説明

ポジ型感放射線性樹脂組成物、表示素子用層間絶縁膜及びその形成方法

【課題】本発明の目的は、十分な感度を有するポジ型感放射線性樹脂組成物、並びにこのポジ型感放射線性樹脂組成物を用い、優れた耐メルトフロー性、耐熱性及び耐溶媒性を有し、電圧保持率に優れる層間絶縁膜及びその形成方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、[A1]ケイ素原子に炭素原子で結合する有機基のうち、エポキシ基を有する有機基の含有割合が、0モル%以上50モル%未満であるポリオルガノシロキサン、及び[A2]上記含有割合が、50モル%以上100モル%以下であるポリオルガノシロキサンを含有するポジ型感放射線性樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型感放射線性樹脂組成物、表示素子用層間絶縁膜及びその形成方法に関する。
【0002】
液晶表示素子等には、一般に層状に配置される配線の間を絶縁するために層間絶縁膜が設けられている。層間絶縁膜の形成材料としては、必要とするパターン形状を得るための工程数を少なくでき、かつ十分な平坦性を有する材料が好ましいことから、感放射線性樹脂組成物が幅広く使用されている。
【0003】
また、液晶表示素子の層間絶縁膜は、配線用コンタクトホールパターンの形成が必要であるところ、ネガ型感放射線性樹脂組成物では実用上使用できるレベルのホール径を有するパターン形成が困難であることから、ポジ型感放射線性樹脂組成物が幅広く使用されている(特開2001−354822号公報参照)。かかるポジ型感放射線性樹脂組成物の主成分としては、通常アクリル系樹脂が使用されるが、透明性に優れるポリシロキサン系材料を主成分として用いる試みもなされている(特開2000−1648号公報及び特開2006−178436号公報参照)。
【0004】
一方、液晶表示素子の表示不良を防止する観点から、層間絶縁膜にはポストベーク工程におけるパターンの耐メルトフロー性、ポストベーク工程後の耐溶媒性及び耐熱性が必要とされる。しかしながら、従来のポリシロキサン系材料を主成分とするポジ型感放射線性樹脂組成物は、層間絶縁膜の形成材料として求められる耐メルトフロー性、耐熱性及び耐溶媒性を十分に満足するものではない。
【0005】
このような状況において、現像後の加熱工程における耐メルトフロー性、加熱工程後の耐溶媒性及び耐熱性に優れ、かつ十分な感度を有するポリシロキサン系ポジ型感放射線性樹脂組成物の開発が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−354822号公報
【特許文献2】特開2000−1648号公報
【特許文献3】特開2006−178436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は十分な感度を有するポジ型感放射線性樹脂組成物、並びにこのポジ型感放射線性樹脂組成物を用い、優れた耐メルトフロー性、耐熱性及び耐溶媒性を有し、電圧保持率に優れる層間絶縁膜及びその形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A1]ケイ素原子に炭素原子で結合する有機基のうち、エポキシ基を有する有機基の含有割合が、0モル%以上50モル%未満であるポリオルガノシロキサン(以下、「[A1]ポリオルガノシロキサン」とも称する)、
、及び
[A2]上記含有割合が、50モル%以上100モル%以下であるポリオルガノシロキサン(以下、「[A2]ポリオルガノシロキサン」とも称する)
を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物である。
【0009】
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物が、[A1]ポリオルガノシロキサン及び[A2]ポリオルガノシロキサン(以下、これら2成分を合わせて「[A]ポリオルガノシロキサン」とも称する)を含有し、エポキシ基を有する有機基の含有割合を上記特定範囲とすることで、現像後の加熱工程における耐メルトフロー性、加熱工程後の耐溶媒性及び耐熱性に優れる層間絶縁膜を形成でき、かつ十分な感度を発現することができる。
【0010】
上記エポキシ基を有する有機基は、下記式(1)及び式(2)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【化1】

(式(1)中、nは、1〜12の整数である。式(2)中、mは、1〜12の整数である。式(1)及び(2)中、*は、ケイ素原子と結合する部位を示す。)
【0011】
[A1]ポリオルガノシロキサン及び[A2]ポリオルガノシロキサン中のエポキシ基を上記特定基とすることで、耐メルトフロー性、耐溶媒性及び耐熱性をより向上させることができる。
【0012】
[A2]ポリオルガノシロキサンの含有量は、[A1]ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。[A2]ポリオルガノシロキサンの含有量を、上記特定量とすることで耐メルトフロー性、耐溶媒性及び耐熱性をより向上させることができる。
【0013】
[A1]ポリオルガノシロキサンにおけるエポキシ基を有する有機基の含有割合が、0モル%以上5モル%以下であり、かつ[A2]ポリオルガノシロキサンにおけるエポキシ基を有する有機基の含有割合が、95%以上100モル%以下であることが好ましい。[A1]ポリオルガノシロキサン及び[A2]ポリオルガノシロキサン中のエポキシ基を有する有機基の含有割合を上記特定範囲とすることで、耐メルトフロー性、耐溶媒性及び耐熱性を特に向上させることができる。
【0014】
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物は、[B]キノンジアジド化合物をさらに含有することが好ましい。当該ポジ型感放射線性樹脂組成物が[B]キノンジアジド化合物をさらに含有することで、露光された部分が現像工程により除去されるポジ型の感放射線特性を当該ポジ型感放射線性樹脂組成物に付与することができる。
【0015】
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物は、[C]感放射線性酸発生剤をさらに含有することが好ましい。当該ポジ型感放射線性樹脂組成物が、[C]感放射線性酸発生剤をさらに含有することで、現像後の露光工程(ポスト露光工程)において、[C]感放射線性酸発生剤から発生する酸によってポリオルガノシオキサン同士の縮合反応が促進される。また、[C]感放射線性酸発生剤は、パターン形成時の放射線とは異なる放射線吸収領域を有していることから、パターン形成時の放射線によっては酸を発生しないか、又は発生してもごく少量であり、ポジ型及びネガ型の感放射線特性が混在して、望ましくない反応が生じることを抑制することができる。
【0016】
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物は、表示素子用層間絶縁膜の形成材料として好適である。
【0017】
本発明の表示素子用層間絶縁膜の形成方法は、
(1)当該ポジ型感放射線性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する工程、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線が照射された塗膜を現像する工程、
(4)工程(3)で現像された塗膜に放射線を照射する工程、及び
(5)工程(4)で放射線が照射された塗膜を加熱する工程
を有する。
【0018】
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物を用いた本発明の形成方法によると、耐メルトフロー性、耐熱性及び耐溶媒性に優れる表示素子用層間絶縁膜を形成することができる。
【0019】
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物から形成される表示素子用層間絶縁膜も本発明に好適に含まれる。当該表示素子用層間絶縁膜は、電圧保持率に優れることから表示素子用として好適に適用できる
【0020】
ここで、「感放射線性樹脂組成物」の「放射線」とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等を含む概念である。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、十分な感度を有し、これを用いた層間絶縁膜の耐メルトフロー性、耐熱性及び耐溶媒性を高め、電圧保持率を向上し、表示素子用として使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<ポジ型感放射線性樹脂組成物>
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、[A]ポリオルガノシロキサンを含有する。また、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物は、好適成分として、[B]キノンジアジド化合物及び[C]感放射線性酸発生剤を含有してもよい。さらに、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分を詳述する。
【0023】
<[A]ポリオルガノシロキサン>
[A1]ポリオルガノシロキサンは、ケイ素原子に炭素原子で結合する有機基のうち、エポキシ基を有する有機基の含有割合が、0モル%以上50モル%未満であるポリオルガノシロキサンである。[A2]ポリオルガノシロキサンは、上記含有割合が、50モル%以上100モル%以下であるポリオルガノシロキサンである。当該ポジ型感放射線性樹脂組成物が、[A]ポリオルガノシロキサンを含有し、エポキシ基を有する有機基の含有割合を上記特定範囲とすることで、現像後の加熱工程における耐メルトフロー性、加熱工程後の耐溶媒性及び耐熱性に優れる層間絶縁膜を形成でき、かつ十分な感度を発現することができる。
