説明

両眼立体視・マルチエネルギー透過画像を用いて材料を識別する方法

【課題】両眼立体視・マルチエネルギー透過画像を用いて材料を識別する方法を提供する。
【解決手段】両眼立体視・マルチエネルギー透過画像を用いて、放射線方向に重なっている物体に対して、その中で放射線吸収の主要成分である障害物を剥離し、本来放射線吸収の副次成分であるため明らかでなかった物体を明らかになるようにし、その材料属性(例えば有機物、混合物、金属等)が識別できる。本発明の方法によれば、放射線方向における非主要成分に対して材料識別ができ、これはコンテナに遮られている爆発物、麻薬等その他の有害物を自動識別することの基礎となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線結像技術分野に関し、特に両眼立体視・マルチエネルギー透過画像を用いて材料を識別する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線結像技術は、高エネルギーX線の透過能力によって、接触しない状態で物体の内部を透過し、物体の透過画像を取得する。大型物体の検査において、従来技術では、走査放射線結像の動作原理は放射源がX線を出射し、X線が被検体を透過し検出器によって受信された後、電気信号に変換され画像取得システムに入力され、画像取得システムが画像信号をコンピュータのディスプレイに入力して検出された画像を表示する。一般的には、放射線結像によって形成された透過画像はX線ビームが透過した物体全体の投影であって、深さ方向の情報が含まれてない。若し、複数の物体が放射線入射方向に沿って放置された場合、形成される走査画像は走査ビーム方向に沿って物体全体が重なって形成された画像であって、他の物体の後ろに遮られた物体に対して検査するのに不利であるとともに、透過画像の材料に対して識別することもできない。上記の問題を解決するために、放射線結像分野では、より成熟された主体再構築技術はPC断層走査技術を採用する。しかし、この技術には、設備が複雑で、コストが高いだけでなく、大型物体に対して高速に検査することが出来なく、通過率が低くて、更に、透過物体の材料が識別できないという欠点がある。
【0003】
なお、両眼立体視放射線透過画像処理技術は、検出空間における異なる断層深さにある物体を画像から剥離することによって、障害物を除去する放射線結像技術である。この技術を利用して透過画像からいずれかの重なった物体を剥離すると、被障害物が画像で更に明確になるが、材料属性に対しては識別できない。マルチエネルギー透過画像識別技術は、特定の物体が異なるエネルギー放射線に対する減衰能力が異なるという特性を利用して、材料の属性、例えば、有機物、混合物、金属等を識別する放射線透過画像処理技術である。しかしながら、物体が重なったとき、この技術は減衰の主要部分を占める物体の属性しか識別できない。若し、識別しようとする物体が減衰全体量のほんの少ししか占めていない場合には、この技術を利用して物体の属性を識別することが出来ない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するためのもので、構造の簡単な大型物体放射線検査システムの放射線走査識別−結像方法を提供することである。該方法は両眼立体視技術とマルチエネルギー透過画像技術とを組み合わせて、透過画像の材料識別を行うための方法である。該方法は先ず両眼立体視技術により物体の検出空間における深さ方向の断層テンプレート画像を取得した後、透過画像から断層階調画像を再構築し、最後にマルチエネルギー技術を利用して断層での階調再構築に成功した物体に対して材料識別を行う。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による両眼立体視・マルチエネルギー透過画像を用いて材料識別を行う方法は、
一定の角度をなす2つのX線を被検体に透過させることによって、左透過画像データ及び右透過画像データを取得し、前記の左透過画像及び右透過画像を分割し、前記分割の結果に対してマッチングを行うステップと、透過画像の深さ方向における断層テンプレート画像を生成するステップと、透過画像から断層階調画像を再構築するステップと、いずれかのエネルギーの透過画像に対し前記の過程を繰り返して、いずれかのエネルギーの各層における断層テンプレート画像を取得するステップと、同一位置にある異なるエネルギーの断層テンプレート画像を合併して、所定のエネルギーのうち全てのエネルギーの各層の断層テンプレート画像を取得するステップと、断層における階調再構築に成功した物体に対して材料識別を行うステップと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、両眼立体視・マルチエネルギー透過画像を用いて材料識別を行う方法を提供している。本発明の方法によれば、放射線方向に重なっている物体に対して、その中で放射線吸収の主要成分である障害物を剥離し、本来放射線吸収の副次成分であるため明らかでなかった物体を明らかになるようにし、その材料属性(例えば有機物、混合物、金属等)が識別できる。
【0007】
本発明の方法によれば、放射線方向における非主要成分に対して材料識別ができ、これはコンテナに遮られている爆発物、麻薬等その他の有害物を自動識別することの基礎となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について図面を結合して詳細に説明する。
