説明

内燃機関の制御装置

【課題】アイドリング運転中の潤滑不足を判定して、潤滑不足を速やかに解消することのできる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】本願発明に係る内燃機関の制御装置である電子制御装置100は、クランクポジションセンサ101によって検出される機関回転速度を目標アイドル回転速度に一致させるようにアイドリング運転中の機関回転速度を制御する。電子制御装置100は、クランクポジションセンサ101によって検出される機関回転速度に基づいて内燃機関11における吸気バルブ23aとバルブガイド25aとの摺動部、並びに排気バルブ23bとバルブガイド25bとの摺動部における潤滑不足を推定し、潤滑不足が推定されたときに、アイドリング運転中の機関回転速度を上昇させるアイドルアップを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アイドリング運転中の機関回転速度を制御する内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アイドリング運転中の機関回転速度を制御する内燃機関の制御装置として、特許文献1には、機関回転速度を目標アイドル回転速度に一致させるように内燃機関の吸入空気量をフィードバック制御するものが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の内燃機関の制御装置にあっては、内燃機関の吸気通路に電子制御式のスロットル弁を設け、このスロットル弁の開度を調整することにより機関回転速度が目標アイドル回転速度に一致するように吸入空気量をフィードバック制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006‐125263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、内燃機関の各部に供給される潤滑油の量は機関回転速度に応じて変化する。
例えば、内燃機関のクランクシャフトに連結され、内燃機関の駆動力によって駆動される機関駆動式のオイルポンプを備える内燃機関にあっては、機関回転速度の変化に応じてオイルポンプから吐出される潤滑油の量が変化する。そのため、内燃機関の各部に供給される潤滑油の量は機関回転速度に応じて変化することになる。
【0006】
また、吸気バルブや排気バルブといった機関バルブのバルブステムと同バルブステムが挿通されるバルブガイドとの摺動部には、カムシャフトの潤滑に供された潤滑油がカムシャフトの回転に伴う遠心力の作用で飛散することによって潤滑油が供給されている。そのため、上記摺動部に供給される潤滑油の量は、機関回転速度とともに変化するカムシャフトの回転速度に応じて変化する。すなわち、機関回転速度が低く、カムシャフトの回転速度が低いときにはカムシャフトに付着した潤滑油に作用する遠心力が小さくなるため、潤滑油が上記の摺動部まで到達しないおそれがある。
【0007】
上記のようにアイドル運転時には、機関回転速度を目標アイドル回転速度に一致させるように吸入空気量をフィードバック制御している。アイドリング運転中の無駄な燃料消費を抑制するためには目標アイドル回転速度はできるだけ低くすることが望ましいが、目標アイドル回転速度の設定値が低すぎる場合には潤滑油の供給量が不足し、長時間アイドリング運転が継続した場合に、潤滑不足によってノイズ等が発生するおそれがある。
【0008】
この発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的はアイドリング運転中の潤滑不足を判定して、潤滑不足を速やかに解消することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、機関回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、同回転速度検出手段によって検出される機関回転速度を目標アイドル回転速度に一致させるようにアイドリング運転中の機関回転速度を制御する内燃機関の制御装置において、前記回転速度検出手段によって検出される機関回転速度に基づいて内燃機関における潤滑不足を推定する推定手段を備え、同推定手段によって潤滑不足が推定されたときに、アイドリング運転中の機関回転速度を上昇させるアイドルアップを実行することをその要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、潤滑油の供給量と相関を有する機関回転速度に基づいて潤滑不足を推定し、アイドリング運転中の機関回転速度を上昇させることができるようになる。その結果、機関回転速度の上昇に伴って潤滑油の供給量が増大し、潤滑油の供給不足が解消されるようになる。
【0011】
すなわち、上記構成によれば、アイドリング運転中の潤滑不足を判定して、潤滑不足を速やかに解消することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記推定手段が、前記回転速度検出手段によって検出される機関回転速度の大きさに応じてカウンタの値を増減させ、同カウンタの値が判定値に到達したことに基づいて潤滑不足であると判定するものであることをその要旨とする。
