マイクロ可動素子および光干渉計
【課題】駆動時に並進変位動作する可動部について回転変位を抑制するのに適したマイクロ可動素子、および、そのようなマイクロ可動素子を含んでなる光干渉計を提供する。
【解決手段】本発明のマイクロ可動素子X1は、可動部10、固定部20、および連結部31〜34を備える。可動部10は、一対の電極部12,13を有する。固定部20は、電極部12,13の離隔方向に交差する方向における可動部10の並進変位の駆動力を電極部12,13と協働して発生させるための一対の電極部22,23を有する。複数の連結部31〜34のそれぞれは、可動部10に接続し且つ固定部20に接続する。連結部31および可動部10が接続する接続部P1と、連結部33および可動部10が接続する接続部P3との離隔方向における、接続部P1,P3の間以内に、電極部12,13は位置する。
【解決手段】本発明のマイクロ可動素子X1は、可動部10、固定部20、および連結部31〜34を備える。可動部10は、一対の電極部12,13を有する。固定部20は、電極部12,13の離隔方向に交差する方向における可動部10の並進変位の駆動力を電極部12,13と協働して発生させるための一対の電極部22,23を有する。複数の連結部31〜34のそれぞれは、可動部10に接続し且つ固定部20に接続する。連結部31および可動部10が接続する接続部P1と、連結部33および可動部10が接続する接続部P3との離隔方向における、接続部P1,P3の間以内に、電極部12,13は位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小な可動部を有する例えばマイクロミラー素子などのマイクロ可動素子、および、マイクロミラー素子を含む光干渉計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な技術分野において、マイクロマシニング技術により形成される微小構造を有する素子の応用化が図られている。そのような素子には、例えば、マイクロミラー素子や、角速度センサ、加速度センサなど、微小な可動部を有するマイクロ可動素子が含まれる。マイクロミラー素子は、例えば光ディスク技術や光通信技術の分野において、光反射機能を担う素子として利用される。角速度センサおよび加速度センサは、例えば、ビデオカメラやカメラ付き携帯電話の手振れ防止機能、カーナビゲーションシステム、エアバッグ開放タイミングシステム、車やロボット等の姿勢制御システムの用途で、利用される。これらマイクロ可動素子は、一般に、固定部と、可動部と、当該固定部および可動部を連結する連結部と、可動部を変位させる駆動力を発生させるための駆動機構とを備え、駆動時においては可動部の変位が制御される。このようなマイクロ可動素子については、例えば下記の特許文献1〜3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2004/034126号
【特許文献2】特開2006−162663号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0119376号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情の下で考え出されたものであり、駆動時に並進変位動作する可動部について回転変位を抑制するのに適したマイクロ可動素子、および、そのようなマイクロ可動素子を含む光干渉計を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面によるとマイクロ可動素子が提供される。このマイクロ可動素子は、可動部と、固定部と、複数の連結部とを備える。可動部は、一対の離隔した第1電極部を有する。固定部は、第1電極部対の離隔方向に交差する方向における可動部の並進変位の駆動力を第1電極部対と協働して発生させるための一対の第2電極部を有する。複数の連結部のそれぞれは、可動部に接続し且つ固定部に接続する。複数の連結部は、第1連結部および第2連結部を含む。第1連結部および可動部が接続する第1接続部と、第2連結部および可動部が接続する第2接続部とは離隔して、当該第1および第2接続部の離隔方向における当該第1および第2接続部の間以内に第1電極部対は位置する。このようなマイクロ可動素子は、駆動時に並進変位動作する可動部について回転変位を抑制するのに適する。
【0006】
本発明の第2の側面によるとマイクロ可動素子が提供される。このマイクロ可動素子は、可動部と、固定部と、複数の連結部とを備える。可動部は第1電極部を有する。固定部は、第1電極部と協働して可動部の並進変位の駆動力を発生させるための第2電極部を有する。複数の連結部のそれぞれは、可動部に接続し且つ固定部に接続する。複数の連結部は、第1連結部および第2連結部を含む。第1連結部および可動部が接続する第1接続部と、第2連結部および可動部が接続する第2接続部とは離隔して、当該第1および第2接続部の離隔方向における当該第1および第2接続部の間以内に第1電極部は位置する。このようなマイクロ可動素子は、駆動時に並進変位動作する可動部について回転変位を抑制するのに適する。
【0007】
本発明の第3の側面によるとマイクロ可動素子が提供される。このマイクロ可動素子は、可動部と、固定部と、複数の連結部とを備える。可動部は、厚さ及び周縁部を有するランド部、並びに、周縁部から放射状に延出する複数のアーム部および複数の第1電極部を有する。固定部は、ランド部の厚さ方向における可動部の並進変位の駆動力を複数の第1電極部と協働して発生させるための複数の第2電極部を有する。複数の連結部のそれぞれは、可動部のアーム部に接続し且つ固定部に接続する。連結部およびアーム部が接続する接続部とランド部とは離隔して、当該接続部およびランド部の離隔方向において、第1電極部は接続部を越えるほどには周縁部から延出していない。このようなマイクロ可動素子は、駆動時に並進変位動作する可動部について回転変位を抑制するのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】関連形態に係るマイクロミラー素子の平面図である。
【図2】図1に示すマイクロミラー素子の他の平面図である。
【図3】図1の線III−IIIに沿った断面図である。
【図4】図1の線IV−IVに沿った断面図である。
【図5】図1の線V−Vに沿った断面図である。
【図6】関連形態に係るマイクロミラー素子の可動部が並進変位した場合の一例における、図1の線III−IIIに沿った断面図である。
【図7】関連形態に係るマイクロミラー素子の可動部が回転変位した場合の一例における、図1の線III−IIIに沿った断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図9】図8に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図10】図8の線X−Xに沿った断面図である。
【図11】図8の線XI−XIに沿った断面図である。
【図12】図8の線XII−XIIに沿った断面図である。
【図13】図8の線XIII−XIIIに沿った断面図である。
【図14】図8の線XIV−XIVに沿った断面図である。
【図15】第1の実施形態における内域を示す平面図である。
【図16】第1の実施形態に係るマイクロ可動素子の可動部が並進変位した場合の一例における、図8の線X−Xに沿った断面図である。
【図17】第1の実施形態に係るマイクロ可動素子の製造方法における一部の工程を表す。
【図18】図17の後に続く工程を表す。
【図19】マスクパターンの平面図である。
【図20】他のマスクパターンの平面図である。
【図21】第1の実施形態に係るマイクロ可動素子の第1変形例の平面図である。
【図22】第1の実施形態に係るマイクロ可動素子の第2変形例の平面図である。
【図23】第1の実施形態に係るマイクロ可動素子の第3変形例の平面図である。
【図24】本発明の第2の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図25】図24に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図26】図24の線XXVI−XXVIに沿った断面図である。
【図27】図24の線XXVII−XXVIIに沿った断面図である。
【図28】図24の線XXVIII−XXVIIIに沿った断面図である。
【図29】図24の線XXIX−XXIXに沿った断面図である。
【図30】図24の線XXX−XXXに沿った断面図である。
【図31】図24の線XXXI−XXXIに沿った断面図である。
【図32】第2の実施形態における内域を示す平面図である。
【図33】第2の実施形態に係るマイクロ可動素子の可動部が並進変位した場合の一例における断面図である。(a)は、当該並進変位状態における図24の線XXVI−XXVIに沿った断面図である。(b)は、当該並進変位状態における図24の線XXVII−XXVIIに沿った断面図である。
【図34】第2の実施形態に係るマイクロ可動素子の第1変形例の平面図である。
【図35】第2の実施形態に係るマイクロ可動素子の第2変形例の平面図である。
【図36】第2の実施形態に係るマイクロ可動素子の第3変形例の平面図である。
【図37】本発明の第3の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図38】図37に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図39】図37の線XXXIX−XXXIXに沿った断面図である。
【図40】第3の実施形態における内域を示す平面図である。
【図41】本発明の第4の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図42】図41に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図43】図41の線XLIII−XLIIIに沿った断面図である。
【図44】第4の実施形態における内域を示す平面図である。
【図45】本発明の第5の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図46】図45に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図47】図45の線XLVII−XLVIIに沿った断面図である。
【図48】第5の実施形態における内域を示す平面図である。
【図49】本発明の第6の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図50】図49に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図51】図49の線LI−LIに沿った断面図である。
【図52】第6の実施形態における内域を示す平面図である。
【図53】本発明の第7の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図54】図53に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図55】図53の線LV−LVに沿った断面図である。
【図56】図53の線LVI−LVIに沿った断面図である。
【図57】図53の線LVII−LVIIに沿った断面図である。
【図58】図53の線LVIII−LVIIIに沿った断面図である。
【図59】第7の実施形態における内域を示すための平面図である。
【図60】本発明の第8の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図61】図60に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図62】図60の線LXII−LXIIに沿った断面図である。
【図63】図60の線LXIII−LXIIIに沿った断面図である。
【図64】図60の線LXIV−LXIVに沿った断面図である。
【図65】第8の実施形態における内域を示すための平面図である。
【図66】本発明の第9の実施形態に係る光干渉計の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図5は、本発明にとっての関連形態に係るマイクロミラー素子Zを表す。図1は、マイクロミラー素子Zの平面図である。図2は、マイクロミラー素子Zの他の平面図であり、図1とは反対の側の平面図である。図3から図5は、それぞれ、図1の線III−III、線IV−IV、および線V−Vに沿った断面図である。
【0010】
マイクロミラー素子Zは、可動部210と、固定部220と、一対の連結バー231と、一対の連結バー232とを備える。また、マイクロミラー素子Zは、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、いわゆるSOI(silicon on insulator)ウエハに対して加工を施すことによって製造されたものである。当該SOIウエハは、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロミラー素子Zにおける上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図の明確化の観点より、図1では、第1シリコン層に由来する部位を、斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図2では、第2シリコン層に由来する部位を、斜線ハッチングを付して表す。
【0011】
可動部210は、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部211および電極部212,213を有する。ランド部211の表面には、光反射機能を有するミラー面214が設けられている。電極部212,213は、それぞれ、ランド部210の一側縁部から延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。これら電極部212,213は、ランド部211を介して電気的に接続されている。
【0012】
固定部220は、フレーム221および電極部222,223を有する。フレーム221は、図1および図2に示すように、可動部210を囲む形状を有する。また、フレーム221は、図3から図5に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部221aと、第2シリコン層に由来する第2層部221bと、これらの間の絶縁層221cとからなる積層構造を有する。第1層部221aおよび第2層部221bは、電気的に分離されている。電極部222,223は、第2シリコン層に由来する部位であり、それぞれ、フレーム221の第2層部221bから可動部210側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部222は、上述の電極部212と協働して静電引力を発生させるための部位であり、電極部212と対向するように配されている。電極部223は、上述の電極部213と協働して静電引力を発生させるための部位であり、電極部213と対向するように配されている。これら電極部222,223は、フレーム221の第2層部221bを介して電気的に接続されている。
【0013】
連結バー231,232は、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部210および固定部220を連結する。各連結バー231は、可動部210のランド部211における電極部212側に接続し、且つ、フレーム221の第1層部221aに接続している。各連結バー231と可動部210とが接続する箇所を接続部241とする。各連結バー232は、可動部210のランド部211における電極部213側に接続し、且つ、フレーム221の第1層部221aに接続している。各連結バー232と可動部210が接続する箇所を接続部242とする。
【0014】
マイクロミラー素子Zにおいては、電極部212,213および電極部222,223の間に駆動電圧を印加することにより、図3に示す厚さ方向Hにおいて可動部210を並進変位動作させることができる。当該電圧印加における電極部212,213に対する電位付与は、固定部220のフレーム221の第1層部221a、連結バー231,232、および可動部210のランド部211を介して実現することができる。電極部212,213には例えばグラウンド電位が付与される。電圧印加における電極部222,223に対する電位付与は、固定部220のフレーム221の第2層部221bを介して実現することができる。電極部212,213と電極部222,223との間に電位差を生じさせることによって電極部212,222間に静電引力を発生させ且つ電極部213,223間に静電引力を発生させると、電極部212,213は電極部222,223に引き込まれる。このとき、連結バー231,232には張力が作用し、連結バー231,232は弾性変形する。図6に示すように、電極部212,213が電極部222,223に引き込まれることにより、可動部210は、厚さ方向Hにおいて並進変位することとなる。静電引力を消滅させると、各連結バー231,232はその自然状態に復帰し、可動部210は図3に示す初期位置(自然状態位置)に戻る。ランド部211上に設けられたミラー面214に対して例えば垂直に光Lを照射して反射させる場合、以上のような可動部210についての駆動により、ミラー面214にて反射される光Lの反射位置を変化させて、光Lの光路長を変化させることができる。図6においては、図の明確化の観点より、反射前の光Lの光路と反射後の光Lの光路とが重ならないように描写されている(後出の光Lについても同様である)。
【0015】
マイクロミラー素子Zにおいては、可動部210が回転変位しやすい。その理由は、次のとおりである。マイクロミラー素子Zでは、連結バー231,232は、電極部212,213の間において可動部210に接続する。すなわち、電極部212,213の離隔方向Dにおける上述の一組の接続部241から上述の一組の接続部242までの間の内域Sから外れた外域に、可動部210の電極部212,213の全体が位置する。このような構成のマイクロミラー素子Zの駆動時には、駆動力たる静電引力が外域にて可動部210に作用する。具体的には、一組の接続部241が支点となって、電極部212,222間に生じる第1静電引力が第1回転力として可動部210ないし電極部212に作用する。これとともに、一組の接続部242が支点となって、電極部213,223間に生じる第2静電引力が第2回転力として可動部210ないし電極部213に作用する。電極部212,213を伴う可動部210や電極部222,223を伴う固定部220を、第1回転力と第2回転力とが同一となるべく設計したとしても、実際上は、製造誤差によって各部の寸法が設計寸法からずれるので、両回転力の大きさは一致しない。たとえ、第1静電引力と第2静電引力とが同一となるように可動部210および固定部220を対称的に設計しても、実際上は、製造誤差によって可動部210や固定部220に形状アンバランスが生じてしまうので、両静電引力の大きさは一致しないのである。そのため、第1静電引力および第2静電引力のうち大きい方が、回転変位駆動力として可動部210に対して優勢に作用して、可動部210の回転変位が誘発されやすい。例えば、電極部212,222間に生じる第1静電引力よりも電極部213,223間に生ずる第2静電引力の方が大きい場合、第2静電引力が回転変位駆動力として可動部210に対して優勢に作用して、可動部210が図7に示すように回転変位する場合がある。以上のように、マイクロミラー素子Zにおいては、可動部210が回転変位しやすいのである。可動部210が回転変位すると、可動部210上のミラー面214にて反射される光Lの反射方向が適切な方向から逸脱する場合がある。
【0016】
図8から図14は、本発明の第1の実施形態に係るマイクロ可動素子X1を表す。図8は、マイクロ可動素子X1の平面図である。図9は、マイクロ可動素子X1の他の平面図である。図10から図14は、それぞれ、図8の線X−X、線XI−XI、線XII−XII、線XIII−XIII、および線XIV−XIVに沿った断面図である。
【0017】
マイクロ可動素子X1は、可動部10と、固定部20と、連結部31,32,33,34とを備えるマイクロミラー素子である。また、マイクロ可動素子X1は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X1における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図8は第1シリコン層側の平面図であり、図9は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図8においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図9においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0018】
可動部10は、主に第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11Aと、四本のアーム部11Bと、電極部12,13とを有する。ランド部11Aの表面には、光反射機能を有するミラー面11aが設けられている。各アーム部11Bは、矩形状のランド部11Aの角部から延出する。電極部12,13は、それぞれ、ランド部11Aの一側縁部から延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。これら電極部12,13は、ランド部11Aを介して電気的に接続されている。
【0019】
固定部20は、フレーム21および電極部22,23を有する。フレーム21は、図8および図9に示すように、可動部10を囲む形状を有する。また、フレーム21は、図10から図14に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部21Aと、第2シリコン層に由来する第2層部21Bと、これらの間の絶縁層21Cとからなる積層構造を有する。第2層部21Bは、部分21a,21bを含む。第1層部21Aおよび第2層部21Bは電気的に分離されており、且つ、部分21a,21bは電気的に分離されている。図8に示すように、第1層部21A上には電極パッド21A’が設けられている。図9に示すように、第2層部21Bの部分21a,21b上には電極パッド21a’,21b’が設けられている。
【0020】
電極部22,23は、第2シリコン層に由来する部位である。電極部22は、フレーム21の第2層部21Bの部分21aから可動部10側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部22は、上述の電極部12と協働して静電引力を発生させるための部位であり、図10に示すように電極部12に対向するように配されている。電極部23は、第2層部21Bの部分21bから可動部10側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部23は、上述の電極部13と協働して静電引力を発生させるための部位であり、電極部13に対向するように配されている。これら電極部22,23は、電気的に分離されている。
【0021】
連結部31〜34は、第1シリコン層に由来する部位であり、図8に示すように、可動部10および固定部20を連結する。連結部31は、電極部12,13の離隔方向Dに直交する方向に延びる連結バー31aと、電極部12,13の離隔方向Dに延びる連結バー31bとからなる。連結部31ないし連結バー31a,31bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部31と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P1とする。また、図11および図12に示すように、連結部31(連結バー31a,31b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0022】
連結部32は、電極部12,13の離隔方向Dに直交する方向に延びる連結バー32aと、電極部12,13の離隔方向Dに延びる連結バー32bとからなる。連結部32ないし連結バー32a,32bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部32と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P2とする。また、図11および図13に示すように、連結部32(連結バー32a,32b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0023】
連結部33は、電極部12,13の離隔方向Dに直交する方向に延びる連結バー33aと、電極部12,13の離隔方向Dに延びる連結バー33bとからなる。連結部33ないし連結バー33a,33bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部33と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P3とする。また、図13および図14に示すように、連結部33(連結バー33a,33b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0024】
連結部34は、電極部12,13の離隔方向Dに直交する方向に延びる連結バー34aと、電極部12,13の離隔方向Dに延びる連結バー34bとからなる。連結部34ないし連結バー34a,34bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部34と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P4とする。また、図12および図14に示すように、連結部34(連結バー34a,34b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0025】
マイクロ可動素子X1においては、図15に示すように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S11に、電極部22,23との間で静電引力を発生するための可動部10の電極部12,13の全体が位置する。また、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S12に、可動部10の電極部12,13の全体が位置する。加えて、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向Dにおける一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S13に、可動部10の電極部12,13の全体が位置する。更に加えて、一組の接続部P1,P4と一組の接続部P2,P3の離隔方向(離隔方向Dに直交する方向)における一組の接続部P1,P4から一組の接続部P2,P3までの間以内に、可動部10の電極部12,13の全体が位置する。
【0026】
マイクロ可動素子X1においては、電極部12,22間および電極部13,23間のそれぞれに駆動電圧を印加することにより、例えば図10に示す厚さ方向Hにおいて、可動部10を並進変位動作させることができる。当該電圧印加における電極部12,13に対する電位付与は、固定部20におけるフレーム21の第1層部21A上の電極パッド21A’、第1層部21A、連結部31〜34、および可動部10のアーム部11Bとランド部11Aを介して、実現することができる。電極部12,13には例えばグラウンド電位が付与される。電圧印加における電極部22に対する電位付与は、固定部20におけるフレーム21の第2層部21Bの部分21a上の電極パッド21a’および部分21aを介して実現することができる。電極部23に対する電位付与は、フレーム21の第2層部21Bの部分21b上の電極パッド21b’および部分21bを介して実現することができる。電極部22,23に対して付与する電位は、電極部ごとに個別に設定することができる。
【0027】
電極部12,22間および電極部13,23間に電圧が印加されていない場合、連結部31〜34を介して固定部20に繋がれている可動部10は、例えば図10に示すように自然状態位置にある。電極部12,22間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部12,22間に静電引力が生じる。電極部13,23間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部13,23間に静電引力が生じる。このようにして生じた静電引力が駆動力として電極部12,13に作用することにより、可動部10の電極部12,13は、それぞれ、固定部20の電極部22,23に引き込まれる。このとき、連結部31〜34の連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bには張力が作用し、各連結バーは弾性変形する。図16に示すように電極部12,13が電極部22,23に引き込まれることにより、可動部10は、厚さ方向Hにおいて並進変位することとなる。並進変位の方向は、電極部12,13の離隔方向Dに交差する。このときの並進変位量は、電極部12,13ないし可動部10に作用する駆動力の大きさに応じて異なる。可動部10の、自然状態位置からの並進変位量については、各組の電極部対間の印加駆動電圧を制御して発生駆動力を調整することにより、事後的に変更することが可能である。
【0028】
静電引力を消滅させると、連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bはその自然状態に復帰し、可動部10は例えば図10に示すような初期位置(自然状態位置)に戻る。
【0029】
ランド部11A上に設けられたミラー面11aに対して例えば垂直に光Lを照射して反射させる場合、以上のような可動部10についての駆動により、ミラー面11aにて反射される光Lの反射位置を変化させて、光Lの光路長を変化させることができる。
【0030】
マイクロ可動素子X1においては、上述のように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S11に、電極部22,23との間で静電引力を発生するための可動部10の電極部12,13の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X1では、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S11にて可動部10ないし電極部12,13に作用する。したがって、マイクロ可動素子X1は、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、可動部10について回転変位を抑制するのに適する。
【0031】
仮に、内域S11から外れた一方の外域に、電極部22,23との間で静電引力を発生させるための電極部12,13の一方の全体または一部が位置すると、駆動時には、駆動力たる静電引力の少なくとも一部が当該一外域にて可動部10に作用する。この場合、てこの原理に基づき、当該一外域にて可動部10に作用する静電引力に対してより近傍に位置する接続部P1または接続部P3が支点となって、当該外域静電引力の作用により、可動部10の回転変位が誘発される。また、仮に、内域S11から外れた両方の外域に、電極部22,23との間で静電引力を発生させるための電極部12,13の全体が位置すると、駆動時には、駆動力たる静電引力が当該両外域にて可動部10に作用する。具体的には、接続部P1が支点となって、電極部12,22間に生じる第1静電引力が一方の外域にて第1回転力として可動部10ないし電極部12に作用する。これとともに、接続部P3が支点となって、電極部13,23間に生じる第2静電引力が他方の外域にて第2回転力として可動部10ないし電極部13に作用する。電極部12,13を伴う可動部10や電極部22,23を伴う固定部20を、第1回転力と第2回転力とが同一となるべく設計したとしても、実際上は、製造誤差によって各部の寸法が設計寸法からずれるので、両回転力の大きさは一致しない。そのため、第1回転力(第1静電引力)および第2回転力(第2静電引力)のうち大きい方が、回転変位駆動力として可動部10に対して優勢に作用して、可動部10の回転変位が誘発されやすい。以上のように、仮に可動部10の電極部12,13の全体が内域S11に位置しないとすると、可動部10は回転変位しやすい。
【0032】
これに対し、可動部10の電極部12,13の全体が内域S11に位置するマイクロ可動素子X1では、駆動力たる静電引力は内域S11にて可動部10に作用するため、接続部P1または接続部P3を支点とするような可動部10の回転変位は抑制される。
【0033】
マイクロ可動素子X1においては、上述のように、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S12に、可動部10の電極部12,13の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X1では、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S12にて可動部10ないし電極部12,13に作用する。したがって、マイクロ可動素子X1は、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、可動部10について回転変位を抑制するのに適する。
【0034】
仮に、内域S12から外れた一方の外域に、電極部22,23との間で静電引力を発生させるための電極部12,13の一方の全体または一部が位置すると、駆動時には、駆動力たる静電引力の少なくとも一部が当該一外域にて可動部10に作用する。この場合、てこの原理に基づき、当該一外域にて可動部10に作用する静電引力に対してより近傍に位置する接続部P2または接続部P4が支点となって、当該外域静電引力の作用により、可動部10の回転変位が誘発される。また、仮に、内域S12から外れた両方の外域に、電極部22,23との間で静電引力を発生させるための電極部12,13の全体が位置すると、駆動時には、駆動力たる静電引力が当該両外域にて可動部10に作用する。具体的には、接続部P2が支点となって、電極部12,22間に生じる第1静電引力が一方の外域にて第1回転力として可動部10ないし電極部12に作用する。これとともに、接続部P4が支点となって、電極部13,23間に生じる第2静電引力が他方の外域にて第2回転力として可動部10ないし電極部13に作用する。電極部12,13を伴う可動部10や電極部22,23を伴う固定部20を、第1回転力と第2回転力とが同一となるべく設計したとしても、実際上は、製造誤差によって各部の寸法が設計寸法からずれるので、両回転力の大きさは一致しない。そのため、第1回転力(第1静電引力)および第2回転力(第2静電引力)のうち大きい方が、回転変位駆動力として可動部10に対して優勢に作用して、可動部10の回転変位が誘発されやすい。以上のように、仮に可動部10の電極部12,13の全体が内域S12に位置しないとすると、可動部10は回転変位しやすい。
【0035】
これに対し、可動部10の電極部12,13の全体が内域S12に位置するマイクロ可動素子X1では、駆動力たる静電引力は内域S12にて可動部10に作用するため、接続部P2または接続部P4を支点とするような可動部10の回転変位は抑制される。
【0036】
マイクロ可動素子X1においては、上述のように、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向Dにおける一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S13に、可動部10の電極部12,13の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X1では、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S13にて可動部10ないし電極部12,13に作用する。したがって、マイクロ可動素子X1は、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、可動部10について回転変位を抑制するのに適する。
【0037】
仮に、内域S13から外れた一方の外域に、電極部22,23との間で静電引力を発生させるための電極部12,13の一方の全体または一部が位置すると、駆動時には、駆動力たる静電引力の少なくとも一部が当該一外域にて可動部10に作用する。この場合、てこの原理に基づき、当該一外域にて可動部10に作用する静電引力に対してより近傍に位置する一組の接続部P1,P2または一組の接続部P3,P4が支点となって、当該外域静電引力の作用により、可動部10の回転変位が誘発される。また、仮に、内域S13から外れた両方の外域に、電極部22,23との間で静電引力を発生させるための電極部12,13の全体が位置すると、駆動時には、駆動力たる静電引力が当該両外域にて可動部10に作用する。具体的には、一組の接続部P1,P2が支点となって、電極部12,22間に生じる第1静電引力が一方の外域にて第1回転力として可動部10ないし電極部12に作用する。これとともに、一組の接続部P3,P4が支点となって、電極部13,23間に生じる第2静電引力が他方の外域にて第2回転力として可動部10ないし電極部13に作用する。電極部12,13を伴う可動部10や電極部22,23を伴う固定部20を、第1回転力と第2回転力とが同一となるべく設計したとしても、実際上は、製造誤差によって各部の寸法が設計寸法からずれるので、両回転力の大きさは一致しない。たとえ、第1静電引力と第2静電引力とが同一となるように可動部10および固定部20を対称的に設計しても、実際上は、製造誤差によって可動部10や固定部20に形状アンバランスが生じてしまうので、両静電引力の大きさは一致しないのである。そのため、第1回転力(第1静電引力)および第2回転力(第2静電引力)のうち大きい方が、回転変位駆動力として可動部10に対して優勢に作用して、可動部10の回転変位が誘発されやすい。以上のように、仮に可動部10の電極部12,13の全体が内域S13に位置しないとすると、可動部10は回転変位しやすい。
【0038】
これに対し、電極部12,13の全体が内域S13に位置するマイクロ可動素子X1では、駆動力たる静電引力は内域S13にて可動部10に作用するため、一組の接続部P1,P2又は一組の接続部P3,P4を支点とするような可動部10の回転変位は抑制される。
【0039】
マイクロ可動素子X1においては、電極部12,13との間で静電引力を発生させるための電極部22,23は、上述のように電気的に分離されている。そのため、電極部22,23に対しては、異なる電位を付与することが可能である。したがって、電極部12,22間への印加電圧と電極部13,23間への印加電圧とを個別に調節して、電極部12,22間に生じる静電引力と電極部13,23間に生じる静電引力とを個別に調整することが可能である。このようなマイクロ可動素子X1では、電極部12,22間に生じる静電引力と電極部13,23間に生じる静電引力とを調整して可動部10の姿勢を制御することが可能である。
【0040】
また、上述のように可動部10の回転変位が抑制されるマイクロ可動素子X1では、たとえ一組の接続部P1,P2や一組の接続部P3,P4を支点とするような回転変位が可動部10に生じたとしても、その回転変位量は相当程度に小さい。このような回転変位をなくするように可動部10の姿勢を制御するうえでは、電極部12,22間に印加すべき電圧と電極部13,23間に印加すべき電圧とを大きく異ならしめる必要はない。したがって、マイクロ可動素子X1は、駆動電圧の低減を図りつつ、可動部10について姿勢制御可能に設計しやすい。
【0041】
マイクロ可動素子X1においては、連結部31〜34は、それぞれ、可動部10のランド部11Aから延出するアーム部11Bに接続している。このような構成は、ランド部11Aから延出する電極部12,13について、内域S11、内域S12、または内域S13に位置させるうえで好適である。
【0042】
マイクロ可動素子X1においては、連結部31〜34における連結バー31a,32a,33a,34aは、上述のように、電極部12,13の離隔方向Dに直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向Dに直交する方向における可動部10の変位を抑制するのに資する。加えて、マイクロ可動素子X1においては、連結部31〜34における連結バー31b,32b,33b,34bは、上述のように、電極部12,13の離隔方向Dに延びる。このような構成は、離隔方向Dにおける可動部10の変位を抑制するのに資する。
【0043】
マイクロ可動素子X1においては、電極部12,13,22,23は、それぞれ、上述のように櫛歯電極構造を有する。このような構成は、電極部12,22間に生じる静電引力および電極部13,23間に生じる静電引力、ひいては可動部10を変位させるための駆動力について、高精度に制御するうえで好適である。
【0044】
