説明

光ファイバセンサ用コネクタ

【課題】 回路基板に占める光ファイバセンサ用コネクタのスペース(特に横幅)を小さくする。
【解決手段】 複数本のプラスチック光ファイバからなるテープ状の光ファイバセンサ2を中間で折り返して、各光ファイバ1の入射端及び出射端を概ね揃えるとともに、各光ファイバ1の入射端及び出射端を、発光素子15a及び受光素子16aに対向させた光ファイバセンサ用コネクタ3である。各光ファイバ1の入射端を所定間隔で固定した入射側ブロック10と各光ファイバの出射端を所定間隔で固定した出射側ブロック11とを、回路基板14の回路に接続される発光素子15a及び受光素子16aを上下に高さ位置を変えて組み込んだ接続ブロック17に、上下段違いにかつ各光ファイバ1の入射端及び出射端が前記発光素子15a及び受光素子16aに対向するように積層配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テープ状の光ファイバセンサを折り返し、その両端部を回路基板の回路に接続される発光素子及び受光素子に対向配置する光ファイバセンサ用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製の光ファイバは石英系光ファイバに比較して取り扱いが容易であり短距離伝送用途に用いられる場合が多い。そして、プラスチック製の光ファイバの直径方向片側の表面に円周方向に伸びる傷をファイバ長手方向に微少間隔をあけて多数形成した傷付きプラスチック光ファイバ(いわゆる傷付きPOF)が知られている。この傷付きプラスチック光ファイバの用途として、その表面の傷の存在によって発生する伝送損失が、傷のある側から側圧を与えて曲げた時には軽減される方向に変化し、傷と逆の側から側圧を加えて曲げた時には更に増大する方向に変化するという現象を応用した曲げセンサが知られている(USP5,321,257)。
【0003】
そして、この曲げセンサを、物体の衝突を検知する衝突検知センサとして応用することが提案されている。その衝突検知センサの基本的な構成としては、USP5,321,257の曲げセンサの複数本をテープ状に並べるとともに、このテープ状の光ファイバセンサの各プラスチック光ファイバ上に設ける傷領域を互いに長手方向にずらす構成とする。
このテープ状の光ファイバセンサを検知対象物の表面に貼り付けることで、衝突時の検知対象物のゆがみを検知することができ、これにより衝突を検知することが可能となる。この衝突検知センサは、自動車の歩行者保護規制に対応するものであり、万一自動車が歩行者に衝突した時に瞬時にそれを検知して、瞬時に歩行者保護装置を作動させることを可能にする。
【0004】
この衝突検知センサを自動車のバンパに適用する場合は通常、テープ状の光ファイバセンサを中間で折り返し、かつ、折り返された2本を並列に横置きし、各光ファイバの入射端及び出射端を同じ側に位置させる。この場合、LED(発光ダイオード:発光素子)とPD(フォトダイオード:受光素子)とを回路基板上の近接した位置に実装して、それら光素子に光ファイバセンサの各光ファイバの入射端又は出射端を対向させることが望ましい。
【特許文献1】USP 5,321,257
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光ファイバセンサの場合、ファイバの入射端面のコンディションが、得られる特性に大きな影響を与えることが知られており、ファイバの端面は研磨仕上げが望ましい。また、衝突検知センサとして用いる場合、通常、4心単位でファイバを取り扱うこととなるため、多心型コネクタが必要とされる。
【0006】
ところで、プラスチック光ファイバは、有機高分子では比較的透過率の高いPMMAをコア部に使用し、クラッドにフッ素系の樹脂を用いて屈折率差を設けたステップインデックス型のマルチモードファイバが実用化され、広く用いられている。プラスチック光ファイバは、石英系光ファイバと比べて固有損失が大きいことから、最長20m以下の伝送にしか適用できないため、短尺で構成できる伝送系に主に使用されており、宅内、オフィス内配線LANや、自動車のユニット間伝送に用いる「MOST」(高速車内LAN規格の1つ)等に採用されているが、このように限られた分野で普及してきたことから、最大2心までのコネクタしか実用化/標準化されていない、また、コネクタ部を含むファイバの端部の処理が比較的容易なので、高精度研磨などの技術が市場にない、等の状況にある。
