説明

充電制御装置および方法、充電装置、並びに、プログラム

【課題】低圧バッテリのあがりを確実に防止する。
【解決手段】バッテリ状態監視部112は、+B負荷以外の低圧系負荷への給電が停止され、かつ、DCDCコンバータが停止し、かつ、車両が走行できない+B給電モードに設定されている間、車両に設けられている電気部品に電力を供給する低圧バッテリの監視を間欠的に行う。充電制御部113は、+B給電モードに設定されている場合に、低圧バッテリの電圧が充電開始電圧以下になったとき、DCDCコンバータを起動し、DCDCコンバータを介して車両の動力源である高圧バッテリの電力により低圧バッテリを充電する。本発明は、例えば、電動車両のバッテリの充電装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御装置および方法、充電装置、並びに、プログラムに関し、特に、電動車両のバッテリの充電に用いて好適な充電制御装置および方法、充電装置、並びに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle、電気自動車)、HEV(Hybrid Electric Vehicle、ハイブリッドカー)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、プラグインハイブリッドカー)などの電動車両には、例えば、DC158V〜334Vの高圧バッテリと、DC12Vの低圧バッテリの2種類のバッテリが設けられる。
【0003】
高圧バッテリは、電動車両の車輪を駆動し走行させるための主動力モータ、A/C(エアコンディショナ)のコンプレッサモータなどの大電力負荷(以下、高圧系負荷と称する)用の電源として主に使用される。一方、低圧バッテリは、各種のECU(Electronic Control Unit)、パワーウインドウ用のモータ、照明ランプなどの中小電力負荷(以下、低圧系負荷と称する)用の電源として主に使用される。
【0004】
この低圧バッテリの充電は、例えば、高圧バッテリの電圧をDCDCコンバータにより変換(降圧)して供給することにより行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−78408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電動車両を長期間駐車したまま放置すると、暗電流により低圧バッテリの電力が消費され、低圧バッテリがあがってしまう場合がある。低圧バッテリがあがってしまうと、バッテリの充電を制御するECU(Electronic Control Unit)が動作せず、高圧バッテリの電力で低圧バッテリを充電できない状態となり、電動車両が走行できなくなる。そのため、まず何らかの方法で低圧バッテリの充電を行う必要が生じ、ユーザに不便を与えてしまう。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、これに対する対策については検討されていない。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、低圧バッテリのあがりを確実に防止することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面の充電制御装置は、車両の動力源である第1のバッテリの電圧を変換する電圧変換部から出力される電力により充電され、車両に設けられている電気部品に電力を供給する第2のバッテリの充電を制御する充電制御装置において、電気部品のうち常時給電される第1の負荷以外の電気部品への給電が停止され、かつ、電圧変換部が停止し、かつ、車両が走行できない第1の状態に設定されている間、第2のバッテリの電圧の監視を間欠的に行う監視手段と、第1の状態に設定されている場合に、第2のバッテリの電圧が所定の閾値以下になったとき、電圧変換部を起動し、電圧変換部を介して第1のバッテリの電力により第2のバッテリを充電するように制御する充電制御手段とを含む。
【0010】
本発明の一側面の充電制御装置においては、車両に設けられている電気部品のうち常時給電される第1の負荷以外の電気部品への給電が停止され、かつ、電圧変換部が停止し、かつ、車両が走行できない第1の状態に設定されている間、第2のバッテリの電圧の監視が間欠的に行われ、第1の状態に設定されている場合に、第2のバッテリの電圧が所定の閾値以下になったとき、電圧変換部が起動され、電圧変換部を介して第1のバッテリの電力により第2のバッテリが充電される。
【0011】
従って、第2のバッテリのあがりを確実に防止することができる。
【0012】
この車両は、例えば、EV(Electric Vehicle、電気自動車),HEV(Hybrid Electric Vehicle、ハイブリッドカー)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、プラグインハイブリッドカー)などの電動車両により構成される。この第1のバッテリ、第2のバッテリは、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケル−水素電池などの二次電池により構成される。この電圧変換部は、例えば、DCDCコンバータにより構成される。この監視手段、充電制御手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、または、ECU(Electronic Control Unit)などにより構成される。
【0013】
この監視手段は、さらに、第1の負荷以外の電気部品の一部からなる第2の負荷に給電可能であり、かつ、電圧変換部が停止し、かつ、車両が走行できない第2の状態に設定されている間、第2のバッテリの電圧の監視を間欠的に行わせ、この充電制御手段には、さらに、第2の状態に設定されている場合に、第2のバッテリの電圧が閾値以下になったとき、電圧変換部を起動し、電圧変換部を介して第1のバッテリの電力により第2のバッテリを充電するように制御させ、この充電制御装置には、第2の状態に設定されている場合に、第2のバッテリの電圧が閾値以下になったとき、第2の負荷の少なくとも一部の動作を停止させる動作制御手段をさらに設けることができる。
【0014】
従って、第2のバッテリのあがりをより確実に防止することができる。
【0015】
この動作制御手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、または、ECU(Electronic Control Unit)などにより構成される。
【0016】
本発明の第1の側面のバッテリ診断方法は、車両の動力源である第1のバッテリの電圧を変換する電圧変換部から出力される電力により充電され、車両に設けられている電気部品に電力を供給する第2のバッテリの充電を制御する充電制御装置が、電気部品のうち常時給電される第1の負荷以外の電気部品への給電が停止され、かつ、電圧変換部が停止し、かつ、車両が走行できない第1の状態に設定されている間、第2のバッテリの電圧の監視を間欠的に行い、第1の状態に設定されている場合に、第2のバッテリの電圧が所定の閾値以下になったとき、電圧変換部を起動し、電圧変換部を介して第1のバッテリの電力により第2のバッテリを充電するように制御するステップを含む。
【0017】
本発明の第1の側面のプログラムは、車両の動力源である第1のバッテリの電圧を変換する電圧変換部から出力される電力により充電され、車両に設けられている電気部品に電力を供給する第2のバッテリの充電を制御するコンピュータに、電気部品のうち常時給電される第1の負荷以外の電気部品への給電が停止され、かつ、電圧変換部が停止し、かつ、車両が走行できない第1の状態に設定されている間、第2のバッテリの電圧の監視を間欠的に行い、第1の状態に設定されている場合に、第2のバッテリの電圧が所定の閾値以下になったとき、電圧変換部を起動し、電圧変換部を介して第1のバッテリの電力により第2のバッテリを充電するように制御するステップを含む処理を実行させる。
【0018】
本発明の第1の側面の充電制御方法、または、本発明の第1の側面のプログラム実行するコンピュータにおいては、車両に設けられている電気部品のうち常時給電される第1の負荷以外の電気部品への給電が停止され、かつ、電圧変換部が停止し、かつ、車両が走行できない第1の状態に設定されている間、第2のバッテリの電圧の監視が間欠的に行われ、第1の状態に設定されている場合に、第2のバッテリの電圧が所定の閾値以下になったとき、電圧変換部が起動され、電圧変換部を介して第1のバッテリの電力により第2のバッテリが充電される。
