説明

低誘電率シリコーン被覆、調製方法および集積回路へのこれらの適用

本発明は、a)フィルム形成性シリコーン組成物を基板表面に堆積すること(前記シリコーン組成物は:(i)少なくとも一つのフィルム形成性シリコーン架橋樹脂、(ii)少なくとも1種のα,ω−ヒドロキシル化された、実質的に直鎖状の熱分解可能なシリコーンオイル、および(iii)少なくとも1種の、シリコーン樹脂(i)およびシリコーンオイル(ii)を相溶化するための溶媒を含む)と、b)同時にまたは連続的に溶媒(iii)を、好ましくは加熱によって除去することと、c)フィルム形成性シリコーン組成物を加熱によって硬化することに本質がある、低誘電率のシリコーン被覆を製造するための方法に関する。本発明の方法を実行することによって得られるシリコーン被覆および前記シリコーン被覆を、電気絶縁体の形態で含む集積回路も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に光リソグラフィによって集積回路を製造するための、相互接続材料の分野に関する。より詳細には、本発明は、低誘電率のシリコーン被覆およびこのような被覆を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速でコンパクトな集積回路の探求には、大きさを低減したトランジスタの開発が必要である。
【0003】
集積回路における最も重要な構成要素として、相互接続は、集積回路内のトランジスタおよびその他のマイクロコンポーネントの間のすべての交換およびデータを扱う。相互接続は:
−旧世代のマイクロプロセッサにおいてアルミニウム(Al)から製造された、回路内で電気信号を運ぶ、金属の導電線または電流通過線と、
−金属の導電線を分離することによって金属種の拡散を制限し、それによって信号の安定性に貢献する、シリカ(SiO)からなる電流通過線間の絶縁層との間の、一定の交互則(rules of alternation)に従う、堆積され、次いでエッチングされた層の複雑な集合である。
【0004】
Al/SiOカップルの技術的な性能特性は、180nm世代が出現して大きな技術的障害を確認する一翼を担うまでは、数世代にわたるチップおよびマイクロコンポーネントの小型化技術の変化に、完全に対応することができた。
【0005】
集積回路内に組み込まれているトランジスタが小さいほど、トランジスタ間のスイッチング速度が大きくなる。換言すれば、ゲート遅延(GD)が減少する。同時に、電気的接続の全長は増大し、相互接続遅延(ID)は増大する。
【0006】
Al/SiO結合(association)において、180nmを超える大きさを有する世代、すなわち、より古い世代の場合、マイクロプロセッサの速度利得を制限するのは、スイッチング速度である。対照的に、180nm未満の大きさを有する世代、すなわち、より最近の世代の場合、相互接続速度は、トランジスタ間のスイッチング速度に関して限定因子となる。
【0007】
この現象は、パワーの散逸、信号の歪みおよび線の間の部分的なエネルギー移動(クロストーク)、すなわち、回路の性能特性が全体として減少するという潜在的危険性を必然的に伴う。
【0008】
関心のある問題として、半導体分野において、チップの世代を示す値(例えば、180nm)は、相互接続のピッチの半分、すなわち、絶縁層の平均厚さと結合された金属線の平均厚さとの合計の半分、を反映する。
【0009】
この技術的な障害を克服するために、第1の提案は、金属の導電線のアルミニウム(抵抗率RAl=3.1Ω.cm)を、銅(抵抗率RCu=1.7Ω.cm)などの抵抗率の低い金属と徐々に交換することに本質があった。
【0010】
第2の提案では、電流通過線の間の絶縁層が含まれていた。シリカ(比誘電率KSiO2=4.1)を、低誘電率の材料、すなわち、将来の世代の相互接続の要求に応えて、誘電率が3.0未満でなければならない材料と交換することが提案された。実際、回路の相互接続遅延は、それ自体絶縁層の誘電率と関連する、回路の容量と相関する。
【0011】
[従来技術]
低誘電率を有する相互接続材料を得るために、材料の密度を減少させることによって、または材料を多孔質にすることによって、材料内の化学結合の密度を減少させることが必要である。
【0012】
多数の多孔質誘電材料が、この分野において提案されてきた。一方で、絶縁層を横断して金属種が移動する危険を避けるために、他方で、機械的強度を理由として、選択肢は本質的に閉細孔材料に向けられた。閉細孔を得る多くの方法が最近開発された。これらの中では、以下のことに言及することができる。
【0013】
米国特許第6214748号明細書は、基板上に薄膜を形成する方法に関する。このフィルムは、電気的に絶縁性の熱的に架橋し得る樹脂とその中の1つが高沸点を有する溶媒の混合物とを含む溶液を塗布することにより製造される。第1の、主要溶媒は、100から120℃の温度で堆積物を従来通り乾燥することにより、除去される。第2の、従属的な溶媒は、300℃を超える高温処理の間に蒸発する。この従属的な溶媒の蒸発によって、層の本体に細孔が生じる。
【0014】
米国特許第6107357号明細書は、高温で細孔を形成する有機単位を、カップリング剤を介してシリコーン樹脂上にグラフティングすることによって調製される組成物から、誘電材料を製造することに関する。フィルムがこの組成物から形成された後、細孔形成剤を分解するために、このフィルムを高温に曝す。
