説明

個人認証機能付き携帯端末

【課題】 本発明の目的は、携帯電話端末の構造の中に高精度な透過光方式の指静脈認証装置を組み込むことで、第三者に不正使用されず、利便性の高い、携帯電話端末を実現することである。
【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するために、表示部とボタンと音声出力部とアンテナとを備える携帯電話端末において、赤外光を発光する光源と、該光源からの光によって生体の静脈画像を撮像する撮像装置と、照射する光の強さを制御する手段と、画像から特徴抽出と特徴照合を行う画像演算部と、生体を提示する位置決め手段とを設け、前記光源が前記アンテナ内部に設置されることを特長とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血管パターンを利用して個人を認証する装置及び携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話端末の多機能化が急速に進んでおり、携帯電話端末は通話機能だけでなく、メール機能、スケジュール管理機能、ICカード機能等、個人データや財産を扱う機能を備えたものとなっている。そこで、携帯電話端末の不正使用やデータの不正流出を防ぐ手段が必要となる。その手段として暗証番号を用いた認証機能が携帯電話端末に標準として搭載されている。しかしながら、暗証番号を用いた認証には端末の所有者自身であっても番号を忘れるという問題がある。
【0003】
そこで、暗証番号に代わって、指紋や、顔、虹彩など、人間の生体情報を利用した認証機能を備えた携帯電話機が提案されている。例えば、特許文献1では、指紋センサを搭載し、予め登録してある指紋と照合し、ユーザの確認を行なうことで、携帯電話端末の情報流出や成りすましを防止する方法が開示されている。また、特許文献2ではカメラ付携帯電話により顔認証を行う技術、特許文献3では虹彩を利用した認証技術が開示されている。
【0004】
しかし、上記の生体認証は生体表面の情報を使うものであるため、第三者に生体情報を盗まれ不正使用される危険がある。例えば、指紋認証については装置に付着している正規利用者の指紋から偽造指を作成できることが指摘されている。顔や虹彩の場合も生体情報が外部にさらされているため指紋と同様の問題が起こりうる。
【0005】
これに対し、生体内部の情報を用いた認証として、指の静脈を利用した認証技術が開示されている(特許文献4)。指静脈の撮影には2つの方法がある。一つは特許文献4に開示されるような生体を透過した光を撮影する方法、もう一つは生体表面で反射した光を撮影する方法である。透過光による撮影方式は反射光方式と比較して撮影される静脈画像のコントラストが高く、認証精度も高いという利点がある。しかし、透過光を撮影するためにはカメラと光源を対向した位置に設置する必要があり、装置が大きくなる。従来の透過光方式の指静脈認証装置は携帯端末よりも大きく、携帯端末へ組み込むことが困難であった。
【0006】
【特許文献1】特開2001−274897号公報
【特許文献2】特開2007−36365号公報
【特許文献3】特開2003−308130号公報
【特許文献4】特開2002−83298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明では、携帯電話端末の構造の中に高精度な透過光方式の指静脈認証装置を組み込むことで、第三者に不正使用されず、利便性の高い、携帯電話端末を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
操作内容を表示する表示部と、ユーザに入力をさせるボタンとを備える携帯端末において、赤外光を発光する光源と、該光源からの光による生体の静脈画像を撮像する撮像部と、前記撮像部の撮像方向に開口する開口部と、生体情報を保存する記憶装置と、前記撮像部によって撮像された画像からの特徴抽出と前記記憶装置に保存された生体情報との特徴照合を行う画像演算部と、設置させる生体の設置位置を決める位置決め手段とを備え、前記位置決め手段は、前記光源と前記撮像部との間に有することを特徴とする。
【0009】
また、携帯端末が、第1の部品と第2の部品とが折り畳めるように構成された筐体であり、光源と撮像部とがそれぞれ前記第1の部品又は前記第2の部品のどちらかに設置され、撮像部は、前記第1の部品と前記第2の部品との間に挟んで配置された生体に対し照射された前記光源からの光による生体の静脈画像を撮像することを特徴とする。
【0010】
また、光を発光する光源と、生体情報を保存する記憶装置と、画像演算部と、設置させる生体の設置位置を決める位置決め手段と、第1の通信手段とを備えた携帯端末であって、前記携帯端末に備えられた前記光源からの光による生体の静脈画像を撮像する撮像部と前記第1の通信手段と通信する第2の通信手段を備えた筐体から、撮像された生体画像を受け取り、前記記憶装置に保存された生体情報との照合を行うことを特徴とする。
【0011】
また、生体情報を保存する記憶装置と、光源からの光による生体の静脈画像を撮像する撮像部と、画像演算部と、第1の通信手段とを備えた個人認証装置であって、光源と、設置させる生体の設置位置を決める位置決め手段と、前記第1の通信手段と通信する第2の通信手段とを有する携帯端末の前記光源から照射された光により、前記撮像部は前記位置決め手段に設置された生体の静脈画像を撮像し、前記画像演算部は、前記記憶装置に保存された生体情報と照合して個人認証を行うことを特徴とする。
【0012】
また、光源からの光による生体の静脈画像を撮像する撮像部と、生体情報を保存する記憶装置と、設置される生体の設置位置を決める位置決め手段と、第1の通信手段とを備えた携帯端末であって、光を発光する光源と前記第1の通信手段と通信する第2の通信手段を備えた筐体の前記光源から照射された光により設置された生体の静脈画像を撮像し、前記記憶装置に保存された生体情報との照合を行うことを特徴とする。
【0013】
また、生体情報を保存する記憶装置と、光を発光する光源と、画像演算部と、第1の通信手段とを備えた個人認証装置であって、前記光源は、設置される生体の設置位置を決める位置決め手段と、光源からの光による生体の静脈画像を撮像する撮像部と、前記第1の通信手段と通信する第2の通信手段を備えた携帯端末に対し、光を照射し、前記画像演算部は、前記前記撮像部によって撮像された静脈画像を受け取り、前記記憶装置に保存された生体情報と照合して、個人認証を行うことを特徴とする。
【0014】
また、光を発光する光源と、該光源からの光によって生体の血管の画像を撮像する撮像部を備えた生体情報取得部と、前記撮影された画像から特徴抽出と特徴照合を行う画像演算部と、接続部を支点として動作可能な生体設置させる設置手段と、前記設置手段の接触により前記光源と前記撮像部の電流を制御するスイッチとを備える個人認証装置において、
前記設置手段の接触状態において、前記設置手段は前記光源と前記撮像部との間にあることを特徴とする。
【0015】
生体情報を保存する記憶部と、照合処理部とを有する認証サーバであって、前記照合処理部は、光源と撮像部とを有する携帯端末から送信された、前記光源からの光により撮像された生体の静脈画像を受信し、前記記憶部に記憶された生体情報との照合処理を行い、情報の格納された第2の端末へ照合結果を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、携帯電話端末の外観を変えることなく透過光方式の指静脈認証装置を搭載することが可能になる。また、外光下でも高精度な認証を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。尚、本実施例においては特に指の静脈認証装置について説明するが、掌等、照射された光が生体の内部を通過して生成される画像を使った認証を行う他の生体であっても適応可能である。また情報端末の一実施例として携帯電話端末を挙げているが、PDAやPC等、他の端末にも適用可能である。
【実施例1】
【0018】