マイクロ可動素子X1においては、連結部31〜34ないし連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bは、可動部10や、固定部20のフレーム21の第1層部21Aよりも、薄肉である。連結部31〜34が薄肉であるほど、より小さな駆動力によって可動部10を変位させることが可能である。したがって、連結部31〜34が可動部10や第1層部21Aよりも薄肉であるという構成は、マイクロ可動素子X1の駆動電圧を低減するうえで好適である。
【0045】
図17および図18は、マイクロ可動素子X1の製造方法の一例を表す。この方法は、バルクマイクロマシニング技術によりマイクロ可動素子X1を製造するための一手法である。図17および図18においては、図18(d)に示すランド部LD、アーム部AR、フレームF1,F2、連結部C1,C2、および一組の電極部E1,E2の形成過程を、一の断面の変化として表す。当該一の断面は、加工が施される材料基板(多層構造を有するウエハ)における単一のマイクロ可動素子形成区画に含まれる複数の所定箇所の断面を、モデル化して連続断面として表したものである。ランド部LDは、ランド部11Aの一部に相当する。アーム部ARは、アーム部11Bの一部に相当する。フレームF1,F2は、それぞれ、フレーム21に相当し、フレーム21の横断面を表す。連結部C1は、連結部31〜34の一部に相当し、連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bの延び方向の断面を表す。連結部C2は、連結部31〜34の一部に相当し、連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bの横断面を表す。電極部E1は、電極部12,13の一部に相当し、電極歯12,13の部分横断面を表す。電極部E2は、電極部22,23の一部に相当し、電極歯22,23の部分横断面を表す。
【0046】
マイクロ可動素子X1の製造においては、まず、図17(a)に示すような材料基板100を用意する。材料基板100は、シリコン層101,102と、当該シリコン層101,102間の絶縁層103とからなる積層構造を有するSOIウエハである。シリコン層101,102は、不純物をドープすることにより導電性を付与されたシリコン材料よりなる。不純物としては、Bなどのp型不純物や、PおよびSbなどのn型不純物を採用することができる。絶縁層103は例えば酸化シリコンよりなる。シリコン層101の厚さは例えば10〜100μmであり、シリコン層102の厚さは例えば50〜500μmであり、絶縁層103の厚さは例えば0.3〜3μmである。
【0047】
次に、図17(b)に示すように、シリコン層101上にミラー面11aおよび電極パッド21A’を形成し、また、シリコン層102上に電極パッド21a’および図外の電極パッド21b’を形成する。ミラー面11aおよび電極パッド21A’の形成においては、まず、スパッタリング法により、シリコン層101に対して例えばCr(50nm)およびこれに続いてAu(200nm)を成膜する。次に、所定のマスクを介してこれら金属膜に対してエッチング処理を順次行うことにより、ミラー面11aおよび電極パッド21A’をパターン形成する。Auに対するエッチング液としては、例えば、ヨウ化カリウム−ヨウ素水溶液を使用することができる。Crに対するエッチング液としては、例えば硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を使用することができる。電極パッド21a’,21b’については、例えば、電極パッド21A’をシリコン層101上に形成したのと同様にして、シリコン層102上に形成することができる。
【0048】
次に、図17(c)に示すように、シリコン層101上に酸化膜パターン110およびレジストパターン111を形成し、シリコン層102上に酸化膜パターン112を形成する。酸化膜パターン110は、シリコン層101において成形されるべき可動部10(ランド部11A、アーム部11B、および電極部12,13を含む)および固定部20の一部(フレーム21の一部)に対応する図19に示すパターン形状を有する。レジストパターン111は、連結部31〜34に対応するパターン形状を有する。また、酸化膜パターン112は、シリコン層102において成形されるべき固定部20の一部(フレーム21の一部および電極部22,23を含む)に対応する図20に示すパターン形状を有する。
【0049】
次に、図17(d)に示すように、酸化膜パターン110およびレジストパターン111をマスクとして利用して、DRIE(deep reactive ion etching)により、シリコン層101に対して所定の深さまでエッチング処理を行う。所定の深さとは、連結部C1,C2の厚さに相当する深さであり、例えば5μmである。DRIEでは、SF6ガスを用いて行うエッチングとC4F8ガスを用いて行う側壁保護とを交互に繰り返すBoschプロセスにおいて、良好な異方性エッチング加工を行うことができる。後出のDRIEについても、このようなBoschプロセスを採用することができる。
【0050】
次に、図18(a)に示すようにレジストパターン111を除去する。例えば、剥離液を作用させることにより、レジストパターン111を剥離することができる。
【0051】
次に、図18(b)に示すように、酸化膜パターン110をマスクとして、DRIEにより、連結部C1,C2を残存形成しつつシリコン層101に対して絶縁層103に至るまでエッチング処理を行う。本エッチング処理により、可動部10(ランド部LD、アーム部AR、電極部E1)、固定部20の一部(フレームF1,F2の一部)、および連結部31〜34(連結部C1,C2)が、成形される。
【0052】
次に、図18(c)に示すように、酸化膜パターン112をマスクとして、DRIEによりシリコン層102に対して絶縁層103に至るまでエッチング処理を行う。本エッチング処理により、固定部20の一部(フレームF1,F2の一部、電極部E2)が、成形される。
【0053】
次に、図18(d)に示すように、絶縁層103において露出している箇所、および酸化膜パターン110,112を、エッチング除去する。エッチング手法としては、ドライエッチングまたはウエットエッチングを採用することができる。ドライエッチングを採用する場合、エッチングガスとしては、例えば、CF4やCHF3などを採用することができる。ウエットエッチングを採用する場合、エッチング液としては、例えば、フッ酸とフッ化アンモニウムからなるバッファードフッ酸(BHF)を使用することができる。
【0054】
以上の一連の工程を経ることにより、ランド部LD、アーム部AR、フレームF1,F2、連結部C1,C2、および電極部E1,E2を成形するなどしてマイクロ可動素子X1を製造することができる。後出の実施形態および変形例に係るマイクロ可動素子についても、マイクロ可動素子X1の製造に関して上述したのと同様の手法を利用して、製造することができる。
【0055】
図21は、マイクロ可動素子X1の第1変形例の平面図である。マイクロ可動素子X1は、図21に示すような連結部31〜34を備えてもよい。本変形例における連結部31は、接続部P1,P3の離隔方向D’に直交する方向に延びる連結バー31a,31bからなる。本変形例における連結部32は、接続部P2,P4の離隔方向D”に直交する方向に延びる連結バー32a,32bからなる。本変形例における連結部33は、離隔方向D’に直交する方向に延びる連結バー33a,33bからなる。本変形例における連結部34は、離隔方向D”に直交する方向に延びる連結バー34a,34bからなる。このようなマイクロ可動素子X1の第1変形例において、連結バー31a,31b,33a,33bは、離隔方向D’に直交する方向おける可動部10の変位を抑制するのに資する。また、本変形例において、連結バー32a,32b,34a,34bは、離隔方向D”に直交する方向おける可動部10の変位を抑制するのに資する。
【0056】
図22は、マイクロ可動素子X1の第2変形例の平面図である。マイクロ可動素子X1は、図22に示すような連結部31〜34を備えてもよい。本変形例における連結部31は、接続部P1,P3の離隔方向D’に延びる連結バー31aからなる。本変形例における連結部32は、接続部P2,P4の離隔方向D”に延びる連結バー32aからなる。本変形例における連結部33は、離隔方向D’に延びる連結バー33aからなる。本変形例における連結部34は、離隔方向D”に延びる連結バー34aからなる。このようなマイクロ可動素子X1の第2変形例において、連結バー31a,33aは、離隔方向D’における可動部10の変位を抑制するのに資し、連結バー32a,34aは、離隔方向D”における可動部10の変位を抑制するのに資する。また、四本の連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている本変形例は、より多くの連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている場合よりも、可動部10を並進変位動作させるための駆動電圧を低減するうえで好適である。
【0057】
図23は、マイクロ可動素子X1の第3変形例の平面図である。マイクロ可動素子X1は、図23に示すような連結部31〜34を備えてもよい。本変形例における連結部31は、電極部12,13の離隔方向Dに直交する方向に延びる連結バー31aからなる。本変形例における連結部32は、離隔方向Dに延びる連結バー32aからなる。本変形例における連結部33は、離隔方向Dに直交する方向に延びる連結バー33aからなる。本変形例における連結部34は、離隔方向Dに延びる連結バー34aからなる。このようなマイクロ可動素子X1の第3変形例において、連結バー31a,33aは、離隔方向Dに直交する方向おける可動部10の変位を抑制するのに資し、連結バー32a,34aは、離隔方向Dにおける可動部10の変位を抑制するのに資する。また、四本の連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている本変形例は、より多くの連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている場合よりも、可動部10を並進変位動作させるための駆動電圧を低減するうえで好適である。
【0058】
図24から図31は、本発明の第2の実施形態に係るマイクロ可動素子X2を表す。図24は、マイクロ可動素子X2の平面図である。図25は、マイクロ可動素子X2の他の平面図である。図26から図31は、それぞれ、図24の線XXVI−XXVI、線XXVII−XXVII、線XXVIII−XXVIII、線XXIX−XXIX、線XXX−XXX、および線XXXI−XXXIに沿った断面図である。
【0059】
マイクロ可動素子X2は、可動部10と、固定部20と、連結部31,32,33,34とを備えるマイクロミラー素子である。また、マイクロ可動素子X2は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X2における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図24は第1シリコン層側の平面図であり、図25は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図24においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図25においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0060】
可動部10は、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11Aと、四本のアーム部11Bと、電極部12,13,14,15とを有する。ランド部11Aの表面には、光反射機能を有するミラー面11aが設けられている。各アーム部11Bは、矩形状のランド部11Aの角部から延出する。電極部12〜15は、それぞれ、ランド部11Aの一側縁部から延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。これら電極部12〜15は、ランド部11Aを介して電気的に接続されている。また、電極部12,13の離隔方向D1と電極部14,15の離隔方向D2とは直交する。
【0061】
固定部20は、フレーム21および電極部22,23,24,25を有する。フレーム21は、図24および図25に示すように、可動部10を囲む形状を有する。また、フレーム21は、図26から図31に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部21Aと、第2シリコン層に由来する第2層部21Bと、これらの間の絶縁層21Cとからなる積層構造を有する。第2層部21Bは、部分21a,21b,21c,21dを含む。第1層部21Aおよび第2層部21Bは電気的に分離されており、且つ、部分21a〜21dは電気的に分離されている。図24に示すように、第1層部21A上には電極パッド21A’が設けられている。図25に示すように、第2層部21Bの部分21a〜21d上には電極パッド21a’,21b’,21c’,21d’が設けられている。
【0062】
電極部22〜25は、第2シリコン層に由来する部位である。電極部22は、フレーム21の第2層部21Bの部分21aから可動部10側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部22は、上述の電極部12と協働して静電引力を発生させるための部位であり、電極部12に対向するように配されている。電極部23は、第2層部21Bの部分21bから可動部10側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部23は、上述の電極部13と協働して静電引力を発生させるための部位であり、電極部13に対向するように配されている。電極部24は、第2層部21Bの部分21cから可動部10側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部24は、上述の電極部14と協働して静電引力を発生させるための部位であり、電極部14に対向するように配されている。電極部25は、第2層部21Bの部分21dから可動部10側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部25は、上述の電極部15と協働して静電引力を発生させるための部位であり、電極部15に対向するように配されている。これら電極部22〜25は、電気的に分離されている。
【0063】
連結部31〜34は、第1シリコン層に由来する部位であり、図24に示すように、可動部10および固定部20を連結する。連結部31は、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バー31aと、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バー31bとからなる。連結部31ないし連結バー31a,31bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部31と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P1とする。また、図28および図29に示すように、連結部31(連結バー31a,31b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0064】
連結部32は、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バー32aと、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バー32bとからなる。連結部32ないし連結バー32a,32bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部32と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P2とする。また、図28および図30に示すように、連結部32(連結バー32a,32b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0065】
連結部33は、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バー33aと、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バー33bとからなる。連結部33ないし連結バー33a,33bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部33と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P3とする。また、図30および図31に示すように、連結部33(連結バー33a,33b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0066】
連結部34は、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バー34aと、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バー34bとからなる。連結部34ないし連結バー34a,34bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部34と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P4とする。また、図29および図31に示すように、連結部34(連結バー34a,34b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0067】
マイクロ可動素子X2においては、図32に示すように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S21に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。また、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S22に、可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。加えて、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向D1における一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S23に、可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。更に加えて、一組の接続部P1,P4と一組の接続部P2,P3の離隔方向D2における一組の接続部P1,P4から一組の接続部P2,P4までの間以内たる内域S24に、可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。
【0068】
マイクロ可動素子X2では、電極部12,22間、電極部13,23間、電極部14,24間、および電極部15,25間のそれぞれに、駆動電圧を印加することにより、例えば図26に示す厚さ方向Hにおいて、可動部10を並進変位動作させることができる。当該電圧印加における電極部12〜15に対する電位付与は、固定部20におけるフレーム21の第1層部21A上の電極パッド21A’、第1層部21A、連結部31〜34、および可動部10のアーム部11Bとランド部11Aを介して、実現することができる。電極部12〜15には例えばグラウンド電位が付与される。電圧印加における電極部22に対する電位付与は、固定部20におけるフレーム21の第2層部21Bの部分21a上の電極パッド21a’および部分21aを介して実現することができる。電極部23に対する電位付与は、フレーム21の第2層部21Bの部分21b上の電極パッド21b’および部分21bを介して実現することができる。電極部24に対する電位付与は、フレーム21の第2層部21Bの部分21c上の電極パッド21c’および部分21cを介して実現することができる。電極部25に対する電位付与は、フレーム21の第2層部21Bの部分21d上の電極パッド21d’および部分21dを介して実現することができる。電極部22〜25に対して付与する電位は、電極部ごとに個別に設定することができる。
【0069】
電極部12,22間、電極部13,23間、電極部14,24間、および電極部15,25間に電圧が印加されていない場合、連結部31〜34を介して固定部20に繋がれている可動部10は、例えば図26に示すように自然状態位置にある。電極部12,22間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部12,22間に静電引力が生じる。電極部13,23間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部13,23間に静電引力が生じる。電極部14,24間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部14,24間に静電引力が生じる。電極部15,25間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部15,25間に静電引力が生じる。このようにして生じた静電引力が駆動力として電極部12〜15に作用することにより、可動部10の電極部12〜15は、それぞれ、固定部20の電極部22〜25に引き込まれる。このとき、連結部31〜34の連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bには張力が作用し、当該各連結バーは弾性変形する。図33(a)に示すように電極部12,13が電極部22,23に引き込まれるとともに、図33(b)に示すように電極部14,15が電極部24,25に引き込まれることにより、可動部10は、厚さ方向Hにおいて並進変位することとなる。並進変位の方向は、電極部12,13の離隔方向D1に交差し、且つ、電極部14,15の離隔方向D2に交差する。このときの並進変位量は、電極部12〜15ないし可動部10に作用する駆動力の大きさに応じて異なる。可動部10の、自然状態位置からの並進変位量については、各組の電極部対間の印加駆動電圧を制御して発生駆動力を調整することにより、事後的に変更することが可能である。
【0070】
静電引力を消滅させると、連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bはその自然状態に復帰し、可動部10は例えば図26に示すような初期位置(自然状態位置)に戻る。
【0071】
ランド部11A上に設けられたミラー面11aに対して例えば垂直に光Lを照射して反射させる場合、以上のような可動部10についての駆動により、ミラー面11aにて反射される光Lの反射位置を変化させて、光Lの光路長を変化させることができる。
【0072】
マイクロ可動素子X2においては、上述のように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S21に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X2では、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S21にて可動部10ないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X2は、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、接続部P1または接続部P3を支点とするような可動部10の回転変位を抑制するのに適する。
【0073】
マイクロ可動素子X2においては、上述のように、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S22に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X2では、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S22にて可動部10ないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X2は、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、接続部P2または接続部P4を支点とするような可動部10の回転変位を抑制するのに適する。
【0074】
マイクロ可動素子X2においては、上述のように、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向D1における一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S23に、可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X2では、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S23にて可動部10ないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X2は、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、一組の接続部P1,P2または一組の接続部P3,P4を支点とするような可動部10の回転変位を抑制するのに適する。
【0075】
マイクロ可動素子X2においては、上述のように、一組の接続部P1,P4と一組の接続部P2,P3の離隔方向D2における一組の接続部P1,P4から一組の接続部P2,P4までの間以内たる内域S24に、可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X2では、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S24にて可動部10ないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X2は、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、一組の接続部P1,P4または一組の接続部P2,P3を支点とするような可動部10の回転変位を抑制するのに適する。
【0076】
マイクロ可動素子X2においては、電極部12〜15との間で静電引力を発生させるための電極部22〜25(固定電極部)は、上述のように電気的に分離されている。そのため、電極部22〜25に対しては、異なる電位を付与することが可能である。したがって、電極部12,22間への印加電圧と、電極部13,23間への印加電圧と、電極部14,24間への印加電圧と、電極部15,25間への印加電圧とを個別に調節することが可能である。これにより、電極部12,22間に生じる静電引力と、電極部13,23間に生じる静電引力と、電極部14,24間に生じる静電引力と、電極部15,25間に生じる静電引力とを個別に調整することが可能である。このようなマイクロ可動素子X2では、電極部12,22間に生じる静電引力と、電極部13,23間に生じる静電引力と、電極部14,24間に生じる静電引力と、電極部15,25間に生じる静電引力とを調整して可動部10の姿勢を制御することが可能である。
【0077】
また、上述のように可動部10の回転変位が抑制されるマイクロ可動素子X2では、たとえ一組の接続部P1,P2や一組の接続部P3,P4を支点とするような回転変位が可動部10に生じたとしても、その回転変位量は相当程度に小さい。このような回転変位をなくするように可動部10の姿勢を制御するうえでは、電極部12,22間に印加すべき電圧と電極部13,23間に印加すべき電圧とを大きく異ならしめる必要はない。また、マイクロ可動素子X2では、たとえ一組の接続部P1,P4や一組の接続部P2,P3を支点とするような回転変位が可動部10に生じたとしても、その回転変位量は相当程度に小さい。このような回転変位をなくするように可動部10の姿勢を制御するうえでは、電極部14,24間に印加すべき電圧と電極部15,25間に印加すべき電圧とを大きく異ならしめる必要はない。したがって、マイクロ可動素子X2は、駆動電圧の低減を図りつつ、可動部10について姿勢制御可能に設計しやすい。
【0078】
電極部22〜25ないし複数の固定電極部が電気的に分離されていることに基づいて得られる以上の技術的利点は、後出の実施形態に係るマイクロ可動素子おいても得られる。
【0079】
マイクロ可動素子X2においては、連結部31〜34は、それぞれ、可動部10のランド部11Aから延出するアーム部11Bに接続している。このような構成は、ランド部11Aから延出する電極部12〜15について、内域S21、内域S22、内域S23、または内域S24に位置させるうえで好適である。
【0080】
マイクロ可動素子X2においては、連結部31〜34における連結バー31a,32a,33a,34aは、上述のように、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D1に直交する方向における可動部10の変位を抑制するのに資する。加えて、マイクロ可動素子X2においては、連結部31〜34における連結バー31b,32b,33b,34bは、上述のように、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D2に直交する方向における可動部10の変位を抑制するのに資する。
【0081】
マイクロ可動素子X2においては、電極部12〜15,22〜25は、それぞれ、上述のように櫛歯電極構造を有する。このような構成は、電極部12,22間、電極部13,23間、電極部14,24間、および電極部15,25間のそれぞれに生じる静電引力、ひいては可動部10を変位させるための駆動力について、高精度に制御するうえで好適である。駆動力を発生させるための電極部が櫛歯電極構造をとることに基づいて得られるこのような技術的利点は、後出の実施形態に係るマイクロ可動素子おいても得られる。
【0082】
マイクロ可動素子X2においては、連結部31〜34ないし連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bは、可動部10や、固定部20のフレーム21の第1層部21Aよりも、薄肉である。連結部31〜34が薄肉であるほど、より小さな駆動力によって可動部10を変位させることが可能である。したがって、連結部31〜34が可動部10や第1層部21Aよりも薄肉であるという構成は、マイクロ可動素子X2の駆動電圧を低減するうえで好適である。可動部と固定部とを連結する連結部が薄肉であることに基づいて得られるこのような技術的利点は、後出の実施形態に係るマイクロ可動素子おいても得られる。
【0083】
図34は、マイクロ可動素子X2の第1変形例の平面図である。マイクロ可動素子X2は、図34に示すような連結部31〜34を備えてもよい。本変形例における連結部31は、接続部P1,P3の離隔方向D’に直交する方向に延びる連結バー31a,31bからなる。本変形例における連結部32は、接続部P2,P4の離隔方向D”に直交する方向に延びる連結バー32a,32bからなる。本変形例における連結部33は、離隔方向D’に直交する方向に延びる連結バー33a,33bからなる。本変形例における連結部34は、離隔方向D”に直交する方向に延びる連結バー34a,34bからなる。このようなマイクロ可動素子X2の第1変形例において、連結バー31a,31b,33a,33bは、離隔方向D’に直交する方向おける可動部10の変位を抑制するのに資する。また、本変形例において、連結バー32a,32b,34a,34bは、離隔方向D”に直交する方向おける可動部10の変位を抑制するのに資する。
【0084】
図35は、マイクロ可動素子X2の第2変形例の平面図である。マイクロ可動素子X2は、図35に示すような連結部31〜34を備えてもよい。本変形例における連結部31は、接続部P1,P3の離隔方向D’に延びる連結バー31aからなる。本変形例における連結部32は、接続部P2,P4の離隔方向D”に延びる連結バー32aからなる。本変形例における連結部33は、離隔方向D’に延びる連結バー33aからなる。本変形例における連結部34は、離隔方向D”に延びる連結バー34aからなる。このようなマイクロ可動素子X2の第2変形例において、連結バー31a,33aは、離隔方向D’における可動部10の変位を抑制するのに資し、連結バー32a,34aは、離隔方向D”における可動部10の変位を抑制するのに資する。また、四本の連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている本変形例は、より多くの連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている場合よりも、可動部10を並進変位動作させるための駆動電圧を低減するうえで好適である。
【0085】
図36は、マイクロ可動素子X2の第3変形例の平面図である。マイクロ可動素子X2は、図36に示すような連結部31〜34を備えてもよい。本変形例における連結部31は、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バー31aからなる。本変形例における連結部32は、離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バー32aからなる。本変形例における連結部33は、離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バー33aからなる。本変形例における連結部34は、離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バー34aからなる。このようなマイクロ可動素子X2の第3変形例において、連結バー31a,33aは、離隔方向D1に直交する方向おける可動部10の変位を抑制するのに資し、連結バー32a,34aは、離隔方向D2に直交する方向における可動部10の変位を抑制するのに資する。また、四本の連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている本変形例は、より多くの連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている場合よりも、可動部10を並進変位動作させるための駆動電圧を低減するうえで好適である。
【0086】
図37から図39は、本発明の第3の実施形態に係るマイクロ可動素子X3を表す。図37は、マイクロ可動素子X3の平面図である。図38は、マイクロ可動素子X3の他の平面図である。図39は、図37の線XXXIX−XXXIXに沿った断面図である。
【0087】
マイクロ可動素子X3は、可動部10Aと、固定部20と、連結部31A,32A,33A,34Aとを備えるマイクロミラー素子である。マイクロ可動素子X3は、可動部10に代えて可動部10Aを備え、且つ、連結部31,32,33,34に代えて連結部31A,32A,33A,34Aを備える点において、上述のマイクロ可動素子X2と異なる。また、マイクロ可動素子X3は、マイクロ可動素子X2と同様に、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X3における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図37は第1シリコン層側の平面図であり、図38は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図37においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図38においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0088】
可動部10Aは、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11Aと、四本のアーム部11Cと、電極部12,13,14,15とを有する。可動部10Aは、アーム部11Bに代えてアーム部11Cを備える点において、上述のマイクロ可動素子X2の可動部10と異なる。各アーム部11Cは、屈曲構造を有する。具体的には、一のアーム部11Cは、ランド部11Aの側縁部T1における側縁部T4側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。別の一のアーム部11Cは、ランド部11Aの側縁部T2における側縁部T1側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。別の一のアーム部11Cは、ランド部11Aの側縁部T3における側縁部T2側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。別の一のアーム部11Cは、ランド部11Aの側縁部T4における側縁部T3側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。可動部10Aについての他の構成は、マイクロ可動素子X2の可動部10について上述したのと同様である。
【0089】
マイクロ可動素子X3の固定部20は、マイクロ可動素子X2の固定部20と同様に、フレーム21および電極部22,23,24,25を有する。マイクロ可動素子X3におけるフレーム21および電極部22,23,24,25の具体的構成は、マイクロ可動素子X2におけるフレーム21および電極部22,23,24,25に関して上述したとおりである。
【0090】
連結部31A〜34Aは、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部10Aおよび固定部20を連結する。連結部31Aは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Aにおける一のアーム部11Cに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部31Aと可動部10Aないしアーム部11Cとが接続する箇所を接続部P1とする。また、連結部31Aは、マイクロ可動素子X2における連結部31(連結バー31a,31b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Aよりも薄肉である。
【0091】
連結部32Aは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Aにおける一のアーム部11Cに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部32Aと可動部10Aないしアーム部11Cとが接続する箇所を接続部P2とする。また、連結部32Aは、マイクロ可動素子X2における連結部32(連結バー32a,32b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Aよりも薄肉である。
【0092】
連結部33Aは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Aにおける一のアーム部11Cに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部33Aと可動部10Aないしアーム部11Cとが接続する箇所を接続部P3とする。また、連結部33Aは、マイクロ可動素子X2における連結部33(連結バー33a,33b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Aよりも薄肉である。
【0093】
連結部34Aは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Aにおける一のアーム部11Cに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部34Aと可動部10Aないしアーム部11Cとが接続する箇所を接続部P4とする。また、連結部34Aは、マイクロ可動素子X2における連結部34(連結バー34a,34b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Aよりも薄肉である。
【0094】
マイクロ可動素子X3においては、図40に示すように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S31に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。また、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S32に、可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。加えて、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向D1における一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S33に、可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。更に加えて、一組の接続部P1,P4と一組の接続部P2,P3の離隔方向D2における一組の接続部P1,P4から一組の接続部P2,P4までの間以内たる内域S34に、可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。
