一体化された干渉シールドを備えた半導体パッケージおよびその製造方法
半導体モジュールパッケージのための一体化された電磁干渉(EMI)シールドである。一体化されたEMIシールドは、パッケージの基板内の接地面とパッケージのモールド化合物の上端上にプリントされた導電層との間に電気的に接続された複数のワイヤボンドばねを含む。ワイヤボンドばねは、ワイヤボンドばねの上端と導電層との間の電気的接続によるコンタクトを与えるばね効果を生じさせる、定められた形状を有する。ワイヤボンドばねを、モジュールパッケージ内において、パッケージに含まれる装置すべてまたはその一部の周りのいずれかの場所に配置することにより、これらの装置の周りに完全なEMIシールドを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
発明の分野
本発明は、半導体装置パッケージに関し、より特定的には半導体装置のための電磁および/または無線周波数干渉シールドに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
無線周波数(RF)通信システムでは、一般的に、RF装置を他のRF装置から発生した電磁(無線周波数)干渉(EMI)から隔離することが、適切な装置性能を維持するために必要である。同様に、RF装置は、一般的に、環境から受けるまたは環境に伝達される電磁干渉から隔離する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
RF装置をこのような電磁干渉から隔離する従来の方法は、RF装置を典型的には「カン(can)」と呼ばれる接地した金属の筐体で覆うことである。しかしながら、この解決策はコストが高く設計に柔軟性がない。加えて、金属のカンによって、プリント回路基板上の装置設置面積が大幅に増加し、かつプリント回路基板の重量も増大する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本発明の局面および実施例は、ワイヤボンドプロセス技術を用いて電磁干渉シールドを装置のパッケージに組込んだ半導体装置パッケージおよびこの半導体装置パッケージの製造方法に関する。ある実施例では、ワイヤボンドプロセスを用いて、装置の周りに配置され装置の上下の導電層に結合されるワイヤボンドばねを形成することによって、装置の周りに電磁干渉シールドを形成する。以下でさらに説明するように、ワイヤボンドばねの形状およびワイヤボンドばねによって生まれるばね効果により、安定した製造プロセスによって、成形されたパッケージの上端にある導電層とパッケージの基板内の接地面との間に信頼性の高い電気的接続を形成することができる。これらのワイヤボンドばねを使用することにより、どのようなオーバーモールドされた装置にも適用し得る一体化された電磁干渉シールドに対する柔軟性のある解決策が得られる。
【0005】
ある局面は、一体化された電磁干渉シールドを有するパッケージングされた半導体モジュールに関する。ある実施例では、パッケージングされた半導体モジュールは、接地面を有する基板と、基板の表面上に設けられた電子装置と、電子装置の周りに配置され接地面と電気的に結合された複数のワイヤボンドばねと、電子装置を覆い複数のワイヤボンドばねの少なくとも一部を覆うモールド化合物と、モールド化合物の最上面上に配置され複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかに電気的に結合された導電層とを含み、この複数のワイヤボンドばね、導電層、および接地面はともに、一体化された電磁干渉シールドを含む。
【0006】
ある例では、導電層は銀が充填されたエポキシを含む。ワイヤボンドばねは、金線または銅線といったさまざまな導電性材料で作ることができる。複数のワイヤボンドは各々、導電層とワイヤボンドばねとを接触させることにより導電層とワイヤボンドばねとの間を電気的に結合するばね効果をもたらすように成形されたワイヤの連続ループを含んでいてもよい。ある例では、電子装置はRF装置である。
【0007】
別の実施例に従うと、ワイヤの連続ループで形成されたワイヤボンドばねは、ボールボンドと、屈曲ゾーンと、頂部と、屈曲ゾーンと頂部との間に延びる凸領域と、傾斜した後端領域と、頂部と傾斜した後端領域との間に延びる実質的に平坦な領域とを含み、屈曲ゾーンは凸領域とボールボンドとの間にある。ある例では、頂部は実質的に屈曲ゾーンの垂直方向において上にある。上記のように、ワイヤボンドばねを、金線または銅線を含むさまざまな導電材料から形成できる。ある例では、この構造を有するワイヤボンドばね上記半導体モジュールで使用する。
【0008】
別の局面は、一体化された電磁干渉シールドを有する半導体モジュールパッケージに関する。ある実施例では、半導体モジュールパッケージは、基板と、基板の第1の面の上に配置された第1および第2のメタライズされた接続点と、第1のメタライズされた接続点と第2のメタライズされた接続点との間に延びる連続ワイヤを含むワイヤボンドばねとを含む。このワイヤボンドばねは、第1のメタライズされた接続点に電気的に接続されたボールボンドと、屈曲ゾーンと、頂部と、屈曲ゾーンと頂部との間に延びる凸領域と、頂部に近接する実質的に平坦な領域と、実質的に平坦な領域と第2のメタライズされた接続点との間に延びる傾斜した後端領域とを含む。ある例では、この半導体モジュールパッケージはさらに、基板上に配置され第1および第2のメタライズされた接続点のうち少なくとも1つに電気的に結合された接地面を含む。別の例では、半導体モジュールパッケージはさらに、電子装置と、上記ワイヤボンドばねと実質的に同一の複数のさらなるワイヤボンドばねとを含み、この複数のワイヤボンドばねは、基板上において電子装置の外周の周りに配置される。別の例では、半導体モジュールパッケージはさらに、電子装置を覆うとともに複数のワイヤボンドばねの少なくとも一部を覆うモールド化合物と、モールド化合物の表面上に配置され複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかに電気的に接続された導電層とを含み、接地面、導電層、および複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかはともに、一体化された電磁干渉シールドを形成する。
【0009】
別の局面は、一体化された電磁干渉シールドを有するモジュールの製造方法に関する。ある実施例に従うと、この方法は、電子装置を基板に接続することと、メタライゼーションを基板上に設けることと、メタライゼーションに接続された複数のワイヤボンドばねを形成することと、トランスファー成形プロセスを実施することにより、電子装置をモールド化合物に封入するとともに、複数のワイヤボンドばねをモールド化合物で少なくとも部分的に覆うことと、導電層をモールド化合物の表面上に配置することとを含み、この導電層は複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかに電気的に接続される。ある例では、この方法はさらに、導電層をモールド化合物の表面上に配置する前に、モールド化合物の表面を除去することにより複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかの領域を露出させることを含む。別の例では、メタライゼーションを設けることは、接地面と、接地面に電気的に接続された少なくとも1つのワイヤボンドコンタクト領域を設けることを含む。別の例では、複数のワイヤボンドばねを形成することは、ワイヤボールをメタライゼーションの上に配置することと、ワイヤボールからワイヤを引出してワイヤボールに接続された第1の端部と第2の端部とを有するワイヤループを形成することと、第2の端部をメタライゼーションに接続することとを含む。別の例では、導電層をモールド化合物の表面上に配置することは、銀が充填されたエポキシの層をモールド化合物の表面上に塗装することを含む。
【0010】
別の実施例に従うと、電子モジュールは、基板と、基板上に配置された電子装置と、電子装置の周りに実質的に配置された複数の離散構造から形成された一体化された電磁干渉シールドとを含み、この構造は、一体化された電磁干渉シールドによってシールドされる信号の波長の一部によって定められる最小間隔を有する。ある例では、この波長の一部の割合は1/20である。別の例では、以下で説明するように複数の離散構造は複数のワイヤボンドばねを含む。
【0011】
さらに他の局面、実施例、およびこれらの代表的な局面および実施例の利点を以下において詳細に説明する。さらに、上述の情報および以下の詳細な説明は、さまざまな局面および実施例を例示しているだけであり、請求項に記載の局面および実施例の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることが理解されるであろう。本明細書で開示される実施例はいずれも、本明細書で開示される目的、目標および必要性に従ったやり方で他の任意の実施例と組合せることが可能である。「ある実施例」、「いくつかの実施例」、「代替実施例」、「さまざまな実施例」、「1つの実施例」と記載されている場合、必ずしも相互排他的ではなく、実施例と関連付けて記載される特定の特徴、構成または特性が少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを示すことを意図している。本明細書で使用されるこのような用語は必ずしもすべてが同一の実施例に対して用いられるわけではない。添付の図面は、さまざまな局面および実施例を説明しかつその理解を深めるために含まれ、この明細書に含まれるとともにこの明細書の一部を構成している。図面は、明細書の他の部分とともに、説明され請求項に記載された局面および実施例の原理および動作を説明する役割を果たす。
【0012】
少なくとも1つの実施例のさまざまな局面について添付の図面を参照しながら以下で説明するが、これらの図面は一定の縮尺で示すことを意図していない。図面、詳細な説明またはいずれかの請求項の技術的な特徴に参照符号が付されている場合、これらの参照符号は、図面を理解し易くすることのみを目的として含まれている。したがって、参照符号が付されている場合もそうでない場合も、請求項の構成要素の範囲を限定しない。図中、さまざまな図面に示された同一またはほぼ同一の構成要素は各々同一の番号で示されている。明確にするために、いずれの図面でもすべての構成要素に符号が設けられているわけではない。図面は、例示および説明を目的として提供され、発明の限定事項の定義を意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の局面に従う、パッケージングプロセスの一部として一体化されたEMIシールドを提供する方法の一例を示すフロー図である。
【図2】図2は、基板と基板に設けられた1つ以上のダイとを含む電子モジュールの一例の図である。
【図3】図3は、本発明の局面に従う、一体化されたEMIシールドが組込まれた装置パッケージの一例の図である。
【図4A】図4Aは、本発明の局面に従う、一体化されたEMIシールドが組込まれた装置パッケージの別の例の図である。
