説明

ミシン

【課題】作業者の労力をより低減し、つなぎ刺繍の縫製精度を向上させるミシンを実現する。
【解決手段】ミシンMにおいて、刺繍枠11に保持された布地Cに施されている基準線L上の任意の点と基準点Pの2点の位置情報を取得し、その取得した位置情報と、表示エリア22aに表示される刺繍模様に関連つけられている仮想基準線Lv及び仮想基準点Pvとを対応つけるように、その位置情報に応じて刺繍模様に関する縫製データを補正し、その刺繍枠11に保持される布地Cに施されている基準線L及び基準点Pと、表示エリア22aに表示された縫製領域Rに囲われてその領域に含まれた仮想基準線Lv及び仮想基準点Pvを対応つけるように、その刺繍領域Rに含まれる刺繍模様の各部の縫製を補正した縫製データに基づき実行し、分割された刺繍模様を合成するようにして刺繍模様の全体を布地Cに縫い付けることを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刺繍枠(保持枠)にセットされた布地に様々な刺繍模様を縫い付ける刺繍ミシンが知られている。
そして、布地を保持する刺繍枠の大きさよりも大きな刺繍模様(例えば、複数の模様が組み合わされてなる刺繍範囲が刺繍枠よりも大きい刺繍模様)を数回に分けて縫製する、いわゆる「つなぎ刺繍」を行うミシンが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この「つなぎ刺繍」は、刺繍枠にセットした布地に刺繍模様の一部分を縫製した後、刺繍枠から布地を一旦外し、その布地をずらして再度刺繍枠へセットして、その刺繍模様に関する縫製を繰り返すことで、所望する刺繍模様の全体を布地に縫い付けるというものである。
そして、刺繍枠に再セットした布地に縫製する刺繍模様と、既に縫製済みの刺繍模様との相対位置がずれてしまわないように、予め布地に十字線をチャコペン等によって引いておき、その十字線を基準にして布地を刺繍枠に位置合わせしてセットしたり、刺繍枠にセットされた布地の十字線に対してミシン針を位置合わせすることでミシンに基準の十字線を認識させたりすることによって、所望するレイアウトのつなぎ刺繍を行うことが可能になっている。
【特許文献1】特開平11−47471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の場合、ミシンに基準の十字線を認識させるために、その十字線における縦線上の任意の2点と横線上の任意の2点の計4点に対するミシン針の位置合わせ入力を行わなければならない。そして、布地がセットされた刺繍枠の移動と、その布地の十字線に向けたミシン針の上下移動を行って、その十字線に対するミシン針の位置合わせを行う際に、各点毎、より正確な位置合わせを行うために、それらの移動の微調整を繰り返し行うと、それら4点分の位置合わせは、作業者にとって煩わしい作業となることがあった。
また、布地にチャコペンを用いて引かれた基準の十字線は、ミシン針の針先よりも太いため、十字線の幅方向へのミシン針のずれは許容されてしまいやすく、その十字線に対するミシン針の位置合わせに関する誤差は生じやすいので、その位置合わせを行う点が増えるほど、その誤差が大きなものになってしまう恐れがあった。
【0005】
本発明の目的は、作業者の労力をより低減し、つなぎ刺繍の縫製精度を向上させるミシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ミシンであって、所望する刺繍模様を刺繍する際の基準となる基準線及びその基準線上の基準点が施された布地を保持する刺繍枠と、刺繍枠より大きな範囲の刺繍模様と、刺繍模様を布地に刺繍する際の位置や角度の基準とする仮想基準線及びその仮想基準線上の仮想基準点とを関連つけて表示する表示部と、刺繍模様の一部分と仮想基準線及び仮想基準点を含むように、刺繍枠に対応する縫製領域を表示部に表示させる縫製領域表示手段と、刺繍枠に保持された布地に施されている基準線上の任意の点と基準点の2点の位置情報を取得する基準位置情報取得手段と、基準位置情報取得手段により取得された位置情報と、仮想基準線及び仮想基準点とを対応つけて、位置情報に基づく布地の配置に応じて刺繍模様に関する縫製データを補正する縫製データ補正手段と、縫製データ補正手段により補正された縫製データに基づき、縫製領域に含まれた刺繍模様の一部分を布地に縫製する縫製制御手段と、を備え、縫製制御手段が、布地に施されている基準線及び基準点と、縫製領域表示手段により縫製領域に含まれた仮想基準線及び仮想基準点とを対応つけるように刺繍模様の各部の縫製を実行し、分割された刺繍模様を合成するようにして刺繍模様の全体を布地に縫い付けることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、ミシンにおいて、刺繍枠に保持された布地に施されている基準線上の任意の点と基準点の2点の位置情報を取得し、その取得した位置情報と、表示部に表示される刺繍模様に関連つけられている仮想基準線及び仮想基準点とを対応つけて、その位置情報に基づく布地の配置に応じて刺繍模様に関する縫製データを補正することができる。
