説明

ワイヤレス・デバイスの場所特定のために、位置検出精度を高め、リアル・タイム・オーバーヘッド画像を用いるための、移動および/または航空機搭載センサによる商用ワイヤレス位置検出システム(WLS)の改善

移動体LMUをワイヤレス位置検出システムにおいて用い、適当な受信機カバレッジを欠く区域において、検出カバレッジを設ける。移動体LMUは、ワイヤレス・ハンドセットおよびデバイスからの無線周波数(RF)送信をある時間期間にわたって検出し、これらの場所の判定を可能とするために用いることができる。移動体LMUの時間、位置、および速度を計算し、ワイヤレス・デバイスから受信したあらゆる送信と共に、SMLCに送信する。SMLCは、ワイヤレス・デバイスのドプラ成分を分析および解明しつつ、移動体LMUのドプラ成分を補償する。ワイヤレス・デバイスの位置および速度は、移動体LMUプラットフォームが撮影したリアル・タイム画像と比較して、ワイヤレス・デバイスの場所を高精度に判定することができる。非常に微弱であるおよび/またはノイズによって変転している可能性がある対象信号を検出する移動体LMUの能力を改善するために、低電力の移動体端末の信号を、受信サイトにおいて受信しメモリに格納するプロセスを採用することができる。次いで、SOIよりも強力な複製を、後の時点においてネットワーク・コントローラまたはBTSから受信し、これを用いて、メモリにおけるSOIの相関処理を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互引用)
本願は、双方共"Augmentation of Commercial Wireless Location System (WLS) with Moving and/or Airborne Sensors for Enhanced Location Accuracy and Use of Real-Time Overhead Imagery for Identification of Wireless Device Locations"(ワイヤレス・デバイスの場所特定のために、位置検出精度を高め、リアル・タイム・オーバーヘッド画像を用いるために移動および/または航空機搭載センサを有する商用ワイヤレス位置検出システム(WLS)の改善)と題し、2005年4月8日に出願した米国仮特許出願第60/669,831号および速達郵便票EV670673760によって2006年4月6日に出願した米国特許出願の優先権を主張する。これらの内容は、ここで引用したことにより、その全体が本願にも含まれるものとする。
(技術分野)
本発明は、一般的には、アナログまたはディジタル・セルラ・システム、個人通信システム(PCS)、改良型特殊移動無線機(ESMR)、およびその他の種類のワイヤレス通信システムにおいて用いられるような、ワイヤレス送信機の位置検出方法およびシステムに関し、更に特定すれば、本発明は、ワイヤレス位置検出システム(WLS)における移動受信局(例えば、位置測定ユニット(LMU))の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス位置検出システムに関する初期の実績は、"Cellular Telephone Location System"(セルラ電話機位置検出システム)と題する1994年7月5日付け米国特許第5,327,144号に記載されている。これは、新規の到達時間差(TDOA)技法を用いてセルラ電話機の位置を検出するシステムを開示する。’144特許に開示されたシステムの更なる改善が、"System for Locating a Source of Bursty Transmissions"(バースト状送信源の位置検出システム)と題する、1997年3月4日付け米国特許第5,608,410号に開示されている。
【0003】
過去数年にわたり、セルラ業界では、ワイヤレス電話機による使用に利用可能なエア・インターフェース・プロトコルの数が増加し、ワイヤレスまたは移動体電話機が動作可能な周波数帯域の数も増加し、「個人通信サービス」、「ワイヤレス」等を含む、移動体電話に言及するまたはこれに関する用語数も増大している。現在、エア・インターフェース・プロトコルは、AMPS、N−AMPS、TDMA、CDMA、GSM、TACS、ESMR、GPRS、EDGE、UMTS、WCDMA等を含む。用語の変化や、エア・インターフェースの増加は、本発明者が発見し改善した基本的な原理や発明に変化をもたらすことはない。しかしながら、本業界の現在における用語に合わせて、本発明者はここに記載するシステムのことを、以後ワイヤレス位置検出システムと呼ぶ。
【0004】
ワイヤレス位置検出システムの価値および重要性は、ワイヤレス通信業界によって承認されている。1996年6月に、連邦通信委員会(Federal Communications Commission)は、2001年10月を締め切りとして、ワイヤレス9−1−1発呼者の位置検出に用いるための位置検出システムを展開(deploy)する要請を、ワイヤレス通信業界に出した。ワイヤレスE9−1−1発呼者の位置を検出することにより、緊急応答資源の使用が削減されるので、応答時間を短縮し、生命を救い、膨大な費用を節約する。加えて、調査および研究の結果、位置感応請求(location sensitive billing)、保有車両の管理等のような種々のワイヤレス用とには、今後数年においいて多大な商業的価値があることが結論付けられた。
【0005】
TruePosition社は、ワイヤレス位置検出システムの精度を更に高め、しかもこれらのシステムのコストを大幅に削減するシステムおよび技法を開発し続けている。例えば、本願と同じ譲受人に譲渡された以下の特許は、ワイヤレス位置検出の分野において、種々の改良に貢献している。
【0006】
1994年7月5日付け、Cellular Telephone Location System(セルラ電話機位置検出システム)、米国特許第5,327,144号、
1997年3月4日付け、System For Locating A Source Of Bursty Transmissions(バースト状送信源の位置検出システム)、米国特許第5,608,410号、
2000年4月4日、Robust, Efficient, Localization System(ロバストで効率的な位置測定システム、米国特許第6,047,192号、および
2004年8月24日、Monitoring of Call Information in a Wireless Location System(ワイヤレス位置検出システムにおける呼情報の監視)、米国特許第6,782,264B2号
前述のように、多数のエア・インターフェース・プロトコルがワイヤレス通信システムにおいて用いられている。これらのプロトコルは、米国および国外双方において、異なる周波数帯域で用いられている。周波数帯域は、一般に、ワイヤレス電話機の位置検出において、ワイヤレス位置検出システムの有効性には影響を及ぼさない。
【0007】
