説明

位置情報生成システム、位置情報生成装置、コンピュータプログラム及び位置情報生成方法

【課題】車両などの移動体の位置を精度よく特定することができる位置情報生成システム、該位置情報生成システムを構成する位置情報生成装置、該位置情報生成装置を実現するためのコンピュータプログラム及び位置情報生成方法を提供する。
【解決手段】車載機100は、第1の信号を路側機の第1通信部及び第2通信部へ送信し、路側機の第1通信部及び第2通信部が送信した第2の信号を受信することにより、車載機100の第1通信部からの距離L1を算出するとともに、車載機100の第2通信部からの距離L2を算出する。車載機100は、第1通信部及び第2通信部の位置を中心とした円又は球の交点を自身の位置として特定して位置情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の位置に関する情報を生成する位置情報生成システム、該位置情報生成システムを構成する位置情報生成装置、該位置情報生成装置を実現するためのコンピュータプログラム及び位置情報生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電波を放射する移動体などの未知局と称される電波源の位置を検出するシステムが開発されている。例えば、電波源が発射した電波を複数のセンサ局で受信し、各センサ局は、GPS受信機から出力された基準時刻をトリガとして一定時間の電波を取り出してフーリエ変換を施して複素周波数成分を抽出し、抽出した複素周波数成分をセンタ局へ送信する。センタ局は、各センサ局から送信された複素周波数成分間の複素共役積を算定し、各センサ局間の到達時間差を算定して電波源の位置を検出する位置検出システムが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3739078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のシステムにあっては、電波源からセンサ局までの信号の到達時間を算出する場合、電波源の時刻とセンサ局の時刻とが同期、すなわち、同一時刻となるように電波源又はセンサ局の時計を調整する必要がある。しかし、現実問題として両者の時計の時刻を同一にするのは困難であり、僅かな時刻差が生ずる。また、各センサ局の時刻がずれているか否かを監視する機能もなく、センサ局間で時刻を同期させる具体的な方法も開示されていない。このため、移動体の位置を精度よく検出することができるシステムが望まれていた。
【0004】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、車両などの移動体の位置に関する情報を精度よく生成することができる位置情報生成システム、該位置情報生成システムを構成する位置情報生成装置、該位置情報生成装置を実現するためのコンピュータプログラム及び位置情報生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る位置情報生成システムは、移動体に搭載した通信装置を含む少なくとも2つの通信装置を備え、該通信装置間で所定の信号を送受信して前記移動体の位置に関する情報を生成する位置情報生成システムであって、一の通信装置は、第1の信号を他の通信装置へ送信する送信手段と、前記他の通信装置が送信した第2の信号を受信する受信手段とを備え、前記他の通信装置は、前記第1の信号を受信する受信手段と、該受信手段で前記第1の信号を受信した第1の受信時点から前記第2の信号の第2の送信時点までの時間に関する時間情報を含む前記第2の信号を送信する送信手段とを備え、前記一の通信装置は、前記第2の信号を受信した第2の受信時点、前記第1の信号を送信した第1の送信時点及び前記時間情報に基づいて、移動体の該移動体を搭載した通信装置以外の通信装置からの距離情報を生成する生成手段をさらに備えることを特徴とする。
【0006】
第2発明に係る位置情報生成システムは、第1発明において、前記一の通信装置は、移動体の移動距離を取得する距離取得手段を備え、前記生成手段は、前記第1の送信時点から第2の受信時点までの間に前記移動体が移動した距離に基づいて、該移動体の距離情報を生成するように構成してあることを特徴とする。
【0007】
第3発明に係る位置情報生成システムは、第2発明において、前記一の通信装置は、移動体の移動方位を取得する方位取得手段を備え、前記生成手段は、前記第1の送信時点から第2の受信時点までの間に前記移動体が移動した方位に基づいて、該移動体の距離情報を生成するように構成してあることを特徴とする。
【0008】
第4発明に係る位置情報生成システムは、第1発明乃至第3発明のいずれか1つにおいて、各通信装置は、計時のための基準クロックで動作する計時手段を備え、前記他の通信装置の計時手段の計時誤差は、前記一の通信装置の計時手段の計時誤差よりも小さく、前記他の通信装置は、前記一の通信装置の計時手段の計時誤差を計測する計測手段と、該計測手段で計測した計測結果を前記一の通信装置へ送信する送信手段とを備え、前記一の通信装置は、前記計測結果を受信する受信手段と、受信した計測結果に基づいて、前記第1の送信時点から第2の受信時点までの時間を補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第5発明に係る位置情報生成システムは、第4発明において、前記一の通信装置は、通信装置間で既知の周波数成分を含む基準クロック補正用の信号を前記他の通信装置へ送信するように構成してあり、前記他の通信装置は、前記基準クロック補正用の信号の周波数成分を抽出する抽出手段を備え、前記計測手段は、前記抽出手段で抽出した周波数成分に基づいて前記一の通信装置の計時手段の計時誤差を計測するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
第6発明に係る位置情報生成システムは、第4発明において、前記一の通信装置は、通信装置間で既知の時間長の基準クロック補正用の信号を前記他の通信装置へ送信するように構成してあり、前記他の通信装置は、前記基準クロック補正用の信号の時間長を抽出する抽出手段を備え、前記計測手段は、前記抽出手段で抽出した時間長に基づいて前記一の通信装置の計時手段の計時誤差を計測するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第7発明に係る位置情報生成システムは、第4発明において、前記一の通信装置は、既知の周波数成分を含む前記第1の信号又は既知の時間長の前記第1の信号を送信するように構成してあり、前記他の通信装置は、前記第1の信号の周波数成分又は時間長を抽出する抽出手段を備え、前記計測手段は、前記抽出手段で抽出した周波数成分又は時間長に基づいて前記一の通信装置の計時手段の計時誤差を計測するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第8発明に係る位置情報生成システムは、第4発明乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記他の通信装置は、移動体の移動速度及び移動方位を取得する取得手段と、該取得手段で取得した移動速度及び移動方位に基づいて信号のドップラーシフト量を算出する算出手段と、該算出手段で算出したドップラーシフト量を相殺すべく前記計測手段で計測した計時誤差を補償する補償手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
第9発明に係る位置情報生成システムは、第4発明乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記一の通信装置は、移動体の移動速度及び移動方位を記憶する記憶手段と、記憶した移動速度及び移動方位に基づいて信号のドップラーシフト量を算出する算出手段と、該算出手段で算出したドップラーシフト量を相殺すべく前記受信手段で受信した計測結果に基づいて、前記計時手段の計時誤差を補償する補償手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第10発明に係る位置情報生成システムは、第1発明乃至第9発明のいずれか1つにおいて、前記第1の信号及び第2の信号は、通信装置間で既知の信号であることを特徴とする。
【0015】
第11発明に係る位置情報生成システムは、第1発明乃至第10発明のいずれか1つにおいて、前記第1の信号及び第2の信号は、前記第1の信号の送信元固有の識別子を含むことを特徴とする。
【0016】