そして、このミシンにおいて、刺繍枠に保持される布地に施されている基準線及び基準点と、表示部に表示された縫製領域に囲われてその領域に含まれた仮想基準線及び仮想基準点とを対応つけるように、その刺繍領域に含まれる刺繍模様の各部の縫製を補正した縫製データに基づき実行し、分割された刺繍模様を合成するようにして刺繍模様の全体を布地に縫い付けることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンにおいて、縫製データ補正手段は、表示部において刺繍模様に関連つけて表示される仮想基準線及び仮想基準点を、基準位置情報取得手段により取得された位置情報に関する基準線及び基準点に対して重ね合わせる変換を行うように、刺繍模様に関する縫製データを補正することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、このミシンの表示部において刺繍模様に関連つけて表示される仮想基準線及び仮想基準点を、取得した位置情報に関する基準線及び基準点に対して重ね合わせる変換を行うように、刺繍模様に関する縫製データを補正することができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、ミシンにおいて、刺繍枠に保持された布地に施されている基準線上の任意の点と基準点の2点の位置情報を取得し、その取得した位置情報と、表示部に表示される刺繍模様に関連つけられている仮想基準線及び仮想基準点とを対応つけて、その位置情報に基づく布地の配置に応じて刺繍模様に関する縫製データを補正することができる。そして、ミシンにおいて、刺繍枠に保持される布地に施されている基準線及び基準点と、表示部に表示された縫製領域に囲われてその領域に含まれた仮想基準線及び仮想基準点とを対応つけるように、その刺繍領域に含まれる刺繍模様の各部の縫製を補正した縫製データに基づき実行し、分割された刺繍模様を合成するようにして刺繍模様の全体を布地に縫い付けることができる。
【0011】
つまり、このミシンにおいて、表示部に表示された刺繍模様に関連つけられている仮想基準線及び仮想基準点と、刺繍枠に保持された布地に施されている基準線及び基準点を対応つけることによって、大きな刺繍模様を幾つかの部分に分割して布地に縫製する際に、その幾つかの分割部分の刺繍を布地の適切な位置に縫製し、その分割部分の刺繍を組み合わせて大きな刺繍模様を布地に縫い付けるようにして、より高精度のつなぎ刺繍を行うことができる。
特に、表示部に表示される仮想基準線及び仮想基準点と、刺繍枠に保持された布地に施された基準線及び基準点を対応つける際に利用する十字線などの基準指標を、作業者は、刺繍枠に保持されている布地の基準線上の任意の点と、その布地の基準線上の基準点の2点に対する縫い針の位置合わせを行うなどして、その2点の座標データなどの位置情報を取得することによって設定することが可能となる。
【0012】
具体的には、基準線上の任意の点と、基準線上の基準点の2点の座標データが得られれば、その2点を結ぶ連結線を演算などにより求めることによって、基準線に関する関数を取得することができる。そして、基準線に関する関数と基準点とから十字線を設定することが可能であるので、従来行われている4点の位置合わせの手法より、位置合わせ作業の回数を減らすことができる。
【0013】
よって、このミシンは、2点の座標データなどの位置情報を取得することによって基準指標の十字線などを設定することが可能となるので、従来行われている4点の位置合わせの手法より、位置合わせ作業の回数を減らすことができ、その煩わしい作業を軽減することが可能になる。
従って、このミシンは、作業者の労力をより低減し、つなぎ刺繍の縫製精度を向上させることができるミシンであるといえる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、ミシンの表示部において刺繍模様に関連つけて表示される仮想基準線及び仮想基準点を、取得した位置情報に関する基準線及び基準点に対して重ね合わせる変換を行うように、刺繍模様に関する縫製データを補正することができるので、より容易により正確な縫製データの補正を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
本実施形態において、刺繍ミシンを例に挙げて説明する。
刺繍ミシンは、縫製を行う被縫製物である布地を保持する刺繍枠を有し、その刺繍枠が縫い針に対し相対的に移動することにより、刺繍枠に保持される布地に所定の縫製データに基づく縫い目形状の縫い目を形成するミシンである。
ここで、後述する縫い針8が上下動を行う方向をZ軸方向(上下方向)とし、これと直交する一の方向をX軸方向(左右方向)とし、Z軸方向とX軸方向の両方に直交する方向をY軸方向(前後方向)と定義する。
【0016】
刺繍ミシンM(以下、ミシンM)は、図1、図2に示すように、ミシン本体1と、ミシン本体1に配設された枠移動機構13等により構成されている。
【0017】
ミシンMは、図1に示すように、外形が側面視にて略コ字状を呈するミシンフレーム2を備えている。このミシンフレーム2は、ミシンMの上部をなしX軸方向に延びるミシンアーム部2aと、ミシンMの下部をなしX軸方向に延びるミシンベッド部2bと、ミシンアーム部2aとミシンベッド部2bとを連結する縦胴部2cとを有している。