エア・インターフェース・プロトコルは、2種類の「チャネル」を用いる。第1の種類は、制御チャネルを含み、呼を開始および終了するため、またはバースト状データを転送するための、ワイヤレス電話機または送信機に関する情報を伝達するために用いられる。例えば、ある種のショート・メッセージング・サービスは、制御チャネルを通じてデータを転送する。異なるEIA・インターフェースでは、異なる用語によって制御チャネルを識別するが、各エア・インターフェースにおける制御チャネルの使用は似通っている。一般に、制御チャネルは、送信に関与するワイヤレス電話機または送信機に関する特定情報を有する。第2の種類のチャネルは、トラフィック・チャネルとしても知られている、音声チャネルを含み、通例、エア・インターフェースを通じて音声またはデータ通信を伝達するために用いられる。これらのチャネルは、制御チャネルを用いて呼を設定した後に用いられる。音声およびユーザ・データ・チャネルは、通例、ワイヤレス通信システム内では専用の資源を用い、一方制御チャネルは共有資源を用いる。この区別によって、ワイヤレス位置検出の目的で、音声チャネルの使用よりも、制御チャネルを最もコスト効率的に利用することが可能となる。とは言え、音声チャネル上における規則的な位置検出が望まれる用途もある。音声チャネルは、一般に、送信におけるワイヤレス電話または送信機に関する識別情報を有していない。
【0008】
エア・インターフェース・プロトコルにおける相違の一部について、以下に論ずる。
AMPS−これは、米国においてセル式通信に使用されたオリジナルのエア・インターフェース・プロトコルである。AMPSシステムにおいては、制御チャネル(RCC)が使用するために別個の専用チャネルが割り当てられる。TIA/EIA規格IS−553Aに従って、各制御チャネル・ブロックは、セルラ・チャネル313または334から始まらなければならないが、ブロックは可変長さとすることができる。米国においては、規約により、AMPS制御チャネル・ブロックは21チャネル幅であるが、26チャネル・ブロックの使用も知られている。逆音声チャネル(RVC)は、制御チャネルに割り当てられていないどのチャネルを占有することもできる。制御チャネル変調は、FSK(周波数偏移変調)であるが、音声チャネルはFM(周波数変調)を使って変調される。
【0009】
N−AMPS−このエア・インターフェースは、AMPSエア・インターフェース・プロトコルの拡張であり、EIA/TIA規格IS−88において定義されている。制御チャネルは、AMPSの場合と本質的に同じであるが、音声チャネルが異なっている。音声チャネルは、AMPSの場合には30KHzが使用されるのに対して10KHz未満の帯域幅を占有し、変調はFMである。
【0010】
TDMA−このインターフェースはD−AMPSとしても知られるものであり、EIA/TIA規格IS−136において定義されている。このエア・インターフェースは、周波数分離および時分離の両方を使用することを特徴とする。制御チャネルはディジタル制御チャネル(DCCH)として知られ、DCCHが使用するために割り当てられるタイム・スロットにバースト・モードで送信される。確率ブロックの使用に基づいて他に比べてより好ましい周波数割り当てがいくつかあるが、AMPSとは異なり、DCCHは、周波数帯域のどこにでも割り当てることができる。音声チャネルは、ディジタル・トラフィック・チャネル(DTC)として知られる。DCCHおよびDTCは、同じ周波数割り当てを占有することができるが、ある周波数割り当てにおいて同一のタイム・スロット割り当ては占有できない。DCCHおよびDTCは、π/4DQPSK(微分求積位相偏移変調)として知られる同一の変調方式を使用する。セルラ帯域においては、各プロトコル毎の周波数割り当てが分離されている限り、キャリアはAMPSおよびTDMAプロトコルの両方を使用できる。
【0011】
CDMA−このエア・インターフェースは、EIA/TIA規格IS−95Aにおいて定義されている。このエア・インターフェースは、周波数分離およびコード分離の両方を使用することを特徴とする。ただし、隣接するセル・サイトが同じ周波数セットを使用する場合があるので、CDMAは、非常に慎重な出力制御も特徴とする。この慎重な出力制御によって、当業者には近遠問題として知られる状況が生じる。この問題は、無線位置検出のほとんどの方法が適切に機能するのを困難にする(しかし、この問題の解決手段については、2000年4月4日付米国特許第6,047,192号、Robust, Efficient, Localization System(ロバスト性があり効率的な位置測定システム)を参照のこと)。制御チャネルはアクセス・チャネルとして知られ、音声チャネルはトラフィック・チャネルとして知られる。アクセス・チャネルおよびトラフィック・チャネルは同じ周波数帯域を共有することができるが、コードによって分離される。アクセス・チャネルおよびトラフィック・チャネルは、OQPSKとして知られる同一の変調方式を使用する。
【0012】
GSM−このエア・インターフェースは、国際規格である移動通信用グローバル・システムによって規定されている。TDMAと同様、GSMは、周波数分離および時分離の両方を使用することを特徴とする。チャネル帯域幅は200KHzであり、TDMAに使用される30KHzより広い。制御チャネルは独立型専用制御チャネル(SDCCH)として知られ、SDCCHが使用するために割り当てられるタイム・スロットにバースト・モードで転送される。SDCCHは、周波数帯域のどこにでも割り当てることができる。音声チャネルはトラフィック・チャネル(TCH)として知られる。SDCCHおよびTCHは同じ周波数割り当てを占有することができるが、ある周波数割り当てにおいて同一のタイム・スロット割り当てを占有することはできない。SDCCHおよびTCHは、GMSKとして知られる同一の変調方式を使用する。GSM汎用パケット無線サービス(GPRS)およびGSM発展(EDGE:GSM Evolution)システムのデータ・レート向上には、GSMチャネル構造を再利用するが、多数の変調方式およびデータ圧縮を用い、データ・スループットを高めることができる。
【0013】
本明細書において、ある制御チャネルまたは音声チャネルに言及することは、特定のエア・インターフェースに望ましい用語が何であろうと、全てのタイプの制御チャネルまたは音声チャネルを意味することとする。その上、世界中で使用されるエア・インターフェースには更に多くの種類があり(例えば、IS−95 CDMA、CDMA2000、およびUMTS W−CDMA)、逆が示されない限り、本明細書において説明される発明的概念からどのエア・インターフェースも排除する意図はない。実際、当業者であれば、他の場所で使用される他のインターフェースが先に説明したものの派生物または同様のクラスのものであることが認められよう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