【図4B】図4Bは、本発明の局面に従う、連続ワイヤボンドトラックを示す装置パッケージの一部の平面図である。
【図5】図5は、本発明の局面に従うワイヤボンドばねの一例の図である。
【図6】図6は、本発明の局面に従うワイヤボンドばねを形成する方法の一例を示すフロー図である。
【図7】図7は、本発明の局面に従うワイヤボンドばねの一例の図である。
【図8】図8は、本発明の局面に従う、トランスファー成形プロセス中のワイヤボンドばねの変形を示す図である。
【図9】図9は、本発明の局面に従う、装置パッケージに組込まれたワイヤボンドばねの一例の画像である。
【図10】図10は、本発明の局面に従うワイヤボンドばねの一例の平面画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
無線周波数(RF)成分を使用する、携帯電話端末、携帯情報端末(PDA)、メディアプレイヤー、およびその他の携帯機器を含む数多くの現代の用途では、完成品の大きさ(長さ、幅および厚み)ならびに重量が重要な設計パラメータであることが多い。たとえば、特に携帯電話端末については、より多くの機能性および特徴を提供するより小型でより軽量の装置が常に求められている。このため、これらの機器で使用される個々の部品の大きさおよび重量も重要となる可能性がある。上記のように、RF装置の電磁干渉シールドを与えるための従来の方策は、接地した金属カンを、シールドする個々のRF装置の上に配置することを含み、これは、大きさ、重量および設計のコストを増すため、多くの用途において望ましくないことがある。
【0015】
局面および実施例は、パッケージングプロセス中に個々の装置またはモジュールに組込まれる干渉シールドを提供し、装置またはモジュールの大きさおよび/または重量の増加が最小である、方法および装置に関する。本明細書で使用される「EMIシールド」という用語は、電磁干渉および無線周波数干渉シールド双方に使用される。ある実施例では、一体化されたEMIシールドを、以下でさらに説明するようにワイヤボンド製造プロセスを用いて形成することができるため、既存の工具を用いて製造でき、かつ、モジュール内の電子装置に対する電気的接続を与えるのに使用される従来のワイヤボンドで共通の処理ライン上で組立てることができる。この方策は、高い設計の柔軟性だけでなく、EMIシールド製造のためのより簡単でより低コストの方法を提供することができる。加えて、本発明の局面に従う一体化された「ワイヤボンドケージ」シールドは、既存の従来の技術では得られなかったモジュール間およびモジュール内の分離および低いパッケージ高さを得る方法を提供する。以下で説明するように、ワイヤボンドケージを、特定のかつ十分に制御された設計および形状を有する「ワイヤボンドばね」コネクタを用いて形成することにより、さまざまなパッケージおよびプロセス条件に対して強固で実用的なEMIシールドを提供する。
【0016】
本明細書に記載の方法および装置の実施例は、その用途が以下の説明に記載のまたは添付の図面に示された構成要素の構造および配置の詳細事項に限定されないことが理解されるであろう。これらの方法および装置は、他の実施例において実現可能であり、さまざまな方法で実施または実行することが可能である。特定の実現化の例は、本明細書において、例示のみを目的として示され、限定を意図しない。特に、1つ以上の実施例と関連付けて記載される動作、要素および特徴は、それ以外の実施例において同様の役割から除外されることを意図しない。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明を目的としており限定とみなされてはならない。本明細書においてシステムおよび方法の実施例または要素または動作が単数であるとして述べられている場合、こうした要素を複数含む実施例も包含し得る。本明細書において実施例または要素または動作が複数あるものとして述べられている場合も、要素が1つのみである実施例を包含し得る。単数形で記載されていても複数形で記載されていても、ここで開示されるシステムまたは方法、それらの構成要素、動作または要素を限定することを意図しない。本明細書において「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「伴う」、およびこれらの変形が使用されている場合、続いて記載される事項およびその均等物ならびに追加の事項を包含することを意味する。「または」と記載されている場合、「または」を用いて記載されているいずれの用語も、記載された用語のうち1つ、2つ以上、およびすべてを示し得るものであると包括的に解釈し得る。前および後、左および右、上端および下端、ならびに上部および下部と記載されている場合、説明に好都合であるからであって、本システムおよび方法またはそれらの構成要素をいずれか1つの位置または空間に限定することを意図していない。
【0017】
図1を参照して、本発明の局面に従う、一体化されたEMIシールドを組込んだ電子装置またはモジュールをパッケージングする方法の一例が示される。この方法の局面および実施例について、続いて図1を参照しながら説明する。
【0018】
第1のステップ100は、電子モジュールに組込まれる基板を準備することを含む。このステップ100は、電子モジュールのさまざまな構成要素を相互接続するのに使用し得るメタライゼーションを基板の上に形成することを含んでもよく、これらのうち少なくともいくつかは、以下でさらに説明するように、一体化されたEMIシールドの一部となり得るものである。ステップ102において、電子モジュールを、当業者に周知の方法および技術に従って組立ててもよい。このステップ102は、1つ以上のダイを基板に配置すること、必要な内部または外部の接続または接続点を形成すること(メタライゼーションおよび/または誘電体の層を堆積させることを含む)などの動作を含み得る。したがって、図1ではモジュールの組立を1つのステップ102として示しているが、これは、同時に、異なるときに、および/または異なる場所で実施され得るいくつかのステップを含み得ることが理解されるであろう。さらに、ステップ100はステップ102の一部とみなされてもよいことが理解されるであろう。
【0019】
このようなモジュールの一例が図2に示される。モジュール200は、基板204に設けられた1つ以上のダイ202を含む。モジュール200のいくつかの例は、電力増幅器、トランシーバ、線形装置、フィルタ、およびEMIシールドを必要とするまたはEMIシールドから利益を得るであろう他の装置を含むが、これらに限定されない。上記のように、EMIシールドは典型的にはRF装置にとって望ましいものであり、したがって、ダイ202のうち少なくとも1つはRF装置でもよく、モジュール200はRFモジュールでもよい。しかしながら、本発明はこのように限定されるものではなく、ダイ202は、いかなる種類のデジタルまたはアナログ装置、または構成要素も含み得ることが理解されるであろう。ある例では、ダイ202は、図2に示されるようにボンドパッド208に接続されたワイヤボンド206を用いて基板204に配置される。これに代えて、ダイ202は、フリップチップボンディング法または当業者にとって周知の他の任意の適切な技術を用いて基板204に配置されてもよい。
【0020】
ある実施例に従うと、一体化されたEMIシールドは、パッケージングプロセス中にワイヤボンドケージを基板204の端の周囲に構成することによってモジュール200に組込まれる。ワイヤボンド206を形成するのに使用される従来のプロセスと同様であり、同一の機器を用いるワイヤボンドプロセスを実施して、以下で説明するようにワイヤボンドばねを構成してもよい。複数のこれらのワイヤボンドばねを、以下でさらに説明するように、基板204上のダイ202の周りに配置し、パッケージ内の接地面に接続することによって、一体化されたEMIシールドを形成するワイヤボンドばねケージを与えてもよい。成形されたモジュールに一体化されたシールドを形成する際、基板内の接地面を最上部の導電性シールド層に接続する方法を発見することが製造上の難点である。ワイヤボンドばねコネクタを用いる一体化されたシールドの形成方法の実施例は、以下でさらに説明するように、この難点を克服するための安定した製造プロセスを提供する。
【0021】
再び図1を参照して、上記のように、ステップ100は、一体化されたEMIシールドの一部となるメタライゼーションを基板204上に形成することを含み得る。図3を参照して、これらのメタライゼーションは、ワイヤボンドパッド210と、接地面212と、ワイヤボンドパッドを接地面に接続するビア214とを含み得る。以下でさらに説明するように次にワイヤボンドばね216をワイヤボンドパッド210に接続してもよい(ステップ104)。図3に示された例では2つの離散的なワイヤボンドパッド210とこれらに関連付けられたビア214を各ワイヤボンドばね216に設けているが、本発明はこのように限定されるものではなく、他の多くの構成が意図されていることが理解されるであろう。たとえば、図4Aおよび図4Bに示されているように、個々のワイヤボンドパッド210を、(1つまたは複数の)ダイ202を少なくとも部分的に囲み得るメタライゼーショントラックまたはリング218に置換えてもよい。この例では、1つ以上のビア214をトラック218に沿ういくつかのポイントに設けて、トラックを、したがってワイヤボンドばね216を、接地面212に結合してもよい。さらに、ある例では、トラック218は2つ以上のワイヤボンドばね216の間で連続していてもよく、したがって、各ワイヤボンドばねに対し個別に関連付けられたビア214を設ける必要はない。加えて、図3に示されるワイヤボンドばね216は、(ワイヤボンドパッド210にある)2つの接続点が共にビア214によって接地面212に結合されているが、このようにする必要はなく、ワイヤボンドばねの端部のうち一方を浮いたままにしてもよい(すなわち接地面に電気的に結合されない)。
【0022】
ある実施例に従うと、一体化されたEMIシールドの形成方法は、ダイ202をモールド化合物220の中に封じ込めるトランスファー成形プロセス(ステップ106)を含む。以下でさらに説明するように、トランスファー成形プロセスの間、基板204は下側のモールドチェース(mold chase)に入れられ、上側のモールドチェースを下側のモールドチェース上まで降下させて装置の周囲のキャビティを封止し、モールド化合物220をキャビティの中に流し込んで基板上のダイ202を封じ込める。トランスファー成形プロセスは当業者には周知である。
【0023】
さらに図1および図3を参照して、トランスファー成形プロセス(ステップ106)の後、除去プロセス(ステップ108)を用いてワイヤボンドばね216の上端部をモールド化合物220を通して露出させてもよい。除去プロセスはたとえばレーザアブレーションプロセス、モールド化合物220の研削および/または研磨を含み、これによってモールド化合物の層を取除きワイヤボンドばね216の上端部を露出させる。ある例では、除去プロセスによって厚みが約40ミクロン未満のモールド化合物の層を除去してもよい。別の例では、除去プロセスによって厚みが約10ミクロンのモールド化合物の層を除去してもよい。ワイヤボンドばね216の上端部を露出させた後、薄い導電性コーティングまたは層222を、モールド化合物220の上端の上に形成し(ステップ110)、露出したワイヤボンドばね216の上端部と接触させてもよい。導電層222は、印刷、堆積、スパッタリングといった当業者に周知のさまざまな技術のうちいずれかを用いてモールド化合物220の上端の上に堆積させてもよい。一例では、導電層222は、モールド化合物220の上面に吹付塗装によって形成した銀が充填されたエポキシといった金属充填エポキシを含む。導電層222はワイヤボンドばね216の露出した上端部と接触するため露出したワイヤボンドばねを電気的に接続する。
【0024】
上記のように、ある実施例において、モジュール220は、図3に示されるように基板204の下面に沿って配置されビア214によってワイヤボンドばね216と接続された接地面212を含む。ワイヤボンドばね216の上端部と導電層222との間のコンタクトを通して、導電層と接地面212との間に電気的接続が形成され、これによってモジュール200内のEMIシールドが完成する。ワイヤボンドばね216は、基板204内の接地面212と最上端の導電性シールド層222との間に、(ワイヤボンドばねは基板上の適切などの場所にでも配置できるため)柔軟性がありかつ完全に一体化された接続を提供する。ある実施例では、ワイヤボンドばね216は、以下でさらに説明するように規定された形状を有し、これを制御して、ワイヤボンドばねと導電層222との間に信頼性の高い電気的接続を形成することを容易にするばね効果を生み出す。このように、ダイ202のうち1つまたは2つ以上を、導電層222と、ワイヤボンドばね216(およびこれらに関連付けられたビア214およびボンドバッド210といったメタライゼーション)と、接地面212とによって形成される接地されたEMIシールドの中に実質的に囲い込むことができる。本発明の実施例に従うこの一体化されたEMIシールドは、従来のEMIシールドの解決策の大きな金属カンとは違って、モジュール200の大きさおよび重量の増加を最小限に留めることができる。
【0025】
ある実施例に従うと、ワイヤボンドばね216は、十分に制御され、従来のワイヤボンド206とは実質的に異なる、特定の形状および高さを有する。当業者には周知であるように、従来のワイヤボンド206は、図2および図3に示されるように、ワイヤボンディングマシンを用いてボンドワイヤの一端をダイ202に接続しワイヤボンディングマシンの動きを制御してボンドワイヤをダイから引出してループを形成し、次にボンドワイヤの他端を基板上のパッドに接続することによって形成される。本発明の実施例に従うワイヤボンドばね216は、同様の技術を用いて形成してもよいが、ワイヤループは、ワイヤボンディングマシンのx軸およびy軸方向の動きを操作することによって、以下に述べるワイヤボンドばねの所望のばね効果および他の特性を提供する独自の形状に加工される。
【0026】
図5を参照して、本発明の局面に従うワイヤボンドばね216の1つの実施例が示される。ワイヤボンドばね216は、ワイヤボンドばねと基板204との間に第1の接続点を提供するボールボンド224と、ボールボンドから基板上の第2の接続点228まで延びるワイヤループ226とを含む。図5および図6を参照して、ワイヤボンドばね216を形成するプロセス(ステップ104)を、ボールボンド224を形成する第1のステップ112から開始してもよい。このステップは、金属ボールを基板204上のワイヤボンドパッド210(図3参照)上に配置し(ステップ104)、このボールをワイヤボンドパッドに結合し(ステップ116)ボールボンド224を形成することを含んでもよい。ワイヤボンドばねは、金(従来のワイヤボンドに一般的に使用される)および銅を含むさまざまな金属のうちいずれかを用いて形成してもよい。ある例では、ワイヤボンドばねは金で作られ、ワイヤボンドパッド210も同様に金または金めっきで作られ、ボールボンド224は基板204に超音波で結合される。同様の熱音波プロセスを用いて、金、銅または錫めっきされたワイヤボンドパッド210の上に銅のボールボンド224を形成してもよい。
【0027】
ある実施例に従うと、ワイヤループ226は、ボールボンド224からワイヤボンドを引出し、ワイヤボンディングマシンのx軸およびy軸方向の動きを操作することによってワイヤを成形し(ステップ118)、最後にワイヤループの後端をワイヤボンドパッド210にボンディングする(ステップ120)ことによって形成される。ある実施例では、ワイヤループ226は、図5に示される形状を有するようにまたは同様の形状を有するように成形される。
【0028】
図7を参照して、上記のように基板204上に設けられたワイヤボンドパッド210(またはトラック218)に結合されたワイヤボンドばね216の1つの実施例が示される。ある実施例では、ワイヤボンドばね216は、ボールボンド224近くに屈曲ゾーン230を含む。ワイヤは屈曲ゾーン230からワイヤボンドばね216の頂部232まで上向きに延びる。凸領域234が屈曲領域230と頂部232との間に延びる。ワイヤボンドばね216はさらに、頂部232近くの上部領域236と、上部領域236と第2の接続点228との間に延びる下向きに傾斜した後端領域238とを含む。ある実施例では、上部領域236は実質的に平坦であるため上側の導電層222(図4参照)との間に大きなコンタクト領域を与えることによって導電層との十分な電気的接続を容易にする。以下でさらに説明するように、屈曲ゾーン230を用いてワイヤボンドばね216が従来のワイヤボンドより高い弾力性を有するようにすることによって、ワイヤボンドばねのばね効果、および、ワイヤボンドばねがモールドチェースおよびモールド化合物によって加えられる圧力に耐えトランスファー成形プロセス106の間その形状を保つ機能に寄与する。ある例では、点線240で示すようにワイヤボンドばねの頂部232を屈曲ゾーン236の実質的に上に位置決めし、これはさらに、以下で説明するようにワイヤボンドばね216の弾性に寄与するであろう。
【0029】
当業者には周知のように、また上述のように、トランスファー成形プロセスの間、装置を下側のモールドチェースの中に置き、上側のモールドチェースを下側のモールドチェース上まで下降させて装置の周囲のキャビティを封止し、モールド化合物220をこのキャビティの中に流し込む。ワイヤボンドパッド210から頂部232まで測定したワイヤボンドばね216の高さを、モールド化合物220の予想または設計された厚みよりもわずかに高くしてもよい。図8に示されるように、トランスファー成形プロセス(ステップ106)の間、ワイヤボンドばね216は、下降する上側のモールドチェース242によって圧縮される。一例では、上側のモールドチェース242は最初にワイヤボンドばね216の頂部232と接触する。この頂部がワイヤボンドばねの最高点であるからである。屈曲ゾーン230によっておよび頂部232を実質的に屈曲ゾーンの上に位置決めすることによって与えられるワイヤボンドばね216のばね定数のため、ワイヤボンドばねは、図8に示されるように上側のモールドチェース242の表面との接触を保つ。ワイヤボンドばね216の形状がもたらすこのばね効果により、一体化されたEMIシールドを安定して製造することができる。なぜなら、ワイヤボンドばねの上端をモールドチェースの表面と接触させ続けることによって、モールド化合物の薄い層のみがワイヤボンドばねの上端を覆うので、ワイヤボンドばねの上端を除去プロセス(ステップ108)の後容易にかつ確実に露出させることができるからである。ある例では、ワイヤボンドばね216は、垂直方向において大きなばね範囲を有し、トランスファー成形プロセス中に生じ得るモールド化合物の厚み、基板の厚みおよび反りの変化の結果として生じる最終的な高さの変動を吸収できる。ワイヤボンドばねの高さは、上側のモールドチェース242が降下したときにワイヤボンドばねが圧縮されるのに十分高いが降下した上側のモールドチェースがワイヤボンドばねを押しつぶすほどには高くない高さが選択されてもよい。このように、ワイヤボンドばねは、降下する上側のモールドチェース242に対応するのに必要な変形量がワイヤボンドばねのばね機能を超えるほど高くてはならない。同様に、ワイヤボンドばねが十分に高くなければ、ワイヤボンドばねの上端は、トランスファー成形プロセスの後モールド化合物の上表面に接触しないまたはこれに十分に近くないかもしれず、したがって除去プロセス(ステップ108)で露出しないかもしれず、またはモールド化合物の上表面と接触するワイヤボンドばねの上端を保持するのに十分な弾性変形(ばね効果)を示さないかもしれない。ある例では、ワイヤボンドばね216の高さは、設計されたモールド化合物の厚みよりも約90ミクロン高い。しかしながら、たとえばワイヤボンドばねを形成するのに使用される金属、モールド材料などの要因に応じてワイヤボンドばねの高さは異なっていてもよいことが理解されるであろう。
【0030】
ある実施例に従うと、ワイヤボンドばね216の形状を最適化して導電層222との間に大きな接触領域を設けることにより導電層222と十分な電気的接続を容易にする。上記のように、ある例では、ワイヤボンドばね216の上部領域236は実質的に平坦である。したがって、上側のモールドチェース242によって圧縮されたとき、上部領域236は、モールドチェース(またはモールド化合物の表面)と接触する大きな平坦領域(長さ)をもたらすであろう。この領域は、除去ステップ(ステップ108)によってパッケージの上端で露出し、導電層222と接触して導電層222との電気的接続を形成することによってEMIシールドを完成させる領域である。図9を参照して、装置パッケージを組込んだワイヤボンドばねの一例の画像が示されている。図9に示されるように、ワイヤボンドばねの上部領域236が、モールド化合物220の上端の大きな平坦領域を形成し、導電層222と接触している。図9のワイヤボンドばねの平面図が図10に示される。図10を参照して、ワイヤボンドばねの上部領域236および頂部232に主に対応するが必ずしも全体が対応しない、露出したワイヤの大きな長さ244が、モールド化合物220の上端に見えている。平均露出長さ244が約400ミクロンであり最小露出長さが約200ミクロンであるワイヤボンドばねを含むパッケージの製造例およびシミュレート例が作られてきた。これらの例は、従来のワイヤボンドループ(図4Aの206)と比較して約10倍のワイヤ露出長さという改善を示している。この増大したコンタクト領域は、一体化されたEMIシールドの強固でかつ低抵抗の電気的接続をもたらす。さらに、たとえば金ではなく銅といった材料をワイヤボンドばねに使用しコストを低下させた場合、銅は導電性が金よりも低いので大きなコンタクト領域は特に重要である。加えて、ワイヤボンドばねの露出領域と導電層222との接続にはんだを使用しないため(接続は2つの導体の接触のみによって形成される)、接触領域がより大きくなり、接続の信頼性はより高くなるであろう。
【0031】
