説明

光学式検出装置、表示装置及び電子機器

【課題】広い範囲での対象物のセンシングが可能な光学式検出装置、表示装置及び電子機器等の提供。
【解決手段】光学式検出装置は、光源光を出射する光源部と、光源部からの光源光を曲線状の導光経路に沿って導光する曲線形状のライトガイドと、ライトガイドの外周側から出射される光源光を受け、曲線形状のライトガイドの内周側から外周側へと向かう方向に照射光の照射方向を設定する照射方向設定部と、照射光が対象物に反射されることによる反射光を受光する受光部RUと、受光部RUでの受光結果に基づいて、少なくとも対象物が位置する方向を検出する検出部50を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式検出装置、表示装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、券売機、銀行の端末などの電子機器では、近年、表示部の前面にタッチパネルが配置された位置検出機能付きの表示装置が用いられる。この表示装置によれば、ユーザーは、表示部に表示された画像を参照しながら、表示画像のアイコン等をポインティングしたり、情報を入力することが可能になる。このようなタッチパネルによる位置検出方式としては、例えば抵抗膜方式や静電容量方式などが知られている。
【0003】
一方、投写型表示装置(プロジェクター)やデジタルサイネージ用の表示装置では、携帯電話やパーソナルコンピューターの表示装置に比べて、その表示エリアが広い。従って、これらの表示装置において、上述の抵抗膜方式や静電容量方式のタッチパネルを用いて位置検出を実現することは難しい。
【0004】
また投写型表示装置用の位置検出装置の従来技術としては、例えば特許文献1、2に開示される技術が知られている。しかしながら、この位置検出装置では、システムが大掛かりになってしまうなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−345085
【特許文献2】特開2001−142643
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の幾つかの態様によれば、広い範囲での対象物のセンシングが可能な光学式検出装置、表示装置及び電子機器等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、光源光を出射する光源部と、前記光源部からの前記光源光を曲線状の導光経路に沿って導光する曲線形状のライトガイドと、前記ライトガイドの外周側から出射される前記光源光を受け、曲線形状の前記ライトガイドの内周側から外周側へと向かう方向に照射光の照射方向を設定する照射方向設定部と、前記照射光が対象物に反射されることによる反射光を受光する受光部と、前記受光部での受光結果に基づいて、少なくとも前記対象物が位置する方向を検出する検出部とを含む光学式検出装置に関係する。
【0008】
本発明の一態様によれば、光源部からの光源光が、ライトガイドの曲線形状の導光経路に沿って導光される。そしてライトガイドの外周側から出射された光源光は、ライトガイドの内周側から外周側へと向かう方向の照射光として出射される。そしてこの出射光が対象物により反射されると、その反射光が受光部により受光され、受光結果に基づき対象物の方向等が検出される。このような構成の光学式検出装置によれば、ライトガイドの内周側から外周側に放射状に照射光が出射されて、その反射光により対象物が検出されるようになるため、広い範囲での対象物のセンシングが可能な光学式検出装置を実現できる。
【0009】
また本発明の一態様では、第2の光源光を出射する第2の光源部を含み、前記ライトガイドの一端側の光入射面に対して前記光源部が前記光源光を出射することで、第1の照射光強度分布を前記対象物の検出領域に形成し、前記ライトガイドの他端側の光入射面に対して前記第2の光源部が前記第2の光源光を出射することで、前記第1の照射強度分布とは強度分布が異なる第2の照射光強度分布を前記検出領域に形成してもよい。
【0010】
このようにすれば、例えば1個のライトガイドを用いて第1、第2の照射光強度分布を形成できるため、装置のコンパクト化等を図れる。また第1の照射光強度分布を形成した際の受光結果と、第2の照射光強度分布を形成した際の受光結果に基づいて、対象物を検出できるため、環境光等の外乱光の影響を低減したセンシングが可能になり、検出精度等を向上できる。
【0011】
また本発明の一態様では、第2の光源光を出射する第2の光源部と、前記第2の光源部からの前記第2の光源光を、曲線状の導光経路に沿って導光する曲線形状の第2のライトガイドとを含み、前記ライトガイドの一端側の光入射面に対して前記光源部が前記光源光を出射することで、第1の照射光強度分布を前記対象物の検出領域に形成し、前記第2のライトガイドの他端側の光入射面に対して前記第2の光源部が前記第2の光源光を出射することで、前記第1の照射強度分布とは強度分布が異なる第2の照射光強度分布を前記検出領域に形成してもよい。
【0012】
このように2個のライトガイドを用いれば、出光特性の調整等の光学設計を簡素化できる。また第1の照射光強度分布を形成した際の受光結果と、第2の照射光強度分布を形成した際の受光結果に基づいて、対象物を検出できるため、環境光等の外乱光の影響を低減したセンシングが可能になり、検出精度等を向上できる。
【0013】
また本発明の一態様では、前記ライトガイドと前記第2のライトガイドは、前記ライトガイドと前記照射方向設定部が並ぶ方向に沿った面に対して交差する方向に並んで配置されてもよい。
【0014】
このようにすれば、ライトガイドと第2のライトガイドをコンパクトに収納できるようになるため、装置のコンパクト化等を図れる。
【0015】
また本発明の一態様では、前記第1の照射光強度分布は、前記ライトガイドの一端側から他端側に向かうにつれて照射光の強度が低くなる強度分布であり、前記第2の照射光強度分布は、前記ライトガイドの他端側から一端側に向かうにつれて照射光の強度が低くなる強度分布であってもよい。
【0016】
このようにすれば、照射方向に応じて強度が異なるような照射光強度分布を形成できるため、この強度分布を利用して、対象物を簡素な処理でセンシングすることが可能になる。
【0017】
また本発明の一態様では、前記光源部及び前記第2の光源部の発光制御を行う制御部を含み、前記制御部は、前記光源部と前記第2の光源部を交互に発光させることで、前記第1の照射強度分布と前記第2の照射強度分布を交互に形成する制御を行ってもよい。
【0018】
このようにすれば、制御部が光源部と第2の光源部を交互に発光させるだけで、第1、第2の照射光強度分布を形成して、対象物をセンシングできるようになる。
【0019】
また本発明の一態様では、前記光源部及び前記第2の光源部の発光制御を行う制御部を含み、前記制御部は、前記光源部が発光する期間である第1の発光期間における前記受光部での検出受光量と、前記第2の光源部が発光する期間である第2の発光期間における前記受光部での検出受光量とが等しくなるように、前記光源部及び前記第2の光源部の発光制御を行ってもよい。
【0020】
このようにすれば第1の照射光強度分布の形成時の外乱光の影響と第2の照射光強度分布の形成時の外乱光の影響を相殺することなどが可能になり、検出精度等を向上できる。なお第1の発光期間での検出受光量と第2の発光期間での検出受光量とが等しくなるようにする発光制御は、参照用光源部を介して行う発光制御であってもよい。
【0021】
また本発明の一態様では、前記検出部は、前記受光部での受光結果に基づいて、前記対象物までの距離を検出し、前記距離と、前記対象物の前記方向とに基づいて、前記対象物の位置を検出してもよい。
【0022】
このようにすれば、対象物までの距離を求めることで、対象物の方向のみならず対象物の位置についても検出できるようになる。
【0023】
