説明

位相同期ループ回路及び信号発生装置

【課題】回路規模の大幅な増大を招かずに、早期に所望の周波数を有する信号を出力することができる位相同期ループ回路及び当該回路を備える信号発生装置を提供する。
【解決手段】位相同期ループ回路1は、PLL部10と、PLL部10から出力される信号S1の周波数をPLL部10の同調周波数帯域に高速に引き込むためのプリチューン信号S26を生成するプリチューン信号生成部20とを備えている。プリチューン信号生成部20は、PLL部10から出力される信号S1の周波数をカウントするカウンタ21、カウンタ21でカウントされた信号S1の周波数とプリチューン周波数との誤差を示す誤差値が所定の閾値よりも小であるか否かを判定する誤差判定部23、及び誤差判定部23の判定によって誤差値が所定の閾値よりも小となるときのPLL部10に与えられるプリチューン信号S26を記憶するメモリ25を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相同期ループ回路及び当該回路を備える信号発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
信号発生装置は、内部又は外部の基準信号を元にして広周波数帯域の標準信号を発生する装置である。この信号発生装置の代表的なものとして、位相同期ループ回路(PLL(Phase Locked Loop)回路)を備えるPLL周波数シンセサイザが挙げられる。近年においては、出力される信号の周波数を位相同期ループ回路の同調周波数帯域に高速に引き込むためのプリチューン回路を備える位相同期ループが開発されている。
【0003】
図8は、従来の位相同期ループ回路の構成を示すブロック図である。図8に示す通り、従来の位相同期ループ回路100は、発振器101、位相検出器102、ループフィルタ103、加算器104、電圧制御発振器(以下VCOという)105、及びプリチューン回路106を備える。発振器101の出力信号は位相検出器102の一方の入力端子に入力されており、位相検出器102の出力信号はループフィルタ103を介して加算器104の一方の入力端子に入力されている。加算器104の出力信号は、VCO105に制御信号として入力されている。VCO105の出力信号は、外部に出力されるとともに、位相検出器102の他方の入力端子及びプリチューン回路106を介して加算器104の他方の入力端子に入力されている。
【0004】
図9は、図8中のプリチューン回路106の構成を示すブロック図である。尚、図9において、図8に示すブロックと同一のものには同一の符号を付している。図9に示す通り、プリチューン回路106は、カウンタ111、基準周波数源112、レシプロカルカウント方式の基準カウンタ113、及びコンパレータ114を備えている。カウンタ111は、VCO105の出力信号の周波数をクロックとしてカウントアップし、一定数をカウントする毎に分周パルスP101を出力する。基準周波数源112は、所定周波数の基準パルスP100を出力する。
【0005】
基準カウンタ113は、カウンタ111から出力される分周パルスP101と基準周波数源112から出力される基準パルスP100とを入力とし、カウンタ111から分周パルスP101が出力されている間に基準周波数源112の基準パルスP100をカウントし、そのカウントデータを出力する。コンパレータ114は、基準カウンタ113から出力されるカウントデータと設定端子T101を介して入力される周波数設定値とを比較し、カウントデータで示される周波数が周波数設定値に対して所定周波数よりも離れている場合には、スイッチ108を駆動する制御パルスを出力する。尚、スイッチ108の一端は電流源107に接続されており、スイッチ108の他端はVCO105とコンデンサ109との接続点に接続されている。
【0006】
上記構成において、VCO105から信号が出力されると、この信号は外部に出力されるとともに、位相検出器102の他方の入力端子及びプリチューン回路106に入力される。VCO105の出力信号がプリチューン回路106に入力されると、カウンタ111でカウントされて一定数をカウントする毎に分周パルスP101が基準カウンタ113に出力される。分周パルスP101が入力されると、基準カウンタ113は基準周波数源112から出力される基準パルスP100をカウントし、そのカウントデータを出力する。
【0007】
コンパレータ114は、基準カウンタ113のカウントデータで示される周波数と設定端子T101を介して入力される周波数設定値とを比較し、カウントデータで示される周波数が周波数設定値に対して所定周波数よりも離れている場合には、スイッチ108を駆動する制御パルスを出力する。スイッチ108が駆動されてオン状態になると、VCO105の制御電圧が上昇し、これによりVCO105の出力信号の周波数も高くなる。VCO105の出力信号の周波数が予め設定された周波数帯域内に入るまでプリチューン回路106が以上の動作を繰り返すことにより、位相同期ループ回路100から出力される信号の周波数が位相同期ループ回路100の同調周波数帯域に高速に引き込まれることになる。尚、以上説明した従来の位相同期ループ回路の詳細については、以下の特許文献を参照されたい。