【0018】
このミシンM(ミシン本体1)には、ミシンフレーム2内にミシン駆動機構が配され、回動自在でX軸方向に延びる図示しない上軸及び図示しない下軸を有している。上軸(図示省略)はミシンアーム部2aの内部に配され、下軸(図示省略)はミシンベッド部2bの内部に配されている。
上軸(図示省略)は、ミシンモータ5(図2参照)に接続され、このミシンモータ5により回動力が付与される。また、下軸(図示省略)は、図示しない動力伝達機構を介して上軸と連結しており、上軸が回動すると、上軸の動力が動力伝達機構(図示省略)を通じて下軸側へ伝達され、下軸が回動するようになっている。
上軸(図示省略)の前端側には、上軸の回動によりZ軸方向に上下動する針棒8aが接続されており、その針棒8aの下端には、縫い針8が交換可能に備えられている。また、ミシンアーム2aには縫い針8の上下動による布の浮き上がりを防止するために、針棒8aの上下動と連動して上下動し、縫い針8の周囲の布を押圧する周知の中押さえ12が設けられている。
また、下軸(図示省略)の前端には、釜(図示省略)が設けられている。上軸とともに下軸が回動すると、縫い針8と釜(図示省略)との協働により縫い目が形成される。
なお、ミシンモータ5、上軸(図示省略)、針棒8a、縫い針8、下軸(図示省略)、釜(図示省略)等の接続構成や動作は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0019】
また、図1に示すように、ミシンベッド部2bには、キャリッジ13aと取付部材13bを有する枠移動機構13が配設されており、この取付部材13bに取り付けられている布保持部としての刺繍枠11と、ミシンアーム部2aの縫い針8がミシンベッド部2b上に配置されるようになっている。
刺繍枠11は、取付部材13bを介して枠移動機構13に取り付けられており、その取付部材13bにはキャリッジ13aやミシンベッド2b内に配置されたパルスモータであるX軸モータ14及びY軸モータ15が枠駆動部として連結されている(図2参照)。
刺繍枠11は、布地を保持し、枠移動機構13におけるX軸モータ14及びY軸モータ15の駆動に伴い、保持した布を刺繍枠11ごと前後左右方向(XY方向)に移動し、その保持した布を縫い針8に対して位置決めするようになっている。そして、刺繍枠11の移動と、縫い針8や釜(図示省略)の動作が連動することにより、布地に所定の縫製データ(例えば、刺繍枠11より大きな範囲の刺繍模様に関する縫製データ)に基づく針落ちを施すことで縫い目が形成される。特に、刺繍枠11における所定の縫製エリアであるその刺繍枠11の内側に保持される布に、所望する縫い目形状の刺繍縫い目が形成される。
つまり、ミシンMは、その枠の内側が縫製可能範囲(縫製エリア)である刺繍枠11を有し、その刺繍枠11の内側に保持される布地における縫製可能範囲に、縫製データに応じた刺繍模様を形成する針落ちを施し、所望する縫い目形状の刺繍縫い目を形成するようになっている。
【0020】
また、ミシンMは、図1、図2に示すように、スタートストップスイッチ16a、返し縫いスイッチ16b、糸切りスイッチ16c、スピード調整ボリューム16dを有するキーマトリクス16を備えている。
キーマトリクス16は、ミシンMを駆動し、針棒8a(縫い針8)を上下動させたり、刺繍枠11を動作させたりするための操作キーの機能を有する。すなわちキーマトリクス16が操作されたことに基づき出力される信号が各種キーの操作信号として後述する制御部100に出力され、制御部100はその操作信号に応じて、ミシンモータ5等を駆動して、ミシンMを動作させるように構成されている。
【0021】
また、ミシンMは、図1、図2に示すように、作業者がミシンに対する各種設定操作や各種データ等の入力操作を行うための操作パネル20を備えている。この操作パネル20とミシンM(制御部100)とは、図示しない回線により接続されている。
操作パネル20は、図2に示すように、表示部としての液晶パネル22と、その液晶パネル22の表示画面上(表示画面の前面)に設けられた透明なタッチスイッチとしてのタッチパネル21とを備えて構成されており、液晶パネル22に表示される操作キー等をタッチ操作することにより、例えば、電磁誘導式、磁気歪式、感圧式等の位置読み取り原理で、タッチパネル21がタッチ指示された位置を検出し、その検出した位置に応じて、各種データの入力や操作指示の入力等を行うことが可能になっている。例えば、表示部として機能する操作パネル20に表示される操作キーをタッチ指示することによって、所定の操作入力を行うことにより、操作パネル20の液晶パネル22における表示画面が様々に切り替わり、各種操作画面や各種操作キー、各種設定データ等が表示されるようになっている。また、操作パネル20がタッチ指示されて入力された信号等は、後述する制御部100に出力される。このように操作パネル20が、ミシンの入力部や表示部としての機能を有するようになっている。
また、液晶パネル22は、刺繍模様を表示するための表示エリア22a(図3参照)を有している。
