説明

マット固定装置

【課題】ノブが回転してもカーペットからマットが外れないように保持できる、マット固定装置を提供する。
【解決手段】このマット固定装置10は、本体部20とグロメット60とを備え、本体部20は固定部30と支持部40と長孔45とを有し、回転ノブ50は軸部51とツマミ部53と抜け止め部55とを有し、グロメット60の取付孔75は、軸部51が長孔45の一端側に位置した状態で回転ノブ50が所定回転角度にあるとき、ツマミ部53が挿通可能とされ、軸部51が長孔45の他端側に移動したとき、ツマミ部53が挿通不能で抜け止めされる形状をなし、取付孔近傍には、回転ノブ50を回転させるとき、ツマミ部53が当接して軸部51を長孔45の他端側にスライドさせ、取付孔75と交差する位置で停止させる回転規制部78が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーペットに対してマットを固定するためのマット固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の床には、カーペットが敷かれると共に、運転者や乗員の足が乗る部分には、更にマットが取付けられている。このマットは、カーペットに対して不用意に動かないように固定されると共に、例えば泥や砂が付着したときには、カーペットから取り外して、掃除できるようにされている。
【0003】
カーペットに対してマットを着脱可能に取付けるためのものとして、下記特許文献1には、カーペットに固定される第1クリップと、この第1クリップに取付けられる第2クリップと、マットに固定されるマット固定具と、第2クリップをマット固定具に連結する取付ノブとを備え、前記第1クリップは、C字状の固定部と、この固定部から立設すると共に弾性係止片が設けられた筒状の連結部とを有し、記第2クリップは、フランジと、その上面に形成された支持部と、フランジ下面に形成される共に前記弾性係止片が係合する穴が設けられた筒状の連結部とを有し、前記取付ノブは、矩形状のつまみ部と、このつまみ部から垂設した係止脚とを有する、固定装置が記載されている。また、取付ノブの係止脚が、第2クリップの支持部の孔に挿入されることで、取付ノブが回動可能に支持されている。
【0004】
上記固定装置を用いてカーペットにマットを取付ける際には、次のような作業を行う。すなわち、マットに固定されたマット固定具の楕円穴の長手方向に、取付ノブの矩形状をなしたつまみ部の長手方向を整合させて、楕円穴からつまみ部を突出させ、その後、取付ノブを90度回動させることで、つまみ部が楕円穴に係合して、マット固定具に第2クリップが固定される。
【0005】
そして、カーペットに固定された第1クリップの連結部に、第2クリップの連結部を位置決めして押し込むことにより、第1クリップの連結部の弾性係止片が、第2クリップの連結部の穴に係合して、両連結部が連結されて、カーペットにマットが取付けられるようになっている。
【0006】
一方、カーペットに対してマットを引き上げて、第2クリップの連結部から第1クリップの連結部を引き抜くことで、マットをカーペットから取外せるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−180929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1記載の固定装置では、乗員の爪先が取付ノブのつまみ部にぶつかったり、傘等の物がつまみ部にぶつかったりして、つまみ部に不測の外力が作用した場合に、つまみ部が回ってしまう虞れがある。そして、回動したつまみ部の長手方向が、マット固定具の楕円穴の長手方向に整合した場合、マット固定具の楕円穴からつまみ部が外れてしまう可能性があった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、ノブが回転しても、カーペットからマットが外れないように保持することができる、マット固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のマット固定装置は、カーペット側に取付けられる本体部と、マット側に取付けられるグロメットとを備え、前記本体部に設けられた回転ノブを、前記グロメットに設けられた取付孔に挿通して回転させることにより抜け止めして、カーペットとマットとを連結するように構成され、前記本体部は、カーペットへの固定部と、この固定部に連設された支持部と、この支持部に設けられた長孔とを有し、前記回転ノブは、前記長孔に挿通される軸部と、この軸部の表側端部に設けられたツマミ部と、前記軸部の裏側端部に設けられた抜け止め部とを有し、前記グロメットの取付孔は、前記回転ノブの軸部が前記長孔の一端側に位置した状態で前記回転ノブが所定の回転角