説明

交通制御システム、及び、交通制御サーバ、交通制御方法、並びに、交通制御プログラム、交通制御機器

【課題】地震予測に応じて交通制御機器を制御する交通制御システム、及び、交通制御サーバ、交通制御方法、並びに、交通制御プログラムに関し、地震が発生する前に地震が来ることを通報し、より多くの運転者に適切な行動を取らせることができる交通制御システム、及び、交通制御サーバ、交通制御方法、並びに、交通制御プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、各地に設置された地震計からの地震情報を検出して、地震情報を提供する地震速報通知サーバと、交通を制御する交通制御機器と、地震速報通知サーバからの地震情報を受信し、受信した地震情報に基づいて各エリア毎の予測地震情報を取得し、取得した予測地震情報が閾値を超える場合に対応するエリアの交通制御機器を制御し、所定以上の規模の地震波(S波)が到達する旨の通報を行う交通制御サーバとを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交通制御システム、及び、交通制御サーバ、交通制御方法、並びに、交通制御プログラム、交通制御機器に係り、特に、地震予測に応じて交通制御機器を制御する交通制御システム、及び、交通制御サーバ、交通制御方法、並びに、交通制御プログラム、交通制御機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大きな地震に対する防災への関心が高まっている。そんな中、大きな地震が発生すると、揺れの大きな地域では自動車の運転手は「タイヤがパンクした」ように感じると一般的に言われ、すぐ地震であることに気付く者は少なく、地震時での適切な対応がとれないという現状がある。
【0003】
一方、近年、地震波のP波とS波(災害の元となる大きな揺れ)の速度の違いを利用して実際に大きな揺れが来る前に地震が来ることを通報できる緊急地震速報システムが現実化してきている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
緊急地震速報システムを用いて実際に大きな揺れが来る前に自動車の運転手に適切な行動をとらせることができれば、事故の削減、緊急車両の誘導、地震後の避難、さらには復旧支援に有効に活用できる。
【0005】
また、運転者に緊急車両の通過を知らせるために信号機の表示制御を行う信号装置が提案されている(例えば特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2001−307265号公報
【特許文献2】特開2003−66152号公報
【特許文献3】特開2005−315872号公報
【特許文献4】特開平6−243390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、現在の交通システムでは、これらの情報を表示できる表示パネルの設置場所は限られており、多くの運転手に事前に地震発生の情報を伝えることは困難であった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、地震が発生する前に地震が来ることを通報し、より多くの運転者に適切な行動を取らせることができる交通制御システム、及び、交通制御サーバ、交通制御方法、並びに、交通制御プログラム、交通制御機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、各地に設置された地震計からの地震情報を検出して、地震情報を提供する地震速報通知サーバと、交通を制御する交通制御機器と、地震速報通知サーバからの地震情報を受信し、受信した地震情報に基づいて各エリア毎の予測地震情報を取得し、取得した予測地震情報が閾値を超える場合に対応するエリアの交通制御機器を制御し、所定以上の規模の地震波(S波)が到達する旨の通報を行う交通制御サーバとを有することを特徴とする。
【0009】
交通制御サーバは、エリア状況情報が設定可能とされており、交通制御機器は交通制御サーバのエリア状況情報を一定時間毎に参照し、エリア状況情報が正常状態になったときに通常の交通制御動作に戻ることを特徴とする。
【0010】
交通制御機器は、信号機であり、信号機は信号表示の他、文字が表示可能な表示パネルから構成されており、交通制御サーバから予測地震情報が閾値を超えた旨通知されたとき青色の信号表示を行っていた場合、黄色の信号表示に変更し、黄色信号表示から一定時間経過後に赤色の信号表示に変更し、その後、所定以上の規模の地震波(S波)が到達する旨の文字情報を表示することを特徴とする。
【0011】
信号機は、交通制御サーバから予測地震情報の地震の到達予測時間に基づいて黄色信号の表示時間を切り換えることを特徴とする。
【0012】
交通制御機器は、交通情報放送局であり、交通情報放送局は交通制御サーバからの地震情報に含まれる地震の到達予測時間に基づいてその放送内容を切り換えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、各地に設置された地震計からの地震情報を検出して、地震情報を提供する地震速報通知サーバからの通知に基づいて交通を制御する交通制御機器を制御する交通制御サーバであって、地震速報通知サーバからの地震情報を受信し、受信した地震情報に基づいて各エリア毎の予測地震情報を取得し、取得した予測地震情報が閾値を超える場合に対応するエリアの前記交通制御機器を制御し、所定以上の規模の地震波(S波)が到達する旨の通報を行う予測震度処理部と、地震速報通知サーバからの地震情報を受信し、受信した地震情報に基づいて、各エリア毎の実地震情報を取得し、取得した実地震情報に基づいて交通制御機器を制御し、避難誘導情報の通報を行う実震度処理部とを有することを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明は、各地に設置された地震計からの地震情報を検出して、地震情報を提供する地震速報通知サーバと、交通を制御する交通制御機器とを有し、地震速報通知サーバからの地震情報を受信し、受信した地震情報に基づいて各エリア毎の予測地震情報を取得し、取得した予測地震情報が閾値を超える場合に対応するエリアの交通制御機器を制御し、所定以上の規模の地震波(S波)が到達する旨の通報を行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、コンピュータに、各地に設置された地震計からの地震情報を検出して、地震情報を提供する地震速報通知サーバからの地震情報を受信する手順と、受信した地震情報に基づいて各エリア毎の予測地震情報を取得する手順と、取得した予測地震情報が閾値を超える場合に対応するエリアの交通制御機器を制御し、所定以上の規模の地震波(S波)が到達する旨の通報させる手順とを実行させることを特徴とする。
