説明

モータおよびそれを用いた送風ファン、並びに、モータのステータ部の組立方法

【課題】ロータ部の浮き上がりを防止する。
【解決手段】モータは、ステータ部と、ロータ部と、軸受機構とを備え、前記ロータ部が、中心軸を中心とする略円筒状の部位を有するロータホルダと、略円筒状の部位の内側に取り付けられた界磁用磁石とを備え、前記ステータ部が、ステータと、ステータが固定されるベース部と、磁性部材とを備え、前記磁性部材が、ステータのインシュレータの下端部に中央の穴部が嵌合される略環状であり、前記磁性部材が、界磁用磁石とベース部との間において中心軸を中心とする径方向外方へと広がる平板部と、インシュレータの下端部に外接しつつ中心軸を中心として前記磁性部材がインシュレータに対して相対的に回転されることにより、下端部と係合して中心軸に垂直な方向および中心軸に平行な方向における磁性部材の位置を固定する係合部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式のモータおよびそれを用いた送風ファンに関し、並びに、モータのステータ部の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、送風ファンのモータにおいて、磁気的吸引力を利用してロータ部をステータ部に引きつける構造を有するものがある。このような構造により、モータの回転時にロータ部およびインペラが、ステータ部に対して浮き上がることが防止される。
【0003】
特開2003−47222号公報に開示されるモータは、ロータマグネットに対して磁気的吸引力を発生する環状のスラストワッシャを備える。スラストワッシャは、ステータのインシュレータとインシュレータの下方に位置する回路基板との間に配置される。スラストワッシャの内周には、一定の間隔で内方に突出する複数対の突部が設けられる。インシュレータには、回路基板に向かって伸びる複数の延出片が設けられ、延出片の外側面には周方向に横断する凹溝が形成される。
【0004】
スラストワッシャがモータに固定される際には、インシュレータの延出片が、モータの軸に沿ってスラストワッシャの一対の突部の間に挿入される。延出片の凹溝内に、スラストワッシャの内周縁が位置することにより、スラストワッシャが周方向および軸方向へ移動することが防止される。
【0005】
特許第4005670号公報に開示される軸流ファンモータでは、シャフトが挿入されるブッシュの外周に環状の回路基板が取り付けられる。回路基板の上側(ロータ側)には、ロータの永久磁石を磁気的に吸引する略環状の吸引部材が取り付けられる。吸引部材上には、外周から上方に突出する4つの直立部を有するステータヨークがさらに設けられる。直立部がロータの永久磁石の下部と中心軸に垂直な方向において対向することにより、永久磁石がステータヨークにも磁気的に吸引されてロータの回転が安定して行われる。
【0006】
米国特許第7221069号明細書に開示されるモータの略環状のバランシング部では、バランシング部の環状の部位が、シャフトが挿入されるベースの筒状部の周囲に固定される。当該環状の部位の外周からロータ側に伸びる4つの磁性面が、ロータの環状の磁石に径方向において対向する。
【0007】
米国特許第6097120号明細書に開示されるモータでは、中央に開口を有するバランシングシートが、ステータのロータとは反対側に設けられる筒状部の周囲に取り付けられ、中心軸に平行な方向においてバランシングシートとロータの永久磁石とが対向する。
【特許文献1】特開2003−47222号公報
【特許文献2】特許第4005670号公報
【特許文献3】米国特許第7221069号明細書
【特許文献4】米国特許第6097120号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、90mm角等の大型のファンや回転速度の高いファンでは、小型または回転速度の低いファンに比べて、ステータ部に対するロータ部の浮き上がりを防止するために、磁性部材と界磁用磁石との磁気的吸引力を強くする必要がある。
【0009】
しかし、特許第4005670号公報および米国特許第6097120号明細書に示されるモータの構造では、磁性部材を界磁用磁石に十分に近づけるには、構造が複雑になったり、ステータの設計の自由度が低下してしまう。米国特許第7221069号明細書に示される磁性部材では、界磁用磁石が中心軸に垂直な方向のみに対向することから、十分な磁気的吸引力を確保することができない。
【0010】
特開2003−47222号公報に示されるように、インシュレータが、モータの軸に沿って環状のスラストワッシャの内側に挿入され、インシュレータとスラストワッシャとが固定される。この場合は、スラストワッシャに過度の応力が発生して、スラストワッシャが変形する虞がある。
【0011】