【0019】
従って、第2のバッテリのあがりを確実に防止することができる。
【0020】
この車両は、例えば、EV(Electric Vehicle、電気自動車),HEV(Hybrid Electric Vehicle、ハイブリッドカー)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、プラグインハイブリッドカー)などの電動車両により構成される。この第1のバッテリ、第2のバッテリは、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケル−水素電池などの二次電池により構成される。この電圧変換部は、例えば、DCDCコンバータにより構成される。この充電制御装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、または、ECU(Electronic Control Unit)などにより構成される。
【0021】
本発明の第2の側面の充電装置は、車両の動力源である第1のバッテリの電圧を変換する電圧変換手段と、電圧変換手段から出力される電力により充電される第2のバッテリから電力が供給される電気部品のうち常時給電される第1の負荷以外の電気部品への給電が停止され、かつ、電圧変換手段が停止し、かつ、車両が走行できない第1の状態に設定されている間、第2のバッテリの電圧の監視を間欠的に行う監視手段と、第1の状態に設定されている場合に、第2のバッテリの電圧が所定の閾値以下になったとき、電圧変換手段を起動し、電圧変換手段を介して第1のバッテリの電力により第2のバッテリを充電するように制御する充電制御手段とを含む。
【0022】
本発明の第2の側面の充電装置においては、車両の動力源である第1のバッテリの電圧を変換する電圧変換手段から出力される電力により充電される第2のバッテリから電力が供給される電気部品のうち常時給電される第1の負荷以外の電気部品への給電が停止され、かつ、電圧変換手段が停止し、かつ、車両が走行できない第1の状態に設定されている間、第2のバッテリの電圧の監視が間欠的に行われ、第1の状態に設定されている場合に、第2のバッテリの電圧が所定の閾値以下になったとき、電圧変換手段が起動され、電圧変換手段を介して第1のバッテリの電力により第2のバッテリが充電される。
【0023】
従って、第2のバッテリのあがりを確実に防止することができる。
【0024】
この車両は、例えば、EV(Electric Vehicle、電気自動車),HEV(Hybrid Electric Vehicle、ハイブリッドカー)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、プラグインハイブリッドカー)などの電動車両により構成される。この第1のバッテリ、第2のバッテリは、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケル−水素電池などの二次電池により構成される。この電圧変換手段は、例えば、DCDCコンバータにより構成される。この監視手段、充電制御手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、または、ECU(Electronic Control Unit)などにより構成される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第1の側面または第2の側面によれば、電動車両に設けられている電気部品に電力を供給するバッテリを充電することができる。特に、本発明の第1の側面または第2の側面によれば、電動車両に設けられている電気部品に電力を供給するバッテリのあがりを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を適用した電動車両の電気系統の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】低圧バッテリ充電制御部の機能の構成の例を示すブロック図である。
【図3】+B給電モード時の低圧バッテリ充電制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】+B給電モード時の高圧バッテリのSOC、低圧バッテリの電圧、DCDCコンバータの出力電流の時系列の遷移の例を示す図である。
【図5】ACC給電モード時の低圧バッテリ充電制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】ACC給電モード時の低圧バッテリ充電制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】ACC給電モード時の高圧バッテリのSOC、低圧バッテリの電圧、DCDCコンバータの出力電流、ACC負荷給電許容電流の時系列の遷移の例を示す図である。
【図8】IG給電モード時の低圧バッテリ充電制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明を適用した車両の電気系統の一実施の形態を示すブロック図である。図1の電気系統1は、EV、HEV、PHEVなど、バッテリに蓄えられた電力を用いて走行する電動車両に設けられる電気系統のうち、主に低圧(例えば、12V)の電気部品である低圧系負荷への電力の供給に関わる部分を示している。
【0029】
なお、低圧系負荷は、例えば、各種のECU(Electronic Control Unit)、パワーウインドウ用のモータ、照明ランプなどを含み、図1に示されるように、+B負荷2、ACC(アクセサリ)負荷3、および、IG(イグニッション)負荷4の3系統に分類される。また、以下、電気系統1が設けられている車両を自車と称する。
【0030】
電気系統1は、DCDCコンバータ11、低圧バッテリ12、IVTセンサ13、電流センサ回路14、低圧系J/B(Junction Box)15、低圧系電源ECU(Electronic Control Unit)16、スイッチ17、高圧バッテリ18、BMU(Battery Management Unit)19、高圧系J/B(Junction Box)20、高圧系電源ECU(Electronic Control Unit)21、および、車両ECU(Electronic Control Unit)22を含むように構成される。
【0031】
DCDCコンバータ11は、電圧変換部31、出力電圧検出回路32、出力電流検出回路33、過熱保護温度センサ34、制御用自立電源回路35、および、制御部36を含むように構成される。
【0032】
電圧変換部31は、制御部36の制御の基に、高圧系J/B20を介して高圧バッテリ18から供給される電力の電圧を変換し、低圧バッテリ12および低圧系J/B15に供給する。また、電圧変換部31は、フィルタ回路41、パワー素子フルブリッジ回路42、絶縁トランス43、および、整流平滑回路44を含むように構成される。
【0033】
フィルタ回路41は、高圧系J/B20を介して高圧バッテリ18から供給される電圧のノイズを除去し、パワー素子フルブリッジ回路42に供給する。
【0034】
パワー素子フルブリッジ回路42は、例えば、トランジスタ、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、IPM(Intelligent Power Module)などの電力用半導体スイッチング素子を用いたフルブリッジ回路により構成される。パワー素子フルブリッジ回路42は、制御部36のパルストランス回路54から供給されるスイッチング信号に基づいて、高圧系J/B20を介して高圧バッテリ18から供給される直流電圧を交流電圧に変換し、絶縁トランス43に供給する。
【0035】
絶縁トランス43は、DCDCコンバータ11の入力と出力を絶縁するとともに、パワー素子フルブリッジ回路42から供給される交流電圧を所定の変圧比で変圧し、整流平滑回路44に供給する。
【0036】
整流平滑回路44の2つの出力端子のうち一方は、低圧バッテリ12の+端子、および、低圧系J/B15に接続され、他方は接地されている。整流平滑回路44は、絶縁トランス43から供給される交流電圧を直流電圧に整流および平滑化し、低圧バッテリ12および低圧系J/B15に供給する。
【0037】
