説明

光スキャナ及び画像投影装置

【課題】大型化を招くことなく揺動軸部のがたつきを防止可能な光スキャナと、その光スキャナを利用した画像投影装置とを提供すること。
【解決手段】揺動軸部と、揺動軸部に設けられた反射面を有する揺動体と、揺動軸部を支持するベース台と、揺動軸部を揺動させる駆動部とを備える光スキャナである。ベース台には、揺動軸部の一端を支持する第1軸受と、揺動軸部の他端を支持する第2軸受とが設けられる。揺動軸部は、テーパ状に形成されたテーパ部分を、その一端に有する。そして、第1軸受はテーパ部分に係合するスラスト軸受であり、第2軸受は揺動軸部の外周面と接触するラジアル軸受である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射した光を所定方向に走査する光スキャナと、その光スキャナを利用した画像投影装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型の光スキャナとして、MEMSミラーが使用されている。例えば、特許文献1には、反射ミラー部を支持するミラー支持部と、枠体とが別体に設けられた光スキャナが提案されている。枠体には、ベアリングが設けられる。そして、ミラー支持部は、このベアリングによって軸支される。特許文献1に記載の光スキャナによれば、枠体とミラー支持部とが別体に設けられるので、反射ミラー部が揺動する際に、ミラー支持部の捩れに起因する復元力が働かない。その結果、ミラー支持部の共振周波数に基づく共振振動を十分に抑制させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−244798号公報(図2、図6など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した特許文献1では、ミラー支持部は、ラジアル軸受によって両持ち支持される。しかし、ラジアル軸受だけによってミラー支持部が支持されると、ミラー支持部はその長手方向に微少量摺動可能となる。以降、ミラー支持部の長手方向における微少量の摺動を、「がたつき」と呼称する。ミラー支持部ががたつくと、反射ミラー部もがたつく。これにより、反射ミラー部に入射する光の位置が変化する。その結果、例えば反射ミラー部の表面形状が場所によって異なる場合、反射光の波面形状が変化するという問題が生じる。さらには、ミラー部のがたつきの大きさによっては、入射光が反射ミラー部からはみ出る可能性もある。即ち、ラジアル軸受だけによってミラー支持部が支持されると、反射光の光学特性を劣化させる可能性がある。
【0005】
ミラー支持部のがたつきを防止するためには、ラジアル軸受と、スラスト軸受との併用が考えられる。本発明者は、この観点に基づいて、図1に示されるように、参考例としての光スキャナ100を作成した。
【0006】
光スキャナ100は、ミラー支持部しての揺動軸部110と、第1軸受120と、第2軸受130と、電磁駆動部140と、枠体としてのベース台150とを備える。光スキャナ100では、第1軸受120及び第2軸受130によって、揺動軸部110が台座150に対して揺動可能となる。光スキャナ100は、その揺動軸部110が電磁駆動部140によって揺動される、いわゆるムービングコイル型の電磁スキャナである。
【0007】
ベース台150は、図1(B)に示されるように、X方向から見た形状がU字状の構造である。ベース台150は、アルミニウムやステンレスなどの金属によって構成されてよい。ベース台150は、X方向から見た形状がL字状の主部分151と、その主部分151のY方向負側にネジ等で固定される板状部分152とを有する。主部分151には、Y方向に沿って貫通する貫通孔153が設けられる。板状部分152には、Y方向に沿って貫通する貫通孔154が設けられる。貫通孔153及び貫通孔154は、X方向及びZ方向の位置において、同一位置に存在する。
【0008】
第1軸受120及び第2軸受130は、同一の構造である。そのため、第1軸受120の説明を行うことで、第2軸受130の説明は省略される。第1軸受120は、Y方向に平行な貫通孔を有する。この貫通孔の内壁には、揺動軸部110の外周面に接触するラジアル接触面121が設けられる。また、第1軸受120のY方向負側の面には、後記する揺動軸部110の段差部分112に接触するスラスト接触面122が設けられる。第1軸受120及び第2軸受130は、例えば樹脂によって構成される。なお、ラジアル接触面121及びスラスト接触面122には、耐摩耗性と低摩擦性を得るために、硬質クロム/クロムモリブデンめっきやフッ素樹脂コーティングなどの処理が施されてもよい。第1軸受120は貫通孔153に、第2軸受130は貫通孔154に、それぞれ嵌挿される。
【0009】
揺動軸部110は、揺動体111と、段差部分112,113とを有する。揺動軸部110は、Y方向に平行に伸びる円柱状の部材である。揺動軸部110の中心軸は、第1揺動軸線L1に一致する。揺動軸部110は、例えばステンレスなどの金属材料によって構成される。揺動軸部110の中心部分には、Z方向正側からZ方向負側へ向かって揺動軸部110が所定量削除されることで、揺動体111が設けられる。揺動体111の表面には、鏡面研磨されることで、反射面111aが形成される。なお、第1揺動軸線L1は、反射面111a上に存在する。揺動軸部110には、第1揺動軸線L1から揺動軸部110の外周面までの距離が、Y方向において変化する段差部分112、113が設けられる。段差部分112のY方向正側の面は、第1軸受120のスラスト接触面122に接触する。段差部分113のY方向負側の面は、第2軸受130のスラスト接触面132に接触する。すなわち、第1軸受120及び第2軸受130は、揺動軸部110の両端において、ラジアル軸受とスラスト軸受との両方の機能を果たす。