本発明は、略環状の磁性部材の変形を抑えつつ、磁性部材をインシュレータに容易に固定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の側面では、電動式のモータは、ステータ部と、中心軸を中心として回転する有蓋円筒状のロータ部と、前記ステータ部に対して前記ロータ部を回転可能に支持する軸受機構とを備え、前記ロータ部が、前記中心軸を中心とする略円筒状の部位を有するロータホルダと、前記略円筒状の部位の内側に取り付けられた界磁用磁石とを備え、前記ステータ部が、前記ロータホルダの内側に配置され、前記界磁用磁石と前記中心軸に垂直な方向に対向しつつ前記界磁用磁石との間でトルクを発生するステータと、前記ステータの下側に位置し、前記ステータが直接または間接的に固定されるベース部と、前記界磁用磁石と前記ベース部との間に位置し、前記界磁用磁石との間に磁気的吸引力を発生する磁性部材とを備え、前記磁性部材が、前記ステータのインシュレータの下端部に中央の穴部が嵌合される略環状であり、前記磁性部材が、前記界磁用磁石と前記ベース部との間において前記中心軸を中心とする径方向外方へと広がる平板部と、前記インシュレータの前記下端部に外接しつつ前記中心軸を中心として前記磁性部材が前記インシュレータに対して相対的に回転されることにより、前記下端部と係合して前記中心軸に垂直な方向および前記中心軸に平行な方向における前記磁性部材の位置を固定する係合部とを備える。
【0013】
本発明の第2の側面では、モータのステータ部の組立方法は、ステータのインシュレータの下端部に、中心軸を中心とする径方向外方へと広がる平板部を有する略環状の磁性部材の中央の穴部を嵌合させる工程と、前記インシュレータの前記下端部に外接しつつ前記中心軸を中心として前記磁性部材を前記インシュレータに対して相対的に回転することにより、前記磁性部材の係合部を前記下端部に係合させて前記中心軸に垂直な方向および前記中心軸に平行な方向における前記磁性部材の位置を固定する工程と、前記インシュレータの前記下端部の前記磁性部材よりも先端側の位置に回路基板を取り付ける工程とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、磁性部材を回転させてインシュレータに固定することにより、磁性部材をインシュレータの中心軸に平行移動させてインシュレータに固定する場合に比べて、磁性部材の変形を抑えつつ固定作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、軸流ファンの縦断面図である。
【図2】図2は、下部インシュレータの平面図である。
【図3】図3は、下部インシュレータの底面図である。
【図4】図4は、下部インシュレータの係合突起を径方向外側から示す図である。
【図5】図5は、下部インシュレータの円筒部の縦断面図である。
【図6】図6は、円筒部の縦断面図である。
【図7】図7は、円筒部の横断面図である。
【図8】図8は、下部インシュレータの突起部を径方向外側から示す図である。
【図9】図9は、突起部の縦断面図である。
【図10】図10は、突起部の縦断面図である。
【図11】図11は、磁性部材の平面図である。
【図12】図12は、磁性部材の正面図である。
【図13】図13は、下部インシュレータおよび磁性部材の平面図である。
【図14】図14は、下部インシュレータおよび磁性部材の底面図である。
【図15】図15は、突起部および磁性部材の縦断面図である。
【図16】図16は、突起部および磁性部材の係合部の底面図である。
【図17】図17は、回路基板の底面図である。
【図18】図18は、回路基板の第2穴部の底面図である。
【図19】図19は、下部インシュレータに取り付けられた状態の回路基板の底面図である。
【図20】図20は、回路基板の第1穴部および下部インシュレータの円筒部の底面図である。
【図21】図21は、第2穴部および突起部の底面図である。
【図22】図22は、モータの組み立ての流れを示す図である。
【図23】図23は、回路基板および下部インシュレータの底面図である。
【図24】図24は、磁性部材および突起部を径方向外側から示す図である。
【図25】図25は、磁性部材および突起部を径方向外側から示す図である。
【図26】図26は、第1穴部および円筒部の底面図である。
【図27】図27は、第2穴部および突起部の底面図である。
【図28】図28は、ステータがスリーブハウジングに取り付けられる様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る送風ファンである軸流ファン1の縦断面図である。軸流ファン1は、電動式の単相モータ12(以下、「モータ12」という)、モータ12のロータ部121に固定された複数の翼11、モータ12の外周を囲むハウジング13、および、モータ12を支持する複数の支持リブ14を備える。ハウジング13は支持リブ14により、モータ12に接続される。図1では、図示の都合上、翼11および支持リブ14の概略形状を、中心軸J1の左右に示している。
【0017】
モータ12は、回転組立体であるロータ部121、固定組立体であるステータ部122、および、軸受機構123を備える。軸受機構123は、ステータ部122の中央に位置して、ステータ部122に対してロータ部121を回転可能に支持する。中心軸J1に沿ってロータ部121が、ステータ部122に対して上側に位置する。
【0018】
以下の説明では、中心軸J1方向において、図1中の上側を単に「上側」と呼び、図1中の下側を単に「下側」と呼ぶ。「上側」および「下側」という表現は、必ずしも重力方向に対する上側および下側と一致する必要はない。
【0019】
ロータ部121は、有蓋略円筒状のロータホルダ1211、金属製のヨーク1212、略円筒状の界磁用磁石1213、および、シャフト1214を備える。金属製のヨーク1212は、中心軸J1を中心とする円筒状をしている。略円筒状の界磁用磁石1213は、ヨーク1212を介してロータホルダ1211の内側に取り付けられる。シャフト1214は、ロータホルダ1211の蓋部1211aの中央から下方に突出する。ロータホルダ1211の外周からは、複数の翼11が径方向外方へと突出している。
【0020】
