ワイヤーハーネス固定具
【課題】ワイヤーハーネスのコネクタ首下部分に負荷がかかるのを防止できるとともに、コネクタの取り付け箇所の周辺状況に応じてワイヤーハーネスの経路規制を好適に行うことができるワイヤーハーネス固定具を提供する。
【解決手段】ワイヤーハーネス固定具1は、ワイヤーハーネスを電気的に接続するコネクタ部21及びコネクタ部から延設された台座部22を備えた第1部材2と、台座部に取り付けられる第2部材3と、を備え、第2部材は、ワイヤーハーネスを保持するワイヤーハーネス保持部(固定座部31、ベルト32)を備えるとともに、第2部材は、第1部材の台座部に対して、複数の向きに取り付け可能とされている。第1部材及び第2部材のいずれか一方には係合部(凸部35)を有する接続部33が備えられ、他方には係合部に係合するとともに、複数の向きに対応する複数の被係合部(受け部25)を有する被接続部23が備えられていることができる。
【解決手段】ワイヤーハーネス固定具1は、ワイヤーハーネスを電気的に接続するコネクタ部21及びコネクタ部から延設された台座部22を備えた第1部材2と、台座部に取り付けられる第2部材3と、を備え、第2部材は、ワイヤーハーネスを保持するワイヤーハーネス保持部(固定座部31、ベルト32)を備えるとともに、第2部材は、第1部材の台座部に対して、複数の向きに取り付け可能とされている。第1部材及び第2部材のいずれか一方には係合部(凸部35)を有する接続部33が備えられ、他方には係合部に係合するとともに、複数の向きに対応する複数の被係合部(受け部25)を有する被接続部23が備えられていることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車の内部に配設されるワイヤーハーネスを固定するためのワイヤーハーネス固定具に関する。更に詳しくは、ワイヤーハーネスのコネクタ首下部分に負荷がかかるのを防止できるとともに、コネクタの取り付け箇所の周辺状況に応じてワイヤーハーネスの経路規制を好適に行うことができるワイヤーハーネス固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コネクタを有するワイヤーハーネスをエンジンルームやトランクルーム、車室といった自動車の内部に敷設することが知られている。この場合、コネクタは他のコネクタとの接続が外れないようにするためにクリップやクランプなどを使用して、例えば、インストゥルメントパネル、ドアトリム、シート等の内装部品及び車体パネルやフレーム等に固定される。しかし、コネクタのみを固定してしまうと、コネクタ首下と称するワイヤーハーネスのコネクタ近傍部分が内装部品や車体パネルやフレームに干渉して異音が発生したりしてしまうことがあった。また、コネクタ首下、特に、ワイヤーハーネスのコネクタとの接続部分に負荷が集中して損傷の原因となってしまうことがあった。そこで、異音の発生や負荷集中によるワイヤーハーネスの損傷を防止するために、コネクタ首下の部分においてワイヤーハーネスを固定する構造が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−315162号公報
【特許文献2】特開2003−252126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1や特許文献2に示されるような構造においては、コネクタから長板状やL字板状のプレートを差し出すように設け、コネクタ首下でプレート上にワイヤーハーネスを直接的に固定することで、ワイヤーハーネスをプレートに沿って配設して経路規制するようにしている。しかしながら、ワイヤーハーネスの敷設において、コネクタを取り付ける箇所の周辺の状況は、車種毎に異なることは言うに及ばず同車種であっても箇所によって異なるため、コネクタの取り付け向きやワイヤーハーネスの経路の向きを適宜変更する必要がある。このため従来構成のようにワイヤーハーネスの経路規制がプレートに沿う方向にのみ限定されてしまうものは、使用可能な箇所もまた限定されてしまい、汎用性に乏しいという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の問題に鑑み、ワイヤーハーネスのコネクタ首下部分に負荷がかかるのを防止できるとともに、コネクタの取り付け箇所の周辺状況に応じてワイヤーハーネスの経路規制を好適に行うことができるワイヤーハーネス固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、コネクタに接続されるワイヤーハーネスを固定するワイヤーハーネス固定具であって、前記ワイヤーハーネスを電気的に接続するコネクタ部、及び前記コネクタ部から延設された台座部を備えた第1部材と、前記第1部材の前記台座部に取り付けられる第2部材と、を備え、前記第2部材は、前記ワイヤーハーネスを保持するワイヤーハーネス保持部を備えるとともに、前記第2部材は、前記第1部材の前記台座部に対して、複数の向きに取り付け可能とされていることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方には、係合部を有する接続部が備えられ、前記第1部材及び前記第2部材の他方には、前記係合部に係合するとともに、前記複数の向きに対応する複数の被係合部を有する被接続部が備えられていることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記接続部は、軸部と、前記軸部周りの凸部又は凹部を備え、前記凸部又は凹部が前記係合部とされ、前記被接続部は、前記軸部を受ける軸受け部と、前記凸部又は凹部を受ける受け部を備え、前記受け部が前記被係合部とされていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のワイヤーハーネス固定具によれば、ワイヤーハーネスを電気的に接続するコネクタ部、及びコネクタ部から延設された台座部を備えた第1部材と、第1部材の台座部に取り付けられる第2部材と、を備えている。そして、第2部材は、ワイヤーハーネスを保持するワイヤーハーネス保持部を備えるとともに、第1部材の台座部に対して、複数の向きに取り付け可能となっている。このような構成により、ワイヤーハーネスのコネクタ首下部分に負荷がかかるのを防止できるとともに、コネクタの取り付け箇所の周辺状況に応じてワイヤーハーネスの経路規制を好適に行うことができる。
【0010】
また、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方には、係合部を有する接続部が備えられ、前記第1部材及び前記第2部材の他方には、前記係合部に係合するとともに、前記複数の向きに対応する複数の被係合部を有する被接続部が備えられている場合は、接続部の係合部と、被接続部の被係合部と、を係合させるという簡易な作業により、ワイヤーハーネスの経路規制を行うことができる。その結果、作業効率の向上を図ることができる。
【0011】
更に、前記接続部が、軸部と、前記軸部周りの凸部又は凹部を備え、前記凸部又は凹部が前記係合部とされ、前記被接続部が、前記軸部を受ける軸受け部と、前記凸部又は凹部を受ける受け部を備え、前記受け部が前記被係合部とされている場合は、これら軸部及び軸受け部を中心として第1部材及び第2部材を相対回転させ、所望の方向に対応する受け部に凸部を係合させる、という簡易な作業により、ワイヤーハーネスの経路規制を行うことができる。その結果、作業効率の更なる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】実施例1及び2に係るワイヤーハーネス固定具を示す斜視図である。
【図2】実施例1に係るワイヤーハーネス固定具を示す分解斜視図である。
【図3】実施例1に係る第2部材を示す拡大平面図である。
【図4】実施例1に係る第2部材を示す拡大正面図である。
【図5】実施例1に係る第2部材を示す拡大底面図である。
【図6】実施例1に係る台座部及び被接続部を示す拡大平面図である。
【図7】実施例1に係るワイヤーハーネス固定具の作用を説明するための説明図である。