【特許文献1】特開2004−158940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した従来の位相同期ループ回路100が備えるプリチューン回路106では、カウンタ111から分周パルスP101が出力されたときに、基準周波数源112から出力される基準パルスP100を基準カウンタ113でカウントしている。このため、カウンタ111から出力される分周パルスP101よりも高い周波数の基準パルスP100を出力する基準周波数112が必要になり、また周波数の安定のためには更に水晶発振器の発振周波数を基準とした位相同期ループ回路を設ける必要もあり、回路規模が大きくなることが予想される。
【0009】
また、従来のプリチューン回路106では、位相同期ループ回路100から出力される信号の周波数が、設定された周波数帯域内に入るまでにカウント及びスイッチ108の制御が繰り返される。このため、、位相同期ループ回路100から出力される信号の周波数を目的とする周波数に収束させて移動同期が得られるまでに時間が掛かるという問題があった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、回路規模の大幅な増大を招かずに、早期に所望の周波数を有する信号を出力することができる位相同期ループ回路及び当該回路を備える信号発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の位相同期ループ回路は、制御信号(S12)を生成する制御信号生成部(14)と、当該制御信号生成部から出力される制御信号に応じた周波数を有する信号(S1)を出力する発振器(15)とを備える位相同期ループ回路(1、2)において、前記発振器から出力される信号の周波数を検出する検出部(21、22、23)と、前記検出部で検出された周波数と、前記発振器から出力される信号の周波数の初期値を規定する予備設定周波数(Fp)との差を示す誤差値(ΔF)が所定値(ΔFt)よりも小となるように、前記制御信号生成部で生成される制御信号を可変させる制御値(S26)を前記制御信号生成部に与える処理部(23、24)と、前記誤差値が前記所定値よりも小となるときの前記制御信号生成部に与えられる前記制御値を記憶する記憶部(25)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、発振器から出力される信号の周波数が検出部で検出され、検出された周波数と予備設定周波数との差を示す誤差値が求められ、この誤差値が所定値よりも小さくなるように制御信号生成部に与えられる制御値が可変され、上記の誤差値が所定値よりも小さくなるときの制御値が記憶部に記憶される。
また、本発明の位相同期ループ回路は、所定の周波数を有する周波数基準信号(S0)と前記発振器から出力される信号とを比較する比較部(12)と、前記比較部と前記制御信号生成部との間に設けられたスイッチ部(13)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の位相同期ループ回路は、前記処理部が、前記記憶部に記憶させる前記制御値を生成する場合には、前記スイッチ部を開状態にすることを特徴としている。
また、本発明の位相同期ループ回路は、前記周波数基準信号を所定の分周比で分周する分周回路(11)を備え、前記検出部は、前記分周回路から出力される信号をゲート信号として前記発振器から出力される信号の周波数をカウントするカウンタ(21)を備えることを特徴としている。
また、本発明の位相同期ループ回路は、前記処理部が、位相同期ループとしての動作を開始させる場合には、前記記憶部に記憶された制御値を前記制御信号生成部に与えることを特徴としている。
また、本発明の位相同期ループ回路は、前記記憶部に記憶された制御値が前記制御信号生成部に与えられてから所定時間経過後に前記スイッチ部を閉状態にするタイマ部(17)を備えることを特徴としている。
また、本発明の位相同期ループ回路は、前記制御信号生成部が、位相同期ループとしての動作中は、ループフィルタとして動作することを特徴としている。
更に、本発明の位相同期ループ回路は、前記発振器から出力される信号を、より低い周波数の信号に変換する変換部(41)と、前記変換部で変換された信号から必要な周波数の信号のみを通過させて前記比較部に出力するフィルタ部(42)とを備えることを特徴としている。
本発明の信号発生装置は、上記の何れかに記載の位相同期ループ回路を備え、当該位相同期ループ回路から出力される信号(S1)を用いて所定の周波数を有する標準信号を発生することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発振器から出力される信号の周波数を検出部で検出し、検出された周波数と予備設定周波数との差を示す誤差値を求めて、この誤差値が所定値よりも小さくなるように制御信号生成部に与える制御値を可変させ、上記の誤差値が所定値よりも小さくなるときの制御値を記憶部に記憶している。そして、位相同期ループとしての動作を開始させる場合には、記憶部に記憶された制御値を制御信号生成部に与えているため、極めて短い時間で制御型発振器から出力される信号の周波数を所望の周波数にすることができるという効果がある。
また、周波数基準信号を分周回路で分周した信号をゲート信号として用いて発振器から出力される信号の周波数を検出しているため、ゲート信号を生成するために別途発振器等を内蔵する必要がなく、回路規模及びコストを低減することができるという効果がある。
また、発振器から出力される信号の周波数を検出する検出部を備えているため、記憶部に制御値を記憶させる際に外部に周波数カウンタを用意する必要はない。このため、位相同期ループ回路を備える信号発生装置を製造する際に設備負担が軽減されるとともに、信号発生装置を開梱せずに制御値を求めることもできる。