ステータ部122は、略環状のベース部1221、電機子1222、略環状の回路基板1223、および、略環状の磁性部材1224を備える。略環状のベース部1221には、中央の開口にスリーブ部123が取り付けられる。電機子1222は、スリーブ部123の外側面に取り付けられる。略環状の回路基板1223は、電機子1222の下側に配置される。略環状の磁性部材1224は、ロータ部121の界磁用磁石1213と回路基板1223との間に位置する。ベース部1221は、電機子1222のロータホルダ1211の蓋部1211aとは、中心軸J1方向において反対側に位置する。そして、スリーブ部123を介して電機子1222が、ベース部1221に間接的に固定される。
【0021】
ステータ1221は、ステータコア41、上部インシュレータ42および下部インシュレータ43、並びに、コイル44を備える。ステータコア41は、薄板状の珪素鋼板が積層されて形成される。上部インシュレータ42および下部インシュレータ43は、ステータコア41の上部および下部を覆う。コイル44は、上部インシュレータ42および下部インシュレータ43の上から導電線が巻回されて形成される。
【0022】
ステータ1221はロータホルダ1211の内側に配置されて、界磁用磁石1213と中心軸J1に垂直な方向に対向する。ステータ1221は回路基板3を介して、外部電源(不図示)から電流が供給される。これにより、ステータ1221と界磁用磁石1213との間で、中心軸J1を中心とするトルクが発生する。
【0023】
軸受機構123は、スリーブ1231、スリーブハウジング1232、スラストプレート1233、および、シャフト1234を備える。スリーブ1231は、潤滑油が含浸された略円筒状をしている。スリーブハウジング1232は、スリーブ1231の外側面および下部を覆う有底略円筒状をしている。スラストプレート1233は、スリーブハウジング1232の内底面上に配置される。シャフト1234は、スリーブ1231内に配置される。潤滑油は、スリーブハウジング1232により保持される。軸受機構123では、シャフト1234の下端がスラストプレート1233に当接し、シャフト1234の上端がロータホルダ1211の蓋部1211bの中央に接続される。
【0024】
モータ12では、ロータ部121および翼11が、軸受機構123を介してステータ部122に対して中心軸J1を中心に回転される。これにより、図1中の上側から下側に向かって、中心軸J1に沿うエアの流れが発生する。
【0025】
軸流ファン1では、モータ12の回転時においても、磁性部材2と界磁用磁石1213との間で発生する磁気的吸引力により、シャフト1234の下端がスラストプレート1233に当接する状態が維持される。そして、中心軸J1方向における、ステータ部122とロータ部121との相対位置が固定される。
【0026】
ところで、シャフト1214が上下方向に移動すると、シャフト1214とスリーブ1231との間で、過度の接触が発生する。この接触により騒音や損傷が起こる。
しかし、以上のような構成とすることにより、モータ12を安定して回転させることができるとともに、過度の接触が回避されて、騒音や損傷を防止できる。
【0027】
図2は、下部インシュレータ43の平面図であり、ステータコア41の輪郭を二点鎖線にて示している。図3は、下部インシュレータ43の底面図である。図2に示すように、ステータコア41は円筒状の中央部411、および、T字状の4つの磁極歯412を備える。T字状の4つの磁極歯412は、中央部411の外周から径方向外方に伸びており、外側の端部が周方向の両側に広がっている。中心軸J1を中心とする径方向を、以下「径方向」という。
【0028】
図1ないし図3に示すように、下部インシュレータ43は、中心軸J1を中心として下方に突出する円筒部431、および、磁極歯412(図2参照)を覆う4つの磁極歯被覆部432を備える。図3に示すように円筒部431は、下端部4311の外側面から外側に突出して、回路基板3(図1参照)に係合する2つの係合突起5を有する。図1および図3に示すように、4つの磁極歯被覆部432は、磁極歯被覆部432の先端、すなわち下部インシュレータ43の外周部から下方に向かって突出する4つの突起部6を有する。
以下の説明では、円筒部431および突起部6をまとめて、下部インシュレータ43の「下端部430」と呼ぶ。図2に示すように、磁極歯412は、磁極歯被覆部432よりも径方向外方に僅かに突出する。
【0029】
図4は円筒部431の係合突起5を径方向外側から示す図であり、図5ないし図7は図4中の矢印Aないし矢印Cの位置における円筒部431の断面図である。図5に示すように、円筒部431の下端部4311では係合突起5を除いて、ほぼ全周に亘って径方向内方に向かって窪む段差部4312が形成される。
【0030】
以下の説明では、段差部4312の法線が下方を向く面を「下面4312a」という。図4、図6および図7に示すように、係合突起5の上側には、段差部4312(図6では破線にて示している)は設けられておらず、係合突起5の真上に位置する部位51は、段差部4312よりも上側の部位の外側面と面一となっている。
【0031】
図3に示すように、下部インシュレータ43の突起部6は、中央に位置する中央突起61、および、中央突起61の中心軸J1を中心とする周方向(以下、「周方向」という)における両側に広がる2つの突起周辺部63を備える。図3における左側、右側および下側の3つの突起部6では、中央突起61は下方に伸びる棒状の中央先端部62を有する。
【0032】