【0016】
地震速報通知サーバからの地震情報を受信し、受信した地震情報に基づいて、各エリア毎の実地震情報を取得し、取得した実地震情報に基づいて交通制御機器を制御し、避難誘導情報の通報を行う手順を有することを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明は、交通制御を行う交通制御機器において、交通制御サーバと通信を行う通信手段と、交通情報を通知する通報手段と、通信手段により交通制御サーバから予測地震情報が閾値を超えた旨通知されたとき通報手段を制御して、所定以上の規模の地震波(S波)が到達する旨の通報を行う制御手段とを有することを特徴とする。
【0018】
通報手段は信号表示の他、文字が表示可能な表示パネルから構成された信号機であり、制御手段は交通制御サーバから前記予測地震情報が閾値を超えた旨通知されたとき表示パネルに青色の信号表示を行っていた場合、黄色の信号表示に変更し、黄色信号表示から一定時間経過後に赤色の信号表示に変更し、その後、所定以上の規模の地震波(S波)が到達する旨の文字情報を前記表示パネルに表示させることを特徴とする。
【0019】
制御手段は、通信手段を通して交通制御サーバのエリア状況情報を一定時間毎に参照し、エリア状況情報が正常状態に設定されたときに通報手段の動作を通常の交通制御動作に戻すことを特徴とする。制御手段は交通制御サーバから予測地震情報の地震の到達予測時間に基づいて黄色信号の表示時間を切り換えることを特徴とする。通報手段は放送施設であり、制御手段は交通制御サーバからの地震情報に含まれる地震の到達予測時間に基づいて放送施設から放送される内容を切り換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、地震速報通知サーバからの地震情報を受信し、受信した地震情報に基づいて各エリア毎の予測地震情報を取得し、取得した予測地震情報が閾値を超える場合に対応するエリアの前記交通制御機器を制御し、所定以上の規模の地震波(S波)が到達する旨の通報を行い、地震速報通知サーバからの地震情報を受信し、受信した地震情報に基づいて、各エリア毎の実地震情報を取得し、取得した実地震情報に基づいて交通制御機器を制御し、避難誘導情報の通報を行うことにより、より多くの運転者に所定以上の規模の地震が発生することを事前に通報することができ、運転者に適切な行動を取らせることができる。これによって、地震に起因する事故などを未然防ぐことができる。また、地震に伴う災害などに対しても速やかに対応することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
〔システム構成〕
図1は本発明の一実施例のシステム構成図を示す。
【0022】
本実施例の交通制御システム100は、地震計111、地震速報通知サーバ112、交通制御サーバ113、交通制御機器114がネットワーク115を介して通信可能な構成とされている。
【0023】
地震計111は、全国各地に設置されており、設置位置での震度を計測し、ネットワーク115を介して地震速報通知サーバ112に通知する。
【0024】
地震速報通知サーバ112は、地震計111からの地震情報を受けて、震源地などを含む地震情報(速報)を生成し、ネットワーク115を介して交通制御サーバ113に通知する。また、地震速報通知サーバ112は、地震計111からS波に関する地震情報を受けて、検出した震度を、ネットワーク115を介して交通制御サーバ113に通知する。
【0025】
交通制御サーバ113は、地震速報通知サーバ112から通知された地震情報に基づいて各エリア毎の予測震度を取得し、取得した予測震度が閾値を超えるエリア内の交通制御機器114を制御して、地震が発生する前に車両の避難、誘導を行う。
【0026】
交通制御機器114は、例えば、信号機121、標識122、案内板123、地域(高速)道路交通情報放送局124などであり、交通制御サーバ113からの指示に基づいて青色灯、黄色灯、赤色灯、方向指示灯などの点灯タイミング及び表示が制御される。
【0027】
〔地震計111〕
図2は地震計111のブロック構成図を示す。
【0028】
地震計111は、地震検出部131、信号処理部132、通信制御部133から構成されている。地震検出部131は、設置場所のP波、S波などの地震に関する情報を検出する。地震検出部131で検出された情報は、信号処理部132に供給される。信号処理部132は、地震検出部131で検出された情報に地震計IDなどの付加的な情報を付与して、通信制御部133に供給する。通信制御部133は、ネットワーク115を介した通信の制御を行っており、信号処理部132からの指示により地震計IDなどの付加的な情報が付与された情報を、ネットワーク115を介して地震速報通知サーバ112に通知する。
【0029】
〔地震速報通知サーバ112〕
図3は地震速報通知サーバ112のブロック構成図を示す。
【0030】
地震速報通知サーバ112は、コンピュータシステムであり、通信制御部141、処理部142、データベース143を有する構成とされている。
【0031】
通信制御部141は、ネットワーク115を通じた通信の制御を行っており、地震計111から地震に関する情報を受信すると、処理部142に供給する。処理部142は、受信した地震に関する情報及びデータベース143を参照し、震源地、地震のエネルギーを示すマグニチュードなどを計算して、通信制御部141に供給する。データベース143は、震源地、地震のエネルギーを示すマグニチュードなど地震計の設置場所や情報の通知先などの情報が記憶されている。
【0032】
通信制御部141は、処理部142の指示により発生した地震の震源地、及び、そのマグニチュードなどの情報を交通制御サーバ113に通知する。
【0033】
〔交通制御サーバ113〕
図4は交通制御サーバ113のブロック図を示す。
【0034】
交通制御サーバ113は、コンピュータシステムから構成されており、通信制御部161、予測震度処理部162、実震度処理部163、機器制御処理部164、データベース165などから構成されている。
【0035】
通信制御部161は、ネットワーク115を通じた通信の制御を行っており、地震速報通知サーバ112から供給された発生した地震の震源地、及び、そのマグニチュードなどの情報を予測震度処理部162に供給する。
【0036】
予測震度処理部162は、データベース165を参照し、発生した地震の震源地、及び、そのマグニチュードなどの情報に基づいて各エリアの予測震度を計算し、計算した予測震度が基準震度より大きいときには機器制御処理部164を起動して交通制御機器114を、ネットワーク115を介して制御することにより、地震発生前に事前に交通制御を行う。
