説明

保持ヘッドの角度測定方法および保持ヘッドの角度測定装置

【課題】 保持ヘッドの保持面と基板ステージの角度を実際の使用状態に近い状態で正確かつ容易に測定するのに好適な保持ヘッドの角度測定方法を提供する。
【解決手段】 真空吸着ヘッド1の吸着面を平行プリズム9の上面に接触させ、短波長同軸照明12からの光を平行プリズム9に入射する。そして、平行プリズム9に入射された光のうち上面で反射した光と、上面を透過して吸着面で反射した光により形成される干渉縞をCCDカメラ11で測定する。これにより、干渉縞の態様から、真空吸着ヘッド1の吸着面と基板ステージ2の平行度θを正確に測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1mm角以下の微小な部品を基板上に位置決め搭載する微小部品搭載装置において吸着ヘッドと基板ステージの角度を測定する方法および装置に係り、特に、保持ヘッドの保持面と基板ステージの角度を実際の使用状態に近い状態で正確かつ容易に測定するのに好適な保持ヘッドの角度測定方法および保持ヘッドの角度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微小部品搭載装置としては、例えば、特許文献1に開示されている電子部品装着装置が知られている。
特許文献1記載の発明は、電子部品を供給する部品供給部と、電子部品を吸着する真空吸着ヘッドと、基板を搭載するための基板ステージと、吸着位置と装着位置との間で真空吸着ヘッドを移動させるXY搬送部とを備え、部品供給部から供給される電子部品を真空吸着ヘッドで吸着し、真空吸着ヘッドを移動させて吸着した電子部品を、基板ステージに設置された基板上に搭載するものである。
【0003】
図7および図8は、微小部品搭載装置における真空吸着ヘッド1および基板ステージ2の断面図である。
微小部品のハンドリングには、図7に示すように、主として真空吸着ヘッド1が使用されるが、吸着ノズル5の面積は部品3の面積より小さいので、その保持力は微小にならざるを得ない。このため、真空吸着ヘッド1の吸着面と基板ステージ2の平行度θの精度が確保されていないと、図8に示すように、部品3は、基板4に角から着地し、部品3に位置ズレが発生する可能性がある。
【0004】
また、部品3の着地後に真空吸着ヘッド1により部品3を基板4に圧着する場合、垂直方向に正確に加重を加えないと水平方向分力が発生し、部品3に位置ズレが発生する可能性がある。
また、部品3の位置ズレを防止するために真空吸着ヘッド1に部品3を吸着したまま、半田や接着剤等で部品3を基板4に固定する場合、部品3が傾いた状態で固定されたり、部品3と基板4の間の接触が不完全で電気的導通等が妨げられたりする可能性がある。
【0005】
したがって、高精度な微小部品搭載装置においては、真空吸着ヘッド1の吸着面と基板ステージ2の平行度θの精度を確保する必要があるが、例えば、平行度θを0.1°以内に調整する場合、0.5mm角の吸着面を有する真空吸着ヘッド1においては、垂直方向で約1μmの傾きを測定できなければならない。
図9は、ダイヤルインジケータ6による測定方法を示す模式図である。
【0006】
真空吸着ヘッド1の吸着面と基板ステージ2の平行度θを測定する場合、まず、図9に示すように、ダイヤルインジケータ6を使用し、真空吸着ヘッド1に測定子7を接触させてその傾きを測定する方法がある。
また、レーザ変位計により真空吸着ヘッド1の吸着面を非接触で測定する方法もある。
【特許文献1】特開2004−247768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ダイヤルインジケータ6による測定方法にあっては、測定子7の先端と比較して真空吸着ヘッド1が小さいため、そのセッティングや走査は困難である。また、1μmレベルでの検証には、測定器の精度の点で不足である。
また、レーザ変位計による測定方法にあっては、測定ビームスポットを絞れれば、真空吸着ヘッド1のような微小面積の測定も可能となるが、真空吸着ヘッド1の吸着面の表面粗さまで測定されてしまうため、面情報を把握することが難しい。
【0008】
さらに、上記2つの測定方法にあっては、基板ステージ2上に測定器を搭載しなければならず、基板ステージ2にはある程度の大きさを確保する必要となる。また、測定にあたって真空吸着ヘッド1の吸着面と基板ステージ2の間隔を大きく広げる必要があり、測定時の状態が、実際に平行度θが問題となってくる使用状態(基板4に部品3を搭載する間際の状態)と大きく異なってしまう。