【0095】
マイクロ可動素子X3では、電極部12,22間、電極部13,23間、電極部14,24間、および電極部15,25間のそれぞれに、駆動電圧を印加することにより、図39に示す厚さ方向Hにおいて可動部10Aを並進変位動作させることができる。可動部10Aを並進変位動作させるための手法は、マイクロ可動素子X2の可動部10を並進変位動作させるための手法として上述したのと同様である。可動部10Aにおけるランド部11A上のミラー面11aに対して例えば垂直に光を照射して反射させる場合、可動部10Aを並進変位動作させることにより、ミラー面11aにて反射される光の反射位置を変化させて、光の光路長を変化させることができる。
【0096】
マイクロ可動素子X3においては、上述のように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S31に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X3では、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S31にて可動部10Aないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X3は、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、接続部P1または接続部P3を支点とするような可動部10Aの回転変位を抑制するのに適する。
【0097】
マイクロ可動素子X3においては、上述のように、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S32に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X3では、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S32にて可動部10Aないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X3は、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、接続部P2または接続部P4を支点とするような可動部10Aの回転変位を抑制するのに適する。
【0098】
マイクロ可動素子X3においては、上述のように、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向D1における一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S33に、可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X3では、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S33にて可動部10Aないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X3は、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、一組の接続部P1,P2または一組の接続部P3,P4を支点とするような可動部10Aの回転変位を抑制するのに適する。
【0099】
マイクロ可動素子X3においては、上述のように、一組の接続部P1,P4と一組の接続部P2,P3の離隔方向D2における一組の接続部P1,P4から一組の接続部P2,P4までの間以内たる内域S34に、可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X3では、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S34にて可動部10Aないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X3は、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、一組の接続部P1,P4または一組の接続部P2,P3を支点とするような可動部10Aの回転変位を抑制するのに適する。
【0100】
マイクロ可動素子X3においては、連結部31A〜34Aは、それぞれ、可動部10Aのランド部11Aから延出するアーム部11Cに接続している。このような構成は、ランド部11Aから延出する電極部12〜15について、内域S31、内域S32、内域S33、または内域S34に位置させるうえで好適である。
【0101】
マイクロ可動素子X3においては、連結部31A,33Aは、上述のように、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D1に直交する方向における可動部10Aの変位を抑制するのに資する。加えて、マイクロ可動素子X3においては、連結部32A,34Aは、上述のように、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D2に直交する方向における可動部10Aの変位を抑制するのに資する。
【0102】
マイクロ可動素子X3における各アーム部11Cは、ランド部11Aの一側縁部からのみ延出し、且つ、マイクロ可動素子X2におけるアーム部11Bよりも細い。そのため、マイクロ可動素子X3においては、マイクロ可動素子X2におけるよりも、ランド部11Aから延出する電極部12〜15の配設スペースを確保しやすく、従って、電極部12〜15のそれぞれの電極歯について多数化しやすい。電極部12〜15の電極歯の多数化は、電極部22〜25の電極歯の多数化と相まって、マイクロ可動素子X3の駆動電圧を低減するのに資する。
【0103】
図41から図43は、本発明の第4の実施形態に係るマイクロ可動素子X4を表す。図41は、マイクロ可動素子X4の平面図である。図42は、マイクロ可動素子X4の他の平面図である。図43は、図41の線XLIII−XLIIIに沿った断面図である。
【0104】
マイクロ可動素子X4は、可動部10Bと、固定部20と、連結部31B,32B,33B,34Bとを備えるマイクロミラー素子である。マイクロ可動素子X4は、可動部10に代えて可動部10Bを備え、且つ、連結部31,32,33,34に代えて連結部31B,32B,33B,34Bを備える点において、上述のマイクロ可動素子X2と異なる。また、マイクロ可動素子X4は、マイクロ可動素子X2と同様に、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X4における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図41は第1シリコン層側の平面図であり、図42は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図41においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図42においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0105】
可動部10Bは、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11Aと、四本のアーム部11Dと、電極部12,13,14,15とを有する。可動部10Bは、アーム部11Bに代えてアーム部11Dを備える点において、上述のマイクロ可動素子X2の可動部10と異なる。図41および図42に示すように、一のアーム部11Dは、ランド部11Aの側縁部T1における側縁部T4側の端部から、側縁部T4の延び方向に延出する。別の一のアーム部11Dは、ランド部11Aの側縁部T2における側縁部T1側の端部から、側縁部T1の延び方向に延出する。別の一のアーム部11Dは、ランド部11Aの側縁部T3における側縁部T2側の端部から、側縁部T2の延び方向に延出する。別の一のアーム部11Dは、ランド部11Aの側縁部T4における側縁部T3側の端部から、側縁部T3の延び方向に延出する。本実施形態における電極部12〜15は、それぞれ、ランド部11Aの一側縁部から延出する複数の電極歯およびアーム部11Dから延出する複数の電極歯を含む一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。これら電極部12〜15は、ランド部11Aおよびアーム部11Dを介して電気的に接続されている。また、電極部12,13の離隔方向D1と電極部14,15の離隔方向D2とは直交する。可動部10Bについての他の構成は、マイクロ可動素子X2の可動部10について上述したのと同様である。
【0106】
マイクロ可動素子X4の固定部20は、マイクロ可動素子X2の固定部20と同様に、フレーム21および電極部22,23,24,25を有する。マイクロ可動素子X4におけるフレーム21は、上述のマイクロ可動素子X2におけるフレーム21と、第1層部21Aのパターン形状が部分的に異なる。マイクロ可動素子X4におけるフレーム21の他の具体的構成および電極部22,23,24,25の具体的構成は、マイクロ可動素子X2におけるフレーム21および電極部22,23,24,25に関して上述したのと同様である。
【0107】
連結部31B〜34Bは、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部10Bおよび固定部20を連結する。連結部31Bは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Bにおける一のアーム部11Dに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部31Bと可動部10Bないしアーム部11Dとが接続する箇所を接続部P1とする。また、連結部31Bは、マイクロ可動素子X2における連結部31(連結バー31a,31b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Bよりも薄肉である。
【0108】
連結部32Bは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Bにおける一のアーム部11Dに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部32Bと可動部10Bないしアーム部11Dとが接続する箇所を接続部P2とする。また、連結部32Bは、マイクロ可動素子X2における連結部32(連結バー32a,32b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Bよりも薄肉である。
【0109】
連結部33Bは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Bにおける一のアーム部11Dに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部33Bと可動部10Bないしアーム部11Dとが接続する箇所を接続部P3とする。また、連結部33Bは、マイクロ可動素子X2における連結部33(連結バー33a,33b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Bよりも薄肉である。
【0110】
連結部34Bは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Bにおける一のアーム部11Dに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部34Bと可動部10Bないしアーム部11Dとが接続する箇所を接続部P4とする。また、連結部34Bは、マイクロ可動素子X2における連結部34(連結バー34a,34b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Bよりも薄肉である。
【0111】
マイクロ可動素子X4においては、図44に示すように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S41に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Bの電極部12〜15の全体が位置する。また、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S42に、可動部10Bの電極部12〜15の全体が位置する。
【0112】
マイクロ可動素子X4では、電極部12,22間、電極部13,23間、電極部14,24間、および電極部15,25間のそれぞれに、駆動電圧を印加することにより、図43に示す厚さ方向Hにおいて可動部10Bを並進変位動作させることができる。可動部10Bを並進変位動作させるための手法は、マイクロ可動素子X2の可動部10を並進変位動作させるための手法として上述したのと同様である。可動部10Bにおけるランド部11A上のミラー面11aに対して例えば垂直に光を照射して反射させる場合、可動部10Bを並進変位動作させることにより、ミラー面11aにて反射される光の反射位置を変化させて、光の光路長を変化させることができる。
【0113】
マイクロ可動素子X4においては、上述のように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S41に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Bの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X4では、自然状態位置から可動部10Bを並進変位させる際や、可動部10Bの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S41にて可動部10Bないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X4は、自然状態位置から可動部10Bを並進変位させる際や、可動部10Bの並進変位量を変更する際、接続部P1または接続部P3を支点とするような可動部10Bの回転変位を抑制するのに適する。
【0114】
マイクロ可動素子X4においては、上述のように、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S42に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Bの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X4では、自然状態位置から可動部10Bを並進変位させる際や、可動部10Bの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S42にて可動部10Bないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X4は、自然状態位置から可動部10Bを並進変位させる際や、可動部10Bの並進変位量を変更する際、接続部P2または接続部P4を支点とするような可動部10Bの回転変位を抑制するのに適する。
【0115】
マイクロ可動素子X4においては、連結部31B〜34Bは、それぞれ、可動部10Bのランド部11Aから延出するアーム部11Dに接続している。このような構成は、ランド部11Aから延出する電極部12〜15について、内域S41または内域S42に位置させるうえで好適である。
【0116】
マイクロ可動素子X4においては、連結部31B,33Bは、上述のように、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D1に直交する方向における可動部10Bの変位を抑制するのに資する。加えて、マイクロ可動素子X4においては、連結部32B,34Bは、上述のように、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D2に直交する方向における可動部10Bの変位を抑制するのに資する。
【0117】
マイクロ可動素子X4においては、一のアーム部11Dは、ランド部11Aの第1の側縁部における、当該第1の側縁部と隣り合う第2の側縁部側の端部から、当該第2の側縁部の延び方向に延出する。そして、電極部12〜15のそれぞれの一組の電極歯は、ランド部11Aの第1の側縁部、および、当該第1の側縁部と隣り合う第2の側縁部から延出するアーム部11D、から延出する。このような構成をとるマイクロ可動素子X4においては、マイクロ可動素子X2におけるよりも、電極部12〜15の配設スペースを確保しやすく、従って、電極部12〜15のそれぞれの電極歯について多数化しやすい。電極部12〜15の電極歯の多数化は、電極部22〜25の電極歯の多数化と相まって、マイクロ可動素子X4の駆動電圧を低減するのに資する。
【0118】
図45から図47は、本発明の第5の実施形態に係るマイクロ可動素子X5を表す。図45は、マイクロ可動素子X5の平面図である。図46は、マイクロ可動素子X5の他の平面図である。図47は、図45の線XLVII−XLVIIに沿った断面図である。
【0119】
マイクロ可動素子X5は、可動部10Cと、固定部20Aと、連結部31C,32C,33C,34Cとを備えるマイクロミラー素子である。また、マイクロ可動素子X5は、マイクロ可動素子X2と同様に、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X5における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図45は第1シリコン層側の平面図であり、図46は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図45においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図46においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0120】
可動部10Cは、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11Aと、四本のアーム部11Eと、電極部12,13,14,15とを有する。可動部10Cは、アーム部11Bに代えてアーム部11Eを備える点において、上述のマイクロ可動素子X2の可動部10と異なる。各アーム部11Eは、屈曲構造を有する。具体的には、一のアーム部11Eは、ランド部11Aの側縁部T1における側縁部T4側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。別の一のアーム部11Eは、ランド部11Aの側縁部T2における側縁部T1側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。別の一のアーム部11Eは、ランド部11Aの側縁部T3における側縁部T2側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。別の一のアーム部11Eは、ランド部11Aの側縁部T4における側縁部T3側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。可動部10Cについての他の構成は、マイクロ可動素子X2の可動部10について上述したのと同様である。
【0121】
固定部20Aは、フレーム21’および電極部22,23,24,25を有する。固定部20Aは、フレーム21に代えてフレーム21’を有する点において、上述のマイクロ可動素子X2の固定部20と異なる。フレーム21’は、図45および図46に示すように、可動部10Cを囲む形状を有し、且つ、アーム部21Dを有する。また、フレーム21’は、図47に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部21Aと、第2シリコン層に由来する第2層部21Bと、これらの間の絶縁層21Cとからなる積層構造を有する。フレーム21’は、アーム部21Dを有する点において、上述のマイクロ可動素子X2におけるフレーム21と異なる。フレーム21’の他の構成は、マイクロ可動素子X2におけるフレーム21について上述したのと同様である。固定部20Aの他の構成は、マイクロ可動素子X2の固定部20について上述したのと同様である。
【0122】
連結部31C〜34Cは、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部10Cおよび固定部20Aを連結する。連結部31Cは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Cにおける一のアーム部11Eに接続し、且つ、固定部20Aにおけるフレーム21’の一のアーム部21Dの第1層部21Aに接続している。連結部31Cと可動部10Cないしアーム部11Eとが接続する箇所を接続部P1とする。また、連結部31Cは、マイクロ可動素子X2における連結部31(連結バー31a,31b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Cよりも薄肉である。
【0123】
連結部32Cは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Cにおける一のアーム部11Eに接続し、且つ、固定部20Aにおけるフレーム21’の一のアーム部21Dの第1層部21Aに接続している。連結部32Cと可動部10Cないしアーム部11Eとが接続する箇所を接続部P2とする。また、連結部32Cは、マイクロ可動素子X2における連結部32(連結バー32a,32b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Cよりも薄肉である。
【0124】
連結部33Cは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Cにおける一のアーム部11Eに接続し、且つ、固定部20Aにおけるフレーム21’の一のアーム部21Dの第1層部21Aに接続している。連結部33Cと可動部10Cないしアーム部11Eとが接続する箇所を接続部P3とする。また、連結部33Cは、マイクロ可動素子X2における連結部33(連結バー33a,33b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Cよりも薄肉である。
【0125】
連結部34Cは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Cにおける一のアーム部11Eに接続し、且つ、固定部20Aにおけるフレーム21’の一のアーム部21Dの第1層部21Aに接続している。連結部34Cと可動部10Cないしアーム部11Eとが接続する箇所を接続部P4とする。また、連結部34Cは、マイクロ可動素子X2における連結部34(連結バー34a,34b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Cよりも薄肉である。
【0126】
マイクロ可動素子X5においては、図48に示すように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S51に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。また、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S52に、可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。加えて、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向D1’における一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S53に、可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。更に加えて、一組の接続部P1,P4と一組の接続部P2,P3の離隔方向D2’における一組の接続部P1,P4から一組の接続部P2,P4までの間以内たる内域S54に、可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。
【0127】
マイクロ可動素子X5では、電極部12,22間、電極部13,23間、電極部14,24間、および電極部15,25間のそれぞれに、駆動電圧を印加することにより、図47に示す厚さ方向Hにおいて可動部10Cを並進変位動作させることができる。可動部10Cを並進変位動作させるための手法は、マイクロ可動素子X2の可動部10を並進変位動作させるための手法として上述したのと同様である。可動部10Cにおけるランド部11A上のミラー面11aに対して例えば垂直に光を照射して反射させる場合、可動部10Cを並進変位動作させることにより、ミラー面11aにて反射される光の反射位置を変化させて、光の光路長を変化させることができる。
【0128】
マイクロ可動素子X5においては、上述のように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S51に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X5では、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S51にて可動部10Cないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X5は、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、接続部P1または接続部P3を支点とするような可動部10Cの回転変位を抑制するのに適する。
【0129】
マイクロ可動素子X5においては、上述のように、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S52に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X5では、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S52にて可動部10Cないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X5は、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、接続部P2または接続部P4を支点とするような可動部10Cの回転変位を抑制するのに適する。
【0130】
マイクロ可動素子X5においては、上述のように、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向D1’における一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S53に、可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X5では、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S53にて可動部10Cないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X5は、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、一組の接続部P1,P2または一組の接続部P3,P4を支点とするような可動部10Cの回転変位を抑制するのに適する。
【0131】
マイクロ可動素子X5においては、上述のように、一組の接続部P1,P4と一組の接続部P2,P3の離隔方向D2’における一組の接続部P1,P4から一組の接続部P2,P4までの間以内たる内域S54に、可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X5では、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S54にて可動部10Cないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X5は、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、一組の接続部P1,P4または一組の接続部P2,P3を支点とするような可動部10Cの回転変位を抑制するのに適する。
【0132】
マイクロ可動素子X5においては、連結部31C〜34Cは、それぞれ、可動部10Cのランド部11Aから延出するアーム部11Eに接続している。このような構成は、ランド部11Aから延出する電極部12〜15について、内域S51、内域S52、内域S53、または内域S54に位置させるうえで好適である。
【0133】
マイクロ可動素子X5においては、連結部31C,33Cは、上述のように、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D2に直交する方向における可動部10Cの変位を抑制するのに資する。加えて、マイクロ可動素子X5においては、連結部32C,34Cは、上述のように、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D1に直交する方向における可動部10Cの変位を抑制するのに資する。
【0134】
マイクロ可動素子X5においては、可動部10Cおよび固定部20Aを連結する連結部31Cは、接続部P1から、可動部10Cの主部たるランド部11Aから遠のく方向に延出していない。連結部32Cは、接続部P2から、ランド部11Aから遠のく方向に延出していない。連結部33Cは、接続部P3から、ランド部11Aから遠のく方向に延出していない。連結部34Cは、接続部P4から、ランド部11Aから遠のく方向に延出していない。このような構成を具備するマイクロ可動素子X5は、フレーム21’の小型化ひいては素子全体の小型化を図るのに好適である。
【0135】
図49から図51は、本発明の第6の実施形態に係るマイクロ可動素子X6を表す。図49は、マイクロ可動素子X6の平面図である。図50は、マイクロ可動素子X6の他の平面図である。図51は、図49の線LI−LIに沿った断面図である。
【0136】
マイクロ可動素子X6は、可動部10Dと、固定部20Bと、連結部31D,32D,33D,34Dとを備えるマイクロミラー素子である。また、マイクロ可動素子X6は、マイクロ可動素子X2と同様に、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X6における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図49は第1シリコン層側の平面図であり、図50は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図49においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図50においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0137】
可動部10Dは、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11Aと、四本のアーム部11Fと、電極部12,13,14,15とを有する。可動部10Dは、アーム部11Bに代えてアーム部11Fを備える点において、上述のマイクロ可動素子X2の可動部10と異なる。各アーム部11Fは、屈曲構造を有する。具体的には、一のアーム部11Fは、ランド部11Aの側縁部T1における側縁部T4側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分と、第1部分と平行な第3部分とからなる。別の一のアーム部11Fは、ランド部11Aの側縁部T2における側縁部T1側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分と、第1部分と平行な第3部分とからなる。別の一のアーム部11Fは、ランド部11Aの側縁部T3における側縁部T2側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分と、第1部分と平行な第3部分とからなる。別の一のアーム部11Fは、ランド部11Aの側縁部T4における側縁部T3側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分と、第1部分と平行な第3部分とからなる。可動部10Dについての他の構成は、マイクロ可動素子X2の可動部10について上述したのと同様である。
【0138】
固定部20Bは、フレーム21”および電極部22,23,24,25を有する。固定部20Bは、フレーム21に代えてフレーム21”を有する点において、上述のマイクロ可動素子X2の固定部20と異なる。フレーム21”は、図49および図50に示すように、可動部10Dを囲む形状を有し、且つ、アーム部21Eを有する。また、フレーム21”は、図51に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部21Aと、第2シリコン層に由来する第2層部21Bと、これらの間の絶縁層21Cとからなる積層構造を有する。フレーム21”は、アーム部21Eを有する点において、上述のマイクロ可動素子X2におけるフレーム21と異なる。フレーム21”の他の構成は、マイクロ可動素子X2におけるフレーム21について上述したのと同様である。固定部20Bの他の構成は、マイクロ可動素子X2の固定部20について上述したのと同様である。
【0139】
連結部31D〜34Dは、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部10Dおよび固定部20Bを連結する。連結部31Dは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Dにおける一のアーム部11Fに接続し、且つ、固定部20Bにおけるフレーム21”の一のアーム部21Eの第1層部21Aに接続している。連結部31Dと可動部10Dないしアーム部11Fとが接続する箇所を接続部P1とする。また、連結部31Dは、マイクロ可動素子X2における連結部31(連結バー31a,31b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Dよりも薄肉である。
【0140】
連結部32Dは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Dにおける一のアーム部11Fに接続し、且つ、固定部20Bにおけるフレーム21”の一のアーム部21Eの第1層部21Aに接続している。連結部32Dと可動部10Dないしアーム部11Fとが接続する箇所を接続部P2とする。また、連結部32Dは、マイクロ可動素子X2における連結部32(連結バー32a,32b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Dよりも薄肉である。
【0141】
連結部33Dは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Dにおける一のアーム部11Fに接続し、且つ、固定部20Bにおけるフレーム21”の一のアーム部21Eの第1層部21Aに接続している。連結部33Dと可動部10Dないしアーム部11Fとが接続する箇所を接続部P3とする。また、連結部33Dは、マイクロ可動素子X2における連結部33(連結バー33a,33b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Dよりも薄肉である。
【0142】
連結部34Dは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Dにおける一のアーム部11Fに接続し、且つ、固定部20Bにおけるフレーム21”の一のアーム部21Eの第1層部21Aに接続している。連結部34Dと可動部10Dないしアーム部11Fとが接続する箇所を接続部P4とする。また、連結部34Dは、マイクロ可動素子X2における連結部34(連結バー34a,34b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Dよりも薄肉である。
【0143】
マイクロ可動素子X6においては、図52に示すように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S61に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Dの電極部12〜15の全体が位置する。また、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S62に、可動部10Dの電極部12〜15の全体が位置する。
【0144】
マイクロ可動素子X6では、電極部12,22間、電極部13,23間、電極部14,24間、および電極部15,25間のそれぞれに、駆動電圧を印加することにより、図51に示す厚さ方向Hにおいて可動部10Dを並進変位動作させることができる。可動部10Dを並進変位動作させるための手法は、マイクロ可動素子X2の可動部10を並進変位動作させるための手法として上述したのと同様である。可動部10Dにおけるランド部11A上のミラー面11aに対して例えば垂直に光を照射して反射させる場合、可動部10Dを並進変位動作させることにより、ミラー面11aにて反射される光の反射位置を変化させて、光の光路長を変化させることができる。
【0145】
マイクロ可動素子X6においては、上述のように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S61に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Dの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X6では、自然状態位置から可動部10Dを並進変位させる際や、可動部10Dの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S61にて可動部10Dないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X6は、自然状態位置から可動部10Dを並進変位させる際や、可動部10Dの並進変位量を変更する際、接続部P1または接続部P3を支点とするような可動部10Dの回転変位を抑制するのに適する。
【0146】
マイクロ可動素子X6においては、上述のように、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S62に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Dの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X6では、自然状態位置から可動部10Dを並進変位させる際や、可動部10Dの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S62にて可動部10Dないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X6は、自然状態位置から可動部10Dを並進変位させる際や、可動部10Dの並進変位量を変更する際、接続部P2または接続部P4を支点とするような可動部10Dの回転変位を抑制するのに適する。
【0147】
マイクロ可動素子X6においては、連結部31D〜34Dは、それぞれ、可動部10Dのランド部11Aから延出するアーム部11Fに接続している。このような構成は、ランド部11Aから延出する電極部12〜15について、内域S61または内域S62に位置させるうえで好適である。
【0148】
マイクロ可動素子X6においては、連結部31D,33Dは、上述のように、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D1に直交する方向における可動部10Dの変位を抑制するのに資する。加えて、マイクロ可動素子X6においては、連結部32D,34Dは、上述のように、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D2に直交する方向における可動部10Dの変位を抑制するのに資する。
【0149】
マイクロ可動素子X6においては、可動部10Dおよび固定部20Bを連結する連結部31Dは、接続部P1から、可動部10Dの主部たるランド部11Aから遠のく方向に延出していない。連結部32Dは、接続部P2から、ランド部11Aから遠のく方向に延出していない。連結部33Dは、接続部P3から、ランド部11Aから遠のく方向に延出していない。連結部34Dは、接続部P4から、ランド部11Aから遠のく方向に延出していない。このような構成を具備するマイクロ可動素子X6は、フレーム21”の小型化ひいては素子全体の小型化を図るのに好適である。