図1(a)は、本発明を実現する携帯電話端末の構成の概略図である。図1(b)は図1(a)のメモリ12及び記憶装置14を詳細に示したものである。
【0019】
携帯電話端末2は、指静脈データ取得部5と、認証処理部6と、ユーザーインタフェース部7を備える。指静脈データ取得部5は赤外光源3と撮像部4から構成される。認証処理部6は、CPU11、メモリ12、記憶装置14から成る。ユーザーインタフェース部7は、利用者が入力を行うためのボタン41、利用者に結果を表示するための表示部17、結果を音声で伝えるための音声出力部8から構成される。
【0020】
利用者が携帯電話端末2の指静脈データ取得部5に指を提示すると、光源3より指1に対して赤外光が照射される。光は指1の内部で散乱し、指1を透過した光が撮像部4に入射する。入射した光は撮像部4により電気信号に変換され、画像として認証処理部6に取り込まれる。取り込まれた画像はメモリ12に記憶される。また、記憶装置14に保存されている登録データ200と認証プログラム100が記憶装置14よりメモリ12に格納される(図1(b))。CPU11はメモリ12に格納された認証プログラム100に従って、入力画像から認証データ250を作成し、登録データ200との照合を行う。照合処理では比較する2つのデータ間の相関を算出し、その値に応じて登録されているデータと一致するかを判定する。この結果に応じて個人を認証する。認証結果は表示部17に表示を行うか、またはスピーカ8から音声で知らせる。正しく認証された場合は、ロックを解除し携帯端末を使用可能な状態にする。
【0021】
図2は本発明の第一の実施形態における携帯電話端末2の外観を示す図である。図2(a)は装置の正面図、(b)は利用者が指を提示して認証を行っている様子を示す。
【0022】
携帯電話端末上面の接続部には指先の位置決め用の窪み21が設置されている。窪み21は指先と同程度の大きさであり、指先の形状に合わせた曲面になっている。窪みの内側には開口部24が設けられている。開口部24の下には、撮像部4が設置されている。撮像部4は開口部24を通過した光を撮影する。撮像部4には不要な光を遮断するために、赤外光のみを透過させるフィルタ27が設置されている。また、アンテナ内部には光源3が設置されている。光源3は撮像部4に向けて設置されている。
【0023】
本実施例で示す携帯電話端末は、電源を入れた直後や、一定時間利用者からの操作が行われなかった場合、利用者がロックの設定を行なった場合に各種機能にロックがかけられる。利用者は携帯電話を利用する際、ロックを解除するために認証を行う。
【0024】
以下、端末のロック解除手順について説明する。はじめに、利用者はアンテナ26を上方へ伸ばす。アンテナが伸ばされると、光源3が点灯する。次に、利用者は図2(b)のように窪み21に指先を合わせて提示する。光源3から照射された光は提示された指の甲側から腹側に透過する。撮像部4はこの透過光を撮影することで、指の掌側の静脈パターンを獲得する。アンテナ26に光源3を埋め込むことで携帯電話端末の外観を変えることなく透過光方式による指静脈の撮影を可能としている。これにより鮮明な静脈画像が獲得できる。撮影された静脈パターンを元に認証処理部6は認証処理を実施し、正規の利用者と判定された場合、携帯電話端末のロックが解除される。なお、位置決め用の窪み21の代わりに指の提示位置を示す印を備えることでも、指の位置決めを行うことは可能であり、この場合、平面的な構造の携帯電話端末を実現できる。
【0025】
携帯電話端末2は屋外でも利用するものであるため、外光下でも鮮明な画像を撮影できなければならない。図3を用いて外光を遮断し、鮮明な画像を撮影するための開口部24の形状について説明する。携帯電話端末2は上述のとおり、窪み21と開口部24を備えている。携帯電話端末2の上面と窪み21は赤外光に対し不透明な素材で作成されており、開口部24は赤外に対して透明である。開口部の下には撮像部4が設置されている。
【0026】
指静脈認証では指を透過した光を撮影することで静脈パターンを獲得する。そのため、指表面で反射した外光が撮像部4へ届くと、透過光成分が打ち消され、静脈画像の画質が劣化する。高画質な静脈画像を得るためには外光が指の撮像部側表面で反射するのを防がなければならない。そこで開口部の幅及び長さを指の幅、長さよりも小さくする。さらに、利用者は指で開口部を全て覆うように指を提示する(図3(b)(c))。外光下で撮影を行なった場合でも、指の撮像部側の表面に向かう光は全て指置き台により遮断される。そのため、指表面に光が当たらなくなり、反射光が発生しない。これにより屋外でも認証を行なうことができる。
【0027】
また、開口部24には端末内にほこりが入るのを防ぐためのアクリル板31が設置されている。アクリル板31は指置き台上面より数ミリ低い位置に設置する。これにより、指を提示した際に指の腹側とアクリル板が接触することがない(図3(c))。よって指置き台と指とを完全に密着させた場合でも、静脈パターンがアクリル板に押しつぶされることがなく、毎回安定した静脈パターンを獲得できる。
【0028】
また、開口部24は窪み21の指先端の位置から10mm程度離れた位置に設ける。これにより、利用者が窪みに指先を合わせて提示したときに開口部上方には指の第一関節周辺が置かれる。第一関節周辺は指先と比較して、表皮が薄く、血管の径も太いため、より鮮明な静脈パターンが撮影できる。なお、図3では説明のために開口部24と窪み21を違う色で示したが、このように開口部が目立つ色で作成されていると、利用者が誤って開口部に指先の位置を合わせてしまう場合がある。利用者が正しい位置に指を置くように誘導するには、窪み21と開口部を同一の色の素材で作成し、開口部24が視覚的に目立たないようにすることが望ましい。さらに、窪み21の曲線は指先の形状に合わせているため、この曲線を視覚的に目立たせる。これにより、利用者が窪み21のみに注目して指の位置決めを行うことができる。
【0029】
図1記載の携帯電話端末では、登録データを携帯電話端末に内蔵された記憶装置14へ保存したが、携帯電話端末から取り外し可能な記憶媒体に保存し、それを携帯電話端末へ挿入し、認証データ250と、記憶媒体内の登録データ200とを照合する構成とすることもできる。取り外し可能な媒体としては、SIM(Subscriber Identity Module)カードやSDカードなどがある。SIMカードとは、ユーザの電話番号やユーザID、携帯電話事業者の情報が記録されているICカードのことである。これを差し替えることで、電話番号を変えずに、携帯電話端末を変更することができる。
【0030】
SIMカードを登録データ200の保存先として利用した場合、携帯電話端末の変更の際に、新たに登録データを撮影し直す必要がなくなり、利便性が高まる。さらに、SIMカードに搭載されているCPUを用いて照合処理を実施することも可能となる。カード内で照合することにより、登録データ200がSIMカード外部に出ることがなくなり、よりセキュアな認証が可能になる。
【0031】
しかし、SIMカード内のCPUは携帯電話端末内のCPU11よりも処理能力が低いため、認証に時間がかかる。そこで、利用者が自分の求めるセキュリティレベルによって、SIMカード内で認証を行うか、携帯電話端末内のメモリ12に登録データ200を読み込んでCPU11で認証を行うか、を選択できるようにする。利用するCPUの選択は、ボタン41を用いて、利用者が設定する。
【0032】
以下、認証プログラム100で実施される処理手順の一実施例について図4を用いて説明する。
【0033】
初めに、指の提示を検知する処理を行う(S101)。携帯電話端末2で静脈画像を獲得するためには、指が開口部24上に提示されている必要がある。指が正しく提示されたことを検知する方法として、認証開始と同時に光源3をわずかに点灯させておき、光が遮蔽された状態を検知する方法や、窪み21の指先提示位置に設置されたタッチセンサにより指が触れたことを検知する方法が利用できる。
【0034】
