説明

乗り物用のキー

【目的】 本発明の目的は飲酒運転を防止し得る乗り物用のキーを提供することにある。
【構成】 乗り物用のキーは、先端部110が電車、二輪車及び自動車等の乗り物の鍵穴に挿入されるキー部100と、このキー部100の基端部120に設けられるホルダ部200と、ホルダ部200からキー部100に沿って突出する突出部材300と、この突出部材300を突出方向に付勢するスプリング400と、ユーザの呼気に含まれるアルコールを検出する呼気成分検出手段500と、呼気成分検出手段500の検出結果に応じて突出部材300を突出させた状態でロックし維持するロック機構600とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電車、二輪車及び自動車等の乗り物の原動機を始動させる乗り物用のキー及び飲酒運転防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲酒運転による交通事故が問題視されている。特に、トラックやバス等を運転するプロドライバーのモラルが低下しており、このプロドライバーの飲酒運転による大事故が目立つ。また、飲酒運転だけでなく、麻薬やシンナー等の薬物を摂取した状態で運転する者もいる。
【0003】
飲酒運転を抑止するものとしては、アルコールセンサが組み込まれた携帯電話器(特許文献1参照)や自動車のルームミラーに取り付けられるアルコール検出器(特許文献2参照)などがある。
【0004】
【特許文献1】特開2001−313696号公報
【特許文献2】特開平09−292354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記アルコールセンサは、ユーザの呼気に含まれるアルコールを検出するものに過ぎず、飲酒運転を防止し得るものではない。また、薬物運転を防止し得るものもなかった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、飲酒運転及び/又は薬物運転を防止し得る乗り物用のキー及び飲酒運転防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の乗り物用のキーは、電車、二輪車及び自動車等の乗り物の鍵穴に挿入され、当該乗り物の原動機を始動させるのに使用される乗り物用のキーであって、先端部が乗り物の鍵穴に挿入可能なキー部と、前記キー部の基端部に設けられたホルダ部と、このホルダ部から突出し、これにより前記キー部の乗り物の鍵穴への挿入を防止する挿入防止手段と、ユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出する呼気成分検出手段とを備えており、前記挿入防止手段は前記呼気成分検出手段の検出結果に応じてホルダ部に収納可能な構成となっていることを特徴としている。
【0008】
前記挿入防止手段は、ホルダ部からキー部に沿って突出する突出部材と、この突出部材を突出方向に付勢するスプリングと、前記突出部材を突出させた状態でロックし維持するロック機構とを有しており、前記ロック機構は前記呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記突出部材のロックを解除するようになっている。
【0009】
前記ロック機構は、前記突出部材の側面に設けられた凹部に係合可能な部材であり且つ前記突出部材の凹部に係合する係合位置から当該突出部材の凹部と係合しない退避位置に直線移動自在に前記ホルダ部に設けられたプランジャと、前記呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記プランジャを係合位置から退避位置に移動させる駆動手段とを有する構成となっている。一方、前記呼気成分検出手段は、アルコールセンサ及び/又は薬物センサと、アルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じて前記駆動手段のON/OFFを制御する制御部とを有する構成となっている。なお、前記突出部材は前記キー部に設けることが可能である。
【0010】
本発明の第2の乗り物用のキーは、電車、二輪車及び自動車等の乗り物の鍵穴に挿入され、当該乗り物の原動機を始動させるのに使用される乗り物用のキーであって、先端部が電車、二輪車及び自動車等の乗り物の鍵穴に挿入されるキー部と、このキー部の基端部をスライド可能に保持し、当該キー部の先端部の少なくとも一部を収納可能なホルダ部と、前記キー部を前記ホルダ部に収納した状態で維持する維持手段と、ユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出する呼気成分検出手段と、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記キー部の先端部全体を鍵穴に挿入できるように突出させる突出手段とを備えることを特徴としている。
【0011】
前記維持手段は前記キー部を収納する方向に付勢し先端部を前記鍵穴に挿入不可能な状態にするスプリングであり、前記突出手段は呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記キー部の先端部全体を前記スプリングの付勢力に抗して鍵穴に挿入できるように突出させる押圧機構であることが好ましい。この場合、前記呼気成分検出手段は、アルコールセンサ及び/又は薬物センサと、アルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じて前記押圧機構のON/OFFを制御する制御部と有する構成となっている。
【0012】
本発明の第3の乗り物用のキーは、電車、二輪車及び自動車等の乗り物に向けて始動許可信号を出力し、当該乗り物の原動機を始動させる又は始動可能な状態にするキーであって、始動許可信号を出力する信号出力手段と、ユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出する呼気成分検出手段と、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて信号出力手段の乗り物への始動許可信号の出力を防止する防止手段とを具備することを特徴としている。
【0013】
前記防止手段は、前記信号出力手段から出力された始動許可信号を遮蔽する遮蔽手段と、前記呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記遮蔽手段を信号出力手段の始動許可信号を遮蔽することができる遮蔽位置から当該始動許可信号を遮蔽することができない退避位置にかけて移動させる駆動手段とを有する構成となっている。
【0014】
前記呼気成分検出手段は、前記呼気成分検出手段は、アルコールセンサ及び/又は薬物センサと、このアルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じて前記信号出力手段又は駆動手段のON/OFFを制御し、これにより前記防止手段として機能する制御部とを有する構成となっている。
【0015】
本発明の第1、第2及び第3の乗り物用のキーは、ユーザの身体的特徴を読み取るセンシング手段を備える構成としても良い。前記呼気成分検出手段は、アルコールセンサ及び/又は薬物センサと、前記センシング手段のセンシングデータに基づきユーザ本人であるか否かの認証判定を行う一方、前記アルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じてユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれているか否かのアルコール及び/又は薬物判定を行う制御部とを有しており、この制御部は、前記認証判定の結果、ユーザ本人でないとの判定をしたとき、或いはアルコール及び/又は薬物判定の結果、ユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれるとの判定をしたときには、前記駆動手段、押圧手段又は信号出力手段のON/OFFを制御する機能を有する構成とする。
【0016】
前記制御部は、前記認証判定の前後の所定時間以内にアルコール及び/又は薬物判定を行う機能を有する構成となっていることが望ましい。この場合、前記センシング手段はユーザの声を検出する音声検出手段又はユーザの目の虹彩を撮影する撮影手段であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の第1の乗り物用のキーは、前記突出部材がホルダ部に収容されたことを検出する位置検出手段と、この位置検出手段の検出結果を記録するメモリ部とを備えた構成とすることができる。
【0018】
更に、本発明の第1、第2及び第3の乗り物用のキーはGPS発信機を備えるようにしても良い。
【0019】
また、本発明の第1の飲酒運転防止装置は、電車、二輪車及び自動車等の乗り物に取り付けられる又は内蔵される飲酒運転防止装置であって、ユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出する呼気成分検出手段と、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記乗り物の鍵穴へキーの挿入を防止する挿入防止手段とを備えたことを特徴としている。
【0020】
本発明の第2の飲酒運転防止装置は、電車、二輪車及び自動車等の乗り物に取り付けられる又は内蔵される飲酒運転防止装置であって、ユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出する呼気成分検出手段と、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて乗り物の原動機を始動させる始動開始操作部を操作できないようにする操作防止手段とを備えたことを特徴としている。
【0021】
本発明の第3の飲酒運転防止装置は、乗り物用のキーから出力された始動許可信号を受けて原動機を始動する電車、二輪車及び自動車等の乗り物に取り付けられる内蔵される飲酒運転防止装置であって、ユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出する呼気成分検出手段と、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて乗り物の始動許可信号の受信部を開閉可能に覆う開閉手段とを備えたことを特徴としている。
【0022】
前記呼気成分検出手段は、アルコールセンサ及び/又は薬物センサと、アルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じて前記挿入防止手段、操作防止手段又は開閉手段のON/OFFを制御する制御部とを有する構成となっている。
【0023】
本発明の第1、第2、第3の飲酒運転防止装置は、ユーザの身体的特徴を読み取るセンシング手段を備える構成としても良い。前記呼気成分検出手段は、アルコールセンサ及び/又は薬物センサと、前記センシング手段のセンシングデータに基づきユーザ本人であるか否かの認証判定を行う一方、前記アルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じてユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれているか否かのアルコール及び/又は薬物判定を行う制御部とを有しており、この制御部は、前記認証判定の結果、ユーザ本人でないとの判定をしたとき、或いはアルコール及び/又は薬物判定の結果、ユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれるとの判定をしたときには、前記挿入防止手段、操作防止手段又は開閉手段のON/OFFを制御する機能を有する構成する。
【0024】
前記制御部は、前記認証判定の前後の所定時間以内にアルコール及び/又は薬物判定を行う機能を有していることが好ましい。この場合、前記センシング手段はユーザの声を検出する音声検出手段又はユーザの目の虹彩を撮影する撮影手段であることが好ましい。
【0025】
前記アルコールセンサを別体とすることができる。また、GPS発信機を備えることが可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の請求項1に係る乗り物用のキーによる場合、挿入防止手段がホルダ部から突出し、これにより前記キー部の乗り物の鍵穴への挿入を防止しており且つ呼気成分検出手段の検出結果に応じてホルダ部に収納可能な構成となっている。即ち、呼気成分検出手段によりユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が検出されなかった場合には、前記挿入防止手段がホルダ部に収納可能になる。よって、キー部を乗り物の鍵穴に挿入し、乗り物の駆動部を始動させることができる。一方、呼気成分検出手段によりユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が検出された場合には、挿入防止手段がホルダ部から突出したままであることから、キー部を乗り物の鍵穴に挿入することができない。このため、キー部を乗り物の鍵穴に挿入することができず、乗り物の原動機を始動させることができない。よって、飲酒運転及び/又は薬物運転を効果的に防止することができる。しかも、乗り物の設計変形を必要としないので、すでに販売されている乗り物にも用いることができる。
【0027】
本発明の請求項2に係る乗り物用のキーによる場合、挿入防止手段が、ホルダ部からキー部に沿って突出する突出部材と、この突出部材を突出方向に付勢するスプリングと、前記突出部材を突出させた状態でロックし維持するロック機構とを有する構成となっている。このように挿入防止手段は簡単な構成で実現可能であるので、低コスト化を図る上でメリットがある。
【0028】
本発明の請求項3に係る乗り物用のキーによる場合、前記ロック機構が、突出部材の凹部に係合する係合位置から当該突出部材の凹部と係合しない退避位置に直線移動自在に前記ホルダ部に設けられたプランジャと、このプランジャを係合位置から退避位置に移動させる駆動手段とを有する構成となっている。このようにロック機構は既存の部材を組み合わせて構成可能であるので、低コスト化を図る上でメリットがある。
【0029】
本発明の請求項4に係る乗り物用のキーによる場合、既存のアルコールセンサ及び/又は薬物センサを用いることが可能になるので、さらに低コスト化を図る上でメリットがある。
【0030】
本発明の請求項5に係る乗り物用のキーによる場合、突出部材がキー部に設けられているので、突出部材が突出している状態では鍵穴に挿入することができない。従って、上記のキーと同様に飲酒運転及び/又は薬物運転を効果的に防止することができる。
【0031】
本発明の請求項6に係る乗り物用のキーによる場合、キー部の少なくとも先端部の一部が維持手段によりホルダ部内に収納された状態で維持されており、呼気成分検出手段によりユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出し、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて突出手段により前記キー部の先端部全体を鍵穴に挿入できるように突出させるようになっている。即ち、アルコールが検出されなかった場合には、キー部の先端部全体がホルダ部から突出するので、キー部を鍵穴に挿入し、乗り物の原動機を始動させることができる。一方、アルコール及び/又は薬物が検出された場合には、キー部の先端部の一部がホルダ内に収納された状態が維持されるので、キー部を乗り物の鍵穴に挿入することができず、乗り物の原動機を始動させることができない。よって、飲酒運転及び/又は薬物運転を効果的に防止することができる。また、乗り物の設計変形を必要としないので、すでに販売されている乗り物にも用いることができる。
【0032】
本発明の請求項7に係る乗り物用のキーによる場合、前記キー部を収納する方向に付勢し先端部を前記鍵穴に挿入不可能な状態にするスプリングであり、前記突出手段は呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記キー部の先端部全体を前記スプリングの付勢力に抗して鍵穴に挿入できるように突出させる押圧機構である。このように簡単な構成で実現可能であるので、低コスト化を図る上でメリットがある。