度にあるとき、前記ツマミ部が挿通可能とされ、前記回転ノブが上記回転角度とは異なる角度にされたとき、又は前記回転ノブの軸部が前記長孔の他端側に移動したときには、前記ツマミ部が挿通できずに抜け止めされる形状をなし、前記グロメットの取付孔の近傍には、前記回転ノブの軸部が前記長孔の一端側に位置した状態で前記回転ノブを回転させるとき、前記ツマミ部の一端が当接して、前記軸部を前記長孔の他端側にスライドさせ、前記ツマミ部が前記取付孔と交差する位置で停止させる回転規制部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明のマット固定装置においては、前記長孔は、2つの円形孔が部分的に重なって、途中にくびれ部が形成されたダルマ孔状をなしており、前記回転ノブの軸部の外径は、前記各円形孔の内径よりも小さく、前記くびれ部の隙間よりも大きく形成され、前記軸部が前記くびれ部を圧入状態で通過するようにされていることが好ましい。
【0012】
本発明のマット固定装置においては、前記長孔の前記くびれ部の少なくとも一側壁部は、前記軸部が前記くびれ部を通過するときに、外径方向に撓み可能とされていることが好ましい。
【0013】
本発明のマット固定装置においては、前記グロメットの回転規制部は、前記ツマミ部を前記取付孔に挿通させて回転させたときに、前記ツマミ部を前記取付孔の長手方向に対して直交する角度で停止させるように形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回転ノブの軸部が長孔の一端側に位置した状態で、回転ノブを所定の角度にすると、ツマミ部がグロメットの取付孔に挿通できる状態となるので、その状態でツマミ部を取付孔に挿通し、次いで回転ノブを回転させると、ツマミ部の一端がグロメットの回転規制部に当接し、回転ノブの軸部が長孔の他端側にスライドすると共に、ツマミ部が取付孔と交差する位置で停止する。したがって、ツマミ部が取付孔に係合して抜け止めされ、カーペットにマットを固定することができる。
【0015】
そして、使用中にツマミ部が回転して、取付孔に対して交差しない角度になっても、回転ノブの軸部が長孔の他端側に位置するので、ツマミ部は取付孔を通過できず、マットが外れることはない。また、マットを取り外したいときは、ツマミ部を操作して回転ノブの軸部を長孔の一端側に移動させ、その状態でツマミ部を取付孔に整合する回転位置にすることにより、ツマミ部を取付孔から抜き出してマットを外すことができる。
【0016】
このようにツマミ部を取付孔に挿通して回転させるだけで、回転ノブの軸部を長孔の他端側に移動させると共にツマミ部を取付孔と交差する角度にすることができるので、簡単な操作で確実にマットを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るマット固定装置の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同マット固定装置を構成する本体部の平面図である。
【図3】同マット固定装置の裏面側から見た場合の斜視図である。
【図4】同マット固定装置を用いて、カーペットにマットを固定する際の使用方法であって、その第1工程を示しており、(a)は平面図、(b)は断面図でる。
【図5】同マット固定装置の使用方法の第2工程を示しており、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図6】同マット固定装置の使用方法の第3工程を示しており、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図7】同マット固定装置の使用方法の第4工程を示しており、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図8】同マット固定装置の使用方法の第5工程を示しており、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係るマット固定装置の一実施形態について説明する。
【0019】
図1に示すように、この実施形態におけるマット固定装置10は、カーペット1に取付けられる本体部20と、この本体部20に回転可能に装着される回転ノブ50と、マット5に取付けられると共に、その内周に本体部20の取付用の取付孔75(図5(a),(b)参照)が形成されたグロメット60とを備えている。前記カーペット1には、長方形状の固定孔2,3が所定間隔をあけて形成されており、前記マット5には、長手方向両端が丸みを帯びた長孔状のグロメット装着孔7が形成されている。
【0020】
前記本体部20は、カーペット1に固定される固定部30と、この固定部30に連設されると共に長孔45(図2参照)が形成された支持部40とを有しており、前記回転ノブ50は、この長孔45に回転可能に支持されるようになっている。
