説明

交通情報を表示するナビゲーション装置、交通情報表示方法

【課題】地図画面に含まれない地点の交通情報を表示する。
【解決手段】外部から受信した交通情報の表示を行うナビゲーション装置1において、交通情報解析部108は、表示装置12に表示されている地図に含まれない地点の交通情報を抽出し、主制御部100は、表示処理部108に指示して、前記交通情報の発生地点の方向に対応する、前記地図の辺に沿った帯状領域に、前記交通情報を前記地図に重畳させて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載されるナビゲーション装置に関し、特に、外部から取得した交通情報を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
VICS(登録商標、Vehicle Information and Communication System)情報を用いて、渋滞などの道路交通情報を表示してユーザに提供するナビゲーション装置が知られている(特許文献1)。VICS情報の表示の態様は、VICS情報のレベル(レベル1〜3)によって異なる。レベル1の場合、例えば、渋滞地点の名称や渋滞距離、所定の地点間の所要時間などを表現した文章が表示される。レベル2の場合、例えば、道路線形を簡易に表した図形に、渋滞箇所を赤色やオレンジ色を付したり、文字を付したりした画像が表示される。レベル3の場合、渋滞箇所、通行規制箇所や駐車場マークなどが道路地図に重畳されて表示される。
【0003】
【特許文献1】特開2004−354212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなナビゲーション装置は、VICS情報(例えば、レベル1、レベル2)を受信すると、VICS情報から生成した交通情報の画像を所定時間(例えば、15秒)表示する。そのため、交通情報の表示が消去された後、ユーザは、交通情報を見ることができなくなる。そして、ユーザは、交通情報を再度見るために、メニュー操作などにより見たい交通情報を指定して表示させるか、ナビゲーション装置が新たなVICS情報を受信するまで待つ必要がある。また、表示された画像の大きさや位置によっては、ユーザは、車両の現在地を確認できなくなり不都合な場合がある。
【0005】
また、上記のようなナビゲーション装置は、VICS情報(例えば、レベル3)を受信して、地図情報に交通情報を重畳して表示する。しかしながら、設定された縮尺の地図情報でディスプレイに表示されない地点の交通情報を見る場合、ユーザは、地図情報の縮尺を変更して広域地図を表示する操作を行うか、地図画面をスクロールする必要がある。このような操作は、ユーザにとって煩わしい。また、広域地図を表示する操作によっても、ユーザは、広域地図で表示可能な範囲外の地点の交通情報を見ることはできない。また、ユーザは、運転中はできる限り車両の現在地付近の情報を知りたいため、画面のスクロールをさせたくない。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決すべくなされたものであり、ナビゲーション装置において、表示されている地図画面に含まれない地点の交通情報を、ユーザに分かり易い態様で表示する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、外部から受信した交通情報の表示を行うナビゲーション装置であって、矩形の表示対象領域の地図を表示する地図表示手段と、前記地図表示手段により表示されている地図に含まれない地点に対応付けられた交通情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された交通情報を、前記地図に重畳させて表示する交通情報表示手段と、を有する。また、前記交通情報表示手段は、前記取得手段により取得された交通情報が対応付けられている地点の方向に対応する、前記地図の辺に沿った帯状領域に、前記交通情報を前記地図に重畳させて表示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態が適用される、ナビゲーション装置のハードウェア構成および機能構成の概略を示すブロック図である。先ず、ナビゲーション装置1のハードウェア構成について説明する。
【0010】