【0033】
本発明の請求項8に係る乗り物用のキーによる場合、既存のアルコールセンサ及び/又は薬物センサを用いることが可能になるので、さらに低コスト化を図る上でメリットがある。
【0034】
本発明の請求項9に係る乗り物用のキーによる場合、アルコールセンサ及び/又は薬物センサによりユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出し、このアルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じて防止手段が信号出力手段の乗り物への始動許可信号の出力を防止するようになっている。即ち、アルコール及び/又は薬物が検出されなかった場合には、信号出力手段から乗り物に向けて始動許可信号を出力し、これにより乗り物の原動機を始動させる又は始動可能な状態にすることできる。一方、アルコール及び/又は薬物が検出された場合には、防止手段により信号出力手段の乗り物への始動許可信号の出力が防止されるので、乗り物の原動機を始動させる又は始動可能な状態にすることができない。よって、飲酒運転及び/又は薬物運転を効果的に防止することができる。しかも、乗り物の設計変形を必要としないので、すでに販売されている乗り物にも用いることができる。
【0035】
本発明の請求項10に係る乗り物用のキーによる場合、防止手段は、信号出力手段から出力された始動許可信号を遮蔽する遮蔽手段と、呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記遮蔽手段を信号出力手段の始動許可信号を遮蔽することができる遮蔽位置から当該始動許可信号を遮蔽することができない退避位置にかけて移動させる駆動手段とを有している。よって、アルコール及び/又は薬物が検出されなかった場合には、遮蔽手段を退避位置に移動させ、これにより信号出力手段の始動許可信号が乗り物に向けて出力可能になるので、当該乗り物の原動機を始動させる又は始動可能な状態にすることができる。アルコール及び/又は薬物が検出された場合には、遮蔽手段が遮蔽位置に位置した状態が維持されるので、乗り物の原動機を始動させる又は始動可能な状態にすることが不可能になる。よって、飲酒運転及び/又は薬物運転を効果的に防止することができる。しかも、乗り物の設計変形を必要としないので、すでに販売されている乗り物にも用いることができる。
【0036】
本発明の請求項11に係る乗り物用のキーによる場合、アルコールセンサ及び/又は薬物センサによりユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出し、このアルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じて制御部が信号出力手段のON/OFFを制御し、これにより防止手段として機能するようになっている。即ち、アルコール及び/又は薬物が検出されなかった場合には、信号出力手段をON状態(即ち、始動許可信号が出力可能な状態)にして始動許可信号を出力し、乗り物の原動機を始動させる又は始動可能な状態にすることが可能になるが、アルコール及び/又は薬物が検出された場合には、信号出力手段をOFF状態(即ち、始動許可信号が出力不可能な状態)を維持するようになっているので、乗り物の原動機を始動させる又は始動可能な状態にすることが不可能になる。このような構成によっても、飲酒運転及び/又は薬物運転を効果的に防止することができる。
【0037】
本発明の請求項12に係る乗り物用のキーによる場合、呼気成分検出手段の制御部がセンシング手段を通じてユーザの本人であるか否かの認証判定と、前記呼気成分検出手段のアルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じてユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれているか否かのアルコール及び/又は薬物判定とを行い、この判定の結果、前記認証判定の結果、ユーザ本人でないとの判定をしたとき、或いはアルコール及び/又は薬物判定の結果、ユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれるとの判定をしたときには、前記駆動手段、押圧手段又は信号出力手段のON/OFFを制御する機能を有している。即ち、キーを使用している者がユーザ本人であり且つユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれていないときには、乗り物の原動機を始動させることができるが、キーを使用している者がユーザ本人でない、或いはユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれていると判定したときには、原動機を始動させることができないようになっている。これにより、ユーザ以外の者がユーザに代わってアルコールセンサ及び/又は薬物センサに息を吹きかける等の本キーの不正使用を防止することが可能になる。また、ユーザ以外の者が乗り物用のキーを使用して乗り物の原動機を始動させることができなくなるので、当該キーを使用して乗り物が盗まれることを防止することができる。
【0038】
本発明の請求項13に係る乗り物用のキーによる場合、認証判定の前後の所定時間(例えば、1〜2秒)以内にアルコール及び/又は薬物判定を行うようになっているので、ユーザ以外の者がユーザに代わってアルコールセンサ及び/又は薬物センサに息を吹きかける等の本キーの不正使用を防止する上でメリットがある。
【0039】
本発明の請求項14に係る乗り物用のキーによる場合、センシング手段としてユーザの声を検出する音声検出手段又はユーザの目の虹彩を撮影する撮影手段を用いている。このため、ユーザ本人が発した声が前記音声検出手段に検出される又はユーザの虹彩が前記カメラに撮影された前後の所定時間(1〜2秒)以内に、ユーザ本人がアルコールセンサに息を吹きかけなければならないことから、前記所定時間の間にユーザ以外の者がユーザに代わってアルコールセンサに息を吹きかけることが困難になる。よって、更に前記不正使用を防止する上でメリットがある。
【0040】
本発明の請求項15に係る乗り物用のキーによる場合、位置検出手段により前記突出部材がホルダ部に収容された(即ち、ユーザが乗り物に乗っている)ことを検出し、この検出結果をユーザの乗り物の乗車の記録としてメモリ部に記録するようになっている。よって、前記メモリ部上のデータを所定期間毎に外部に出力するようにすれば、ユーザの乗り物の乗車の履歴を知ることができるので、乗り物の運行管理に利用することができる。
【0041】
本発明の請求項16に係る乗り物用のキーによる場合、GPS発信機を備えているので、このGPS発信機のGPS信号を管理センタ等で受信することによりユーザの位置検索や乗り物の運行管理に利用することができる。
【0042】
本発明の請求項17に係る飲酒運転防止装置による場合、呼気成分検出手段によりユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が検出されたときには、挿入防止手段によりキーを鍵穴への挿入が防止されるので、乗り物の原動機を始動させることができない。よって、飲酒運転を効果的に防止することができる。
【0043】
本発明の請求項18に係る飲酒運転防止装置による場合、呼気成分検出手段によりユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が検出されたときには、操作防止手段により始動開始操作部の操作が防止されるので、乗り物の原動機を始動させることができない。よって、飲酒運転を効果的に防止することができる。
【0044】
本発明の請求項19に係る飲酒運転防止装置による場合、呼気成分検出手段によりユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が検出されたときには、開閉手段により受信部を覆うようになっているので、乗り物の原動機を始動させることができない。よって、飲酒運転を効果的に防止することができる。
【0045】
本発明の請求項20に係る飲酒運転防止装置による場合、既存のアルコールセンサ及び/又は薬物センサを用いることが可能になるので、低コスト化を図る上でメリットがある。
【0046】
本発明の請求項21に係る飲酒運転防止装置による場合、呼気成分検出手段の制御部がセンシング手段を通じてユーザの本人であるか否かの認証判定と、前記呼気成分検出手段のアルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じてユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれているか否かのアルコール及び/又は薬物判定とを行い、この判定の結果、前記認証判定の結果、ユーザ本人でないとの判定をしたとき、或いはアルコール及び/又は薬物判定の結果、ユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれるとの判定をしたときには、前記挿入防止手段、操作防止手段又は開閉手段のON/OFFを制御する機能を有している。即ち、キーを使用している者がユーザ本人であり且つユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれていないときには、乗り物の原動機を始動させることができるが、キーを使用している者がユーザ本人でない、或いはユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれていると判定したときには、原動機を始動させることができないようになっている。これにより、ユーザ以外の者がユーザに代わってアルコールセンサ及び/又は薬物センサに息を吹きかける等の本キーの不正使用を防止することが可能になる。また、ユーザ以外の者が乗り物用のキーを使用して乗り物の原動機を始動させることができなくなるので、当該キーを使用して乗り物が盗まれることを防止することができる。
【0047】
本発明の請求項22に係る飲酒運転防止装置による場合、認証判定の前後の所定時間(例えば、1〜2秒)以内にアルコール及び/又は薬物判定を行うようになっているので、ユーザ以外の者がユーザに代わってアルコールセンサ及び/又は薬物センサに息を吹きかける等の本キーの不正使用を防止する上でメリットがある。
【0048】
本発明の請求項23に係る飲酒運転防止装置による場合、センシング手段としてユーザの声を検出する音声検出手段又はユーザの目の虹彩を撮影する撮影手段を用いている。このため、ユーザ本人が発した声が前記音声検出手段に検出される又はユーザの虹彩が前記カメラに撮影された前後の所定時間(1〜2秒)以内に、ユーザ本人がアルコールセンサに息を吹きかけなければならないことから、前記所定時間の間にユーザ以外の者がユーザに代わってアルコールセンサに息を吹きかけることが困難になる。よって、更に前記不正使用を防止する上でメリットがある。
【0049】
本発明の請求項24に係る飲酒運転防止装置による場合、アルコールセンサが別体となっているので、使い易い(息を吹きかけ易い)場所に設置又は保持できる。よって、使い勝手が良くなる。
【0050】
本発明の請求項25に係る飲酒運転防止装置による場合、GPS発信機を備えた構成としたので、このGPS発信機のGPS信号を管理センタ等で受信することによりユーザの位置検索や乗り物の運行管理に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る乗り物用のキーのホルダ部が透過した状態の模式的正面図である。
【図2】同キーの回路図である。
【図3】アルコール濃度測定プログラムのフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る乗り物用のキーの模式図であって、(a)が一方のケースを示す図、(b)は他方のケースを示す図である。
【図5】同キーの突出部材の収納状態を示す他方のケースの模式図である。
【図6】同キーのブロック図である。
【図7】アルコール濃度測定プログラムのフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る乗り物用のキーのホルダ部が透過した状態の模式的正面図である。
【図9】同キーの回路図である。
【図10】アルコール濃度測定プログラムのフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る乗り物用のキーのブロック図である。
【図12】アルコール濃度測定プログラムのフローチャートである。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係る乗り物用のキーの模式図であって、(a)は信号出力手段の信号を遮蔽した状態の図、(b)は信号出力手段の信号を遮蔽していない状態の図である。
【図14】同キーのブロック図である。
【図15】アルコール濃度測定プログラムのフローチャートである。
【図16】同キーの遮蔽手段の設計変更例を示す図であって、(a)はモータの駆動に応じて回動する遮蔽手段を示す図、(b)はモータの駆動に応じてホルダ部の長さ方向に沿って移動する遮蔽手段を示す図、(c)はモータの駆動に応じて信号出力手段を覆う対の遮蔽手段を示す図である。
【図17】本発明の第6の実施の形態に係る乗り物用のキーのブロック図である。
【図18】認証判定、アルコール判定プログラムのフローチャートである。
【図19】本発明の第7の実施の形態に係る乗り物用のキーの他方のケースを示す模式図である。
【図20】同キーのブロック図である。
【図21】乗車記録プログラムのフローチャートである。
【図22】同キー設計変更例を示す図であって、(a)がキー部及び信号出力手段を開放した状態の図、(b)がキー部及び信号出力手段を収納した状態を示す図である。
【図23】本発明の第8の実施の形態に係る飲酒運転防止装置の模式図である。
【図24】アルコール濃度測定プログラムプログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
100 キー部
110 先端部
120 基端部
200 ホルダ部
300 突出部材
400 スプリング
500 呼気成分検出手段
600 ロック機構
900 信号出力手段
1000 防止手段
2000 センシング手段
3000 位置検出手段
4000 メモリ部
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明の実施の形態に係る乗り物用のキーについて説明する。
【実施例1】
【0054】
まず、第1の実施例に係る乗り物用のキーついて図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る乗り物用のキーのホルダ部が透過した状態の模式的正面図、図2は同キーの回路図、図3はアルコール濃度測定プログラムのフローチャートである。
【0055】
図1に示す乗り物用のキーは、先端部110が電車、二輪車及び自動車等の乗り物の鍵穴(図示せず)に挿入されるキー部100と、このキー部100の基端部120に設けられるホルダ部200とを有している。なお、ここではキー部100の先端部110が乗り物の鍵穴に挿入されるべきカギ本体となっている。
【0056】
このホルダ部200は、矩形状のケースであって、当該ホルダ部200から突出し、これによりキー部100の乗り物の鍵穴への挿入を防止する挿入防止手段と、ユーザの呼気に含まれるアルコールを検出する呼気成分検出手段500と、電源スイッチ700と、図示しない電源用電池とが内蔵されている。
【0057】
ホルダ部200の一方の端面には、キー部100用の取付孔210と、この取付孔210の両側に位置し、前記挿入防止手段の突出部材300が突出可能な貫通孔220、220とが開設されている。また、ホルダ部の表面上には、呼気成分検出手段500のアルコールセンサ510と対向する箇所に吸気孔(図示せず)と、電源スイッチ700の取付孔(図示せず)とが開設されている。