更に、発振器から出力される信号を、より低い周波数の信号に変換し、変換した信号から必要な周波数の信号のみを通過させて比較部に出力しているため、回路規模の大幅な増大を招かずに、発振器から出力される信号の周波数をより高精度に制御することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による位相同期ループ回路及び信号発生装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による位相同期ループ回路の要部構成を示すブロック図である。尚、図1に示す位相同期ループ回路1は、例えばPLL周波数シンセサイザ等の信号発生装置に設けられている。図1に示す通り、本実施形態の位相同期ループ回路1は、入力される周波数基準信号S0と周波数及び位相が一致した信号S1を出力するPLL部10と、PLL部10から出力される信号S1の周波数をPLL部10の同調周波数帯域に高速に引き込むためのプリチューン信号を生成するプリチューン信号生成部20とを備えている。尚、周波数基準信号S0の周波数は、例えば1GHzである。
【0014】
PLL部10は、分周回路11、位相周波数比較器12(比較部)、スイッチ13(スイッチ部)、周波数制御信号生成回路14(制御信号生成部)、制御型発振器15(発振器)、ディジタル/アナログ変換器(以下、D/A変換器という)16、及びタイマ17(タイマ部)を備える。分周回路11は、外部から入力される分周設定信号S2で指定される分周比で周波数基準信号S0を分周する。位相周波数比較器12は、分周回路11から出力される信号S11と制御型発振器15から出力される信号S1との周波数及び位相を比較し、その比較結果を示す信号を出力する。スイッチ13は、位相周波数比較器12の出力端と周波数制御信号生成回路14の一方の入力端とに接続されており、プリチューン信号生成部20から出力されるプリチューンスイッチ制御信号S27に応じて、これらの間を開状態又は閉状態にする。
【0015】
周波数制御信号生成回路14は、位相周波数比較器12から出力されてスイッチ13を介した信号S11とD/A変換器16から出力される信号S13とを元に、制御型発振器15から出力される信号S1の周波数を調整するための周波数調整信号S12(制御信号)を出力する。制御型発振器15は、周波数制御信号生成回路14から出力される周波数調整信号S12に応じた周波数を有する信号S1を出力する。ここで、制御型発振器15は、入力される電圧値に応じて周波数を制御するもの、及び入力される電流値に応じて周波数を制御するものの何れであってもよく、また、周波数調整信号S12は制御型発振器15に合わせて電圧又は電流とすれば良い。尚、制御型発振器15から出力される信号S1は外部に出力されるとともに位相周波数比較器12にフィードバックされ、更にプリチューン信号生成部20に入力される。
【0016】
D/A変換器16は、プリチューン信号生成部20からのプリチューン信号S26とロード信号S24とを入力とし、プリチューン信号生成部20からロード信号S24が出力された時点でプリチューン信号S26を取り込み、このプリチューン信号S26をアナログ信号に変換して信号S13として周波数制御信号生成回路14に出力する。タイマ17は、プリチューン信号生成部20からのロード信号S24を入力とし、プリチューン信号生成部20からロード信号S24が出力された時点で所定時間だけ計時し、計時を終えるとその旨を示すタイマステータス信号S14をプリチューン信号生成部20に出力する。
【0017】
プリチューン信号生成部20は、カウンタ21(検出部)、カウンタ値レジスタ22(検出部)、誤差判定部23(検出部、処理部)、処理部24、メモリ25(記憶部)、D/A値レジスタ26、及び論理和回路27を備える。カウンタ21は、カウンタ21のカウント動作をイネーブルとするカウンタイネーブル設定信号S3と、PLL部10の分周回路11から出力される信号S11及び制御型発振器15から出力される信号S1とを入力としており、カウンタイネーブル設定信号S3がイネーブルである場合に、分周回路11から出力される信号S11をゲート信号として制御型発振器15から出力される信号S1をカウントする。尚、カウンタ21は、分周回路11から出力される信号S11が立ち下がる度にカウント終了信号S22を出力する。カウンタ値レジスタ22は、カウンタ21のカウンタ値S21とカウント終了信号S22とを入力としており、カウント終了信号S22が入力した時点でカウンタ値S21を取り込んで一時的に保持する。
【0018】
誤差判定部23は、外部から誤差計算命令信号S4が入力された場合に、PLL部10から出力される信号S1の周波数Foと外部から入力されるプリチューン周波数Fp(予備設定周波数)との差を示す誤差値ΔFを求め、この誤差値ΔFが予め設定された閾値ΔFt以上であるか否かを判定する。この誤差判定部23には、カウンタ値レジスタ22に保持されたカウンタ値S23及びカウンタ21から出力されるカウント終了信号S22、並びに、外部から入力される分周設定信号S2、誤差計算命令信号S4、カウンタ値を周波数に変換する変換係数Kを示す変換係数信号S5、閾値ΔFtを示す閾値信号S6、及びプリチューン周波数Fpを示すプリチューン周波数信号S7が入力されており、具体的には以下の手順で上記の誤差値ΔFを求める。尚、上記の変換係数Kを用いて周波数をカウンタ値に変換することも可能である。
