説明

ポリアリーレンエーテルケトンフィルムおよび金属フィルムとからなる接着剤を用いない複合材

【課題】寸法安定性の配線板を製造するために適切な、接着剤を使用しない複合材を提供する。
【解決手段】I.以下の成分:
a)ポリアリーレンエーテルケトン 60〜96質量部、
b)六方晶窒化ホウ素 2〜25質量部、および
c)タルク 2〜25質量部
を含む成形材料からなる、5〜1200μmの厚さを有するフィルムを準備する工程、この場合、成分a)、b)およびc)の質量部の合計は、100である、
II.10〜150μmの厚さを有する金属フィルムを準備する工程、
III.I.およびII.で準備したフィルムを、接着剤を使用せずに、Tm−40K〜Tm+40Kの範囲の温度および4〜5000バールの範囲の圧力で圧縮する工程、を有する方法により、ポリアリーレンエーテルケトン成形材料と金属フィルムとからなるフィルムからなる複合材を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアリーレンエーテルケトン成形材料からなるフィルムの片面または両面が、接着剤を使用しないで金属フィルムと複合化されている複合材に関する。フィルムの結合は、高温で圧縮することにより行われる。金属フィルムはこの場合、そのまま施与され、かつ代替的な方法におけるように真空堆積法または電気分解により施与されるものではない。この複合材はたとえばフレキシブル配線板(FCB)として使用される。
【背景技術】
【0002】
ポリアリーレンエーテルケトンからなるフィルムの製造および使用は公知技術である。フィルムは、多様な技術的適用のために使用され、たとえば絶縁材として、または機能層の担体として使用される。この場合、要求に応じて、ポリアリーレンエーテルケトンは、種々の充填剤および場合により別のポリマーと混合されて、コンパウンドまたはブレンドが得られ、これらは次いでフィルムへとさらに加工される。目下、10μmより薄いフィルム厚さが実現されている。特性プロファイルについては、低い収縮率および伸び率の特性と共に、特に高い耐薬品性および耐熱性に、並びに部分的な引裂に対する強さ(Einreissfestigkeit)および引裂強さに焦点が当てられている。
【0003】
押出法の実施によって、ポリアリーレンエーテルケトンは、非晶質のフィルムにも部分結晶質のフィルムにも加工することができる。できる限りわずかで、かつ均一な収縮を達成するために、フィルムは最大で部分結晶質に製造されてなくてはならず、かつできる限りわずかなポリマー分子の配向を有していなくてはならない。押出の際に、ポリアリーレンエーテルケトンの非晶質の溶融物は、ノズルから、いわゆるチルロール上に施与され、ここでプロセス技術的に高価な、極めて狭い加工窓において、最大で部分結晶質のフィルムへと変換されなくてはならない。しかしこの方法の場合、プロセス技術的には、フィルム中のポリマー分子の配向を完全に等方性に調整することはほぼ不可能である。したがって、収縮特性に関して、異なったイメージが生じ、これはフィルムウェブの幅にわたって著しく変動して変化し、かつその後のフィルムの処理および加工の際に支障を生じるか、認容できないほどのものになりうる。部分結晶質の押出成形されたポリアリーレンエーテルケトンフィルムでは、フィルムウェブのいずれの箇所から試験体を取り出すかに応じて、収縮値は一貫してゼロ〜数パーセントまでで変動する。しかし、まさにこのその後の加工もしくは比較的高温の温度範囲における適用の際に、フィルムができる限り高い形状安定性を有していることが重要である。
【0004】
本発明の対象であるフィルムは、金属フィルムと積層される。この場合、製造プロセス中の温度変化の際に、または大量生産での使用の際の負荷の過程において、必要とされる積層体の平面度が維持される。両方の積層相手の、同時に著しく異なった熱膨張係数において、著しく異なった応力が生じ、これによって積層体は丸まり、かつ同時にまたふたたび界面における付着が著しく影響を受けうる。これは特に、系がその後の加工プロセスにおいて(たとえばハンダ法の際に)高い温度変化の影響を受ける場合に不利である。つまり積層体は、たとえば丸まることがないか、または波打つことがある。このため、互いに固定された薄いポリアリーレンエーテルケトンと金属のフィルムとの面積膨張係数はほぼ同一でなくてはならない。
【0005】
EP1314760A1には、プリント回路図において使用するための、ポリアリーレンエーテルケトン成形材料からなっていてもよいフィルムが記載されている。この成形材料は、フレーク状の充填剤を15〜50質量%含有しており、この充填剤は窒化ホウ素であってもよい。この添加によって製造の際の収縮ならびに熱による膨張が低減されるので、フィルムは接着剤を使用しないで、銅フィルムとの積層体を製造するために適切であることが記載されている。
【0006】