【0022】
操作パネル20に表示される操作キー群は、例えば、図3等に示すように、八方向キー21a、OKキー21b、座標取得キー等を有している。
操作パネル20の液晶パネル22は、上記操作キー群を表示するとともに、表示エリア22aに各種刺繍模様や、縫製時の基準とする仮想基準線Lvおよび仮想基準点Pv、刺繍枠11の縫製可能範囲に対応する縫製領域R等を表示する。なお、表示エリア22aには、例えば、刺繍模様全体のレイアウト画像や、縫製領域Rに対応する刺繍模様の分割画像などが表示される。
【0023】
また、図2に示すように、ミシンMは、ミシンモータ5、X軸モータ14、Y軸モータ15、操作パネル20、キーマトリクス16等に接続される制御部100を有している。
この制御部100は、ミシンモータ5、X軸モータ14、Y軸モータ15、操作パネル20及びその他の図示しないアクチュエータについて所定の制御プログラムに従って各種の処理及び制御を実行するCPU101と、各種の処理及び制御を実行するためのプログラムや各種の処理及び制御に要するデータが格納された記憶部としてのROM102と、各種のデータを格納して各種の処理の作業領域となるRAM103と、新たなデータの書き込み/消去が可能な記憶部であるEEPROM104と、CPU101と各種の機器との接続を図るインターフェース(図示省略)と、各モータ用のパルスモータドライバ(図示省略)等を備えている。
【0024】
CPU101は、キーマトリクス16から入力される操作信号や、操作パネル20から入力される各種設定信号、各種データ等に応じて、ROM102に格納されている刺繍ミシン用の各種制御プログラムやEEPROM104に格納されている各種縫製データに従ってミシンの各部の動作処理を集中制御し、その処理結果をRAM103内のワークエリアに格納するとともに、操作パネル20の操作により入力された各種データや、RAM103に格納した処理結果を必要に応じてEEPROM104に記憶させる。
そして、CPU101は、ミシンMを構成する各部の駆動を制御する制御手段として機能する。
【0025】
ROM102には、ミシンMの制御プログラムや制御データ、各種縫製に関するデータや表示画面情報等が格納され、記憶されている。
例えば、ROM102には、被縫製物に各種縫い目を形成するために、針棒8a(縫い針8)や刺繍枠11を動作させるための、複数の刺繍模様の縫い目形状に関する様々な縫製データが予め記憶されている。この縫製データとしては、縫い目形状を示す形状点の座標(形状点データ)や、その形状点に基づき算出された針落ち点の座標(針落ち点データ)が、刺繍枠11に対する縫い針8の位置に関連つけられた針落ちする位置の座標データ(座標点)として記憶されている。また、その座標データの位置に縫い針8を配置するように、刺繍枠11を縫い針8に対して相対移動させる際の移動量に関する移動量データが記憶されている。
また、ROM102には、刺繍枠11を移動させる際の基点となる、刺繍枠11に関する原点の座標データが記憶されている。この原点座標を基準にして、刺繍枠11の移動や針落ち点の座標取得などを行うことが可能になっている。
また、ROM102には、仮想基準線Lvを示す関数に関するデータ(例えば、基準指標としての十字線に関するデータ)が記憶されている。
【0026】
RAM103には、種々のワークメモリやカウンタなどが設けられており、入力されたデータの処理中や、縫製動作中のワークエリアとして使用される。
【0027】
EEPROM104には、ROM102に記憶されているデータ以外の縫製データや表示画面情報、また、オペレータが操作パネル20を介して設定した縫製データ等が複数記憶されている。
なお、EEPROM104に記憶される縫製データは、例えば、ROM102に記憶されている幾つかの縫製データに基づく複数の刺繍模様を所望する配置にレイアウトして組み合わせた刺繍模様に関する縫製データなどである。このEEPROM104に記憶される縫製データは、ROM102に記憶されている刺繍模様に関する縫製データにおける形状点データや針落ち点データを、そのレイアウトの配置や、模様サイズの拡大・縮小などに応じて調整して作成された形状点データや針落ち点データ(座標データ、移動量データ)からなる縫製データである。
【0028】
このような制御部100は、X軸モータ14に併設されたX軸原点センサ(図示省略)やY軸モータ15に併設されたY軸原点センサ(図示省略)、キーマトリクス16から入力される操作信号や、操作パネル20から入力される各種設定データや、ROM102やEEPROM104に記憶された各種データを、ROM102に格納されている刺繍ミシン用の各種制御プログラムにより処理し、各モータや操作パネル20又はその他アクチュエータの制御を実行する。
【0029】
そして、制御部100は、縫製の実行時においては、CPU101が所定の制御プログラムを実行することにより、ROM102又はEEPROM104に記憶された縫製データを読み取り、ミシンモータ5の駆動開始と共に縫製データが示す針落ち位置となるようにX軸モータ14及びY軸モータ15を駆動し、刺繍枠11を縫い針8(針棒8a)に位置決めする制御手段としての処理を実行する。そして、制御部100は、ミシンモータ5の回転に同期させながら、縫製データに設定された座標データに基づき複数の針落ち位置に順番に刺繍枠11を位置決めし、縫い針8を針落ちさせる制御を縫製完了まで継続し、所定の刺繍模様を布地に縫製して形成する。