【0024】
[A]ポリオルガノシロキサンとしては、下記式(3)で表される構造単位を有するポリオルガノシロキサン、その加水分解物及びその加水分解物の縮合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0025】
【化2】

【0026】
上記式(3)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、又はエポキシ基を有する1価の有機基である。aは、0〜3の整数である。但し、Rが複数の場合、複数のRは同一であっても複数であってもよい。また、これら基の水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、又は炭素数6〜15のアリール基である。但し、Rが複数の場合、複数のRは同一であっても複数であってもよい。
【0027】
上記R及びRが示す炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
【0028】
上記Rが示す炭素数2〜10のアルケニル基としては、例えばエテニル基、プロペニル基等が挙げられる。
【0029】
上記R及びRが示す炭素数6〜15のアリール基としては、フェニル基等が挙げられる。
【0030】
上記Rが示す炭素数1〜6のアシル基としては、例えばアセチル基等が挙げられる。
【0031】
上記Rが示すエポキシ基を有する1価の有機基としては、エポキシ基を有する1価の有機基であれば特に限定されず、例えばグリシジル基、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基を含む基等が挙げられる。エポキシ基を有する1価の有機基としては、上記式(1)及び式(2)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記式(1)中、nは、1〜12の整数である。上記式(2)中、mは、1〜12の整数である。上記式(1)及び式(2)中、*は、ケイ素原子と結合する部位を示す。
【0032】
上記式(1)及び式(2)で表される基としては、下記式(1−1)及び式(1−2)で表される基がより好ましい。[A1]ポリオルガノシロキサン及び[A2]ポリオルガノシロキサン中のエポキシ基を上記特定基とすることで、耐メルトフロー性、耐溶媒性及び耐熱性をより向上させることができる。
【0033】
【化3】

【0034】
上記式(1−1)及び式(1−2)中、*は、ケイ素原子と結合する部位を示す。
【0035】
[A2]ポリオルガノシロキサンの含有量は、[A1]ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。[A2]ポリオルガノシロキサンの含有量を、上記特定量とすることで耐メルトフロー性、耐溶媒性及び耐熱性をより向上させることができる。
【0036】
[A1]ポリオルガノシロキサンのエポキシ基を有する有機基の含有割合としては、0モル%以上10モル%以下が好ましく、0モル%以上5モル%以下がより好ましい。[A2]ポリオルガノシロキサンのエポキシ基を有する有機基の含有割合としては、90モル%以上100モル%以下が好ましく、95モル%以上100モル%以下がより好ましい。[A1]ポリオルガノシロキサン及び[A2]ポリオルガノシロキサン中のエポキシ基を有する有機基の含有割合を上記特定範囲とすることで、耐メルトフロー性、耐溶媒性及び耐熱性を特に向上させることができる。
【0037】
[A]ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量(Mw)としては、500〜100,000が好ましく、1,000〜10,000がより好ましく、1,000〜5,000が特に好ましい。なお、本明細書における重合体のMw及び数平均分子量(Mn)は下記の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
装置:GPC−101(昭和電工製)
カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803及びGPC−KF−804を結合
移動相:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0038】
<[A]ポリオルガノシロキサンの合成方法>
[A]ポリオルガノシロキサンの合成方法としては、好ましくはエポキシ基を有するシラン化合物、又はエポキシ基を有するシラン化合物と他のシラン化合物との混合物を、好ましくは適当な有機溶媒、水及び触媒の存在下において加水分解又は加水分解縮合することにより合成することができる。
【0039】
上記エポキシ基を有するシラン化合物としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0040】
上記他のシラン化合物としては、例えばテトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、トリクロロシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリ−i−プロポキシシラン、トリ−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブトキシシラン、フルオロトリクロロシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、フルオロトリ−n−プロポキシシラン、フルオロトリ−i−プロポキシシラン、フルオロトリ−n−ブトキシシラン、フルオロトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリクロロシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリメトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)、エチルトリエトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−i−プロポキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリクロロシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−i−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリクロロシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリメトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリエトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−i−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、ヒドロキシメチルトリクロロシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリ−n−プロポキシシラン、ヒドロキシメチルトリ−i−プロポキシシラン、ヒドロキシメチルトリ−n−ブトキシシラン、ヒドロキシメチルトリ−sec−ブトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−i−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−n−ブトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリクロロシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−i−プロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−n−ブトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−i−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリ−n−プロポキシシラン、アリルトリ−i−プロポキシシラン、アリルトリ−n−ブトキシシラン、アリルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−i−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルジクロロシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジ−n−プロポキシシラン、メチルジ−i−プロポキシシラン、メチルジ−n−ブトキシシラン、メチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジ−i−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジクロロシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジメトキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジエメトキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジ−n−プロポキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジ−i−プロポキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジ−n−ブトキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジ−sec−ブトキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジクロロシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジメトキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジエトキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジ−n−プロポキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジ−i−プロポキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジ−n−ブトキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジ−sec−ブトキシシラン、(メチル)(ビニル)ジクロロシラン、(メチル)(ビニル)ジメトキシシラン、(メチル)(ビニル)ジエトキシシラン、(メチル)(ビニル)ジ−n−プロポキシシラン、(メチル)(ビニル)ジ−i−プロポキシシラン、(メチル)(ビニル)ジ−n−ブトキシシラン、(メチル)(ビニル)ジ−sec−ブトキシシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジ−n−プロポキシシラン、ジビニルジ−i−プロポキシシラン、ジビニルジ−n−ブトキシシラン、ジビニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジ−i−プロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、クロロジメチルシラン、メトキシジメチルシラン、エトキシジメチルシラン、クロロトリメチルシラン、ブロモトリメチルシラン、ヨードトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、n−プロポキシトリメチルシラン、i−プロポキシトリメチルシラン、n−ブトキシトリメチルシラン、sec−ブトキシトリメチルシラン、t−ブトキシトリメチルシラン、(クロロ)(ビニル)ジメチルシラン、(メトキシ)(ビニル)ジメチルシラン、(エトキシ)(ビニル)ジメチルシラン、(クロロ)(メチル)ジフェニルシラン、(メトキシ)(メチル)ジフェニルシラン、(エトキシ)(メチル)ジフェニルシラン等が挙げられる。
【0041】
上記他のシラン化合物の市販品としては、例えばKC−89、KC−89S、X−21−3153、X−21−5841、X−21−5842、X−21−5843、X−21−5844、X−21−5845、X−21−5846、X−21−5847、X−21−5848、X−22−160AS、X−22−170B、X−22−170BX、X−22−170D、X−22−170DX、X−22−176B、X−22−176D、X−22−176DX、X−22−176F、X−40−2308、X−40−2651、X−40−2655A、X−40−2671、X−40−2672、X−40−9220、X−40−9225、X−40−9227、X−40−9246、X−40−9247、X−40−9250、X−40−9323、X−41−1053、X−41−1056、X−41−1805、X−41−1810、KF6001、KF6002、KF6003、KR212、KR−213、KR−217、KR220L、KR242A、KR271、KR282、KR300、KR311、KR401N、KR500、KR510、KR5206、KR5230、KR5235、KR9218、KR9706(以上、信越化学工業製);グラスレジン(昭和電工製);SH804、SH805、SH806A、SH840、SR2400、SR2402、SR2405、SR2406、SR2410、SR2411、SR2416、SR2420(以上、東レ・ダウコーニング製);FZ3711、FZ3722(以上、日本ユニカー製);DMS−S12、DMS−S15、DMS−S21、DMS−S27、DMS−S31、DMS−S32、DMS−S33、DMS−S35、DMS−S38、DMS−S42、DMS−S45、DMS−S51、DMS−227、PSD−0332、PDS−1615、PDS−9931、XMS−5025(以上、チッソ製);メチルシリケートMS51、メチルシリケートMS56(以上、三菱化学製);エチルシリケート28、エチルシリケート40、エチルシリケート48(以上、コルコート製);GR100、GR650、GR908、GR950(以上、昭和電工製)等が挙げられる。
【0042】
これらの他のシラン化合物のうち、得られる層間絶縁膜の耐溶媒性の観点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
【0043】
[A]ポリオルガノシロキサンのエポキシ当量としては、100g/モル〜10,000g/モルが好ましく、150g/モル〜1,000g/モルがより好ましい。従って、[A]ポリオルガノシロキサンの合成に際しては、エポキシ基を有するシラン化合物と他のシラン化合物との使用割合を、上記の好適なエポキシ当量の範囲となるように調製することが好ましい。具体的には、エポキシ基を有するシラン化合物の含有量としては、他のシラン化合物との合計に対して0質量%〜50質量%が好ましく、5質量%〜30質量%がより好ましい。
【0044】
[A]ポリオルガノシロキサンの合成に際し、使用できる有機溶媒としては、例えば炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒等が挙げられる。
【0045】
上記炭化水素系溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等が挙げられる。上記ケトン系溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。上記エステル系溶媒としては、例えば酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル等が挙げられる。上記エーテル系溶媒としては、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。上記アルコール系溶媒としては、例えば1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等が挙げられる。これらのうち非水溶性のものが好ましい。これらの有機溶媒は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0046】
有機溶媒の含有量としては、全シラン化合物100質量部に対して、好ましくは10質量部〜10,000質量部、より好ましくは50質量部〜1,000質量部である。また、[A]ポリオルガノシロキサンを製造する際の水の含有量としては、全シラン化合物に対して、好ましくは0.5倍モル〜100倍モル、より好ましくは1倍モル〜30倍モルである。
【0047】
上記触媒としては例えばアルカリ金属化合物、有機塩基、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が挙げられる。
【0048】
上記アルカリ金属化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド等が挙げられる。
【0049】
上記有機塩基としては、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、ピロール等の1〜2級有機アミン;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセン等の3級有機アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の4級有機アンモニウム塩等が挙げられる。
【0050】
上記触媒としては、アルカリ金属化合物、有機塩基が好ましい。アルカリ金属化合物又は有機塩基を触媒として用いることにより、エポキシ基の開環等の副反応を生じることなく、高い加水分解・縮合速度でポリオルガノシロキサンを得ることができ、生産安定性に優れる。理由としては、Chemical Reviews、95巻、p1409(1995年)に指摘されているように、加水分解、縮合反応において触媒としてアルカリ金属化合物又は有機塩基を用いると、ランダム構造、はしご型構造又はかご型構造が形成され、シラノール基の含有割合が少ないポリオルガノシロキサンが得られるためではないかと推察される。これらの有機塩基のうち、有機塩基がより好ましく、反応が穏やかに進行する観点から、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。
【0051】
上記触媒の含有量としては、種類、温度等により異なるが、全シラン化合物に対して好ましくは0.01倍モル〜3倍モルであり、より好ましくは0.05倍モル〜1倍モルである。
【0052】
[A]ポリオルガノシロキサンを合成する際の加水分解又は加水分解縮合反応は、エポキシ基を有するシラン化合物と必要に応じて他のシラン化合物とを有機溶媒に溶解し、この溶液を有機塩基及び水と混合して、例えば油浴等により加熱することにより実施することが好ましい。
【0053】
加水分解縮合反応における油浴の加熱温度としては、好ましくは130℃以下、より好ましくは40℃〜100℃である。加熱時間としては、好ましくは0.5時間〜12時間、より好ましくは1時間〜8時間である。加熱中は、混合液を撹拌してもよいし、還流下に置いてもよい。
【0054】
反応終了後、反応液から分取した有機溶媒層を水で洗浄することが好ましい。この洗浄に際しては、洗浄操作が容易になる観点から、少量の塩を含む水、例えば0.2質量%程度の硝酸アンモニウム水溶液等で洗浄することが好ましい。洗浄は洗浄後の水層が中性になるまで行い、その後有機溶媒層を、必要に応じて無水硫酸カルシウム、モレキュラーシーブス等の乾燥剤で乾燥した後、溶媒を除去することで目的とする[A]ポリオルガノシロキサンが得られる。
【0055】