ばね効果および大きなコンタクト領域を与えて導電層222との十分かつ強固な電気的接続を容易にすることに加え、ワイヤボンドばね216の形状もトランスファー成形プロセス中の弾性を提供する。出願人は、実験から、トランスファー成形プロセス中ワイヤボンドばねが直立した状態を保ち上部領域がモールド化合物の上端にまたはその近くにあり最小の除去で容易に露出可能であることが重要であると判断した。試験およびシミュレーションは、従来通り成形されたワイヤボンドループはトランスファー成形プロセス中に折れたり崩れたりすることを示している。その理由はこれらの形状に安定性がほとんどないかまたは全くないためである。結果として、上側のモールドチェース242および流動しているモールド化合物から圧力を受けるとループはどの方向にも移動する可能性がある。これに対し、ワイヤボンドばね216の形状は、ワイヤボンドばねの動きを主に垂直方向(図3のy方向)における圧縮(弾性変形)に制御することによって、上記のばね効果を得る。ある例では、ワイヤボンドばねは面内方向(すなわち図3のx−z方向)では硬直しておりモールドの流れおよびワイヤ掃引欠陥に対して十分な耐性があり、これは非常に高いループにとって重要事項であろう。
【0032】
要約すると、効果的、低コストかつ強固である一体化されたEMIシールドを、任意のトランスファー成形されたモジュール内に、典型的にはモジュール基板内に既にある接地面と、モールド化合物の上に堆積させた導電材料の薄い層と、本明細書に記載の導電層を接地面に接続する複数のワイヤボンドとを用いるだけで、設けることにより、モジュール内の装置のうちいくつかまたはすべてに対して完全なシールドを形成する。ワイヤボンドばねはパッケージ内のどの場所に配置してもよく、任意の冗長接続により、導電層222との接触がすべての電気的要件を確実に満たすようにし、異なるモジュールレイアウトおよび装置に合わせて容易に変形可能な非常に柔軟性の高いEMIシールド設計を可能にする。同様に、図4Aおよび図4Bを参照して先に述べたように、ワイヤボンドパッド210(またはトラック218)を接地面に接続するビア214は各パッドまたは接地面上の特定の場所と必ずしも一致していなくてもよく、モジュール内の柔軟性のあるパッド210およびビア214の配置を可能にする。十分なEMIシールドを提供するのに必要なワイヤボンドばねの数は、シールドする装置の動作周波数および必要なシールドレベル次第である。たとえば、ワイヤ密度(すなわち任意の所与の方向においてすぐ隣にあるワイヤボンドばね216との間の間隔)は、信号周波数が高くなれば増大するであろう。ある例では、約λ/20(λはシールドする信号の波長)のワイヤ間隔を用いてもよい。所与の周波数で所望のシールドを得ることができる最小間隔が保たれる限り、ワイヤの間隔は均一でなくてもよいことが理解されるであろう。ワイヤボンドばねEMIケージの例のテストが行なわれ、およそ20dBのシールドを得られることがわかった。これは、ほとんどのRF端末の用途において現在十分である。このように、本明細書に記載のワイヤボンドばねを用いて、非常に柔軟性が高く、モジュールのコスト、重量および/またはサイズの増加を最小にする、完全に一体化されたEMIシールドを提供することができる。ワイヤボンドばねは、低コストで、安定し、追加のまたは特殊なアセンブリ機器の調達が不要な従来の加工技術を用いて加工してもよい。
【0033】
少なくとも1つの実施例のいくつかの局面について述べてきたが、当業者は、さまざまな変形、変更、および改良に容易に想到するであろうことが理解されるであろう。このような変形、変更、および改良は、この開示の一部をなすことが意図されておりかつ本発明の範囲に含まれることが意図されている。したがって、これまでの説明および図面は例示に過ぎず、本発明の範囲は、添付の請求項およびその均等物の適切な構成から判断されなければならない。
【技術分野】
【0001】
背景
発明の分野
本発明は、半導体装置パッケージに関し、より特定的には半導体装置のための電磁および/または無線周波数干渉シールドに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
無線周波数(RF)通信システムでは、一般的に、RF装置を他のRF装置から発生した電磁(無線周波数)干渉(EMI)から隔離することが、適切な装置性能を維持するために必要である。同様に、RF装置は、一般的に、環境から受けるまたは環境に伝達される電磁干渉から隔離する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
RF装置をこのような電磁干渉から隔離する従来の方法は、RF装置を典型的には「カン(can)」と呼ばれる接地した金属の筐体で覆うことである。しかしながら、この解決策はコストが高く設計に柔軟性がない。加えて、金属のカンによって、プリント回路基板上の装置設置面積が大幅に増加し、かつプリント回路基板の重量も増大する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本発明の局面および実施例は、ワイヤボンドプロセス技術を用いて電磁干渉シールドを装置のパッケージに組込んだ半導体装置パッケージおよびこの半導体装置パッケージの製造方法に関する。ある実施例では、ワイヤボンドプロセスを用いて、装置の周りに配置され装置の上下の導電層に結合されるワイヤボンドばねを形成することによって、装置の周りに電磁干渉シールドを形成する。以下でさらに説明するように、ワイヤボンドばねの形状およびワイヤボンドばねによって生まれるばね効果により、安定した製造プロセスによって、成形されたパッケージの上端にある導電層とパッケージの基板内の接地面との間に信頼性の高い電気的接続を形成することができる。これらのワイヤボンドばねを使用することにより、どのようなオーバーモールドされた装置にも適用し得る一体化された電磁干渉シールドに対する柔軟性のある解決策が得られる。
【0005】
ある局面は、一体化された電磁干渉シールドを有するパッケージングされた半導体モジュールに関する。ある実施例では、パッケージングされた半導体モジュールは、接地面を有する基板と、基板の表面上に設けられた電子装置と、電子装置の周りに配置され接地面と電気的に結合された複数のワイヤボンドばねと、電子装置を覆い複数のワイヤボンドばねの少なくとも一部を覆うモールド化合物と、モールド化合物の最上面上に配置され複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかに電気的に結合された導電層とを含み、この複数のワイヤボンドばね、導電層、および接地面はともに、一体化された電磁干渉シールドを含む。
【0006】
ある例では、導電層は銀が充填されたエポキシを含む。ワイヤボンドばねは、金線または銅線といったさまざまな導電性材料で作ることができる。複数のワイヤボンドは各々、導電層とワイヤボンドばねとを接触させることにより導電層とワイヤボンドばねとの間を電気的に結合するばね効果をもたらすように成形されたワイヤの連続ループを含んでいてもよい。ある例では、電子装置はRF装置である。
【0007】
別の実施例に従うと、ワイヤの連続ループで形成されたワイヤボンドばねは、ボールボンドと、屈曲ゾーンと、頂部と、屈曲ゾーンと頂部との間に延びる凸領域と、傾斜した後端領域と、頂部と傾斜した後端領域との間に延びる実質的に平坦な領域とを含み、屈曲ゾーンは凸領域とボールボンドとの間にある。ある例では、頂部は実質的に屈曲ゾーンの垂直方向において上にある。上記のように、ワイヤボンドばねを、金線または銅線を含むさまざまな導電材料から形成できる。ある例では、この構造を有するワイヤボンドばね上記半導体モジュールで使用する。
【0008】
別の局面は、一体化された電磁干渉シールドを有する半導体モジュールパッケージに関する。ある実施例では、半導体モジュールパッケージは、基板と、基板の第1の面の上に配置された第1および第2のメタライズされた接続点と、第1のメタライズされた接続点と第2のメタライズされた接続点との間に延びる連続ワイヤを含むワイヤボンドばねとを含む。このワイヤボンドばねは、第1のメタライズされた接続点に電気的に接続されたボールボンドと、屈曲ゾーンと、頂部と、屈曲ゾーンと頂部との間に延びる凸領域と、頂部に近接する実質的に平坦な領域と、実質的に平坦な領域と第2のメタライズされた接続点との間に延びる傾斜した後端領域とを含む。ある例では、この半導体モジュールパッケージはさらに、基板上に配置され第1および第2のメタライズされた接続点のうち少なくとも1つに電気的に結合された接地面を含む。別の例では、半導体モジュールパッケージはさらに、電子装置と、上記ワイヤボンドばねと実質的に同一の複数のさらなるワイヤボンドばねとを含み、この複数のワイヤボンドばねは、基板上において電子装置の外周の周りに配置される。別の例では、半導体モジュールパッケージはさらに、電子装置を覆うとともに複数のワイヤボンドばねの少なくとも一部を覆うモールド化合物と、モールド化合物の表面上に配置され複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかに電気的に接続された導電層とを含み、接地面、導電層、および複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかはともに、一体化された電磁干渉シールドを形成する。
【0009】
別の局面は、一体化された電磁干渉シールドを有するモジュールの製造方法に関する。ある実施例に従うと、この方法は、電子装置を基板に接続することと、メタライゼーションを基板上に設けることと、メタライゼーションに接続された複数のワイヤボンドばねを形成することと、トランスファー成形プロセスを実施することにより、電子装置をモールド化合物に封入するとともに、複数のワイヤボンドばねをモールド化合物で少なくとも部分的に覆うことと、導電層をモールド化合物の表面上に配置することとを含み、この導電層は複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかに電気的に接続される。ある例では、この方法はさらに、導電層をモールド化合物の表面上に配置する前に、モールド化合物の表面を除去することにより複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかの領域を露出させることを含む。別の例では、メタライゼーションを設けることは、接地面と、接地面に電気的に接続された少なくとも1つのワイヤボンドコンタクト領域を設けることを含む。別の例では、複数のワイヤボンドばねを形成することは、ワイヤボールをメタライゼーションの上に配置することと、ワイヤボールからワイヤを引出してワイヤボールに接続された第1の端部と第2の端部とを有するワイヤループを形成することと、第2の端部をメタライゼーションに接続することとを含む。別の例では、導電層をモールド化合物の表面上に配置することは、銀が充填されたエポキシの層をモールド化合物の表面上に塗装することを含む。
【0010】
別の実施例に従うと、電子モジュールは、基板と、基板上に配置された電子装置と、電子装置の周りに実質的に配置された複数の離散構造から形成された一体化された電磁干渉シールドとを含み、この構造は、一体化された電磁干渉シールドによってシールドされる信号の波長の一部によって定められる最小間隔を有する。ある例では、この波長の一部の割合は1/20である。別の例では、以下で説明するように複数の離散構造は複数のワイヤボンドばねを含む。