現行のワイヤレス位置検出システムは、多数の潜在的な問題が生ずる可能性がある。第1に、現行のワイヤレス位置検出システムは、静的即ち静止地上受信機を用いて展開されている。静的受信機はそれらの特定区域においてカバレッジ(coverage)を設けるが、これらの特定カバレッジ区域は限られている。また、ワイヤレス位置検出システムの受信機が、ワイヤレス通信システムの基地局またはセル・サイトと共に設置されているオーバーレイ・システムに関して、米国および国際的な共同体における多くの区域では、ワイヤレス位置検出システムを展開するための十分なセル・サイトがない。最後に、静的な地上受信機は、ワイヤレス・デバイスの位置検出を決定する際に役立つ可能性がある画像を供給するように構成することができない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下の摘要では、本発明の種々の形態の全体像を規定する。本発明の重要な形態全てを余すことなく記載することや、発明の範囲を定義することは意図していない。逆に、この摘要は、以下に続く詳細な説明への導入部として供することを目的とする。
【0016】
WLSの一例は、多数の無線受信機から成り、これらは、位置検出能力が望まれる地理的区域全域に分散されている。一般に、無線受信機は静止しており、基地の場所にある。加えて、これらは、汎地球測地システム(GPS)タイミング受信機を通じて、互いに時間および周波数の同期が取られている。通例、これらの無線機は、セル・サイト機器と同じ場所に設置されており、アンテナおよび伝送線、マルチカプラ、環境制御包囲空間、電力、ならびにセル・サイトから中央差異とまたはセル・サイトからセル・サイトに情報を伝達するバックホール通信機器のような、資源の共有を可能とするようにしている。これらのむせインキは、ワイヤレス・ハンドセットおよびデバイスから、ある時間期間にわたって無線周波数(RF)送信を受信し、到達時間差(TDOA)および到達周波数差(FDOA)処理によって、これらの場所(即ち、緯度および経度)、ならびにこれらの速度および方向の判定を可能にする。
【0017】
TDOA/FDOA処理によるワイヤレス送信機の場所、速度および方向の判定では、多数のセンサがある時間期間にわたって送信を受信すること、そしてセンサが信号を捕獲する時間中、センサの各々の場所、速度、および方向が分かっている必要がある。典型的なWLS展開では、多くの静的即ち静止センサを利用し、したがって、これらの速度は0であり、これらの方向は定義されておらず、無関係である。本発明は、1つ以上のセンサを有し、これらをセル・サイト機器と同じ場所に配置せず、移動体プラットフォームの一部とすることによって、典型的なWLSの展開を増強する。移動体プラットフォームは、限定ではなく、ランド・ローブ車両(land-roving vehicle)、船舶、航空機、水陸両用車両、および/または衛星とすることができる。移動体プラットフォームは、好ましくは、位置測定ユニット(LMU)を含み、時間および周波数基準、ならびにLMUの位置(即ち、緯度、経度および仰角)、速度、および三次元方向を正確な時点で供給するために、GPSタイミング受信機によって増強する。また、基地局からのダウンリンク送信を受信するアンテナおよび受信機、移動体ユニットからのアップリンク送信を受信するアンテナおよび受信機、ならびにGPS信号を受信するアンテナおよび受信機も設けることが好ましい。また、コマンドおよび制御信号をLMUに供給し、位置検出対象の移動体デバイスが送信する対象信号の表現を転送するために、ワイヤレス通信リンクも用いることができる。
【0018】
更に、1つ以上の移動体センサの使用により、リアル・タイムの画像を供給することができ、航空機搭載センサの場合、ワイヤレス・デバイスの位置を検出する地理的区域のオーバーヘッド画像を供給することができる。このような画像は、WLSの位置検出精度を高めるために用いることができる。何故なら、TDOAによって判定するワイヤレス・デバイスの場所、および/または到達角度(AOA)測定値を、リアル・タイムの画像と相関付けることができるからである。例えば、ワイヤレス位置検出システムが供給する、ワイヤレス・デバイスの場所が、オーバーヘッド画像が供給する自動車の場所と一致する場合、ワイヤレス・デバイスは実際に自動車内にあると想定することができる。このように、目標とする地理的区域のリアル・タイム赤外線および/または空中画像によって航空機搭載センサを増強することにより、ワイヤレス・デバイスのユーザの識別を改善することができる。
【0019】
ここに記載する別の特徴は、移動体LMUが、位置検出対象の移動局からの送信の到達時間(TOA)および/または到達時間差(TDOA)および/または到達周波数差(FDOA)を首尾良く検出し判定するその能力を高めるために採用することができる方法に関する。この方法は、ワイヤレス・デバイスからの無線周波数(RF)送信を受信するように構成されている受信機と、受信した送信のデータ・サンプルを格納するメモリとの使用を伴う。加えて、LMUは、受信した送信を表す格納データを、受信した送信の複製と相関付けるプロセッサを含む、またはこれと関連することができる。実現例の一例では、移動体LMUは、基地送受信局またはネットワーク・コントローラ(ここでは、これらの用語が相互交換可能に用いられる場合もある)が送信するダウンリンク信号を受信し、前述の複製をダウンリンク信号から得る手段を含む。
【0020】
本発明の更に別の特徴および利点は、以下の例示実施形態の詳細な説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
移動体LMU増強WLSは、独特の位置検出解決策を提供し、空中および地上動作双方を含む、種々の移動体プラットフォームにおけるワイヤレス位置検出技術の運用を可能にする。また、移動体LMU増強WLSは、既存のプラットフォームの機能性および特徴を改善する、新たなクラスの位置検出能力をユーザに提供することができる。ネットワーク系の解決策は、位置測定ユニット(LMU)と呼ばれる受信機を用いることができる。これは、セルラ基地局に設置することができる。ワイヤレス・フォンまたはその他のデバイスの位置検出には、アップリンク到達時間差、またはU−TDOAとして知られている無線信号三角測量と同様のプロセスが伴う。
【0022】
図1は、商用GSMネットワークのオーバーレイとして展開したWLS100の一例のアーキテクチャを示す。WLS100の構成機器には、LMU120、ワイヤレス位置検出プロセッサ(WLP)170およびワイヤレス位置検出ゲートウェイ(WLG)180を含む担当移動体位置検出局(SMLC)160と、エービス(Abis)監視システム(AMS)150が含まれる。LMU120は、通信業者のセル・サイトに展開される主要構成機器である。LMU120は、指令された周波数に同調し、システムのデータを収集する。次いで、LMU120は、収集したデータをSMLC160に転送する。ネットワークにおいて、LMU120同士は、汎地球測地ネットワーク(図示せず)の使用により、時間および周波数で同期することが好ましい。
【0023】
