説明

モータおよび記録ディスク駆動装置

【課題】スリーブとベース部との間の導電性の劣化を確実に防止する。
【解決手段】ディスク駆動装置のモータは、ロータ部、および、ロータ部を回転可能に支持するステータ部を備え、ステータ部は、ステータ部の各部を保持する導電性のベース部21、ロータ部のシャフトが挿入される略円筒状のスリーブ22を備える。スリーブ22は、ベース部21から略円筒状に突出するスリーブ保持部211に挿入されて非導電性接着剤25により強固に接着される。そして、スリーブ22の周囲の3箇所において、導電性接着剤26がスリーブ22とスリーブ保持部211とに跨るように塗布されてスリーブ22とベース部21とが電気的に接続され、さらに、導電性接着剤26の表面が導電性接着剤26よりも耐湿性が高い被覆層27により覆われて外気から遮断される。その結果、スリーブ22とベース部21との間の導電性の劣化を確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式のモータ、および、モータを備える記録ディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハードディスク装置等の記録ディスク駆動装置では、高速で回転する記録ディスクと空気との摩擦により記録ディスクに静電気が発生し、記録ディスクと記録ディスクから情報を読み取るヘッドとの間に放電が起きて、記録ディスクに記録されたデータが損失したり、ヘッドが損傷することがあった。
【0003】
そこで、記録ディスクとヘッドとの間の電位差を低減するための様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1では、軸受(スリーブ)をハウジング(ベース部)の軸受取付孔に導電性接着剤で固定することにより、モータの構造を変更せずに、磁気ディスク(記録ディスク)に発生した電荷をシャフトおよびスリーブを介してハウジングに逃がし、磁気ディスクとハウジングに取り付けられたヘッドとの間の電位差を低減する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2では、モータベース(ベース部)の底部においてスリーブに固着されたスラストプレートと、スラストプレートの周囲に形成されたモータベースの凹部とを跨ぐように導電性接着剤を塗布することにより、モータ底面からの導電性接着剤の突出を防止してモータの軸方向の高さが高くなることを防止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−167765号公報
【特許文献2】特開2004−289982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の磁気ディスク駆動装置では、非導電性接着剤に比べて一般的に接着強度が低い導電性接着剤によりスリーブをハウジングに固定しているため、スリーブの固定に関する信頼性の向上に限界がある。特許文献2のスピンドルモータでは、スリーブを非導電性接着剤によりモータベースに強固に固定した上で、モータベースとスラストプレートとの間に導電性接着剤を塗布することにより、スリーブとモータベースとを電気的に接続しつつスリーブの固定に関する信頼性を向上している。
【0006】
一方、近年カーナビゲーションシステムにもハードディスク装置が利用されるようになり、このような車載用のハードディスク装置には高い耐久性が要求される。例えば、高温高湿環境試験では、気温90℃、湿度95%の環境下で長時間放置する耐久試験が行われ、ヒートショック試験では、気温(−40)℃および85℃の環境下における各15分ずつの冷却および加熱を交互に1500回繰り返す耐久試験が行われる。
【0007】
このような厳しい試験条件下においては、高温・高湿といった環境に対する耐久性が一般的に低い導電性接着剤が劣化し、スリーブとベース部との間の導電性が劣化してしまう恐れがある。例えば、導電性接着剤が水分を吸収してしまい、スリーブやベース部が導電性接着剤との接合部において酸化してしまった結果、スリーブとベース部との間の導通が阻害される恐れがある。また、導電性接着剤が劣化する等してスリーブやベース部から剥離し、その間隙に溜まった水分によりスリーブやベース部の表面が酸化してしまう恐れもある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、スリーブとベース部との間の導電性の劣化を確実に防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、電動式のモータであって、ロータ部と、前記ロータ部の中心軸を中心として前記ロータ部を回転可能に支持するステータ部とを備え、前記ロータ部が、前記中心軸上に設けられたシャフトと、前記シャフトの周囲に配置された界磁用磁石とを備え、前記ステータ部が、前記シャフトが挿入されるスリーブと、前記界磁用磁石との間で前記中心軸を中心とするトルクを発生する電機子と、前記スリーブおよび前記電機子が取り付けられる導電性のベース部と、前記スリーブと前記ベース部とを電気的に接続する導電性接着剤と、前記導電性接着剤の表面を覆うとともに前記導電性接着剤よりも耐湿性が高い被覆層とを備える。