【0019】
まず、誤差判定部23は、誤差計算信号S4が入力されている場合に、カウンタ21からのカウント終了信号S22が入力した時点でカウンタ値レジスタ22に保持されているカウンタ値S23を取り込む。次に、変換係数信号S5で示される変換係数Kを用いて取り込んだカウンタ値を周波数に変換し、この周波数に分周設定信号S2で指定される分周比の逆数を乗算してPLL部10から出力される信号S1の周波数Foを求める(検出する)。次いで、求めた周波数Foとプリチューン周波数信号S7で示されるプリチューン周波数Fpとの差を算出して誤差値ΔF=|Fo−Fp|を求める。そして、誤差値ΔFが閾値信号S6で示される閾値ΔFt以上であるか否かを判定する。
【0020】
処理部24は、D/A値レジスタ16に保持させるデータ(プリチューン信号S26)を決定する処理、誤差判定部23の判定結果に基づいてメモリ25にデータを記憶させる処理、PLL回路部10に設けられたスイッチ13の開閉処理、D/A値レジスタ26からプリチューン信号S16を取り込ませる処理、及びタイマ17の計時を開始させる処理を行う。メモリ25は、処理部24の制御の下で、上記の誤差値ΔFが閾値ΔFtよりも小さくなるときのD/A値レジスタ26に保持されているデータ(プリチューン信号S26)を、外部から入力されるプリチューン周波数信号S7で示されるプリチューン周波数Fpと関連付けて記憶する。
【0021】
D/A値レジスタ26は、処理部24に決定されたデータ(PLL部10のD/A変換器16に与えるプリチューン信号S26)を保持する。論理和回路27は、処理部24から出力される割り込み信号S25とPLL部10のタイマ17から出力されるタイマステータス信号S14との論理和を演算し、その演算結果をプリチューンスイッチ制御信号S27としてPLL部10のスイッチ13に出力する。
【0022】
ここで、PLL部10に設けられる周波数制御信号生成回路14の内部構成について説明する。図2は、PLL部10に設けられる周波数制御信号生成回路14の内部構成の一例を示す図である。尚、図2において、図1に示した構成と同一の構成については同一の符号を付してある。図2に示す通り、周波数制御信号生成回路14は、抵抗31、オペアンプ32、抵抗33、コンデンサ34、及び切替回路35を備えている。オペアンプ32の負入力端とスイッチ13との間には抵抗31が接続されており、オペアンプ32の正入力端は接地されている。尚、位相周波数比較器12の種類(例えば、チャージポンプ型)によっては、オペアンプ32の正入力端をある固定の電圧としても良い。また、オペアンプ32の出力端と負入力端との間には、抵抗33とコンデンサ34とが直列接続されている。以上の抵抗31、オペアンプ32、抵抗33、及びコンデンサ34からなる回路によってループフィルタが構成されている。
【0023】
切替回路35は、オペアンプ32の出力端と負入力端との間に、抵抗33及びコンデンサ34からなる回路に対して並列接続された、抵抗36とスイッチ37とが直列接続された回路と、スイッチ37とD/A変換器16との間に接続されたスイッチ38及び抵抗39が直列接続された回路とを備えている。スイッチ37,38は、論理和回路27から出力されるプリチューンスイッチ制御信号S27により開閉が制御される。つまり、スイッチ37,38は、論理和回路27からプリチューンスイッチ制御信号S27が出力されている場合には閉状態になり、プリチューンスイッチ制御信号S27が出力されていない場合には開状態になる。
【0024】
スイッチ37,38が開状態である場合には、上述の通り、抵抗31、オペアンプ32、抵抗33、及びコンデンサ34からなる回路によって、周波数制御信号生成回路14はループフィルタとして動作する。これに対し、スイッチ37,38が閉状態である場合には、周波数制御信号生成回路14は、反転増幅器として動作する。スイッチ37,38が閉状態にあると、D/A変換器16から出力される信号S13に応じてコンデンサ34の充電が行われる(収束値は抵抗39と抵抗36との比で決まる)ため、D/A変換器16からの信号によって、周波数調整信号S12を可変することができる。尚、周波数制御信号生成回路14がループフィルタとして動作する場合には、D/A変換器16は、周波数制御信号生成回路14から電気的に切り離される。このため、D/A変換器16から出力される信号S13に重畳されるノイズがPLL部10から出力される信号S1に悪影響を与えることはない。
【0025】
次に、本実施形態の位相同期ループ回路1の動作について説明する。ここで、本実施形態の位相同期ループ回路1の動作は、PLL部10のD/A変換器16に与えるプリチューン信号S16の初期値を求める第1動作と、入力される周波数基準信号S0と周波数及び位相が一致した信号S1をPLL部10で生成する第2動作とに大別することができる。以下、第1動作及び第2動作について順に説明する。
【0026】
〈第1動作〉
図3は位相同期ループ回路1の第1動作を示すフローチャートであり、図4は位相同期ループ回路1の第1動作時における各部の信号波形を示すタイミングチャートである。尚、PLL部10には、外部から所定の周波数(例えば、1GHz)を有する周波数基準信号S0と分周設定信号S2が入力されており、周波数基準信号S0は分周回路11で分周設定信号S2で指定される分周比で分周されているとする。
【0027】