【0010】
電磁駆動部140は、コイル141と、永久磁石142,143とを有する。永久磁石142,143は、主部分151と板状部分152との間において、ベース台150に設けられる。永久磁石142,143は、どちらもX方向に着磁されている。永久磁石142,143は、異極が互いに対向するように、X方向に離間した状態で配置される。コイル141は、配線パターンが永久磁石142,143によって生じる磁界の向きに沿うようにして、揺動軸部110の揺動体111の反対側に取り付けられる。コイル141には、図1に非図示の配線を介して、外部から電流が供給される。コイル141を流れる電流と永久磁石142,143が発生する磁界との相互作用により、揺動体111及び揺動軸部110は、第1揺動軸線L1回りに揺動する。
【0011】
図1に示される光スキャナ100では、第1軸受120及び第2軸受130が、ラジアル軸受とスラスト軸受との両方の機能を果たす。そのため、揺動軸部110の第1揺動軸線L1方向への摺動が防止される。しかし、第1軸受120及び第2軸受130のように、ラジアル軸受とスラスト軸受との両方の機能を果たす軸受は、ラジアル軸受による支持領域を大きく取る必要があるので、第1揺動軸線L1方向のサイズが大きくなるという問題がある。そのため、揺動軸部110の両端がラジアル軸受とスラスト軸受との両方で支持されるような光スキャナ100の構成では、光スキャナの大型化を招くという課題がある。
【0012】
本発明は、枠体とミラー支持部とが別体に設けられる光スキャナにおいて、大型化を招くことなく揺動軸部のがたつきを防止可能な光スキャナと、その光スキャナを利用した画像投影装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の一側面は、第1揺動軸線を中心として揺動し、前記第1揺動軸線に平行に延びる揺動軸部と、前記揺動軸部に設けられ、入射される光を反射する反射面を有する揺動体と、前記揺動軸部を支持するベース台と、前記ベース台に設けられ、前記揺動軸部の一端を支持する第1軸受と、前記ベース台に設けられ、前記揺動軸部の他端を支持する第2軸受と、前記揺動軸部を揺動させる駆動部とを備え、前記揺動軸部は、テーパ状に形成されたテーパ部分を、前記一端に有し、前記第1軸受は、前記テーパ部分に係合するスラスト軸受であり、前記第2軸受は、前記揺動軸部の外周面と接触するラジアル軸受である、ことを特徴とする光スキャナである。
【0014】
これによれば、テーパ部分を有する揺動軸部の一端は、スラスト軸受である第1軸受によって支持される。そして、揺動軸部の他端は、ラジアル軸受である第2軸受によって支持される。そのため、第1軸受及び第2軸受は、ラジアル軸受とスラスト軸受との両方の機能を有する必要がない。従って、光スキャナ全体が大型化することはない。また、第1軸受はスラスト軸受、第2軸受はラジアル軸受であるので、揺動軸部のがたつきを防止することも可能となっている。さらに、第1軸受は、揺動軸部のテーパ部分に係合するようになっているので、軸心の調整も容易になる。
【0015】
この光スキャナは、他の構成をさらに含むこともできる。即ち、前記揺動軸部を、前記第1軸受に対して前記第1揺動軸線に沿う方向に付勢する付勢部をさらに有してもよい。
【0016】
これによれば、揺動軸部は、付勢部によって第1軸受に対して第1揺動軸線に沿う方向に付勢される。従って、揺動軸部のがたつきがさらに防止される。
【0017】
また、前記付勢部は、前記揺動軸部に設けられ、前記揺動軸部の中心軸から前記揺動軸部の外周面までの距離が、前記第1揺動軸線方向において変化する段差部分と、前記第2軸受に設けられ、前記揺動軸線に沿う方向において前記段差部分に係合する第1係合部分とを有してもよい。
【0018】
これによれば、付勢部は、揺動軸部に設けられた段差部分と、第2軸受に設けられた係合部分とを有する。段差部分が第2軸受の係合部分に接触するため、第1揺動軸線に平行な方向における、揺動軸部の位置決めが可能となる。
【0019】
また、前記第2軸受は、前記ベース台とは別体に構成され、前記ベース台と係合する第2係合部分を有し、前記ベース台によって前記第2係合部分が付勢されることで、前記第1係合部分及び前記段差部分を介して、前記揺動軸部を前記第1軸受に対して前記第1揺動軸線に沿う方向に付勢してもよい。
【0020】
これによれば、第2軸受は、ベース台とは別体に構成される。第2軸受の周囲で揺動軸部がベース台に直接接触しないので、揺動軸部が揺動する際の抵抗を軽減することができる。また、第2係合部分がベース台に係合することで、ベース台によって揺動軸部を付勢することができる。そのため、揺動軸部を付勢するための特別な構成が不要となる。
【0021】
また、前記駆動部は、前記ベース台に設けられた磁界発生部と、前記磁界発生部が発生する磁界の向きに沿って設けられ、前記揺動軸部に取り付けられたコイルとを有し、前記コイルを流れる電流と前記磁界発生部が発生する磁界との相互作用により、前記揺動体及び前記揺動軸部を前記第1揺動軸線回りに揺動させてもよい。
【0022】
これによれば、揺動軸部の捩れに起因する復元力が働かないので、共振周波数に基づく共振振動を十分に抑制させた電磁式の光スキャナが得られる。
【0023】