【0015】
米国特許第6022814号明細書は、熱的に不安定な基を有するシリコーン樹脂の混合物から生成した、多孔質誘電材料に関する。この材料のフィルムは、混合物の層を堆積させ、次いで、熱的に不安定な基を除去して細孔を生じさせるために加熱することにより形成される。
【0016】
米国特許第5776990号明細書は、ポリマーマトリックスと、ポリマーマトリックスの分解点未満の温度で熱分解し得るポリマーとのコポリマーから製造される、多孔質誘電材料に関する。コポリマーは配列されているので、互いに分離したミクロ相を形成する。熱の効果で、熱分解し得る部分は除去される。
【0017】
米国特許出願第2001/0010840号明細書は、シリコーン樹脂をベースとする組成物に関する。この組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子を有する電気絶縁性樹脂、および樹脂のケイ素原子に結合した水素原子と反応することができる基を有する、大気圧下の沸点が250℃を超える化合物を含む。この組成物は、溶媒も含む。被覆は、基板上に組成物の層を堆積させ、次いで、これを高温に加熱するかまたはこれを高エネルギー放射に当てることによって形成される。これにより、樹脂と、樹脂のケイ素に結合した水素原子と反応することができる化合物との架橋、ならびに溶媒の蒸発が生じる。
【0018】
米国特許出願第2003/0207595号明細書は、半導体のための低誘電率材料の製造に関する。この材料は、シリコーン樹脂と両親媒性の「犠牲(sacrificial)」有機ポリマー(この場合は、配列された(sequenced)コポリマーである)とのハイブリッド混合物から得られる。コポリマーのブロックの1つは、シリコーン樹脂と相溶性であるが、コポリマーの他のブロックは相溶性でない。したがって、コポリマーの不混和成分によって、シリコーン樹脂を有する相のミクロ分離が開始されるが、コポリマーの他の成分によって、このミクロ分離を制限することが可能になる。不混和相は、高温加熱ステップにおいて除去され、所望の細孔を生じる。
【特許文献1】米国特許第6214748号明細書
【特許文献2】米国特許第6107357号明細書
【特許文献3】米国特許第6022814号明細書
【特許文献4】米国特許第5776990号明細書
【特許文献5】米国特許出願第2001/0010840号明細書
【特許文献6】米国特許出願第2003/0207595号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
[発明の目的]
本発明の1つの目的は、集積回路分野において使用するための、低誘電率の被覆を調製するための方法を提案することである。「低誘電率」は、比誘電率が3以下である材料を意味するものと、特に解釈される。
【0020】
本発明の別の目的は、180nm世代およびそれ以後の世代の半導体の発達に適合する薄膜の形態の、低誘電率の被覆を調製するための方法を提案することである。
【0021】
本発明のさらに別の目的は、これまでに知られている大量生産工程に適合され得る、低誘電率の被覆を調製するための方法を提案することである。
【0022】
本発明の別の目的は、高温において熱的に安定な、低誘電率の被覆を調製するための方法を提案することである。
【0023】
本発明のさらなる目的は、実行するのが容易であり、コストが管理されている低誘電率の被覆を調製するための方法を提案することである。
【0024】
本発明のさらに別の目的は、低誘電率のナノ多孔質シリコーン被覆を調製するための方法、好ましくは、細孔の寸法を制御することができる方法を提案することである。
【0025】
本発明のさらなる目的は、容易に入手できる製品を使用する、低誘電率のシリコーン被覆を調製するための方法を提案することである。
【0026】
本発明のさらに別の目的は、集積回路の新しい世代、特に180nm以下の世代および特に60nm世代の開発に有用である、新規な相互接続材料を提供することである。
【0027】
本発明の別の目的および利点は、以下の記述から明らかになるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
なかでも、上述の目的を達成することを可能にする、低誘電率のシリコーン被覆を調製するための新規な方法を開発したことは、発明者らの功績である。この方法は、以下の本質的なステップ:
a)フィルム形成性シリコーン組成物を、基板の表面上に堆積させるステップ(前記シリコーン組成物は:(i)少なくとも1つの架橋可能なフィルム形成性シリコーン樹脂と、(ii)熱の作用で分解し得る、少なくとも1つのα,ω−ヒドロキシル化された、本質的に直鎖状のシリコーンオイルと、(iii)シリコーン樹脂(i)をシリコーンオイル(ii)と相溶させることができる、少なくとも1つの溶媒とを含む)と、
b)溶媒(iii)を、好ましくは加熱により、同時にまたは連続的に除去するステップと、
c)フィルム形成性シリコーン組成物を、加熱により硬化させるステップとを含む。
【0029】
本発明は、さらに、このような調製方法により得られるシリコーン被覆、およびこのようなシリコーン被覆を電気絶縁体として含む集積回路に関する。