【0009】
以下、本発明による両眼立体視・マルチエネルギー透過画像材料識別方法の具体的な実施過程については、3つの部分に分けて記述する。
【0010】
一、各種エネルギー毎の両眼立体視画像に対しそれぞれ両眼立体視処理技術を適用して、このエネルギーの透過画像の断層テンプレート画像を取得し、異なるエネルギーの断層テンプレートを1グループの断層画像のテンプレートに合併する。
【0011】
図1は、本発明による両眼立体視技術における検出空間の断層の模式図である。図1に示すように、検出空間は放射線源(座標原点0)から検出器(L及びRの垂直アレイ)までのセクタが走査するエリアによって形成された三次元空間である。ここで、0は座標原点であり、Sは放射線源の位置であり、Lは左検出器アレイであり、Rは右検出器アレイであり、OLは左放射線ビームであり、ORは右放射線ビームであり、θは左放射線ビームと右放射線ビームとの夾角である。
【0012】
図1において、走査方向(垂直上昇)をx軸の正方向とし、座標値を走査番号とし、検出器の配列方向(紙面に垂直しながら外部に向かう)をy軸の正方向とし、座標値を検出器番号とし、水平右方向をz軸の正方向とし、座標値を断層番号とする。放射線源Sの位置する0を座標原点にして、空間直角座標系を作成し、この直角座標系が位置している空間を検出空間と呼ぶ。断層は一連のx−O−y平面と平行する空間平面であり、図面の点線は断層が位置している平面のx−O−z平面での投影を示し、各層の深さは該層の平面とx−O−y平面との距離である。図において、Lは左放射線ビームのメインビーム方向のx−O−z平面での投影であり、Rは右放射線ビームのメインビーム方向のx−O−z平面での投影である。θは左放射線ビームと右放射線がビームとのx−O−z平面での投影の夾角である。
【0013】
画像エッジ抽出技術によって検出空間物体のテンプレート画像が取得できる。即ち部分的な不連続性を検出することによって若干のエッジを取得した後、それらを連結する。物体が重なる時のX線透過画像の固有特性によって、エッジ抽出方法はX線透過画像分割で信頼性がより高い。本発明は、Sobelエッジ検出演算子とCannyエッジ検出演算子とを共に用いてエッジを抽出した後、2つの検出演算子によって検出されたエッジに対して統合を行う。最後に得られたエッジに対してエッジ連結処理を行い、閉鎖エリアを形成することによって、左側面図(left view)、右側面図(right view)の分割を実現する。
【0014】
図2は、本発明による画像分割の具体的なフローチャートを示している。
【0015】
図2を参照しながら、本発明による画像分割の手順を以下のように詳しく説明する。
【0016】
先ず、ステップ01で、エッジを抽出する。本発明は、Sobelエッジ検出演算子とCannyエッジ検出演算子とを共に用いてエッジを抽出する。デジタル画像{f(i,j)}において、f(i,j)は画像における第i列、第j行のピクセル階調値を表し、{f(i,j)}は画像における全てのピクセルの集合であり、本発明はSobelエッジ検出演算子を用いて、デジタル画像{f(i,j)}のピクセル毎に、上、下、左、右の隣接ピクセルの階調の重み差を調査し、一番近い隣接ピクセルの重みが大きくて、2番目に近い隣接ピクセルの重みが小さい。その定義は以下のようである。
【数1】

【0017】
上記の数式において|Δxf|、|Δyf|はそれぞれ畳込み演算子Δxf、Δyfの第i列、第j行における畳込み和である。
【0018】
畳込み演算子の行列の定義式は以下のようであり
【数2】

その後、閾値Thを選択し、条件S(i, j)>Thを満たすピクセル(i,j)はステップエッジポイントであり、{S(i, j)}はエッジ画像である。
【0019】
Cannyエッジ検出アルゴリズムの一般ステップにおいて、先ず、ガウスフィルターを利用して画像の平滑化を行い、次に、第一次偏導の有限差分を利用して勾配(gradient)の大きさ(magnitude)及び方向を計算し、勾配の大きさに対して非最大抑制(non−maximum suppression)を行う。最後に二重閾値アルゴリズムを利用して、エッジを検出して連結する。Canny演算子は二重閾値アルゴリズムによって疑似エッジを減少させる。非最大抑制に対して2つの閾値Th1及びTh2(ここで、2Th1≒Th2)を利用して2値化して、2つの閾値エッジ画像N1(i,j)とN2(i,j)を取得する。N2(i,j)は高い閾値を利用して取得し、疑似エッジが少なく含まれているが、不連続的になっている。その後、N2(i,j)でエッジを輪郭に連結する。アルゴリズムのN2(i,j)におけるエッジのエンドポイントにおいて、N1(i,j)図の相応する8隣接領域位置で連結できるエッジを探すことによって、アルゴリズムはN2(i,j)を連結して輪郭を形成するまでずっとN1(i,j)の中でエッジを収集する。
【0020】
ステップ02において、閉鎖エッジを取得する。Sobelエッジ検出演算子とCannyエッジ検出演算子とを結合して検出されたエッジに対して、エッジ連結を行い、閉鎖させる。
【0021】
