説明

信号機検出装置、信号機検出方法及びプログラム

【課題】自車両前方のLED信号機の発光部を確実に検出することが可能な信号機検出装置、信号機検出方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】前方撮像用カメラ53の撮影周期が、進行方向前方のLED信号機の発光部の点灯周期の1/2より長く、且つ、進行方向前方のLED信号機の発光部の点灯周期と、前方撮像用カメラ53の撮影周期とが同調する場合には、CPU41は、前方撮像用カメラ53の撮影画像がLED信号機の発光部が消失した撮影画像になった際に、前方撮像用カメラ53の撮影タイミングをLED素子の消灯タイミングとずらすように指示する制御信号をカメラECU51に対して出力する(S11〜S17:NO〜S19:YES〜S20)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両前方の信号機を検出する信号機検出装置、信号機検出方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自車両前方の信号機を検出する技術に関し種々提案されている。
例えば、車両に設けられ進行方向を撮影して撮影画像を出力する撮影手段と、この撮影手段による撮影画像から赤色発光部を抽出して信号機の赤色信号を検出する赤信号検出手段とを備え、この赤信号検出手段は、抽出した赤色発光部の輝度及び/又は該赤色発光部の高さに基づいて赤信号であることを検出するように構成された安全運転支援装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−034693号公報(段落(0013)〜(0037)、図1〜図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記した特許文献1に記載された安全運転支援装置では、自車両前方の信号機がLED(lightemitting diode)式の信号機(以下、「LED信号機」という。)の場合には、発光部であるLED素子の点灯周期と撮影手段の撮影周期との相違等によって、LED信号機の発光部が消灯状態で撮影され、信号機の発光部を検出することができない虞があるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、自車両前方のLED信号機の発光部を確実に検出することが可能な信号機検出装置、信号機検出方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため請求項1に係る信号機検出装置は、自車位置を検出する自車位置検出手段(11)と、信号機に関する信号機情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段(25)と、前記自車位置と前記地図情報とに基づいて自車両前方の前記信号機情報を取得する信号機情報取得手段(13)と、前記信号機情報取得手段によって取得した前記信号機情報に基づいて、自車両前方の信号機がLED信号機か否かを判定する種類判定手段(13)と、自車両前方の信号機がLED信号機であると判定された場合には、前記信号機情報に基づいて該LED信号機に関するLED点灯情報を取得する点灯情報取得手段(13)と、自車両前方を撮影する撮影手段(51、53)と、前記LED点灯情報と前記撮影手段の撮影周期とに基づいて自車両前方を撮影する撮影タイミングを設定する撮影タイミング設定手段(13、51)と、前記撮影タイミングで撮影された撮影画像に基づいて信号機を検出する信号機検出手段(13)と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る信号機検出装置は、請求項1に記載の信号機検出装置(1)において、前記LED点灯情報は、前記LED信号機のLED点灯周期を含み、前記撮影タイミング設定手段(13、51)は、前記撮影周期が前記LED信号機のLED点灯周期の1/2より大きい場合には、このLED信号機のLED消灯時を撮影しないように撮影タイミングを変更する撮影タイミング変更手段(13、51)を有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る信号機検出装置は、請求項2に記載の信号機検出装置(1)において、前記撮影タイミング設定手段(13、51)は、前記撮影周期が前記LED信号機のLED点灯周期の1/2以下の場合には、前記撮影タイミングを変更せず、前記信号機検出手段(13)は、前記LED信号機のLED点灯時のみの撮影画像に基づいて信号機を検出することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る信号機検出方法は、自車位置を検出する自車位置検出工程(S11)と、前記自車位置と地図情報とに基づいて自車両前方の信号機に関する信号機情報を取得する信号機情報取得工程(S11)と、前記信号機情報取得工程で取得した信号機情報に基づいて、自車両前方の信号機がLED信号機か否かを判定する種類判定工程(S12〜S13)と、前記種類判定工程で自車両前方の信号機がLED信号機であると判定された場合には、前記信号機情報に基づいて該LED信号機に関するLED点灯情報を取得する点灯情報取得工程(S15)と、前記点灯情報取得工程で取得した前記LED点灯情報と自車両前方を撮影する撮影手段の撮影周期とに基づいて自車両前方を撮影する撮影タイミングを設定する撮影タイミング設定工程(S16〜S21)と、前記撮影タイミング設定工程で設定された前記撮影タイミングで撮影された撮影画像に基づいて信号機を検出する信号機検出工程(S22)と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