出力電圧検出回路32は、DCDCコンバータ11の出力電圧を検出し、検出値を示す信号を制御部36のCPU51およびエラーアンプ52に供給する。
【0038】
出力電流検出回路33は、DCDCコンバータ11の出力電流を検出し、検出値を示す信号を制御部36のCPU51およびPWM IC53に供給する。
【0039】
過熱保護温度センサ34は、DCDCコンバータ11の温度を検出し、検出値を示す信号を制御部36のCPU51に供給する。
【0040】
制御用自立電源回路35は、高圧系J/B20を介して高圧バッテリ18から供給される電力から、制御部36の駆動電力を生成し、制御部36に供給する。
【0041】
制御部36は、CPU51、エラーアンプ52、PWM IC53、および、パルストランス回路54を含むように構成される。
【0042】
CPU51は、低圧バッテリ12の電圧、電流および温度の検出値を示す信号を、IVTセンサ13から取得する。また、CPU51は、電流センサ回路14により検出される低圧系負荷への負荷電流の検出値を示す信号を取得する。CPU51は、DCDCコンバータ11の出力電圧、出力電流および温度、低圧バッテリ12の電圧、電流および温度、並びに、低圧系負荷への負荷電流に基づいて、DCDCコンバータ11の出力の開始および停止を制御したり、DCDCコンバータ11の出力電圧の目標値(以下、目標電圧と称する)を設定したりする。CPU51は、DCDCコンバータ11の目標電圧を示す信号をエラーアンプ52に供給する。
【0043】
エラーアンプ52は、出力電圧検出回路32からの信号の値とCPU51からの信号の値の差分、すなわち、DCDCコンバータ11の出力電圧と目標電圧の差分を増幅し、PWM IC53に供給する。
【0044】
PWM IC53は、エラーアンプ52から供給される信号に基づいて、DCDCコンバータ11の出力電圧が目標電圧となるように、パルストランス回路54に供給するPWM(Pulse Width Modulation)信号のデューティ比を制御するとともに、パルストランス回路54の出力の開始および停止を制御する。
【0045】
パルストランス回路54は、PWM IC53からのPWM信号に基づくスイッチング信号をパワー素子フルブリッジ回路42に供給し、パワー素子フルブリッジ回路42のスイッチングを制御することにより、DCDCコンバータ11の出力電圧を制御する。
【0046】
低圧バッテリ12は、DCDCコンバータ11の出力側と、DCDCコンバータ11の出力側に低圧系J/B15を介して接続されている低圧系負荷(+B負荷2、ACC負荷3、IG負荷4)との間に接続されている。そして、低圧バッテリ12は、高圧系J/B20およびDCDCコンバータ11を介して高圧バッテリ18から供給される電力により充電されるとともに、低圧系J/B15を介して、+B負荷2、ACC負荷3、および、IG負荷4に電力を供給する。なお、低圧バッテリ12の−端子は接地されている。
【0047】
IVTセンサ13は、低圧バッテリ12の電圧(例えば、低圧バッテリ12の+端子と−端子との間の電圧)、電流および温度を検出する。IVTセンサ13は、低圧バッテリ12の電圧、電流および温度の検出値を示す信号を、CAN(Controller Area Network)を介して、低圧系電源ECU16、BMU19、高圧系電源ECU21、車両ECU22、および、CPU51に供給する。
【0048】
電流センサ回路14は、低圧バッテリ12と低圧系J/B15の間に設けられ、DCDCコンバータ11または低圧バッテリ12から低圧系J/B15を介して低圧系負荷に供給される負荷電流を検出する。電流センサ回路14は、負荷電流の検出値を示す信号を、CANを介して、低圧系電源ECU16、BMU19、高圧系電源ECU21、車両ECU22、および、CPU51に供給する。
【0049】
低圧系J/B15は、例えば、コンタクタ、リレーなどを内蔵し、低圧系電源ECU16の制御の基に、+B負荷2、ACC負荷3、および、IG負荷4への電力の供給の有無を切替える。
【0050】
スイッチ17は、例えば、イグニッションキースイッチもしくはスタータスイッチ、または、その両方により構成される。
【0051】
例えば、走行用または高圧バッテリ18の充電用のエンジンを搭載するHEVまたはPHEVにより自車が構成される場合、スイッチ17は、例えば、LOCKまたはOFF(以下、OFFに統一する)、ACC(アクセサリ)、IG(イグニッション)またはON(以下、ONに統一する)、STARTの4つの位置に設定可能とされる。
【0052】
この場合、スイッチ17の位置がOFFに設定されたとき、自車は、エンジンおよび主動力モータを稼動することができず、走行できない状態となる。また、自車は、低圧系電源ECU16の制御の基に、低圧系負荷のうち+B負荷2にのみ給電可能な状態となる。
【0053】
また、スイッチ17の位置がACCに設定されたとき、OFFに設定されたときと同様に、自車は、エンジンおよび主動力モータを稼動することができず、走行できない状態となる。また、自車は、低圧系電源ECU16の制御の基に、低圧系負荷のうち+B負荷2およびACC負荷3に給電可能な状態となる。
【0054】
さらに、スイッチ17の位置がONに設定されたとき、自車は、エンジンおよび主動力モータを稼動することができ、走行可能な状態となる。また、自車は、低圧系電源ECU16の制御の基に、+B負荷2、ACC負荷3およびIG負荷4の全ての低圧系負荷に給電可能な状態となる。
【0055】
また、スイッチ17の位置がSTARTに設定されたとき、自車のエンジンが点火し、始動する。また、自車は、低圧系電源ECU16の制御の基に、+B負荷2、ACC負荷3およびIG負荷4の全ての低圧系負荷に給電可能な状態となる。なお、車両の種類によっては、スイッチ17の位置がSTARTに設定された場合、セルフスタータモータを始動させるために、ACC負荷3への給電が停止される場合もある。
【0056】
このように、自車がHEVまたはPHEVにより構成される場合、電気系統1は、スイッチ17の設定位置に関わらず、+B負荷2に常時給電可能であり、スイッチ17の位置がACC、ONまたはSTARTに設定されたとき、ACC負荷3に給電可能となり、スイッチ17の位置がONまたはSTARTに設定されたとき、IG負荷4に給電可能となる。
【0057】
また、例えば、エンジンを搭載しないEVにより自車が構成される場合、スイッチ17は、例えば、LOCKまたはOFF(以下、OFFに統一する)、ACC(アクセサリ)、STARTまたはON(以下、ONに統一する)の3つの位置に設定可能とされる。
【0058】
この場合、スイッチ17の位置がOFFに設定されたとき、自車は、エンジンおよび主動力モータを稼動することができず、走行できない状態となる。また、自車は、低圧系電源ECU16の制御の基に、低圧系負荷のうち+B負荷2にのみ給電可能な状態となる。
【0059】
また、スイッチ17の位置がACCに設定されたとき、OFFに設定されたときと同様に、自車は、エンジンおよび主動力モータを稼動することができず、走行できない状態となる。また、自車は、低圧系電源ECU16の制御の基に、低圧系負荷のうち+B負荷2およびACC負荷3に給電可能な状態となる。
【0060】
さらに、スイッチ17の位置がONに設定されたとき、自車は、エンジンおよび主動力モータを稼動することができ、走行可能な状態となる。また、自車は、低圧系電源ECU16の制御の基に、+B負荷2、ACC負荷3およびIG負荷4の全ての低圧系負荷に給電可能な状態となる。
【0061】
このように、自車がEVにより構成される場合、電気系統1は、スイッチ17の設定位置に関わらず、+B負荷2に常時給電可能であり、スイッチ17の位置がACCまたはONに設定されたとき、ACC負荷3に給電可能となり、スイッチ17の位置がONに設定されたとき、IG負荷4に給電可能となる。
【0062】
なお、以下、スイッチ17の位置がLOCKまたはOFFに設定され、+B負荷2のみに給電可能な状態、換言すれば、DCDCコンバータ11または低圧バッテリ12から低圧系J/B15を介して+B負荷2へのラインに電力の供給が可能な状態を、+B給電モードと称する。また、スイッチ17の位置がACCに設定され、+B負荷2およびACC負荷3に給電可能な状態、換言すれば、DCDCコンバータ11または低圧バッテリ12から低圧系J/B15を介して+B負荷2およびACC負荷3へのラインに電力が供給可能な状態を、ACC給電モードと称する。さらに、スイッチ17の位置がIG、ONまたはSTARTに設定され、+B負荷2、ACC負荷3およびIG負荷4の全ての低圧系負荷に給電可能な状態、換言すれば、DCDCコンバータ11または低圧バッテリ12から低圧系J/B15を介して+B負荷2、ACC負荷3およびIG負荷4へのラインに電力の供給が可能な状態をIG給電モードと称する。ただし、ユーザ設定、低圧バッテリ12の電圧、高圧バッテリ18の電圧などの要因により、給電モードとは別に、低圧系負荷への給電が制限される場合がある。