【0030】
本発明は、さらに、(i)少なくとも1つの架橋可能なフィルム形成性シリコーン樹脂と、(ii)熱の作用で分解し得る、少なくとも1つのα,ω−ヒドロキシル化された、本質的に直鎖状のシリコーンオイルと、(iii)シリコーン樹脂(i)をシリコーンオイル(ii)と相溶させることができる、少なくとも1つの溶媒とを含むシリコーン組成物の、特に集積回路における低誘電率の被覆を調製するための、使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本特許出願の残りの部分において、シリコーンオイルおよび樹脂は、さまざまなシロキシ単位を示すために使用される以下の慣習的な表記により、従来通り記載されることになる:
【0032】
【化1】

【0033】
これらの単位において、Rは、場合によりヘテロ原子により置換された、さまざまな飽和または不飽和炭化水素基、特に芳香族基、および特に非炭化水素基であり得る。Rの意味は、説明の中で示されるはずである。
【0034】
従来通り、この表記においては、酸素原子は、2つのケイ素原子の間で共有されている。従来通り、特定の基Rは、記号M、DまたはTの後で指数として基Rを示すことにより、指定される。例えば、MOHは、基Rがヒドロキシル基(−OH)である単位Mを表す。同様に、DPhe2は、2つの基Rがフェニル基(−C)(Pheと短縮される)である単位Dを表す。TMeは、基Rがメチル基(−CH)(Meと短縮される)である単位Tを表す。
【0035】
本発明は、まず第1に、低誘電率のシリコーン被覆を調製するための方法に関する。初期材料の誘電率を効果的に減少させることができる細孔を発達させること、および同時に十分な機械的特性を有することという目的を維持しながら、本発明者らは、これまで欠点と考えられてきたいくつかのシリコーンオイルの特性、すなわち、ヒドロキシル化された、本質的に直鎖状のシリコーンオイルの、4から5個のシロキシ単位を通常含有する環への、高温における逆転(reversion)を利用した。
【0036】
「本質的に直鎖状の」は、2mol%未満、好ましくは1.5mol%未満、特に好ましくは1mol%未満の単位Tを有するシリコーンオイルを意味するものと解釈しなければならない。
【0037】
簡単に言えば、この方法は、好ましくはメチルおよびフェニル基を有するシリコーン樹脂と、シリコーンオイル、好ましくはα,ω−ヒドロキシル化末端を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)とを、溶媒中に溶解させることに本質がある。このフィルム形成性シリコーン組成物を、スピンコーティングとしてそれ自体が知られている技法によって、基板上に堆積させ、次いで、熱を作用させて溶媒を除去する。この乾燥ステップ(ベーキング)の間、シリコーン樹脂相およびシリコーンオイル相の偏析を観察する。この偏析は、ゲル化およびその後の樹脂の架橋によって好ましくは限定される。最後に、被覆を非常な高温において処理する(硬化)。この処理により、シリコーン樹脂の残留−OH基の縮合によって、フィルムが架橋する。また、「犠牲」シリコーンオイルの熱分解により、細孔が層の内部に生じる。シリコーンオイルは、本質的に直鎖状の構造から揮発性の環式構造へ殆ど自発的に変換する。蒸発すると直ぐ、これらの環式化合物は、シリコーン樹脂のフィルムのバルク全体に分布する細孔に取って代わられる。
【0038】
架橋し得るフィルム形成性樹脂(類)(i)(単数を使用することにする)は、(R)SiCl、(R)SiCl、(R)SiClおよびSiClを含む群から選択されるクロロシランの共加水分解および共縮合によって調製される、有機シリコーン樹脂である。これらの樹脂は、商業的に入手できる、よく知られた分岐有機ポリシロキサンオリゴマーまたはポリマーである。これらの構造は、少なくとも1単位のTまたは1単位のQを含めて、上で定義した単位M、D、TおよびQから選択される少なくとも2つの異なるシロキシ単位を含有する。基Rは、樹脂が1個のケイ素原子当たり、約0.8から1.8個の基Rを含有するように分布される。
【0039】
基Rは、互いに同一であるかまたは異なる。これらは、直鎖状または分岐のC1からC6のアルキル基、直鎖状または分岐のC2からC4のアルケニル基ならびにC6からC10のアリールおよびアラルキル基から選択され、基Rは場合によりハロゲン化(好ましくはフッ素化)されている。特に言及し得るアルキル基Rは、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチルおよびn−ヘキシル基および3,3,3−トリフルオロプロピル基であり;特に言及し得るアルケニル基は、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニルおよびブタジエニル基であり;特に言及し得るアリールおよびアラルキル基は、フェニル、ベンジル、スチリル、フェネチル、クメニル、メシチル、トリルおよびキシリル基である。どの場合でも、1分子当たり、少なくとも1つの基Rは、アリールまたはアラルキル基、好ましくはフェニルまたはベンジル基である。
【0040】