位相同期ループ回路1の第1動作が開始されると、まずプリチューン信号生成部20に設けられた処理部24から割り込み信号S25が出力される。この割り込み信号S25は、論理和回路27を介してプリチューンスイッチ制御信号S27としてPLL部10に出力される。これにより、PLL部10に設けられたスイッチ13が開状態になる(ステップST11)。尚、図2に示す周波数制御信号生成回路14に設けられるスイッチ38,39は、プリチューンスイッチ制御信号S27が出力されると閉状態になり、これにより周波数制御信号生成回路14は反転増幅器として動作する。また、第1動作中においては、処理部24から常時割り込み信号S25が出力されており、図4に示す通り、プリチューンスイッチ制御信号S27は、常時H(ハイ)状態になっている。
【0028】
次に、処理部24は、外部から入力されるプリチューン周波数信号S7で示されるプリチューン周波数Fpに関連付けて記憶されているデータ(デフォルトデータ)を読み出し(ステップST12)、読み出したデータをD/A値レジスタ26に設定する(ステップST13)。次いで、処理部24は、ロード信号S24を出力してD/A値レジスタ26に設定されたデータ(プリチューン信号S26)をPLL部10のD/A変換器16に取り込ませる(ステップST14)。D/A変換器16は、取り込んだデータをアナログ信号に変換して信号S13として出力する。
【0029】
D/A変換器16からの信号S13が入力されると、周波数制御信号生成回路14に設けられたコンデンサ34(図2参照)が充電される。これにより、設定された増幅率に応じた周波数調整信号S12が周波数制御信号生成回路14から出力される(ステップST15)。そして、制御型発振器15からは、周波数調整信号S12に応じた周波数を有する信号S1が出力される(ステップST16)。
【0030】
次に、外部から入力されるカウンタイネーブル信号S3がイネーブルとされる(ステップST17)。これにより、カウンタ21は、分周回路11から出力される信号S11をゲート信号として制御型発振器15から出力される信号S1のカウントを開始する(ステップST18)。ここで、図4に示す通り、分周回路11から出力される信号S11は、制御型発振器15から出力される信号S1よりも周期が長く、カウンタ21はこの信号S11をゲート信号として信号S1をカウントする。また、図4を参照すると、信号S11がH(ハイ)状態にある間は、信号S1が入力される度にカウンタ21のカウンタ値S21が上昇し、信号S11がL(ロー)状態にある間は、カウンタ21のカウンタ値S21が維持されることが分かる。
【0031】
信号S1のカウント中に信号S11が立ち下がると、カウンタ21はカウント終了信号S22をカウンタ値レジスタ22及び誤差判定部23に出力する。カウンタ値レジスタ22は、カウンタ21からのカウント終了信号S22が入力される度に、カウンタ21のカウンタ値S21を取り込んで一時的に保持する(ステップST19)。次に、誤差判定部23は、誤差計算信号S4が入力されてから、カウンタ21から出力されるカウント終了信号S22を2回以上受け取ったか否かを判断する(ステップST20)。尚、誤差計算信号S4は、カウンタイネーブル信号S3がイネーブルにされると同時、又はカウンタイネーブル信号S3がイネーブルにされてから所定時間経過後に誤差判定部23に入力される。ステップST20の判断結果が「NO」である場合には、ステップST18に戻る。
【0032】
これに対し、ステップST20の判断結果が「YES」である場合には、誤差判定部23は、制御型発振器15から出力される信号S1の周波数Foを求める(検出する)(ステップST21)。具体的には、まず、誤差判定部23は、カウンタ21からのカウント終了信号S22が2回以上入力した時点でカウンタ値レジスタ22に保持されているカウンタ値S23を取り込む。次に、変換係数信号S5で示される変換係数Kを用いて取り込んだカウンタ値を周波数に変換し、この周波数に分周設定信号S2で指定される分周比の逆数を乗算してPLL部10から出力される信号S1の周波数Foを求める。
【0033】
次いで、誤差判定部23は、ステップST21で求めた周波数Foと外部から入力されるプリチューン周波数信号S7で示されるプリチューン周波数Fpとの差を算出して誤差値ΔF=|Fo−Fp|を求める(ステップST22)。そして、求めた誤差値ΔFが外部から入力される閾値信号S6で示される閾値ΔFt以上であるか否かを判定する(ステップST23)。
【0034】
ステップST23の判断結果が「YES」である場合には、誤差判定部23は、外部から入力される変換係数信号S5で示される変換係数Kを用いて、ステップST22で求めた誤差値ΔFをカウンタ値に変換するとともに、D/A値レジスタ26に保持されているデータを読み出す。そして、読み出したデータから変換したカウンタ値を減算する(ステップST24)。
【0035】
次に、誤差判定部23は、ステップST24で得られた値を処理部24に渡し(ステップST25)、処理部24は、誤差判定部23から渡された値をD/A値レジスタ26に設定する(ステップST26)。以上の処理を終えると、処理部24は、ロード信号S24を出力してD/A値レジスタ26に設定されたデータ(プリチューン信号S26)をPLL部10のD/A変換器16に取り込ませる(ステップST14)。D/A変換器16は、取り込んだデータをアナログ信号に変換して信号S13として出力し、この信号S13に応じた周波数調整信号S12が周波数制御信号生成回路14から出力される(ステップST15)。そして、制御型発振器15からは、周波数調整信号S12に応じた周波数を有する信号S1が出力される(ステップST16)。