[A]ポリオルガノシロキサンとしては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えばDMS−E01、DMS−E12、DMS−E21,EMS−32(以上、チッソ製)等が挙げられる。
【0056】
[A]ポリオルガノシロキサンは、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサン自体が加水分解されて生じる加水分解物に由来する部分や、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサン同士が加水分解縮合した加水分解縮合物に由来する部分を含んでいてもよい。
【0057】
<[B]キノンジアジド化合物>
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物が好適成分として含有できる[B]キノンジアジド化合物は、放射線の照射によってカルボン酸を発生する。当該ポジ型感放射線性樹脂組成物が[B]キノンジアジド化合物をさらに含有することで、露光された部分が現像工程により除去されるポジ型の感放射線特性を当該ポジ型感放射線性樹脂組成物に付与することができる。
【0058】
[B]キノンジアジド化合物としては、好ましくはフェノール性水酸基を有する化合物とナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合物が挙げられる。
【0059】
フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えばフェノール性水酸基のオルト位及びパラ位が、それぞれ独立して水素原子又は下記式で表される置換基である化合物が挙げられる。
【0060】
【化4】

【0061】
上記式中、R、R及びRは、それぞれ独立して置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基又は置換されていてもよいフェニル基である。また、R及びRが結合して、互いに結合している炭素原子と共に環構造を形成してもよい。
【0062】
上記R、R及びRが示す炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基、2−カルボキシエチル基が挙げられる。
【0063】
上記R、R及びRが示す置換されていてもよいフェニル基の置換基としては、例えば水酸基等が挙げられる。
【0064】
上記R及びRが結合して、互いに結合している炭素原子と共に形成してもよい環構造としては、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、フルオレン等が挙げられる。
【0065】
フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0066】
【化5】

【0067】
【化6】

【0068】
これらのうち、フェノール性水酸基を有する化合物としては、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0069】
上記ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとしては、例えば1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドが挙げられる。1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロリドから得られるエステル化合物(キノンジアジド化合物)は、i線(波長365nm)領域に吸収を持つため、i線露光に適している。一方、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドから得られるエステル化合物(キノンジアジド化合物)は、広範囲の波長領域に吸収が存在するため、広範囲の波長での露光に適している。
【0070】
[B]キノンジアジド化合物としては、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドとの縮合物、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドとの縮合物が好ましい。
【0071】
[B]キノンジアジド化合物のMwとしては、好ましくは300〜1,500、より好ましくは350〜1,200である。[B]キノンジアジド化合物のMwを300以上とすることで、形成される層間絶縁膜の透明性を高く維持することができる。一方、[B]キノンジアジド化合物のMwを1,500以下とすることで、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物のパターン形成性の低下を抑制することができる。
【0072】
[B]キノンジアジド化合物は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。当該ポジ型感放射線性樹脂組成物における[B]キノンジアジド化合物の含有量としては、[A]ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、好ましくは1質量部〜100質量部であり、より好ましくは5質量部〜50質量部である。[B]キノンジアジド化合物の含有量を上記特定範囲とすることで、現像液となるアルカリ水溶液に対する放射線の照射部分と未照射部分との溶解度の差が大きくなり、結果としてパターニング性能が良好となる。また、得られる層間絶縁膜の耐溶媒性も良好となる。
【0073】
<[C]感放射線性酸発生剤>
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物が好適成分として含有できる[C]感放射線性酸発生剤は、[B]キノンジアジド化合物の極大吸収波長より短い極大吸収波長を有しており、その吸収波長の放射線の照射によって酸、好ましくはパーフルオロスルホン酸等の強酸を発生する化合物である。当該ポジ型感放射線性樹脂組成物が、[C]感放射線性酸発生剤をさらに含有することで、ポスト露光工程において、[C]感放射線性酸発生剤から発生する酸によってポリオルガノシオキサン同士の縮合反応が促進される。また、[C]感放射線性酸発生剤は、パターン形成時の放射線とは異なる放射線吸収領域を有していることから、パターン形成時の放射線によっては酸を発生しないか、又は発生してもごく少量であり、ポジ型及びネガ型の感放射線特性が混在して、望ましくない反応が生じることを抑制することができる。
【0074】
[C]感放射線性酸発生剤としては、[B]キノンジアジド化合物の極大吸収波長より短い極大吸収波長を有し、かつその吸収波長の放射線の照射によって酸を発生する化合物であれば特に限定されない。[B]キノンジアジド化合物の極大吸収波長と[C]感放射線性酸発生剤の極大吸収波長との波長差は、パターン形成時の露光又はポスト露光における放射線照射により、実質的にいずれか一方の放射線吸収を選択的に発生させるような値であればよい。上記波長差としては、10nm〜200nmが好ましく、20nm〜100nmがより好ましい。
【0075】
[C]感放射線性酸発生剤としては、下記式(4)〜(6)で表される化合物が好ましい。
【0076】
【化7】

【0077】
上記式(4)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。Xaは、SbF、(C2b+1PF6−Y、又はC2b+1SOである。Yは、0〜6の整数である。bは、1〜6の整数である。
上記式(5)中、Rは、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基又はフェニルチオ基である。Xは、上記式(4)におけるXと同義である。
上記式(6)中、R及びR10は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式アルキル基、又は置換されていてもよいアリール基である。
【0078】
上記式(4)で表される化合物としては、例えば1−(4−ヒドロキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート、1−(4−n−ブトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート、1−(4,7−ジエトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート、1−(4,7−ジブトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート、1−(4,7−ジヒドロキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート、1−(4,7−ジプロピルヒドロキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート、1−(4,7−ジヒドロキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(4,7−ジヒドロキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらのうち、1−(4,7−ジブトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート、1−(4,7−ジヒドロキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナートが好ましい。
【0079】