さらに、これらの樹脂は、完全には縮合されず、これらは、1ケイ素原子当たり、約0.001から1.5個のヒドロキシル基(−OH)および/またはアルコキシ基−ORを依然として有する。基Rは互いに同一であるかまたは異なり、直鎖状または分岐C1からC6のアルキル基から選択され、アルキル基Rと同様に定義されている。好ましくは、アルコキシ基−ORは、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシ基ならびにこれらの混合物から選択される。
【0041】
言及し得る分岐有機ポリシロキサンオリゴマーまたはポリマーの例は、樹脂MQ、樹脂MDQ、樹脂TD、樹脂MDTおよび樹脂MDTQである。OHおよび/またはOR基は、単位M、Dおよび/またはTに存在し得る。OHおよび/またはOR基の重量割合は、樹脂の重量を基準として、0.2から10%の間である。
【0042】
メチル基が、アルキル基Rとして、より特別に好ましい。フェニル基は、アリール基Rとして、より特別に好ましい。メチルまたはエチル基は、アルキル基Rとして、より特別に好ましい。
【0043】
好ましい一変形において、1分子当たりの基Rの少なくとも1つは、フェニル基である。好ましくは、フェニル基は、単位D(単位DPhe)によっておよび/または単位T(単位TPhe)に存在する。したがって、本発明によれば、シリコーン樹脂(i)は、単位DPhe、TおよびTPheの少なくとも2つを有利には含有する。シリコーン樹脂(i)は、また、単位DPhe2も含有することができる。
【0044】
別の特性によれば、シリコーン樹脂(i)は、それぞれがケイ素原子に結合している、1分子当たり少なくとも3個のヒドロキシル基(−OH)および/または基−OR、好ましくは少なくとも3個のヒドロキシル基(−OH)を含有する。有利には、シリコーン樹脂(i)におけるヒドロキシル基(−OH)の重量割合は、2%未満である。
【0045】
シリコーンオイル(ii)に関する限り、これは好ましくは、α,ω−ヒドロキシル化された、本質的に直鎖状の、ポリジオルガノシロキサンオイルである。有利には、これは一般式MOH−(DMe2−MOH(式中、nは1から20まで変化する)の本質的に直鎖状のポリジメチルシロキサンオイルである。
【0046】
上述のように、シリコーンオイルは、好ましくは単位T、特にTMeを2mol%未満含むことができる。
【0047】
シリコーンオイル(ii)は、高温で分解して、3から10個のジアルキルシロキシ単位Dおよび最も頻繁には4、5または6個の単位Dを一般に含有する環式化合物を形成することができる。この逆転は、150〜160℃の温度から生じる。
【0048】
フィルム形成性シリコーン組成物の第3の本質的な成分は、シリコーン樹脂(i)をシリコーンオイル(ii)と相溶させることができる溶媒(iii)、または溶媒の混合物である。前記溶媒は、好ましくは有機溶媒である。溶媒の性質は、溶媒がシリコーンオイル(ii)と反応することなく、シリコーン樹脂(i)とシリコーンオイル(ii)を混合するのに好都合であるならば、いかなる特別な制限も受けない。言及し得る溶媒の例は、トルエンまたはキシレンなどの芳香族溶媒;ヘキサン、ヘプタンまたはオクタンなどの脂肪族溶媒;ケトン溶媒;およびエステルである。芳香族溶媒が好ましい。
【0049】
シリコーン組成物は、好ましくは、シリコーンオイル(ii)1重量部当たりシリコーン樹脂(i)4から9重量部を含み、すなわち、重量比(i)/(ii)は4/1から9/1まで変化する。
【0050】
次に調製方法を、より詳細に、特に想定される熱サイクルに関して説明することにする。既に示したように、第1に、フィルム形成性シリコーン組成物の層を、基板、例えばシリカウエハ上に堆積させる。堆積技法はそれ自体知られており、すなわち、スピンコーティングである。
【0051】
次いで、溶媒(iii)を除去するが、最も簡単な方法は、シリコーン組成物の堆積物を加熱して、熱の作用で溶媒を蒸発させることである。有利には、溶媒(iii)を除去するためのこのステップを、真空下で、好ましくは、溶媒の蒸発点を超える、場合によりシリコーンオイル(ii)の分解点未満の温度Tb(ベーキング温度)で、実行する。乾燥ステップと考えられる溶媒除去ステップの間、シリコーン樹脂相(i)およびシリコーンオイル相(ii)の偏析を、組成物のゲル化と同時に観察することができる。温度Tbは溶媒(iii)の蒸発点に依存し、その値は一般に100℃から160℃まで変化する。
【0052】
次のステップの間、シリコーン組成物の層について高温処理(硬化)が行われ、一方で溶媒の痕跡を除去し、他方でフィルム形成性シリコーン組成物を硬化する。この硬化の間、シリコーン樹脂は、残留−OHおよび/または−OR基が消失することによって縮合する。さらに、シリコーンオイル(ii)は、熱的逆転を受ける:シリコーンオイル(ii)は、分解して3から10個のジアルキルシロキシ単位を含有するシクロジアルキルシロキサン型の環式化合物を形成する。これらの単位は、一般に160℃から蒸発する。組成物が前述のベーキングステップの間にゲル化を受けることからして、およびシリコーン組成物の層が架橋されることによって、環式化合物が蒸発した後は、架橋された組成物の本体の至る所に分布する細孔の集合が、環式化合物に取って代わる。
【0053】