【0036】
上記のステップST14において、処理部24がロード信号S24を出力することにより、D/A値レジスタ26に新たに設定されたデータ(新たなプリチューン信号S26)がPLL部10に入力され、これにより、図4に示す通り、制御型発振器15から出力される信号S1の周波数Foがプリチューン周波数Fpに近づく。そして、ステップST23の判断結果が「NO」になった場合、つまり誤差値ΔFが閾値ΔFtよりも小になった場合には、処理部24はD/A値レジスタ26に設定されているデータを、外部から入力されるプリチューン周波数信号S7で示されるプリチューン周波数Fpと関連付けてメモリ25に保存する(ステップST27)。以上の処理によって、PLL部10のD/A変換器16に与えるプリチューン信号S16の初期値が求められる。
【0037】
〈第2動作〉
図5は位相同期ループ回路1の第2動作を示すフローチャートであり、図6は位相同期ループ回路1の第2動作時における各部の信号波形を示すタイミングチャートである。位相同期ループ回路1の第2動作が開始されると、まずPLL部10から出力される信号S1の周波数Foを決定する処理が行われる(ステップST31)。この処理では、例えば、位相同期ループ回路1が設けられている信号発生装置の操作部(不図示)を操作してユーザが信号S1の周波数Foを入力すると、PLL部10に入力される周波数基準信号S0の周波数を決定する処理が行われる。尚、ここでは、周波数基準信号S0の周波数が、例えば、1GHzであるとする。
【0038】
次に、ステップST31で決定された周波数Foに対応するプリチューン周波数Fpを処理部24に設定する処理が行われる(ステップST32)。具体的には、位相同期ループ回路1が設けられている信号発生装置の制御装置(不図示)が、入力された信号S1の周波数Foに応じたプリチューン周波数Fpを求め、このプリチューン周波数Fpを示すプリチューン周波数信号S7をプリチューン信号生成部20の処理部24に出力することにより、プリチューン周波数Fpが処理部24に設定される。尚、プリチューン周波数Fpの具体的な求め方は、例えばPLL部10の同調周波数帯域に収まる範囲で、入力された信号S1の周波数Foから所定の周波数だけ減算して得られる周波数をプリチューン周波数Fpとして求める方法が考えられる。尚、プリチューン周波数Fpはこの例に限られず、他の任意の方法を用いることができる。
【0039】
次いで、プリチューン信号生成部20の処理部24は、入力されたプリチューン周波数信号S7で示されるプリチューン周波数Fpに対応するデータをメモリ25から読み出し(ステップST33)、読み出したデータをD/A値レジスタ26に設定する(ステップST34)。次に、処理部24はロード信号S24を出力して、D/A値レジスタ26に設定されたデータ(プリチューン信号S26)をPLL部10のD/A変換器16に取り込ませるとともにPLL部10のタイマ17を起動させる(ステップST35)
【0040】
ここで、図6に示す通り、位相同期ループ回路1の第2動作時においては、カウンタイネーブル信号S3がディスエーブルに設定されているためプリチューン信号生成部20のカウンタ21は動作しておらず、カウンタ値S21及びカウント終了信号S22は変化しない。また、プリチューン信号生成部20の処理部24から上記のロード信号S24が出力されるとタイマ17が起動するため、タイマ17が所定の期間T1を計時し終えるまでタイマステータス信号S14が出力される。これにより、プリチューンスイッチ制御信号S27がH(ハイ)状態となり、PLL部10に設けられたスイッチ13が開状態になる。
【0041】
スイッチ13が開状態のときに、D/A変換器16は、取り込んだデータをアナログ信号に変換して信号S13として出力する。この信号S13が周波数制御信号生成回路14に入力されると、周波数制御信号生成回路14に設けられたコンデンサ34(図2参照)が充電される。これにより、設定された増幅率に応じた周波数調整信号S12が周波数制御信号生成回路14から出力される(ステップST36)。そして、制御型発振器15からは、周波数調整信号S12に応じた周波数を有する信号S1が出力される。
【0042】
次に、位相同期ループ回路1が設けられている信号発生装置の制御装置(不図示)は、分周設定信号S2を設定する(ステップST37)。ここで、第2動作は、入力される周波数基準信号S0と周波数及び位相が一致した信号S1をPLL部10で生成する動作であるため、分周回路11の分周比は「1」(つまり、周波数基準信号S0を分周しない値)に設定される。
【0043】
タイマ17が計時中である場合には、プリチューン信号生成部20の論理和回路から出力されるプリチューンスイッチ制御信号S27がH(ハイ)状態であり、スイッチ13が開状態に維持される。そして、制御型発振器15から出力される信号S1の周波数Foが、図6に示す通り、プリチューン周波数Fpに近づいていき、最終的にはプリチューン周波数Fpと等しくなる。(ステップST38)。
【0044】