EP1234857A1は、FCBのためのフィルムを製造するための成形材料を開示しており、これはたとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)をベースとし、特定のパラメータを有するフレーク状の充填剤(有利には雲母、しかしタルクも挙げられている)を添加することによって収縮並びに熱による膨張が低減されている。タルクもしくは酸性のメタケイ酸マグネシウムに関する相応する開示は、JP2007−197715A、JP2003−128943AならびにJP2003−128944Aに記載されている。EP1234857A1は、接着剤を使用しないで銅フィルムとの積層体を製造することについても言及している。
【0007】
最後に、JP2003−128931Aは、多数のポリマー、たとえばポリアリーレンエーテルケトンをベースとするFCBのためのフィルムを製造するための成形材料を記載している。この成形材料は、酸性のメタケイ酸マグネシウム5〜50質量%によって充填されている。さらに、一連のその他の充填剤が含有されていてもよく、その際、窒化ホウ素は1つの可能性として挙げられている。しかし、ポリアリーレンエーテルケトン/酸性メタケイ酸マグネシウム/窒化ホウ素の組合せは明確に開示されていない。ここでも接着剤を使用しないで銅フィルムとの積層体を製造することが言及されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP1314760A1
【特許文献2】EP1234857A1
【特許文献3】JP2007−197715A
【特許文献4】JP2003−128943A
【特許文献5】JP2003−128944A
【特許文献6】EP1234857A1
【特許文献7】JP2003−128931A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、ポリアリーレンエーテルケトン成形材料からなるフィルムから出発して、従来技術に対して収縮率が小さく、ならびに熱による面積膨張係数が低減された、接着剤を使用しないで金属フィルムと積層することにより良好な付着性および良好な平面度を有する複合材料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、
I.以下の成分:
a)ポリアリーレンエーテルケトン 60〜96質量部、有利には65〜94質量部、特に有利には70〜92質量部、およびとりわけ有利には75〜90質量部、
b)六方晶窒化ホウ素 2〜25質量部、有利には4〜22質量部、特に有利には6〜19質量部、およびとりわけ有利には8〜16質量部、ならびに
c)タルク 2〜25質量部、有利には4〜22質量部、特に有利には6〜19質量部、およびとりわけ有利には8〜16質量部、
を含有する成形材料からなる、5〜1200μm、有利には8〜600μm、および特に有利には10〜400μmの厚さを有するフィルムを準備する工程、この場合、成分a)、b)およびc)の質量部の合計は100である、
II.10〜150μm、有利には17〜105μmの厚さを有する金属フィルムを準備する工程、
III.I.およびII.で準備したフィルムを、接着剤を使用せずに、Tm−40K〜Tm+40Kの範囲の温度、有利にはTm−20K〜Tm+30Kの温度で、特に有利にはTm−10K〜Tm+25Kの温度、およびとりわけ有利にはTm−5K〜Tm+20Kの温度(この場合、Tmは、I.で準備した成形材料中のポリアリーレンエーテルケトンの結晶融点であり、かつ成形材料におけるTmは、ISO11357により、2回目の加熱の際に、かつ20K/分の加熱および冷却速度で測定したものである)、および少なくとも4バール(4・105Pa)ないし最大で5000バール(5・108Pa)の範囲の圧力で圧縮する工程
を有する方法によって解決される。
【0011】
有利には、少なくとも6バール、少なくとも8バール、少なくとも10バール、少なくとも12バール、または少なくとも15バールの圧力、および最大で4000バール、最大で3000バール、最大で2000バール、最大で1500バール、最大で1000バール、または最大で800バールの圧力を適用し、その際、それぞれ記載の最小値は、それぞれ記載の最大値と組み合わせることができる。
【0012】
I.およびII.で準備されるフィルムは、個別に使用する場合には、場合により剥離フィルムおよび平滑化フィルム(Ausgleichfolie)と一緒に、重ねて積層し、かつ積層プレスにおいて真空および加圧下に、片側もしくは両側が金属によって被覆された積層体へと圧縮することができる。あるいは適切なプレスによってロールからロールへと移しながら積層体のヤール物(Meterware)へと圧縮することもできる。
【0013】
ポリアリーレンエーテルケトン(PAEK)は、式
(−Ar−X−)および(−Ar′−Y−)
の単位を有しており、上記式中で、ArおよびAr′は、二価の芳香族基を表し、有利には1,4−フェニレン、4,4′−ビフェニレン、ならびに1,4−ナフチレン、1,5−ナフチレンまたは2,6−ナフチレンである。Xは、電子吸引基であり、有利にはカルボニルまたはスルホニルであり、他方、Yは、その他の基、たとえばO、S、CH2、イソプロピリデンなどを表す。この場合、基Xの少なくとも50%、有利には少なくとも70%、および特に有利には少なくとも80%が、カルボニル基であるとよく、他方、基Yの少なくとも50%、有利には少なくなくとも70%、および特に有利には少なくとも80%は、酸素からなっているとよい。