第12発明に係る位置情報生成システムは、第1発明乃至第11発明のいずれか1つにおいて、移動体に搭載した通信装置の他に少なくとも2つの通信装置を備え、前記一の通信装置は、移動体に搭載した通信装置以外の各通信装置の位置情報を記憶する記憶手段を備え、前記生成手段は、移動体の前記各通信装置からの距離情報を生成するように構成してあり、前記生成手段で生成した距離情報及び記憶した位置情報に基づいて、前記移動体の位置情報を生成する位置情報生成手段を備えることを特徴とする。
【0017】
第13発明に係る位置情報生成システムは、第12発明において、前記一の通信装置は、移動体の移動領域の道路形状情報を記憶する記憶手段を備え、前記位置情報生成手段は、記憶した道路形状情報を用いて移動体の位置情報を生成するように構成してあることを特徴とする。
【0018】
第14発明に係る位置情報生成システムは、第12発明又は第13発明において、前記一の通信装置は、移動体に搭載した通信装置の位置の高さ情報を記憶する記憶手段を備え、前記位置情報生成手段は、記憶した高さ情報を用いて移動体の位置情報を生成するように構成してあることを特徴とする。
【0019】
第15発明に係る位置情報生成装置は、通信装置との間で所定の信号を送受信して自身の位置に関する情報を生成する位置情報生成装置であって、第1の信号を前記通信装置へ送信する送信手段と、前記通信装置で前記第1の信号を受信した第1の受信時点から前記通信装置が送信する第2の信号の第2の送信時点までの時間に関する時間情報を含む前記第2の信号を前記通信装置から受信する受信手段と、該受信手段で前記第2の信号を受信した第2の受信時点、前記第1の信号を送信した第1の送信時点及び時間情報に基づいて、自身の前記通信装置からの距離情報を生成する生成手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
第16発明に係る位置情報生成装置は、移動体に搭載した通信装置との間で所定の信号を送受信して前記移動体の位置に関する情報を生成する位置情報生成装置であって、第1の信号を前記通信装置へ送信する送信手段と、前記通信装置で前記第1の信号を受信した第1の受信時点から前記通信装置が送信する第2の信号の第2の送信時点までの時間に関する時間情報を含む前記第2の信号を前記通信装置から受信する受信手段と、該受信手段で前記第2の信号を受信した第2の受信時点、前記第1の信号を送信した第1の送信時点及び時間情報に基づいて、移動体までの距離情報を生成する生成手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
第17発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、通信装置へ送信した第1の信号及び該通信装置から受信した第2の信号に基づいて、自身の位置に関する情報を生成させるコンピュータプログラムであって、コンピュータを、第1の信号を送信した第1の送信時点から第2の信号を受信した第2の受信時点までの時間を算出する算出手段と、算出した時間及び前記第1の信号を前記通信装置で受信した第1の受信時点から前記通信装置で前記第2の信号を送信した第2の送信時点までの時間に関する時間情報に基づいて、自身の前記通信装置からの距離情報を生成する生成手段として機能させることを特徴とする。
【0022】
第18発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、移動体に搭載した通信装置へ送信した第1の信号及び該通信装置から受信した第2の信号に基づいて、前記移動体の位置に関する情報を生成させるコンピュータプログラムであって、コンピュータを、第1の信号を送信した第1の送信時点から第2の信号を受信した第2の受信時点までの時間を算出する算出手段と、算出した時間及び前記第1の信号を前記通信装置で受信した第1の受信時点から前記通信装置で前記第2の信号を送信した第2の送信時点までの時間に関する時間情報に基づいて、移動体までの距離情報を生成する生成手段として機能させることを特徴とする。
【0023】
第19発明に係る位置情報生成方法は、移動体に搭載した通信装置を含む少なくとも2つの通信装置間で所定の信号を送受信して前記移動体の位置に関する情報を生成する位置情報生成方法であって、一の通信装置は、第1の信号を他の通信装置へ送信し、前記他の通信装置は、前記第1の信号を受信し、前記第1の信号を受信した第1の受信時点から自身が送信する第2の信号の第2の送信時点までの時間に関する時間情報を含む前記第2の信号を前記一の通信装置へ送信し、前記一の通信装置は、前記第2の信号を受信し、前記第2の信号を受信した第2の受信時点、前記第1の信号を送信した第1の送信時点及び前記時間情報に基づいて、移動体の該移動体を搭載した通信装置以外の通信装置からの距離情報を生成することを特徴とする。
【0024】
第1発明、第15発明、第16発明、第17発明、第18発明及び第19発明にあっては、位置情報生成システムは、移動体に搭載した通信装置を含む少なくとも2つの通信装置を備える。一の通信装置は、第1の信号を他の通信装置へ送信する。他の通信装置は、第1の信号を受信する。他の通信装置が第2の信号を一の通信装置へ送信する場合、他の通信装置は、第1の信号を受信した第1の受信時点tb1から第2の信号の送信時点である第2の送信時点tb2までの時間に関する時間情報を第2の信号に含めて送信する。ここで、時間情報は、第1の受信時点tb1及び第2の送信時点tb2そのものでもよく、第1の受信時点tb1から第2の送信時点tb2までの経過時間でもよい。一の通信装置は、第2の信号を受信し、受信した時点を第2の受信時点ta2とする。一の通信装置は、第2の受信時点ta2、第1の信号を送信した第1の送信時点ta1及び時間情報(tb1、tb2)に基づいて、移動体の該移動体を搭載した通信装置以外の通信装置からの距離情報を生成する。
【0025】
一の通信装置が移動体に搭載されている場合、一の通信装置が第1の信号を送信した後、第2の信号を受信するまでの間に移動した距離を無視することができるときには、移動体の他の通信装置からの距離情報(例えば、距離L)は、信号の伝搬速度に信号の伝搬時間Tの2分の1を積算することにより求めることができる。ここで、信号の伝搬時間Tは、T=ta2−ta1−(tb2−tb1)である。また、他の通信装置が移動体に搭載されている場合、一の通信装置が第1の信号を送信した後、第2の信号を受信するまでの間に他の通信装置の移動距離を無視することができるときには、移動体までの距離情報は、同様に信号の伝搬速度に信号の伝搬時間Tの2分の1を積算することにより求めることができる。これにより、通信装置間の時刻が同期していなくても、移動体の位置に関する情報(距離情報)を精度良く求めることができる。
【0026】
第2発明にあっては、一の通信装置は、第1の送信時点ta1から第2の受信時点ta2までの間に移動体が移動した距離(例えば、X)に基づいて、移動体の距離情報を生成する。例えば、一の通信装置が移動体に搭載されている場合、移動体が他の通信装置の方向に略等しい方向に移動しているときは、移動体の他の通信装置からの距離情報(例えば、距離L)は、信号の伝搬速度に信号の伝搬時間Tを積算した値から、移動体の移動距離Xを減算した値の2分の1とすることができる。なお、距離Lは、第2の受信時点での距離である。これにより、移動体が移動している場合であっても、移動体の位置に関する情報(距離情報)を精度良く求めることができる。なお、他の通信装置が移動体に搭載されている場合も同様である。
【0027】
第3発明にあっては、一の通信装置は、第1の送信時点ta1から第2の受信時点ta2までの間に移動体が移動した距離に加えて、移動した方位(例えば、移動方向と通信装置間の方向との角度θ)に基づいて、移動体の距離情報を生成する。例えば、一の通信装置が移動体に搭載されている場合、一の通信装置の第1の送信時点ta1における移動方向と通信装置間の方向との角度をθ1、一の通信装置の第2の受信時点ta2における移動方向と通信装置間の方向との角度をθ2、第1の送信時点ta1から第2の受信時点ta2までの間に移動体が移動した距離をX、信号の伝搬速度に信号の伝搬時間Tを乗算した信号の伝搬距離をLとし、移動体の進行方向が略直線上にあるとすると、第2の受信時点での移動体の他の通信装置からの距離Yは、Y=(L・cosθ1−X)/(cosθ1+cosθ2)で求めることができる。ここで、θ1、θ2は、一の通信装置が他の通信装置に向かう向きを0度とする。これにより、移動体が移動している場合において、移動体の移動方位にかかわらず、移動体の位置に関する情報(距離情報)を精度良く求めることができる。なお、他の通信装置が移動体に搭載されている場合も同様である。
【0028】
