】
【0068】
2 コア層、3 クラッド層、5 空間変調器、6 アパーチャ、7,9 ピックアップ、8 二次元光センサ、10,11 ホログラムメモリ、LDs,LD1,LD2 レーザ光源、L1 コリメータレンズ、L2 対物レンズ、L3 近接レンズ、L4,L7 集光レンズ、L5,L6 コリメータレンズ、SM 可動部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路型のホログラム記録媒体と、光導波路型のホログラム記録媒体に対する情報信号の少なくとも記録を行うホログラム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、光導波路型のホログラムメモリへの情報信号の記録原理について、その概要を示した図である。
先ず、光導波路型のホログラムメモリ101は、例えば図示するようにしてクラッド層103、コア層102、クラッド104層をこの順に積層して成る。コア層102は、この場合の光導波路であり、これを挟む2つのクラッド層103、104よりも屈折率の高い部材により形成されている。
光導波路は、光が屈折率の高い領域に伝播する性質を有することを利用したものである。つまり、このように屈折率の低いクラッド層103、104の間に屈折率の高いコア層102が挿入されることで、後述するようにして入射される参照光B1がこのコア層102を介して伝播するようにされている。
【0003】
そして、このようなホログラムメモリ101に対しては、光導波路としてのコア層102に伝播させた参照光B1に対し、外部から照射した信号光BSを干渉させてその干渉縞を焼き付けることで、情報信号を記録するようにされる。
【0004】
このような記録動作を可能とする具体的な構成例としては、例えば図9(a)に示されるものとなる。
図9(a)において、レーザダイオードLDsから出射されたレーザ光は、コリメータレンズL1にて平行光とされた後、例えば液晶素子等による空間変調器105によって記録されるべき情報信号に基づく変調を受ける。そして、空間変調器105により変調されたレーザ光は、信号光BSとして対物レンズL2を透過してホログラムメモリ101のコア層102に集光される。
光導波路としてのコア層102に対しては、その端部側から照射された参照光B1が伝播するようにされる。
この場合、参照光B1と信号光BSは、同じ波長でお互いに位相が揃ったコヒーレント光とされる。そして、上記のようにして信号光BSが参照光B1が伝播するコア層2に集光されることによっては、これら参照光B1と信号光BSとが重なった部分において光が干渉する。
【0005】
図9(b)は、このように参照光B1と信号光BSとが干渉した部分を拡大した図であるが、この部分では、図示するようにして信号光BSに応じた干渉縞Wが形成される。
このとき、コア層102としては所定の光の照射に応じて屈折率が変化するフォトリフラクティブ材料により構成されていることで、この干渉縞Wは屈折率の異なる部分として焼き付くものとなり、これによって情報信号が記録されることになる。
【0006】
なお、関連する従来技術については以下の特許文献を挙げることができる。
【特許文献1】特開2001−325730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、先の図9(a)においては、ホログラムメモリ101として、光導波路としてのコア層2が単層とされる場合を例示したが、光導波路型のホログラムメモリとしては、コア層を複数積層して多層記録を行うことも考えられる。
ここで、このようにして複数の記録層が形成され、多層記録が可能なホログラムメモリに対しては、当然のことながら各記録層ごとに情報信号を記録することができるようにされている必要がある。
しかしながら、従来の記録の手法では、ホログラムメモリとして複数の記録層が形成されたとしても、各記録層ごとに情報信号を記録することが不可能とされていた。
【0008】
このことを、次の図11を参照して説明する。
図11は、従来技術に基づき記録層を多層に構成したホログラムメモリ111に対して情報が記録される際の様子を模式的に示した図である。
先ず、この場合は、図示する対物レンズL11によって信号光BSを図中において最も上層に位置するコア層102に集光し、且つ参照光B1をこの最も上層のコア層102に伝播させている。すなわち、これによって、この最も上層のコア層102において参照光B1と信号光BSとを干渉させて情報信号の記録を行っているものである。
なお、ここで確認のために述べておくと、信号光BSと参照光B1としては、それぞれを干渉させて干渉縞Wを形成するために、通常は同等の波長による光ビームを用いるようにされる。
【0009】
しかしながら、上記のようにして信号光BSの集光位置及び参照光B1を伝播させるコア層102の選択により、記録を行うコア層102の選択を行ったとしても、この場合、信号光BSは図示するようにしてこの選択されたコア層102を透過し、さらに下層に位置するコア層102に対しても照射されてしまう。
これら下層に位置するコア層102では、参照光B1は伝播していないことから、干渉縞Wとしての情報信号は記録されることはない。しかし、上記のようにして信号光BSがこれら下層のコア層102に対しても照射されてしまうことから、これらコア層102に対しては、図中にXと示したように信号光BSに応じた所要のパターンが焼き付いてしまう可能性があり、これによって無効な情報が記録されたり、或いは既に信号が記録済みである場合にはこれらが破壊されてしまう可能性があった。
【0010】
