説明

位相補正方法、位相補正回路、及びそれを含む信号処理装置

【課題】ローカルオシレーターから出力された信号の位相補正方法を提供する。
【解決手段】方法は、同位相出力信号の位相と直交位相出力信号の位相との比較結果に相応するデジタルコードを発生させる。方法は、同位相出力信号の位相と直交位相出力信号の位相との差を90°にするために、直交位相差動入力信号とデジタルコードとに応答して、同位相出力信号の位相を調節し、同位相差動入力信号とデジタルコードとに応答して、直交位相出力信号の位相を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相補正技術に係り、特に、同位相信号の位相と直交位相信号の位相との差が90°になるように補正するための位相補正方法、位相補正回路、及びそれを含む送受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
送信器で直交位相信号を生成するデバイダー(divider)のDC動作点を微細に調節して、同位相信号の位相と直交位相信号との差を調節する方法が使われる。この場合、発振周波数は、ローカル(local)周波数の2倍であるので、前記方法は、高周波システムで適用されにくい。
【0003】
したがって、高周波システムでは、発振周波数と同一のローカル周波数を有する同位相信号と直交位相信号は、ポリフェーズフィルター(Polyphase filter)または直交電圧制御発信器(Quadrature Voltage controlled Oscillator;QVCO)を使って生成される。しかし、前記ポリフェーズフィルターまたは前記QVCOは。デバイダーを使わないために、前記デバイダーのDC動作点を用いて位相差を調節する方法は使われない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的な課題は、高周波を使う通信システムやUWB(ultra wideband)のような広域システムで同位相信号の位相と直交位相信号の位相との差を自動で調節することができる方法、前記方法を使うことができる装置、及び前記装置を含む送信器または受信器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によるローカルオシレーター(local oscillator)から出力された信号の位相補正方法は、同位相出力信号の位相と直交位相出力信号の位相との比較結果に相応するデジタルコードを発生させる段階と、前記同位相出力信号の位相と前記直交位相出力信号の位相との差を90°にするために、直交位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記同位相出力信号の位相を調節し、同位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記直交位相出力信号の位相を調節する段階と、を含む。
【0006】
前記デジタルコードを発生させる段階は、前記同位相出力信号の位相と前記直交位相出力信号の位相との差を検出して、多数の検出信号を発生させる段階と、前記多数の検出信号のそれぞれを低域通過フィルタリングして、該低域通過フィルターされたDC信号を発生させる段階と、前記DC信号を比較して、該比較信号を発生させる段階と、前記比較信号とクロック信号に応答して、前記デジタルコードを発生させる段階と、を含む。
【0007】
前記比較信号とクロック信号に応答して、前記デジタルコードを発生させる段階は、前記比較信号のレベル、前記デジタルコードのMSB、及び前記クロック信号によってアップ−カウントされるか、またはダウン−カウントされる前記デジタルコードを発生させる。前記MSBは、位相補正動作の初期に、前記同位相出力信号の位相と前記直交位相出力信号の位相との差が90°より大きいか、小さいかによって決定される。
【0008】
本発明の実施形態によるローカルオシレーターから出力された信号の位相補正回路は、同位相出力信号を出力するための第1バッファと、直交位相出力信号を出力するための第2バッファと、前記同位相出力信号の位相と前記直交位相出力信号の位相とを比較し、該比較結果に相応するデジタルコードを発生させるためのコード発生回路と、前記同位相出力信号の前記位相と前記直交位相出力信号の前記位相との差を90°に維持させるために、直交位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記同位相出力信号の前記位相を調節し、同位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記直交位相出力信号の位相を調節するための位相補正回路と、を含む。
【0009】
前記コード発生回路は、前記同位相出力信号の前記位相と前記直交位相出力信号の前記位相との差を検出して、第1検出信号と第2検出信号とを発生させるための位相検出器と、前記第1検出信号と前記第2検出信号のそれぞれを低域通過フィルタリングして、第1フィルター信号と第2フィルター信号とを発生させるための低域通過フィルターと、前記第1フィルター信号と前記第2フィルター信号とを比較して、該比較信号を出力するための比較器と、クロック信号と前記比較信号によって、前記デジタルコードを発生させるためのコード発生器と、を含む。前記位相検出器は、前記第1検出信号を発生させるためのXORゲートと、前記第2検出信号を発生させるためのXNORゲートと、を含む。
【0010】
前記コード発生器は、前記クロック信号と前記比較信号のレベルによってアップ−カウントされるか、またはダウン−カウントされる前記デジタルコードを発生させる。また、前記コード発生器は、前記比較信号のレベルの変化に基づいて、前記比較器の動作を制御するための補正制御信号を発生させる。
【0011】
前記位相補正回路は、前記直交位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記同位相出力信号の前記位相を調節するための第1デジタル−アナログ変換器と、前記同位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記直交位相出力信号の位相を調節するための第2デジタル−アナログ変換器と、を含む。
【0012】