【0058】
前記挿入防止手段は、ホルダ部200からキー部100に沿って突出する突出部材300と、この突出部材300を突出方向に付勢するスプリング400と、呼気成分検出手段500の検出結果に応じて突出部材300を突出させた状態でロックし維持するロック機構600とを有する構成となっている。
【0059】
突出部材300は、貫通孔220、220から突出する逆コ字状の先端部310と、この先端部310と連設された後端部320とを有する樹脂製の部品である。後端部320には、スプリング400の一端部が当接する凸部321、321と、ロック機構600のプランジャ620を係止する凹部322とが設けられている。
【0060】
スプリング400についてはコイルスプリングを用いる。このスプリング400は突出部材300の後端部320の凸部321、321とホルダ部200の他方の端面の内側との間に介在し、これにより当該突出部材300をキー部100に沿って突出させる方向に付勢する。
【0061】
ロック機構600は、呼気成分検出手段500の検出結果に応じて励磁されるソレノイド610(即ち、駆動手段)と、このソレノイド610により直線移動可能にされており且つ突出部材300に設けられた凹部310に係合可能なプランジャ620とを有している。具体的には、図1の(a)に示すように、ソレノイド610が励磁されていない状態で、プランジャ620を突出させ、突出部材300に設けられた凹部322に係合させる。これにより当該突出部材300のロックを行い、突出部材300を突出させた状態で維持する(係合位置)。一方、呼気成分検出手段500の検出結果に応じてソレノイド610が励磁されると、図1の(b)に示すように、凹部322に係合されたプランジャ620を退避させ、これによりロックの解除を行うようになっている(退避位置)。
【0062】
電源スイッチ700については市販品の押下スイッチを用いる。この電源スイッチ700が押下させることにより、ON状態となるのである。
【0063】
呼気成分検出手段500は、図2に示すように、アルコールセンサ510と、アルコールセンサ510の出力信号に応じてソレノイド610の励磁を制御する制御部520とを有する。
【0064】
アルコールセンサ510については半導体ガスセンサを用いており、ユーザの呼気中のアルコール濃度を電圧として検出する第1のガスセンサ511と、ユーザの呼気中の二酸化炭素を電圧として検出する第2のガスセンサ512とを有する。
【0065】
制御部520については1チップマイコンを用いる。この制御部520の入力ポートには第1のガスセンサ511、第2のガスセンサ512及び電源スイッチ700が、出力ポートには電源スイッチ700及びアンプを介してソレノイド610が接続されている。制御部520のメモリには、呼気中のアルコール濃度0.25mg/Lが基準値として記憶されている。
【0066】
即ち、制御部520は、第2のガスセンサ512の出力信号に基いてユーザの呼気中の二酸化炭素を検出し、ユーザにより息が吹きかけられたか否かを判断すると共に、第1のガスセンサ511の出力信号に基いてユーザの呼気中のアルコール濃度を測定し、この測定値と前記基準値との比較を行い、その結果、測定値が基準値を超えない場合には、ソレノイド610を励磁させる機能を有している。
【0067】
また、前記メモリには、電源スイッチ700が押下されることにより処理されるアルコール濃度測定プログラム(図3)が記憶されている。制御部520は、前記プログラムを処理することにより上記機能を実現するようになっている。
【0068】
制御部520にはタイマ回路が内蔵されており、電源スイッチ700が押下された後、所定時間が経過すると、OFF状態にするように設定されている。
【0069】
以下、このように構成された乗り物用のキーの各部の動作を説明すると共に、使用方法について説明する。
【0070】
まず、OFFの状態においては、突出部材300はスプリング400に付勢されると共に、ロック機構600にロックされ、これにより突出した状態で維持されている。このため、キー部100を乗り物の鍵穴に挿入しようとしても、突出部材300の先端部310が鍵穴の縁部に当接するので、キー部100の先端部110の一部しか鍵穴に挿入することができない。
【0071】
ユーザが乗り物に乗る場合には、電源スイッチ700を押下する。すると、制御部520は図3に示すアルコール濃度測定プログラムを処理すると共に、タイマ回路を作動させる。
【0072】
その後、第2のガスセンサ512の出力信号に基づき二酸化炭素が検出されたか否かを判断する(S1)。即ち、ユーザがホルダ部200のアルコールセンサ510に向けて息を吹きかけたか否かを判断するのである。
【0073】
その結果、息が吹きかけられていないと判断した場合には、ステップ1の処理を繰り返す一方、息が吹きかけられたと判断した場合には、第1のガスセンサ511の出力信号に基づきユーザの呼気中のアルコール濃度を測定し、そのアルコール濃度が基準値以上であるか否か判断する(S2)。
【0074】
その結果、前記アルコール濃度が基準値以下であると判断した場合には、ソレノイド610を励磁し、プランジャ620を退避させ、これにより突出部材300のロックを解除させる(S3)。その後、このプログラムの処理を終了する。
【0075】
このように突出部材300のロックが解除された状態で、ユーザがキー部100を乗り物の鍵穴に挿入する。この際、突出した突出部材300の先端部310が鍵穴の縁部に当接するが、そのロックは解除されているので、当該突出部材300をスプリング400の付勢力に抗してホルダ部200に押し込めるようにしてキー部100の先端部110全部を鍵穴に挿入することができる。これにより乗り物の原動機を始動させることが可能になる。
【0076】
一方、ステップ2において、前記アルコール濃度が基準値以上であると判断された場合には、このプログラムの処理を終了する。即ち、プランジャ620が凹部322に係合された状態が維持され、突出部材300が突出した状態が維持されるので、ユーザは乗り物の原動機を始動させることができない。
【0077】
ステップ1〜3の過程において、タイマ回路が作動しており、所定時間が経過すると、OFF状態にされる。具体的には、電源スイッチ700を押下した後、所定時間アルコールセンサ510に息を吹きかけないとOFF状態になる。また、ステップ3においてソレノイド610が励磁され、突出部材300のロックが解除された後、所定時間が経過すると、OFF状態になる。すると、ソレノイド610が励磁されなくなるので、突出部材300は再びロックされる。このようにして、運転直前にアルコールの測定をするようにしているのである。なお、このように所定時間でOFF状態にすることで電力を節約することができる。
【0078】
キー部100を鍵穴に挿入している場合(即ち、運転中)には、上述したように所定時間が経過すると、OFF状態にされる。このとき、ソレノイド610が励磁されなくなり、プランジャ620が突出するが、突出部材300が鍵穴の縁部に押下され、ホルダ部200に押し込められた状態で維持されているので、当該プランジャ620が突出部材300の凹部322に係合されない。
【0079】
運転が終了し、ユーザによりキーが鍵穴から抜かれると、突出部材300がスプリング400に付勢され、これにより突出する。このとき、プランジャ620が突出部材300の凹部322に係止され、突出部材300が再びロックされる。
【0080】
このような乗り物用のキーによる場合、ユーザの呼気中のアルコール濃度が基準値以下ある場合には、突出部材300のロックが解除されるので、スプリング400の付勢力に抗して当該突出部材300をホルダ部200に押し込めつつ、キー部100の先端部110全体を乗り物の鍵穴に挿入することができる。一方、ユーザの呼気中のアルコール濃度が基準値以上ある場合には、突出部材300のロックが解除されず、当該突出部材300がキー部100に沿って突出した状態で維持されるので、キー部100の先端部110全体を乗り物の鍵穴に挿入することができず、乗り物の原動機を始動させることができない。よって、飲酒運転を効果的に防止することができる。
【実施例2】
【0081】
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる乗り物用のキーについて図面を参照しながら説明する。図4は本発明の第2の実施の形態に係る乗り物用のキーの模式図であって、(a)が一方のケースを示す図、(b)は他方のケースを示す図、図5は同キーの突出部材の収納状態を示す他方のケースの模式図、図6は同キーのブロック図、図7はアルコール濃度測定プログラムのフローチャートである。
【0082】
図4に示す乗り物用のキーは、先端部110が電車、二輪車及び自動車等の乗り物の鍵穴(図示せず)に挿入されるキー部100と、このキー部100の基端部120に設けられるホルダ部200とを有している。なお、ここではキー部100の先端部110が乗り物の鍵穴に挿入されるべきカギ本体となっている。
【0083】
ホルダ部200は、ケース201、202を有する2ピース構造となっている。ケース201にはキー部100の基端部120が樹脂で固定される。このケース201の一方の端面にはキー部100用の取付孔210が開設されている。一方、ケース202には、挿入防止手段、呼気成分検出手段500、スタートスイッチ700’、図示しない電源用電池及び図示しないLEDランプが内蔵される。このケース202の一方の端面には突出部材300が突出可能な貫通孔220が、表面上には呼気成分検出手段500のアルコールセンサ510用の吸気孔(図示せず)と、スタートスイッチ700’を露出させるための取付孔(図示せず)と、LEDランプを露出させるための取付孔(図示せず)とが開設されている。
【0084】
ケース202の内部には、図4及び図5に示すように、前記挿入防止手段の突出部材300をキー部100に沿って直線移動自在にガイドする第1のガイド部230と、この第1のガイド部230の一方の壁面に対して直角に配置された第2のガイド部240と、第1のガイド部230の移動方向後端部に配置された立壁250とが設けられている。第1のガイド部230はケース202に立設された一対の壁である。この一対の壁のうち第2のガイド部240と対向する壁は対向する部分が切り欠かれている。第2のガイド部240は前記挿入防止手段のロック機構600のプランジャ620を直線移動自在にガイドする上面開口の筒体である。この第2のガイド部240は一方の端部が開放されており、第1のガイド部230の切欠き部と連通している。これによりプランジャ620が第1のガイド部230内に侵入可能になる。また、第2のガイド部240の底面にはプランジャ620の凸部621が突出する開口が設けられている(図示しない)。立壁250は突出部材300の後端面との間で挿入防止手段のスプリング400を保持する。このスプリング400により突出部材300が貫通孔220から突出する方向に付勢される。
【0085】
前記挿入防止手段は、ホルダ部200からキー部100に沿って突出する突出部材300と、この突出部材300を突出方向に付勢するスプリング400と、呼気成分検出手段500の検出結果に応じて突出部材300を突出させた状態でロックし維持するロック機構600とを有する構成となっている。
【0086】
突出部材300は、ケース202の第1のガイド部230に直線移動自在にガイドされる棒状の部材である。この突出部材300はスプリング400により付勢されることによりケース202の貫通孔220からキー部100に沿って突出するようになっている。また、突出部材300の後端部には、プランジャ620が係合可能な凹部301が設けられている。
【0087】
ロック機構600は、第2のガイド部240にガイドされ、突出部材300の凹部301に係合する係合位置から当該突出部材300の凹部301と係合しない退避位置にかけて直線移動するプランジャ620と、第2のガイド部240に嵌まり込み、プランジャ620を係合位置に向けて付勢するスプリング630と、呼気成分検出手段500の検出結果に応じてプランジャ620をギヤ部650を介して係合位置から退避位置に移動させるモータ610(即ち、駆動手段)と、プランジャ620が退避位置に位置したときにON状態になる位置検出スイッチ640とを有する。
【0088】
プランジャ620は、棒状の部材であって、下面部に第2のガイド部240の底面の開口から突出する凸部621が、幅方向の一側面に位置検出スイッチ640に当接可能な当接部622が設けられている。
【0089】
ギヤ部650は、互いに螺合し、モータ610のヘッド部の回転運動をプランジャ620の直線運動に変えるギヤ651〜655を有する。ギヤ651はモータ610のヘッドに螺合する。ギヤ655はケース202の第2のガイド部240の下側に配置されており且つプランジャ620の凸部621に当接可能なカム部655aが設けられている。ギヤ652〜654はギヤ651とギヤ655とを間に螺合する。即ち、モータ610の回転によりギヤ651〜654を介してギヤ655のカム部655aを回転させ、このカム部655aがプランジャ620の凸部621に当接し押圧することにより、当該プランジャ620をスプリング630の付勢力に抗して係合位置から退避位置に移動させるようになっている。
【0090】
位置検出スイッチ640は、プランジャ620が退避位置に位置したときに当該プランジャ620の当接部622に当接可能な位置に配設されている。この位置検出スイッチ640はプランジャ620の当接部622が当接すると、ON状態になり、出力信号を呼気成分検出手段500の制御部520に向けて出力する構成となっている。
【0091】
呼気成分検出手段500は、図6に示すように、アルコールセンサ510と、アルコールセンサ510の出力信号に応じてモータ610のON/OFFを制御する制御部520とを有する。
【0092】
アルコールセンサ510は周知の半導体ガスセンサであって、所定時間(約2秒間)息が吹きつけられると、センサの内部抵抗が変化し、この内部抵抗の変化を出力信号として出力する構成となっている。即ち、このアルコールセンサ510は、呼気中にアルコールが含まれていると、当該アルコールがセンサ内の触媒に付着し、内部抵抗が大きく変化する。触媒に付着したアルコールはセンサをヒートアップすることにより燃焼し蒸発するようになっている。
【0093】
制御部520についてはマイコンを用いる。この制御部520の入力ポートにはアルコールセンサ510、位置検出スイッチ640及びスタートスイッチ700’が、出力ポートにはモータ610及びLEDランプが接続されている。制御部520のメモリには、呼気中のアルコール濃度0.14mg/Lが基準値として記憶されている。
【0094】
即ち、制御部520は、アルコールセンサ510の出力信号に基いてユーザの呼気中のアルコール濃度を測定し、この測定値と前記基準値との比較を行い、その結果、測定値が基準値以上であると判定したときには、モータ610を駆動させる機能を有している。
【0095】
また、前記メモリにはアルコール濃度測定プログラム(図7参照)が記憶されている。制御部520は前記プログラムを処理することにより上記機能を実現するようになっている。なお、制御部520にはタイマ回路が内蔵されている。
【0096】
以下、制御部520により処理されるアルコール濃度測定プログラムの内容を詳しく説明すると共に、乗り物用のキーの各部の動作、及び使用方法について説明する。
【0097】
まず、待機状態においては、スタートスイッチ700’が押下されたか否かを判定する(s1)。このとき、突出部材300はスプリング400に付勢されると共に、ロック機構600にロック(即ち、スプリング630に付勢されたプランジャ620が突出部材300の凹部301に係合することによりロックされる。)され、これにより突出した状態で維持されている。このため、キー部100を乗り物の鍵穴に挿入しようとしても、突出部材300の先端部が鍵穴の縁部に当接するので、キー部100の先端部110の一部しか鍵穴に挿入することができない。
【0098】
ステップ1において、スタートスイッチ700’が押下されると、制御部520はタイマ回路を作動させる。そして、アルコールセンサ510をONにし、当該アルコールセンサ510に準備(ヒートアップ)を開始させる。なお、ヒートアップが完了すると、準備完了であるとして緑のLEDランプを点灯させる。