【0063】
なお、IG給電モード時に、低圧系J/B15からDCDCコンバータ11のCPU51に制御信号および電力の供給を行うことが可能である。DCDCコンバータ11は、この制御信号をトリガにして、低圧系J/Bから供給される電力を用いて起動し、出力を開始することが可能である。
【0064】
そして、スイッチ17は、スイッチ17の設定位置を示す信号を、CANを介して、低圧系電源ECU16、BMU19、高圧系電源ECU21、車両ECU22、および、CPU51に供給する。
【0065】
高圧バッテリ18は、自車の動力源として用いられる。具体的には、高圧バッテリ18に蓄えられている電力は、高圧系J/B20を介して、図示せぬ走行系インバータに供給され、直流電力から交流電力に変換される。そして、その交流電力が図示せぬ主動力モータに供給され、主動力モータが駆動されることにより、自車が走行する。また、高圧バッテリ18は、高圧系J/B20を介して、主動力モータ以外の自車の高圧系負荷にも電力を供給する。
【0066】
BMU19は、高圧バッテリ18の管理を行う。例えば、BMU19は、高圧バッテリ18の状態(例えば、電圧、電流、温度など)を監視し、監視結果を示す情報を、CANを介して、低圧系電源ECU16、高圧系電源ECU21、車両ECU22、および、CPU51に供給する。
【0067】
高圧系J/B20は、例えば、コンタクタ、リレーなどを内蔵し、高圧系電源ECU21の制御の基に、DCDCコンバータ11、および、自車の高圧系負荷への電力の供給の有無を切替える。
【0068】
車両ECU22は、図示せぬ走行系インバータなどの制御を行う。
【0069】
低圧系電源ECU16、BMU19、高圧系電源ECU21、車両ECU22、および、CPU51は、CANを介して通信し、各種の情報の送受信を行う。
【0070】
なお、以下、低圧バッテリ12の公称電圧がDC12Vの場合を例に挙げて説明する。
【0071】
図2は、低圧系電源ECU16および車両ECU22が所定の制御プログラムを実行することにより実現される機能の構成の例の一部を示すブロック図である。具体的には、低圧系電源ECU16および車両ECU22が所定の制御プログラムを実行することにより、低圧バッテリ充電制御部101を含む機能が実現される。また、低圧バッテリ充電制御部101は、スイッチ位置検出部111、バッテリ状態監視部112、充電制御部113、低圧系負荷動作制御部114、および、通知制御部115を含むように構成される。
【0072】
スイッチ位置検出部111は、スイッチ17からの信号に基づいて、スイッチ17の設定位置を検出する。スイッチ位置検出部111は、バッテリ状態監視部112、充電制御部113、低圧系負荷動作制御部114、および、通知制御部115に、スイッチ17の設定位置を通知する。
【0073】
バッテリ状態監視部112は、BMU19と通信を行い、BMU19から取得した情報に基づいて、高圧バッテリ18の状態を監視する。また、バッテリ状態監視部112は、IVTセンサ13からの信号に基づいて、低圧バッテリ12の状態を監視する。バッテリ状態監視部112は、低圧バッテリ12および高圧バッテリ18の状態の監視結果を、充電制御部113、低圧系負荷動作制御部114、および、通知制御部115に通知する。
【0074】
充電制御部113は、DCDCコンバータ11のCPU51に指令を与え、DCDCコンバータ11の出力を制御する。また、充電制御部113は、高圧系電源ECU21に指令を与え、高圧系J/B20を介した高圧バッテリ18からDCDCコンバータ11への電力の供給を制御する。さらに、充電制御部113は、高圧系負荷に関する情報を高圧系電源ECU21から取得する。
【0075】
低圧系負荷動作制御部114は、低圧系J/B15を制御して、低圧系負荷への給電を制御することにより、低圧系負荷の動作を制御する。
【0076】
通知制御部115は、通知部102を介して、低圧バッテリ12および高圧バッテリ18の残量警告を行う。
【0077】
通知部102は、例えば、カーナビゲーションシステム、インストルメントパネル、ディスプレイ、ランプ、LED(Light Emitting Diode)、スピーカなどにより構成され、通知制御部115の制御の基に、画像、光、音声などにより、低圧バッテリ12および高圧バッテリ18の残量警告を行う。なお、通知部102を構成する各部は、それぞれ+B負荷2、ACC負荷3、および、IG負荷4のいずれかに含まれる。
【0078】
次に、図3乃至図8を参照して、電気系統1により実行される処理について説明する。
【0079】
まず、図3のフローチャートを参照して、+B給電モード時の低圧バッテリ充電制御処理について説明する。なお、この処理は、例えば、スイッチ17の位置がOFFに設定されたとき開始され、OFF以外に設定されたとき終了する。また、スイッチ17の位置がOFFに設定されたとき、スイッチ位置検出部111は、スイッチ17の位置がOFFに設定されたことを、バッテリ状態監視部112、充電制御部113、低圧系負荷動作制御部114、および、通知制御部115に通知する。
【0080】
ステップS1において、電気系統1は、高圧バッテリ18および低圧バッテリ12のSOC(State of Charge、残容量)を測定する。具体的には、バッテリ状態監視部112は、BMU19に指令を出し、高圧バッテリ18のSOCを測定させ、測定結果をBMU19から取得する。また、バッテリ状態監視部112は、IVTセンサ13からの信号により示される低圧バッテリ12の電圧および電流に基づいて、低圧バッテリ12のSOCを測定する。
【0081】
なお、このステップS1の処理は、所定の間隔で実行される。すなわち、高圧バッテリ18および低圧バッテリ12の状態の監視が間欠的に行われる。
【0082】
ステップS2において、バッテリ状態監視部112は、低圧バッテリ12がバッテリ監視システムの動作が可能な電圧を保持しているか否かを判定する。高圧バッテリ18および低圧バッテリ12の状態を監視するバッテリ監視システムは、例えば、IVTセンサ13、電流センサ回路14、低圧系電源ECU16、BMU19、高圧系電源ECU21などにより構成される。バッテリ状態監視部112が、低圧バッテリ12が、そのバッテリ監視システムの動作が可能な電圧を保持していると判定した場合、処理はステップS3に進む。
【0083】
ステップS3において、バッテリ状態監視部112は、BMU19による測定結果に基づいて、高圧バッテリ18のSOCが下限値以下であるか否かを判定する。高圧バッテリ18のSOCが下限値より大きいと判定された場合、処理はステップS4に進む。
【0084】
なお、この高圧バッテリ18のSOCの下限値は、例えば、HEVまたはPHEVなど走行時にモータジェネレータなどにより高圧バッテリ18の充電が可能な車両の場合、自車のエンジンの始動に最低限必要なSOCのレベルに設定され、EVなど自車の走行時に高圧バッテリ18の充電ができない車両の場合、高圧バッテリ18の電力を用いて低圧バッテリ12を充電するのに最低限必要なSOCのレベルに設定される。
【0085】
ステップS4において、バッテリ状態監視部112は、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧以下であるか否かを判定する。バッテリ状態監視部112は、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧以下であると判定した場合、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧以下であることを、充電制御部113、低圧系負荷動作制御部114、および、通知制御部115に通知する。その後、処理はステップS5に進む。
【0086】
なお、充電開始電圧は、低圧バッテリ12の充電が必要か否かを判定するための閾値であり、例えば、低圧バッテリ12の放電終止電圧より大きく、かつ、低圧系負荷の駆動電圧の最小値より少し大きい値に設定される。
【0087】