【0014】
特に有利な実施態様では、基Xの100%が、カルボニル基からなり、かつ基Yの100%が、酸素からなる。この実施態様で、PAEKはたとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK、式I)、ポリエーテルケトン(PEK、式II)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK、式III)またはポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK、式IV)であってよいが、しかし、当然のことながら、カルボニル基および酸素基のその他の配置も可能である。
【0015】
【化1】

【0016】
PAEKは部分結晶質であり、これはたとえばDSC分析において、結晶融点Tmを見いだすことによって表され、多くの場合、これは300℃以上のオーダーにある。一般に、スルホニル基、ビフェニレン基、ナフチレン基または嵩だかな基Y、たとえばイソプロピリデン基は、結晶性を低減させる。
【0017】
有利な1実施態様では、DIN EN ISO 307に相応して測定される、96%質量%のH2SO4 50ml中のPAEK 250mgの溶液における粘度数は、25℃で、約20〜150cm3/gおよび有利には50〜120cm3/gである。
【0018】
PAEKは、前記の求核ルートによれば、適切な有機溶剤中、補助塩基の存在下に、ビフェノールおよび有機ジハロゲン化合物の、および/またはハロゲンフェノールの重縮合によって製造することができる。この方法はたとえばEP−A−0001879、EP−A−0182648およびEP−A−0244167に記載されている。
【0019】
しかしまた、PAEKは、いわゆる求電子ルートによっても強酸性もしくはルイス酸性環境中で製造することができる。この方法はたとえばEP−A−1170318ならびにここで引用されている文献に記載されている。
【0020】
六方晶窒化ホウ素は、平坦で六方晶形のハニカム構造の層からなっており、B原子およびN原子はそれぞれ交互に出現する。したがってグラファイトと比較可能である。六方晶窒化ホウ素およびグラファイトの物理的特性は極めて類似している。しかしグラファイトと異なって、六方晶窒化ホウ素は、極めて高い温度で初めて電流を通過させる。六方晶窒化ホウ素は種々のタイプの形状で市販されている。
【0021】
有利な実施態様では、六方晶窒化ホウ素の粒径は、d50において、少なくとも0.1μm、少なくとも0.2μm、少なくとも0.3μm、または少なくとも0.4μm、ならびに最大で10μm、最大で8μm、最大で6μm、最大で5μm、最大で4μm、最大で3μm、または最大で2μmである。相応して粒径はd98では、少なくとも0.3μm、少なくとも0.6μm、少なくとも0.7μm、または少なくとも0.8μm、ならびに最大で20μm、最大で16μm、最大で12μm、最大で10μm、最大で8μm、最大で6μm、または最大で4μmである。d50においても、d98においても、全ての上限および下限は相互に組み合わせることができる。
【0022】
粒径は、ISO 13320によるレーザー回折によって測定され、たとえばMalvern Instruments GmbH社のMastersizer 2000を用いて測定される。
【0023】
タルクは、天然に由来する、一般化学組成Mg3Si410(OH)2の鉱物である。これは結晶質のケイ酸マグネシウム水和物であり、層状ケイ酸の仲間に属する。タルクはたとえばKirk−Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第4版、第23巻、John Wiley&Sons 1997年、第607〜616頁に詳細に記載されている。
【0024】
有利な実施態様では、タルクの粒径は、d50で少なくとも0.1μm、少なくとも0.2μm、少なくとも0.3μm、または少なくとも0.4μm、ならびに最大で10μm、最大で8μm、最大で6μm、最大で5μm、最大で4μm、最大で3μm、または最大で2μmである。相応して粒径は、d98で、少なくとも0.3μm、少なくとも0.6μm、少なくとも0.7μm、または少なくとも0.8μm、ならびに最大で20μm、最大で16μm、最大で12μm、最大で10μm、最大で8μm、最大で6μm、または最大で4μmである。d50の場合も、d98の場合も、全ての上限値および下限値を相互に組み合わせることができる。
【0025】
粒径はここではISO 13317、パート3(X線沈降技術(X-ray Gravitational Technique))により、たとえばMicromeritics Instrument Corporation社のSedigraph 5120を用いて測定される。
【0026】