したがって、プラスチック光ファイバを多心化したこの種の光ファイバセンサを、中間で折り返して同じ側に配置したLED及びPDに接続する光ファイバセンサ用コネクタを構成しようとすると、プラスチック光ファイバの多心化の問題及びその研磨の問題に関する従来の技術では対応できない、という事情にある。
【0007】
さらに、LED及びPDは通常モジュール化して用いるが、このLEDモジュール及びPDモジュールの占めるスペース等の問題がある。
このようなことから、プラスチック光ファイバによる4心等の光ファイバセンサを中間で折り返して同じ側に配置したLED及びPDに接続する光ファイバセンサ用コネクタを構成しようとすると、次のような種々の困難が伴う。なお、LED及びPDは一般にモジュール化したものを用いる。
(1)LEDモジュール及びPDモジュールの回路基板への実装の問題
モジュールを基板にボンディングするには、モジュール間に一定の空間が必要である。したがって、モジュールを基板上で極端に接近させた密配置とすることはできない。
(2)LEDモジュール及びPDモジュールの横幅の問題
光ファイバセンサは、上記の通り2本並列に横置きされている。これに合わせるように、LEDモジュールとPDモジュールを横置きに並べると、これらモジュールの横幅がそのまま基板上を占めることになる。ところが、入手可能な市販のLEDモジュールあるいはPDモジュールの横幅は大きいため、接続されたモジュールが占める横幅はテープ状の光ファイバセンサの幅よりも数倍になってしまう。
(3)LEDモジュール及びPDモジュールの素子ピッチの問題
光ファイバセンサを構成する光ファイバは非常に狭いピッチで並べられている。これと比較して、市販モジュールの素子配列のピッチは広いため、光ファイバピッチとモジュールの素子配列ピッチとが整合しない。
(4)LEDモジュール又はPDモジュールと光ファイバ端面との間の距離の問題
LEDとPDとの光ファイバに対する入出力特性は異なっているので、これらを光ファイバの端面に対して同じ距離に配置することはできない。
すなわち、PDの構造は小型である。PD受光面と出射光ファイバ端面との間隔は狭くすることができる。また、間隔が狭い方が受光効率が良好である。
一方、LEDはボンディングが発光面にかぶるという構造上、その放射光に影が生じるため、入射光ファイバの端面を、影の影響が無い距離まで離す必要がある。ところが、離しすぎると入射光ファイバへの入力光量が少なくなるので、離す距離は一定の範囲内に収めなければならない。因みにLEDと光ファイバ端面との間隔は0.5mm以上離す必要があり、PDと光ファイバ端面との間隔は0.1mm以下とすることができる。
【0008】
上述のように種々の制約があることから、回路基板上に占める光ファイバセンサ用コネクタのスペースをコンパクトにし、また、横幅のあるモジュールの各光素子間隔とテープ状光ファイバセンサの微小な光ファイバ間隔とを整合させ、さらに、光ファイバ端面と光素子との間隔が入射効率や受光効率に関して最適となるような回路配置を実現することには困難を伴う。
【0009】
本発明は上記背景のもとになされたもので、折り返した光ファイバセンサの各光ファイバの入射端及び出射端を、回路基板上に近接配置した光素子に対向させる光ファイバセンサ用コネクタを構成するに際して、回路基板上に占める光ファイバセンサ用コネクタのスペースをコンパクトにし、また、横幅のあるモジュールの各光素子間隔とテープ状光ファイバセンサの微小な光ファイバ間隔とを整合させ、さらに、光ファイバ端面と光素子との間隔が入射効率や受光効率に関して最適となるような回路配置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明は、複数本のプラスチック製の光ファイバからなるテープ状の光ファイバセンサを中間で折り返して各光ファイバの入射端及び出射端を概ね揃えるとともに、各光ファイバの前記入射端及び出射端を、回路基板上に近接配置した発光素子及び受光素子に対向させた光ファイバセンサ用コネクタであって、
各光ファイバの入射端を所定間隔で固定した入射側ブロックと各光ファイバの出射端を所定間隔で固定した出射側ブロックとを、回路基板の回路に接続される発光素子及び受光素子を上下に高さ位置を変えて組み込んだ接続ブロックに、上下段違いにかつ各光ファイバの入射端及び出射端が前記発光素子及び受光素子に対向するように積層配置したことを特徴とする。