【0012】
内燃機関の任意の部位における潤滑油の量の変化を模擬するように機関回転速度の大きさに応じてカウンタの値を増減させるようにすれば、そのカウンタの値の大きさに基づいてその部位における潤滑油の量を推定することができるようになる。そのため、上記構成によれば、カウンタの値が判定値に到達したことに基づいてその部位の潤滑不足を判定することができる。
【0013】
尚、上記判定値は、カウンタの値がこの判定値に到達したことに基づいて当該カウンタの値が模擬している部位における潤滑油の量が潤滑不足の水準にあることを判定できるようにカウンタの値の増減の態様に合わせて設定すればよい。
【0014】
内燃機関の各部には、機関回転速度が高く、その部位に対する潤滑油の供給量が多いときに徐々に潤滑油が溜まっていく。その一方で、機関回転速度が低く、その部位に対する潤滑油の供給量が少ないときにはその部位に溜まっていた潤滑油が徐々に流れ出し、その部位に溜まっている潤滑油の量が減少していく。そこで、内燃機関の各部に溜まっているこうした潤滑油の量の変化を模擬するために、具体的には、請求項3に記載されているように前記回転速度検出手段によって検出される機関回転速度が第1の閾値よりも大きいときに前記カウンタの値を増大させる一方、前記回転速度検出手段によって検出される機関回転速度が前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値未満のときに前記カウンタの値を減少させる構成を採用することが望ましい。
【0015】
こうした構成を採用すれば、実際に溜まっている潤滑油の量の変化に合わせてカウンタの値を増減させてカウンタの値に基づいて溜まっている潤滑油の量をより的確に推定することができるようになる。
【0016】
尚、第1の閾値及び第2の閾値は潤滑不足を判定しようとする部位における潤滑油の増減と機関回転速度との関係を予め実験などを行うことによって同定し、その結果に応じてその部位における潤滑油の量を適切に模擬することができるように適宜設定すればよい。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関の制御装置において、前記推定手段は、前記カウンタの値を増大させる際の増大量を、前記カウンタの値を増大させるときの機関回転速度の大きさに応じて決定し、当該機関回転速度が高いときほど、同増大量を多くするものであるということをその要旨とする。
【0018】
機関回転速度が高いときほど潤滑油の供給量は多くなるため、カウンタの値によって潤滑油の量の変化を模擬する部位の潤滑油の量は、機関回転速度が高いときほど増大するようになる。したがって、上記のように機関回転速度が高いときほど、カウンタの値の増大量を多くする構成を採用すれば、より実際の潤滑油の量の変化に即した態様でカウンタの値を増減させることができるようになり、同カウンタの値に基づいて潤滑不足をより正確に推定することができるようになる。
【0019】
また、内燃機関の各部に溜まる潤滑油の量には限界があり、またその部位に溜まる潤滑油の量はゼロ未満にはならない。そのため、カウンタの値によって内燃機関の任意の部位における潤滑油の量の変化を模擬する場合には、請求項5に記載されているようにカウンタの値に上限値及び下限値を設けることが望ましい。
【0020】
このようにカウンタの値に上限値及び下限値を設ける構成を採用すれば、実際にはそれ以上その部位における潤滑油の量が増えないにも拘わらずカウンタの値が潤滑油の量が増大し続けているかのように変化し続けてしまうことや、実際にはその部位における潤滑油の量がゼロになっており、それ以上減少しないにも拘わらずカウンタの値が潤滑油の量が減少し続けているかのように変化し続けてしまうことを回避することができる。
【0021】
すなわち、上記請求項5に記載の構成によれば、より実際の潤滑油の量の変化に即したかたちでカウンタの値を算出することができ、カウンタの値に基づいてより的確に潤滑不足を推定することができるようになる。
【0022】
ところで、アイドルアップを実行することにより、潤滑油の供給量が増大するようになるため、内燃機関の各部における潤滑油の量は増大するようになる。しかし、アイドルアップを実行する期間があまりにも短いとまたすぐに潤滑不足に陥ってしまう。そのため、潤滑不足を抑制する上では、請求項6に記載されているように前記カウンタの値が前記判定値よりも大きな終了判定値に到達するまでは前記アイドルアップを継続させる構成を採用し、ある程度の期間に亘ってアイドルアップを継続することが望ましい。
【0023】
こうした構成を採用すれば、ある程度の期間に亘ってアイドルアップを継続させることができるようになる。したがって、アイドルアップを通じてたくさんの潤滑油を溜め込むことができるようになり、アイドルアップ終了後すぐに潤滑不足になってしまうことを抑制することができる。
【0024】