前記第1デジタル−アナログ変換器は、それぞれが前記第1バッファの出力端に並列接続されて、前記同位相出力信号の前記位相を調節するための多数の第1デジタル−アナログユニットを含み、前記第2デジタル−アナログ変換器は、それぞれが前記第2バッファの出力端に並列接続されて、前記直交位相出力信号の位相を調節するための多数の第2デジタル−アナログユニットを含み、前記多数の第1デジタル−アナログユニットのそれぞれと前記多数の第2デジタル−アナログユニットのそれぞれは、前記デジタルコードのMSBに基づいてイネーブル/ディセーブルされる。前記MSBは、前記同位相出力信号の位相と前記直交位相出力信号の位相との差が90°より大きいか、小さいかによって決定される。
【0013】
本発明の実施形態による無線信号処理装置は、同位相出力信号を出力するための第1バッファと、直交位相出力信号を出力するための第2バッファと、前記第1バッファの出力信号と同位相ベースバンド出力信号とをミキシングするための第1ミキサーと、前記第2バッファの出力信号と直交位相ベースバンド出力信号とをミキシングするための第2ミキサーと、前記同位相出力信号の位相と前記直交位相出力信号の位相とを比較し、該比較結果に相応するデジタルコードを発生させるためのコード発生回路と、前記同位相出力信号の前記位相と前記直交位相出力信号の前記位相との差を90°に維持させるために、直交位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記同位相出力信号の前記位相を調節し、同位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記直交位相出力信号の位相を調節するための位相補正回路と、を含む。
【0014】
前記コード発生器は、前記比較信号のレベルの変化に基づいて、前記第1ミキサー、前記第2ミキサー、及び前記比較器の動作を制御するための補正制御信号を発生させる。また、前記コード発生器は、前記デジタルコードが最大値または最小値に到逹する時、前記第1ミキサー、前記第2ミキサー、及び前記比較器の動作を制御するための補正制御信号を発生させる。
【0015】
前記コード発生器は、前記比較信号のレベルの変化に基づいて補正制御信号を発生させ、前記送信器は、前記補正制御信号に応答して、前記同位相出力信号と前記直交位相出力信号とを前記コード発生回路に伝送するためのスイッチをさらに含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態による位相補正方法と補正装置は、周波数ダブリング(doubling)やディバイディング(dividing)なしでも、出力I信号及び/または出力Q信号を連続して調節することができる。したがって、前記補正方法と前記補正装置は、前記出力I信号の位相と前記出力Q信号の位相との差を90°に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による位相自動補正回路を含む送信器を示すブロック図である。
【図2】図1に示された第1バッファ、第2バッファ、及び位相補正回路をさらに詳しく示す図である。
【図3】図2に示された各電流モードロジックの動作を説明するための図である。
【図4】図2に示された各電流モードロジックの動作を説明するための他の図である。
【図5】図1に示されたカウンターの動作を制御する制御信号のタイミング図である。
【図6】本発明の実施形態による位相自動補正動作のアルゴリズムを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明を詳しく説明する。図1は、本発明の一実施形態による位相自動補正回路11を含む送信器10を示すブロック図である。図1を参考にすると、送信器10は、位相自動補正回路11、第1ミキサー(mixer)70、第2ミキサー72、第1加算器74−1及び第2加算器74−2を含む。
【0019】
図1には、説明の便宜上、送信器が示されているが、本発明の概念による位相自動補正回路11は、受信器に適用可能である。この場合、アップ−コンバージョンミキサー(up−conversion mixer)である第1ミキサー70と第2ミキサー72とがダウン−コンバージョンミキサー(down−conversion mixer)に置き換えられ、第1出力信号RFOUTPがベースバンド(baseband)入力に置き換えられれば、位相自動補正回路11は、受信器に適用可能である。送信器10と前記受信器は、別途のローカルオシレーター(local oscillator)から出力された多數の信号を必要とするので、送信器10と前記受信器に使われる位相自動補正回路11は、別個に具現可能である。したがって、本明細書では、説明の便宜上、送信器という名称を使うが、これは、送信器、受信器、または送受信器をいずれも含む無線信号処理装置として解釈されうる。
【0020】
送信器10は、正常動作(例えば、補正制御信号Cal_endがハイレベル(high level)である時)と位相自動補正動作(例えば、補正制御信号Cal_endがローレベル(low level)である時)とを行う。
【0021】
送信器10の正常動作時、第1ミキサー70は、同位相第1差動出力信号(以下、‘出力I信号’と称する)OUT_IPと同位相ベースバンド第1信号IBBPとをミキシング(mixing)して第1出力信号を生成し、同位相第2差動出力信号OUT_INと同位相ベースバンド第2信号IBBNとをミキシングして第2出力信号を生成する。例えば、同位相ベースバンド第1信号IBBPと同位相ベースバンド第2信号IBBNは、差動信号である。
【0022】
第2ミキサー72は、直交位相第1差動出力信号(以下、‘出力Q信号’と称する)OUT_QPと直交位相ベースバンド第1信号QBBPとをミキシングして第3出力信号を生成し、直交位相第2差動出力信号OUT_QNと直交位相ベースバンド第2信号QBBNとをミキシングして第4出力信号を生成する。例えば、直交位相ベースバンド第1信号QBBPと直交位相ベースバンド第2信号QBBNは、差動信号である。
【0023】
第1加算器74−1は、第1ミキサー70の前記第1出力信号と第2ミキサー72の第3出力信号とを加算して第1出力信号RFOUTPを生成する。第2加算器74−2は、第1ミキサー70の前記第2出力信号と第2ミキサー72の前記第2出力信号とを加算して第2出力信号RFOUTNを生成する。
【0024】
以下、説明の便宜上、同位相差動出力信号OUT_IPとOUT_INのうちから出力I信号OUT_IPと直交位相差動出力信号OUT_QPとOUT_QNのうちから出力Q信号OUT_QPとを例をあげて説明するが、本発明の実施形態が、OUT_INとOUT_QNにも同一または同様に適用可能である。
【0025】