【図8】実施例1に係るワイヤーハーネス固定具の作用を説明するための説明図である。
【図9】実施例1に係るワイヤーハーネス固定具の作用を説明するための説明図である。
【図10】実施例1に係るワイヤーハーネス固定具の作用を説明するための説明図である。
【図11】実施例1に係るワイヤーハーネス固定具の作用を説明するための説明図である。
【図12】実施例1に係るワイヤーハーネス固定具の作用を説明するための説明図である。
【図13】ワイヤーハーネス固定具によるワイヤーハーネスの経路規制を説明するための説明図である。
【図14】ワイヤーハーネス固定具によるワイヤーハーネスの経路規制を説明するための説明図である。
【図15】ワイヤーハーネス固定具によるワイヤーハーネスの経路規制を説明するための説明図である。
【図16】実施例2に係るワイヤーハーネス固定具を示す分解斜視図である。
【図17】実施例2に係る第2部材を示す拡大正面図である。
【図18】実施例2に係る第2部材を示す拡大底面図である。
【図19】実施例2に係る台座部及び被接続部を示す拡大平面図である。
【図20】実施例2に係るワイヤーハーネス固定具の作用を説明するための説明図である。
【図21】他の実施形態に係るワイヤーハーネス固定具を示す拡大分解斜視図である。
【図22】他の実施形態に係るワイヤーハーネス固定具を示す拡大分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0014】
1.ワイヤーハーネス固定具
本実施形態1.に係るワイヤーハーネス固定具(1)は、コネクタに接続されるワイヤーハーネス(4)を固定するワイヤーハーネス固定具であって、以下に述べる第1部材(2)と、第2部材(3)と、を備えている。
【0015】
上記「第1部材」は、ワイヤーハーネスを電気的に接続するコネクタ部(21)、及びコネクタ部から延設された台座部(22)を備える限り、その構造、形状、大きさ、材質等は特に問わない。
上記コネクタ部の構造、形状、大きさ、個数等は特に問わない。このコネクタ部には対となるコネクタが接続される。また、このコネクタ部には、通常、ワイヤーハーネスの各電線が接続される複数の端子が設けられている。
上記台座部の構造、形状、大きさ等は特に問わない。この台座部の形状としては、例えば、平板状(例えば、図2等参照)、湾曲板状、断面クランク状、断面L字状等であることができる。
【0016】
上記「第2部材」は、上記第1部材の上記台座部に取り付けられる限り、その構造、形状、大きさ、材質等は特に問わない。この第2部材は、上記ワイヤーハーネスを保持するワイヤーハーネス保持部を備えている。また、第2部材は、上記第1部材の上記台座部に対して、複数の向きに取り付け可能とされている。
【0017】
上記ワイヤーハーネス保持部の構造、形状、大きさ、個数、ワイヤーハーネスの保持形態等は特に問わない。このワイヤーハーネス保持部は、例えば、ワイヤーハーネスが載置される固定座部(31)と、この固定座部に載置されたワイヤーハーネスを固定座部に締結するための締結部材と、からなることができる(例えば、図2等参照)。このような構成によると、ワイヤーハーネスの径の違いに依らず、種々の種類のワイヤーハーネスを保持することができる。
上記締結部材としては、例えば、ベルト(32)、針金、ワイヤー等であることができる。
【0018】
本実施形態1.のワイヤーハーネス固定具は、例えば、上記第1部材及び上記第2部材のいずれか一方には、係合部(35)を有する接続部(33)が備えられ、上記第1部材及び上記第2部材の他方には、上記係合部に係合するとともに、上記複数の向きに対応する複数の被係合部(25)を有する被接続部(23)が備えられていることができる(例えば、図2,4,5,6等参照)。上記接続部及び上記被接続部の構成、大きさ、接続形態等は特に問わない。
【0019】
上記係合部の形状、大きさ、個数等は特に問わない。この係合部の形状としては、例えば、凸形状(例えば、図4,5,17,18,22等参照)、凹形状(例えば、図21等参照)等であることができる。上記係合部は、例えば、複数形成されていることができる(例えば、図5,21,22等参照)。
上記被係合部の形状、大きさ、個数等は特に問わない。この被係合部は、通常、上記係合部を受けることができる形状となっている。
上記係合部が複数形成されている場合、係合部と被係合部とが係合する形態としては、例えば、各係合部と、それらと係合する複数の被係合部との組合せを変えて係合可能である形態であることができる(例えば、図9,10等参照)。
【0020】
本実施形態1.のワイヤーハーネス固定具は、例えば、上記接続部は、軸部(34,634)と、上記軸部周りの凸部(35)又は凹部(635)を備え、これら凸部又は凹部が上記係合部とされ、上記被接続部は、上記軸部を受ける軸受け部(24)と、上記凸部又は凹部を受ける受け部(25,625)を備え、上記受け部が上記被係合部とされている形態であることができる。これにより、軸部及び軸受け部を中心として第1部材及び第2部材を相対回転させ、所望の方向に対応する被係合部に係合部を係合させることができる。この場合、上記「軸部周り」とは、軸部外周面(例えば、図2等参照)であってもよいし、軸部の周囲であって軸部から離間した位置(例えば、図16,21,22等参照)であってもよい。即ち、上記凸部及び凹部は、軸部の外周に軸部と一体に形成されていてもよいし(例えば、図2等参照)、軸部の周囲であって軸部から離間した位置に形成されていてもよい(例えば、図16,21,22等参照)。
【0021】
上記接続部は、例えば、係止爪(36)を備えることができる(例えば、図2,16等参照)。係止爪は、接続部と被接続部との接続が解除されるのを防止するために設けられる。この係止爪の形状、大きさ、個数、配設位置等は特に問わない。この係止爪は、例えば、接続部と被接続部とを接続させた際に、接続部を被接続部側に付勢するように作用する弾性を有する形態であることができる。これにより、接続部と被接続部との接続を確実に保持することができる。
【0022】
本実施形態1.のワイヤーハーネス固定具としては、例えば、上記係止爪が上記軸部に設けられており、接続部を被接続部から離間させるように、係止爪の付勢力に抗する力を加えることにより、軸部と軸受け部とが係合した状態のまま、係合部と被係合部との係合を解除可能な形態であることができる(例えば、図20等参照)。
【0023】
ここで、本実施形態1.のワイヤーハーネス固定具としては、例えば、ワイヤーハーネス固定具を他部材に取り付けるためのクリップ等の取付用部品を固定するための取付用部品固定部を有する形態を挙げることができる。この取付用部品固定部は、例えば、上記台座部、上記コネクタ部、上記固定座部等に設けられていることができる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明のワイヤーハーネス固定具を図面に基づいて説明する。
【0025】
<実施例1>
(1)ワイヤーハーネス固定具の構成
本実施例に係るワイヤーハーネス固定具1は、図1に示すように、第1部材2と、第2部材3と、を備えている。このワイヤーハーネス固定具1に対して、ワイヤーハーネス4は、その一端が第1部材2に接続されているとともに、その中間部を第2部材3により保持されている。
【0026】
第1部材2は、図2に示すように、ワイヤーハーネス4を電気的に接続する固定するコネクタ部21と、このコネクタ部21から延設された台座部22と、を備えている。これらコネクタ部21及び台座部22は、樹脂製で一体に形成されている。コネクタ部21は略角筒状をなしており、その内部には複数の端子(図示せず)が配設されている。コネクタ部21の台座部22が延設されている側からは、ワイヤーハーネス4の各電線がこれら複数の端子に接続されている。また、コネクタ部21の他端側は開放されており、対となるコネクタが接続されるようになっている。台座部22は、略矩形状の平板状の形状をなしており、その長手方向の一端がコネクタ部21に接続されている。
【0027】