本発明の初歩的なエッジ図は上記2つの演算子による2値化エッジ画像に対して論理和演算をした結果である。雑音等の影響によって、上記方法によるエッジは一般的に依然として不連続であり、それらを連結する必要がある。本発明はエッジピクセルの勾配の大きさ又は勾配の方向上の連続性によってそれらを連結する。例えば、ピクセル(s,t)がピクセル(x,y)の隣接領域にあり且つそれらの勾配の大きさと勾配の方向が所定の閾値の条件で以下の式を満たす。
【数3】

このように、全てのエッジピクセルに対して上記の判断・連結を行って閉鎖されたエッジが得られる。
【0022】
ステップ03において、得られた閉鎖エッジによって左、右側面図の分割を行う。閉鎖されたエッジが画像を内外部2つのエリアに分けるため、形態学的膨張−浸食操作を用いて、エリア内部に属するピクセルを探す。その後、該ピクセルを始点としてエリア生長法によってエリア内のピクセルを数値「1」で埋め、エリア外のピクセルは数値「0」で埋めて、各閉鎖エッジ内部エリアの2値化テンプレートを取得し、テンプレート画像の大きさが検出空間がx−O−y平面での投影、即ち走査回数(幅)×検出器数(高さ)である。これまで、画像の分割を完了して、オブジェクトテンプレートを取得する。
【0023】
本発明によると、両眼立体視技術を通じて一定のルールに従い2つのテンプレート画像における物体をマッチングする。即ち、左テンプレート画像における各内部値が1で有る連通エリアと右テンプレート画像における各テンプレートと逐一に比較し、同一物体の右側面図における対応テンプレートを探す。このように、マッチングに成功したそれぞれの物体は左、右側面図における1つのテンプレートに対応し、2つのテンプレートが水平方向における位置差は視差prである。
【0024】
両眼立体視理論によって、各断層深さzと視差prとの関係は、
【数4】

である。
【0025】
このように、全てのマッチングされたオブジェクトは該当する深さの断層テンプレートに描かれ、その深さは
【数5】

であり、
ここで、μx,iとμx,jは断層テンプレートでマッチング成功したオブジェクトの左、右側面図における重心横座標位置であり、視差は各層の深さと正比例する。
【0026】
図3は、本発明によるマッチングされた断層のテンプレート画像の例を示す図である。図3を参照すれば、図3に示しているのは、左、右側面図分割結果である。図3(a)は左側面図オブジェクトテンプレートであり、図3(b)は右側面図オブジェクトテンプレートであり、図からこのオブジェクトのテンプレートが全て矩形であることがわかる。
【0027】
両眼立体視断層技術によって得られた透過画像の断層テンプレートにおいて、その所属する層数は物体が被検区間で深さ方向に沿って位置している前後位置を反映し、断層テンプレートの幾何形状は物体の形状輪郭を反映する。
【0028】
いずれか1つのエネルギー透過画像に対してもこの処理を重複して、何れか1つのエネルギーの各層における断層テンプレート画像を取得する。同一位置にある異なるエネルギーの断層テンプレート画像を理論和演算を介して合併すれば、全てのエネルギーの各層の断層テンプレート画像を取得できる。
【0029】
図4は、本発明による各エネルギーの各層のテンプレートを取得するフローチャートを示している。図4に示すように、先ず、各放射線エネルギーによる透過画像集合を生成する。その後、内外ネストされた二重ループ操作を実行し、内外点線枠はそれぞれ、内、外二重ループを代表する。内ループは、テンプレート断層画像を生成するループである。当該ループにおいてシステムはマッチングオブジェクト集合を生成し、マッチングオブジェクト番号をループ変数として前記ステップ01から03に従っていずれか1つのエネルギーの両眼立体視透過画像中の物体に対してテンプレートの生成、マッチング及び物体視差を算出する。視差に近似するテンプレートを理論和演算を介して同一の断層画像に合併することによって、いずれか1つの放射線エネルギーにおける各断層でのマッチングされた物体のテンプレート断層画像集合を取得する。外ループは、異なる放射エネルギーに対するループであって、このループにおいて順番に内ループを実行して、本エネルギーにおける各断層の深さでマッチングされた物体のテンプレートを含む断層画像を生成し、次のエネルギーで生成される透過画像を選択して、該画像に対し、全てのエネルギーの透過画像が処理されるまで以上のステップを繰り返す。外ループが終わった後、異なるエネルギーのテンプレート断層画像集合を理論和演算を介して断層深さを区分識別子とする、各層に若干の物体テンプレートを含むテンプレート断層画像集合に同層合併する。
【0030】
二、断層テンプレートによって、それぞれ多種エネルギーの階調再構築を行う。
以上で取得した断層テンプレート画像は、物体の幾何形状及びそれのコンテナでの空間位置しか得られない。若し材料識別を行うとしたら、必ず多種エネルギーの階調再構築を行わなければならない。階調再構築を通じて、各分割された物体の多種エネルギーの階調値を取得することができる。これによって物体の材料識別を実現する。
【0031】
階調再構築時に、各種エネルギーに対して、外部から内部へ順次に剥離する両眼立体視階調再構築方法によって各断層における物体を再構築する。即ち、先ずx−O−y平面における一番外部側(背景エリアと直接隣接する)のマッチングされたオブジェクト階調に対して再構築し、背景は依然として原の背景値であり、物体輪郭内は孤立的に当該物体を走査して得られるべき階調値である再構築階調画像を構成し、オリジナル画像から再構築階調を利用してこの物体を剥離する。また、二番目の外層のオブジェクトに対して同様な処理を行い、全てのマッチングされたオブジェクトが再構築を完了するまで、以上の手順を繰り返す。