また、前記揺動体は、前記反射面を含み、前記第1揺動軸線の方向に直交する第2揺動軸線を中心として揺動するミラー部と、前記ミラー部の両側に連結され、前記第2揺動軸線に平行に延出する一対の捩れ梁部と、前記一対の捩れ梁部の前記ミラー部と反対側の端にその一端が連結され、前記ミラー部から離間する方向に延出する本体部と、前記本体部の他端側に接続され、前記揺動軸部に対して取り付けられる被取付部と、が金属で一体に構成された平板状の構造体と、前記本体部に設けられ、前記本体部に板波を励起することで、前記本体部及び前記一対の捩れ梁部を介して前記ミラー部を揺動させる圧電駆動部と、を有してもよい。
【0024】
これによれば、揺動体は、構造体と圧電駆動部とを有し、第2揺動軸線を中心として揺動する、共振型の光スキャナであるといえる。即ち、揺動体によって第2揺動軸線を中心とした揺動方向に高速走査され、揺動軸部によって第1揺動軸線を中心とした揺動方向に低速走査される2次元光スキャナが得られる。
【0025】
また、前記被取付部は、前記ミラー部よりも前記第1軸受の近くに位置するように、前記揺動軸部に対して取り付けられてもよい。
【0026】
これによれば、被取付部がミラー部よりも第1軸受の近くに位置する状態で、揺動体は、被取付部において片持支持される。第1軸受はスラスト軸受であるので、揺動体及び揺動軸部が第1揺動軸線を中心として揺動される際に、揺動軸部の振動が第2軸受の周囲よりも小さくなる。従って、揺動体に伝わる振動が小さくなるので、第2揺動軸線を中心とした揺動方向の走査のブレが小さくなる。即ち、安定した走査が可能となる。
【0027】
また、本発明の他の側面は、光を走査して画像を形成するための、前記した光スキャナと、前記光スキャナに光を供給するための光源と、前記光スキャナによって走査された光を被投影面に導く導光部とを備える、ことを特徴する画像投影装置である。
【0028】
これによれば、大型化を招くことなく揺動軸部のがたつきを防止可能な光スキャナを用いた画像投影装置が提供される。そのため、画像投影装置の小型化が可能になる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、大型化を招くことなく揺動軸部のがたつきを防止可能な光スキャナ
と、その光スキャナを利用した画像投影装置とが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】光スキャナ100の説明図。((A):光スキャナ100の斜視からの図、(B):光スキャナ100のA−A断面の図、(C):光スキャナ100の平面の図)
【図2】本発明の第1実施形態に係る、光スキャナ200の説明図。((A):光スキャナ200の斜視からの図、(B):光スキャナ200のA−A断面の図、(C):光スキャナ200の平面の図)
【図3】光スキャナ200における、第2軸受230の周囲を拡大した断面の図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る、網膜走査ディスプレイ1の構成を説明する図。
【図5】本発明の第2実施形態に係る、光スキャナ300の説明図。((A):光スキャナ300の斜視からの図、(B):光スキャナ300のA−A断面の図、(C):光スキャナ300の平面の図)
【図6】本発明の第2実施形態に係る、網膜走査ディスプレイ2の構成を説明する図。
【図7】本発明の他の実施形態に係る、レーザプロジェクタ4の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の一側面を反映した実施形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。本発明の一側面は以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に説明する各構成において、所定の構成を省略し、または他の構成などに置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
【0032】
<第1の実施形態>
[光スキャナ200の構成]
図2に示されるように、光スキャナ200は、揺動軸部210と、第1軸受220と、第2軸受230と、電磁駆動部240と、ベース台250とを備える。光スキャナ200は、前記した光スキャナ100と同様に、ムービングコイル型の電磁スキャナである。
【0033】
ベース台250は、図2(B)に示されるように、X方向から見た形状がU字状の構造である。ベース台250は、前記したベース台150と同様の構成を有する。即ち、ベース台250は、主部分251と、板状部分252とを有する。主部分251にはY方向に沿って貫通する貫通孔253が設けられ、板状部分252にはY方向に沿って貫通する貫通孔254が設けられる。貫通孔253及び貫通孔254は、X方向及びZ方向の位置において、同一位置に存在する。なお、貫通孔254の内径は、揺動軸部210の外径よりも十分大きい。揺動軸部210は、第2軸受230によって支持されるため、揺動軸部210の外周面は、貫通孔254に接触しない。そのため、揺動軸部210が揺動する際に、揺動軸部210の外周面と貫通孔254の内壁とが接触することによる抵抗が生じない。
【0034】
前記した第1軸受120が貫通孔を有していたのに対し、第1軸受220は、そのY方向正側の表面からY方向負側に向けて掘り下げされた止まり穴を有する。この止まり穴は、第1軸受220のY方向中心辺りまでは同一径で進行し、その先がすり鉢状に窄まっている。このすり鉢状に窄まった部分の表面が、テーパ当接面221である。テーパ当接面221には、後記する揺動軸部210のテーパ部分212が当接保持される。第1軸受220は、例えば樹脂によって構成される。なお、テーパ当接面221には、硬質クロム/クロムモリブデンめっきやフッ素樹脂コーティングなどの処理が施されてもよい。