ステップS5において、充電制御部113は、DCDCコンバータ11の出力が停止されているか否かを判定する。DCDCコンバータ11の出力が停止されていると判定された場合、処理はステップS6に進む。
【0088】
ステップS6において、高圧系J/B20は、DCDCコンバータ11への給電を開始する。具体的には、充電制御部113は、DCDCコンバータ11への電力の供給を高圧系電源ECU21に指令する。高圧系J/B20は、高圧系電源ECU21の制御の基に、DCDCコンバータ11への給電を開始する。これにより、制御用自立電源回路35から制御部36への電力の供給が開始され、DCDCコンバータ11が起動する。
【0089】
ステップS7において、電気系統1は、DCDCコンバータ11の出力を開始する。具体的には、充電制御部113は、DCDCコンバータ11の出力の開始をDCDCコンバータ11のCPU51に指令する。DCDCコンバータ11は、CPU51の制御の基に、電力(電圧および電流)の出力を開始する。これにより、低圧バッテリ12の充電が開始される。その後、処理はステップS9に進む。
【0090】
なお、このとき、DCDCコンバータ11は、例えば、まず出力電圧を低圧バッテリ12と同じ電圧に設定した後、充電電流が通常より低い値(例えば、低圧バッテリ12の5時間放電率の電流(5時間率電流)の1/10)となるように出力電圧を制御しながら、低圧バッテリ12の充電を行う。
【0091】
一方、ステップS5において、DCDCコンバータ11の出力が行われていると判定された場合、処理はステップS9に進む。
【0092】
また、ステップS4において、バッテリ状態監視部112は、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧より大きいと判定した場合、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧より大きいことを、充電制御部113、低圧系負荷動作制御部114、および、通知制御部115に通知する。その後、処理はステップS8に進む。
【0093】
ステップS8において、充電制御部113は、DCDCコンバータ11の出力が行われているか否かを判定する。DCDCコンバータ11の出力が行われていないと判定された場合、すなわち、低圧バッテリ12の充電が行われていない場合、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
【0094】
一方、ステップS8において、DCDCコンバータ11の出力が行われていると判定された場合、すなわち、低圧バッテリ12の充電が行われている場合、処理はステップS9に進む。
【0095】
ステップS9において、バッテリ状態監視部112は、低圧バッテリ12の充電電流が0Aになったか否かを判定する。低圧バッテリ12の充電電流が0Aになっていないと判定された場合、処理はステップS10に進む。
【0096】
ステップS10において、バッテリ状態監視部112は、低圧バッテリ12の電圧が規定電圧以上であるか否かを判定する。低圧バッテリ12の電圧が規定電圧未満であると判定された場合、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
【0097】
一方、ステップS10において、バッテリ状態監視部112は、低圧バッテリ12の電圧が規定電圧以上であると判定した場合、低圧バッテリ12の電圧が規定電圧以上であることを、充電制御部113、低圧系負荷動作制御部114、および、通知制御部115に通知する。その後、処理はステップS11に進む。
【0098】
なお、この規定電圧は、例えば、充電開始電圧より所定の値(例えば、1.0V)だけ大きい電圧、あるいは、低圧バッテリ12の満充電電圧に設定される。
【0099】
また、ステップS9において、バッテリ状態監視部112は、低圧バッテリ12の充電電流が0Aになったと判定した場合、低圧バッテリ12の充電電流が0Aになったことを、充電制御部113、低圧系負荷動作制御部114、および、通知制御部115に通知する。その後、ステップS10の処理はスキップされ、処理はステップS11に進む。
【0100】
なお、これは、例えば、高圧バッテリ18のSOCの低下に伴い、DCDCコンバータ11への入力電圧が低下し、DCDCコンバータ11から低圧バッテリ12に充電電流を供給することができなくなった場合である。
【0101】
ステップS11において、電気系統1は、DCDCコンバータ11の出力を停止する。具体的には、充電制御部113は、DCDCコンバータ11のCPU51に出力の停止を指令する。DCDCコンバータ11は、CPU51の制御の基に、電力(電圧および電流)の出力を停止する。これにより、低圧バッテリ12の充電が停止する。
【0102】
ステップS12において、高圧系J/B20は、DCDCコンバータ11への給電を停止する。具体的には、充電制御部113は、DCDCコンバータ11への給電の停止を高圧系電源ECU21に指令する。高圧系J/B20は、高圧系電源ECU21の制御の基に、DCDCコンバータ11への給電を停止する。これにより、DCDCコンバータ11が停止する。その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
【0103】
一方、ステップS2において、低圧バッテリ12がバッテリ監視システムの動作が可能な電圧を保持していないと判定された場合、または、ステップS3において、高圧バッテリ18のSOCが下限値以下であると判定された場合、低圧バッテリ充電制御処理は終了する。
【0104】
ここで、図4を参照して、+B給電モード時の高圧バッテリ18のSOC、低圧バッテリ12の電圧、DCDCコンバータ11の出力電流の時系列の遷移の例について説明する。なお、図4のいちばん上のグラフは、高圧バッテリ18のSOCの時系列の遷移を示しており、上から2番目のグラフは、低圧バッテリ12の電圧の時系列の遷移を示しており、いちばん下のグラフは、DCDCコンバータ11の出力電流の時系列の遷移を示している。なお、高圧バッテリ18のSOCのグラフにおいて、SUは高圧バッテリ18のSOCの上限値を示し、SLは高圧バッテリ18のSOCの下限値を示している。
【0105】
時刻t0から時刻t1の間、+B負荷2により低圧バッテリ12の電力が消費される一方、低圧バッテリ12の充電は行われないため、低圧バッテリ12の電圧が低下する。また、このとき、高圧系負荷は稼動しておらず、高圧バッテリ18の電力が消費されないため、高圧バッテリ18のSOCは、ほとんど変化しない。
【0106】
そして、時刻t1において、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧Vbに達したとき、DCDCコンバータ11の出力が開始され、低圧バッテリ12の充電が開始する。このとき、DCDCコンバータ11の出力電流はIcb(例えば、低圧バッテリ12の5時間率電流の1/10)に保たれるように制御される。なお、低圧バッテリ12の充電には高圧バッテリ18の電力が使用されるため、低圧バッテリ12の充電中、高圧バッテリ18のSOCは減少する。その後、時刻t2において、低圧バッテリ12の電圧が規定電圧Veまで回復したとき、DCDCコンバータ11の出力が停止され、低圧バッテリ12の充電が停止する。
【0107】
以下、同様に、時刻t2から時刻t3の間、+B負荷2により低圧バッテリ12の電力が消費される一方、低圧バッテリ12の充電は行われないため、低圧バッテリ12の電圧が低下する。また、高圧バッテリ18の電力は消費されないため、高圧バッテリ18のSOCは、ほとんど変化しない。そして、時刻t3において、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧Vbに達したとき、DCDCコンバータ11の出力が開始され、低圧バッテリ12の充電が開始され、時刻t4において、低圧バッテリ12の電圧が規定電圧Veまで回復したとき、DCDCコンバータ11の出力が停止され、低圧バッテリ12の充電が停止する。
【0108】
なお、図に示すように、時刻t4において、高圧バッテリ18のSOCが下限値SL以下となった後、時刻t5において、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧Vbに達しても、低圧バッテリ12の充電は行われない。
【0109】