尚、上記の終了判定値は、その値を大きな値に設定するほどアイドルアップを継続させる期間が長くなる。そのため、アイドルアップを通じて十分に潤滑油を供給し、その後の潤滑不足を抑制する上では、終了判定値の値はカウンタの値によって潤滑油の量を模擬する部位にできるだけ多くの潤滑油を溜め込むことができるようにその大きさを設定することが望ましい。
【0025】
請求項7に記載の発明は、前記推定手段が、前記カウンタの値を、バルブガイドとバルブステムの摺動部における潤滑油の量の変化を模擬する値として算出する請求項2〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置である。
【0026】
吸気バルブや排気バルブといった機関バルブのバルブステムと同バルブステムが挿通されるバルブガイドとの摺動部には、カムシャフトの潤滑に供された潤滑油がカムシャフトの回転に伴う遠心力の作用で飛散することによって潤滑油が供給される構成が採用されることがある。
【0027】
こうした構成が採用されている場合には、上記摺動部に供給される潤滑油の量は、機関回転速度とともに変化するカムシャフトの回転速度に応じて変化する。すなわち、機関回転速度が低く、カムシャフトの回転速度が低いときにはカムシャフトに付着した潤滑油に作用する遠心力が小さくなるため、潤滑油が上記の摺動部まで到達しないおそれがある。
【0028】
こうした摺動部には、潤滑油の供給通路を通じて潤滑油が直接供給されていないため、こうした摺動部における潤滑油の量は、潤滑油の供給通路に設けた油圧センサの検出値に基づいて推定することが困難である。
【0029】
これに対して、上記請求項7に記載されているように、バルブガイドとバルブステムの摺動部における潤滑油の量の変化を模擬する値としてカウンタの値を算出する構成を採用すれば、カウンタの値に基づいてこの摺動部における潤滑油の量の変化を推定し、この摺動部における潤滑不足を推定することができるようになる。
【0030】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記目標アイドル回転速度を徐々に引き上げることにより、前記アイドルアップを実行することをその要旨とする。
【0031】
アイドルアップの実行に伴って機関回転速度が急激に上昇すると、内燃機関の運転音が急に大きくなって違和感がある。そのため、アイドルアップを実行する際には、運転音の増大による違和感を与えないように少しずつ機関回転速度を上昇させることが望ましい。これに対し、少しずつ機関回転速度を上昇させるアイドルアップを実現するための具体的な方法としては、上記請求項8に記載されているように、目標アイドル回転速度を徐々に引き上げる構成を採用することができる。
【0032】
こうした構成を採用すれば、目標アイドル回転速度をゆっくりと徐々に引き上げることにより、運転音の増大による違和感を与えないように少しずつ機関回転速度を上昇させることができるようになる。
【0033】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記目標アイドル回転速度を徐々に引き下げることにより機関回転速度を徐々に低下させ、前記アイドルアップを終了させることをその要旨とする。
【0034】
アイドルアップの終了に伴って機関回転速度が急激に低下すると、運転音が急に小さくなって違和感がある。そのため、アイドルアップを終了させる際には、運転音の低下による違和感を与えないように少しずつ機関回転速度を低下させることが望ましい。これに対し、少しずつ機関回転速度を低下させてアイドルアップを終了させるための具体的な方法としては、上記請求項9に記載されているように、目標アイドル回転速度を徐々に引き下げる構成を採用することができる。
【0035】
こうした構成を採用すれば、目標アイドル回転速度をゆっくりと徐々に引き下げることにより、運転音の低下による違和感を与えないように少しずつ機関回転速度を低下させ、アイドルアップを終了させることができるようになる。
【0036】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は請求項9に記載の内燃機関の制御装置において、前記目標アイドル回転速度の下限ガード値を変更することにより、前記目標アイドル回転速度を変動させることをその要旨とする。
【0037】
目標アイドル回転速度を変動させるための具体的な方法としては、上記請求項10に記載されているように目標アイドル回転速度に対して下限ガード値を設定し、その下限ガード値を変更するようにすればよい。
【0038】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、変速機のシフトポジションを検出するシフトポジション検出手段を備え、同シフトポジション検出手段によって検出されるシフトポジションが、同内燃機関の駆動力が前記変速機を介して伝達されなくなるシフトポジションであることを条件に前記アイドルアップを実行することをその要旨とする。
【0039】
変速機を介して駆動力が下流側に伝達される状態のときにアイドルアップが実行されると、アイドルアップの実行に伴って変速機を介して同変速機よりも下流側に伝達される駆動力も増大してしまうことになる。