【0035】
図2(B)及び図3に示されるように、第2軸受230は、ベース台250の板状部分252とは別体に構成される。第2軸受230は、ラジアル接触面231と、第1係合部分としてのスラスト接触面232と、第2係合部分としてのベース台係合部分233とを有する。第2軸受230は、Y方向に貫通する貫通孔を有する、円筒状の構成である。この貫通孔の内径は、揺動軸部210を支持可能なように、揺動軸部210の外径よりも大きい。そして、この貫通孔の内壁には、揺動軸部210の外周面に接触するラジアル接触面231が設けられる。第2軸受230のY方向正側の面には、後記する揺動軸部210の段差部分213に接触する、スラスト接触面232が設けられる。また、第2軸受230の外径は、板状部分252の貫通孔254の内径よりも大きい。そして、第2軸受230のY方向負側の端部には、その外径が貫通孔254の内径よりも小さいベース台係合部分233が設けられる。このベース台係合部分233が貫通孔254に係合することで、第2軸受230は、ベース台250の板状部分252と揺動軸部210の段差部分213との間に保持される。そして、板状部分252のバネ性を利用して、第2軸受230は、Y方向正側に付勢される。Y方向正側に付勢された第2軸受230は、スラスト接触面232によって、段差部分213をY方向正側に付勢する。その結果、揺動軸部210は、第1軸受220に対して第1揺動軸線L1に沿う方向に付勢される。なお、第2軸受230は、例えば樹脂によって構成される。また、ラジアル接触面231と、スラスト接触面232と、ベース台係合部分233とには、耐摩耗性と低摩擦性を得るために、硬質クロム/クロムモリブデンめっきやフッ素樹脂コーティングなどの処理が施されてもよい。
【0036】
揺動軸部210は、揺動体211と、テーパ部分212と、段差部分213とを有する。揺動軸部210は、Y方向に平行に伸びる円柱状の部材である。揺動軸部210の中心軸は、第1揺動軸線L1に一致する。揺動軸部210は、例えばステンレスなどの金属材料によって構成される。揺動軸部210の中心部分には、揺動軸部110の場合と同様に、揺動体211が設けられる。揺動体211の表面には、鏡面研磨されることで、反射面211aが形成される。なお、鏡面加工された別部材が貼り付けられることで、反射面211aが形成されてもよい。また、第1揺動軸線L1は、反射面211a上に存在する。揺動軸部のY方向負側の端部には、Y方向に沿って径が小さくなる形状の(即ち、テーパ状の)テーパ部分212が形成される。このテーパ部分212の表面は、第1軸受220のテーパ当接面221に当接保持される。揺動軸部210には、第1揺動軸線L1から揺動軸部210の外周面までの距離が、Y方向において変化する段差部分213が設けられる。段差部分213のY方向負側の面は、第2軸受230のスラスト接触面232に接触する。この接触により、揺動軸部210のY方向における位置決めがなされる。また、段差部分213は、第2軸受230を介して、板状部分252によってY方向正側に付勢される。そのため、テーパ部分212は、テーパ当接面221に対して押し付けられる。その結果、揺動軸部210のがたつきが防止されるとともに、揺動動軸部120の軸心の調整も容易となる。また、揺動軸部210にはテーパ部分212が設けられるため、揺動軸部110が利用される光スキャナ100と比較して、光スキャナ200のY方向におけるサイズを小さくすることが可能になる。
【0037】
電磁駆動部240は、コイル241と、磁界発生部としての永久磁石242とを有する。永久磁石242は、X方向に着磁された状態で、コイル241に対向するように、ベース台150に設けられる。コイル241は、配線パターンが永久磁石242によって生じる磁界の向きに沿うようにして、揺動軸部210の揺動体211の反対側に取り付けられる。コイル241は、合成樹脂等の非磁性体で構成された平板状の支持部材に対して、薄膜状の平面コイルを貼り付けることで構成される。薄膜状の平面コイルは、例えば、フィルム状の絶縁体(ベースフィルム)の上に接着層を形成し、さらにその上に渦巻き状の導電パターンを導体箔によって形成したフレキシブルプリント基板(FPC)である。なお、コイル241は、支持部材にFPCを貼り付ける構成でなく、支持部材に導電パターンが直接形成される様態であってもよい。また、コイル241は、巻き線コイル等のコイルによって構成されてもよい。なお、永久磁石242の代わりに、磁界発生部として電磁石が用いられても差し支えない。
【0038】
[網膜走査ディスプレイ1の構成]
前記した光スキャナ200は、画像を形成するために光を走査する構成として、網膜走査ディスプレイ1に用いることが可能である。図4は、網膜走査ディスプレイ1の全体構成について説明する図である。網膜走査ディスプレイ1は、観察者の瞳孔52に入射した光束を用いて網膜54上に画像を投影することによって、観察者に虚像を視認させる装置である。
【0039】
網膜走査ディスプレイ1は、制御ユニット1aと、頭部表示ユニット1bとで構成される。制御ユニット1aと頭部表示ユニット1bとは、別体に構成される。制御ユニット1aは、例えば使用者の腰などに取り付けられる。頭部表示ユニット1bは、制御ユニット1aと電気的及び光学的な信号を伝達可能な信号線によって接続される。頭部表示ユニット1bは、例えば米国特許出願公開2010/0073262号公報などに開示されているように、眼鏡型の装着具などを用いて使用者の頭部に装着される。勿論、制御ユニット1aと、頭部表示ユニット1bとが一体に構成されても差し支えない。