第4発明にあっては、各通信装置は、基準クロックに基づいて計時する。一の通信装置が移動体に搭載されている場合、他の通信装置の計時誤差は、一の通信装置の計時誤差よりも小さい。例えば、一の通信装置が車載機である場合、基準クロックは比較的誤差が大きく、一例としては、10-5〜10-6程度の精度を有する。これに対して、他の通信装置が路側機である場合、GPS衛星からのクロックを抽出することができ、一例としては、10-8〜10-9程度の車載機のクロックに比べて高い精度を有する。
【0029】
他の通信装置は、一の通信装置の計時誤差を計測し、計測した計測結果を一の通信装置へ送信する。この場合、一の通信装置は、例えば、既知の周波数成分を含む信号、あるいは、既知の時間長の信号を他の通信装置へ送信し、他の通信装置は、受信した信号から周波数成分又は信号の時間長を抽出することにより、予め既知の周波数又は時間長との差異に応じた計時誤差を計測することができる。一の通信装置は、計測結果を受信し、受信した計測結果に基づいて、第1の送信時点ta1から第2の受信時点ta2までの時間を補正する。これにより、通信装置間で計時誤差の大小が異なる場合であって、リアルタイムで時刻の進み度合い又は遅れ度合いを通信装置間で一致させることができ、移動体の位置に関する情報(距離情報)を精度良く求めることができる。なお、この場合、通信装置間で時刻を同一にする必要はない。また、他の通信装置が移動体に搭載されている場合も同様である。
【0030】
第5発明にあっては、一の通信装置は、通信装置間で既知の周波数成分を含む基準クロック補正用の信号を他の通信装置へ送信し、他の通信装置は、受信した基準クロック補正用の信号の周波数成分を抽出する。なお、基準クロック補正用の信号は、基準クロック補正のみに用いる信号に限定されるものではなく、基準クロック補正とその他の用途に用いる信号であってもよい。他の通信装置は、抽出した周波数成分と予め既知の周波数成分との差に基づいて、一の通信装置の計時誤差を計測する。例えば、既知の周波数を1GHzとし、他の通信装置で抽出した周波数成分が1.000001GHzである場合、一の通信装置の時計(クロック)は、他の通信装置の時計(クロック)よりも1ppm速いことがわかる。これにより、通信装置間の時計(クロック)の進み度合い又は遅れ度合いを精度良く計測することができる。
【0031】
第6発明にあっては、一の通信装置は、通信装置間で既知の時間長の基準クロック補正用の信号を他の通信装置へ送信し、他の通信装置は、受信した基準クロック補正用の信号の時間長を抽出する。他の通信装置は、抽出した時間長と予め既知の時間長との差に基づいて、一の通信装置の計時誤差を計測する。例えば、信号の既知の時間長を10ミリ秒とし、他の通信装置で抽出した信号の時間長が10ミリ秒よりも10ナノ秒長い場合、一の通信装置の時計(クロック)は、他の通信装置の時計(クロック)よりも1ppm遅いことがわかる。これにより、通信装置間の時計(クロック)の進み度合い又は遅れ度合いを精度良く計測することができる。
【0032】
第7発明にあっては、一の通信装置は、既知の周波数成分を含む第1の信号又は既知の時間長の第1の信号を送信し、他の通信装置は、受信した第1の信号の周波数成分又は時間長を抽出する。他の通信装置は、抽出した周波数成分又は時間長と予め既知の周波数成分又は時間長との差に基づいて一の通信装置の計時誤差を計測する。これにより、通信装置間の時計(クロック)の進み度合い又は遅れ度合いを精度良く計測することができる。
【0033】
第8発明にあっては、一の通信装置が移動体に搭載されている場合、他の通信装置は、移動体の移動速度及び移動方位を取得し、取得した移動速度及び移動方位に基づいて信号のドップラーシフト量(周波数)を算出する。この場合、移動速度及び移動方位は、一の通信装置から他の通信装置へ送信することができる。一の通信装置が、周波数f0の信号を送信した場合に、他の通信装置が受信する信号の周波数fは、f≒f0(c+V・cosθ)/cで表わすことができる。これにより、ドップラーシフト量を算出する。ここで、f0は通信装置間で既知の周波数、Vは移動速度、θは移動方向と通信装置間の方向との角度、cは光速である。他の通信装置は、算出したドップラーシフト量を相殺すべく計測した計時誤差を補償する。これにより、移動体の移動速度が速い場合であっても、精度よく計時誤差を求めることができる。
【0034】
第9発明にあっては、一の通信装置は移動体に搭載されている。一の通信装置は、移動体の移動速度及び移動方位を取得し、取得した移動速度及び移動方位を記憶しておく。一の通信装置は、他の通信装置から計時誤差(例えば、計時用のクロックのずれ、予め既知の周波数又は時間長との差、あるいは周波数又は時間長そのものなど)を受信する。例えば、計時誤差として周波数を用いる場合、一の通信装置は、記憶した移動速度及び移動方位に基づいて信号のドップラーシフト量(周波数)を算出する。この場合、周波数fは、f≒f0(c+V・cosθ)/cで表わすことができる。ここで、f0は通信装置間で既知の周波数、Vは移動速度、θは移動方向と通信装置間の方向との角度、cは光速である。一の通信装置は、他の通信装置から受信した周波数と算出した周波数とに基づいて、ドップラーシフト量を相殺すべく計時誤差を補償する。これにより、移動体の移動速度が速い場合であっても、精度よく計時誤差を求めることができる。
【0035】
第10発明にあっては、第1の信号及び第2の信号は、通信装置間で移動体の位置に関する情報を生成するための既知の信号である。これにより、通信装置間で所要の信号を確実に送受信することができる。
【0036】
第11発明にあっては、第1の信号及び第2の信号は、第1の信号の送信元固有の識別子を含む。例えば、一の通信装置が移動体(例えば、車両)に搭載されている場合に、多数の車両から信号が送信されるときは、他の通信装置及び一の通信装置は、どの車両からの信号であるかを識別子により判別することができ、多数の移動体の位置に関する情報をそれぞれ精度良く求めることができる。
【0037】
第12発明にあっては、移動体に搭載した通信装置の他に少なくとも2つの通信装置(例えば、第1通信装置、第2通信装置とする)を備えている。一の通信装置は、移動体に搭載した通信装置以外の各通信装置(第1通信装置及び第2通信装置)の位置情報を記憶してある。例えば、一の通信装置が移動体に搭載されている場合、一の通信装置は自身以外の通信装置(第1通信装置及び第2通信装置)の位置情報を記憶してある。一の通信装置は、移動体の第1通信装置及び第2通信装置それぞれからの距離情報(例えば、距離)を生成し、生成した距離情報及び記憶した位置情報に基づいて、移動体の位置情報を生成する。例えば、移動体の第1通信装置からの距離をL1、第2通信装置からの距離をL2とすると、移動体の位置(位置情報)は、第1通信装置及び第2通信装置の位置を中心とした半径がそれぞれL1、L2の円(又は球)の交点として求めることができる。この場合、移動体が車両等であり、走行する道路が分かっている場合には、道路面と円(又は球)との交点として移動体の位置を特定することができる。なお、一の通信装置が移動体に搭載されていない場合も同様に、移動体の位置情報を生成することができる。
【0038】
第13発明にあっては、一の通信装置は、移動体の移動領域の道路形状情報を記憶してあり、記憶した道路形状情報を用いて移動体の位置情報を生成する。例えば、一の通信装置は、道路形状情報に基づいて、移動体の仮想的な走行面を特定する。一の通信装置は、1対の通信装置(すなわち、第1通信装置、第2通信装置)の位置を中心とした円(又は球)を特定し、特定した円(又は球)と走行面との交線を移動体の位置として特定することにより、位置情報を生成する。これにより、2つの通信装置を設置することで移動体の位置を高精度に特定することができる。
【0039】
第14発明にあっては、一の通信装置は、移動体に搭載した通信装置の位置の高さ情報を記憶してあり、記憶した高さ情報を用いて移動体の位置情報を生成する。高さ情報を用いることにより、さらに精度よく移動体の位置を特定することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明にあっては、通信装置間の時刻が同期していなくても、移動体の位置に関する情報(距離情報)を精度良く求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
実施の形態1
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る位置情報生成システムの構成の一例を示す模式図であり、図2は車載機100の構成の一例を示すブロック図であり、図3は路側機200の構成の一例を示すブロック図である。位置情報生成システムは、車載機100及び路側機200を備える。
