光学素子の梱包方法、及び光学素子の梱包物
【課題】微小な光学素子を簡便に収納することが可能な光学素子の梱包方法を提供することを目的とする。
【解決手段】向きを揃えて複数の棒状の基材を加工台20に配列させる。基材の長手方向に交差する切断面に沿って複数の箇所で複数の基材を切断することで、加工台20に配列させた状態で複数の光学素子1Aを得る。複数の光学素子1Aを加工台20に配列させた状態で、加工台20ごと複数の光学素子1Aを梱包箱40に収納する。
【解決手段】向きを揃えて複数の棒状の基材を加工台20に配列させる。基材の長手方向に交差する切断面に沿って複数の箇所で複数の基材を切断することで、加工台20に配列させた状態で複数の光学素子1Aを得る。複数の光学素子1Aを加工台20に配列させた状態で、加工台20ごと複数の光学素子1Aを梱包箱40に収納する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学素子を梱包する方法、及び光学素子が梱包された梱包物に関する。
【背景技術】
【0002】
微小なプリズムの光学面に微細構造が形成された複合マイクロプリズムが知られている(特許文献1及び特許文献2)。微細構造としては、回折格子やレンズが該当する。
【0003】
複合マイクロプリズムは、例えばハードディスク装置の磁気ヘッドに搭載される。磁気ヘッド自体が小さいため、磁気ヘッドに搭載される複合マイクロプリズムも1mm未満の大きさが要求される。複合マイクロプリズムは、例えば0.5mm程度の大きさが要求される。
【0004】
ところで、光学素子を梱包する方法が提案されている。特許文献3には、ガラス板からなるウェハを加工することで未分離の状態にある複数の光学素子を形成し、ウェハを個片の光学素子に切断した後、そのままの状態で梱包する方法が開示されている。この方法によると、個片の光学素子を1つずつトレーに載置する必要がなく、トレー内での光学素子の損傷を防止することができ、また、トレー内で光学素子がばらけることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−188619号公報
【特許文献2】国際公開第2009/139258号
【特許文献3】特開2006−66841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら微小な複合マイクロプリズムを、特許文献3に記載されたウェハによって作製することは困難である。例えばナノインプリント法によってレンズ面や回折格子をウェハに形成することはできるが、形成される光学素子は平板状の光学素子に限定されてしまう。さらに異方性エッチング等によってウェハにプリズムを形成することはできるが、エッチング後の斜面にレンズ面や回折格子を形成することは困難である。
【0007】
また、複合マイクロプリズムは上述したように非常に小さいため、取り扱いが非常に困難である。そのため、複合マイクロプリズムをトレーに梱包したり、トレー内で複合マイクロプリズムの向きを揃えたりするためには顕微鏡が必要となる。すなわち、作業者は顕微鏡によって複合マイクロプリズムを観察しながら、複合マイクロプリズムを梱包したり向きを揃えたりする必要がある。そのため、梱包のための工数が増え、梱包の作業も非常に煩雑となる。さらに、複合マイクロプリズムに形成されるレンズ面や回折格子も微細構造となるため、トレー内でばらけてしまい、その結果、レンズ面や回折格子などの微細構造が損傷するおそれがある。
【0008】
この発明は上記の問題点を解決するものであり、微小な光学素子を簡便に収納することが可能な光学素子の梱包方法を提供することを目的とする。また、この発明は、光学素子が梱包された梱包物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の形態は、向きを揃えて複数の棒状の基材を加工台に配列させる第1のステップと、前記基材の長手方向に交差する切断面に沿って複数の箇所で複数の前記基材を切断することで、前記加工台に配列させた状態で複数の光学素子を得る第2のステップと、前記複数の光学素子を前記加工台に配列させた状態で、前記加工台ごと前記複数の光学素子を梱包箱に収納する第3のステップと、を含む光学素子の梱包方法である。
【0010】
上記の光学素子の梱包方法において、前記第1のステップは、複数の前記基材を互いに平行に並べる配列治具に複数の前記基材を載置する第4のステップと、前記配列治具によって複数の前記基材を互いに平行に並べて複数の前記基材を前記加工台に載せることで、複数の前記基材を前記加工台に配列させる第5のステップと、を含んでいてもよい。
前記配列治具には、複数の溝が互いに平行に形成されており、前記第4のステップでは、前記配列治具に形成された前記溝に前記基材を載置することが好ましい。
前記配列治具は枠体であり、前記枠体の互いに対向する位置に前記溝が形成されており、前記第4のステップでは、前記枠体に形成された前記溝に前記基材の両端部を載せることで、前記基材を前記配列治具に配列させることが好ましい。
前記枠体は矩形状の形状を有し、前記枠体の互いに対向する位置に前記溝が形成されており、前記第4のステップでは、互いに対向する位置にある2つの前記溝を1つのペアとし、前記ペアのうちの一方の前記溝に前記基材の一方の端部を載せ、前記ペアのうちの他方の前記溝に前記基材の他方の端部を載せることで、前記基材を前記配列治具に配列させることが好ましい。
前記配列治具は枠体であり、前記枠体の内側には互いに対向する位置に前記枠体の内側に突起する複数の突起部が互い平行に設けられており、前記第4のステップでは、互いに対向する位置にある2つの前記突起部を1つのペアとし、前記ペアのうちの一方の前記突起部と前記枠体の内側の表面とに前記基材の一方の端部を当て、前記ペアのうちの他方の前記突起部に前記基材の他方の端部を当てて前記基材を前記配列治具に配列させることが好ましい。
前記加工台は表面にダイシングテープを含み、前記第5のステップでは、前記配列治具と前記ダイシングテープとによって複数の前記基材を挟んで複数の前記基材を前記ダイシングテープに貼り付けることで、複数の前記基材を前記ダイシングテープに配列させることが好ましい。
【0011】
上記の光学素子の梱包方法において、前記第2のステップでは、前記基材の端部を基準位置として、前記基準位置から所定の間隔おきに前記切断面に沿って複数の前記箇所で複数の前記基材を切断してもよい。
【0012】
上記の光学素子の梱包方法において、前記基材の表面にはアライメントマークが設けられており、前記第2のステップでは、前記アライメントマークを基準位置として、前記基準位置から所定の間隔おきに前記切断面に沿って複数の前記箇所で複数の前記基材を切断してもよい。
【0013】
上記の光学素子の梱包方法において、前記基材はプリズムであり、前記プリズムの表面には互いに間隔をおいて複数のレンズ面が形成されており、前記第2のステップでは、前記レンズ面の単位で前記切断面に沿って複数の前記基材を切断してもよい。
【0014】
上記の光学素子の梱包方法において、前記基材はプリズムであり、前記プリズムの表面には回折格子が形成されていてもよい。
【0015】
この発明の第2の態様は、互いに平行な複数の切断溝が所定の間隔をおいて表面に形成されたシート状の粘着テープと、前記所定の間隔の間に前記切断溝に沿って前記粘着テープの前記表面に貼り付けられた複数の光学素子と、前記粘着テープと複数の前記光学素子とを内部に収納する梱包箱と、を有する光学素子の梱包物である。
【発明の効果】
【0016】
この発明によると、複数の基材を加工台に配列させて基材を切断することで複数の光学素子を得て、加工台ごと複数の光学素子を梱包箱に収納することで、光学素子を簡便に収納することが可能となる。すなわち、加工台に載ったままの状態で光学素子を梱包箱に収納するため、個々の光学素子を1つ1つ取り扱って梱包箱に収納する必要がない。そのことにより、梱包のための工数を減らして、光学素子を簡便に収納することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の第1実施形態に係る基材を示す斜視図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る配列治具を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態において、基材を配列治具に配列した状態を示す正面図である。
【図4】第1実施形態において、基材をダイシング装置のワーク台に載置した状態を示す正面図である。
【図5】第1実施形態において、アライメントマークが形成されている基材を示す斜視図である。
【図6】第1実施形態において、基材を切断した後の状態を示す図であり、複数の光学素子を上から見た図である。
【図7】第1実施形態において、複数の光学素子が内部に梱包された梱包箱を示す断面図である。
【図8】この発明の第2実施形態に係る配列治具を示す斜視図である。
【図9】第2実施形態において、基材を配列治具に配列した状態を示す図であり、基材と配列治具とを上から見た図である。
【図10】第2実施形態において、基材を配列治具に配列した状態を示す正面図である。
【図11】第2実施形態において、基材を配列治具に配列した別の状態を示す正面図である。
【図12】第2実施形態において、基材をダイシング装置のワーク台に載置した状態を示す正面図である。
【図13】第2実施形態において、複数の光学素子が内部に梱包された梱包箱を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
(基材1)