【0032】
図5(a)に示す左側面図を例とし、図4に示すテンプレート画像と類似する図を結合して、階調再構築を行う。
【0033】
図5(a)を参照すると、3つの物体がお互いに重なり、外部から内部への順番は、より大きい矩形、より小さい矩形、小さい楕円である。図5(b)、図5(c)及び図5(d)は、階調再構築の効果画像を示している。図5(b)は一番外部側、図5(c)は中間、図5(d)は一番内部側である。
【0034】
図5(b)は一番外部側の物体の階調再構築結果であり、明るい色エリアの階調値はオリジナル画像の背景値であり、濃い色エリアの階調値は明るいエリア階調値から一番外部側物体の再構築階調値を引いて得られた値であり、濃い色エリア輪郭とこの物体のテンプレート画像における輪郭とは同じであり、より大きい矩形である。図5(c)は中間物体の階調再構築結果であり、明るい色エリアの階調値はオリジナル画像の背景値であり、濃い色エリアの階調値は明るいエリア階調値から中間物体の再構築階調値を引いて得られた値であり、濃い色エリア輪郭とこの物体のテンプレート画像における輪郭とは同じであり、より小さい矩形である。図5(d)は一番内部側物体の階調再構築結果であり、明るい色エリアの階調値はオリジナル画像の背景値であり、濃い色エリアの階調値は明るいエリア階調値から一番内部側物体の再構築階調値を引いて得られた値であり、濃い色エリア輪郭とこの物体のテンプレート画像における輪郭とは同じであり、楕円である。
【0035】
図6は、異なるエネルギーを含む階調画像の階調再構築を行うフローを示している。
【0036】
図6を参照すると、点線枠は各種異なるエネルギーに対するループを代表する。先ず、各種の異なる放射線エネルギーを含み且つエネルギーを区分識別子とする透過画像、及び実施過程の第一部分によって得られた断層深さを区分識別子とする、各層に若干の物体テンプレートを含むテンプレート断層画像集合を生成する。1ループにおいて、1種類のエネルギーの両眼立体視透過画像に対し、第一部分の画像分割の結果、即ち第一部分から取得したテンプレート断層画像集合に基づき、階調再構築を通じてオリジナル画像物体が除去され、物体再構築階調画像を生成し、1つのエネルギーの階調画像再構築を完了する。以下、階調再構築の詳細過程に関して、図7を参照しながら説明する。その後、常に新しいエネルギーに対応する透過画像を選択し、依然として第一部分の画像分割結果に基づいて、以上のステップを繰り返す。最後に全てのエネルギーの物体再構築階調画像を1つの集合に統合して、材料識別に使用する。この集合は3重集合であってもいいが、これに限られない。第1の集合は、断層集合であり、断層深さを要素区分識別子とする全てのテンプレート断層画像を含む。第2の集合は、オブジェクト集合であり、オブジェクト番号を要素区分識別子とし、特定の断層深さにおけるマッチングされたオブジェクトのそれぞれを含む。第3の集合は、エネルギー集合であり、異なる放射線エネルギーを区分識別子とし、特定のマッチングされたオブジェクトの各エネルギーにおける透過階調再構築画像を含む。
【0037】
これまで、物体再構築階調画像を生成して、エネルギーの階調再構築を完了する方法は、外部から内部へ、順次に階調を剥離する方法を用いて物体の階調再構築を行う。先ず、一番外部側(背景エリアと直接隣接する)のマッチングされたオブジェクト階調に対して再構築を行い、オリジナル画像から剥離し、また二番目外層のオブジェクトに対して同様な処理を行い、全てのマッチングされたオブジェクトが完了するまで、以上の過程を繰り返す。そのフローチャートは図7で示すようである。
【0038】
図7は、本発明による階調再構築の詳細フローチャートを示している。図7を参照して、本発明による階調再構築の具体的な実現過程について詳細に説明する。
【0039】
本発明では、オブジェクト階調を再構築する時に、外部から内部へ、順次に階調を剥離する方法を用いて、物体の階調再構築を行う。先ず、一番外部側(背景エリアと直接隣接する)のマッチングされたオブジェクト階調に対して再構築を行い、オリジナル画像から剥離し、また二番目外層のオブジェクトに対して同様な処理を行い、全てのマッチングされたオブジェクトが完了するまで、以上の過程を繰り返す。
【0040】
具体的には、該フローは以下のとおりである。
【0041】
ステップ01において、画像分割過程によって得られたオブジェクトを利用して階調再構築候補オブジェクト集合を生成する。
【0042】
ステップ02において、1つのオブジェクトの属性を取得する。
【0043】
ステップ03において、取得したオブジェクトに背景と隣接したエッジがあるかを確認する。
【0044】
ステップ04において、取得したオブジェクトに背景と隣接するエッジがあると、オブジェクト階調を再構築し、オブジェクトが物体に遮られたら、その障害物の階調を再構築する。
【0045】
ステップ05において、画像からこのオブジェクトを除去する。
【0046】
全てのオブジェクトの階調再構築が完了されるまで、ステップ02からステップ05を繰り返してオブジェクト集合中のオブジェクトに対して階調再構築を行う。
【0047】