一方、タイマ17が所定の時間T1を計時し終えるとタイマステータス信号S14が停止する。これにより、プリチューンスイッチ制御信号S27L(ロー)状態になってPLL部10のスイッチ13がオン状態になる。これにより、位相周波数比較器12の出力端と周波数制御信号生成回路14の出力端とが電気的に接続され、分周回路11から出力される信号S11と制御型発振器15から出力される信号S1との周波数及び位相の比較結果を示す信号が周波数制御信号生成回路14に入力され、PLL部10が位相同期ループとして動作する。これにより、制御型発振器15から出力される信号S1の周波数及び位相が、周波数基準信号S0の周波数及び位相と同期し、制御型発振器15から出力される信号S1の周波数は、図6に示す通り、ステップST31で設定した周波数Foになる。
【0045】
ここで、制御型発振器15から出力される信号S1の周波数は、タイマ17が計時を行っている期間T1の間にプリチューン周波数Fpと等しくなっているため、ステップST31で設定した周波数Foになるまでの時間は極めて短い。つまり、制御型発振器15から出力される信号S1の周波数を、ステップST31で設定した周波数Foになるまでの時間は図6中に示す期間T1と期間T2とによって決定される。尚、期間T1,T2は、位相同期ループのループ帯域等によって任意に決めることができる。ここで、期間T1は200μsec程度であり、期間T2は100μsec程度であるため、極めて短い時間で制御型発振器15から出力される信号S1の周波数をステップST31で設定した周波数Foにすることができる。
【0046】
次に、本発明の一実施形態による位相同期ループ回路の変形例について説明する。図7は、本発明の一実施形態による位相同期ループ回路の変形例の要部構成を示すブロック図である。尚、図1に示す位相同期ループ回路1の構成と同一の構成には同一の符号を付してある。図7に示す位相同期ループ回路2はPLL部40とプリチューン信号生成部20とを備える。位相同期ループ回路2が備えるプリチューン信号生成部20は、図1に示すものと同一構成である。これに対し、位相同期ループ回路2が備えるPLL部40は、図1に示すPLL部10にダウンコンバータ41(変換部)と低域通過フィルタ42(フィルタ部)を備えた構成であり、周波数基準信号S0に加えて周波数基準信号S10が入力されている点が異なる。
【0047】
PLL部40に入力される周波数基準信号S0の周波数は例えば100MHzであり、 PLL部40に入力される周波数基準信号S10の周波数は例えば1GHzである。ダウンコンバータ41は、制御型発振器15から出力される信号S1と周波数基準信号S10とを入力とし、周波数基準信号S10を元に信号S1をダウンコンバートする。例えば、制御型発振器15から出力される信号S1の周波数が1.01GHzであるとすると、この信号S1と周波数基準信号S10との周波数の差分の周波数(10MHz)を有する信号を出力する。
【0048】
低域通過フィルタ42は、ダウンコンバータ41の出力端と位相周波数比較器12の一方の入力端とに接続されており、ダウンコンバータ41から出力される信号のうちの必要な周波数の信号のみを通過させて不要成分を除去して位相周波数比較器12に出力する。尚、このダウンコンバータ41の出力は、プリチューン信号生成部20のカウンタ21にも入力される。尚、ダウンコンバータ41から出力される信号の周波数が10MHzの場合には、分周回路11の分周比は例えば10分の1に設定される。これにより、分周回路11から出力される信号S11の周波数は10MHzになり、位相周波数比較器12の両入力端には、周波数が10MHzの信号が入力される。
【0049】
以上の構成の位相同期ループ回路2は、制御型発振器15から出力される信号S1を、周波数基準信号S10を元にダウンコンバータ41でダウンコンバートし、ダウンコンバートした信号を低域通過フィルタ42を介して位相周波数比較器12に出力してフィードバックするものである。ダウンコンバートした信号をフィードバックしているため、制御型発振器15から出力される信号の周波数をより高精度に制御することができる。また、ダウンコンバータ41でダウンコンバートした信号をカウンタ21の入力としているため、周波数基準信号S10の周波数が高くとも(例えば、1GHz)、GaAs−MMIC(ガリウムヒ素−モノリシックマイクロ波集積回路 )等の高速動作する高価なICを用いる必要がなく、コスト低減及び回路規模の縮小を図ることができる。
【0050】
以上説明した通り、本実施形態では、タイマ17が計時をしている期間T1の間に、制御型発振器15から出力される信号S1の周波数をプリチューン周波数Fpと等しくし、その後でスイッチ13をオン状態にして移動同期している。このため、極めて短い時間で制御型発振器15から出力される信号S1の周波数を所望の周波数Foにすることができる。
【0051】
また、位相同期ループに必要な周波数基準信号S0を分周した信号S11を、プリチューン信号S26の初期値を求める際に用いるカウンタ21のゲート信号として用いている。このため、ゲート信号を生成するために別途発振器等を内蔵する必要がなく、回路規模及びコストを低減することができる。更に、本実施敬愛では、制御型発振器15から出力される信号S1の周波数をカウントするカウンタ21をプリチューン信号生成部20に設けているため、プリチューン信号S26の初期値を求める際に、外部に周波数カウンタを用意する必要はない。このため、位相同期ループ回路を備える信号発生装置を製造する際に設備負担が軽減されるとともに、信号発生装置を開梱せずにプリチューン信号S26の初期値を求めることができる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態による位相同期ループ回路及び信号発生装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、周波数制御信号生成回路14は、図2に示した回路に限られる訳ではなく、同様の機能を有する他の回路でも実現可能である。また、上記実施形態では、誤差判定部23と処理部24とを別個のブロックで表したが、これらの機能をまとめたブロックとしても良い。更に、本発明の信号発生装置は、PLL周波数シンセサイザに限られず、本発明の位相同期ループ回路を備え、この回路から出力される信号を用いて標準信号を発生する装置であれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態による位相同期ループ回路の要部構成を示すブロック図である。