有利には、フィルム形成性シリコーン組成物の硬化を、シリコーンオイル(ii)の分解点を超える温度Tcに加熱することによって実行する。温度Tcは、300℃以上、好ましくは350℃以上である。この温度は、基板およびシリコーン樹脂の熱分解点未満であり、すなわち、温度Tcは500℃以下、好ましくは400℃以下である。
【0054】
調製方法の別の変形において、上で言及した2つのステップ(ベーキングおよび硬化)を、シリコーンオイル(ii)の分解点および溶媒(iii)の蒸発点を超える温度Tcで、基板表面上に堆積させたフィルム形成性シリコーン組成物を直接加熱することによって、同時に行う。このフラッシュ処理は迅速であり、より微細な細孔をもたらす。
【0055】
上記の2つの変形において、加熱ステップを、好ましくは、電磁放射、例えば高周波放射またはマイクロ波放射を用いて実行する。この種の加熱方法は、産業界においてよく知られており、これらの価値は、これらが、単位体積当たりの高いパワー密度を有するエネルギーを、直接移動させることができる点にある。
【0056】
第2の特徴によれば、本発明は、本発明による方法を実行することによって得られるシリコーン被覆に関する。本発明を例示する実施例において示すように、このようなシリコーン被覆は、3.00以下である比誘電率Kを有する。Kは、好ましくは2.85以下であり、特に好ましくは2.65以下である。したがって、このような材料は、集積回路を製造するための相互接続材料として特別の価値がある。
【0057】
加えて、3200nm以下、好ましくは2000nm、500nmまたは150nm以下でさえある厚さを有する被覆を製造するために、上記のようなシリコーン組成物を使用することが、完全に可能である。
【0058】
本発明の別の特徴によれば、本発明による方法を実行することによって得られたシリコーン被覆は、ほぼ250nmの、好ましくは250nm未満のメジアン径を有する細孔を含む。特に好ましくは、細孔メジアン径は50nmから180nmの間である。
【0059】
本発明は、さらに上記のようなシリコーン被覆を電気絶縁体として含む、集積回路に関する。集積回路の製造については、幅広く報告されている。1つだけ挙げれば、光リソグラフィ技法は特に適している。
【0060】
(実施例)
本発明による調製方法およびこれから得られるシリコーン被覆を、その範囲を限定することなく、下の実施例によって例示することにする。
【0061】
スピンコーティング技法による堆積
堆積物のための基板を構成するガラス板(24×32mmのカバースリップ)を、アセトンとメタノールを用いて最初に脱脂する。次いで、最終被覆の容量Kを後から測定できるように、これらのガラス板を金属被覆しなければならない(金属被覆時間:6分)。スピンコータにおける処理に適するように、ガラススライドを直径50mmの金属円板に接着し、導電表面および絶縁表面間の電気的接点を、銀ラッカーの非常に薄い堆積物によって提供する。
【0062】
シリコーン組成物の数滴を、スピンコータ内部の円板上に置かれたカバースリップ上に堆積させる。スピンコータを、20秒の間に2000rpmの速度に徐々に持って行き、次いで、30秒掛けて5000rpmの一定速度まで上昇させる。10個の試料の平均をこの方法で求めると、得られたキャラクタリゼーションおよび測定の統計は、十分に処理可能であり、信頼し得るものである(誘電率の測定値について観察された±0.10の偏差)。
【0063】
被覆の平均厚さの測定
走査顕微鏡の技法により、調査する試料を適切に準備する(ガラススライドに切り込みを入れ、スライドを切断し、次いで薄片を観察する)という条件で、被覆の厚さを測定することが可能になる。
【0064】
被覆の容量および誘電率の評価
被覆の容量を、直径5mmの参照電極を有するアジレント(Agilent)16451B誘電率測定セルを使用して測定する。これらの測定は、50Hzから1MHzの周波数走査の下で行う(1MHzは、相互接続材料製造業者の仕様の周波数である)。被覆の厚さがわかっている場合は、誘電率(K)は、堆積物の容量の値から非常に容易に推測される:
【0065】
【数1】

【0066】
式中:e=被覆の厚さ(m)
C=容量(ファラド)
A=電極の面積(m
ε=空気の誘電率(ε=8.854・10−12ファラド/m)
である。
【0067】
慣例により、実施例において、単位M、DおよびTの1つまたは複数の基Rの性質が特定されていない場合は、性質の特定されていない基Rはメチル基である。
【0068】
A/樹脂として堆積され、内部の細孔を生じさせていない樹脂(比較例)
例1および2によるシリコーン組成物は、シリコーンオイル(ii)を含有していない。細孔の発達は、これらのシリコーン組成物から得られたフィルム内部では、観察されない。
【0069】
(例1)
式(DPhe210(D)30(TPhe57(T)のシリコーン樹脂を、最初にトルエン中で20重量%に希釈する。溶液の数滴を、それ自体が直径50mmの金属円板に接着されているガラススライド上に堆積させ、全体をスピンコータ内に設置する。スピンコータを、20秒掛けて2000rpmの速度に徐々に持って行き、次いで、30秒間5000rpmの一定速度に留める。10個の同一溶液の堆積物を、記載の手順に従って連続して製造する。
【0070】