【0037】
実震度処理部163は、地震が発生した後に地震速報通知サーバ112からの地震に関する情報の続報により、ネットワーク115を介して交通制御機器114を制御して、避難誘導を行う処理を行う。
【0038】
機器制御処理部164は、予測震度処理部162及び実震度処理部163からの指示に基づいてネットワーク115を介して交通制御機器114を制御する処理を行う。
【0039】
図5はデータベース165のデータ構成図、図6は制御エリアを説明するための図を示す。
【0040】
データベース165は、エリアデータベース171、及び、機器データベース172から構成されている。
【0041】
エリアデータベース171は、図5(A)に示すようにエリアコード、エリア位置情報、制御情報、エリア情報などを含む構成とされている。エリアコードは、エリアを識別するための情報である。
【0042】
エリア位置情報は、例えば、北西端緯度、経度、南東端緯度、経度、中心点緯度、経度などの情報から構成されており、エリアの範囲を特定する情報である。
【0043】
制御情報は、地震計ID、及び、基準地震情報から構成されている。地震計IDは、エリアに最も近接した地震計を識別する情報である。基準地震情報は、交通制御を行う震度の閾値を示す情報である。
【0044】
エリア情報は、最大予測震度、最大実震度、エリア状況などの情報から構成されている。最大予測震度は、地震速報通知サーバ112から供給される発生した地震の震源地、及び、そのマグニチュード、各地の震度などから予測震度処理部162で算出された予測震度のうちの最大震度である。最大実震度は、そのエリアでの最大震度であり、近接した地震計により検出された震度のうちの最大震度である。エリア状況情報は、そのエリアが被害を受けている可能性があるかを示しており、このエリア状況情報が「OK」となると、予測震度処理部162、及び、実震度処理部163による交通制御が解除される。
【0045】
エリアコード「123410」のエリアは、図6に示すように上側を北とすると、左上隅の座標が「北緯39度8分55秒」、「東経144度40分05秒」、右下隅の座標が「北緯39度3分55秒」、「東経144度47分35秒」であり、中心座標が「北緯39度6分25秒」、「東経144度43分20秒」である。このエリアに近接する地震計のIDは「x0001」であり、予測震度が「4.5」以上のときにエリア内の交通制御機器114を制御する。
【0046】
また、図5(A)では最大予測震度が「2.0」、最大実震度が「1.5」とされ、基準震度「4.5」より小さいので、そのエリア状況は「OK」とされている。
【0047】
機器データベース172は、機器の設置位置やその表示に関する情報が記憶されており、図5(B)に示すように機器ID、機器種別、位置情報、エリアコード、IPアドレス、表示情報などを含む構成とされている。
【0048】
機器IDは、交通制御機器114を識別するための情報である。
【0049】
機器種別は、交通制御機器114の種別を識別するための情報であり、例えば、信号機、標識、案内板などの種別が記憶される。
【0050】
位置情報は、緯度、及び、経度から構成されており、交通制御機器114の設置座標を示している。
【0051】
エリアコードは、対応する交通制御機器114が属するエリアを識別するコードである。IPアドレスは、対応する交通制御機器114のIPアドレスである。
【0052】
表示情報は、避難場所情報、メッセージ、標識コードなどから構成されており、対応する交通制御機器114に表示する情報が格納される。
【0053】
図6(B)に示すように機器ID「A00001」の交通制御機器114は、機器種別が「信号機」であり、「北緯39度7分10秒」、「東経144度41分05秒」の座標位置、エリアコード「123410」のエリアに設置されている。また、そのIPアドレスは、「120.168.25.10」である。
【0054】
この交通制御機器114では、震度「4.5」以上の予測震度が検出されると、「車を路肩に寄せて停止」する旨の表示が行われる。また、実震度処理においては避難場所として「A公園」である旨の表示が行われる。また、機器ID「B00001」の交通制御機器114は、機器種別が「道路標識」であり、「北緯39度5分10秒」、「東経144度43分05秒」の座標位置、エリアコード「123410」のエリアに設置されている。また、そのIPアドレスは、「120.168.25.20」である。この交通制御機器114では震度「4.5」以上の予測震度が検出されると、標識コード「050」が通知され、標識を標識コード「050」の表示に切り換える。さらに、機器ID「C00001」の交通制御機器114は、機器種別が「案内板」であり、「北緯39度4分10秒」、「東経144度45分05秒」の座標位置、エリアコード「123410」のエリアに設置されている。また、そのIPアドレスは、「120.168.25.30」である。この交通制御機器114では震度「4.5」以上の予測震度が検出されると、「車を路肩に寄せて停止」する旨の表示が行われる。また、実震度処理においては避難場所として「C公園」である旨の表示が行われる。
【0055】
〔交通制御機器114〕
まず、信号機121について説明する。
【0056】
図7は信号機121のブロック構成図を示す。
【0057】
信号機121は、従来のように赤・黄・青の三色の電球または発光ダイオードを点灯させるだけの構成ではなく、信号部分を1枚の発光ダイオード表示パネルで構成したものであり、表示面に文字などの表示が可能な構成とされている。信号機121は、通信制御部181、処理部182、表示制御回路183、発光ダイオード表示パネル184、出力回路185、スピーカ186などから構成されている。
【0058】
通信制御部181は、ネットワーク115を介して交通制御サーバ113と通信を行う。処理部182は、交通制御サーバ113からの指示に基づいて表示制御回路183を制御し、発光ダイオード表示パネル184の表示を制御する。また、処理部182は、交通制御サーバ113からの指示に基づいて出力回路185を制御し、スピーカ186から警報を音声により出力する。
【0059】
表示制御回路183は、処理部182からの指示に基づいて発光ダイオード表示パネル184を制御する。
【0060】
発光ダイオード表示パネル184は、発光ダイオードをアレイ状に並べた構成とされており、少なくとも赤色、黄色、青色の発色が可能とされた表示パネルであり、通常の信号機と同様の表示が可能とされているとともに、文字、キャラクタの表示が可能とされている。