処理された各オブジェクトは、階調再構築の時、2つのエリアしかない。1つは背景と隣接する部分であり、もう1つは他の物体に遮られた部分である。なお、本来背景と隣接できなかったオブジェクトに対し、充分に多い障害物剥離を行って、障害物が存在したエリアを背景値の部分にすると、この部分エリアも新しい背景エリアと見なすことができ、最終的に本来完全に遮られたオブジェクトの全ても背景値と隣接することができるようになる。再構築された物体階調を、エッジ外部側階調からエッジ側階調を引いたものとする。即ち、
【数6】

とする。
【0048】
三、再構築された断層画像に対していずれか1層の材料識別を行う。
上記の階調値再構築によって、各層内の各テンプレートが代表している物体の多種エネルギーの階調値を取得することができる。これらの階調値はエネルギーによって差異があり、これらの差異を分析することによっていずれか1層内の物体に対して材料識別を行うことができる。
【0049】
図8は、上記の識別過程のフローを示している。図8に示すように、先ず、実施過程の第二部分から得られた「断層―オブジェクト―エネルギー」三重集合を導入する。その後、1つの「断層−オブジェクト」の二重ループを実行する。ここで、外部の点線枠内は各断層深さに対するループである。外ループにおいて、各断層深さに対して、本発明では当該断層のマッチングされた物体のそれぞれを含み、且つ各物体の各エネルギーにおける階調再構築画像を含む「オブジェクト―エネルギー」二重集合を生成する。その後、内部の点線枠内のオブジェクトループを実行し、即ち、いずれか1つの断層の全てのマッチングされた図中の物体に対して物体番号をフラグとするループを実行する。当該断層における各左、右側面図がマッチングされ且つ各エネルギーの階調が再構築された物体に対して、順番に階調差異分析、材料識別、カラー画像生成処理(該処理過程は本願の出願人の提出した公開番号がCN 1995993である従来技術に詳細に説明されており、ここでは説明を省略する)を行う。この断層の全ての材料属性の識別を完了した後、本発明はこの断層深さを識別子とする断層画像から、第一部分によって得られたテンプレート断層画像、第二部分によって得られた階調再構築画像及び上記の物体識別結果に基づいて、カラー断層画像を描く。このような、カラー断層画像において、識別された物体の輪郭はテンプレート輪郭によって決められ、輪郭内の色は階調再構築結果と材料識別結果とによって決められる。本発明は、色の決め方に対して以下の図9に対する関連説明で記述する。その後、全ての断層が同様な処理を行うまで、次の断層に対して再び「オブジェクト−エネルギー」集合を生成して、材料識別及びカラー画像の再構築を行う。また、断層順番によって得られたカラー材料識別効果断層画像を異なる断層における各物体のカラー材料識別効果断層画像の集合に統合する。これが、本発明の両眼立体視、マルチエネルギー画像処理技術よって得られた最終結果である。
【0050】
マルチエネルギー材料識別方法は重なっていない物体に対して、異なるエネルギーの透過画像階調の差異によって識別を行う。ここで、以下のように定義するが該定義に限られない:オレンジ色を有機物体又は軽材料の識別色とし、緑色を軽金属又は混合物体の識別色とし、青色を金属識別色とする。また、各種色の明るさを再構築階調値の大きさによって決められるものとする。このように、識別効果画像は図9で示すようである。
【0051】
図9を参照すれば、質量厚さ(mass thickness)が30gである場合の黒鉛、アルミニューム、鉄、鉛、ポリエチレンの矩形のマルチエネルギー識別効果画像を示している。
【0052】
図9において、左から右への目標配列順番は、黒鉛、アルミニューム、鉄、鉛、ポリエチレンであり、識別色の配列順番は、オレンジ色、緑色、青色、青色、オレンジ色であり、材料識別は間違いない。
【0053】
物体がお互いに遮られた時、若し障害物の剥離処理をしないと、このような識別は正確でない可能性があり、図10に剥離のない識別効果画像を示している。
【0054】
図10に示すように、より大きい矩形鋼板障害物があり、中間は遮られた液化石油ガスを入れた鋼コンテナであり、左は紙箱入れのCD−Rであり、右はタバコ入れの紙箱である。これからわかるように、鋼コンテナ内の液化石油ガスと右の紙箱入れのタバコとは基本的に識別誤りがあり、左の紙箱入れのCD−Rにも部分的な識別誤りが発生した。若し、両眼立体視階層方法を適用して障害物を剥離した後、識別すると、効果は図11に示すようにある。
【0055】
図11は、両眼立体視障害物剥離マルチエネルギー材料識別効果画像である。図11(a)は障害物であり、図11(b)は識別される物体である。
【0056】
図11に示すように、両眼立体視障害物剥離マルチエネルギー材料識別技術を適用した後、図11(a)における鋼コンテナ障害物は青色に識別され、金属である。図11(b)中の紙箱入れのCD−R、液化石油ガス、紙箱入れのタバコはオレンジ色に識別され、有機物体であり、識別結果は正確である。
【0057】