【0009】
このような問題は、基板4に対して90°に部品3を搭載する場合に限らず、基板4に対して任意の角度で部品3を搭載するあらゆる場合について同様に想定される。また、真空吸着ヘッド1を使用する場合に限らず、メカニカルチャックや静電チャック等の任意の保持ヘッドを使用するあらゆる場合について同様に想定される。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、保持ヘッドの保持面と基板ステージの角度を実際の使用状態に近い状態で正確かつ容易に測定するのに好適な保持ヘッドの角度測定方法および保持ヘッドの角度測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の保持ヘッドの角度測定方法は、保持面を有し前記保持面で部品を接着保持する保持ヘッドと、基板を設置するための基板ステージとを備え、前記保持ヘッドまたは前記基板ステージを移動させて前記保持面に接着保持した前記部品を、前記基板ステージに設置された前記基板上に搭載する部品搭載装置に適用される方法であって、光を透過および反射可能な光学面を有する光学素子を、前記光学面と前記保持面とを接触または近接させて前記保持ヘッドと前記基板ステージとの間に設置するステップと、光源からの光を前記光学素子に入射するステップと、前記光学素子に入射された光のうち前記光学面で反射した光と、前記光学面を透過して前記保持面で反射した光により形成される干渉縞を測定するステップとを含む。
【0011】
ここで、光学素子は、光を透過および反射可能な光学面を有するものであればどのような構成であってもよく、これには、例えば、プリズム、ガラス板、レンズ、半透過ミラーおよびニュートンリングが含まれる。以下、請求項5記載の保持ヘッドの角度測定装置において同じである。
また、保持ヘッドは、保持面で部品を接着保持するようになっていればどのような構成であってもよく、これには、例えば、真空吸着ヘッド、メカニカルチャックおよび静電チャックが含まれる。以下、請求項5記載の保持ヘッドの角度測定装置において同じである。
【0012】
さらに、本発明に係る請求項2記載の保持ヘッドの角度測定方法は、請求項1記載の保持ヘッドの角度測定方法において、前記光学素子は、前記光学面に対して平行な設置面と、前記光学面の平行方向から入射された光を前記光学面に向けて反射する反射層とを有する平行プリズムであり、光を透過および反射可能な第2光学素子により、前記光源からの光を前記反射層に向けて前記光学面の平行方向に反射させ、かつ、前記光学面で反射した光および前記保持面で反射した光を前記干渉縞測定手段に向けて透過させるステップをさらに含む。
【0013】
さらに、本発明に係る請求項3記載の保持ヘッドの角度測定方法は、請求項2記載の保持ヘッドの角度測定方法において、前記基板ステージの上方に干渉縞測定手段が設置されており、ミラーにより前記反射層からの光を前記干渉縞測定手段に向けて反射させるステップをさらに含む。
さらに、本発明に係る請求項4記載の保持ヘッドの角度測定方法は、請求項1記載の保持ヘッドの角度測定方法において、前記光学素子は、筐体と、前記光学面を有し前記筐体の設置面に対して平行に設置されたガラス板と、前記光学面の平行方向から入射された光を前記光学面に向けて反射するミラーとからなる平行ブロック治具であり、光を透過および反射可能な第2光学素子により、前記光源からの光を前記ミラーに向けて前記光学面の平行方向に反射させ、かつ、前記光学面で反射した光および前記保持面で反射した光を前記干渉縞測定手段に向けて透過させるステップをさらに含む。
【0014】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る請求項5記載の保持ヘッドの角度測定装置は、保持面を有し前記保持面で部品を接着保持する保持ヘッドと、基板を設置するための基板ステージとを備え、前記保持ヘッドまたは前記基板ステージを移動させて前記保持面に接着保持した前記部品を、前記基板ステージに設置された前記基板上に搭載する部品搭載装置に適用される装置であって、光を透過および反射可能な光学面を有し、前記光学面と前記保持面とを接触または近接させて前記保持ヘッドと前記基板ステージとの間に設置された光学素子と、前記光学素子に光を入射する光源と、前記光学素子に入射された光のうち前記光学面で反射した光と、前記光学面を透過して前記保持面で反射した光により形成される干渉縞を測定する干渉縞測定手段とを備える。