【0040】
制御ユニット1aは、映像信号処理回路3、光源部30及び光合波部40を備える。映像信号処理回路3は、外部から供給される映像信号に基づいて、画像を形成するためのB信号、G信号、R信号、水平同期信号及び垂直同期信号を発生する。
【0041】
光源部30は、Bレーザドライバ31、Gレーザドライバ32、Rレーザドライバ33、Bレーザ34、Gレーザ35及びRレーザ36を備える。Bレーザドライバ31は、映像信号処理回路3からのB信号に応じた強度の青色の光束を発生させるように、Bレーザ34を駆動する。Gレーザドライバ32は、映像信号処理回路3からのG信号に応じた強度の緑色の光束を発生させるように、Gレーザ35を駆動する。Rレーザドライバ33は、映像信号処理回路3からのR信号に応じた強度の赤色の光束を発生させるように、Rレーザ36を駆動する。Bレーザ34,Gレーザ35及びRレーザ36は、例えば半導体レーザや高調波発生機構付き固体レーザを用いて構成できる。
【0042】
光合波部40は、コリメート光学系41,42,43と、このコリメートされたレーザ光を合波するためのダイクロイックミラー44,45,46と、合波されたレーザ光を集光する集光光学系47とを備える。Bレーザ34から出射した青色レーザ光は、コリメート光学系41によって平行光化される。平行光化された青色レーザ光は、ダイクロイックミラー44に入射する。Gレーザ35から出射した緑色レーザ光は、コリメート光学系42によって平行光化される。平行光化された緑色レーザ光は、ダイクロイックミラー45に入射する。Rレーザ36から出射した赤色レーザ光は、コリメート光学系43によって平行光化される。平行光化された赤色レーザ光は、ダイクロイックミラー46に入射する。ダイクロイックミラー44,45,46にそれぞれ入射した青色、緑色及び赤色レーザ光は、波長選択的に反射または透過されて1本の光束として合波され、集光光学系47に達する。合波されたレーザ光は、集光光学系47によって集光され、光ファイバ等を介して頭部表示ユニット1bに導かれる。
【0043】
頭部表示ユニット1bは、コリメート光学系20、水平走査ドライバ23、水平走査スキャナ10、リレー光学系24、垂直走査ドライバ26、光スキャナ200及び接眼光学系27を備える。
【0044】
コリメート光学系20は、光ファイバ等を介して制御ユニット1aから導かれたレーザ光を平行光に変換する。平行光に変換されたレーザ光は、水平走査スキャナ10に入射する。
【0045】
水平走査スキャナ10は、コリメート光学系20からのレーザ光を水平方向(例えば、観察者の眼に対して左右方向)に走査する。具体的には、水平走査ドライバ23は、映像信号処理回路3からの水平同期信号に従って、水平走査スキャナ10の揺動状態を制御する。水平走査されたレーザ光は、リレー光学系24に入射する。水平走査スキャナ10としては、例えば、圧電素子によって駆動される光スキャナであって、光スキャナの外形を構成する構造体の共振現象を利用した共振型の光スキャナが利用可能である(例えば、特開2006−293116号公報を参照)。
【0046】
リレー光学系24は、正の屈折力を持つレンズ系24a、24bを有する。レンズ系24aは、水平走査スキャナ10からレンズ系24aの焦点距離を離れた位置に配置される。従って、水平走査されたレーザ光は、レンズ系24aによって互いの光軸が平行になるように屈折される。また、水平走査されたレーザ光は、コリメート光学系20によって平行光化されているので、集束光として変換される。図4では、レーザ光の光軸が点線で示され、リレー光学系24及び接眼光学系27の中心(=光軸)を通過するレーザ光の光線が実線で示される。レンズ系24bは、レンズ系24aから、レンズ系24aの焦点距離とレンズ系24bの焦点距離との合計の距離を離れた位置に配置される。従って、レンズ系24aを通過したレーザ光は、レンズ系24bによって互いの光軸が光スキャナ200の反射面211aに集束するように屈折される。また、レンズ系24aを通過した際に集束光として変換されたレーザ光は、レンズ系24bによって再度平行光化される。即ち、リレー光学系24は、水平走査スキャナ10において形成された光学瞳(=レーザ光の入射点)を、光スキャナ200の反射面211a上に転送する機能を果たす。
【0047】
光スキャナ200は、リレー光学系24からのレーザ光を垂直方向(例えば、観察者の眼に対して上下方向)に走査する。垂直走査ドライバ26は、映像信号処理回路3からの垂直同期信号に従って、光スキャナ200の揺動状態を制御する。ここで、レーザ光は、水平走査スキャナ10によって水平方向に走査されているので、光スキャナ200によって二次元的に走査された画像光となる。二次元走査された画像光は、接眼光学系27に入射する。
【0048】
接眼光学系27は、正の屈折力を持つレンズ系27a、27bを有する。接眼光学系27は、リレー光学系24と同様に、光スキャナ200において形成された光学瞳を、観察者の眼の瞳孔52に転送する機能を果たす。接眼光学系27を出射した画像光は、観察者の眼の瞳孔52を通過し、網膜54に結像する。従って、観察者は、画像を視認する。
【0049】
<第2の実施形態>