図12は、本発明による両眼立体視・マルチエネルギー走査放射線結像システムの構造図である。図12に示すように、本発明の両眼立体視・マルチエネルギー放射線操作結像システムは、X線の発生器であって、エネルギーの異なるX線ビームを発生することができるマルチエネルギー放射線源1と、放射線源1から出射したX線を受信し、対称または非対称の、一定の夾角をなす2つのX線を出射するビームコントローラ2と、マルチエネルギー放射線源から出射したエネルギーの異なるX線を受信して電気信号に変換し左画像取得システム6に入力する左検出器アレイ4と、マルチエネルギー放射線源から出射したエネルギーの異なるX線を受信して電気信号に変換し右画像取得システム7に入力する右検出器アレイ5と、左検出器アレイ4からの電気信号を受信し、当該電気信号から左画像データを取得する左画像取得システム6と、右検出器アレイ5からの電気信号を受信し、当該電気信号から右画像データを取得する右画像取得システム7と、左画像取得システム6及び右画像取得システム7からの左、右画像データを受信して処理し、コンピュータのディスプレイに検出された物体の画像をそれぞれ表示するか、または両者から深さの異なる断層透過画像を再構築して表示するコンピュータ処理システム8と、を備えている。
【0058】
本発明おいて、放射線源1は、ビームコントローラ2を介し、対称または非対称の、一定の夾角をなす2つのX線を出射し、各X線ビームは被検体3を透過して左検出器アレイ4及び右検出器アレイ5によって受信された後、電気信号に変換されてそれぞれ左画像取得システム6及び右画像取得システム7に入力され、左、右画像取得システム6、7における画像データはコンピュータ処理システム8によって処理された後、コンピュータのディスプレイに検出された物体の画像を表示してもよいし、両者から深さの異なる断層透過画像を再構築して表示してもよい。
【0059】
本発明による両眼立体視・マルチエネルギー放射線操作結像システムは、エネルギーの両眼立体視画像に対し両眼立体視処理技術を適用して当該エネルギーに対応する透過画像の断層テンプレート画像を取得し、異なるエネルギーの断層テンプレートを1グループの断層画像のテンプレートに合併する。そして、断層テンプレートに基づいて、マルチエネルギーの階調再構築をそれぞれ行い、再構築された断層画像に対しいずれか1層の材料識別を行う。具体的な処理方法及び過程は、上記の本発明の両眼立体視・マルチエネルギー走査放射線結像方法についての説明のとおりであるので、説明を省略する。
【0060】
本発明の好ましい一実施の形態は、ビームコントローラとして両スリットコリメータ(double slit collimator)を用いて、放射線源から出射した放射線に対しビーム制御を行うことである。
【0061】
図13、図14は、それぞれ、本発明を実施するための装置レイアウトの模式図の上面図及び側面図である。図13Aは、ビーム放射線が対称する場合であり、図13Bは、ビーム放射線が非対称する場合である。図13A、13Bに示すように、ビームコントローラには、放射線源から出射されるX線を対称または非対称の、一定の夾角をなす放射線ビームにする2つのコリメーションスリットが設けられており、左、右検出器アレイ4、5は、両スリットコリメータのこりメーションスリットによって限定されたビームセクタにそれぞれ対向して、それぞれ対称される角度で被検体を走査・検査し、それぞれの電気信号を左、右画像取得システムに伝送した後、コンピュータ処理システム8において画像処理することにより、深さ情報を含む透過画像を取得する。
【0062】
上記の例からわかるように、該方法は透過画像の放射線方向における主要成分に対して材料識別を行うだけでなく、同時に主要成分を剥離することで、非主要成分の材料も識別できる。従来のマルチエネルギー材料識別方法は、放射線方向で主要成分しか識別できなかった。例えば、放射線方向に、より厚い鋼板とより小さい麻薬が重なっている場合、従来のマルチエネルギー材料識別方法によると、放射線方向で鋼板しか識別できなく、麻薬は識別できない。若し、本発明の方法を採用すると、先ず、両眼立体視技術によって鋼板と麻薬とを異なる2つの断層に分け、各層に対してそれぞれマルチエネルギーの階調再構築を行った後、各断層でそれぞれ材料識別を行うため、鋼板を識別できる(放射線方向で主要成分の放射線減衰がより大きい)だけでなく、麻薬(放射線方向での非主要成分の放射線に対する減衰がより小さい)も識別できる。該方法はコンテナ透過画像の材料識別に特に有用である。コンテナの透過走査画像において、コンテナがより厚く、放射線透過距離が長いため、放射線方向で爆発物、麻薬などの有害物体は通常非主要成分である。そのため、該方法はコンテナ透過走査画像で爆発物、麻薬等の有害物体を自動識別することの基礎となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明による両眼立体視技術における検出空間断層の模式図を示す。
【図2】本発明による画像分割の具体的なフローチャートを示す。
【図3】本発明によるマッチングされた断層のテンプレート画像の例を示す。
【図4】本発明による各エネルギーの各層テンプレート画像を取得するフローを示す。
【図5】本発明の方法による左側面図(left view)及びその階調再構築の例を示す。
【図6】本発明による異なるエネルギーを含む階調画像の階調再構築のフローを示す。
【図7】本発明による単一エネルギーの階調再構築の詳細フローを示す。
【図8】本発明によるいずれかの層内の物体に対して材料識別を行うフローチャートを示す。
【図9】重なっていない多種類の材料に対するマルチエネルギー識別効果画像を示す。
【図10】剥離のない識別効果画像を示す。