WLSは、加入者のアイデンティティ、無線チャネルの割り当て、およびエービス・インターフェース190において検出したその他の制御情報を用いて、発呼者の位置を判定するために測定すべきGSM無線バーストを特定する。この位置を計算するために用いる無線信号データは、LMU120とSMLC(WLP)170との間で、E1/T1バックホールを通じて転送することができる。また、システムは、基地送受信局(BTS)110、基地局コントローラ(BSC)140、および移動体交換ユニット(MSC)130も備えている。
【0024】
SMLCの2つの主要サブシステム、ワイヤレス位置検出プロセッサ(WLP)170およびワイヤレス位置検出ゲートウェイ(WLG)180は、商用の市販構成機器で構成すればよい。SMLC160は、通例、通信業者の交換所に設置するが、いずれの場所にでも離れて分散することもできる。
【0025】
ワイヤレス位置検出プロセッサ(WLP)170は、好ましくは、高ボリューム位置検出処理プラットフォームである。WLP170は、U−TDOA、および場所、信頼区間(confidence interval)、速度、および伝搬方向を計算するマルチパス緩和アルゴリズムを内蔵している。また、WLP170は、エービス監視システム(AMS)150からのトリガリング(triggering)に基づいて、位置を検出すべきワイヤレス・フォンを判定することができ、あるいはLbインターフェースからインフラストラクチャ販売業者の基地局コントローラ(BSC)140(または場合によってはMSC130)に要請する。WLP170は、通例、運営者のBSC140と同じ場所に設置されるが、遠方に分散することもできる。WLP170の主要な機能は、LMU120からの信号検出に関する報告を受信し、位置検出処理、および信号毎の場所推定値の計算を行い、位置検出記録に関してWLG180と通信することである。
【0026】
WLG180は、ネットワークを管理し、位置検出記録へのアクセスをオペレータに与える。WLG180は、位置検出記録の収集および配布を責務とする。また、WLG180は、コンフィギュレーション情報を維持し、ネットワーク管理をサポートする。WLG180は、例えば、ネットワーク運営局、交換設備、またはその他のセキュリティ設備のような、いずれの集中設備にでも配置することができる。
【0027】
AMS150は、当該AMS150が接続されているGSMネットワークにおける全てのエービス・シグナリング・リンク190(そして、場合によってはA−インターフェース・リンク195)を連続的に監視する。AMS150の機能は、ワイヤレス・デバイスに対するGSM呼設定手順においてメッセージを捕捉することである。次いで、AMS150は、これらのメッセージに収容されているデータを、その後の位置検出処理のために、WLG180に転送する。(2004年8月24日付けの米国特許第6,782,264B2号、Monitoring of Call Information in a Wireless Location System(ワイヤレス位置検出システムにおける呼情報の監視)を参照のこと)。
【0028】
エレメント管理システム(EMS)の構成機器(図示せず)は、WLSには主要なオペレータ・インターフェースである。EMSは、WLSのオペレータがネットワーク管理、システム・コンフィギュレーション制限管理、警告管理、および故障隔離を実行することを可能にする。EMSは、サーバおよび多数のクライアントを含み、WLG180を用いてWLSに接続する。EMSオペレータ・コンソールの役を担うEMSクライアントは、ネットワーク内にある全てのエレメントに対して、種々のレベルのアクセスを与えることができる。
【0029】
図2は、WLS200の移動体LMU増強WLS200のアーキテクチャ例を示す。図2は、図1に関して先に説明したエレメントと同様のエレメントを含む。これらのエレメントには同じ番号をふり、簡略のためにその説明を省略する。図2は、移動体LMU225は、システム例200におけるWLO170の送信機/受信機176に、位置データを送信機/受信機226を通じて送信することを除いて、図1を参照して先に説明したWLS100の一例と同様に機能する。この構成では、LMU225およびWLG180に付帯する送受信機が、システムのためにバックホール機能を設ける。移動体LMU225は、外部GPSモジュール(図示せず)を含むために最小限の改造をした、通常のLMU120とすればよい。GPSモジュールは、移動体LMUの三次元位置を与えることができる。また、GPSモジュールは、三次元ベクトルの方向(heading)および移動体225の速度、ならびに未修正LMU120が必要とする周波数基準、タイミング、および同期を提供することができる。
【0030】
SMLC160は、位置および速度推定に関与する、静止LMU120および移動体LMU225双方が提供するデータから、目標の移動電話のドプラ成分を分析し、解明する。SMLC160はこの機能を実行して、移動電話の送信を検出した全てのLMUの検出周波数を正規化する(即ち、各LMUは、相互相関プロセスの間ドプラ周波数を考慮することが好ましい)。また、SMLC160は、この機能を実行して、目標の移動体ユニットの挙動(bearing)の速度および方向の付加価値情報を、エンド・ユーザのアプリケーションに提供することもできる。
【0031】
移動体LMU225自体が移動中であるとき、目標の移動電話の位置および速度の推定の間、移動体LMU225の余分なドプラ成分を判定し補償することが好ましい。SMLC160に送信する各移動体LMU225は、SMLC160とのその標準的な通信の中に、移動体LMU225の位置および速度読み取り値を含む追加情報を含むことができる。移動体LMU225とSMLC160との間の通信リンクは、例えば、64kbps(DS0)低レイテンシ・チャネルとすることができる。パケットの損失および再送信に応ずるために、リンクの両端に、バッファ機能を追加することができる。
【0032】
移動体LMU225の一例は、種々のプラットフォーム上に配置して、柔軟なカバレッジを設けることができる。例えば、移動体LMU225の一例を航空機に配置すると、航空機は、その動作において補助するための何らかの相互接続を含むことができる。加えて、移動体プラットフォームに撮像機器(図示せず)を装備すると、移動体プラットフォームの視野内の周囲区域のリアル・タイム画像を供給することができる。画像は、LMUが受信する情報と合わせて用いて、ワイヤレス・デバイスの場所を精度高く検出することができる。
【0033】
図3は、本発明による移動体LMU330の展開構成の一例を示す模式図である。前述の相互接続は、二重帯域移動体LMU330、外部GPS受信機320、外部胴体配備GPSアンテナ固定具370、撮像機器350および撮像処理ユニット355、空の明確な視野が得られる航空機上の位置における航空機搭載GPSアンテナ370の配線導体、地上の明確な視野が得られる航空機上の位置における二重帯域アップリンク/ダウンリンク・アンテナ・インターフェース・ユニット340の外部胴体配備セルラPCSアンテナ固定具380、ならびに地上SMLC(図示せず)に対する通信のための通信リンク360への相互接続390を含むことがえきる。地上SMLCとインターフェースすることにより、この機器は、SMLCが移動体LMU330を制御および動作させ、位置検出処理のために移動体LMU330からデータを得ることができる。