送信器10の位相自動補正動作時、第1ミキサー70、第2ミキサー72、第1加算器74−1及び第2加算器74−2は、ディセーブル(disable)され、位相自動補正回路11は、位相自動補正動作を行う。この際、位相自動補正回路11は、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差に基づいて、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°になるように制御する。
【0026】
位相自動補正回路11は、コードCODE発生回路20、位相補正回路60、第1バッファ(buffer)30、及び第2バッファ32を含みうる。コード発生回路20は、第1バッファ30から出力された出力I信号OUT_IPと第2バッファ32から出力された出力Q信号OUT_QPとを受信し、該受信された信号OUT_IPとOUT_QPの位相差が90°になるように制御するためのデジタルコードCODEを生成する。デジタルコードCODEは、多数のビット(bits)で構成することができる。
【0027】
コード発生回路20は、スイッチ(Switch)42、位相検出器、低域通過フィルター46、比較器48、及びコード発生器50を含みうる。前記位相検出器は、第1位相検出器44−1及び第2位相検出器44−5を含む。
【0028】
第1位相検出器44−1は、XORゲート(gate)で具現可能であり、第2位相検出器44−5は、XNORゲートで具現可能である。
【0029】
位相自動補正動作時、補正制御信号Cal_endは、ロー(low)レベルになる。したがって、スイッチ42は、ローレベルを有する補正制御信号Cal_endに応答してオン(on)されるので、第1バッファ30から出力された出力I信号OUT_IP及び第2バッファ32から出力された出力信号OUT_QNは、第1位相検出器44−1に伝送され、第1バッファ30から出力された出力I信号OUT_IN及び第2バッファ32から出力された出力Q信号OUT_QPは、第2位相検出器44−5に伝送される。
【0030】
多数の位相検出器44−1と44−5のそれぞれは、ローレベルを有する補正制御信号Cal_endに応答してイネーブル(enable)される。
【0031】
第1位相検出器44−1は、第1ANDゲート44−2、第2ANDゲート44−3、及びORゲート44−4を含む。第1ANDゲート44−2は、第1バッファ30の出力信号OUT_IPと第2バッファ32の出力信号OUT_QNとをAND演算する。第2ANDゲート44−3は、第1バッファ30の出力信号OUT_INと第2バッファ32の出力信号OUT_QPとをAND演算する。ORゲート44−4は、第1ANDゲート44−2の出力信号と第2ANDゲート44−3の出力信号とを受信し、これらの位相を比較して第1比較信号CP1を出力する。
【0032】
第2位相検出器44−5は、第3ANDゲート44−6、第4ANDゲート44−7、及びNORゲート44−8を含む。第3ANDゲート44−6は、第1バッファ30の出力信号OUT_IPと第2バッファ32の出力信号OUT_QNとをAND演算する。第4ANDゲート44−7は、第1バッファ30の出力信号OUT_INと第2バッファ32の出力信号OUT_QPとをAND演算する。NORゲート44−8は、第3ANDゲート44−6の出力信号と第4ANDゲート44−7の出力信号とを受信し、これらの位相を比較して第2比較信号CP2を出力する。
【0033】
低域通過フィルター46は、第1位相検出器44−1と第2位相検出器44−5から出力された比較信号CP1、CP2を低域通過フィルタリング(filtering)する。低域通過フィルター46は、第1比較信号CP1を低域通過フィルタリングするための第1抵抗R1と第1キャパシタC1とを含み、第2比較信号CP2を低域通過フィルタリングするための第2抵抗R2と第2キャパシタC2とを含む。すなわち、低域通過フィルター46は、比較信号CP1、CP2を低域通過フィルタリングして第1フィルター信号DCXORと第2フィルター信号DCXNORとを出力する。
【0034】
比較器48は、ローレベルを有する補正制御信号Cal_endに応答してイネーブルされる。比較器48は、第1フィルター信号DCXORのDCレベルと第2フィルター信号DCXNORのDCレベルとを比較する。第1フィルター信号DCXORのDCレベルが、第2フィルター信号DCXNORのDCレベルより高い場合、すなわち、第1バッファ30の出力I信号OUT_IPの位相と第2バッファ32の出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°より大きい場合、比較器48は、ハイレベルを有する比較信号UP/DNを出力する。
【0035】
しかし、第1フィルター信号DCXORのレベルが、第2フィルター信号DCXNORのレベルより低い場合。すなわち、第1バッファ30の出力I信号OUT_IPの位相と第2バッファ32の出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°より小さい場合、比較器48は、ローレベルを有する比較信号UP/DNを出力する。
【0036】
第1フィルター信号DCXORのレベルと第2フィルター信号DCXNORのレベルとが互いに同じである場合、第1バッファ30の出力I信号OUT_IPの位相と第2バッファ32の出力Q信号OUT_QPの位相との差は90°である。
【0037】
コード発生器50は、補正開始信号Cal_Start、補正制御信号Cal_end、クロック(clock)信号CLKcal、及び比較信号UP/DNに応答して、出力I信号OUT_IPの位相及び/または出力Q信号OUT_QPの位相を補正するためのデジタルコードCODEを生成する。
【0038】
デジタルコードCODEは、比較信号UP/DNによって順次に増加するか、順次に減少することができる。前記コード発生器50は、クロック発生器52とカウンター(counter)54とを含む。
【0039】
クロック発生器52は、補正制御信号Cal_endと基準クロックCLKrefに基づいて、補正開始信号Cal_Startとカウンター54を動作させるためのクロック信号CLKcalとを出力する。例えば、補正制御信号Cal_endがハイレベルである時、前記クロック発生器52は、クロック信号CLKcalを発生しない。
【0040】
カウンター54は、補正イネーブル信号Cal_enに応答して動作する。前記補正イネーブル信号Cal_enは、位相自動補正動作である補正モードを制御し、前記補正イネーブル信号Cal_enがハイレベルである時、前記補正制御信号Cal_endは、ローレベルに初期化される。