【0011】
請求項2は、請求項1の光ファイバセンサ用コネクタにおいて、入射側及び出射側ブロックが接続ブロック内に嵌合する構造であり、かつ互いに嵌合する上下方向の溝及び凸条からなる前後方向の位置決め機構を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3は、請求項1又は2の光ファイバセンサ用コネクタにおいて、光ファイバの入射端面と発光素子との距離が0.5mm以上であり、出射端面と受光素子との距離が0.1mm以下であることを特徴とする。
【0013】
請求項4は、請求項1の光ファイバセンサ用コネクタにおいて、テープ状の光ファイバセンサの両端部でそれぞれ各光ファイバを単心に分離させ、入射側ブロック及び出射側ブロック内でそれぞれ各光ファイバの間隔を漸次広げたことを特徴とする。
【0014】
請求項5は、請求項4の光ファイバセンサ用コネクタにおいて、入射側ブロック及び出射側ブロックがそれぞれ、溝間隔が漸次広がるパターンの複数のガイド溝を持つ入射側又は出射側のピッチ変換部材と、このピッチ変換部材が収納される中空部を有し前方壁部に光ファイバ穴をあけた入射側又は出射側のフェルールとからなり、光ファイバセンサの端部で単心に分離させた光ファイバが、前記ピッチ変換部材のガイド溝に沿って漸次拡がってフェルールの前記光ファイバ穴に挿入されるようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項6は、請求項1の光ファイバセンサ用コネクタにおいて、入射側ブロック及び出射側ブロックが接続ブロック内に樹脂封止されていることを特徴とする。
【0016】
請求項7は、請求項1〜6の光ファイバセンサ用コネクタが、テープ状の光ファイバセンサを中間で折り返した状態で自動車のバンパに貼り付けて構成する自動車用の衝突検知センサに適用されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、入射側ブロックと出射側ブロックとが上下に積層配置されて、入射光ファイバと出射光ファイバとが上下に振り分けられているので、回路基板上で占める光ファイバセンサ用コネクタの横幅を顕著に減らすことができ、光ファイバセンサ端末機器の小型化が可能となる。
【0018】
また、請求項2によれば、位置決め機構により入射側ブロックと出射側ブロックとの前後方向の位置決めが正確に行うことができ、したがって発光素子と入射光ファイバ端面との距離、及び受光素子と出射光ファイバ端面との距離を、容易にかつ適切に設定することが可能となり、光素子と光ファイバとの間の入出力特性を最適の状態で接続することが可能となる。
【0019】
請求項4又は5によれば、テープ状の光ファイバセンサの入射側又は出射側のファイバピッチを、入射側又は出射側ブロック内でピッチ変換部材のガイド溝により漸次広げて、各モジュールの光素子ピッチに合わせることができるので、光ファイバセンサの光ファイバピッチと、モジュールの光素子ピッチとの整合性を容易に確保できる。
【0020】
また、ピッチ変換部材と、入射側及び出射側フェルールと、LED及びPDを組み込んだ接続ブロックとを用いて行う組み立て作業は容易なので、光ファイバセンサ用コネクタ組み立ての作業性は極めて良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施した光ファイバセンサ用コネクタについて、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明の一実施例の光ファイバセンサ用コネクタ3の断面図、図2は同平面図、図3は図1のA−A断面図である。
この光ファイバセンサ用コネクタ3は、図7に示した光ファイバセンサ2を用いる場合のものである。この光ファイバセンサ2は、プラスチック製の光ファイバの直径方向片側の表面に円周方向に伸びる傷をファイバ長手方向に微少間隔をあけて多数形成した図示例では4本の傷付きプラスチック光ファイバ(いわゆる傷付きPOF)1をテープ状にするとともに、このテープ状の光ファイバセンサ2の各プラスチック光ファイバ1上の傷領域1aを順次ずらした構成である。このテープ状の光ファイバセンサ2を自動車の衝突検知センサとして用いる場合には、図8のように中間で折り返し横置して、バンパに取り付ける。そして、折り返した光ファイバセンサ2の各光ファイバ1の入射端及び出射端を、LED(発光素子)及びPD(受光素子)に対向させる。