【0011】
さらに他の局面、実施例、およびこれらの代表的な局面および実施例の利点を以下において詳細に説明する。さらに、上述の情報および以下の詳細な説明は、さまざまな局面および実施例を例示しているだけであり、請求項に記載の局面および実施例の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることが理解されるであろう。本明細書で開示される実施例はいずれも、本明細書で開示される目的、目標および必要性に従ったやり方で他の任意の実施例と組合せることが可能である。「ある実施例」、「いくつかの実施例」、「代替実施例」、「さまざまな実施例」、「1つの実施例」と記載されている場合、必ずしも相互排他的ではなく、実施例と関連付けて記載される特定の特徴、構成または特性が少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを示すことを意図している。本明細書で使用されるこのような用語は必ずしもすべてが同一の実施例に対して用いられるわけではない。添付の図面は、さまざまな局面および実施例を説明しかつその理解を深めるために含まれ、この明細書に含まれるとともにこの明細書の一部を構成している。図面は、明細書の他の部分とともに、説明され請求項に記載された局面および実施例の原理および動作を説明する役割を果たす。
【0012】
少なくとも1つの実施例のさまざまな局面について添付の図面を参照しながら以下で説明するが、これらの図面は一定の縮尺で示すことを意図していない。図面、詳細な説明またはいずれかの請求項の技術的な特徴に参照符号が付されている場合、これらの参照符号は、図面を理解し易くすることのみを目的として含まれている。したがって、参照符号が付されている場合もそうでない場合も、請求項の構成要素の範囲を限定しない。図中、さまざまな図面に示された同一またはほぼ同一の構成要素は各々同一の番号で示されている。明確にするために、いずれの図面でもすべての構成要素に符号が設けられているわけではない。図面は、例示および説明を目的として提供され、発明の限定事項の定義を意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の局面に従う、パッケージングプロセスの一部として一体化されたEMIシールドを提供する方法の一例を示すフロー図である。
【図2】図2は、基板と基板に設けられた1つ以上のダイとを含む電子モジュールの一例の図である。
【図3】図3は、本発明の局面に従う、一体化されたEMIシールドが組込まれた装置パッケージの一例の図である。
【図4A】図4Aは、本発明の局面に従う、一体化されたEMIシールドが組込まれた装置パッケージの別の例の図である。
【図4B】図4Bは、本発明の局面に従う、連続ワイヤボンドトラックを示す装置パッケージの一部の平面図である。
【図5】図5は、本発明の局面に従うワイヤボンドばねの一例の図である。
【図6】図6は、本発明の局面に従うワイヤボンドばねを形成する方法の一例を示すフロー図である。
【図7】図7は、本発明の局面に従うワイヤボンドばねの一例の図である。
【図8】図8は、本発明の局面に従う、トランスファー成形プロセス中のワイヤボンドばねの変形を示す図である。
【図9】図9は、本発明の局面に従う、装置パッケージに組込まれたワイヤボンドばねの一例の画像である。
【図10】図10は、本発明の局面に従うワイヤボンドばねの一例の平面画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
無線周波数(RF)成分を使用する、携帯電話端末、携帯情報端末(PDA)、メディアプレイヤー、およびその他の携帯機器を含む数多くの現代の用途では、完成品の大きさ(長さ、幅および厚み)ならびに重量が重要な設計パラメータであることが多い。たとえば、特に携帯電話端末については、より多くの機能性および特徴を提供するより小型でより軽量の装置が常に求められている。このため、これらの機器で使用される個々の部品の大きさおよび重量も重要となる可能性がある。上記のように、RF装置の電磁干渉シールドを与えるための従来の方策は、接地した金属カンを、シールドする個々のRF装置の上に配置することを含み、これは、大きさ、重量および設計のコストを増すため、多くの用途において望ましくないことがある。
【0015】
局面および実施例は、パッケージングプロセス中に個々の装置またはモジュールに組込まれる干渉シールドを提供し、装置またはモジュールの大きさおよび/または重量の増加が最小である、方法および装置に関する。本明細書で使用される「EMIシールド」という用語は、電磁干渉および無線周波数干渉シールド双方に使用される。ある実施例では、一体化されたEMIシールドを、以下でさらに説明するようにワイヤボンド製造プロセスを用いて形成することができるため、既存の工具を用いて製造でき、かつ、モジュール内の電子装置に対する電気的接続を与えるのに使用される従来のワイヤボンドで共通の処理ライン上で組立てることができる。この方策は、高い設計の柔軟性だけでなく、EMIシールド製造のためのより簡単でより低コストの方法を提供することができる。加えて、本発明の局面に従う一体化された「ワイヤボンドケージ」シールドは、既存の従来の技術では得られなかったモジュール間およびモジュール内の分離および低いパッケージ高さを得る方法を提供する。以下で説明するように、ワイヤボンドケージを、特定のかつ十分に制御された設計および形状を有する「ワイヤボンドばね」コネクタを用いて形成することにより、さまざまなパッケージおよびプロセス条件に対して強固で実用的なEMIシールドを提供する。
【0016】
本明細書に記載の方法および装置の実施例は、その用途が以下の説明に記載のまたは添付の図面に示された構成要素の構造および配置の詳細事項に限定されないことが理解されるであろう。これらの方法および装置は、他の実施例において実現可能であり、さまざまな方法で実施または実行することが可能である。特定の実現化の例は、本明細書において、例示のみを目的として示され、限定を意図しない。特に、1つ以上の実施例と関連付けて記載される動作、要素および特徴は、それ以外の実施例において同様の役割から除外されることを意図しない。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明を目的としており限定とみなされてはならない。本明細書においてシステムおよび方法の実施例または要素または動作が単数であるとして述べられている場合、こうした要素を複数含む実施例も包含し得る。本明細書において実施例または要素または動作が複数あるものとして述べられている場合も、要素が1つのみである実施例を包含し得る。単数形で記載されていても複数形で記載されていても、ここで開示されるシステムまたは方法、それらの構成要素、動作または要素を限定することを意図しない。本明細書において「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「伴う」、およびこれらの変形が使用されている場合、続いて記載される事項およびその均等物ならびに追加の事項を包含することを意味する。「または」と記載されている場合、「または」を用いて記載されているいずれの用語も、記載された用語のうち1つ、2つ以上、およびすべてを示し得るものであると包括的に解釈し得る。前および後、左および右、上端および下端、ならびに上部および下部と記載されている場合、説明に好都合であるからであって、本システムおよび方法またはそれらの構成要素をいずれか1つの位置または空間に限定することを意図していない。
【0017】
図1を参照して、本発明の局面に従う、一体化されたEMIシールドを組込んだ電子装置またはモジュールをパッケージングする方法の一例が示される。この方法の局面および実施例について、続いて図1を参照しながら説明する。
【0018】
第1のステップ100は、電子モジュールに組込まれる基板を準備することを含む。このステップ100は、電子モジュールのさまざまな構成要素を相互接続するのに使用し得るメタライゼーションを基板の上に形成することを含んでもよく、これらのうち少なくともいくつかは、以下でさらに説明するように、一体化されたEMIシールドの一部となり得るものである。ステップ102において、電子モジュールを、当業者に周知の方法および技術に従って組立ててもよい。このステップ102は、1つ以上のダイを基板に配置すること、必要な内部または外部の接続または接続点を形成すること(メタライゼーションおよび/または誘電体の層を堆積させることを含む)などの動作を含み得る。したがって、図1ではモジュールの組立を1つのステップ102として示しているが、これは、同時に、異なるときに、および/または異なる場所で実施され得るいくつかのステップを含み得ることが理解されるであろう。さらに、ステップ100はステップ102の一部とみなされてもよいことが理解されるであろう。
【0019】
このようなモジュールの一例が図2に示される。モジュール200は、基板204に設けられた1つ以上のダイ202を含む。モジュール200のいくつかの例は、電力増幅器、トランシーバ、線形装置、フィルタ、およびEMIシールドを必要とするまたはEMIシールドから利益を得るであろう他の装置を含むが、これらに限定されない。上記のように、EMIシールドは典型的にはRF装置にとって望ましいものであり、したがって、ダイ202のうち少なくとも1つはRF装置でもよく、モジュール200はRFモジュールでもよい。しかしながら、本発明はこのように限定されるものではなく、ダイ202は、いかなる種類のデジタルまたはアナログ装置、または構成要素も含み得ることが理解されるであろう。ある例では、ダイ202は、図2に示されるようにボンドパッド208に接続されたワイヤボンド206を用いて基板204に配置される。これに代えて、ダイ202は、フリップチップボンディング法または当業者にとって周知の他の任意の適切な技術を用いて基板204に配置されてもよい。
【0020】
ある実施例に従うと、一体化されたEMIシールドは、パッケージングプロセス中にワイヤボンドケージを基板204の端の周囲に構成することによってモジュール200に組込まれる。ワイヤボンド206を形成するのに使用される従来のプロセスと同様であり、同一の機器を用いるワイヤボンドプロセスを実施して、以下で説明するようにワイヤボンドばねを構成してもよい。複数のこれらのワイヤボンドばねを、以下でさらに説明するように、基板204上のダイ202の周りに配置し、パッケージ内の接地面に接続することによって、一体化されたEMIシールドを形成するワイヤボンドばねケージを与えてもよい。成形されたモジュールに一体化されたシールドを形成する際、基板内の接地面を最上部の導電性シールド層に接続する方法を発見することが製造上の難点である。ワイヤボンドばねコネクタを用いる一体化されたシールドの形成方法の実施例は、以下でさらに説明するように、この難点を克服するための安定した製造プロセスを提供する。
【0021】