図8は、図3における右側の突起部6を径方向外側から示す図である。中央突起61は、突起周辺部63よりも下方に突出する。2つの突起周辺部63の間には、中央突起61の上側から上方に向かって伸びる溝部64が形成される。
【0033】
図9は、図8における矢印Dの位置にて中央突起61を切断した断面図であり、奥側の形状の一部も示している。中央突起61では、中央先端部62の下部622の径方向外側の面(図9における左側の面)は、上方に向かう程径方向外方に広がるように傾斜する傾斜面となっている。図8に示す中央先端部62の上部621の左半分および右半分はそれぞれ、図9に示すように、径方向外方に突出する凸部6211、および、下部622の径方向外側の面の上端よりも径方向内方に窪む凹部6212となっている。
【0034】
図10は、図8に示す中央突起61の左側の側端部611、および、左側の突起周辺部63を矢印Eの位置にて切断した断面図であり、奥側の形状の一部も示している。中央突起61の側端部611は、突起周辺部63よりも径方向内方に位置し、中央先端部62および中央先端部62の周囲の部位612よりも径方向内方に位置する。部位612は、中央先端部62と側端部611との間に位置する。
【0035】
これにより、図8に示すように、中央先端部62の周囲の部位612と突起周辺部63との間には、溝部64から図8の左側に向かって周方向に伸びる切欠状の部位(以下、「切欠部641」という)が形成される。
【0036】
図11は磁性部材2の平面図であり、図12は磁性部材2の正面図である。図11および図12に示すように、磁性部材2は、径方向外方へと広がる環状の平板部21、および、平板部21の内周から上方に向かって中心軸J1に平行に突出する4つの突出部221を備える。磁性部材2はプレス加工により形成されるとよい。各突出部221は、周方向に一定の間隔で配置された円筒面の一部となっており、4つの突出部221により略円筒状の円筒部22が形成される。図11に示すように、平板部21は、互いに隣接する突出部221の間から径方向内方に伸びる4つの部位212を有する。部位212が、下部インシュレータ43の突起部6(図8参照)と、中心軸J1に垂直な方向および平行な方向において係合する。その結果、磁性部材2が下部インシュレータ43に固定される。以下、部位212を「係合部212」と呼ぶ。磁性部材2では、図11における左上の突出部221の一部が上端から下端まで切除されるとともに、平板部21の内側の一部が切り欠かれて切欠部211が形成される。
【0037】
図11における左側、右側および上側の3つの係合部212には、図11および図12に示すように、下方に僅かに突出する微小凸部2121が設けられる。図11に示すように、係合部212の周方向における一方の側端部の内側の部位2122は、他の部位よりも径方向内方に突出する。以下、この突出部を「内方先端部2122」という。
【0038】
下側の係合部212は、微小凸部2121が省略される点を除いて、他の3つの係合部212とほぼ同形状であり、他の部位よりも径方向内方に突出する内方先端部2122が同様に設けられる。ただし、下側の係合部212の内方先端部2122を除く部位では、他の3つの係合部212よりも径方向の幅が小さく設定される。
【0039】
磁性部材2が図3の下部インシュレータ43に取り付けられた状態では、図11に示す磁性部材2の円筒部22および平板部21の内周のエッジ部により、中央の穴部23が形成される。この穴部23内に、下部インシュレータ43の下端部430、すなわち、円筒部431および突起部6が配置される。
【0040】
図13および図14は、磁性部材2が取り付けられた状態の下部インシュレータ43を示す平面図および底面図である。図14に示すように、磁性部材2の係合部212では、内方先端部2122が突起部6の一方の突起周辺部63の下方に位置する。図13に示すように、内方先端部2122(破線)を除く部位は、下部インシュレータ43の切欠部641(図8参照)を通過して、溝部64内に配置される。溝部64は、図14に示す中央突起61の上方にある。これにより、磁性部材2の下部インシュレータ43に対する中心軸J1に平行な方向における位置が固定される。
【0041】
図15は、図14の矢印Fの位置にて、下部インシュレータ43の突起周辺部63および磁性部材2を切断した断面図である。図15に示すように、突出部221は突起周辺部63に外接する。すなわち、図14に示す磁性部材2の穴部23が、下部インシュレータ43の突起部6に外接する。これにより、磁性部材2の中心軸J1に垂直な方向における平行移動が防止される。なお、平板部21の一部も中央突起61に外接している。
【0042】
図16は、図14に示す下部インシュレータ43の右側の中央突起61の近傍を拡大して示す図である。磁性部材2では、微小凸部2121が中央先端部62の凹部6212内に位置して凸部6211と周方向において当接する。係合部212の内方先端部2122が、中央突起61の一方の側端部611(図8における左側の側端部611)に周方向において当接する。これにより、磁性部材2の下部インシュレータ43に対する周方向の移動が防止される。以下の説明では、中央突起61の側端部611を「当接側部611」という。
【0043】