【0040】
この点、上記請求項11に記載の構成によれば、変速機を介して同変速機よりも下流側に駆動力が伝達されない状態のときに、アイドルアップが実行されるようになるため、下流側に伝達される駆動力がアイドルアップの実行に伴って増大してしまうことを抑制することができる。
【0041】
尚、内燃機関の駆動力が変速機を介して伝達されなくなるシフトポジションとしては、自動変速機における中立位置を示す「Nレンジ」や駐車位置を示す「Pレンジ」、そして、手動変速機における中立位置である「Nポジション」等がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の一実施形態に係る電子制御装置と、その制御対象である内燃機関との関係を示す模式図。
【図2】油量カウンタの増減に係る一連の処理の流れを示すフローチャート。
【図3】潤滑不足判定フラグの設定に係る一連の処理の流れを示すフローチャート。
【図4】演算用下限ガード値の算出に係る一連の処理の流れを示すフローチャート。
【図5】目標アイドル回転速度の下限ガードに係る一連の処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、この発明に係る内燃機関の制御装置を、車両に搭載される内燃機関11を統括的に制御する電子制御装置100として具体化した一実施形態について、図1〜5を参照して説明する。
【0044】
図1に示されるように、内燃機関11のシリンダ12にはピストン13が摺動可能に内挿されている。そして、ピストン13は、コネクティングロッド14を介してクランクシャフト15に連結されている。これにより、ピストン13の往復運動はコネクティングロッド14を介してクランクシャフト15の回転運動に変換される。
【0045】
また、図1の中央に示されるように内燃機関11のシリンダヘッドの内部には、吸気カムシャフト20aと排気カムシャフト20bとが回動自在に支持されている。これら吸気カムシャフト20a及び排気カムシャフト20bは、図示しないタイミングチェーンを介してクランクシャフト15に連結されている。そのため、クランクシャフト15の回転運動は、タイミングチェーンを介して吸気カムシャフト20a及び排気カムシャフト20bに伝達される。
【0046】
吸気カムシャフト20aには吸気カム21aが形成されている。吸気カム21aは、図1に示されるようにロッカアーム22aに当接している。ロッカアーム22aは、ラッシュアジャスタ24aによってその一端が下方から支持されているとともに、ラッシュアジャスタ24aによって支持されている端部とは反対側の端部において吸気バルブ23aのステムエンドに当接している。
【0047】
吸気バルブ23aのバルブステムは、シリンダヘッドに固定されたバルブガイド25aに摺動自在に挿通されている。そのため、吸気カムシャフト20aの回転に伴う吸気カム21aの作用によってロッカアーム22aが揺動することにより、吸気バルブ23aがバルブガイド25aに沿って摺動し、吸気バルブ23aが開閉される。尚、吸気バルブ23aは図示しないバルブスプリングによって閉弁方向に常に付勢されている。
【0048】
吸気カムシャフト20aと同様に、排気カムシャフト20bには排気カム21bが形成されている。排気カム21bは、ロッカアーム22bに当接している。ロッカアーム22bはラッシュアジャスタ24bによってその一端が下方から支持されているとともに、ラッシュアジャスタ24bによって支持されている端部とは反対側の端部において排気バルブ23bのステムエンドに当接している。
【0049】
排気バルブ23bは、シリンダヘッドに固定されたバルブガイド25bに摺動自在に挿通されている。そのため、排気カムシャフト20bの回転に伴う排気カム21bの作用によってロッカアーム22bが揺動することにより、排気バルブ23bがバルブガイド25bに沿って摺動し、排気バルブ23bが開閉されることになる。尚、排気バルブ23bも吸気バルブ23aと同様に図示しないバルブスプリングによって閉弁方向に常に付勢されている。
【0050】
また、内燃機関11のシリンダブロックの下方には、潤滑油を貯留するオイルパン30が設けられている。尚、図1にあっては、説明の便宜上、オイルパン30をシリンダ12の右側に図示している。このオイルパン30内にはオイルストレーナ31が設けられている。そして、このオイルストレーナ31はオイルポンプ32に接続されている。これにより、オイルパン30内の潤滑油は、このオイルストレーナ31によって比較的大きな異物がろ過されてからオイルポンプ32に吸入される。オイルポンプ32は、破線で示されるようにクランクシャフト15に連結されており、クランクシャフト15の回転運動を利用して、換言すれば内燃機関11の駆動力を利用して駆動される。そして、オイルポンプ32から吐出された潤滑油は、潤滑油供給通路33を通じて機関各部に供給され、各部の潤滑に供される。
【0051】
潤滑油供給通路33の一部は図1の上方に示されるようにシリンダヘッド内部に設けられたシリンダヘッドオイルノズル38に接続されている。シリンダヘッドオイルノズル38にはオイル孔が複数設けられており、このオイル孔から吸気カム21a及び排気カム21bに向けて潤滑油が供給されるようになっている。