【0061】
出力回路185は、処理部182からの指示に基づいてスピーカ186を駆動する。スピーカ186は出力回路185により駆動されて音声を出力する。
【0062】
信号機121は、通常時状態ではこれまでの信号機のように三色の部分を丸く従来の色に表示させ、一般の信号機として動作させる。地震発生時は各信号機の現場にS波が到達する前に、赤信号はそのまま、黄信号は赤信号に、青信号は黄色を経て赤信号に推移させ、各交差点の車両を全車停止させる。その後、信号機の表示パネルの内容を信号表示から文字表示に替え、何秒後にどれくらいのゆれの地震が到達することを、文字をスクロールさせるなどの方法で運転手に知らせる。またどういった行動を取るべきか、揺れの収まった後にどうするべきかなどの情報を流す。
【0063】
図8は標識122のブロック構成図を示す。
【0064】
標識122は、表示が切り替え可能な標識であり、通信制御部201、処理部202、表示制御回路203、標識表示部204、出力回路205、スピーカ206から構成されている。
【0065】
通信制御部201は、ネットワーク115を介して交通制御サーバ113と通信を行う。処理部202は、交通制御サーバ113から通知される標識コードに基づいて表示制御回路203を制御し、標識表示部204の表示を制御する。例えば、一方通行、駐車禁止の標識表示を進入禁止の標識表示に切り換える。
また、処理部202は、交通制御サーバ113からの指示に基づいて出力回路205を制御し、スピーカ206から警報を音声により出力する。
【0066】
表示制御回路203は、処理部202からの指示に基づいて標識表示部204を制御する。
【0067】
標識表示部204は、標識を切換可能な標識であり、アレイ状に並べた構成とされており、少なくとも赤色、黄色、青色、白色等、標識に使用される各色の発色が可能とされた表示パネルであり、通常の標識と同様の表示が可能とされているとともに、文字、キャラクタの表示が可能とされている。
【0068】
出力回路205は、処理部202からの指示に基づいてスピーカ206を駆動する。スピーカ206は出力回路205により駆動されて音声を出力する。
【0069】
図9は案内板123のブロック構成図を示す。
【0070】
案内板123は、表示が切り替え可能な表示パネルであり、通信制御部211、処理部212、表示制御回路213、案内表示部214、出力回路215、スピーカ216から構成されている。
【0071】
通信制御部211は、ネットワーク115を介して交通制御サーバ113と通信を行う。処理部212は、交通制御サーバ113から通知されるメッセージに基づいて表示制御回路213を制御し、案内表示部214に交通制御サーバ113からのメッセージを表示させる。例えば、図5(B)の表示情報に格納されたメッセージ「車を路肩に寄せて停止」旨の表示を行わせる。
【0072】
また、処理部212は、交通制御サーバ113からの指示に基づいて出力回路215を制御し、スピーカ216から警報を音声により出力する。
【0073】
表示制御回路213は、処理部212からの指示に基づいて案内表示部214を制御する。
【0074】
案内表示部214は、電光掲示板などから構成されており、文字、キャラクタなどの表示が可能とされている。
【0075】
出力回路215は、処理部212からの指示に基づいてスピーカ216を駆動する。スピーカ216は出力回路215により駆動されて音声を出力する。
【0076】
地域(高速)交通情報放送局124は、コンピュータシステム及び放送施設を有する。また、地域(高速)交通情報放送局124のコンピュータシステムはテキスト音声化機能を有し、交通制御サーバ113からの地震情報をコンピュータシステムで解析して、地震情報に基づいて予め記憶されているメッセージなどのテキストデータを音声に変換して放送施設から放送することが可能な構成とされている。
【0077】
〔動作〕
次に本実施例の交通制御システム100の動作を説明する。
【0078】
図10は、交通制御サーバ113の予測地震処理の処理フローチャートを示す。
【0079】
交通制御サーバ113は、ステップS1−1で地震速報通知サーバ112から地震速報を受信すると、ステップS1−2でエリアコードを初期化する。
【0080】
次に交通制御サーバ113は、ステップS1−3で地震速報通知サーバ112からの地震の震源地、マグニチュードなどに基づいて設定されたエリアの予測震度を計算する。予測震度の計算は、例えば、設定されたエリアの震源地からの距離、マグニチュード、地殻構造などに基づいて既存の計算手法を用いて算出する。
【0081】
交通制御サーバ113は、ステップS1−4でエリアデータベース171の対応するエリアの最大予測震度を参照して、算出された予測震度が最大予測震度より大きいか否かを判定する。交通制御サーバ113は、ステップS1−4で算出された予測震度が最大予測震度より大きければ、ステップS1−5でエリアデータベース171の対応するエリアの基準震度を参照して、最大予測震度が基準震度より小さいか否かを判定する。
【0082】
交通制御サーバ113は、ステップS1−5で最大予測震度が基準震度より小さい場合には、ステップS1−6で算出された予測震度が基準震度より大きいか否かを判定する。交通制御サーバ113は、ステップS1−6で算出された予測震度が基準震度より大きければ、地震による災害の危険性があると判断して、ステップS1−7で算出された予測震度をエリアデータベース171の最大予測震度として格納した後、ステップS1−8でエリアデータベース171のエリア状況に被害の可能性がある旨の情報を設定する。次に交通制御サーバ113は、ステップS1−9で交通制御機器114を制御する機器制御処理を実行する。
【0083】
また、交通制御サーバ113は、ステップS1−6で算出された予測震度が基準震度より小さければ、地震による災害の危険性はないと判断して、ステップS1−10で算出された予測震度をエリアデータベース171の最大予測震度として格納する。
【0084】
交通制御サーバ113は、ステップS1−11で全エリアに対して上記ステップS1−3〜S1−10の処理が済んだか否かを判定する。交通制御サーバ113は、ステップS1−11で全エリアに対して上記のステップS1−3〜S1−10の処理が済んでいない場合にはステップS1−12で次のエリア抽出し、ステップS1−3に戻って次のエリアに対して上記ステップS1−3〜S1−10の処理を実行する。
【0085】
また、交通制御サーバ113は、ステップS1−11で全エリアに対して上記ステップS1−3〜S1−10の処理が済んだ場合には、ステップS1−13で地震速報通知サーバ112から最新速報を取得する。交通制御サーバ113は、ステップS1−14で地震速報通知サーバ112から取得した速報が終報であれば、処理を終了し、終報でなければ、ステップS1−2に戻ってエリアコードを初期化して、ステップS1−3〜S1−13の処理を継続する。