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモータであって、前記被覆層がエポキシ系樹脂を主成分とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のモータであって、前記ベース部がアルミニウムにより形成される。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のモータであって、前記ロータ部の回転時に、前記スリーブと前記シャフトとの間の間隙に充填されている流体による動圧を利用して前記ロータ部が支持される。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のモータであって、車両に搭載される。
【0014】
請求項6に記載の発明は、記録ディスク駆動装置であって、情報を記録する記録ディスクと、前記記録ディスクを回転する請求項1ないし5のいずれかに記載のモータと、前記記録ディスクに対する情報の読み出しおよび/または書き込みを行うアクセス部と、前記アクセス部が取り付けられるとともに前記モータの前記ベース部が取り付けられる、または、前記ベース部と一体とされるハウジングとを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、スリーブとベース部との間の導電性の劣化を確実に防止することができる。請求項6の発明では、記録ディスク駆動装置の動作の信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の一の実施の形態に係るディスク駆動装置1の内部構成を示す図である。ディスク駆動装置1は、車両に搭載されるカーナビゲーションシステムのハードディスク装置であり、情報を記録する円板状の記録ディスク12、記録ディスク12に対する情報の読み出しおよび(または)書き込みを行うアクセス部13、記録ディスク12を保持して回転する電動式のモータ14、並びに、記録ディスク12等を内部空間110に収容して外部から隔離するハウジング11を備える。
【0017】
ハウジング11は、内底面にアクセス部13が取り付けられる略直方体状の無蓋の第1ハウジング部材111、および、第1ハウジング部材111の開口を覆うことにより内部空間110を形成する蓋状の第2ハウジング部材112を備える。第1ハウジング部材111および第2ハウジング部材112はアルミニウム(Al)により形成される。ディスク駆動装置1では、減圧環境下において第1ハウジング部材111に第2ハウジング部材112が接合されてハウジング11が形成され、密閉された内部空間110は塵や埃が極度に少ない清浄な空間とされる。
【0018】
図1に示すように、アクセス部13は、記録ディスク12に近接して情報の読み出しおよび書き込みを磁気的に行うヘッド131、ヘッド131を支持するアーム132、並びに、アーム132を移動させることによりヘッド131と記録ディスク12との相対的位置を変更するヘッド移動機構133を備える。これらの構成により、ヘッド131は回転する記録ディスク12に近接した状態で記録ディスク12の所要の位置にアクセスし、情報の読み出しおよび書き込みを行う。
【0019】
図2は、モータ14の構成を示す縦断面図である。モータ14は、固定組立体であるステータ部2、および、回転組立体であるロータ部3を備えており、ロータ部3は、ロータ部3の中心軸J1(後述のシャフト32の中心軸でもある。)を中心として回転可能にステータ部2により支持される。以下の説明では、便宜上、中心軸J1に沿ってロータ部3側を上側、ステータ部2側を下側として説明するが、中心軸J1は必ずしも重力方向と一致する必要はない。
【0020】
ロータ部3は、ロータ部3の各部を保持するロータハブ31、中心軸J1上に設けられるとともにロータハブ31から下向きに突出するシャフト32、および、シャフト32の周囲に配置された界磁用磁石33を備える。ロータハブ31は、シャフト32の上端部から中心軸J1に対して垂直に広がる略円板状の円板部312、円板部312の外縁において下側に突出する略円筒状の外筒部313、および、シャフト32の周囲において下側に突出する略円筒状の内筒部314を備える。ロータハブ31は、ステンレス等により一体的に形成され、下側に開口する略椀状となっている。ロータハブ31の外周には、記録ディスク12(図1参照)が載置されて図示省略のクランパによりロータハブ31に固定される。シャフト32の下側の先端部には、略円板状のフランジ321が取り付けられる。
【0021】