【0052】
尚、吸気カム21aや排気カム21bに付着した潤滑油はこれら吸気カム21a及び排気カム21bの回転に伴って作用する遠心力によってシリンダヘッド内に飛散する。そして、遠心力によって飛散した潤滑油の一部が吸気バルブ23a及び排気バルブ23bとバルブガイド25a,25bとの摺動部に到達することによって当該摺動部に潤滑油が供給されるようになっている。
【0053】
この内燃機関11は電子制御装置100によって制御される。電子制御装置100は、内燃機関11に吸入される空気の量である吸入空気量GAを調節する電子制御スロットル機構40や、燃料噴射弁41、点火プラグ42に電気的に接続されている。また、電子制御装置100には、内燃機関11の各部の状態を検出するために下記のような各種のセンサが接続されている。
【0054】
例えば、回転速度検出手段として設けられるクランクポジションセンサ101はクランクシャフト15の回転角と同クランクシャフト15の回転速度である機関回転速度NEを検出する。エアフロメータ102は吸入空気量GAを検出する。水温センサ103は機関冷却水温THWを検出する。アクセルポジションセンサ104はアクセルペダルの操作量ACCPを検出する。
【0055】
また、シフトポジション検出手段として設けられるシフトポジションセンサ105は自動変速機のシフトレンジのうち、どのシフトレンジが選択されているのかを検出する。
電子制御装置100は、こうした様々なセンサによって検出された信号に基づいて各種の演算を実行し、機関各部に駆動指令を出力する。
【0056】
例えば、電子制御装置100は、アクセルペダルの操作量ACCPに基づいて要求トルクを算出し、電子制御スロットル機構40を操作してスロットル弁の開度を変更することによって吸入空気量GAを調量する。そしてこれにあわせて、エアフロメータ102によって検出された吸入空気量GAに基づいて内燃機関11における燃料噴射量や点火時期を制御することにより、要求トルクに見合ったトルクを発生させる。
【0057】
また、電子制御装置100はアイドリング運転中の機関回転速度NEを制御するために、目標アイドル回転速度entcalを設定し、アイドリング運転中に機関回転速度NEを目標アイドル回転速度entcalに一致させるように吸入空気量GAをフィードバック制御する。具体的には、機関回転速度NEが目標アイドル回転速度entcalに一致するように電子制御スロットル機構40を操作してスロットル弁の開度を調整することにより吸入空気量GAをフィードバック制御する。
【0058】
ところで、オイルポンプ32はクランクシャフト15に連結されて内燃機関11の駆動力によって駆動される機関駆動式のオイルポンプであるため、オイルポンプ32から吐出される潤滑油の量は機関回転速度NEの変化に応じて変化する。そのため、内燃機関11の各部に供給される潤滑油の量は機関回転速度NEに応じて変化することになる。
【0059】
また、吸気バルブ23a及び排気バルブ23bのバルブステムとバルブガイド25a,25bとの摺動部には、カム21a,21b及びカムシャフト20a,20bの潤滑に供された潤滑油がカムシャフト20a,20bの回転に伴う遠心力の作用で飛散することによって潤滑油が供給されている。そのため、上記摺動部に供給される潤滑油の量は、機関回転速度NEとともに変化するカムシャフト20a,20bの回転速度に応じて変化する。すなわち、機関回転速度NEが低く、カムシャフト20a,20bの回転速度が低いときにはカムシャフト20a,20bに付着した潤滑油に作用する遠心力が小さくなるため、潤滑油が上記の摺動部まで到達しないおそれがある。
【0060】
電子制御装置100は、上記のようにアイドル運転時には、機関回転速度NEを目標アイドル回転速度entcalに一致させるように吸入空気量GAをフィードバック制御している。アイドリング運転中の無駄な燃料消費を抑制するためには目標アイドル回転速度entcalはできるだけ低くすることが望ましいが、目標アイドル回転速度entcalの設定値が低すぎる場合には上記摺動部に対する潤滑油の供給量が不足し、長時間アイドリング運転が継続した場合に、潤滑不足によってノイズ等が発生するおそれがある。
【0061】
そこで、本実施形態の電子制御装置100は、機関回転速度NEに基づいて油量カウンタeclubを増減させることによって、上記摺動部に溜まっている潤滑油の量の変化を模擬し、この油量カウンタeclubの値の大きさに基づいて上記摺動部における潤滑不足を推定するようにしている。更に本実施形態の電子制御装置100は、油量カウンタeclubの値の大きさに基づいて潤滑不足であることが判定された場合には、アイドリング運転中の機関回転速度NEを上昇させるアイドルアップを実行し、上記摺動部に対する潤滑油の供給量を増大させるようにしている。
【0062】
以下、図2〜5を参照して上記摺動部における潤滑不足を推定し、アイドルアップを実行するための一連の処理の流れを具体的に説明する。