【図11】両眼立体視障害物剥離処理を行ったマルチエネルギー材料識別効果画像を示す。
【図12】本発明による両眼立体視・マルチエネルギー走査放射線結像システムの構造図である。
【図13A】本発明による両眼立体視・マルチエネルギー走査放射線結像システムの構成の上面図である。
【図13B】本発明による両眼立体視・マルチエネルギー走査放射線結像システムの構成の上面図である。
【図14】図14は、本発明による両眼立体視・マルチエネルギー走査放射線結像システムの構成の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両眼立体視・マルチエネルギー透過画像を用いて材料識別及び結像を行う方法であって、
1)一定の角度をなす2つのX線を被検体に透過させることによって、左透過画像データ及び右透過画像データを取得し、前記の左透過画像及び右透過画像を分割し、前記分割の結果に対してマッチングを行うステップと、
2)透過画像の深さ方向における断層画像を生成するステップと、
3)いずれかのエネルギーの透過画像に対し前記の過程を繰り返して、いずれかのエネルギーの各層における断層画像を取得するステップと、
4)同一位置にある異なるエネルギーの断層画像を合併して、所定のエネルギーのうち全てのエネルギーの各層の断層画像を取得するステップと、
5)断層における階調再構築に成功した物体に対して材料識別を行うステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ステップ1)において、エッジ抽出アルゴリズムを用いて左透過画像及び右透過画像を分割することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の左透過画像及び右透過画像を分割するステップは、
1)画像のエッジを抽出するステップと、
2)画像の閉鎖エッジを取得するステップと、
3)取得した閉鎖エッジに対して画像の分割を行うステップと、を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ1)において、分割の結果に対してマッチングを行う時に、左分割結果及び右分割結果の幾何的特徴に応じてマッチングを行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ1)において、分割の結果に対してマッチングを行うことは、
1)分割結果のオブジェクトを生成するステップと、
2)以上のオブジェクト属性集合に、対応する重みを割り当てるステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ2)において、透過画像の深さ方向における断層画像を生成することは、左側面図、右側面図のマッチング結果及び対応する絶対視差値によって実現されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ3)において、断層画像階調値を再構築するステップは、外部から内部へ、順次に階調を剥離する方法を用いて物体の階調再構築を行い、ここで、背景エリアと直接隣接する一番外部側のマッチングされたオブジェクト階調に対して再構築を行い、オリジナル画像から剥離し、さらに、二番目外層のオブジェクトに対して同様な処理を行い、マッチングされたオブジェクトの全てが完了するまで、上記の過程を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ3)において、断層画像階調値を再構築することは、
1)前記オブジェクトを利用して階調再構築候補オブジェクト集合を生成するステップと、
2)オブジェクトの属性を取得するステップと、
3)取得したオブジェクトに背景と隣接したエッジがあるかを確認するステップと、
4)取得したオブジェクトに背景と隣接するエッジがあると、オブジェクトの階調を再構築し、オブジェクトが物体に遮られたら、その障害物の階調を再構築するステップと、
5)画像から当該オブジェクトを除去するステップと、を含み、
全てのオブジェクトの階調再構築が完了されるまでステップ2)からステップ5)を繰り返して、オブジェクト集合中のオブジェクトに対して階調再構築を行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記の画像のエッジを抽出するステップにおいて、Sobelエッジ検出演算子とCannyエッジ検出演算子とを共に用いてエッジを抽出することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記のSobelエッジ検出演算子は、デジタル画像{f(i,j)}の各ピクセルに対して上、下、左、右の隣接ピクセル階調の重みの差を調査し、一番近い隣接ピクセルの重みは大きくて、二番目に近い隣接ピクセルの重みは小さいことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
Cannyエッジ検出演算子を用いてエッジを抽出するステップは、
1)ガウスフィルターを利用して画像の平滑化を行うステップと、
2)第一次偏導の有限差分を利用して勾配の大きさ及び方向を計算するステップと、
3)勾配の大きさに対して非最大抑制を行うステップと、