【0086】
以上により、基準震度より大きい予測震度が算出されたときには、交通制御機器114が制御される。
【0087】
〔機器制御処理〕
次に、ステップS1−9での機器制御処理について説明する。
【0088】
図11は、交通制御サーバ113の予測震度処理時の機器制御処理の処理フローチャートを示す。
【0089】
交通制御サーバ113は、ステップS2−1でエリアコードをキーとしてデータベース165の機器データベース172を参照して、機器制御処理を実行するエリアに属する交通制御機器114の機器情報を取得する。交通制御サーバ113はステップS2−2で機器IDを初期化する。
【0090】
次に交通制御サーバ113は、ステップS2−3で取得した機器情報から機器種別が信号機か否かを判定する。交通制御サーバ113は、ステップS2−3で機器種別が信号機である場合には、ステップS2−4で予測震度信号機制御処理を実行する。
【0091】
次に交通制御サーバ113は、ステップS2−5で取得した機器情報から機器種別が標識か否かを判定する。交通制御サーバ113は、ステップS2−5で機器種別が標識である場合には、ステップS2−6で予測震度標識制御処理を実行する。
【0092】
次に交通制御サーバ113は、ステップS2−7で取得した機器情報から機器種別が案内板か否かを判定する。交通制御サーバ113は、ステップS2−7で機器種別が案内板である場合には、ステップS2−8で予測震度案内板制御処理を実行する。
【0093】
交通制御サーバ113は、ステップS2−9、S2−10で順次に次機器情報を取得し、エリアに属する全機器に対して上記ステップS2−3〜S2−9の処理を実行する。
【0094】
予測震度信号機制御処理、及び、予測震度標識制御処理、並びに、予測震度案内板制御処理では、対応する交通制御機器114にIPアドレスに基づいて表示情報を送信する。
【0095】
〔予測震度信号機制御処理〕
次に、ステップS2−4の予測震度信号機制御処理について説明する。
【0096】
まず、信号機121の動作を説明する。
【0097】
図12は、信号機121の処理フローチャート、図13は信号機121の動作説明図を示す。
【0098】
図13において表示パネル184には青色表示部191、黄色表示部192、赤色表示部193を有する。
【0099】
信号機121は、ステップS3−1で交通制御サーバ113から制御信号を受信すると、ステップS3−2で現信号色を取得する。信号機121は、ステップS3−3で図13(A)に示すように現信号色が青色のときには、ステップ3−4で図13(B)に示すように青色表示部191を消去し、黄色表示部192を表示する。
【0100】
信号機121は、ステップS3−5で一定時間経過すると、ステップS3−6で図13(C)に示すように黄色表示部192を消去し、赤色表示部193を表示する。
【0101】
以上により、青色から黄色、黄色から赤色に一定時間毎に順次に変更される。これによって、車両を通常動作により速やかに停止させることができる。また、ステップS3−7で現信号色が黄色であった場合には、ステップS3−6で通常の動作により赤色に変更することにより車両を通常動作により速やかに停止させることができる。
【0102】
信号機121は、赤色表示部193が表示され、車両が停止した後、ステップS3−9で図13(D)に示すように交通制御サーバ113から通知された「車を路肩に寄せて停止」というメッセージ194を青色表示部191、及び、黄色表示部192の表示部分に表示する。
【0103】
また、信号機121は、ステップS3−10〜S3−12で残り秒数をカウントダウンし、図13(E)に示すように交通制御サーバ113から通知される到達予測秒数及び予測震度などの情報を到達予測時刻となるまで青色表示部191、及び、黄色表示部192の表示部分に表示する。
【0104】
また、このとき、同時に音声により周囲に地震が発生する旨の情報を報知してもよい。これによって、車両の運転者だけでなく、信号機121の周囲の歩行者にも大きな地震の発生を報知することができる。
【0105】
なお、メッセージは、青色表示部191、及び、黄色表示部192の表示部分でスクロールすることにより表示するようにしてもよい。これによって、大きな文字で、より多くの情報を表示させることができる。
【0106】
これによって運転者などに適切な行動を促すことができる。
【0107】
次に標識122の動作を説明する。
【0108】
図14は、標識122の処理フローチャートを示す。
【0109】
標識122は、ステップS4−1で交通制御サーバ113から制御信号を受信すると、ステップS4−2で制御信号中に含まれる識別コードを抽出する。標識122は、ステップS4−3で識別コードに基づいて標識表示部204を制御して、標識の表示を変更する。例えば、一方通行、あるいは、駐停車禁止、駐車禁止などの標識であったものを車両通行止めなどの表示に変更する。また、スピーカ206を駆動して大きな地震が発生する旨の報知を行うようにしてもよい。これによって、運転者は車両を停止させるので、大きな地震に対応することが可能となる。
【0110】
次に案内板123の動作を説明する。
【0111】
図15は、案内板123の処理フローチャートを示す。
【0112】
案内板123は、ステップS5−1で交通制御サーバ113から制御信号を受信すると、ステップS5−2で制御信号中に含まれたメッセージを抽出する。案内板123は、ステップS5−3で抽出されたメッセージ及び到達予測時刻を案内表示部214に表示する。また、このとき、案内板123は、ステップS5−4〜S5−5で残り秒数をカウントダウンし、メッセージ表示とともに到達予測時刻をカウントダウンしつつ、表示する。
【0113】
例えば、案内表示部214に「車を路肩に寄せて停止」というメッセージを表示する。また、交通制御サーバ113から通知される到達予測秒数及び予測震度などの情報を到達予測時刻となるまでカウントダウンするようにしてもよい。さらに、スピーカ216を駆動して大きな地震が発生する旨の報知を行うようにしてもよい。
【0114】
以上は、地震が発生する前に事前に地震が発生する旨の通報を行う処理である。
【0115】
〔実震度処理〕
次に、地震波(S波)が到達した後の実震度処理について説明する。
【0116】
図16は、交通制御サーバ113の実震度処理の処理フローチャートを示す。
【0117】
交通制御サーバ113は、ステップS6−1で地震速報通知サーバ112から各地の実震度、及び、その地震計IDなどの実地震情報を受信する。
【0118】