【0150】
図53から図58は、本発明の第7の実施形態に係るマイクロ可動素子X7を表す。図53は、マイクロ可動素子X7の平面図である。図54は、マイクロ可動素子X7の他の平面図である。図55から図58は、それぞれ、図53の線LV−LV、線LVI−LVI、線LVII−LVII、および線LVIII−LVIIIに沿った断面図である。
【0151】
マイクロ可動素子X7は、可動部40と、固定部50と、連結部61,62,63,64とを備えるマイクロミラー素子である。また、マイクロ可動素子X7は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X7における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図53は第1シリコン層側の平面図であり、図54は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図53においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図54においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0152】
可動部40は、主に第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部41および電極部42を有する。ランド部41の表面には、光反射機能を有するミラー面41aが設けられている。電極部42は、ランド部41から延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。
【0153】
固定部50は、フレーム51および電極部52を有する。フレーム51は、図53および図54に示すように、可動部40を囲む形状を有する。また、フレーム51は、図55から図58に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部51Aと、第2シリコン層に由来する第2層部51Bと、これらの間の絶縁層51Cとからなる積層構造を有する。第1層部51Aおよび第2層部51Bは電気的に分離されている。図53に示すように、第1層部51A上には電極パッド51A’が設けられている。図54に示すように、第2層部51B上には電極パッド51B’が設けられている。
【0154】
電極部52は、第2シリコン層に由来する部位であり、フレーム51の第2層部51Bから可動部40側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。また、電極部52は、上述の電極部42と協働して静電引力を発生させるための部位であり、図55に示すように電極部42に対向するように配されている。
【0155】
連結部61〜64は、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部40および固定部50を連結する。連結部61は、電極部42,52の電極歯の延び方向D3に延びる連結バー61aと、延び方向D3に直交する方向に延びる連結バー61bとからなる。連結部61ないし連結バー61a,61bは、可動部40におけるランド部41一の角部に接続し、且つ、固定部50におけるフレーム51の第1層部51Aに接続している。連結部61と可動部40ないしランド部41とが接続する箇所を接続部P1とする。また、図56および図57に示すように、連結部61(連結バー61a,61b)は、可動部40やフレーム51の第1層部51Aよりも薄肉である。
【0156】
連結部62は、電極部42,52の電極歯の延び方向D3に延びる連結バー62aと、延び方向D3に直交する方向に延びる連結バー62bとからなる。連結部62ないし連結バー62a,62bは、可動部40におけるランド部41の一の角部に接続し、且つ、固定部50におけるフレーム51の第1層部51Aに接続している。連結部62と可動部40ないしランド部41とが接続する箇所を接続部P2とする。また、連結バー62aについて図56に示すように、連結部62(連結バー62a,62b)は、可動部40やフレーム51の第1層部51Aよりも薄肉である。
【0157】
連結部63は、電極部42,52の電極歯の延び方向D3に延びる連結バー63aと、延び方向D3に直交する方向に延びる連結バー63bとからなる。連結部63ないし連結バー63a,63bは、可動部40におけるランド部41の一の角部に接続し、且つ、固定部50におけるフレーム51の第1層部51Aに接続している。連結部63と可動部40ないしランド部41とが接続する箇所を接続部P3とする。また、連結バー63aについて図58に示すように、連結部63(連結バー63a,63b)は、可動部40やフレーム51の第1層部51Aよりも薄肉である。
【0158】
連結部64は、電極部42,52の電極歯の延び方向D3に延びる連結バー64aと、延び方向D3に直交する方向に延びる連結バー64bとからなる。連結部64ないし連結バー64a,64bは、可動部40におけるランド部41の一の角部に接続し、且つ、固定部50におけるフレーム51の第1層部51Aに接続している。連結部64と可動部40ないしランド部41とが接続する箇所を接続部P4とする。また、図57および図58に示すように、連結部64(連結バー64a,64b)は、可動部40やフレーム51の第1層部51Aよりも薄肉である。
【0159】
マイクロ可動素子X7においては、図59に示すように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S71に、電極部52との間で静電引力を発生するための可動部40の電極部42の全体が位置する。また、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S72に、可動部40の電極部42の全体が位置する。
【0160】
マイクロ可動素子X7においては、電極部42,52間に駆動電圧を印加することにより、例えば図55に示す厚さ方向Hにおいて可動部40を並進変位動作させることができる。当該電圧印加における電極部42に対する電位付与は、固定部50におけるフレーム51の第1層部51A上の電極パッド51A’、第1層部51A、連結部61〜64、および可動部40のランド部41を介して、実現することができる。電極部42には例えばグラウンド電位が付与される。電圧印加における電極部52に対する電位付与は、固定部50におけるフレーム51の第2層部51B上の電極パッド51B’および第2層部51Bを介して実現することができる。
【0161】
電極部42,52間に電圧が印加されていない場合、連結部61〜64を介して固定部50に繋がれている可動部40は、例えば図56に示すように自然状態位置にある。電極部42,52間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部42,52間に静電引力が生じる。このようにして生じた静電引力が駆動力として電極部42に作用することにより、可動部40の電極部42は、固定部50の電極部52に引き込まれる。このとき、連結部61〜64の連結バー61a,61b,62a,62b,63a,63b,64a,64bには張力が作用し、各連結バーは弾性変形する。電極部42が電極部52に引き込まれることにより、可動部40は、厚さ方向Hにおいて並進変位することとなる。このときの並進変位量は、電極部42ないし可動部40に作用する駆動力の大きさに応じて異なる。可動部40の、自然状態位置からの並進変位量については、電極部42,52間の印加駆動電圧を制御して発生駆動力を調整することにより、事後的に変更することが可能である。
【0162】
静電引力を消滅させると、連結バー61a,61b,62a,62b,63a,63b,64a,64bはその自然状態に復帰し、可動部40はその初期位置(自然状態位置)に戻る。
【0163】
ランド部41上に設けられたミラー面41aに対して例えば垂直に光を照射して反射させる場合、以上のような可動部40についての駆動により、ミラー面41aにて反射される光の反射位置を変化させて、光の光路長を変化させることができる。
【0164】
マイクロ可動素子X7においては、上述のように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S71に、電極部52との間で静電引力を発生するための可動部40の電極部42の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X7では、自然状態位置から可動部40を並進変位させる際や、可動部40の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S71にて可動部40ないし電極部42に作用する。したがって、マイクロ可動素子X7は、自然状態位置から可動部40を並進変位させる際や、可動部40の並進変位量を変更する際、可動部40について回転変位を抑制するのに適する。
【0165】
マイクロ可動素子X7においては、上述のように、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S72に、可動部40の電極部42の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X7では、自然状態位置から可動部40を並進変位させる際や、可動部40の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S72にて可動部40ないし電極部42に作用する。したがって、マイクロ可動素子X7は、自然状態位置から可動部40を並進変位させる際や、可動部40の並進変位量を変更する際、可動部40について回転変位を抑制するのに適する。
【0166】
マイクロ可動素子X7においては、連結部61〜64における連結バー61a,62a,63a,64aは、上述のように、電極部42,52の電極歯の延び方向D3に延びる。このような構成は、延び方向D3における可動部40の変位を抑制するのに資する。加えて、マイクロ可動素子X7においては、連結部61〜64における連結バー61b,62b,63b,64bは、上述のように、延び方向D3に直交する方向に延びる。このような構成は、延び方向D3に直交する方向における可動部40の変位を抑制するのに資する。
【0167】
図60から図64は、本発明の第8の実施形態に係るマイクロ可動素子X8を表す。図60は、マイクロ可動素子X8の平面図である。図61は、マイクロ可動素子X8の他の平面図である。図62から図64は、それぞれ、図60の線LXII−LXII、線LXIII−LXIII、および線LXIV−LXIVに沿った断面図である。
【0168】
マイクロ可動素子X8は、可動部70と、固定部80と、連結部91,92,93とを備えるマイクロミラー素子である。また、マイクロ可動素子X8は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X8における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図60は第1シリコン層側の平面図であり、図61は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図60においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図61においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0169】
可動部70は、主に第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部71Aと、三本のアーム部71Bと、電極部72,73,74とを有する。ランド部71Aの表面には、光反射機能を有するミラー面71aが設けられている。各アーム部71Bは、円盤状のランド部71Aの周縁部71bから延出する。電極部72,73,74は、それぞれ、ランド部71Aの周縁部71bから延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。これら電極部72,73,74は、ランド部71Aを介して電気的に接続されている。また、電極部72,73,74は、それぞれ、円盤状のランド部71Aの周方向において、一組のアーム部71Bの間に位置する。すなわち、アーム部71Bおよび電極部72,73,74は、ランド部71Aの周縁部71bから放射状に延出する。
【0170】
固定部80は、フレーム81および電極部82,83,84を有する。フレーム81は、図60および図61に示すように、可動部70を囲む形状を有する。また、フレーム81は、図62から図64に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部81Aと、第2シリコン層に由来する第2層部81Bと、これらの間の絶縁層81Cとからなる積層構造を有する。第2層部81Bは、部分81a,81b,81cを含む。第1層部81Aおよび第2層部81Bは電気的に分離されており、且つ、部分81a,81b,81cは電気的に分離されている。図60に示すように、第1層部81A上には電極パッド81A’が設けられている。図61に示すように、第2層部81Bの部分81a,81b,81c上には電極パッド81a’,81b’,81c’が設けられている。
【0171】
電極部82,83,84は、第2シリコン層に由来する部位である。電極部82は、フレーム81の第2層部81Bの部分81aから可動部70側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部82は、上述の電極部72と協働して静電引力を発生させるための部位であり、図62に示すように電極部72に対向するように配されている。電極部83は、第2層部81Bの部分81bから可動部70側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部83は、上述の電極部73と協働して静電引力を発生させるための部位であり、図63に示すように電極部73に対向するように配されている。電極部84は、上述の電極部74と協働して静電引力を発生させるための部位であり、図64に示すように電極部74に対向するように配されている。これら電極部82,83,84は、電気的に分離されている。
【0172】
連結部91〜93は、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部70および固定部80を連結する連結バーである。連結部91〜93は、それぞれ、可動部70における一のアーム部71Bに接続し、且つ、固定部80におけるフレーム81の第1層部81Aに接続している。連結部91と可動部70ないしアーム部71Bとが接続する箇所を接続部P1とする。連結部92と可動部70ないしアーム部71Bとが接続する箇所を接続部P2とする。連結部93と可動部70ないしアーム部71Bとが接続する箇所を接続部P3とする。図62から図64に示すように、連結部91〜93は、可動部70やフレーム81の第1層部81Aよりも薄肉である。
【0173】
マイクロ可動素子X8では、接続部P1およびランド部71Aの離隔方向D4において、電極部71〜73は接続部P1を越えるほどにはランド部71Aの周縁部71bから延出していない。また、接続部P2およびランド部71Aの離隔方向D5において、電極部71〜73は接続部P2を越えるほどにはランド部71Aの周縁部71bから延出していない。加えて、接続部P3およびランド部71Aの離隔方向D6において、電極部71〜73は接続部P3を越えるほどにはランド部71Aの周縁部71bから延出していない。図65に示すように、接続部P1とランド部71Aの離隔方向D4に直交し且つ接続部P1を通る仮想面K1を想定する。接続部P2とランド部71Aの離隔方向D5に直交し且つ接続部P2を通る仮想面K2を想定する。接続部P3とランド部71Aの離隔方向D6に直交し且つ接続部P3を通る仮想面K3を想定する。このように仮想面K1〜K3を想定すると、仮想面K1〜K3によって囲まれた或は挟まれた領域以内たる内域S81に、固定部80の電極部82〜84との間で静電引力を発生させるための可動部70の電極部72〜74の全体が位置する。
【0174】
マイクロ可動素子X8においては、電極部72,82間、電極部73,83間、および電極部74,84間のそれぞれに駆動電圧を印加することにより、例えば図62に示す厚さ方向Hにおいて、可動部70を並進変位動作させることができる。当該電圧印加における電極部72〜74に対する電位付与は、固定部80におけるフレーム81の第1層部81A上の電極パッド81A’、第1層部81A、連結部91〜93、および可動部70のアーム部71Bとランド部71Aを介して、実現することができる。電極部72〜74には例えばグラウンド電位が付与される。電圧印加における電極部82に対する電位付与は、固定部80におけるフレーム81の第2層部81Bの部分81a上の電極パッド81a’および部分81aを介して実現することができる。電極部83に対する電位付与は、フレーム81の第2層部81Bの部分81b上の電極パッド81b’および部分81bを介して実現することができる。電極部84に対する電位付与は、フレーム81の第2層部81Bの部分81c上の電極パッド81c’および部分81cを介して実現することができる。電極部82〜84に対して付与する電位は、電極部ごとに個別に設定することができる。
【0175】
電極部72,82間、電極部73,83間、および電極部74,84間に電圧が印加されていない場合、連結部91〜93を介して固定部80に繋がれている可動部70は、例えば図62に示すように自然状態位置にある。電極部72,82間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部72,82間に静電引力が生じる。電極部73,83間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部73,83間に静電引力が生じる。電極部74,84間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部74,84間に静電引力が生じる。このようにして生じた静電引力が駆動力として電極部72〜74に作用することにより、可動部70の電極部72〜74は、それぞれ、固定部80の電極部82〜84に引き込まれる。このとき、連結部91〜93には張力が作用し、各連結バーは弾性変形する。電極部72〜74が電極部82〜84に引き込まれることにより、可動部70は、厚さ方向Hにおいて並進変位することとなる。このときの並進変位量は、電極部72〜74ないし可動部70に作用する駆動力の大きさに応じて異なる。可動部70の、自然状態位置からの並進変位量については、各組の電極部対間の印加駆動電圧を制御して発生駆動力を調整することにより、事後的に変更することが可能である。
【0176】
静電引力を消滅させると、連結部91〜93はその自然状態に復帰し、可動部70はその初期位置(自然状態位置)に戻る。
【0177】
ランド部71A上に設けられたミラー面71aに対して例えば垂直に光を照射して反射させる場合、以上のような可動部70についての駆動により、ミラー面71aにて反射される光の反射位置を変化させて、光の光路長を変化させることができる。
【0178】
マイクロ可動素子X8においては、上述のように、仮想面K1〜K3によって囲まれた或は挟まれた領域以内たる内域S81に、固定部80の電極部82〜84との間で静電引力を発生させるための可動部70の電極部72〜74の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X8では、自然状態位置から可動部70を並進変位させる際や、可動部70の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S81にて可動部70ないし電極部72〜74に作用する。したがって、マイクロ可動素子X8は、自然状態位置から可動部70を並進変位させる際や、可動部70の並進変位量を変更する際、可動部70について回転変位を抑制するのに適する。
【0179】
マイクロ可動素子X8においては、連結部91〜93は、それぞれ、可動部70のランド部71Aから延出するアーム部71Bに接続している。このような構成は、ランド部71Aから延出する電極部72〜74について、内域S81に位置させるうえで好適である。
【0180】
図66は、本発明の第9の実施形態に係る光干渉計Yの概略構成を表す。光干渉計Yは、レンズ101と、ハーフミラー102と、光反射手段103,104と、ディテクタ系(図示略)とを備えるマイケルソン型遅延干渉計である。
【0181】
レンズ101は、所定の光源から発せられた光L1を平行光とするためのものであり、例えばコリメートレンズである。ハーフミラー102は、レンズ101を経た光L1について、一部を反射するとともに一部を透過させて分岐光L2,L3に分岐させるためのものである。ハーフミラー102は、光反射手段103,104での反射を経た分岐光L2,L3を重ね合わせて干渉させたうえで、干渉光L4,L5に分岐させるためのものでもある。光反射手段103は、ハーフミラー102からの分岐光L2をハーフミラー102に向けて反射するためのものであり、光反射のためのミラー面103aを有する。光反射手段103では、ハーフミラー102とミラー面103aとの間を往復する分岐光L2の光路長を変更できるように、ミラー面103aが矢印H1方向に変位可能に設けられている。本実施形態では、光反射手段103は、上述のマイクロ可動素子X1〜X8のいずれかよりなる(従って、ミラー面103aは、ミラー面11a,41a,71aのいずれかである)。光反射手段104は、ハーフミラー102からの分岐光L3をハーフミラー102に向けて反射するためのものであり、光反射のためのミラー面104aを有する。光反射手段104では、ハーフミラー102とミラー面104aとの間を往復する分岐光L3の光路長を変更できるように、ミラー面104aが例えば矢印H2方向に変位可能に設けられている。本実施形態では、光反射手段104は、上述のマイクロ可動素子X1〜X8のいずれかよりなる(従って、ミラー面104aは、ミラー面11a,41a,71aのいずれかである)。分岐光L2の光路長は、分岐光L3の光路長より長く設定される。そのため、光反射手段103,104での反射を経た分岐光L2,L3がハーフミラー102にて重ね合わされる時、分岐光L2は分岐光L3に対して所定時間遅延している。ハーフミラー102にて重ね合わされる時の分岐光L2,L3の位相差に応じて干渉光L4,L5の強度比が異なるところ、ディテクタ系は、干渉光L4を受光するための受光素子と、干渉光L5を受光するための受光素子とを含む。
【0182】
光干渉計Yは、例えば、差動位相変調方式(DPSK;Differential Phase Shift Keying)によって変調された光信号(DPSK光信号)を復調するための復調器として使用することができる。光干渉計Yを当該復調器として使用する場合、上述のディテクタ系は、干渉光L4,L5を受光するための受光素子を備えて各受光素子から出力される電気信号に基づいて平衡検出処理することが可能な、平衡光検出器を含んでなる。また、DPSKは、波長分割多重方式(WDM;Dense Wavelength Division Multiplexing)を採用する光通信システムにおける変調方式として採用され得る。
【0183】
DPSK光信号を復調するための復調器として光干渉計Yを使用する場合、図外の光ファイバから出射されたDPSK光信号たる光L1が、レンズ101にて平行光とされた後、ハーフミラー102にて分岐光L2,L3に分岐される。分岐光L2は、光反射手段103のミラー面103aにてハーフミラー102に向けて反射される。分岐光L3は、光反射手段104のミラー面104aにてハーフミラー102に向けて反射される。光反射手段103,104での反射を経た分岐光L2,L3はハーフミラー102にて重ね合わされて干渉し、当該干渉光はハーフミラー102にて干渉光L4,L5に分岐される。重ね合わせ時において分岐光L2が分岐光L3に対してDPSK光信号の1ビット周期と等しい時間遅延するように、分岐光L2,L3の各光路長は調節される(分岐光L2の光路長は分岐光L3の光路長より長い)。ハーフミラー102と光反射手段103のミラー面103aとの間を往復する分岐光L2の光路長は、ミラー面103aを矢印H1方向において変位させて変位量を制御することによって調節することができる。ハーフミラー102と光反射手段104のミラー面104aとの間を往復する分岐光L3の光路長は、ミラー面104aを矢印H2方向において変位させて変位量を制御することによって調節することができる。ハーフミラー102からの干渉光L4は、ディテクタ系において、例えば所定の反射ミラーでの反射を経て所定の集光レンズを経た後、平衡光検出器の一の受光素子で受光される。ハーフミラー102からの干渉光L5は、ディテクタ系において、例えば所定の反射ミラーでの反射を経て所定の集光レンズを経た後、平衡光検出器の他の受光素子で受光される。そして、平衡光検出器において、各受光素子から出力される電気信号に基づいて平衡検出処理が実行されて復調信号が生成され、当該平衡光検出器から復調信号が出力される。復調すべきDPSK光信号の1ビット周期が変更される場合があるところ、その場合、ハーフミラー102での重ね合わせ時において分岐光L2が分岐光L3に対して変更後の1ビット周期に対応した時間遅延するように、分岐光L2,L3の各光路長は調節される。すなわち、復調すべきDPSK光信号の1ビット周期が変更される場合、当該変更に対応すべく、光反射手段103,104のミラー面103a,104aの少なくとも一方の変位量が変更される。
【0184】
光干渉計Yでは、上述のように、光反射手段103,104のそれぞれは、マイクロ可動素子X1〜X8のいずれかよりなる。マイクロ可動素子X1〜X8は、上述のように、光反射用のミラー面を伴う可動部を自然状態位置から並進変位させる際や、当該可動部およびこれに伴うミラー面の並進変位量を変更する際、可動部ないしミラー面について回転変位を抑制するのに適する。したがって、光干渉計Yにおいては、干渉光L2,L3の光路長差を精度よく調節することができる。このような光干渉計YをDPSK光信号の復調器として使用する場合には、干渉光L2,L3の光路長差を精度よく調節して復調信号を適切に得ることが可能である。
【0185】
上述の光干渉計Yにおいては、光反射手段103,104の両方がマイクロ可動素子X1〜X8のいずれかよりなるが、光反射手段103,104の一方については、不動のミラー面を備えるものを採用してもよい。このような構成においても、干渉光L2,L3の光路長差を精度よく調節することは可能である。
【0186】
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
【0187】
(付記1)一対の離隔した第1電極部を有する可動部と、
前記第1電極部の離隔方向に交差する方向における前記可動部の並進変位の駆動力を前記一対の第1電極部と協働して発生させるための一対の第2電極部、を有する固定部と、
前記可動部に接続し且つ前記固定部に接続する複数の連結部と、を備え、
前記複数の連結部は、第1連結部および第2連結部を含み、
前記第1連結部および前記可動部が接続する第1接続部と、前記第2連結部および前記可動部が接続する第2接続部とは離隔して、当該第1および第2接続部の離隔方向における当該第1および第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置する、マイクロ可動素子。
(付記2)前記一対の第2電極部は電気的に分離されている、付記1に記載のマイクロ可動素子。
(付記3)前記第1電極部および前記第2電極部は、それぞれ、櫛歯電極である、付記1または2に記載のマイクロ可動素子。
(付記4)前記可動部は、ランド部、および、当該ランド部から延出する複数のアーム部を有し、
前記第1連結部および前記第2連結部は、それぞれ、前記可動部における一のアーム部に接続している、付記1から3のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記5)前記複数の連結部は、追加第1連結部および追加第2連結部を含み、
前記第1接続部と、前記追加第1連結部および前記可動部が接続する追加第1接続部とは離隔して、当該第1接続部および追加第1接続部の離隔方向における当該第1接続部および追加第1接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記第2接続部と、前記追加第2連結部および前記可動部が接続する追加第2接続部とは離隔して、当該第2接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該第2接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記追加第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置する、付記1から4のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記6)前記可動部は、前記第1電極部の離隔方向と前記可動部の並進変位方向とに交差する方向に離隔する一対の第3電極部を有し、
前記固定部は、前記可動部の並進変位の駆動力を前記一対の第3電極部と協働して発生させるための一対の第4電極部を有する、付記1から4のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記7)前記一対の第2電極部は電気的に分離され、前記一対の第4電極部は電気的に分離され、且つ、各第2電極部は各第4電極部から電気的に分離されている、付記6に記載のマイクロ可動素子。
(付記8)前記第3電極部および前記第4電極部は、それぞれ、櫛歯電極である、付記6または7に記載のマイクロ可動素子。
(付記9)前記複数の連結部は、追加第1連結部および追加第2連結部を含み、
前記第1接続部と、前記追加第1連結部および前記可動部が接続する追加第1接続部とは離隔して、当該第1接続部および追加第1接続部の離隔方向における当該第1接続部および追加第1接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記第2接続部と、前記追加第2連結部および前記可動部が接続する追加第2接続部とは離隔して、当該第2接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該第2接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記追加第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および第2接続部の間以内に前記一対の第3電極部は位置し、
前記追加第2接続部と前記第1接続部とは離隔して、当該追加第2接続部および第1接続部の離隔方向における当該追加第2接続部および第1接続部の間以内に前記一対の第3電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記追加第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第3電極部は位置する、付記6から8のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記10)前記第1連結部、前記第2連結部、前記追加第1連結部、および前記追加第2連結部の少なくとも一つは、前記一対の第1電極部の離隔方向に直交する方向に延びる連結バーを含む、付記5または9に記載のマイクロ可動素子。
(付記11)前記第1連結部、前記第2連結部、前記追加第1連結部、および前記追加第2連結部の少なくとも一つは、前記一対の第1電極部の離隔方向に延びる連結バーを含む、付記5、9、または10に記載のマイクロ可動素子。
(付記12)前記第1連結部、前記第2連結部、前記追加第1連結部、および前記追加第2連結部は、それぞれ、前記一対の第1電極部の離隔方向に直交する方向に延びる連結バー、および、前記一対の第1電極部の離隔方向に延びる連結バーを含む、付記5または9に記載のマイクロ可動素子。
(付記13)前記可動部は、複数の側縁部を有するランド部と、当該ランド部の側縁部から延出する複数のアーム部とを有し、
各アーム部は、一の側縁部における、当該側縁部と隣り合う他の側縁部の側にて延出し、
各第1電極部および各第3電極部は、一の側縁部から延出するアーム部、および、当該アーム部が延出する前記一の側縁部にとっての前記他の側縁部、から延出し、
前記第1連結部、前記第2連結部、前記追加第1連結部、および前記追加第2連結部は、それぞれ、一のアーム部に接続している、付記6から9のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記14)第1電極部を有する可動部と、
前記第1電極部と協働して前記可動部の並進変位の駆動力を発生させるための第2電極部、を有する固定部と、
前記可動部に接続し且つ前記固定部に接続する複数の連結部と、を備え、
前記複数の連結部は、第1連結部および第2連結部を含み、
前記第1連結部および前記可動部が接続する第1接続部と、前記第2連結部および前記可動部が接続する第2接続部とは離隔して、当該第1および第2接続部の離隔方向における当該第1および第2接続部の間以内に前記第1電極部は位置する、マイクロ可動素子。
(付記15)厚さ及び周縁部を有するランド部、並びに、前記周縁部から放射状に延出する複数のアーム部および複数の第1電極部、を有する可動部と、
前記ランド部の厚さ方向における前記可動部の並進変位の駆動力を前記複数の第1電極部と協働して発生させるための複数の第2電極部、を有する固定部と、
それぞれが前記可動部の前記アーム部に接続し且つ前記固定部に接続する複数の連結部と、を備え、
前記連結部および前記アーム部が接続する接続部と前記ランド部とは離隔して、当該接続部およびランド部の離隔方向において、前記第1電極部は前記接続部を越えるほどには前記周縁部から延出していない、マイクロ可動素子。
(付記16)光源と、
前記光源から出射した光を第1分岐光および第2分岐光に分岐させるための光分岐手段と、
前記第1分岐光を反射するためのミラー面を有する第1光反射手段と、
前記第2分岐光を反射するためのミラー面を有する第2光反射手段と、
前記第1光反射手段での反射を経た第1分岐光および前記第2光反射手段での反射を経た第2分岐光を重ね合わせるための光重ね合わせ手段と、を備え、
前記第1光反射手段および/または前記第2光反射手段は、付記1から15のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子を含み、当該マイクロ可動素子の前記可動部上に前記ミラー面が設けられている、光干渉計。
【符号の説明】
【0188】
X1,X2,X3,X4,X5,X6,X7,X8 マイクロ可動素子
10,10A,10B,10C,10D,40,70 可動部
11A,41A,71A ランド部
11B,11C,11D,11E,11F アーム部
11a,41a,71a ミラー面
12,13,14,15,41,71,72,73 電極部
20,20A,20B,50,80 固定部
21,21’,21”,51,81 フレーム
21D,21E アーム部
22,23,24,25,51,81,82,83 電極部
31〜34,31A〜34A,31B〜34B,31C〜34C 連結部
31D〜34D,61〜64,91〜93 連結部
P1,P2,P3,P4 接続部
Y 光干渉計
102 ハーフミラー
103,104 光反射手段
103a,104a ミラー面
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小な可動部を有する例えばマイクロミラー素子などのマイクロ可動素子、および、マイクロミラー素子を含む光干渉計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な技術分野において、マイクロマシニング技術により形成される微小構造を有する素子の応用化が図られている。そのような素子には、例えば、マイクロミラー素子や、角速度センサ、加速度センサなど、微小な可動部を有するマイクロ可動素子が含まれる。マイクロミラー素子は、例えば光ディスク技術や光通信技術の分野において、光反射機能を担う素子として利用される。角速度センサおよび加速度センサは、例えば、ビデオカメラやカメラ付き携帯電話の手振れ防止機能、カーナビゲーションシステム、エアバッグ開放タイミングシステム、車やロボット等の姿勢制御システムの用途で、利用される。これらマイクロ可動素子は、一般に、固定部と、可動部と、当該固定部および可動部を連結する連結部と、可動部を変位させる駆動力を発生させるための駆動機構とを備え、駆動時においては可動部の変位が制御される。このようなマイクロ可動素子については、例えば下記の特許文献1〜3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2004/034126号
【特許文献2】特開2006−162663号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0119376号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情の下で考え出されたものであり、駆動時に並進変位動作する可動部について回転変位を抑制するのに適したマイクロ可動素子、および、そのようなマイクロ可動素子を含む光干渉計を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面によるとマイクロ可動素子が提供される。このマイクロ可動素子は、可動部と、固定部と、複数の連結部とを備える。可動部は、一対の離隔した第1電極部を有する。固定部は、第1電極部対の離隔方向に交差する方向における可動部の並進変位の駆動力を第1電極部対と協働して発生させるための一対の第2電極部を有する。複数の連結部のそれぞれは、可動部に接続し且つ固定部に接続する。複数の連結部は、第1連結部および第2連結部を含む。第1連結部および可動部が接続する第1接続部と、第2連結部および可動部が接続する第2接続部とは離隔して、当該第1および第2接続部の離隔方向における当該第1および第2接続部の間以内に第1電極部対は位置する。このようなマイクロ可動素子は、駆動時に並進変位動作する可動部について回転変位を抑制するのに適する。
【0006】
本発明の第2の側面によるとマイクロ可動素子が提供される。このマイクロ可動素子は、可動部と、固定部と、複数の連結部とを備える。可動部は第1電極部を有する。固定部は、第1電極部と協働して可動部の並進変位の駆動力を発生させるための第2電極部を有する。複数の連結部のそれぞれは、可動部に接続し且つ固定部に接続する。複数の連結部は、第1連結部および第2連結部を含む。第1連結部および可動部が接続する第1接続部と、第2連結部および可動部が接続する第2接続部とは離隔して、当該第1および第2接続部の離隔方向における当該第1および第2接続部の間以内に第1電極部は位置する。このようなマイクロ可動素子は、駆動時に並進変位動作する可動部について回転変位を抑制するのに適する。
【0007】
本発明の第3の側面によるとマイクロ可動素子が提供される。このマイクロ可動素子は、可動部と、固定部と、複数の連結部とを備える。可動部は、厚さ及び周縁部を有するランド部、並びに、周縁部から放射状に延出する複数のアーム部および複数の第1電極部を有する。固定部は、ランド部の厚さ方向における可動部の並進変位の駆動力を複数の第1電極部と協働して発生させるための複数の第2電極部を有する。複数の連結部のそれぞれは、可動部のアーム部に接続し且つ固定部に接続する。連結部およびアーム部が接続する接続部とランド部とは離隔して、当該接続部およびランド部の離隔方向において、第1電極部は接続部を越えるほどには周縁部から延出していない。このようなマイクロ可動素子は、駆動時に並進変位動作する可動部について回転変位を抑制するのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】関連形態に係るマイクロミラー素子の平面図である。
【図2】図1に示すマイクロミラー素子の他の平面図である。
【図3】図1の線III−IIIに沿った断面図である。
【図4】図1の線IV−IVに沿った断面図である。
【図5】図1の線V−Vに沿った断面図である。
【図6】関連形態に係るマイクロミラー素子の可動部が並進変位した場合の一例における、図1の線III−IIIに沿った断面図である。
【図7】関連形態に係るマイクロミラー素子の可動部が回転変位した場合の一例における、図1の線III−IIIに沿った断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図9】図8に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図10】図8の線X−Xに沿った断面図である。
【図11】図8の線XI−XIに沿った断面図である。
【図12】図8の線XII−XIIに沿った断面図である。
【図13】図8の線XIII−XIIIに沿った断面図である。
【図14】図8の線XIV−XIVに沿った断面図である。
【図15】第1の実施形態における内域を示す平面図である。
【図16】第1の実施形態に係るマイクロ可動素子の可動部が並進変位した場合の一例における、図8の線X−Xに沿った断面図である。