上記式(5)で表される化合物としては、例えばジフェニル(4−(フェニルチオ)フェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニル(4−(フェニルチオ)フェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル(4−(フェニルチオ)フェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル(4−(フェニルチオ)フェニル)スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート、ジフェニル(4−(フェニル)フェニル)スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート、ジフェニル(4−(ナフチル)フェニル)スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート、ジフェニル(4−(アントラニル)フェニル)スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート等が挙げられる。これらのうち、ジフェニル(4−(フェニルチオ)フェニル)スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート、ジフェニル(4−(フェニル)フェニル)スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファートが好ましい。
【0080】
上記式(6)で表される化合物としては、例えばビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−t−ブチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(ナフタレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(アントラセンスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。これらのうち、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタンが好ましい。
【0081】
[C]感放射線性酸発生剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。当該ポジ型感放射線性樹脂組成物における[C]感放射線性酸発生剤の含有量としては、ポスト露光時に、[A]ポリオルガノシロキサンの縮合反応を促進し、架橋構造を強固にし得る限り特に限定されないが、[A]ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、0.5質量部〜5質量部が好ましく、1質量部〜4質量部がより好ましい。[C]感放射線性酸発生剤の含有量を上記特定範囲とすることで、加熱工程における熱に対しても高い耐メルトフロー性を発揮することができる。
【0082】
<その他の任意成分>
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物は、上記の[A]ポリオルガノシロキサン、[B]キノンジアジド化合物及び[C]感放射線性酸発生剤に加え、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて熱架橋性化合物、界面活性剤、脱水剤等のその他の任意成分を含有できる。これらのその他の任意成分は、それぞれの成分を単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。以下、順に詳述する。
【0083】
[熱架橋性化合物]
熱架橋性化合物は、加熱工程における熱硬化時に[A]ポリオルガノシロキサンを架橋する化合物であり、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物が熱架橋性化合物を含むことで層間絶縁膜の架橋度が高くなり、結果として耐溶媒性及び耐メルトフロー性が向上する。
【0084】
熱架橋性化合物としては、例えば上述の「他のシラン化合物」等の[A]ポリオルガノシロキサンと構造が重複しないシラン化合物であって、複数のアルコキシ基又はハロゲン原子を有するシラン化合物が挙げられる。
【0085】
熱架橋性化合物の含有量としては、[A]ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、好ましくは1質量部以上70質量部以下、より好ましくは5質量部以上50質量部以下である。熱架橋性化合物の含有量を上記特定範囲とすることで、放射線感度、耐メルトフロー性及び耐溶媒性をより向上することができる。
【0086】
[界面活性剤]
界面活性剤は、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物の塗布性の改善、塗布ムラの低減、放射線照射部の現像性を改良するために添加することができる。界面活性剤としては、例えばフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤及びその他の界面活性剤が挙げられる。
【0087】
上記フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖及び側鎖の少なくともいずれかの部位にフルオロアルキル基及び/又はフルオロアルキレン基を有する化合物が好ましく、例えば1,1,2,2−テトラフロロ−n−オクチル(1,1,2,2−テトラフロロ−n−プロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロ−n−オクチル(n−ヘキシル)エーテル、ヘキサエチレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロ−n−ペンチル)エーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロ−n−ブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロ−n−ペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロ−n−ブチル)エーテル、パーフロロ−n−ドデカンスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロ−n−デカン、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフロロ−n−ドデカンや、フロロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、フロロアルキルリン酸ナトリウム、フロロアルキルカルボン酸ナトリウム、ジグリセリンテトラキス(フロロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フロロアルキルアンモニウムヨージド、フロロアルキルベタイン、他のフロロアルキルポリオキシエチレンエーテル、パーフロロアルキルポリオキシエタノール、パーフロロアルキルアルコキシレート、カルボン酸フロロアルキルエステル等が挙げられる。
【0088】
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えばBM−1000、BM−1100(以上、BM CHEMIE製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183、同F178、同F191、同F471、同F476(以上、大日本インキ化学工業製)、フロラードFC−170C、同−171、同−430、同−431(以上、住友スリーエム製)、サーフロンS−112、同−113、同−131、同−141、同−145、同−382、サーフロンSC−101、同−102、同−103、同−104、同−105、同−106(以上、旭硝子製)、エフトップEF301、同303、同352(以上、新秋田化成製)、フタージェントFT−100、同−110、同−140A、同−150、同−250、同−251、同−300、同−310、同−400S、FTX−218、同−251(以上、ネオス製)等が挙げられる。
【0089】
シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えばトーレシリコーンDC3PA、同DC7PA、同SH11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH−190、同SH−193、同SH−8400、同SZ−6032、同SF−8428、同DC−57、同DC−190(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン製)、TSF−4440、TSF−4300、TSF−4445、TSF−4446、TSF−4460、TSF−4452(以上、GE東芝シリコーン製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業製)等が挙げられる。
【0090】
その他の界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン−n−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−n−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシエチレンジアルキルエステル等のノニオン系界面活性剤、(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、同No.95(以上、共栄社化学製)等が挙げられる。
【0091】
界面活性剤の含有量としては、[A]ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましく、0.05質量部以上5質量部以下がより好ましい。界面活性剤の含有量を上記特定範囲とすることで当該ポジ型感放射線性樹脂組成物の塗布性を最適化することができる。
【0092】
[脱水剤]
脱水剤は、水を化学反応により水以外の物質に変換するか、又は水を物理吸着若しくは包接によりトラップすることができる物質として定義される。当該ポジ型感放射線性樹脂組成物に、脱水剤を含有させることで、環境から浸入する水分、又は当該ポジ型感放射線性樹脂組成物の現像後の加熱工程における縮合反応の結果、発生する水分を低減することができる。結果として、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物の保存安定性を向上させることができる。さらに、縮合反応性を高め、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物の耐メルトフロー性を向上させることができると考えられる。