【0023】
光ファイバセンサ用コネクタ3は、入射側ブロック10と、出射側ブロック11と、LEDモジュール15及びPDモジュール16を内部に組み込み、前記両ブロック10、11を上下に積層収容する接続ブロック17とからなっている。
図4、図5にも示すように、前記入射側ブロック10は、入射側のフェルール12とその内部に収納固定される入射側のピッチ変換部材18とからなり、出射側ブロック11は、出射側のフェルール13とその内部に収納固定される出射側のピッチ変換部材19とからなっている。入射側フェルール12及び出射側フェルール13はいずれも中空で概ね角形をなし、その中空部12a、13aの先端側の壁部に光ファイバ穴12b、13bを形成している。ピッチ変換部材18、19は、いずれも溝間隔が漸次拡がる4本のガイド溝18a、19aを持つ。フェルール12、13、ピッチ変換部材18、19、接続ブロック17はいずれもプラスチック製のものを用いるとよい。
【0024】
光ファイバセンサ2は前述の通り、折り返した部分を横置きするので、その両端近傍(入射端近傍及び出射端近傍)は、組み立て前の状態を断面で示す図4のように、4心の光ファイバセンサ2が2本横並びの状態となっているが、その2本横並び状態の光ファイバセンサ2の入射端の4本の光ファイバ1及び出射端の4本の光ファイバ1をそれぞれ個別の単心光ファイバ1に分離させる。そして、分離させた入射側の4本の光ファイバ1及び出射側の4本の光ファイバ1を入射側又は出射側のピッチ変換部材18、19のガイド溝18a、19aに落とし込んで、光ファイバ間隔を所定のピッチに拡げる。各ピッチ変換部材18、19の先端から飛び出た光ファイバ1の間隔は、各モジュール15、16の光素子の配列間隔とほぼ整合している。なお、図2〜図4では、光ファイバセンサ2の入射端は省略して示している。図1では、4連のLEDモジュール15の個々のLEDを15aで示し、4連のPDモジュール16の個々のPDを16aで示している。
【0025】
光ファイバ1をガイド溝18a、19aに収容した各ピッチ変換部材18、19をそれぞれ、入射側フェルール12又は出射側フェルール13内に収納するとともに、ピッチ変換部材18、19の先端から突出した各光ファイバ1を、各フェルール12、13の光ファイバ穴12b、13bにそれぞれ挿入し接着固定する。また、ピッチ変換部材18、19自体も各フェルール12、13内に充填した接着剤で固定する。ここで、各フェルール12、13の光ファイバ穴12b、13bのピッチは、各モジュール15、16の光素子の配列ピッチと一致している。
光ファイバ1の接着固定後、両ブロック10、11(フェルール12、13)の先端面を研磨する。この場合、両ブロック10、11を同時に研磨することが可能である。
【0026】
上記のように組み立てた入射側ブロック10と出射側ブロック11とを、接続ブロック17内に上下段違いに積層して収納する。接続ブロック17は、図6にも示すように、上方及び後方が開放されたケース状をなし、先端側の壁部17aの内部に、回路基板14の回路に接続可能なLEDモジュール15及びPDモジュール16を組み込んでおり、また、入射側ブロック10を設置する設置面17bと出射側ブロック11を設置する設置面17cとに段差を付けている。図示例では入射側ブロック10を下側、出射側ブロック11を上側にしているが、その逆にしてもよい。
また、接続ブロック17の内面に上下の凸条17dを設け、両ブロック10、11(フェルール12、13)の外側面に前記凸条17dが嵌合する溝12c、13cを形成している。凸条17dと溝12c、13cとは、両ブロック10、11の前後方向の位置決めをする位置決め機構20を構成する。
両ブロック10、11を、その溝12c、13cを接続ブロック17の凸条17dに合わせて押し下げると、接続ブロック17の先端の壁部17a内のLED15a及びPD16aに対して、正確に位置決めされた状態で、接続ブロック17内に収納される。この場合、両ブロック10、11を図示略のラッチ機構で接続ブロック17内で図1の状態に押えるようにするとよい。