ナビゲーション装置1は、車両などに搭載され、地図情報、経路情報、渋滞情報などの交通情報を表示してユーザを誘導するナビゲーション処理を行うための装置である。もちろん、ナビゲーション装置1は、車両に備え付けられたものでなくてもよく、例えば、持ち運び可能なPND(Personal Navigation Device)などであってもよい。ナビゲーション装置1は、制御装置10と、表示装置12と、入力装置14と、音声入出力装置16と、記憶装置18と、各種センサ20と、GPS(Global Positioning System)受信装置22と、FM多重放送・ビーコン受信装置24と、通信装置26とを有する。もちろん、ナビゲーション装置1の構成は、上記に限られず、例えば、地上デジタル放送用のチューナーを備えていてもよい。
【0011】
制御装置10は、上記の各装置を制御し、様々な処理を行う中心的ユニットである。制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリを備える。他の装置と通信を制御するためのインタフェースを備えていてもよい。制御装置10は、例えば、各種センサ20やGPS受信装置22から出力される情報を用いて現在地を算出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図情報を記憶装置18から読み出す。また、読み出した地図情報をグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねて表示装置12へ表示する。また、地図情報を用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を算出して、表示装置12へ表示する。また、音声入出力装置16を用いてユーザを誘導するための音声を出力する。また、入力装置14を介して、ユーザの要求を受け付け、要求に対応する処理を実行する。また、FM多重放送・ビーコン受信装置24や通信装置26を介して、情報センターから交通情報などを受信して表示する。
【0012】
表示装置12は、制御装置10で生成されたグラフィックス情報を表示する装置であり、例えば、液晶表示装置などからなる。
【0013】
入力装置14は、ユーザからの指示を受け付けるための装置である。入力装置14は、例えば、表示装置12の画面上に貼られたタッチパネル、ジョイスティック、キーボードなどのハードスイッチなどで構成される。
【0014】
音声入出力装置16は、制御装置10で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換し出力する。また、ユーザが発した声を認識し制御装置10にその内容を転送する処理を行う。
【0015】
記憶装置18は、制御装置10が各種処理を実行するために必要な、プログラムやデータ、ナビゲーション処理に使用される地図情報、音声認識に使用される音声辞書(いずれも図示せず)などを格納する。これらの情報は、制御装置10のCPUによってメモリ上に読み出されて使用される。記憶装置18は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などで構成される。図2を参照して、地図情報について説明する。
【0016】
図2に示すように、地図情報1810は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)1811ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ1820を含んでいる。リンクデータ1820は、リンクID1821ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報1822、リンクを含む道路の種別情報1823、リンクの長さを示すリンク長情報1824、リンク旅行時間1825、2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)1826、リンクに含まれる車線の数を示す車線数1827などを含んでいる。リンクの道路種別には、有料道路か否かの情報が格納されている。
【0017】
図1に戻って、各種センサ20は、車両の現在位置の算出するためのデータを収集する装置であり、例えば、車速センサ、ジャイロセンサなどからなる。収集されたデータは、制御装置10に送られて、ナビゲーション処理に使用される。
【0018】
GPS受信装置22は、GPS衛星からの信号を受信して、車両の現在位置を示す位置情報を生成するための装置である。生成された位置情報は、制御装置10に送られて、ナビゲーション処理に使用される。
FM多重放送・ビーコン受信装置24は、VICSセンタから送られてくる交通情報を、FM多重放送電波や、道路上に設置された電波ビーコンや光ビーコンなど(いずれも図示せず)を介して受信するための装置である。受信された交通情報は、制御装置10に送られて交通情報の表示に使用される。
【0019】