また本発明の一態様では、前記照射光の照射方向を、前記対象物の検出領域の面に沿った方向に規制する照射方向規制部を含んでもよい。
【0024】
このようにすれば、対象物の検出領域に交差する方向に照射光が広がってしまう事態を抑止できるため、誤検出等の防止が可能になる。
【0025】
また本発明の一態様では、前記照射方向規制部は、前記検出領域の面に沿った第1のスリット面及び第2のスリット面を有するスリットであってもよい。
【0026】
このようにすれば、光学式検出装置の筺体にスリットを設けるだけで、照射光の照射方向を対象物の検出領域の面に沿った方向に規制できるようになる。
【0027】
また本発明の一態様では、前記第1のスリット面及び前記第2のスリット面には凹部が形成されていてもよい。
【0028】
このようにすれば、第1、第2のスリット面での表面反射を抑制することが可能になり、照射光が広がってしまう事態を、より効果的に抑止することが可能になる。
【0029】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の光学式検出装置を含む表示装置に関係する。
【0030】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の光学式検出装置を含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1(A)、図1(B)は本実施形態の光学式検出装置、表示装置等の基本構成例。
【図2】図2(A)、図2(B)は本実施形態の検出手法の説明図。
【図3】図3(A)、図3(B)は本実施形態の検出手法の説明図。
【図4】本実施形態の光学式検出装置の第1の構成例。
【図5】本実施形態の光学式検出装置の第2の構成例。
【図6】第2の構成例でのライトガイドの配置についての説明図。
【図7】図7(A)、図7(B)は本実施形態の検出手法を説明するための信号波形例。
【図8】光学式検出装置の変形例。
【図9】図9(A)、図9(B)は照射方向規制部の説明図。
【図10】照射ユニットの詳細な構造例。
【図11】照射ユニットの詳細な構造例。
【図12】照射ユニットの詳細な構造例。
【図13】図13(A)、図13(B)は照射方向設定部の説明図。
【図14】図14(A)〜図14(C)はプリズムシート、拡散シートの説明図。
【図15】照射方向の設定手法についての説明図。
【図16】検出部等の詳細な構成例。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0033】
1.基本構成
図1(A)、図1(B)に本実施形態の光学式検出装置及びこれを用いた表示装置や電子機器の基本構成例を示す。図1(A)、図1(B)は本実施形態の光学式検出装置を、液晶プロジェクター或いはデジタル・マイクロミラー・デバイスと呼ばれる投写型表示装置(プロジェクター)に適用した場合の例である。図1(A)、図1(B)では、互いに交差する軸をX軸、Y軸、Z軸(広義には第1、第2、第3の座標軸)としている。具体的には、X軸方向を横方向とし、Y軸方向を縦方向とし、Z軸方向を奥行き方向としている。
【0034】
本実施形態の光学式検出装置は、照射ユニットEUと受光部RUと検出部50を含む。また制御部60を含む。また本実施形態の表示装置(電子機器)は、光学式検出装置とスクリーン20(広義には表示部)を含む。更に表示装置(電子機器)は画像投射装置10(広義には画像生成装置)を含むことができる。なお、本実施形態の光学式検出装置、表示装置、電子機器は図1(A)、図1(B)の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0035】
画像投射装置10は、筺体の前面側に設けられた投射レンズからスクリーン20に向けて画像表示光を拡大投射する。具体的には画像投射装置10は、カラー画像の表示光を生成して、投射レンズを介してスクリーン20に向けて出射する。これによりスクリーン20の表示エリアARDにカラー画像が表示されるようになる。
【0036】
本実施形態の光学式検出装置は、図1(B)に示すようにスクリーン20の前方側(Z軸方向側)に設定された検出領域RDETにおいて、ユーザーの指やタッチペンなどの対象物を光学的に検出する。このために光学式検出装置の照射ユニットEUは、対象物を検出するための照射光(検出光)を出射する。具体的には、照射方向に応じて強度(照度)が異なる照射光を放射状に出射する。これにより検出領域RDETには、照射方向に応じて強度が異なる照射光強度分布が形成される。なお検出領域RDETは、スクリーン20(表示部)のZ方向側(ユーザー側)において、XY平面に沿って設定される領域である。
【0037】
受光部RUは、照射ユニットEUからの照射光が対象物に反射されることによる反射光を受光する。この受光部RUは、例えばフォトダイオードやフォトトランジスターなどの受光素子により実現できる。この受光部RUには検出部50が例えば電気的に接続されている。
【0038】
検出部50は、受光部RUでの受光結果に基づいて、少なくとも対象物が位置する方向等を検出する。この検出部50の機能は、アナログ回路等を有する集積回路装置や、マイクロコンピュータ上で動作するソフトウェア(プログラム)などにより実現できる。例えば検出部50は、受光部RUの受光素子が対象物からの反射光を受光することで発生した検出電流を、検出電圧に変換し、受光結果である検出電圧に基づいて、対象物が位置する方向等を検出する。具体的には検出部50は、受光部RUでの受光結果(受光信号)に基づいて、対象物までの距離(照射ユニットの配置位置からの距離)を検出する。そして検出された距離と、検出された対象物の方向(存在方向)とに基づいて、対象物の位置を検出する。具体的には検出領域RDETのXY平面でのX、Y座標を検出する。なお、X軸方向に沿って所与の距離だけ離れた第1、第2の照射ユニットを設けるようにしてもよい。この場合には、第1の照射ユニットからの第1の照射光が対象物に反射されることによる第1の反射光の受光結果に基づいて、第1の照射ユニットに対する対象物の方向を第1の方向として検出する。また第2の照射ユニットからの第2の照射光が対象物に反射されることによる第2の反射光の受光結果に基づいて、第2の照射ユニットに対する対象物の方向を第2の方向として検出する。そして検出された第1、第2の方向と、第1、第2の照射ユニット間の距離とに基づいて、対象物の位置を検出すればよい。
【0039】
制御部60は光学式検出装置の各種の制御処理を行う。具体的には照射ユニットEUが有する光源部の発光制御などを行う。この制御部60は照射ユニットEU、検出部50に電気的に接続されている。制御部60の機能は、集積回路装置やマイクロコンピュータ上で動作するソフトウェアなどにより実現できる。例えば制御部60は、照射ユニットEUが第1、第2の光源部を含む場合に、これらの第1、第2の光源部を交互に発光させる制御を行う。また、前述のように第1、第2の照射ユニットが設けられる場合には、第1の照射ユニットに対する対象物の方向を求める第1の期間において、第1の照射ユニットに設けられる第1、第2の光源部を交互に発光させる制御を行う。また第2の照射ユニットに対する対象物の方向を求める第2の期間において、第2の照射ユニットに設けられる第3、第4の光源部を交互に発光させる制御を行う。
【0040】
なお本実施形態の光学式検出装置は、図1(A)に示す投写型表示装置には限定されず、各種の電子機器に搭載される様々な表示装置に適用できる。また本実施形態の光学式検出装置を適用できる電子機器としては、パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、券売機、携帯情報端末、或いは銀行の端末などの様々な機器を想定できる。この電子機器は、例えば画像を表示する表示部(表示装置)や、情報を入力するための入力部や、入力された情報等に基づいて各種の処理を行う処理部などを含むことができる。
【0041】
2.対象物の検出手法
次に本実施形態による対象物の検出手法について詳細に説明する。