指の提示が検知されると、最も鮮明な画像が得られるように光源3の光量が調整される(S103)。これには、画像の平均輝度値を常に監視し、その値に応じて光量をフィードバック制御する手法、指静脈パターンの画像に対しパターンの鮮明度を判定する評価関数を施し、その結果を最適化するような光量調整を実施する手法、などを用いることができる。
【0035】
次に、血管パターンの特徴抽出処理を実施する(S108)。この手法として、線分を強調するエッジ強調フィルタやマッチドフィルタを用いる方法、線成分を追跡することで線パターンを抽出する方法、画像の断面プロファイルにおける輝度値の局所的な窪み位置を抽出する方法などを用いることができる。
【0036】
その後、抽出あるいは強調した血管パターンから特徴量を抽出する(S109)。特徴量として、画像そのものを特徴量とする方法、分岐点や端点を検出する方法などを用いることができる。画像そのものを特徴量とする場合は、データサイズを小さくするために、特徴抽出後の画像に縮小処理を適用してもよい。
【0037】
最後に、生成した特徴量と事前に登録されている特徴量とを比較照合する。(S112)。画像そのものを特徴量としている場合では、画像同士を重ね合わせ、画素値同士の比較を実施して一致率を計算する。分岐点や端点を特徴量としている場合はそれらの位置、個数、分岐線の角度、相対的な距離などの情報を比較することで一致率を算出する。ここで得られた一致率によって、同一パターンであるか別パターンであるかを判定する。判定するための閾値は事前に統計的に算出しておくことが可能である。閾値よりも高い一致率となった場合は登録者と判定し、低い場合は登録されていない指が提示されたとみなし認証を拒否する。
【0038】
登録者であると判定された場合は、携帯のロックを解除する(S114)。
図5は、ラフな置き方に対応した認証を可能にする内部処理の説明図である。利用者が装置上に指を提示する際は、登録時と認証時で指の位置がずれてしまう場合がある。利便性の高い装置を実現するためには、認証時に回転ずれが生じた場合でも、位置ずれを補償した認証を行う必要がある。指の輪郭が撮影できる場合は、その直線性の高さを利用して、指輪郭の情報を画像より獲得し、指の角度を精度良く算出することが可能である。この角度を利用して、定められた方向に回転補正することで、回転ずれのないパターン生成が可能となる。しかし、図3のように、指の輪郭が撮影できない装置ではこの方法を利用することができない。そこで、以下の処理により回転ずれを補償しながら照合処理を実施する。
【0039】
はじめに、登録時の処理について説明する。利用者は登録する指を1 回だけ装置に提示し、その際に静脈画像を1枚撮影しておく。撮影された画像に対し、特徴抽出処理S109を実施する。特徴抽出処理によって得られた画像に対し、回転処理を施す。これにより回転させた登録データを得る。回転角を少しずつ(例えば1度ずつ)変えて複数枚の回転した登録データ200を得る。登録時は生成された複数枚の画像をすべて記憶装置14に保存する。
【0040】
次に、認証時の処理について記述する。認証時は、提示された指の静脈画像に対して回転パターンは作成せず、撮影した静脈画像1 枚から1 枚の照合データ250を得る。次に照合データと登録時に準備した複数枚の登録パターン全てとを照合し、複数個の一致率を得る。そのうち最大値のものを、最終的な一致率として採用し、一致率が閾値以下であれば他人、閾値以上であれば本人と判定する。
【0041】
回転した複数枚のデータを登録しておくと、照合時に指が回転してしまっても、いずれかの登録データとの一致率は認証閾値以上の値になり、正しく本人として認証される。これにより、ラフな置き方に対応した装置が実現できるようになる。
【0042】
なお、上記の例では、登録時に複数枚の回転画像を生成したが、登録時に一枚の登録画像を作成し、照合時に複数枚の回転画像を作成しても上記と同様に、ラフな置き方に対応した認証が可能になる。その場合、登録画像は1枚のみになるため、登録データサイズを小さくすることができる。
【0043】
図6は、撮影された角度の異なる静脈パターンを一定方向に揃える、回転補正方法の一実施例である。一般的に、指静脈は指の長手方向に沿って走行する傾向にある。そこで、この特徴を利用して、抽出されたパターンだけを用いて、回転角度を一意に正規化する。この処理の一実施例を以下に示す。
【0044】
図6(a)は、輪郭情報を含まない静脈パターンである。ここで、指の長軸方向がパターンの左右方向に置かれたものとする。静脈パターンには、黒い線で示される静脈321と、白い領域で示される背景322が含まれる。指輪郭が映らないため指の置かれた角度は不明であるが、静脈パターンは指の長軸方向に向かう成分が多いため、本実施例では概ね左右方向に向かう線パターンが多く含まれる。そこで、パターンが走行する方向の平均値を求め、全体的にどの方向に向かって走行しているかを算出する。
【0045】
まず、線パターンの左右方向の成分の総量を計算する。図6(b)は(a)の部分的な拡大図であり、1つの四角形が1画素に対応する。点Aと点Bのように、上下に隣接する2つの画素に注目したとき、片方(ここでは点A)が静脈として定義されており、もう片方(ここでは点B)が背景として定義されている。このような組み合わせが出現した場合、パターンのエッジが左右方向を向いていることになる。右方向を正の方向とすると、局所的には線パターンが右方向に走行していると捉えられる。このような画素の総数をパターンの全領域に対し計上することで、全体的なパターンが持つ、右方向の成分の量が計算できる。次に、左上と右下の関係にある、2つの隣接画素について着目する。たとえば点Cと点Dに着目すると、点Cが背景、点Dが静脈と定義されている。この場合は、右上方向に静脈が走行していることが分かる。従って、パターン全体における総数を求めることで、線パターンが持つ右上方向成分の量が求められる。同様に、左上と右下に隣接する画素に着目して、パターンが持つ、右下方向の成分の量を求める。これらより、右方向と斜め45度の各方向に対する成分のベクトル量が求められる。
【0046】
次に、求めたベクトル量を合成し、合成ベクトルが右方向に対して交わる角度を計算する。図6(c)はパターンの持つベクトルを示している。ここでは、上述のように求めた、右方向のベクトル成分323、右上方向のベクトル成分324、右下方向のベクトル成分325が示されている。これらのベクトルを合成し、合成ベクトル326を求める。静脈パターンの形状によって異なるが、静脈パターンは右方向に向かう成分が多いため、合成ベクトルはほぼ右方向に沿っている。しかし、僅かに右方向との交わり角に値θを持つ。同じ指を同じ角度で置けば、毎回θは一定になる。また、もし指が回転して置かれた場合は、その回転角に合わせてθが増減する。よってこのθに合わせてパターンを回転させれば、一定方向に回転補正することが可能となる。
【0047】
最後に、合成ベクトル326の横方向に対する交わり角が0度になる方向にパターンを回転する。図6(d)は、(a)のパターンをθだけ回転したものである。これにより、同一指が提示された場合は常にθが0度となるように回転補正される、指の回転に対して常に同じパターンが生成されることになる。これにより、指の回転に強い認証が実現できる。
【0048】
この方法では、登録された指静脈パターンと入力された指静脈パターンの各1枚のパターンだけで回転を補正できることから、照合処理を高速化することが可能となる。
【0049】
なお、上述の実施例では、右と斜め45度の、3つの方向成分のみを計算したが、ある一点に対し、近隣の複数の画素値を含めて考慮し、角度の分解能が高い接線を求め、それらの画像全体の合成ベクトルを算出しても良い。また、静脈パターンの方向成分を検出する方法としては、上記のように線パターンと背景とのエッジの方向を調べる方法以外にも、線パターンを細線化し、隣接する線パターンがどの方向を向いているかをパターン全体に計測する方法を用いることもできる。また、隣接する2画素だけに着目すると、偶発的なノイズの影響を受けやすい。従って、ある長さ以上連結した線情報あるいはエッジ情報を用いてその線分の方向を求め、画像全体で平均化しても良い。長さが規定値よりも短い場合は方向成分の計算から除外されるため、微細なノイズの影響を除去できる。