この発明の第1実施形態に係る光学素子の梱包方法について説明する。図1を参照して、第1実施形態に係る基材について説明する。図1は基材の斜視図である。一例として、基材1は、断面の形状が三角形の棒状のプリズムであり、表面にレンズ面が形成されている。具体的には、基材1は、三角形の底面2及び底面3を有する角柱(三角柱)である。基材1の側面は、面4と面5と面6とからなる。面4には、複数のレンズ面7が所定の間隔をおいて設けられている。底面2及び底面3の各辺の長さは、例えば0.5mm程度である。基材1は、底面2と底面3との間の距離(長手方向(図中のX方向)の距離)が、長い棒状の角柱(三角柱)である。底面2と底面3との間の距離(長手方向の距離)は、例えば10mmから50mm程度である。換言すると、面4、面5、及び面6の辺であって底面2と底面3とには含まれない辺は、長さが10mmから50mm程度である。なお、基材1のサイズは一例であり、この発明において基材1のサイズはこれらの値に限定されず、上記のサイズよりも大きくてもよい。また、面4と面6とによって形成される稜線と面5との間の長さを、長さHとする。換言すると、面4と面6とによって形成される稜線から面5に垂直に下ろした線の長さが、長さHである。
【0019】
樹脂を用いた射出成型によって、レンズ面7を含む基材1を一体的に作製することができる。または、ガラス製の基材1の面4に、インプリント法によってレンズ面7を形成してもよい。
【0020】
レンズ面7を含む面4と面6には、反射防止膜が予め形成されていてもよい。面5には、アルミニウム(Al)や金(Au)などの金属からなる反射膜が予め形成されていてもよい。反射膜上には、SiO2膜などの保護膜が更に形成されていてもよい。成膜方法は、例えば蒸着法やスパッタ法を用いればよい。
【0021】
第1実施形態では、基材1を切断することで複数の光学素子を作製する。光学素子は、例えば回折格子を有するプリズム、又はレンズを有するプリズムなどが該当する。一例として、レンズを有するプリズムを作製する場合について説明する。
【0022】
(光学素子の梱包方法)
図2から図7を参照して、第1実施形態に係る光学素子の梱包方法について説明する。
【0023】
(1.配列治具への設置)
まず、複数の基材1を配列治具に載置する。図2を参照して、配列治具について説明する。図2は配列治具の斜視図である。
【0024】
配列治具10は、矩形状の形状を有する枠体である。配列治具10は枠形状を有しているため、配列治具10の内側には略矩形状に開口する開口部13が形成されている。枠体である配列治具10は、X方向に平行な2本の棒状のフレーム部材と、X方向に直交するY方向に平行な2本の棒状のフレーム部材(フレーム部材11及びフレーム部材12)と、を有する。フレーム部材によって囲まれた内側に開口部13が形成されている。フレーム部材11には、所定の間隔をおいて複数の溝14が互いに平行に形成されている。フレーム部材11に対向するフレーム部材12にも、所定の間隔をおいて複数の溝14が互いに平行に形成されている。フレーム部材11とフレーム部材12とには、互いに対向する位置に溝14が形成されている。例えばV字状の溝14が形成されている。各溝14は同じ深さを有し、各溝14は同じ向きを向いている。溝14の深さ方向の長さは、基材1の面4と面6とによって形成される稜線と面5との間の長さHよりも短い。
【0025】
配列治具10のX方向の長さは、基材1の長手方向(X方向)の長さとほぼ等しい。すなわち、フレーム部材11の外側の面とフレーム部材12の外側の面との間の距離は、基材1の長手方向(X方向)の長さとほぼ等しい。さらに換言すると、フレーム部材11及びフレーム部材12のX方向の厚さを含めたフレーム部材11とフレーム部材12との間の距離は、基材1の長手方向(X方向)の長さとほぼ等しい。
【0026】
フレーム部材12の外側の面には、フレーム部材12に沿って当接部材15が設けられている。当接部材15は平坦な当接面16を有し、当接面16がフレーム部材12の外側の面に接触している。これにより、溝14においてフレーム部材12の外側に向く端部に、当接面16が設けられる。
【0027】
そして、配列治具10の溝14に基材1を載置する。フレーム部材11に形成された1つの溝14とフレーム部材12に形成された1つの溝14とがペアとなり、1つの基材1を支持する。すなわち、互いに対向する位置にある2つの溝14を1つのペアとする。そして、ペアのうちの一方の溝14に基材1の一方の端部を載せ、ペアのうちの他方の溝14に基材1の他方の端部を載せる。配列治具10のX方向の長さが基材1の長手方向の長さとほぼ等しいため、基材1の両端部が溝14にそれぞれ載置される。配列治具10に形成された複数の溝14によって複数のペアを構成し、複数の基材1を配列治具10に載置する。
【0028】
具体的には、基材1の面4と面6とを溝14に接触させて、溝14に基材1を載置する。そして、基材1の底面3を、溝14の外側に設けられた当接面16に押し当てることで、基材1の端面(底面3)の位置合わせを行う。配列治具10は枠形状を有し、内側には開口部13を有しているため、基材1の両端部が溝14にそれぞれ載置される。このように基材1の両端部のみが配列治具10によって支持されるため、面4に形成されたレンズ面7が配列治具10に接触することはない。そのことにより、レンズ面7が配列治具10に接触して損傷されることを防止することができる。
【0029】
そして、複数の基材1を配列治具10に載置する。複数の溝14は互いに平行に形成されているため、複数の基材1を互いに平行に載置することが可能となる。基材1の底面3を当接面16に押し当てながら基材1を配列治具10に載置することで、複数の基材1の端面(底面2及び底面3)の位置を揃えることが可能となる。また、溝14の深さ方向の長さが基材1に係る長さHよりも短いため、基材1を溝14に載置したときに、基材1の面5が配列治具10の表面から突出する。
【0030】
(2.加工台への設置)
次に、配列治具10に載置された複数の基材1を加工台に設置する。例えば、配列治具10と搬送可能な加工台とによって複数の基材1を挟んで複数の基材1を加工台に載せることで、複数の基材1を加工台に配列させる。
【0031】
図3を参照して、基材1を加工台に設置する方法について説明する。図3は、基材を配列治具に配列した状態を示す正面図である。加工台20は平坦な表面を有する。加工台20の平坦な表面に、シート状のダイシングテープ(ダイシングシート)21を粘着テープとして貼り付ける。そして、配列治具10に載置された基材1の面5にダイシングテープ21を対向させ、ダイシングテープ21を面5に接触させる。基材1の面5は配列治具10の表面から突出しているため、ダイシングテープ21が設けられた加工台20を配列治具10に押し付けることで、基材1の面5がダイシングテープ21に密着する。このように配列治具10とダイシングテープ21とによって複数の基材1を挟むことで、複数の基材1をダイシングテープ21に貼り付けることができる。これにより複数の基材1をダイシングテープ21に配列させることができる。すなわち、複数の基材1を加工台20に配列させることができる。また、配列治具10の表面から突出している面5がダイシングテープ21と密着するため、面5よりも低い位置にある配列治具10の表面とダイシングテープ21とは密着しない。
【0032】
配列治具10の複数の溝14は互いに平行に形成されて、複数の基材1が互いに平行に載置されているため、加工台20上において複数の基材1を互いに平行に配列させることができる。また、配列治具10において複数の基材1の端面(底面2及び底面3)の位置が揃っているため、端面の位置を揃えて複数の基材1を加工台20に配列させることができる。このように配列治具10を用いることで、向きを揃えて複数の基材1を加工台20に配列させることができ、また、端面の位置を揃えて複数の基材1を加工台20に配列させることができる。換言すると、複数の基材1を加工台20に整然と載置することが可能となる。
【0033】
ダイシングテープ21として、紫外線照射によって粘着力がなくなり剥離が可能なダイシングテープを用いる場合には、加工台20の材料には、透明なガラスやプラスチックを用いることが好ましい。
【0034】
(3.切断工程)
次に、複数の基材1が配列している加工台20を配列治具10から取り外し、加工台20をダイシング装置のワーク台に固定する。そして、加工台20に配列している複数の基材1を切断する。図4から図6を参照して、切断工程について説明する。図4は、基材をダイシング装置のワーク台に載置した状態を示す正面図である。図5は基材の斜視図である。図6は、基材を切断した後の状態を示す図であり、複数の光学素子を上から見た図である。
【0035】
図4に示すように、加工台20上にはダイシングテープ21が設置され、ダイシングテープ21上に複数の基材1が配列している。基材1の面5がダイシングテープ21に密着している。加工台20はダイシング装置のワーク台22上に固定されている。
【0036】
例えば面4と面6とによって形成される稜線が、ダイシングブレード30による切断方向と直交するようにワーク台22を回転調整する。すなわち、基材1のX方向(長手方向)と切断方向とが直交するようにワーク台22を回転調整する。換言すると、Y方向と切断方向とが平行になるようにワーク台22を回転調整する。例えばダイシング装置のモニタによって基材1の稜線を観察しながら、ワーク台22を回転調整する。また、基材1の端部を、切断における基準位置とする。例えばダイシング装置のモニタによって基材1の端部を検出し、その端部を切断における基準位置とする。例えば、基材1の底面2又は底面3を基準位置とする。または、ある1つのレンズ面7の頂点を基準位置としてもよい。