以上のように、図14に示す磁性部材2では、係合部212により中心軸J1に垂直な方向における平行移動および周方向の移動が防止される。このため、磁性部材2の下部インシュレータ43に対する中心軸J1に垂直な方向における位置が固定される。図1に示すように、磁性部材2の突出部221は、界磁用磁石1213の下部と中心軸J1に垂直な方向に対向する。平板部21は、界磁用磁石1213とベース部1222との間に位置して、界磁用磁石1213の下部と中心軸J1に平行な方向に対向する。モータ12では、ベース部等に磁性部材が固定される構造のモータに比べて、磁性部材2と界磁用磁石1213との間の距離が小さくなり、磁気的吸引力が向上する。また、図11に示す切欠部211は、図1に示す回路基板3上のホール素子(図示省略)と中心軸J1に平行な方向に重なるように位置する。これにより、磁性部材2の影響を受けることなく、ホール素子により界磁用磁石1213の回転位置が精度よく検出される。
【0044】
次に、回路基板3と下部インシュレータ43との係合構造について説明する。図17は回路基板3の底面図であり、回路基板3の板状本体のみを示して板状本体に実装される電子部品の図示を省略している。以下の他の図においても同様である。回路基板3は、中央の第1穴部31、および、第1穴部31の周囲にて、中心軸J1を中心とする周方向に一定の間隔にて設けられる3つの第2穴部32を備える。第1穴部31は、外側に広がる2つの切欠部311を有する。切欠部311は、下部インシュレータ43の円筒部431の係合突起5(図3参照)におよそ対応する位置に形成される。また、第2穴部32は、周方向に沿って伸びる長穴状となっている。
【0045】
第1穴部31の2つの切欠部311はそれぞれ、周方向に沿って主切欠部3111および主切欠部3111よりも径方向の奥行きの小さい補助切欠部3112を有する。主切欠部3111の径方向の奥行きおよび周方向の幅は、図3に示す係合突起5の径方向の幅および周方向の幅よりも大きく設定される。また、補助切欠部3112の径方向の奥行きおよび周方向の幅は、係合突起5の径方向の幅および周方向の幅よりも小さく設定される。さらに、補助切欠部3112の径方向の奥行きは、図4、図6および図7に示す係合突起5の真上に位置する部位51の径方向の幅よりも大きく設定される。
【0046】
図18は図17に示す右側の第2穴部32を拡大して示す図であり、第2穴部32の周囲の部位に平行斜線を付している。第2穴部32の径方向内側のエッジ(図18中の左側のエッジ)は、中心軸J1(図17参照)を中心とする円弧状である。第2穴部32の径方向外側の一部には、突起321が形成されて、第2穴部32の径方向の幅が部分的に狭められる。図18の他の第2穴部32においても同様である。
【0047】
以下の説明では、突起321よりも図18における下側に位置し、周方向に沿って径方向の幅が広い部位を「幅広部322」という。幅広部322よりも径方向の幅が狭い突起321近傍の部位と、突起321よりも上側の部位とをまとめて、「幅狭部323」という。
【0048】
幅広部322の径方向の幅および周方向の幅は、図3に示す下部インシュレータ43の突起部6の中央先端部62の径方向および周方向の幅よりも大きく設定される。また、幅狭部323の突起321よりも上側の部位の径方向の幅は、中央先端部62の径方向の幅よりも大きく設定され、周方向の幅は中央先端部62の周方向の幅よりも小さく設定される。
【0049】
図19は、下部インシュレータ43に回路基板3が取り付けられた状態を示す図であり、磁性部材2、並びに、ステータコア41およびコイル44の図示を省略している。第1穴部31には、下部インシュレータ43の円筒部431が内接する。これにより、回路基板3が、中心軸J1に垂直な方向に平行移動することが防止される。また、第2穴部32の幅狭部323の内側には、突起部6の中央先端部62が位置する。
【0050】
図20は、図19の第1穴部31の上側の切欠部311を拡大して示す図である。第1穴部31では、回路基板3の下面にて円筒部431の係合突起5が、補助切欠部3112(破線)の径方向外側のエッジ部3113に、中心軸J1(図19参照)に平行な方向において係合する。切欠部311を除く、内周のエッジ部の上面(図20とは反対側の面)が、円筒部431の段差部4312の下面4312aに当接する。これにより、中心軸J1に平行な方向における回路基板3の位置が固定される。
【0051】
図21は、図19に示す右側の第2穴部32を拡大して示す図である。第2穴部32では、突起321の先端が中央先端部62の凹部6212内に位置する。中央先端部62の凸部6211が、突起321および幅狭部323の径方向外方に伸びるエッジ部、すなわち図21における上側のエッジ部、により周方向に挟まれる。これにより、回路基板3が、下部インシュレータ43に対して、周方向に移動することが防止される。
【0052】
上述のように、図19に示す回路基板3では、下部インシュレータ43の円筒部431により、回路基板3の中心軸J1に垂直な方向における平行移動も防止される。このことから、回路基板3の下部インシュレータ43に対する中心軸J1に垂直な方向における位置が固定される。
【0053】
さらに、図21に示す中央先端部62の下部622が、回路基板3の下面にて突起321に中心軸J1に平行な方向において係合する。中央突起61の中央先端部62を除く部位が、回路基板3の上面(図21とは反対側の面)に当接する。第1穴部31と同様に、第2穴部32においても、回路基板3の中心軸J1に平行な方向における位置が固定される。
【0054】
以上に説明したように、軸流ファン1では、下部インシュレータ43の下端部430にて磁性部材2および回路基板3の位置が固定される。特に、中央突起61の中央先端部62に、磁性部材2および回路基板3が取り付けられるため、下部インシュレータ43の係合構造が簡素化される。
【0055】