【0099】
その後、スタートスイッチ700’が押下されてから所定時間(ここでは、6秒間)経過したか否かをタイマ回路のカウント値を参照して判定する(s2)。この判定の結果、所定時間が経過したと判定したときには、モータ610のOFF状態を維持し、ロック機構600のロックを維持する(s3)。このとき、赤色のLEDランプを5秒間点灯させる。そして、後述するステップ10の待機処理を行い、ステップ1の処理に戻る。一方、所定時間経過していないと判定したときには、アルコールセンサ510の出力信号が入力されたか否か(即ち、アルコールセンサ510に息が吹きかけられたか否か)を判定する(s4)。
【0100】
この判定の結果、息が吹きかけられいないと判定したときには、ステップ2の処理に戻る。一方、出力信号が入力され息が吹きかけられたと判定したときには、アルコールセンサ510の出力信号に基づきユーザの呼気に含まれるアルコール濃度を測定する。
【0101】
その後、この測定値とメモリ上の基準値と比較し、測定値が基準値以上であるか否か(即ち、ユーザの呼気中に基準値以上のアルコールが含まれているか否か)を判定する(s5)。この判定の結果、測定値が基準値以上である(即ち、ユーザの呼気中に基準値以上のアルコールが含まれている)と判定したときには、モータ610のOFF状態を維持し、ロック機構600のロックを維持する(s6)。このとき、赤色のLEDランプを30秒間点灯させる。そして、ステップ10の待機処理を行い、ステップ1の処理に戻る。一方、測定値が基準値未満であると判定したときには、緑のLEDランプを点灯させると共に、モータ610を駆動させる。すると、ギヤ651〜655が回転し、これにより当該ギヤ655のカム部655aがプランジャ620の凸部621に当接して押圧する。これによりプランジャ620がスプリング630の付勢力に抗して係合位置から退避位置に移動する。プランジャ620が退避位置に位置すると、位置検出スイッチ640がON状態になり出力信号を出力する。この出力信号が入力されると、モータ610の駆動を停止させる共に、タイマ回路を作動させる。このようにしてロック機構600ロックが解除される(s7)。
【0102】
このようにロックが解除されると、ユーザはキー部100全部を乗り物の鍵穴に挿入することが可能になる(図5参照)。キー部100が鍵穴に挿入されると、突出した突出部材300の先端部が鍵穴の縁部に当接し、当該突出部材300がスプリング400の付勢力に抗してホルダ部200に収納される。これによりキー部100の先端部110全部が鍵穴に挿入することができるので、乗り物の原動機を始動させることができる。
【0103】
その後、タイマ回路のカウント値を参照してロックが解除されてから所定時間(ここでは30秒)経過したか否かを判定する(s8)。この判定の結果、所定時間経過していないと判定したときには、この処理を繰り返す。一方、所定時間経過したと判定したときには、緑のLEDランプを消灯すると共に、モータ610を駆動させる。すると、ギヤ651〜655が回転し、これにより当該ギヤ655のカム部655aがプランジャ620の凸部621に当接しなくなる。すると、プランジャ620がスプリング630の付勢力により退避位置から直線移動し、位置検出スイッチ640がOFF状態になる。位置検出スイッチ640がOFF状態になりその出力信号が入力されなくなると、モータ610の駆動を停止させる。これによりロック機構600のロックが復帰可能な状態になる(s9)。
【0104】
ステップ9において、キー部100が鍵穴に挿入されていない場合には、プランジャ620が突出部材300の凹部301に嵌まり込み、ロック機構600のロックが復帰する。キー部100の先端部110が鍵穴に挿入されている場合には、突出部材300がホルダ部200に収納された状態であるので、プランジャ620が突出部材300の凹部301に係合せず、側面に当接する。その後、キー部100が鍵穴から抜かれると、突出部材300がスプリング400の付勢力によりホルダ部200から突出する方向に移動する。この過程で、プランジャ620が突出部材300の凹部301に嵌まり込み、ロック機構600のロックが復帰する。
【0105】
その後、LEDランプの消灯やアルコールセンサ510のOFF等の待機処理を行い(s10)、ステップ1の処理に戻る。
【0106】
このような乗り物用のキーによる場合、ユーザの呼気中のアルコール濃度が基準値未満ある場合には、突出部材300のロックが解除されるので、スプリング400の付勢力に抗して当該突出部材300をホルダ部200に押し込めつつ、キー部100の先端部110全体を乗り物の鍵穴に挿入することができる。一方、ユーザの呼気中のアルコール濃度が基準値以上ある場合には、突出部材300のロックが解除されず、当該突出部材300がキー部100に沿って突出した状態で維持されるので、キー部100の先端部110全体を乗り物の鍵穴に挿入することができず、乗り物の原動機を始動させることができない。よって、飲酒運転を効果的に防止することができる。
【0107】
なお、以上のような実施例1及び2の乗り物用のキーについては、電車、二輪車及び自動車等の乗り物の鍵穴に挿入され、当該乗り物の原動機を始動させるのに使用される乗り物用のキーであって、先端部が乗り物の鍵穴に挿入可能なキー部と、前記キー部の基端部に設けられたホルダ部と、このホルダ部から突出し、これにより前記キー部の乗り物の鍵穴への挿入を防止する挿入防止手段と、ユーザの呼気に含まれるアルコールを検出する呼気成分検出手段とを備えており、前記挿入防止手段は前記呼気成分検出手段の検出結果に応じてホルダ部に収納可能な構成となっている限りどのような設計変更を行ってもかまわない。
【0108】
突出部材300については、その形状は任意であり、ホルダ部200から突出し、当該キー部100の先端部110の鍵穴への挿入を防止できるものであれば良い。従って、突出部材300はキー部100に設けることも可能である。例えば、キー部100を長さ方向にわたって貫通孔を設け、この貫通孔に棒状の突出部材300を挿入し、当該キー部100の先端部110の先端から突出させるようにすれば良い。
【0109】
ロック機構600については、ソレノイドを用いたもの、モータを用いたものを例に挙げて説明したが、同様の機能を実現できるのであれば、どのようなものを用いてもかまわない。
【0110】
呼気成分検出手段500については、アルコールセンサ510と、制御部520とを有するとしたが、上記と同様の機能を実現できるものであればどのようなものを用いてもかまわない。なお、制御部520のメモリに記憶される基準値の値については、例示的に記載したものであり、任意に設定することが可能である。また、基準値を設けず、アルコールセンサ510により少しでもアルコールが検出されると、ロック機構600のロックを解除しない構成としてもかまわない。
【0111】
電源スイッチ700、スタートスイッチ700’については設けることは任意である。この場合、アルコールセンサ510を常にON状態にしておく必要がある。電源スイッチ700、スタートスイッチ700’は各種のスイッチを用いることが可能であることは言う迄もない。
【実施例3】
【0112】
次に、本発明の第3の実施の形態にかかる乗り物用のキーについて図面を参照しながら説明する。図8は本発明の第3の実施の形態に係る乗り物用のキーのホルダ部が透過した状態の模式的正面図、図9は同キーの回路図、図10はアルコール濃度測定プログラムのフローチャートである。
【0113】
図8に示す乗り物用のキーは、先端部110が電車、二輪車及び自動車等の乗り物の鍵穴(図示せず)に挿入されるキー部100と、このキー部100の基端部120をスライド可能に保持し、当該キー部100の先端部110の少なくとも一部を収納可能なホルダ部とを有している。なお、実施例1の乗り物用のキーと同一の構成の部分については説明を省略する。
【0114】
キー部100は、実施例1のキー部100とほぼ同様のものであるが、基端部120の両側に凸部121、121が設ける点で異なっている。
【0115】
ホルダ部200は、実施例1のほぼ同様の矩形状のケースであるが、キー部100の基端部120をスライド可能に保持するための凸脈であるガイド220、220が設けられている点で異なっている。また、ホルダ部200には、実施例1と同様に、キー部100用の取付孔210と、呼気成分検出手段500のアルコールセンサ510と対向する箇所に吸気孔(図示せず)と、電源スイッチ700の取付孔(図示せず)とが開設されている。
【0116】
このホルダ部200には、キー部100を収納する方向に付勢し先端部110を鍵穴に挿入不可能な状態にするスプリング400、400、ユーザの呼気に含まれるアルコールを検出する呼気成分検出手段500、呼気成分検出手段500の出力信号に応じてキー部100をスプリング400の付勢力に抗して鍵穴に挿入できるように突出させる押圧機構800、電源スイッチ700及び図示しない電源用電池が内蔵される。
【0117】
スプリング400、400はコイルスプリングを用いる。キー部100の基端部120の凸部121、121とホルダ部200の一方の端面の内側との間にそれぞれ介在し、これにより当該キー部100をホルダ部200に収納する方向に付勢する。
【0118】
押圧機構800は、呼気成分検出手段500の検出結果に応じて励磁されるソレノイド810と、このソレノイド810に連結されており且つキー部11の基端部120を突出させる方向に押圧するプランジャ820とを有している。具体的には、図8の(a)に示すように、ソレノイド810が励磁されていない状態で、プランジャ820を退避させ、キー部100の先端部110の一部がホルダ部200に収納される。一方、呼気成分検出手段500の検出結果に応じてソレノイド810が励磁されると、図8の(b)に示すように、プランジャ820を突出させ、キー部100の基端部120を押圧し、これにより当該キー部100の先端部110全体を鍵穴に挿入できるように突出させた状態で維持する。
【0119】
電源スイッチ700については実施例1と同じものを用いる。
【0120】
呼気成分検出手段500は、図9に示すように、アルコールセンサ510と、アルコールセンサ510の出力信号に応じてソレノイド810の励磁を制御する制御部520とを有する。アルコールセンサ510については実施例1と同様のものを用いる。
【0121】
制御部520については実施例1と同様の1チップマイコンを用いる。この制御部520は、ソレノイド810が接続されている。
【0122】
従って、制御部520は、第2のガスセンサ512の出力信号に基いてユーザの呼気中の二酸化炭素を検出し、ユーザにより息が吹きかけられたか否かを判断すると共に、第1のガスセンサ511の出力信号に基いてユーザの呼気中のアルコール濃度を測定し、この測定値と前記基準値との比較を行い、その結果、測定値が基準値を超えない場合には、ソレノイド810を励磁させる機能を有している。
【0123】
また、前記メモリには、図3のアルコール濃度測定プログラムの代わりに電源スイッチ700が押下されることにより処理されるアルコール濃度測定プログラム(図10)が記憶されている。制御部520は前記プログラムを処理することにより上記機能を実現するようになっている。
【0124】
制御部520にはタイマ回路が内蔵されており、電源スイッチ700が押下された後、所定時間が経過すると、OFF状態にするように設定されている。
【0125】
以下、このように構成された乗り物用のキーの各部の動作を説明すると共に、使用方法について説明する。
【0126】
まず、OFFの状態においては、キー部100がスプリング400、400に付勢され、これにより当該キー部100の先端部110の一部がホルダ部200に収納された状態で維持されている。このため、キー部100の先端部110を乗り物の鍵穴に挿入しようとしても、当該キー部100の先端部110全体を鍵穴に挿入することができない。
【0127】
ユーザが乗り物に乗る場合には、電源スイッチ700を押下する。すると、制御部520は図10に示すアルコール濃度測定プログラムを処理すると共に、タイマ回路を作動させる。
【0128】
その後、第2のガスセンサ512の出力信号に基づき二酸化炭素が検出されたか否かを判断する(S10)。即ち、ユーザがホルダ部200のアルコールセンサ510に向けて息を吹きかけたか否かを判断するのである。
【0129】
その結果、息が吹きかけらていないと判断した場合には、ステップ10の処理を繰り返す一方、息が吹きかけられたと判断した場合には、第1のガスセンサ511の出力信号に基づきユーザの呼気中のアルコール濃度を測定し、そのアルコール濃度が基準値以上であるか否か判断する(S11)。
【0130】
その結果、前記アルコール濃度が基準値以下であると判断した場合には、ソレノイド810を励磁し、プランジャ820によりキー部100を押圧させ、これによりキー部100の先端部110全体を鍵穴に挿入できるように突出させた状態で維持する。(S12)。その後、このプログラムの処理を終了する。
【0131】
このようにキー部100の先端部110全体が突出された状態で維持されると、当該キー部100をユーザにより鍵穴に挿入することが可能になるので、乗り物の原動機を始動させることができる。
【0132】
一方、ステップ11において、前記アルコール濃度が基準値以上であると判断された場合には、このプログラムの処理を終了する。即ち、ソレノイド810が励磁されない状態が維持され、キー部100の先端部110の一部がホルダ部200に収納された状態が維持されるので、ユーザは乗り物の原動機を始動させることができない。
【0133】
ステップ10〜12の過程において、タイマ回路が作動しており、所定時間が経過すると、OFF状態にされる。具体的には、電源スイッチ700を押下した後、所定時間アルコールセンサ510に息を吹きかけないとOFF状態になる。また、ステップ12においてプランジャ820に押圧され、キー部100の先端部110全体を鍵穴に挿入できるように突出させた後、所定時間が経過すると、OFF状態になる。すると、ソレノイド810が励磁されなくなるので、プランジャ820が退避し、キー部100の先端部110の一部が再びホルダ部200に収納される。このようにして、運転直前にアルコールの測定をするようにしているのである。なお、このように所定時間でOFF状態にすることで電力を節約することができる。
【0134】
キー部100を鍵穴に挿入している場合(即ち、運転中)には、上述したように所定時間が経過すると、OFF状態にされる。このとき、ソレノイド810が励磁されていない状態になるので、プランジャ820が退避しようとするが、キー部100の先端部110が鍵穴に保持されているので、当該キー部100の先端部110の一部はホルダ部200に収納されない。
【0135】
運転が終了し、ユーザによりキーが鍵穴から抜かれると、キー部100がスプリング400、400に付勢され、これにより当該キー部100の先端部110の一部はホルダ部200に収納される。
【0136】
このような乗り物用のキーによる場合、ユーザの呼気中のアルコール濃度が基準値以下ある場合には、ソレノイド810が励磁され、プランジャ820がスプリング400、400の付勢力に抗してキー部100の基端部120を押圧し、これにより当該キー部100の先端部110全体を突出させ、乗り物の鍵穴に挿入できるようにする。一方、ユーザの呼気中のアルコール濃度が基準値以上ある場合には、ソレノイド810が励磁され、プランジャ820が退避し、キー部100の先端部110の一部がホルダ部200に収納された状態で維持されるので、当該キー部100の先端部110全体を乗り物の鍵穴に挿入することができず、乗り物の原動機を始動させることができない。よって、飲酒運転を効果的に防止することができる。
【0137】
なお、以上のような実施例3の乗り物用のキーについては、電車、二輪車及び自動車等の乗り物の鍵穴に挿入され、当該乗り物の原動機を始動させるのに使用される乗り物用のキーであって、先端部が電車、二輪車及び自動車等の乗り物の鍵穴に挿入されるキー部と、このキー部の基端部をスライド可能に保持し、当該キー部の先端部の少なくとも一部を収納可能なホルダ部と、前記キー部を前記ホルダ部に収納した状態で維持する維持手段と、ユーザの呼気に含まれるアルコールを検出する呼気成分検出手段と、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記キー部の先端部全体を鍵穴に挿入できるように突出させる突出手段とを備える限りどのような設計変更を行ってもかまわない。