第2部材3は、図2に示すように、ワイヤーハーネス4が載置される固定座部31と、この固定座部31にワイヤーハーネス4を締結するための締結部材として、一端が固定座部31に接続されている長尺帯状のベルト32と、を備えている。これら固定座部31及びベルト32は、樹脂製で一体に形成されている。図3に示すように、固定座部31には、ワイヤーハーネス4を載置しやすいように、その一面側に溝状部31Aが形成されている。また、固定座部31には、溝状部31Aの延伸方向と交差する方向に貫通する貫通孔31Bが形成されている。この貫通孔31Bには、挿通されたベルト32を固定するための図示しない固定手段が設けられている。そして、固定座部31の溝状部31Aの延伸方向に沿ってワイヤーハーネス4を溝状部31Aに載置するとともに、固定座部31の貫通孔31Bにベルト32の端部を挿通して締め付けることにより、第2部材3はワイヤーハーネス4を保持している。即ち、本実施例において、これら固定座部31及びベルト32は、本発明に係るワイヤーハーネス保持部を構成しているといえる。
【0028】
図2に示すように、第2部材3には接続部33が備えられている。また、第1部材2には、この接続部33が接続する被接続部23が備えられている。接続部33は、図4及び5に示すように、軸部34と、この軸部34周りの凸部35と、を備えている。本実施例において、凸部35は、軸部34の周方向に突出するように複数(図5中4つ)設けられているとともに、各凸部35は軸部34と一体に形成されている。また、接続部33には係止爪36が形成されている。係止爪36は、各凸部35の先端側に形成されている。係止爪36は、接続部33と被接続部23とを接続させた際に、後述する被接続部23の受け部の周縁に係止される。これにより、係止爪36は、接続部33が被接続部23から抜け出てしまうことを防止する。
【0029】
被接続部23は、図6に示すように、軸受け部24と、受け部25と、を備えている。本実施例において、軸受け部24は、接続部33の軸部34を受けるように台座部22に形成された貫通孔である。また、受け部25は、接続部33の凸部35を受けるように、軸受け部24の内壁を外周方向に陥没させて形成されている。受け部25は、軸受け部24の内壁の周方向に複数(図6中8つ)形成されている。各受け部25には、そのいずれに対しても凸部35を係合させることができるようになっている。これにより、第2部材3は、第1部材2の台座部22に対して、複数の向きに取り付け可能とされる。
【0030】
(2)ワイヤーハーネス固定具の作用
次に、ワイヤーハーネス固定具1の作用について説明する。
最初に、図7に示すように、被接続部23に接続部33を挿入し、第1部材2の台座部22に対して第2部材3を取り付ける。すると、図8に示すように、凸部35と受け部25とが係合するとともに、係止爪36が被接続部23を貫通し、受け部25の周縁に係止される。その結果、台座部22に対する第2部材3の取り付け角度が固定される。凸部35と受け部25との係合に際しては、固定座部31の溝状部31Aの延伸方向がワイヤーハーネス4の配索経路の方向を向くように、その方向に対応する受け部25と、凸部35と、を係合させるようにする。
このように、凸部35と受け部25とが係合することにより、軸部34及び軸受け部24を中心とした第1部材2及び第2部材3の相対回転が規制される。なお、本実施例では、図9及び10に示すように、台座部22に対する第2部材3の取り付け角度を平面視45°間隔で変更可能である。
【0031】
そして、図11に示すように、ワイヤーハーネス4を溝状部31Aに沿わせて載置し、この状態で、ベルト32をワイヤーハーネス4の周囲に巻回させ、その端部を貫通孔31Bの一方の開口に挿入する。最後に、図12に示すように、貫通孔31Bの他方の開口から突出したベルト32の端部を引っ張って締め込む。これにより、ワイヤーハーネス4が第2部材3に保持される。
このように、端部がコネクタ部21に対して固定されたワイヤーハーネス4が第2部材に保持され、その配索経路が所望の方向に定められる。
【0032】
台座部22に対する第2部材3の取り付け角度の変更によるワイヤーハーネス4の経路規制の具体例として、図13にコネクタ首下でワイヤーハーネス4を直線方向に固定する場合を示す。この直線方向の固定における台座部22に対する第2部材3の取り付け角度を0°とした場合、台座部22に対する第2部材3の取り付け角度を90°とすることで、図14に示すように、ワイヤーハーネス4を横方向に固定することができる。また、台座部22に対する第2部材3の取り付け角度を45°とすることで、図15に示すように、ワイヤーハーネス4を斜め方向に固定することができる。
なお、最初に第2部材3にワイヤーハーネス4を保持させてから接続部33と被接続部23とを接続するようにしてもよい。
【0033】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例のワイヤーハーネス固定具1によると、ワイヤーハーネス4を電気的に接続するコネクタ部21、及びコネクタ部21から延設された台座部22を備えた第1部材2と、第1部材2の台座部22に取り付けられる第2部材3と、を備えており、第2部材3は、ワイヤーハーネス4を保持するワイヤーハーネス保持部として、固定座部31及びベルト32を備えている。また、第2部材3は、第1部材2の台座部22に対して、複数の向きに取り付け可能となっている。このような構成により、ワイヤーハーネスのコネクタ首下部分に負荷がかかるのを防止できるとともに、コネクタの取り付け箇所の周辺状況に応じてワイヤーハーネスの経路規制を好適に行うことができる。
【0034】
また、本実施例では、第2部材3には、複数の向きに対応する複数の凸部35を有する接続部33が備えられ、第1部材2には、凸部35に係合する受け部25を有する被接続部23が備えられているので、係合部としての凸部35と、被係合部としての受け部25と、を係合させるという簡易な作業により、ワイヤーハーネス4の経路規制を行うことができる。その結果、作業効率の向上を図ることができる。
【0035】
更に、本実施例では、接続部33が、軸部34と、軸部周りの凸部35と、を備え、被接続部23が、軸部34を受ける軸受け部24と、凸部35を受ける受け部25を備えているので、これら軸部34及び軸受け部24を中心として第1部材2及び第2部材3を相対回転させ、所望の方向に対応する受け部25に凸部35を係合させる、という簡易な作業により、ワイヤーハーネス4の経路規制を行うことができる。その結果、作業効率の更なる向上を図ることができる。即ち、ワイヤーハーネス固定具1は、台座部22に対する第2部材3の平面視における取り付け角度を変更するのみで、コネクタ首下でワイヤーハーネス4を様々な方向に固定することが可能であり、使用箇所が限定されず汎用性が高い。
【0036】
また、本実施例では、ワイヤーハーネス4が載置される固定座部31と、この固定座部31に載置されたワイヤーハーネス4を固定座部31に締結するためのベルト32と、によりワイヤーハーネス4を保持するようにしたので、ワイヤーハーネスの径の違いに依らず、種々の種類のワイヤーハーネスを保持することができる。
【0037】
<実施例2>
次に、実施例2に係るワイヤーハーネス固定具の構成について説明する。なお、本実施例のワイヤーハーネス固定具では、上記実施例1に係るワイヤーハーネス固定具1と略同じ構成部位については同符号を付けてその詳説を省略し、主に相違点である接続部及び被接続部の構成について説明する。
【0038】
(1)ワイヤーハーネス固定具の構成
本実施例に係るワイヤーハーネス固定具51は、図17に示すように、第1部材52と、第2部材53と、を備えている。第1部材52は、上記実施例1と同様の構成のコネクタ部21及び台座部22を備えている。第2部材53は、上記実施例1と同様の構成の固定座部31及びベルト32を備えている。また、本実施例において、第2部材53には接続部533が備えられており、第1部材52には、この接続部533が接続する被接続部523が備えられている。
【0039】
接続部533は、図18及び19に示すように、軸部534と、この軸部534周りの凸部535と、を備えている。本実施例において、凸部535は、略円柱状であって、軸部534から離間した位置に形成されている。また、凸部535は固定座部31から第1部材52との接続方向に向かって突出するように形成されている。また、軸部534の先端側には係止爪536が形成されている。