ステータ部2は、ステータ部2の各部を保持する導電性のベース部21、シャフト32が挿入されてロータ部3を回転可能に支持する略円筒状のスリーブ22、スリーブ22の周囲に配置されて界磁用磁石33との間で中心軸J1を中心とする回転力(トルク)を発生する電機子23、および、強磁性体である円環状のスラストヨーク24を備える。ベース部21は、図1に示すハウジング11の第1ハウジング部材111の底部の一部であり、第1ハウジング部材111の他の部位と同様にアルミニウムにより形成される。換言すれば、ハウジング11の第1ハウジング部材111はモータ14のベース部21と一体とされる。
【0022】
図2に示すように、スリーブ22の下部は、ベース部21の中央部において略円筒状に上向きに突出するスリーブ保持部211に挿入されてベース部21に取り付けられる。スリーブ22の下端側の開口は、略円板状のシールキャップ221により閉塞される。図3は、スリーブ22の下側の一部を拡大して示す断面図であり、図4は、スリーブ22近傍を示すディスク駆動装置1の部分底面図である。図3および図4では、スリーブ22とスリーブ保持部211との間の距離を実際よりも大きく描いている。なお、図4では、後述の接着剤の表面に平行斜線を付している。
【0023】
図3および図4に示すように、スリーブ保持部211に挿入されたスリーブ22は、スリーブ22の外周面とスリーブ保持部211の内周面との間の間隙に全周に亘って充填された嫌気性または熱硬化性の非導電性接着剤25により、ベース部21に強固に取り付けられる。ステータ部2(図1参照)では、非導電性接着剤25の下方であってスリーブ22の周囲の3箇所において、銀(Ag)等のフィラーを含む導電性接着剤26がスリーブ22とスリーブ保持部211とに跨るように塗布されており、これによりスリーブ22とベース部21とが電気的に接続される。導電性接着剤26の表面のうち、スリーブ22、スリーブ保持部211および非導電性接着剤25に接していない部位は、エポキシ系樹脂を主成分とするとともに導電性接着剤26よりも耐湿性が高い被覆層27により覆われている。被覆層27は、好ましくは、接着剤を塗布することにより形成される。本実施の形態では、例えば、非導電性接着剤25として株式会社スリーボンド製の1353(製品名)が用いられ、導電性接着剤26として同社製の3380B(製品名)が用いられる。
【0024】
図2に示すように、電機子23は、珪素鋼板を積層してなるコア、および、コアの磁極に巻装されるコイルを備え、ベース部21に取り付けられる。電機子23のコイルは、ベース部21に形成された貫通孔212に挿入される導線により、ベース部21の下面に貼付されたフレキシブル回路基板4に接続される。スラストヨーク24は、界磁用磁石33の下方にてベース部21に取り付けられており、界磁用磁石33とスラストヨーク24との間の磁気的引力によりロータ部3がステータ部2のベース部21側に引き付けられる。
【0025】
次に、モータ14のロータ部3をステータ部2に回転可能に支持する流体動圧を利用した軸受機構について説明する。モータ14では、ロータハブ31の円板部312の下面とスリーブ22の上側の端面との間、スリーブ22の内周面とシャフト32の外周面との間、フランジ321の下面とシールキャップ221の上面との間、および、スリーブ22の上部の外周面とロータハブ31の内筒部314の内周面との間に微小な間隙が設けられる。以下、これらの間隙をそれぞれ、「上部間隙」、「側部間隙」、「下部間隙」、「外側間隙」という。これらの間隙には潤滑油が連続して充填され、いわゆるフルフィル構造の軸受機構が構成される。
【0026】
スリーブ22の上部の外周面は、その外径が下側に向かって漸次減少する傾斜面とされ、スリーブ22の外周面に対向する内筒部314の内周面の内径は一定とされる。これにより、外側間隙における潤滑油の界面は、毛管現象および表面張力によりメニスカス状となってテーパシールが形成され、外側間隙がオイルバッファとしての役割を果たして潤滑油の流出が防止される。
【0027】
スリーブ22の上面には、ロータ部3の回転時に潤滑油に対して中心軸J1側に向かう圧力を発生させるための溝(例えば、スパイラル状の溝)が形成されており、上部間隙によりスラスト動圧軸受部が構成される。また、スリーブ22の内部には、上部間隙から下部間隙へと続く流路が設けられており、これにより、下部間隙における潤滑油の圧力が、上部間隙において高められた潤滑油の圧力と同等となり、下部間隙がスラスト静圧軸受部としての役割を果たす。
【0028】
また、側部間隙の互いに対向する面には、潤滑油に流体動圧を発生させるための溝(例えば、中心軸J1の向く方向に関して、スリーブ22の内周面の上下に設けられたヘリングボーン溝等)が形成されており、側部間隙によりラジアル動圧軸受部が構成される。
【0029】