以上のようにして、+B給電モードに設定され、+B負荷2以外のACC負荷3およびIG負荷4への給電が停止され、かつ、DCDCコンバータ11が停止し、かつ、自車が走行できない状態に設定されている間、低圧バッテリ12のSOCが間欠的に監視され、低圧バッテリ12の電圧の低下時に自動的に充電が行われる。これにより、例えば、自車を長期間駐車したまま放置しておいても、低圧バッテリ12があがってしまうことが防止される。その結果、ECUなどの制御系が動作しなくなり、例えば、走行不能になったり、通常の低圧バッテリ12および高圧バッテリ18の充電が行えなくなったり、車両付帯の故障診断やテスタなどを用いた故障診断ができなくなったりすることが防止される。
【0110】
また、電圧低下時にのみ低圧バッテリ12の充電を行い、通常はDCDCコンバータ11への給電も停止することにより、高圧系に設けられている放電抵抗(不図示)などにより高圧バッテリ18の電力が無駄に消費されることを防止することができる。
【0111】
次に、図5および図6のフローチャートを参照して、ACC給電モード時の低圧バッテリ充電制御処理について説明する。なお、この処理は、例えば、スイッチ17の位置がACCに設定されたとき開始され、ACC以外に設定されたとき終了する。また、スイッチ17の位置がACCに設定されたとき、スイッチ位置検出部111は、スイッチ17の位置がACCに設定されたことを、バッテリ状態監視部112、充電制御部113、低圧系負荷動作制御部114、および、通知制御部115に通知する。
【0112】
ステップS31において、図3のステップS1の処理と同様に、高圧バッテリ18および低圧バッテリ12のSOCが測定される。すなわち、高圧バッテリ18および低圧バッテリ12の状態の監視が間欠的に行われる。
【0113】
ステップS32において、図3のステップS2の処理と同様に、低圧バッテリ12がバッテリ監視システムの動作が可能な電圧を保持しているか否かが判定され、低圧バッテリ12がバッテリ監視システムの動作が可能な電圧を保持していると判定された場合、処理はステップS33に進む。
【0114】
ステップS33において、図3のステップS3の処理と同様に、高圧バッテリ18のSOCが下限値以下であるか否かが判定され、高圧バッテリ18のSOCが下限値より大きいと判定された場合、処理はステップS34に進む。
【0115】
ステップS34において、図3のステップS4の処理と同様に、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧以下であるか否かが判定され、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧以下であると判定された場合、処理はステップS35に進む。
【0116】
ステップS35において、図3のステップS5の処理と同様に、DCDCコンバータ11の出力が停止されているか否かが判定され、DCDCコンバータ11の出力が停止されていると判定された場合、処理はステップS36に進む。
【0117】
ステップS36において、低圧系負荷動作制御部114は、ACC負荷3の動作を停止させる。具体的には、低圧系J/B15は、低圧系負荷動作制御部114の制御の基に、ACC負荷3への給電を停止する。これにより、ACC負荷3の動作が停止する。なお、全てのACC負荷3への給電を停止せずに、ユーザ設定などにより予め設定されている優先順位に従って、ACC負荷3の一部への給電を停止し、ACC負荷3の一部のみ動作を停止させるようにしてもよい。また、例えば、低圧系負荷動作制御部114が、各ACC負荷3に直接指令を与えて、動作を停止させるようにしてもよい。
【0118】
ステップS37において、通知部102は、通知制御部115の制御の基に、低圧バッテリ12の残量警告を行う。例えば、通知部102は、通知制御部115の制御の基に、ディスプレイに警告画面を表示したり、LEDやランプなどを点灯または点滅させたり、音声ガイダンスを出力したり、警告音を鳴動したりするなどの方法により、低圧バッテリ12の電圧が低下し、低圧バッテリ12を充電中であること、および、ACC負荷3の動作を停止させたことを警告する。なお、このとき、HEVまたはPHEVなど走行時に高圧バッテリ18の充電が可能な車両の場合、通知部102は、エンジンの始動および走行を行い、高圧バッテリ18の補充電を促すような通知もあわせて行う。なお、この残量警告は、例えば、運転者が停止操作を行ったり、または、低圧バッテリ12の電圧が、後述する規定電圧以上になったときに停止する。
【0119】
ステップS38において、図3のステップS6の処理と同様に、DCDCコンバータ11への給電が開始され、ステップS39において、図3のステップS7の処理と同様に、DCDCコンバータ11の出力が開始され、低圧バッテリ12の充電が開始される。その後、処理はステップS41に進む。
【0120】
なお、このとき、DCDCコンバータ11は、例えば、まず出力電圧を低圧バッテリ12と同じ電圧に設定した後、充電電流が通常より低く+B給電モード時より高い値(例えば、低圧バッテリ12の5時間率電流の1/5〜1/2)となるように出力電圧を制御しながら、低圧バッテリ12の充電を行う。
【0121】
一方、ステップS35において、DCDCコンバータ11の出力が行われていると判定された場合、処理はステップS41に進む。
【0122】
また、ステップS34において、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧より大きいと判定された場合、処理はステップS40に進む。
【0123】
ステップS40において、図3のステップS8の処理と同様に、DCDCコンバータ11の出力が行われているか否かが判定され、DCDCコンバータ11の出力が行われていないと判定された場合、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
【0124】
一方、ステップS40において、DCDCコンバータ11の出力が行われていると判定された場合、処理はステップS41に進む。
【0125】
ステップS41において、図3のステップS9の処理と同様に、低圧バッテリ12の充電電流が0Aになったか否かが判定され、低圧バッテリ12の充電電流が0Aになったと判定された場合、処理はステップS42に進む。
【0126】
ステップS42において、図3のステップS11の処理と同様に、DCDCコンバータ11の出力が停止され、低圧バッテリ12の充電が停止し、ステップS43において、図3のステップS12の処理と同様に、DCDCコンバータ11への給電が停止される。その後、処理はステップS48に進む。
【0127】
一方、ステップS41において、低圧バッテリ12の充電電流が0Aになっていないと判定された場合、処理はステップS44に進む。
【0128】
ステップS44において、図3のステップS10の処理と同様に、低圧バッテリ12の電圧が規定電圧以上であるか否かが判定され、低圧バッテリ12の電圧が規定電圧以上であると判定された場合、処理はステップS45に進む。
【0129】
ステップS45において、図3のステップS11の処理と同様に、DCDCコンバータ11の出力が停止され、低圧バッテリ12の充電が停止し、ステップS46において、図3のステップS12の処理と同様に、DCDCコンバータ11への給電が停止される。
【0130】
ステップS47において、低圧系負荷動作制御部114は、ACC負荷3の動作を停止させる。具体的には、低圧系J/B15は、低圧系負荷動作制御部114の制御の基に、ACC負荷3への給電を再開する。これにより、ACC負荷3の動作が再開する。なお、例えば、低圧系負荷動作制御部114が、各ACC負荷3に直接指令を与えて、動作を再開させるようにしてもよい。その後、処理はステップS48に進む。
【0131】
一方、ステップS44において、低圧バッテリ12の電圧が規定電圧未満であると判定された場合、ステップS45乃至S47の処理はスキップされ、処理はステップS48に進む。
【0132】
ステップS48において、バッテリ状態監視部112は、BMU19による測定結果に基づいて、高圧バッテリ18のSOCが規定量(例えば、自車が所定の距離(例えば、50km)以上走行できると推定される量)以下であるか否かを判定する。バッテリ状態監視部112は、高圧バッテリ18のSOCが規定量以下であると判定した場合、そのことを通知制御部115に通知する。その後、処理はステップS49に進む。
【0133】