【0040】
被接続部523は、図20に示すように、軸受け部524と、受け部525と、を備えている。本実施例において、軸受け部524は、接続部533の軸部534を受けるように台座部22に形成された平面形状が略円形の貫通孔である。受け部525は、軸受け部524の周囲を取り囲むように形成された複数(図20中8つ)の貫通孔であるまた、各受け部525には、そのいずれに対しても凸部535を係合させることができるようになっている。これにより、第2部材53は、第1部材52の台座部22に対して、複数の向きに取り付け可能とされる。
【0041】
上記係止爪536は弾性を有しており、接続部533と被接続部523とを接続させた際に、軸受け部524の周縁に係止されて接続部533を被接続部523側に付勢するように作用する。また、図20に示すように、接続部533と被接続部523とを離間させるようにこの係止爪536の付勢力に抗する力を加えることにより、軸部534と軸受け部524とが係合した状態のまま、凸部535と受け部525との係合を解除できるようになっている。
【0042】
(2)ワイヤーハーネス固定具の作用・効果
上記構成のワイヤーハーネス固定具51によると、上記実施例1に係るワイヤーハーネス固定具1と略同様の作用・効果を奏する。また、それらに加えて、係止爪536が弾性を有しており、接続部533と被接続部523とを接続させた際に、軸受け部524の周縁に係止されて接続部533を被接続部523側に付勢するように作用するとともに、接続部533と被接続部523とを離間させるようにこの係止爪536の付勢力に抗する力を加えることにより、軸部534と軸受け部524とが係合した状態のまま、凸部535と受け部525との係合を解除できるようになっているので、ワイヤーハーネスの経路の規制方向を容易に変更することができる。
【0043】
なお、本発明においては、上記実施例1及び2に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更することができる。即ち、上記実施例1及び2では、本発明に係る係合部として凸部35,535を備える例をそれぞれ示したが、これらに限定されず、例えば、係合部として、凹部を備えるようにしてもよい。図21において、接続部633には、本発明に係る係合部としての凹部635が軸部634の周囲に複数形成されており、被接続部623には、この凹部635を受ける凸状の受け部625が軸受け部624の周囲に複数形成されている。このような構成によると、凹部635と受け部625との係合の組合せを変えることにより、第1部材62の台座部22に対する第2部材63の取り付け角度を変更することができる。その結果、上記実施例1及び2と同様に、ワイヤーハーネスの経路規制を行うことができる。
【0044】
また、上記実施例1及び2では、固定座部31の底面側に係合部としての凸部35,535を形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、図22に示すように、固定座部の外周面側に係合部を形成するようにしてもよい。同図において、第2部材73の固定座部731は、平面形状が略多角形状(図22中8角形状)に形成されている。また、第1部材72の台座部722は、軸受け部724の周囲において、固定座部731が嵌合する平面形状が略多角形状の凹状に形成されている。そして、固定座部731の各角部は、軸部734の周囲に設けられた係合部としての凸部735であり、これら各凸部735と係合する凹状部を被係合部としての受け部725としている。このような構成によると、凸部735と受け部725との係合の組合せを変えることにより、第1部材72の台座部22に対する第2部材73の取り付け角度を変更することができる。その結果、上記実施例1及び2と同様に、ワイヤーハーネスの経路規制を行うことができる。
【0045】
更に、上記実施例1及び2では、略矩形状の平板状の台座部22を例示したが、これに限定されず、例えば、湾曲した板状や、断面クランク状、断面L字状等の台座部としてもよい。
【0046】
また、上記実施例1及び2では、第2部材3,53に接続部33,533を設け、第1部材2,52に被接続部23,523を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、第1部材に接続部を設け、第2部材に被接続部を設けるようにしてもよい。
【0047】
更に、上記実施例1及び2では、軸部34,534と、これらを受ける軸受け部24,524と、を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、軸部及び軸受け部を省略するようにしてもよい。この場合も、係合部と被係合部とを係合させることにより、上記実施例1及び2と同様に、ワイヤーハーネスの経路規制を行うことができる。
【0048】
また、上記実施例1及び2では係合爪36,536を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、係合爪を設けず、接続部と被接続部とを接着、溶着、貼着等により固定して取り付けるようにしてもよい。
【0049】
更に、上記実施例1及び2では、コネクタ部21及び台座部22を一体に形成する例を示したが、これに限定されず、例えば、コネクタ部と台座部とを別体で形成しておき、これらを連結させて接続するようにしてもよい。この場合、例えば、台座部の端部に筒状の連結部を形成し、この連結部をコネクタ部に被せる等して連結することによりコネクタ部と台座部とが接続している形態とすることができる。
【0050】
また、上記実施例1及び2では、ワイヤーハーネス保持部として、固定座部31及びベルト32よりなるワイヤーハーネス保持部を例示したが、これに限定されず、例えば、固定座部と、この固定座部にワイヤーハーネスを縛り付けるための針金やワイヤー等とからなるワイヤーハーネス保持部としてもよいし、クランプ等で挟み込むことによりワイヤーハーネスを保持する構造としてもよい。
【0051】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0052】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
ワイヤーハーネスのコネクタ首下に負荷がかかるのを防止するとともに、ワイヤーハーネスの経路を規制する技術として広く利用される。特に、乗用車、バス、トラック等の他、列車、汽車等の鉄道車両、建設車両、農業車両、産業車両などの車両に配索されるワイヤーハーネスのコネクタ首下における経路規制をする技術として好適に利用される。
【符号の説明】
【0054】
1,51;ワイヤーハーネス固定具、2,52,62,72;第1部材、21;コネクタ部、22,722;台座部、23,523,623;被接続部、24,524,624,724;軸受け部、25,525,625,725;受け部(被係合部)、3,53,63,73;第2部材、31,731;固定座部、31A;溝状部、31B;貫通孔、32;ベルト、33,533,633;接続部、34,534,634,734;軸部、35,535,735;凸部(係合部)、36,536;係止爪、4;ワイヤーハーネス、635;凹部(係合部)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車の内部に配設されるワイヤーハーネスを固定するためのワイヤーハーネス固定具に関する。更に詳しくは、ワイヤーハーネスのコネクタ首下部分に負荷がかかるのを防止できるとともに、コネクタの取り付け箇所の周辺状況に応じてワイヤーハーネスの経路規制を好適に行うことができるワイヤーハーネス固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コネクタを有するワイヤーハーネスをエンジンルームやトランクルーム、車室といった自動車の内部に敷設することが知られている。この場合、コネクタは他のコネクタとの接続が外れないようにするためにクリップやクランプなどを使用して、例えば、インストゥルメントパネル、ドアトリム、シート等の内装部品及び車体パネルやフレーム等に固定される。しかし、コネクタのみを固定してしまうと、コネクタ首下と称するワイヤーハーネスのコネクタ近傍部分が内装部品や車体パネルやフレームに干渉して異音が発生したりしてしまうことがあった。また、コネクタ首下、特に、ワイヤーハーネスのコネクタとの接続部分に負荷が集中して損傷の原因となってしまうことがあった。そこで、異音の発生や負荷集中によるワイヤーハーネスの損傷を防止するために、コネクタ首下の部分においてワイヤーハーネスを固定する構造が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−315162号公報