【0015】
このような構成であれば、光源からの光が光学素子に入射されると、光学素子の光学面と保持ヘッドの保持面とが接触または近接しているので、入射された光のうち一部は、光学面で反射し、他の一部は、光学面を透過して保持面で反射し、光学面で反射した光と、保持面で反射した光により干渉縞が形成される。そして、干渉縞測定手段により、形成された干渉縞が測定される。保持ヘッドの保持面と基板ステージの角度は、光学素子の光学面と設置面の角度および干渉縞の態様から求めることができる。干渉縞を利用しているため、測定精度も高い。
【0016】
さらに、本発明に係る請求項6記載の保持ヘッドの角度測定装置は、請求項5記載の保持ヘッドの角度測定装置において、前記光学素子は、前記光学面に対して平行な設置面と、前記光学面の平行方向から入射された光を前記光学面に向けて反射する反射層とを有する平行プリズムであり、前記光源からの光を前記反射層に向けて前記光学面の平行方向に反射し、かつ、前記光学面で反射した光および前記保持面で反射した光を前記干渉縞測定手段に向けて透過する第2光学素子をさらに備える。
【0017】
このような構成であれば、光源からの光は、第2光学素子により反射層に向けて反射し、反射層でさらに反射して光学面に到達する。また、光学面で反射した光および保持面で反射した光は、反射層で反射して第2光学素子に到達し、第2光学素子を透過して干渉縞測定手段に導かれる。
さらに、本発明に係る請求項7記載の保持ヘッドの角度測定装置は、請求項6記載の保持ヘッドの角度測定装置において、前記干渉縞測定手段は、前記基板ステージの上方に設置されており、前記反射層からの光を前記干渉縞測定手段に向けて反射するミラーをさらに備える。
このような構成であれば、反射層からの光は、ミラーで反射し、基板ステージの上方に設置された干渉縞測定手段に導かれる。
【0018】
さらに、本発明に係る請求項8記載の保持ヘッドの角度測定装置は、請求項5記載の保持ヘッドの角度測定装置において、前記光学素子は、筐体と、前記光学面を有し前記筐体の設置面に対して平行に設置されたガラス板と、前記光学面の平行方向から入射された光を前記光学面に向けて反射するミラーとからなる平行ブロック治具であり、前記光源からの光を前記ミラーに向けて前記光学面の平行方向に反射し、かつ、前記光学面で反射した光および前記保持面で反射した光を前記干渉縞測定手段に向けて透過する第2光学素子をさらに備える。
このような構成であれば、光源からの光は、第2光学素子によりミラーに向けて反射し、ミラーでさらに反射してガラス板の光学面に到達する。また、光学面で反射した光および保持面で反射した光は、ミラーで反射して第2光学素子に到達し、第2光学素子を透過して干渉縞測定手段に導かれる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明に係る請求項1ないし4記載の保持ヘッドの角度測定方法、または請求項5ないし8記載の保持ヘッドの角度測定装置によれば、光学素子の光学面と設置面の角度および干渉縞の態様から、保持ヘッドの保持面と基板ステージの角度を正確に測定することができる。また、保持ヘッドの保持面と基板ステージの間に光学素子を設置するだけでよく、それらの間隔を大きく広げることなく測定できるので、実際の使用状態に近い状態で測定することができる。したがって、従来に比して、保持ヘッドの保持面と基板ステージの角度を実際の使用状態に近い状態で正確かつ容易に測定することができるという効果が得られる。
【0020】
さらに、本発明に係る請求項3記載の保持ヘッドの角度測定方法によれば、部品搭載装置に設けられているアライメント測定用の干渉縞測定手段を流用することができるので、生産稼働中等でも測定を容易に行うことができるという効果が得られる。
さらに、本発明に係る請求項4記載の保持ヘッドの角度測定方法によれば、平行ブロック治具を使用するので、比較的安価な測定を実現することができるという効果が得られる。また、保持ヘッドとの接触によりガラス板に傷付きや破損が発生した場合でも、ガラス板の交換で対応することができるので、比較的安価な保守を実現することができるという効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1および図2は、本発明に係る保持ヘッドの角度測定方法および保持ヘッドの角度測定装置の実施の形態を示す図である。
本実施の形態は、本発明に係る保持ヘッドの角度測定方法および保持ヘッドの角度測定装置を、図1に示すように、真空吸着ヘッド1で吸着した部品3を基板に垂直に位置決め搭載する場合について適用したものである。