電子制御装置100はまず、上記摺動部における潤滑油の量の変化を模擬するためのカウンタである油量カウンタeclubを算出するために図2に示される一連の処理を実行する。この処理は、電子制御装置100によって所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0063】
電子制御装置100は、この処理を開始すると、まずステップS100において、機関運転中であるか否かを判定する。尚、ここでは、機関始動が完了して内燃機関11が自律運転可能になる回転速度に基づいて設定された閾値よりも機関回転速度NEが高くなっている場合に機関運転中である旨を判定する。
【0064】
ステップS100において、機関運転中ではない旨の判定がなされた場合(ステップS100:NO)には、電子制御装置100はそのまま何もせずにこの処理を一旦終了させる。
【0065】
一方、ステップS100において、機関運転中である旨の判定がなされた場合(ステップS100:YES)には、ステップS110へと進み、機関回転速度NEが第1の閾値NELUBHよりも大きいか否かを判定する。
【0066】
機関回転速度NEが第1の閾値NELUBHよりも大きい旨の判定がなされた場合(ステップS110:YES)には、ステップS130へと進み、前回の制御周期において算出された油量カウンタeclubの値に増大量ecincを加算し、その和を新たな油量カウンタeclubの値にする。
【0067】
尚、油量カウンタeclubには上限値及び下限値が設けられている。そのため、このステップS130を通じて増大させられる油量カウンタeclubの値がこの上限値よりも大きな値になることはない。また、ここでは、バルブ23a,23bとバルブガイド25a,25bとの摺動部に溜まる油量の最大値に対応する値を上限値として設定している。
【0068】
また、ステップS130において加算する増大量ecincは、機関回転速度NEが高いときほど大きくなるように、ステップS130が実行されるときの機関回転速度NEに応じて算出される。具体的には、機関回転速度NEが高いときほど算出される増大量ecincが大きくなるように設定された演算マップを参照し、そのときの機関回転速度NEに応じて増大量ecincが算出される。
【0069】
こうして油量カウンタeclubの値を算出すると、電子制御装置100はこの処理を一旦終了する。尚、初期状態において油量カウンタeclubは上限値と等しい値に設定されている。
【0070】
一方、ステップS110において機関回転速度NEが第1の閾値NELUBH以下である旨の判定がなされた場合(ステップS110:NO)には、ステップS120へと進み、機関回転速度NEが第1の閾値NELUBHよりも小さい第2の閾値NELUBL未満であるか否かを判定する。
【0071】
機関回転速度NEが第2の閾値NELUBL未満である旨の判定がなされた場合(ステップS120:YES)には、ステップS140へと進み、前回の制御周期において算出された油量カウンタeclubの値から「1」を減算し、その差を新たな油量カウンタeclubの値にする。
【0072】
上述したように油量カウンタeclubには下限値が設けられているため、ステップS140を通じて減少させられる油量カウンタeclubの値はこの下限値未満の値になることはない。尚、ここでは、バルブ23a,23bとバルブガイド25a,25bとの摺動部に溜まる油量の最小値である「0」に対応するように、下限値を「0」に設定している。
【0073】
こうして油量カウンタeclubの値を算出すると、電子制御装置100はこの処理を一旦終了する。
一方、ステップS120において機関回転速度NEが第2の閾値NELUBL以上である旨の判定がなされた場合(ステップS120:NO)には、電子制御装置100はそのまま何もせずにこの処理を一旦終了させる。すなわち、機関回転速度NEが第2の閾値NELUBL以上且つ第1の閾値NELUBH以下の範囲にあるときには、油量カウンタeclubを増減させずにこの処理を一旦終了させる。
【0074】
尚、第1の閾値NELUBH及び第2の閾値NELUBLはバルブ23a,23bとバルブガイド25a,25bとの摺動部における潤滑油の増減と機関回転速度NEとの関係を予め実験などを行うことによって同定し、その結果に応じて同摺動部における潤滑油の量を適切に模擬することができるように、その大きさが適宜設定されている。
【0075】
この処理が終了すると電子制御装置100は、図3に示す処理を実行し、油量カウンタeclubの大きさに基づいて潤滑不足であるか否かを判定するとともに、その結果に基づいて潤滑不足判定フラグexntlubを設定する。尚、この処理は図2を参照して示した処理が終了する度に実行されるものである。すなわち、この処理は図2を参照して示した油量カウンタeclubの算出処理と同一の制御周期で繰り返し実行されるものである。
【0076】
具体的には、この処理を開始すると電子制御装置100は、まずステップS200において油量カウンタeclubが「0」であるか否かを判定する。
ステップS200において油量カウンタeclubが「0」である旨の判定がなされた場合(ステップS200:YES)には、ステップS210へと進み、電子制御装置100は潤滑不足判定フラグexntlubを「ON」に設定する。