入射光ファイバ端(入射側ブロック10の端面)とLED15aとの間の距離は入射効率が最大となる距離(一般に0.5mm以上)に設定し、出射光ファイバ端(出射側ブロック11の端面)とPD16aとの間の距離は高い受光効率が得られる距離(通常は0.1mm以下)に設定する。したがって、接続ブロック17の凸条17d及びフェルール12、13の溝12c、13cはそのような位置関係となるように設定される。
【0027】
その後、接続ブロック17内に樹脂を充填して、入射側及び出射側ブロック10、11を接続ブロック17内に樹脂封止する。図1、図2は樹脂を充填する前の状態である。図3は樹脂21を充填した状態で示している。こうして、光ファイバセンサ用コネクタ3の組み立てが行われる。この光ファイバセンサ用コネクタ3を、図1のように回路基板14上に実装される。
【0028】
上記構成の光ファイバセンサ用コネクタ3において、テープ状の光ファイバセンサ2の端部を個別の光ファイバ1に分離し、ピッチ変換部材18、19のガイド溝18a、19aにより光ファイバ1のピッチを広げて、モジュール15、16の各光素子の間隔に合わせているので、光ファイバセンサ2の光ファイバピッチと、モジュール15、16の光素子ピッチとの整合性が確保される。
また、入射光ファイバを保持した入射側ブロック10と出射光ファイバを保持した出射側ブロック11とを上下に積層配置することで、入射光ファイバと出射光ファイバとを上下に振り分けているので、回路基板上で占める光ファイバセンサ用コネクタの横幅を顕著に減らすことができる。
したがって、コンパクトな光ファイバセンサ用コネクタを得ることができ、光ファイバセンサ端末機器の小型化が可能となる。
また、ピッチ変換部材18、19と、入射側及び出射側フェルール12、13と、LEDモジュール15及びPDモジュール16を組み込んだ接続ブロック17とを用いて行う上述の組み立て作業は容易なので、光ファイバセンサ用コネクタ組み立ての作業性は極めて良好である。
また、入射光ファイバを保持した入射側ブロック10と出射光ファイバを保持した出射側ブロック11とを接続ブロック17内に上下に積層配置するに際して、両ブロック10、11の前後方向の位置決めを行う位置決め機構20(すなわち接続ブロック17側の凸条17dと入射側及び出射側ブロック10、11側の溝12c、13cとの嵌合構造)により両者10、11を前後方向に正確にずらして(先端面位置を正確にずらして)収納することができるので、LED15aと入射光ファイバ端面との距離、及びPD16aと出射光ファイバ端面との距離を、適切に設定することが可能となり、光素子と光ファイバとの間の入出力特性を最適の状態で接続することが可能となる。すなわち、LED15aから入射光ファイバ端への入射効率、及び、PD16aの出射光ファイバ端からの受光効率を極力高くすることが可能となる。
【実施例2】
【0029】
上述の実施例では、複数本の入射光ファイバのそれぞれにLED15aを配置するものとして説明したが、1つのLEDから放射する光を、束状に纏めた複数本の入射光ファイバに入射させる構成とすることも可能である。
また、接続ブロック17にLEDモジュール15及びPDモジュール16を組み込む構造は、収納した入射側及び出射側ブロック10、11の先端面に光素子が対向する位置であれば、図示例に限定されない。
また、上記の説明では、光ファイバセンサを自動車のバンパ用に適用するものとして説明したが、適用対象はこれに限定されず、傷付きプラスチック光ファイバを折り返して用いる種々の光ファイバセンサに適用可能である。
また、光ファイバセンサの心数は実施例では4心であるが、多心であればその心数は任意である。
【0030】
さらにまた、本発明は、複数本のプラスチック製の光ファイバからなるテープ状の光ファイバセンサを中間で折り返して各光ファイバの入射端及び出射端を概ね揃えるものを対象としているが、中間で折り返えす一体型のテープではなく、送信用の光ファイバと受信用の光ファイバが別体で積み重なっていても良い。
この場合においても、入射端と出射端を同一側としてコンパクトに纏めることは小型化、コスト低減の観点からは有効であり、その際には、LEDモジュール及びPDモジュールの各端部と、光ファイバ端部の間隔を本発明の関係にて配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施例の光ファイバセンサ用コネクタの断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図1における入射側又は出射側ブロックの分解平面図である。