【0093】
脱水剤としては、例えばカルボン酸エステル、アセタール類(ケタール類を含む)、カルボン酸無水物等が挙げられる。
【0094】
カルボン酸エステルとしては、オルトカルボン酸エステル、カルボン酸シリルエステルが好ましい。オルトカルボン酸エステルとしては、例えばオルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト蟻酸プロピル、オルト蟻酸ブチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルト酢酸プロピル、オルト酢酸ブチル、オルトプロピオン酸メチル、オルトプロピオン酸エチルが挙げられる。カルボン酸シリルエステルとしては、例えば酢酸トリメチルシリル、酢酸トリブチルシリル、蟻酸トリメチルシリル、シュウ酸トリメチルシリル等が挙げられる。これらのうち、オルトカルボン酸エステルがより好ましく、オルト蟻酸メチル等のオルト蟻酸エステルが特に好ましい。
【0095】
アセタール類としては、例えばケトン類とアルコールとの反応物、ケトン類とジアルコールとの反応物、ケテンシリルアセタール類等が挙げられる。これらのうち、ケトン類とアルコールとの反応物が好ましく、ケトン類とアルコールとの反応物としては、例えばジメチルアセタール、ジエチルアセタール、ジプロピルアセタール等が挙げられる。
【0096】
カルボン酸無水物としては、例えば無水蟻酸、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水安息香酸、酢酸安息香酸無水物等が挙げられる。これらのうち、無水酢酸、無水コハク酸が好ましい。
【0097】
脱水剤の含有量としては、[A]ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上50質量部以下であり、より好ましくは0.01質量部以上30質量部以下であり、特に好ましくは0.05質量部以上10質量部以下である。脱水剤の含有量を上記特定範囲とすることで、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物の保存安定性を最適化することができる。
【0098】
<ポジ型感放射線性樹脂組成物の調製方法>
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物は、例えば[A]ポリオルガノシロキサンに加え、好適成分である[B]キノンジアジド化合物、[C]感放射線性酸発生剤、並びにその他の任意成分を所定の割合で混合することによって調製される。当該ポジ型感放射線性樹脂組成物は、好ましくは適当な溶媒に溶解又は分散させた状態に調製され、使用される。
【0099】
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒としては、各成分を均一に溶解又は分散し、各成分と反応しないものが好適に用いられる。このような溶媒としては、例えば、上述した[A]ポリオルガノシロキサンを合成するために使用できる溶媒として例示したものと同様のものが挙げられる。溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用できる。
【0100】
各成分の溶解性、各成分との反応性、塗膜形成の容易性等の観点から、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、3−メトキシブタノールが好ましい。
【0101】
さらに、上記溶媒とともに膜厚の面内均一性を高めるため、高沸点溶媒を併用できる。高沸点溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、1−オクタノール、1−ノナノール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレン等が挙げられる。これらのうち、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
【0102】
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物を溶液状態として調製する場合、固形分濃度(組成物溶液中に占める溶媒以外の成分)は、使用目的や所望の膜厚の値等に応じて任意の濃度(例えば5質量%〜50質量%)に設定できる。より好ましい固形分濃度としては、基板上への塗膜の形成方法により異なるが、好ましくは5質量%〜50質量%、より好ましくは10質量%〜40質量%、特に好ましくは15質量%〜35質量%である。
【0103】
<表示素子用層間絶縁膜の形成方法>
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物は表示素子用層間絶縁膜の形成材料として好適である。当該ポジ型感放射線性樹脂組成を用いた本発明の表示素子用層間絶縁膜の形成方法は、
(1)当該ポジ型感放射線性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する工程、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線が照射された塗膜を現像する工程、
(4)工程(3)で現像された塗膜に放射線を照射する工程、及び
(5)工程(4)で放射線が照射された塗膜を加熱する工程
を有する。
【0104】
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物を用いた本発明の形成方法によると、耐メルトフロー性、耐熱性及び耐溶媒性に優れる表示素子用層間絶縁膜を形成することができる。また、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物から形成される表示素子用層間絶縁膜も本発明に好適に含まれる。当該表示素子用層間絶縁膜は、電圧保持率に優れることから表示素子用として好適に適用できる。以下、各工程を詳述する。
【0105】
[工程(1)]
本工程では、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する。形成方法としては、例えば基板上に当該ポジ型感放射線性樹脂組成物の溶液又は分散液を塗布した後、好ましくは塗布面を加熱(プレベーク)することにより溶媒を除去して、塗膜を形成する。
【0106】
基板としては、例えば石英;シリコン;ソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラス基板;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等の樹脂基板等が挙げられる。
【0107】
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物の塗布方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、スピンコート法、スリット塗布法、バー塗布法、インクジェット塗布法等が挙げられる。これらのうち、スピンコート法、スリット塗布法が好ましい。
【0108】
上記プレベークの条件としては、各成分の種類、配合割合等によって異なるが、70℃〜120℃が好ましく、1分〜10分間程度である。塗膜のプレベーク後の膜厚は、0.5μm〜10μmが好ましく、1.0μm〜7.0μm程度がより好ましい。
【0109】
[工程(2)]
本工程では、工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する。このとき、塗膜の一部にのみ照射する際には、例えば所定のパターンを有するフォトマスクを介して照射する。
【0110】
使用される放射線としては、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線等が挙げられる。これらのうち、波長が190nm〜450nmの範囲にある放射線が好ましく、365nmの紫外線を含む放射線がより好ましい。
【0111】
放射線照射量(露光量)は、照射される放射線の波長365nmにおける強度を照度計(OAI model 356、Optical Associates Inc.製)により測定した値として、100J/m〜10,000J/mが好ましく、500J/m〜6,000J/mがより好ましい。
【0112】
[工程(3)]
本工程では、工程(2)で放射線が照射された塗膜を現像する。塗膜を現像することにより、不要な部分を除去して、所定のパターンを形成する。現像に使用される現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等のアルカリ性化合物の水溶液等が挙げられる。上記アルカリ性化合物の水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤を適当量添加してもよい。アルカリ水溶液におけるアルカリの濃度しては、適当な現像性を得る観点から、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
【0113】
現像方法としては、例えば液盛り法、ディッピング法、シャワー法等が挙げられる。現像時間としては、常温で10秒〜180秒間程度が好ましい。現像処理に続いて、例えば流水洗浄を30秒〜90秒間行った後、圧縮空気や圧縮窒素で風乾することによって所望のパターンが得られる。
【0114】
[工程(4)]