【図2】PLL部10に設けられる周波数制御信号生成回路14の内部構成の一例を示す図である。
【図3】位相同期ループ回路1の第1動作を示すフローチャートである。
【図4】位相同期ループ回路1の第1動作時における各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図5】位相同期ループ回路1の第2動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は位相同期ループ回路1の第2動作時における各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の一実施形態による位相同期ループ回路の変形例の要部構成を示すブロック図である。
【図8】従来の位相同期ループ回路の構成を示すブロック図である。
【図9】図8中のプリチューン回路106の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0054】
1,2 位相同期ループ回路
11 分周回路
12 位相周波数比較器
13 スイッチ部
14 周波数制御信号生成回路
15 制御型発振器
17 タイマ
21 カウンタ
22 カウンタ値レジスタ
23 誤差判定部
24 処理部
25 メモリ
41 ダウンコンバータ
42 低域通過フィルタ
Fp プリチューン周波数
S0 周波数基準信号
S1 信号
S12 周波数調整信号
S26 プリチューン信号
ΔF 誤差値
ΔFt 閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号を生成する制御信号生成部と、当該制御信号生成部から出力される制御信号に応じた周波数を有する信号を出力する発振器とを備える位相同期ループ回路において、
前記発振器から出力される信号の周波数を検出する検出部と、
前記検出部で検出された周波数と、前記発振器から出力される信号の周波数の初期値を規定する予備設定周波数との差を示す誤差値が所定値よりも小となるように、前記制御信号生成部で生成される制御信号を可変させる制御値を前記制御信号生成部に与える処理部と、
前記誤差値が前記所定値よりも小となるときの前記制御信号生成部に与えられる前記制御値を記憶する記憶部と
を備えることを特徴とする位相同期ループ回路。
【請求項2】
所定の周波数を有する周波数基準信号と前記発振器から出力される信号とを比較する比較部と、
前記比較部と前記制御信号生成部との間に設けられたスイッチ部と
を備えることを特徴とする請求項1記載の位相同期ループ回路。
【請求項3】
前記処理部は、前記記憶部に記憶させる前記制御値を生成する場合には、前記スイッチ部を開状態にすることを特徴とする請求項2記載の位相同期ループ回路。
【請求項4】
前記周波数基準信号を所定の分周比で分周する分周回路を備え、
前記検出部は、前記分周回路から出力される信号をゲート信号として前記発振器から出力される信号の周波数をカウントするカウンタを備えることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の位相同期ループ回路。
【請求項5】
前記処理部は、位相同期ループとしての動作を開始させる場合には、前記記憶部に記憶された制御値を前記制御信号生成部に与えることを特徴とする請求項2記載の位相同期ループ回路。
【請求項6】
前記記憶部に記憶された制御値が前記制御信号生成部に与えられてから所定時間経過後に前記スイッチ部を閉状態にするタイマ部を備えることを特徴とする請求項5記載の位相同期ループ回路。
【請求項7】
前記制御信号生成部は、位相同期ループとしての動作中は、ループフィルタとして動作することを特徴とする請求項5又は請求項6記載の位相同期ループ回路。
【請求項8】
前記発振器から出力される信号を、より低い周波数の信号に変換する変換部と、
前記変換部で変換された信号から必要な周波数の信号のみを通過させて前記比較部に出力するフィルタ部と
を備えることを特徴とする請求項2から請求項7の何れか一項に記載の位相同期ループ回路。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか一項に記載の位相同期ループ回路を備え、当該位相同期ループ回路から出力される信号を用いて所定の周波数を有する標準信号を発生することを特徴とする信号発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−60688(P2008−60688A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232250(P2006−232250)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】