4)二重閾値アルゴリズムを利用して、エッジを検出・連結するステップと、を含む請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ2)において、画像の閉鎖エッジを取得する時に、エッジピクセルの勾配の大きさ又は勾配の方向での類似性によってそれを連結することを特徴とする請求項4に記載の両眼立体視走査放射線結像方法。
【請求項13】
前記ステップ3)において、取得したオブジェクトに背景と隣接するエッジがあると、オブジェクトの階調を再構築し、障害物があると、同時に障害物の階調を再構築し、オブジェクト集合及び画像から当該オブジェクトを除去することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】
エネルギーの両眼立体視透過画像に対して、階調再構築、オリジナル画像物体除去を行って、物体再構築階調画像を生成し、エネルギーの階調画像の再構築を完了するステップと、
次のエネルギーを選択して上記のステップを繰り返し、最後に全てのエネルギーの物体再構築階調画像を1つの集合に統合するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップ6)における識別は、
左側面図、右側面図のそれぞれのマッチングされた、各エネルギーの階調が再構築された物体に対して、順番に階調差異分析、材料識別、カラー画像生成の処理を行うステップと、
全ての物体の処理を完了した後、断層の順番に応じて異なる断層における各物体の識別効果画像に統合するステップと、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
放射線源(1)、左検出器アレイ(4)、右検出器アレイ(5)、左画像取得システム(6)、右画像取得システム(7)及びコンピュータ処理システム(8)を備える両眼立体視・マルチエネルギー走査放射線結像システムであって、
前記放射線源(1)は、マルチエネルギーX線の発生器であって、エネルギーの異なるX線ビームを発生することができるものであり、
前記左検出器アレイ(4)は、エネルギーの異なるX線を受信して電気信号に変換し左画像取得システム(6)に入力するものであり、
前記右検出器アレイ(5)は、エネルギーの異なるX線を受信して電気信号に変換し右画像取得システム(7)に入力するものであり、
前記左画像取得システム(6)は、左検出器アレイ(4)からの電気信号を受信し、当該電気信号から左画像データを取得するものであり、
前記右画像取得システム(7)は、右検出器アレイ(5)からの電気信号を受信し、当該電気信号から右画像データを取得するものであり、
前記コンピュータ処理システム(8)は、左画像取得システム(6)及び右画像取得システム(7)からの左、右画像データを受信し、前記の異なるエネルギーにおける左、右画像データを処理して、ある特定の断層における物体に対する材料識別を実現するものであることを特徴とする両眼立体視・マルチエネルギー走査放射線結像システム。
【請求項17】
前記コンピュータ処理システムは、前記異なるエネルギーにおける左、右画像データを分割し、前記分割の結果に対しマッチングを行うことによって、異なるエネルギーの透過画像の深さ方向における断層画像を生成し、断層画像の階調値を再構築していずれかのエネルギーの各層における断層画像を取得し、同一の位置にある異なるエネルギーの断層画像を合併して、所定のエネルギーのうち全てのエネルギーの各層の断層画像を取得し、断層におけるマッチングされた物体に対し材料識別を行うことを特徴とする請求項16に記載の両眼立体視・マルチエネルギー走査放射線結像システム。
【請求項18】
放射線源(1)から出射したX線を受信し、対称または非対称の、一定の夾角をなす2つのX線を出射するビームコントローラ(2)をさらに備えることを特徴とする請求項16に記載の両眼立体視・マルチエネルギー走査放射線結像システム。
【請求項19】
前記ビームコントローラ(2)は、両スリットコリメータであることを特徴とする請求項18に記載の両眼立体視・マルチエネルギー走査放射線結像システム。
【請求項20】
前記両スリットコリメータには、放射線源から出射されるX線を対称または非対称の、一定の夾角をなすビームセクタにする2つのコリメーションスリットが設けられていることを特徴とする請求項19に記載の両眼立体視・マルチエネルギー走査放射線結像システム。
【請求項21】
前記検出器アレイは、「L」型検出器であることを特徴とする請求項16に記載の両眼立体視・マルチエネルギー走査放射線結像システム。
【請求項22】
前記コンピュータ処理システム(8)は、左、右画像データに基づいて、コンピュータのディスプレイに検出された物体の画像をそれぞれ表示することもできることを特徴とする請求項16に記載の両眼立体視・マルチエネルギー走査放射線結像システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−36769(P2009−36769A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199394(P2008−199394)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(503414751)同方威視技術股▲分▼有限公司 (18)
【出願人】(502192546)清華大学 (20)
【Fターム(参考)】