【0037】
また、基材1の表面にアライメントマークを予め形成しておき、このアライメントマークを基準位置としてもよい。例えば、レンズ面7と同時にアライメントマークを基材1の表面に形成しておけばよい。図5に、アライメントマークが形成された基材を示す。アライメントマーク8は基材1の面4の端部に形成されている。アライメントマーク8は、配列治具10の溝14と接触する箇所以外の箇所に形成されていればよい。
【0038】
そして、予め設定されたデータに基づいて基準位置からワーク台22を移動させ、ダイシングブレード30によって複数の基材1を複数の箇所で切断する。これにより、加工台20に配列させた状態で複数の光学素子を得る。すなわち、基材1の長手方向(X方向)に交差する切断面に沿って複数の箇所で複数の基材1を切断することで、加工台20に配列させた状態で複数の光学素子を得る。例えば、基材1の面4に形成されたレンズ面7の単位で複数の基材1を切断する。
【0039】
以上の工程により、向きを揃えた状態で複数の棒状の基材1を精度良く切断することが可能となる。また基準位置を基準にして切断することで、切断後の各光学素子の長さの精度を確保することができる。
【0040】
図6に、切断した後の基材を示す。基材1の長手方向(X方向)と切断方向とが直交するため、X方向に直交する複数の切断溝23がダイシングテープ21に形成されている。複数の切断溝23は互いに平行である。この実施形態では、レンズ面7の単位で複数の基材1を切断することで、加工台20に配列させた状態で複数の光学素子1Aを得る。複数の光学素子1Aが、切断溝23と切断溝23との間に切断溝23に沿って、ダイシングテープ21の表面に貼り付けられている。基材1を切断した後、基材1の両端の不要な断片を取り除き、洗浄することで切り屑などを除去し乾燥することが好ましい。
【0041】
なお、加工台20の途中まで切断してもよいし、加工台20まで切り込みを入れずに、ダイシングテープ21の途中まで切断してもよい。
【0042】
(4.梱包)
そして、切断されたときのまま複数の光学素子1Aを加工台20に配列させた状態で、加工台20ごと梱包箱に収納する。図7に梱包箱を示す。図7は、複数の光学素子が内部に梱包された梱包箱を示す断面図である。梱包箱40は、箱本体41と蓋42とを有する。複数の光学素子1Aを加工台20に配列させたまま、加工台20ごと箱本体41内に収納し、蓋42を箱本体41の上部に設置する。すなわち、複数の光学素子1Aをダイシングテープ21に貼り付けた状態で、加工台20ごと箱本体41に収納する。これにより、複数の光学素子1Aが梱包された梱包物が得られる。
【0043】
例えば複数の梱包箱40を積み重ねて段ボール箱などの輸送箱に入れて、出荷することが可能となる。
【0044】
以上のように複数の棒状の基材1を加工台20に配列させ、個片の光学素子1Aに切断し、そのままの状態で加工台20ごと梱包箱40に収納することで、微小な光学素子1Aを簡便に収納することが可能となる。すなわち、基材1を切断した後、光学素子1Aを加工台20から取り外さずに、ダイシングテープ21に貼り付けたままの状態で加工台20ごと梱包箱40に収納することで、光学素子1Aを1つ1つ梱包する必要がない。従来においては、微小な光学素子を1つ1つトレーに梱包していたが、この実施形態によると、複数の光学素子1Aが固定された加工台20をそのまま梱包箱40に収納するので、個々の光学素子1Aをトレーに入れ直す必要がない。そのことにより、梱包のための工数を減らすことができ、作業の負担を軽減することが可能となる。
【0045】
また、従来においては、個々の光学素子を1つ1つトレーに梱包していたため、顕微鏡を用いる必要があった。すなわち、作業者が顕微鏡によって光学素子を観察しながら、個々の光学素子の向きを揃えてトレーに梱包する必要があった。一方、この実施形態では、加工台20に光学素子1Aを固定させたままの状態で梱包箱40に収納するため、顕微鏡を用いずに梱包することが可能となる。また、加工台20ごと取り扱うため、取り扱いが非常に容易となる。
【0046】
また、光学素子1Aはダイシングテープ21に固定されているため、振動などによる光学素子1Aの移動を抑制することができる。例えば輸送時に振動が発生しても光学素子1Aはダイシングテープ21に固定されているため、光学素子1Aが動いて損傷されることを防止することができる。また、梱包箱40内で光学素子1Aがばらけることを防止し、レンズ面7などの微細構造の損傷を防止することができる。
【0047】
また、切断前の基材1は棒状の形状を有するため、断面が微小であっても容易に取り扱うことができる。例えば個々の光学素子を取り扱うと、光学素子を紛失するおそれがあるが、基材1を取り扱うことで紛失を防止することができる。
【0048】
また、この実施形態によると、向きを揃えて複数の基材1を加工台20に配列することができ、端面の位置を揃えて複数の基材1を加工台20に配列させることができる。そして複数の基材1を加工台20に整然と配列した状態で切断することで、複数の光学素子1Aを整然と配列した状態で梱包箱40に収納することができる。そのことにより、所定の向きで個片の光学素子1Aを取り出すことができ、作業効率を高めることができる。
【0049】
[第2実施形態]
この発明の第2実施形態に係る光学素子の梱包方法について説明する。第2実施形態においては、加工台20を用いずに基材1を切断し、複数の光学素子1Aを梱包箱40に収納する。例えばダイシングテープ21の厚さが数百μm以上ある場合には加工台20を用いずに、ダイシング装置のワーク台22にダイシングテープ21を直接貼り付け、配列治具を用いて複数の基材1をダイシングテープ21に配列させて切断してもよい。この場合には、複数の光学素子1Aをダイシングテープ21ごとワーク台22から取り外し、ダイシングテープ21ごと複数の光学素子1Aを梱包箱40に収納する。これにより加工台20が不要となるため、工数及び製造コストを抑制することができる。
【0050】
(光学素子の梱包方法)
図8から図13を参照して、第2実施形態に係る光学素子の梱包方法について説明する。
【0051】
(1.配列治具への設置)
図8を参照して、配列治具について説明する。図8は配列治具の斜視図である。
【0052】
配列治具50は、矩形状の形状を有する枠体である。配列治具50は枠形状を有するため、配列治具50の内側には略矩形状に開口する開口部53が形成されている。枠体である配列治具50は、X方向に平行な2本の棒状のフレーム部材と、X方向に直交するY方向に平行な2本の棒状のフレーム部材(フレーム部材51及びフレーム部材52)と、を有する。フレーム部材によって囲まれた内側に開口部53が形成されている。フレーム部材51の内側の表面(開口部53に面する表面)には、内側に突起する複数の突起部54が所定の間隔をおいて互いに平行に設けられている。フレーム部材51に対向するフレーム部材52の内側の表面(開口部53に面する表面)にも、内側に突起する複数の突起部54が所定の間隔をおいて互いに平行に設けられている。フレーム部材51の内側の表面とフレーム部材52の内側の表面とには、互いに対向する位置に突起部54が設けられている。
【0053】
フレーム部材51の内側の表面とフレーム部材52の内側の表面との間の距離は、基材1の長手方向(X方向)の長さよりも長い。すなわち、開口部53のX方向の長さは、基材1の長手方向の長さよりも長い。一方、対向する位置に設けられた2つの突起部54の間の距離は、基材1の長手方向の長さよりも短い。すなわち、フレーム部材51に設けられた突起部54とフレーム部材52に設けられた突起部54との間の距離は、基材1の長手方向の長さよりも短い。
【0054】
第2実施形態では加工台20を用いずに、ワーク台22にダイシングテープ21を貼り付け、ダイシングテープ21の上に配列治具50を設置する。
【0055】
そして、配列治具50の開口部53の内側に複数の基材1を配置する。フレーム部材51に設けられた1つの突起部54とフレーム部材52に設けられた1つの突起部54とがペアとなり、1つの基材1を配置するための基準となる。すなわち、互いに対向する位置にある2つの突起部54が1つのペアとなる。そして、ペアのうちの一方の突起部54とフレーム部材(フレーム部材51又はフレーム部材52)の内側の表面とに、基材1の一方の端部を当てつつ、ペアのうちの他方の突起部54に基材1の他方の端部を当てて、開口部53の内側かつダイシングテープ21上に基材1を配置する。配列治具50に設けられた複数の突起部54によって複数のペアを構成し、複数の基材1をダイシングテープ21上に配置する。
【0056】
具体的には、基材1の側面(面4、面5、又は面6)の両端部を突起部54の側面に当てつつ、基材1の端面(底面2又は底面3)をフレーム部材(フレーム部材51又はフレーム部材52)の内側の表面に当てて、開口部53の内側かつダイシングテープ21上に基材1を配置する。一例として、基材1の面6をダイシングテープ21に向けて、基材1の面4の一方の端部を一方の突起部54の側面に当て、面4の他方の端部を他方の突起部54の側面に当てつつ、基材1の底面2をフレーム部材52の内側の表面に当てて、開口部53の内側かつダイシングテープ21上に基材1を配置する。基材1の面6はダイシングテープ21に接触し、基材1はダイシングテープ21に貼り付けられる。
【0057】
開口部53のX方向の長さが基材1の長手方向の長さよりも長いため、開口部53の内側に基材1を配置することができる。また、対向する位置に設けられた2つの突起部54の間の距離が、基材1の長手方向の長さよりも短いため、基材1の面4の両端部を突起部54の側面に当てつつ、開口部53の内側に基材1を配置することができる。