第1の実施形態における光スキャナ200では、揺動体211は揺動軸部210の一部分であった。そして、揺動体211の表面には、反射面211aが設けられた。即ち、光スキャナ200は、揺動軸線L1を中心として揺動軸部210が回転することで、入射した光をX方向に走査する1次元光スキャナである。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明は、揺動体を別の構成とすることで、2次元光スキャナとしての側面を有することも可能である。以下、図5を用いて、2次元光スキャナである光スキャナ300の説明を行う。なお、光スキャナ300において、前記した光スキャナ200と同一の構成に関しては、同一の図番を採用することで説明が省略される。
【0050】
[光スキャナ300の構成]
光スキャナ300は、揺動軸部310の構成において、前記した光スキャナ200と相違する。揺動軸部310は、揺動軸部210と同様に、Y方向に平行に伸びる円柱状の部材である。揺動軸部310は、揺動体311と、テーパ部分312と、段差部分313とを有する。テーパ部分312及び段差部分313は、光スキャナ200におけるテーパ部分212及び段差部分213と同様の構成である。一方、光スキャナ200の揺動体211とは異なり、光スキャナ300の揺動体311は、揺動軸部310とは別体に構成された、平板状の金属部材である。揺動体311には、後記する圧電駆動部311dが設けられる。この圧電駆動部311dが構造体311の共振周波数にて周期的に伸縮することで、構造体311に板波振動が励起される。この板波振動が構造体311を伝達することで、構造体311に含まれる反射面311aは、第2揺動軸線L2を中心として揺動する。
【0051】
揺動体311は、ミラー部311aと、捩れ梁部311b1,311b2と、本体部311cと、圧電駆動部311dとを有する。揺動体311は、第1揺動軸線L1に対して、線対称に形成される。揺動体311は、エッチング加工やプレス加工等の除去加工を用いて、厚さ数十から数百μmのステンレスやチタンなどの金属板に対して、上記の各構成を形成することで製造される。但し、揺動体311は、シリコンウエハなどの非金属材料によって形成されても差し支えない。この場合、非金属材料の表面には金属薄膜などの導電層が設けられるとよい。
【0052】
ミラー部311aは、X方向に平行な第2揺動軸線L2を中心として、所定の共振周波数で揺動する。ミラー部311aは、Z方向から見て略円形に構成される。但し、ミラー部311aは、四角形や多角形など、他の形状であっても差し支えない。ミラー部311aのZ方向正側の面には、入射した光を反射するように、反射面311a1が設けられる。反射面311a1は、ミラー部311aのZ方向正側の面を鏡面研磨することで形成される。但し、鏡面研磨に変えて、アルミニウムや銀などの可視光に対して高い反射率を有する金属薄膜が、蒸着やスパッタリング等によって、反射面311aのZ方向正側の面に設けられることで、反射面311a1が形成されてもよい。
【0053】
捩れ梁部311b1,311b2は、ミラー部311aの両側に連結され、第2揺動軸線L2に平行に延出する。具体的には、捩れ梁部311b1は、ミラー部311aから第2揺動軸線L2に平行にX方向正側に延出し、捩れ梁部311b2は、ミラー部311aから第2揺動軸線L2に平行にX方向負側に延出する。
【0054】
本体部311cは、耳部分311c1,311c2と、被取付部311c3とを有する。耳部分311c1には、捩れ梁部311b1のX方向正側の端部が接続される。耳部分311c2には、捩れ梁部311b2のX方向負側の端部が接続される。耳部分311c1は、本体部311cのY方向負側の辺において、本体部311cのX方向正側の端部に連結される。耳部分311c2は、本体部311cのY方向負側の辺において、本体部311cのX方向負側の端部に連結される。本体部311cは、耳部分311c1,311c2と捩れ梁部311b1,311b2bとの接続位置から、ミラー部311aから離間する方向、即ちY方向正側に延出する。本体部311cのY方向正側の端部には、被取付部311c3が設けられる。
【0055】
被取付部311c3は、本体部311cに圧電駆動部311dが設けられた状態で、揺動軸部310に対して固定される。この固定では、第2揺動軸線L2が第1揺動軸線L1に対して直交するように、換言すれば、第2揺動軸線L2がX方向に平行になるようにして、被取付部311c3と揺動軸部310とが固定される。また、被取付部311c3と揺動軸部310との固定位置は、第1軸受220に隣接する。揺動軸部310のテーパ部分312がテーパ当接面221に対して押しつけられるので、第1軸受220の周囲における揺動軸部310の振動は、第2軸受230の周囲における揺動軸部310の振動よりも小さい。そのため、被取付部311c3がミラー部311aよりも第1軸受220の近くに位置することで、揺動軸部310から揺動体311に対して伝わる振動の量を小さくできる。その結果、第2揺動軸線L2を中心とした揺動が安定する。ここで、本体部311cが揺動軸部310に対して固定された状態で、第1揺動軸線L1は、反射面311a上に存在する。そのため、揺動体311のZ方向負側に位置する揺動軸部310の部分は、揺動体311が振動できる空間を確保するために、第1揺動軸線L1よりもZ方向負側に向かって所定量削除される。
【0056】