【0034】
移動体LMU330は、無線リンクを通じて、SMLCへの接続性を獲得することができる。例えば、高速X−帯域802.11b通信リンクが、このような接続性を提供することができる。更に、移動体LMUへの単一、低レイテンシ、64kbpsデータ・パイプも用いることができる。これらのシステム・エレメントは双方共、パケット損失や再送信遅延を許容するために、30ミリ秒のバッファを用いて変更することができる。また、航空機には、撮像機器350および撮像処理ユニット355も装備して、ワイヤレス・デバイスの場所を検出する際に補助することもできる。撮像機器350および画像処理ユニット35は、移動体LMU330と共に用いることができ、または単に静的LMU120に補足するために用いることもできる。また、撮像処理ユニットは、記録デバイスおよび記憶ユニットを風味、後に視認するために画像を記録したり、画像を格納することができる。
【0035】
U−TDOA位置検出アルゴリズムは、送信側移動電話または同様のデバイスの場所を計算する際、異なる受信サイトにおける信号到達時刻の差を測定する。移動体ユニットは、移動電話と各受信機との間の伝送経路の距離に比例する時間で、異なる受信機が受信する信号を送信する。U−TDOAアルゴリズムは、いつ移動電話が送信したかを知る必要がなく、代わりに、受信機対間の時間差を基準線測定値として用い、図4に模式的に示すような双曲線データを発生する。図4は、測定した時間差に対する、各受信機からのハンドセットの可能な全ての距離の一例を図で表す。2つ以上の双曲線プロットの交点は、送信側移動電話の位置を表す。
【0036】
図5は、送信側ワイヤレス・フォンの場所を判定するWLSのプロットの一例を示す。ワイヤレス・デバイスの場所は、U−TDOA双曲線の交点によって示される。
WLSは、大容量位置検出系サービス(high volume location-based service)に合わせて設計することが好ましい。WLSは、利用可能な位置検出資源(U−TDOA、AOA、AGPS(補助GPS)、および電力測定)であればいずれでも用いることができ、要請された位置検出を可能な限り最高の精度および歩留まりで実行する。様々な市場が生み出す位置検出用途やサービスを予期して、例示のシステムは、抽象化(abstraction)の主構(principal)を用い、全ての位置検出要請を一連のトリガおよびタスクに組み込み、要望に応じて、必要な位置検出資源を割り当てる。その結果、本システムは移動体LMUおよび公安機能を、単に別の位置に基づくサービスとして扱うことができる。
【0037】
本システムは、種々の公安の使用の場合に用いることができる。例えば、本システムは、「完全ネットワーク・サポート」を要求する場合に用いることができる。この場合、ワイヤレス運営者のネットワークは、商法展開条件下にあるWLSを含み、目標区域は現在商用LMUの展開によってカバーされている。また、本システムは「部分ネットワーク・サポート」を要求する場合にも用いることができる。この場合、システムの設置には、中央事務所に据え付けたSMLCおよびAMSだけを備えている。商用に展開したLMUがあってもよいが、LMUのカバレッジ区域は、目標のカバレッジ区域と一致しなくてもよい。つまり、対象の区域をカバーするためには、追加のLMU(即ち、移動体LMU)が必要となる場合もある。この場合、ワイヤレス運営者は、移動体LMU−SMLCバックホールやグルーミング(grooming)を提供できないこともある。更に、本システムは、「ネットワーク・サポートがない」と言われる場合にも用いることができる。この場合、WLSを独立して展開する。この場合、WLSは、あらゆる必要なデータを、ワイヤレス運営者のネットワークから、第三者の信号傍受/解読監視システムを通じて、または同様のシステムから得る。
【0038】
移動体LMUは、部分的ネットワーク・サポートおよびネットワーク・サポート無しで使用するときでも、十分である(satisfy)ことが要求される場合もあり得る。移動体LMUは、例えば、現在商用的に展開したLMUを目標区域に有していないが、カバレッジとすることが早急に望まれるような領域に展開することができる柔軟性を備えている。また、移動体LMUは、例えば、商用LMUが保守の目的で非活性化されているWLSにおいて、空白を埋めるために用いることもできる。
【0039】
移動体LMUは、航空機搭載でも、地上設置でも可能である。移動体LMUは、完全な移動体(例えば、飛行機内に配備する)として、または一時的設置(例えば、WheelsまたはCOW上のセル・サイト、あるいは小型飛行機に配備する)として実施することができる。
【0040】
これより、弱い、ノイズが多い、および/または干渉によって変転したノイズの多い対象信号を検出する移動体LMUの能力を高めるために用いることができる方法について説明する。
低電力信号の、それらの電力を高め遅延させた複製による改善
マルチ・ユーザ通信ネットワークにおける多くのネットワーク・コントローラは、加入者端末からの送信から受信したデータを、逆にその端末に再送信し、ネットワーク・コントローラと通信しているのがその端末であることを加入者に検証する方法としている。これを用いると、端末の信号を望ましくない干渉やノイズに対して改善することにより、ワイヤレス端末(例えば、移動電話または同様のワイヤレス・デバイス)の位置を検出する際に補助するという利点が得られる。(GSMネットワークのようなワイヤレス通信ネットワークの場合、サービス提供BTSがネットワーク・コントローラとして機能し、したがって再送信機能を実行することができる。)これが行われるのは、ネットワーク・コントローラの信号の方が、電力に限界がある移動体端末から直接送信される信号よりも、アクセスし易くしかも強力である場合が多いからである。以下の例がその概念を例示する。
【0041】
多数の基地送受信局を備え、GSMネットワークがワイヤレス通信カバレッジを設ける地理的区域に基地送受信局を分散したワイヤレスGSMネットワークを考える。ネットワークにおける基地局の密度は、多数の要因によって決定される。通例、基地局は、その漠然とした近傍にある多くのワイヤレス端末にサービスを提供することができ、したがって、ワイヤレス端末の密度は、基地局の密度よりも遥かに高い。到達時間差(TDOA)によってワイヤレス端末の位置検出を行うには、多数の時間同期した受信サイトにおいてワイヤレス端末の信号を受信し、これらのサイトの各々における信号をその信号の複製と相関付けて正確な到達時刻(TOA)を測定することを含むプロセスを伴うことがあり、一方これを用いてTDOAを計算することができる(例えば、1994年7月5日付け米国特許第5,327,144号、Cellular Telephone Location System、および2000年4月4日付け米国特許第6,047,192号、Robust, Efficient, Localization Systemを参照のこと。)。しかしながら、対象信号(SOI)、即ち、ワイヤレス端末の信号の正しい複製を得ることが困難な場合が多い。何故なら、受信サイトは、ワイヤレス端末からかなりの距離の所に位置し、SOIは低い信号対ノイズ比(SNR)によって特徴付けられるからである。即ち、SOIは電力が低く、他のワイヤレス端末からの干渉や他のノイズによって変転する虞れがある。しかしながら、先に引用した米国特許に記載されているようにタイム・スタンプを付けたメモリを受信サイトに組み込むことによって、これらの微弱で、干渉によって変転した信号を首尾良く検出し、タイム・スタンプを付け、ワイヤレス端末の位置検出を可能にすることができる。