【0058】
そして複数の基材1を、開口部53の内側かつダイシングテープ21上に配置する。図9から図11に、複数の基材1をダイシングテープ21上に配置した状態を示す。図9は、基材を配列治具に配列した状態を示す図であり、基材と配列治具とを上から見た図である。図10は、基材を配列治具に配列した状態を示す正面図である。図11は、基材を配列治具に配列した別の状態を示す正面図である。
【0059】
フレーム部材51とフレーム部材52とは平行に設けられ、複数の突起部54は互いに平行に設けられているため、図9及び図10に示すように、ダイシングテープ21上において複数の基材1を互いに平行に配置することができる。また、基材1の端面(例えば底面2)をフレーム部材52の内側の表面に当てているため、端面(底面2及び底面3)の位置を揃えて複数の基材1をダイシングテープ21に配列させることができる。このように配列治具50を用いることで、向きを揃えて複数の基材1をダイシングテープ21に配列させることができ、また、端面の位置を揃えて複数の基材1をダイシングテープ21に配列させることができる。換言すると、複数の基材1をダイシングテープ21に整然と配置することが可能となる。
【0060】
また図11に示すように、配列治具50の四隅に足部55を設け、4つの足部55のみをダイシングテープ21に接触させてもよい。4つの足部55のみをダイシングテープ21に接触させ、配列治具50の他の部分をダイシングテープ21に接触させないことで、配列治具50をダイシングテープ21から容易に取り外すことが可能となる。
【0061】
(2.切断工程)
次に、配列治具50をダイシングテープ21から取り外す。そして、ダイシングテープ21に配列している複数の基材1を切断する。図12を参照して、切断工程について説明する。図12は、基材をダイシング装置のワーク台に載置した状態を示す正面図である。
【0062】
図12に示すように、ワーク台22にはダイシングテープ21が貼り付けられている。ダイシングテープ21上に複数の基材1が配列している。基材1の面6がダイシングテープ21に密着している。
【0063】
例えば面4と面5とによって形成される稜線が、ダイシングブレード30による切断方向と直交するようにワーク台22を回転調整する。すなわち、基材1のX方向(長手方向)と切断方向とが直交するようにワーク台22を回転調整する。また、基材1の端面を、切断における基準位置とする。例えば基材1の底面2又は底面3を基準位置とする。または、ある1つのレンズ面7の頂点を基準位置としてもよい。または、図5に示すように、基材1の表面にアライメントマーク8を予め形成しておき、このアライメントマーク8を基準位置としてもよい。
【0064】
そして、基準位置からワーク台22を移動させ、ダイシングブレード30によって複数の基材1を複数の箇所で切断する。これにより、ダイシングテープ21に配列させた状態で複数の光学素子を得る。すなわち、基材1の長手方向(X方向)に交差する切断面に沿って、複数の箇所で複数の基材1を切断する。例えば、基材1の面4に形成されたレンズ面7の単位で複数の基材1を切断する。
【0065】
なお、ダイシングブレード30によるダイシングテープ21への切り込みの程度は、ダイシングテープ21の厚さの半分以下であることが好ましい。この程度の切り込みとすることで、切り込みの入ったダイシングテープ21の全体をワーク台22から取り外すことが可能となる。基材1を切断した後、基材1の両端の不要な断片を取り除き、洗浄することで切り屑などを除去し乾燥することが好ましい。
【0066】
(3.梱包)
そして、切断されたときのまま複数の光学素子1Aをダイシングテープ21に配列させた状態で、ダイシングテープ21ごと梱包箱に収納する。図13に梱包箱を示す。図13は、複数の光学素子が内部に梱包された梱包箱を示す断面図である。複数の光学素子1Aをダイシングテープ21に貼り付けた状態で、ダイシングテープ21ごと箱本体41内に収納し、蓋42を箱本体41の上に設置する。これにより、複数の光学素子1Aが梱包された梱包物が得られる。
【0067】
以上のように複数の棒状の基材1をダイシングテープ21に配列させ、個片の光学素子1Aに切断し、そのままの状態で梱包箱40に収納することで、第1実施形態に係る梱包方法と同じ効果を奏することができる。例えば、微小な光学素子1Aを簡便に収納することが可能となる。
【0068】
なお、この発明に係る加工台は、第1実施形態のように加工台20とダイシングテープ21とを含んで構成されていてもよいし、第2実施形態のように加工台20を除いてダイシングテープ21によって構成されていてもよい。
【0069】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、配列治具を用いずにカメラで基材1を観察しながら、複数の基材1を互いに平行に配列させてもよい。この方法は、例えばロボットアームで基材1をハンドリングさせる場合に適している。
【0070】
また、第1実施形態及び第2実施形態においては、基材1の表面に形成される微細構造はレンズ面7に限定されず、他の構造であってもよい。例えば、回折格子を面4に形成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 基材
1A 光学素子
2、3 底面
4、5、6 面
7 レンズ面
8 アライメントマーク
10、50 配列治具
11、12、51、52 フレーム部材
13、53 開口部
14 溝
15 当接部材
16 当接面
20 加工台
21 ダイシングテープ(ダイシングシート)
22 ワーク台
23 切断溝
30 ダイシングブレード
40 梱包箱
41 箱本体
42 蓋
54 突起部
55 足部
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学素子を梱包する方法、及び光学素子が梱包された梱包物に関する。
【背景技術】
【0002】
微小なプリズムの光学面に微細構造が形成された複合マイクロプリズムが知られている(特許文献1及び特許文献2)。微細構造としては、回折格子やレンズが該当する。
【0003】
複合マイクロプリズムは、例えばハードディスク装置の磁気ヘッドに搭載される。磁気ヘッド自体が小さいため、磁気ヘッドに搭載される複合マイクロプリズムも1mm未満の大きさが要求される。複合マイクロプリズムは、例えば0.5mm程度の大きさが要求される。
【0004】
ところで、光学素子を梱包する方法が提案されている。特許文献3には、ガラス板からなるウェハを加工することで未分離の状態にある複数の光学素子を形成し、ウェハを個片の光学素子に切断した後、そのままの状態で梱包する方法が開示されている。この方法によると、個片の光学素子を1つずつトレーに載置する必要がなく、トレー内での光学素子の損傷を防止することができ、また、トレー内で光学素子がばらけることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−188619号公報
【特許文献2】国際公開第2009/139258号
【特許文献3】特開2006−66841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら微小な複合マイクロプリズムを、特許文献3に記載されたウェハによって作製することは困難である。例えばナノインプリント法によってレンズ面や回折格子をウェハに形成することはできるが、形成される光学素子は平板状の光学素子に限定されてしまう。さらに異方性エッチング等によってウェハにプリズムを形成することはできるが、エッチング後の斜面にレンズ面や回折格子を形成することは困難である。
【0007】
また、複合マイクロプリズムは上述したように非常に小さいため、取り扱いが非常に困難である。そのため、複合マイクロプリズムをトレーに梱包したり、トレー内で複合マイクロプリズムの向きを揃えたりするためには顕微鏡が必要となる。すなわち、作業者は顕微鏡によって複合マイクロプリズムを観察しながら、複合マイクロプリズムを梱包したり向きを揃えたりする必要がある。そのため、梱包のための工数が増え、梱包の作業も非常に煩雑となる。さらに、複合マイクロプリズムに形成されるレンズ面や回折格子も微細構造となるため、トレー内でばらけてしまい、その結果、レンズ面や回折格子などの微細構造が損傷するおそれがある。
【0008】
この発明は上記の問題点を解決するものであり、微小な光学素子を簡便に収納することが可能な光学素子の梱包方法を提供することを目的とする。また、この発明は、光学素子が梱包された梱包物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の形態は、向きを揃えて複数の棒状の基材を加工台に配列させる第1のステップと、前記基材の長手方向に交差する切断面に沿って複数の箇所で複数の前記基材を切断することで、前記加工台に配列させた状態で複数の光学素子を得る第2のステップと、前記複数の光学素子を前記加工台に配列させた状態で、前記加工台ごと前記複数の光学素子を梱包箱に収納する第3のステップと、を含む光学素子の梱包方法である。
【0010】
上記の光学素子の梱包方法において、前記第1のステップは、複数の前記基材を互いに平行に並べる配列治具に複数の前記基材を載置する第4のステップと、前記配列治具によって複数の前記基材を互いに平行に並べて複数の前記基材を前記加工台に載せることで、複数の前記基材を前記加工台に配列させる第5のステップと、を含んでいてもよい。
前記配列治具には、複数の溝が互いに平行に形成されており、前記第4のステップでは、前記配列治具に形成された前記溝に前記基材を載置することが好ましい。