このようにして従来の手法では、記録層が多層とされるホログラムメモリ111に対しては、各記録層ごとに情報信号の記録を行うことが実質的に不可能であるとされていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明では以上のような問題点に鑑み、先ずはホログラム記録媒体として以下のように構成することとした。
すなわち、本発明のホログラム記録媒体は、クラッド層に挟まれたコア層が備えられて光導波路が形成される光導波路型のホログラム記録媒体であって、上記コア層が、第1の光の照射に応じては電荷キャリアが準安定順位に励起され、さらに上記第1の光とは波長の異なる第2の光の同時の照射に応じては電荷キャリアが安定順位に励起される性質とされたフォトリフラクティブ材料によって構成されているものである。
【0012】
また、本発明ではホログラム装置として以下のように構成することとした。
つまり、クラッド層に挟まれたコア層が備えられて光導波路が形成される光導波路型のホログラム記録媒体について少なくとも記録を行うホログラム装置として、先ずは、上記ホログラム記録媒体に対し、記録されるべき情報信号に基づいて変調される信号光を照射するための信号光源を備える。
また、上記ホログラム記録媒体における上記光導波路の端部側から、参照光としての第1の光を導入するための第1の光源を備える。
その上で、上記第1の光とは波長が異なる第2の光を上記光導波路の端部側から導入するための第2の光源とを備えると共に、上記第1の光源からの上記第1の光と、上記第2の光源からの上記第2の光とが同一の上記光導波路に対して導入されるように構成されているものである。
【0013】
上記本発明のホログラム記録媒体の構成によれば、光導波路としてのコア層は、所要の波長による第1の光の照射のみでは記録可能な状態である安定順位には励起されず、これに加えて波長の異なる第2の光が照射されることではじめて記録可能な状態に励起されることになる。
つまりこれによれば、従来のように互いが同等の波長とされる参照光、信号光のみの照射ではコア層が記録可能な状態に励起されないようにすることができるので、選択されたコア層以外に信号光が照射されても、これらのコア層にはパターンが焼き付かないようにすることができる。また、これに対し、参照光・信号光による波長の光と共に波長の異なる第2の光とが照射されたコア層は記録可能な状態とすることができるので、このコア層に対しては信号光に応じた情報信号を記録することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
このようにして本発明のホログラム記録媒体の構成によれば、それぞれ波長が異なるようにされた第1の光と第2の光とが照射されたコア層でのみ情報信号を記録することができ、それ以外のコア層での信号光の照射に応じたパターンの焼き付きは効果的に防止することができる。すなわち、これによって従来は不可能とされていた多層記録を実現することができるものである。
【0015】
そして、本発明のホログラム装置としては、信号光源と共に、上記第1の光と上記第2の光とを同一の光導波路(コア層)に対して導入するようにされた第1の光源と第2の光源とを備えるようにされていることで、上記本発明のホログラム記録媒体に対応して情報信号を記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
図1(a)は、本発明における第1の実施の形態としてのホログラム装置の構成について示した図である。
なお、この図においては、第1の実施の形態のホログラム装置における主に光学系の構成のみを抽出して示している。また、ホログラム記録媒体としてのホログラムメモリ11については、その断面構造を示している。
【0017】
先ず、第1の実施の形態のホログラム装置としては、図示するホログラムメモリ11としての、光導波路型によるホログラム記録媒体に対する情報信号の少なくとも記録を行う、記録装置として構成されたものである。
また、この場合、光導波路型のホログラムメモリ11としては、記録層(コア層2)を複数備えるものとされ、これに対応してホログラム装置としては、後述するようにして各記録層ごとの情報信号の記録が可能となるように構成される。
【0018】
先ず、図1(a)に示されるホログラム装置において、図示するレーザ光源LDsから出射されたレーザ光は、コリメータレンズL1にて平行光に変換され、空間変調器5に入射する。空間変調器5は、例えば二次元に配列された液晶素子により構成され、図示しない所定の回路部から入力される記録データに基づき各画素のオン/オフを制御する。つまり、このような空間変調器5を透過したレーザ光は、上記記録データに基づき二次元的に光量が変調され、これによってホログラムメモリ11に対して記録されるべき情報信号に応じた信号光BSが得られる。
そして、このように空間変調器5を透過して得られた信号光BSは、この場合は図示する対物レンズL2と近接レンズL3を透過することで、ホログラムメモリ11内の所定のコア層2に対して集光するようにされる。
【0019】
ここで、上記のようにして図1(a)に示されるホログラム装置では、対物レンズL2とホログラムメモリ11の表面との間に、近接レンズL3を挿入するものとしているが、この近接レンズL3の挿入により、さらなる高記録密度化が図られる。
【0020】
先ず、この近接レンズL3を設けたことによる動作の説明の前に、従来の記録の手法について触れておく。
従来の記録手法では、ホログラム記録媒体に対して、信号光BSを対物レンズL2のみによって集光して照射するものとされていた。そして、このように信号光BSを対物レンズL2のみにより集光して記録動作を行う手法では、図10に示されるようにして、記録密度の向上に限界があるものとされていた。
【0021】
図10は、或る入射角度で以てホログラムメモリ101に照射された信号光BSと、光導波路を伝播する参照光B1とが干渉して干渉縞Wを形成する様子を模式的に示した図である。なお、ここでは一例として記録層が単層とされるホログラムメモリ101を例示している。