【0042】
SOIを受信し、これをメモリに格納し、後の時点でネットワーク・コントローラから信号を受信することにより、本発明にしたがって同様のプロセスを採用することができる。ワイヤレス端末が既にその信号をネットワーク・コントローラに送信した後に、ネットワーク・コントローラがSOIを更に強力にして再度送信することの活用により、複製の相関を一致し易くして、そうしなければ位置検出処理には用いることができない程微弱なまたは変転したSOIの検出に成功することができる。これが可能なのは、ネットワーク・コントローラの信号の方が強力であり、干渉による変転を生じ難いことが多いからである。つまり、ワイヤレス端末の送信を、ネットワーク・コントローラの信号から受信する情報で再現し、相関付けプロセスにおいて用いて、受信サイトの各々においてタイム・スタンプを付けたメモリに格納されているSOIを改善することができる。要約すると、この手法の鍵となる側面は、受信サイトにおいて低電力の移動体端末の信号を受信し、タイム・スタンプが付いたメモリにそれを格納し、SOIを更に強力にした複製を後の時点でネットワーク・コントローラから受信し、ネットワーク・コントローラの忠実度が高いSOIの複製の使用によって、メモリ内のSOIの相関付け処理を改善することである。このプロセスは、「強い」信号を復調して、RF信号によって送信されたディジタル・データを復元し、このデータを再度変調して、位置検出する移動体端末が最初に送信したSOIの忠実度が高い複製を供給することを含むことができる。SOIの正確な到達時刻は、高忠実度のRF信号の複製を、LMUが受信したRF信号の格納されているコピーと相関付けるか、または相互相関付けることによって決定することができる。これによって、可能でないと思われていたような場面においても、TDOAによって場所の決定が可能となる。
【0043】
これより、ネットワークから、接続や協同(cooperation)が全くなく、航空機搭載車両または無人航空機搭載車両(UAV)から商用地上GSMワイヤレス・ネットワークを利用する移動体端末(MS)の位置を検出する問題について検討する。これは、例えば、法律の施行/軍事/諜報の用途のために行うことがある。この問題を検討するに当たり、SOIの特性を判定してそれをTDOA/FDOAおよび同様の信号処理に用いることができるようにする。前述の技法を採用すれば、基地送受信局(BTS)の移動体への送信を監視することによって、SOIの特性を抽出することができる。GSMネットワークでは、移動局(MS)は制御チャネル信号を介してBTSと双方向処理を行い、首尾良いワイヤレス通話およびデータ送信を実行する。BTSは、ある種のワイヤレス・トランザクションのために、MSから受信したデータを受信した後直ちに、制御チャネル上でこのデータを繰り返す。例えば、移動体が発呼するとき、移動体がBTS上でCM_SERV_REQメッセージの中で送信するデータを、BTSの次の移動体への送信において、繰り返して移動体に戻す。地理的区域全域におけるBTSの密度は通例同じ地理的区域全域における移動体の密度よりも遥かに低く、しかもBTSの方が移動体よりも大きな電力で送信し、移動体よりも効率的なアンテナを利用するので、BTS送信は、通例、移動体の送信よりも、地理的区域上の航空機搭載プラットフォームにおいて受信し易い。このように、BTSから移動体への送信をUAVによって受信し、これらの受信した送信から移動体の情報を抽出する。この情報は、UAVにおける無線受信機による移動体の送信の受信を改善するために用いることができる。しかしながら、BTSがこの情報を送信するのは、移動体がそれを送信した後であるので、移動体の送信をUAVにおいて記録しておき、情報がUAVによってBTSから受信された後にこれらを処理することができるような機構を採用する。このプロセスにおける基本的なステップは、(1)UAVにおいて移動体からの送信を受信し記録し、(2)UAVにおいてBTSからの送信を受信し記録し、(3)BTSからの送信から移動体の情報を抽出し、(4)この情報を利用して、移動体から受信する送信を改善することである。
【0044】
また、この手法は、UAV上における適応アンテナ・アレイの使用にも適用でき、適応アンテナ・アレイが提供する空間フィルタリングによって同一周波数上での望ましくない移動機からの干渉の効果を低減しつつ、UAVにおける移動体の信号を同時に改善することができる。
【0045】
航空機搭載(または地上移動体)LMUにおける信号検出を改善するプロセスの例示の実現例では、対象の周波数帯域をカバーする、関与するUAVの全てにおけるアップリンクおよびダウンリンク受信機の使用を伴う場合がある。これを図6のフローチャートに示す。アップリンクおよびダウンリンク受信機は、GPSタイミング受信機の使用によって、互いに時間および周波数の同期が取られている。そのステップは以下を含む。
【0046】
1.UAVにおける受信機を対象のGSMネットワークのフレーミングと同期させる(400)。
2.主UAVにおいてBTSからのAGCH送信を受信する。これは、BTSとの通信に利用する周波数およびタイム・スロットを対象の移動体に知らせる(410)。
【0047】
3.アップリンク受信機を、AGCHから得た周波数およびタイム・スロット情報に同調させ、アップリンク・データを記録し始める(420)。
4.BTSダウンリンク・データを記録し始める(430)。
【0048】
5.移動体から以前に送信したデータの複製であり、ここではそれらのアップリンク送信から記録した、BTSからの送信をUAVにおいて受信する(440)。
6.BTSダウンリンク送信から移動体の情報を抽出し、各UAVにおいて格納されているSOIを補強するためにこれを利用する(450)。
【0049】
7.TDOA/FDOAおよび/または同様の技法によって、移動体の位置を検出する(460)。
結論