ポリアリーレンエーテルケトン成形材料はさらに、必要であれば、その他の成分、たとえば加工助剤、安定剤または難燃剤を含有していてよい。その種類と量は、本発明による効果が実質的に損なわれることがないように選択すべきである。充填剤の、より良好な結合のために、および部分的な引裂強さの改善のためにはさらに、シランおよび/またはオリゴマーのシロキサンを、たとえば全組成物に対して、0.5〜2.5質量%の割合で、および有利には1〜2質量%の割合で添加することができる。
【0027】
ポリアリーレンエーテルケトン成形材料からなるフィルムは以下の方法によって製造することができる:
a)コンパウンディング工程において、ポリアリーレンエーテルケトンを、六方晶窒化ホウ素およびタルクと共に、特許請求の範囲に記載の割合で溶融物として混合する、
b)押出工程において、特許請求の範囲に記載の成形材料の前記溶融物をT型ダイ(幅広のノズルを有する工具)で押出成形する、
c)硬化工程において、押出成形によって成形したフィルムウェブをはがして、冷却ロール上にのせて冷却する。
【0028】
コンパウンディング工程において、溶融物を取り出し、冷却し、かつ造粒することができる。造粒物は次いで押出工程において、押出機中、剪断下にふたたび溶融される。しかし、押出工程を同じ装置中で、コンパウンディング工程に直接引き続き行うことによって、1段での作業も可能である。このようにして造粒を回避することができ、これはより安価である。さらに、この場合、より良好なフィルムの品質を達成することができる。
【0029】
コンパウンディング工程または押出工程の過程で、成形材料の溶融物を、必要であれば、濾過して斑点(Stippen)を除去してもよい。
【0030】
その後の包装工程(Konfektionierungsschritt)において、巻き取り装置で、端部を切りそろえ、かつ巻き取ることができる。
【0031】
選択される適用目的のために、付着力が十分でない場合には、ポリアリーレンエーテルケトン成形材料からなるフィルムは表面処理、たとえばコロナ処理またはプラズマ処理を行ってもよい。
【0032】
金属は通常銅であるが、しかしまたアルミニウムもしくはその他の金属であってもよい。
【0033】
意外にも、六方晶窒化ホウ素およびタルクを充填剤として同時に使用する場合に、相乗作用が現れることが判明した。したがって、所望の効果を達成するために必要とされる充填剤の添加量は、合計してより少ないものとなる。したがって、本発明によれば、改善された機械的特性を有する、たとえば改善された部分的な引き裂き強さおよび引裂強さを有する使用可能なフィルムを製造することができる。
【0034】
本発明により製造されたフィルム複合材料は、たとえば配線板およびここでは特にフレキシブル配線板のために使用される。後者の適用の場合、PAEKフィルム層の厚さは、有利には6〜150μm、特に有利には12〜125μm、とりわけ有利には18〜100μm、および殊に有利には25〜75μmである。
【0035】
フレキシブル配線板を製造する際に、回路図は金属層上に印刷されるか、もしくはフォトリソグラフィー法によって施与される。引き続き、エッチングおよび剥離法で回路図を作成する。次いで、適用に応じて種々の方法を行うことができる。その後のプロセス工程は、たとえば穴あけ、打ち抜き、表面加工、電気メッキによるスルーコンタクトの作成、真空法による多層の作成、加圧および加熱下でのカバーフィルムの積層、絶縁塗膜もしくはソルダーレジストの印刷、種々のハンダプロセス(たとえばソルダーペースト印刷または部材の実装)、ならびに圧着、穴あけまたはその他の機械的な方法によるコンタクト部分の実装である。フレキシブル配線板の相応する製造は公知技術である。
【0036】
本発明により使用されるフィルムにより、等方性のフィルム形状安定性を達成することができる、つまり長さ方向においても、横方向においても、260℃までの温度での寸法の変化は0.1%未満である。FCBの製造の際の比率をシミュレーションするために、20×20cmの大きさのフィルム試験体を測定し、5分後に継続的に260℃の温度負荷をかける。このために、長さ方向で2カ所、幅方向で2カ所、合計8カ所の測定点で、平面状に広がるフィルム試験体の収縮を測定する。これによりフィルムの最大の温度負荷を、いわゆるハンダ浴条件下で再現することができ、その際、負荷時間は、念のため長めに測定した。これは慣用のハンダプロセスにおいて現れる、260℃の最大の温度負荷におけるハンダ時間の5倍以上である。これによりフィルムが負荷の境界範囲にはなく、かつ長軸方向および横方向でのハンダ後の収縮は最大で0.1%を越えることはないことが証明される。
【実施例】
【0037】
本発明を以下では実施例により説明する。
【0038】
コンパウンディング:
材料PEEK、窒化ホウ素(BN)およびタルクの混合および造粒は、同一方向に回転する二軸スクリューを備えたCoperion社の装置(ZSK26)で行った。充填剤は第一の供給部を介して添加した。しかし添加は側方のフィーダーによって行うこともできる。加工温度は約370℃であり、処理量は8〜10kg/hである。