圧電駆動部311dは、本体部311cの中心位置において、本体部311cのZ方向正側の面に設けられる。圧電駆動部311dは、例えば、厚さ30μm〜100μmの平板状に成形されたチタン酸ジルコン酸鉛などの圧電材料の両面に対して、電極層として金や白金等を0.2μm〜0.6μm積層することで形成される。圧電駆動部311dと本体部311cとは、導電性接着剤で接着される。この導電性接着剤は、例えば、熱硬化性を有するエポキシ系、アクリル系、シリコン系等の合成樹脂製の基剤内に、銀、金、銅等で構成された金属フィラーを分散させたものである。先ず、本体部311cに塗布された導電性接着剤の上に、圧電駆動部311dが載置される。その状態で、導電性接着剤が熱硬化されることにより、圧電駆動部311dと本体部311cとが接着される。揺動体311は金属板で形成されるので、揺動体311と圧電駆動部311dのZ方向正側の電極層との間に揺動体311の共振周波数に相当する交流電圧が印加されることで、本体部311cに板波が励起される。この板波が、本体部311c及び捩れ梁部311b1,311b2を介してミラー部311aに伝達されることで、ミラー部311aは、所定の共振周波数において揺動する。
【0057】
[網膜走査ディスプレイ2の構成]
前記した光スキャナ300は、画像を形成するために光を走査する構成として、網膜走査ディスプレイ2に用いることが可能である。第1の実施形態における網膜走査ディスプレイ1では、光を水平方向に走査する水平走査スキャナ10と、光を垂直方向に走査する光スキャナ200とは、別体の構成である。しかし、光スキャナ300は2次元走査が可能であるため、網膜走査ディスプレイ2では、光スキャナ300のみによって、水平方向の走査と垂直方向の走査とが達成される。以下、図6を用いて、網膜走査ディスプレイ2の構成を説明する。
【0058】
網膜走査ディスプレイ2は、制御ユニット2aと、頭部表示ユニット2bとで構成される。制御ユニット2aの構成は、網膜走査ディスプレイ2における制御ユニット1aのものと同一である。そのため、頭部表示ユニット2bに対する説明のみを行う。頭部表示ユニット2bも、頭部表示ユニット1bと同様に、眼鏡型の装着具などを用いて使用者の頭部に装着される。
【0059】
頭部表示ユニット2bは、コリメート光学系20、水平走査ドライバ23、垂直走査ドライバ26、光スキャナ300及び接眼光学系27を備える。なお、第1の実施形態における頭部表示ユニット1bに含まれる構成と同様の構成に関しては、同一の図番が付与される。コリメート光学系20は、制御ユニット2aから導かれたレーザ光を平行光化し、光スキャナ300の反射面311a1に入射する。光スキャナ300は、水平走査ドライバ23及び垂直走査ドライバ26によってその揺動状態を制御され、入射したレーザ光を二次元走査された画像光に変換する。具体的には、水平走査ドライバ23は、揺動体311の本体部311cと圧電駆動部311dとに電気的に接続される。水平走査ドライバ23は、映像信号処理回路3からの水平同期信号に基づいて生成された駆動電流を圧電駆動部311dに対して供給することで、ミラー部311aを水平方向に揺動させる。垂直走査ドライバ26は、コイル241に電気的に接続される。垂直走査ドライバ26は、映像信号処理回路3からの垂直同期信号に基づいて生成された駆動電流をコイル241に供給することで、揺動軸部310の垂直方向に揺動させる。二次元走査された画像光は、接眼光学系27によって、観察者の眼の瞳孔52を通過し、網膜54に結像する。
【0060】
<変形例>
本発明は、今までに述べた実施形態に限定されることは無く、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形・変更が可能である。以下にその一例を述べる。
【0061】
前記した実施形態において、段差部分213は、第2軸受230を介して、板状部分252によってY方向正側に付勢される。しかし、テーパ部分212をテーパ当接面221に対して押し付けるための構成は、他の手段によって達成されても良い。例えば、ベース台250において、板状部分252のY方向負側の面に板ばねが設けられる。そして、この板ばねが、第2軸受230に接触することで、揺動軸部210に対してY方向正側に付勢力を及ぼしてもよい。
【0062】
前記した実施形態において、光スキャナ200は、コイル241が揺動軸部210に設けられ、永久磁石242がベース台250に設けられる、所謂ムービングコイル型の光スキャナである。しかし、永久磁石242が揺動軸部210に設けられ、コイル241がベース台250に設けられる、所謂ムービングマグネット型の光スキャナとして、光スキャナ200が構成されてもよい。勿論、光スキャナ300に関しても同様である。
【0063】
前記した実施形態において、網膜走査ディスプレイ2では、レーザ光は水平方向に走査された後に、垂直方向に走査される。しかし、例えば水平スキャナ10と光スキャナ200とを入れ替えることによって、レーザ光が垂直方向に走査された後に、水平方向に走査されてもよい。あるいは、水平方向が観察者の眼に対して上下方向に定義され、垂直方向が観察者の眼に対して左右方向に定義されても良い。
【0064】
前記した実施形態において、光スキャナ300は、網膜走査ディスプレイ2に用いられる。しかし、光スキャナ300は、他のいかなる用途に用いられても良い。一例として、光スキャナ300が、図7に示されるように、走査されたレーザ光を被投影面上に結像するレーザプロジェクタ4に用いられても良い。レーザプロジェクタ4は、光スキャナ300よりも後段の光学系において、網膜走査ディスプレイ2と相違する。そのため、レーザプロジェクタ4における網膜走査ディスプレイ2と共通する構成に関する説明は、同一の図番を採用することによって省略される。結像光学系28は、正の屈折力を持つレンズ系である。結像光学系28は、光スキャナ300からの平行光化されたレーザ光を集束することで、スクリーンなどの被投影面上に結像する。なお、任意の距離にある被投影面に対して結像を行うために、結像光学系28は、所定のフォーカス調整機能を備えるのが望ましい。あるいは、レーザ光のビーム径が十分に小さければ、結像光学系28は無くても構わない、その場合、光スキャナ300からの平行光化されたレーザ光が、被投影面上に直接画像を描くこととなる。この場合、導光部はレーザ光に対して光学的作用を及ぼさない。勿論、網膜走査ディスプレイ1の構成が、レーザプロジェクタとして利用されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1,2 網膜走査ディスプレイ