【0041】
補正開始信号Cal_Startがハイレベルになる時、前記カウンター54は、初期値にリセット(reset)される。したがって、カウンター54から出力されるデジタルコードCODE、例えば、DNDN−1...D1D0は、前記初期値、例えば、X00...00に初期化される。
【0042】
この際、デジタルコードCODEのMSB(Most Significant Bit)、すなわち、DN=Xは、前記カウンター54から出力されるデジタルコードCODEの符号を意味する。例えば、DN=X=1は、正数を意味し、DN=X=0は、負数を意味する。
【0043】
DN=X=1は、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°より小さいということを意味する。前記MSB Xは、位相補正回路60の出力が0である状態、すなわち、位相自動補正動作が行われる前に発生した出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差で決定される。この際、カウンター54から出力されるデジタルコードCRTLの出力範囲は、011...11から11...11までである。デジタルコードCRTLを増加させるか、または減少させるかは、比較信号UP/DNによって決定する。
【0044】
例えば、比較器48から出力された比較信号UP/DNがハイレベルであれば、すなわち、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差が90より大きい場合、カウンター54は、順次に減少するデジタルコードCRTLを出力する。すなわち、カウンター54は、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差を90°より小さくさせるために、順次に減少するデジタルコードCODEを出力する。
【0045】
また、比較器48から出力された比較信号UP/DNがローレベルであれば、すなわち、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°より小さい場合、カウンター54は、順次に増加するデジタルコードCRTLを出力する。すなわち、カウンター54は、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差を90°より大きくさせるために、順次に増加するデジタルコードCODEを出力する。
【0046】
このような補正動作は、補正ループ(calibration loop)がネガティブフィードバックで動作することを意味する。したがって、位相自動補正回路11は、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差を90°に維持するために増加するか、または減少するデジタルコードCODEを出力する。
【0047】
再び説明すれば、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差が90°より大きい時、比較器48の出力信号UP/DNは、ハイレベルになる。したがって、デジタルコードCODEは減少するので、位相補正回路60は、減少するデジタルコードCODEに応答して、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差を減少させる方向に動作する。逆に、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差が90°より小さい時、比較器48の出力信号UP/DNは、ローレベルになる。したがって、デジタルコードCODEは増加するので、位相補正回路60は、増加するデジタルコードCODEに応答して、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差を増加させる方向に動作する。
【0048】
デジタルコードCODEのMSBが、0または符号が負数である時、比較器48の出力信号UP/DNがローレベルであれば、カウンター54は、ダウン−カウンターとして動作する。したがって、カウンター54は、増加するデジタルコードCODEを出力する。また、デジタルコードCODEのMSBが、0または符号が負数である時、比較器48の出力信号UP/DNがハイレベルであれば、カウンター54は、アップ−カウンターとして動作する。したがって、カウンター54は、減少するデジタルコードCODEを出力する。
【0049】
デジタルコードCODEのMSBが、1または符号が正数である時、比較器48の出力信号UP/DNがローレベルであれば、カウンター54は、アップ−カウンターとして動作する。したがって、カウンター54は、増加するデジタルコードCODEを出力する。また、デジタルコードCODEのMSBが、1または符号が正数である時、比較器48の出力信号UP/DNがハイレベルであれば、カウンター54は、ダウン−カウンターとして動作する。したがって、カウンター54は、減少するデジタルコードCODEを出力する。
【0050】
位相差(Θ)による低域通過フィルター46の出力信号(DCXOR>DCXNOR)のレベル、比較信号UP/DNのレベル、デジタルコードCODEのMSBによるカウンター54の動作は、表1のようである。
【0051】
【表1】

【0052】
カウンター54は、次の二つの場合に動作を止める。第1は、比較信号UP/DNがハイレベルからローレベルに、またはローレベルからハイレベルに変わる場合であって、これは、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差が90°になる点を通る場合である。
【0053】
第2は、カウンター54から出力されたデジタルコードCRTLが最高値、すなわち、111...11に到逹する場合、または最低値、すなわち、011...11に到逹する場合であって、これは、位相補正回路60の位相補正範囲が入力信号IN_IPとIN_QP、またはIN_INとIN_QNの位相差をカバーすることができない場合である。すなわち、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差が90°になる方向に補正されたが、位相補正回路60の動的補正範囲が不足して、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差が90°になることができず、補正動作が終わった場合である。
【0054】