【0042】
図2(A)に示すように本実施形態の光学式検出装置(照射ユニット)は、光源部LS1と、ライトガイドLGと、照射方向設定部LEを含む。また反射シートRSを含む。そして照射方向設定部LEは光学シートPS及びルーバーフィルムLFを含む。なお、これらの構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0043】
光源部LS1は、光源光を出射するものであり、LED(発光ダイオード)等の発光素子を有する。この光源部LS1は例えば赤外光(可視光領域に近い近赤外線)の光源光を放出する。即ち、光源部LS1が発光する光源光は、ユーザーの指やタッチペン等の対象物により効率的に反射される波長帯域の光や、外乱光となる環境光にあまり含まれない波長帯域の光であることが望ましい。具体的には、人体の表面での反射率が高い波長帯域の光である850nm付近の波長の赤外光や、環境光にあまり含まれない波長帯域の光である950nm付近の赤外光などである。
【0044】
ライトガイドLG(導光部材)は、光源部LS1が発光した光源光を導光するものである。例えばライトガイドLGは、光源部LS1からの光源光を曲線状の導光経路に沿って導光し、その形状は曲線形状になっている。具体的には図2(A)ではライガイドLGは円弧形状になっている。なお図2(A)ではライトガイドLGはその中心角が180度の円弧形状になっているが、中心角が180度よりも小さい円弧形状であってもよい。ライトガイドLGは、例えばアクリル樹脂やポリカーボネートなどの透明な樹脂部材等により形成される。そして光源部LS1からの光源光は、ライトガイドLGの一端側(図2(A)では左側)の光入射面に入射される。
【0045】
ライトガイドLGの外周側(B1に示す側)及び内周側(B2に示す側)の少なくとも一方には、ライトガイドLGからの光源光の出光効率を調整するための加工が施されている。加工手法としては、例えば反射ドットを印刷するシルク印刷方式や、スタンパーやインジェクションで凹凸を付ける成型方式や、溝加工方式などの種々の手法を採用できる。
【0046】
プリズムシートPSとルーバーフィルムLFにより実現される照射方向設定部LE(照射光出射部)は、ライトガイドLGの外周側に設けられ、ライトガイドLGの外周側(外周面)から出射される光源光を受ける。そして曲線形状(円弧形状)のライトガイドLGの内周側(B2)から外周側(B1)へと向かう方向に照射方向が設定された照射光LTを出射する。即ち、ライトガイドLGの外周側から出射される光源光の方向を、ライトガイドLGの例えば法線方向(半径方向)に沿った照射方向に設定(規制)する。これにより、ライトガイドLGの内周側から外周側に向かう方向に、照射光LTが放射状に出射されるようになる。
【0047】
このような照射光LTの照射方向の設定は、照射方向設定部LEのプリズムシートPSやルーバーフィルムLFなどにより実現される。例えばプリズムシートPSは、ライトガイドLGの外周側から低視角で出射される光源光の方向を、法線方向側に立ち上げて、出光特性のピークが法線方向になるように設定する。またルーバーフィルムLFは、法線方向以外の方向の光(低視角光)を遮光(カット)する。なお、後述するように照射方向設定部LEに拡散シート等を設けてよい。また反射シートRSは、ライトガイドLGの内周側に設けられる。このように反射シートRSを内周側に設けることで、外周側への光源光の出光効率を改善できる。
【0048】
そして図2(A)に示すように、光源部LS1が、ライトガイドLGの一端側(B3)の光入射面に対して光源光を出射することで、第1の照射光強度分布LID1が対象物の検出領域(図1(B)のRDET)に形成される。この第1の照射光強度分布LID1は、ライトガイドLGの一端側(B3)から他端側(B4)に向かうにつれて照射光の強度が低くなる強度分布である。即ち図2(A)において照射光LTのベクトルの大きさが強度(照度)を表しており、ライトガイドLGの一端側(B3)では照射光LTの強度は最も大きく、他端側(B4)では強度は最も小さい。そしてライトガイドLGの一端側から他端側に向かうにつれて、照射光LTの強度は単調減少している。
【0049】
一方、図2(B)に示すように、第2の光源部LS2が、ライトガイドLGの他端側(B4)の光入射面に対して第2の光源光を出射することで、第2の照射光強度分布LID2が検出領域に形成される。この第2の照射光強度分布LID2は、第1の照射光強度分布LID1とは強度分布が異なり、ライトガイドLGの他端側(B4)から一端側(B3)に向かうにつれて照射光の強度が低くなる強度分布である。即ち図2(B)では、ライトガイドLGの他端側では照射光LTの強度は最も大きく、一端側では強度は最も小さい。そして他端側から一端側に向かうにつれて、照射光LTの強度は単調減少している。
【0050】
このような照射光強度分布LID1、LID2を形成し、これらの強度分布の照射光による対象物の反射光を受光することで、環境光などの外乱光の影響を最小限に抑えた、より精度の高い対象物の検出が可能になる。即ち、外乱光に含まれる赤外成分を相殺することが可能になり、この赤外成分が対象物の検出に及ぼす悪影響を最小限に抑えることが可能になる。
【0051】
例えば図3(A)のE1は、図2(A)の照射光強度分布LID1において、照射光LTの照射方向の角度と、その角度での照射光LTの強度との関係を示す図である。図3(A)のE1では、照射方向が図3(B)のDD1の方向(左方向)である場合に強度が最も高くなる。一方、DD3の方向(右方向)である場合に強度が最も低くなり、DD2の方向ではその中間の強度になる。具体的には方向DD1から方向DD3への角度変化に対して照射光の強度は単調減少しており、例えばリニア(直線的)に変化している。なお図3(B)では、ライトガイドLGの円弧形状の中心位置が、光学式検出装置の配置位置PEになっている。
【0052】
また図3(A)のE2は、図2(B)の照射光強度分布LID2において、照射光LTの照射方向の角度と、その角度での照射光LTの強度との関係を示す図である。図3(A)のE2では、照射方向が図3(B)のDD3の方向である場合に強度が最も高くなる。一方、DD1の方向である場合に強度が最も低くなり、DD2の方向ではその中間の強度になる。具体的には方向DD3から方向DD1への角度変化に対して照射光の強度は単調減少しており、例えばリニアに変化している。なお図3(A)では照射方向の角度と強度の関係はリニアな関係になっているが、本実施形態はこれに限定されず、例えば双曲線の関係等であってもよい。
【0053】
そして図3(B)に示すように、角度θの方向DDBに対象物OBが存在したとする。すると、図2(A)のように光源部LS1が発光することで照射光強度分布LID1を形成した場合(E1の場合)には、図3(A)に示すように、DDB(角度θ)の方向に存在する対象物OBの位置での強度はINTaになる。一方、図2(B)のように光源部LS2が発光することで照射光強度分布LID2を形成した場合(E2の場合)には、DDBの方向に存在する対象物OBの位置での強度はINTbになる。
【0054】
従って、これらの強度INTa、INTbの関係を求めることで、対象物OBの位置する方向DDB(角度θ)を特定できる。そして例えば後述する図7(A)、図7(B)の手法により光学式検出装置の配置位置PEからの対象物OBの距離を求めれば、求められた距離と方向DDBとに基づいて対象物OBの位置を特定できる。或いは、後述する図8に示すように2個の照射ユニットEU1、EU2を設け、EU1、EU2の各照射ユニットに対する対象物OBの方向DDB1(θ1)、DDB2(θ2)を求めれば、これらの方向DDB1、DDB2と照射ユニットEU1、EU2間の距離DSとにより、対象物OBの位置を特定できる。
【0055】