【0077】
尚、潤滑不足判定フラグexntlubは、バルブ23a,23bとバルブガイド25a,25bとの摺動部において潤滑不足であるか否かを示す情報として電子制御装置100のメモリに記憶されるフラグである。潤滑不足判定フラグexntlubは、初期状態において潤滑不足ではないことを示す「OFF」に設定されており、上記のようにステップS200において油量カウンタeclubが「0」である旨の判定がなされた場合に潤滑不足であることを示す「ON」に更新される。
【0078】
こうして潤滑不足判定フラグexntlubを「ON」に設定すると、電子制御装置100は処理をステップS220へと進める。
一方、ステップS200において油量カウンタeclubが「0」ではない旨の判定がなされた場合(ステップS200:NO)には、電子制御装置100はステップS210をスキップしてそのまま潤滑不足判定フラグexntlubを更新せずに、処理をステップS220へと進める。
【0079】
ステップS220において電子制御装置100は、油量カウンタeclubが終了判定値CLUBH以上であるか否かを判定する。この終了判定値CLUBHは、油量カウンタeclubがこの終了判定値CLUBH以上になったことに基づいて上記摺動部に十分に潤滑油が溜まった旨を判定するための値である。
【0080】
本実施形態にあってはこの終了判定値CLUBHを油量カウンタeclubの上限値と等しい値に設定している。すなわち、本実施形態の場合にあっては油量カウンタeclubが終了判定値CLUBHよりも大きくなることはない。そのため、ステップS220では実質的に油量カウンタeclubが終了判定値CLUBHに到達したか否かを判定していることになる。
【0081】
ステップS220において油量カウンタeclubが終了判定値CLUBH以上である旨の判定がなされた場合(ステップS220:YES)、すなわち油量カウンタeclubが終了判定値CLUBHと等しくなり、終了判定値CLUBHまで到達した旨の判定がなされた場合には、ステップS230へと進む。
【0082】
こうしてステップS230へと進むと、電子制御装置100は潤滑不足判定フラグexntlubを「OFF」に更新する。そして、こうして潤滑不足判定フラグexntlubを「OFF」に更新すると、電子制御装置100はこの処理を一旦終了させる。
【0083】
一方、ステップS220において油量カウンタeclubが終了判定値CLUBH未満である旨の判定がなされた場合(ステップS220:NO)には、電子制御装置100はステップS230をスキップしてそのまま潤滑不足判定フラグexntlubを更新せずに、この処理を一旦終了させる。
【0084】
この処理が終了すると電子制御装置100は、潤滑不足判定フラグexntlubが「ON」になっているか否かに基づいて演算用下限ガード値entlubbを増減させる図4に示す処理を実行する。尚、この処理は図3を参照して示した処理が終了する度に実行されるものである。すなわち、この処理も図2を参照して示した油量カウンタeclubの算出処理と同一の制御周期で繰り返し実行されるものである。
【0085】
この処理を開始すると電子制御装置100は、まずステップS300において潤滑不足判定フラグexntlubが「ON」であるか否かを判定する。ステップS300において潤滑不足判定フラグexntlubが「ON」である旨の判定がなされた場合(ステップS300:YES)には、ステップS310へと進み、電子制御装置100は前回の制御周期において設定されていた目標アイドル回転速度entcalに加算量entupを加算し、その和を演算用下限ガード値entlubbとする。
【0086】
こうして演算用下限ガード値entlubbを算出すると電子制御装置100はこの処理を一旦終了させる。尚、演算用下限ガード値entlubbには上限値及び下限値が設けられている。例えば、本実施形態にあっては上限値を「1000rpm(回転/分)」に、下限値を「0rpm(回転/分)」に設定している。
【0087】
一方、ステップS300において潤滑不足判定フラグexntlubが「ON」ではない旨の判定がなされた場合(ステップS300:NO)、すなわち潤滑不足判定フラグexntlubが「OFF」である旨の判定がなされた場合には、ステップS320へと進む。そしてステップS320において、電子制御装置100は前回の制御周期において算出された演算用下限ガード値entlubbから減算量entdnを減算し、その差を新たな演算用下限ガード値entlubbとする。こうして演算用下限ガード値entlubbを算出すると電子制御装置100はこの処理を一旦終了させる。
【0088】
尚、加算量entup及び減算量entdnは、この処理を繰り返し実行することにより、数分間かけてゆっくりと演算用下限ガード値entlubbを数百rpm分変化させることができるように、その大きさが設定されている。そのため、潤滑不足判定フラグexntlubが「ON」に設定されており、ステップS300において肯定判定がなされ続けた場合には、演算用下限ガード値entlubbが加算量entupの分ずつ徐々に増大し、数分間かけて上限値である「1000rpm」まで引き上げられることになる。一方、潤滑不足判定フラグexntlubが「OFF」に設定されており、ステップS300において否定判定がなされ続けた場合には、演算用下限ガード値entlubbが減算量entdnの分ずつ徐々に減少し、下限値である「0rpm」に向かって引き下げられることになる。