【0030】
また、制御部100は、刺繍枠11より大きな範囲の刺繍模様と、その刺繍模様を布地に刺繍する際の位置や角度の基準とする仮想基準線Lv及びその仮想基準線上の仮想基準点Pvとを関連つけて、操作パネル20の液晶パネル22における表示エリア22aに表示させる制御を実行する。
また、制御部100は、その刺繍模様の一部分と、仮想基準線Lv及び仮想基準点Pvを含むように、刺繍枠11に対応する縫製領域Rを、操作パネル20の液晶パネル22における表示エリア22aの任意の位置に表示させる縫製領域表示手段として機能する。
具体的には、縫製領域表示手段としての制御部100は、操作パネル20の液晶パネル22における表示エリア22aに表示されている刺繍模様の一部分と、仮想基準線Lv及び仮想基準点Pvを囲うように、刺繍枠11のサイズ(縫製エリア)に対応する縫製領域Rを表示エリア22aにおける所望する位置に移動させて表示させる制御を実行する。
【0031】
また、制御部100は、刺繍枠11に保持された布地に施されている基準線L上の任意の点と基準点Pの2点の位置情報を取得する基準位置情報取得手段として機能する。
具体的には、基準位置情報取得手段としての制御部100は、操作パネル20の八方向キー21aが押下された操作などによって刺繍枠11を移動させて、相対的に縫い針8を移動させることにより、刺繍枠11に保持された布地に施されている基準線L上の任意の点と、基準点Pに対して縫い針8をそれぞれ位置合わせさせて、その2点の座標など位置情報を取得する制御を実行する。
そして、基準位置情報取得手段としての制御部100は、取得した基準線L上の任意の点と基準点Pの座標データに基づき、その2点を結ぶ連結線を演算などにより求めることで、刺繍枠11に保持される布地に施されている基準線Lに関する関数を取得する。
【0032】
また、制御部100は、基準位置情報取得手段としての制御部100により取得された位置情報と仮想基準線Lv及び仮想基準点Pvとを対応つけて、その位置情報に基づく布地の配置に応じて、刺繍模様に関する縫製データを補正する縫製データ補正手段として機能する。
具体的には、縫製データ補正手段としての制御部100は、基準点Pと仮想基準点Pvの位置(座標)のずれや、基準線Lと仮想基準線Lvの傾きのずれを相殺するように、実際に布地に縫製される刺繍の縫い目が所望する配置や角度となるように刺繍模様に関する縫製データを補正する制御を実行する。つまり、縫製データ補正手段としての制御部100は、基準位置情報取得手段としての制御部100により取得された基準線Lに関する関数に対して基準点Pの位置を交点とする十字線と、仮想基準線Lvに対して仮想基準点Pvを交点とする十字線との位置のずれや傾きのずれを修正するように、操作パネル20(液晶パネル22)の表示エリア22aにおいて仮想基準線Lvおよび仮想基準点Pvを基準に表示された刺繍模様を、刺繍枠11に保持されている布地に対して縫製することができるような縫製データに補正する制御処理を行う。
【0033】
また、制御部100は、縫製データ補正手段としての制御部100により補正された縫製データに基づき、縫製領域Rに含まれた刺繍模様の一部分を布地に縫製する縫製制御手段として機能する。
そして、この縫製制御手段としての制御部100が、布地に施されている基準線L及び基準点Pと、縫製領域表示手段としての制御部100によって縫製領域Rに含まれた仮想基準線Lv及び仮想基準点Pvとを対応つけるように刺繍模様の各部の縫製を実行し、分割された刺繍模様を合成するようにして、刺繍模様の全体を布地に縫い付ける制御を実行する。
なお、つなぎ刺繍に関し、縫製領域Rに含まれた刺繍模様の一部分を布地に縫製する動作や処理は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0034】
次に、本実施の形態におけるミシンMにおいて、刺繍枠11のサイズよりも大きな刺繍模様を布地に施す際の処理動作について、図4に示すフローチャートに基づき説明する。
なお、本実施形態においては、図5に示すように、刺繍枠11における縫製可能範囲より約4倍大きな範囲の刺繍模様の縫製を例に説明する。
【0035】
まず、作業者による操作パネル20の所定のキー操作によって、ROM102に記憶されているハート型の模様に関する縫製データと、笑顔型の模様に関する縫製データをそれぞれ読み出して、図6に示すように、仮想基準線Lvと仮想基準点Pvが表示された操作パネル20(液晶パネル22)の表示エリア22aにそれぞれの刺繍模様をレイアウトするように複数並べて配置して、複数のハート型模様と笑顔型模様とが組み合わされてなる所望する大きな刺繍模様を作成し、作成した大きな刺繍模様に関する縫製データをEEPROM104に記憶する(ステップS101)。