ここで、高記録密度化を図るためには、干渉縞Wをより細かいパターンにより焼き付けることができればよい。そして、ホログラムメモリ101に焼き付けられる干渉縞Wの周期Λは、ホログラムメモリ101の屈折率がns(正確には光導波路の有効屈折率neffであるが、一般的にコア層102とクラッド層103の屈折率差は微少であるからその差は考慮しない)、ホログラムメモリ101に照射される光ビームの波長をλ0とした場合に、
「Λ=λ0/2ns・sinθ」
により表すことができる。但し、この場合θは信号光BSと参照光B1の為す角の半分である。
【0022】
上記の式から、ホログラムメモリ101に刻むことのできる干渉縞Wの最小周期は、θがπ/2(90°)とされたときの、Λ=λ0/2nsであることがわかる。そして、θが90°となるということは、参照光B1と信号光BSとが一直線上で対向して伝播したときである。
また、上記式より、この場合は屈折率nsの値を大きくすることによっても、周期Λの値は小さくできることが理解できる。
従って、干渉縞Wをより小さなパターンとするためには、ホログラムメモリ101の屈折率nsを高くし、参照光B1と信号光BSとの為す角を0〜180°の間でできるだけその幅を広くすればよいことになる。
【0023】
しかしながら、実際において、参照光B1と信号光BSとが為す角を拡大することによっては、照射した信号光BSがホログラムメモリ101の表面にて反射されて、コア層102に到達できなくなってしまう。
上記もしたように干渉縞Wの周期Λが最小となるのは、参照光B1と信号光BSとが一直線上に対向されたときである。つまり、この図10中のθ0が90°となるときである。
しかしながら実際において、大気中の屈折率はn=1である。また、ホログラムメモリ101は所要の屈折率=nsを有している。
このため、スネルの法則:
「n0・sinθ0=ns・sinθs」
より、図中θ0がある臨界角θ0s:
「θ0s=sin-1 ・ns」
以上となるときには、空気とホログラムメモリ101との界面で光が全反射してしまい、導波路への信号光BSの入射が困難となる。この結果、実際において信号光BSの入射角を拡大することによっては、或る臨界角を超えた場合に信号光BSがコア層に到達できず、情報信号の記録ができなくなってしまうことになる。
【0024】
このようにして、従来の手法によりホログラムメモリに対して記録動作を行う場合には、信号光BSの入射角の拡大に限界があり、これに伴って記録密度の向上にも限界があるものとされていた。
【0025】
そこで、実施の形態では、信号光BSをコア層2に集光させるための構成として、対物レンズL2と共に上記した近接レンズL3を設けるものとしている。
この近接レンズL3としては、次の図1(b)に示されるようにして、対物レンズL2と対向する面の形状が概球形とされ、その反対側となるホログラムメモリ11の表面(信号光BSの照射を受ける面:情報記録面)と対向する面の形状は平面形状とされた、概半球面レンズとされる。
そしてこのとき、ホログラムメモリ11の表面と、この近接レンズL3の平面形状とされた面との間には、当該近接レンズL3を透過する信号光BSの波長以下の長さとなるギャップGを設けるものとしている。
【0026】
ここで、このように近接レンズL3を設け、記録媒体との間に透過する光の波長以下のギャップGを設ける技術は、所謂ニアフィールド記録と呼ばれる技術として知られている。
このようなニアフィールド記録の技術によれば、原理的に近接レンズL3に対する光の入射角がθ0=90°とされた場合にも、入射光は空気と記録媒体表面との界面にて全反射せず、記録媒体内に近接場光(エヴァネッセント光)として染み出し、内部に到達できるようになる。
つまり、これによれば、先の図10にて説明したような臨界角を超える広い入射角としても、信号光BSをコア層2に到達させることができる。そして、これによれば、従来では臨界角に伴う記録密度の限界があったのに対して、本例ではこの限界を超えてさらなる高記録密度化を図ることができる。
【0027】
なお、図1(a)では、近接レンズL3におけるホログラムメモリ11の表面と対向する側の面形状が全体にわたって平面とされた例を示しているが、少なくともホログラムメモリ11と対向する面の一部が平面とされていればよく、必ずしも全面が平面とされる必要はない。
【0028】
ところで、図1(a)にも示されているように、実施の形態のホログラム装置が対応するホログラムメモリ11としては、光導波路としてのコア層2が複数設けられ、記録層が複数形成されている。そして、このようにして複数の記録層が形成され、多層記録が可能なホログラムメモリ11に対しては、当然のことながら各記録層ごとに情報信号を記録することができるようにされている必要がある。
【0029】
しかしながら、従来の記録の手法では、ホログラムメモリ11に複数の記録層が形成されたとしても、各記録層ごとに情報信号を記録することが不可能とされていた。
このことを、図11を参照して説明する。
図11は、従来技術に基づき記録層を多層に構成したホログラムメモリ111に対して情報が記録される際の様子を模式的に示した図である。
先ず、この場合は、図示する対物レンズL11によって信号光BSを図中において最も上層に位置するコア層102に集光し、且つ参照光B1をこの最も上層のコア層102に伝播させている。すなわち、これによって、この最も上層のコア層102において参照光B1と信号光BSとを干渉させて情報信号の記録を行っているものである。
なお、ここで確認のために述べておくと、信号光BSと参照光B1としては、それぞれを干渉させて干渉縞Wを形成するために、通常は同等の波長で且つお互いの位相が揃ったコヒーレント光を用いるようにされる。