【0050】
回転補正を行う方法としては,静脈パターンの撮像画像からの解析以外に,他のセンサによる取得情報を利用する方法も考えられる。例えば,血流センサを利用して,撮像された部位における血液の流れる方向を統計的に求め,その方向が常に一定となるように補正する。静脈パターンが同じであれば,流れる方向は常に一定なので,回転の補正が可能になる。
【実施例2】
【0051】
図7は本発明の第二の実施形態における携帯電話端末2の外観を示す図である。図7(a)は装置の正面図、図7(b)は側面図、図7(c)(d)は利用者が指を提示して認証を行っている様子を示す。
【0052】
本実施例で示す携帯電話は第一の筐体81と第二の筐体83がヒンジ85によって接続された、折りたたみ可能な携帯端末である。第一筐体81には、利用者に対して表示を行う表示部17や、受話口88、アンテナ26、及び、指静脈撮影のための光源3が設置されている。光源3は第一筐体に対しほぼ垂直で、携帯電話端末折りたたみ時に第二筐体を照射する向きに設置されている。
【0053】
携帯電話端末の第二筐体83は、通話を行うための送話口89、利用者が電話番号や文字入力を行うための複数個のボタン41、及び、静脈撮影のための撮像部4を備える。撮像部4は携帯電話端末折りたたみ時に光源と撮像部が対向するような位置関係で配置されている。
【0054】
本実施例で示す携帯電話端末は、端末折りたたみ時に各種機能にロックがかかった状態になる。以下、端末のロック解除手順について説明する。まず、携帯電話端末2を開く。携帯電話端末2は認証処理に適した角度まで開いて停止する。認証に適した角度とは、光源3が撮像部4を向き、かつ、撮像装置4上に指を提示するスペースが存在する角度である。端末を開くと光源3が点灯する。利用者は図7(c)で示すように指先を撮像装置4上に提示する。このとき光源3からは指の甲側に光が照射される。撮像部4は指先を透過した光を撮影する。これにより指先の掌側の静脈パターンを獲得することができる。静脈画像撮影後、上述の認証処理を実施し、正しく認証された場合、携帯電話のロックが解除される。
【0055】
本実施例では、光源3と撮像部4を折りたたみ携帯電話端末の第一筐体、第二筐体に分けて設置している。これにより、携帯電話端末の大きさと外観を変えることなく透過光方式の指静脈認証装置を携帯電話端末に組み込むことができる。また、第二筐体に撮像部4を設置することで、指の掌側の静脈を撮影することができる。掌側の皮膚はしわが少なく鮮明な静脈パターンが得られるため、認証精度を高めることができる。
【実施例3】
【0056】
図8は光源3をボタンに埋め込んだ折りたたみ式携帯電話端末の一実施例である。
図8(a)は装置の正面図、図8(b)はボタン内部の構成を示す図である。折りたたみ式携帯端末2の第二筐体83にはダイヤルキーや電源キー等、複数のボタンが設置されている。これらのうち、中央の縦一列に並んでいるボタン41-b〜41-e内部には図8(b)で示すように、可視光源91のほかに、静脈撮影用の赤外光源3が設置されている。また、第一筐体の表示部17は赤外光を透過できる素材で作成されており、その内部には撮像装置4が設置されている。撮像部4は携帯端末を図8(c)のような角度で開いたときに、ボタン41-b〜41-e全てを撮影できる向きに設置されている。
【0057】
利用者は図8(c)、(d)で示すように、ボタン41-aに、指先の位置を合わせ、ボタン41-b〜41-eに指の向きを合わせて指を提示する。その後、ボタン41-aを押すと、ボタン41-b〜41-e内の光源3が点灯する。光源3から照射された光は指を透過し、指の甲側表面を通って撮像装置4に到達する。このとき指の甲側の皮下に存在する静脈が光を遮ることで、指の甲側の静脈パターンが撮影される。撮影された静脈画像を元に上述の認証処理を実施する。本人と判定された場合は携帯電話端末のロックが解除される。
【0058】
これにより、携帯電話端末のサイズと外観を変更することなく、透過光方式の指静脈の撮影が可能になる。この端末ではボタンに触れて指の位置合わせを行うため、指の提示位置の再現性が高くなる。これにより認証精度が高まる。さらに、ボタンと指を密着させることで、光源から発する光は全て指に照射され、光の漏れ成分が減少する。これにより少ない光量でも鮮明な画像が撮影でき、装置の消費電力を抑えることができる。
【実施例4】
【0059】
上述の実施例では指静脈撮影のための部品である光源と撮像部を端末内に設置したが、これらの部品を携帯電話端末と読み取り装置とに分けて設置し、静脈の撮影を行うことも可能である。図9は、携帯端末に光源を有し、読み取り装置側に撮像装置を具備する静脈認証装置の実施形態の一例である。
【0060】
図9(a)(b)は本実施例における携帯端末の構成図である。携帯端末2の内部には光源3が具備されており、指に光を照射することで、静脈を観察する。携帯端末2の上部には窪み状の指ガイド部304が存在し、窪みの中央に光源3が設置される。また、記憶装置14には生体情報が格納されている。
【0061】
図9(c)は本実施例における生体認証の手順を示している。携帯端末2と読み取り装置310とが独立した形状となっており、両者が相互的に動作することで認証処理が実施される。読み取り装置310は、例えば決済の必要なレジや改札、あるいは入退室が管理されている扉、自動車などに設置される。本構成では、携帯端末2の内部に生体を撮像するための装置が不要である。従って、携帯端末のコストや消費電力などを下げることが可能となる。
【0062】
利用者は携帯端末2を握り込むと、自然な形で指ガイド部304に指1を掛けることができる。握り込んだ状態の指は、関節が屈曲することで指の背面側の表皮が伸ばされ、表皮に分布するしわの凹凸が減少する。これにより、指1を透過した光が、表皮で拡散されることを防止でき、指1の背面側の表皮の奥に分布する静脈が鮮明に撮影できる。また、利用者は携帯端末2を握り込むため光源3が指1の掌側に密着する。これにより照射する光の漏れ成分が減少し、光の利用効率が高まると共に、漏れ光の影響による画質の劣化が低減される。
【0063】
利用者は上述のように携帯端末2を握った状態で、指1の背面を読み取り装置310に近づける。このとき、携帯電話端末2と読み取り装置310が特定の距離だけ近づくと、携帯電話端末2に具備された無線通信ユニット305と、読み取り装置310に具備された無線通信ユニット314とを介して、両者は互いに無線通信を行い、通信のネゴシエーションを開始する。その中で、機器に付与された機器IDなどを用いて機器の認証や通信路の暗号化などを実施する。これにより、携帯端末2が正規の機器であることが確認され、また暗号化により通信内容の傍受ができず、安全な通信を行うことができる。これと平行して、利用者は読み取り装置側にある指置き用の窪み311に指の背面側を接触させる。このとき、接触センサ312が指1の接触を検知することで、認証処理が開始される。
【0064】
まず、上記で確立した通信路を介して、読み取り装置310は携帯端末2に認証開始の信号を送る。これを受けて、携帯端末2は光源3を点灯させる。指1を透過した光は、読み取り装置310の内部に具備されている撮像装置4により撮影される。これにより、指1の背面側の透過光の映像を獲得できる。次に、読み取り装置310の内部のCPU315は、認証処理プログラムに従い、映像に映し出された静脈の特徴データを抽出する。続いて、抽出された特徴データを携帯端末2に転送する。携帯端末内では、事前に記憶装置14に登録されている個人の静脈パターンの特徴量と、撮影されたパターンの特徴量とを、CPU11により比較照合し、両方のパターンが一致すると認められた場合は、認証処理が実施される。認証が成功すると、携帯端末2内部の記憶装置14に格納された利用者IDを用いて、課金情報などの制御や、入退管理などが実施される。なお、携帯端末2に搭載されるCPU11は、低消費電力化、小型化、低コスト化などにより、負荷の高い処理が実現できない場合がある。この場合は、携帯端末2に格納されている登録データを読み取り装置310に転送し、読み取り装置側のCPU315で認証処理を実施することもできる。互いに機器認証を実施する上、通信路が暗号化されているため、登録情報を傍受することは困難である。これにより、携帯端末2の消費電力を抑えながら、安全な認証処理が可能となる。また、利用場所が限定される用途であれば、読み取り装置側に生体情報を保存しておき、携帯端末2の機器IDから利用する生体情報を選び、認証処理を実施することで、携帯端末2内部で消費されるメモリ量を抑えることができる。