そして、図7に示すように、作成した大きな刺繍模様を施す対象の布地Cに、基準線Lと基準点Pをチャコペンにて描画する。なお、作業者は、作成した大きな刺繍模様が仮想基準線Lvと仮想基準点Pvに関連つけられて表示されている表示エリア22aにおける仮想基準線Lvと仮想基準点Pvに相当するように、基準線Lと基準点Pを布地Cにチャコペンで描画する。
ここで、操作パネル20の表示エリア22aには、縦線の仮想基準線Lvが表示されており、その仮想基準線Lvと垂直に交わる横線との交点が仮想基準点Pvとして表示されている(図6参照)。また、布地Cには、仮想基準線Lvに相当する基準線Lと、仮想基準点Pvに相当する基準点Pを示すように、基準線L上に交点をなす目印線が描画されて設けられている(図7参照)。
【0036】
次いで、作業者による操作パネル20の八方向キー21aの操作や、表示エリア22aを直接タッチ指示する操作によって、図8に示すように、刺繍枠11における縫製可能範囲に対応する縫製領域Rを表示エリア22aに表示させるとともに移動させて、その縫製領域Rが大きな刺繍模様の一部分と仮想基準線Lv及び仮想基準点Pvを含む状態となった所望する位置でOKキー21bを押下することにより、ミシンMが刺繍を施す範囲に対応する縫製領域Rを指定して設定する(ステップS102)。
そして、OKキー21bが押下されたことに伴い、図9に示すように、操作パネル20の表示領域22aには、縫製領域Rによって囲われた範囲(図6参照)であって、大きな刺繍模様の一部分と、その範囲おける仮想基準線Lv及び仮想基準点Pvが、表示領域22aの枠いっぱいに拡大して表示されるようになる。
なお、この操作パネル20の表示領域22aに表示された仮想基準線Lv及び仮想基準点Pvは、刺繍枠11に対して布地Cのどの部分を保持させるようにすればよいのかを示す指標となる。
【0037】
そして、作業者は、図9に示す操作パネル20の表示領域22aに表示されている仮想基準線Lv及び仮想基準点Pvを参考にして、基準線L及び基準点Pが描画されている布地Cを刺繍枠11に取り付けて保持させる。具体的には、図9に示す操作パネル20の表示領域22aは、縫製領域Rに囲われた範囲であって、刺繍枠11における縫製可能範囲に対応しているので、表示領域22aに表示されている仮想基準線Lv及び仮想基準点Pvに相当するように、刺繍枠11に対して基準線L及び基準点Pを配するように、布地Cを刺繍枠11に取り付けるようにすればよい。
そして、布地Cを刺繍枠11に取り付けた後、作業者は、図9に示す操作パネル20のOKキー21bを押下する。
【0038】
そして、布地Cが刺繍枠11に取り付けられた後に、作業者によってOKキー21bが押下されたことに伴い、図10に示すように、操作パネル20には、基準位置情報取得手段の一部として機能する座標取得キーである基準線指定キー21cと基準点指定キー21dが、八方向キー21aとOKキー21bとともに表示される。
次いで、作業者が、八方向キー21aを操作して刺繍枠11を移動させて、相対的に縫い針8を移動させることにより、刺繍枠11に保持されている布地Cに描画されている基準線L上の任意の点に対して縫い針8を位置合わせして、基準線指定キー21cを押下することによって、基準線L上の任意の点に関する座標データを取得する。続けて、作業者が、八方向キー21aを操作して刺繍枠11を移動させて、相対的に縫い針8を移動させることにより、刺繍枠11に保持されている布地Cに描画されている基準点Pに対して縫い針8を位置合わせして、基準点指定キー21dを押下することによって、基準点Pに関する座標データを取得する。なお、基準線L上の任意の点と基準点Pとは異なる点となるようにする。
そして、制御部100は、取得した基準線L上の任意の点と基準点Pの2点の座標データに基づき、その2点を結ぶ連結線を演算などにより求めることで、刺繍枠11に実際に取り付けられて保持される布地Cに描画されている基準線Lに関する関数を取得する(ステップS103)。
【0039】
次いで、基準線指定キー21cと基準点指定キー21dが押下された後に、作業者によりOKキー21bが押下されると、制御部100は、取得した基準線Lに関する関数と、その基準線Lと垂直に交わり基準点Pを通る基準垂直線とがなす十字線に、仮想基準線Lvと、仮想基準点Pvを通り仮想基準線Lvに垂直に交わる横線とがなす十字線が重なるように、その仮想基準線Lvと仮想基準点Pvの配置を変換する補正処理によって、操作パネル20の表示エリア22aにおいて仮想基準線Lvと仮想基準点Pvを基準に表示された刺繍模様に関する縫製データを、その刺繍枠11に保持されている布地Cに対して縫製するための縫製データに変換する補正処理を行う(ステップS104)。
なお、仮想基準線Lvと、仮想基準点Pvを通り仮想基準線Lvに垂直に交わる横線とがなす基準指標となる十字線に関するデータ(十字線をなす仮想基準線Lvと、交差する横線のそれぞれの関数)は、予めROM102に記憶されて格納されている。
【0040】
具体的には、例えば、図11に示すように、基準線Lに関する十字線と、仮想基準線Lvに関する十字線とが、角度θずれている場合、表示エリア22aに表示された刺繍模様に関する縫製データを角度θ回転移動させる変換による補正によって、縫製データにおける針落ち点の座標を調整する補正処理を行う。