【0138】
押圧機構800は、キー部100を押圧するプランジャ820と、このプランジャ820を直線移動させるソレノイド810とを有するとしたが、同様の機能を実現できるのであれば、どのようなものを用いてもかまわない。例えば、プランジャ820をモータ等を用いて直線移動させるようにしてもかまわない。
【0139】
スプリングは400を設けるか否かは任意である。即ち、少なくともキー部100がホルダ200にスライド自在に設けられていれば良い。この場合、キー部100を鍵穴に差し込む際の押圧力により当該キー部100がホルダ200内に収納されるようにキー部100をホルダ200に設ける必要がある。
【0140】
呼気成分検出手段500については、アルコールセンサ510と、制御部520とを有するとしたが、上記と同様の機能を実現できるものであればどのようなものを用いてもかまわない。なお、制御部520のメモリに記憶される基準値の値については、例示的に記載したものであり、任意に設定することが可能である。また、基準値を設けず、アルコールセンサ510により少しでもアルコールが検出されると、押圧機構800を動作させない構成としてもかまわない。
【0141】
電源スイッチ700、スタートスイッチ700’については設けることは任意である。この場合、アルコールセンサ510を常にON状態にしておく必要がある。電源スイッチ700、スタートスイッチ700’は各種のスイッチを用いることが可能であることは言う迄もない。
【実施例4】
【0142】
以下、本発明の第4の実施の形態に係る乗り物用のキーついて図面を参照しながら説明する。図11は本発明の第4の実施の形態に係る乗り物用のキーのブロック図、図12はアルコール濃度測定プログラムのフローチャートである。
【0143】
図11に示す乗り物用のキーは、電車、二輪車及び自動車等の乗り物に向けて始動許可信号を出力し、当該乗り物の原動機を始動させるキーであって、前記始動許可信号を出力する信号出力手段900と、ユーザの呼気に含まれるアルコールを検出する呼気成分検出手段500と、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて信号出力手段の乗り物への始動許可信号の出力を防止する防止手段とを具備している。
【0144】
信号出力手段900は乗り物に備えられたアンテナや受信ポートに向けて電波や赤外線等の始動許可信号を出力する信号出力装置である。例えば、イモビライザー等である。
【0145】
スタートスイッチ700’については実施例2と同じものを用いる。
【0146】
呼気成分検出手段500は、アルコールセンサ510と、アルコールセンサ510の出力信号に応じて信号出力手段900のON/OFFを制御する制御部520とを有する構成となっている。この制御部520が防止手段として機能する。なお、アルコールセンサ510については実施例2と同様のものを用いる。
【0147】
制御部520については1チップマイコンが用いられており、入力ポートにはアルコールセンサ510及びスタートスイッチ700’が、出力ポートにはアルコールセンサ510及び信号出力手段900が接続されている。制御部520のメモリには、実施例1及び2と同様の基準値が記憶されている。
【0148】
即ち、制御部520は、アルコールセンサ510の出力信号に基いてユーザの呼気中のアルコール濃度を測定し、この測定値と前記基準値との比較を行い、その結果、測定値が基準値を超える場合には、信号出力手段900をOFFとする機能を有している。
【0149】
また、前記メモリには図12に示すアルコール濃度測定プログラムが記憶されている。制御部520は前記アルコール濃度測定プログラムを処理することにより上記機能を実現するようになっている。なお、この制御部520にはタイマ回路が内蔵されている。
【0150】
以下、このように構成された乗り物用のキーの制御部520の動作を説明すると共に、使用方法について説明する。
【0151】
待機状態においては、スタートスイッチ700’が押下されたか否かを判定する(s1)。このとき、信号出力手段900がOFF状態となっている。従って、乗り物の原動機を始動させることができない。
【0152】
ステップ1において、スタートスイッチ700’が押下されると、制御部520はタイマ回路を作動させる。そして、アルコールセンサ510をONにし、当該アルコールセンサ510に準備(ヒートアップ)を開始させる。なお、ヒートアップが完了すると、準備完了であるとして緑のLEDランプを点灯させる。
【0153】
その後、スタートスイッチ700’が押下されてから所定時間(ここでは、6秒間)経過したか否かをタイマ回路のカウント値を参照して判定する(s2)。この判定の結果、所定時間が経過したと判定したときには、信号出力手段900のOFF状態を維持する(s3)。このとき、赤色のLEDランプを5秒間点灯させる。そして、後述するステップ10の待機処理を行い、ステップ1の処理に戻る。一方、所定時間経過していないと判定したときには、アルコールセンサ510の出力信号が入力されたか否か(即ち、アルコールセンサ510に息が吹きかけられたか否か)を判定する(s4)。
【0154】
この判定の結果、息が吹きかけられいないと判定したときには、ステップ2の処理に戻る。一方、出力信号が入力され息が吹きかけられたと判定したときには、アルコールセンサ510の当該出力信号に基づきユーザの呼気に含まれるアルコール濃度を測定する。
【0155】
その後、この測定値とメモリ上の基準値と比較し、測定値が基準値以上であるか否か(即ち、ユーザの呼気中に基準値以上のアルコールが含まれているか否か)を判定する(s5)。この判定の結果、測定値が基準値以上である(即ち、ユーザの呼気中に基準値以上のアルコールが含まれている)と判定したときには、信号出力手段900のOFF状態を維持する(s6)。そして、ステップ10の待機処理を行い、ステップ1の処理に戻る。一方、測定値が基準値未満であると判定したときには、緑のLEDランプを点灯させると共に、信号出力手段900のONにする。これにより、乗り物に向けて信号出力手段900の始動許可信号が出力され、乗り物の原動機を始動させることができる。
【0156】
その後、タイマ回路のカウント値を参照して信号出力手段900のON状態になったときから所定時間(ここでは30秒)経過したか否かを判定する(s8)。この判定の結果、所定時間経過していないと判定したときには、この処理を繰り返す。一方、所定時間経過したと判定したときには、緑のLEDランプを消灯すると共に、信号出力手段900をOFFにする(s9)。
【0157】
その後、LEDランプの消灯やアルコールセンサ510のOFF等の待機処理を行い(s10)、ステップ1の処理に戻る。
【0158】
このような乗り物用のキーによる場合、ユーザの呼気中のアルコール濃度が基準値以下ある場合には、信号出力手段900をON状態にする。一方、ユーザの呼気中のアルコール濃度が基準値以上ある場合には、信号出力手段900をOFF状態にされるので、ユーザは乗り物の原動機を始動させることができない。よって、飲酒運転を効果的に防止することができる。
【実施例5】
【0159】
以下、本発明の第5の実施の形態に係る乗り物用のキーついて図面を参照しながら説明する。図13は本発明の第5の実施の形態に係る乗り物用のキーの模式図であって、(a)は信号出力手段の信号を遮蔽した状態の図、(b)は信号出力手段の始動許可信号を遮蔽していない状態の図、図14は同キーのブロック図、図15はアルコール濃度測定プログラムのフローチャート、図16は同キーの遮蔽手段の設計変更例を示す図であって、(a)はモータの駆動に応じて回動する遮蔽手段を示す図、(b)はモータの駆動に応じてホルダ部の長さ方向に沿って移動する遮蔽手段を示す図、(c)はモータの駆動に応じて信号出力手段を覆う対の遮蔽手段を示す図である。
【0160】
図13に示す乗り物用のキーは、電車、二輪車及び自動車等の乗り物に向けて始動許可信号を出力し、当該乗り物の原動機を始動させるキーであって、前記始動許可信号を出力する信号出力手段900と、ユーザの呼気に含まれるアルコールを検出する呼気成分検出手段500と、この呼気成分検出手段500の検出結果に応じて信号出力手段900の乗り物への始動許可信号の出力を防止する防止手段1000と、呼気成分検出手段500、信号出力手段900、防止手段1000、図示しない電源用電池及びLEDランプ等が内蔵されるホルダ200とを具備する。以下、各部を詳しく説明する。
【0161】
ホルダ200は、矩形状のケースであって、信号出力手段900の出力口と対向する部分が開口しており、この開口に透明の板体210が取り付けられている。ホルダ200には、前記開口の他、スタートスイッチ700’やLEDランプを露出させるための図示しない取付孔が設けられている。また、ホルダ200には防止手段1000の遮蔽手段1100を直線移動可能にガイドするガイド部220が設けられている。このガイド部220は、上面開口の筒状体であり、一方の端部が開放されている。これにより遮蔽手段1100の先端部が突出可能になっている。また、ガイド部220の下面には、長さ方向に沿って図示しない溝部が設けられている。この溝部は防止手段1000の遮蔽手段1100の遮蔽板1110及び凸部1120が嵌まり込む溝であって、遮蔽板1110が突出可能なように一方の端部が開放されている。
【0162】
信号出力手段900は乗り物に備えられたアンテナや受信ポートに向けて電波や赤外線等の始動許可信号を乗り物に向けて出力する信号出力装置である。例えば、イモビライザー等である。
【0163】
防止手段1000は、ホルダ部200のガイド部220にガイドされ、信号出力手段900の乗り物への始動許可信号の出力を遮蔽する遮蔽位置から当該乗り物への始動許可信号の出力を遮蔽することができない退避位置にかけて直線移動する遮蔽手段1100と、ガイド部220に嵌まり込み、遮蔽手段1100を遮蔽位置に向けて付勢するスプリング1200と、呼気成分検出手段500の検出結果に応じて遮蔽手段1100をギヤ部1300を介して係合位置から退避位置に移動させる駆動手段1400(モータ)と、遮蔽手段1100が退避位置に位置したときにON状態になる位置検出スイッチ1500とを有する。
【0164】
遮蔽手段1100は、棒状の部材であって、先端部に信号出力手段900の始動許可信号を遮蔽する遮蔽板1110が設けられている。遮蔽板1110の素材については、例えば、加工し易いパーマロイ等を用いる。この遮蔽板1110が遮蔽手段1100の移動に伴ってガイド部220の溝部に出入りする。遮蔽手段1100の後端部には、下面にガイド部220の溝部に移動可能に嵌まり込む凸部1120が、幅方向の一側面に位置検出スイッチ1500に当接可能な当接部1130が設けられている。
【0165】
ギヤ部1300は、互いに螺合し、駆動手段1400のヘッド部の回転運動を遮蔽手段1100の直線運動に変えるギヤ1310〜1350を有する。ギヤ1310は駆動手段1400のヘッドに螺合する。ギヤ1350はケース200のガイド部220の下側に配置されており且つ遮蔽手段1100の凸部1120に当接可能なカム部1351が設けられている。ギヤ1320〜1340はギヤ1310とギヤ1350とを間に螺合する。即ち、駆動手段1400の回転によりギヤ1310〜1340を介してギヤ1350のカム部1351を回転させ、このカム部1351が遮蔽手段1100の凸部1120に当接し押圧することにより、当該遮蔽手段1100をスプリング1200の付勢力に抗して遮蔽位置から退避位置に移動させるようになっている。
【0166】
位置検出スイッチ1500は、遮蔽手段1100が退避位置に位置したときに当該遮蔽手段1100の当接部1130に当接可能な位置に配設されている。この位置検出スイッチ1500は遮蔽手段1100の当接部1130が当接すると、ON状態になり、出力信号を呼気成分検出手段500の制御部520に向けて出力する構成となっている。
【0167】
呼気成分検出手段500は、図14に示すように、アルコールセンサ510と、アルコールセンサ510の出力信号に応じて駆動手段1400のON/OFFを制御する制御部520とを有する。
【0168】
アルコールセンサ510は周知の半導体ガスセンサであって、所定時間(約2秒間)息が吹きつけられると、センサの内部抵抗が変化し、この内部抵抗の変化を出力信号として出力する構成となっている。このアルコールセンサ510は、呼気中にアルコールが含まれていると、当該アルコールがセンサ内の触媒に付着し、内部抵抗が大きく変化する。触媒に付着したアルコールはアルコールセンサ510をヒートアップすることにより燃焼し蒸発する。
【0169】
制御部520についてはマイコンを用いる。この制御部520の入力ポートにはアルコールセンサ510、位置検出スイッチ640及びスタートスイッチ700’が、出力ポートにはモータ610及びLEDランプが接続されている。制御部520のメモリには、呼気中のアルコール濃度0.14mg/Lが基準値として記憶されている。
【0170】
即ち、制御部520は、アルコールセンサ510の出力信号に基いてユーザの呼気中のアルコール濃度を測定し、この測定値と前記基準値との比較を行い、その結果、測定値が基準値以上であると判定したときには、モータ610を駆動させる機能を有している。
【0171】
また、前記メモリにはアルコール濃度測定プログラム(図15参照)が記憶されている。制御部520は前記プログラムを処理することにより上記機能を実現するようになっている。なお、制御部520にはタイマ回路が内蔵されている。
【0172】
以下、制御部520により処理されるアルコール濃度測定プログラムの内容を詳しく説明すると共に、乗り物用のキーの各部の動作、及び使用方法について説明する。
【0173】
まず、待機状態においては、スタートスイッチ700’が押下されたか否かを判定する(s1)。このとき、遮蔽手段1100はスプリング1200に付勢され、これにより遮蔽位置に位置している。このため、信号出力手段900から出力された始動許可信号が遮蔽手段1100の遮蔽板1110に遮蔽される。よって、乗り物の原動機を始動させることができない。
【0174】
ステップ1において、スタートスイッチ700’がを押下されると、制御部520はタイマ回路を作動させる。そして、アルコールセンサ510をONにし、当該アルコールセンサ510に準備(ヒートアップ)を開始させる。なお、ヒートアップが完了すると、準備完了であるとして緑のLEDランプを点灯させる。
【0175】
その後、スタートスイッチ700’が押下されてから所定時間(ここでは、6秒間)経過したか否かをタイマ回路のカウント値を参照して判定する(s2)。この判定の結果、所定時間が経過したと判定したときには、駆動手段1400のOFF状態を維持し、遮蔽手段1100が遮蔽位置に位置した状態を維持する(s3)。このとき、赤色のLEDランプを5秒間点灯させる。そして、後述するステップ10の待機処理を行い、ステップ1の処理に戻る。一方、所定時間経過していないと判定したときには、アルコールセンサ510の出力信号が入力されたか否か(即ち、アルコールセンサ510に息が吹きかけられたか否か)を判定する(s4)。
【0176】
この判定の結果、息が吹きかけられいないと判定したときには、ステップ2の処理に戻る。一方、出力信号が入力され息が吹きかけられたと判定したときには、アルコールセンサ510の当該出力信号に基づきユーザの呼気に含まれるアルコール濃度を測定する。
【0177】