【0021】
図1に示すように、この実施形態における回転ノブ50は、前記長孔45に挿通される角柱状の軸部51と、この軸部51の表側端部に連結され、前記長孔45の表側に配置されるツマミ部53と、前記軸部51の裏側端部に連結され、前記長孔45の裏側に配置される抜け止め部55とを有している。前記ツマミ部53及び前記抜け止め部55は、それぞれ一方向に長く伸びる長尺形状をなしている。また、前記軸部51の表側端部には、円形状に拡径した円形部51aが設けられている。なお、軸部51の「表側端部」とは、軸部51の、長孔45の表側に位置する軸方向一端部を意味し、「裏側端部」とは、長孔45の裏側に位置する軸方向他端部を意味する。
【0022】
図1〜3を参照して、本体部20の固定部30について説明すると、この固定部30は、前記カーペット1の表面に当接する長板状の板体31を有している。この板体31の裏面であって、長手方向一端部には、リブ34が立設されており、このリブ34の先端に薄肉ヒンジ34aを介して、前記板体31に対して開閉可能とされた長板状の挟持板35が連結されている。リブ34よりもやや長手方向他端部寄りの位置には係合壁32が立設されており、更に、板体31の長手方向他端部には、係合壁33が立設されている。
【0023】
また、上記挟持板35の内面側であって、長手方向基端寄りの位置及び長手方向先端寄りの位置からは、前記係合壁32,33にそれぞれ係合する係合爪36,37が突設されている。また、挟持板35の内面の、前記係合爪37に隣接した位置からは、前記係合壁33の裏面側に配置されて、係合壁32と係合爪36との係合状態を保持する保持片38が立設されている。
【0024】
上記固定部30に連設される支持部40は、グロメット内周に挿入されるグロメット挿入部41と、このグロメット挿入部41の上面にあって、長手方向一端部寄りの位置に段状に突設され、グロメット内周の取付孔75に挿入される取付孔挿入部43とから構成されている。
【0025】
前記グロメット挿入部41は、板体31の上面から立設された周壁41aと、この周壁41aの上端面を形成する天井壁41bとから形成されている。また、取付孔挿入部43は、長手方向両端が半円筒状に丸みを帯びた長枠状の周壁43aと、この周壁43aの上端面をなす天井壁43bとからなる。
【0026】
そして、上記取付孔挿入部43の天井壁43bに、前記回転ノブ50の軸部51を回転可能に且つスライド可能に支持する長孔45が設けられている。図2に示すように、この実施形態の長孔45は、その長手方向一端に配置された円形孔45aと、長手方向他端に配置された円形孔45bとの、同一内径の2つの円形孔45a,45bが部分的に重なって形成されており、その途中にくびれ部45cが設けられたダルマ孔状をなしている。
【0027】
この実施形態の場合、各円形孔45a,45bの内径Rが、前記軸部51の円形部51aの外径Dよりも大きく形成され、この円形部51aの外径Dよりも、前記くびれ部45cの隙間Cが小さく形成されている(R>D>C)。そのため、軸部51の円形部51aが各円形孔45a,45b内で回転可能で、また、軸部51が円形孔45a,45bの間を移動するときに、円形部51aがくびれ部45cを圧入状態で通過するようになっている。
【0028】
また、取付孔挿入部43の周壁43aの、くびれ部45cに整合する長辺側の両側部分は、天井壁43bが配置されておらず、薄肉の周壁43aだけとなっているので、軸部51の円形部51aがくびれ部45cを圧入状態で通過するときに、外径方向に撓むように構成されている。なお、上記周壁43aのくびれ部45cに整合する側部に、スリットや切欠き等を設けて、同周壁43aの側部を撓み可能としてもよく、また、周壁43aの長辺側一側部のみを撓み可能としてもよい。
【0029】
図3に示すように、前記グロメット挿入部41の天井壁41bの裏面には、前記回転ノブ50の抜け止め部55が配置される凹部31aが形成されている(図3及び図4(b)参照)。また、この凹部31a内における前記長孔45の長辺側周縁には、一対のノブ係合リブ47,47が対向して立設されており、回転ノブ50が所定角度回転したときに、抜け止め部55が上記ノブ係合リブ47,47係合して抜け止め保持されるようになっている。また、長孔45の長辺側周縁であって、前記一対のノブ係合リブ47,47の間には、撓み可能な弾性爪48,48が設けられており、図3及び図4(b)に示すように、回転ノブ50の抜け止め部55が、長孔45の裏側へ挿出されたときに、軸部51の円形部51aと抜け止め部55との間に入り込み、本体部20に対して回転ノブ50が抜け止め保持されるようになっている。
【0030】