このような強度INTa、INTbの関係を求めるために、本実施形態では、図1(A)の受光部RUが、図2(A)のような照射光強度分布LID1を形成した際の対象物OBの反射光(第1の反射光)を受光する。この時の反射光の検出受光量をGaとした場合に、このGaが強度INTaに対応するようになる。また受光部RUが、図2(B)のような照射光強度分布LID2を形成した際の対象物OBの反射光(第2の反射光)を受光する。この時の反射光の検出受光量をGbとした場合に、このGbが強度INTbに対応するようになる。従って、検出受光量GaとGbの関係が求まれば、強度INTa、INTbの関係が求まり、対象物OBの位置する方向DDBを求めることができる。
【0056】
例えば図2(A)の光源部LS1の制御量(例えば電流量)、変換係数、放出光量を、各々、Ia、k、Eaとする。また図2(B)の光源部LS2の制御量(電流量)、変換係数、放出光量を、各々、Ib、k、Ebとする。すると下式(1)、(2)が成立する。
【0057】
Ea=k・Ia (1)
Eb=k・Ib (2)
また光源部LS1からの光源光(第1の光源光)の減衰係数をfaとし、この光源光に対応する反射光(第1の反射光)の検出受光量をGaとする。また光源部LS2からの光源光(第2の光源光)の減衰係数をfbとし、この光源光に対応する反射光(第2の反射光)の検出受光量をGbとする。すると下式(3)、(4)が成立する。
【0058】
Ga=fa・Ea=fa・k・Ia (3)
Gb=fb・Eb=fb・k・Ib (4)
従って、検出受光量Ga、Gbの比は下式(5)のように表せる。
【0059】
Ga/Gb=(fa/fb)・(Ia/Ib) (5)
ここでGa/Gbは、受光部RUでの受光結果から特定することができ、Ia/Ibは、制御部60による照射ユニットEUの制御量から特定することができる。そして図3(A)の強度INTa、INTbと減衰係数fa、fbとは一意の関係にある。例えば減衰係数fa、fbが小さな値となり、減衰量が大きい場合は、強度INTa、INTbが小さいことを意味する。一方、減衰係数fa、fbが大きな値となり、減衰量が小さい場合は、強度INTa、INTbが大きいことを意味する。従って、上式(5)から減衰率の比fa/fbを求めることで、対象物の方向、位置等を求めることが可能になる。
【0060】
より具体的には、一方の制御量IaをImに固定し、検出受光量の比Ga/Gbが1になるように、他方の制御量Ibを制御する。例えば後述する図7(A)のように光源部LS1、LS2を逆相で交互に点灯させる制御を行い、検出受光量の波形を解析し、検出波形が観測されなくなるように(Ga/Gb=1になるように)、他方の制御量Ibを制御する。そして、このときの他方の制御量Ib=Im・(fa/fb)から、減衰係数の比fa/fbを求めて、対象物の方向、位置等を求める。
【0061】
また下式(6)、(7)のように、Ga/Gb=1になると共に制御量IaとIbの和が一定になるように制御してもよい。
【0062】
Ga/Gb=1 (6)
Im=Ia+Ib (7)
上式(6)、(7)を上式(5)に代入すると下式(8)が成立する。
【0063】
Ga/Gb=1=(fa/fb)・(Ia/Ib)
=(fa/fb)・{(Im−Ib)/Ib} (8)
上式(8)より、Ibは下式(9)のように表される。
【0064】
Ib={fa/(fa+fb)}・Im (9)
ここでα=fa/(fa+fb)とおくと、上式(9)は下式(10)のように表され、減衰係数の比fa/fbは、αを用いて下式(11)のように表される。
【0065】
Ib=α・Im (10)
fa/fb=α/(1−α) (11)
従って、Ga/Gb=1になると共にIaとIbの和が一定値Imになるように制御すれば、そのときのIb、Imから上式(10)によりαを求め、求められたαを上式(11)に代入することで、減衰係数の比fa/fbを求めることができる。これにより、対象物の方向、位置等を求めることが可能になる。そしてGa/Gb=1になると共にIaとIbの和が一定になるように制御することで、外乱光の影響等を相殺することが可能になり、検出精度の向上を図れる。
【0066】
なお、以上では、図2(A)の照射強度分布LID1と図2(B)の照射光強度分布LID2を交互に形成して、対象物の方向、位置等を検出する手法について説明した。しかしながら、検出精度の低下等をある程度許容できる場合には、図2(A)の照射光強度分布LID1又は図2(B)の照射光強度分布LID2の一方だけを形成して、対象物の方向、位置等を求めることも可能である。
【0067】
3.構成例
次に本実施形態の光学式検出装置の第1、第2の構成例について説明する。図4に光学式検出装置の第1の構成例を示す。
【0068】
この第1の構成例では、光源部LS1が、図4のF1に示すようライトガイドLGの一端側に設けられる。また第2の光源部LS2が、F2に示すようにライトガイドLGの他端側に設けられる。そして光源部LS1が、ライトガイドLGの一端側(F1)の光入射面に対して光源光を出射することで、第1の照射光強度分布LID1を対象物の検出領域に形成(設定)する。一方、光源部LS2が、ライトガイドLGの他端側(F2)の光入射面に対して第2の光源光を出射することで、第1の照射強度分布LID1とは強度分布が異なる第2の照射光強度分布LID2を検出領域に形成する。
【0069】
即ち図4の第1の構成例では、ライトガイドLGの両端に光源部LS1、LS2を設け、これらの光源部LS1、LS2を後述する図7(A)に示すように逆相で交互に点灯させることで、図2(A)の状態と図2(B)の状態を交互に作り出す。つまり、ライトガイドLGの一端側の強度が高くなる照射強度分布LID1と、ライトガイドLGの他端側の強度が高くなる照射強度分布LID2を交互に形成して、対象物の反射光を受光し、受光結果に基づいて対象物の方向等を特定する。
【0070】
この第1の構成例によれば、1個のライトガイドLGを設けるだけで済むため、光学式検出装置のコンパクト化等を図ることができる。
【0071】
図5に光学式検出装置の第2の構成例を示す。第2の構成例では第2のライトガイドLG2が更に設けられている。そして図6に示すように、ライトガイドLGと第2のライトガイドLG2は、ライトガイドLGと照射方向設定部LEが並ぶ方向に沿った面に交差(直交)する方向DLGにおいて、並んで配置される。例えば、図1(B)の検出領域RDETの面(XY平面に平行な面)に直交する方向(Z方向)に沿うように、ライトガイドLG1、LG2が配置される。このようにすれば、光学式検出装置にライトガイドLG1、LG2をコンパクトに収納できるようになるため、光学式検出装置が大型化してしまうのを抑止できる。
【0072】
なお図5では、図面のわかりやすさのためにライトガイドLG1とLG2が円弧形状の半径方向に並んで配置されるように描かれているが、実際にはライトガイドLG1、LG2は、図6のような位置関係で配置されている。
【0073】
また図5では、光源部LS1に加えて、第2の光源光を出射する第2の光源部LS2が設けられる。そして曲線形状のライトガイドLG2は、第2の光源部LS2からの第2の光源光を曲線状の導光経路に沿って導光する。
【0074】
そしてライトガイドLG1の一端側(G1)の光入射面に対して、光源部LS1が光源光を出射することで、第1の照射光強度分布LID1を対象物の検出領域に形成する。一方、第2のライトガイドの他端側(G2)の光入射面に対して、第2の光源部LS2が第2の光源光を出射することで、第1の照射強度分布LID1とは強度分布が異なる第2の照射光強度分布LID2を検出領域に形成する。
【0075】
つまり第2の構成例では、ライトガイドLG1とこれに光を入射する光源部LS1を設けると共に、ライトガイドLG2とこれに光を入射する光源部LS2を設ける。そして、光源部LS1、LS2を後述する図7(A)に示すように逆相で交互に点灯させることで、図2(A)の状態と図2(B)の状態を交互に作り出す。そして、対象物の反射光を受光し、受光結果に基づいて対象物の方向等を特定する。
【0076】
この第2の構成例によれば、ライトガイドLG1、LG2の光学設計を簡素化することが可能になる。