次に、モータ12を組み立てる作業について、図22を参照しつつ説明する。ステータコア41(図1参照)に、上部インシュレータ42および下部インシュレータ43が取り付けられて、両インシュレータ上からステータコア41に導電線が巻回されたステータ1221が準備される。まず、図3に示す下部インシュレータ43の下端部430が、図11に示す磁性部材2の円筒部22と、中心軸J1に平行な方向において対向するように、下部インシュレータ43が磁性部材2の上方に配置される。このとき、磁性部材2の係合部212は、下部インシュレータ43の突起部6の中央突起61に対して周方向にずれた状態となっている。
【0056】
次に、下部インシュレータ43の突起部6、すなわち下端部430に、磁性部材2の穴部23が中心軸J1に沿って嵌合され(ステップS1)、図23に示すように、係合部212の内方先端部2122とは、周方向において反対側に位置する側端部が突起部6の一方の突起周辺部63に当接する。
【0057】
図24は、図23に示す状態における突起部6および磁性部材2を径方向外側から示す図であり、磁性部材2を二点鎖線にて示している。係合部212(図23参照)の微小凸部2121は、中央先端部62の凸部6211と周方向において、ずれて位置する。また、磁性部材2の突出部221(すなわち、円筒部22(図11参照))の一部が、突起周辺部63に外接する。
【0058】
そして、突出部221および平板部21が、それぞれ突起周辺部63および中央突起61に外接する。図23に示すように、磁性部材2が、下部インシュレータ43に対して、矢印91にて示す周方向において、相対的に回転される。そして係合部212が、図24に示す突起部6の切欠部641を介して溝部64内に移動する。
【0059】
このとき、図25に示すように、微小凸部2121は、中央先端部62の凸部6211に摺接しつつ、周方向(図25における右側)に移動し、凸部6211に隣接する凹部6212内に入り込む。そして、図16に示すように、微小凸部2121が凸部6211に対して周方向に当接し、係合部212の内方先端部2122が中央突起61の当接側部611に周方向に当接する。これにより、磁性部材2の回転が停止される。この状態では、係合部212の内方先端部2122が、突起周辺部63の下方に位置する。内方先端部2122を除く部位(図16にて隠れている部位)が、中央突起61の溝部64(図24参照)内に配置される。
【0060】
以上の流れにより、磁性部材2の係合部212が、下部インシュレータ43の下端部430の突起部6と周方向および中心軸J1に垂直な方向において係合し、下部インシュレータ43に対する磁性部材2の位置が固定される(ステップS2)。
【0061】
下部インシュレータ43では、図3における上側の中央突起61の切欠部641の深さが他の中央突起61の切欠部641の深さに比べて浅く設定される。このため、図23における上側の係合部212よりも径方向の幅が大きい他の係合部212は、上側の中央突起61の溝部64(図8の符号64参照)に入り込むことができない。これにより、下部インシュレータ43を磁性部材2に取り付ける際、下部インシュレータ43に対する磁性部材2の周方向の向きが1つのみとなり、間違い防止構造となっている。
【0062】
次に、下部インシュレータ43に回路基板1223を固定する作業について説明する。図26は、下部インシュレータ43の円筒部431の係合突起5と、回路基板3の第1穴部31の切欠部311とを拡大して示す図である。図27は、中央突起61の中央先端部62と、回路基板3の第2穴部32とを拡大して示す図である。なお図27では、磁性部材2の図示を省略している。
【0063】
回路基板3が下部インシュレータ43に取り付けられる際には、まず、図17に示す回路基板3が、図3に示す下部インシュレータ43の下端部430と中心軸J1に平行な方向に対向して配置される。そして、回路基板3が、下部インシュレータ43に向かって中心軸J1に平行な方向に相対的に移動されて、下端部430に嵌合される(ステップS3)。
【0064】
このとき、図26に示すように、下部インシュレータ43の円筒部431は、係合突起5が、切欠部311の主切欠部3111に中心軸J1に平行な方向において重ねられつつ、第1穴部31に挿入される。回路基板3は、係合突起5の上面(図26に示す面とは反対側の面)と段差部4312の下面4312aとの間に位置する。上述のように、主切欠部3111の径方向および周方向の幅は、係合突起5の径方向および周方向の幅よりも大きく設定される。このため、挿入時に回路基板3が、係合突起5により中心軸J1に平行な方向に、強く押圧されることはない。
【0065】
図27に示すように、中央突起61の中央先端部62は、回路基板3の第2穴部32の幅広部322に挿入される。そして、中央先端部62の凹部6212の中心軸J1に平行な方向における位置と、回路基板3の中心軸J1に平行な方向における位置とが一致する。また、幅広部322の径方向および周方向の幅は、中央先端部62の径方向および周方向の幅よりも大きく設定されることから、挿入時に回路基板3が、中央先端部62により中心軸J1に平行な方向に、強く押圧されることはない。
【0066】
次に、回路基板3が、円筒部431を回転中心として、図26および図27における時計回りに回転される。そうすることにより、図26に示す第1穴部31では、補助切欠部3112が、円筒部431の係合突起5に向かって相対的に移動する。図20に示すように、補助切欠部3112の径方向外方に位置するエッジ部3113が、中心軸J1に平行な方向において、係合突起5に係合する。