次いで、すべての堆積物を、真空オーブン内で120℃で1時間乾燥する。約10mmHgの低いライン真空下における排気サイクルの終わりに窒素でスイープすることにより、いかなる微量の酸素でも存在しないようにすることができる。すべての堆積物を最後にオーブン内に置き、絶えず窒素でスイープしながら、350℃で1時間の硬化を行う。
【0071】
得られたフィルムは、140から480nmの厚さを有する。1MHzで測定した、これらのフィルムの平均誘電率は、2.80(±0.10)である。
【0072】
(例2)
式(T)34(DPhe31(TPhe35のシリコーン樹脂を、最初にトルエン中で20重量%に希釈する。溶液の数滴を、それ自体が直径50mmの金属円板に接着されているガラススライド上に堆積させ、全体をスピンコータ内に設置する。スピンコータを、20秒掛けて2000rpmの速度に徐々に持って行き、次いで、30秒間5000rpmの一定速度に留める。10個の同一溶液の堆積物を、記載の手順に従って連続して製造する。
【0073】
次いで、すべての堆積物を、真空オーブン内で120℃で1時間乾燥する。ライン真空下における排気サイクルの終わりに窒素でスイープすることにより、いかなる微量の酸素でも存在しないようにすることができる。すべての堆積物を最後にオーブン内に置き、絶えず窒素でスイープしながら、350℃で1時間の硬化を行う。
【0074】
得られたフィルムは、580から1800nmの厚さを有する。1MHzで測定した、これらのフィルムの平均誘電率は、2.85(±0.10)である。
【0075】
B/シリコーン樹脂およびヒドロキシル化シリコーンオイルの混合物(本発明による実施例)
例3から6により、2つの処理、すなわち、後に硬化が続くベーキングを含む2ステップ処理、または1ステップのフラッシュ処理、ならびにシリコーン組成物の2つの樹脂/オイル比を比較することができる。
【0076】
(例3)
ベーキングおよび硬化を含む2ステップ処理
式(T)34(DPhe31(TPhe35のシリコーン樹脂および式(MOH)(D)4.5(MOH)のα,ω−ジヒドロキシル化シリコーンオイルからなる、80/20の樹脂/オイル重量比の混合物を、最初にトルエン中で20重量%に希釈する。溶液の数滴を、それ自体が直径50mmの金属円板に接着されているガラススライド上に堆積させ、全体をスピンコータ内に設置する。スピンコータを、20秒掛けて2000rpmの速度に徐々に持って行き、次いで、30秒間5000rpmの一定速度に留める。10個の同一溶液の堆積物を、記載の手順に従って連続して製造する。
【0077】
次いで、すべての堆積物を、真空オーブン内で120℃で1時間乾燥する。ライン真空下における排気サイクルの終わりに窒素でスイープすることにより、いかなる微量の酸素でも存在しないようにすることができる。すべての堆積物を最後にオーブン内に置き、絶えず窒素でスイープしながら、350℃で1時間の硬化を行う。
【0078】
得られたフィルムは、350から780nmの厚さと平均径がほぼ250nmである閉じた内部細孔とを有する。1MHzで測定した、これらのフィルムの平均誘電率は、2.38(±0.10)である。
【0079】
(例4)
フラッシュ処理
式(T)34(DPhe31(TPhe35のシリコーン樹脂および式(MOH)(D)4.5(MOH)のα,ω−ジヒドロキシル化シリコーンオイルからなる、80/20の樹脂/オイル重量比の混合物を、最初にトルエン中で20重量%に希釈する。溶液の数滴を、それ自体が直径50mmの金属円板に接着されているガラススライド上に堆積させ、全体をスピンコータ内に設置する。スピンコータを、20秒掛けて2000rpmの速度に徐々に持って行き、次いで、30秒間5000rpmの一定速度に留める。10個の同一溶液の堆積物を、記載の手順に従って連続して製造する。
【0080】
すべての堆積物を直接オーブン内に置き、絶えず窒素でスイープしながら350℃で1時間硬化する。
【0081】
得られたフィルムは、350から780nmの厚さと平均径がほぼ100nmである閉じた内部細孔とを有する。1MHzで測定した、これらのフィルムの平均誘電率は、2.42(±0.10)である。
【0082】
(例5)
ベーキングおよび硬化を含む2ステップ処理
式(T)34(DPhe31(TPhe35のシリコーン樹脂および式(MOH)(D)4.5(MOH)のα,ω−ジヒドロキシル化シリコーンオイルからなる、90/10の樹脂/オイル重量比の混合物を、最初にトルエン中で20重量%に希釈する。溶液の数滴を、それ自体が直径50mmの金属円板に接着されているガラススライド上に堆積させ、全体をスピンコータ内に設置する。スピンコータを、20秒掛けて2000rpmの速度に徐々に持って行き、次いで、30秒間5000rpmの一定速度に留める。10個の同一溶液の堆積物を、記載の手順に従って連続して製造する。
【0083】
次いで、すべての堆積物を、真空オーブン内で120℃で1時間乾燥する。ライン真空下における排気サイクルの終わりに窒素でスイープすることにより、いかなる微量の酸素でも存在しないようにすることができる。すべての堆積物を最後にオーブン内に置き、絶えず窒素でスイープしながら、350℃で1時間の硬化を行う。
【0084】
得られたフィルムは、300から800nmの厚さおよび平均径がほぼ180nmである閉じた内部細孔を有する。1MHzで測定した、これらのフィルムの平均誘電率は、2.65(±0.10)である。