本発明の真の範囲は、ここに開示した、現時点における好適な実施形態例に限定されるのではない。例えば、前述のワイヤレス位置検出システムの開示では、LMU、BTS、BSC、SMLC等のような、説明用語が用いられているが、特許請求の範囲の保護範囲を限定するように、またはそれ以外でもワイヤレス位置検出システムの発明の形態が、開示した特定の方法および装置に限定されることを暗示するように解釈してはならない。更に、当業者には言外であろうが、ここに開示した発明の形態は、その多くがTDOA技法に基づかない位置検出システムにも適用可能である。このような非TDOAシステムでは、TDOA計算を行うための前述のSMLCは、不要となる。同様に、本発明は、特定的な構築としたLMUを採用するシステムや、特定の種類の受信機、コンピュータ、信号プロセッサを採用するシステムにも限定されることはない。LMU、SMLC等は、本質的にプログラム可能なデータ収集および処理デバイスであり、ここに開示した発明の概念から逸脱することなく、種々の形態を取ることができる。ディジタル信号処理およびその他の処理機能のコストが急激に低下していることを考えると、本システムの発明をなす動作を変更することなく、例えば、特定の機能のための処理を、ここで記載した(SMLCのような)機能要素の1つから(LMUのような)他の機能要素に移転することも容易に可能である。多くの場合、ここに記載した実現例(即ち、機能要素)の場所は、単に設計者の好みであり、ハードの要件ではない。したがって、明示的に限定することとした場合を除いて、特許請求の範囲の保護範囲は、前述の具体的な実施形態には限定されないものとする。
【0050】
加えて、本明細書における制御チャネルまたは音声チャネルに対するいずれの引用も、特定のエア・インターフェースに好ましい用語が何であっても、全ての種類の制御または音声チャネルに言及するものとする。更に、世界中では更に多くの種類のエア・インターフェース(例えば、IS−95 CDMA、CDMA2000、およびUMTS WCDMA)が用いられており、逆のことが示されない限り、いずれのエア・インターフェースであっても、本明細書において記載した発明概念から除外する意図はない。実際、いずれの場所において用いられている他のインターフェースも、前述のインターフェースと同様のクラスであることを、当業者であれば認めるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明にしたがって商用GSMネットワーク上のオーバーレイとして展開したワイヤレス位置検出システムを示す模式図の一例である。
【図2】図2は、本発明によるワイヤレス位置検出システムを示す模式図の一例である。
【図3】図3は、本発明による移動体LMUの展開構成を示す模式図の一例である。
【図4】図4は、本発明による受信機が捕捉した、ワイヤレス・ハンドセットの可能な距離を表すプロットの一例である。
【図5】図5は、本発明によるアップリンクTDOA(U−TDOA)双曲線の交点を示す、表示画面の図の一例である。
【図6】図6は、低電力信号を、それらよりも電力が高く遅延した複製によって改善するプロセスの例示的実現例のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス位置検出システムであって、
移動体位置測定ユニットおよび汎地球測地システム(GPS)モジュールをサポートする移動体プラットフォームを備えており、前記GPSモジュールが、時間および周波数の基準、ならびに前記移動体LMUの位置および速度を表すデータを提供するように構成された、ワイヤレス位置検出システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、前記移動体プラットフォームは航空機を備えた、システム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムにおいて、前記移動体プラットフォームは地上車両を備えた、システム。
【請求項4】
請求項1記載のシステムにおいて、前記移動体LMUは、ワイヤレス・デバイスからの無線周波数(RF)送信を受信するように構成された受信機と、受信した送信のデータ・サンプルを格納するメモリとを備えた、システム。
【請求項5】
請求項4記載のシステムであって、更に、受信した送信を表す格納データを、前記受信した送信の複製と相関付けるプロセッサを備えた、システム。
【請求項6】
請求項5記載のシステムであって、更に、基地送受信局からダウンリンク信号を受信し、前記複製を前記ダウンリンク信号から得る手段を備えた、システム。
【請求項7】
請求項5記載のシステムであって、更に、ネットワーク・コントローラからダウンリンク信号を受信し、前記複製を前記ダウンリンク信号から得る手段を備えた、システム。
【請求項8】
請求項1記載のシステムであって、更に、既知の場所に少なくとも1つの静止LMUを備えており、該少なくとも1つの静止LMUおよび前記移動体LMUは互いに時間および周波数の同期が取られた、システム。
【請求項9】
請求項8記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの静止LMUは、アンテナ、環境制御包囲空間、電力、およびバックホール通信資源を含む資源の共有を可能とするために、セル・サイト機器と共に同一の場所に配置された、システム。
【請求項10】
請求項8記載のシステムにおいて、前記移動体LMUおよび前記静止LMUは、ある時間期間にわたってワイヤレス・デバイスから無線周波数(RF)送信を受信するように構成されていて、到達時間差(TDOA)および到達周波数差(FDOA)処理によって、それらの場所および速度の判定を可能とする、システム。
【請求項11】
請求項10記載のシステムにおいて、TDOAおよびFDOA処理による前記ワイヤレス・デバイスの場所および速度の判定のために、前記システムは、複数のLMUがある時間期間にわたって前記ワイヤレス・デバイスから信号を受信し、各LMUの場所および速度が、前記信号を受信している時間中に分かるように構成された、システム。
【請求項12】
請求項1記載のシステムにおいて、前記移動体プラットフォームは、更に、基地局からのダウンリンク送信、移動局からのアップリンク送信、およびGPS信号を受信するように構成されたアンテナおよび受信機を備えた、システム。
【請求項13】
請求項1記載のシステムにおいて、前記移動体プラットフォームは、更に、地上局からコマンドおよび制御信号を受信し、前記コマンドおよび制御信号を前記移動体LMUに供給するように構成されたワイヤレス通信リンクを備えた、システム。
【請求項14】
請求項1記載のシステムにおいて、少なくとも1つの移動体プラットフォームが、位置検出対象のワイヤレス・デバイスが展開されている地理的区域の画像を供給するように構成された撮像デバイスを備えた、システム。
【請求項15】
請求項14記載のシステムであって、更に、前記WLSが供給する前記ワイヤレス・デバイスの場所を、前記画像と関連付け、これによって、前記ワイヤレス・デバイスの場所に関する追加情報を提供する手段を備えた、システム。
【請求項16】
請求項14記載のシステムにおいて、前記撮像デバイスは、赤外線撮像が可能である、システム。
【請求項17】