【0030】
しかしながら、上記のようにして信号光BSの集光位置及び参照光B1を伝播させるコア層102の選択により、記録を行うコア層102の選択を行ったとしても、この場合、信号光BSは図示するようにしてこの選択されたコア層102を透過し、さらに下層に位置するコア層102に対しても照射されてしまう。
これら下層に位置するコア層102では、参照光B1は伝播していないことから、干渉縞Wとしての情報信号は記録されることはない。しかし、上記のようにして信号光BSがこれら下層のコア層102に対しても照射されてしまうことから、これらコア層102に対しては、図中にXと示したように信号光BSに応じた所要のパターンが焼き付いてしまう可能性があり、これによって無効な情報が記録されたり、或いは既に信号が記録済みである場合にはこれらが破壊されてしまう可能性があった。
このことから、従来の手法では、記録層が多層とされるホログラムメモリ111に対しては、各記録層ごとに情報信号の記録を行うことが実質的に不可能であるとされていた。
【0031】
そこで、実施の形態では、同様に記録層が多層とされるホログラムメモリ11について、参照光B1・信号光BSの波長による光ビームの照射のみでは、コア層2が記録可能な状態に励起されないようにし、参照光B1・信号光BSの波長の光ビームと共に、さらに異なる波長による光ビームが同時に照射された場合にのみコア層2が記録可能な状態に励起されるように構成するものとしている。
【0032】
ここで、このように或る特定の条件で光ビームを照射した場合にのみ記録媒体を記録可能な状態に励起させることを可能とする技術は、いわゆる「二色ホログラム」として知られている。
この二色ホログラムとは、バイポーラロンを形成するようなフォトリフラクティブ材料である。例えば、Pr(プラセオジム)を添加したニオブ酸リチウム結晶や、定比に近い組成によるニオブ酸リチウム結晶(不純物を含まないか或いはFeを含むもの)を還元処理したものを挙げることができる。
このような二色ホログラムでは、ある波長による光の照射に応じて、電荷キャリアが順安定順位(中間励起順位)に励起され、さらに他の波長による光の照射に応じて電荷キャリアが安定順位に励起される。
【0033】
第1の実施の形態では、このような二色ホログラムによりコア層2を構成する。このようにすることで、参照光B1、信号光BSの波長による光ビームの照射のみでは、コア層が記録可能な状態には励起されないので、上述したようにして選択された以外のコア層2に対して信号光BSが照射されたとしても、信号光BSに応じたパターンが焼き付かないようにすることができる。
一方で、記録が行われるべきコア層2に対しては、参照光B1と共にこれと波長の異なる他の光ビームを同時に照射することで、当該コア層2を記録可能な状態に励起することができ、これによって参照光B1と信号光BSとの干渉による干渉縞Wを焼き付けることができるようになる。
【0034】
なお、二色ホログラムについては、例えば以下の文献に記載されている。
・特開2001−5369号公報
・(M.Lee, S.Takekawa, Y.Furukawa, Y.Uchida, K.Kitamura, H.Hantano and S.Tanaka, “Photocromic effecting near-stoichiometoric LiNbO3 and two-color holographic recording”, J.Appl.Phys., Vol.88, p.4476, 2000)
また、これらの文献の記載に倣い、本明細書としても、上記のようにして参照光B1と共に同時に照射されることで二色ホログラムを記録可能な状態に励起させるための光ビームのことを「ゲート光」と呼ぶこととする。
【0035】
そして、実施の形態のホログラム装置としては、上述のようにして二色ホログラムによるコア層2が形成されたホログラムメモリ11に対応すべく、参照光B1と共に、上記したゲート光をコア層2の端部側から照射するための光源を別途備えるようにされる。
この光源としては、図示するレーザ光源LD2を備える。このレーザ光源LD2は、図示するゲート光B2として、参照光B1、信号光BSの光源となるレーザ光源LD1、レーザ光源LDsが出力するレーザ光とは波長の異なるレーザ光を出力するようにされる。
そしてこの場合、上記レーザ光源LD1と上記レーザ光源LD2とは、同一のコア層2に対して参照光B1とゲート光B2とが導入されるように構成される。
さらに、図中に破線で囲うようにして、例えばこれらレーザ光源LD1とレーザ光源LD2とを、図中Y軸方向(コア層2の積層方向)に一体的に移動可能な可動部SMを備えるようにされていることで、これら参照光B1とゲート光B2とを導入するコア層2を選択することができるようにされている。
【0036】
ここで、具体的にこの場合の各レーザ光の波長として、それぞれ参照光B1、信号光BSの光源となるレーザ光源LD1及びレーザ光源LDsが出力するレーザ光の波長は、例えば850nmである。
これに対し、レーザ光源LD2が出力するゲート光B2の波長は、例えば310nmである。
【0037】
上記のような構成された第1の実施の形態としてのホログラム装置の動作としては、先ず、可動部SMによって、レーザ光源LD1とレーザ光源LD2とによる参照光B1とゲート光B2との照射位置を、記録が行われるべきコア層2に合わせるようにされる。このように参照光B1とゲート光B2とが導入された当該コア層2は、安定順位に励起されて記録可能な状態となる。
そして、先に説明した動作によって、空間変調器5に対して印加されたデータに基づく信号光BSがホログラムメモリ11内部に照射される。これにより、上記のようにして参照光B1とゲート光B2とが照射されたコア層2では、参照光B1とこの信号光BSとが干渉して干渉縞Wが形成されると共に、上述のようにして記録可能な状態に励起されていることで、この干渉縞Wが焼き付いて情報信号が記録されるものとなる。