【0042】
車載機100は、路側機200との間で路車間通信システム(位置情報生成システム)を構成するものである。車載機100は、後述するように、所定の信号(第1の信号)を路側機200(具体的には、第1通信部210、第2通信部220)へ送信し、路側機200(具体的には、第1通信部210、第2通信部220)が送信した所定の信号(第2の信号)を受信することにより、車載機100の第1通信部210からの距離(距離情報)L1を算出するとともに、車載機100の第2通信部220からの距離(距離情報)L2を算出する。車載機100は、第1通信部210及び第2通信部220の位置を中心とした円(又は球)の交点を自身の位置として特定して位置情報を生成する。
【0043】
車載機100は、通信部10、測位部20、記憶部30、制御部40、時刻補正部50、伝搬時間算出部60、距離算出部70、位置特定部80などを備えている。
【0044】
路側機200は、時計211を備えた第1通信部210、時計221を備えた第2通信部220、制御部230、時刻ずれ算出部240、ドップラーシフト量算出部250、記憶部260などを備えている。
【0045】
まず、車載機100について説明する。制御部40は、車載機100全体の動作の制御を行う。
【0046】
通信部10は、例えば、VHF/UHF帯の周波数帯域において、路側機200との通信を行う通信機能を備える。通信部10は、基準クロック信号を生成する水晶発振器、基準クロック信号に基づいて動作する時計11(あるいは、タイマ又はカウンタでもよい)等の計時機構、変調回路、復調回路などを備え、所定の信号を路側機200へ送信する。通信部10は、信号の送信時刻を制御部40へ出力する。
【0047】
図4は車載機100が送信する信号に含まれるデータ構造の例を示す説明図である。車載機100が送信する信号(第1の信号)は、車載機100の位置に関する情報(例えば、車載機100の路側機200の第1通信部210及び第2通信部220からの距離、車載機100の位置など)を生成するために路側機200へ送信されるものであり、適宜の間隔で繰り返し送信される。図4に示すように、車載機100が送信する信号は、例えば、位置に関する情報を生成するための信号であることを示すパイロット信号、送信元の車載機100を識別するための車載機ID、信号の送信時刻を示す送信時刻情報などのデータを含んでいる。なお、送信時刻情報は含まなくてもよい。また、パイロット信号は、車載機100と路側機200との間で既知に信号である。これにより、路側機200は、車載機100の位置に関する情報を生成するための信号であることが分かる。
【0048】
また、通信部10は、路側機200(第1通信部210、第2通信部220)が送信した信号を受信し、受信した信号を復調して信号に含まれる元の情報を抽出する。通信部10は、信号の受信時刻を算出し、算出した受信時刻を制御部40へ出力する。
【0049】
図5は路側機200が送信する信号に含まれるデータ構造の例を示す説明図である。路側機200が送信する信号(第2の信号)は、車載機100の位置に関する情報を生成するために車載機100へ送信されるものであり、車載機100から上述の信号(第1の信号)を受信し、所定の処理を行った後に送信される。図5に示すように、路側機200が送信する信号は、例えば、位置に関する情報を生成するための信号であることを示すパイロット信号、送信元である路側機200の第1通信部210又は第2通信部220のいずれであるかを識別するための通信部ID、信号の送信時刻を示す送信時刻情報、いずれの車載機100から送信された信号に対応する信号であるかを車載機100で認識するための車載機ID、車載機100が送信した信号を受信した受信時刻を示す受信時刻情報、第1通信部210、第2通信部220の位置を示す位置情報などのデータを含んでいる。なお、パイロット信号は、車載機100と路側機200との間で既知に信号である。これにより、車載機100は、車載機100の位置に関する情報を生成するための信号であることが分かる。
【0050】
図6は信号の受信時刻の算出例を示す説明図である。図6(a)は路側機200の第1通信部210又は第2通信部220が送信した信号(第2の信号)のパイロット信号の一例を示し、図6(b)は車載機100が予め記憶している相関処理(パターンマッチング)を行うためのレプリカ信号である。また、図6(c)は路側機200の第1通信部210又は第2通信部220が送信した信号(第2の信号)を車載機100の通信部10で受信した際の受信信号である。図6(c)に示すように、通信部10は、受信信号を所定の時間間隔でサンプリングし、サンプリングした波形とレプリカ信号の波形が一致する時刻を受信時刻として測定する。
【0051】
測位部20は、車速センサ21、距離計22、ジャイロセンサ23などを備え、車載機100を搭載した車両の走行速度、走行距離、走行方位などを計測する。なお、測位結果は一旦記憶部30に記憶する。
【0052】
記憶部30は、パイロット信号のレプリカ信号、制御部40の制御により車載機100内で処理した処理結果、通信部10を介して受信した情報、路側機200の各通信部210、220の設置位置又は離隔距離等を記憶する。なお、路側機200に関する情報は、予め記憶部30で記憶しておく構成でもよく、必要に応じて路側機200又は路側機200以外の外部の装置から受信して記憶する構成でもよい。
【0053】
時刻補正部50は、路側機200で計測した車載機100と路側機200との間における時刻ずれ(より具体的には、時計11と時計211又は時計221との間での時刻の進み度合い又は遅れ度合い、すなわち、基準クロックの誤差)に基づいて、車載機100の時計11の時刻ずれを補正する。なお、車載機100の時計11と、路側機200の時計211、221との間で同じ時刻に同期させる必要はない。
【0054】
一般的に、車載機100に搭載されている時計11の基準クロックは、比較的誤差が大きく、一例としては、10-5〜10-6程度の精度を有する。これに対して、路側機200に備えられた時計211、221の基準クロックは、路側機200においては、例えば、GPS衛星からのクロックを抽出する方法などを用いることができるため、車載機100の基準クロックに比べて精度が高く、一例としては、10-8〜10-9程度の精度を有することも可能である。また、基準クロックの進み度合い又は遅れ度合いは、時間の経過とともに変化し、あるいは、周囲温度の変化に応じても変動するため、リアルタイムでの補正が必要となる。なお、時刻ずれの算出方法については後述する。
【0055】
伝搬時間算出部60は、車載機100が送信した信号(第1の信号)が路側機200で受信されるまでの時間と、路側機200が送信した信号(第2の信号)が車載機100で受信されるまでの時間との合計である伝搬時間Tを算出する。
【0056】
図7は車載機100と路側機200との間の信号の伝搬時間の算出例を示す説明図である。図7に示すように、車載機100は、時刻ta1において、第1の送信時刻ta1を含む第1の信号を路側機200へ送信する。路側機200は、第1の信号を受信し、第1の受信時刻tb1を算出する。時刻tb2において、路側機200が第2の信号を車載機100へ送信する場合、路側機200は、第1の受信時刻tb1から第2の信号の送信時刻である第2の送信時刻tb2までの時間に関する時間情報を第2の信号に含めて送信する。ここで、時間情報は、第1の受信時刻tb1及び第2の送信時刻tb2そのものでもよく、第1の受信時刻tb1から第2の送信時刻tb2までの経過時間でもよい。車載機100は、第2の信号を受信し、第2の受信時刻ta2を算出する。車載機100は、信号の伝搬時間TをT=ta2−ta1−(tb2−tb1)により算出する。これにより、車載機100と路側機200とで時刻が同期していない場合であっても(例えば、時刻tb1が車載機100での時刻tb1’+αであり、時刻tb2が車載機100での時刻tb2’+αであり、時刻の同期ずれαが不明であっても)、時刻の同期ずれ(α)は相殺され、精度高く信号の伝搬時間を求めることができる。
【0057】
距離算出部70は、伝搬時間算出部60で算出した伝搬時間に基づいて、車載機100の第1通信部210及び第2通信部220からの距離を算出する。例えば、車載機100と第1通信部210との間の信号の伝搬時間をT1とすると、車載機100がほぼ静止していると見なせる場合には、車載機100の第1通信部210からの距離L1は、L1=c×T1/2で求めることができる。ここで、cは光速である。同様に、車載機100と第2通信部220との間の信号の伝搬時間をT2とすると、車載機100がほぼ静止していると見なせる場合には、車載機100の第2通信部220からの距離L2は、L2=c×T2/2で求めることができる。