電波ビーコンや光ビーコンは、設置地点付近を通過する車両に対して交通情報を送信し、FM多重放送は、それらよりも広域の通信エリアをカバーする。ビーコンによって送られる交通情報には、位置情報、行先案内、駐車場案内等の各種静的情報と、比較的狭いエリアの渋滞情報(リンク情報、渋滞の開始位置および終了位置、渋滞の混雑度、原因など)及び臨時の交通規制(区間、原因等)等の各種動的情報が含まれる。FM多重放送で送られる交通情報には、比較的広いエリアでの渋滞情報、気象情報、臨時の交通規制等の各種動的情報が含まれる。
【0020】
通信装置26は、例えば、一般的な携帯電話で構成され、VICSセンタや他の情報センタから送られてくる交通情報を、携帯電話回線および基地局を介して受信するための装置である。また、車両が収集した交通情報などを情報センタに送信する。
【0021】
次に、図1を参照して、ナビゲーション装置1の機能構成について説明する。
【0022】
制御装置10は、主制御部100と、現在地算出部102と、経路算出部104と、交通情報解析部106と、表示処理部108と、ユーザ操作受付部110とを備える。これらの機能部は、制御装置10のCPUが、記憶装置18からプログラムやプログラムの実行に必要なデータをメモリ上にロードし、プログラムを実行することにより構築される。
【0023】
主制御部100は、様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の処理部を制御する。また、主制御部100は、ナビゲーション装置1の本来の基本動作であるナビゲーション処理(例えば、交通情報の表示、現在位置の表示、経路探索、経路誘導等)を実施する。具体的には、現在地算出部102が算出した現在地周辺の地図情報を記憶装置18から読み出す。そして、読み出した地図情報に現在地情報を重ねて表示するように表示処理部108に指示する。経路算出部104が算出した経路情報がある場合は、その経路を表示させてもよい。また、交通情報解析部106を介して交通情報を取得して表示させる。また、音声入出力装置16を用いてユーザを案内する音声を出力する。また、ユーザ操作受付部110を介して受け付けたユーザの操作に対応する処理を行う。
【0024】
現在地算出部102は、所定の間隔毎(例えば、所定距離毎、所定時間毎)に、各種センサ20とGPS受信装置22とから出力される情報を用いて現在地を算出する。算出された現在地情報は、主制御部100、経路算出部104、交通情報解析部106などに送られてそれらの処理に使用される。
【0025】
経路算出部104は、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶ推奨経路の探索を行う。具体的には、まず、現在地算出部102が算出した現在地と、入力装置14や音声入出力装置16を介して入力された目的地を取得する。また、地図情報を記憶装置18から読み出す。そして、ダイクストラ法等を用いて、2地点(現在地と目的地)間を結ぶ経路を、所定の地点(ノード)を結ぶ道路(リンク)をリンクコスト(例えば、距離や旅行時間)に換算して、経路上の総コストが他の経路に対して最少となる経路を探索する。交通情報解析部106を介して取得した交通情報を用いて最適な経路を探索するようにしてもよい。
【0026】
交通情報解析部106は、VICSセンタや他の情報センタから送られてくる交通情報を、FM多重放送・ビーコン受信装置24や通信装置26を介して受け付ける。そして、受け付けた交通情報を、要求に応じていつでも取り出して使用できるように、書き込み可能なメモリ(RAMなど)に格納する。交通情報に含まれるリンクデータを地図情報1810のリンクデータに対応付けられるように変換して格納してもよい。また、交通情報解析部106は、各種交通情報を表示すべき地点が、表示対象領域の地図に含まれているか否かを判定する。この判定の結果は、交通情報の表示の制御に用いられる。
【0027】
表示処理部108は、他の機能部の指示を受け付け、表示装置12に画面を表示させるための描画コマンドを生成して出力する。例えば、指定された縮尺、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、目的地、推奨経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。
【0028】
ユーザ操作受付部110は、入力装置14を介して入力されたユーザの操作を受け付け、その操作内容を解析して、その操作内容に対応する処理が実行されるように他の機能部を制御する。また、音声入力装置16を介して入力され音声認識された語句から、対応する操作内容を解析して、その操作内容に対応する処理が実行されるように他の機能部を制御する。例えば、ユーザが推奨経路の探索を要求したときは、目的地の設定を受け付けるための地図情報やダイアログなどを表示する処理を、主制御部100に要求する。