位相補正動作を止めることができる条件になれば、補正制御信号Cal_endは、ローレベルからハイレベルに遷移する。すなわち、カウンター54は、前述したように動作を止める場合を検出して、該検出結果によってローレベルからハイレベルに遷移する補正制御信号Cal_endを生成する。したがって、スイッチ回路42、各位相検出器44−1と44−5、及び比較器48は、ハイレベルを有する補正制御信号Cal_endに応答してディセーブルされる。しかし、第1ミキサー70と第2ミキサー72は、ハイレベルを有する補正制御信号Cal_endに応答して正常動作を行う。また、カウンター54は、位相補正動作時に最終的に出力したデジタルコードCODEを出力し続けるので、位相補正回路60の出力信号は、そのまま維持される。カウンター54は、リップル−キャリーカウンター(ripple−carry counter)として具現可能である。
【0055】
位相補正回路60は、第1デジタル−アナログ変換器(digital to analog converter:以下、DAC)62と第2DAC64とを含む。第1DAC62は、カウンター54から出力されたデジタルコードCODEと直交位相差動入力信号IN_QP、IN_QNに応答して、第1バッファ30から出力される同位相差動出力信号OUT_IP、OUT_INのそれぞれの位相を調節する。第2DAC64は、カウンター54から出力されるデジタルコードCODEと同位相差動入力信号IN_IP、IN_INに応答して、第2バッファ32から出力される直交位相差動出力信号OUT_QP、OUT_QNのそれぞれの位相を調節する。
【0056】
位相自動補正動作時、第1バッファ30の出力信号OUT_IP、OUT_INのそれぞれは、第1DAC62の出力信号のそれぞれは互いに合わせられ、第2バッファ32の出力信号OUT_QP、OUT_QNのそれぞれは、第2DAC64の出力信号のそれぞれは互いに合わせられる。
【0057】
このように合わせられた各信号OUT_IP、OUT_IN、OUT_QP、及びOUT_QNは、スイッチ42を通じて各位相検出器44−1、44−5に入力される。
【0058】
出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°を維持する場合、OR44−4の出力CP1のデューティーは180°であり、NOR44−8の出力CP2のデューティーは180°である。したがって、第1フィルター信号DCXORのDCレベルと第2フィルター信号DCXNORのDCレベルは、互いに同一である。
【0059】
出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°より小さければ、OR44−4の出力CP1のデューティーは180°より小さくなり、NOR44−8の出力CP2のデューティーは180°より大きくなる。したがって、第2フィルター信号DCXNORのDCレベルは、第1フィルター信号DCXORのDCレベルより大きくなる。
【0060】
出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°より大きければ、OR44−4の出力CP1のデューティーは180°より大きくなり、NOR44−8の出力CP2のデューティーは180°より小さくなる。したがって、第1フィルター信号DCXORのDCレベルは、第2フィルター信号DCXNORのDCレベルより大きくなる。
【0061】
したがって、比較器48を用いて第1フィルター信号DCXORのDCレベルと第2フィルター信号DCXNORのDCレベルとを比較すれば、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差が90°であるか、あるいは90°より大きいか、小さいかを判断することができる。また、ローパスフィルター46は、それぞれがRFを含むそれぞれの比較信号CP1、CP2を低域通過フィルタリングして、それぞれのDC信号DCXORとDCXNORを出力する。
【0062】
表1に示したように、第1フィルター信号DCXORのDCレベルと第2フィルター信号DCXNORのDCレベルとが同一であれば、比較器48は、ハイレベルとローレベルとの中間値を出力する。
【0063】
図2は、図1に示された第1バッファ30、第2バッファ32、及び位相補正回路60をさらに詳しく示す図である。図1及び図2を参考にすると、前記位相補正回路60は、第1DAC62と第2DAC64とを含む。
【0064】
第1DAC62は、第1バッファ30の出力端に互いに並列連結された第1電流モードロジック(current mode logic:CML)62−1と第2CML62−2とを含み、第2DAC64は、第2バッファ32の出力端に互いに並列連結された第3CML64−1と第4CML64−2とを含む。
【0065】
前記第1CML62−1と前記第2CML62−2のそれぞれは、デジタルコードCODEと直交位相差動入力信号IN_QP、IN_QNとを受信する。前記第3CML64−1と前記第4CML64−2のそれぞれは、デジタルコードCODEと同位相差動入力信号IN_IP、IN_INとを受信する。
【0066】
各CML62−1、62−2、64−1、及び64−2は、前記カウンター54から出力されるデジタルコードCODEのMSBによってイネーブルまたはディセーブルされる。
【0067】
例えば、前記コードCODEのMSBが0である時、同位相差動出力信号OUT_IPの位相と直交位相差動出力信号QUT_QPの位相との差を減少させるために、前記第1CML62−1と前記第3CML64−1のそれぞれはイネーブルされ、前記第2CML62−2と前記第4CML64−2のそれぞれはディセーブルされる。
【0068】
また、前記デジタルコードCODEのMSBが1である時、同位相差動出力信号OUT_IPの位相と直交位相差動出力信号QUT_QPの位相との差を増加させるために、前記第2CML62−2と前記第4CML64−2のそれぞれはイネーブルされ、前記第1CML62−1と前記第3CML64−1のそれぞれはディセーブルされる。
【0069】
図3は、図2に示された各電流モードロジックの動作を説明するための図である。図3は、第2CML62−2と第4CML64−2とがイネーブルされた場合を説明するための図である。図1から図3を参照して、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°より小さい場合、位相自動補正回路11が、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差を90°に維持するための動作を行う過程を説明すれば、次の通りである。