【特許文献2】特開2003−252126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1や特許文献2に示されるような構造においては、コネクタから長板状やL字板状のプレートを差し出すように設け、コネクタ首下でプレート上にワイヤーハーネスを直接的に固定することで、ワイヤーハーネスをプレートに沿って配設して経路規制するようにしている。しかしながら、ワイヤーハーネスの敷設において、コネクタを取り付ける箇所の周辺の状況は、車種毎に異なることは言うに及ばず同車種であっても箇所によって異なるため、コネクタの取り付け向きやワイヤーハーネスの経路の向きを適宜変更する必要がある。このため従来構成のようにワイヤーハーネスの経路規制がプレートに沿う方向にのみ限定されてしまうものは、使用可能な箇所もまた限定されてしまい、汎用性に乏しいという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の問題に鑑み、ワイヤーハーネスのコネクタ首下部分に負荷がかかるのを防止できるとともに、コネクタの取り付け箇所の周辺状況に応じてワイヤーハーネスの経路規制を好適に行うことができるワイヤーハーネス固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、コネクタに接続されるワイヤーハーネスを固定するワイヤーハーネス固定具であって、前記ワイヤーハーネスを電気的に接続するコネクタ部、及び前記コネクタ部から延設された台座部を備えた第1部材と、前記第1部材の前記台座部に取り付けられる第2部材と、を備え、前記第2部材は、前記ワイヤーハーネスを保持するワイヤーハーネス保持部を備えるとともに、前記第2部材は、前記第1部材の前記台座部に対して、複数の向きに取り付け可能とされていることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方には、係合部を有する接続部が備えられ、前記第1部材及び前記第2部材の他方には、前記係合部に係合するとともに、前記複数の向きに対応する複数の被係合部を有する被接続部が備えられていることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記接続部は、軸部と、前記軸部周りの凸部又は凹部を備え、前記凸部又は凹部が前記係合部とされ、前記被接続部は、前記軸部を受ける軸受け部と、前記凸部又は凹部を受ける受け部を備え、前記受け部が前記被係合部とされていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のワイヤーハーネス固定具によれば、ワイヤーハーネスを電気的に接続するコネクタ部、及びコネクタ部から延設された台座部を備えた第1部材と、第1部材の台座部に取り付けられる第2部材と、を備えている。そして、第2部材は、ワイヤーハーネスを保持するワイヤーハーネス保持部を備えるとともに、第1部材の台座部に対して、複数の向きに取り付け可能となっている。このような構成により、ワイヤーハーネスのコネクタ首下部分に負荷がかかるのを防止できるとともに、コネクタの取り付け箇所の周辺状況に応じてワイヤーハーネスの経路規制を好適に行うことができる。
【0010】
また、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方には、係合部を有する接続部が備えられ、前記第1部材及び前記第2部材の他方には、前記係合部に係合するとともに、前記複数の向きに対応する複数の被係合部を有する被接続部が備えられている場合は、接続部の係合部と、被接続部の被係合部と、を係合させるという簡易な作業により、ワイヤーハーネスの経路規制を行うことができる。その結果、作業効率の向上を図ることができる。
【0011】
更に、前記接続部が、軸部と、前記軸部周りの凸部又は凹部を備え、前記凸部又は凹部が前記係合部とされ、前記被接続部が、前記軸部を受ける軸受け部と、前記凸部又は凹部を受ける受け部を備え、前記受け部が前記被係合部とされている場合は、これら軸部及び軸受け部を中心として第1部材及び第2部材を相対回転させ、所望の方向に対応する受け部に凸部を係合させる、という簡易な作業により、ワイヤーハーネスの経路規制を行うことができる。その結果、作業効率の更なる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】実施例1及び2に係るワイヤーハーネス固定具を示す斜視図である。
【図2】実施例1に係るワイヤーハーネス固定具を示す分解斜視図である。
【図3】実施例1に係る第2部材を示す拡大平面図である。
【図4】実施例1に係る第2部材を示す拡大正面図である。
【図5】実施例1に係る第2部材を示す拡大底面図である。
【図6】実施例1に係る台座部及び被接続部を示す拡大平面図である。
【図7】実施例1に係るワイヤーハーネス固定具の作用を説明するための説明図である。
【図8】実施例1に係るワイヤーハーネス固定具の作用を説明するための説明図である。
【図9】実施例1に係るワイヤーハーネス固定具の作用を説明するための説明図である。
【図10】実施例1に係るワイヤーハーネス固定具の作用を説明するための説明図である。
【図11】実施例1に係るワイヤーハーネス固定具の作用を説明するための説明図である。
【図12】実施例1に係るワイヤーハーネス固定具の作用を説明するための説明図である。
【図13】ワイヤーハーネス固定具によるワイヤーハーネスの経路規制を説明するための説明図である。
【図14】ワイヤーハーネス固定具によるワイヤーハーネスの経路規制を説明するための説明図である。
【図15】ワイヤーハーネス固定具によるワイヤーハーネスの経路規制を説明するための説明図である。
【図16】実施例2に係るワイヤーハーネス固定具を示す分解斜視図である。
【図17】実施例2に係る第2部材を示す拡大正面図である。
【図18】実施例2に係る第2部材を示す拡大底面図である。
【図19】実施例2に係る台座部及び被接続部を示す拡大平面図である。
【図20】実施例2に係るワイヤーハーネス固定具の作用を説明するための説明図である。
【図21】他の実施形態に係るワイヤーハーネス固定具を示す拡大分解斜視図である。
【図22】他の実施形態に係るワイヤーハーネス固定具を示す拡大分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0014】
1.ワイヤーハーネス固定具
本実施形態1.に係るワイヤーハーネス固定具(1)は、コネクタに接続されるワイヤーハーネス(4)を固定するワイヤーハーネス固定具であって、以下に述べる第1部材(2)と、第2部材(3)と、を備えている。
【0015】
上記「第1部材」は、ワイヤーハーネスを電気的に接続するコネクタ部(21)、及びコネクタ部から延設された台座部(22)を備える限り、その構造、形状、大きさ、材質等は特に問わない。
上記コネクタ部の構造、形状、大きさ、個数等は特に問わない。このコネクタ部には対となるコネクタが接続される。また、このコネクタ部には、通常、ワイヤーハーネスの各電線が接続される複数の端子が設けられている。
上記台座部の構造、形状、大きさ等は特に問わない。この台座部の形状としては、例えば、平板状(例えば、図2等参照)、湾曲板状、断面クランク状、断面L字状等であることができる。
【0016】