【0038】
つまり、このような第1の実施の形態のホログラム装置の動作によれば、参照光B1とゲート光B2とを同時に照射したコア層2に対してのみ、選択的に信号光BSに応じた干渉縞Wを情報信号として記録することができ、また、参照光B1とゲート光B2が照射されない他のコア層2は安定順位となっていないことから、信号光BSが照射されてもパターンが焼き付くことはない。これによって、従来は不可能とされていた多層記録が可能となるものである。
【0039】
これまでで説明したようにして、図1(a)に示した第1の実施の形態のホログラム装置によれば、先ずはニアフィールド記録により、従来の限界を超えたさらなる高記録密度化を実現することができる。
その上で、第1の実施の形態では、ホログラムメモリ11が備える各コア層2として二色ホログラムを用い、ホログラム装置側では各コア層2に対して選択的に参照光B1・ゲート光B2を照射することで、多層記録を実現することができる。
【0040】
なお、図1(a)に示したホログラム装置としては、ホログラムメモリ11として複数のコア層2を備えて多層記録が可能とされる場合を例示したが、コア層2を1つのみ備える単層のホログラムメモリ10に対応する構成とすることができる。
そして、この場合は、特にコア層2を選択して記録を行う必要がなくなるので、コア層2として必ずしも二色ホログラムを用いる必要はない。また、ホログラム装置としても、ホログラムメモリ10に対してゲート光B2は照射する必要は特になく、例えば次の図2に示すようにして、図1(a)に示した構成からゲート光B2を照射するためのレーザ光源LD2を省略した構成とすることもできる。また、これと共に可動部SMも省略することができる。
【0041】
或いは、図1(a)に示したホログラム装置としては、次の図3に示されるように、近接レンズL3を省略した構成とすることもできる。つまり、この場合は、空間変調器5を透過して得られた信号光BSを、対物レンズL2によってのみ所要のコア層2に対して集光するように構成するものである。
【0042】
ここで、近接レンズL3を設けた場合、ホログラム記録媒体の表面との間隔を信号光BSの波長以下とする必要があった。しかし、このように対物レンズL2のみで集光するものとすれば、ホログラム記録媒体の表面との間隔は任意に設定することが可能となる。
そこで、図3の構成では、対物レンズL2をホログラムメモリ11表面に対して接離する方向に移動可能として、フォーカス機能を持たせるものとしている。これによれば、各コア層2に信号光BSの集光位置を調整することが可能となる。
その具体的構成としては、図3に示されるように[対物レンズL2・空間変調器5・コリメータレンズL1・レーザ光源LDs]を図中Y軸方向に一体的に駆動可能なピックアップ7を構成するものとすればよい。
【0043】
このようなピックアップ7を設け、各コア層2において信号光BSを集光して記録を行うことができれば、各コア層2に対してその分高い光波エネルギー密度で以て信号光BSを印加できるので、これに伴って干渉縞Wの焼き付けに要する時間を短縮化することができる。そして、このように干渉縞Wの焼き付けに要する時間の短縮化が図られれば、その分記録レートの向上につながる。
【0044】
ところで、図1(a)に示したホログラム装置では、空間変調器5に平行光を透過させて情報信号に応じた光波パターンを形成して、これを信号光BSとして対物レンズL2及び近接レンズL3によって所要のコア層2に集光するように構成されていた。このような構成によると、上記所要のコア層2における信号光BSの集光面では、空間変調器5で形成された光波パターンのフーリエ変換像が得られることになるが、このことにより、この場合の信号光BSのコア層2での集光面は、単円のビームスポットが形成されるわけではなく、その外周部分にエアリーパターン様のパターンが形成されるものとなる。このエアリーパターン様のパターンは、上記集光面中心から外側となるに従ってその光量は次第に減衰はするものの、外側に無限に広がるパターンとなる。
【0045】
ここで、光導波路型のホログラム記録媒体に対する記録動作としては、一般的にコア層の平面上を複数の記録ブロックに分割し、各記録ブロックごとに信号光を集光して情報信号の記録を行うようにされる。
このような場合、上記のようにしてエアリーパターン様のパターンが形成されることによっては、各記録ブロック間で記録信号が干渉する可能性があり、この干渉した部分がノイズ成分として記録されてしまう可能性がある。
【0046】
この対策として、先の図1(a)に示した第1の実施の形態としての構成を採る場合は、各記録ブロックの間隔を充分に空けるようにすることで、このようなエアリーパターン様のパターンどうしの干渉が極力抑えられるようにすることができる。
しかしながら、このように記録ブロック間の間隔を空けるということは、その分、ホログラムメモリ11の記録密度の低下につながる。
【0047】
そこで、先の第1の実施の形態の構成に基づき、さらなる記録密度の向上を図るとした場合は、次の図4に示される第2の実施の形態としての構成を採ることができる。
この図4に示される第2の実施の形態のホログラム装置としては、図1(a)に示したホログラム装置の構成に加え、空間変調器5にて変調されて得られた二次元像のフーリエ変換像が得られる面(フーリエ変換面)に対してアパーチャ6を配し、このアパーチャ6によって信号光BSの集光位置に生じる不要なエアリーパターン様のパターンを除去するようにしたものである。
なお、この図4において、図1(a)にて説明した部分と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