【0070】
図3に示したように、カウンター54から出力されるデジタルコードCODEのMSBが1である場合、各CML62−2と64−2のみがイネーブルされる。
【0071】
デジタルコードCODEによって第2CML62−2の電流源SC4に流れる電流ISS3は調節される。電流源SC4に流れる電流ISS3が調節される場合、トランジスタM7に流れる電流Q(−)の値とトランジスタM8に流れる電流Q(+)の値とが変化される。したがって、キルヒホフの電流法則によって各電流I(+)とI(−)の値が変化される。すなわち、第1DAC62は、直交位相差動入力信号IN_QP、IN_QNとデジタルコードCODEによって第1バッファ30に流れる各電流I(+)、I(−)の値を調節することができるので、第1DAC62は、同位相出力差動信号OUP_IP、OUT_INのそれぞれの位相を調節することができる。
【0072】
同様に、デジタル信号CODEによって、前記第4CML64−2の電流源SC6に流れる電流ISS3は調節される。電流源SC6に流れる電流ISS3が調節される場合、トランジスタM11に流れる電流I(−)の値とトランジスタM12に流れる電流I(+)の値とが変化される。したがって、各電流Q(+)とQ(−)との値が変化される。すなわち、第2DAC64は、同位相差動入力信号IN_IP、IN_INとデジタルコードCODEによって第2バッファ32に流れる各電流Q(+)、Q(−)の値を調節することができるので、第2DAC64は、直交位相出力差動信号OUP_QP、OUT_QNのそれぞれの位相を調節することができる。
【0073】
位相自動補正回路11は、前記第2CML62−2によって可変された電流I(+)のベクトル(vector)値と前記第4CML64−2によって可変された電流Q(+)のベクトル値との和を用いて、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°になるように、前記差を増加させなければならない。
【0074】
図4は、図2に示された各電流モードロジックの動作を説明するための他の図である。図4は、第1CML62−1と第3CML64−1が、イネーブルされた場合を説明するための図である。図1、図2、及び図4を参照して、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°より大きい場合、位相自動補正回路11が、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差を90°に維持するための動作を行う過程を説明すれば、次の通りである。
【0075】
図4に示したように、カウンター54から出力されるデジタルコードCODEのMSBが0である場合、第1CML62−1と第3CML64−1のみがイネーブルされる。
【0076】
デジタル信号CODEによって、第1CML62−1の電流源SC3に流れる電流ISS2は調節される。第1CML62−1の電流源SC3に流れる電流ISS2が調節される場合、トランジスタM5に流れる電流Q(+)の値とトランジスタM6に流れる電流Q(−)の値とが変化される。したがって、各電流Q(+)とQ(−)との値が変化される。すなわち、第1DAC62は、直交位相差動入力信号IN_QP、IN_QNとデジタルコードCODEによって第1バッファ30に流れる各電流I(+)、I(−)の値を調節することができるので、第1DAC62は、直交位相出力差動信号OUP_QP、OUT_QNのそれぞれの位相を調節することができる。
【0077】
デジタルコードCODEによって第3CML64−1の電流源SC5に流れる電流ISS2は調節される。第3CML64−1の電流源SC5に流れる電流ISS2が調節される場合、トランジスタM9に流れる電流I(+)の値とトランジスタM10に流れる電流I(−)の値とが変化される。したがって、各電流Q(+)とQ(−)との値が変化される。すなわち、第2DAC64は、同位相差動入力信号IN_IP、IN_INとデジタルコードCODEによって第2バッファ32に流れる各電流Q(+)、Q(−)の値を調節することができるので、第2DAC64は、直交位相出力差動信号OUP_QP、OUT_QNのそれぞれの位相を調節することができる。
【0078】
位相自動補正回路11は、第1CML62−1によって可変された電流I(+)のベクトル値と第3CML64−1によって可変された電流Q(+)のベクトル値との和を用いて、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°になるように、前記差を減少させなければならない。
【0079】
図5は、図1に示されたカウンターの動作を制御する制御信号のタイミング図である。図5では、説明の便宜上、デジタルコードCODEが5ビットである場合を説明する。図1から図5、及び表1を参照すると、位相自動補正動作時、クロック発生器52は、ローレベルを有する補正制御信号Cal_endに応答して、補正開始信号Cal_Startとクロック信号CLKcalとを発生させる。
【0080】
前記カウンター54は、補正イネーブル信号Cal_enに応答して動作する。前記補正イネーブル信号Cal_enは、補正モードを制御し、前記補正イネーブル信号Cal_enがハイレベルである時、前記補正制御信号Cal_endは、ローレベルに初期化される。
【0081】
第1フィルター信号DCXORと第2フィルター信号DCXNORは、比較器48に供給される。第1フィルター信号DCXORのDCレベルが、第2フィルター信号DCXNORのDCレベルより低い場合。すなわち、出力I信号OUT_IPと出力Q信号OUT_QPの位相との差が90より小さい場合、比較器48は、ローレベルを有する比較信号UP/DNを出力する。
【0082】
カウンター54は、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差を大きくするために、増加するデジタルコードCODEを出力しなければならない。この際、カウンター54は、デジタルコードCODEのMSBによってアップ−カウンターまたはダウンカウンターで動作することができる。
【0083】