【0029】
次に、図3〜8を参照して、ナビゲーション装置1の特徴的な動作について説明する。
【0030】
図3は、車両の進行方向の交通情報を表示する処理の流れを示すフロー図である。主制御部100は、イグニッションスイッチのオンなどによりナビゲーション装置1が起動すると、本フローを開始する。交通情報受信処理(S110、S120)と、交通情報表示処理(S210〜S260)は、それぞれ独立して動作する。
【0031】
まず、交通情報受信処理について説明する。交通情報解析部106は、FM多重放送・ビーコン受信装置24や通信装置26が受信した交通情報を取得する(S110)。電波ビーコンや光ビーコンから送られる交通情報は、車両がビーコンの設置地点付近通過したときに受信される。FM多重放送により送られる交通情報は、一定時間ごとに受信される。交通情報解析部106は、取得した交通情報を要求に応じていつでも取り出して使用できるようにメモリに格納し(S120)、S110に戻る。
【0032】
次に、交通情報表示処理について説明する。本処理は、表示対象領域(例えば、車両の現在地を中心とする予め定められた距離内の領域)の地図に含まれない地点の交通情報を表示するための処理である。具体的には、表示対象領域の地図は、設定された縮尺により、表示装置12のディスプレイに表示される範囲の地図である。例えば、図5に示すように、車両の現在地が地点501である場合、表示対象領域は領域500であり、その内側の地図がディスプレイに表示される。領域500の外側の地図は、表示されない。すなわち、本処理は、領域500に含まれない交通情報(例えば、渋滞511、512、513、514)を、領域500内の地図とともに表示するものである。なお、本処理は、主制御部100によるナビゲーション処理(地図、現在地、経路などの表示)と並行してもしくは同時に実行される。また、交通情報を受信したタイミングとは無関係に実行される。また、表示対象領域に含まれる地点の交通情報の表示は、公知の方法により、例えば、道路に渋滞情報を重ねて表示すればよい。以下、渋滞情報の表示を例に挙げて説明する。
【0033】
まず、交通情報解析部106は、メモリに格納されている交通情報から渋滞情報を読み出す(S210)。渋滞情報には、渋滞している道路の、リンク情報、渋滞の開始位置および終了位置、渋滞の混雑度(例えば、渋滞、混雑、順調など)、原因などが含まれる。
【0034】
また、交通情報解析部106は、読み出した渋滞情報の中に、表示対象領域に含まれない地点の渋滞情報があるか否かを判定する(S220)。具体的には、現在地算出部102が算出した現在地の周辺の地図情報を記憶装置18から取得する。そして、渋滞情報に含まれる各道路のリンク情報と、取得した地図情報を比較することにより、表示対象領域の地図に含まれない地点に渋滞情報があるか否かを判定する。ここでは、車両が走行中の道路上の進行方向の渋滞情報を対象とする。表示対象領域外に渋滞情報が少なくとも一つあると判定した場合(S220でYES)、S230に進む。一方、表示対象領域外の渋滞情報がないと判定した場合(S220でNO)、S210に戻る。
【0035】
表示対象領域外に渋滞情報があると判定された場合(S220でYES)、主制御部100は、所定の方法により、表示する渋滞情報を選択する(S230)。具体的には、例えば、現在地算出部102が算出した現在地と、地図情報とを用いて、車両が走行中の道路上の進行方向の渋滞情報のうち、現在地から最も近い渋滞情報を1つ選択する。もちろん、表示する情報の選択は、上記の方法に限られず、例えば、複数の交通情報を選択するようにしてもよい。ユーザが設定できるようにしてもよい。
【0036】
表示する渋滞情報を選択すると、主制御部100は、表示処理部108に指示して渋滞情報(渋滞方面)を表示する(S240)。
【0037】