【0067】
また、図27に示すように、第2穴部32では幅狭部323が中央突起61の中央先端部62に向かって相対的に移動し、幅狭部323の突起321が中央先端部62の凸部6211に当接する。中央先端部62は、突起321から力を受けて中心軸J1に垂直な方向(中心軸J1側)に弾性変形しつつ、幅狭部323の内側に入り込む。すると、図21に示すように、中央先端部62の凹部6212内に突起321が位置するとともに、中央先端部62が元の位置に戻る。これにより中央突起61が、周方向および中心軸J1に平行な方向において、幅狭部323と係合する。
【0068】
以上により、図1に示すように、回路基板3が、下部インシュレータ43の下端部430の磁性部材2よりも先端側の位置に、取り付けられる(ステップS4)。この先端側の位置は、すなわち、磁性部材2の平板部21とベース部1222との間である。
【0069】
一方、図28に示すように、ステータ1221に対する磁性部材2および回路基板3の固定作業とは別に、スリーブハウジング1232の内底面にスラストプレート1233が配置され、スリーブハウジング1232内に、スリーブ1231が固定される(ステップS5)。ステータ1221、磁性部材2および回路基板3の組立体が、スリーブハウジング1232に、しまり嵌めにて嵌合される(ステップS6)。なお、ステータ1221とスリーブハウジング1232とが、接着剤により固定されてもよい。
【0070】
その後、図1に示すように、別途組み立てられたロータ部121に、シャフト1214の上端が接続され、シャフト1214が下端からスリーブ1231に挿入されて(ステップS7)、モータ12の組み立てが終了する。
【0071】
以上より、軸流ファン1では、磁性部材2が回転して下部インシュレータ43に固定されることにより、磁性部材が中心軸に平行に移動されてインシュレータに固定される場合に比べて、磁性部材2に生じる応力が小さくなる。したがって、磁性部材2の変形が抑えられるとともに、磁性部材2の固定作業が容易に行われる。特に、中心軸J1に平行な方向において、磁性部材2は突起周辺部63に当接し、回路基板3は段差部4312に当接した状態で回転される。このため、これらの固定作業がさらに容易に行われる。
【0072】
また、磁性部材2の変形が抑えられることから、取付後の磁性部材2の形状のばらつきも防止される。同様に、回路基板3が回転して下部インシュレータ43に固定されることにより、回路基板が中心軸に平行に移動されてインシュレータに固定される場合に比べて、回路基板3の変形が抑えられるとともに、回路基板3の固定作業が容易に行われる。軸流ファン1では、磁性部材2および回路基板3の固定作業が容易であることから、軸流ファン1の組み立ての作業性も向上される。
【0073】
磁性部材2では、平板部21および円筒部22がそれぞれ、ロータ部121の界磁用磁石1213に対して中心軸J1に平行な方向および垂直な方向に対向する。このため、磁性部材2が平板部21のみの場合に比べて、磁性部材2の磁気的吸引力が増大される。したがって、大型の軸流ファン等であっても、ステータ部122に対するロータ部121の相対位置が固定される。
【0074】
また、係合部212において、磁性部材2の下部インシュレータ43に対する中心軸J1に垂直な方向および平行な方向における位置が固定される。このことから、磁性部材2の構造が簡素化され、磁性部材2を製作するための金型のコストも低減される。下部インシュレータ43では、磁性部材2の外接する部位が突起部6となっていることから、例えば、当該部位を円筒状とする場合に比べて、下部インシュレータ43が軽量化される。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、磁性部材2の平板部21は円筒部22の周囲に等間隔に配置される複数の板状の部位により形成されてもよい。
【0076】
また、磁性部材2が回転して下部インシュレータ43に固定される構造としては、様々なものが採用されてよい。磁性部材2の一部の弾性変形を利用して、磁性部材2が下部インシュレータ43に固定されてもよい。この場合、例えば、磁性部材2の一部が、弾性変形容易な形状の弾性係合部とされる。磁性部材2が、中心軸J1を中心として、下部インシュレータ43に対して回転される。この結果、弾性係合部が下部インシュレータ43に当接して弾性変形し、下部インシュレータ43に設けられた溝等に、弾性係合部が復元力にて嵌り込む。こうして、下部インシュレータ43に対する磁性部材2の位置が固定される。回路基板3が、回転して下部インシュレータ43に固定される構造としても、様々なものが採用されてよい。
【0077】
磁性部材2の係合部212の数や、下部インシュレータ43の突起部6の数は、それぞれ4には限定されない。2以上の係合部212や、これに対応する数の突起部6が、周方向に一定の間隔で設けられてよい。また、磁性部材2では、界磁用磁石1213との間で大きな磁気的吸引力が必要とされない場合には、円筒部22が省略されてもよい。
【0078】
磁性部材2はプレス加工以外の方法により製造されてよく、例えば、切削加工により製造されてもよい。磁性部材2を下部インシュレータ43に固定する手法は、2相モータや3相モータ等に採用されてもよく、複数のホール素子が回路基板3に設けられる場合は、磁性部材2に複数の切欠部が設けられるとよい。
【0079】