【0039】
フィルムの製造:
引き続き、厚さ50μmおよび幅360mmのフィルムの製造を、3帯域スクリューを備えたDr.Collin社のフィルム押出装置により、以下のプロセスパラメータで行った:加工温度約370℃、処理量約2〜3kg/h、延伸速度5m/分、ロール温度:180〜250℃。
【0040】
複合材の製造:
フィルムを電解により製造した銅フィルム(厚さ50μm、幅360mm)と共に、ロールからロールへと移して積層体へと加工した。積層の際の最大のプロセス温度は335℃であった。圧縮は圧力40バールで行った。2m/分の延伸速度で加工した。積層体からストリップを打ち抜き、このストリップを用いて剥離試験によって付着力を測定した。さらに、長さ300mmの積層体切断片を用いて、曲げ特性を測定したが、その際、積層体を平坦な面に寝かせるときには、銅の側を上に向けた。その結果は第1表に記載されている。
【0041】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアリーレンエーテルケトン成形材料と金属フィルムとからなるフィルムからなる複合材を製造する方法であって、
I.以下の成分:
a)ポリアリーレンエーテルケトン 60〜96質量部、
b)六方晶窒化ホウ素 2〜25質量部、および
c)タルク 2〜25質量部
を含む成形材料からなる、5〜1200μmの厚さを有するフィルムを準備する工程、この場合、成分a)、b)およびc)の質量部の合計は100である、
II.10〜150μmの厚さを有する金属フィルムを準備する工程、
III.I.およびII.で準備したフィルムを、接着剤を使用せずに、Tm−40K〜Tm+40Kの範囲の温度および4〜5000バールの範囲の圧力で圧縮する工程、この場合、Tmは、I.で準備した成形材料中のポリアリーレンエーテルケトンの結晶融点であり、かつ成形材料におけるTmは、ISO11357により、2回目の加熱の際に、かつ20K/分の加熱および冷却速度で測定したものである、
を有する、ポリアリーレンエーテルケトン成形材料と金属フィルムとからなるフィルムからなる複合材を製造する方法。
【請求項2】
I.で準備されるフィルムが、8〜600μmの厚さを有することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
II.で準備される金属フィルムが、17〜105μmの厚さを有することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
I.で準備されるフィルムにおけるポリアリーレンエーテルケトンが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)またはポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEK)であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
I.において準備されるフィルムにおける窒化ホウ素の粒径は、ISO13320によりd50で、少なくとも0.1μmおよび最大で10μmであり、かつd98で、少なくとも0.3μmおよび最大で20μmであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
I.において準備されるフィルムにおけるタルクの粒径は、ISO13317、パート3により、d50で、少なくとも0.1μmおよび最大で10μmであり、かつd98で、少なくとも0.3μmおよび最大で20μmであることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
I.において準備されるフィルムの成形材料は、さらにシランおよび/またはオリゴマーのシロキサンを含有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
I.において準備されるフィルムの片側または両側が、II.において準備される金属フィルムと共に圧縮される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
II.において準備される金属フィルムは、銅またはアルミニウムからなることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
フレキシブル配線板を製造するための、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法により製造されたフィルム複合材料の使用。
【請求項11】
I.において準備されるフィルムの厚さが、6〜150μmであることを特徴とする、請求項10記載の使用。

【公開番号】特開2012−224086(P2012−224086A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98116(P2012−98116)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】