上記「第2部材」は、上記第1部材の上記台座部に取り付けられる限り、その構造、形状、大きさ、材質等は特に問わない。この第2部材は、上記ワイヤーハーネスを保持するワイヤーハーネス保持部を備えている。また、第2部材は、上記第1部材の上記台座部に対して、複数の向きに取り付け可能とされている。
【0017】
上記ワイヤーハーネス保持部の構造、形状、大きさ、個数、ワイヤーハーネスの保持形態等は特に問わない。このワイヤーハーネス保持部は、例えば、ワイヤーハーネスが載置される固定座部(31)と、この固定座部に載置されたワイヤーハーネスを固定座部に締結するための締結部材と、からなることができる(例えば、図2等参照)。このような構成によると、ワイヤーハーネスの径の違いに依らず、種々の種類のワイヤーハーネスを保持することができる。
上記締結部材としては、例えば、ベルト(32)、針金、ワイヤー等であることができる。
【0018】
本実施形態1.のワイヤーハーネス固定具は、例えば、上記第1部材及び上記第2部材のいずれか一方には、係合部(35)を有する接続部(33)が備えられ、上記第1部材及び上記第2部材の他方には、上記係合部に係合するとともに、上記複数の向きに対応する複数の被係合部(25)を有する被接続部(23)が備えられていることができる(例えば、図2,4,5,6等参照)。上記接続部及び上記被接続部の構成、大きさ、接続形態等は特に問わない。
【0019】
上記係合部の形状、大きさ、個数等は特に問わない。この係合部の形状としては、例えば、凸形状(例えば、図4,5,17,18,22等参照)、凹形状(例えば、図21等参照)等であることができる。上記係合部は、例えば、複数形成されていることができる(例えば、図5,21,22等参照)。
上記被係合部の形状、大きさ、個数等は特に問わない。この被係合部は、通常、上記係合部を受けることができる形状となっている。
上記係合部が複数形成されている場合、係合部と被係合部とが係合する形態としては、例えば、各係合部と、それらと係合する複数の被係合部との組合せを変えて係合可能である形態であることができる(例えば、図9,10等参照)。
【0020】
本実施形態1.のワイヤーハーネス固定具は、例えば、上記接続部は、軸部(34,634)と、上記軸部周りの凸部(35)又は凹部(635)を備え、これら凸部又は凹部が上記係合部とされ、上記被接続部は、上記軸部を受ける軸受け部(24)と、上記凸部又は凹部を受ける受け部(25,625)を備え、上記受け部が上記被係合部とされている形態であることができる。これにより、軸部及び軸受け部を中心として第1部材及び第2部材を相対回転させ、所望の方向に対応する被係合部に係合部を係合させることができる。この場合、上記「軸部周り」とは、軸部外周面(例えば、図2等参照)であってもよいし、軸部の周囲であって軸部から離間した位置(例えば、図16,21,22等参照)であってもよい。即ち、上記凸部及び凹部は、軸部の外周に軸部と一体に形成されていてもよいし(例えば、図2等参照)、軸部の周囲であって軸部から離間した位置に形成されていてもよい(例えば、図16,21,22等参照)。
【0021】
上記接続部は、例えば、係止爪(36)を備えることができる(例えば、図2,16等参照)。係止爪は、接続部と被接続部との接続が解除されるのを防止するために設けられる。この係止爪の形状、大きさ、個数、配設位置等は特に問わない。この係止爪は、例えば、接続部と被接続部とを接続させた際に、接続部を被接続部側に付勢するように作用する弾性を有する形態であることができる。これにより、接続部と被接続部との接続を確実に保持することができる。
【0022】
本実施形態1.のワイヤーハーネス固定具としては、例えば、上記係止爪が上記軸部に設けられており、接続部を被接続部から離間させるように、係止爪の付勢力に抗する力を加えることにより、軸部と軸受け部とが係合した状態のまま、係合部と被係合部との係合を解除可能な形態であることができる(例えば、図20等参照)。
【0023】
ここで、本実施形態1.のワイヤーハーネス固定具としては、例えば、ワイヤーハーネス固定具を他部材に取り付けるためのクリップ等の取付用部品を固定するための取付用部品固定部を有する形態を挙げることができる。この取付用部品固定部は、例えば、上記台座部、上記コネクタ部、上記固定座部等に設けられていることができる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明のワイヤーハーネス固定具を図面に基づいて説明する。
【0025】
<実施例1>
(1)ワイヤーハーネス固定具の構成
本実施例に係るワイヤーハーネス固定具1は、図1に示すように、第1部材2と、第2部材3と、を備えている。このワイヤーハーネス固定具1に対して、ワイヤーハーネス4は、その一端が第1部材2に接続されているとともに、その中間部を第2部材3により保持されている。
【0026】
第1部材2は、図2に示すように、ワイヤーハーネス4を電気的に接続する固定するコネクタ部21と、このコネクタ部21から延設された台座部22と、を備えている。これらコネクタ部21及び台座部22は、樹脂製で一体に形成されている。コネクタ部21は略角筒状をなしており、その内部には複数の端子(図示せず)が配設されている。コネクタ部21の台座部22が延設されている側からは、ワイヤーハーネス4の各電線がこれら複数の端子に接続されている。また、コネクタ部21の他端側は開放されており、対となるコネクタが接続されるようになっている。台座部22は、略矩形状の平板状の形状をなしており、その長手方向の一端がコネクタ部21に接続されている。
【0027】
第2部材3は、図2に示すように、ワイヤーハーネス4が載置される固定座部31と、この固定座部31にワイヤーハーネス4を締結するための締結部材として、一端が固定座部31に接続されている長尺帯状のベルト32と、を備えている。これら固定座部31及びベルト32は、樹脂製で一体に形成されている。図3に示すように、固定座部31には、ワイヤーハーネス4を載置しやすいように、その一面側に溝状部31Aが形成されている。また、固定座部31には、溝状部31Aの延伸方向と交差する方向に貫通する貫通孔31Bが形成されている。この貫通孔31Bには、挿通されたベルト32を固定するための図示しない固定手段が設けられている。そして、固定座部31の溝状部31Aの延伸方向に沿ってワイヤーハーネス4を溝状部31Aに載置するとともに、固定座部31の貫通孔31Bにベルト32の端部を挿通して締め付けることにより、第2部材3はワイヤーハーネス4を保持している。即ち、本実施例において、これら固定座部31及びベルト32は、本発明に係るワイヤーハーネス保持部を構成しているといえる。
【0028】
図2に示すように、第2部材3には接続部33が備えられている。また、第1部材2には、この接続部33が接続する被接続部23が備えられている。接続部33は、図4及び5に示すように、軸部34と、この軸部34周りの凸部35と、を備えている。本実施例において、凸部35は、軸部34の周方向に突出するように複数(図5中4つ)設けられているとともに、各凸部35は軸部34と一体に形成されている。また、接続部33には係止爪36が形成されている。係止爪36は、各凸部35の先端側に形成されている。係止爪36は、接続部33と被接続部23とを接続させた際に、後述する被接続部23の受け部の周縁に係止される。これにより、係止爪36は、接続部33が被接続部23から抜け出てしまうことを防止する。
【0029】
被接続部23は、図6に示すように、軸受け部24と、受け部25と、を備えている。本実施例において、軸受け部24は、接続部33の軸部34を受けるように台座部22に形成された貫通孔である。また、受け部25は、接続部33の凸部35を受けるように、軸受け部24の内壁を外周方向に陥没させて形成されている。受け部25は、軸受け部24の内壁の周方向に複数(図6中8つ)形成されている。各受け部25には、そのいずれに対しても凸部35を係合させることができるようになっている。これにより、第2部材3は、第1部材2の台座部22に対して、複数の向きに取り付け可能とされる。
【0030】
(2)ワイヤーハーネス固定具の作用