【0065】
静脈パターンを撮影する際、光源の光量は、静脈パターンがより鮮明に撮影できる強さとなるように調整される。光量の調整方法は、出力した光量とそのとき撮影された画像とを評価することで、撮影に適した光量を決定し、次のタイミングで改めて撮影を行うことで実施する。本実施例では、光量を出力する制御は携帯端末側であり、撮影された画像を評価するのは読み取り装置側である。従って、読み取り装置側と携帯端末側とで光量調整のための情報をやり取りする必要がある。例えば、撮影された画像そのもの、あるいは読み取り装置側が算出した画像の明るさの評価値を携帯端末側に戻す方法や、携帯端末側が照射した光量値を読み取り装置側に送り、読み取り装置側が計算した次に照射すべき光量値の情報を携帯端末側に戻す方法などが考えられる。しかし、いずれの方法においてもフィードバック情報を通信する必要が生じる。
通信が高速に実施できない場合は、これらの情報をフィードバックすることで遅延が生じ、認証処理に掛かる時間が長くなり、利便性が低下する。この場合は、無線通信路に対して通信を行わない光量制御を実施する必要がある。このような制御の一実施例を以下に示す。
【0066】
まず、携帯端末2は、指1の厚みなどに関わらず、常に一定の光量を指1に照射する。この映像を撮影する撮像装置4には、ゲインコントローラ316が具備されており、読み取り装置側のCPU315は、撮影された指静脈画像を評価する。このとき、光量が強いと判断した場合は、ゲインコントローラ316に対し、受光感度を低下させるように制御する。逆に光量が弱いと判断した場合は受光感度を高めるように制御する。ただし、受光感度を高めるとノイズの影響が強くなるため、照射する光量値は、太い指でも十分な量の光が指を透過するように、出来るだけ強めに設定しておく。もし光量を強く設定できない場合は、ノイズの影響をできるだけ抑えるために、時系列的に連続撮影した画像を加算することで輝度値のダイナミックレンジを拡張することもできる。これによりノイズ成分が弱まり、安定したパターン抽出が実施できる。
本実施例によって、携帯端末2の処理負荷やコスト、大きさ、重さなどを低減することが可能となる。
【0067】
なお、本実施例では携帯端末2に形成されている指ガイド部304は上側に設置されているが、携帯端末2の側面や下側に設置されていても良く、また、突起状のアンテナを有する携帯端末であれば、アンテナの先端に光源3を設置し、指1の腹側をアンテナ突端に押し付け、指1を屈曲させるようにして利用しても良い。携帯端末のデザイン等に適した方法を適用することができる。
【0068】
また、指1が接触センサ312に触れない状態で光源3を照射し、非接触の状態で認証することもできる。接触が不要であることから、読み取り装置310から距離が離れていても認証が可能であり、利便性の高い認証が実現できる。
【実施例5】
【0069】
図10は携帯電話端末内に撮像部4を設置し、読み取り端末内に光源3を設置した例である。図10(a)、(b)はそれぞれ携帯電話端末2の上面図と側面図、図10(c)は読み取り装置の上面図である。図10(d)は利用者が認証を行う様子を示す。
【0070】
携帯電話端末2には、撮像部4が設置されている。撮像部4は携帯電話端末の外側を撮影できる向きに設置されている。また、携帯電話端末2には、指の提示位置を示す窪み状の指ガイド部304が設けられている。また、携帯電話端末2内部の記憶装置14には登録データ200が保持されている。読み取り装置310は、決済を行うレジや、改札などに設置されている。読取装置310内部には、光源3が設置されている。CPUや記憶装置については、携帯電話端末2内部にあってもよいし、読取装置10側にあってもよい。
【0071】
利用者は決済を行う際、指ガイド部304に指先を合わせて携帯端末を握りこむ。指ガイド部304により、指の提示位置を触って決めることができる。その後、携帯電話端末2を読み取り装置310上に近づける。携帯電話端末2と読み取り装置310はそれぞれ無線通信ユニット305,314を備えており、これを介して通信を行なう。携帯電話端末2が読取装置310により認識されると認証が始まる。
【0072】
まず、読取装置内部の光源3が点灯する。このとき、携帯電話端末2内部の撮像部により指の腹側の静脈画像が撮影される。次に、携帯電話端末2内部のCPU11は認証処理プログラム100に従い、認証処理を行う。認証が成功すると、課金情報などの制御が実施される。
【0073】
本実施例において、静脈画像を撮影する際、鮮明な画像を撮影するために、光量調整処理S103を行う必要がある。しかし、静脈画像を撮影する携帯電話端末と光量が設置されている読み取り端末310は独立している。従って、読み取り装置側と携帯端末側とで光量調整のための情報をやり取りする必要がある。まず、読取装置側から携帯電話端末へ、光源3の現在の光量値が送信される。携帯電話端末2ではこのときの撮像画像の平均輝度値を算出する。算出された輝度値と、受け取った光量値情報から、提示された指に適した光量値を求める。求めた光量値情報を読取装置310へ送信する。読み取り装置310は受信した光量値になるよう、光量の制御を行う。以上の処理で適切な光量値に設定でき、鮮明な静脈画像を獲得できる。
【0074】
また、光量の調整は行わず、携帯電話端末2内の撮像部のゲインのコントロールを行ってもよい。この場合、光源3の光量は太い指の人でも撮影ができるよう、十分強い強度に設定しておく。携帯電話端末では撮像画像の撮像画像の平均輝度値を算出する。平均輝度値が目標の値よりも高ければ撮像部4のゲインを調整して感度を低くし、平均輝度値が目標値よりも低い場合は感度を上げる。この操作を繰り返すことで、撮像画像の輝度値を目標値に調整できる。これにより、読み取り端末310と携帯電話端末2間で通信を行わずに認証に適切な画像を撮影することが可能になる。
【0075】
本実施例の認証では、携帯端末を持って、かざすだけで認証を行うことができる。実施例1〜3、のようにアンテナを伸ばす、携帯を開く等、認証を開始するための操作は不要である。よって、改札での決済のように、携帯電話を取り出してすぐに認証を行いたい場所での使用に適する。
【実施例6】
【0076】
本発明では,専用に設けた光源によって静脈パターンを撮像し認証に供するのみならず,太陽光や電灯など,装置周囲に存在する環境光を光源として活用することも可能である。環境光の中には,静脈パターンの撮像に必要な近赤外波長域の光を含むものも多く,特に晴天時の太陽光やスポットライトのような強力な光量であれば,十分に撮影可能である。一方,携帯電話機には,人や風景等の写真を撮影するための機能として,撮像部を装備するものも多い。このような用途のために装備される撮像部は,本発明で静脈撮影用の撮像部として説明している撮像部とも基本仕様として大きな差はない。そこで,この撮像部と上記環境光とを利用することで,既存の携帯電話機のハードウェア構成に大きな変更を加えることなしに,静脈認証の機能を持たせることが可能である。このとき問題になるのは,通常の撮像部には,画質を高めるために,鑑賞用写真には不要な可視光以外の波長域の光をカットするフィルタが装着されていることである。このフィルタによって,静脈パターンを映し出すのに必要な近赤外光波長域の光が失われてしまう。撮像部を通常撮影と静脈撮影とで兼用するためには,必要に応じてフィルタを有効にしたり無効にしたりできなくてはならない。
【0077】