図4において、エアリーパターン様のパターンを除去するための構成としては、図示する集光レンズL4、アパーチャ6、コリメータレンズL5を追加するものとしている。
この場合、集光レンズL4は、空間変調器5を透過して得られる、平行光による信号光BSを集光する。
そして、この集光レンズL4により集光された信号光BSの集光面となる位置に、アパーチャ6が配置される。
【0049】
ここで、先にも述べたように、空間変調器5を透過して得られた信号光BSの集光面は、空間変調器5で変調されて得られた二次元像の光波分布のフーリエ変換面とされ、この集光面の中心から外側にかけては、空間周波数の高い成分が無限に広がったエアリーパターン様のパターンが形成される。
この場合、外側における空間周波数の高い成分は、記録信号として必要な光波分布の周波数分布よりも周波数が高くなっていることから、情報信号の記録にとっては不要な成分となる。そこで、上記のようにして設けたアパーチャ6によって、このような集光面の外側部分に得られる不要な成分を除去することができるものである。
【0050】
そして、このアパーチャ6を通過して得られた発散光による信号光BSは、図示するコリメータレンズL5を透過することで平行光とされ、この平行光による信号光BSが、図1(a)に示したものと同様の対物レンズL2・近接レンズL3を透過するようにされる。これによって信号光BSはホログラムメモリ11内の所要のコア層2に対して集光される。
このとき、対物レンズL2・近接レンズL3によって集光される信号光BSは、先に説明したようにしてアパーチャ6によって記録信号として必要な周波数分布よりも高い周波数帯の成分が除去されているものである。すなわち、この場合の集光面に位置するコア層2に対しては、外周の不要なエアリーパターン様のパターンが良好に除去された信号光BSを照射できる。
【0051】
このようにして第2の実施の形態のホログラム装置によれば、信号光BSとして記録に不要な成分を良好に除去することができるので、エアリーパターン様のパターンどうしの干渉を考慮しての間隔はとらずに効率的に情報信号を記録することができる。そして、このように間隔を空けずに効率的に情報信号が記録できることで、さらなる高記録密度化を実現することができる。
【0052】
なお、図4に示した第2の実施の形態のホログラム装置では、図1(a)に示したホログラム装置と同様に、近接レンズL3を備えるものとしたが、次の図5に示されるようにして近接レンズL3を省略した構成とすることもできる。
この図5に示される構成を採る場合としても、アパーチャ6が備えられることによって、図4の場合と同様に高記録密度化を図ることができる。
また、この図5にも示されているようにして、単層のホログラムメモリ10に対応する構成とされてもよい。つまり、この場合としては、図1(a)のホログラム装置が備えていたゲート光B2の照射のためのレーザ光源LD2、及び可動部SMを省略することもできる。
【0053】
さらには、次の図6に示されるようにして、図4の構成から近接レンズL3のみを省略した構成を採ることもできる。
このように近接レンズL3のみを省略して多層のホログラムメモリ11に対応して記録を行う構成とした場合としては、先の図3に示したものと同様に、フォーカス機能を与えることができる。つまり、この図6中に破線で囲うように、[レーザ光源LDs、コリメータレンズL1、空間変調器5、集光レンズL4、アパーチャ6、コリメータレンズL5、対物レンズL2]を、ピックアップ9として少なくとも図中Y軸方向に一体的に駆動することができるように構成することで、対物レンズL2による集光位置を可変することができ、これによって各コア層2で信号光BSを集光できるようにするものである。
このように各コア層2にて信号光BSを集光できることによる効果は、図3にて説明したものと同様である。
【0054】
続いて、図7は、第3の実施の形態としてのホログラム装置の構成を示している。
この図7では、先の図1(a)に示した第1の実施の形態のホログラム装置のように、近接レンズL3を設けたホログラム装置によってニアフィールド記録により高密度で記録が行われたホログラムメモリ11に対応して再生を行うことが可能な、再生装置としてのホログラム装置の構成を示している。
なお、この図としても、このような再生装置としてのホログラム装置の構成については、主にその光学系の構成のみを抽出して示している。また、この図においても、先の図1にて説明した部分と同様の部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
先ず、光導波路型のホログラム記録媒体について再生を行う場合としても、光導波路としてのコア層に対して参照光を伝播させる。この場合、ホログラムメモリ11に参照光B1を照射するための光源としては、図示するレーザ光源LD1を備える。
【0056】
ここで、コア層2に伝播する参照光B1は、当該コア層2において記録される情報信号としての干渉縞Wに応じて回折を受け、これが回折光ksとして光導波路外に放射されることになる。
この回折光ksは、上記のようにして干渉縞Wに応じて回折を受けて得られるものであるから、ホログラム記録媒体に記録された情報信号に応じた二次元像を含むものとなる。従って、この回折光ksを、例えばCCD(Charge Coupled Devices)等による二次元光センサ8上に結像して電気信号に変換することで、ホログラム記録媒体に記録された情報信号を読み出すことができる。
【0057】
図7において、ホログラムメモリ11から放射される回折光ksを二次元光センサ8に導くための構成としては、図示するようにして近接レンズL3、対物レンズL2、集光レンズL6、アパーチャ6、コリメータレンズL7を備えている。