更に、請求項5に係るプログラムは、コンピュータに、自車位置を検出する自車位置検出工程(S11)と、前記自車位置と地図情報とに基づいて自車両前方の信号機に関する信号機情報を取得する信号機情報取得工程(S11)と、前記信号機情報取得工程で取得した信号機情報に基づいて、自車両前方の信号機がLED信号機か否かを判定する種類判定工程(S12〜S13)と、前記種類判定工程で自車両前方の信号機がLED信号機であると判定された場合には、前記信号機情報に基づいて該LED信号機に関するLED点灯情報を取得する点灯情報取得工程(S15)と、前記点灯情報取得工程で取得した前記LED点灯情報と自車両前方を撮影する撮影手段の撮影周期とに基づいて自車両前方を撮影する撮影タイミングを設定する撮影タイミング設定工程(S16〜S21)と、前記撮影タイミング設定工程で設定された前記撮影タイミングで撮影された撮影画像に基づいて信号機を検出する信号機検出工程(S22)と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
前記構成を有する請求項1に係る信号機検出装置では、自車両前方のLED信号機に関するLED点灯情報と撮影手段の撮影周期とに基づいて、当該LED信号機を撮影する撮影タイミングを設定するため、LED信号機の発光部を点灯状態で確実に撮影することが可能となる。また、LED信号機の発光部が点灯した状態の撮影画像に基づいて当該LED信号機を確実に検出することが可能となる。
【0011】
また、請求項2に係る信号機検出装置では、撮影手段の撮影周期がLED信号機のLED点灯周期の1/2より長い場合には、このLED信号機のLED消灯時を撮影しないように撮影タイミングを変更するため、LED信号機の発光部を点灯状態で更に確実に撮影することが可能となる。
【0012】
また、請求項3に係る信号機検出装置では、撮影手段の撮影周期がLED信号機のLED点灯周期の1/2以下の場合には、撮影タイミングを変更することなく、LED信号機のLED点灯時のみの撮影画像に基づいて信号機を検出するため、当該LED信号機を確実に検出することが可能となる。
【0013】
また、請求項4に係る信号機検出方法では、自車両前方のLED信号機に関するLED点灯情報と撮影手段の撮影周期とに基づいて、当該LED信号機を撮影する撮影タイミングを設定するため、LED信号機の発光部を点灯状態で確実に撮影することが可能となる。また、LED信号機の発光部が点灯した状態の撮影画像に基づいて当該LED信号機を確実に検出することが可能となる。
【0014】
更に、請求項5に係るプログラムでは、コンピュータは当該プログラムを読み込むことによって、該コンピュータは、自車両前方のLED信号機に関するLED点灯情報と撮影手段の撮影周期とに基づいて、当該LED信号機を撮影する撮影タイミングを設定するため、LED信号機の発光部を点灯状態で確実に撮影することが可能となる。また、コンピュータは、LED信号機の発光部が点灯した状態の撮影画像に基づいて当該LED信号機を確実に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る信号機検出装置、信号機検出方法及びプログラムをナビゲーション装置について具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
[ナビゲーション装置の概略構成]
先ず、本実施例に係るナビゲーション装置の概略構成について図1に基づいて説明する。図1は本実施例に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
図1に示すように、本実施例に係るナビゲーション装置1は、自車の現在位置(以下、「自車位置」という。)を検出する現在地検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部13と、操作者からの操作を受け付ける操作部14と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内等に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、不図示の道路交通情報センタや地図情報配信センタ等との間で携帯電話網等を介して通信を行う通信装置17とから構成されている。また、ナビゲーション制御部13には、自車の走行速度を検出する車速センサ21が接続されている。
【0017】