1a 制御ユニット
1b 頭部表示ユニット
3 映像信号処理回路
4 レーザプロジェクタ
100,200,300 光スキャナ
20,41,42,43 コリメート光学系
23 水平走査ドライバ
24 リレー光学系
24a,24b,27a,27b レンズ系
25 垂直走査スキャナ
26 垂直走査ドライバ
27 接眼光学系
28 結像光学系
30 光源部
31 Bレーザドライバ
32 Gレーザドライバ
33 Bレーザドライバ
34 Bレーザ
35 Gレーザ
36 Rレーザ
40 光合波部
44,45,46 ダイクロイックミラー
47 集光光学系
52 観察者の瞳孔
54 観察者の網膜
110,210,310 揺動軸部
111,211,311 揺動体
111a,211a,311a1 反射面
112,113,213,313 段差部分
120,220 第1軸受
121,131,231 ラジアル接触面
122,132,232 スラスト接触面
233 ベース台係合部分
130,230 第2軸受
140 電磁駆動部
141,241 コイル
142,143,242 永久磁石
150,250 ベース台
151,251 主部分
152,252 板状部分
153,154,253,254 貫通孔
212,312 テーパ部分
221 テーパ当接面
311a ミラー部
311b1,311b2 捩れ梁部
311c 本体部
311c1,311c2 耳部分
311c3 被取付部
311d 圧電駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1揺動軸線を中心として揺動し、前記第1揺動軸線に平行に延びる揺動軸部と、
前記揺動軸部に設けられ、入射される光を反射する反射面を有する揺動体と、
前記揺動軸部を支持するベース台と、
前記ベース台に設けられ、前記揺動軸部の一端を支持する第1軸受と、
前記ベース台に設けられ、前記揺動軸部の他端を支持する第2軸受と、
前記揺動軸部を揺動させる駆動部とを備え、
前記揺動軸部は、テーパ状に形成されたテーパ部分を、前記一端に有し、
前記第1軸受は、前記テーパ部分に係合するスラスト軸受であり、
前記第2軸受は、前記揺動軸部の外周面と接触するラジアル軸受である、
ことを特徴とする光スキャナ。
【請求項2】
前記揺動軸部を、前記第1軸受に対して前記第1揺動軸線に沿う方向に付勢する付勢部をさらに有する、
請求項1に記載の光スキャナ。
【請求項3】
前記付勢部は、
前記揺動軸部に設けられ、前記揺動軸部の中心軸から前記揺動軸部の外周面までの距離が、前記第1揺動軸線方向において変化する段差部分と、
前記第2軸受に設けられ、前記揺動軸線に沿う方向において前記段差部分に係合する第1係合部分とを有する、
請求項2に記載の光スキャナ。
【請求項4】
前記第2軸受は、
前記ベース台とは別体に構成され、
前記ベース台と係合する第2係合部分を有し、
前記ベース台によって前記第2係合部分が付勢されることで、前記第1係合部分及び前記段差部分を介して、前記揺動軸部を前記第1軸受に対して前記第1揺動軸線に沿う方向に付勢する、
請求項3に記載の光スキャナ。
【請求項5】
前記駆動部は、
前記ベース台に設けられた磁界発生部と、
前記磁界発生部が発生する磁界の向きに沿って設けられ、前記揺動軸部に取り付けられたコイルとを有し、
前記コイルを流れる電流と前記磁界発生部が発生する磁界との相互作用により、前記揺動体及び前記揺動軸部を前記第1揺動軸線回りに揺動させる、
請求項1〜4の何れか1項に記載の光スキャナ。
【請求項6】
前記揺動体は、
前記反射面を含み、前記第1揺動軸線の方向に直交する第2揺動軸線を中心として揺動するミラー部と、
前記ミラー部の両側に連結され、前記第2揺動軸線に平行に延出する一対の捩れ梁部と、
前記一対の捩れ梁部の前記ミラー部と反対側の端にその一端が連結され、前記ミラー部から離間する方向に延出する本体部と、
前記本体部の他端側に接続され、前記揺動軸部に対して取り付けられる被取付部と、
が金属で一体に構成された平板状の構造体と、
前記本体部に設けられ、前記本体部に板波を励起することで、前記本体部及び前記一対の捩れ梁部を介して前記ミラー部を揺動させる圧電駆動部と、
を有する請求項1〜5の何れか1項に記載の光スキャナ。
【請求項7】
前記被取付部は、前記ミラー部よりも前記第1軸受の近くに位置するように、前記揺動軸部に対して取り付けられる、
請求項6に記載の光スキャナ。
【請求項8】
光を走査して画像を形成するための、請求項1〜7の何れか1項に記載の光スキャナと、
前記光スキャナに光を供給するための光源と、
前記光スキャナによって走査された光を被投影面に導く導光部とを備える、ことを特徴する画像投影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−68451(P2012−68451A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213473(P2010−213473)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】