【図17】第1の実施形態に係るマイクロ可動素子の製造方法における一部の工程を表す。
【図18】図17の後に続く工程を表す。
【図19】マスクパターンの平面図である。
【図20】他のマスクパターンの平面図である。
【図21】第1の実施形態に係るマイクロ可動素子の第1変形例の平面図である。
【図22】第1の実施形態に係るマイクロ可動素子の第2変形例の平面図である。
【図23】第1の実施形態に係るマイクロ可動素子の第3変形例の平面図である。
【図24】本発明の第2の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図25】図24に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図26】図24の線XXVI−XXVIに沿った断面図である。
【図27】図24の線XXVII−XXVIIに沿った断面図である。
【図28】図24の線XXVIII−XXVIIIに沿った断面図である。
【図29】図24の線XXIX−XXIXに沿った断面図である。
【図30】図24の線XXX−XXXに沿った断面図である。
【図31】図24の線XXXI−XXXIに沿った断面図である。
【図32】第2の実施形態における内域を示す平面図である。
【図33】第2の実施形態に係るマイクロ可動素子の可動部が並進変位した場合の一例における断面図である。(a)は、当該並進変位状態における図24の線XXVI−XXVIに沿った断面図である。(b)は、当該並進変位状態における図24の線XXVII−XXVIIに沿った断面図である。
【図34】第2の実施形態に係るマイクロ可動素子の第1変形例の平面図である。
【図35】第2の実施形態に係るマイクロ可動素子の第2変形例の平面図である。
【図36】第2の実施形態に係るマイクロ可動素子の第3変形例の平面図である。
【図37】本発明の第3の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図38】図37に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図39】図37の線XXXIX−XXXIXに沿った断面図である。
【図40】第3の実施形態における内域を示す平面図である。
【図41】本発明の第4の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図42】図41に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図43】図41の線XLIII−XLIIIに沿った断面図である。
【図44】第4の実施形態における内域を示す平面図である。
【図45】本発明の第5の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図46】図45に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図47】図45の線XLVII−XLVIIに沿った断面図である。
【図48】第5の実施形態における内域を示す平面図である。
【図49】本発明の第6の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図50】図49に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図51】図49の線LI−LIに沿った断面図である。
【図52】第6の実施形態における内域を示す平面図である。
【図53】本発明の第7の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図54】図53に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図55】図53の線LV−LVに沿った断面図である。
【図56】図53の線LVI−LVIに沿った断面図である。
【図57】図53の線LVII−LVIIに沿った断面図である。
【図58】図53の線LVIII−LVIIIに沿った断面図である。
【図59】第7の実施形態における内域を示すための平面図である。
【図60】本発明の第8の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図61】図60に示すマイクロ可動素子の他の平面図である。
【図62】図60の線LXII−LXIIに沿った断面図である。
【図63】図60の線LXIII−LXIIIに沿った断面図である。
【図64】図60の線LXIV−LXIVに沿った断面図である。
【図65】第8の実施形態における内域を示すための平面図である。
【図66】本発明の第9の実施形態に係る光干渉計の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図5は、本発明にとっての関連形態に係るマイクロミラー素子Zを表す。図1は、マイクロミラー素子Zの平面図である。図2は、マイクロミラー素子Zの他の平面図であり、図1とは反対の側の平面図である。図3から図5は、それぞれ、図1の線III−III、線IV−IV、および線V−Vに沿った断面図である。
【0010】
マイクロミラー素子Zは、可動部210と、固定部220と、一対の連結バー231と、一対の連結バー232とを備える。また、マイクロミラー素子Zは、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、いわゆるSOI(silicon on insulator)ウエハに対して加工を施すことによって製造されたものである。当該SOIウエハは、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロミラー素子Zにおける上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図の明確化の観点より、図1では、第1シリコン層に由来する部位を、斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図2では、第2シリコン層に由来する部位を、斜線ハッチングを付して表す。
【0011】
可動部210は、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部211および電極部212,213を有する。ランド部211の表面には、光反射機能を有するミラー面214が設けられている。電極部212,213は、それぞれ、ランド部210の一側縁部から延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。これら電極部212,213は、ランド部211を介して電気的に接続されている。
【0012】
固定部220は、フレーム221および電極部222,223を有する。フレーム221は、図1および図2に示すように、可動部210を囲む形状を有する。また、フレーム221は、図3から図5に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部221aと、第2シリコン層に由来する第2層部221bと、これらの間の絶縁層221cとからなる積層構造を有する。第1層部221aおよび第2層部221bは、電気的に分離されている。電極部222,223は、第2シリコン層に由来する部位であり、それぞれ、フレーム221の第2層部221bから可動部210側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部222は、上述の電極部212と協働して静電引力を発生させるための部位であり、電極部212と対向するように配されている。電極部223は、上述の電極部213と協働して静電引力を発生させるための部位であり、電極部213と対向するように配されている。これら電極部222,223は、フレーム221の第2層部221bを介して電気的に接続されている。
【0013】
連結バー231,232は、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部210および固定部220を連結する。各連結バー231は、可動部210のランド部211における電極部212側に接続し、且つ、フレーム221の第1層部221aに接続している。各連結バー231と可動部210とが接続する箇所を接続部241とする。各連結バー232は、可動部210のランド部211における電極部213側に接続し、且つ、フレーム221の第1層部221aに接続している。各連結バー232と可動部210が接続する箇所を接続部242とする。
【0014】
マイクロミラー素子Zにおいては、電極部212,213および電極部222,223の間に駆動電圧を印加することにより、図3に示す厚さ方向Hにおいて可動部210を並進変位動作させることができる。当該電圧印加における電極部212,213に対する電位付与は、固定部220のフレーム221の第1層部221a、連結バー231,232、および可動部210のランド部211を介して実現することができる。電極部212,213には例えばグラウンド電位が付与される。電圧印加における電極部222,223に対する電位付与は、固定部220のフレーム221の第2層部221bを介して実現することができる。電極部212,213と電極部222,223との間に電位差を生じさせることによって電極部212,222間に静電引力を発生させ且つ電極部213,223間に静電引力を発生させると、電極部212,213は電極部222,223に引き込まれる。このとき、連結バー231,232には張力が作用し、連結バー231,232は弾性変形する。図6に示すように、電極部212,213が電極部222,223に引き込まれることにより、可動部210は、厚さ方向Hにおいて並進変位することとなる。静電引力を消滅させると、各連結バー231,232はその自然状態に復帰し、可動部210は図3に示す初期位置(自然状態位置)に戻る。ランド部211上に設けられたミラー面214に対して例えば垂直に光Lを照射して反射させる場合、以上のような可動部210についての駆動により、ミラー面214にて反射される光Lの反射位置を変化させて、光Lの光路長を変化させることができる。図6においては、図の明確化の観点より、反射前の光Lの光路と反射後の光Lの光路とが重ならないように描写されている(後出の光Lについても同様である)。
【0015】
マイクロミラー素子Zにおいては、可動部210が回転変位しやすい。その理由は、次のとおりである。マイクロミラー素子Zでは、連結バー231,232は、電極部212,213の間において可動部210に接続する。すなわち、電極部212,213の離隔方向Dにおける上述の一組の接続部241から上述の一組の接続部242までの間の内域Sから外れた外域に、可動部210の電極部212,213の全体が位置する。このような構成のマイクロミラー素子Zの駆動時には、駆動力たる静電引力が外域にて可動部210に作用する。具体的には、一組の接続部241が支点となって、電極部212,222間に生じる第1静電引力が第1回転力として可動部210ないし電極部212に作用する。これとともに、一組の接続部242が支点となって、電極部213,223間に生じる第2静電引力が第2回転力として可動部210ないし電極部213に作用する。電極部212,213を伴う可動部210や電極部222,223を伴う固定部220を、第1回転力と第2回転力とが同一となるべく設計したとしても、実際上は、製造誤差によって各部の寸法が設計寸法からずれるので、両回転力の大きさは一致しない。たとえ、第1静電引力と第2静電引力とが同一となるように可動部210および固定部220を対称的に設計しても、実際上は、製造誤差によって可動部210や固定部220に形状アンバランスが生じてしまうので、両静電引力の大きさは一致しないのである。そのため、第1静電引力および第2静電引力のうち大きい方が、回転変位駆動力として可動部210に対して優勢に作用して、可動部210の回転変位が誘発されやすい。例えば、電極部212,222間に生じる第1静電引力よりも電極部213,223間に生ずる第2静電引力の方が大きい場合、第2静電引力が回転変位駆動力として可動部210に対して優勢に作用して、可動部210が図7に示すように回転変位する場合がある。以上のように、マイクロミラー素子Zにおいては、可動部210が回転変位しやすいのである。可動部210が回転変位すると、可動部210上のミラー面214にて反射される光Lの反射方向が適切な方向から逸脱する場合がある。
【0016】
図8から図14は、本発明の第1の実施形態に係るマイクロ可動素子X1を表す。図8は、マイクロ可動素子X1の平面図である。図9は、マイクロ可動素子X1の他の平面図である。図10から図14は、それぞれ、図8の線X−X、線XI−XI、線XII−XII、線XIII−XIII、および線XIV−XIVに沿った断面図である。
【0017】
マイクロ可動素子X1は、可動部10と、固定部20と、連結部31,32,33,34とを備えるマイクロミラー素子である。また、マイクロ可動素子X1は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X1における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図8は第1シリコン層側の平面図であり、図9は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図8においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図9においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0018】
可動部10は、主に第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11Aと、四本のアーム部11Bと、電極部12,13とを有する。ランド部11Aの表面には、光反射機能を有するミラー面11aが設けられている。各アーム部11Bは、矩形状のランド部11Aの角部から延出する。電極部12,13は、それぞれ、ランド部11Aの一側縁部から延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。これら電極部12,13は、ランド部11Aを介して電気的に接続されている。
【0019】
固定部20は、フレーム21および電極部22,23を有する。フレーム21は、図8および図9に示すように、可動部10を囲む形状を有する。また、フレーム21は、図10から図14に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部21Aと、第2シリコン層に由来する第2層部21Bと、これらの間の絶縁層21Cとからなる積層構造を有する。第2層部21Bは、部分21a,21bを含む。第1層部21Aおよび第2層部21Bは電気的に分離されており、且つ、部分21a,21bは電気的に分離されている。図8に示すように、第1層部21A上には電極パッド21A’が設けられている。図9に示すように、第2層部21Bの部分21a,21b上には電極パッド21a’,21b’が設けられている。
【0020】
電極部22,23は、第2シリコン層に由来する部位である。電極部22は、フレーム21の第2層部21Bの部分21aから可動部10側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部22は、上述の電極部12と協働して静電引力を発生させるための部位であり、図10に示すように電極部12に対向するように配されている。電極部23は、第2層部21Bの部分21bから可動部10側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部23は、上述の電極部13と協働して静電引力を発生させるための部位であり、電極部13に対向するように配されている。これら電極部22,23は、電気的に分離されている。
【0021】
連結部31〜34は、第1シリコン層に由来する部位であり、図8に示すように、可動部10および固定部20を連結する。連結部31は、電極部12,13の離隔方向Dに直交する方向に延びる連結バー31aと、電極部12,13の離隔方向Dに延びる連結バー31bとからなる。連結部31ないし連結バー31a,31bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部31と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P1とする。また、図11および図12に示すように、連結部31(連結バー31a,31b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0022】
連結部32は、電極部12,13の離隔方向Dに直交する方向に延びる連結バー32aと、電極部12,13の離隔方向Dに延びる連結バー32bとからなる。連結部32ないし連結バー32a,32bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部32と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P2とする。また、図11および図13に示すように、連結部32(連結バー32a,32b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0023】
連結部33は、電極部12,13の離隔方向Dに直交する方向に延びる連結バー33aと、電極部12,13の離隔方向Dに延びる連結バー33bとからなる。連結部33ないし連結バー33a,33bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部33と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P3とする。また、図13および図14に示すように、連結部33(連結バー33a,33b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0024】
連結部34は、電極部12,13の離隔方向Dに直交する方向に延びる連結バー34aと、電極部12,13の離隔方向Dに延びる連結バー34bとからなる。連結部34ないし連結バー34a,34bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部34と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P4とする。また、図12および図14に示すように、連結部34(連結バー34a,34b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0025】
マイクロ可動素子X1においては、図15に示すように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S11に、電極部22,23との間で静電引力を発生するための可動部10の電極部12,13の全体が位置する。また、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S12に、可動部10の電極部12,13の全体が位置する。加えて、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向Dにおける一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S13に、可動部10の電極部12,13の全体が位置する。更に加えて、一組の接続部P1,P4と一組の接続部P2,P3の離隔方向(離隔方向Dに直交する方向)における一組の接続部P1,P4から一組の接続部P2,P3までの間以内に、可動部10の電極部12,13の全体が位置する。
【0026】
マイクロ可動素子X1においては、電極部12,22間および電極部13,23間のそれぞれに駆動電圧を印加することにより、例えば図10に示す厚さ方向Hにおいて、可動部10を並進変位動作させることができる。当該電圧印加における電極部12,13に対する電位付与は、固定部20におけるフレーム21の第1層部21A上の電極パッド21A’、第1層部21A、連結部31〜34、および可動部10のアーム部11Bとランド部11Aを介して、実現することができる。電極部12,13には例えばグラウンド電位が付与される。電圧印加における電極部22に対する電位付与は、固定部20におけるフレーム21の第2層部21Bの部分21a上の電極パッド21a’および部分21aを介して実現することができる。電極部23に対する電位付与は、フレーム21の第2層部21Bの部分21b上の電極パッド21b’および部分21bを介して実現することができる。電極部22,23に対して付与する電位は、電極部ごとに個別に設定することができる。
【0027】
電極部12,22間および電極部13,23間に電圧が印加されていない場合、連結部31〜34を介して固定部20に繋がれている可動部10は、例えば図10に示すように自然状態位置にある。電極部12,22間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部12,22間に静電引力が生じる。電極部13,23間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部13,23間に静電引力が生じる。このようにして生じた静電引力が駆動力として電極部12,13に作用することにより、可動部10の電極部12,13は、それぞれ、固定部20の電極部22,23に引き込まれる。このとき、連結部31〜34の連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bには張力が作用し、各連結バーは弾性変形する。図16に示すように電極部12,13が電極部22,23に引き込まれることにより、可動部10は、厚さ方向Hにおいて並進変位することとなる。並進変位の方向は、電極部12,13の離隔方向Dに交差する。このときの並進変位量は、電極部12,13ないし可動部10に作用する駆動力の大きさに応じて異なる。可動部10の、自然状態位置からの並進変位量については、各組の電極部対間の印加駆動電圧を制御して発生駆動力を調整することにより、事後的に変更することが可能である。
【0028】
静電引力を消滅させると、連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bはその自然状態に復帰し、可動部10は例えば図10に示すような初期位置(自然状態位置)に戻る。
【0029】
ランド部11A上に設けられたミラー面11aに対して例えば垂直に光Lを照射して反射させる場合、以上のような可動部10についての駆動により、ミラー面11aにて反射される光Lの反射位置を変化させて、光Lの光路長を変化させることができる。
【0030】
マイクロ可動素子X1においては、上述のように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S11に、電極部22,23との間で静電引力を発生するための可動部10の電極部12,13の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X1では、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S11にて可動部10ないし電極部12,13に作用する。したがって、マイクロ可動素子X1は、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、可動部10について回転変位を抑制するのに適する。
【0031】
仮に、内域S11から外れた一方の外域に、電極部22,23との間で静電引力を発生させるための電極部12,13の一方の全体または一部が位置すると、駆動時には、駆動力たる静電引力の少なくとも一部が当該一外域にて可動部10に作用する。この場合、てこの原理に基づき、当該一外域にて可動部10に作用する静電引力に対してより近傍に位置する接続部P1または接続部P3が支点となって、当該外域静電引力の作用により、可動部10の回転変位が誘発される。また、仮に、内域S11から外れた両方の外域に、電極部22,23との間で静電引力を発生させるための電極部12,13の全体が位置すると、駆動時には、駆動力たる静電引力が当該両外域にて可動部10に作用する。具体的には、接続部P1が支点となって、電極部12,22間に生じる第1静電引力が一方の外域にて第1回転力として可動部10ないし電極部12に作用する。これとともに、接続部P3が支点となって、電極部13,23間に生じる第2静電引力が他方の外域にて第2回転力として可動部10ないし電極部13に作用する。電極部12,13を伴う可動部10や電極部22,23を伴う固定部20を、第1回転力と第2回転力とが同一となるべく設計したとしても、実際上は、製造誤差によって各部の寸法が設計寸法からずれるので、両回転力の大きさは一致しない。そのため、第1回転力(第1静電引力)および第2回転力(第2静電引力)のうち大きい方が、回転変位駆動力として可動部10に対して優勢に作用して、可動部10の回転変位が誘発されやすい。以上のように、仮に可動部10の電極部12,13の全体が内域S11に位置しないとすると、可動部10は回転変位しやすい。
【0032】
これに対し、可動部10の電極部12,13の全体が内域S11に位置するマイクロ可動素子X1では、駆動力たる静電引力は内域S11にて可動部10に作用するため、接続部P1または接続部P3を支点とするような可動部10の回転変位は抑制される。
【0033】
マイクロ可動素子X1においては、上述のように、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S12に、可動部10の電極部12,13の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X1では、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S12にて可動部10ないし電極部12,13に作用する。したがって、マイクロ可動素子X1は、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、可動部10について回転変位を抑制するのに適する。
【0034】
仮に、内域S12から外れた一方の外域に、電極部22,23との間で静電引力を発生させるための電極部12,13の一方の全体または一部が位置すると、駆動時には、駆動力たる静電引力の少なくとも一部が当該一外域にて可動部10に作用する。この場合、てこの原理に基づき、当該一外域にて可動部10に作用する静電引力に対してより近傍に位置する接続部P2または接続部P4が支点となって、当該外域静電引力の作用により、可動部10の回転変位が誘発される。また、仮に、内域S12から外れた両方の外域に、電極部22,23との間で静電引力を発生させるための電極部12,13の全体が位置すると、駆動時には、駆動力たる静電引力が当該両外域にて可動部10に作用する。具体的には、接続部P2が支点となって、電極部12,22間に生じる第1静電引力が一方の外域にて第1回転力として可動部10ないし電極部12に作用する。これとともに、接続部P4が支点となって、電極部13,23間に生じる第2静電引力が他方の外域にて第2回転力として可動部10ないし電極部13に作用する。電極部12,13を伴う可動部10や電極部22,23を伴う固定部20を、第1回転力と第2回転力とが同一となるべく設計したとしても、実際上は、製造誤差によって各部の寸法が設計寸法からずれるので、両回転力の大きさは一致しない。そのため、第1回転力(第1静電引力)および第2回転力(第2静電引力)のうち大きい方が、回転変位駆動力として可動部10に対して優勢に作用して、可動部10の回転変位が誘発されやすい。以上のように、仮に可動部10の電極部12,13の全体が内域S12に位置しないとすると、可動部10は回転変位しやすい。
【0035】
これに対し、可動部10の電極部12,13の全体が内域S12に位置するマイクロ可動素子X1では、駆動力たる静電引力は内域S12にて可動部10に作用するため、接続部P2または接続部P4を支点とするような可動部10の回転変位は抑制される。
【0036】
マイクロ可動素子X1においては、上述のように、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向Dにおける一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S13に、可動部10の電極部12,13の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X1では、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S13にて可動部10ないし電極部12,13に作用する。したがって、マイクロ可動素子X1は、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、可動部10について回転変位を抑制するのに適する。
【0037】
仮に、内域S13から外れた一方の外域に、電極部22,23との間で静電引力を発生させるための電極部12,13の一方の全体または一部が位置すると、駆動時には、駆動力たる静電引力の少なくとも一部が当該一外域にて可動部10に作用する。この場合、てこの原理に基づき、当該一外域にて可動部10に作用する静電引力に対してより近傍に位置する一組の接続部P1,P2または一組の接続部P3,P4が支点となって、当該外域静電引力の作用により、可動部10の回転変位が誘発される。また、仮に、内域S13から外れた両方の外域に、電極部22,23との間で静電引力を発生させるための電極部12,13の全体が位置すると、駆動時には、駆動力たる静電引力が当該両外域にて可動部10に作用する。具体的には、一組の接続部P1,P2が支点となって、電極部12,22間に生じる第1静電引力が一方の外域にて第1回転力として可動部10ないし電極部12に作用する。これとともに、一組の接続部P3,P4が支点となって、電極部13,23間に生じる第2静電引力が他方の外域にて第2回転力として可動部10ないし電極部13に作用する。電極部12,13を伴う可動部10や電極部22,23を伴う固定部20を、第1回転力と第2回転力とが同一となるべく設計したとしても、実際上は、製造誤差によって各部の寸法が設計寸法からずれるので、両回転力の大きさは一致しない。たとえ、第1静電引力と第2静電引力とが同一となるように可動部10および固定部20を対称的に設計しても、実際上は、製造誤差によって可動部10や固定部20に形状アンバランスが生じてしまうので、両静電引力の大きさは一致しないのである。そのため、第1回転力(第1静電引力)および第2回転力(第2静電引力)のうち大きい方が、回転変位駆動力として可動部10に対して優勢に作用して、可動部10の回転変位が誘発されやすい。以上のように、仮に可動部10の電極部12,13の全体が内域S13に位置しないとすると、可動部10は回転変位しやすい。
【0038】
これに対し、電極部12,13の全体が内域S13に位置するマイクロ可動素子X1では、駆動力たる静電引力は内域S13にて可動部10に作用するため、一組の接続部P1,P2又は一組の接続部P3,P4を支点とするような可動部10の回転変位は抑制される。
【0039】
マイクロ可動素子X1においては、電極部12,13との間で静電引力を発生させるための電極部22,23は、上述のように電気的に分離されている。そのため、電極部22,23に対しては、異なる電位を付与することが可能である。したがって、電極部12,22間への印加電圧と電極部13,23間への印加電圧とを個別に調節して、電極部12,22間に生じる静電引力と電極部13,23間に生じる静電引力とを個別に調整することが可能である。このようなマイクロ可動素子X1では、電極部12,22間に生じる静電引力と電極部13,23間に生じる静電引力とを調整して可動部10の姿勢を制御することが可能である。
【0040】
また、上述のように可動部10の回転変位が抑制されるマイクロ可動素子X1では、たとえ一組の接続部P1,P2や一組の接続部P3,P4を支点とするような回転変位が可動部10に生じたとしても、その回転変位量は相当程度に小さい。このような回転変位をなくするように可動部10の姿勢を制御するうえでは、電極部12,22間に印加すべき電圧と電極部13,23間に印加すべき電圧とを大きく異ならしめる必要はない。したがって、マイクロ可動素子X1は、駆動電圧の低減を図りつつ、可動部10について姿勢制御可能に設計しやすい。
【0041】
マイクロ可動素子X1においては、連結部31〜34は、それぞれ、可動部10のランド部11Aから延出するアーム部11Bに接続している。このような構成は、ランド部11Aから延出する電極部12,13について、内域S11、内域S12、または内域S13に位置させるうえで好適である。
【0042】
マイクロ可動素子X1においては、連結部31〜34における連結バー31a,32a,33a,34aは、上述のように、電極部12,13の離隔方向Dに直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向Dに直交する方向における可動部10の変位を抑制するのに資する。加えて、マイクロ可動素子X1においては、連結部31〜34における連結バー31b,32b,33b,34bは、上述のように、電極部12,13の離隔方向Dに延びる。このような構成は、離隔方向Dにおける可動部10の変位を抑制するのに資する。
【0043】
マイクロ可動素子X1においては、電極部12,13,22,23は、それぞれ、上述のように櫛歯電極構造を有する。このような構成は、電極部12,22間に生じる静電引力および電極部13,23間に生じる静電引力、ひいては可動部10を変位させるための駆動力について、高精度に制御するうえで好適である。
【0044】
マイクロ可動素子X1においては、連結部31〜34ないし連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bは、可動部10や、固定部20のフレーム21の第1層部21Aよりも、薄肉である。連結部31〜34が薄肉であるほど、より小さな駆動力によって可動部10を変位させることが可能である。したがって、連結部31〜34が可動部10や第1層部21Aよりも薄肉であるという構成は、マイクロ可動素子X1の駆動電圧を低減するうえで好適である。
【0045】
図17および図18は、マイクロ可動素子X1の製造方法の一例を表す。この方法は、バルクマイクロマシニング技術によりマイクロ可動素子X1を製造するための一手法である。図17および図18においては、図18(d)に示すランド部LD、アーム部AR、フレームF1,F2、連結部C1,C2、および一組の電極部E1,E2の形成過程を、一の断面の変化として表す。当該一の断面は、加工が施される材料基板(多層構造を有するウエハ)における単一のマイクロ可動素子形成区画に含まれる複数の所定箇所の断面を、モデル化して連続断面として表したものである。ランド部LDは、ランド部11Aの一部に相当する。アーム部ARは、アーム部11Bの一部に相当する。フレームF1,F2は、それぞれ、フレーム21に相当し、フレーム21の横断面を表す。連結部C1は、連結部31〜34の一部に相当し、連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bの延び方向の断面を表す。連結部C2は、連結部31〜34の一部に相当し、連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bの横断面を表す。電極部E1は、電極部12,13の一部に相当し、電極歯12,13の部分横断面を表す。電極部E2は、電極部22,23の一部に相当し、電極歯22,23の部分横断面を表す。
【0046】
マイクロ可動素子X1の製造においては、まず、図17(a)に示すような材料基板100を用意する。材料基板100は、シリコン層101,102と、当該シリコン層101,102間の絶縁層103とからなる積層構造を有するSOIウエハである。シリコン層101,102は、不純物をドープすることにより導電性を付与されたシリコン材料よりなる。不純物としては、Bなどのp型不純物や、PおよびSbなどのn型不純物を採用することができる。絶縁層103は例えば酸化シリコンよりなる。シリコン層101の厚さは例えば10〜100μmであり、シリコン層102の厚さは例えば50〜500μmであり、絶縁層103の厚さは例えば0.3〜3μmである。
【0047】
次に、図17(b)に示すように、シリコン層101上にミラー面11aおよび電極パッド21A’を形成し、また、シリコン層102上に電極パッド21a’および図外の電極パッド21b’を形成する。ミラー面11aおよび電極パッド21A’の形成においては、まず、スパッタリング法により、シリコン層101に対して例えばCr(50nm)およびこれに続いてAu(200nm)を成膜する。次に、所定のマスクを介してこれら金属膜に対してエッチング処理を順次行うことにより、ミラー面11aおよび電極パッド21A’をパターン形成する。Auに対するエッチング液としては、例えば、ヨウ化カリウム−ヨウ素水溶液を使用することができる。Crに対するエッチング液としては、例えば硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を使用することができる。電極パッド21a’,21b’については、例えば、電極パッド21A’をシリコン層101上に形成したのと同様にして、シリコン層102上に形成することができる。
【0048】
次に、図17(c)に示すように、シリコン層101上に酸化膜パターン110およびレジストパターン111を形成し、シリコン層102上に酸化膜パターン112を形成する。酸化膜パターン110は、シリコン層101において成形されるべき可動部10(ランド部11A、アーム部11B、および電極部12,13を含む)および固定部20の一部(フレーム21の一部)に対応する図19に示すパターン形状を有する。レジストパターン111は、連結部31〜34に対応するパターン形状を有する。また、酸化膜パターン112は、シリコン層102において成形されるべき固定部20の一部(フレーム21の一部および電極部22,23を含む)に対応する図20に示すパターン形状を有する。
【0049】
次に、図17(d)に示すように、酸化膜パターン110およびレジストパターン111をマスクとして利用して、DRIE(deep reactive ion etching)により、シリコン層101に対して所定の深さまでエッチング処理を行う。所定の深さとは、連結部C1,C2の厚さに相当する深さであり、例えば5μmである。DRIEでは、SF6ガスを用いて行うエッチングとC4F8ガスを用いて行う側壁保護とを交互に繰り返すBoschプロセスにおいて、良好な異方性エッチング加工を行うことができる。後出のDRIEについても、このようなBoschプロセスを採用することができる。
【0050】
次に、図18(a)に示すようにレジストパターン111を除去する。例えば、剥離液を作用させることにより、レジストパターン111を剥離することができる。
【0051】
次に、図18(b)に示すように、酸化膜パターン110をマスクとして、DRIEにより、連結部C1,C2を残存形成しつつシリコン層101に対して絶縁層103に至るまでエッチング処理を行う。本エッチング処理により、可動部10(ランド部LD、アーム部AR、電極部E1)、固定部20の一部(フレームF1,F2の一部)、および連結部31〜34(連結部C1,C2)が、成形される。
【0052】
次に、図18(c)に示すように、酸化膜パターン112をマスクとして、DRIEによりシリコン層102に対して絶縁層103に至るまでエッチング処理を行う。本エッチング処理により、固定部20の一部(フレームF1,F2の一部、電極部E2)が、成形される。
【0053】
次に、図18(d)に示すように、絶縁層103において露出している箇所、および酸化膜パターン110,112を、エッチング除去する。エッチング手法としては、ドライエッチングまたはウエットエッチングを採用することができる。ドライエッチングを採用する場合、エッチングガスとしては、例えば、CF4やCHF3などを採用することができる。ウエットエッチングを採用する場合、エッチング液としては、例えば、フッ酸とフッ化アンモニウムからなるバッファードフッ酸(BHF)を使用することができる。
【0054】
以上の一連の工程を経ることにより、ランド部LD、アーム部AR、フレームF1,F2、連結部C1,C2、および電極部E1,E2を成形するなどしてマイクロ可動素子X1を製造することができる。後出の実施形態および変形例に係るマイクロ可動素子についても、マイクロ可動素子X1の製造に関して上述したのと同様の手法を利用して、製造することができる。
【0055】
図21は、マイクロ可動素子X1の第1変形例の平面図である。マイクロ可動素子X1は、図21に示すような連結部31〜34を備えてもよい。本変形例における連結部31は、接続部P1,P3の離隔方向D’に直交する方向に延びる連結バー31a,31bからなる。本変形例における連結部32は、接続部P2,P4の離隔方向D”に直交する方向に延びる連結バー32a,32bからなる。本変形例における連結部33は、離隔方向D’に直交する方向に延びる連結バー33a,33bからなる。本変形例における連結部34は、離隔方向D”に直交する方向に延びる連結バー34a,34bからなる。このようなマイクロ可動素子X1の第1変形例において、連結バー31a,31b,33a,33bは、離隔方向D’に直交する方向おける可動部10の変位を抑制するのに資する。また、本変形例において、連結バー32a,32b,34a,34bは、離隔方向D”に直交する方向おける可動部10の変位を抑制するのに資する。