ステップS49において、通知部102は、通知制御部115の制御の基に、高圧バッテリ18の残量警告を行う。例えば、通知部102は、通知制御部115の制御の基に、ディスプレイに警告画面を表示したり、LEDやランプなどを点灯または点滅させたり、音声ガイダンスを出力したり、警告音を鳴動したりするなどの方法により、高圧バッテリ18の残量が少なくなったことを警告するとともに、高圧バッテリ18の充電を促す。なお、この残量警告は、例えば、運転者が停止操作を行ったり、または、高圧バッテリ18のSOCが規定量より大きくなったときに停止する。その後、処理はステップS31に戻り、ステップS31以降の処理が実行される。
【0134】
一方、ステップS48において、高圧バッテリ18のSOCが規定量より大きいと判定された場合、処理はステップS31に戻り、ステップS31以降の処理が実行される。
【0135】
なお、HEVまたはPHEVなど高圧バッテリ18以外に別の動力源を有する車両の場合、ステップS48およびS49の処理を省略することも可能である。
【0136】
ここで、図7を参照して、ACC給電モード時の高圧バッテリ18のSOC、低圧バッテリ12の電圧、DCDCコンバータ11の出力電流、ACC負荷給電許容電流の時系列の遷移の例について説明する。なお、図7のいちばん上のグラフは、高圧バッテリ18のSOCの時系列の遷移を示しており、上から2番目のグラフは、低圧バッテリ12の電圧の時系列の遷移を示しており、上から3番目のグラフは、DCDCコンバータ11の出力電流の時系列の遷移を示し、いちばん下のグラフは、ACC負荷給電許容電流の時系列の遷移を示している。なお、ACC負荷給電許容電流とは、ACC負荷3に供給することが可能な電流の最大値を規定するものである。
【0137】
時刻t0から時刻t11の間、ACC負荷給電許容電流が上限値Iuに設定され、+B負荷2およびACC負荷3により低圧バッテリ12の電力が消費される一方、低圧バッテリ12の充電は行われないため、低圧バッテリ12の電圧が低下する。また、このとき、高圧系負荷は稼動しておらず、高圧バッテリ18の電力が消費されないため、高圧バッテリ18のSOCは、ほとんど変化しない。
【0138】
そして、時刻t11において、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧Vbに達したとき、DCDCコンバータ11の出力が開始され、低圧バッテリ12の充電が開始する。このとき、DCDCコンバータ11の出力電流はIca(例えば、低圧バッテリ12の5時間率電流の1/5〜1/2)に保たれるように制御される。また、ACC負荷給電許容電流が0に設定され、ACC負荷3への給電が停止する。なお、低圧バッテリ12の充電には高圧バッテリ18の電力が使用されるため、低圧バッテリ12の充電中、高圧バッテリ18のSOCは減少する。
【0139】
その後、時刻t12において、低圧バッテリ12の電圧が規定電圧Veまで回復したとき、DCDCコンバータ11の出力が停止され、低圧バッテリ12の充電が停止する。また、ACC負荷給電許容電流が上限値Iuに設定され、ACC負荷3への給電が再開される。
【0140】
以下、同様に、時刻t12から時刻t13の間、+B負荷2およびACC負荷3により低圧バッテリ12の電力が消費される一方、低圧バッテリ12の充電は行われないため、低圧バッテリ12の電圧が低下する。また、高圧バッテリ18の電力は消費されないため、高圧バッテリ18のSOCは、ほとんど変化しない。そして、時刻t13において、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧Vbに達したとき、DCDCコンバータ11の出力が開始され、低圧バッテリ12の充電が開始され、ACC負荷給電許容電流が0に設定され、ACC負荷3への給電が停止する。その後、時刻t14において、低圧バッテリ12の電圧が規定電圧Veまで回復したとき、DCDCコンバータ11の出力が停止され、低圧バッテリ12の充電が停止し、ACC負荷給電許容電流が上限値Iuに設定され、ACC負荷3への給電が再開される。
【0141】
なお、図に示すように、時刻t14において、高圧バッテリ18のSOCが下限値SL以下となった後、時刻t15において、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧Vbに達しても、ACC負荷給電許容電流が0に設定され、ACC負荷3への給電は停止するが、低圧バッテリ12の充電は行われない。
【0142】
以上のようにして、ACC給電モードに設定され、+B負荷2以外にACC負荷3に給電可能であり、かつ、DCDCコンバータ11が停止し、かつ、自車が走行できない状態に設定されている間、低圧バッテリ12のSOCが間欠的に監視され、低圧バッテリ12の電圧の低下時に自動的に充電が行われる。これにより、例えば、ACC給電モード時にカーオーディオなどのアクセサリ類の負荷が大きくなり、低圧バッテリ12の電力が大量に消費される状態が継続しても、低圧バッテリ12があがってしまうことが防止される。その結果、ECUなどの制御系が動作しなくなり、例えば、走行不能になったり、通常の低圧バッテリ12および高圧バッテリ18の充電が行えなくなったり、車両付帯の故障診断やテスタなどを用いた故障診断ができなくなったりすることが防止される。
【0143】
また、電圧低下時にのみ低圧バッテリ12の充電を行い、通常はDCDCコンバータ11への給電も停止することにより、高圧系に設けられている放電抵抗(不図示)などにより高圧バッテリ18の電力が無駄に消費されることを防止することができる。
【0144】
さらに、低圧バッテリ12の電圧低下時に、ACC負荷3の動作を停止し、+B給電モード時より充電電流を大きく設定することにより、より早く低圧バッテリ12を充電し、ACC負荷3の使用を再開することが可能になる。
【0145】
また、残量警告を行い、運転者に注意を促すことにより、より確実に低圧バッテリ12のあがりを防止することができる。
【0146】
次に、図8のフローチャートを参照して、IG給電モード時の低圧バッテリ充電制御処理について説明する。なお、この処理は、例えば、スイッチ17の位置がIGまたはSTARTに設定されたとき開始され、IGおよびSTART以外に設定されたとき終了する。また、スイッチ17の位置がIGまたはSTARTに設定されたとき、スイッチ位置検出部111は、スイッチ17の位置がIGまたはSTARTに設定されたことを、バッテリ状態監視部112、充電制御部113、低圧系負荷動作制御部114、および、通知制御部115に通知する。
【0147】
ステップS81において、図3のステップS6の処理と同様に、DCDCコンバータ11への給電が開始される。
【0148】
ステップS82において、図3のステップS4の処理と同様に、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧以下であるか否かが判定され、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧より大きいと判定された場合、処理はステップS83に進む。
【0149】
ステップS83において、充電制御部113は、高圧系電源ECU21からの情報に基づいて、高圧系負荷の電力要求が所定量以上であるか否かを判定する。高圧系負荷の電力要求が所定量以上でないと判定された場合、処理はステップS84に進む。
【0150】
一方、ステップS82において、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧以下であると判定された場合、ステップS83の処理はスキップされ、処理はステップS84に進む。
【0151】
ステップS84において、図3のステップS5の処理と同様に、DCDCコンバータ11の出力が停止されているか否かが判定され、DCDCコンバータ11の出力が停止されていると判定された場合、処理はステップS85に進む。
【0152】
ステップS85において、図3のステップS7の処理と同様に、DCDCコンバータ11の出力が開始され、低圧バッテリ12の充電が開始される。その後、処理はステップS88に進む。
【0153】
一方、ステップS84において、DCDCコンバータ11の出力が行われていると判定された場合、処理はステップS88に進む。
【0154】
一方、ステップS83において、高圧系負荷の電力要求が所定量以上であると判定された場合、処理はステップS86に進む。
【0155】
ステップS86において、図3のステップS8の処理と同様に、DCDCコンバータ11の出力が行われているか否かが判定され、DCDCコンバータ11の出力が行われていると判定された場合、処理はステップS87に進む。