【0022】
まず、微小部品搭載装置および本発明に係る平行度測定装置の構成を説明する。
図1は、微小部品搭載装置における真空吸着ヘッド1および基板ステージ2の断面図および平行度測定装置のブロック図である。
微小部品搭載装置は、図1に示すように、部品3を供給する部品供給部(不図示)と、部品3を吸着する真空吸着ヘッド1と、基板を搭載するための基板ステージ2と、吸着位置と装着位置との間で真空吸着ヘッド1を移動させるXY搬送部(不図示)とを有して構成されている。そして、部品供給部から供給される部品3を真空吸着ヘッド1で吸着し、XY搬送部により真空吸着ヘッド1を移動させて吸着した部品3を、基板ステージ2に設置された基板上に搭載する。
【0023】
真空吸着ヘッド1と基板ステージ2の間には、平行プリズム9が設定され、真空吸着ヘッド1の吸着面が平行プリズム9の上面に接触している。
平行プリズム9は、その上面が光を透過および反射可能な特性を有し、上面像を水平方向に反射する反射層がその内部に形成されている。平行プリズム9の上下面の平行度は、研削加工により数分のλ(約0.2μm)以下が確保されている。
平行プリズム9の水平方向には、平行プリズム9の上面で反射した光と、平行プリズム9の上面を透過して真空吸着ヘッド1の吸着面で反射した光により形成される干渉縞を測定するためスコープ10が設置されている。
【0024】
スコープ10は、CCD(Charge Coupled Device)カメラ11と、短波長同軸照明12と、2枚のレンズ12a,12bと、1枚の半透過ミラー12cとから光学系が構成されている。この光学系では、CCDカメラ11および短波長同軸照明12をそれらの光軸が直交する位置に配置し、短波長同軸照明12からの光を半透過ミラー12cで反射させ、レンズ12aを介して出射する一方、レンズ12aから入射した光を半透過ミラー12cで透過させ、レンズ12bを介してCCDカメラ11に導く。スコープ10の入出力端では、CCDカメラ11および短波長同軸照明12の光軸が一致するため、平行プリズム9に対しては、共通のレンズ12aを介して光の入出力を行うことができる。
CCDカメラ11には、モニタTV13が接続されている。干渉縞は、CCDカメラ11で撮影され、モニタTV13に映し出される。ただし、干渉縞の観察に際しては、顕微鏡による目視観察でもよく、また、短波長同軸照明12は、軸外照明でも実現可能である。
【0025】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
短波長同軸照明12からの光は、半透過ミラー12cにより平行プリズム9に向けて反射し、平行プリズム9の反射層でさらに反射して平行プリズム9の上面に到達する。平行プリズム9の上面と真空吸着ヘッド1の吸着面とは接触しているので、上面に到達した光のうち一部は、上面で反射し、他の一部は、上面を透過して吸着面で反射し、上面で反射した光と、吸着面で反射した光により干渉縞が形成される。上面で反射した光および吸着面で反射した光は、平行プリズム9の反射層で反射して半透過ミラー12cに到達し、半透過ミラー12cを透過してCCDカメラ11に導かれる。そして、CCDカメラ11により、形成された干渉縞が測定される。
【0026】
図2は、測定された干渉縞の一例を示す。
干渉縞の向きから真空吸着ヘッド1の傾斜方向が、干渉縞の本数から真空吸着ヘッド1の傾斜量を求めることができる。また、干渉縞の間隔の変化および干渉縞の直線性から真空吸着ヘッド1の吸着面の平坦度(吸着面の凹凸の度合い)を求めることができる。図2の上下方向を図1の左右方向に対応させると、傾斜方向は、図1の左右方向となり、傾斜量は、(干渉縞の数=3本)×(照明波長λ)/2=3/2×λとして算出することができる。また、平坦度は、1本の干渉縞において上端と右端の高さをA、干渉縞の間隔をBとすると、A/(2B)λとして算出することができる。例えば、照明波長λを600nmとすると、傾斜量は1μm、平坦度は0.06μmとなる。平行度θは、傾斜量から求めることができる。
【0027】
このようにして、本実施の形態では、真空吸着ヘッド1の吸着面を平行プリズム9の上面に接触させ、短波長同軸照明12からの光を平行プリズム9に入射し、平行プリズム9に入射された光のうち上面で反射した光と、上面を透過して吸着面で反射した光により形成される干渉縞をCCDカメラ11で測定した。