その後、この測定値とメモリ上の基準値と比較し、測定値が基準値以上であるか否か(即ち、ユーザの呼気中に基準値以上のアルコールが含まれているか否か)を判定する(s5)。この判定の結果、測定値が基準値以上である(即ち、ユーザの呼気中に基準値以上のアルコールが含まれている)と判定したときには、駆動手段1400のOFF状態を維持し、遮蔽手段1100が遮蔽位置に位置した状態を維持する(s6)。そして、ステップ10の待機処理を行い、ステップ1の処理に戻る。一方、測定値が基準値未満であると判定したときには、緑のLEDランプを点灯させると共に、駆動手段1400を駆動させる。すると、ギヤ1310〜1350が回転し、これにより当該ギヤ1350のカム部1351が遮蔽手段1100の凸部1120に当接して押圧する。これにより遮蔽手段1100がスプリング1200の付勢力に抗して遮蔽位置から退避位置に移動する。遮蔽手段1100が退避位置に位置すると、位置検出スイッチ1500がON状態になり出力信号を出力する。この出力信号が入力されると、駆動手段1400の駆動を停止させる共に、タイマ回路を作動させる。このようにして信号出力手段900が乗り物に向けて始動許可信号を出力可能な状態になる。(s7)。よって、ユーザは乗り物に向けて信号出力手段900の始動許可信号を出力すれば、乗り物の原動機を始動させることができる。
【0178】
その後、タイマ回路のカウント値を参照してロックが解除されてから所定時間(ここでは30秒)経過したか否かを判定する(s8)。この判定の結果、所定時間経過していないと判定したときには、この処理を繰り返す。一方、所定時間経過したと判定したときには、緑のLEDランプを消灯すると共に、駆動手段1400を駆動させる。すると、ギヤ1310〜1350が回転し、これにより当該ギヤ1350のカム部1351が遮蔽手段1100の凸部1120に当接しなくなる。すると、遮蔽手段1100がスプリング1200の付勢力により退避位置から遮蔽位置に直線移動する。これにより位置検出スイッチ640がOFF状態になり、その出力信号が入力されなくなると、遮蔽手段1100の駆動を停止させる。このようにして遮蔽手段1100による信号出力手段900の乗り物への始動許可信号の出力の遮蔽が復帰する(s9)。
【0179】
その後、LEDランプの消灯やアルコールセンサ510のOFF等の待機処理を行い(s10)、ステップ1の処理に戻る。
【0180】
このような乗り物用のキーによる場合、ユーザの呼気中のアルコール濃度が基準値未満ある場合には、信号出力手段900の始動許可信号が出力可能になるので、乗り物の原動機を始動させることができる。一方、ユーザの呼気中のアルコール濃度が基準値以上ある場合には、遮蔽手段1100により信号出力手段900の乗り物への始動許可信号の出力を遮蔽した状態が維持されるので、当該信号出力手段900の始動許可信号を乗り物に向けて出力することができない。即ち、乗り物の原動機を始動させることができない。よって、飲酒運転を効果的に防止することができる。
【0181】
なお、以上のような実施例4及び5の乗り物用のキーについては、電車、二輪車及び自動車等の乗り物に向けて始動許可信号を出力し、当該乗り物の原動機を始動させる又は始動可能な状態にするキーであって、前記信号を出力する信号出力手段と、ユーザの呼気に含まれるアルコールを検出する呼気成分検出手段と、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて信号出力手段の乗り物への始動許可信号の出力を防止する防止手段とを具備する限りどのような設計変更を行ってもかまわない。即ち、上述したように、信号出力手段の始動許可信号により原動機が始動するものだけでなく、始動可能な状態になり、乗り物に備えられた始動釦等を押下することにより原動機が始動する乗り物についても適応可能である。
【0182】
防止手段1000については、信号出力手段900の乗り物への始動許可信号の出力を防止し得るものである限り、どのようなものを用いてもかまわない。例えば、信号出力手段900を回転させ、当該信号出力手段の始動許可信号をホルダ200の板体210以外の部分に向けて出力させるようにしても良い。
【0183】
遮蔽手段1100については、棒状の部材であり、先端部に遮蔽板1110が設けられているとしたが、信号出力手段の始動開始信号を遮蔽できるものであればどのような構成であっても良い。例えば、図16(a)に示すように、パーマロイ等で構成した筒状の遮蔽手段1100を用い、モータ610の駆動に応じて遮蔽手段1100を回動させ、信号出力手段900を覆うようにしても良い。また、図16(b)に示すように、前述した筒状の遮蔽手段1100をホルダ部の長さ方向に移動させ、信号出力手段900を覆うようにしても良い。この場合、信号出力手段900の出力部を常に遮蔽することになるので、信号出力手段900の信号を強くする必要がある。更に、図16(c)に示すように、ホルダ部200等に固定された第1の遮蔽部1101と、モータ610の駆動に応じて信号出力手段900及び第1の遮蔽部1101の一部を覆う第2の遮蔽部1102とを有する遮蔽手段1100とすることもできる。
【0184】
呼気成分検出手段500については、アルコールセンサ510と、制御部520とを有するとしたが、上記と同様の機能を実現できるものであればどのようなものを用いてもかまわない。なお、制御部520のメモリに記憶される基準値の値については、例示的に記載したものであり、任意に設定することが可能である。また、基準値を設けず、アルコールセンサ510により少しでもアルコールが検出されると、信号出力手段900をONにしない又は防止手段1000の駆動手段1400を動作させない構成としてもかまわない。
【0185】
スタートスイッチ700’については設けることは任意である。この場合、アルコールセンサ510を常にON状態にしておく必要がある。電源スイッチ700、スタートスイッチ700’は各種のスイッチを用いることが可能であることは言う迄もない。
【実施例6】
【0186】
以下、本発明の第6の実施の形態に係る乗り物用のキーついて図面を参照しながら説明する。図17は本発明の第6の実施の形態に係る乗り物用のキーのブロック図、図18は認証判定、アルコール判定プログラムのフローチャートである。
【0187】
図17に示す乗り物用のキーは、実施例2の乗り物用のキーとほぼ同様の構成となっており、ユーザの身体的特徴を読み取るセンシング手段2000を備える点で相違する。以下、この相違点について詳しく説明し、重複する部分は説明を省略する。
【0188】
センシング手段2000としては、例えば、指紋認証センサ、血管のパターン、虹彩、顔やサインを読み取るカメラ等の撮影手段、ユーザの声(音声)を検出する音声検出手段等を用いることができる。即ち、センシング手段2000は、ユーザの身体的特徴(ユーザの指紋、血管のパターン、虹彩、顔やサインを読み取る、又はユーザの声(音声)を検出し、センシングデータとして呼気成分検出手段500の制御部520に出力する構成となっている。
【0189】
制御部520は、その入力ポートにセンシング手段2000が接続されている。この制御部520のメモリには、前記アルコール濃度測定プログラムの代わりに、図18に示す認証判定、アルコール判定プログラムが記録されている。また、前記メモリには、ユーザ本人の身体的特徴の基準データ(例えば、指紋、血管のパターン、虹彩、顔やサインの画像データ、ユーザの声の音声データ等)が予め記録されている。この基準データは初期設定時にセンシング手段2000を通じて読み込み、前記メモリに記録する。制御部520は、前記認証判定、アルコール判定プログラムを処理することにより、アルコール判定及び認証判定の機能を発揮するようになっている。
【0190】
以下、制御部520により処理される認証判定、アルコール判定プログラムの内容を詳しく説明すると共に、乗り物用のキーの各部の動作及び使用方法について説明する。
【0191】
まず、待機状態においては、スタートスイッチ700’が押下されたか否かを判定する(s1)。このとき、突出部材300はスプリング400に付勢されると共に、ロック機構600にロック(即ち、スプリング630に付勢されたプランジャ620が突出部材300の凹部301に係合することによりロックされる。)され、これにより突出した状態で維持されている(図4を借りて参照)。このため、キー部100を乗り物の鍵穴に挿入しようとしても、突出部材300の先端部が鍵穴の縁部に当接するので、キー部100の先端部110の一部しか鍵穴に挿入することができない。
【0192】
ステップ1において、スタートスイッチ700’が押下されると、センシング手段2000をONにすると共に、アルコールセンサ510をONにし、当該アルコールセンサ510に準備(ヒートアップ)を開始させる(s2)。なお、ヒートアップが完了すると、準備完了であるとして緑のLEDランプを点灯させる。これと共に、タイマ回路を作動させる。
【0193】
その後、スタートスイッチ700’が押下されてから所定時間(ここでは、6秒間)経過したか否かをタイマ回路のカウント値を参照して判定する(s3)。この判定の結果、所定時間が経過したと判定したときには、モータ610のOFF状態を維持し、ロック機構600のロックを維持する(s4)。このとき、赤色のLEDランプを5秒間点灯させる。と共に、タイマ回路をオフにする。そして、後述するステップ16の待機処理をし、ステップ1の処理に戻る。
【0194】
ステップ3の判定の結果、所定時間経過していないと判定したときには、センシング手段2000のセンシングデータが入力されたか否かを判定する(s5)。この判定の結果、入力されていないと判定したときには、ステップ3の処理に戻る一方、入力されたと判定したときには、当該センシングデータに基づき検出データ(例えば、ユーザの指紋、血管のパターン、虹彩、顔やサインの画像データ、ユーザの音声データ等)を作成し、当該検出データと前記メモリ上の基準データとを比較し、これによりユーザの本人であるか否かの認証判定を行う(s6)。この認証判定の結果、ユーザ本人でないと判定したときには、モータ610のOFF状態を維持し、ロック機構600のロックを維持する(s7)。このとき、赤色のLEDランプを5秒間点灯させる。そして、ステップ16の待機処理をし、ステップ1の処理に戻る。
【0195】
ステップ6の認証判定の結果、ユーザ本人であると判定したときには、認証OKであるとして緑のLEDランプを点灯させる。これと共に、タイマ回路をリセットし、認証判定から所定時間(1〜2秒)経過したか否かをタイマ回路のカウント値を参照して判定する(s8)。前記所定時間は認証判定の後、ユーザ以外の者が代わって後述するアルコール判定をできない程度の時間とする。この判定の結果、所定時間経過したと判定したときには、モータ610のOFF状態を維持し、ロック機構600のロックを維持する(s9)。このとき、赤色のLEDランプを5秒間点灯させる。と共に、タイマ回路をオフにする。そして、ステップ16の待機処理をし、ステップ1の処理に戻る。
【0196】
ステップ8の判定の結果、所定時間経過していないと判定したときには、アルコールセンサ510の出力信号が入力されたか否か(即ち、アルコールセンサ510に息が吹きかけられたか否か)を判定する(s10)。この判定の結果、息が吹きかけられいないと判定したときには、ステップ8の処理に戻る。一方、出力信号が入力され息が吹きかけられたと判定したときには、アルコールセンサ510の出力信号に基づきユーザの呼気に含まれるアルコール濃度を測定する。
【0197】
その後、この測定値とメモリ上の基準値と比較し、測定値が基準値以上であるか否か(即ち、ユーザの呼気中に基準値以上のアルコールが含まれているか否か)を判定する(s11)。この判定の結果、測定値が基準値以上である(即ち、ユーザの呼気中に基準値以上のアルコールが含まれている)と判定したときには、モータ610のOFF状態を維持し、ロック機構600のロックを維持する(s12)。このとき、赤色のLEDランプを30秒間点灯させる。そして、ステップ15の待機処理を行い、ステップ1の処理に戻る。一方、測定値が基準値未満であると判定したときには、緑のLEDランプを点灯させると共に、モータ610を駆動させる。すると、ギヤ651〜655が回転し、これにより当該ギヤ655のカム部655aがプランジャ620の凸部621に当接して押圧する。これによりプランジャ620がスプリング630の付勢力に抗して係合位置から退避位置に移動する。プランジャ620が退避位置に位置すると、位置検出スイッチ640がON状態になり出力信号を出力する。この出力信号が入力されると、モータ610の駆動を停止させる共に、タイマ回路を作動させる。このようにしてロック機構600ロックが解除される(s13)。
【0198】
このようにロックが解除されると、ユーザはキー部100全部を乗り物の鍵穴に挿入することが可能になる(図5を借りて参照)。キー部100が鍵穴に挿入されると、突出した突出部材300の先端部が鍵穴の縁部に当接し、当該突出部材300がスプリング400の付勢力に抗してホルダ部200に収納される。これによりキー部100の先端部110全部が鍵穴に挿入することができるので、乗り物の原動機を始動させることができる。
【0199】
その後、タイマ回路のカウント値を参照してロックが解除されてから所定時間(ここでは30秒)経過したか否かを判定する(s14)。この判定の結果、所定時間経過していないと判定したときには、この処理を繰り返す。一方、所定時間経過したと判定したときには、緑のLEDランプを消灯すると共に、モータ610を駆動させる。すると、ギヤ651〜655が回転し、これにより当該ギヤ655のカム部655aがプランジャ620の凸部621に当接しなくなる。すると、プランジャ620がスプリング630の付勢力により退避位置から直線移動し、位置検出スイッチ640がOFF状態になる。位置検出スイッチ640がOFF状態になりその出力信号が入力されなくなると、モータ610の駆動を停止させる。これによりロック機構600のロックが復帰可能な状態になる(s15)。
【0200】
ステップ15において、キー部100が鍵穴に挿入されていない場合には、プランジャ620が突出部材300の凹部301に嵌まり込み、ロック機構600のロックが復帰する。キー部100の先端部110が鍵穴に挿入されている場合には、突出部材300がホルダ部200に収納された状態であるので、プランジャ620が突出部材300の凹部301に係合せず、側面に当接する。その後、キー部100が鍵穴から抜かれると、突出部材300がスプリング400の付勢力によりホルダ部200から突出する方向に移動する。この過程で、プランジャ620が突出部材300の凹部301に嵌まり込み、ロック機構600のロックが復帰する。
【0201】
その後、LEDランプの消灯やアルコールセンサ510のOFF等の待機処理を行い(s16)、ステップ1の処理に戻る。
【0202】
このような乗り物用のキーによる場合、実施例2と同様の効果を得ることができる。しかも、ユーザの身体的特徴を読み取るセンシング手段を備えており、このセンシング手段のセンシングデータに基いて認証判定を行った後、アルコール判定を行うようになっているので、ユーザ以外の者がユーザに代わってアルコールセンサに息を吹きかけ、ロック機構600のロックが不正に解除されるという不正使用を抑止することができる。また、ユーザ以外の者が本乗り物用のキーを使用することが不可能になることから、当該キーを使用して乗り物が盗まれることを防止することができ、防犯に役立つ。
【0203】
特に、センシング手段2000として音声検出手段や虹彩を読み取る撮影手段(虹彩カメラ)を用いた場合、ユーザ本人が発した声が前記音声検出手段に検出された後又はユーザの虹彩が前記カメラに撮影された後、所定時間(1〜2秒)以内にユーザ本人がアルコールセンサ510に息を吹きかけなければならない。即ち、ユーザに代わってユーザ以外の者がアルコールセンサ510に息を吹きかけることができないことから、ロック機構600のロックが不正に解除されることを防止することができる。この場合、前記音声検出手段としては、所定方向のみの音を集音する指向性を有するマイクロホン等を用いる。前記マイクロホンの感度は、当該マイクロホンと音の発生源(即ち、口)との間の距離(約1cm〜20cm)の音を集音できる程度のものとする。このような指向性のマイクロホンを用いることにより、ユーザ以外の者が本乗り物用のキーを所持し、アルコールセンサ510に息を吹きかける用意をした状態で、ユーザがユーザ以外の者の周辺で声を発することにより、前記音声検出手段にユーザの声を検出させ、これにより制御部520に認証判定を行わせることを不可能にすることができる。
【0204】