交通制御サーバ113は、ステップS6−2で地震速報通知サーバ112からの実地震情報に基づいてエリアを判定する。交通制御サーバ113は、ステップS6−3でエリアデータベース171を参照して、対応するエリアの基準震度と実震度とを比較し、実震度が基準震度より大きいか否かを判定する。
【0119】
交通制御サーバ113は、ステップS6−3で実震度が基準震度より大きい場合には、ステップS6−4でエリアデータベース171のエリア状況に被害の可能性がある旨の情報を設定する。次に交通制御サーバ113は、ステップS6−5で実震度処理時の機器制御処理を実行する。
【0120】
次にステップS6−5の実震度処理時の機器制御処理について説明する。
【0121】
図17は、交通制御サーバ113の実震度処理時の機器制御処理の処理フローチャートを示す。
【0122】
交通制御サーバ113は、まず、ステップS7−1で機器データベース172からエリアに属する機器情報を取得し、ステップS7−2で機器IDを初期化する。次に、交通制御サーバ113は、ステップS7−3で機器種別が信号機である場合には、ステップS7−4で実震度信号機制御処理を実行し、ステップS7−5で機器種別が標識である場合には、ステップS7−6で実震度標識制御処理を実行し、ステップS7−7で機器種別が案内板である場合には、ステップS7−8で実震度案内板制御処理を実行する。
【0123】
交通制御サーバ113は、ステップS7−9、S7−10でエリアに属する全ての交通制御機器114に対してステップS7−3〜ステップS7−8の処理が実行されるように処理を実行する。
【0124】
まず、ステップS7−4の実震度信号機制御処理について説明する。
【0125】
図18は、信号機121の実震度処理の処理フローチャートを示す。
【0126】
信号機121は、ステップS8−1で避難場所などのメッセージを表示している状態で、ステップS8−2、S8−3で一定時間毎に交通制御サーバ113のエリアデータベース171のエリア状況情報を参照し、エリア状況が「OK」か否かを判定する。
【0127】
信号機121は、ステップS8−3でエリア状況が「OK」となると、ステップS8−4で信号機121の動作を通常の制御状態に戻す。
【0128】
次にステップS7−6の実震度標識制御処理について説明する。
【0129】
図19は、標識122の実震度処理の処理フローチャートを示す。
【0130】
標識122は、ステップS9−1で車両通行止めなどの地震発生時の標識表示を行っている状態で、ステップS9−2、S9−3で一定時間毎に交通制御サーバ113のエリアデータベース171のエリア状況情報を参照し、エリア状況が「OK」となると、ステップS9−4で標識122の標識表示を通常の状態に戻す。
【0131】
次にステップS7−8の実震度案内板制御処理について説明する。
【0132】
図20は、案内板123の実震度処理の処理フローチャートを示す。
【0133】
案内板123は、ステップS10−1で避難場所などのメッセージを表示している状態で、ステップS10−2、ステップS10−3で一定時間毎に交通制御サーバ113のエリアデータベース171のエリア状況情報を参照し、エリア状況が「OK」か否かを判定する。
【0134】
案内板123は、ステップS10−3でエリア状況が「OK」となると、ステップS10−4で案内板123の動作を通常の制御状態に戻す。
【0135】
このように、交通制御サーバ113のエリアデータベース171のエリア状況情報の設定によって信号機121、標識122、案内板123の状態を通常の状態に戻すので、各エリアの状況を確認した後に、信号機121、標識122、案内板123の動作を通常の制御状態に戻すことができる。
【0136】
以上、本実施例によれば、緊急地震速報システムを利用して交通信号の制御を行うともに、揺れが来る前に地震が何秒後にどれくらいの揺れで到達するかの予測情報を運転手に告知することができる。
【0137】
〔変形例〕
なお、本実施例では、予測震度信号機制御処理において、予測震度が基準震度以上のときに信号機121を所定時間毎に順次に赤色に遷移させるようにしたが、地震の到達までの時間によって信号を変化させるようにしてもよい。
【0138】
図21は本変形例の信号機121のブロック構成図、図22は信号機121の予測震度制御処理の変形例の処理フローチャート、図23は信号機121の表示例を示す図である。図21において図7と同一構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。また、図22において図12と同一ステップには同一符号を付し、その説明は省略する。
【0139】
本変形例の信号機121は、テーブル187を有する。テーブル187は、地震到達時間と黄色表示の表示時間とを対応づけるテーブルであり、図21では、地震までの時間tが「t≧10」の場合には、黄色表示の表示時間を「6秒」とし、地震までの時間tが「10>t≧6」の場合には、黄色表示の表示時間を「5秒」とし、地震までの時間tが「6>t」の場合には、黄色表示の表示時間を「4秒」とする設定となっている。
【0140】
処理部182は、交通制御サーバ113から地震情報が通知されると、テーブル187を参照して、黄色表示時間を制御している。
【0141】
信号機121は、ステップS3−4、S3−7で黄色表示とされると、ステップS3−21でテーブル187を参照する。テーブル187は、地震到達時間と黄色表示との関係を示している。信号機121の処理部182は、交通制御サーバ113から地震情報が通知されると、テーブル187を参照して、黄色表示時間を制御する。
交通制御サーバ113から通知される地震情報に含まれる地震の到達予測時間が10秒以上の場合には、ステップS3−22で6秒経過した後、ステップS3−6で黄色表示から赤色表示に変更する。即ち、黄色を6秒間点灯させた後に、黄色を消灯し、赤色を点灯させる。
【0142】
また、信号機121は、ステップS3−23で交通制御サーバ113から通知される地震情報に含まれる地震の到達予測時間が6秒以上10秒未満の場合には、ステップS3−24で5秒経過した後、ステップS3−6で黄色表示から赤色表示に変更する。即ち、黄色を5秒間点灯させた後に、黄色を消灯し、赤色を点灯させる。
【0143】
さらに、信号機121は、ステップS3−23で交通制御サーバ113から通知される地震情報に含まれる地震の到達予測時間が6秒以上10秒未満でない場合、すなわち、6秒未満の場合には、ステップS3−25で4秒経過した後、ステップS3−6で黄色表示から赤色表示に変更する。即ち、黄色を4秒間点灯させた後に、黄色を消灯し、赤色を点灯させる。
【0144】