次にマット5に取付けられるグロメット60について説明する。図1に示すように、このグロメット60は、マット5の表面側に配置される基体70と、マット5の裏面側に配置されると共に、前記基体70に取付けられてマット5を挟持する蓋体80とを有している。
【0031】
基体70は、マット5のグロメット装着孔7に挿入されると共に、前記本体部20の支持部40のグロメット挿入部41に適合して、両端が半円筒状に丸みを帯びた長枠状をなす筒部71と、この筒部71の上端外周から傘状に広がり、前記グロメット装着孔7の表側周縁に係合するフランジ部72とを有している。また、筒部71の外周には、軸方向に沿って段状に突出した複数の凸部からなる係合部73が、周方向に所定間隔をあけて複数突設されている。
【0032】
図1及び図5に示すように、前記筒部71の内周の途中には、段状に突出するツマミ係合壁74が形成されている。このツマミ係合壁74の下面は、筒部71の下端よりも高い位置にあり、筒部71の下端部内周には、前記本体部20のグロメット挿入部41が挿入されて、本体部20に対してグロメット60が回り止めされるようになっている。
【0033】
一方、上記ツマミ係合壁74には、本体部20の取付孔挿入部43及び回転ノブ50のツマミ部53に適合するように、長手方向両端部が丸みを帯びた長孔状をなし、取付孔挿入部43及びツマミ部53を挿入可能とされた取付孔75が形成されている。図6(a)に示すように、この取付孔75は、ツマミ係合壁74の長手方向一端部寄りに位置していて、取付孔75の中央部に、取付孔挿入部43に設けられた長孔45の長手方向一端側の円形孔45aが整合するように形成されている。
【0034】
したがって、回転ノブ50の軸部51が長孔45の円形孔45aに配置された状態で、ツマミ部53の長手方向と取付孔75の長手方向とが一致するように、ツマミ部53を回転配置させたときに、ツマミ部53が取付孔75を挿通できるようになっている(図5参照)。一方、ツマミ部53の長手方向が取付孔75の長手方向に対して交差するようにツマミ部53が回動したとき、及び軸部51が長孔45の円形孔45bに移動したときには、ツマミ部53が取付孔75を挿通不能となり、同ツマミ部53がツマミ係合壁74の取付孔75の表側周縁部に係合して、グロメット60に対して本体部20が抜け止めされるようになっている(図6〜8参照)。
【0035】
また、ツマミ係合壁74の表面側であって、取付孔75の長手方向一端部の、一方の長辺側の周縁部に、回転規制部78が突設されている。図5(a)に示すように、この実施形態における回転規制部78は、前記取付孔75の長手方向に平行な平行面78aと、取付孔75の長手方向に直交する直交面78bと、平行面78a及び直交面78bの間に設けられた円弧状の角部78cとから構成されている。
【0036】
上記回転規制部78は、回転ノブ50の軸部51が、長孔45の長手方向一端側の円形孔45aに配置された状態で、回転ノブ50を回動させるときにツマミ部53に当接し、軸部51を長孔45のくびれ部45cを通過させて、他端側の円形孔45bへと移動させると共に(図7参照)、ツマミ部53のそれ以上の回転を規制して、ツマミ部53の長手方向が取付孔75の長手方向に対して交差する位置、この実施形態ではほぼ直交する位置で停止させて、取付孔75からの抜け止めを図る役割をなしている。
【0037】
なお、この実施形態における回転規制部78は、取付孔75の長手方向一端部の、一方の長辺側周縁部に設けられているが、取付孔75の長手方向一端部の、他方の長辺側周縁部に設けてもよく、回転ノブ50の所定方向への回転を許容すると共に、ツマミ部53に当接して軸部51を長孔45の他端側の円形孔45bに移動させることができるものであればよい。
【0038】
上記基体70に取付けられる蓋体80は、基体70の筒部71に外装されると共に、マット5のグロメット装着孔7に挿入される枠状の筒部81と、この筒部81の基端外周から傘状に広がり、マット5のグロメット装着孔7の裏側周縁に係合するフランジ部82とを有している。また、筒部81の内周には、前記基体70に設けられた段状の係合部73に、段階的に係合する係合爪83が、周方向に均等な間隔をあけて複数突設されている。
【0039】
次に、上記構造からなる本発明に係るマット固定装置10の、使用方法及び作用効果について説明する。
【0040】
まず、本体部20に回転ノブ50を組付ける。すなわち、本体部20の長孔45に回転ノブ50の抜け止め部55を整合させた状態で、本体部20に対して回転ノブ50を押し込んでいき、長孔45の裏側から抜け止め部55を挿出させて、軸部51の円形部51aと抜け止め部55との間に弾性爪48,48を配置する(図3,図4(b)参照)。
【0041】