【0077】
例えば図3(A)に示すようなリニアな強度分布を形成するためには、シルク印刷方式等により、ライトガイドの出光特性を調整する光学設計が必要になる。即ち、光源光の減衰率が例えば0.9である場合には、90%、81%、73%というように、強度は双曲線の特性で変化してしまい、リニアな変化にはならない。このため、図3(A)のようなリニアな強度分布を形成する場合には、シルク印刷方式等による出光特性の調整が必要になる。
【0078】
ところが、図4の第1の構成例のように1個のライトガイドLGを用いる手法では、このような出光特性の調整が難しくなる。即ち、照射光強度分布LID1の強度変化がリニアになるようにライトガイドLGの表面を加工して出光特性を調整すると、照射光強度分布LID2での強度変化がリニアにならなくなる。一方、照射光強度分布LID2の強度変化がリニアになるようにライトガイドLGの表面を加工して出光特性を調整すると、今度は、照射光強度分布LID1での強度変化がリニアにならなくなる。
【0079】
この点、図5の第2の構成例では、光源部LS1に対応してライトガイドLG1が設けられ、光源部LS2に対応してライトガイドLG2が設けられる。ライトガイドLG1については、照射光強度分布LID1がリニアな強度変化になるように、その表面を加工して出光特性を調整すればよい。一方、ライトガイドLG2については、照射光強度分布LID2がリニアな強度変化になるように、その表面を加工して出光特性を調整すればよい。従って、光学設計を簡素化できる。
【0080】
なお、強度変化の特性が図3(A)に示すようなリニアな特性にならなく、例えば双曲線等の特性になっても、ソフトウェア等による補正処理でこれに対処することが可能である。即ち、光学的にはリニアな特性にならなくても、受光結果に対して補正処理を行うことで、リニアな特性になるように調整することができる。従って、このような補正処理を行う場合には、図5のように2個のライトガイドLG1、LG2を設けずに、図4のように1個のライトガイドLGだけを設ける構成にすることで、光学式検出装置のコンパクト化等を図れる。
【0081】
以上の本実施形態の光学式検出装置によれば、同心円状の曲線状のライトガイドを用いることで、角度のセンシングが可能になる。そしてライトガイドが曲線状になっているため、照射光を放射状に出射することができ、直線形状のライトガイド等を用いる手法に比べて、広い範囲での対象物の方向、位置等の検出が可能になる。例えば直線形状のライトガイドを用いる手法では、広い範囲での検出を可能にするためには、ライトガイドの長さを長くする必要があり、システムが大掛かりなものになってしまう。これに対して本実施形態によれば、図1(A)に示すように、少ない占有面積の照射ユニットを配置するだけで、広い範囲での対象物の方向、位置等を検出することが可能になる。また本実施形態の光学式検出装置によれば、例えば表示エリアの4隅に光源部(照射ユニット)を配置する手法等に比べて、検出システムのコンパクト化を図れる。更に照射ユニットの配置数も例えば1個や2個で済むため、機器の設置の自由度も高くなる。また本実施形態では例えば図1(A)のように表示エリアの上側に照射ユニットを配置するだけで、対象物の方向、位置等を検出できるため、機器の設置も容易になる。また、表示エリアの4隅に光源部を配置する手法では、これらの4隅に配置される光源部の存在が、表示エリアへの画像表示の邪魔になってしまうおそれもあるが、本実施形態の光学式検出装置によればこのような事態も抑止できる。
【0082】
4.位置検出手法
次に本実施形態の光学式検出装置を用いて対象物の位置を検出する手法の一例について説明する。図7(A)は、光源部LS1、LS2の発光制御についての信号波形例である。信号SLS1は、光源部LS1の発光制御信号であり、信号SLS2は、光源部LS2の発光制御信号であり、これらの信号SLS1、SLS2は逆相の信号になっている。また信号SRCは受光信号である。
【0083】
例えば光源部LS1は、信号SLS1がHレベルの場合に点灯(発光)し、Lレベルの場合に消灯する。また光源部LS2は、信号SLS2がHレベルの場合に点灯(発光)し、Lレベルの場合に消灯する。従って図7(A)の第1の期間T1では、光源部LS1と光源部LS2が交互に点灯するようになる。即ち光源部LS1が点灯している期間では、光源部LS2は消灯する。これにより図2(A)に示すような照射光強度分布LID1が形成される。一方、光源部LS2が点灯している期間では、光源部LS1は消灯する。これにより図2(B)に示すような照射光強度分布LID2が形成される。
【0084】
このように図1の制御部60は、第1の期間T1において、光源部LS1と光源部LS2を交互に発光(点灯)させる制御を行う。そしてこの第1の期間T1において、光学式検出装置(照射ユニット)から見た対象物の位置する方向が検出される。具体的には、例えば上述した式(6)、(7)のようにGa/Gb=1になると共に制御量IaとIbの和が一定になるような発光制御を、第1の期間T1において行う。そして図3(B)に示すように対象物OBの位置する方向DDBを求める。例えば上式(10)、(11)から減衰係数の比fa/fbを求め、図3(A)、図3(B)で説明した手法により対象物OBの位置する方向DDBを求める
そして第1の期間T1に続く第2の期間T2では、受光部RUでの受光結果に基づいて対象物OBまでの距離(方向DDBに沿った方向での距離)を検出する。そして、検出された距離と、対象物OBの方向DDBとに基づいて、対象物の位置を検出する。即ち図3(B)において、光学式検出装置の配置位置PEから対象物OBまでの距離と、対象物OBの位置する方向DDBを求めれば、図1(A)、図1(B)のXY平面での対象物OBのX、Y座標位置を特定できる。このように、光源の点灯タイミングと受光タイミングの時間のずれから距離を求め、これと角度結果を併せることで、対象物OBの位置を特定できる。
【0085】
具体的には図7(A)では、発光制御信号SLS1、SLS2による光源部LS1、LS2の発光タイミングから、受光信号SRCがアクティブになるタイミング(反射光を受光したタイミング)までの時間Δtを検出する。即ち、光源部LS1、LS2からの光が対象物OBに反射されて受光部RUで受光されるまでの時間Δtを検出する。この時間Δtを検出することで、光の速度は既知であるため、対象物OBまでの距離を検出できる。即ち、光の到達時間のずれ幅(時間)を測定し、光の速度から距離を求める。
【0086】
なお、光の速度はかなり速いため、電気信号だけでは単純な差分を求めて時間Δtを検出することが難しいという問題もある。このような問題を解決するためには、図7(B)に示すように発光制御信号の変調を行うことが望ましい。ここで図7(B)は、制御信号SLS1、SLS2の振幅により光の強度(電流量)を模式的に表している模式的な信号波形例である。
【0087】
具体的には図7(B)では、例えば公知の連続波変調のTOF(Time Of Flight)方式で距離を検出する。この連続波変調TOF方式では、一定周期の連続波で強度変調した連続光を用いる。そして、強度変調された光を照射すると共に、反射光を、変調周期よりも短い時間間隔で複数回受光することで、反射光の波形を復調し、照射光と反射光との位相差を求めることで、距離を検出する。なお図7(B)において制御信号SLS1、SLS2のいずれか一方に対応する光のみを強度変調してもよい。また図7(B)のようなクロック波形ではなく、連続的な三角波やSin波で変調した波形であってもよい。また、連続変調した光としてパルス光を用いるパルス変調のTOF方式で、距離を検出してもよい。距離検出手法の詳細については例えば特開2009−8537号などに開示されている。
【0088】
図8に本実施形態の変形例を示す。図8では第1、第2の照射ユニットEU1、EU2が設けられる。これらの第1、第2の照射ユニットEU1、EU2は、対象物OBの検出領域RDETの面に沿った方向において所与の距離DSだけ離れて配置される。即ち図1(A)、図1(B)のX軸方向に沿って距離DSだけ離れて配置される。