具体的に図6(A)を参照して説明する。表示処理部108は、表示装置12の表示領域600全体に、表示対象領域の地図情報611を表示し、重ねて現在地マーク612を表示する。また、渋滞情報画像621を、表示領域600の上端の辺に沿った帯状の領域620に、所定の表示態様で、地図情報611に重畳させて表示する。ここでは、表示領域600の上端の辺の中心から、表示領域600の下端側に放射状に広がる色付きの画像を点滅させて表示する。渋滞情報画像621は、表示領域600の上端の辺の中心から離れるに従って、地図情報を透視できるように透明度が増加するグラデーションを施して表示される。渋滞情報画像621の色は、選択された渋滞情報に含まれる混雑度に対応する、予め定められた色(例えば、渋滞ならば赤色、混雑ならばオレンジ色)である。1つの色を使用する場合は、混雑度に応じて濃度を変化させてもよい。もちろん、表示態様は上記に限られず、例えば、図6(B)に示すように、渋滞情報画像621の面積を混雑度に応じて増減させる(例えば、渋滞なら面積を大きく、混雑なら小さくする)ようにしてもよい。また、渋滞地点までの距離に応じて、面積を増減させたり、色の濃度を変化させたりするようにしてもよい。また、図8(F)に示すように、渋滞情報画像621として、表示領域600の上端の辺から離れるに従って、地図情報を透視できるように一様に透明度が増加するグラデーションを施した色付きの画像を点滅させて表示させてもよい。
【0038】
また、主制御部100は、表示処理部108に指示して、図7(C)に示すように、表示領域600の右上端など、車両の進行方向の地図情報の表示が隠れない位置に、メッセージ615を表示する。メッセージ615には、渋滞情報、地図情報、現在地情報などを用いて得られた情報、例えば、渋滞地点までの残距離や到着時間や、渋滞の方向を示す矢印を表示する。また、主制御部100は、入力装置14およびユーザ操作受付部110を介して、メッセージ615が表示された領域上のユーザの押下操作を受け付けると、図7(D)に示すような、メッセージ616を表示処理部108に指示して表示する。メッセージ616には、メッセージ615に表示した情報に加え、更に詳細な情報、例えば、渋滞原因、交通規制などを表示する。
【0039】
以上のようにして渋滞情報(渋滞方面)の表示を開始すると(S240)、主制御部100は、表示している渋滞情報画像621に対応する渋滞情報(S230で選択した情報)が、表示対象領域内に含まれることとなったか否かを判定する(S250)。具体的には、主制御部100は、S230で選択した渋滞情報のリンク情報と、現在地算出部102が算出した現在地と、地図情報とを用いて、渋滞情報が表示対象領域に入ったか否かを、所定の間隔毎(例えば、一定時間毎や一定距離毎)に監視する。表示対象領域に入っていないと判定した場合、S250に戻る。一方、表示対象領域に入ったと判定した場合、S260に進む。
【0040】
渋滞情報が表示対象領域に入ったと判定した場合(S250でYES)、主制御部100は、表示処理部108に指示して渋滞情報の表示を消去し(S260)、S210に戻る。具体的には、表示処理部108は、渋滞情報画像621を消去する。なお、表示対象領域に含まれる地点の交通情報の表示は、公知の方法により、例えば、道路に渋滞情報を重ねて表示すればよい。
【0041】
以上のようにして、主制御部100は、図3のフローを実行する。なお、表示している渋滞情報画像621に対応する渋滞情報に変化があった場合、例えば、混雑度が変わった場合、渋滞情報画像621の表示態様を変化させればよい。また、表示している渋滞情報より、近い地点の渋滞情報を新たに受信した場合、新たに受信した渋滞情報を表示するようにすればよい。
【0042】
図4は、車両の進行方向以外の方向の交通情報を表示する処理の流れを示すフロー図である。図3の処理と同様に、主制御部100は、イグニッションスイッチのオンなどによりナビゲーション装置1が起動すると、本フローを開始する。以下、図3の処理と異なる点を中心に説明する。なお、本フローと、交通情報表示処理(S210〜S260)は、それぞれ独立して動作する。
【0043】
まず、主制御部100は、車両が所定の交差点まで所定距離内となったか否かを判定する(S305)。具体的には、主制御部100は、現在地算出部102が算出した現在地と地図情報を用いて、現在地が所定の交差点まで所定距離になったか否かを判定する。所定の交差点は、例えば、2車線以上の道路が交わる比較的大きな交差点などである。ユーザが設定できるようにしてもよい。所定距離内でないと判定した場合、S305に戻る。一方、所定距離内であると判定した場合、S310に進む。S310は、S210(図3)と同様なので説明を省略する。
【0044】
交通情報解析部106は、読み出した渋滞情報の中に、表示対象領域に含まれない地点の渋滞情報があるか否かを判定する(S320)。具体的には、現在地算出部102が算出した現在地の周辺の地図情報を記憶装置18から取得する。そして、渋滞情報に含まれる各道路のリンク情報と、取得した地図情報を比較することにより、表示対象領域の地図に含まれない地点に渋滞情報があるか否かを判定する。ここでは、車両から所定距離内の交差点(S305)から分岐する、車両の進行方向以外の道路の渋滞情報を対象とする。表示対象領域外に渋滞情報が少なくとも一つあると判定した場合(S320でYES)、S330に進む。一方、表示対象領域外に渋滞情報がないと判定した場合(S320でNO)、S305に戻る。