次に、ワイヤーハーネス固定具1の作用について説明する。
最初に、図7に示すように、被接続部23に接続部33を挿入し、第1部材2の台座部22に対して第2部材3を取り付ける。すると、図8に示すように、凸部35と受け部25とが係合するとともに、係止爪36が被接続部23を貫通し、受け部25の周縁に係止される。その結果、台座部22に対する第2部材3の取り付け角度が固定される。凸部35と受け部25との係合に際しては、固定座部31の溝状部31Aの延伸方向がワイヤーハーネス4の配索経路の方向を向くように、その方向に対応する受け部25と、凸部35と、を係合させるようにする。
このように、凸部35と受け部25とが係合することにより、軸部34及び軸受け部24を中心とした第1部材2及び第2部材3の相対回転が規制される。なお、本実施例では、図9及び10に示すように、台座部22に対する第2部材3の取り付け角度を平面視45°間隔で変更可能である。
【0031】
そして、図11に示すように、ワイヤーハーネス4を溝状部31Aに沿わせて載置し、この状態で、ベルト32をワイヤーハーネス4の周囲に巻回させ、その端部を貫通孔31Bの一方の開口に挿入する。最後に、図12に示すように、貫通孔31Bの他方の開口から突出したベルト32の端部を引っ張って締め込む。これにより、ワイヤーハーネス4が第2部材3に保持される。
このように、端部がコネクタ部21に対して固定されたワイヤーハーネス4が第2部材に保持され、その配索経路が所望の方向に定められる。
【0032】
台座部22に対する第2部材3の取り付け角度の変更によるワイヤーハーネス4の経路規制の具体例として、図13にコネクタ首下でワイヤーハーネス4を直線方向に固定する場合を示す。この直線方向の固定における台座部22に対する第2部材3の取り付け角度を0°とした場合、台座部22に対する第2部材3の取り付け角度を90°とすることで、図14に示すように、ワイヤーハーネス4を横方向に固定することができる。また、台座部22に対する第2部材3の取り付け角度を45°とすることで、図15に示すように、ワイヤーハーネス4を斜め方向に固定することができる。
なお、最初に第2部材3にワイヤーハーネス4を保持させてから接続部33と被接続部23とを接続するようにしてもよい。
【0033】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例のワイヤーハーネス固定具1によると、ワイヤーハーネス4を電気的に接続するコネクタ部21、及びコネクタ部21から延設された台座部22を備えた第1部材2と、第1部材2の台座部22に取り付けられる第2部材3と、を備えており、第2部材3は、ワイヤーハーネス4を保持するワイヤーハーネス保持部として、固定座部31及びベルト32を備えている。また、第2部材3は、第1部材2の台座部22に対して、複数の向きに取り付け可能となっている。このような構成により、ワイヤーハーネスのコネクタ首下部分に負荷がかかるのを防止できるとともに、コネクタの取り付け箇所の周辺状況に応じてワイヤーハーネスの経路規制を好適に行うことができる。
【0034】
また、本実施例では、第2部材3には、複数の向きに対応する複数の凸部35を有する接続部33が備えられ、第1部材2には、凸部35に係合する受け部25を有する被接続部23が備えられているので、係合部としての凸部35と、被係合部としての受け部25と、を係合させるという簡易な作業により、ワイヤーハーネス4の経路規制を行うことができる。その結果、作業効率の向上を図ることができる。
【0035】
更に、本実施例では、接続部33が、軸部34と、軸部周りの凸部35と、を備え、被接続部23が、軸部34を受ける軸受け部24と、凸部35を受ける受け部25を備えているので、これら軸部34及び軸受け部24を中心として第1部材2及び第2部材3を相対回転させ、所望の方向に対応する受け部25に凸部35を係合させる、という簡易な作業により、ワイヤーハーネス4の経路規制を行うことができる。その結果、作業効率の更なる向上を図ることができる。即ち、ワイヤーハーネス固定具1は、台座部22に対する第2部材3の平面視における取り付け角度を変更するのみで、コネクタ首下でワイヤーハーネス4を様々な方向に固定することが可能であり、使用箇所が限定されず汎用性が高い。
【0036】
また、本実施例では、ワイヤーハーネス4が載置される固定座部31と、この固定座部31に載置されたワイヤーハーネス4を固定座部31に締結するためのベルト32と、によりワイヤーハーネス4を保持するようにしたので、ワイヤーハーネスの径の違いに依らず、種々の種類のワイヤーハーネスを保持することができる。
【0037】
<実施例2>
次に、実施例2に係るワイヤーハーネス固定具の構成について説明する。なお、本実施例のワイヤーハーネス固定具では、上記実施例1に係るワイヤーハーネス固定具1と略同じ構成部位については同符号を付けてその詳説を省略し、主に相違点である接続部及び被接続部の構成について説明する。
【0038】
(1)ワイヤーハーネス固定具の構成
本実施例に係るワイヤーハーネス固定具51は、図17に示すように、第1部材52と、第2部材53と、を備えている。第1部材52は、上記実施例1と同様の構成のコネクタ部21及び台座部22を備えている。第2部材53は、上記実施例1と同様の構成の固定座部31及びベルト32を備えている。また、本実施例において、第2部材53には接続部533が備えられており、第1部材52には、この接続部533が接続する被接続部523が備えられている。
【0039】
接続部533は、図18及び19に示すように、軸部534と、この軸部534周りの凸部535と、を備えている。本実施例において、凸部535は、略円柱状であって、軸部534から離間した位置に形成されている。また、凸部535は固定座部31から第1部材52との接続方向に向かって突出するように形成されている。また、軸部534の先端側には係止爪536が形成されている。
【0040】
被接続部523は、図20に示すように、軸受け部524と、受け部525と、を備えている。本実施例において、軸受け部524は、接続部533の軸部534を受けるように台座部22に形成された平面形状が略円形の貫通孔である。受け部525は、軸受け部524の周囲を取り囲むように形成された複数(図20中8つ)の貫通孔であるまた、各受け部525には、そのいずれに対しても凸部535を係合させることができるようになっている。これにより、第2部材53は、第1部材52の台座部22に対して、複数の向きに取り付け可能とされる。
【0041】
上記係止爪536は弾性を有しており、接続部533と被接続部523とを接続させた際に、軸受け部524の周縁に係止されて接続部533を被接続部523側に付勢するように作用する。また、図20に示すように、接続部533と被接続部523とを離間させるようにこの係止爪536の付勢力に抗する力を加えることにより、軸部534と軸受け部524とが係合した状態のまま、凸部535と受け部525との係合を解除できるようになっている。
【0042】
(2)ワイヤーハーネス固定具の作用・効果
上記構成のワイヤーハーネス固定具51によると、上記実施例1に係るワイヤーハーネス固定具1と略同様の作用・効果を奏する。また、それらに加えて、係止爪536が弾性を有しており、接続部533と被接続部523とを接続させた際に、軸受け部524の周縁に係止されて接続部533を被接続部523側に付勢するように作用するとともに、接続部533と被接続部523とを離間させるようにこの係止爪536の付勢力に抗する力を加えることにより、軸部534と軸受け部524とが係合した状態のまま、凸部535と受け部525との係合を解除できるようになっているので、ワイヤーハーネスの経路の規制方向を容易に変更することができる。
【0043】