【0058】
車載機100が移動している場合には、次のようにして距離を算出することができる。図8は車載機100が移動している場合の距離の算出例を示す説明図である。図8に示すように、車載機100を搭載した車両がほぼ直線状の道路を走行しており、路側機200の第1通信部210が道路から所要距離だけ離れた地点に設置されているとする。図8に示すように、車載機100が第1の送信時刻ta1で第1の信号を送信し、第2の受信時刻ta2で第2の信号を受信したとする。第1の送信時刻ta1での車載機100の移動方向と第1通信部210の方向との角度をθ1、第2の受信時刻ta2での車載機100の移動方向と第1通信部210の方向との角度をθ2、第1の送信時刻ta1から第2の受信時刻ta2までの間に車載機100が移動した距離をX、信号の伝搬速度(光速c)に信号の伝搬時間T1{=ta2−ta1−(tb2−tb1)}を乗算した信号の伝搬距離をL1とすると、第2の受信時刻ta2での車載機100の第1通信部210からの距離Y1は、Y1=(L1・cosθ1−X)/(cosθ1+cosθ2)により算出することができる。車載機100の第2通信部220からの距離も同様に算出することができる。
【0059】
なお、車載機100が第1通信部210の方向に向かって走行する場合には、θ1=θ2=0とすればよい。すなわち、この場合には、車載機100の第1通信部210又は第2通信部220からの距離Y1(又はY2)は、信号の伝搬速度に信号の伝搬時間T1(又はT2)を積算した値L1(又はL2)から、移動体の移動距離Xを減算した値の2分の1とすることができる。なお、距離Y1、Y2は、第2の受信時点での距離である。これにより、車載機100が移動している場合において、車載機100の移動方位にかかわらず、車載機100の第1通信部210及び第2通信部220からの距離を精度良く求めることができる。
【0060】
位置特定部80は、距離算出部70で算出した距離に基づいて、車載機100の位置を特定し、位置情報を生成する。例えば、車載機100の第1通信部210からの距離をL1、第2通信部220からの距離をL2とする。車載機100の位置は、第1通信部210及び第2通信部220の位置を中心とした半径がそれぞれL1、L2の円又は球の交点として求めることができる。この場合、車載機100が走行している道路が分かっている場合には、道路面と上述の円又は球との交点として車載機100の位置を特定することができる。
【0061】
次に、車載機100を搭載した車両が走行する道路の道路形状情報、車載機100(より正確には通信部10)の搭載位置の高さ情報などを考慮して車載機100の位置を特定する例について説明する。
【0062】
図9は道路形状情報の構造を示す説明図である。図9に示すように、道路形状情報は、道路を複数のノードにより所定の距離(例えば、20m)の区間に分割し、区間毎の距離、勾配、曲率などの情報により構成されている。道路が直線の場合、道路に沿って1つの直線上にノードが設定され、道路がカーブの場合、道路に沿って複数の直線上にノード(例えば、2つのノード)が設定される。これにより、カーブにより道路が傾斜している場合でも、2つの直線で決定される平面を特定することができる。
【0063】
道路形状情報は、記憶部30に予め記憶しておく構成でもよく、あるいは、路側機200又は外部装置などから受信する構成でもよい。
【0064】
図10は車載機100の位置を特定する例を示す説明図である。この場合、路側機200の第1通信部210及び第2通信部220を適長離隔(離隔距離は既知)して設置してある。道路上のある地点P1において、第1通信部210及び第2通信部220から第2の信号を受信した場合、車載機100は、第1通信部210からの距離L11と第2通信部220からの距離L21とを算出し、第1通信部210及び第2通信部220の位置を中心として、半径がL11、L21の円又は球の交点P1を車載機100の位置として求めることができる。
【0065】
一方、車載機100は、車両が走行する道路(リンク:交差点間の道路)の道路形状情報と車載機100の高さ情報により、車両の仮想的な走行面を特定する。なお、道路が直線道路である場合には、走行面は平面であり、道路がカーブしている場合には、走行面は曲面となる。
【0066】
車載機100は、上述の円又は球と走行面と交わる交線を車載機100の位置として特定する。これにより、2つの第1通信部210及び第2通信部220を備えるだけで、車載機100の位置を精度良く特定することが可能となる。
【0067】
車両がさらに走行を続け、道路上の地点P2において、第1通信部210及び第2通信部220から第2の信号を受信した場合、車載機100は、第1通信部210からの距離L12と第2通信部220からの距離L22とを算出し、第1通信部210及び第2通信部220の位置を中心として、半径がL12、L22の円又は球の交点P2を車載機100の位置として求めることができる。
【0068】
一方、車載機100は、車両が走行する道路(リンク:交差点間の道路)の道路形状情報と車載機100の高さ情報により、車両の仮想的な走行面を特定する。
【0069】
車載機100は、上述の円又は球と走行面と交わる交線を車載機100の位置として特定する。以降、同様の動作を繰り返すことにより、車載機100は、第1の信号を送信し、第2の信号を受信する都度、車載機100の位置を精度良く特定し続けることができる。なお、この場合、走行面の幅は車線幅(複数車線の場合は道路幅)に相当するが、車両は車線のほぼ中央を走行すると考えられるので、走行面の幅方向の誤差は許容できる範囲内である。
【0070】
これにより、2つの通信部を設置することで車載機100の位置を高精度に特定することができる。また、道路形状情報に加えて、車載機100の高さ情報を考慮することにより、さらに精度よく車載機100の位置を特定することができる。
【0071】
なお、上述の例で、第1通信部210から送信された第2の信号の受信時刻と、第2通信部220から送信された第2の信号の受信時刻とが異なる場合には、受信時刻の時間差の間に車載機100が移動した距離を考慮して、車載機100の第1通信部210からの距離、又は第2通信部220からの距離を補正すればよい。
【0072】
次に、路側機200について説明する。制御部230は、路側機200全体の動作の制御を行う。
【0073】
第1通信部210は、通信部10と同様の構成を有し、例えば、VHF/UHF帯の周波数帯域において、車載機100との通信を行う通信機能を備える。第1通信部210は、基準クロック信号を生成する水晶発振器、基準クロック信号に基づいて動作する時計211(あるいは、タイマ又はカウンタでもよい)等の計時機構、変調回路、復調回路などを備え、車載機100が送信した信号を受信するとともに、所定の信号を車載機100へ送信する。第1通信部210が送信する信号に含まれるデータ構造は、図5に示したとおりであり、車載機100が送信した信号の受信時刻の算出は、図6の例と同様である。
【0074】
第2通信部220は、第1通信部210と同様の構成、機能を有する。
【0075】
時刻ずれ算出部240は、時計211及び時計221に対して車載機100の時計11の進み度合い又は遅れ度合い(計時誤差)を算出する。すなわち、時刻ずれ算出部240は、基準クロックの誤差を算出する。制御部230は、算出した時刻ずれを第1通信部210、第2通信部220を通じて車載機100へ送信する。
【0076】
以下、時刻ずれの算出方法について説明する。車載機100(通信部10)は、車載機100と路側機200との間で既知の周波数成分を含む信号(上述の第1の信号でもよく、あるいは、基準クロック補正用の信号でもよい)を路側機200へ送信する。なお、基準クロック補正用の信号は、基準クロック補正のみに用いる信号に限定されるものではなく、基準クロック補正とその他の用途に用いる信号であってもよい。路側機200(第1通信部210、第2通信部220)は、受信した信号の周波数成分を抽出し、抽出した周波数成分と予め既知の周波数成分との差に基づいて、時計11の計時誤差を計測する。例えば、既知の周波数を1GHzとし、路側機200で抽出した周波数成分が1.000001GHzである場合、車載機100の時計11は、路側機200の時計211又は時計221よりも1ppm速いことがわかる。これにより、車載機100の時計11と路側機200の時計211、221との間の時計(基準クロック)の進み度合い又は遅れ度合いを精度良く計測することができる。
【0077】