近接レンズL3は、この場合もホログラムメモリ11の表面との間に、参照光B1の波長以下の所要のギャップGが形成されている。
この近接レンズL3には、ホログラムメモリ11から放射される回折光ksの一部が透過し、この近接レンズL3を透過した回折光ksは対物レンズL2を透過することで平行光とされた後、集光レンズL5を透過することで集光される。
【0058】
この場合、アパーチャ6は、この集光レンズL5による回折光ksの集光面に位置するようにして設けられる。
そして、このアパーチャ6を通過した発散光による回折光ksは、コリメータレンズL7により平行光に変換されて二次元光センサ8に対して照射される。
【0059】
ここで、ホログラムメモリ11の再生時においては、図からも理解されるように、参照光B1が伝播するコア層2の全面から回折光ksが放射されるものである。このことから、図7に示される構成のように、コア層2の平面上における所要部分から記録信号を読み出すにあたっては、コア層2における他の領域から放射された回折光ksも紛れ込むものとなり、これがクロストークの原因となる。
【0060】
そこで、再生装置としても、上記のようにしてアパーチャ6を設ける意義がある。図7の場合、アパーチャ6は、集光レンズL6による回折光ksの集光面に位置するようにして設けられる。
このように回折光ksの集光面では、対象となる読み出し領域に記録された信号成分は中心部に現れ、その外側に他の読み出し対象領域以外からの回折光成分が混入する。従って、ここにおいてアパーチャ6を挿入して集光された回折光ksの中心部のみを通過させることで、読み出し対象領域以外から放射される不要な回折光成分を良好に除去することができる。
つまり、これによって読み出し対象領域以外に記録された信号とのクロストークを抑制することができるものである。
【0061】
上記構成による第3の実施の形態のホログラム装置によれば、近接レンズL3が設けられることで、同様に近接レンズL3を用いてニアフィールド記録により高密度に記録された信号をより確実に読み出し、これを再生することができる。
また、上記したアパーチャ6の挿入によってクロストークの低減が図られることによっては、各記録ブロックの間隔を狭めることができるので、この点でもさらなる記録密度の向上を図ることができる。
【0062】
なお、図7に示した例では、ニアフィールド記録が行われたホログラム記録媒体に対応して再生を行う再生装置としての構成を例示したが、ニアフィールド記録によらない記録手法により記録が行われたホログラム記録媒体について再生を行うとした場合には、例えば次の図8に示されるように、図7に示した構成から近接レンズL3を省略した構成を採ることができる。
また、この図8にも示されているように、1つのコア層2のみを備えるようにされて、コア層2が二色ホログラムとされない単層のホログラムメモリ10に対応して再生を行うこともできる。
【0063】
なお、確認のために述べておくと、再生装置の場合は、記録装置の場合とは異なり、ホログラム記録媒体の単層/多層に関わらず、ゲート光B2照射のためのレーザ光源LD2は不要である。すなわち、ゲート光B2は、記録時において、ホログラム記録媒体が多層とされる場合に所要のコア層2を選択的に記録可能な状態に励起するために必要となるものであり、多層によるホログラム記録媒体について再生を行う場合は、参照光B1の照射位置のみを調整すればよいからである。
【0064】
ここで、本発明としてはこれまでに説明した各実施の形態に限定されるべきものではない。
例えば、各実施の形態において、対物レンズL2と近接レンズL3とは別体で構成されるものとしたが、これらを一体に構成することもできる。
また、実施の形態では、ホログラム記録媒体について記録が可能な記録装置と、再生が可能な再生装置の構成をそれぞれ別々に示したが、ホログラム記録媒体に対する記録及び再生が可能な記録再生装置として構成することもできる。
【0065】
また、信号光BS、参照光B1、ゲート光B2の波長としても、先に例示したものに限らず、ホログラムメモリ11のコア層2に用いる二色ホログラムの材質に応じて適宜変更されて良いものである。
【0066】
また、特に第3の実施の形態の再生装置としては、記録可能なホログラム記録媒体について再生を行う場合について例示したが、再生専用のホログラム記録媒体に対応して情報信号の再生を行うこともできる。
ここで、再生専用のホログラム記録媒体では、実施の形態で例示したホログラム記録媒体と同様にクラッド層に挟まれたコア層による光導波路が形成され、コア層とクラッド層との界面に凹凸の断面形状によるホログラムパターンが形成されて情報信号が記録されている。従って、このような再生専用のホログラム記録媒体についても、同様に光導波路としてのコア層の端部側から参照光を照射することによってホログラムパターンに応じた回折光を導波路外に放射させることができ、この回折光に基づく像を二次元光センサ上に結像することで情報信号を再生することができる。
このことから、先の図7、図8に示したホログラム装置の構成が採られれば、再生専用のホログラム記録媒体についても同様に再生を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明における第1の実施の形態としてのホログラム装置の構成について示した図である。
【図2】第1の実施の形態のホログラム装置の他の構成例について示した図である。
【図3】第1の実施の形態のホログラム装置のさらに他の構成例について示した図である。
【図4】第2の実施の形態のホログラム装置の構成について示した図である。
【図5】第2の実施の形態のホログラム装置の他の構成例について示した図である。
【図6】第2の実施の形態のホログラム装置のさらに他の構成例について示した図である。