【0056】
図22は、マイクロ可動素子X1の第2変形例の平面図である。マイクロ可動素子X1は、図22に示すような連結部31〜34を備えてもよい。本変形例における連結部31は、接続部P1,P3の離隔方向D’に延びる連結バー31aからなる。本変形例における連結部32は、接続部P2,P4の離隔方向D”に延びる連結バー32aからなる。本変形例における連結部33は、離隔方向D’に延びる連結バー33aからなる。本変形例における連結部34は、離隔方向D”に延びる連結バー34aからなる。このようなマイクロ可動素子X1の第2変形例において、連結バー31a,33aは、離隔方向D’における可動部10の変位を抑制するのに資し、連結バー32a,34aは、離隔方向D”における可動部10の変位を抑制するのに資する。また、四本の連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている本変形例は、より多くの連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている場合よりも、可動部10を並進変位動作させるための駆動電圧を低減するうえで好適である。
【0057】
図23は、マイクロ可動素子X1の第3変形例の平面図である。マイクロ可動素子X1は、図23に示すような連結部31〜34を備えてもよい。本変形例における連結部31は、電極部12,13の離隔方向Dに直交する方向に延びる連結バー31aからなる。本変形例における連結部32は、離隔方向Dに延びる連結バー32aからなる。本変形例における連結部33は、離隔方向Dに直交する方向に延びる連結バー33aからなる。本変形例における連結部34は、離隔方向Dに延びる連結バー34aからなる。このようなマイクロ可動素子X1の第3変形例において、連結バー31a,33aは、離隔方向Dに直交する方向おける可動部10の変位を抑制するのに資し、連結バー32a,34aは、離隔方向Dにおける可動部10の変位を抑制するのに資する。また、四本の連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている本変形例は、より多くの連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている場合よりも、可動部10を並進変位動作させるための駆動電圧を低減するうえで好適である。
【0058】
図24から図31は、本発明の第2の実施形態に係るマイクロ可動素子X2を表す。図24は、マイクロ可動素子X2の平面図である。図25は、マイクロ可動素子X2の他の平面図である。図26から図31は、それぞれ、図24の線XXVI−XXVI、線XXVII−XXVII、線XXVIII−XXVIII、線XXIX−XXIX、線XXX−XXX、および線XXXI−XXXIに沿った断面図である。
【0059】
マイクロ可動素子X2は、可動部10と、固定部20と、連結部31,32,33,34とを備えるマイクロミラー素子である。また、マイクロ可動素子X2は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X2における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図24は第1シリコン層側の平面図であり、図25は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図24においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図25においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0060】
可動部10は、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11Aと、四本のアーム部11Bと、電極部12,13,14,15とを有する。ランド部11Aの表面には、光反射機能を有するミラー面11aが設けられている。各アーム部11Bは、矩形状のランド部11Aの角部から延出する。電極部12〜15は、それぞれ、ランド部11Aの一側縁部から延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。これら電極部12〜15は、ランド部11Aを介して電気的に接続されている。また、電極部12,13の離隔方向D1と電極部14,15の離隔方向D2とは直交する。
【0061】
固定部20は、フレーム21および電極部22,23,24,25を有する。フレーム21は、図24および図25に示すように、可動部10を囲む形状を有する。また、フレーム21は、図26から図31に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部21Aと、第2シリコン層に由来する第2層部21Bと、これらの間の絶縁層21Cとからなる積層構造を有する。第2層部21Bは、部分21a,21b,21c,21dを含む。第1層部21Aおよび第2層部21Bは電気的に分離されており、且つ、部分21a〜21dは電気的に分離されている。図24に示すように、第1層部21A上には電極パッド21A’が設けられている。図25に示すように、第2層部21Bの部分21a〜21d上には電極パッド21a’,21b’,21c’,21d’が設けられている。
【0062】
電極部22〜25は、第2シリコン層に由来する部位である。電極部22は、フレーム21の第2層部21Bの部分21aから可動部10側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部22は、上述の電極部12と協働して静電引力を発生させるための部位であり、電極部12に対向するように配されている。電極部23は、第2層部21Bの部分21bから可動部10側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部23は、上述の電極部13と協働して静電引力を発生させるための部位であり、電極部13に対向するように配されている。電極部24は、第2層部21Bの部分21cから可動部10側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部24は、上述の電極部14と協働して静電引力を発生させるための部位であり、電極部14に対向するように配されている。電極部25は、第2層部21Bの部分21dから可動部10側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部25は、上述の電極部15と協働して静電引力を発生させるための部位であり、電極部15に対向するように配されている。これら電極部22〜25は、電気的に分離されている。
【0063】
連結部31〜34は、第1シリコン層に由来する部位であり、図24に示すように、可動部10および固定部20を連結する。連結部31は、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バー31aと、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バー31bとからなる。連結部31ないし連結バー31a,31bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部31と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P1とする。また、図28および図29に示すように、連結部31(連結バー31a,31b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0064】
連結部32は、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バー32aと、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バー32bとからなる。連結部32ないし連結バー32a,32bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部32と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P2とする。また、図28および図30に示すように、連結部32(連結バー32a,32b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0065】
連結部33は、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バー33aと、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バー33bとからなる。連結部33ないし連結バー33a,33bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部33と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P3とする。また、図30および図31に示すように、連結部33(連結バー33a,33b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0066】
連結部34は、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バー34aと、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バー34bとからなる。連結部34ないし連結バー34a,34bは、可動部10における一のアーム部11Bに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部34と可動部10ないしアーム部11Bとが接続する箇所を接続部P4とする。また、図29および図31に示すように、連結部34(連結バー34a,34b)は、可動部10やフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉である。
【0067】
マイクロ可動素子X2においては、図32に示すように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S21に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。また、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S22に、可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。加えて、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向D1における一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S23に、可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。更に加えて、一組の接続部P1,P4と一組の接続部P2,P3の離隔方向D2における一組の接続部P1,P4から一組の接続部P2,P4までの間以内たる内域S24に、可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。
【0068】
マイクロ可動素子X2では、電極部12,22間、電極部13,23間、電極部14,24間、および電極部15,25間のそれぞれに、駆動電圧を印加することにより、例えば図26に示す厚さ方向Hにおいて、可動部10を並進変位動作させることができる。当該電圧印加における電極部12〜15に対する電位付与は、固定部20におけるフレーム21の第1層部21A上の電極パッド21A’、第1層部21A、連結部31〜34、および可動部10のアーム部11Bとランド部11Aを介して、実現することができる。電極部12〜15には例えばグラウンド電位が付与される。電圧印加における電極部22に対する電位付与は、固定部20におけるフレーム21の第2層部21Bの部分21a上の電極パッド21a’および部分21aを介して実現することができる。電極部23に対する電位付与は、フレーム21の第2層部21Bの部分21b上の電極パッド21b’および部分21bを介して実現することができる。電極部24に対する電位付与は、フレーム21の第2層部21Bの部分21c上の電極パッド21c’および部分21cを介して実現することができる。電極部25に対する電位付与は、フレーム21の第2層部21Bの部分21d上の電極パッド21d’および部分21dを介して実現することができる。電極部22〜25に対して付与する電位は、電極部ごとに個別に設定することができる。
【0069】
電極部12,22間、電極部13,23間、電極部14,24間、および電極部15,25間に電圧が印加されていない場合、連結部31〜34を介して固定部20に繋がれている可動部10は、例えば図26に示すように自然状態位置にある。電極部12,22間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部12,22間に静電引力が生じる。電極部13,23間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部13,23間に静電引力が生じる。電極部14,24間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部14,24間に静電引力が生じる。電極部15,25間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部15,25間に静電引力が生じる。このようにして生じた静電引力が駆動力として電極部12〜15に作用することにより、可動部10の電極部12〜15は、それぞれ、固定部20の電極部22〜25に引き込まれる。このとき、連結部31〜34の連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bには張力が作用し、当該各連結バーは弾性変形する。図33(a)に示すように電極部12,13が電極部22,23に引き込まれるとともに、図33(b)に示すように電極部14,15が電極部24,25に引き込まれることにより、可動部10は、厚さ方向Hにおいて並進変位することとなる。並進変位の方向は、電極部12,13の離隔方向D1に交差し、且つ、電極部14,15の離隔方向D2に交差する。このときの並進変位量は、電極部12〜15ないし可動部10に作用する駆動力の大きさに応じて異なる。可動部10の、自然状態位置からの並進変位量については、各組の電極部対間の印加駆動電圧を制御して発生駆動力を調整することにより、事後的に変更することが可能である。
【0070】
静電引力を消滅させると、連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bはその自然状態に復帰し、可動部10は例えば図26に示すような初期位置(自然状態位置)に戻る。
【0071】
ランド部11A上に設けられたミラー面11aに対して例えば垂直に光Lを照射して反射させる場合、以上のような可動部10についての駆動により、ミラー面11aにて反射される光Lの反射位置を変化させて、光Lの光路長を変化させることができる。
【0072】
マイクロ可動素子X2においては、上述のように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S21に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X2では、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S21にて可動部10ないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X2は、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、接続部P1または接続部P3を支点とするような可動部10の回転変位を抑制するのに適する。
【0073】
マイクロ可動素子X2においては、上述のように、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S22に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X2では、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S22にて可動部10ないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X2は、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、接続部P2または接続部P4を支点とするような可動部10の回転変位を抑制するのに適する。
【0074】
マイクロ可動素子X2においては、上述のように、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向D1における一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S23に、可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X2では、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S23にて可動部10ないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X2は、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、一組の接続部P1,P2または一組の接続部P3,P4を支点とするような可動部10の回転変位を抑制するのに適する。
【0075】
マイクロ可動素子X2においては、上述のように、一組の接続部P1,P4と一組の接続部P2,P3の離隔方向D2における一組の接続部P1,P4から一組の接続部P2,P4までの間以内たる内域S24に、可動部10の電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X2では、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S24にて可動部10ないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X2は、自然状態位置から可動部10を並進変位させる際や、可動部10の並進変位量を変更する際、一組の接続部P1,P4または一組の接続部P2,P3を支点とするような可動部10の回転変位を抑制するのに適する。
【0076】
マイクロ可動素子X2においては、電極部12〜15との間で静電引力を発生させるための電極部22〜25(固定電極部)は、上述のように電気的に分離されている。そのため、電極部22〜25に対しては、異なる電位を付与することが可能である。したがって、電極部12,22間への印加電圧と、電極部13,23間への印加電圧と、電極部14,24間への印加電圧と、電極部15,25間への印加電圧とを個別に調節することが可能である。これにより、電極部12,22間に生じる静電引力と、電極部13,23間に生じる静電引力と、電極部14,24間に生じる静電引力と、電極部15,25間に生じる静電引力とを個別に調整することが可能である。このようなマイクロ可動素子X2では、電極部12,22間に生じる静電引力と、電極部13,23間に生じる静電引力と、電極部14,24間に生じる静電引力と、電極部15,25間に生じる静電引力とを調整して可動部10の姿勢を制御することが可能である。
【0077】
また、上述のように可動部10の回転変位が抑制されるマイクロ可動素子X2では、たとえ一組の接続部P1,P2や一組の接続部P3,P4を支点とするような回転変位が可動部10に生じたとしても、その回転変位量は相当程度に小さい。このような回転変位をなくするように可動部10の姿勢を制御するうえでは、電極部12,22間に印加すべき電圧と電極部13,23間に印加すべき電圧とを大きく異ならしめる必要はない。また、マイクロ可動素子X2では、たとえ一組の接続部P1,P4や一組の接続部P2,P3を支点とするような回転変位が可動部10に生じたとしても、その回転変位量は相当程度に小さい。このような回転変位をなくするように可動部10の姿勢を制御するうえでは、電極部14,24間に印加すべき電圧と電極部15,25間に印加すべき電圧とを大きく異ならしめる必要はない。したがって、マイクロ可動素子X2は、駆動電圧の低減を図りつつ、可動部10について姿勢制御可能に設計しやすい。
【0078】
電極部22〜25ないし複数の固定電極部が電気的に分離されていることに基づいて得られる以上の技術的利点は、後出の実施形態に係るマイクロ可動素子おいても得られる。
【0079】
マイクロ可動素子X2においては、連結部31〜34は、それぞれ、可動部10のランド部11Aから延出するアーム部11Bに接続している。このような構成は、ランド部11Aから延出する電極部12〜15について、内域S21、内域S22、内域S23、または内域S24に位置させるうえで好適である。
【0080】
マイクロ可動素子X2においては、連結部31〜34における連結バー31a,32a,33a,34aは、上述のように、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D1に直交する方向における可動部10の変位を抑制するのに資する。加えて、マイクロ可動素子X2においては、連結部31〜34における連結バー31b,32b,33b,34bは、上述のように、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D2に直交する方向における可動部10の変位を抑制するのに資する。
【0081】
マイクロ可動素子X2においては、電極部12〜15,22〜25は、それぞれ、上述のように櫛歯電極構造を有する。このような構成は、電極部12,22間、電極部13,23間、電極部14,24間、および電極部15,25間のそれぞれに生じる静電引力、ひいては可動部10を変位させるための駆動力について、高精度に制御するうえで好適である。駆動力を発生させるための電極部が櫛歯電極構造をとることに基づいて得られるこのような技術的利点は、後出の実施形態に係るマイクロ可動素子おいても得られる。
【0082】
マイクロ可動素子X2においては、連結部31〜34ないし連結バー31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bは、可動部10や、固定部20のフレーム21の第1層部21Aよりも、薄肉である。連結部31〜34が薄肉であるほど、より小さな駆動力によって可動部10を変位させることが可能である。したがって、連結部31〜34が可動部10や第1層部21Aよりも薄肉であるという構成は、マイクロ可動素子X2の駆動電圧を低減するうえで好適である。可動部と固定部とを連結する連結部が薄肉であることに基づいて得られるこのような技術的利点は、後出の実施形態に係るマイクロ可動素子おいても得られる。
【0083】
図34は、マイクロ可動素子X2の第1変形例の平面図である。マイクロ可動素子X2は、図34に示すような連結部31〜34を備えてもよい。本変形例における連結部31は、接続部P1,P3の離隔方向D’に直交する方向に延びる連結バー31a,31bからなる。本変形例における連結部32は、接続部P2,P4の離隔方向D”に直交する方向に延びる連結バー32a,32bからなる。本変形例における連結部33は、離隔方向D’に直交する方向に延びる連結バー33a,33bからなる。本変形例における連結部34は、離隔方向D”に直交する方向に延びる連結バー34a,34bからなる。このようなマイクロ可動素子X2の第1変形例において、連結バー31a,31b,33a,33bは、離隔方向D’に直交する方向おける可動部10の変位を抑制するのに資する。また、本変形例において、連結バー32a,32b,34a,34bは、離隔方向D”に直交する方向おける可動部10の変位を抑制するのに資する。
【0084】
図35は、マイクロ可動素子X2の第2変形例の平面図である。マイクロ可動素子X2は、図35に示すような連結部31〜34を備えてもよい。本変形例における連結部31は、接続部P1,P3の離隔方向D’に延びる連結バー31aからなる。本変形例における連結部32は、接続部P2,P4の離隔方向D”に延びる連結バー32aからなる。本変形例における連結部33は、離隔方向D’に延びる連結バー33aからなる。本変形例における連結部34は、離隔方向D”に延びる連結バー34aからなる。このようなマイクロ可動素子X2の第2変形例において、連結バー31a,33aは、離隔方向D’における可動部10の変位を抑制するのに資し、連結バー32a,34aは、離隔方向D”における可動部10の変位を抑制するのに資する。また、四本の連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている本変形例は、より多くの連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている場合よりも、可動部10を並進変位動作させるための駆動電圧を低減するうえで好適である。
【0085】
図36は、マイクロ可動素子X2の第3変形例の平面図である。マイクロ可動素子X2は、図36に示すような連結部31〜34を備えてもよい。本変形例における連結部31は、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バー31aからなる。本変形例における連結部32は、離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バー32aからなる。本変形例における連結部33は、離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バー33aからなる。本変形例における連結部34は、離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バー34aからなる。このようなマイクロ可動素子X2の第3変形例において、連結バー31a,33aは、離隔方向D1に直交する方向おける可動部10の変位を抑制するのに資し、連結バー32a,34aは、離隔方向D2に直交する方向における可動部10の変位を抑制するのに資する。また、四本の連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている本変形例は、より多くの連結バーによって可動部10および固定部20が連結されている場合よりも、可動部10を並進変位動作させるための駆動電圧を低減するうえで好適である。
【0086】
図37から図39は、本発明の第3の実施形態に係るマイクロ可動素子X3を表す。図37は、マイクロ可動素子X3の平面図である。図38は、マイクロ可動素子X3の他の平面図である。図39は、図37の線XXXIX−XXXIXに沿った断面図である。
【0087】
マイクロ可動素子X3は、可動部10Aと、固定部20と、連結部31A,32A,33A,34Aとを備えるマイクロミラー素子である。マイクロ可動素子X3は、可動部10に代えて可動部10Aを備え、且つ、連結部31,32,33,34に代えて連結部31A,32A,33A,34Aを備える点において、上述のマイクロ可動素子X2と異なる。また、マイクロ可動素子X3は、マイクロ可動素子X2と同様に、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X3における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図37は第1シリコン層側の平面図であり、図38は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図37においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図38においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0088】
可動部10Aは、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11Aと、四本のアーム部11Cと、電極部12,13,14,15とを有する。可動部10Aは、アーム部11Bに代えてアーム部11Cを備える点において、上述のマイクロ可動素子X2の可動部10と異なる。各アーム部11Cは、屈曲構造を有する。具体的には、一のアーム部11Cは、ランド部11Aの側縁部T1における側縁部T4側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。別の一のアーム部11Cは、ランド部11Aの側縁部T2における側縁部T1側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。別の一のアーム部11Cは、ランド部11Aの側縁部T3における側縁部T2側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。別の一のアーム部11Cは、ランド部11Aの側縁部T4における側縁部T3側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。可動部10Aについての他の構成は、マイクロ可動素子X2の可動部10について上述したのと同様である。
【0089】
マイクロ可動素子X3の固定部20は、マイクロ可動素子X2の固定部20と同様に、フレーム21および電極部22,23,24,25を有する。マイクロ可動素子X3におけるフレーム21および電極部22,23,24,25の具体的構成は、マイクロ可動素子X2におけるフレーム21および電極部22,23,24,25に関して上述したとおりである。
【0090】
連結部31A〜34Aは、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部10Aおよび固定部20を連結する。連結部31Aは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Aにおける一のアーム部11Cに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部31Aと可動部10Aないしアーム部11Cとが接続する箇所を接続部P1とする。また、連結部31Aは、マイクロ可動素子X2における連結部31(連結バー31a,31b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Aよりも薄肉である。
【0091】
連結部32Aは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Aにおける一のアーム部11Cに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部32Aと可動部10Aないしアーム部11Cとが接続する箇所を接続部P2とする。また、連結部32Aは、マイクロ可動素子X2における連結部32(連結バー32a,32b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Aよりも薄肉である。
【0092】
連結部33Aは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Aにおける一のアーム部11Cに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部33Aと可動部10Aないしアーム部11Cとが接続する箇所を接続部P3とする。また、連結部33Aは、マイクロ可動素子X2における連結部33(連結バー33a,33b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Aよりも薄肉である。
【0093】
連結部34Aは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Aにおける一のアーム部11Cに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部34Aと可動部10Aないしアーム部11Cとが接続する箇所を接続部P4とする。また、連結部34Aは、マイクロ可動素子X2における連結部34(連結バー34a,34b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Aよりも薄肉である。
【0094】
マイクロ可動素子X3においては、図40に示すように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S31に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。また、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S32に、可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。加えて、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向D1における一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S33に、可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。更に加えて、一組の接続部P1,P4と一組の接続部P2,P3の離隔方向D2における一組の接続部P1,P4から一組の接続部P2,P4までの間以内たる内域S34に、可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。
【0095】
マイクロ可動素子X3では、電極部12,22間、電極部13,23間、電極部14,24間、および電極部15,25間のそれぞれに、駆動電圧を印加することにより、図39に示す厚さ方向Hにおいて可動部10Aを並進変位動作させることができる。可動部10Aを並進変位動作させるための手法は、マイクロ可動素子X2の可動部10を並進変位動作させるための手法として上述したのと同様である。可動部10Aにおけるランド部11A上のミラー面11aに対して例えば垂直に光を照射して反射させる場合、可動部10Aを並進変位動作させることにより、ミラー面11aにて反射される光の反射位置を変化させて、光の光路長を変化させることができる。
【0096】
マイクロ可動素子X3においては、上述のように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S31に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X3では、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S31にて可動部10Aないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X3は、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、接続部P1または接続部P3を支点とするような可動部10Aの回転変位を抑制するのに適する。
【0097】
マイクロ可動素子X3においては、上述のように、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S32に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X3では、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S32にて可動部10Aないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X3は、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、接続部P2または接続部P4を支点とするような可動部10Aの回転変位を抑制するのに適する。
【0098】
マイクロ可動素子X3においては、上述のように、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向D1における一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S33に、可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X3では、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S33にて可動部10Aないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X3は、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、一組の接続部P1,P2または一組の接続部P3,P4を支点とするような可動部10Aの回転変位を抑制するのに適する。
【0099】
マイクロ可動素子X3においては、上述のように、一組の接続部P1,P4と一組の接続部P2,P3の離隔方向D2における一組の接続部P1,P4から一組の接続部P2,P4までの間以内たる内域S34に、可動部10Aの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X3では、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S34にて可動部10Aないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X3は、自然状態位置から可動部10Aを並進変位させる際や、可動部10Aの並進変位量を変更する際、一組の接続部P1,P4または一組の接続部P2,P3を支点とするような可動部10Aの回転変位を抑制するのに適する。
【0100】
マイクロ可動素子X3においては、連結部31A〜34Aは、それぞれ、可動部10Aのランド部11Aから延出するアーム部11Cに接続している。このような構成は、ランド部11Aから延出する電極部12〜15について、内域S31、内域S32、内域S33、または内域S34に位置させるうえで好適である。
【0101】
マイクロ可動素子X3においては、連結部31A,33Aは、上述のように、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D1に直交する方向における可動部10Aの変位を抑制するのに資する。加えて、マイクロ可動素子X3においては、連結部32A,34Aは、上述のように、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D2に直交する方向における可動部10Aの変位を抑制するのに資する。
【0102】
マイクロ可動素子X3における各アーム部11Cは、ランド部11Aの一側縁部からのみ延出し、且つ、マイクロ可動素子X2におけるアーム部11Bよりも細い。そのため、マイクロ可動素子X3においては、マイクロ可動素子X2におけるよりも、ランド部11Aから延出する電極部12〜15の配設スペースを確保しやすく、従って、電極部12〜15のそれぞれの電極歯について多数化しやすい。電極部12〜15の電極歯の多数化は、電極部22〜25の電極歯の多数化と相まって、マイクロ可動素子X3の駆動電圧を低減するのに資する。
【0103】
図41から図43は、本発明の第4の実施形態に係るマイクロ可動素子X4を表す。図41は、マイクロ可動素子X4の平面図である。図42は、マイクロ可動素子X4の他の平面図である。図43は、図41の線XLIII−XLIIIに沿った断面図である。
【0104】
マイクロ可動素子X4は、可動部10Bと、固定部20と、連結部31B,32B,33B,34Bとを備えるマイクロミラー素子である。マイクロ可動素子X4は、可動部10に代えて可動部10Bを備え、且つ、連結部31,32,33,34に代えて連結部31B,32B,33B,34Bを備える点において、上述のマイクロ可動素子X2と異なる。また、マイクロ可動素子X4は、マイクロ可動素子X2と同様に、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X4における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図41は第1シリコン層側の平面図であり、図42は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図41においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図42においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0105】