モータ14では、流体動圧を利用する軸受機構によりロータ部3を潤滑油を介して非接触にて支持することにより、ロータ部3を高精度かつ、低騒音にて回転することができる。特に、フルフィル構造の軸受機構では、軸受内部に空気が介在しないため、潤滑油内に発生した気泡に起因するシャフト32とスリーブ22との異常接触や、軸受内部の空気が膨張することによる潤滑油の漏れ等が一層抑制される。
【0030】
このように、モータ14では、スリーブ22とシャフト32およびロータハブ31との間の間隙(すなわち、下部間隙、側部間隙、上部間隙および外側間隙)に、流体である潤滑油が充填されており、ロータ部3の回転時には、潤滑油による流体動圧を利用してロータ部3が支持される。そして、ロータ部3が中心軸J1を中心としてステータ部2に対して回転駆動されることより、ロータ部3に取り付けられる記録ディスク12が回転駆動される。
【0031】
以上に説明したように、モータ14では、導電性接着剤26の表面を導電性接着剤26よりも耐湿性が高い被覆層27により覆うことにより、導電性接着剤26の外気との接触が遮断される。このため、導電性接着剤26が外気から水分を吸収することはなく、また、外気の影響により導電性接着剤26が劣化してスリーブ22やスリーブ保持部211から剥離し、その間隙に水分が溜まることもない。その結果、スリーブ22やスリーブ保持部211の表面において、導電性接着剤26との接合部の酸化が防止され、スリーブ22とベース部21との間の導電性の劣化を確実に防止することができる。したがって、水との接触により表面が酸化しやすいアルミニウムによりベース部21が形成されている場合であっても、スリーブ22とベース部21との間の導電性の劣化を確実に防止することができる。
【0032】
また、モータ14では、導電性接着剤26の外気との接触が遮断されているため、高温高湿環境試験等のように周囲の温度および湿度が非常に高くなる場合であっても、スリーブ22とベース部21との間の導電性の劣化を確実に防止することができる。表1は、モータ14に対する高温高湿環境試験の結果を示す表である。
【0033】
【表1】

【0034】
表1では、5台のモータ14を気温90℃、湿度95%の環境下に100時間、200時間および500時間だけ放置した後、スリーブ22とベース部21との間の導通に不具合が生じていないか、すなわち、所定の導電性が維持されているか否かを検査した結果を示す。また、表1には、比較例として、スリーブとベース部との間に塗布された導電性接着剤が被覆されていない(すなわち、導電性接着剤が外気と接触している)20台のモータの試験結果も併せて示す。
【0035】
表1に示すように、比較例のモータでは、200時間経過後には20台中5台のモータに導通不具合が発生しており、500時間経過後には20台中9台のモータに導通不具合が発生している。これに対して、モータ14では、100,200および500時間経過後のいずれの状態においても、スリーブ22およびベース部21間の導通に不具合は生じていない。このように、高温高湿環境に対して高い耐久性を有するモータ14は、カーナビゲーションシステムのハードディスク装置等のように、車両に搭載されるディスク駆動装置1に特に適しているといえる。
【0036】
一方、流体動圧軸受機構を備えるモータでは、動圧面を有するスリーブの歪みを避ける必要があるため、通常、スリーブをベース部に圧入することが困難であり、他の方法によりスリーブをベース部に取り付けた上で、スリーブとベース部との間の導電性を確保する必要がある。上述のモータ14では、非導電性接着剤25によりスリーブ22をベース部21に強固に接着し、導電性接着剤26によりスリーブ22とベース部21とを電気的に接続し、さらに、被覆層27により導電性の劣化を確実に防止することができる。このように、被覆層27により導電性接着剤26を覆う技術は、流体動圧軸受機構を備えるモータに特に適しているといえる。
【0037】
ディスク駆動装置1では、モータ14のスリーブ22とベース部21との間の導電性の劣化を確実に防止することにより、モータ14に固定される記録ディスク12と、ハウジング11に取り付けられるアクセス部13のヘッド131との間の電位差を低減することができる。その結果、記録ディスク12とアクセス部13のヘッド131との間の放電を防止して記録ディスク12に記録されたデータの損失、および、アクセス部13の損傷を防止し、ディスク駆動装置1の動作の信頼性を向上することができる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0039】
被覆層27は、エポキシ系樹脂を主成分とするものが用いられることが好ましいが、エポキシ系樹脂以外の樹脂、例えば、アクリル系樹脂等が主成分とされてもよく、また、樹脂以外の様々な材料により形成されてもよい。
【0040】
導電性接着剤26は、スリーブ22とベース部21との間において1箇所以上に設けられていればよく、また、スリーブ22の全周に亘って設けられてもよい。ただし、導電性接着剤26は高価であるため、大量に使用するとモータ14のコストが上昇してしまうことを考慮すると、スリーブ22とベース部21との間の導電性を確実に確保するには、上記実施の形態のように、スリーブ22の周囲3箇所程度に導電性接着剤26が設けられることが好ましいといえる。