前記配列治具は枠体であり、前記枠体の互いに対向する位置に前記溝が形成されており、前記第4のステップでは、前記枠体に形成された前記溝に前記基材の両端部を載せることで、前記基材を前記配列治具に配列させることが好ましい。
前記枠体は矩形状の形状を有し、前記枠体の互いに対向する位置に前記溝が形成されており、前記第4のステップでは、互いに対向する位置にある2つの前記溝を1つのペアとし、前記ペアのうちの一方の前記溝に前記基材の一方の端部を載せ、前記ペアのうちの他方の前記溝に前記基材の他方の端部を載せることで、前記基材を前記配列治具に配列させることが好ましい。
前記配列治具は枠体であり、前記枠体の内側には互いに対向する位置に前記枠体の内側に突起する複数の突起部が互い平行に設けられており、前記第4のステップでは、互いに対向する位置にある2つの前記突起部を1つのペアとし、前記ペアのうちの一方の前記突起部と前記枠体の内側の表面とに前記基材の一方の端部を当て、前記ペアのうちの他方の前記突起部に前記基材の他方の端部を当てて前記基材を前記配列治具に配列させることが好ましい。
前記加工台は表面にダイシングテープを含み、前記第5のステップでは、前記配列治具と前記ダイシングテープとによって複数の前記基材を挟んで複数の前記基材を前記ダイシングテープに貼り付けることで、複数の前記基材を前記ダイシングテープに配列させることが好ましい。
【0011】
上記の光学素子の梱包方法において、前記第2のステップでは、前記基材の端部を基準位置として、前記基準位置から所定の間隔おきに前記切断面に沿って複数の前記箇所で複数の前記基材を切断してもよい。
【0012】
上記の光学素子の梱包方法において、前記基材の表面にはアライメントマークが設けられており、前記第2のステップでは、前記アライメントマークを基準位置として、前記基準位置から所定の間隔おきに前記切断面に沿って複数の前記箇所で複数の前記基材を切断してもよい。
【0013】
上記の光学素子の梱包方法において、前記基材はプリズムであり、前記プリズムの表面には互いに間隔をおいて複数のレンズ面が形成されており、前記第2のステップでは、前記レンズ面の単位で前記切断面に沿って複数の前記基材を切断してもよい。
【0014】
上記の光学素子の梱包方法において、前記基材はプリズムであり、前記プリズムの表面には回折格子が形成されていてもよい。
【0015】
この発明の第2の態様は、互いに平行な複数の切断溝が所定の間隔をおいて表面に形成されたシート状の粘着テープと、前記所定の間隔の間に前記切断溝に沿って前記粘着テープの前記表面に貼り付けられた複数の光学素子と、前記粘着テープと複数の前記光学素子とを内部に収納する梱包箱と、を有する光学素子の梱包物である。
【発明の効果】
【0016】
この発明によると、複数の基材を加工台に配列させて基材を切断することで複数の光学素子を得て、加工台ごと複数の光学素子を梱包箱に収納することで、光学素子を簡便に収納することが可能となる。すなわち、加工台に載ったままの状態で光学素子を梱包箱に収納するため、個々の光学素子を1つ1つ取り扱って梱包箱に収納する必要がない。そのことにより、梱包のための工数を減らして、光学素子を簡便に収納することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の第1実施形態に係る基材を示す斜視図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る配列治具を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態において、基材を配列治具に配列した状態を示す正面図である。
【図4】第1実施形態において、基材をダイシング装置のワーク台に載置した状態を示す正面図である。
【図5】第1実施形態において、アライメントマークが形成されている基材を示す斜視図である。
【図6】第1実施形態において、基材を切断した後の状態を示す図であり、複数の光学素子を上から見た図である。
【図7】第1実施形態において、複数の光学素子が内部に梱包された梱包箱を示す断面図である。
【図8】この発明の第2実施形態に係る配列治具を示す斜視図である。
【図9】第2実施形態において、基材を配列治具に配列した状態を示す図であり、基材と配列治具とを上から見た図である。
【図10】第2実施形態において、基材を配列治具に配列した状態を示す正面図である。
【図11】第2実施形態において、基材を配列治具に配列した別の状態を示す正面図である。
【図12】第2実施形態において、基材をダイシング装置のワーク台に載置した状態を示す正面図である。
【図13】第2実施形態において、複数の光学素子が内部に梱包された梱包箱を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
(基材1)
この発明の第1実施形態に係る光学素子の梱包方法について説明する。図1を参照して、第1実施形態に係る基材について説明する。図1は基材の斜視図である。一例として、基材1は、断面の形状が三角形の棒状のプリズムであり、表面にレンズ面が形成されている。具体的には、基材1は、三角形の底面2及び底面3を有する角柱(三角柱)である。基材1の側面は、面4と面5と面6とからなる。面4には、複数のレンズ面7が所定の間隔をおいて設けられている。底面2及び底面3の各辺の長さは、例えば0.5mm程度である。基材1は、底面2と底面3との間の距離(長手方向(図中のX方向)の距離)が、長い棒状の角柱(三角柱)である。底面2と底面3との間の距離(長手方向の距離)は、例えば10mmから50mm程度である。換言すると、面4、面5、及び面6の辺であって底面2と底面3とには含まれない辺は、長さが10mmから50mm程度である。なお、基材1のサイズは一例であり、この発明において基材1のサイズはこれらの値に限定されず、上記のサイズよりも大きくてもよい。また、面4と面6とによって形成される稜線と面5との間の長さを、長さHとする。換言すると、面4と面6とによって形成される稜線から面5に垂直に下ろした線の長さが、長さHである。
【0019】
樹脂を用いた射出成型によって、レンズ面7を含む基材1を一体的に作製することができる。または、ガラス製の基材1の面4に、インプリント法によってレンズ面7を形成してもよい。
【0020】
レンズ面7を含む面4と面6には、反射防止膜が予め形成されていてもよい。面5には、アルミニウム(Al)や金(Au)などの金属からなる反射膜が予め形成されていてもよい。反射膜上には、SiO2膜などの保護膜が更に形成されていてもよい。成膜方法は、例えば蒸着法やスパッタ法を用いればよい。
【0021】
第1実施形態では、基材1を切断することで複数の光学素子を作製する。光学素子は、例えば回折格子を有するプリズム、又はレンズを有するプリズムなどが該当する。一例として、レンズを有するプリズムを作製する場合について説明する。
【0022】
(光学素子の梱包方法)
図2から図7を参照して、第1実施形態に係る光学素子の梱包方法について説明する。
【0023】
(1.配列治具への設置)
まず、複数の基材1を配列治具に載置する。図2を参照して、配列治具について説明する。図2は配列治具の斜視図である。
【0024】
配列治具10は、矩形状の形状を有する枠体である。配列治具10は枠形状を有しているため、配列治具10の内側には略矩形状に開口する開口部13が形成されている。枠体である配列治具10は、X方向に平行な2本の棒状のフレーム部材と、X方向に直交するY方向に平行な2本の棒状のフレーム部材(フレーム部材11及びフレーム部材12)と、を有する。フレーム部材によって囲まれた内側に開口部13が形成されている。フレーム部材11には、所定の間隔をおいて複数の溝14が互いに平行に形成されている。フレーム部材11に対向するフレーム部材12にも、所定の間隔をおいて複数の溝14が互いに平行に形成されている。フレーム部材11とフレーム部材12とには、互いに対向する位置に溝14が形成されている。例えばV字状の溝14が形成されている。各溝14は同じ深さを有し、各溝14は同じ向きを向いている。溝14の深さ方向の長さは、基材1の面4と面6とによって形成される稜線と面5との間の長さHよりも短い。
【0025】
配列治具10のX方向の長さは、基材1の長手方向(X方向)の長さとほぼ等しい。すなわち、フレーム部材11の外側の面とフレーム部材12の外側の面との間の距離は、基材1の長手方向(X方向)の長さとほぼ等しい。さらに換言すると、フレーム部材11及びフレーム部材12のX方向の厚さを含めたフレーム部材11とフレーム部材12との間の距離は、基材1の長手方向(X方向)の長さとほぼ等しい。
【0026】
フレーム部材12の外側の面には、フレーム部材12に沿って当接部材15が設けられている。当接部材15は平坦な当接面16を有し、当接面16がフレーム部材12の外側の面に接触している。これにより、溝14においてフレーム部材12の外側に向く端部に、当接面16が設けられる。
【0027】
そして、配列治具10の溝14に基材1を載置する。フレーム部材11に形成された1つの溝14とフレーム部材12に形成された1つの溝14とがペアとなり、1つの基材1を支持する。すなわち、互いに対向する位置にある2つの溝14を1つのペアとする。そして、ペアのうちの一方の溝14に基材1の一方の端部を載せ、ペアのうちの他方の溝14に基材1の他方の端部を載せる。配列治具10のX方向の長さが基材1の長手方向の長さとほぼ等しいため、基材1の両端部が溝14にそれぞれ載置される。配列治具10に形成された複数の溝14によって複数のペアを構成し、複数の基材1を配列治具10に載置する。