可動部10Bは、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11Aと、四本のアーム部11Dと、電極部12,13,14,15とを有する。可動部10Bは、アーム部11Bに代えてアーム部11Dを備える点において、上述のマイクロ可動素子X2の可動部10と異なる。図41および図42に示すように、一のアーム部11Dは、ランド部11Aの側縁部T1における側縁部T4側の端部から、側縁部T4の延び方向に延出する。別の一のアーム部11Dは、ランド部11Aの側縁部T2における側縁部T1側の端部から、側縁部T1の延び方向に延出する。別の一のアーム部11Dは、ランド部11Aの側縁部T3における側縁部T2側の端部から、側縁部T2の延び方向に延出する。別の一のアーム部11Dは、ランド部11Aの側縁部T4における側縁部T3側の端部から、側縁部T3の延び方向に延出する。本実施形態における電極部12〜15は、それぞれ、ランド部11Aの一側縁部から延出する複数の電極歯およびアーム部11Dから延出する複数の電極歯を含む一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。これら電極部12〜15は、ランド部11Aおよびアーム部11Dを介して電気的に接続されている。また、電極部12,13の離隔方向D1と電極部14,15の離隔方向D2とは直交する。可動部10Bについての他の構成は、マイクロ可動素子X2の可動部10について上述したのと同様である。
【0106】
マイクロ可動素子X4の固定部20は、マイクロ可動素子X2の固定部20と同様に、フレーム21および電極部22,23,24,25を有する。マイクロ可動素子X4におけるフレーム21は、上述のマイクロ可動素子X2におけるフレーム21と、第1層部21Aのパターン形状が部分的に異なる。マイクロ可動素子X4におけるフレーム21の他の具体的構成および電極部22,23,24,25の具体的構成は、マイクロ可動素子X2におけるフレーム21および電極部22,23,24,25に関して上述したのと同様である。
【0107】
連結部31B〜34Bは、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部10Bおよび固定部20を連結する。連結部31Bは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Bにおける一のアーム部11Dに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部31Bと可動部10Bないしアーム部11Dとが接続する箇所を接続部P1とする。また、連結部31Bは、マイクロ可動素子X2における連結部31(連結バー31a,31b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Bよりも薄肉である。
【0108】
連結部32Bは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Bにおける一のアーム部11Dに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部32Bと可動部10Bないしアーム部11Dとが接続する箇所を接続部P2とする。また、連結部32Bは、マイクロ可動素子X2における連結部32(連結バー32a,32b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Bよりも薄肉である。
【0109】
連結部33Bは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Bにおける一のアーム部11Dに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部33Bと可動部10Bないしアーム部11Dとが接続する箇所を接続部P3とする。また、連結部33Bは、マイクロ可動素子X2における連結部33(連結バー33a,33b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Bよりも薄肉である。
【0110】
連結部34Bは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Bにおける一のアーム部11Dに接続し、且つ、固定部20におけるフレーム21の第1層部21Aに接続している。連結部34Bと可動部10Bないしアーム部11Dとが接続する箇所を接続部P4とする。また、連結部34Bは、マイクロ可動素子X2における連結部34(連結バー34a,34b)と同様にフレーム21の第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Bよりも薄肉である。
【0111】
マイクロ可動素子X4においては、図44に示すように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S41に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Bの電極部12〜15の全体が位置する。また、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S42に、可動部10Bの電極部12〜15の全体が位置する。
【0112】
マイクロ可動素子X4では、電極部12,22間、電極部13,23間、電極部14,24間、および電極部15,25間のそれぞれに、駆動電圧を印加することにより、図43に示す厚さ方向Hにおいて可動部10Bを並進変位動作させることができる。可動部10Bを並進変位動作させるための手法は、マイクロ可動素子X2の可動部10を並進変位動作させるための手法として上述したのと同様である。可動部10Bにおけるランド部11A上のミラー面11aに対して例えば垂直に光を照射して反射させる場合、可動部10Bを並進変位動作させることにより、ミラー面11aにて反射される光の反射位置を変化させて、光の光路長を変化させることができる。
【0113】
マイクロ可動素子X4においては、上述のように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S41に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Bの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X4では、自然状態位置から可動部10Bを並進変位させる際や、可動部10Bの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S41にて可動部10Bないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X4は、自然状態位置から可動部10Bを並進変位させる際や、可動部10Bの並進変位量を変更する際、接続部P1または接続部P3を支点とするような可動部10Bの回転変位を抑制するのに適する。
【0114】
マイクロ可動素子X4においては、上述のように、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S42に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Bの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X4では、自然状態位置から可動部10Bを並進変位させる際や、可動部10Bの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S42にて可動部10Bないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X4は、自然状態位置から可動部10Bを並進変位させる際や、可動部10Bの並進変位量を変更する際、接続部P2または接続部P4を支点とするような可動部10Bの回転変位を抑制するのに適する。
【0115】
マイクロ可動素子X4においては、連結部31B〜34Bは、それぞれ、可動部10Bのランド部11Aから延出するアーム部11Dに接続している。このような構成は、ランド部11Aから延出する電極部12〜15について、内域S41または内域S42に位置させるうえで好適である。
【0116】
マイクロ可動素子X4においては、連結部31B,33Bは、上述のように、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D1に直交する方向における可動部10Bの変位を抑制するのに資する。加えて、マイクロ可動素子X4においては、連結部32B,34Bは、上述のように、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D2に直交する方向における可動部10Bの変位を抑制するのに資する。
【0117】
マイクロ可動素子X4においては、一のアーム部11Dは、ランド部11Aの第1の側縁部における、当該第1の側縁部と隣り合う第2の側縁部側の端部から、当該第2の側縁部の延び方向に延出する。そして、電極部12〜15のそれぞれの一組の電極歯は、ランド部11Aの第1の側縁部、および、当該第1の側縁部と隣り合う第2の側縁部から延出するアーム部11D、から延出する。このような構成をとるマイクロ可動素子X4においては、マイクロ可動素子X2におけるよりも、電極部12〜15の配設スペースを確保しやすく、従って、電極部12〜15のそれぞれの電極歯について多数化しやすい。電極部12〜15の電極歯の多数化は、電極部22〜25の電極歯の多数化と相まって、マイクロ可動素子X4の駆動電圧を低減するのに資する。
【0118】
図45から図47は、本発明の第5の実施形態に係るマイクロ可動素子X5を表す。図45は、マイクロ可動素子X5の平面図である。図46は、マイクロ可動素子X5の他の平面図である。図47は、図45の線XLVII−XLVIIに沿った断面図である。
【0119】
マイクロ可動素子X5は、可動部10Cと、固定部20Aと、連結部31C,32C,33C,34Cとを備えるマイクロミラー素子である。また、マイクロ可動素子X5は、マイクロ可動素子X2と同様に、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X5における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図45は第1シリコン層側の平面図であり、図46は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図45においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図46においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0120】
可動部10Cは、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11Aと、四本のアーム部11Eと、電極部12,13,14,15とを有する。可動部10Cは、アーム部11Bに代えてアーム部11Eを備える点において、上述のマイクロ可動素子X2の可動部10と異なる。各アーム部11Eは、屈曲構造を有する。具体的には、一のアーム部11Eは、ランド部11Aの側縁部T1における側縁部T4側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。別の一のアーム部11Eは、ランド部11Aの側縁部T2における側縁部T1側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。別の一のアーム部11Eは、ランド部11Aの側縁部T3における側縁部T2側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。別の一のアーム部11Eは、ランド部11Aの側縁部T4における側縁部T3側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分とからなる。可動部10Cについての他の構成は、マイクロ可動素子X2の可動部10について上述したのと同様である。
【0121】
固定部20Aは、フレーム21’および電極部22,23,24,25を有する。固定部20Aは、フレーム21に代えてフレーム21’を有する点において、上述のマイクロ可動素子X2の固定部20と異なる。フレーム21’は、図45および図46に示すように、可動部10Cを囲む形状を有し、且つ、アーム部21Dを有する。また、フレーム21’は、図47に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部21Aと、第2シリコン層に由来する第2層部21Bと、これらの間の絶縁層21Cとからなる積層構造を有する。フレーム21’は、アーム部21Dを有する点において、上述のマイクロ可動素子X2におけるフレーム21と異なる。フレーム21’の他の構成は、マイクロ可動素子X2におけるフレーム21について上述したのと同様である。固定部20Aの他の構成は、マイクロ可動素子X2の固定部20について上述したのと同様である。
【0122】
連結部31C〜34Cは、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部10Cおよび固定部20Aを連結する。連結部31Cは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Cにおける一のアーム部11Eに接続し、且つ、固定部20Aにおけるフレーム21’の一のアーム部21Dの第1層部21Aに接続している。連結部31Cと可動部10Cないしアーム部11Eとが接続する箇所を接続部P1とする。また、連結部31Cは、マイクロ可動素子X2における連結部31(連結バー31a,31b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Cよりも薄肉である。
【0123】
連結部32Cは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Cにおける一のアーム部11Eに接続し、且つ、固定部20Aにおけるフレーム21’の一のアーム部21Dの第1層部21Aに接続している。連結部32Cと可動部10Cないしアーム部11Eとが接続する箇所を接続部P2とする。また、連結部32Cは、マイクロ可動素子X2における連結部32(連結バー32a,32b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Cよりも薄肉である。
【0124】
連結部33Cは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Cにおける一のアーム部11Eに接続し、且つ、固定部20Aにおけるフレーム21’の一のアーム部21Dの第1層部21Aに接続している。連結部33Cと可動部10Cないしアーム部11Eとが接続する箇所を接続部P3とする。また、連結部33Cは、マイクロ可動素子X2における連結部33(連結バー33a,33b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Cよりも薄肉である。
【0125】
連結部34Cは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Cにおける一のアーム部11Eに接続し、且つ、固定部20Aにおけるフレーム21’の一のアーム部21Dの第1層部21Aに接続している。連結部34Cと可動部10Cないしアーム部11Eとが接続する箇所を接続部P4とする。また、連結部34Cは、マイクロ可動素子X2における連結部34(連結バー34a,34b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Cよりも薄肉である。
【0126】
マイクロ可動素子X5においては、図48に示すように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S51に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。また、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S52に、可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。加えて、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向D1’における一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S53に、可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。更に加えて、一組の接続部P1,P4と一組の接続部P2,P3の離隔方向D2’における一組の接続部P1,P4から一組の接続部P2,P4までの間以内たる内域S54に、可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。
【0127】
マイクロ可動素子X5では、電極部12,22間、電極部13,23間、電極部14,24間、および電極部15,25間のそれぞれに、駆動電圧を印加することにより、図47に示す厚さ方向Hにおいて可動部10Cを並進変位動作させることができる。可動部10Cを並進変位動作させるための手法は、マイクロ可動素子X2の可動部10を並進変位動作させるための手法として上述したのと同様である。可動部10Cにおけるランド部11A上のミラー面11aに対して例えば垂直に光を照射して反射させる場合、可動部10Cを並進変位動作させることにより、ミラー面11aにて反射される光の反射位置を変化させて、光の光路長を変化させることができる。
【0128】
マイクロ可動素子X5においては、上述のように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S51に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X5では、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S51にて可動部10Cないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X5は、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、接続部P1または接続部P3を支点とするような可動部10Cの回転変位を抑制するのに適する。
【0129】
マイクロ可動素子X5においては、上述のように、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S52に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X5では、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S52にて可動部10Cないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X5は、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、接続部P2または接続部P4を支点とするような可動部10Cの回転変位を抑制するのに適する。
【0130】
マイクロ可動素子X5においては、上述のように、一組の接続部P1,P2と一組の接続部P3,P4の離隔方向D1’における一組の接続部P1,P2から一組の接続部P3,P4までの間以内たる内域S53に、可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X5では、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S53にて可動部10Cないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X5は、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、一組の接続部P1,P2または一組の接続部P3,P4を支点とするような可動部10Cの回転変位を抑制するのに適する。
【0131】
マイクロ可動素子X5においては、上述のように、一組の接続部P1,P4と一組の接続部P2,P3の離隔方向D2’における一組の接続部P1,P4から一組の接続部P2,P4までの間以内たる内域S54に、可動部10Cの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X5では、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S54にて可動部10Cないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X5は、自然状態位置から可動部10Cを並進変位させる際や、可動部10Cの並進変位量を変更する際、一組の接続部P1,P4または一組の接続部P2,P3を支点とするような可動部10Cの回転変位を抑制するのに適する。
【0132】
マイクロ可動素子X5においては、連結部31C〜34Cは、それぞれ、可動部10Cのランド部11Aから延出するアーム部11Eに接続している。このような構成は、ランド部11Aから延出する電極部12〜15について、内域S51、内域S52、内域S53、または内域S54に位置させるうえで好適である。
【0133】
マイクロ可動素子X5においては、連結部31C,33Cは、上述のように、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D2に直交する方向における可動部10Cの変位を抑制するのに資する。加えて、マイクロ可動素子X5においては、連結部32C,34Cは、上述のように、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D1に直交する方向における可動部10Cの変位を抑制するのに資する。
【0134】
マイクロ可動素子X5においては、可動部10Cおよび固定部20Aを連結する連結部31Cは、接続部P1から、可動部10Cの主部たるランド部11Aから遠のく方向に延出していない。連結部32Cは、接続部P2から、ランド部11Aから遠のく方向に延出していない。連結部33Cは、接続部P3から、ランド部11Aから遠のく方向に延出していない。連結部34Cは、接続部P4から、ランド部11Aから遠のく方向に延出していない。このような構成を具備するマイクロ可動素子X5は、フレーム21’の小型化ひいては素子全体の小型化を図るのに好適である。
【0135】
図49から図51は、本発明の第6の実施形態に係るマイクロ可動素子X6を表す。図49は、マイクロ可動素子X6の平面図である。図50は、マイクロ可動素子X6の他の平面図である。図51は、図49の線LI−LIに沿った断面図である。
【0136】
マイクロ可動素子X6は、可動部10Dと、固定部20Bと、連結部31D,32D,33D,34Dとを備えるマイクロミラー素子である。また、マイクロ可動素子X6は、マイクロ可動素子X2と同様に、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X6における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図49は第1シリコン層側の平面図であり、図50は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図49においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図50においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0137】
可動部10Dは、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11Aと、四本のアーム部11Fと、電極部12,13,14,15とを有する。可動部10Dは、アーム部11Bに代えてアーム部11Fを備える点において、上述のマイクロ可動素子X2の可動部10と異なる。各アーム部11Fは、屈曲構造を有する。具体的には、一のアーム部11Fは、ランド部11Aの側縁部T1における側縁部T4側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分と、第1部分と平行な第3部分とからなる。別の一のアーム部11Fは、ランド部11Aの側縁部T2における側縁部T1側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分と、第1部分と平行な第3部分とからなる。別の一のアーム部11Fは、ランド部11Aの側縁部T3における側縁部T2側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分と、第1部分と平行な第3部分とからなる。別の一のアーム部11Fは、ランド部11Aの側縁部T4における側縁部T3側の端部から延出する第1部分と、当該第1部分の延び方向に直交する方向に延びる第2部分と、第1部分と平行な第3部分とからなる。可動部10Dについての他の構成は、マイクロ可動素子X2の可動部10について上述したのと同様である。
【0138】
固定部20Bは、フレーム21”および電極部22,23,24,25を有する。固定部20Bは、フレーム21に代えてフレーム21”を有する点において、上述のマイクロ可動素子X2の固定部20と異なる。フレーム21”は、図49および図50に示すように、可動部10Dを囲む形状を有し、且つ、アーム部21Eを有する。また、フレーム21”は、図51に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部21Aと、第2シリコン層に由来する第2層部21Bと、これらの間の絶縁層21Cとからなる積層構造を有する。フレーム21”は、アーム部21Eを有する点において、上述のマイクロ可動素子X2におけるフレーム21と異なる。フレーム21”の他の構成は、マイクロ可動素子X2におけるフレーム21について上述したのと同様である。固定部20Bの他の構成は、マイクロ可動素子X2の固定部20について上述したのと同様である。
【0139】
連結部31D〜34Dは、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部10Dおよび固定部20Bを連結する。連結部31Dは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Dにおける一のアーム部11Fに接続し、且つ、固定部20Bにおけるフレーム21”の一のアーム部21Eの第1層部21Aに接続している。連結部31Dと可動部10Dないしアーム部11Fとが接続する箇所を接続部P1とする。また、連結部31Dは、マイクロ可動素子X2における連結部31(連結バー31a,31b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Dよりも薄肉である。
【0140】
連結部32Dは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Dにおける一のアーム部11Fに接続し、且つ、固定部20Bにおけるフレーム21”の一のアーム部21Eの第1層部21Aに接続している。連結部32Dと可動部10Dないしアーム部11Fとが接続する箇所を接続部P2とする。また、連結部32Dは、マイクロ可動素子X2における連結部32(連結バー32a,32b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Dよりも薄肉である。
【0141】
連結部33Dは、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Dにおける一のアーム部11Fに接続し、且つ、固定部20Bにおけるフレーム21”の一のアーム部21Eの第1層部21Aに接続している。連結部33Dと可動部10Dないしアーム部11Fとが接続する箇所を接続部P3とする。また、連結部33Dは、マイクロ可動素子X2における連結部33(連結バー33a,33b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Dよりも薄肉である。
【0142】
連結部34Dは、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる連結バーであり、可動部10Dにおける一のアーム部11Fに接続し、且つ、固定部20Bにおけるフレーム21”の一のアーム部21Eの第1層部21Aに接続している。連結部34Dと可動部10Dないしアーム部11Fとが接続する箇所を接続部P4とする。また、連結部34Dは、マイクロ可動素子X2における連結部34(連結バー34a,34b)と同様に第1層部21Aよりも薄肉であり、且つ、可動部10Dよりも薄肉である。
【0143】
マイクロ可動素子X6においては、図52に示すように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S61に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Dの電極部12〜15の全体が位置する。また、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S62に、可動部10Dの電極部12〜15の全体が位置する。
【0144】
マイクロ可動素子X6では、電極部12,22間、電極部13,23間、電極部14,24間、および電極部15,25間のそれぞれに、駆動電圧を印加することにより、図51に示す厚さ方向Hにおいて可動部10Dを並進変位動作させることができる。可動部10Dを並進変位動作させるための手法は、マイクロ可動素子X2の可動部10を並進変位動作させるための手法として上述したのと同様である。可動部10Dにおけるランド部11A上のミラー面11aに対して例えば垂直に光を照射して反射させる場合、可動部10Dを並進変位動作させることにより、ミラー面11aにて反射される光の反射位置を変化させて、光の光路長を変化させることができる。
【0145】
マイクロ可動素子X6においては、上述のように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S61に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Dの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X6では、自然状態位置から可動部10Dを並進変位させる際や、可動部10Dの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S61にて可動部10Dないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X6は、自然状態位置から可動部10Dを並進変位させる際や、可動部10Dの並進変位量を変更する際、接続部P1または接続部P3を支点とするような可動部10Dの回転変位を抑制するのに適する。
【0146】
マイクロ可動素子X6においては、上述のように、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S62に、電極部22〜25との間で静電引力を発生するための可動部10Dの電極部12〜15の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X6では、自然状態位置から可動部10Dを並進変位させる際や、可動部10Dの並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S62にて可動部10Dないし電極部12〜15に作用する。したがって、マイクロ可動素子X6は、自然状態位置から可動部10Dを並進変位させる際や、可動部10Dの並進変位量を変更する際、接続部P2または接続部P4を支点とするような可動部10Dの回転変位を抑制するのに適する。
【0147】
マイクロ可動素子X6においては、連結部31D〜34Dは、それぞれ、可動部10Dのランド部11Aから延出するアーム部11Fに接続している。このような構成は、ランド部11Aから延出する電極部12〜15について、内域S61または内域S62に位置させるうえで好適である。
【0148】
マイクロ可動素子X6においては、連結部31D,33Dは、上述のように、電極部12,13の離隔方向D1に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D1に直交する方向における可動部10Dの変位を抑制するのに資する。加えて、マイクロ可動素子X6においては、連結部32D,34Dは、上述のように、電極部14,15の離隔方向D2に直交する方向に延びる。このような構成は、離隔方向D2に直交する方向における可動部10Dの変位を抑制するのに資する。
【0149】
マイクロ可動素子X6においては、可動部10Dおよび固定部20Bを連結する連結部31Dは、接続部P1から、可動部10Dの主部たるランド部11Aから遠のく方向に延出していない。連結部32Dは、接続部P2から、ランド部11Aから遠のく方向に延出していない。連結部33Dは、接続部P3から、ランド部11Aから遠のく方向に延出していない。連結部34Dは、接続部P4から、ランド部11Aから遠のく方向に延出していない。このような構成を具備するマイクロ可動素子X6は、フレーム21”の小型化ひいては素子全体の小型化を図るのに好適である。
【0150】
図53から図58は、本発明の第7の実施形態に係るマイクロ可動素子X7を表す。図53は、マイクロ可動素子X7の平面図である。図54は、マイクロ可動素子X7の他の平面図である。図55から図58は、それぞれ、図53の線LV−LV、線LVI−LVI、線LVII−LVII、および線LVIII−LVIIIに沿った断面図である。
【0151】
マイクロ可動素子X7は、可動部40と、固定部50と、連結部61,62,63,64とを備えるマイクロミラー素子である。また、マイクロ可動素子X7は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X7における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図53は第1シリコン層側の平面図であり、図54は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図53においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図54においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0152】
可動部40は、主に第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部41および電極部42を有する。ランド部41の表面には、光反射機能を有するミラー面41aが設けられている。電極部42は、ランド部41から延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。
【0153】
固定部50は、フレーム51および電極部52を有する。フレーム51は、図53および図54に示すように、可動部40を囲む形状を有する。また、フレーム51は、図55から図58に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部51Aと、第2シリコン層に由来する第2層部51Bと、これらの間の絶縁層51Cとからなる積層構造を有する。第1層部51Aおよび第2層部51Bは電気的に分離されている。図53に示すように、第1層部51A上には電極パッド51A’が設けられている。図54に示すように、第2層部51B上には電極パッド51B’が設けられている。
【0154】
電極部52は、第2シリコン層に由来する部位であり、フレーム51の第2層部51Bから可動部40側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。また、電極部52は、上述の電極部42と協働して静電引力を発生させるための部位であり、図55に示すように電極部42に対向するように配されている。
【0155】
連結部61〜64は、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部40および固定部50を連結する。連結部61は、電極部42,52の電極歯の延び方向D3に延びる連結バー61aと、延び方向D3に直交する方向に延びる連結バー61bとからなる。連結部61ないし連結バー61a,61bは、可動部40におけるランド部41一の角部に接続し、且つ、固定部50におけるフレーム51の第1層部51Aに接続している。連結部61と可動部40ないしランド部41とが接続する箇所を接続部P1とする。また、図56および図57に示すように、連結部61(連結バー61a,61b)は、可動部40やフレーム51の第1層部51Aよりも薄肉である。
【0156】
連結部62は、電極部42,52の電極歯の延び方向D3に延びる連結バー62aと、延び方向D3に直交する方向に延びる連結バー62bとからなる。連結部62ないし連結バー62a,62bは、可動部40におけるランド部41の一の角部に接続し、且つ、固定部50におけるフレーム51の第1層部51Aに接続している。連結部62と可動部40ないしランド部41とが接続する箇所を接続部P2とする。また、連結バー62aについて図56に示すように、連結部62(連結バー62a,62b)は、可動部40やフレーム51の第1層部51Aよりも薄肉である。
【0157】
連結部63は、電極部42,52の電極歯の延び方向D3に延びる連結バー63aと、延び方向D3に直交する方向に延びる連結バー63bとからなる。連結部63ないし連結バー63a,63bは、可動部40におけるランド部41の一の角部に接続し、且つ、固定部50におけるフレーム51の第1層部51Aに接続している。連結部63と可動部40ないしランド部41とが接続する箇所を接続部P3とする。また、連結バー63aについて図58に示すように、連結部63(連結バー63a,63b)は、可動部40やフレーム51の第1層部51Aよりも薄肉である。
【0158】
連結部64は、電極部42,52の電極歯の延び方向D3に延びる連結バー64aと、延び方向D3に直交する方向に延びる連結バー64bとからなる。連結部64ないし連結バー64a,64bは、可動部40におけるランド部41の一の角部に接続し、且つ、固定部50におけるフレーム51の第1層部51Aに接続している。連結部64と可動部40ないしランド部41とが接続する箇所を接続部P4とする。また、図57および図58に示すように、連結部64(連結バー64a,64b)は、可動部40やフレーム51の第1層部51Aよりも薄肉である。
【0159】
マイクロ可動素子X7においては、図59に示すように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S71に、電極部52との間で静電引力を発生するための可動部40の電極部42の全体が位置する。また、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S72に、可動部40の電極部42の全体が位置する。
【0160】
マイクロ可動素子X7においては、電極部42,52間に駆動電圧を印加することにより、例えば図55に示す厚さ方向Hにおいて可動部40を並進変位動作させることができる。当該電圧印加における電極部42に対する電位付与は、固定部50におけるフレーム51の第1層部51A上の電極パッド51A’、第1層部51A、連結部61〜64、および可動部40のランド部41を介して、実現することができる。電極部42には例えばグラウンド電位が付与される。電圧印加における電極部52に対する電位付与は、固定部50におけるフレーム51の第2層部51B上の電極パッド51B’および第2層部51Bを介して実現することができる。
【0161】
電極部42,52間に電圧が印加されていない場合、連結部61〜64を介して固定部50に繋がれている可動部40は、例えば図56に示すように自然状態位置にある。電極部42,52間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部42,52間に静電引力が生じる。このようにして生じた静電引力が駆動力として電極部42に作用することにより、可動部40の電極部42は、固定部50の電極部52に引き込まれる。このとき、連結部61〜64の連結バー61a,61b,62a,62b,63a,63b,64a,64bには張力が作用し、各連結バーは弾性変形する。電極部42が電極部52に引き込まれることにより、可動部40は、厚さ方向Hにおいて並進変位することとなる。このときの並進変位量は、電極部42ないし可動部40に作用する駆動力の大きさに応じて異なる。可動部40の、自然状態位置からの並進変位量については、電極部42,52間の印加駆動電圧を制御して発生駆動力を調整することにより、事後的に変更することが可能である。