【0041】
モータ14の軸受機構は、必ずしも流体動圧を利用した機構とされる必要はなく、例えば、ボールベアリングであってもよい。
【0042】
モータ14では、スリーブ22は必ずしも非導電性接着剤25によりベース部21に取り付けられる必要はなく、例えば、スリーブ22(あるいは、スリーブ22の下端を覆い、実質的にスリーブ22の一部として捉えることができるスリーブカバー。以下同様)がスリーブ保持部211に圧入されてもよい。この場合であっても、スリーブ22とスリーブ保持部211とに跨るように導電性接着剤26が塗布されることにより、スリーブ22とベース部21とを電気的に接続することができ、さらに、導電性接着剤26の表面を被覆層27により覆うことにより、スリーブ22とベース部21との間の導電性の劣化を防止することができる。
【0043】
上記実施の形態では、ステータ部2のベース部21は、ハウジング11の第1ハウジング部材111の底部の一部であるが、ベース部21がハウジング11とは別個の構造とされて、例えば、第1ハウジング部材111の底部に形成された凹部等に嵌め込むように取り付けられてもよい。
【0044】
モータ14は、リムーバブルディスク装置等、ハードディスク装置以外の様々な記録ディスク駆動装置に利用されてよい。また、記録ディスク駆動装置以外の他の装置の駆動源等、他の様々な用途に利用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】ディスク駆動装置の内部構成を示す図である。
【図2】モータを示す縦断面図である。
【図3】スリーブの一部を拡大して示す断面図である。
【図4】スリーブ近傍を示すディスク駆動装置の部分底面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ディスク駆動装置
2 ステータ部
3 ロータ部
11 ハウジング
12 記録ディスク
13 アクセス部
14 モータ
21 ベース部
22 スリーブ
23 電機子
26 導電性接着剤
27 被覆層
32 シャフト
33 界磁用磁石
J1 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式のモータであって、
ロータ部と、
前記ロータ部の中心軸を中心として前記ロータ部を回転可能に支持するステータ部と、
を備え、
前記ロータ部が、
前記中心軸上に設けられたシャフトと、
前記シャフトの周囲に配置された界磁用磁石と、
を備え、
前記ステータ部が、
前記シャフトが挿入されるスリーブと、
前記界磁用磁石との間で前記中心軸を中心とするトルクを発生する電機子と、
前記スリーブおよび前記電機子が取り付けられる導電性のベース部と、
前記スリーブと前記ベース部とを電気的に接続する導電性接着剤と、
前記導電性接着剤の表面を覆うとともに前記導電性接着剤よりも耐湿性が高い被覆層と、
を備えることを特徴とするモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のモータであって、
前記被覆層がエポキシ系樹脂を主成分とすることを特徴とするモータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモータであって、
前記ベース部がアルミニウムにより形成されることを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のモータであって、
前記ロータ部の回転時に、前記スリーブと前記シャフトとの間の間隙に充填されている流体による動圧を利用して前記ロータ部が支持されることを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のモータであって、
車両に搭載されることを特徴とするモータ。
【請求項6】
記録ディスク駆動装置であって、
情報を記録する記録ディスクと、
前記記録ディスクを回転する請求項1ないし5のいずれかに記載のモータと、
前記記録ディスクに対する情報の読み出しおよび/または書き込みを行うアクセス部と、
前記アクセス部が取り付けられるとともに前記モータの前記ベース部が取り付けられる、または、前記ベース部と一体とされるハウジングと、
を備えることを特徴とする記録ディスク駆動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−187066(P2006−187066A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375373(P2004−375373)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】