再び図1を参照して、上記のように、ステップ100は、一体化されたEMIシールドの一部となるメタライゼーションを基板204上に形成することを含み得る。図3を参照して、これらのメタライゼーションは、ワイヤボンドパッド210と、接地面212と、ワイヤボンドパッドを接地面に接続するビア214とを含み得る。以下でさらに説明するように次にワイヤボンドばね216をワイヤボンドパッド210に接続してもよい(ステップ104)。図3に示された例では2つの離散的なワイヤボンドパッド210とこれらに関連付けられたビア214を各ワイヤボンドばね216に設けているが、本発明はこのように限定されるものではなく、他の多くの構成が意図されていることが理解されるであろう。たとえば、図4Aおよび図4Bに示されているように、個々のワイヤボンドパッド210を、(1つまたは複数の)ダイ202を少なくとも部分的に囲み得るメタライゼーショントラックまたはリング218に置換えてもよい。この例では、1つ以上のビア214をトラック218に沿ういくつかのポイントに設けて、トラックを、したがってワイヤボンドばね216を、接地面212に結合してもよい。さらに、ある例では、トラック218は2つ以上のワイヤボンドばね216の間で連続していてもよく、したがって、各ワイヤボンドばねに対し個別に関連付けられたビア214を設ける必要はない。加えて、図3に示されるワイヤボンドばね216は、(ワイヤボンドパッド210にある)2つの接続点が共にビア214によって接地面212に結合されているが、このようにする必要はなく、ワイヤボンドばねの端部のうち一方を浮いたままにしてもよい(すなわち接地面に電気的に結合されない)。
【0022】
ある実施例に従うと、一体化されたEMIシールドの形成方法は、ダイ202をモールド化合物220の中に封じ込めるトランスファー成形プロセス(ステップ106)を含む。以下でさらに説明するように、トランスファー成形プロセスの間、基板204は下側のモールドチェース(mold chase)に入れられ、上側のモールドチェースを下側のモールドチェース上まで降下させて装置の周囲のキャビティを封止し、モールド化合物220をキャビティの中に流し込んで基板上のダイ202を封じ込める。トランスファー成形プロセスは当業者には周知である。
【0023】
さらに図1および図3を参照して、トランスファー成形プロセス(ステップ106)の後、除去プロセス(ステップ108)を用いてワイヤボンドばね216の上端部をモールド化合物220を通して露出させてもよい。除去プロセスはたとえばレーザアブレーションプロセス、モールド化合物220の研削および/または研磨を含み、これによってモールド化合物の層を取除きワイヤボンドばね216の上端部を露出させる。ある例では、除去プロセスによって厚みが約40ミクロン未満のモールド化合物の層を除去してもよい。別の例では、除去プロセスによって厚みが約10ミクロンのモールド化合物の層を除去してもよい。ワイヤボンドばね216の上端部を露出させた後、薄い導電性コーティングまたは層222を、モールド化合物220の上端の上に形成し(ステップ110)、露出したワイヤボンドばね216の上端部と接触させてもよい。導電層222は、印刷、堆積、スパッタリングといった当業者に周知のさまざまな技術のうちいずれかを用いてモールド化合物220の上端の上に堆積させてもよい。一例では、導電層222は、モールド化合物220の上面に吹付塗装によって形成した銀が充填されたエポキシといった金属充填エポキシを含む。導電層222はワイヤボンドばね216の露出した上端部と接触するため露出したワイヤボンドばねを電気的に接続する。
【0024】
上記のように、ある実施例において、モジュール220は、図3に示されるように基板204の下面に沿って配置されビア214によってワイヤボンドばね216と接続された接地面212を含む。ワイヤボンドばね216の上端部と導電層222との間のコンタクトを通して、導電層と接地面212との間に電気的接続が形成され、これによってモジュール200内のEMIシールドが完成する。ワイヤボンドばね216は、基板204内の接地面212と最上端の導電性シールド層222との間に、(ワイヤボンドばねは基板上の適切などの場所にでも配置できるため)柔軟性がありかつ完全に一体化された接続を提供する。ある実施例では、ワイヤボンドばね216は、以下でさらに説明するように規定された形状を有し、これを制御して、ワイヤボンドばねと導電層222との間に信頼性の高い電気的接続を形成することを容易にするばね効果を生み出す。このように、ダイ202のうち1つまたは2つ以上を、導電層222と、ワイヤボンドばね216(およびこれらに関連付けられたビア214およびボンドバッド210といったメタライゼーション)と、接地面212とによって形成される接地されたEMIシールドの中に実質的に囲い込むことができる。本発明の実施例に従うこの一体化されたEMIシールドは、従来のEMIシールドの解決策の大きな金属カンとは違って、モジュール200の大きさおよび重量の増加を最小限に留めることができる。
【0025】
ある実施例に従うと、ワイヤボンドばね216は、十分に制御され、従来のワイヤボンド206とは実質的に異なる、特定の形状および高さを有する。当業者には周知であるように、従来のワイヤボンド206は、図2および図3に示されるように、ワイヤボンディングマシンを用いてボンドワイヤの一端をダイ202に接続しワイヤボンディングマシンの動きを制御してボンドワイヤをダイから引出してループを形成し、次にボンドワイヤの他端を基板上のパッドに接続することによって形成される。本発明の実施例に従うワイヤボンドばね216は、同様の技術を用いて形成してもよいが、ワイヤループは、ワイヤボンディングマシンのx軸およびy軸方向の動きを操作することによって、以下に述べるワイヤボンドばねの所望のばね効果および他の特性を提供する独自の形状に加工される。
【0026】
図5を参照して、本発明の局面に従うワイヤボンドばね216の1つの実施例が示される。ワイヤボンドばね216は、ワイヤボンドばねと基板204との間に第1の接続点を提供するボールボンド224と、ボールボンドから基板上の第2の接続点228まで延びるワイヤループ226とを含む。図5および図6を参照して、ワイヤボンドばね216を形成するプロセス(ステップ104)を、ボールボンド224を形成する第1のステップ112から開始してもよい。このステップは、金属ボールを基板204上のワイヤボンドパッド210(図3参照)上に配置し(ステップ104)、このボールをワイヤボンドパッドに結合し(ステップ116)ボールボンド224を形成することを含んでもよい。ワイヤボンドばねは、金(従来のワイヤボンドに一般的に使用される)および銅を含むさまざまな金属のうちいずれかを用いて形成してもよい。ある例では、ワイヤボンドばねは金で作られ、ワイヤボンドパッド210も同様に金または金めっきで作られ、ボールボンド224は基板204に超音波で結合される。同様の熱音波プロセスを用いて、金、銅または錫めっきされたワイヤボンドパッド210の上に銅のボールボンド224を形成してもよい。
【0027】
ある実施例に従うと、ワイヤループ226は、ボールボンド224からワイヤボンドを引出し、ワイヤボンディングマシンのx軸およびy軸方向の動きを操作することによってワイヤを成形し(ステップ118)、最後にワイヤループの後端をワイヤボンドパッド210にボンディングする(ステップ120)ことによって形成される。ある実施例では、ワイヤループ226は、図5に示される形状を有するようにまたは同様の形状を有するように成形される。
【0028】
図7を参照して、上記のように基板204上に設けられたワイヤボンドパッド210(またはトラック218)に結合されたワイヤボンドばね216の1つの実施例が示される。ある実施例では、ワイヤボンドばね216は、ボールボンド224近くに屈曲ゾーン230を含む。ワイヤは屈曲ゾーン230からワイヤボンドばね216の頂部232まで上向きに延びる。凸領域234が屈曲領域230と頂部232との間に延びる。ワイヤボンドばね216はさらに、頂部232近くの上部領域236と、上部領域236と第2の接続点228との間に延びる下向きに傾斜した後端領域238とを含む。ある実施例では、上部領域236は実質的に平坦であるため上側の導電層222(図4参照)との間に大きなコンタクト領域を与えることによって導電層との十分な電気的接続を容易にする。以下でさらに説明するように、屈曲ゾーン230を用いてワイヤボンドばね216が従来のワイヤボンドより高い弾力性を有するようにすることによって、ワイヤボンドばねのばね効果、および、ワイヤボンドばねがモールドチェースおよびモールド化合物によって加えられる圧力に耐えトランスファー成形プロセス106の間その形状を保つ機能に寄与する。ある例では、点線240で示すようにワイヤボンドばねの頂部232を屈曲ゾーン236の実質的に上に位置決めし、これはさらに、以下で説明するようにワイヤボンドばね216の弾性に寄与するであろう。
【0029】
当業者には周知のように、また上述のように、トランスファー成形プロセスの間、装置を下側のモールドチェースの中に置き、上側のモールドチェースを下側のモールドチェース上まで下降させて装置の周囲のキャビティを封止し、モールド化合物220をこのキャビティの中に流し込む。ワイヤボンドパッド210から頂部232まで測定したワイヤボンドばね216の高さを、モールド化合物220の予想または設計された厚みよりもわずかに高くしてもよい。図8に示されるように、トランスファー成形プロセス(ステップ106)の間、ワイヤボンドばね216は、下降する上側のモールドチェース242によって圧縮される。一例では、上側のモールドチェース242は最初にワイヤボンドばね216の頂部232と接触する。この頂部がワイヤボンドばねの最高点であるからである。屈曲ゾーン230によっておよび頂部232を実質的に屈曲ゾーンの上に位置決めすることによって与えられるワイヤボンドばね216のばね定数のため、ワイヤボンドばねは、図8に示されるように上側のモールドチェース242の表面との接触を保つ。ワイヤボンドばね216の形状がもたらすこのばね効果により、一体化されたEMIシールドを安定して製造することができる。なぜなら、ワイヤボンドばねの上端をモールドチェースの表面と接触させ続けることによって、モールド化合物の薄い層のみがワイヤボンドばねの上端を覆うので、ワイヤボンドばねの上端を除去プロセス(ステップ108)の後容易にかつ確実に露出させることができるからである。ある例では、ワイヤボンドばね216は、垂直方向において大きなばね範囲を有し、トランスファー成形プロセス中に生じ得るモールド化合物の厚み、基板の厚みおよび反りの変化の結果として生じる最終的な高さの変動を吸収できる。ワイヤボンドばねの高さは、上側のモールドチェース242が降下したときにワイヤボンドばねが圧縮されるのに十分高いが降下した上側のモールドチェースがワイヤボンドばねを押しつぶすほどには高くない高さが選択されてもよい。このように、ワイヤボンドばねは、降下する上側のモールドチェース242に対応するのに必要な変形量がワイヤボンドばねのばね機能を超えるほど高くてはならない。同様に、ワイヤボンドばねが十分に高くなければ、ワイヤボンドばねの上端は、トランスファー成形プロセスの後モールド化合物の上表面に接触しないまたはこれに十分に近くないかもしれず、したがって除去プロセス(ステップ108)で露出しないかもしれず、またはモールド化合物の上表面と接触するワイヤボンドばねの上端を保持するのに十分な弾性変形(ばね効果)を示さないかもしれない。ある例では、ワイヤボンドばね216の高さは、設計されたモールド化合物の厚みよりも約90ミクロン高い。しかしながら、たとえばワイヤボンドばねを形成するのに使用される金属、モールド材料などの要因に応じてワイヤボンドばねの高さは異なっていてもよいことが理解されるであろう。