なお、制御部520は、認証判定を行い、その後、所定時間以内にアルコール判定を行うとしたが、認証判定とアルコール判定を同時に行うようにしても良いし、アルコール判定を行った後、所定時間以内に認証判定を行うようにしても良い。また、制御部520は、認証判定の結果ユーザ本人であると判定した場合には、アルコールセンサ510をONにする機能を有する構成とすることもできる。このように設計変更しても、上記と同様の効果を一応得ることができる。前記認証判定については、ユーザ本人でないと判定した場合には、数回判定し直せるようにしても良い。また、前記メモリにはユーザ本人一人だけでなく複数の人の身体的特徴を基準データとして記録できるようにすることが好ましい。ただ、前記メモリの前記基準データの記録は、ユーザが行うのではなく、乗り物用のキーを販売する販売店等のみが行える構成となっていることが望ましい。なお、指紋認証センサを用いた場合、当該センサを電源スイッチやスタートスイッチの代わりとすることができる。
【0205】
また、センシング手段2000については、ホルダ部200に設けられていなくても良い。即ち、センシング手段2000のみを別体とし、無線又は有線の通信回線を介して乗り物用のキーと接続するようにすることができる。
【0206】
実施例6の乗り物用のキーは、実施例2の乗り物用のキーにセンシング手段2000を備えた構成であるとして説明したが、実施例1、3、4又は5の乗り物用のキーにもセンシング手段2000を備えることが可能である。勿論、制御部520が処理するプログラムとして認証判定、アルコール判定プログラムと同様のプログラムを用いることも当然可能であることは言う迄もない。
【実施例7】
【0207】
以下、本発明の第7の実施の形態に係る乗り物用のキーついて図面を参照しながら説明する。図19は本発明の第7の実施の形態に係る乗り物用のキーの他方のケースを示す模式図、図20は同キーのブロック図、図21は乗車記録プログラムのフローチャート、同キー設計変更例を示す図であって、(a)がキー部及び信号出力手段を開放した状態の図、(b)がキー部及び信号出力手段を収納した状態を示す図である。
【0208】
図19及び図20に示す乗り物用のキーは、実施例2の乗り物用のキーとほぼ同様の構成となっており、突出部材300がホルダ部200のケース202に収容されたことを検出する位置検出手段3000と、この位置検出手段3000の検出結果を記録するメモリ部4000と、このメモリ部4000のデータを外部に出力するための出力部5000とを備えている点で相違する。以下、この相違点について詳しく説明し、重複する部分は説明を省略する。
【0209】
位置検出手段3000としては位置検出スイッチを用いる。この位置検出手段3000は、突出部材300全体がホルダ部200のケース202に収容されたときに当該突出部材300の一部に当接可能な位置に配設されている。位置検出手段3000は、突出部材300の一部が当接することによりON状態となり、出力信号を呼気成分検出手段500の制御部520に向けて出力する構成となっている。このように突出部材300の収容位置を検出することにより、ユーザが乗り物に乗車中であることを検出している。
【0210】
メモリ部4000は、制御部520の命令によりデータの記録を行うようになっている。このメモリ部4000には、位置検出手段3000の出力信号が入力された旨(即ち、ユーザが乗り物に乗車中である旨)及びその時刻が記録される。
【0211】
制御部520については時刻を計測する時計部521が内蔵されたマイコンを用いる。この制御部520は、入力ポートに位置検出手段3000及びメモリ部4000が、出力ポートにメモリ部4000及び出力部5000が接続されている。制御部520は、位置検出手段3000の出力信号が入力されると、その旨をユーザが乗り物に乗車中であるとしてメモリ部4000に記録させると共に、時計部521を参照して現在時刻をメモリ部4000に記録させる機能を有している。この制御部520のメモリには図21に示す乗車記録プログラムが記録されている。制御部520は前記乗車記録プログラムを処理することにより上記機能を発揮する。
【0212】
出力部5000は出力端子である。即ち、この出力部5000にコンピュータ等を接続することにより、メモリ部4000に記録されたデータがリード可能となる。
【0213】
以下、制御部520により処理される前記乗車記録プログラムの内容を詳しく説明すると共に、各部の動作について説明する。まず、待機状態においては、位置検出手段3000の出力信号が入力されたか否かを判定している(s1)。即ち、ユーザが乗り物に乗車中であるか否かを判定している。このとき、キー部100の先端部110が鍵穴に挿入され、突出部材300が前記鍵穴の縁部に当接することによりホルダ部200のケース202収容される(即ち、ユーザが乗り物に乗車する)と、ホルダ部200のケース202に収容された突出部材300の一部が位置検出手段3000に当接し、これにより位置検出手段3000がONになり、出力信号を出力する。すると、ステップ1により位置検出手段3000の出力信号が入力されたと判定し、前記出力信号が入力された旨をユーザが乗り物に乗車中であるとしてメモリ部4000に記録させると共に、時計部521を参照して現在時刻をメモリ部4000に記録させる(s2)。そして、ステップ1の処理に戻り、この処理を繰り返す。
【0214】
このようにメモリ部4000に記録されたデータ(位置検出手段3000の出力信号の入力及び時刻の履歴)は所定期間毎出力部5000を介して外部に出力される。
【0215】
このような乗り物用のキーによる場合、ユーザの乗り物の乗車の履歴及びその時刻がメモリ部4000に記録される。よって、所定期間毎にメモリ部4000上のデータを外部に出力させるようにすれば、当該データはユーザの乗り物の乗車のデータであるので、運行管理に利用することができる。
【0216】
なお、位置検出手段3000については、位置検出スイッチであるとしたが、同様の機能を実現できるものであればどのようなものを用いても良い。出力部5000については、メモリ部4000上のデータを図示しない管理センタに向けて順次送信する通信部とすることもできる。
【0217】
なお、上記実施例の乗り物用のキーについては、その他の機器を備えることも当然可能である。その他の機器としては、GPS発信機、電源用電池を充電するための充電回路、乗り物に向けて信号を出力し、これによりドアロックを遠隔操作するためのリモコンドアロック機構等がある。
【0218】
GPS発信機を備えた場合、このGPS発信機のGPS信号をGPS衛星を介して管理センタ等に受信させ、これにより乗り物用のキー保持者の位置を検出する位置検出や乗り物用のキーの乗り物の運行管理に利用することができる。
【0219】
充電回路を備えた場合、例えば、ACアダプタを前記充電回路に接続し、これにより電源用電池を充電するようにすることができる。この場合、電源用電池の残量を検出し、この検出値が所定以下になった場合には、LEDランプ等を点灯させ、ユーザに報せるようにしても良い。
【0220】
また、上記実施例では、呼気成分検出手段はユーザの呼気に含まれるアルコールを検出するアルコールセンサを有する構成である説明したが、このアルコールセンサに変えて麻薬やシンナー等の薬物を検出する薬物センサを有する構成としても良い。勿論、アルコールセンサと薬物センサとの双方を有する構成とすることも可能である。
【0221】
実施例1、2又は3の乗り物用のキーと、実施例4又は5の乗り物用のキーとを組み合わせて構成することが可能である。例えば、図22に示すように、キー部100の基端部120に信号出力手段900を設け、この基端部120をホルダ部200に回動可能に保持させる。基端部120の回動軸121にはギヤ部と螺合するネジ溝が形成されており、このギヤを介してモータ610と連結されている。即ち、制御部520がアルコールセンサ510の出力信号に応じてモータ610を駆動させることにより、基端部120の回動軸121を軸としてキー部100が回動し、この回動に応じてキー部100の先端部110がホルダ部200に収納された位置(図22(b)参照)からホルダ部200から突出位置(図22(a)参照)にかけて移動するすると共に、信号出力手段900の出力口がホルダ部200内に向いた位置(図22(b)参照)から外部に向いた位置(図22(a)参照)にかけて移動する。なお、この場合、モータ610は維持手段及び突出手段として機能する。
【0222】
また、上記実施例を組み合わせた乗り物用のキーと、実施例6と実施例7とを組み合わせて構成することも勿論可能である。
【実施例8】
【0223】
以下、本発明の第8の実施の形態に係る飲酒運転防止装置ついて図面を参照しながら説明する。図23は本発明の第8の実施の形態に係る飲酒運転防止装置の模式図、図24はアルコール濃度測定プログラムプログラムのフローチャートである。
【0224】
図23に示す飲酒運転防止装置は、電車、二輪車及び自動車等の乗り物10に取り付けられる装置であって、その構成が実施例2の乗り物用のキーとほぼ同様の構成となっている。異なる点は、ホルダ部200の形状、挿入防止手段が乗り物10の鍵穴へキーの挿入を防止する挿入防止手段となっている点である。以下、重複する部分は説明を省略し、相違点について詳しく説明する。
【0225】
ホルダ部200は、乗り物10に取り付けられた筒体であって、鍵穴11を露出させるための孔部210を有する。ホルダ部200は、接着剤等により乗り物10に取り付けられる。孔部210が乗り物用のキーを挿入し、鍵穴11に差し込むための孔となる。
【0226】
前記挿入防止手段は、ホルダ部200に回動可能に取り付けられた開閉扉6100と、この開閉扉6100を孔部210を開放する開位置から当該孔部210を閉塞する閉位置にかけて回動させるモータ等の駆動手段6200とを備えている。また、開閉扉6100の回動軸部には、駆動手段6200のヘッド部(図示せず)に螺合するギヤ部(図示せず)が設けられている。即ち、駆動手段6200の駆動によりそのヘッド部が回転し、これにより開閉扉220がホルダ部210の孔部210を開放したり閉塞したりする。
【0227】
呼気成分検出手段500は実施例2の呼気成分検出手段500と略同じ構成である。異なる点は、制御部520が、アルコールセンサ510の出力信号に基いてユーザの呼気中のアルコール濃度を測定し、この測定値と前記基準値との比較を行い、その結果、測定値が基準値以上であると判定したときには、駆動手段6200を駆動させる機能を有している点である。
【0228】
この制御部520のメモリには、実施例2と同様のアルコール濃度の基準値及び図24に示すアルコール濃度測定プログラムが記憶されている。制御部520は前記アルコール濃度測定プログラムを処理することにより上記機能を実現するようになっている。なお、制御部520にはタイマ回路が内蔵されている。
【0229】
以下、制御部520により処理される図24のアルコール濃度測定プログラムの内容を詳しく説明すると共に、乗り物用のキーの各部の動作、及び使用方法について説明する。
【0230】
まず、待機状態においては、スタートスイッチ700’が押下されたか否かを判定する(s1)。このとき、開閉扉6100が閉位置に位置しており、ホルダ部200の孔部210を閉塞している。よって、乗り物用のキーを鍵穴に挿入することができない。
【0231】
ステップ1において、スタートスイッチ700’が押下されると、タイマ回路を作動させる。そして、アルコールセンサ510をONにし、当該アルコールセンサ510に準備(ヒートアップ)を開始させる。なお、ヒートアップが完了すると、準備完了であるとして緑のLEDランプを点灯させる。
【0232】
その後、スタートスイッチ700’が押下されてから所定時間(ここでは、6秒間)経過したか否かをタイマ回路のカウント値を参照して判定する(s2)。この判定の結果、所定時間が経過したと判定したときには、駆動手段6200のOFF状態を維持する(s3)。このとき、赤色のLEDランプを5秒間点灯させる。そして、後述するステップ10の待機処理を行い、ステップ1の処理に戻る。一方、所定時間経過していないと判定したときには、アルコールセンサ510の出力信号が入力されたか否か(即ち、アルコールセンサ510に息が吹きかけられたか否か)を判定する(s4)。
【0233】
この判定の結果、息が吹きかけられいないと判定したときには、ステップ2の処理に戻る。一方、出力信号が入力され息が吹きかけられたと判定したときには、アルコールセンサ510の出力信号に基づきユーザの呼気に含まれるアルコール濃度を測定する。
【0234】
その後、この測定値とメモリ上の基準値と比較し、測定値が基準値以上であるか否か(即ち、ユーザの呼気中に基準値以上のアルコールが含まれているか否か)を判定する(s5)。この判定の結果、測定値が基準値以上である(即ち、ユーザの呼気中に基準値以上のアルコールが含まれている)と判定したときには、駆動手段6200のOFF状態を維持する(s6)。このとき、赤色のLEDランプを30秒間点灯させる。そして、ステップ10の待機処理を行い、ステップ1の処理に戻る。一方、測定値が基準値未満であると判定したときには、緑のLEDランプを点灯させると共に、駆動手段6200を駆動させる。すると、開閉扉6100が閉位置から開位置にかけて回動する。と共に、タイマ回路を作動させる。このようにして開閉扉6100が開位置に位置する(s7)。これによりホルダ部200の孔部210が開放されるので、キーを鍵穴11に挿入することが可能になる。
【0235】
その後、タイマ回路のカウント値を参照して開閉扉6100の開放された時から所定時間(ここでは30秒)経過したか否かを判定する(s8)。この判定の結果、所定時間経過していないと判定したときには、この処理を繰り返す。一方、所定時間経過したと判定したときには、緑のLEDランプを消灯すると共に、駆動手段6200を駆動させる。すると、開閉扉6100が開位置から閉位置にかけて回動する(s9)。これによりホルダ部200の孔部210が再び閉塞される。
【0236】
その後、LEDランプの消灯やアルコールセンサ510のOFF等の待機処理を行い(s10)、ステップ1の処理に戻る。
【0237】
このような飲酒運転防止装置による場合、ユーザの呼気中のアルコール濃度が基準値未満ある場合には、開閉扉6100が閉位置から開位置にかけて回動し、ホルダ部200の孔部210が開放されるので、キーを鍵穴11に挿入することが可能なる。一方、ユーザの呼気中のアルコール濃度が基準値以上ある場合には、開閉扉6100が閉位置に位置し、ホルダ部200の孔部210を閉塞した状態が維持されるので、キーを鍵穴11に挿入することができず、乗り物の原動機を指導させることができない。よって、飲酒運転を効果的に防止することができる。
【0238】
なお、この飲酒運転防止装置については、電車、二輪車及び自動車等の乗り物に取り付けられる又は内蔵される飲酒運転防止装置であって、ユーザの呼気に含まれるアルコール及びを検出する呼気成分検出手段と、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記乗り物の鍵穴へキーの挿入を防止する挿入防止手段とを備える限りどのような設計変更を行ってもかまわない。
【0239】
即ち、呼気成分検出手段500については、アルコールセンサ510と、制御部520とを有するとしたが、上記と同様の機能を実現できるものであればどのようなものを用いてもかまわない。なお、制御部520のメモリに記憶される基準値の値については、例示的に記載したものであり、任意に設定することが可能である。また、基準値を設けず、アルコールセンサ510により少しでもアルコールが検出されると、ロック機構600のロックを解除しない構成としてもかまわない。また、呼気成分検出手段500はユーザの呼気に含まれるアルコールを検出するアルコールセンサ510を有する構成である説明したが、このアルコールセンサに変えて麻薬やシンナー等の薬物を検出する薬物センサを有する構成としても良い。勿論、アルコールセンサと薬物センサとの双方を有する構成とすることも可能である。
【0240】
前記挿入防止手段は、開閉扉6100と、この開閉扉6100を回動させる駆動手段6200とを有するとしたが、鍵穴11へキーの挿入を防止し得るものであれば、どのようなものを用いても良い。例えば、開閉扉6100に変えて突出部材を鍵穴11の少なくとも一部を覆うように突出させ、キーを鍵穴11に挿入できないようにする構成とすることができる。開閉扉6100についてはキーを鍵穴11に挿入できないようにする程度にホルダ部200の孔部210を閉塞する構成とすることができる。