【0156】
ステップS87において、図3のステップS11の処理と同様に、DCDCコンバータ11の出力が停止され、低圧バッテリ12の充電が停止する。その後、処理はステップS88に進む。
【0157】
一方、ステップS86において、DCDCコンバータ11の出力が停止されていると判定された場合、ステップS87の処理はスキップされ、処理はステップS88に進む。
【0158】
ステップS88において、図6のステップS48の処理と同様に、高圧バッテリ18のSOCが規定量以上であるか否かが判定され、高圧バッテリ18のSOCが規定量未満であると判定された場合、処理はステップS89に進む。
【0159】
ステップS89において、図4のステップS49の処理と同様に、高圧バッテリ18の残量警告が行われる。なお、このとき、自車がHEVまたはPHEVの場合、高圧バッテリ18を用いずに、エンジンのみで走行するモードに移行するようにしてもよい。その後、処理はステップS82に戻り、ステップS82以降の処理が実行される。
【0160】
一方、ステップS88において、高圧バッテリ18のSOCが規定量以上であると判定された場合、処理はステップS82に戻り、ステップS82以降の処理が実行される。
【0161】
なお、HEVまたはPHEVなど高圧バッテリ18以外に別の動力源を有する車両の場合、ステップS88およびS89の処理を省略することも可能である。
【0162】
このように、IG給電モード時には、高圧系負荷の電力要求が所定量未満である場合、または、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧以下である場合、DCDCコンバータ11の出力が行われ、低圧バッテリ12が充電される。一方、加速時など高圧系負荷の電力要求が所定量以上になった場合、低圧バッテリ12の電圧が充電開始電圧以下でなければ、DCDCコンバータ11の出力が停止され、低圧バッテリ12の充電が一時的に停止される。すなわち、高圧系負荷の容量に応じて低圧バッテリ12の充電が制御されるとともに、低圧バッテリ12の電圧低下時には、高圧系負荷の容量に関わらず、低圧バッテリ12の充電が優先して行われる。
【0163】
なお、低圧バッテリ充電制御部101の機能を、DCDCコンバータ11や、低圧バッテリ12に搭載するようにしてもよい。
【0164】
また、上述した一連の低圧バッテリ充電制御部101の処理は、ハードウエアにより実行するようにすることも可能である。
【0165】
さらに、低圧バッテリ充電制御部101の処理をソフトウエアにより実行する場合、低圧バッテリ充電制御部101の処理を実現するためのプログラムは、例えば、電気系統1の図示せぬ記録媒体に予めインストールしておくことも可能であるし、または、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディアに記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供し、インストールすることも可能である。
【0166】
また、低圧バッテリ充電制御部101処理を実現するためのプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0167】
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0168】
1 電気系統
2 +B負荷
3 ACC負荷
4 IG負荷
11 DCDCコンバータ
12 低圧バッテリ
13 IVTセンサ
14 電流センサ回路
15 低圧系J/B
16 低圧系電源ECU
17 スイッチ
18 高圧バッテリ
19 BMU
20 高圧系J/B
21 高圧系電源ECU
22 車両ECU
31 電圧変換部
32 出力電圧検出回路
33 出力電流検出回路
36 制御部
51 CPU
101 低圧バッテリ充電制御部
102 通知部
111 スイッチ位置検出部
112 バッテリ状態監視部
113 充電制御部
114 低圧系負荷動作制御部
115 通知制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動力源である第1のバッテリの電圧を変換する電圧変換部から出力される電力により充電され、前記車両に設けられている電気部品に電力を供給する第2のバッテリの充電を制御する充電制御装置において、
前記電気部品のうち常時給電される第1の負荷以外の前記電気部品への給電が停止され、かつ、前記電圧変換部が停止し、かつ、前記車両が走行できない第1の状態に設定されている間、前記第2のバッテリの電圧の監視を間欠的に行う監視手段と、
前記第1の状態に設定されている場合に、前記第2のバッテリの電圧が所定の閾値以下になったとき、前記電圧変換部を起動し、前記電圧変換部を介して前記第1のバッテリの電力により前記第2のバッテリを充電するように制御する充電制御手段と
を含む充電制御装置。
【請求項2】
前記監視手段は、さらに、前記第1の負荷以外の前記電気部品の一部からなる第2の負荷に給電可能であり、かつ、前記電圧変換部が停止し、かつ、前記車両が走行できない第2の状態に設定されている間、前記第2のバッテリの電圧の監視を間欠的に行い、
前記充電制御手段は、さらに、前記第2の状態に設定されている場合に、前記第2のバッテリの電圧が前記閾値以下になったとき、前記電圧変換部を起動し、前記電圧変換部を介して前記第1のバッテリの電力により前記第2のバッテリを充電するように制御し、
前記第2の状態に設定されている場合に、前記第2のバッテリの電圧が前記閾値以下になったとき、前記第2の負荷の少なくとも一部の動作を停止させる動作制御手段をさらに含む
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
車両の動力源である第1のバッテリの電圧を変換する電圧変換部から出力される電力により充電され、前記車両に設けられている電気部品に電力を供給する第2のバッテリの充電を制御する充電制御装置が、
前記電気部品のうち常時給電される第1の負荷以外の前記電気部品への給電が停止され、かつ、前記電圧変換部が停止し、かつ、前記車両が走行できない第1の状態に設定されている間、前記第2のバッテリの電圧の監視を間欠的に行い、
前記第1の状態に設定されている場合に、前記第2のバッテリの電圧が所定の閾値以下になったとき、前記電圧変換部を起動し、前記電圧変換部を介して前記第1のバッテリの電力により前記第2のバッテリを充電するように制御する
ステップを含む充電制御方法。
【請求項4】
車両の動力源である第1のバッテリの電圧を変換する電圧変換部から出力される電力により充電され、前記車両に設けられている電気部品に電力を供給する第2のバッテリの充電を制御するコンピュータに、
前記電気部品のうち常時給電される第1の負荷以外の前記電気部品への給電が停止され、かつ、前記電圧変換部が停止し、かつ、前記車両が走行できない第1の状態に設定されている間、前記第2のバッテリの電圧の監視を間欠的に行い、
前記第1の状態に設定されている場合に、前記第2のバッテリの電圧が所定の閾値以下になったとき、前記電圧変換部を起動し、前記電圧変換部を介して前記第1のバッテリの電力により前記第2のバッテリを充電するように制御する
ステップを含む処理を実行させるプログラム。
【請求項5】
車両の動力源である第1のバッテリの電圧を変換する電圧変換手段と、
前記電圧変換手段から出力される電力により充電される第2のバッテリから電力が供給される電気部品のうち常時給電される第1の負荷以外の前記電気部品への給電が停止され、かつ、前記電圧変換手段が停止し、かつ、前記車両が走行できない第1の状態に設定されている間、前記第2のバッテリの電圧の監視を間欠的に行う監視手段と、
前記第1の状態に設定されている場合に、前記第2のバッテリの電圧が所定の閾値以下になったとき、前記電圧変換手段を起動し、前記電圧変換手段を介して前記第1のバッテリの電力により前記第2のバッテリを充電するように制御する充電制御手段と
を含む充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−206885(P2010−206885A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47596(P2009−47596)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】