なお、信号に含まれる周波数成分を抽出する方法は、例えば、信号に含まれるガードインターバル内のシンボルの相関度を求めることにより、シンボルのタイミングを検出して周波数を求めることが可能である。
【0078】
他の算出例として、信号の時間長を用いることもできる。車載機100(通信部10)は、車載機100と路側機200との間で既知の時間長の信号(上述の第1の信号でもよく、あるいは、基準クロック補正用の信号でもよい)を路側機200へ送信する。路側機200(第1通信部210、第2通信部220)は、受信した信号の時間長を抽出し、抽出した時間長と予め既知の時間長との差に基づいて、時計11の計時誤差を計測する。例えば、既知の時間長を10ミリ秒とし、路側機200で抽出した時間長が10ナノ秒長い場合、車載機100の時計11は、路側機200の時計211又は時計221よりも1ppm遅いことがわかる。これにより、車載機100の時計11と路側機200の時計211、221との間の時計(基準クロック)の進み度合い又は遅れ度合いを精度良く計測することができる。
【0079】
ドップラーシフト量算出部250は、車載機100が高速度で走行している場合、ドップラーシフトの影響による周波数の変動量を算出する。ドップラーシフト量算出部250は、車載機100の移動速度及び移動方位を取得し、取得した移動速度及び移動方位に基づいて信号の周波数を算出する。車載機100の移動速度及び移動方位は、車載機100が送信する信号に含めることにより取得すればよい。ドップラーシフトにより算出される周波数fは、f≒f0(c+V・cosθ)/cで表わすことができる。ここで、f0は車載機100が送信する信号に含まれる既知の周波数、Vは車載機100の移動速度、θは車載機100の移動方向と第1通信部210又は第2通信部220の方向との角度、cは光速である。ここで、θは、車載機100が第1通信部210又は第2通信部220に向かう向きを0度とする。
【0080】
時刻ずれ算出部240は、ドップラーシフトによる影響が無視できない場合、ドップラーシフト量算出部250で算出した周波数fに基づいて、算出した時刻ずれを補償する。すなわち、既知の周波数をf0、ドップラーシフトにより算出した周波数をf、信号から抽出した周波数をf1とすると、ドップラーシフトの影響を相殺した場合の周波数、すなわち、車載機100が送信した信号に含まれる周波数は、f0×f1/fで求めることができ、これに基づいて基準クロックのずれを求めることができる。これにより、車載機100の移動速度が速い場合であっても、精度よく計時誤差を求めることができる。
【0081】
記憶部260は、パイロット信号のレプリカ信号、制御部230の制御により路側機200内で処理した処理結果、第1通信部210及び第2通信部220を介して受信した情報、第1通信部210及び第2通信部220の設置位置又は離隔距離等を記憶する。
【0082】
次に、車載機100の動作について説明する。図11は車載機100の処理手順を示すフローチャートである。なお、車載機100の処理は、専用のハードウエア回路で構成してもよく、又は予め処理手順を定めたコンピュータプログラムを実行する構成であってもよい。
【0083】
制御部40は、任意のタイミング(車載機100の位置に関する情報を必要とするタイミング)で第1の信号を路側機200へ送信し(S11)、移動距離を計測し(S12)、移動方位を計測する(S13)。制御部40は、路側機200から第2の信号を受信したか否かを判定し(S14)、第2の信号を受信していない場合(S14でNO)、ステップS12以降の処理を続ける。
【0084】
路側機200から第2の信号を受信した場合(S14でYES)、すなわち、第1通信部210及び第2通信部220から信号を受信した場合、制御部40は、信号に含まれる情報を抽出して、時刻ずれの補正が必要であるか否かを判定する(S15)。時刻ずれの補正が必要である場合(S15でYES)、制御部40は、路側機200で計測された時刻ずれに応じて時刻(基準クロック)を補正する(S16)。
【0085】
時刻ずれの補正が必要でない場合(S15でNO)、制御部40は、ステップS16の処理を行わずに、後述のステップS17の処理を行う。制御部40は、通信部10から送信した第1の信号が第1通信部210で受信されるまでの時間と、第1通信部210が送信した第2の信号が通信部10で受信されるまでの時間との合計である伝播時間を算出する(S17)。なお、第2通信部220についても、同様に伝搬時間を算出する。制御部40は、算出した伝搬時間に基づいて、車載機100の第1通信部210及び第2通信部220からの距離を算出する(S18)。
【0086】
制御部40は、算出した距離に基づいて、第1通信部210及び第2通信部220の位置を中心とした円又は球の交点、車載機100を搭載した車両が走行する道路形状情報、車載機100の搭載位置の高さ情報などに基づいて、車載機100の位置を特定する(S19)。制御部40は、算出した距離、特定した位置などを車載機100の位置に関する情報として生成する。制御部40は、処理の終了指示の有無を判定し(S20)、終了指示がない場合(S20でNO)、ステップS11以降の処理を続け、終了指示がある場合(S20でYES)、処理を終了する。
【0087】
実施の形態2
実施の形態1では、車載機100が第1の信号を路側機200へ送信し、路側機200が送信した第2の信号を受信することにより、車載機100の位置に関する情報を生成する構成であったが、これに限定されるものではなく、路側機が第1の信号を車載機100へ送信し、車載機100が送信した第2の信号を路側機で受信して、路側機で車載機100の位置に関する情報を生成することもできる。
【0088】
図12は実施の形態2の路側機300の構成の一例を示すブロック図である。路側機300は、時計211を備える第1通信部210、時計221を備える第2通信部220、記憶部260、制御部230、時刻ずれ算出部240、ドップラーシフト量算出部250、時刻補正部310、伝搬時間算出部320、距離算出部330、位置特定部340などを備えている。
【0089】
時刻補正部310、伝搬時間算出部320、距離算出部330、位置特定部340は、それぞれ実施の形態1の車載機100に備えられた時刻補正部50、伝搬時間算出部60、距離算出部70、位置特定部80と同様の構成である。従って、実施の形態2においては、車載機100は、時刻補正部50、伝搬時間算出部60、距離算出部70、位置特定部80などを備える必要はない。また、第1通信部210、第2通信部220、記憶部260、制御部230、時刻ずれ算出部240、ドップラーシフト量算出部250は、実施の形態1の路側機100の場合と同様である。
【0090】
路側機300(第1通信部210、第2通信部220)は、所定の信号(第1の信号)を車載機100へ送信し、車載機100(通信部10)が送信した所定の信号(第2の信号)を受信することにより、車載機100の第1通信部210からの距離(距離情報)L1を算出するとともに、車載機100の第2通信部220からの距離(距離情報)L2を算出する。路側機300は、第1通信部210及び第2通信部220の位置を中心とした半径がL1、L2の円又は球の交点を車載機100の位置として特定して位置情報を生成する。他の動作は、実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。
【0091】
なお、車載機と路側機との間で所定の信号の送受信を行った上で、車載機の位置を特定する処理を路側機とは別の装置で行う構成でもよい。
【0092】
実施の形態3
上述の実施の形態1、2において、車載機100自体にGPS等による自律的な自車両存在位置計測機能を備える構成とすることもできる。この場合、車載機100は、近隣を走行する他の車両の車載機との間で、自律的に計測した自車両存在位置を情報交換し合うようにすることができる。車載機100相互間で、お互いの位置情報を送受信しあうことで、各車両の車載機100は、自車両の周囲にどれくらいの台数の車両が存在するのか、どの程度接近した位置にいるのか等の情報を把握することができ、運転者の安全運転を支援することが可能になる。
【0093】
このような装置又はシステムでは、各車両が自律的に認識している自車位置が、所定以上の誤差を有する場合がある。位置情報に所定以上の誤差があると、その位置情報を受信した他の車両が、実際にはある程度離隔しているのにすぐそばに存在すると勘違いする可能性があり、交通の安全性を高めるという目的にそぐわないことがある。そこで、実施の形態1、2において示した路側機200、300を配置する構成を採用することで、車載機100の位置を車載機100及び路側機300の両方で特定するとともに、車載機100が送受信している位置情報を路側機300が傍受し、路側機300が把握している車両の存在位置と車載機100自身が認識する存在位置とが所定以上の誤差を有する場合に、路側機300がその車載機100に対して警告情報を送ることができる。