【0045】
表示対象領域外に渋滞情報があると判定された場合(S320でYES)、主制御部100は、所定の方法により、表示する渋滞情報を選択する(S330)。具体的には、例えば、現在地算出部102が算出した現在地と地図情報を用いて、車両から所定距離内の交差点から分岐する、車両の進行方向以外の道路の渋滞情報のうち、交差点から最も近い渋滞情報を各道路ごとに選択する。もちろん、表示する情報の選択は、上記の方法に限られず、例えば、複数の交通情報を選択するようにしてもよい。ユーザが設定できるようにしてもよい。
【0046】
表示する渋滞情報を選択すると、主制御部100は、表示処理部108に指示して渋滞情報を表示する(S340)。交差点の左折方向の渋滞情報を表示する場合を例に説明する。具体的には、図8(E)に示すように、車両から所定距離内の交差点を示す交差点マーク613を表示するとともに、渋滞情報画像631を、表示領域600の左端の辺に沿った帯状の領域630に、所定の表示態様で、地図情報611に重畳させて表示する。また、主制御部100は、メッセージ617を表示する。渋滞情報画像631の表示態様は、渋滞情報画像621と同様である。
【0047】
以上のようにして渋滞情報の表示を開始すると(S340)、主制御部100は、車両が交差点を通過したか否かを判定する(S350)。具体的には、現在地算出部102が算出した現在地と地図情報とを用いて、車両が交差点を通過したか否かを、所定の間隔毎(例えば、一定時間毎や一定距離毎)に監視する。通過していないと判定した場合、S350に戻る。一方、通過したと判定した場合、S360に進む。なお、車両が交差点を左折や右折などした場合、図3の処理を開始すればよい。
【0048】
車両が交差点を通過したと判定した場合(S350でYES)、主制御部100は、表示処理部108に指示して渋滞情報の表示を消去し(S360)、S305に戻る。具体的には、表示処理部108は、渋滞情報画像631および交差点マーク613を消去する。
【0049】
以上のようにして、主制御部100は、図4のフローを実行する。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明した。この実施形態によれば、ナビゲーション装置は、表示されている地図画面に含まれない地点の交通情報を、ユーザに分かり易い態様で表示することができる。すなわち、ユーザは、何ら操作をしなくても、通常は表示されない地点の交通情報を、視覚を通じて簡単に認識することができる。また、表示される交通情報の態様、位置によって、ユーザは、交通情報を直感的に認識し、渋滞などを回避するためのルートを予測して運転することができる。また、所定時間で交通情報の表示が消えたりしないため、ユーザはいつでも交通情報を確認できる。また、交通情報の表示よって現在位置とその周辺の情報の表示が隠れないため、ユーザは不安にならない。
【0051】
以上、本発明について、例示的な実施形態と関連させて記載した。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかであることは明白である。したがって、上に記載の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。
【0052】
例えば、表示対象領域の地図に含まれない地点の天気に関連する情報、例えば、晴れ、雨、雪などの情報や、気温、降水確率、チェーン規制などの情報を、帯状の領域620や630(図8参照)に表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】ナビゲーション装置のハードウェア構成および機能構成の概略を示すブロック図。
【図2】地図情報のデータ構造を説明するための図。
【図3】車両の進行方向の交通情報を表示する処理の流れを示すフロー図。
【図4】車両の進行方向以外の方向の交通情報を表示する処理の流れを示すフロー図。
【図5】表示対象領域と交通情報の関係を説明するための図。
【図6】車両の進行方向の渋滞方面表示の画面例を示す図。
【図7】車両の進行方向の渋滞方面表示の画面例を示す図。
【図8】車両の進行方向および進行方向以外の方向の渋滞方面表示の画面例を示す図。
【符号の説明】
【0054】
1・・・ナビゲーション装置、10・・・制御装置、12・・・表示装置、14・・・入力装置、16・・・音声入出力装置、18・・・記憶装置、20・・・各種センサ、22・・・GPS受信装置、24・・・FM多重放送・ビーコン受信装置、26・・・通信装置、100・・・主制御部、102・・・現在地算出部、104・・・経路算出部、106・・・交通情報解析部、108・・・表示処理部、110・・・ユーザ操作受付部、