【0162】
静電引力を消滅させると、連結バー61a,61b,62a,62b,63a,63b,64a,64bはその自然状態に復帰し、可動部40はその初期位置(自然状態位置)に戻る。
【0163】
ランド部41上に設けられたミラー面41aに対して例えば垂直に光を照射して反射させる場合、以上のような可動部40についての駆動により、ミラー面41aにて反射される光の反射位置を変化させて、光の光路長を変化させることができる。
【0164】
マイクロ可動素子X7においては、上述のように、接続部P1,P3の離隔方向D’における接続部P1,P3間以内たる内域S71に、電極部52との間で静電引力を発生するための可動部40の電極部42の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X7では、自然状態位置から可動部40を並進変位させる際や、可動部40の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S71にて可動部40ないし電極部42に作用する。したがって、マイクロ可動素子X7は、自然状態位置から可動部40を並進変位させる際や、可動部40の並進変位量を変更する際、可動部40について回転変位を抑制するのに適する。
【0165】
マイクロ可動素子X7においては、上述のように、接続部P2,P4の離隔方向D”における接続部P2,P4間以内たる内域S72に、可動部40の電極部42の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X7では、自然状態位置から可動部40を並進変位させる際や、可動部40の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S72にて可動部40ないし電極部42に作用する。したがって、マイクロ可動素子X7は、自然状態位置から可動部40を並進変位させる際や、可動部40の並進変位量を変更する際、可動部40について回転変位を抑制するのに適する。
【0166】
マイクロ可動素子X7においては、連結部61〜64における連結バー61a,62a,63a,64aは、上述のように、電極部42,52の電極歯の延び方向D3に延びる。このような構成は、延び方向D3における可動部40の変位を抑制するのに資する。加えて、マイクロ可動素子X7においては、連結部61〜64における連結バー61b,62b,63b,64bは、上述のように、延び方向D3に直交する方向に延びる。このような構成は、延び方向D3に直交する方向における可動部40の変位を抑制するのに資する。
【0167】
図60から図64は、本発明の第8の実施形態に係るマイクロ可動素子X8を表す。図60は、マイクロ可動素子X8の平面図である。図61は、マイクロ可動素子X8の他の平面図である。図62から図64は、それぞれ、図60の線LXII−LXII、線LXIII−LXIII、および線LXIV−LXIVに沿った断面図である。
【0168】
マイクロ可動素子X8は、可動部70と、固定部80と、連結部91,92,93とを備えるマイクロミラー素子である。また、マイクロ可動素子X8は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、SOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより導電性が付与されている。マイクロ可動素子X8における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図60は第1シリコン層側の平面図であり、図61は第2シリコン層側の平面図である。図の明確化の観点より、図60においては、第1シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。また、図の明確化の観点より、図61においては、第2シリコン層に由来する部位について斜線ハッチングを付して表す。
【0169】
可動部70は、主に第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部71Aと、三本のアーム部71Bと、電極部72,73,74とを有する。ランド部71Aの表面には、光反射機能を有するミラー面71aが設けられている。各アーム部71Bは、円盤状のランド部71Aの周縁部71bから延出する。電極部72,73,74は、それぞれ、ランド部71Aの周縁部71bから延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。これら電極部72,73,74は、ランド部71Aを介して電気的に接続されている。また、電極部72,73,74は、それぞれ、円盤状のランド部71Aの周方向において、一組のアーム部71Bの間に位置する。すなわち、アーム部71Bおよび電極部72,73,74は、ランド部71Aの周縁部71bから放射状に延出する。
【0170】
固定部80は、フレーム81および電極部82,83,84を有する。フレーム81は、図60および図61に示すように、可動部70を囲む形状を有する。また、フレーム81は、図62から図64に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部81Aと、第2シリコン層に由来する第2層部81Bと、これらの間の絶縁層81Cとからなる積層構造を有する。第2層部81Bは、部分81a,81b,81cを含む。第1層部81Aおよび第2層部81Bは電気的に分離されており、且つ、部分81a,81b,81cは電気的に分離されている。図60に示すように、第1層部81A上には電極パッド81A’が設けられている。図61に示すように、第2層部81Bの部分81a,81b,81c上には電極パッド81a’,81b’,81c’が設けられている。
【0171】
電極部82,83,84は、第2シリコン層に由来する部位である。電極部82は、フレーム81の第2層部81Bの部分81aから可動部70側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部82は、上述の電極部72と協働して静電引力を発生させるための部位であり、図62に示すように電極部72に対向するように配されている。電極部83は、第2層部81Bの部分81bから可動部70側に延出する一組の電極歯を含む櫛歯電極構造を有する。電極部83は、上述の電極部73と協働して静電引力を発生させるための部位であり、図63に示すように電極部73に対向するように配されている。電極部84は、上述の電極部74と協働して静電引力を発生させるための部位であり、図64に示すように電極部74に対向するように配されている。これら電極部82,83,84は、電気的に分離されている。
【0172】
連結部91〜93は、第1シリコン層に由来する部位であり、可動部70および固定部80を連結する連結バーである。連結部91〜93は、それぞれ、可動部70における一のアーム部71Bに接続し、且つ、固定部80におけるフレーム81の第1層部81Aに接続している。連結部91と可動部70ないしアーム部71Bとが接続する箇所を接続部P1とする。連結部92と可動部70ないしアーム部71Bとが接続する箇所を接続部P2とする。連結部93と可動部70ないしアーム部71Bとが接続する箇所を接続部P3とする。図62から図64に示すように、連結部91〜93は、可動部70やフレーム81の第1層部81Aよりも薄肉である。
【0173】
マイクロ可動素子X8では、接続部P1およびランド部71Aの離隔方向D4において、電極部71〜73は接続部P1を越えるほどにはランド部71Aの周縁部71bから延出していない。また、接続部P2およびランド部71Aの離隔方向D5において、電極部71〜73は接続部P2を越えるほどにはランド部71Aの周縁部71bから延出していない。加えて、接続部P3およびランド部71Aの離隔方向D6において、電極部71〜73は接続部P3を越えるほどにはランド部71Aの周縁部71bから延出していない。図65に示すように、接続部P1とランド部71Aの離隔方向D4に直交し且つ接続部P1を通る仮想面K1を想定する。接続部P2とランド部71Aの離隔方向D5に直交し且つ接続部P2を通る仮想面K2を想定する。接続部P3とランド部71Aの離隔方向D6に直交し且つ接続部P3を通る仮想面K3を想定する。このように仮想面K1〜K3を想定すると、仮想面K1〜K3によって囲まれた或は挟まれた領域以内たる内域S81に、固定部80の電極部82〜84との間で静電引力を発生させるための可動部70の電極部72〜74の全体が位置する。
【0174】
マイクロ可動素子X8においては、電極部72,82間、電極部73,83間、および電極部74,84間のそれぞれに駆動電圧を印加することにより、例えば図62に示す厚さ方向Hにおいて、可動部70を並進変位動作させることができる。当該電圧印加における電極部72〜74に対する電位付与は、固定部80におけるフレーム81の第1層部81A上の電極パッド81A’、第1層部81A、連結部91〜93、および可動部70のアーム部71Bとランド部71Aを介して、実現することができる。電極部72〜74には例えばグラウンド電位が付与される。電圧印加における電極部82に対する電位付与は、固定部80におけるフレーム81の第2層部81Bの部分81a上の電極パッド81a’および部分81aを介して実現することができる。電極部83に対する電位付与は、フレーム81の第2層部81Bの部分81b上の電極パッド81b’および部分81bを介して実現することができる。電極部84に対する電位付与は、フレーム81の第2層部81Bの部分81c上の電極パッド81c’および部分81cを介して実現することができる。電極部82〜84に対して付与する電位は、電極部ごとに個別に設定することができる。
【0175】
電極部72,82間、電極部73,83間、および電極部74,84間に電圧が印加されていない場合、連結部91〜93を介して固定部80に繋がれている可動部70は、例えば図62に示すように自然状態位置にある。電極部72,82間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部72,82間に静電引力が生じる。電極部73,83間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部73,83間に静電引力が生じる。電極部74,84間に駆動電圧を印加して電位差を生じさせると、電極部74,84間に静電引力が生じる。このようにして生じた静電引力が駆動力として電極部72〜74に作用することにより、可動部70の電極部72〜74は、それぞれ、固定部80の電極部82〜84に引き込まれる。このとき、連結部91〜93には張力が作用し、各連結バーは弾性変形する。電極部72〜74が電極部82〜84に引き込まれることにより、可動部70は、厚さ方向Hにおいて並進変位することとなる。このときの並進変位量は、電極部72〜74ないし可動部70に作用する駆動力の大きさに応じて異なる。可動部70の、自然状態位置からの並進変位量については、各組の電極部対間の印加駆動電圧を制御して発生駆動力を調整することにより、事後的に変更することが可能である。
【0176】
静電引力を消滅させると、連結部91〜93はその自然状態に復帰し、可動部70はその初期位置(自然状態位置)に戻る。
【0177】
ランド部71A上に設けられたミラー面71aに対して例えば垂直に光を照射して反射させる場合、以上のような可動部70についての駆動により、ミラー面71aにて反射される光の反射位置を変化させて、光の光路長を変化させることができる。
【0178】
マイクロ可動素子X8においては、上述のように、仮想面K1〜K3によって囲まれた或は挟まれた領域以内たる内域S81に、固定部80の電極部82〜84との間で静電引力を発生させるための可動部70の電極部72〜74の全体が位置する。そのため、マイクロ可動素子X8では、自然状態位置から可動部70を並進変位させる際や、可動部70の並進変位量を変更する際、駆動力たる静電引力は、内域S81にて可動部70ないし電極部72〜74に作用する。したがって、マイクロ可動素子X8は、自然状態位置から可動部70を並進変位させる際や、可動部70の並進変位量を変更する際、可動部70について回転変位を抑制するのに適する。
【0179】
マイクロ可動素子X8においては、連結部91〜93は、それぞれ、可動部70のランド部71Aから延出するアーム部71Bに接続している。このような構成は、ランド部71Aから延出する電極部72〜74について、内域S81に位置させるうえで好適である。
【0180】
図66は、本発明の第9の実施形態に係る光干渉計Yの概略構成を表す。光干渉計Yは、レンズ101と、ハーフミラー102と、光反射手段103,104と、ディテクタ系(図示略)とを備えるマイケルソン型遅延干渉計である。
【0181】
レンズ101は、所定の光源から発せられた光L1を平行光とするためのものであり、例えばコリメートレンズである。ハーフミラー102は、レンズ101を経た光L1について、一部を反射するとともに一部を透過させて分岐光L2,L3に分岐させるためのものである。ハーフミラー102は、光反射手段103,104での反射を経た分岐光L2,L3を重ね合わせて干渉させたうえで、干渉光L4,L5に分岐させるためのものでもある。光反射手段103は、ハーフミラー102からの分岐光L2をハーフミラー102に向けて反射するためのものであり、光反射のためのミラー面103aを有する。光反射手段103では、ハーフミラー102とミラー面103aとの間を往復する分岐光L2の光路長を変更できるように、ミラー面103aが矢印H1方向に変位可能に設けられている。本実施形態では、光反射手段103は、上述のマイクロ可動素子X1〜X8のいずれかよりなる(従って、ミラー面103aは、ミラー面11a,41a,71aのいずれかである)。光反射手段104は、ハーフミラー102からの分岐光L3をハーフミラー102に向けて反射するためのものであり、光反射のためのミラー面104aを有する。光反射手段104では、ハーフミラー102とミラー面104aとの間を往復する分岐光L3の光路長を変更できるように、ミラー面104aが例えば矢印H2方向に変位可能に設けられている。本実施形態では、光反射手段104は、上述のマイクロ可動素子X1〜X8のいずれかよりなる(従って、ミラー面104aは、ミラー面11a,41a,71aのいずれかである)。分岐光L2の光路長は、分岐光L3の光路長より長く設定される。そのため、光反射手段103,104での反射を経た分岐光L2,L3がハーフミラー102にて重ね合わされる時、分岐光L2は分岐光L3に対して所定時間遅延している。ハーフミラー102にて重ね合わされる時の分岐光L2,L3の位相差に応じて干渉光L4,L5の強度比が異なるところ、ディテクタ系は、干渉光L4を受光するための受光素子と、干渉光L5を受光するための受光素子とを含む。
【0182】
光干渉計Yは、例えば、差動位相変調方式(DPSK;Differential Phase Shift Keying)によって変調された光信号(DPSK光信号)を復調するための復調器として使用することができる。光干渉計Yを当該復調器として使用する場合、上述のディテクタ系は、干渉光L4,L5を受光するための受光素子を備えて各受光素子から出力される電気信号に基づいて平衡検出処理することが可能な、平衡光検出器を含んでなる。また、DPSKは、波長分割多重方式(WDM;Dense Wavelength Division Multiplexing)を採用する光通信システムにおける変調方式として採用され得る。
【0183】
DPSK光信号を復調するための復調器として光干渉計Yを使用する場合、図外の光ファイバから出射されたDPSK光信号たる光L1が、レンズ101にて平行光とされた後、ハーフミラー102にて分岐光L2,L3に分岐される。分岐光L2は、光反射手段103のミラー面103aにてハーフミラー102に向けて反射される。分岐光L3は、光反射手段104のミラー面104aにてハーフミラー102に向けて反射される。光反射手段103,104での反射を経た分岐光L2,L3はハーフミラー102にて重ね合わされて干渉し、当該干渉光はハーフミラー102にて干渉光L4,L5に分岐される。重ね合わせ時において分岐光L2が分岐光L3に対してDPSK光信号の1ビット周期と等しい時間遅延するように、分岐光L2,L3の各光路長は調節される(分岐光L2の光路長は分岐光L3の光路長より長い)。ハーフミラー102と光反射手段103のミラー面103aとの間を往復する分岐光L2の光路長は、ミラー面103aを矢印H1方向において変位させて変位量を制御することによって調節することができる。ハーフミラー102と光反射手段104のミラー面104aとの間を往復する分岐光L3の光路長は、ミラー面104aを矢印H2方向において変位させて変位量を制御することによって調節することができる。ハーフミラー102からの干渉光L4は、ディテクタ系において、例えば所定の反射ミラーでの反射を経て所定の集光レンズを経た後、平衡光検出器の一の受光素子で受光される。ハーフミラー102からの干渉光L5は、ディテクタ系において、例えば所定の反射ミラーでの反射を経て所定の集光レンズを経た後、平衡光検出器の他の受光素子で受光される。そして、平衡光検出器において、各受光素子から出力される電気信号に基づいて平衡検出処理が実行されて復調信号が生成され、当該平衡光検出器から復調信号が出力される。復調すべきDPSK光信号の1ビット周期が変更される場合があるところ、その場合、ハーフミラー102での重ね合わせ時において分岐光L2が分岐光L3に対して変更後の1ビット周期に対応した時間遅延するように、分岐光L2,L3の各光路長は調節される。すなわち、復調すべきDPSK光信号の1ビット周期が変更される場合、当該変更に対応すべく、光反射手段103,104のミラー面103a,104aの少なくとも一方の変位量が変更される。
【0184】
光干渉計Yでは、上述のように、光反射手段103,104のそれぞれは、マイクロ可動素子X1〜X8のいずれかよりなる。マイクロ可動素子X1〜X8は、上述のように、光反射用のミラー面を伴う可動部を自然状態位置から並進変位させる際や、当該可動部およびこれに伴うミラー面の並進変位量を変更する際、可動部ないしミラー面について回転変位を抑制するのに適する。したがって、光干渉計Yにおいては、干渉光L2,L3の光路長差を精度よく調節することができる。このような光干渉計YをDPSK光信号の復調器として使用する場合には、干渉光L2,L3の光路長差を精度よく調節して復調信号を適切に得ることが可能である。
【0185】
上述の光干渉計Yにおいては、光反射手段103,104の両方がマイクロ可動素子X1〜X8のいずれかよりなるが、光反射手段103,104の一方については、不動のミラー面を備えるものを採用してもよい。このような構成においても、干渉光L2,L3の光路長差を精度よく調節することは可能である。
【0186】
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
【0187】
(付記1)一対の離隔した第1電極部を有する可動部と、
前記第1電極部の離隔方向に交差する方向における前記可動部の並進変位の駆動力を前記一対の第1電極部と協働して発生させるための一対の第2電極部、を有する固定部と、
前記可動部に接続し且つ前記固定部に接続する複数の連結部と、を備え、
前記複数の連結部は、第1連結部および第2連結部を含み、
前記第1連結部および前記可動部が接続する第1接続部と、前記第2連結部および前記可動部が接続する第2接続部とは離隔して、当該第1および第2接続部の離隔方向における当該第1および第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置する、マイクロ可動素子。
(付記2)前記一対の第2電極部は電気的に分離されている、付記1に記載のマイクロ可動素子。
(付記3)前記第1電極部および前記第2電極部は、それぞれ、櫛歯電極である、付記1または2に記載のマイクロ可動素子。
(付記4)前記可動部は、ランド部、および、当該ランド部から延出する複数のアーム部を有し、
前記第1連結部および前記第2連結部は、それぞれ、前記可動部における一のアーム部に接続している、付記1から3のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記5)前記複数の連結部は、追加第1連結部および追加第2連結部を含み、
前記第1接続部と、前記追加第1連結部および前記可動部が接続する追加第1接続部とは離隔して、当該第1接続部および追加第1接続部の離隔方向における当該第1接続部および追加第1接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記第2接続部と、前記追加第2連結部および前記可動部が接続する追加第2接続部とは離隔して、当該第2接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該第2接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記追加第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置する、付記1から4のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記6)前記可動部は、前記第1電極部の離隔方向と前記可動部の並進変位方向とに交差する方向に離隔する一対の第3電極部を有し、
前記固定部は、前記可動部の並進変位の駆動力を前記一対の第3電極部と協働して発生させるための一対の第4電極部を有する、付記1から4のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記7)前記一対の第2電極部は電気的に分離され、前記一対の第4電極部は電気的に分離され、且つ、各第2電極部は各第4電極部から電気的に分離されている、付記6に記載のマイクロ可動素子。
(付記8)前記第3電極部および前記第4電極部は、それぞれ、櫛歯電極である、付記6または7に記載のマイクロ可動素子。
(付記9)前記複数の連結部は、追加第1連結部および追加第2連結部を含み、
前記第1接続部と、前記追加第1連結部および前記可動部が接続する追加第1接続部とは離隔して、当該第1接続部および追加第1接続部の離隔方向における当該第1接続部および追加第1接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記第2接続部と、前記追加第2連結部および前記可動部が接続する追加第2接続部とは離隔して、当該第2接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該第2接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記追加第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および第2接続部の間以内に前記一対の第3電極部は位置し、
前記追加第2接続部と前記第1接続部とは離隔して、当該追加第2接続部および第1接続部の離隔方向における当該追加第2接続部および第1接続部の間以内に前記一対の第3電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記追加第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第3電極部は位置する、付記6から8のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記10)前記第1連結部、前記第2連結部、前記追加第1連結部、および前記追加第2連結部の少なくとも一つは、前記一対の第1電極部の離隔方向に直交する方向に延びる連結バーを含む、付記5または9に記載のマイクロ可動素子。
(付記11)前記第1連結部、前記第2連結部、前記追加第1連結部、および前記追加第2連結部の少なくとも一つは、前記一対の第1電極部の離隔方向に延びる連結バーを含む、付記5、9、または10に記載のマイクロ可動素子。
(付記12)前記第1連結部、前記第2連結部、前記追加第1連結部、および前記追加第2連結部は、それぞれ、前記一対の第1電極部の離隔方向に直交する方向に延びる連結バー、および、前記一対の第1電極部の離隔方向に延びる連結バーを含む、付記5または9に記載のマイクロ可動素子。
(付記13)前記可動部は、複数の側縁部を有するランド部と、当該ランド部の側縁部から延出する複数のアーム部とを有し、
各アーム部は、一の側縁部における、当該側縁部と隣り合う他の側縁部の側にて延出し、
各第1電極部および各第3電極部は、一の側縁部から延出するアーム部、および、当該アーム部が延出する前記一の側縁部にとっての前記他の側縁部、から延出し、
前記第1連結部、前記第2連結部、前記追加第1連結部、および前記追加第2連結部は、それぞれ、一のアーム部に接続している、付記6から9のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記14)第1電極部を有する可動部と、
前記第1電極部と協働して前記可動部の並進変位の駆動力を発生させるための第2電極部、を有する固定部と、
前記可動部に接続し且つ前記固定部に接続する複数の連結部と、を備え、
前記複数の連結部は、第1連結部および第2連結部を含み、
前記第1連結部および前記可動部が接続する第1接続部と、前記第2連結部および前記可動部が接続する第2接続部とは離隔して、当該第1および第2接続部の離隔方向における当該第1および第2接続部の間以内に前記第1電極部は位置する、マイクロ可動素子。
(付記15)厚さ及び周縁部を有するランド部、並びに、前記周縁部から放射状に延出する複数のアーム部および複数の第1電極部、を有する可動部と、
前記ランド部の厚さ方向における前記可動部の並進変位の駆動力を前記複数の第1電極部と協働して発生させるための複数の第2電極部、を有する固定部と、
それぞれが前記可動部の前記アーム部に接続し且つ前記固定部に接続する複数の連結部と、を備え、
前記連結部および前記アーム部が接続する接続部と前記ランド部とは離隔して、当該接続部およびランド部の離隔方向において、前記第1電極部は前記接続部を越えるほどには前記周縁部から延出していない、マイクロ可動素子。
(付記16)光源と、
前記光源から出射した光を第1分岐光および第2分岐光に分岐させるための光分岐手段と、
前記第1分岐光を反射するためのミラー面を有する第1光反射手段と、
前記第2分岐光を反射するためのミラー面を有する第2光反射手段と、
前記第1光反射手段での反射を経た第1分岐光および前記第2光反射手段での反射を経た第2分岐光を重ね合わせるための光重ね合わせ手段と、を備え、
前記第1光反射手段および/または前記第2光反射手段は、付記1から15のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子を含み、当該マイクロ可動素子の前記可動部上に前記ミラー面が設けられている、光干渉計。
【符号の説明】
【0188】
X1,X2,X3,X4,X5,X6,X7,X8 マイクロ可動素子
10,10A,10B,10C,10D,40,70 可動部
11A,41A,71A ランド部
11B,11C,11D,11E,11F アーム部
11a,41a,71a ミラー面
12,13,14,15,41,71,72,73 電極部
20,20A,20B,50,80 固定部
21,21’,21”,51,81 フレーム
21D,21E アーム部
22,23,24,25,51,81,82,83 電極部
31〜34,31A〜34A,31B〜34B,31C〜34C 連結部
31D〜34D,61〜64,91〜93 連結部
P1,P2,P3,P4 接続部
Y 光干渉計
102 ハーフミラー
103,104 光反射手段
103a,104a ミラー面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の離隔した第1電極部を有する可動部と、
前記第1電極部の離隔方向に交差する方向における前記可動部の並進変位の駆動力を前記一対の第1電極部と協働して発生させるための一対の第2電極部、を有する固定部と、
前記可動部に接続し且つ前記固定部に接続する複数の連結部と、を備え、
前記複数の連結部は、第1連結部および第2連結部を含み、
前記第1連結部および前記可動部が接続する第1接続部と、前記第2連結部および前記可動部が接続する第2接続部とは離隔して、当該第1および第2接続部の離隔方向における当該第1および第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置する、マイクロ可動素子。
【請求項2】
前記一対の第2電極部は電気的に分離されている、請求項1に記載のマイクロ可動素子。
【請求項3】
前記複数の連結部は、追加第1連結部および追加第2連結部を含み、
前記第1接続部と、前記追加第1連結部および前記可動部が接続する追加第1接続部とは離隔して、当該第1接続部および追加第1接続部の離隔方向における当該第1接続部および追加第1接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記第2接続部と、前記追加第2連結部および前記可動部が接続する追加第2接続部とは離隔して、当該第2接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該第2接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記追加第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置する、請求項1または2に記載のマイクロ可動素子。
【請求項4】
前記可動部は、前記第1電極部の離隔方向と前記可動部の並進変位方向とに交差する方向に離隔する一対の第3電極部を有し、
前記固定部は、前記可動部の並進変位の駆動力を前記一対の第3電極部と協働して発生させるための一対の第4電極部を有する、請求項1または2に記載のマイクロ可動素子。
【請求項5】
前記複数の連結部は、追加第1連結部および追加第2連結部を含み、
前記第1接続部と、前記追加第1連結部および前記可動部が接続する追加第1接続部とは離隔して、当該第1接続部および追加第1接続部の離隔方向における当該第1接続部および追加第1接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記第2接続部と、前記追加第2連結部および前記可動部が接続する追加第2接続部とは離隔して、当該第2接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該第2接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記追加第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および第2接続部の間以内に前記一対の第3電極部は位置し、
前記追加第2接続部と前記第1接続部とは離隔して、当該追加第2接続部および第1接続部の離隔方向における当該追加第2接続部および第1接続部の間以内に前記一対の第3電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記追加第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第3電極部は位置する、請求項4に記載のマイクロ可動素子。
【請求項6】
前記第1連結部、前記第2連結部、前記追加第1連結部、および前記追加第2連結部は、それぞれ、前記一対の第1電極部の離隔方向に直交する方向に延びる連結バー、および、前記一対の第1電極部の離隔方向に延びる連結バーを含む、請求項3または5に記載のマイクロ可動素子。
【請求項7】
前記可動部は、複数の側縁部を有するランド部と、当該ランド部の側縁部から延出する複数のアーム部とを有し、
各アーム部は、一の側縁部における、当該側縁部と隣り合う他の側縁部の側にて延出し、
各第1電極部および各第3電極部は、一の側縁部から延出するアーム部、および、当該アーム部が延出する前記一の側縁部にとっての前記他の側縁部、から延出し、
前記第1連結部、前記第2連結部、前記追加第1連結部、および前記追加第2連結部は、それぞれ、一のアーム部に接続している、請求項4または5のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
【請求項8】
第1電極部を有する可動部と、
前記第1電極部と協働して前記可動部の並進変位の駆動力を発生させるための第2電極部、を有する固定部と、
前記可動部に接続し且つ前記固定部に接続する複数の連結部と、を備え、
前記複数の連結部は、第1連結部および第2連結部を含み、
前記第1連結部および前記可動部が接続する第1接続部と、前記第2連結部および前記可動部が接続する第2接続部とは離隔して、当該第1および第2接続部の離隔方向における当該第1および第2接続部の間以内に前記第1電極部は位置する、マイクロ可動素子。
【請求項9】
厚さ及び周縁部を有するランド部、並びに、前記周縁部から放射状に延出する複数のアーム部および複数の第1電極部、を有する可動部と、
前記ランド部の厚さ方向における前記可動部の並進変位の駆動力を前記複数の第1電極部と協働して発生させるための複数の第2電極部、を有する固定部と、
それぞれが前記可動部の前記アーム部に接続し且つ前記固定部に接続する複数の連結部と、を備え、
前記連結部および前記アーム部が接続する接続部と前記ランド部とは離隔して、当該接続部およびランド部の離隔方向において、前記第1電極部は前記接続部を越えるほどには前記周縁部から延出していない、マイクロ可動素子。
【請求項10】
光源と、
前記光源から出射した光を第1分岐光および第2分岐光に分岐させるための光分岐手段と、
前記第1分岐光を反射するためのミラー面を有する第1光反射手段と、
前記第2分岐光を反射するためのミラー面を有する第2光反射手段と、
前記第1光反射手段での反射を経た第1分岐光および前記第2光反射手段での反射を経た第2分岐光を重ね合わせるための光重ね合わせ手段と、を備え、
前記第1光反射手段および/または前記第2光反射手段は、請求項1から9のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子を含み、当該マイクロ可動素子の前記可動部上に前記ミラー面が設けられている、光干渉計。
【請求項1】
一対の離隔した第1電極部を有する可動部と、
前記第1電極部の離隔方向に交差する方向における前記可動部の並進変位の駆動力を前記一対の第1電極部と協働して発生させるための一対の第2電極部、を有する固定部と、
前記可動部に接続し且つ前記固定部に接続する複数の連結部と、を備え、
前記複数の連結部は、第1連結部および第2連結部を含み、
前記第1連結部および前記可動部が接続する第1接続部と、前記第2連結部および前記可動部が接続する第2接続部とは離隔して、当該第1および第2接続部の離隔方向における当該第1および第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置する、マイクロ可動素子。
【請求項2】
前記一対の第2電極部は電気的に分離されている、請求項1に記載のマイクロ可動素子。
【請求項3】
前記複数の連結部は、追加第1連結部および追加第2連結部を含み、
前記第1接続部と、前記追加第1連結部および前記可動部が接続する追加第1接続部とは離隔して、当該第1接続部および追加第1接続部の離隔方向における当該第1接続部および追加第1接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記第2接続部と、前記追加第2連結部および前記可動部が接続する追加第2接続部とは離隔して、当該第2接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該第2接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記追加第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置する、請求項1または2に記載のマイクロ可動素子。
【請求項4】
前記可動部は、前記第1電極部の離隔方向と前記可動部の並進変位方向とに交差する方向に離隔する一対の第3電極部を有し、
前記固定部は、前記可動部の並進変位の駆動力を前記一対の第3電極部と協働して発生させるための一対の第4電極部を有する、請求項1または2に記載のマイクロ可動素子。
【請求項5】
前記複数の連結部は、追加第1連結部および追加第2連結部を含み、
前記第1接続部と、前記追加第1連結部および前記可動部が接続する追加第1接続部とは離隔して、当該第1接続部および追加第1接続部の離隔方向における当該第1接続部および追加第1接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記第2接続部と、前記追加第2連結部および前記可動部が接続する追加第2接続部とは離隔して、当該第2接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該第2接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記追加第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第1電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および第2接続部の間以内に前記一対の第3電極部は位置し、
前記追加第2接続部と前記第1接続部とは離隔して、当該追加第2接続部および第1接続部の離隔方向における当該追加第2接続部および第1接続部の間以内に前記一対の第3電極部は位置し、
前記追加第1接続部と前記追加第2接続部とは離隔して、当該追加第1接続部および追加第2接続部の離隔方向における当該追加第1接続部および追加第2接続部の間以内に前記一対の第3電極部は位置する、請求項4に記載のマイクロ可動素子。
【請求項6】
前記第1連結部、前記第2連結部、前記追加第1連結部、および前記追加第2連結部は、それぞれ、前記一対の第1電極部の離隔方向に直交する方向に延びる連結バー、および、前記一対の第1電極部の離隔方向に延びる連結バーを含む、請求項3または5に記載のマイクロ可動素子。
【請求項7】
前記可動部は、複数の側縁部を有するランド部と、当該ランド部の側縁部から延出する複数のアーム部とを有し、
各アーム部は、一の側縁部における、当該側縁部と隣り合う他の側縁部の側にて延出し、
各第1電極部および各第3電極部は、一の側縁部から延出するアーム部、および、当該アーム部が延出する前記一の側縁部にとっての前記他の側縁部、から延出し、
前記第1連結部、前記第2連結部、前記追加第1連結部、および前記追加第2連結部は、それぞれ、一のアーム部に接続している、請求項4または5のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
【請求項8】
第1電極部を有する可動部と、
前記第1電極部と協働して前記可動部の並進変位の駆動力を発生させるための第2電極部、を有する固定部と、
前記可動部に接続し且つ前記固定部に接続する複数の連結部と、を備え、
前記複数の連結部は、第1連結部および第2連結部を含み、
前記第1連結部および前記可動部が接続する第1接続部と、前記第2連結部および前記可動部が接続する第2接続部とは離隔して、当該第1および第2接続部の離隔方向における当該第1および第2接続部の間以内に前記第1電極部は位置する、マイクロ可動素子。
【請求項9】
厚さ及び周縁部を有するランド部、並びに、前記周縁部から放射状に延出する複数のアーム部および複数の第1電極部、を有する可動部と、
前記ランド部の厚さ方向における前記可動部の並進変位の駆動力を前記複数の第1電極部と協働して発生させるための複数の第2電極部、を有する固定部と、
それぞれが前記可動部の前記アーム部に接続し且つ前記固定部に接続する複数の連結部と、を備え、
前記連結部および前記アーム部が接続する接続部と前記ランド部とは離隔して、当該接続部およびランド部の離隔方向において、前記第1電極部は前記接続部を越えるほどには前記周縁部から延出していない、マイクロ可動素子。
【請求項10】
光源と、
前記光源から出射した光を第1分岐光および第2分岐光に分岐させるための光分岐手段と、
前記第1分岐光を反射するためのミラー面を有する第1光反射手段と、
前記第2分岐光を反射するためのミラー面を有する第2光反射手段と、
前記第1光反射手段での反射を経た第1分岐光および前記第2光反射手段での反射を経た第2分岐光を重ね合わせるための光重ね合わせ手段と、を備え、
前記第1光反射手段および/または前記第2光反射手段は、請求項1から9のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子を含み、当該マイクロ可動素子の前記可動部上に前記ミラー面が設けられている、光干渉計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【公開番号】特開2010−184334(P2010−184334A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31368(P2009−31368)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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