また、ナビゲーション制御部13には、CCDカメラ等を駆動制御するカメラECU(ElectronicControl Unit)51が電気的に接続されている。そして、このカメラECU51には、ルームミラー付近に固定されたCCD(ステレオ)カメラ等により構成されて進行方向前方を撮影する前方撮像用カメラ53が電気的に接続されている。
【0018】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出部11は、GPS31、方位センサ32、距離センサ33、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0019】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在時刻を検出する。また、方位センサ32は、地磁気センサやジャイロセンサ、或いは、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等により構成され、自車方位を検出する。また、距離センサ33は、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等から構成され、自車の移動距離を検出する。
【0020】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶された地図情報データベース(地図情報DB)25及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0021】
また、地図情報DB25には、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Pointof Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ、交差点における信号機に関する信号機情報等から構成されている。
【0022】
この信号機情報には、交差点における信号機の位置座標や高さデータ及びペア信号機の場合には対になる信号機、信号機の種別(LED信号機又は電球式の通常信号機等である。)等の情報が含まれている。また、信号機情報には、LED信号機の場合には、発光部を構成するLED素子の地域別の点灯周期(例えば、商用電源がAC100Vで60Hzの地域では、点灯周期は120Hzである。)等が含まれている。
また、地図情報DB25の内容は、不図示の情報配信センタから通信装置17を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0023】
また、図1に示すように、ナビゲーション装置1を構成するナビゲーション制御部13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の前方撮像用カメラ53の撮影タイミングを調整する撮影タイミング調整処理のプログラム(図2参照)等が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。
【0024】
更に、前記ナビゲーション制御部13には、操作部14、液晶ディスプレイ15、スピーカ16、通信装置17の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0025】
操作部14は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う際等に操作され、各種のキー等の複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14としては、キーボード、マウス等や、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
また、液晶ディスプレイ15には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
【0026】
また、スピーカ16は、ナビゲーション制御部13からの指示に基づいて、誘導経路に沿った走行案内等を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」等である。
そして、通信装置17は、情報配信センタや道路交通情報センタと通信を行う携帯電話網等による通信手段であり、情報配信センタとの間で最もバージョンの新しい更新地図情報等の送受信を行う。また、通信装置17は情報配信センタ等に加えて、他の車両に搭載されたナビゲーション装置1とも双方向通信可能に構成されている。
【0027】
また、カメラECU51は、ナビゲーション制御部13から送信された制御情報を受信するデータ受信部51Aを備えると共に、この受信した制御情報に基づき前方撮像用カメラ53を駆動制御するカメラ制御部51Cと、この前方撮像用カメラ53によって撮影された撮影画像の画像認識を行う画像認識部51Bとを備えている。ここで、画像認識部51Bは、前方撮像用カメラ53の映像信号を画像処理して、撮影画像上における信号機の位置、信号機の高さ、信号機の発光部の形状や色情報等を抽出して出力する。