なお、基準線Lに関する十字線と、仮想基準線Lvに関する十字線との位置が、距離zずれている場合、表示エリア22aに表示された刺繍模様に関する縫製データを距離z平行移動させる変換による補正によって、縫製データにおける針落ち点の座標を調整する補正処理を行うようにすればよい。また、縫製データを角度θ回転移動させる変換による補正と、その縫製データを距離z平行移動させる変換による補正をともに行う補正処理を行うようにしてもよい。
【0041】
そして、制御部100が、その刺繍模様に関する縫製データを変換する補正処理を行うと、図12に示すように、操作パネル20の表示エリア22aには、補正処理された縫製データに関する刺繍模様であって、刺繍枠11に保持される布地Cの状態(基準線Lなどを基準にした際に、その布地Cに刺繍枠11に対するずれや傾きがある状態)に応じて、その布地Cに実際に縫製する向きの刺繍模様が表示される。
ここで、作業者により、ミシンMのスタートストップスイッチ16aが操作されると、操作パネル20の表示エリア22aに表示されている刺繍模様を刺繍枠11の布地Cに縫い付ける縫製が実行される(ステップS105)。なお、ミシンMが縫製可能とする刺繍模様は、操作パネル20の表示エリア22aにその形状が欠けることなく表示されている模様(例えば、図12における表示エリア22aに表示されている2つのハート型模様と2つ笑顔型模様)である。
また、制御部100は、大きな刺繍模様において縫製を終えた刺繍模様部分(例えば、大きな刺繍模様における左上部分の2つのハート型模様と2つ笑顔型模様)をRAM103に一時的に格納する。
【0042】
次いで、制御部100は、大きな刺繍模様の全体の縫製を終えたか否かを判断する(ステップS106)。
制御部100が、大きな刺繍模様の全体の縫製を終えていないと判断すると(ステップS106;No)、ステップS102に戻り、残りの刺繍模様の縫製を続けて行うように処理を継続する。また、この際、制御部100は、大きな刺繍模様のうち、縫製を終えた模様部分と、縫製を終えていない模様部分とを識別可能に操作パネル20の表示エリア22aに表示するようになっており、作業者が、縫製領域Rによって、縫製を終えていない模様部分を指定しやすくすることが好ましい。
なお、つなぎ刺繍に関し、縫製領域Rに含まれる刺繍模様の各部を布地Cに縫製し、刺繍模様の全体を布地Cに縫い付ける動作や処理は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0043】
一方、制御部100が、大きな刺繍模様の全体の縫製を終えたと判断すると(ステップS106;Yes)、大きな刺繍模様を布地Cに施す処理を終了し、ミシンMは動作停止する。
以上のように、ミシンMは、大きな刺繍模様を縫製領域Rによって分割するように指定された領域に対応する模様の縫製を繰り返し実行し、分割された刺繍模様を合成するようにして、大きな刺繍模様の全体を布地Cに縫い付けるつなぎ刺繍を行うことが可能になっている。
【0044】
このように、ミシンMにおいて、大きな刺繍模様を布地Cに縫製する際に、大きな刺繍模様を縫製領域Rによって分割して、分割された小さな刺繍模様をつなぎ合わせるつなぎ刺繍を精度よく行うことができる。
つまり、ミシンMにおいて、操作パネル20の表示エリア22aに表示された大きな刺繍模様に関連つけられた仮想基準線Lv及び仮想基準点Pvと、刺繍枠11に保持された布地Cに描画された基準線L及び基準点Pを対応つけることによって、その大きな刺繍模様を幾つかの部分に分割して布地Cに縫製する際に、その幾つかの分割部分の刺繍を布地Cの適切な位置に縫製し、その分割部分の刺繍を組み合わせて大きな刺繍模様を布地Cに縫い付けるようにして、より縫製精度を向上させたつなぎ刺繍を行うことができる。
【0045】
特に、表示エリア22aの仮想基準線Lv及び仮想基準点Pvと、刺繍枠11に保持された布地Cに描画された基準線L及び基準点Pを対応つける際に利用する十字線を、作業者は、刺繍枠11に保持されている布地Cに描画されている基準線L上の任意の点に対して縫い針8を位置合わせすることと、その布地Cに描画されている基準点Pに対して縫い針8を位置合わせすることによる2点の位置合わせを行い、その2点の座標データを取得することによって、基準線Lに関する関数と、その基準線Lと垂直に交わり基準点Pを通る基準垂直線に関する関数とがなす十字線を設定することができるので、従来行われている手法より、位置合わせ作業の回数を減らすことができ、その煩わしい作業を軽減することが可能になる。
【0046】
また、従来のように、布地における4点に対する縫い針の位置合わせによって、布地の十字線を入力する場合、その十字線の縦線と横線とが垂直に交差するように設定入力することは難しいものであったが(目視では垂直のようであっても、正確な垂直とする入力は難しい)、本発明に係るミシンMのように、刺繍枠11に保持されている布地Cに描画されている基準線L上の任意の点に対して縫い針8を位置合わせすることと、その布地Cに描画されている基準線L上の基準点Pに対して縫い針8を位置合わせすることによって、その2点を結ぶ連結線である基準線Lの関数を設定し、基準点Pを通り、その基準線Lと垂直に交わる基準垂直線に関する関数を設定する手法であれば、縦線と横線とが正確に直交する十字線を設定することができるので、より好適なつなぎ刺繍を行うことが可能になる。