それと共に、回転ノブ50の軸部51を長孔45の円形孔45a側へとスライドさせることで、軸部51の円形部51aが、取付孔挿入部43の周壁43aの、くびれ部45cに整合する部分を外径方向に撓ませながら、くびれ部45cを圧入状態で通過して、長孔45の円形孔45aに配置される。こうして、本体部20に回転ノブ50が回転可能に抜け止めされて組付けられる(図4参照)。
【0042】
次いで、カーペット1の固定孔2に、本体部20の挟持板35及び係合壁32を挿入し、薄肉ヒンジ34aの部分で折曲させて、カーペット1の裏側から固定孔3に板体31裏面の係合壁33を挿入する。この状態で、板体31に対して挟持板35を閉じ、係合壁32,33に係合爪36,37をそれぞれ係合させることで、カーペット1の表裏両面が板体31及び挟持板35により挟持されて、カーペット1に本体部20を取付けることができる(図4(b)参照)。
【0043】
また、マット5に対してグロメット60を位置決めして装着する。すなわち、マット5のグロメット装着孔7の表側から基体70の筒部71を整合させて挿入し、グロメット装着孔7の表側周縁にフランジ部72を係合させると共に、グロメット装着孔7の裏側から蓋体80の筒部81を整合させて挿入して、前記基体70の筒部71に外装し、係合部73に係合爪83を係合させる。その結果、グロメット装着孔7の表裏両面が基体70のフランジ部72及び蓋体80のフランジ部82により挟持されて、マット5にグロメット60を装着することができる(図5参照)。
【0044】
そして、カーペット1にマット5を取付ける際には、ツマミ部53の長手方向と長孔45の長手方向とを一致させた状態で、本体部20のグロメット挿入部41をグロメット60の基体70の筒部71内周に整合させると共に、ツマミ部53をグロメット60に設けられた取付孔75に整合させて、カーペット1に対してマット5を被せていく。すると、本体部20のグロメット挿入部41がグロメット60の筒部71内周に挿入されると共に、同本体部20の取付孔挿入部43がグロメット60の取付孔75に挿入され、更にツマミ部53が取付孔75から挿出されて、グロメット60のツマミ係合壁74の表側に配置される(図5参照)。この状態では、回転ノブ50の軸部51は、長孔45の長手方向一端側の円形孔45aに配置されている。
【0045】
上記状態で図5(a)に示すように、ツマミ部53の長手方向他端部が回転規制部78に近接する方向(この実施形態の場合は右回し)に、回転ノブ50を回転させる。すると、図6に示すように、ツマミ部53が回転規制部78の角部78cに当接して、回転規制部78に押され、その反力により、ツマミ部53がツマミ係合壁74の表面上を回転しながら、軸部51がくびれ部45cを通過して長孔45の軸方向他端側の円形孔45bへ移動する。このとき、軸部51の円形部51aが、取付孔挿入部43の周壁43aの、くびれ部45cに整合する部分を外径方向に撓ませながら、くびれ部45cを圧入状態で通過する。
【0046】
更に回転ノブ50が回転して、図7に示すように、ツマミ部53の長辺側の一側部が、回転規制部78の直交面78bに当接すると、ツマミ部53の長手方向が取付孔75の長手方向にほぼ直交した状態で、回転ノブ50のそれ以上の回転が規制されて停止する。その結果、ツマミ部53が取付孔75の表側周縁に係合するので、マット固定装置10を介して、カーペット1にマット5を固定することができる。
【0047】
以上のように、このマット固定装置10においては、取付孔75にツマミ部53を挿通させた後、ツマミ部53を回転させるだけで、回転ノブ50の軸部51を長孔45の円形孔45a側から円形孔45b側へと移動させると共に、ツマミ部53を取付孔75に交差する位置に停止させて、取付孔75の周縁に係合させることができるので、簡単な操作で確実にカーペット1にマット5を固定することができる。
【0048】
そして、図8に示すように、カーペット1にマット5が固定された状態で、不測の外力によりツマミ部53が回転して取付孔75に対して交差しない角度となっても、回転ノブ50の軸部51が、長孔45の軸方向他端側の円形孔45bに位置しているので、ツマミ部53が取付孔75の周縁に係合して抜け止めされて、ツマミ部53が取付孔75を通過することが防止され、カーペット1にマット5が固定された状態を確実に維持して、カーペット1からマット5が外れないように保持することができる。
【0049】
一方、清掃や取替え等のために、マット5をカーペット1から取外したい場合には、ツマミ部53を回転させてその長手方向を取付孔75の長手方向に整合させ、回転ノブ50の軸部51を、長孔45の円形孔45bから円形孔45aへと移動させる(図5参照)。その後、カーペット1からマット5を引き離すことで、グロメット60の取付孔75からツマミ部53が抜き出されて、マット5をカーペット1から取外すことができる。