【0030】
ある実施例に従うと、ワイヤボンドばね216の形状を最適化して導電層222との間に大きな接触領域を設けることにより導電層222と十分な電気的接続を容易にする。上記のように、ある例では、ワイヤボンドばね216の上部領域236は実質的に平坦である。したがって、上側のモールドチェース242によって圧縮されたとき、上部領域236は、モールドチェース(またはモールド化合物の表面)と接触する大きな平坦領域(長さ)をもたらすであろう。この領域は、除去ステップ(ステップ108)によってパッケージの上端で露出し、導電層222と接触して導電層222との電気的接続を形成することによってEMIシールドを完成させる領域である。図9を参照して、装置パッケージを組込んだワイヤボンドばねの一例の画像が示されている。図9に示されるように、ワイヤボンドばねの上部領域236が、モールド化合物220の上端の大きな平坦領域を形成し、導電層222と接触している。図9のワイヤボンドばねの平面図が図10に示される。図10を参照して、ワイヤボンドばねの上部領域236および頂部232に主に対応するが必ずしも全体が対応しない、露出したワイヤの大きな長さ244が、モールド化合物220の上端に見えている。平均露出長さ244が約400ミクロンであり最小露出長さが約200ミクロンであるワイヤボンドばねを含むパッケージの製造例およびシミュレート例が作られてきた。これらの例は、従来のワイヤボンドループ(図4Aの206)と比較して約10倍のワイヤ露出長さという改善を示している。この増大したコンタクト領域は、一体化されたEMIシールドの強固でかつ低抵抗の電気的接続をもたらす。さらに、たとえば金ではなく銅といった材料をワイヤボンドばねに使用しコストを低下させた場合、銅は導電性が金よりも低いので大きなコンタクト領域は特に重要である。加えて、ワイヤボンドばねの露出領域と導電層222との接続にはんだを使用しないため(接続は2つの導体の接触のみによって形成される)、接触領域がより大きくなり、接続の信頼性はより高くなるであろう。
【0031】
ばね効果および大きなコンタクト領域を与えて導電層222との十分かつ強固な電気的接続を容易にすることに加え、ワイヤボンドばね216の形状もトランスファー成形プロセス中の弾性を提供する。出願人は、実験から、トランスファー成形プロセス中ワイヤボンドばねが直立した状態を保ち上部領域がモールド化合物の上端にまたはその近くにあり最小の除去で容易に露出可能であることが重要であると判断した。試験およびシミュレーションは、従来通り成形されたワイヤボンドループはトランスファー成形プロセス中に折れたり崩れたりすることを示している。その理由はこれらの形状に安定性がほとんどないかまたは全くないためである。結果として、上側のモールドチェース242および流動しているモールド化合物から圧力を受けるとループはどの方向にも移動する可能性がある。これに対し、ワイヤボンドばね216の形状は、ワイヤボンドばねの動きを主に垂直方向(図3のy方向)における圧縮(弾性変形)に制御することによって、上記のばね効果を得る。ある例では、ワイヤボンドばねは面内方向(すなわち図3のx−z方向)では硬直しておりモールドの流れおよびワイヤ掃引欠陥に対して十分な耐性があり、これは非常に高いループにとって重要事項であろう。
【0032】
要約すると、効果的、低コストかつ強固である一体化されたEMIシールドを、任意のトランスファー成形されたモジュール内に、典型的にはモジュール基板内に既にある接地面と、モールド化合物の上に堆積させた導電材料の薄い層と、本明細書に記載の導電層を接地面に接続する複数のワイヤボンドとを用いるだけで、設けることにより、モジュール内の装置のうちいくつかまたはすべてに対して完全なシールドを形成する。ワイヤボンドばねはパッケージ内のどの場所に配置してもよく、任意の冗長接続により、導電層222との接触がすべての電気的要件を確実に満たすようにし、異なるモジュールレイアウトおよび装置に合わせて容易に変形可能な非常に柔軟性の高いEMIシールド設計を可能にする。同様に、図4Aおよび図4Bを参照して先に述べたように、ワイヤボンドパッド210(またはトラック218)を接地面に接続するビア214は各パッドまたは接地面上の特定の場所と必ずしも一致していなくてもよく、モジュール内の柔軟性のあるパッド210およびビア214の配置を可能にする。十分なEMIシールドを提供するのに必要なワイヤボンドばねの数は、シールドする装置の動作周波数および必要なシールドレベル次第である。たとえば、ワイヤ密度(すなわち任意の所与の方向においてすぐ隣にあるワイヤボンドばね216との間の間隔)は、信号周波数が高くなれば増大するであろう。ある例では、約λ/20(λはシールドする信号の波長)のワイヤ間隔を用いてもよい。所与の周波数で所望のシールドを得ることができる最小間隔が保たれる限り、ワイヤの間隔は均一でなくてもよいことが理解されるであろう。ワイヤボンドばねEMIケージの例のテストが行なわれ、およそ20dBのシールドを得られることがわかった。これは、ほとんどのRF端末の用途において現在十分である。このように、本明細書に記載のワイヤボンドばねを用いて、非常に柔軟性が高く、モジュールのコスト、重量および/またはサイズの増加を最小にする、完全に一体化されたEMIシールドを提供することができる。ワイヤボンドばねは、低コストで、安定し、追加のまたは特殊なアセンブリ機器の調達が不要な従来の加工技術を用いて加工してもよい。
【0033】
少なくとも1つの実施例のいくつかの局面について述べてきたが、当業者は、さまざまな変形、変更、および改良に容易に想到するであろうことが理解されるであろう。このような変形、変更、および改良は、この開示の一部をなすことが意図されておりかつ本発明の範囲に含まれることが意図されている。したがって、これまでの説明および図面は例示に過ぎず、本発明の範囲は、添付の請求項およびその均等物の適切な構成から判断されなければならない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体化された電磁干渉シールドを有するパッケージングされた半導体モジュールであって、前記パッケージングされた半導体モジュールは、
接地面を有する基板と、
前記基板の表面上に設けられた電子装置と、
前記電子装置の周りに配置され前記接地面に電気的に結合された複数のワイヤボンドばねと、
前記電子装置を覆い前記複数のワイヤボンドばねを少なくとも部分的に覆うモールド化合物と、
前記モールド化合物の上面上に配置され前記複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかに電気的に結合された導電層とを含み、
前記複数のワイヤボンドばね、前記導電層、および前記接地面はともに、前記一体化された電磁干渉シールドを含む、パッケージングされた半導体モジュール。
【請求項2】
前記複数のワイヤボンドばねは金線から形成される、請求項1に記載のパッケージングされた半導体モジュール。
【請求項3】
前記複数のワイヤボンドばねは銅線から形成される、請求項1に記載のパッケージングされた半導体モジュール。
【請求項4】
前記導電層は銀が充填されたエポキシを含む、請求項1から3のいずれかに記載のパッケージングされた半導体モジュール。
【請求項5】
前記電子装置はRF装置である、請求項1から4のいずれかに記載のパッケージングされた半導体モジュール。
【請求項6】
前記複数のワイヤボンドばねは各々、前記導電層と前記ワイヤボンドばねとの間を接触させることにより前記導電層と前記ワイヤボンドばねとの間に電気的結合を与えるばね効果を提供するように成形されたワイヤの連続ループを含む、請求項1から5のいずれか1つに記載のパッケージングされた半導体モジュール。
【請求項7】
前記複数のワイヤボンドばねは各々、ワイヤの連続ループを含み、前記ワイヤの連続ループは、
前記基板の表面上に配置されたボールボンドと、
屈曲ゾーンと、
頂部と、
前記屈曲ゾーンと前記頂部との間に延びる凸領域と、
傾斜した後端領域と、
前記頂部と前記傾斜した後端領域との間に延びる実質的に平坦な領域とを含み、
前記屈曲領域は前記凸領域と前記ボールボンドとの間にあり、
前記傾斜した後端領域の端部は前記基板に結合される、請求項1から5のいずれか1つに記載のパッケージングされた半導体モジュール。
【請求項8】
前記基板の表面上に配置された第1および第2のメタライズされた接続点をさらに含み、
前記ボールボンドは前記第1のメタライズされた接続点に結合され、
前記傾斜した後端領域の端部は前記第2のメタライズされた接続点に結合される、請求項7に記載のパッケージングされた半導体モジュール。
【請求項9】
ワイヤの連続ループで形成されたワイヤボンドばねであって、
ボールボンドと、
屈曲ゾーンと、
頂部と、
前記屈曲ゾーンと前記頂部との間に延びる凸領域と、
傾斜した後端領域と、
前記頂部と前記傾斜した後端領域との間に延びる実質的に平坦な領域とを含み、
前記屈曲ゾーンは前記凸領域と前記ボールボンドとの間にある、ワイヤボンドばね。
【請求項10】
前記頂部は前記屈曲ゾーンの実質的に垂直方向上方にある、請求項9に記載のワイヤボンドばね。
【請求項11】
前記ワイヤボンドばねは金線から形成される、請求項9および10のうちいずれか1つに記載のワイヤボンドばね。
【請求項12】
前記ワイヤボンドばねは銅線から形成される、請求項9および10のうちいずれか1つに記載のワイヤボンドばね。
【請求項14】
一体化された電磁干渉シールドを有する半導体モジュールパッケージであって、前記半導体モジュールパッケージは、
基板と、
前記基板の第1の面の上に配置された第1および第2のメタライズされた接続点と、
前記第1のメタライズされた接続点と前記第2のメタライズされた接続点との間に延びる連続ワイヤを含むワイヤボンドばねとを含み、
第1のワイヤボンドばねは、
前記第1のメタライズされた接続点に電気的に接続されたボールボンドと、
屈曲ゾーンと、
頂部と、
前記屈曲ゾーンと前記頂部との間に延びる凸領域と、
前記頂部に近接する実質的に平坦な領域と、
前記実質的に平坦な領域と前記第2のメタライズされた接続点との間に延びる傾斜した後端領域とを含む、半導体モジュールパッケージ。
【請求項15】
前記基板上に配置され前記第1および第2のメタライズされた接続点のうち少なくとも1つに電気的に結合された接地面をさらに含む、請求項14に記載の半導体モジュールパッケージ。
【請求項16】
電子装置と、
前記ワイヤボンドばねと実質的に同一である複数のさらなるワイヤボンドばねとをさらに含み、
前記複数のワイヤボンドばねは、前記電子装置の周囲の周りにおいて前記基板の上に配置される、請求項15に記載の半導体モジュールパッケージ。
【請求項17】