【0047】
従って、本発明に係るミシンMは、作業者の労力をより低減し、つなぎ刺繍の縫製精度を向上させることができるミシンであるといえる。
【0048】
なお、以上の実施の形態においては、刺繍枠11における縫製可能範囲より約4倍大きな範囲の刺繍模様の縫製を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、刺繍枠11の縫製可能範囲より大きなサイズの刺繍を行う場合であれば、任意の大きさの刺繍模様に関して本発明を適用することができる。
【0049】
また、以上の実施の形態においては、布地Cの縦方向に基準線Lを描画したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、縦方向に並ぶ刺繍模様が多く、基準線Lが確認しにくくなる場合には、横方向に基準線を描画してもよい。その際、表示エリア22aの横線が仮想基準線となる。
【0050】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明にかかるミシンを示す斜視図である。
【図2】本発明にかかるミシンの要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明にかかるミシンの操作パネルの一例を示す平面図である。
【図4】本発明にかかるミシンにおいて大きな刺繍模様を布地に縫製する際の処理動作を示すフローチャートである。
【図5】刺繍枠と大きな刺繍模様を比較して示す説明図である。
【図6】本発明における操作パネルの表示例を示す平面図である。
【図7】布に描画する基準線と基準点の説明図である。
【図8】本発明における操作パネルの表示例を示す平面図である。
【図9】本発明における操作パネルの表示例を示す平面図である。
【図10】本発明における操作パネルの表示例を示す平面図である。
【図11】縫製データの補正処理の一例を示す説明図である。
【図12】本発明における操作パネルの表示例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 ミシン本体
5 ミシンモータ
8 縫い針
11 刺繍枠
16 キーマトリクス
20 操作パネル
21 タッチパネル
21a 八方向キー
21b OKキー
21c 基準線指定キー
21d 基準点指定キー
22 液晶パネル(表示部)
22a 表示エリア
100 制御部(縫製領域表示手段、基準位置情報取得手段、縫製データ補正手段、縫製制御手段)
M 刺繍ミシン(ミシン)
C 布地
L 基準線
Lv 仮想基準線
P 基準点
Pv 仮想基準点
R 縫製領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望する刺繍模様を刺繍する際の基準となる基準線及びその基準線上の基準点が施された布地を保持する刺繍枠と、
前記刺繍枠より大きな範囲の刺繍模様と、前記刺繍模様を前記布地に刺繍する際の基準とする仮想基準線及びその仮想基準線上の仮想基準点とを関連つけて表示する表示部と、
前記刺繍模様の一部分と前記仮想基準線及び仮想基準点を含むように、前記刺繍枠に対応する縫製領域を前記表示部に表示させる縫製領域表示手段と、
前記刺繍枠に保持された前記布地に施されている前記基準線上の任意の点と前記基準点の2点の位置情報を取得する基準位置情報取得手段と、
前記基準位置情報取得手段により取得された位置情報と、前記仮想基準線及び仮想基準点とを対応つけて、前記位置情報に基づく前記布地の配置に応じて前記刺繍模様に関する縫製データを補正する縫製データ補正手段と、
前記縫製データ補正手段により補正された縫製データに基づき、前記縫製領域に含まれた前記刺繍模様の一部分を前記布地に縫製する縫製制御手段と、
を備え、
前記縫製制御手段が、前記布地に施されている前記基準線及び基準点と、前記縫製領域表示手段により前記縫製領域に含まれた前記仮想基準線及び仮想基準点とを対応つけるように前記刺繍模様の各部の縫製を実行し、分割された前記刺繍模様を合成するようにして前記刺繍模様の全体を前記布地に縫い付けることを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記縫製データ補正手段は、前記表示部に前記刺繍模様に関連つけて表示される前記仮想基準線及び仮想基準点を、前記基準位置情報取得手段により取得された位置情報に関する前記基準線及び基準点に対して重ね合わせる変換を行うように、前記刺繍模様に関する縫製データを補正することを特徴とする請求項1に記載のミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−220670(P2008−220670A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63753(P2007−63753)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】