二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差が90°になる場合、カウンター54は停止され、ローレベルからハイレベルに遷移する補正制御信号Cal_endを出力する。したがって、位相自動補正は終了する。補正制御信号Cal_endがローレベルからハイレベルに遷移する時に発生したデジタルコードCODEは、位相補正回路60に供給されるので、正常動作時、位相補正回路60は、前記デジタルコードCODEに応答して、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°を維持するように制御する。すなわち、補正制御信号Cal_endがローレベルからハイレベルに遷移すれば、クロック発生器52は、クロック信号CLKcalをカウンター54に供給しない。したがって、前記カウンター54は、前記遷移時のデジタルコードCODEを維持することができる。
【0084】
図6は、本発明の実施形態による位相自動補正動作のアルゴリズムを説明するためのフローチャートである。図1から図6を参照して、位相自動補正動作を説明すれば、次の通りである。
【0085】
まず、カウンター54は、ローレベルを有する補正制御信号Cal_endを発生させる。図1には、補正制御信号Cal_endをカウンター54が発生すると示されているが、実施形態によってコントローラ(図示せず)が補正制御信号Cal_endを発生させることができる。スイッチSW42、各位相検出器44−1と44−5、比較器COMP48、カウンター54、及びクロック発生器52は、ローレベルを有する補正制御信号Cal_endに応答してイネーブルされ、第1ミキサー70と第2ミキサー72は、ディセーブルされる(ステップS10)。
【0086】
比較器48は、第1フィルター信号DCXORのDCレベルと第2フィルター信号DCXNORのDCレベルとを互いに比較する。第1フィルター信号DCXORのDCレベルが第2フィルター信号DCXNORのDCレベルより高い場合(ステップS20)、すなわち、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°より大きい場合、カウンター54のMSBは0になる(ステップS30)。したがって、カウンター54は、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差を減少させるために、ダウン−カウントされるデジタルコードCODEを出力する(ステップS40)。
【0087】
引き続き、比較器48は、第1フィルター信号DCXORのDCレベルと第2フィルター信号DCXNORのDCレベルとを比較する(ステップS50)。第1フィルター信号DCXORのDCレベルが第2フィルター信号DCXNORのDCレベルより依然として高い場合、カウンター54は、現在のデジタルコードCODEが最大値であるか否かを判断する(ステップS60)。
【0088】
現在のデジタルコードCODEが最大値になるまでカウンター54は、ステップS40とステップS50とを反復的に行う。ステップS40とステップS50の結果として、現在のデジタルコードCODEが最大値である場合、位相自動補正動作は終了する。また、ステップS40の結果として、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差が90°に減少する場合、位相自動補正動作は終了する。
【0089】
したがって、カウンター54は、ハイレベルを有する位相制御信号Cal_endを出力する。したがって、スイッチ42、各位相検出器44−1と44−5、及び比較器COMP48はディセーブルされ、カウンター54とクリック発生器52は、イネーブル状態を維持する(ステップS70)。しかし、クリック発生器52は、クロック信号CLKcalを出力しないので、カウンター54は、位相制御信号Cal_endがハイレベルに遷移する直前のデジタルコードCODEをそのまま維持する。
【0090】
ステップS20の判断結果として、第1フィルター信号DCXORのDCレベルが第2フィルター信号DCXNORのDCレベルより小さい場合、すなわち、出力I信号OUT_IPの位相と出力Q信号OUT_QPの位相との差が90°より小さい場合、カウンター54のMSBは、1になる(ステップS80)。したがって、カウンター54は、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差を増加させるために、アップ−カウントされるデジタルコードCODEを出力する(ステップS90)。
【0091】
引き続き、比較器48は、第1フィルター信号DCXORのDCレベル(level)と第2フィルター信号DCXNORのDCレベルとを比較する(ステップS100)。第1フィルター信号DCXORのDCレベルが第2フィルター信号DCXNORのDCレベルより依然として低い場合、カウンター54は、現在のデジタルコード(digital code)CODEが最小値であるか否かを判断する(ステップS110)。
【0092】
現在のデジタルコードCODEが最小値になるまでカウンター54は、ステップS90とステップS100とを反復的に行う。ステップS90とステップS100の結果として、現在のデジタルコードCODEが最小値である場合、位相自動補正動作は終了する。また、ステップS100の結果として、二つの信号OUT_IPとOUT_QPとの位相差が90°に減少する場合、位相自動補正動作は終了する。
【0093】
したがって、カウンター54は、ハイレベルを有する位相制御信号Cal_endを出力する。したがって、スイッチ42、各位相検出器44−1と44−5、及び比較器COMP48はディセーブルされ、カウンター54とクリック発生器52は、イネーブル状態を維持する(ステップS70)。しかし、クリック発生器52は、クロック信号CLKcalを出力しないので、カウンター54は、位相制御信号Cal_endがハイレベルに遷移する直前のデジタルコードCODEをそのまま維持する。
【0094】
本発明は、図面に示された一実施形態を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、位相補正回路とそれを含む無線信号処理装置に利用されうる。
【符号の説明】
【0096】
10:送信器
11:位相自動補正回路
20:コード発生回路
30:第1バッファ
32:第2バッファ
42:スイッチ
46:低域通過フィルター
48:比較器
50:コード発生器
60:位相補正回路
70:第1ミキサー
72:第2ミキサー
74−1:第1加算器
74−2:第2加算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同位相出力信号の位相と直交位相出力信号の位相との比較結果に相応するデジタルコードを発生させる段階と、