【0089】
第1の照射ユニットEU1は、照射方向に応じて強度が異なる第1の照射光を放射状に出射する。第2の照射ユニットEU2は、照射方向に応じて強度が異なる第2の照射光を放射状に出射する。受光部RUは、第1の照射ユニットEU1からの第1の照射光が対象物OBに反射されることによる第1の反射光と、第2の照射ユニットEU2からの第2の照射光が対象物OBに反射されることによる第2の反射光を受光する。そして検出部50は、受光部RUでの受光結果に基づいて、対象物OBの位置POBを検出する。
【0090】
具体的には検出部50は、第1の反射光の受光結果に基づいて、第1の照射ユニットEU1に対する対象物OBの方向を第1の方向DDB1(角度θ1)として検出する。また第2の反射光の受光結果に基づいて、第2の照射ユニットEU2に対する対象物OBの方向を第2の方向DDB2(角度θ2)として検出する。そして検出された第1の方向DDB1(θ1)及び第2の方向DDB2(θ2)と、第1、第2の照射ユニットEU1、EU2の間の距離DSとに基づいて、対象物OBの位置POBを求める。
【0091】
図8の変形例によれば、図7(A)、図7(B)のように光学式検出装置と対象物OBとの距離を求めなくても、対象物OBの位置POBを検出できるようになる。
【0092】
また図8の変形例では、受光部RUを、照射ユニットEU1、EU2から等距離(略等距離の場合を含む)の位置に配置することが望ましい。具体的には照射ユニットEU1の配置位置PE1から受光部RUの配置位置(代表位置、中心位置)までの第1の距離と、照射ユニットEU2の配置位置PE2から受光部RUの配置位置までの第2の距離とが等距離(略等距離)になるように、受光部RUを配置する。このような左右対称の配置にすれば、照射ユニットEU1からの照射光と照射ユニットEU2からの照射光との差分が単調性を持つようになる。従って、これらの照射光が対象物で反射することによる反射光を受光部RUが受光して対象物の座標を検出する場合に、受光部RUでの受光量の検出分解能を最大限に利用することが可能になり、座標検出精度を向上できる。
【0093】
5.照射方向の規制
さて、図1(B)に示すような検出領域RDETを設定して、ユーザーの指等の対象物を検出する場合に、照射ユニットEUからの照射光が、図1(B)のZ方向において広がった光になってしまうと、誤った検出が行われてしまうおそれがある。即ち、検出対象がユーザーの指であるのに、ユーザーの体の方を検出してしまうおそれがある。例えば図1(A)において、ユーザーの体がスクリーン20の方に近づいただけで、検出領域RDETに、検出対象であるユーザーの指が存在すると誤検出されてしまうおそれがある。
【0094】
そこで本実施形態の光学式検出装置では、照射光の照射方向を、対象物の検出領域RDETの面(XY平面に平行な面)に沿った方向に規制する照射方向規制部(照射方向制限部)を設けている。具体的には図9(A)では、この照射方向規制部はスリットSLにより実現されている。このスリットSLは、検出領域RDETの面に沿った第1のスリット面SFL1と第2のスリット面SFL2を有する。このように本実施形態では、光学式検出装置の筐体HSに対して、照射方向に開口するスリットSLを設けることで、光学式検出装置の照射方向規制部を実現している。
【0095】
このようなスリットSLを設ければ、ライトガイドLGからの光は、スリット面SFL1、SFL2に沿った方向に規制される。これにより、図1(B)において照射ユニットEUから出射される照射光が、X、Y平面に平行な光になるように規制できる。従って、検出領域RDETへの照射光が、Z方向に広がってしまう事態を防止でき、ユーザーの体がスクリーン20に近づいた場合に、ユーザーの体を指やタッチペンなどの対象物であると誤検出してしまう事態を防止できる。従って、Z方向の位置を検出する装置を設けなくても、対象物の適正な位置検出を実現できるようになる。
【0096】
また図9(B)では、スリット面SFL1、SFL2に対して凹部が形成されている。即ち図9(A)ではスリット面SFL1、SFL2は平らな形状になっているが、図9(B)では、スリット面SFL1、SFL2は平らな形状になっておらず、くぼみが形成されている。このような凹部を設けることでスリット面SFL1、SFL2での表面反射を抑制することが可能になり、XY平面に対して、より平行な光の照射光を検出領域RDETに対して出射できるようになる。
【0097】
なおスリット面SFL1、SFL2の表面に対して例えば無反射塗装などの加工を施すことで、凹部と同様の機能を実現することも可能である。また図9(A)、図9(B)では、照射光のZ方向でのブレを規制する照射方向規制部をスリットSLにより実現する場合について示しているが、例えばルーバーフィルムなどの光学シートを用いて、照射方向規制部を実現してもよい。例えば図2(A)のルーバーフィルムLFは、ライトガイドLGからの出射光の光指向の方向を法線方向に規制する機能を有する。従って、スリットSLによる照射方向規制部の機能と同様の機能を実現するためには、ライトガイドLGからの光の出射方向を、図1(B)のXY平面に平行な方向に規制する配置構成のルーバーフィルムを設ければよい。
【0098】
6.照射ユニットの詳細な構造例
次に本実施形態の光学式検出装置の照射ユニットの詳細な構造例について図10〜図12を用いて説明する。図10〜図12は図4で説明した照射ユニットの詳細な構造を説明する図である。
【0099】
図10は照射ユニットEU(EU1、EU2)をスリットSLの開口側から見た斜視図である。この照射ユニットEUは、扇形状の筺体100、110により構成される。図11は、照射ユニットEUを構成する扇形状の筺体100、110を分離して、筺体100、110をその内側面から見た斜視図である。図12は、筺体100を図11のJ1方向から見た斜視図である。図10、図11、図12に示すように、照射ユニットEUは、扇形状の筺体100、110を、その内側面同士が対向するように重なり合わせた構造になっている。
【0100】
図11、図12に示すように、筺体100の内側面には円弧状の溝部102、104が形成され、筺体110の内側面にも円弧状の溝部112、114が形成されている。102、112は内周側に形成される溝部であり、104、114は外周側に形成される溝部である。このような溝部102、104、112、114を筺体100、102に形成することで、図9(B)で説明したスリット面SFL1、SFL2の凹部が実現される。
【0101】
図11、図12に示すように、ライトガイドLGは、溝部102の内周側に配置される。またライトガイドLGの外周側には照射方向設定部LE(プリズムシート、ルーバーフィルム等)が配置される。ライトガイドLGの内周側には反射シートRSが設けられる。このような配置構成にすることで、ライトガイドLGの外周側から出射された照射光が、照射方向設定部LEにより法線方向にその方向が設定されて、照射ユニットEUのスリットSLから出射されるようになる。この際に、溝部102、104、112、114により実現される照射方向規制部により、照射光の照射方向が、図1(B)の検出領域RDETの面(XY平面に平行な面)に沿うように規制されるようになる。
【0102】
図13(A)、図13(B)は、図11のJ2に示す部分の詳細な構造を説明する図である。
【0103】
図13(A)に示すように、FPC(フレキシブルプリント基板)に設けられる光源部LS(LS1、LS2)からの光はライトガイドLGの光入射面に入射される。ライトガイドLGの内周側には反射シートRSが設けられ、外周側には、拡散シートDFSが設けられる。拡散シートDFSの外周側にはプリズムシートPS1が設けられ、PS1の外周側にはプリズムシートPS2が設けられ、PS2の外周側にはルーバーフィルムLFが設けられる。また図13(B)に示すように、プリズムシートPS1とPS2は、その稜線が直交するように配置される。