【0094】
上述の警告情報には、例えば、路側機300が測位した車両の位置に関する情報や誤差がどの程度であったかを知ることのできる情報を含ませておき、車載機100自身の有する自律的な測位機能に問題があることを瞬時に把握できるようにしておくことが望ましい。さらに、自律的な測位機能に問題のある車両の周囲を走行する車両の車載機100に対しても警告情報を送り、車車間通信で送受信される特定の車両の位置情報に誤差があることを知らせることもできる。このように、本発明にあっては、路側機300による測位を、車両の自律的な測位機能の補完として活用することもできる。
【0095】
以上説明したように、本発明にあっては、車載機の時刻と路側機の時刻が同じ時刻でない場合(すなわち、時刻の同期がなされていない場合)であっても、車載機と路側機との間で第1の信号及び第2の信号を送受信することにより、時刻の同期ずれを相殺して、車載機の位置に関する情報を精度よく求めることができる。
【0096】
上述の実施の形態において、車載機が送信した信号を路側機で受信した場合に、受信した信号の送信時刻とその信号の受信時刻との差が所定の閾値より大きい場合には、車載機の時計(基準クロック)が異常であるとして、車載機に対して基準クロック補正用の信号を送信することを促す信号を路側機から送信するように構成することもできる。
【0097】
上述の実施の形態では、路側機に通信部を含む構成であったが、各通信部を別個の通信装置として構成することもできる。また、路側機の制御部、時刻ずれ算出部、ドップラーシフト量算出部、時刻補正部、伝搬時間算出部、距離算出部、位置特定部、記憶部などをいずれかの通信部内に構成することもできる。また、路側機に代えて、信号制御機などの他の装置を用いることもできる。
【0098】
上述の実施の形態では、路側機にドップラーシフト量算出部250、時刻ずれ算出部240を備える構成であったが、これに限定されるものではなく、車載機100に備える構成とすることもできる。この場合には、車載機100は、車両の移動速度及び移動方位を取得し、取得した移動速度及び移動方位を記憶しておく。車載機100は、路側機から計時誤差(例えば、計時用のクロックのずれ、予め既知の周波数又は時間長との差、あるいは周波数又は時間長そのものなど)を受信する。例えば、計時誤差として周波数を用いる場合、車載機100は、記憶した移動速度及び移動方位に基づいて信号のドップラーシフト量(周波数)を算出する。ドップラーシフトにより算出される周波数fは、f≒f0(c+V・cosθ)/cで表わすことができる。ここで、f0は車載機100が送信する信号に含まれる既知の周波数、Vは車載機100の移動速度、θは車載機100の移動方向と第1通信部210又は第2通信部220の方向との角度、cは光速である。θは、車載機100が第1通信部210又は第2通信部220に向かう向きを0度とする。車載機100は、路側機から受信した周波数と算出した周波数とに基づいて、ドップラーシフト量を相殺すべく計時誤差を補償する。これにより、移動体の移動速度が速い場合であっても、精度よく計時誤差を求めることができる。
【0099】
本発明によれば、車載機の位置を精度良く求めることができるので、本発明を用いることにより、例えば、車載機で前方の信号機の表示情報を受信し、受信した表示情報に基づいて交差点の手前で安全に停止することができるか否か、あるいは、交差点を安全に通過することができるか否かを高精度に判定し、判定結果に応じて運転者に音声で注意を促すことができる。また、車載機で受信した信号機の表示情報に基づいて、交差点を安全に通過することができるか否かを高精度に判定し、判定結果に応じて車両のブレーキ制御を行うこともでき、交通事故を未然に防止して交通の安全性を高めることができる。
【0100】
上述の実施の形態では、時刻ずれを算出し、時刻ずれを補正する構成であったが、これに限定されるものではなく、計時手段としては時計の他に、タイマ又はカウンタ等で構成することもでき、これらの計数値のずれを算出し、計数値ずれを補正する構成とすることもできる。すなわち、時刻ずれには、これらの計数値のずれも含む。
【0101】
上述の実施の形態では、車載機を例に挙げて説明したが、車載機に限定されるものではなく、歩行者等の移動する人が携帯する携帯通信装置(例えば、携帯電話、通信機能を有するPDA又は音楽・動画再生装置、ノート型パーソナルコンピュータ等)であってもよい。
【0102】
上述の実施の形態では、路側機には2つの通信部を備える構成であったが、これに限定されるものではなく、通信部の数は、3、4などであってもよい。これにより車載機と各通信部間の距離差による複数の回転双曲面を特定し、車載機の位置を回転双曲面の交点として求めることができる。
【0103】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係る位置情報生成システムの構成の一例を示す模式図である。
【図2】車載機の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】路側機の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】車載機が送信する信号に含まれるデータ構造の例を示す説明図である。
【図5】路側機が送信する信号に含まれるデータ構造の例を示す説明図である。
【図6】信号の受信時刻の算出例を示す説明図である。
【図7】車載機と路側機との間の信号の伝搬時間の算出例を示す説明図である。
【図8】車載機が移動している場合の距離の算出例を示す説明図である。
【図9】道路形状情報の構造を示す説明図である。
【図10】車載機の位置を特定する例を示す説明図である。
【図11】車載機の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態2の路側機の構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0105】
10 通信部
11 時計
20 測位部
21 車速センサ
22 距離計
23 ジャイロセンサ
30、260 記憶部
40、230 制御部
50、310 時刻補正部
60、320 伝搬時間算出部
70、330 距離算出部
80、340 位置特定部
100 車載機
200、300 路側機
210 第1通信部
220 第2通信部
211、221 時計
240 時刻ずれ算出部
250 ドップラーシフト量算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載した通信装置を含む少なくとも2つの通信装置を備え、該通信装置間で所定の信号を送受信して前記移動体の位置に関する情報を生成する位置情報生成システムであって、
一の通信装置は、
第1の信号を他の通信装置へ送信する送信手段と、
前記他の通信装置が送信した第2の信号を受信する受信手段と
を備え、
前記他の通信装置は、
前記第1の信号を受信する受信手段と、
該受信手段で前記第1の信号を受信した第1の受信時点から前記第2の信号の第2の送信時点までの時間に関する時間情報を含む前記第2の信号を送信する送信手段と
を備え、
前記一の通信装置は、
前記第2の信号を受信した第2の受信時点、前記第1の信号を送信した第1の送信時点及び前記時間情報に基づいて、移動体の該移動体を搭載した通信装置以外の通信装置からの距離情報を生成する生成手段をさらに備えることを特徴とする位置情報生成システム。
【請求項2】
前記一の通信装置は、
移動体の移動距離を取得する距離取得手段を備え、
前記生成手段は、
前記第1の送信時点から第2の受信時点までの間に前記移動体が移動した距離に基づいて、該移動体の距離情報を生成するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の位置情報生成システム。
【請求項3】
前記一の通信装置は、
移動体の移動方位を取得する方位取得手段を備え、
前記生成手段は、
前記第1の送信時点から第2の受信時点までの間に前記移動体が移動した方位に基づいて、該移動体の距離情報を生成するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の位置情報生成システム。
【請求項4】
各通信装置は、
計時のための基準クロックで動作する計時手段を備え、
前記他の通信装置の計時手段の計時誤差は、前記一の通信装置の計時手段の計時誤差よりも小さく、
前記他の通信装置は、
前記一の通信装置の計時手段の計時誤差を計測する計測手段と、