【0241】
この挿入防止手段は、鍵穴11に代えて原動機を始動させる始動開始操作部(例えば、始動開始釦)を備えた乗り物に対しては、呼気成分検出手段500の検出結果に応じて前記始動開始操作部を操作できないようにする操作防止手段として機能する。また、前記挿入防止手段は、鍵穴11に代えて乗り物用のキーから出力され、原動機を始動させる始動許可信号を受信する受信部を備えた乗り物に対しては、呼気成分検出手段500の検出結果に応じて乗り物の受信部を開閉可能に覆う開閉手段として機能する。この場合、開閉扉6100がホルダ部200の孔部210全部を閉塞する構成とする。前記操作防止手段及び開閉手段には、突出部材を用いた構成を採用することはできない。なお、鍵穴11又は始動開始操作部の近傍に受信部が設けられている場合には、前記開閉手段により鍵穴11又は始動開始操作部と受信部との双方を覆うようにすればよい。
【0242】
この飲酒運転防止装置は上述したように乗り物に内蔵することが可能である。この場合、前記挿入防止手段は、例えば、開閉扉6100により鍵穴11の前面又は内部の空間をキーが挿入できないように閉塞する構成、又は突出部材により鍵穴11の前面又は内部の空間をキーが挿入できないように突出する構成とする。前記操作防止手段は、例えば、開閉扉6100により始動開始操作部の前面を押下操作できないように閉塞する構成、又は突出部材を始動開始操作部の一部と始動開始操作部を押下操作できないように係合させる構成とする。前記開閉手段は開閉扉6100により始動開始操作部の前面を押下操作できないように閉塞する構成とする。
【0243】
また、この飲酒運転防止装置は、アルコールセンサ510を別体とすることが可能である。この場合、アルコールセンサ510の出力信号は、無線又は有線の通信回線を介して制御部520に出力される。無線の通信回線を利用する場合には、リモコンのような携帯情報端末とすることができるし、既存の携帯電話器等の携帯情報端末に内蔵することもできる。有線の通信回線を利用する場合には、リモコンのような携帯情報端末として乗り物に設置することができるし、乗り物のハンドル等に内蔵することもできる。
【0244】
なお、飲酒運転防止装置は、実施例6の乗り物用のキーのセンシング手段2000及びそれに関する構成を組み込むことも当然可能であることは言う迄もない。センシング手段2000もアルコールセンサ510と共に又は別に別体とすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電車、二輪車及び自動車等の乗り物の鍵穴に挿入され、当該乗り物の原動機を始動させるのに使用される乗り物用のキーであって、先端部が乗り物の鍵穴に挿入可能なキー部と、前記キー部の基端部に設けられたホルダ部と、このホルダ部から突出し、これにより前記キー部の乗り物の鍵穴への挿入を防止する挿入防止手段と、ユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出する呼気成分検出手段とを備えており、前記挿入防止手段は前記呼気成分検出手段の検出結果に応じてホルダ部に収納可能な構成となっていることを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項2】
請求項1記載の乗り物用のキーにおいて、前記挿入防止手段は、ホルダ部からキー部に沿って突出する突出部材と、この突出部材を突出方向に付勢するスプリングと、前記突出部材を突出させた状態でロックし維持するロック機構とを有しており、前記ロック機構は前記呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記突出部材のロックを解除するようになっていることを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項3】
請求項2記載の乗り物用のキーにおいて、前記ロック機構は、前記突出部材の側面に設けられた凹部に係合可能な部材であり且つ前記突出部材の凹部に係合する係合位置から当該突出部材の凹部と係合しない退避位置に直線移動自在に前記ホルダ部に設けられたプランジャと、前記呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記プランジャを係合位置から退避位置に移動させる駆動手段とを有することを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項4】
請求項3記載の乗り物用のキーにおいて、前記呼気成分検出手段は、アルコールセンサ及び/又は薬物センサと、アルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じて前記駆動手段のON/OFFを制御する制御部とを有していることを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項5】
請求項1記載の乗り物用のキーにおいて、前記突出部材は前記キー部に設けられていることを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項6】
電車、二輪車及び自動車等の乗り物の鍵穴に挿入され、当該乗り物の原動機を始動させるのに使用される乗り物用のキーであって、先端部が電車、二輪車及び自動車等の乗り物の鍵穴に挿入されるキー部と、このキー部の基端部をスライド可能に保持し、当該キー部の先端部の少なくとも一部を収納可能なホルダ部と、前記キー部を前記ホルダ部に収納した状態で維持する維持手段と、ユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出する呼気成分検出手段と、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記キー部の先端部全体を鍵穴に挿入できるように突出させる突出手段とを備えることを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項7】
請求項6記載の乗り物用のキーにおいて、前記維持手段は前記キー部を収納する方向に付勢し先端部を前記鍵穴に挿入不可能な状態にするスプリングであり、前記突出手段は呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記キー部の先端部全体を前記スプリングの付勢力に抗して鍵穴に挿入できるように突出させる押圧機構であることを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項8】
請求項7記載の乗り物用のキーにおいて、前記呼気成分検出手段は、アルコールセンサ及び/又は薬物センサと、アルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じて前記押圧機構のON/OFFを制御する制御部とを有していることを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項9】
電車、二輪車及び自動車等の乗り物に向けて始動許可信号を出力し、当該乗り物の原動機を始動させる又は始動可能な状態にするキーであって、前記信号を出力する信号出力手段と、ユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出する呼気成分検出手段と、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて信号出力手段の乗り物への始動許可信号の出力を防止する防止手段とを具備することを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項10】
請求項9記載の乗り物用のキーにおいて、前記防止手段は、前記信号出力手段から出力された始動許可信号を遮蔽する遮蔽手段と、前記呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記遮蔽手段を信号出力手段の始動許可信号を遮蔽することができる遮蔽位置から当該始動許可信号を遮蔽することができない退避位置にかけて移動させる駆動手段とを有することを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項11】
請求項9又は10記載の乗り物用のキーにおいて、前記呼気成分検出手段は、アルコールセンサ及び/又は薬物センサと、このアルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じて前記信号出力手段又は駆動手段のON/OFFを制御し、これにより前記防止手段として機能する制御部とを有することを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項12】
請求項3、7、9又は10記載の乗り物用のキーにおいて、ユーザの身体的特徴を読み取るセンシング手段を備え、前記呼気成分検出手段は、アルコールセンサ及び/又は薬物センサと、前記センシング手段のセンシングデータに基づきユーザ本人であるか否かの認証判定を行う一方、前記アルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じてユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれているか否かのアルコール及び/又は薬物判定を行う制御部とを有しており、この制御部は、前記認証判定の結果、ユーザ本人でないとの判定をしたとき、或いはアルコール及び/又は薬物判定の結果、ユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれるとの判定をしたときには、前記駆動手段、押圧手段又は信号出力手段のON/OFFを制御する機能を有することを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項13】
請求項12記載の乗り物用のキーにおいて、前記制御部は、前記認証判定の前後の所定時間以内にアルコール及び/又は薬物判定を行う機能を有していることを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項14】
請求項13記載の乗り物用のキーにおいて、前記センシング手段はユーザの声を検出する音声検出手段又はユーザの目の虹彩を撮影する撮影手段であることを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項15】
請求項2記載の乗り物用のキーにおいて、前記突出部材がホルダ部に収容されたことを検出する位置検出手段と、この位置検出手段の検出結果を記録するメモリ部とを備えたことを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項16】
請求項1、6又は9記載の乗り物用のキーにおいて、GPS発信機を備えることを特徴とする乗り物用のキー。
【請求項17】
電車、二輪車及び自動車等の乗り物に取り付けられる又は内蔵される飲酒運転防止装置であって、ユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出する呼気成分検出手段と、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて前記乗り物の鍵穴へキーの挿入を防止する挿入防止手段とを備えたことを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項18】
電車、二輪車及び自動車等の乗り物に取り付けられる又は内蔵される飲酒運転防止装置であって、ユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出する呼気成分検出手段と、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて乗り物の原動機を始動させる始動開始操作部を操作できないようにする操作防止手段とを備えたことを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項19】
乗り物用のキーから出力された始動許可信号を受けて原動機を始動する電車、二輪車及び自動車等の乗り物に取り付けられる内蔵される飲酒運転防止装置であって、ユーザの呼気に含まれるアルコール及び/又は薬物を検出する呼気成分検出手段と、この呼気成分検出手段の検出結果に応じて乗り物の始動許可信号の受信部を開閉可能に覆う開閉手段とを備えたことを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項20】
請求項17、18又は19記載の飲酒運転防止装置において、前記呼気成分検出手段は、アルコールセンサ及び/又は薬物センサと、アルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じて前記挿入防止手段、操作防止手段又は開閉手段のON/OFFを制御する制御部とを有していることを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項21】
請求項17、18又は19記載の飲酒運転防止装置において、ユーザの身体的特徴を読み取るセンシング手段を備え、前記呼気成分検出手段は、アルコールセンサ及び/又は薬物センサと、前記センシング手段のセンシングデータに基づきユーザ本人であるか否かの認証判定を行う一方、前記アルコールセンサ及び/又は薬物センサの出力信号に応じてユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれているか否かのアルコール及び/又は薬物判定を行う制御部とを有しており、この制御部は、前記認証判定の結果、ユーザ本人でないとの判定をしたとき、或いはアルコール及び/又は薬物判定の結果、ユーザの呼気中にアルコール及び/又は薬物が含まれるとの判定をしたときには、前記挿入防止手段、操作防止手段又は開閉手段のON/OFFを制御する機能を有することを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項22】
請求項25記載の飲酒運転防止装置において、前記制御部は、前記認証判定の前後の所定時間以内にアルコール及び/又は薬物判定を行う機能を有していることを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項23】
請求項22記載の飲酒運転防止装置において、前記センシング手段はユーザの声を検出する音声検出手段又はユーザの目の虹彩を撮影する撮影手段であることを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項24】
請求項20記載の飲酒運転防止装置において、前記アルコールセンサが別体となっていることを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項25】
請求項17、18、19又は24記載の飲酒運転防止装置において、前記アルコールセンサと共にGPS発信機を備えることを特徴とする飲酒運転防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【国際公開番号】WO2005/026477
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【発行日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513965(P2005−513965)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013538
【国際出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【特許番号】特許第3971438号(P3971438)
【特許公報発行日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(500074925)
【Fターム(参考)】