本工程では、工程(3)で現像された塗膜に放射線を照射する。この照射により[C]感放射線性酸発生剤から酸を発生させ、発生した酸による[A]ポリオルガノシロキサンの縮合・架橋反応を促進させる。露光に使用される放射線としては、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等が挙げられる。これらの放射線の波長としては、[B]キノンジアジド化合物の極大吸収波長より短い極大吸収波長であれば特に限定されないが、上記工程(2)で露光されなかった[B]キノンジアジド化合物への放射線照射も考慮すると、150nm〜400nmの範囲にある放射線が好ましく、300nm及び365nmの紫外線を含む放射線がより好ましい。
【0115】
放射線照射量は、照射される放射線の波長365nmにおける強度を上記照度計により測定した値として、100J/m〜10,000J/mが好ましく、500J/m〜6,000J/mがより好ましい。
【0116】
[工程(5)]
本工程では、工程(4)で放射線が照射された塗膜を加熱する。得られたパターン状塗膜をホットプレート、オーブン等の加熱装置により焼成(ポストベーク)することにより表示素子用層間絶縁膜を得る。焼成温度としては、120℃〜250℃が好ましい。焼成時間としては、例えばホットプレート上では5分〜30分間、オーブンでは30分〜90分間が好ましい。また、2回以上の焼成工程を行うステップベーク法等を用いることもできる。このようにして形成された表示素子用層間絶縁膜の膜厚としては、好ましくは0.1μm〜8μm、より好ましくは0.1μm〜6μm、特に好ましくは0.1μm〜4μmである。
【実施例】
【0117】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例に本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0118】
<[A1]ポリオルガノシロキサンの合成>
[合成例1]
撹拌機付の容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)40質量部(31.3モル%)、メチルトリメトキシシラン(MTMS)30質量部(40.7モル%)、フェニルトリメトキシシラン(PTMS)30質量部(28.0モル%)及びシュウ酸0.5質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、イオン交換水18質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、3時間保持した。次いで脱水剤としてオルト蟻酸メチル28質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、イオン交換水及び加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上の手順により、加水分解縮合物(A1−1)を得た。加水分解縮合物(A1−1)の固形分濃度は39.5質量%であり、Mwは3,500であり、Mw/Mnは2.0であった。
【0119】
[合成例2]
撹拌機付の容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、GPTMS20質量部(16.2モル%)、MTMS15質量部(21.1モル%)、PTMS65質量部(62.7モル%)及びシュウ酸0.5質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、イオン交換水18質量部を仕込み、合成例1と同様の操作により、加水分解縮合物(A1−2)を得た。加水分解縮合物(A1−2)の固形分濃度は39.0質量%であり、Mwは3,400であり、Mw/Mnは2.0であった。
【0120】
[合成例3]
撹拌機付の容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、GPTMS5質量部(3.7モル%)、MTMS30質量部(38.7モル%)、PTMS65質量部(57.6モル%)及びシュウ酸0.5質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、イオン交換水18質量部を仕込み、合成例1と同様の操作により、加水分解縮合物(A1−3)を得た。加水分解縮合物(A1−3)の固形分濃度は39.0質量%であり、Mwは3,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
【0121】
[合成例4]
撹拌機付の容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、MTMS35質量部(43.9モル%)、PTMS65質量部(56.1モル%)及びシュウ酸0.5質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、イオン交換水18質量部を仕込み、合成例1と同様の操作により、加水分解縮合物(A1−4)を得た。加水分解縮合物(A1−4)の固形分濃度は39.0質量%であり、Mwは3,600であり、Mw/Mnは2.0であった。
【0122】
[合成例5]
撹拌機付の容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECETS)20質量部(15.0モル%)、MTMS25質量部(33.9モル%)、PTMS55質量部(51.2モル%)及びシュウ酸0.5質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、イオン交換水18質量部を仕込み、合成例1と同様の操作により、加水分解縮合物(A1−5)を得た。加水分解縮合物(A1−5)の固形分濃度は39.0質量%であり、Mwは3,600であり、Mw/Mnは2であった。
【0123】
<[A2]ポリオルガノシロキサンの合成>
[合成例6]
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却管を備えた反応容器に、ECETS100質量部(100.0モル%)、メチルイソブチルケトン500質量部及びトリエチルアミン10質量部を仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水100質量部を滴下漏斗より30分かけて滴下した後、還流下で混合しつつ、80℃で6時間反応させた。反応終了後、有機層を取り出し、0.2質量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒及び水を留去することにより、加水分解縮合物(A2−1)を粘稠な透明液体として得た。この加水分解縮合物(A2−1)について、H−NMR分析を行なったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にエポキシ基に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことが確認された。得られた加水分解縮合物(A2−1)のMwは4,000であり、Mw/Mnは2.0であった。
【0124】
[合成例7]
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却管を備えた反応容器に、ECETS80質量部(68.9モル%)、MTMS20質量部(31.1モル%)、メチルイソブチルケトン500質量部及びトリエチルアミン10質量部を仕込み、室温で混合した。次いで合成例6と同様の操作により、加水分解縮合物(A2−2)を粘稠な透明液体として得た。この加水分解縮合物(A2−2)について、H−NMR分析を行なったところ、エポキシ基に基づくピークが確認された。得られた加水分解縮合物(A2−2)のMwは3,800であり、Mw/Mnは2.0であった。
【0125】
[合成例8]
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却管を備えた反応容器に、ECETS60質量部(54.7モル%)、MTMS20質量部(30.4モル%)、テトラエトキシシラン20質量部(14.9モル%)、メチルイソブチルケトン500質量部及びトリエチルアミン10質量部を仕込み、室温で混合した。次いで合成例6と同様の操作により、加水分解縮合物(A2−3)を粘稠な透明液体として得た。この加水分解縮合物(A2−3)について、H−NMR分析を行なったところ、エポキシ基に基づくピークが確認された。得られた加水分解縮合物(A2−3)のMwは4,500であり、Mw/Mnは2.0であった。
【0126】
[合成例9]
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却管を備えた反応容器に、GPTMS100質量部(100.0モル%)、メチルイソブチルケトン500質量部及びトリエチルアミン10質量部を仕込み、室温で混合した。次いで、合成例6と同様の操作により、加水分解縮合物(A2−4)を粘稠な透明液体として得た。この加水分解縮合物(A2−4)について、H−NMR分析を行なったところ、エポキシ基に基づくピークが確認された。得られた加水分解縮合物(A2−4)のMwは5,000であり、Mw/Mnは2.0であった。
【0127】
<ポジ型感放射線性樹脂組成物の調製>
実施例及び比較例で使用した各成分の詳細を示す。
【0128】
<[B]キノンジアジド化合物>
B−1:4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(3.0モル)との縮合物
B−2:1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(3.0モル)との縮合物
【0129】
<[C]感放射線性酸発生剤>
C−1:1−(4,7−ジブトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート
C−2:ジフェニル(4−(フェニルチオ)フェニル)スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート
【0130】
[実施例1]