前記同位相出力信号の位相と前記直交位相出力信号の位相との差を90°にするために、直交位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記同位相出力信号の位相を調節し、同位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記直交位相出力信号の位相を調節する段階と、
を含むことを特徴とするローカルオシレーターから出力された信号の位相補正方法。
【請求項2】
同位相出力信号を出力するための第1バッファと、
直交位相出力信号を出力するための第2バッファと、
前記同位相出力信号の位相と前記直交位相出力信号の位相とを比較し、該比較結果に相応するデジタルコードを発生させるためのコード発生回路と、
前記同位相出力信号の前記位相と前記直交位相出力信号の前記位相との差を90°に維持させるために、直交位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記同位相出力信号の前記位相を調節し、同位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記直交位相出力信号の位相を調節するための位相補正回路と、
を含むことを特徴とするローカルオシレーターから出力された信号の位相補正回路。
【請求項3】
前記コード発生回路は、
前記同位相出力信号の前記位相と前記直交位相出力信号の前記位相との差を検出して、第1検出信号と第2検出信号とを発生させるための位相検出器と、
前記第1検出信号と前記第2検出信号のそれぞれを低域通過フィルタリングして、第1フィルター信号と第2フィルター信号とを発生させるための低域通過フィルターと、
前記第1フィルター信号と前記第2フィルター信号とを比較して、該比較信号を出力するための比較器と、
クロック信号と前記比較信号によって、前記デジタルコードを発生させるためのコード発生器と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載のローカルオシレーターから出力された信号の位相補正回路。
【請求項4】
前記コード発生器は、前記比較信号のレベルと前記クロック信号によってアップ−カウントされるか、またはダウン−カウントされる前記デジタルコードを発生させることを特徴とする請求項3に記載のローカルオシレーターから出力された信号の位相補正回路。
【請求項5】
前記コード発生器は、前記比較信号のレベルの変化に基づいて、前記比較器の動作を制御するための補正制御信号を発生させることを特徴とする請求項3に記載のローカルオシレーターから出力された信号の位相補正回路。
【請求項6】
前記位相補正回路は、
前記直交位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記同位相出力信号の前記位相を調節するための第1デジタル−アナログ変換器と、
前記同位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記直交位相出力信号の位相を調節するための第2デジタル−アナログ変換器と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載のローカルオシレーターから出力された信号の位相補正回路。
【請求項7】
前記第1デジタル−アナログ変換器は、それぞれが前記第1バッファの出力端に並列接続されて、前記同位相出力信号の前記位相を調節するための多数の第1デジタル−アナログユニットを含み、
前記第2デジタル−アナログ変換器は、それぞれが前記第2バッファの出力端に並列接続されて、前記直交位相出力信号の位相を調節するための多数の第2デジタル−アナログユニットを含み、
前記多数の第1デジタル−アナログユニットのそれぞれと前記多数の第2デジタル−アナログユニットのそれぞれは、前記デジタルコードのMSBに基づいてイネーブル/ディセーブルされることを特徴とする請求項6に記載のローカルオシレーターから出力された信号の位相補正回路。
【請求項8】
同位相出力信号を出力するための第1バッファと、
直交位相出力信号を出力するための第2バッファと、
前記第1バッファの出力信号と同位相ベースバンド出力信号とをミキシングするための第1ミキサーと、
前記第2バッファの出力信号と直交位相ベースバンド出力信号とをミキシングするための第2ミキサーと、
前記同位相出力信号の位相と前記直交位相出力信号の位相とを比較し、該比較結果に相応するデジタルコードを発生させるためのコード発生回路と、
前記同位相出力信号の前記位相と前記直交位相出力信号の前記位相との差を90°に維持させるために、直交位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記同位相出力信号の前記位相を調節し、同位相差動入力信号と前記デジタルコードとに応答して、前記直交位相出力信号の位相を調節するための位相補正回路と、
を含むことを特徴とする無線信号処理装置。
【請求項9】
前記コード発生回路は、
前記同位相出力信号の前記位相と前記直交位相出力信号の前記位相との差を検出して、第1検出信号と第2検出信号とを発生させるための位相検出器と、
前記第1検出信号と前記第2検出信号のそれぞれを低域通過フィルタリングして、第1フィルター信号と第2フィルター信号とを発生させるための低域通過フィルターと、
前記第1フィルター信号と前記第2フィルター信号とを比較して、該比較信号を出力するための比較器と、
クロック信号と前記比較信号によって、前記デジタルコードを発生させるためのコード発生器と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の無線信号処理装置。
【請求項10】
前記コード発生器は、前記比較信号のレベルの変化に基づいて補正制御信号を発生させ、
前記無線信号処理装置は、前記補正制御信号に応答して、前記同位相出力信号と前記直交位相出力信号とを前記コード発生回路に伝送するためのスイッチをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の無線信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−55498(P2011−55498A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195568(P2010−195568)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】