【0028】
具体的には、基材1の面4と面6とを溝14に接触させて、溝14に基材1を載置する。そして、基材1の底面3を、溝14の外側に設けられた当接面16に押し当てることで、基材1の端面(底面3)の位置合わせを行う。配列治具10は枠形状を有し、内側には開口部13を有しているため、基材1の両端部が溝14にそれぞれ載置される。このように基材1の両端部のみが配列治具10によって支持されるため、面4に形成されたレンズ面7が配列治具10に接触することはない。そのことにより、レンズ面7が配列治具10に接触して損傷されることを防止することができる。
【0029】
そして、複数の基材1を配列治具10に載置する。複数の溝14は互いに平行に形成されているため、複数の基材1を互いに平行に載置することが可能となる。基材1の底面3を当接面16に押し当てながら基材1を配列治具10に載置することで、複数の基材1の端面(底面2及び底面3)の位置を揃えることが可能となる。また、溝14の深さ方向の長さが基材1に係る長さHよりも短いため、基材1を溝14に載置したときに、基材1の面5が配列治具10の表面から突出する。
【0030】
(2.加工台への設置)
次に、配列治具10に載置された複数の基材1を加工台に設置する。例えば、配列治具10と搬送可能な加工台とによって複数の基材1を挟んで複数の基材1を加工台に載せることで、複数の基材1を加工台に配列させる。
【0031】
図3を参照して、基材1を加工台に設置する方法について説明する。図3は、基材を配列治具に配列した状態を示す正面図である。加工台20は平坦な表面を有する。加工台20の平坦な表面に、シート状のダイシングテープ(ダイシングシート)21を粘着テープとして貼り付ける。そして、配列治具10に載置された基材1の面5にダイシングテープ21を対向させ、ダイシングテープ21を面5に接触させる。基材1の面5は配列治具10の表面から突出しているため、ダイシングテープ21が設けられた加工台20を配列治具10に押し付けることで、基材1の面5がダイシングテープ21に密着する。このように配列治具10とダイシングテープ21とによって複数の基材1を挟むことで、複数の基材1をダイシングテープ21に貼り付けることができる。これにより複数の基材1をダイシングテープ21に配列させることができる。すなわち、複数の基材1を加工台20に配列させることができる。また、配列治具10の表面から突出している面5がダイシングテープ21と密着するため、面5よりも低い位置にある配列治具10の表面とダイシングテープ21とは密着しない。
【0032】
配列治具10の複数の溝14は互いに平行に形成されて、複数の基材1が互いに平行に載置されているため、加工台20上において複数の基材1を互いに平行に配列させることができる。また、配列治具10において複数の基材1の端面(底面2及び底面3)の位置が揃っているため、端面の位置を揃えて複数の基材1を加工台20に配列させることができる。このように配列治具10を用いることで、向きを揃えて複数の基材1を加工台20に配列させることができ、また、端面の位置を揃えて複数の基材1を加工台20に配列させることができる。換言すると、複数の基材1を加工台20に整然と載置することが可能となる。
【0033】
ダイシングテープ21として、紫外線照射によって粘着力がなくなり剥離が可能なダイシングテープを用いる場合には、加工台20の材料には、透明なガラスやプラスチックを用いることが好ましい。
【0034】
(3.切断工程)
次に、複数の基材1が配列している加工台20を配列治具10から取り外し、加工台20をダイシング装置のワーク台に固定する。そして、加工台20に配列している複数の基材1を切断する。図4から図6を参照して、切断工程について説明する。図4は、基材をダイシング装置のワーク台に載置した状態を示す正面図である。図5は基材の斜視図である。図6は、基材を切断した後の状態を示す図であり、複数の光学素子を上から見た図である。
【0035】
図4に示すように、加工台20上にはダイシングテープ21が設置され、ダイシングテープ21上に複数の基材1が配列している。基材1の面5がダイシングテープ21に密着している。加工台20はダイシング装置のワーク台22上に固定されている。
【0036】
例えば面4と面6とによって形成される稜線が、ダイシングブレード30による切断方向と直交するようにワーク台22を回転調整する。すなわち、基材1のX方向(長手方向)と切断方向とが直交するようにワーク台22を回転調整する。換言すると、Y方向と切断方向とが平行になるようにワーク台22を回転調整する。例えばダイシング装置のモニタによって基材1の稜線を観察しながら、ワーク台22を回転調整する。また、基材1の端部を、切断における基準位置とする。例えばダイシング装置のモニタによって基材1の端部を検出し、その端部を切断における基準位置とする。例えば、基材1の底面2又は底面3を基準位置とする。または、ある1つのレンズ面7の頂点を基準位置としてもよい。
【0037】
また、基材1の表面にアライメントマークを予め形成しておき、このアライメントマークを基準位置としてもよい。例えば、レンズ面7と同時にアライメントマークを基材1の表面に形成しておけばよい。図5に、アライメントマークが形成された基材を示す。アライメントマーク8は基材1の面4の端部に形成されている。アライメントマーク8は、配列治具10の溝14と接触する箇所以外の箇所に形成されていればよい。
【0038】
そして、予め設定されたデータに基づいて基準位置からワーク台22を移動させ、ダイシングブレード30によって複数の基材1を複数の箇所で切断する。これにより、加工台20に配列させた状態で複数の光学素子を得る。すなわち、基材1の長手方向(X方向)に交差する切断面に沿って複数の箇所で複数の基材1を切断することで、加工台20に配列させた状態で複数の光学素子を得る。例えば、基材1の面4に形成されたレンズ面7の単位で複数の基材1を切断する。
【0039】
以上の工程により、向きを揃えた状態で複数の棒状の基材1を精度良く切断することが可能となる。また基準位置を基準にして切断することで、切断後の各光学素子の長さの精度を確保することができる。
【0040】
図6に、切断した後の基材を示す。基材1の長手方向(X方向)と切断方向とが直交するため、X方向に直交する複数の切断溝23がダイシングテープ21に形成されている。複数の切断溝23は互いに平行である。この実施形態では、レンズ面7の単位で複数の基材1を切断することで、加工台20に配列させた状態で複数の光学素子1Aを得る。複数の光学素子1Aが、切断溝23と切断溝23との間に切断溝23に沿って、ダイシングテープ21の表面に貼り付けられている。基材1を切断した後、基材1の両端の不要な断片を取り除き、洗浄することで切り屑などを除去し乾燥することが好ましい。
【0041】
なお、加工台20の途中まで切断してもよいし、加工台20まで切り込みを入れずに、ダイシングテープ21の途中まで切断してもよい。
【0042】
(4.梱包)
そして、切断されたときのまま複数の光学素子1Aを加工台20に配列させた状態で、加工台20ごと梱包箱に収納する。図7に梱包箱を示す。図7は、複数の光学素子が内部に梱包された梱包箱を示す断面図である。梱包箱40は、箱本体41と蓋42とを有する。複数の光学素子1Aを加工台20に配列させたまま、加工台20ごと箱本体41内に収納し、蓋42を箱本体41の上部に設置する。すなわち、複数の光学素子1Aをダイシングテープ21に貼り付けた状態で、加工台20ごと箱本体41に収納する。これにより、複数の光学素子1Aが梱包された梱包物が得られる。
【0043】
例えば複数の梱包箱40を積み重ねて段ボール箱などの輸送箱に入れて、出荷することが可能となる。
【0044】
以上のように複数の棒状の基材1を加工台20に配列させ、個片の光学素子1Aに切断し、そのままの状態で加工台20ごと梱包箱40に収納することで、微小な光学素子1Aを簡便に収納することが可能となる。すなわち、基材1を切断した後、光学素子1Aを加工台20から取り外さずに、ダイシングテープ21に貼り付けたままの状態で加工台20ごと梱包箱40に収納することで、光学素子1Aを1つ1つ梱包する必要がない。従来においては、微小な光学素子を1つ1つトレーに梱包していたが、この実施形態によると、複数の光学素子1Aが固定された加工台20をそのまま梱包箱40に収納するので、個々の光学素子1Aをトレーに入れ直す必要がない。そのことにより、梱包のための工数を減らすことができ、作業の負担を軽減することが可能となる。
【0045】
また、従来においては、個々の光学素子を1つ1つトレーに梱包していたため、顕微鏡を用いる必要があった。すなわち、作業者が顕微鏡によって光学素子を観察しながら、個々の光学素子の向きを揃えてトレーに梱包する必要があった。一方、この実施形態では、加工台20に光学素子1Aを固定させたままの状態で梱包箱40に収納するため、顕微鏡を用いずに梱包することが可能となる。また、加工台20ごと取り扱うため、取り扱いが非常に容易となる。
【0046】
また、光学素子1Aはダイシングテープ21に固定されているため、振動などによる光学素子1Aの移動を抑制することができる。例えば輸送時に振動が発生しても光学素子1Aはダイシングテープ21に固定されているため、光学素子1Aが動いて損傷されることを防止することができる。また、梱包箱40内で光学素子1Aがばらけることを防止し、レンズ面7などの微細構造の損傷を防止することができる。
【0047】
また、切断前の基材1は棒状の形状を有するため、断面が微小であっても容易に取り扱うことができる。例えば個々の光学素子を取り扱うと、光学素子を紛失するおそれがあるが、基材1を取り扱うことで紛失を防止することができる。