1800・・・地図データ、1811・・・メッシュID、1820・・・リンクデータ、1821・・・リンクID、1822・・・座標情報、1823・・・道路種別情報、1824・・・リンク長情報、1825・・・リンク旅行時間、1826・・・接続リンクID、1827・・・車線数
500・・・領域、501・・・地点、511・・・渋滞、512・・・渋滞、513・・・渋滞、514・・・渋滞、
600・・・表示領域、611・・・地図情報、612・・・現在地マーク、620・・・領域、621・・・渋滞情報画像、615・・・メッセージ、616・・・メッセージ、613・・・交差点マーク、617・・・メッセージ、630・・・領域、631・・・渋滞情報画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から受信した交通情報の表示を行うナビゲーション装置であって、
矩形の表示対象領域の地図を表示する地図表示手段と、
前記地図表示手段により表示されている地図に含まれない地点に対応付けられた交通情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された交通情報を、前記地図に重畳させて表示する交通情報表示手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記交通情報表示手段は、
前記取得手段により取得された交通情報が対応付けられている地点の方向に対応する、前記地図の辺に沿った帯状領域に、前記交通情報を前記地図に重畳させて表示すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記取得手段は、
車両の進行方向の、前記地図に含まれない地点に対応付けられた交通情報を取得し、
前記交通情報表示手段は、
前記地図の上端の辺に沿った帯状領域に、前記交通情報を前記地図に重畳させて表示すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記取得手段は、
車両の現在地から所定距離内にある交差点について、車両の進行方向以外の方向の、前記地図に含まれない地点に対応付けられた交通情報を取得し、
前記交通情報表示手段は、
前記地図の前記方向に対応する辺に沿った帯状領域に、前記交通情報を前記地図に重畳させて表示すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項2、3および4いずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記取得手段が取得する交通情報は、渋滞情報であること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置であって、
前記交通情報表示手段は、
前記渋滞情報を、前記帯状領域が沿う辺の中心から放射状に広がる色付きの画像に、辺の中心から離れるに従って地図情報を透視できるように透明度が増加するグラデーションを施して表示すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項5に記載のナビゲーション装置であって、
前記交通情報表示手段は、
前記渋滞情報を、前記帯状領域が沿う辺から離れるに従って地図情報を透視できるように一様に透明度が増加するグラデーションを施した色付きの画像として表示すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
外部から受信した交通情報の表示を行うナビゲーション装置における交通情報表示方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
表示対象領域の地図を表示する地図表示ステップと、
前記地図表示ステップにおいて表示されている地図に含まれない地点に対応付けられた交通情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された交通情報を、前記地図に重畳させて表示する交通情報表示ステップと、
を行うことを特徴とする交通情報表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−25134(P2009−25134A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188208(P2007−188208)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】