該計測手段で計測した計測結果を前記一の通信装置へ送信する送信手段と
を備え、
前記一の通信装置は、
前記計測結果を受信する受信手段と、
受信した計測結果に基づいて、前記第1の送信時点から第2の受信時点までの時間を補正する補正手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の位置情報生成システム。
【請求項5】
前記一の通信装置は、
通信装置間で既知の周波数成分を含む基準クロック補正用の信号を前記他の通信装置へ送信するように構成してあり、
前記他の通信装置は、
前記基準クロック補正用の信号の周波数成分を抽出する抽出手段を備え、
前記計測手段は、
前記抽出手段で抽出した周波数成分に基づいて前記一の通信装置の計時手段の計時誤差を計測するように構成してあることを特徴とする請求項4に記載の位置情報生成システム。
【請求項6】
前記一の通信装置は、
通信装置間で既知の時間長の基準クロック補正用の信号を前記他の通信装置へ送信するように構成してあり、
前記他の通信装置は、
前記基準クロック補正用の信号の時間長を抽出する抽出手段を備え、
前記計測手段は、
前記抽出手段で抽出した時間長に基づいて前記一の通信装置の計時手段の計時誤差を計測するように構成してあることを特徴とする請求項4に記載の位置情報生成システム。
【請求項7】
前記一の通信装置は、
既知の周波数成分を含む前記第1の信号又は既知の時間長の前記第1の信号を送信するように構成してあり、
前記他の通信装置は、
前記第1の信号の周波数成分又は時間長を抽出する抽出手段を備え、
前記計測手段は、
前記抽出手段で抽出した周波数成分又は時間長に基づいて前記一の通信装置の計時手段の計時誤差を計測するように構成してあることを特徴とする請求項4に記載の位置情報生成システム。
【請求項8】
前記他の通信装置は、
移動体の移動速度及び移動方位を取得する取得手段と、
該取得手段で取得した移動速度及び移動方位に基づいて信号のドップラーシフト量を算出する算出手段と、
該算出手段で算出したドップラーシフト量を相殺すべく前記計測手段で計測した計時誤差を補償する補償手段と
を備えることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれか1つに記載の位置情報生成システム。
【請求項9】
前記一の通信装置は、
移動体の移動速度及び移動方位を記憶する記憶手段と、
記憶した移動速度及び移動方位に基づいて信号のドップラーシフト量を算出する算出手段と、
該算出手段で算出したドップラーシフト量を相殺すべく前記受信手段で受信した計測結果に基づいて、前記計時手段の計時誤差を補償する補償手段と
を備えることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれか1つに記載の位置情報生成システム。
【請求項10】
前記第1の信号及び第2の信号は、
通信装置間で既知の信号であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の位置情報生成システム。
【請求項11】
前記第1の信号及び第2の信号は、
前記第1の信号の送信元固有の識別子を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1つに記載の位置情報生成システム。
【請求項12】
移動体に搭載した通信装置の他に少なくとも2つの通信装置を備え、
前記一の通信装置は、
移動体に搭載した通信装置以外の各通信装置の位置情報を記憶する記憶手段を備え、
前記生成手段は、
移動体の前記各通信装置からの距離情報を生成するように構成してあり、
前記生成手段で生成した距離情報及び記憶した位置情報に基づいて、前記移動体の位置情報を生成する位置情報生成手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1つに記載の位置情報生成システム。
【請求項13】
前記一の通信装置は、
移動体の移動領域の道路形状情報を記憶する記憶手段を備え、
前記位置情報生成手段は、
記憶した道路形状情報を用いて移動体の位置情報を生成するように構成してあることを特徴とする請求項12に記載の位置情報生成システム。
【請求項14】
前記一の通信装置は、
移動体に搭載した通信装置の位置の高さ情報を記憶する記憶手段を備え、
前記位置情報生成手段は、
記憶した高さ情報を用いて移動体の位置情報を生成するように構成してあることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の位置情報生成システム。
【請求項15】
通信装置との間で所定の信号を送受信して自身の位置に関する情報を生成する位置情報生成装置であって、
第1の信号を前記通信装置へ送信する送信手段と、
前記通信装置で前記第1の信号を受信した第1の受信時点から前記通信装置が送信する第2の信号の第2の送信時点までの時間に関する時間情報を含む前記第2の信号を前記通信装置から受信する受信手段と、
該受信手段で前記第2の信号を受信した第2の受信時点、前記第1の信号を送信した第1の送信時点及び時間情報に基づいて、自身の前記通信装置からの距離情報を生成する生成手段と
を備えることを特徴とする位置情報生成装置。
【請求項16】
移動体に搭載した通信装置との間で所定の信号を送受信して前記移動体の位置に関する情報を生成する位置情報生成装置であって、
第1の信号を前記通信装置へ送信する送信手段と、
前記通信装置で前記第1の信号を受信した第1の受信時点から前記通信装置が送信する第2の信号の第2の送信時点までの時間に関する時間情報を含む前記第2の信号を前記通信装置から受信する受信手段と、
該受信手段で前記第2の信号を受信した第2の受信時点、前記第1の信号を送信した第1の送信時点及び時間情報に基づいて、移動体までの距離情報を生成する生成手段と
を備えることを特徴とする位置情報生成装置。
【請求項17】
コンピュータに、通信装置へ送信した第1の信号及び該通信装置から受信した第2の信号に基づいて、自身の位置に関する情報を生成させるコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、第1の信号を送信した第1の送信時点から第2の信号を受信した第2の受信時点までの時間を算出する算出手段と、
算出した時間及び前記第1の信号を前記通信装置で受信した第1の受信時点から前記通信装置で前記第2の信号を送信した第2の送信時点までの時間に関する時間情報に基づいて、自身の前記通信装置からの距離情報を生成する生成手段と
して機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項18】
コンピュータに、移動体に搭載した通信装置へ送信した第1の信号及び該通信装置から受信した第2の信号に基づいて、前記移動体の位置に関する情報を生成させるコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、第1の信号を送信した第1の送信時点から第2の信号を受信した第2の受信時点までの時間を算出する算出手段と、
算出した時間及び前記第1の信号を前記通信装置で受信した第1の受信時点から前記通信装置で前記第2の信号を送信した第2の送信時点までの時間に関する時間情報に基づいて、移動体までの距離情報を生成する生成手段と
して機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項19】
移動体に搭載した通信装置を含む少なくとも2つの通信装置間で所定の信号を送受信して前記移動体の位置に関する情報を生成する位置情報生成方法であって、
一の通信装置は、
第1の信号を他の通信装置へ送信し、
前記他の通信装置は、
前記第1の信号を受信し、
前記第1の信号を受信した第1の受信時点から自身が送信する第2の信号の第2の送信時点までの時間に関する時間情報を含む前記第2の信号を前記一の通信装置へ送信し、
前記一の通信装置は、
前記第2の信号を受信し、
前記第2の信号を受信した第2の受信時点、前記第1の信号を送信した第1の送信時点及び前記時間情報に基づいて、移動体の該移動体を搭載した通信装置以外の通信装置からの距離情報を生成することを特徴とする位置情報生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−198374(P2009−198374A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41427(P2008−41427)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】