【0050】
また、この実施形態では、長孔45の途中に、軸部51の円形部51aの外径Dよりも小さい隙間Cでくびれ部45cが形成されており、回転ノブ50の軸部51が、長孔45の円形孔45a,45bの間を移動するときに、軸部51の円形部51aが、くびれ部45cを圧入状態で通過するようになっている。このようなくびれ部45cを設けたことにより、長孔45の長手方向他端側の円形孔45bに移動した回転ノブ50の軸部51が、長手方向一端側の円形孔45aに戻りにくくすることができるので、取付孔75からツマミ部53が抜け外れてしまうことをより確実に防止することができる。
【0051】
更に、この実施形態では、取付孔挿入部43の周壁43aの、くびれ部45cに整合する部分が、軸部51の円形部51aがくびれ部45cを圧入状態で通過するときに、外径方向に撓むように構成されているので、軸部51が長孔45の円形孔45a,45bの間を移動するときに、くびれ部45cを通過させやすくすることができる。
【0052】
また、この実施形態では、回転規制部78に、取付孔75の長手方向に直交する直交面78bが設けられており、ツマミ部53を取付孔75に挿通させて回転させたときに、同ツマミ部53の長辺側の一側部が、回転規制部78の直交面78bに当接して、ツマミ部53が取付孔75の長手方向に直交する角度で停止するようになっている(図7参照)。そのため、ツマミ部53の長手方向両端部を取付孔75の表側周縁部に係合させて、取付孔75に対するツマミ部53の係合代を大きく確保することができ、取付孔75からツマミ部53をより確実に抜け外れないようにすることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 カーペット
5 マット
10 マット固定装置
20 本体部
30 固定部
40 支持部
45 長孔
45a,45b 円形孔
45c くびれ部
50 回転ノブ
51 軸部
53 ツマミ部
55 抜け止め部
60 グロメット
75 取付孔
78 回転規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーペット側に取付けられる本体部と、マット側に取付けられるグロメットとを備え、前記本体部に設けられた回転ノブを、前記グロメットに設けられた取付孔に挿通して回転させることにより抜け止めして、カーペットとマットとを連結するように構成されたマット固定装置において、
前記本体部は、カーペットへの固定部と、この固定部に連設された支持部と、この支持部に設けられた長孔とを有し、
前記回転ノブは、前記長孔に挿通される軸部と、この軸部の表側端部に設けられたツマミ部と、前記軸部の裏側端部に設けられた抜け止め部とを有し、
前記グロメットの取付孔は、前記回転ノブの軸部が前記長孔の一端側に位置した状態で前記回転ノブが所定の回転角度にあるとき、前記ツマミ部が挿通可能とされ、前記回転ノブが上記回転角度とは異なる角度にされたとき、又は前記回転ノブの軸部が前記長孔の他端側に移動したときには、前記ツマミ部が挿通できずに抜け止めされる形状をなし、
前記グロメットの取付孔の近傍には、前記回転ノブの軸部が前記長孔の一端側に位置した状態で前記回転ノブを回転させるとき、前記ツマミ部の一端が当接して、前記軸部を前記長孔の他端側にスライドさせ、前記ツマミ部が前記取付孔と交差する位置で停止させる回転規制部が設けられていることを特徴とするマット固定装置。
【請求項2】
前記長孔は、2つの円形孔が部分的に重なって、途中にくびれ部が形成されたダルマ孔状をなしており、前記回転ノブの軸部の外径は、前記各円形孔の内径よりも小さく、前記くびれ部の隙間よりも大きく形成され、前記軸部が前記くびれ部を圧入状態で通過するようにされている請求項1記載のマット固定装置。
【請求項3】
前記長孔の前記くびれ部の少なくとも一側壁部は、前記軸部が前記くびれ部を通過するときに、外径方向に撓み可能とされている請求項2記載のマット固定装置。
【請求項4】
前記グロメットの回転規制部は、前記ツマミ部を前記取付孔に挿通させて回転させたときに、前記ツマミ部を前記取付孔の長手方向に対して直交する角度で停止させるように形成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載のマット固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−111277(P2013−111277A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260641(P2011−260641)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【Fターム(参考)】