【0048】
また、この実施形態によると、向きを揃えて複数の基材1を加工台20に配列することができ、端面の位置を揃えて複数の基材1を加工台20に配列させることができる。そして複数の基材1を加工台20に整然と配列した状態で切断することで、複数の光学素子1Aを整然と配列した状態で梱包箱40に収納することができる。そのことにより、所定の向きで個片の光学素子1Aを取り出すことができ、作業効率を高めることができる。
【0049】
[第2実施形態]
この発明の第2実施形態に係る光学素子の梱包方法について説明する。第2実施形態においては、加工台20を用いずに基材1を切断し、複数の光学素子1Aを梱包箱40に収納する。例えばダイシングテープ21の厚さが数百μm以上ある場合には加工台20を用いずに、ダイシング装置のワーク台22にダイシングテープ21を直接貼り付け、配列治具を用いて複数の基材1をダイシングテープ21に配列させて切断してもよい。この場合には、複数の光学素子1Aをダイシングテープ21ごとワーク台22から取り外し、ダイシングテープ21ごと複数の光学素子1Aを梱包箱40に収納する。これにより加工台20が不要となるため、工数及び製造コストを抑制することができる。
【0050】
(光学素子の梱包方法)
図8から図13を参照して、第2実施形態に係る光学素子の梱包方法について説明する。
【0051】
(1.配列治具への設置)
図8を参照して、配列治具について説明する。図8は配列治具の斜視図である。
【0052】
配列治具50は、矩形状の形状を有する枠体である。配列治具50は枠形状を有するため、配列治具50の内側には略矩形状に開口する開口部53が形成されている。枠体である配列治具50は、X方向に平行な2本の棒状のフレーム部材と、X方向に直交するY方向に平行な2本の棒状のフレーム部材(フレーム部材51及びフレーム部材52)と、を有する。フレーム部材によって囲まれた内側に開口部53が形成されている。フレーム部材51の内側の表面(開口部53に面する表面)には、内側に突起する複数の突起部54が所定の間隔をおいて互いに平行に設けられている。フレーム部材51に対向するフレーム部材52の内側の表面(開口部53に面する表面)にも、内側に突起する複数の突起部54が所定の間隔をおいて互いに平行に設けられている。フレーム部材51の内側の表面とフレーム部材52の内側の表面とには、互いに対向する位置に突起部54が設けられている。
【0053】
フレーム部材51の内側の表面とフレーム部材52の内側の表面との間の距離は、基材1の長手方向(X方向)の長さよりも長い。すなわち、開口部53のX方向の長さは、基材1の長手方向の長さよりも長い。一方、対向する位置に設けられた2つの突起部54の間の距離は、基材1の長手方向の長さよりも短い。すなわち、フレーム部材51に設けられた突起部54とフレーム部材52に設けられた突起部54との間の距離は、基材1の長手方向の長さよりも短い。
【0054】
第2実施形態では加工台20を用いずに、ワーク台22にダイシングテープ21を貼り付け、ダイシングテープ21の上に配列治具50を設置する。
【0055】
そして、配列治具50の開口部53の内側に複数の基材1を配置する。フレーム部材51に設けられた1つの突起部54とフレーム部材52に設けられた1つの突起部54とがペアとなり、1つの基材1を配置するための基準となる。すなわち、互いに対向する位置にある2つの突起部54が1つのペアとなる。そして、ペアのうちの一方の突起部54とフレーム部材(フレーム部材51又はフレーム部材52)の内側の表面とに、基材1の一方の端部を当てつつ、ペアのうちの他方の突起部54に基材1の他方の端部を当てて、開口部53の内側かつダイシングテープ21上に基材1を配置する。配列治具50に設けられた複数の突起部54によって複数のペアを構成し、複数の基材1をダイシングテープ21上に配置する。
【0056】
具体的には、基材1の側面(面4、面5、又は面6)の両端部を突起部54の側面に当てつつ、基材1の端面(底面2又は底面3)をフレーム部材(フレーム部材51又はフレーム部材52)の内側の表面に当てて、開口部53の内側かつダイシングテープ21上に基材1を配置する。一例として、基材1の面6をダイシングテープ21に向けて、基材1の面4の一方の端部を一方の突起部54の側面に当て、面4の他方の端部を他方の突起部54の側面に当てつつ、基材1の底面2をフレーム部材52の内側の表面に当てて、開口部53の内側かつダイシングテープ21上に基材1を配置する。基材1の面6はダイシングテープ21に接触し、基材1はダイシングテープ21に貼り付けられる。
【0057】
開口部53のX方向の長さが基材1の長手方向の長さよりも長いため、開口部53の内側に基材1を配置することができる。また、対向する位置に設けられた2つの突起部54の間の距離が、基材1の長手方向の長さよりも短いため、基材1の面4の両端部を突起部54の側面に当てつつ、開口部53の内側に基材1を配置することができる。
【0058】
そして複数の基材1を、開口部53の内側かつダイシングテープ21上に配置する。図9から図11に、複数の基材1をダイシングテープ21上に配置した状態を示す。図9は、基材を配列治具に配列した状態を示す図であり、基材と配列治具とを上から見た図である。図10は、基材を配列治具に配列した状態を示す正面図である。図11は、基材を配列治具に配列した別の状態を示す正面図である。
【0059】
フレーム部材51とフレーム部材52とは平行に設けられ、複数の突起部54は互いに平行に設けられているため、図9及び図10に示すように、ダイシングテープ21上において複数の基材1を互いに平行に配置することができる。また、基材1の端面(例えば底面2)をフレーム部材52の内側の表面に当てているため、端面(底面2及び底面3)の位置を揃えて複数の基材1をダイシングテープ21に配列させることができる。このように配列治具50を用いることで、向きを揃えて複数の基材1をダイシングテープ21に配列させることができ、また、端面の位置を揃えて複数の基材1をダイシングテープ21に配列させることができる。換言すると、複数の基材1をダイシングテープ21に整然と配置することが可能となる。
【0060】
また図11に示すように、配列治具50の四隅に足部55を設け、4つの足部55のみをダイシングテープ21に接触させてもよい。4つの足部55のみをダイシングテープ21に接触させ、配列治具50の他の部分をダイシングテープ21に接触させないことで、配列治具50をダイシングテープ21から容易に取り外すことが可能となる。
【0061】
(2.切断工程)
次に、配列治具50をダイシングテープ21から取り外す。そして、ダイシングテープ21に配列している複数の基材1を切断する。図12を参照して、切断工程について説明する。図12は、基材をダイシング装置のワーク台に載置した状態を示す正面図である。
【0062】
図12に示すように、ワーク台22にはダイシングテープ21が貼り付けられている。ダイシングテープ21上に複数の基材1が配列している。基材1の面6がダイシングテープ21に密着している。
【0063】
例えば面4と面5とによって形成される稜線が、ダイシングブレード30による切断方向と直交するようにワーク台22を回転調整する。すなわち、基材1のX方向(長手方向)と切断方向とが直交するようにワーク台22を回転調整する。また、基材1の端面を、切断における基準位置とする。例えば基材1の底面2又は底面3を基準位置とする。または、ある1つのレンズ面7の頂点を基準位置としてもよい。または、図5に示すように、基材1の表面にアライメントマーク8を予め形成しておき、このアライメントマーク8を基準位置としてもよい。
【0064】
そして、基準位置からワーク台22を移動させ、ダイシングブレード30によって複数の基材1を複数の箇所で切断する。これにより、ダイシングテープ21に配列させた状態で複数の光学素子を得る。すなわち、基材1の長手方向(X方向)に交差する切断面に沿って、複数の箇所で複数の基材1を切断する。例えば、基材1の面4に形成されたレンズ面7の単位で複数の基材1を切断する。
【0065】
なお、ダイシングブレード30によるダイシングテープ21への切り込みの程度は、ダイシングテープ21の厚さの半分以下であることが好ましい。この程度の切り込みとすることで、切り込みの入ったダイシングテープ21の全体をワーク台22から取り外すことが可能となる。基材1を切断した後、基材1の両端の不要な断片を取り除き、洗浄することで切り屑などを除去し乾燥することが好ましい。
【0066】
(3.梱包)
そして、切断されたときのまま複数の光学素子1Aをダイシングテープ21に配列させた状態で、ダイシングテープ21ごと梱包箱に収納する。図13に梱包箱を示す。図13は、複数の光学素子が内部に梱包された梱包箱を示す断面図である。複数の光学素子1Aをダイシングテープ21に貼り付けた状態で、ダイシングテープ21ごと箱本体41内に収納し、蓋42を箱本体41の上に設置する。これにより、複数の光学素子1Aが梱包された梱包物が得られる。
【0067】
以上のように複数の棒状の基材1をダイシングテープ21に配列させ、個片の光学素子1Aに切断し、そのままの状態で梱包箱40に収納することで、第1実施形態に係る梱包方法と同じ効果を奏することができる。例えば、微小な光学素子1Aを簡便に収納することが可能となる。
【0068】
なお、この発明に係る加工台は、第1実施形態のように加工台20とダイシングテープ21とを含んで構成されていてもよいし、第2実施形態のように加工台20を除いてダイシングテープ21によって構成されていてもよい。