図11に,フィルタ脱着可能型の携帯電話機の例を示す。図中の2は携帯電話機本体であり,上面図と側面図とを併記している。本体の中には,通常撮影用と静脈撮影用とを兼ねた撮像部122が内蔵されており,フィルタ27は,レバースイッチ126によって機械的に手動での移動が可能であり,動作状態に応じて撮像部の光学系に被せたり,外したりすることで,フィルタを機能させたり,無効にすることができる。本実施例では,手動での光学的脱着として説明するが,モーター等を使って電動で移動させたり,外部からの制御によって光の波長透過特性が変化する材料を用いたりすることで,動作状態に応じて自動でフィルタの状態を変更することも可能である。携帯電話機本体には,指を置くべき位置を示すガイダンスのためのマークや突起形状128が撮像部の周囲に設けられており,認証時には,そのガイダンスに合わせて指を置き,環境光に曝すことで認証ができる。環境光の強さは,制御することができないので,その光量が静脈撮影に適切かどうかは,その時々で異なる。そこで,撮像部のゲインや絞り等を制御することで感度を変化させ,適切な撮影状態になるようにする。具体的には,撮影された画像を処理し,規定の明るさ以上,もしくは暗さ以下であったり,全体のうち無視できない比率が白飛びや黒潰れしていたりする場合には,感度を上下させて,規定の範囲内の画質になるよう調整する。
【0078】
しかしながら,撮像部の感度で調整可能な範囲は限られているので,環境光の強弱によっては適切な画質に合わせることができない場合もある。しかしながら,そのような場合でも,光の当たる向きによっては,適切な画質に調整できる場合もある。携帯電話機の場合,手で持って,装置自体を様々な角度に変化させることが可能であるので,画質調整が可能な範囲になるよう,使用者に持ち方を変えるよう促すことができる。具体的には,撮像画像を解析した結果,光が強すぎると判明した場合には,光が強い旨を使用者に知らせ,指はガイダンスの位置にそのまま置いたまま,もっと暗い位置に携帯電話機を移動させるか,光源方向に対して指が少し影の位置になるように携帯電話機の角度を変えるよう促す。逆に,暗すぎる場合には,光源に対して指をかざすような形で携帯電話機を持つように促す。このとき,使用者に知らせる方法としては,携帯電話機の表示器に文字やシンボルで表示したり,インジケータを点灯させたりする方法のほか,音や声で暗い・明るいを違えて示す方法もある。表示器の場合には,携帯電話機の持ち方によっては,読むことができない場合もありうるが,音であれば,どのような置き方でも使用者に知らせることが可能である。また一方,これに加えて,光の強い方向やその強度を別途センサ等で検知することで,どの方向にどれくらい傾ければ良いかを,より具体的に指示することも可能である。
【0079】
最後に,認証成功時には,インジケータ121が,それに対応する色や点滅状態で光り,使用者に明示的に知らせる。この場合も,音や声で知らせることで,携帯電話機がどのような向きであっても知らせることができる。
【0080】
このとき,通常撮影と静脈撮影とでは,焦点距離が大きく異なる場合がある。静脈撮影では,指を撮像部に近接させるためである。そこで接写が可能なように,静脈撮影時には,フィルタの脱着操作と連動して,最適な焦点距離がとれるようにレンズの設定や撮像部の位置を変えるようにしても良い。
【0081】
上記では,近赤外光をカットするフィルタの脱着について説明したが,血液中のヘモグロビンの光吸収率と,他の生体組織での光吸収率との差が顕著な波長を選べば,可視光であっても静脈パターンの撮影が可能な場合がある。したがって,その波長のみを効率的に透過するバンドパスフィルタを利用することで,静脈認証を可能にする方法も考えられる。もちろん,この場合もバンドパスフィルタを用いて通常撮影を行うと撮影画像の色彩に偏りが生じ,観賞用には適さないため,上記同様に脱着が必要になる。
【0082】
上記では,静脈撮像用に撮像部を使用する方法を説明したが,別の原理に基づき,静脈パターンを撮影することも考えられる。静脈には血液が流れているため,流れのある部分を検知して視覚化することで,静脈パターンを得ることは可能である。流れのある部分を検知する方法としては,ドップラー原理を利用した方法が広く知られている。実際に,この原理を利用した血流センサも既に実用化されている。これまでの血流センサは,血の流れ具合を測定する目的であったため,静脈パターンがパターンとして可視化できるほど,細かな分解能を有するものはなかった。しかし,昨今の微細加工技術の進歩は,ドップラーシフトを検知するための,半導体レーザー等の発光源と,光の周波数変移を検出する受光器などを組にして一つの素子として非常に小さく形成し,それを二次元のマトリクスアレイ状に並べることも可能になってきている。これによれば,イメージセンサでヘモグロビンの光吸収による変移を静脈パターンとして撮影したのと同様に,指をそのマトリクスアレイ上に載せることで流速の二次元分布として静脈パターンを浮かび上がらせることも可能になる。この流速による静脈撮影方法は,血液が流れているという,生きている体の特徴をより直接に反映したものであり,偽造等の脅威に対して,より耐性が高い方法といえる。
【実施例7】
【0083】
本発明の静脈データ取得部5の部品配置は携帯電話端末内蔵としての利用だけでなく、退室管理、PCログイン、自動車、ATMなど、個人認証の必要な様々な場面で利用することもできる。
【0084】
図12は可動式の蓋に光源を設置した小型指静脈認証装置の一実施例である。図12(a)は蓋を閉じた状態の側面図、図12(b)は蓋を開いた状態の側面図、図12(c)は蓋を閉じた際の上面図、図12(d)は指を提示して認証を行っている様子を示す図である。
【0085】
本実施例で示す装置は、接続部131により蓋133と指置き台135が接続されており、接続部131を支点として折りたたむことができる。蓋133には光源3が設置されている。指置き台は図3で説明した携帯電話端末2と同様に指より小さい開口部24を備える。
【0086】
認証装置を使用しない場合は図12(a)のように蓋を閉じることで、ほこりやごみが装置内部に侵入することを防ぐ。また、装置を薄型化することができる。認証時は図12(b)のように蓋133を開ける。蓋を開ける作業は利用者が手動で行ってもよいし、赤外センサ等により、指が近づくことを検知し、モーターを利用して電動で開くようにしてもよい。
【0087】
蓋133が開くと光源3が点灯し認証が開始される。利用者が図12(b)で示すように、指置き台133上に指を提示すると、光源3から照射された光が指を透過し、撮像部4により撮影される。撮像画像を元に認証を行う。認証により正規利用者と判定された場合は、入退管理、PCログイン等、認証後の処理を実施する。
【0088】
なお、蓋の形状は図13で示されるようにU字型にしてもよい。これにより、指の提示位置上方の空間が開放的になるため、指が提示しやすく、利便性の高い装置が実現できる。この場合、光源3は蓋の両端に設置する。さらに、指1に光が照射されるよう装置の内側に向けて設置する。そして、指1の透過光を撮像部4により撮像する。
【実施例8】
【0089】
図14は指置き台133を可動させることができる小型指静脈認証装置の一実施例である。図14(a)は認証装置の側面図、図14(b)は利用者が指を提示し、認証を行っている様子を示す。
【0090】
指置き台133は接続部131で本体と接続されている。指置き台は接続部131を支点に、図14(a)で示す位置から図14(b)で示す位置まで、下方向に動かすことができる。装置本体の指先側の壁内には、光源3が指置き台に向けて設置されている。撮像部4は傾けて設置されており、指置き台が図14(b)で示す位置に移動したときに、指置き台と撮像部4が平行になる。また、装置内底には押しボタン式スイッチ151が設置されている。スイッチ151は光源3や撮像部4の電流を制御するものであり、スイッチが押されている間は電流が流れ、認証を行うことができる。
【0091】
指置き台133は、接続部131に設置されたバネ151によって支えられているため、通常時は装置下面と水平な向きに保たれている。認証を行う際は、認証する指を使って、指置き台133を装置の下側に押し込む。指置き台133が装置の内底に触れるまで押し込まれるとスイッチ151が押下され、認証が開始される。光源3から照射された光は指の甲から指内部に進入し、指を透過した光が撮像部4にて撮影される。認証が終了し、利用者が指を離すと指置き台133は(a)の位置に戻る。これにより押しボタンスイッチはOFF状態になる。