請求項1記載のシステムにおいて、前記移動体プラットフォームは航空機を備えており、前記移動体LMUは、ワイヤレス・デバイスからの無線周波数(RF)送信を受信するように構成された受信機と、受信した送信のデータ・サンプルを格納するメモリとを備えており、更に、受信した送信を表す格納データを該受信した送信の複製と相関付けるプロセッサを備えており、更に、基地送受信局からダウンリンク信号を受信し、前記複製を前記ダウンリンク信号から得る手段を備えており、更に、少なくとも1つの静止LMUを既知の場所に備えており、該少なくとも1つの静止LMUおよび前記移動体LMUは、互いに時間および周波数の同期が取られるように構成されており、前記少なくとも1つの静止LMUは、アンテナ、環境制御包囲空間、電力、およびバックホール通信資源を含む資源の共有を可能とするために、セル・サイト機器と共に同一の場所に配置されており、前記移動体LMUおよび前記静止LMUは、ある時間期間にわたってワイヤレス・デバイスから無線周波数(RF)送信を受信するように構成されていて、到達時間差(TDOA)および到達周波数差(FDOA)処理によってそれらの場所および速度の判定を可能とし、TDOAおよびFDOA処理による前記ワイヤレス・デバイスの場所および速度の判定のために、前記システムは、複数のLMUがある時間期間にわたって前記ワイヤレス・デバイスから信号を受信し、各LMUの場所および速度が、前記信号を受信している時間中に分かるように構成されており、前記移動体プラットフォームは、基地局からのダウンリンク送信、移動局からのアップリンク送信、およびGPS信号を受信するように構成されたアンテナおよび受信機を備えており、前記移動体プラットフォームは、更に、地上局からコマンドおよび制御信号を受信し、前記コマンドおよび制御信号を前記移動体LMUに供給するように構成されたワイヤレス通信リンクを備えており、前記少なくとも1つの移動体プラットフォームが、位置検出対象のワイヤレス・デバイスが展開されている地理的区域の画像を供給するように構成された撮像デバイスを備えており、更に、前記WLSが供給する前記ワイヤレス・デバイスの場所を、前記画像と関連付ける手段を備えた、システム。
【請求項18】
ワイヤレス位置検出システム(WLS)がカバーする領域において動作する移動局(MS)の位置検出方法であって、
少なくとも3箇所の地理的に離れた信号収集サイトにおいて、前記MSからの送信を受信するステップと、
到達時間差(TDOA)を用いて、前記MSの場所を推定するために前記受信した送信を処理するステップであって、前記信号収集サイトの少なくとも1つが、移動体プラットフォームに支持された移動体位置測定ユニット(LMU)を備えた、ステップと、
を備えた、方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法であって、更に、前記MSの推定した場所と比較するために、前記MSの場所を包囲する区域の画像を供給するステップを備えた、方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記画像を記録し、セーブする、方法。
【請求項21】
請求項18記載の方法であって、更に、時間および周波数基準、ならびに前記移動体LMUの三次元位置および速度を、前記移動体プラットフォーム上に配備したGPSモジュールの使用によって供給するステップを備えた、方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法であって、更に、到達時間差(TDOA)を用いて前記MSの場所を推定するときに、前記移動体LMUの前記三次元位置および速度を補償するステップを備えた、方法。
【請求項23】
請求項18記載の方法であって、更に、前記移動体LMUが受信した前記MSの送信をディジタル化し、格納し、更に当該格納した送信を前記MSの送信の複製と相関付けるステップを備えた、方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法であって、更に、基地送受信局からのダウンリンク送信から前記複製を得るステップを備えた、方法。
【請求項25】
請求項23記載の方法であって、更に、ネットワーク・コントローラからのダウンリンク送信から前記複製を得るステップを備えた、方法。
【請求項26】
ワイヤレス位置検出システム(WLS)において用いるための移動体システムであって、移動体プラットフォームが支持する位置測定ユニット(LMU)と、前記移動体プラットフォームが支持し、前記移動体LMUに動作的に結合されたGPSモジュールとを備えており、前記GPSモジュールが前記移動体LMUの三次元位置および速度を判定する、移動体システム。
【請求項27】
請求項26記載の移動体システムにおいて、前記移動体プラットフォームは航空機を備えた、移動体システム。
【請求項28】
請求項26記載の移動体システムにおいて、前記移動体LMUは、ワイヤレス・デバイスから無線周波数(RF)送信を受信するように構成された、移動体システム。
【請求項29】
請求項28記載の移動体システムにおいて、前記移動体プラットフォームは、基地送受信局からのダウンリンク送信、移動局からのアップリンク送信、およびGPS信号を受信するように構成されたアンテナを備えた、移動体システム。
【請求項30】
請求項29記載の移動体システムにおいて、前記移動体プラットフォームは、更に、コマンドおよび制御信号を前記移動体LMUに供給するように構成されたワイヤレス通信リンクを備えた、移動体システム。
【請求項31】
請求項26記載の移動体システムにおいて、前記移動体プラットフォームは、更に、撮像デバイスを備えた、移動体システム。
【請求項32】
請求項31記載の移動体システムであって、更に、前記ワイヤレス・デバイスの場所を、前記撮像デバイスによって得た画像と関連付ける手段を備えた、移動体システム。
【請求項33】
請求項31記載の移動体システムにおいて、前記撮像デバイスは、赤外線画像を供給するように構成された、移動体システム。
【請求項34】
請求項26記載の移動体システムにおいて、前記移動体LMUは、ワイヤレス・デバイスから無線周波数(RF)送信を受信するように構成された受信機と、受信した送信のデータ・サンプルを格納するメモリとを備えており、更に、受信した送信を表す格納データを、前記受信した送信の複製と相関付けるプロセッサを備えた、移動体システム。
【請求項35】
請求項34記載の移動体システムであって、更に、ダウンリンク信号を受信し、前記複製を前記ダウンリンク信号から得る手段を備えた、移動体システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−538005(P2008−538005A)
【公表日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505530(P2008−505530)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/012873
【国際公開番号】WO2006/110475
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(500532540)トゥルーポジション・インコーポレーテッド (48)
【Fターム(参考)】