【0028】
[撮影タイミング調整処理]
次に、上記のように構成されたナビゲーション装置1のCPU41が実行する処理であって、前方撮像用カメラ53の撮影タイミングを調整する撮影タイミング調整処理について図2乃至図4に基づいて説明する。
【0029】
図2は本実施例に係るナビゲーション装置1のCPU41が実行する処理であって、前方撮像用カメラ53の撮影タイミングを調整する「撮影タイミング調整処理」を示すフローチャートである。図3はLED信号機の発光部の点灯時のみの撮影画像を抽出する一例を示す図である。図4は前方撮像用カメラ53の撮影タイミングを撮影周期の半周期分ずらして撮影画像を抽出する一例を示す図である。
尚、図2にフローチャートで示されるプログラムはナビゲーション装置1のナビゲーション制御部13が備えているROM43に記憶されており、CPU41によって実行される。
【0030】
図2に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、CPU41は、現在地検出部11により自車位置及び自車の向きを表す自車方位を検出して、自車位置を表す座標データ(例えば、緯度と経度のデータである。)と自車方位をRAM42に記憶する。また、CPU41は、地図情報DB25に格納される地図情報から自車両前方(例えば、自車位置から所定距離(約200m〜300m)前方までである。)の信号機情報を取得して、RAM42に記憶する。
【0031】
続いて、S12において、CPU41は、自車両前方(例えば、自車位置から所定距離(約200m〜300m)前方までである。)に信号機があるか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、自車両前方に信号機が無い場合には(S12:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
【0032】
一方、自車両前方に信号機がある場合には(S12:YES)、CPU41は、S13の処理に移行する。S13において、CPU41は、進行方向前方の信号機に関する信号機情報を地図情報DB25に格納される地図情報から再度読み出し、この進行方向前方の信号機が、LED信号機であるか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、この進行方向前方の信号機がLED信号機でない場合、即ち、電球式の通常信号機の場合には(S13:NO)、CPU41は、S14の処理に移行する。S14において、CPU41は、カメラECU51に対して、前方撮像用カメラ53の撮影画像の画像認識を行うように指示する制御信号を出力後、後述のS22の処理に移行する。これにより、カメラECU51の画像認識部51Bは、前方撮像用カメラ53の映像信号を画像処理して、撮影画像上における信号機の位置、信号機の高さ、信号機の発光部の形状や色情報等を抽出して出力する。
【0033】
一方、この進行方向前方の信号機がLED信号機である場合には(S13:YES)、CPU41は、S15の処理に移行する。S15において、CPU41は、進行方向前方の信号機に関する信号機情報を地図情報DB25に格納される地図情報から再度読み出し、当該LED信号機の発光部構成するLED素子の地域別の点灯周期を取得して、RAM42に記憶する。
【0034】
そして、S16において、CPU41は、カメラECU51のカメラ制御部51Cを介して前方撮像用カメラ53の1秒当たりの撮影コマ数を取得して、RAM42に記憶する。尚、カメラECU51のカメラ制御部51Cは、このカメラECU51に接続された前方撮像用カメラ53の1秒当たりの撮影コマ数を検出可能に構成されている。
【0035】
続いて、S17において、CPU41は、RAM42から再度、前方撮像用カメラ53の1秒当たりの撮影コマ数を読み出し、撮影周期を算出する。そして、CPU41は、RAM42から再度、LED信号機の発光部の点灯周期を読み出し、この算出した前方撮像用カメラ53の撮影周期が、当該LED信号機の発光部の点灯周期の1/2以下か否かを判定する判定処理を実行する。
【0036】
そして、前方撮像用カメラ53の撮影周期が、進行方向前方のLED信号機の発光部の点灯周期の1/2以下の場合には(S17:YES)、CPU41は、S18の処理に移行する。S18において、CPU41は、カメラECU51に対して、前方撮像用カメラ53の撮影画像のうちLED信号機の発光部の点灯時のみの撮影画像を抽出するサンプリング周期に設定して撮影画像の画像認識を行うように指示する制御信号を出力後、後述のS22の処理に移行する。これにより、カメラECU51の画像認識部51Bは、前方撮像用カメラ53の映像信号を画像処理して、撮影画像上におけるLED信号機の位置、LED信号機の高さ、LED信号機の発光部の形状や色情報等を抽出して確実に出力することが可能となる。
【0037】