【0085】
(例6)
フラッシュ処理
式(T)34(DPhe31(TPhe35のシリコーン樹脂および式(MOH)(D)4.5(MOH)のα,ω−ジヒドロキシル化シリコーンオイルからなる、90/10の樹脂/オイル重量比の混合物を、最初にトルエン中で20重量%に希釈する。溶液の数滴を、それ自体が直径50mmの金属円板に接着されているガラススライド上に堆積させ、全体をスピンコータ内に設置する。スピンコータを、20秒掛けて2000rpmの速度に徐々に持って行き、次いで、30秒間5000rpmの一定速度に留める。10個の同一溶液の堆積物を、記載の手順に従って連続して製造する。
【0086】
すべての堆積物を直接オーブン内に置き、絶えず窒素でスイープしながら350℃で1時間硬化する。
【0087】
得られたフィルムは、300から800nmの厚さおよび平均径がほぼ50nmである閉じた内部細孔を有する。1MHzで測定した、これらのフィルムの平均誘電率は、2.60(±0.10)である。
【0088】
C/シリコーン樹脂および非ヒドロキシル化シリコーンオイルの混合物(比較例)
例7および8は、ヒドロキシル化シリコーンオイルからシリコーンオイルを選択することの重要性を示す。
【0089】
(例7)
式(T)34(DPhe31(TPhe35のシリコーン樹脂および式(M)(D)(M)のトリメチル末端基を有するシリコーンオイルからなる、90/10の樹脂/オイル重量比の混合物を、最初にトルエン中で20重量%に希釈する。溶液の数滴を、それ自体が直径50mmの金属円板に接着されているガラススライド上に堆積させ、全体をスピンコータ内に設置する。スピンコータを、20秒掛けて2000rpmの速度に徐々に持って行き、次いで、30秒間5000rpmの一定速度に留める。10個の同一溶液の堆積物を、記載の手順に従って連続して製造する。
【0090】
次いで、すべての堆積物を、真空オーブン内で120℃で1時間乾燥する。ライン真空下における排気サイクルの終わりに窒素でスイープすることにより、いかなる微量の酸素でも存在しないようにすることができる。すべての堆積物を最後にオーブン内に置き、絶えず窒素でスイープしながら、350℃で1時間の硬化を行う。
【0091】
得られたフィルムは、350から750nmの厚さを有するが、内部の細孔は存在しない。
【0092】
(例8)
式(T)34(DPhe31(TPhe35のシリコーン樹脂および式(M)(D)(M)のトリメチル末端基を有するシリコーンオイルからなる、90/10の樹脂/オイル重量比の混合物を、最初にトルエン中で20重量%に希釈する。溶液の数滴を、それ自体が直径50mmの金属円板に接着されているガラススライド上に堆積させ、全体をスピンコータ内に設置する。スピンコータを、20秒掛けて2000rpmの速度に徐々に持って行き、次いで、30秒間5000rpmの一定速度に留める。10個の同一溶液の堆積物を、記載の手順に従って連続して製造する。
【0093】
すべての堆積物を直接オーブン内に置き、絶えず窒素でスイープしながら、350℃で1時間の硬化を行う。
【0094】
得られたフィルムは、350から750nmの厚さを有するが、内部の細孔は存在しない。
【0095】
結論
上の実施例は、他のすべてのことが等しければ、出発混合物中のシリコーンオイルの量を低減することにより、被覆中の細孔の寸法を実質的に減少させ得ることを示す。
【0096】
さらに、2つの連続した加熱ステップ(ベーキングおよびその後の硬化)において堆積物を調製するのではなく、堆積物に熱フラッシュを適用することによっても、細孔寸法を減少させることができる。
【0097】
さらに、組成物中にシリコーンオイルが存在しないこと、または組成物中に非ヒドロキシル化直鎖状シリコーンオイルを取り込むことにより、調製手順(2ステップまたはフラッシュ処理)に関係なく、非多孔質被覆が製造される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低誘電率のシリコーン被覆を調製するための方法であって、以下の本質的なステップ:
a)フィルム形成性シリコーン組成物を、基板の表面上に堆積させるステップ(前記シリコーン組成物は:(i)少なくとも1つの架橋可能なフィルム形成性シリコーン樹脂と、(ii)熱の作用で分解し得る、少なくとも1つのα,ω−ヒドロキシル化された、本質的に直鎖状のシリコーンオイルと、(iii)前記シリコーン樹脂(i)を前記シリコーンオイル(ii)と相溶させることができる、少なくとも1つの溶媒とを含む)と、
b)前記溶媒(iii)を、好ましくは加熱により、同時にまたは連続的に除去するステップと、