なお、本発明においては、上記実施例1及び2に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更することができる。即ち、上記実施例1及び2では、本発明に係る係合部として凸部35,535を備える例をそれぞれ示したが、これらに限定されず、例えば、係合部として、凹部を備えるようにしてもよい。図21において、接続部633には、本発明に係る係合部としての凹部635が軸部634の周囲に複数形成されており、被接続部623には、この凹部635を受ける凸状の受け部625が軸受け部624の周囲に複数形成されている。このような構成によると、凹部635と受け部625との係合の組合せを変えることにより、第1部材62の台座部22に対する第2部材63の取り付け角度を変更することができる。その結果、上記実施例1及び2と同様に、ワイヤーハーネスの経路規制を行うことができる。
【0044】
また、上記実施例1及び2では、固定座部31の底面側に係合部としての凸部35,535を形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、図22に示すように、固定座部の外周面側に係合部を形成するようにしてもよい。同図において、第2部材73の固定座部731は、平面形状が略多角形状(図22中8角形状)に形成されている。また、第1部材72の台座部722は、軸受け部724の周囲において、固定座部731が嵌合する平面形状が略多角形状の凹状に形成されている。そして、固定座部731の各角部は、軸部734の周囲に設けられた係合部としての凸部735であり、これら各凸部735と係合する凹状部を被係合部としての受け部725としている。このような構成によると、凸部735と受け部725との係合の組合せを変えることにより、第1部材72の台座部22に対する第2部材73の取り付け角度を変更することができる。その結果、上記実施例1及び2と同様に、ワイヤーハーネスの経路規制を行うことができる。
【0045】
更に、上記実施例1及び2では、略矩形状の平板状の台座部22を例示したが、これに限定されず、例えば、湾曲した板状や、断面クランク状、断面L字状等の台座部としてもよい。
【0046】
また、上記実施例1及び2では、第2部材3,53に接続部33,533を設け、第1部材2,52に被接続部23,523を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、第1部材に接続部を設け、第2部材に被接続部を設けるようにしてもよい。
【0047】
更に、上記実施例1及び2では、軸部34,534と、これらを受ける軸受け部24,524と、を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、軸部及び軸受け部を省略するようにしてもよい。この場合も、係合部と被係合部とを係合させることにより、上記実施例1及び2と同様に、ワイヤーハーネスの経路規制を行うことができる。
【0048】
また、上記実施例1及び2では係合爪36,536を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、係合爪を設けず、接続部と被接続部とを接着、溶着、貼着等により固定して取り付けるようにしてもよい。
【0049】
更に、上記実施例1及び2では、コネクタ部21及び台座部22を一体に形成する例を示したが、これに限定されず、例えば、コネクタ部と台座部とを別体で形成しておき、これらを連結させて接続するようにしてもよい。この場合、例えば、台座部の端部に筒状の連結部を形成し、この連結部をコネクタ部に被せる等して連結することによりコネクタ部と台座部とが接続している形態とすることができる。
【0050】
また、上記実施例1及び2では、ワイヤーハーネス保持部として、固定座部31及びベルト32よりなるワイヤーハーネス保持部を例示したが、これに限定されず、例えば、固定座部と、この固定座部にワイヤーハーネスを縛り付けるための針金やワイヤー等とからなるワイヤーハーネス保持部としてもよいし、クランプ等で挟み込むことによりワイヤーハーネスを保持する構造としてもよい。
【0051】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0052】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
ワイヤーハーネスのコネクタ首下に負荷がかかるのを防止するとともに、ワイヤーハーネスの経路を規制する技術として広く利用される。特に、乗用車、バス、トラック等の他、列車、汽車等の鉄道車両、建設車両、農業車両、産業車両などの車両に配索されるワイヤーハーネスのコネクタ首下における経路規制をする技術として好適に利用される。
【符号の説明】
【0054】
1,51;ワイヤーハーネス固定具、2,52,62,72;第1部材、21;コネクタ部、22,722;台座部、23,523,623;被接続部、24,524,624,724;軸受け部、25,525,625,725;受け部(被係合部)、3,53,63,73;第2部材、31,731;固定座部、31A;溝状部、31B;貫通孔、32;ベルト、33,533,633;接続部、34,534,634,734;軸部、35,535,735;凸部(係合部)、36,536;係止爪、4;ワイヤーハーネス、635;凹部(係合部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタに接続されるワイヤーハーネスを固定するワイヤーハーネス固定具であって、
前記ワイヤーハーネスを電気的に接続するコネクタ部、及び前記コネクタ部から延設された台座部を備えた第1部材と、
前記第1部材の前記台座部に取り付けられる第2部材と、を備え、
前記第2部材は、前記ワイヤーハーネスを保持するワイヤーハーネス保持部を備えるとともに、
前記第2部材は、前記第1部材の前記台座部に対して、複数の向きに取り付け可能とされていることを特徴とするワイヤーハーネス固定具。
【請求項2】
前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方には、係合部を有する接続部が備えられ、
前記第1部材及び前記第2部材の他方には、前記係合部に係合するとともに、前記複数の向きに対応する複数の被係合部を有する被接続部が備えられている請求項1記載のワイヤーハーネス固定具。
【請求項3】
前記接続部は、軸部と、前記軸部周りの凸部又は凹部を備え、
前記凸部又は凹部が前記係合部とされ、
前記被接続部は、前記軸部を受ける軸受け部と、前記凸部又は凹部を受ける受け部を備え、
前記受け部が前記被係合部とされている請求項2記載のワイヤーハーネス固定具。
【請求項1】
コネクタに接続されるワイヤーハーネスを固定するワイヤーハーネス固定具であって、
前記ワイヤーハーネスを電気的に接続するコネクタ部、及び前記コネクタ部から延設された台座部を備えた第1部材と、
前記第1部材の前記台座部に取り付けられる第2部材と、を備え、
前記第2部材は、前記ワイヤーハーネスを保持するワイヤーハーネス保持部を備えるとともに、
前記第2部材は、前記第1部材の前記台座部に対して、複数の向きに取り付け可能とされていることを特徴とするワイヤーハーネス固定具。
【請求項2】
前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方には、係合部を有する接続部が備えられ、
前記第1部材及び前記第2部材の他方には、前記係合部に係合するとともに、前記複数の向きに対応する複数の被係合部を有する被接続部が備えられている請求項1記載のワイヤーハーネス固定具。
【請求項3】
前記接続部は、軸部と、前記軸部周りの凸部又は凹部を備え、
前記凸部又は凹部が前記係合部とされ、
前記被接続部は、前記軸部を受ける軸受け部と、前記凸部又は凹部を受ける受け部を備え、
前記受け部が前記被係合部とされている請求項2記載のワイヤーハーネス固定具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−120349(P2012−120349A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268773(P2010−268773)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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