例えば、図3に示すように、LED信号機の発光部を構成するLED素子の発光状態を示す発光特性61は、商用電源の電源周期の2倍の点灯周期である。また、前方撮像用カメラ53の撮影周期は、このLED信号機の発光部の点灯周期の約1/4倍である。従って、CPU41は、カメラECU51に対して、前方撮像用カメラ53の撮影画像のうちLED信号機の発光部のLED素子の発光が安定した点灯時のみの撮影画像を4コマ毎に抽出するようにサンプリング周期を設定して、撮影画像の画像認識を行うように指示する制御信号を出力する。
【0038】
これにより、カメラECU51の画像認識部51Bは、LED信号機の発光部の点灯時のみの前方撮像用カメラ53の撮影画像を抽出することが可能となり、前方撮像用カメラ53の映像信号を画像処理して、撮影画像上におけるLED信号機の位置、LED信号機の高さ、LED信号機の発光部の形状や色情報等を抽出して確実に出力することが可能となる。
【0039】
一方、上記S17で前方撮像用カメラ53の撮影周期が、進行方向前方のLED信号機の発光部の点灯周期の1/2より長い場合には(S17:NO)、CPU41は、S19の処理に移行する。S19において、CPU41は、進行方向前方のLED信号機の発光部の点灯周期と、前方撮像用カメラ53の撮影周期とが同調するか否か、即ち、前方撮像用カメラ53の撮影周期が、LED信号機の発光部の点灯周期のほぼ整数倍か否かを判定する判定処理を実行する。
【0040】
そして、進行方向前方のLED信号機の発光部の点灯周期と、前方撮像用カメラ53の撮影周期とが同調する場合、即ち、前方撮像用カメラ53の撮影周期が、LED信号機の発光部の点灯周期のほぼ整数倍の場合には(S19:YES)、CPU41は、S20の処理に移行する。S20において、CPU41は、前方撮像用カメラ53の撮影画像が、LED信号機の発光部のLED素子が消灯して、このLED信号機の発光部が消失した撮影画像になった場合には、前方撮像用カメラ53の撮影タイミングをLED素子の消灯タイミングとずらすように指示する制御信号をカメラECU51に対して出力後、後述のS22の処理に移行する。
【0041】
具体的には、CPU41は、前方用撮像用カメラ53が2コマ乃至5コマ分の撮影コマ数を撮影した場合に、カメラECU51の画像認識部51Bから、撮影画像上におけるLED信号機の発光部の形状や色情報等が入力されない時には、カメラECU51に対して、前方撮像用カメラ53の撮影周期を半周期分ずらすように指示する制御信号を出力する。または、CPU41は、カメラECU51の画像認識部51Bから、撮影画像上におけるLED信号機の発光部の形状や色情報等が入力されなくなった時に、カメラECU51に対して、前方撮像用カメラ53の撮影周期を半周期分ずらすように指示する制御信号を出力する。
【0042】
例えば、図4に示すように、LED信号機の発光部を構成するLED素子の発光状態を示す発光特性61は、商用電源の電源周期の2倍の点灯周期である。また、前方撮像用カメラ53の撮影周期は、このLED信号機の発光部の点灯周期とほぼ同じである。従って、図4の上側に示すように、前方撮像用カメラ53の撮影タイミングが、LED信号機の発光部のLED素子の消灯タイミングと一致した場合には、カメラECU51の画像認識部51BからCPU41に対して、撮影画像上におけるLED信号機の発光部の形状や色情報等が入力されない。
【0043】
このため、図4の下側に示すように、CPU41は、カメラECU51に対して、前方撮像用カメラ53の撮影周期を半周期分ずらすように指示する制御信号を出力する。これにより、前方撮像用カメラ53の撮影画像は、LED信号機の発光部のLED素子の発光が安定した点灯時のみの撮影画像を撮影することが可能となり、カメラECU51の画像認識部51Bは、前方撮像用カメラ53の映像信号を画像処理して、撮影画像上におけるLED信号機の位置、LED信号機の高さ、LED信号機の発光部の形状や色情報等を抽出して確実に出力することが可能となる。
【0044】
一方、上記S19で進行方向前方のLED信号機の発光部の点灯周期と、前方撮像用カメラ53の撮影周期とが同調しない場合、即ち、前方撮像用カメラ53の撮影周期が、LED信号機の発光部の点灯周期のほぼ整数倍でない場合には(S19:NO)、CPU41は、S21の処理に移行する。S21において、CPU41は、LED信号機の発光部の点灯周期と、前方撮像用カメラ53の撮影周期との位相差に合わせて、カメラECU51に対して、定期的に前方撮像用カメラ53の撮影タイミングをLED素子の消灯タイミングからずらすように指示する(例えば、撮影周期の半周期分ずらすように指示する。)制御信号をカメラECU51に対して出力後、S22の処理に移行する。
【0045】
具体的には、CPU41は、カメラECU51の画像認識部51Bから、撮影画像上におけるLED信号機の発光部の形状や色情報等が、周期的に何回か(例えば、周期的に3〜5回である。)入力されない時がある場合には、カメラECU51に対して、このLED信号機の発光部の形状や色情報等が入力されない周期で前方撮像用カメラ53の撮影周期を半周期分ずらすように指示する制御信号を出力する。これにより、前方撮像用カメラ53は、LED信号機の発光部のLED素子の点灯時のみの撮影画像を撮影することが可能となり、カメラECU51の画像認識部51Bは、前方撮像用カメラ53の映像信号を画像処理して、撮影画像上におけるLED信号機の位置、LED信号機の高さ、LED信号機の発光部の形状や色情報等を抽出して確実に出力することが可能となる。