【0069】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、配列治具を用いずにカメラで基材1を観察しながら、複数の基材1を互いに平行に配列させてもよい。この方法は、例えばロボットアームで基材1をハンドリングさせる場合に適している。
【0070】
また、第1実施形態及び第2実施形態においては、基材1の表面に形成される微細構造はレンズ面7に限定されず、他の構造であってもよい。例えば、回折格子を面4に形成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 基材
1A 光学素子
2、3 底面
4、5、6 面
7 レンズ面
8 アライメントマーク
10、50 配列治具
11、12、51、52 フレーム部材
13、53 開口部
14 溝
15 当接部材
16 当接面
20 加工台
21 ダイシングテープ(ダイシングシート)
22 ワーク台
23 切断溝
30 ダイシングブレード
40 梱包箱
41 箱本体
42 蓋
54 突起部
55 足部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
向きを揃えて複数の棒状の基材を加工台に配列させる第1のステップと、
前記基材の長手方向に交差する切断面に沿って複数の箇所で複数の前記基材を切断することで、前記加工台に配列させた状態で複数の光学素子を得る第2のステップと、
前記複数の光学素子を前記加工台に配列させた状態で、前記加工台ごと前記複数の光学素子を梱包箱に収納する第3のステップと、
を含む光学素子の梱包方法。
【請求項2】
前記第1のステップは、
複数の前記基材を互いに平行に並べる配列治具に複数の前記基材を載置する第4のステップと、
前記配列治具によって複数の前記基材を互いに平行に並べて複数の前記基材を前記加工台に載せることで、複数の前記基材を前記加工台に配列させる第5のステップと、
を含む請求項1に記載の光学素子の梱包方法。
【請求項3】
前記配列治具には、複数の溝が互いに平行に形成されており、
前記第4のステップでは、前記配列治具に形成された前記溝に前記基材を載置する請求項2に記載の光学素子の梱包方法。
【請求項4】
前記配列治具は枠体であり、前記枠体の互いに対向する位置に前記溝が形成されており、
前記第4のステップでは、前記枠体に形成された前記溝に前記基材の両端部を載せることで、前記基材を前記配列治具に配列させる請求項3に記載の光学素子の梱包方法。
【請求項5】
前記枠体は矩形状の形状を有し、前記枠体の互いに対向する位置に前記溝が形成されており、
前記第4のステップでは、互いに対向する位置にある2つの前記溝を1つのペアとし、前記ペアのうちの一方の前記溝に前記基材の一方の端部を載せ、前記ペアのうちの他方の前記溝に前記基材の他方の端部を載せることで、前記基材を前記配列治具に配列させる請求項4に記載の光学素子の梱包方法。
【請求項6】
前記配列治具は枠体であり、前記枠体の内側には互いに対向する位置に前記枠体の内側に突起する複数の突起部が互い平行に設けられており、
前記第4のステップでは、互いに対向する位置にある2つの前記突起部を1つのペアとし、前記ペアのうちの一方の前記突起部と前記枠体の内側の表面とに前記基材の一方の端部を当て、前記ペアのうちの他方の前記突起部に前記基材の他方の端部を当てて前記基材を前記配列治具に配列させる請求項2に記載の光学素子の梱包方法。
【請求項7】
前記加工台は表面にダイシングテープを含み、
前記第5のステップでは、前記配列治具と前記ダイシングテープとによって複数の前記基材を挟んで複数の前記基材を前記ダイシングテープに貼り付けることで、複数の前記基材を前記ダイシングテープに配列させる請求項2から請求項6のいずれかに記載の光学素子の梱包方法。
【請求項8】
前記第2のステップでは、前記基材の端部を基準位置として、前記基準位置から所定の間隔おきに前記切断面に沿って複数の前記箇所で複数の前記基材を切断する請求項1から請求項7のいずれかに記載の光学素子の梱包方法。
【請求項9】
前記基材の表面にはアライメントマークが設けられており、
前記第2のステップでは、前記アライメントマークを基準位置として、前記基準位置から所定の間隔おきに前記切断面に沿って複数の前記箇所で複数の前記基材を切断する請求項1から請求項7のいずれかに記載の光学素子の梱包方法。
【請求項10】
前記基材はプリズムであり、前記プリズムの表面には互いに間隔をおいて複数のレンズ面が形成されており、
前記第2のステップでは、前記レンズ面の単位で前記切断面に沿って複数の前記基材を切断する請求項1から請求項9のいずれかに記載の光学素子の梱包方法。
【請求項11】
前記基材はプリズムであり、前記プリズムの表面には回折格子が形成されている請求項1から請求項9のいずれかに記載の光学素子の梱包方法。
【請求項12】
互いに平行な複数の切断溝が所定の間隔をおいて表面に形成されたシート状の粘着テープと、
前記所定の間隔の間に前記切断溝に沿って前記粘着テープの前記表面に貼り付けられた複数の光学素子と、
前記粘着テープと複数の前記光学素子とを内部に収納する梱包箱と、
を有する光学素子の梱包物。
【請求項1】
向きを揃えて複数の棒状の基材を加工台に配列させる第1のステップと、
前記基材の長手方向に交差する切断面に沿って複数の箇所で複数の前記基材を切断することで、前記加工台に配列させた状態で複数の光学素子を得る第2のステップと、
前記複数の光学素子を前記加工台に配列させた状態で、前記加工台ごと前記複数の光学素子を梱包箱に収納する第3のステップと、
を含む光学素子の梱包方法。
【請求項2】
前記第1のステップは、
複数の前記基材を互いに平行に並べる配列治具に複数の前記基材を載置する第4のステップと、
前記配列治具によって複数の前記基材を互いに平行に並べて複数の前記基材を前記加工台に載せることで、複数の前記基材を前記加工台に配列させる第5のステップと、
を含む請求項1に記載の光学素子の梱包方法。
【請求項3】
前記配列治具には、複数の溝が互いに平行に形成されており、
前記第4のステップでは、前記配列治具に形成された前記溝に前記基材を載置する請求項2に記載の光学素子の梱包方法。
【請求項4】
前記配列治具は枠体であり、前記枠体の互いに対向する位置に前記溝が形成されており、
前記第4のステップでは、前記枠体に形成された前記溝に前記基材の両端部を載せることで、前記基材を前記配列治具に配列させる請求項3に記載の光学素子の梱包方法。
【請求項5】
前記枠体は矩形状の形状を有し、前記枠体の互いに対向する位置に前記溝が形成されており、
前記第4のステップでは、互いに対向する位置にある2つの前記溝を1つのペアとし、前記ペアのうちの一方の前記溝に前記基材の一方の端部を載せ、前記ペアのうちの他方の前記溝に前記基材の他方の端部を載せることで、前記基材を前記配列治具に配列させる請求項4に記載の光学素子の梱包方法。
【請求項6】
前記配列治具は枠体であり、前記枠体の内側には互いに対向する位置に前記枠体の内側に突起する複数の突起部が互い平行に設けられており、
前記第4のステップでは、互いに対向する位置にある2つの前記突起部を1つのペアとし、前記ペアのうちの一方の前記突起部と前記枠体の内側の表面とに前記基材の一方の端部を当て、前記ペアのうちの他方の前記突起部に前記基材の他方の端部を当てて前記基材を前記配列治具に配列させる請求項2に記載の光学素子の梱包方法。
【請求項7】
前記加工台は表面にダイシングテープを含み、
前記第5のステップでは、前記配列治具と前記ダイシングテープとによって複数の前記基材を挟んで複数の前記基材を前記ダイシングテープに貼り付けることで、複数の前記基材を前記ダイシングテープに配列させる請求項2から請求項6のいずれかに記載の光学素子の梱包方法。
【請求項8】
前記第2のステップでは、前記基材の端部を基準位置として、前記基準位置から所定の間隔おきに前記切断面に沿って複数の前記箇所で複数の前記基材を切断する請求項1から請求項7のいずれかに記載の光学素子の梱包方法。
【請求項9】
前記基材の表面にはアライメントマークが設けられており、
前記第2のステップでは、前記アライメントマークを基準位置として、前記基準位置から所定の間隔おきに前記切断面に沿って複数の前記箇所で複数の前記基材を切断する請求項1から請求項7のいずれかに記載の光学素子の梱包方法。
【請求項10】
前記基材はプリズムであり、前記プリズムの表面には互いに間隔をおいて複数のレンズ面が形成されており、
前記第2のステップでは、前記レンズ面の単位で前記切断面に沿って複数の前記基材を切断する請求項1から請求項9のいずれかに記載の光学素子の梱包方法。
【請求項11】
前記基材はプリズムであり、前記プリズムの表面には回折格子が形成されている請求項1から請求項9のいずれかに記載の光学素子の梱包方法。
【請求項12】
互いに平行な複数の切断溝が所定の間隔をおいて表面に形成されたシート状の粘着テープと、
前記所定の間隔の間に前記切断溝に沿って前記粘着テープの前記表面に貼り付けられた複数の光学素子と、
前記粘着テープと複数の前記光学素子とを内部に収納する梱包箱と、
を有する光学素子の梱包物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−195155(P2011−195155A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61873(P2010−61873)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
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