これにより、干渉縞の態様から、真空吸着ヘッド1の吸着面と基板ステージ2の平行度θを正確に測定することができる。また、真空吸着ヘッド1の吸着面と基板ステージ2の間に平行プリズム9を設置するだけでよく、それらの間隔を大きく広げることなく測定できるので、実際の使用状態に近い状態で測定することができる。したがって、従来に比して、実際の使用状態に近い状態で平行度θを正確かつ容易に測定することができる。
【0028】
さらに、平行プリズム9に変形が生じない範囲内であれば、真空吸着ヘッド1を平行プリズム9に押し付けることにより、部品加圧状態での真空吸着ヘッド1の挙動を連続的に観察することができる。
上記実施の形態において、平行プリズム9は、請求項1、2、5または6記載の光学素子に対応し、CCDカメラ11は、請求項2、5または6記載の干渉縞測定手段に対応し、半透過ミラー12cは、請求項2または6記載の第2光学素子に対応している。
【0029】
なお、上記実施の形態においては、CCDカメラ11を使用して干渉縞を測定するように構成したが、これに限らず、微小部品搭載装置には、通常、真空吸着ヘッド1の上方に落射照明・スコープ付きのCCDカメラが部品3のアライメント測定用にあらかじめ設けられているため、CCDカメラ11を別途設けることなく、既設のCCDカメラを使用して干渉縞を測定するように構成することもできる。
【0030】
図3は、アライメント測定用のCCDカメラを使用した平行度測定方法を示す模式図である。
ミラー台15には、図3に示すように、平行プリズム9と、平行プリズム9からの光をアライメント測定用のCCDカメラに向けて反射する平面ミラー14とが一体に取り付けられている。アライメント測定用のCCDカメラのスコープ倍率が干渉縞の測定に十分であれば、平行プリズム9からの光を平面ミラー14により上方へ折り返すことで、アライメント測定用のCCDカメラにより干渉縞を測定することができる。なお、図3の例では、セッティングの簡素化のため、ミラー台15に平行プリズム9を一体に取り付けているが、これらは分離されていても実用上問題はない。
【0031】
これにより、アライメント測定用のCCDカメラを流用することができるので、生産稼働中等でも平行度θの測定を容易に行うことができる。
この場合において、平行プリズム9は、請求項1または5記載の光学素子に対応し、アライメント測定用のCCDカメラは、請求項3、5または7記載の干渉縞測定手段に対応している。
また、上記実施の形態においては、平行プリズム9を使用して干渉縞を測定するように構成したが、これに限らず、他の光学素子を使用した次の2つの構成を提案することができる。
【0032】
まず、第1の構成を説明する。
図4は、平行ブロック治具17を使用した平行度測定方法を示す模式図である。
平行ブロック治具17は、図4に示すように、筐体18と、筐体18の下面に対して平行に設置された平面ガラス板19と、平面ガラス板19の水平方向から入射された光を平面ガラス板19に向けて反射する平面ミラー20とを有して構成されている。
【0033】
これにより、上記実施の形態と同様の作用および効果が得られる。また、高価な平行プリズム9の代わりに平行ブロック治具17を使用するので、比較的安価な測定を実現することができる。さらに、真空吸着ヘッド1との接触により平面ガラス板19に傷付きや破損が発生した場合でも、平面ガラス板19の交換で対応することができるので、比較的安価な保守を実現することができる。
なお、第1の構成に図3の構成を適用することもできる。すなわち、平行ブロック治具17と、平行ブロック治具17からの光をアライメント測定用のCCDカメラに向けて反射する平面ミラー14とをミラー台15に一体に取り付け、平行ブロック治具17からの光をアライメント測定用のCCDカメラに導く。
【0034】
次に、第2の構成を説明する。
図5は、平面ガラス板22を使用した平行度測定方法を示す模式図である。
基板ステージ2には、図5に示すように、光が透過可能な微小の貫通孔21を形成する。貫通孔21の開口部を覆うようにして基板ステージ2上に平面ガラス板22を設置し、真空吸着ヘッド1の吸着面を平面ガラス板22の上面に接触させる。また、スコープ10を基板ステージ2の下方に設置する。
【0035】
短波長同軸照明12からの光は、貫通孔21を介して平面ガラス板22に入射され、平面ガラス板22の上面に到達する。平面ガラス板22の上面と真空吸着ヘッド1の吸着面とは接触しているので、上面に到達した光のうち一部は、上面で反射し、他の一部は、上面を透過して吸着面で反射し、上面で反射した光と、吸着面で反射した光により干渉縞が形成される。上面で反射した光および吸着面で反射した光は、平面ガラス板22および貫通孔21を介してCCDカメラ11に到達する。そして、CCDカメラ11により、形成された干渉縞が測定される。