地震到達までの時間が、黄色表示の最低限必要時間以下の場合、例えば4秒間、または黄色表示の最低限必要時間以上でも車が停止するのに十分な時間がない場合、図22に示すように黄色表示と同時にメッセージ195を表示するなどして、地震情報を早く伝えてもよい。
【0145】
さらに、到達予測時間だけでなく、地震の予測震度に基づいて震度が大きいほど車を早く停止させるために信号機121の表示事項を切り換えるようにしてもよい。
【0146】
また、上記の黄色信号を表示する時間を判断するための値を信号機121の設置場所に応じて、テーブルに保持し、判断するようにしても良い。
【0147】
〔地域(高速)道路交通情報放送局124〕
図24は地域(高速)道路交通情報放送局124のコンピュータシステムの処理フローチャートを示す。
【0148】
地域(高速)道路交通情報放送局124のコンピュータシステムは、ステップS11−1で交通制御サーバ113から地震情報を受信すると、ステップS11−2で地震情報を解析し、地震到達予測時間を参照する。地域(高速)道路交通情報放送局124のコンピュータシステムは、ステップS11−3で地震到達予測時間が12秒以上の場合には、ステップS11−4で第1のメッセージのテキストデータを音声に変換して、放送施設に供給し、放送システムから第1のメッセージの音声を放送する。例えば、第1のメッセージは、「15秒後に震度6の地震が来ますのでハザードランプを点けて車のスピードを落としてください。」などのメッセージである。
【0149】
次に地域(高速)道路交通情報放送局124のコンピュータシステムは、ステップS11−5で地震到達予測時間が6秒以上12秒未満の場合には、ステップS11−6で第2のメッセージのテキストデータを音声に変換して、放送施設に供給し、放送施設から第2のメッセージの音声を放送する。例えば、第2のメッセージは、「7秒後に地震が来ますのでスピードを落としてください。」などのメッセージであり、第1のメッセージに比べてその読み上げ速度を上げる。
【0150】
また、地域(高速)道路交通情報放送局124のコンピュータシステムは、ステップS11−7で地震到達予測時間が6秒未満の場合には、ステップS11−8で第3のメッセージのテキストデータを音声に変換して、放送施設に供給し、放送システムから第3のメッセージの音声を放送する。例えば、第3のメッセージは、「地震が来ますのでスピードを落としてください。」などのメッセージであり、第2のメッセージに比べて更にその読み上げ速度を上げる。
【0151】
地域(高速)道路交通情報放送局124は、ステップS11−9で残り秒数が0秒以下になるまでステップS11−10でカウントダウンを行い、ステップS11−3〜S11−8を繰り返す。
【0152】
なお、カーナビゲーションシステム装着車の場合には、表示機能を有するので、上記第1〜第3のメッセージを音声出力するとともに、ディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0153】
なお、地震の規模によっては電源そのものが切断されることが予測されるため、各信号機121には予備バッテリーや太陽光発電などによる予備電源を備え、地震後も情報を流し続けることができるようにしてもよい。さらに、交通制御機器114は、災害時のケーブル切断などを考慮し、無線LANを備えるようにしてもよい。
【0154】
また、信号機121の制御方法としては、運転者の動揺、勘違いなどを防ぐため、赤信号を点灯したまま、他の領域を使用して情報を流すようにしている。これは、例えば、赤点滅とすると、勝手に動きだすことになるためである。さらに、赤信号から青信号に変わった直後に、当交通制御システム100により黄信号に変わった場合に、そのまま進もうとするドライバーと停止しようとするドライバーの判断の違いにより追突事故が発生しうるため、信号制御で黄信号に変わる時、青信号の時間が短い場合はスピーカ186を鳴動させてサイレンを鳴らすなど注意を促すとともに黄信号に変えるようにしてもよい。また、基準震度を設定することにより予測震度が弱震度の場合、混乱を防ぐためにも特に制御しないようにしている。
【0155】
このように、本実施例によれば、信号制御に関してはこれまでのITSと同様であるが交通情報表示装置の設置数の限界があるが、信号機121そのものが表示パネルとして活用できるので、飛躍的に多くの運転手に適切な情報を伝えることができるようになる。もちろん、このシステムは地震時以外にも通常の緊急車両誘導などや避難誘導などにも使えることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の一実施例のシステム構成図である。
【図2】地震計111のブロック構成図である。
【図3】地震速報通知サーバ112のブロック構成図である。
【図4】交通制御サーバ113のブロック構成図である。
【図5】データベース165のデータ構成図である。
【図6】制御エリアを説明するための図である。
【図7】信号機121のブロック構成図である。
【図8】標識122のブロック構成図である。
【図9】案内板123のブロック構成図である。
【図10】交通制御サーバ113の予測震度処理の処理フローチャートである。
【図11】交通制御サーバ113の予測震度処理時の機器制御処理の処理フローチャートである。
【図12】信号機121の処理フローチャートである。
【図13】信号機121の動作説明図である。
【図14】標識122の処理フローチャートである。
【図15】案内板123の処理フローチャートである。
【図16】交通制御サーバ113の実震度処理の処理フローチャートである。
【図17】交通制御サーバ113の実震度処理時の機器制御処理の処理フローチャートである。
【図18】信号機121の実震度処理の処理フローチャートである。
【図19】標識122の実震度処理の処理フローチャートである。
【図20】案内板123の実震度処理の処理フローチャートである。
【図21】本変形例の信号機121のブロック構成図である。
【図22】信号機121の予測震度制御処理の変形例の処理フローチャートである。
【図23】信号機121の表示例を示す図である。
【図24】地域(高速)道路交通情報放送局124のコンピュータシステムの処理フローチャートである。
【符号の説明】
【0157】
100 交通制御システム
111 地震計、112 地震速報通知サーバ、113 交通制御サーバ
114 交通制御機器、115 ネットワーク
121 信号機、122 標識、123 案内板
124 地域(高速)道路交通情報放送局
131 地震検出部、132 信号処理部、133 通信制御部
141 通信制御部、142 処理部、143 データベース
161 通信制御部、162 予測震度処理部、163 実震度処理部
164 機器制御処理部、165 データベース