【実施例9】
【0092】
図15はスライド式の携帯電話端末に指静脈認証装置を組み込んだ例である。図15(a)は装置の正面図、(b)は側面図である。
【0093】
携帯電話端末2は、ディスプレイを含む第一の筐体81と、ボタンを含む第二筐体83により構成されており、携帯電話使用時に、第一筐体を上方にずらして携帯電話端末を開くことができるスライド式の携帯端末である。
【0094】
第一筐体81の側面に指静脈データ取得部5が設置されている。静脈データ取得部5のみを拡大したものを図16に示す。図16(a)で示すように、指置き台133の中央に開口部24が設置されている。開口部24を囲むように複数の光源3が設置されている。開口部24と光源3は指で全て覆うことができる範囲内に設置されておいる。利用者は光源3を全て隠すように、指置き台133に指を提示する(図16(b))。光源3から照射された光は指の腹側から指内部に進入する。その後、指内部で散乱し、外部へ放出される。このとき、撮像部4では指の腹側を透過する光を撮影することができる。これによって開口部内の指静脈パターンを獲得できる。指と光源を密着させて撮影するため、照射する光の漏れ成分が減少し、光の利用効率が高まると共に、漏れ光の影響による画質の劣化が低減される。また、本実施例のように複数個を並べて設置することで、指1を一様な明るさで照射でき、輝度むらのない画像を撮影できる。
【0095】
図15(c)(d)は認証を行う様子を示している。スライド式携帯を閉じた状態のときは、携帯電話端末の機能はロック状態になっている。利用者が電話をかける等の、携帯電話の機能を使う際は認証を行う。
【0096】
まず、図15(c)のように携帯電話を閉じた状態で、静脈データ取得部5に指を提示する。次に、指1を固定したまま、第一筐体を親指で押し上げてスライドさせる。第一筐体のスライドが開始されると静脈画像の撮影が開始される。撮像部4は、第一筐体のスライドが停止するまで、指1の画像を連続で撮影し続ける。認証処理部6では、取り込んだ複数枚の部分画像を合成し、指全体の画像を作成する。これにより、指の広範囲の画像を獲得することができる。合成した広範囲の指静脈画像を利用して認証処理を行う。正規利用者と確認できた場合はロックを解除する。利用者は、携帯端末をスライドさせるという通常の携帯電話の開始時と同じ操作を行うだけで認証を完了させることができる。
【実施例10】
【0097】
図17は、携帯電話端末が盗難、紛失した場合でも情報漏洩を防ぐことができるセキュリティ携帯電話システムのシステム構成図である。
【0098】
本実施例の携帯電話端末2には、上記実施例1〜3または実施例9のいずれかの形状の指静脈データ取得部5が設置されている。また、ユーザが入力を行うためのボタン41と、サーバからの結果を表示するための表示部17を備えている。
【0099】
本システムを利用する場合、アドレス張やスケジュールなどの全ての情報は携帯電話端末内部の記憶領域ではなく、ホストPCへ保存する。また、SDカード等の外部メモリへの出力もできなくなっている。
【0100】
携帯電話端末を利用する際は、指静脈による認証を行う。まず、静脈データ取得部により静脈画像を撮影する。撮像画像に対し、特徴抽出処理を実施し、認証データ250を作成する。その後、認証データ250を認証サーバ171に送信する。認証サーバの照合処理部173では、送信された認証データ250と、登録データベース175内の登録データ200との照合を行なう。正規利用者と判定された場合は、ホストPC177との通信が可能になる。これによりホストPC内のデータの参照や変更が可能になる。
【0101】
携帯電話端末内部には情報を保存しないため、携帯電話端末の紛失や盗難が発生しても情報の外部漏洩を防ぐことができる。また、携帯電話端末を変更しても、認証で正規利用者と判定されれば、ホストPC内のデータへのアクセスが可能になる。従来のシステムでは携帯電話端末が故障した場合、端末内部のデータが失われてしまったが、このシステムを用いることで、携帯電話端末故障時でも、別の携帯電話端末を利用して、自分のデータへのアクセスが可能になる。
【0102】
図17のシステムは、情報漏洩を防ぐために有効であるが、携帯電話端末を使用するたびに毎回ホストPCへアクセスするのはコストと時間がかかる。そこで、通常は携帯電話端末内部のメモリに情報を保存しておき、食事中や移動中など、携帯電話端末を一定時間利用しないときや、携帯電話端末が盗難にあう可能性が高い場所にいるときのみ、携帯電話端末内のアドレス帳などの情報を一時的にサーバに預けるようにしてもよい。
【0103】
サーバへ情報を預ける際、預ける情報と共に登録データ200がサーバへ送信される。データを送付後、利用者は携帯電話端末内の情報を消去する。これにより、その後、携帯電話端末が盗難にあった場合でも、データを盗み見られることがなくなる。
【0104】
サーバからデータを読み込む際には、認証を行なう。事前に送信しておいた登録データ200と認証時に撮影したデータの一致度が高い場合、預けた情報を受信することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】携帯電話端末のシステム構成の概略図。
【図2】アンテナに光源を組み込んだ携帯電話端末の一実施例。
【図3】外光に強い開口部の一実施例。
【図4】認証プログラムで実施される認証処理の例。
【図5】ラフな置き方を許容する認証を可能とする内部処理の説明図。
【図6】撮影された角度の異なる静脈パターンを一定方向にそろえる回転補正方法の一実施例。
【図7】折りたたみ式携帯電話端末に組み込まれた指静脈認証装置の一実施例。
【図8】携帯電話端末のボタンに光源が組み込まれている指静脈認証装置の一構成例。
【図9】携帯電話端末に光源を有し、読取装置側に撮像装置を具備する静脈認証装置の実施形態の一例。
【図10】携帯電話端末に撮像部を有し、読取装置側に光源を具備する静脈認証装置の実施形態の一例。
【図11】フィルタ脱着可能型携帯電話端末の一実施例。
【図12】可動式の蓋に光源を設置した静脈認証装置の一実施例。
【図13】可動式の蓋に光源を設置した静脈認証装置の一実施例。
【図14】可動式の指置き台を設置した静脈認証装置の一実施例。
【図15】スライド式の携帯電話機に組み込まれた指静脈認証装置の一構成例。
【図16】静脈データ取得部の一実施例。
【図17】セキュリティ携帯システムの構成の概略図。
【符号の説明】
【0106】
1・・・指、2・・・携帯電話端末、3・・・光源、4・・・撮像部、5・・・静脈データ取得部、6・・・認証処理部、7・・・ユーザーインタフェース部、8・・・音声出力装置、11・・・CPU、12・・・メモリ、14・・・記憶装置、15・・・表示部、41・・・ボタン、17・・・表示部、100・・・認証プログラム、200・・・登録データ、250・・・認証データ、26・・・アンテナ、21・・・位置決め用のくぼみ、24・・・開口部、27・・・フィルタ、31・・・アクリル板、321・・・静脈、322・・・背景、324・・・右上方向のベクトル成分、325・・・右下方向のベクトル成分、326・・・合成ベクトル、81・・・携帯電話端末の第一筺体、83・・・携帯電話端末の第二筺体、88・・・受話口、89・・・送話口、85・・・ヒンジ、91・・・可視光源、304・・・指ガイド部、305・・・携帯電話端末内の無線通信ユニット、314・・・読取装置側無線通信ユニット、310・・・読み取り装置、311・・・くぼみ、312・・・接触センサ、316・・・ゲインコントローラ、121・・・インジケータ、122・・・撮像部、126・・・レバースイッチ、128・・・突起形状、133・・・蓋、131・・・接続部,135・・・指置き台,151・・・押しボタンスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作内容を表示する表示部と、ユーザに入力をさせるボタンとを備える携帯端末において、