【0036】
また、上記実施の形態においては、基板に対して90°に部品3を搭載する微小部品搭載装置に適用したが、これに限らず、基板に対して90°以外の所定角度で部品3を搭載する微小部品搭載装置に適用することもできる。
図6は、基板に対して45°に部品3を搭載する微小部品搭載装置における傾斜度測定方法を示す模式図である。
基板ステージ2には、図6に示すように、光が透過可能な微小の貫通孔21を形成する。斜面と下面が45°の角度をなす三角プリズム23を、貫通孔21の開口部を覆うようにして基板ステージ2上に設置し、真空吸着ヘッド1の吸着面を三角プリズム23の斜面に接触させる。また、短波長同軸照明12を基板ステージ2の下方に設置し、CCDカメラ11を三角プリズム23の水平方向に設置する。
【0037】
短波長同軸照明12からの光は、貫通孔21を介して三角プリズム23に入射され、三角プリズム23の斜面に到達する。三角プリズム23の斜面と真空吸着ヘッド1の吸着面とは接触しているので、斜面に到達した光のうち一部は、斜面で反射し、他の一部は、斜面を透過して吸着面で反射し、斜面で反射した光と、吸着面で反射した光により干渉縞が形成される。斜面で反射した光および吸着面で反射した光は、CCDカメラ11に到達する。そして、CCDカメラ11により、形成された干渉縞が測定される。
【0038】
また、上記実施の形態においては、真空吸着ヘッド1の吸着面を平行プリズム9の上面に接触させたが、これに限らず、真空吸着ヘッド1の吸着面を平行プリズム9の上面に接触させず近接させてもよい。このことは、図3〜図6の構成についても同様である。
また、上記実施の形態においては、真空吸着ヘッド1で部品3を吸着させる微小部品搭載装置に適用したが、これに限らず、メカニカルチャックや静電チャック等の保持ヘッドで部品3を接着保持する微小部品搭載装置に適用することもできる。
【0039】
また、上記実施の形態においては、XY搬送部により真空吸着ヘッド1を移動させる微小部品搭載装置に適用したが、これに限らず、真空吸着ヘッド1は固定しておき、基板ステージ2を移動させる微小部品搭載装置に適用することもできる。
また、上記実施の形態においては、本発明に係る保持ヘッドの角度測定方法および保持ヘッドの角度測定装置を、図1に示すように、真空吸着ヘッド1で吸着した部品3を基板に垂直に位置決め搭載する場合について適用したが、これに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】微小部品搭載装置における真空吸着ヘッド1および基板ステージ2の断面図および平行度測定装置のブロック図である。
【図2】測定された干渉縞の一例を示す。
【図3】アライメント測定用のCCDカメラを使用した平行度測定方法を示す模式図である。
【図4】平行ブロック治具17を使用した平行度測定方法を示す模式図である。
【図5】平面ガラス板22を使用した平行度測定方法を示す模式図である。
【図6】基板に対して45°に部品3を搭載する微小部品搭載装置における傾斜度測定方法を示す模式図である。
【図7】微小部品搭載装置における真空吸着ヘッド1および基板ステージ2の断面図である。
【図8】微小部品搭載装置における真空吸着ヘッド1および基板ステージ2の断面図である。
【図9】ダイヤルインジケータ6による測定方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1 真空吸着ヘッド
2 基板ステージ
3 部品
4 基板
5 吸着ノズル
9 平行プリズム
11 CCDカメラ
12 短波長同軸照明
12c 半透過ミラー
14,20 平面ミラー
15 ミラー台
17 平行ブロック治具
19,22 平面ガラス板
21 貫通孔
23 三角プリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面を有し前記保持面で部品を接着保持する保持ヘッドと、基板を設置するための基板ステージとを備え、前記保持ヘッドまたは前記基板ステージを移動させて前記保持面に接着保持した前記部品を、前記基板ステージに設置された前記基板上に搭載する部品搭載装置に適用される方法であって、
光を透過および反射可能な光学面を有する光学素子を、前記光学面と前記保持面とを接触または近接させて前記保持ヘッドと前記基板ステージとの間に設置するステップと、