モータ12では、ベース部1222とスリーブハウジング1232とが、別部材とされてもよい。また、ベース部1222にステータ1221を固定する構造を設けて、ステータ1221が直接的にベース部1222に固定されてもよい。ロータ部121のヨーク1212は円筒状としているが、ロータホルダ1211に嵌り合う有蓋略円筒状とされてもよく、さらに、軸受機構123に代えて玉軸受が設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、軸流ファンや遠心ファン等の送風ファンに搭載されるモータとして利用可能であり、さらに、送風ファンに搭載されるモータ以外のモータとしても利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 軸流ファン
2 磁性部材
3 回路基板
6 突起部
11 翼
12 モータ
21 平板部
22 円筒部
23 (磁性部材の)穴部
43 下部インシュレータ
121 ロータ部
122 ステータ部
123 軸受機構
212 係合部
430 (下部インシュレータの)下端部
1211 ロータホルダ
1213 界磁用磁石
1221 ステータ
1222 ベース部
J1 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式のモータであって、
ステータ部と、
中心軸を中心として回転する有蓋円筒状のロータ部と、
前記ステータ部に対して前記ロータ部を回転可能に支持する軸受機構と、
を備え、
前記ロータ部が、
前記中心軸を中心とする略円筒状の部位を有するロータホルダと、
前記略円筒状の部位の内側に取り付けられた界磁用磁石と、
を備え、
前記ステータ部が、
前記ロータホルダの内側に配置され、前記界磁用磁石と前記中心軸に垂直な方向に対向しつつ前記界磁用磁石との間でトルクを発生するステータと、
前記ステータの下側に位置し、前記ステータが直接または間接的に固定されるベース部と、
前記界磁用磁石と前記ベース部との間に位置し、前記界磁用磁石との間に磁気的吸引力を発生する磁性部材と、
を備え、
前記磁性部材が、前記ステータのインシュレータの下端部に中央の穴部が嵌合される略環状であり、
前記磁性部材が、
前記界磁用磁石と前記ベース部との間において前記中心軸を中心とする径方向外方へと広がる平板部と、
前記インシュレータの前記下端部に外接しつつ前記中心軸を中心として前記磁性部材が前記インシュレータに対して相対的に回転されることにより、前記下端部と係合して前記中心軸に垂直な方向および前記中心軸に平行な方向における前記磁性部材の位置を固定する係合部と、
を備えることを特徴とするモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のモータであって、
前記磁性部材が、前記平板部の内周から上方に突出するとともに前記インシュレータの前記下端部に外接する円筒部をさらに備えることを特徴とするモータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモータであって、
前記インシュレータの前記下端部が、前記インシュレータの外周部から下方に突出する複数の突起部を含み、前記磁性部材の前記穴部が前記複数の突起部に外接することを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項3に記載のモータであって、
前記平板部と前記ベース部との間において前記複数の突起部に取り付けられる回路基板をさらに備えることを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項4に記載のモータであって、
前記回路基板を前記中心軸を中心として回転することにより、前記回路基板が前記複数の突起部と係合して前記中心軸に垂直な方向および前記中心軸に平行な方向における前記回路基板の位置が固定されることを特徴とするモータ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のモータであって、
前記インシュレータを前記磁性部材に取り付ける際の前記インシュレータに対する前記中心軸を中心とする前記磁性部材の周方向の向きが1つのみであることを特徴とするモータ。
【請求項7】
送風ファンであって、
請求項1ないし6のいずれかに記載のモータと、
前記ロータ部から前記径方向外方へと突出し、前記中心軸を中心として回転することによりエアの流れを発生する複数の翼と、
を備えることを特徴とする送風ファン。
【請求項8】
モータのステータ部の組立方法であって、
ステータのインシュレータの下端部に、中心軸を中心とする径方向外方へと広がる平板部を有する略環状の磁性部材の中央の穴部を嵌合させる工程と、
前記インシュレータの前記下端部に外接しつつ前記中心軸を中心として前記磁性部材を前記インシュレータに対して相対的に回転することにより、前記磁性部材の係合部を前記下端部に係合させて前記中心軸に垂直な方向および前記中心軸に平行な方向における前記磁性部材の位置を固定する工程と、
前記インシュレータの前記下端部の前記磁性部材よりも先端側の位置に回路基板を取り付ける工程と、
を備えることを特徴とするステータ部の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−187501(P2010−187501A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30976(P2009−30976)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】