171 エリアデータベース、172 機器データベース
181 通信制御部、182 処理部、183 表示制御回路
184 発光ダイオード表示パネル、185 出力回路、186 スピーカ
187 テーブル
191 青色表示部、192 黄色表示部、193 赤色表示部
194、195 メッセージ
201 通信制御部、202 処理部、203 表示制御回路、204 標識表示部
205 出力回路、206 スピーカ
211 通信制御部、212 処理部、213 表示制御回路、214 案内表示部
215 出力回路、216 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各地に設置された地震計からの地震情報を検出して、地震情報を提供する地震速報通知サーバと、
交通を制御する交通制御機器と、
前記地震速報通知サーバからの地震情報を受信し、受信した地震情報に基づいて各エリア毎の予測地震情報を取得し、取得した予測地震情報が閾値を超える場合に対応するエリアの前記交通制御機器を制御し、所定以上の規模の地震波(S波)が到達する旨の通報を行う交通制御サーバとを有することを特徴とする交通制御システム。
【請求項2】
前記交通制御サーバは、エリア状況情報が設定可能とされており、
前記交通制御機器は、前記交通制御サーバの前記エリア状況情報を一定時間毎に参照し、前記エリア状況情報が正常状態になったときに通常の交通制御動作に戻ることを特徴とする請求項1記載の交通制御システム。
【請求項3】
前記交通制御機器は、信号機であり、
前記信号機は、信号表示の他、文字が表示可能な表示パネルから構成されており、
前記交通制御サーバから前記予測地震情報が閾値を超えた旨通知されたとき青色の信号表示を行っていた場合、黄色の信号表示に変更し、黄色信号表示から一定時間経過後に赤色の信号表示に変更し、その後、所定以上の規模の地震が発生する旨の文字情報を表示することを特徴とする請求項1記載の交通制御システム。
【請求項4】
前記信号機は、前記交通制御サーバから前記予測地震情報の地震の到達予測時間に基づいて前記黄色信号の表示時間を切り換えることを特徴とする請求項3記載の交通制御システム。
【請求項5】
前記交通制御機器は、交通情報放送局であり、
前記交通情報放送局は、前記交通制御サーバからの地震情報に含まれる地震の到達予測時間に基づいてその放送内容を切り換えることを特徴とする請求項1記載の交通制御システム。
【請求項6】
各地に設置された地震計からの地震情報を検出して、地震情報を提供する地震速報通知サーバからの通知に基づいて交通を制御する交通制御機器を制御する交通制御サーバであって、
前記地震速報通知サーバからの地震情報を受信し、受信した地震情報に基づいて各エリア毎の予測地震情報を取得し、取得した予測地震情報が閾値を超える場合に対応するエリアの前記交通制御機器を制御し、所定以上の規模の地震波(S波)が到達する旨の通報を行う予測震度処理部と、
前記地震速報通知サーバからの地震情報を受信し、受信した地震情報に基づいて、各エリア毎の実地震情報を取得し、取得した実地震情報に基づいて前記交通制御機器を制御し、避難誘導情報の通報を行う実震度処理部とを有することを特徴とする交通制御サーバ。
【請求項7】
各地に設置された地震計からの地震情報を検出して、地震情報を提供する地震速報通知サーバと、交通を制御する交通制御機器とを有し、
前記地震速報通知サーバからの地震情報を受信し、受信した地震情報に基づいて各エリア毎の予測地震情報を取得し、取得した予測地震情報が閾値を超える場合に対応するエリアの前記交通制御機器を制御し、所定以上の規模の地震波(S波)が到達する旨の通報を行うことを特徴とする交通制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、
各地に設置された地震計からの地震情報を検出して、地震情報を提供する地震速報通知サーバからの地震情報を受信する手順と、
受信した地震情報に基づいて各エリア毎の予測地震情報を取得する手順と、
取得した予測地震情報が閾値を超える場合に対応するエリアの前記交通制御機器を制御し、所定以上の規模の地震波(S波)が到達する旨の通報させる手順とを実行させることを特徴とするコンピュータに読み取り可能な交通制御プログラム。
【請求項9】
前記地震速報通知サーバからの地震情報を受信し、受信した地震情報に基づいて、各エリア毎の実地震情報を取得し、取得した実地震情報に基づいて前記交通制御機器を制御し、避難誘導情報の通報を行う手順を有することを特徴とする請求項8記載の交通制御プログラム。
【請求項10】
交通制御を行う交通制御機器において、
交通制御サーバと通信を行う通信手段と、
交通情報を通知する通報手段と、
前記通信手段により前記交通制御サーバから前記予測地震情報が閾値を超えた旨通知されたとき前記通報手段を制御して、所定以上の規模の地震波(S波)が到達する旨の通報を行う制御手段とを有することを特徴とする交通制御機器。
【請求項11】
前記通報手段は、信号表示の他、文字が表示可能な表示パネルから構成された信号機であり、
前記制御手段は、前記交通制御サーバから前記予測地震情報が閾値を超えた旨通知されたとき前記表示パネルに青色の信号表示を行っていた場合、黄色の信号表示に変更し、黄色信号表示から一定時間経過後に赤色の信号表示に変更し、その後、所定以上の規模の地震が発生する旨の文字情報を前記表示パネルに表示させることを特徴とする請求項10記載の交通制御機器。
【請求項12】
前記制御手段は、前記通信手段を通して前記交通制御サーバのエリア状況情報を一定時間毎に参照し、前記エリア状況情報が正常状態に設定されたときに前記通報手段の動作を通常の交通制御動作に戻すことを特徴とする請求項10記載の交通制御機器。
【請求項13】
前記制御手段は、前記交通制御サーバから前記予測地震情報の地震の到達予測時間に基づいて前記黄色信号の表示時間を切り換えることを特徴とする請求項11記載の交通制御機器。
【請求項14】
前記通報手段は、放送施設であり、
前記制御手段は、前記交通制御サーバからの地震情報に含まれる地震の到達予測時間に基づいて前記放送施設から放送される内容を切り換えることを特徴とする請求項10記載の交通制御機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−323364(P2007−323364A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152766(P2006−152766)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(591106864)富士通エフ・アイ・ピー株式会社 (95)
【Fターム(参考)】