【0104】
図13(A)、図13(B)において、拡散シートDFSにより、ライトガイドLGの外周側から出射した光の表面輝度が均一化される。即ち、拡散シートDFSを通ることで、出射光が均一な輝度の拡散光になる。
【0105】
プリズムシートPS1、PS2は、拡散シートDFSの外周側から出射される光を、ライトガイドLGの内周側から外周側に向かう方向DN(法線方向)に集光する機能を有する。即ち、拡散シートDFSで表面輝度の均一化を図った後に、プリズムシートPSにより方向DNに光を集光させて、輝度を向上させる。
【0106】
ルーバーフィルムLFは、プリズムシートPS1、PS2の外周側から出射される低視角光を遮断する格子状の遮光部材である。ルーバーフィルムLFを設けることで、方向DNに沿った光はルーバーフィルムLFを通過して照射ユニットEUから外周側に出射されるようになる一方で、低視角光は遮断されるようになる。
【0107】
図14(A)にプリズムシートPS(PS1、PS2)の例を示す。プリズムシートPSのプリズム面200は例えばアクリル系樹脂層200で形成され、基板202は例えばポリエステルフィルム層202で形成される。
【0108】
図14(B)、図14(C)に拡散シートDFSの例を示す。この拡散シートDFSは、ベースフィルム210(PET)に対してバインダ214と共にビーズ212を塗布することで形成される。これにより図14(C)に示すような凹凸の表面を有する拡散シートDFSを形成できる。
【0109】
図15は、プリズムシートPS、ルーバーフィルムLF等で実現される照射光設定部LEの機能について説明するための図である。
【0110】
図15に示すようにライトガイドLG内を光源光が全反射で導光される場合に、ライトガイドLGの例えば内周側にシルク印刷方式等で表面加工を施すことで、光源光の一部がライトガイドLGの外周側から出射されるようになる。プリズムPS、ルーバーフィルムLF等で実現される照射光設定部LEは、このようにして出射された光の方向DL1、DL2を、方向DN(法線方向)に向くように設定する。こうすることで、図2(A)、図2(B)のような照射強度分布LID1、LID2を形成することが可能になる。
【0111】
7.検出部
次に図16を用いて検出部50等の具体的な構成例について説明する。
【0112】
駆動回路70は、光源部LS1の発光素子LEDAと光源部LS2の発光素子LEDBを駆動する。この駆動回路70は、可変抵抗RA、RBとインバーター回路IV(反転回路)を含む。可変抵抗RAの一端及びインバーター回路IVには、制御部60から矩形波形の駆動信号SDRが入力される。可変抵抗RAは、信号SDRの入力ノードN1と、発光素子LEDAのアノード側のノードN2の間に設けられる。可変抵抗RBは、インバーター回路IVの出力ノードN3と、発光素子LEDBのアノード側のノードN4の間に設けられる。発光素子LEDAはノードN2とGND(VSS)の間に設けられ、発光素子LEDBはノードN4とGNDの間に設けられる。
【0113】
そして駆動信号SDRがHレベルである第1の発光期間TAでは、可変抵抗RAを介して発光素子LEDAに電流が流れて、発光素子LEDAが発光する。これにより図2(A)に示すような照射光強度分布LID1が形成される。一方、駆動信号SDRがLレベルである第2の発光期間TBでは、可変抵抗RBを介して発光素子LEDBに電流が流れて、発光素子LEDBが発光する。これにより図2(B)に示すような照射光強度分布LID2が形成される。従って、図7(A)で説明したように、光源部LS1、LS2を交互に点灯させて、図2(A)、図2(B)の照射光強度分布LID2、LID2を、各々、第1、第2の発光期間TA、TBにおいて形成できるようになる。即ち制御部60は、駆動信号SDRを用いて光源部LS1と光源部LS2を交互に発光させて、照射強度分布LID1と照射強度分布LID2を交互に形成する制御を行う。
【0114】
受光部RUは、フォトダイオード等により実現される受光素子PHDと、電流・電圧変換用の抵抗R1を含む。そして第1の発光期間TAでは、発光素子LEDAからの光による対象物OBの反射光が受光素子PHDに入射されて、抵抗R1及び受光素子PHDに電流が流れ、ノードN5に電圧信号が発生する。一方、第2の発光期間TBでは、発光素子LEDBからの光による対象物OBの反射光が受光素子PHDに入射されて、抵抗R1及び受光素子PHDに電流が流れ、ノードN5に電圧信号が発生する。
【0115】
検出部50は、信号検出回路52、信号分離回路54、判定部56を含む。
【0116】
信号検出回路52(信号抽出回路)は、キャパシターCFと演算増幅器OP1と抵抗R2を含む。キャパシターCFは、ノードN5の電圧信号のDC成分(直流成分)をカットするハイパスフィルターとして機能する。このようなキャパシターCFを設けることで、環境光に起因する低周波成分や直流成分をカットすることができ、検出精度を向上できる。演算増幅器OP1及び抵抗R2で構成されるDCバイアス設定回路は、DC成分カット後のAC信号に対してDCバイアス電圧(VB/2)を設定するための回路である。
【0117】
信号分離回路54は、スイッチ回路SW、キャパシターCA、CB、演算増幅器OP2を含む。スイッチ回路SWは、駆動信号SDRがHレベルになる第1の発光期間TAでは、信号検出回路52の出力ノードN7を、演算増幅器OP2の反転入力側(−)のノードN8に接続する。一方、駆動信号SDRがLレベルになる第2の発光期間TBでは、信号検出回路52の出力ノードN7を、演算増幅器OP2の非反転入力側(+)のノードN9に接続する。演算増幅器OP2は、ノードN8の電圧信号(実効電圧)とノードN9の電圧信号(実効電圧)を比較する。
【0118】
そして制御部60は、信号分離回路54でのノードN8、N9の電圧信号(実効電圧)の比較結果に基づいて、駆動回路70の可変抵抗RA、RBの抵抗値を制御する。判定部56は、制御部60での可変抵抗RA、RBの抵抗値の制御結果に基づいて、対象物の位置の判定処理を行う。
【0119】
本実施形態では図16の検出部50等により、上述した式(6)、(7)で説明した制御を実現する。即ち、第1の発光期間TAでの受光素子PHDの検出受光量をGaとし、第2の発光期間TBでの受光素子PHDの検出受光量をGbとすると、この検出受光量の比Ga/Gbが1になるように、制御部60は、信号分離回路54での比較結果に基づいて可変抵抗RA、RBの抵抗値を制御する。
【0120】
即ち制御部60は、光源部LS1が発光する第1の発光期間TAにおける受光部RUでの検出受光量Gaと、光源部LS2が発光する第2の発光期間TBにおける受光部RUでの検出受光量Gbとが等しくなるように、光源部LS1、LS2の発光制御を行う。
【0121】
例えば第1の発光期間TAでの検出受光量Gaの方が第2の発光期間TBでの検出受光量Gbよりも大きかった場合には、制御部60は、可変抵抗RAの抵抗値を大きくして、発光素子LEDAに流れる電流値が小さくなるように制御する。また可変抵抗RBの抵抗値を小さくして、発光素子LEDBに流れる電流値が大きくなるように制御する。これにより、第1の発光期間TAでの受光素子PHDの検出受光量Gaが小さくなる一方で、第2の発光期間TBでの受光素子PHDの検出受光量Gbが大きくなり、Ga/Gb=1になるように制御される。
【0122】
一方、第2の発光期間TBでの検出受光量Gbの方が第1の発光期間TAでの検出受光量Gaよりも大きかった場合には、制御部60は、可変抵抗RAの抵抗値を小さくして、発光素子LEDAに流れる電流値が大きくするように制御する。また、可変抵抗RBの抵抗値を大きくして、発光素子LEDBに流れる電流値が小さくなるように制御する。これにより、第1の発光期間TAでの受光素子PHDの検出受光量Gaが大きくなる一方で、第2の発光期間TBでの受光素子PHDの検出受光量Gbが小さくなり、Ga/Gb=1になるように制御される。なおGa=Gbである場合には、可変抵抗RA、RBの抵抗値は変化させない。