c)前記フィルム形成性シリコーン組成物を、加熱により硬化させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記溶媒(iii)を蒸発によって除去し、前記シリコーン組成物を、前記溶媒(iii)の蒸発点を超え、前記シリコーンオイル(ii)の分解点未満である温度Tbに、好ましくは真空下で加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルム形成性シリコーン組成物を、前記シリコーンオイル(ii)の分解点を超える温度Tcに加熱することによって硬化させる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒(iii)を蒸発によって除去し、前記シリコーン組成物を、好ましくは真空下で加熱し、前記フィルム形成性シリコーン組成物を、前記シリコーンオイル(ii)の分解点および前記溶媒(iii)の蒸発点を超える温度Tcに加熱することによって硬化させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記温度Tbが、100℃から160℃の間、好ましくはほぼ120℃である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
前記温度Tcが、300℃以上、好ましくは350℃以上であり、前記基板および前記シリコーン組成物の熱分解点未満である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項7】
前記温度Tcが、500℃以下、好ましくは400℃以下である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの加熱ステップを、電磁放射、好ましくは高周波放射またはマイクロ波放射を用いて実行する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記シリコーン樹脂(i)が、1分子当たり以下のもの、すなわち:
一方では、以下の式:
【化1】

の単位M、D、Tおよび/またはQから選択される、少なくとも2つの異なるシロキシ単位(これらの単位の少なくとも1つは、単位TまたはQである)と、
他方では、少なくとも3つの加水分解可能な/縮合可能な基−OHおよび/または−OR(ここで、基Rは、互いに同一であるかまたは異なり、直鎖状または分岐のC1からC6のアルキル基、直鎖状または分岐のC2からC4のアルケニル基、C6からC10のアリール基またはC6からC10のアラルキル基であり、基Rは場合によりハロゲン化されており、基Rの少なくとも1つはアリールまたはアラルキル基であり、基Rは互いに同一であるかまたは異なり、直鎖状または分岐のC1からC6のアルキル基である)とを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記シリコーン樹脂(i)が、ヒドロキシル基を2重量%まで含有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シリコーン樹脂(i)が、単位DPhe、TおよびTPheの少なくとも2つを含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記シリコーンオイル(ii)が、ヒドロキシル化された末端基を有する本質的に直鎖状ポリジオルガノシロキサンオイル、好ましくはヒドロキシル化された末端基を有する直鎖状ポリジメチルシロキサンである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記シリコーン樹脂(i)の、前記シリコーンオイル(ii)に対する重量比(i)/(ii)が、4/1から9/1の間で変化する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒(iii)が、芳香族溶媒、脂肪族溶媒、ケトン溶媒、エステルおよびこれらの混合物から好ましくは選択された有機溶媒である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法によって得られるシリコーン被覆。
【請求項16】
3.00以下、好ましくは2.85以下、特に好ましくは2.65以下である比誘電率Kを有する、請求項15に記載のシリコーン被覆。
【請求項17】
厚さが、3200nm以下、好ましくは2000nm、500nmまたは150nm以下でさえある、請求項15または16に記載のシリコーン被覆。
【請求項18】
ほぼ250nm、好ましくは250nm未満、特に好ましくは50nmから180nmの間のメジアン径を有する細孔を含む、請求項15から17のいずれか一項に記載のシリコーン被覆。
【請求項19】
請求項15から18のいずれか一項に記載のシリコーン被覆を電気絶縁体として含む集積回路。
【請求項20】
(i)少なくとも1つの架橋可能なフィルム形成性シリコーン樹脂と、(ii)熱の作用で分解し得る、少なくとも1つのα,ω−ヒドロキシル化された、本質的に直鎖状のシリコーンオイルと、(iii)前記シリコーン樹脂(i)を前記シリコーンオイル(ii)と相溶させることができる、少なくとも1つの溶媒とを含むシリコーン組成物の、集積回路における低誘電率の被覆を調製するための使用。

【公表番号】特表2009−505811(P2009−505811A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526499(P2008−526499)
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065370
【国際公開番号】WO2007/020273
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(507220671)
【Fターム(参考)】