【図7】第3の実施の形態のホログラム装置の構成について示した図である。
【図8】第3の実施の形態のホログラム装置の他の構成例について示した図である。
【図9】光導波路型のホログラム記録媒体への情報信号の記録原理の概要を説明するための図である。
【図10】或る入射角度で以てホログラム記録媒体に照射された信号光と、光導波路を伝播する参照光とが干渉して干渉縞を形成する様子を模式的に示した図である。
【図11】従来の記録の手法による多層ホログラム記録媒体に対する記録動作について説明するための図である。
【符号の説明】
【0068】
2 コア層、3 クラッド層、5 空間変調器、6 アパーチャ、7,9 ピックアップ、8 二次元光センサ、10,11 ホログラムメモリ、LDs,LD1,LD2 レーザ光源、L1 コリメータレンズ、L2 対物レンズ、L3 近接レンズ、L4,L7 集光レンズ、L5,L6 コリメータレンズ、SM 可動部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッド層に挟まれたコア層が備えられて光導波路が形成される光導波路型のホログラム記録媒体であって、
上記コア層が、第1の光の照射に応じては電荷キャリアが準安定順位に励起され、さらに上記第1の光とは波長の異なる第2の光の同時の照射に応じては電荷キャリアが安定順位に励起される性質とされたフォトリフラクティブ材料によって構成されている、
ことを特徴とするホログラム記録媒体。
【請求項2】
クラッド層に挟まれたコア層が備えられて光導波路が形成される光導波路型のホログラム記録媒体について少なくとも記録を行うホログラム装置として、
上記ホログラム記録媒体に対し、記録されるべき情報信号に基づいて変調される信号光を照射するための信号光源と、
上記ホログラム記録媒体における上記光導波路の端部側から、参照光としての第1の光を導入するための第1の光源と、
上記第1の光とは波長が異なる第2の光を上記光導波路の端部側から導入するための第2の光源とを備えると共に、
上記第1の光源からの上記第1の光と、上記第2の光源からの上記第2の光とが同一の上記光導波路に対して導入されるように構成されている、
ことを特徴とするホログラム装置。
【請求項3】
上記ホログラム記録媒体には、上記コア層が複数備えられ、
さらに、上記第1の光源と上記第2の光源とを、上記複数のコア層の積層方向に一体的に移動可能に保持する可動手段を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載のホログラム装置。
【請求項4】
さらに、上記ホログラム記録媒体の情報記録面と平行となる平行面が形成され、且つこの平行面と上記ホログラム記録媒体との界面に形成されるギャップ長が、少なくとも透過する光の波長以下の長さとなるようにして設けられる近接レンズを備える、
ことを特徴とする請求項2に記載のホログラム装置。
【請求項5】
上記信号光源から出射されて上記情報信号に基づいて変調を受けた面での上記信号光の光波分布のフーリエ変換面となる位置に対し、アパーチャを挿入したことを特徴とする請求項2に記載のホログラム装置。
【請求項1】
クラッド層に挟まれたコア層が備えられて光導波路が形成される光導波路型のホログラム記録媒体であって、
上記コア層が、第1の光の照射に応じては電荷キャリアが準安定順位に励起され、さらに上記第1の光とは波長の異なる第2の光の同時の照射に応じては電荷キャリアが安定順位に励起される性質とされたフォトリフラクティブ材料によって構成されている、
ことを特徴とするホログラム記録媒体。
【請求項2】
クラッド層に挟まれたコア層が備えられて光導波路が形成される光導波路型のホログラム記録媒体について少なくとも記録を行うホログラム装置として、
上記ホログラム記録媒体に対し、記録されるべき情報信号に基づいて変調される信号光を照射するための信号光源と、
上記ホログラム記録媒体における上記光導波路の端部側から、参照光としての第1の光を導入するための第1の光源と、
上記第1の光とは波長が異なる第2の光を上記光導波路の端部側から導入するための第2の光源とを備えると共に、
上記第1の光源からの上記第1の光と、上記第2の光源からの上記第2の光とが同一の上記光導波路に対して導入されるように構成されている、
ことを特徴とするホログラム装置。
【請求項3】
上記ホログラム記録媒体には、上記コア層が複数備えられ、
さらに、上記第1の光源と上記第2の光源とを、上記複数のコア層の積層方向に一体的に移動可能に保持する可動手段を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載のホログラム装置。
【請求項4】
さらに、上記ホログラム記録媒体の情報記録面と平行となる平行面が形成され、且つこの平行面と上記ホログラム記録媒体との界面に形成されるギャップ長が、少なくとも透過する光の波長以下の長さとなるようにして設けられる近接レンズを備える、
ことを特徴とする請求項2に記載のホログラム装置。
【請求項5】
上記信号光源から出射されて上記情報信号に基づいて変調を受けた面での上記信号光の光波分布のフーリエ変換面となる位置に対し、アパーチャを挿入したことを特徴とする請求項2に記載のホログラム装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−184626(P2006−184626A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378772(P2004−378772)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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