【図5】図4の入射側又は出射側ブロックの組み立てた状態の平面図である。
【図6】図1における接続ブロックの斜視図である。
【図7】上記光ファイバセンサ用コネクタにおけるテープ状の光ファイバセンサの構成説明図である。
【図8】テープ状の光ファイバセンサを中間で折り返して用いることを説明する図である。
【符号の説明】
【0032】
1 光ファイバ
1a 傷領域
2 (テープ状の)光ファイバセンサ
3 光ファイバセンサ用コネクタ
10 入射側ブロック
11 出射側ブロック
12 入射側フェルール
13 出射側フェルール
12a、13a 中空部
12b、13b 光ファイバ穴
12c、13c 溝(位置決め機構)
14 回路基板
15 LEDモジュール
15a LED(発光素子)
16 PDモジュール
16a PD(受光素子)
17 接続ブロック
17a 先端側の壁部
17b 入射側ブロックの設置面
17c 出射側ブロックの設置面
17d 凸条(位置決め機構)
18 (入射側の)ピッチ変換部材
19 (出射側の)ピッチ変換部材
18a、19a ガイド溝
20 (前後方向の)位置決め機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のプラスチック製の光ファイバからなるテープ状の光ファイバセンサを中間で折り返して各光ファイバの入射端及び出射端を概ね揃えるとともに、各光ファイバの前記入射端及び出射端を、回路基板上に近接配置した発光素子及び受光素子に対向させた光ファイバセンサ用コネクタであって、
各光ファイバの入射端を所定間隔で固定した入射側ブロックと各光ファイバの出射端を所定間隔で固定した出射側ブロックとを、回路基板の回路に接続される発光素子及び受光素子を上下に高さ位置を変えて組み込んだ接続ブロックに、上下段違いにかつ各光ファイバの入射端及び出射端が前記発光素子及び受光素子に対向するように積層配置したことを特徴とする光ファイバセンサ用コネクタ。
【請求項2】
前記入射側及び出射側ブロックが接続ブロック内に嵌合する構造であり、かつ互いに嵌合する上下方向の溝及び凸条からなる前後方向の位置決め機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の光ファイバセンサ用コネクタ。
【請求項3】
前記光ファイバの入射端面と発光素子との距離が0.5mm以上であり、出射端面と受光素子との距離が0.1mm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバセンサ用コネクタ。
【請求項4】
テープ状の光ファイバセンサの両端部でそれぞれ各光ファイバを単心に分離させ、入射側ブロック及び出射側ブロック内でそれぞれ各光ファイバの間隔を漸次広げたことを特徴とする請求項1記載の光ファイバセンサ用コネクタ。
【請求項5】
前記入射側ブロック及び出射側ブロックがそれぞれ、溝間隔が漸次広がるパターンの複数のガイド溝を持つ入射側又は出射側のピッチ変換部材と、このピッチ変換部材が収納される中空部を有し前方壁部に光ファイバ穴をあけた入射側又は出射側のフェルールとからなり、光ファイバセンサの端部で単心に分離させた光ファイバが、前記ピッチ変換部材のガイド溝に沿って漸次拡がってフェルールの前記光ファイバ穴に挿入されるようにしたことを特徴とする請求項4記載の光ファイバセンサ用コネクタ。
【請求項6】
入射側ブロック及び出射側ブロックが接続ブロック内に樹脂封止されていることを特徴とする請求項1記載の光ファイバセンサ用コネクタ。
【請求項7】
テープ状の光ファイバセンサを中間で折り返した状態で自動車のバンパに貼り付けて構成する自動車用の衝突検知センサに適用されたことを特徴とする請求項1〜6記載の光ファイバセンサ用コネクタ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−351937(P2006−351937A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177900(P2005−177900)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】