光源からの光を前記光学素子に入射するステップと、
前記光学素子に入射された光のうち前記光学面で反射した光と、前記光学面を透過して前記保持面で反射した光により形成される干渉縞を測定するステップとを含むことを特徴とする保持ヘッドの角度測定方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記光学素子は、前記光学面に対して平行な設置面と、前記光学面の平行方向から入射された光を前記光学面に向けて反射する反射層とを有する平行プリズムであり、
光を透過および反射可能な第2光学素子により、前記光源からの光を前記反射層に向けて前記光学面の平行方向に反射させ、かつ、前記光学面で反射した光および前記保持面で反射した光を前記干渉縞測定手段に向けて透過させるステップをさらに含むことを特徴とする保持ヘッドの角度測定方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記基板ステージの上方に干渉縞測定手段が設置されており、
ミラーにより前記反射層からの光を前記干渉縞測定手段に向けて反射させるステップをさらに含むことを特徴とする保持ヘッドの角度測定方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記光学素子は、筐体と、前記光学面を有し前記筐体の設置面に対して平行に設置されたガラス板と、前記光学面の平行方向から入射された光を前記光学面に向けて反射するミラーとからなる平行ブロック治具であり、
光を透過および反射可能な第2光学素子により、前記光源からの光を前記ミラーに向けて前記光学面の平行方向に反射させ、かつ、前記光学面で反射した光および前記保持面で反射した光を前記干渉縞測定手段に向けて透過させるステップをさらに含むことを特徴とする保持ヘッドの角度測定方法。
【請求項5】
保持面を有し前記保持面で部品を接着保持する保持ヘッドと、基板を設置するための基板ステージとを備え、前記保持ヘッドまたは前記基板ステージを移動させて前記保持面に接着保持した前記部品を、前記基板ステージに設置された前記基板上に搭載する部品搭載装置に適用される装置であって、
光を透過および反射可能な光学面を有し、前記光学面と前記保持面とを接触または近接させて前記保持ヘッドと前記基板ステージとの間に設置された光学素子と、
前記光学素子に光を入射する光源と、
前記光学素子に入射された光のうち前記光学面で反射した光と、前記光学面を透過して前記保持面で反射した光により形成される干渉縞を測定する干渉縞測定手段とを備えることを特徴とする保持ヘッドの角度測定装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記光学素子は、前記光学面に対して平行な設置面と、前記光学面の平行方向から入射された光を前記光学面に向けて反射する反射層とを有する平行プリズムであり、
前記光源からの光を前記反射層に向けて前記光学面の平行方向に反射し、かつ、前記光学面で反射した光および前記保持面で反射した光を前記干渉縞測定手段に向けて透過する第2光学素子をさらに備えることを特徴とする保持ヘッドの角度測定装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記干渉縞測定手段は、前記基板ステージの上方に設置されており、
前記反射層からの光を前記干渉縞測定手段に向けて反射するミラーをさらに備えることを特徴とする保持ヘッドの角度測定装置。
【請求項8】
請求項5において、
前記光学素子は、筐体と、前記光学面を有し前記筐体の設置面に対して平行に設置されたガラス板と、前記光学面の平行方向から入射された光を前記光学面に向けて反射するミラーとからなる平行ブロック治具であり、
前記光源からの光を前記ミラーに向けて前記光学面の平行方向に反射し、かつ、前記光学面で反射した光および前記保持面で反射した光を前記干渉縞測定手段に向けて透過する第2光学素子をさらに備えることを特徴とする保持ヘッドの角度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−267032(P2006−267032A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−89087(P2005−89087)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】