赤外光を発光する光源と、
該光源からの光による生体の静脈画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像方向に開口する開口部と、
生体情報を保存する記憶装置と、
前記撮像部によって撮像された画像からの特徴抽出と前記記憶装置に保存された生体情報との特徴照合を行う画像演算部と、
設置させる生体の設置位置を決める位置決め手段とを備え、
前記位置決め手段は、前記光源と前記撮像部との間に有することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記生体が指であることを特徴とする請求項1記載の携帯電話端末。
【請求項3】
前記携帯端末は、さらにアンテナを備え、前記光源が前記アンテナに埋め込まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記設置される生体と撮像部との間に、赤外光のみを透過させるフィルタを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記フィルタが脱着可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記開口部は、設置された生体により外光が遮断されるような大きさの開口部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記携帯端末は、前記光源から照射される光の強さを制御する手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記携帯端末は、第1の部品と第2の部品とが折り畳めるように構成された筐体であって、前記位置決め手段は前記第1の部品と第2の部品との接続部に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項9】
前記光源は、前記開口部の周囲に配置されていることを特徴とする携帯端末。
【請求項10】
前記携帯端末が、第1の部品と第2の部品とが折り畳めるように構成された筐体であり、前記光源が前記第1の部品に、前記撮像部は前記第2の部品に設置され、前記撮像部は、前記第1の部品と前記第2の部品との間に挟んで配置された生体に対し照射された前記光源からの光による生体の静脈画像を撮像することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項11】
前記光源は、位置決め手段に設置される生体の両側を挟むように配置されていることを特徴とする請求項10に記載の携帯端末。
【請求項12】
前記携帯端末が、第1の部品と第2の部品とが折り畳めるように構成された筐体であり、前記撮像部が前記第1の部品に、前記光源は前記第2の部品に備えられた前記ボタン内部に設置され、前記撮像部は、前記第1の部品と前記第2の部品との間に挟んで配置された生体に対し照射された前記光源からの光による生体の静脈画像を撮像することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項13】
前記携帯端末が、前記表示画面を備えた第1筐体と前記ボタンを備えた第2筐体とを平行な方向に移動可能に連結したスライド式携帯端末であって、前記第1筐体内又は前記第2筐体に、前記撮像部と前記光源とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項14】
前記記憶装置は、前記保存された生体情報として、撮像された生体画像に回転処理を施したデータを複数枚有し、前記画像演算部は、前記撮像部によって撮像された画像と、前記複数枚のデータとを照合することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項15】
前記画像演算部は、前記撮影された生体の画像の回転補正を行う手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項16】
前記回転補正を行う手段は、前記撮像部によって撮像された静脈画像から静脈パターンを一定方向に揃える補正を行うことを特徴とする請求項15に記載の携帯端末。
【請求項17】
前記記憶装置が携帯電話端末から取り外し可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項18】
光を発光する光源と、
生体情報を保存する記憶装置と、
画像演算部と、
設置させる生体の設置位置を決める位置決め手段と、
第1の通信手段とを備えた携帯端末であって、
前記携帯端末に備えられた前記光源からの光による生体の静脈画像を撮像する撮像部と前記第1の通信手段と通信する第2の通信手段を備えた筐体から、撮像された生体画像を受け取り、前記記憶装置に保存された生体情報との照合を行うことを特徴とする携帯端末。
【請求項19】
生体情報を保存する記憶装置と、
光源からの光による生体の静脈画像を撮像する撮像部と、
画像演算部と、
第1の通信手段とを備えた個人認証装置であって、
光源と、設置させる生体の設置位置を決める位置決め手段と、前記第1の通信手段と通信する第2の通信手段とを有する携帯端末の前記光源から照射された光により、前記撮像部は前記位置決め手段に設置された生体の静脈画像を撮像し、前記画像演算部は、前記記憶装置に保存された生体情報と照合して個人認証を行うことを特徴とする個人認証装置。
【請求項20】
光源からの光による生体の静脈画像を撮像する撮像部と、
生体情報を保存する記憶装置と、
設置される生体の設置位置を決める位置決め手段と、
第1の通信手段とを備えた携帯端末であって、
光を発光する光源と前記第1の通信手段と通信する第2の通信手段を備えた筐体の前記光源から照射された光により設置された生体の静脈画像を撮像し、前記記憶装置に保存された生体情報との照合を行うことを特徴とする携帯端末。
【請求項21】
生体情報を保存する記憶装置と、
光を発光する光源と、
画像演算部と、
第1の通信手段とを備えた個人認証装置であって、
前記光源は、設置される生体の設置位置を決める位置決め手段と、光源からの光による生体の静脈画像を撮像する撮像部と、前記第1の通信手段と通信する第2の通信手段を備えた携帯端末に対し、光を照射し、前記画像演算部は、前記前記撮像部によって撮像された静脈画像を受け取り、前記記憶装置に保存された生体情報と照合して、個人認証を行うことを特徴とする個人認証装置。
【請求項22】
前記光源の光量制御手段を有し、前記光源の光量値と前記携帯端末の撮像手段によって撮像された画像の平均輝度値とに基いて、前記光源の光量制御をすることを特徴とする請求項21に記載の個人認証装置。
【請求項23】
光を発光する光源と、
該光源からの光によって生体の血管の画像を撮像する撮像部を備えた生体情報取得部と、
前記撮影された画像から特徴抽出と特徴照合を行う画像演算部と、
続部を支点として動作可能な生体設置させる設置手段と、
前記設置手段の接触により前記光源と前記撮像部の電流を制御するスイッチとを備える個人認証装置において、
前記設置手段の接触状態において、前記設置手段は前記光源と前記撮像部との間にあることを特徴とする個人認証装置。
【請求項24】
生体情報を保存する記憶部と、
照合処理部とを有する認証サーバであって、
前記照合処理部は、光源と撮像部とを有する携帯端末から送信された、前記光源からの光により撮像された生体の静脈画像を受信し、前記記憶部に記憶された生体情報との照合処理を行い、情報の格納された第2の端末へ照合結果を送信することを特徴とする認証サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−3492(P2009−3492A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160860(P2007−160860)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】