【0123】
このようにすれば、対象物の位置において、図3(A)の強度INTaとINTbが等しくなるように、光源部LS1、LS2の発光素子LEDA、LEDBの放出光量が制御される。そして、このような発光制御が行われている際の可変抵抗RA、RBの抵抗値等に基づいて、上述した式(6)〜(11)等で説明した手法により、対象物の位置を検出する。このようにすれば、環境光等の外乱光の影響を最小限に抑えることが可能になり、対象物の位置の検出精度を向上することが可能になる。
【0124】
なお本実施形態の発光制御手法は図16で説明した手法に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば図16の発光素子LEDBを参照用光源部の発光素子として用いる手法を採用してもよい。この参照用光源部は、例えば他の光源部(LS1、LS2、LS11〜LS22)に比べて受光部RUから近い距離に配置されたり、受光部RUと同じ筺体内に配置されることで、周囲光(外乱光、対象物からの反射光等)の入射が規制されるように配置設定される光源部である。そして制御部60が、第1の期間において光源部LS1と図示しない参照用光源部を交互に発光させ、受光部RUでの検出受光量が等しくなるように、光源部LS1と参照用光源部の発光制御を行う。また第2の期間において第2の光源部LS2と参照用光源部を交互に発光させ、受光部RUでの検出受光量が等しくなるように、第2の光源部LS2と参照用光源部の発光制御を行う。このようにすれば、光源部LS1が発光する第1の発光期間での検出受光量と、第2の光源部LS2が発光する第2の発光期間での検出受光量とが、参照用光源部を介して実質的に等しくなるように、発光制御が行われるようになる。
【0125】
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また光学式検出装置、表示装置、電子機器の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0126】
EU 照射ユニット、RU 受光部、ARD 表示エリア、RDET 検出領域、
LG、LG1、LG2 ライトガイド、LS1、LS2 光源部、RS 反射シート、
PS プリズムシート、LF ルーバーフィルム、LE 照射方向設定部、
LT 照射光、LID1 第1の照射光強度分布、LID2 第2の照射光強度分布、
SL スリット、SFL1 第1のスリット面、SFL2 第2のスリット面、
10 画像投射装置、20 スクリーン、50 検出部、52 信号検出回路、
54 信号分離回路、56 判定部、60 制御部、70 駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源光を出射する光源部と、
前記光源部からの前記光源光を曲線状の導光経路に沿って導光する曲線形状のライトガイドと、
前記ライトガイドの外周側から出射される前記光源光を受け、曲線形状の前記ライトガイドの内周側から外周側へと向かう方向に照射光の照射方向を設定する照射方向設定部と、
前記照射光が対象物に反射されることによる反射光を受光する受光部と、
前記受光部での受光結果に基づいて、少なくとも前記対象物が位置する方向を検出する検出部と、
を含むことを特徴とする光学式検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
第2の光源光を出射する第2の光源部を含み、
前記ライトガイドの一端側の光入射面に対して前記光源部が前記光源光を出射することで、第1の照射光強度分布を前記対象物の検出領域に形成し、前記ライトガイドの他端側の光入射面に対して前記第2の光源部が前記第2の光源光を出射することで、前記第1の照射強度分布とは強度分布が異なる第2の照射光強度分布を前記検出領域に形成することを特徴とする光学式検出装置。
【請求項3】
請求項1において、
第2の光源光を出射する第2の光源部と、
前記第2の光源部からの前記第2の光源光を、曲線状の導光経路に沿って導光する曲線形状の第2のライトガイドとを含み、
前記ライトガイドの一端側の光入射面に対して前記光源部が前記光源光を出射することで、第1の照射光強度分布を前記対象物の検出領域に形成し、前記第2のライトガイドの他端側の光入射面に対して前記第2の光源部が前記第2の光源光を出射することで、前記第1の照射強度分布とは強度分布が異なる第2の照射光強度分布を前記検出領域に形成することを特徴とする光学式検出装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記ライトガイドと前記第2のライトガイドは、前記ライトガイドと前記照射方向設定部が並ぶ方向に沿った面に対して交差する方向に並んで配置されることを特徴とする光学式検出装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかにおいて、
前記第1の照射光強度分布は、前記ライトガイドの一端側から他端側に向かうにつれて照射光の強度が低くなる強度分布であり、前記第2の照射光強度分布は、前記ライトガイドの他端側から一端側に向かうにつれて照射光の強度が低くなる強度分布であることを特徴とする光学式検出装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかにおいて、
前記光源部及び前記第2の光源部の発光制御を行う制御部を含み、
前記制御部は、
前記光源部と前記第2の光源部を交互に発光させることで、前記第1の照射強度分布と前記第2の照射強度分布を交互に形成する制御を行うことを特徴とする光学式検出装置。
【請求項7】
請求項2乃至5のいずれかにおいて、
前記光源部及び前記第2の光源部の発光制御を行う制御部を含み、
前記制御部は、
前記光源部が発光する期間である第1の発光期間における前記受光部での検出受光量と、前記第2の光源部が発光する期間である第2の発光期間における前記受光部での検出受光量とが等しくなるように、前記光源部及び前記第2の光源部の発光制御を行うことを特徴とする光学式検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記検出部は、
前記受光部での受光結果に基づいて、前記対象物までの距離を検出し、前記距離と、前記対象物の前記方向とに基づいて、前記対象物の位置を検出することを特徴とする光学式検出装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
前記照射光の照射方向を、前記対象物の検出領域の面に沿った方向に規制する照射方向規制部を含むことを特徴とする光学式検出装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記照射方向規制部は、前記検出領域の面に沿った第1のスリット面及び第2のスリット面を有するスリットであることを特徴とする光学式検出装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記第1のスリット面及び前記第2のスリット面には凹部が形成されていることを特徴とする光学式検出装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の光学式検出装置を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれかに記載の光学式検出装置を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−237361(P2011−237361A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110876(P2010−110876)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】