[A1]ポリオルガノシロキサンとして加水分解縮合物(A1−1)を含む溶液(加水分解縮合物(A1−1)50質量部(固形分)に相当する量)に、[A2]ポリオルガノシロキサンとして加水分解縮合物(A2−3)50質量部、[B]キノンジアジド化合物として(B−1)10質量部、[C]感放射線性酸発生剤として(C−1)2質量部、界面活性剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング製、SH 8400 FLUID)0.1質量部を加え、ポジ型感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0131】
[実施例2〜10及び比較例1〜5]
表1に示す種類、量の各成分を使用したこと以外は実施例1と同様に操作し、各ポジ型感放射線性樹脂組成物を調製した。なお、表1中の「−」は該当する成分を使用しなかったことを表す。
【0132】
<評価>
調製した各ポジ型感放射線性樹脂組成物を用いて以下のようにポジ型感放射線性樹脂組成物及び層間絶縁膜としての特性を評価した。結果を表1にあわせて示す。
【0133】
[感度(J/m)]
シリコン基板上に、調製した各ポジ型感放射線性樹脂組成物をスピンナーにより塗布した後、100℃にて2分間ホットプレート上でプレベークすることにより膜厚4.0μmの塗膜を形成した。なお、実施例4については、スリットダイコーターを用いてポジ型感放射線性樹脂組成物を塗布した後、室温で15秒かけて0.5Torrまで減圧し、溶媒を除去した後、100℃にて2分間ホットプレート上でプレベークすることにより膜厚4.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に対し、露光機(365nmの超高圧水銀ランプ、キヤノン製、PLA−501F)を用い、6.0μmのライン・アンド・スペース(1対1)のパターンを有するマスクを介して露光時間を変化させて露光を行った後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて25℃、80秒間、液盛り法で現像した。次いで、超純水で1分間流水洗浄を行い、乾燥させてシリコン基板上にパターンを形成した。このとき、スペース線幅(底部)が6.0μmとなるのに必要な最小露光量を測定した。この最小露光量を放射線感度(J/m)とした。最小露光量が800(J/m)以下の時、感度は良好と判断した。
【0134】
[耐メルトフロー性(μm)]
上記感度の評価と同様に操作して、スペース線幅(底部)が6.0μmとなるパターンを形成した。得られたパターンに、上記露光機を用いて、積算照射量が3,000J/mとなるように露光を行った後、クリーンオーブン内にて220℃で1時間加熱することによりポストベークを行い表示素子の層間絶縁膜を形成した。さらに、230℃で10分間加熱して、層間絶縁膜をメルトフローさせ、SEM(走査型電子顕微鏡)により層間絶縁膜底部の寸法を測定した。この時、層間絶縁膜底部の寸法が6.35μm未満であるとき、耐メルトフロー性(μm)が良好であると判断した。一方、層間絶縁膜底部の寸法が6.35μm以上の場合、耐メルトフロー性が不良であると判断した。
【0135】
[耐溶媒性(%)]
上記感度の評価において、露光をしなかった以外は、同様に操作してシリコン基板上に塗膜を形成した。得られた塗膜に、それぞれ上記露光機を用いて、積算照射量が3,000J/mとなるように露光を行った後、クリーンオーブン内にて220℃で1時間加熱することにより層間絶縁膜を得た。得られた硬化膜の膜厚(T1)を測定した。そして、この層間絶縁膜が形成されたシリコン基板を70℃に温度制御されたジメチルスルホキシド中に20分間浸漬した後、層間絶縁膜の膜厚(t1)を測定し、浸漬による膜厚変化率を下記式から算出し耐溶媒性(%)とした。
(|t1−T1|/T1)×100(%)
膜厚変化率が4%以下の時、耐溶剤性は良好と判断した。なお、耐溶媒性の評価においては、形成する膜のパターニングは不要のため、現像工程を省略し、塗膜形成工程、放射線照射工程及び加熱工程のみを行い評価に供した。
【0136】
[耐熱性(%)]
上記耐溶媒性の評価と同様に操作してシリコン基板上に層間絶縁膜を形成し、得られた層間絶縁膜の膜厚(T2)を測定した。次いで、この層間絶縁膜が形成されたシリコン基板を、クリーンオーブン内にて240℃で1時間追加ベークした後、当該層間絶縁膜の膜厚(t2)を測定し、追加ベークによる膜厚変化率を下記式から算出し耐熱性(%)とした。
(|t2−T2|/T2)×100(%)
膜厚変化率が3%未満の時、耐熱性は良好であると判断した。
【0137】
[電圧保持率(%)]
表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO膜が形成され、さらにITO(インジウム−酸化錫合金)電極を所定形状に蒸着したソーダガラス基板上に、スピンナーを用いて各ポジ型感放射線性樹脂組成物を塗布し、100℃のホットプレート上で2分間プレベークを行って、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて、25℃、80秒間、ディップ法による現像を行った。次いで、フォトマスクを介さずに、塗膜に積算照射量が3,000J/mとなるように露光を行った。その後、さらに、220℃で1時間ポストベークを行い硬化膜を形成した。次いで、この硬化膜を有する基板上に5.5μm径のビーズスペーサーを散布後、これと表面にITO電極を所定形状に蒸着しただけのソーダガラス基板とを対向させた状態で、液晶注入口を残して4辺を0.8mmのガラスビーズを混合したシール剤を用いて貼り合わせ、液晶(メルク製、MLC6608)を注入した後に液晶注入口を封止することにより、液晶セルを作製した。この液晶セルを60℃の恒温層に入れて、液晶セルの電圧保持率を、液晶電圧保持率測定システム(VHR−1A型、東陽テクニカ製)により印加電圧5.5Vの方形波、測定周波数60Hzの条件で測定した。なお、ここで電圧保持率(%)とは、下記式から算出される値である。
電圧保持率=(基準時から16.7ミリ秒後の液晶セル電位差)/(0ミリ秒で印加した電圧)×100(%)
液晶セルの電圧保持率が95%以下の時、液晶パネル形成時に「焼き付き」と呼ばれる不具合を起こす可能性が高くなる。
【0138】
【表1】

【0139】
表1の結果から本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は感度に優れることがわかった。また、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物から形成される層間絶縁膜は、耐メルトフロー性、耐溶媒性及び耐熱性に優れると共に、優れた電圧保持率を有する表示素子が得られることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、十分な感度を有し、これを用いた層間絶縁膜の耐メルトフロー性、耐熱性及び耐溶媒性を高め、電圧保持率を向上し、液晶表示素子(LCD)や有機EL表示素子等の表示素子の層間絶縁膜、平坦化膜、隔壁材等の硬化膜、タッチパネル用保護幕を形成するための材料として好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A1]ケイ素原子に炭素原子で結合する有機基のうち、エポキシ基を有する有機基の含有割合が、0モル%以上50モル%未満であるポリオルガノシロキサン、及び
[A2]上記含有割合が、50モル%以上100モル%以下であるポリオルガノシロキサン
を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項2】
上記エポキシ基を有する有機基が、下記式(1)及び式(2)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【化1】

(式(1)中、nは、1〜12の整数である。式(2)中、mは、1〜12の整数である。式(1)及び(2)中、*は、ケイ素原子と結合する部位を示す。)
【請求項3】
[A2]ポリオルガノシロキサンの含有量が、[A1]ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、20質量部以下である請求項1又は請求項2に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】
[A1]ポリオルガノシロキサンにおけるエポキシ基を有する有機基の含有割合が、0モル%以上5モル%以下であり、かつ[A2]ポリオルガノシロキサンにおけるエポキシ基を有する有機基の含有割合が、95%以上100モル%以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項5】
[B]キノンジアジド化合物をさらに含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項6】
[C]感放射線性酸発生剤をさらに含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項7】
表示素子用層間絶縁膜の形成に用いられる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項8】
(1)請求項7に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する工程、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線が照射された塗膜を現像する工程、
(4)工程(3)で現像された塗膜に放射線を照射する工程、及び
(5)工程(4)で放射線が照射された塗膜を加熱する工程
を有する表示素子用層間絶縁膜の形成方法。
【請求項9】
請求項7に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物から形成される表示素子用層間絶縁膜。

【公開番号】特開2012−168289(P2012−168289A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27834(P2011−27834)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】