【0046】
続いて、S22において、CPU41は、カメラECU51の画像認識部51Bから入力された撮影画像上におけるLED信号機又は通常信号機の位置、LED信号機又は通常信号機の高さ、LED信号機又は通常信号機の発光部の形状や色情報等をRAM42に記憶する。また、CPU41は、進路方向前方における信号機に関する信号機情報を地図情報DB25から読み出して、地図データ上の間近の信号機と自車両との距離と角度を算出し、RAM42に記憶する。そして、CPU41は、撮影画像上におけるLED信号機又は通常信号機のうち、発光部の自車両からの距離及び角度が、地図データ上の間近の信号機と自車両との距離及び角度と一致するものを、進路上の間近の信号機として検出する。そして、CPU41は、この検出した撮影画像上におけるLED信号機又は通常信号機の発光部の形状や色情報等に基づいて、当該LED信号機又は通常信号機の信号状態をRAM42に記憶後、当該処理を終了する。
【0047】
[上記実施例の効果]
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るナビゲーション装置1では、前方撮像用カメラ53の撮影周期が、進行方向前方のLED信号機の発光部の点灯周期の1/2以下の場合には、CPU41は、カメラECU51に対して、前方撮像用カメラ53の撮影画像のうちLED信号機の発光部の点灯時のみの撮影画像を抽出するサンプリング周期に設定して撮影画像の画像認識を行うように指示する制御信号を出力する(S11〜S17:YES〜S18)。
【0048】
これにより、カメラECU51の画像認識部51Bは、前方撮像用カメラ53の映像信号を画像処理して、撮影画像上におけるLED信号機の位置、LED信号機の高さ、LED信号機の発光部の形状や色情報等を抽出して確実に出力することが可能となる。このため、CPU41は、カメラECU51の画像認識部51Bから入力される撮影画像上におけるLED信号機の位置、LED信号機の高さ、LED信号機の発光部の形状や色情報等と、進路方向前方の信号機に関する信号機情報とに基づいて、進路上の間近のLED信号機を検出すると共に、当該LED信号機の信号状態を確実に検出することが可能となる(S22)。
【0049】
また、前方撮像用カメラ53の撮影周期が、進行方向前方のLED信号機の発光部の点灯周期の1/2より長く、且つ、進行方向前方のLED信号機の発光部の点灯周期と、前方撮像用カメラ53の撮影周期とが同調する場合には、CPU41は、前方撮像用カメラ53の撮影画像がLED信号機の発光部が消失した撮影画像になった際に、前方撮像用カメラ53の撮影タイミングをLED素子の消灯タイミングとずらすように指示する制御信号をカメラECU51に対して出力する(S11〜S17:NO〜S19:YES〜S20)。
【0050】
これにより、前方撮像用カメラ53は、LED信号機の発光部のLED素子の発光が安定した点灯時のみの撮影画像を撮影することが可能となり、カメラECU51の画像認識部51Bは、前方撮像用カメラ53の映像信号を画像処理して、撮影画像上におけるLED信号機の位置、LED信号機の高さ、LED信号機の発光部の形状や色情報等を抽出して確実に出力することが可能となる。このため、CPU41は、カメラECU51の画像認識部51Bから入力される撮影画像上におけるLED信号機の位置、LED信号機の高さ、LED信号機の発光部の形状や色情報等と、進路方向前方の信号機に関する信号機情報とに基づいて、進路上の間近のLED信号機を検出すると共に、当該LED信号機の信号状態を確実に検出することが可能となる(S22)。
【0051】
また、前方撮像用カメラ53の撮影周期が、進行方向前方のLED信号機の発光部の点灯周期の1/2より長く、且つ、進行方向前方のLED信号機の発光部の点灯周期と、前方撮像用カメラ53の撮影周期とが同調しない場合には、CPU41は、LED信号機の発光部の点灯周期と、前方撮像用カメラ53の撮影周期との位相差に合わせて、カメラECU51に対して、定期的に前方撮像用カメラ53の撮影タイミングをLED素子の消灯タイミングからずらすように指示する(例えば、撮影周期の半周期分ずらすように指示する。)制御信号をカメラECU51に対して出力する((S11〜S17:NO〜S19:NO〜S21)。
【0052】
これにより、前方撮像用カメラ53は、LED信号機の発光部のLED素子の点灯時のみの撮影画像を撮影することが可能となり、カメラECU51の画像認識部51Bは、前方撮像用カメラ53の映像信号を画像処理して、撮影画像上におけるLED信号機の位置、LED信号機の高さ、LED信号機の発光部の形状や色情報等を抽出して確実に出力することが可能となる。このため、CPU41は、カメラECU51の画像認識部51Bから入力される撮影画像上におけるLED信号機の位置、LED信号機の高さ、LED信号機の発光部の形状や色情報等と、進路方向前方の信号機に関する信号機情報とに基づいて、進路上の間近のLED信号機を検出すると共に、当該LED信号機の信号状態を確実に検出することが可能となる(S22)。