前記電子装置を覆い前記複数のワイヤボンドばねを少なくとも部分的に覆うモールド化合物と、
前記モールド化合物の表面上に配置され前記複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかに電気的に接続された導電層とをさらに含み、
前記接地面、前記導電層、および前記複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかは、ともに、一体化された電磁干渉シールドを形成する、請求項16に記載の半導体モジュールパッケージ。
【請求項18】
一体化された電磁干渉シールドを有するモジュールの製造方法であって、
電子装置を基板に接続するステップと、
前記基板上にメタライゼーションを与えるステップと、
前記メタライゼーションに接続された複数のワイヤボンドばねを形成するステップと、
トランスファー成形プロセスを実施することにより前記電子装置をモールド化合物内に封じ込めかつ前記複数のワイヤボンドばねを前記モールド化合物で少なくとも部分的に覆うステップと、
導電層を前記モールド化合物の表面上に配置するステップとを含み、前記導電層は前記複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかに電気的に接続される、方法。
【請求項19】
前記導電層を前記モールド化合物の表面上に配置する前に、前記モールド化合物の表面を除去して前記複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかの領域を露出させるステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記メタライゼーションを与えるステップは、接地面と、前記接地面に電気的に接続された少なくとも1つのワイヤボンド接触領域とを与えるステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記複数のワイヤボンドばねを形成するステップは、
ワイヤボールを前記メタライゼーションの上に堆積させるステップと、
前記ワイヤボールからワイヤを引出して前記ワイヤボールに接続された第1の端部と、第2の端部とを有するワイヤループを形成するステップと、
前記第2の端部を前記メタライゼーションに接続するステップとを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記導電層を前記モールド化合物の表面上に配置するステップは、銀が充填されたエポキシの層を前記モールド化合物の表面上に塗装するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項1】
一体化された電磁干渉シールドを有するパッケージングされた半導体モジュールであって、前記パッケージングされた半導体モジュールは、
接地面を有する基板と、
前記基板の表面上に設けられた電子装置と、
前記電子装置の周りに配置され前記接地面に電気的に結合された複数のワイヤボンドばねと、
前記電子装置を覆い前記複数のワイヤボンドばねを少なくとも部分的に覆うモールド化合物と、
前記モールド化合物の上面上に配置され前記複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかに電気的に結合された導電層とを含み、
前記複数のワイヤボンドばね、前記導電層、および前記接地面はともに、前記一体化された電磁干渉シールドを含む、パッケージングされた半導体モジュール。
【請求項2】
前記複数のワイヤボンドばねは金線から形成される、請求項1に記載のパッケージングされた半導体モジュール。
【請求項3】
前記複数のワイヤボンドばねは銅線から形成される、請求項1に記載のパッケージングされた半導体モジュール。
【請求項4】
前記導電層は銀が充填されたエポキシを含む、請求項1から3のいずれかに記載のパッケージングされた半導体モジュール。
【請求項5】
前記電子装置はRF装置である、請求項1から4のいずれかに記載のパッケージングされた半導体モジュール。
【請求項6】
前記複数のワイヤボンドばねは各々、前記導電層と前記ワイヤボンドばねとの間を接触させることにより前記導電層と前記ワイヤボンドばねとの間に電気的結合を与えるばね効果を提供するように成形されたワイヤの連続ループを含む、請求項1から5のいずれか1つに記載のパッケージングされた半導体モジュール。
【請求項7】
前記複数のワイヤボンドばねは各々、ワイヤの連続ループを含み、前記ワイヤの連続ループは、
前記基板の表面上に配置されたボールボンドと、
屈曲ゾーンと、
頂部と、
前記屈曲ゾーンと前記頂部との間に延びる凸領域と、
傾斜した後端領域と、
前記頂部と前記傾斜した後端領域との間に延びる実質的に平坦な領域とを含み、
前記屈曲領域は前記凸領域と前記ボールボンドとの間にあり、
前記傾斜した後端領域の端部は前記基板に結合される、請求項1から5のいずれか1つに記載のパッケージングされた半導体モジュール。
【請求項8】
前記基板の表面上に配置された第1および第2のメタライズされた接続点をさらに含み、
前記ボールボンドは前記第1のメタライズされた接続点に結合され、
前記傾斜した後端領域の端部は前記第2のメタライズされた接続点に結合される、請求項7に記載のパッケージングされた半導体モジュール。
【請求項9】
ワイヤの連続ループで形成されたワイヤボンドばねであって、
ボールボンドと、
屈曲ゾーンと、
頂部と、
前記屈曲ゾーンと前記頂部との間に延びる凸領域と、
傾斜した後端領域と、
前記頂部と前記傾斜した後端領域との間に延びる実質的に平坦な領域とを含み、
前記屈曲ゾーンは前記凸領域と前記ボールボンドとの間にある、ワイヤボンドばね。
【請求項10】
前記頂部は前記屈曲ゾーンの実質的に垂直方向上方にある、請求項9に記載のワイヤボンドばね。
【請求項11】
前記ワイヤボンドばねは金線から形成される、請求項9および10のうちいずれか1つに記載のワイヤボンドばね。
【請求項12】
前記ワイヤボンドばねは銅線から形成される、請求項9および10のうちいずれか1つに記載のワイヤボンドばね。
【請求項14】
一体化された電磁干渉シールドを有する半導体モジュールパッケージであって、前記半導体モジュールパッケージは、
基板と、
前記基板の第1の面の上に配置された第1および第2のメタライズされた接続点と、
前記第1のメタライズされた接続点と前記第2のメタライズされた接続点との間に延びる連続ワイヤを含むワイヤボンドばねとを含み、
第1のワイヤボンドばねは、
前記第1のメタライズされた接続点に電気的に接続されたボールボンドと、
屈曲ゾーンと、
頂部と、
前記屈曲ゾーンと前記頂部との間に延びる凸領域と、
前記頂部に近接する実質的に平坦な領域と、
前記実質的に平坦な領域と前記第2のメタライズされた接続点との間に延びる傾斜した後端領域とを含む、半導体モジュールパッケージ。
【請求項15】
前記基板上に配置され前記第1および第2のメタライズされた接続点のうち少なくとも1つに電気的に結合された接地面をさらに含む、請求項14に記載の半導体モジュールパッケージ。
【請求項16】
電子装置と、
前記ワイヤボンドばねと実質的に同一である複数のさらなるワイヤボンドばねとをさらに含み、
前記複数のワイヤボンドばねは、前記電子装置の周囲の周りにおいて前記基板の上に配置される、請求項15に記載の半導体モジュールパッケージ。
【請求項17】
前記電子装置を覆い前記複数のワイヤボンドばねを少なくとも部分的に覆うモールド化合物と、
前記モールド化合物の表面上に配置され前記複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかに電気的に接続された導電層とをさらに含み、
前記接地面、前記導電層、および前記複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかは、ともに、一体化された電磁干渉シールドを形成する、請求項16に記載の半導体モジュールパッケージ。
【請求項18】
一体化された電磁干渉シールドを有するモジュールの製造方法であって、
電子装置を基板に接続するステップと、
前記基板上にメタライゼーションを与えるステップと、
前記メタライゼーションに接続された複数のワイヤボンドばねを形成するステップと、
トランスファー成形プロセスを実施することにより前記電子装置をモールド化合物内に封じ込めかつ前記複数のワイヤボンドばねを前記モールド化合物で少なくとも部分的に覆うステップと、
導電層を前記モールド化合物の表面上に配置するステップとを含み、前記導電層は前記複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかに電気的に接続される、方法。
【請求項19】
前記導電層を前記モールド化合物の表面上に配置する前に、前記モールド化合物の表面を除去して前記複数のワイヤボンドばねのうち少なくともいくつかの領域を露出させるステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記メタライゼーションを与えるステップは、接地面と、前記接地面に電気的に接続された少なくとも1つのワイヤボンド接触領域とを与えるステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記複数のワイヤボンドばねを形成するステップは、
ワイヤボールを前記メタライゼーションの上に堆積させるステップと、
前記ワイヤボールからワイヤを引出して前記ワイヤボールに接続された第1の端部と、第2の端部とを有するワイヤループを形成するステップと、
前記第2の端部を前記メタライゼーションに接続するステップとを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記導電層を前記モールド化合物の表面上に配置するステップは、銀が充填されたエポキシの層を前記モールド化合物の表面上に塗装するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2011−529638(P2011−529638A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521084(P2011−521084)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/071832
【国際公開番号】WO2010/014103
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(503031330)スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/071832
【国際公開番号】WO2010/014103
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(503031330)スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
【Fターム(参考)】
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