【0053】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施例に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】CPUが実行する処理であって、前方撮像用カメラの撮影タイミングを調整する「撮影タイミング調整処理」を示すフローチャートである。
【図3】LED信号機の発光部の点灯時のみの撮影画像を抽出する一例を示す図である。
【図4】前方撮像用カメラの撮影タイミングを撮影周期の半周期分ずらして撮影画像を抽出する一例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 ナビゲーション装置
11 現在地検出部
12 データ記録部
13 ナビゲーション制御部
25 地図情報DB
41 CPU
42 RAM
43 ROM
51 カメラECU
53 前方撮像用カメラ
61 発光特性

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を検出する自車位置検出手段と、
信号機に関する信号機情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記自車位置と前記地図情報とに基づいて自車両前方の前記信号機情報を取得する信号機情報取得手段と、
前記信号機情報取得手段によって取得した前記信号機情報に基づいて、自車両前方の信号機がLED信号機か否かを判定する種類判定手段と、
自車両前方の信号機がLED信号機であると判定された場合には、前記信号機情報に基づいて該LED信号機に関するLED点灯情報を取得する点灯情報取得手段と、
自車両前方を撮影する撮影手段と、
前記LED点灯情報と前記撮影手段の撮影周期とに基づいて自車両前方を撮影する撮影タイミングを設定する撮影タイミング設定手段と、
前記撮影タイミングで撮影された撮影画像に基づいて信号機を検出する信号機検出手段と、
を備えたことを特徴とする信号機検出装置。
【請求項2】
前記LED点灯情報は、前記LED信号機のLED点灯周期を含み、
前記撮影タイミング設定手段は、前記撮影周期が前記LED信号機のLED点灯周期の1/2より大きい場合には、このLED信号機のLED消灯時を撮影しないように撮影タイミングを変更する撮影タイミング変更手段を有することを特徴とする請求項1に記載の信号機検出装置。
【請求項3】
前記撮影タイミング設定手段は、前記撮影周期が前記LED信号機のLED点灯周期の1/2以下の場合には、前記撮影タイミングを変更せず、
前記信号機検出手段は、前記LED信号機のLED点灯時のみの撮影画像に基づいて信号機を検出することを特徴とする請求項2に記載の信号機検出装置。
【請求項4】
自車位置を検出する自車位置検出工程と、
前記自車位置と地図情報とに基づいて自車両前方の信号機に関する信号機情報を取得する信号機情報取得工程と、
前記信号機情報取得工程で取得した信号機情報に基づいて、自車両前方の信号機がLED信号機か否かを判定する種類判定工程と、
前記種類判定工程で自車両前方の信号機がLED信号機であると判定された場合には、前記信号機情報に基づいて該LED信号機に関するLED点灯情報を取得する点灯情報取得工程と、
前記点灯情報取得工程で取得した前記LED点灯情報と自車両前方を撮影する撮影手段の撮影周期とに基づいて自車両前方を撮影する撮影タイミングを設定する撮影タイミング設定工程と、
前記撮影タイミング設定工程で設定された前記撮影タイミングで撮影された撮影画像に基づいて信号機を検出する信号機検出工程と、
を備えたことを特徴とする信号機検出方法。
【請求項5】
コンピュータに、
自車位置を検出する自車位置検出工程と、
前記自車位置と地図情報とに基づいて自車両前方の信号機に関する信号機情報を取
得する信号機情報取得工程と、
前記信号機情報取得工程で取得した信号機情報に基づいて、自車両前方の信号機が
LED信号機か否かを判定する種類判定工程と、
前記種類判定工程で自車両前方の信号機がLED信号機であると判定された場合に
は、前記信号機情報に基づいて該LED信号機に関するLED点灯情報を取得する点灯情報取得工程と、
前記点灯情報取得工程で取得した前記LED点灯情報と自車両前方を撮影する撮影
手段の撮影周期とに基づいて自車両前方を撮影する撮影タイミングを設定する撮影タイミング設定工程と、
前記撮影タイミング設定工程で設定された前記撮影タイミングで撮影された撮影画
像に基づいて信号機を検出する信号機検出工程と、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−293280(P2008−293280A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138224(P2007−138224)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】