【0089】
次に下限ガード値entlubを設定し、目標アイドル回転速度entcalを下限ガードするための処理について図5を参照して説明する。
この処理は、クランクシャフト15の回転角が所定量変化する度に実行される。例えば本実施形態にあっては、クランクシャフト15が180°回転する度にこの処理を実行する。
【0090】
この処理を開始すると、電子制御装置100はまず、ステップS400において、機関運転中であるか否かを判定する。尚、ここでは、図2を参照して説明したステップS100と同様に、機関始動が完了して内燃機関11が自律運転可能になる回転速度に基づいて設定された閾値よりも機関回転速度NEが高くなっている場合に機関運転中である旨を判定する。
【0091】
ステップS400において、機関運転中である旨の判定がなされた場合(ステップS400:YES)には、ステップS410へと進み、電子制御装置100は変速機が正常であるか否を判定する。
【0092】
そして、ステップS410において変速機が正常である旨の判定がなされると(ステップS410:YES)、ステップS420へと進み、電子制御装置100は現在選択されているシフトレンジがNレンジであるか否かを判定する。
【0093】
ステップS420において、現在選択されているシフトレンジがNレンジである旨の判定がなされると(ステップS420:YES)、ステップS430へと進み、電子制御装置100は図1〜4を参照して説明した一連の処理を通じて算出された演算用下限ガード値entlubbを実際に下限ガードに使用する下限ガード値entlubにする。
【0094】
一方、ステップS400〜420のいずれかの処理において1つでも否定判定がなされると、ステップS440へと進み、電子制御装置100は下限ガード値entlubを「0」にするとともに、演算用下限ガード値entlubbを「0」にする。
【0095】
こうしてステップS430又はステップS440を通じて下限ガード値entlubを設定すると、ステップS450へと進み、電子制御装置100は目標アイドル回転速度entcalを下限ガード値entlubで下限ガードする。すなわち、目標アイドル回転速度entcalが下限ガード値entlub以上であるときにはそのまま目標アイドル回転速度entcalを使用してアイドリング運転中の機関回転速度NEを制御する。一方で、目標アイドル回転速度entcalが下限ガード値entlubよりも小さいときには目標アイドル回転速度entcalを下限ガード値entlubと等しい値に更新し、更新された目標アイドル回転速度entcalを使用してアイドリング運転中の機関回転速度NEを制御する。
【0096】
(作用)
以下に上記の一連の処理を実行することによって生じる作用を説明する。
まず図2に示される処理を繰り返し実行することにより、バルブ23a,23bとバルブガイド25a,25bとの摺動部に溜まる潤滑油の量の変化を模擬する油量カウンタeclubが機関回転速度NEに応じて増減される。
【0097】
その後、図3に示される処理を実行することにより、油量カウンタeclubの大きさに基づいて潤滑不足であるか否かが判定され、その結果に基づいて潤滑不足判定フラグexntlubが「ON」又は「OFF」に設定される。
【0098】
そして、図4の処理を通じてその潤滑不足判定フラグexntlubに応じて演算用下限ガード値entlubbが増減される。具体的には潤滑不足判定フラグexntlubが「ON」のときには徐々に演算用下限ガード値entlubbが引き上げられ、潤滑不足判定フラグexntlubが「OFF」のときには徐々に演算用下限ガード値entlubbが引き下げられる。
【0099】
そして、演算用下限ガード値entlubbは、図5の処理を通じて自動変速機のシフトレンジがNレンジであるときに、実際に下限ガード値entlubに反映される。これにより、自動変速機のシフトレンジがNレンジであるときには、この下限ガード値entlubによって目標アイドル回転速度entcalが下限ガードされ、目標アイドル回転速度entcalが下限ガード値entlubよりも低いときには、下限ガード値entlubまで目標アイドル回転速度entcalが引き上げられる。上述したように潤滑不足判定フラグexntlubが「ON」のときには徐々に演算用下限ガード値entlubbが引き上げられ、下限ガード値entlubも引き上げられることになるため、これに伴って目標アイドル回転速度entcalが引き上げられ、アイドルアップが実現されることになる。
【0100】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)潤滑油の供給量と相関を有する機関回転速度NEに基づいて潤滑不足を推定し、潤滑不足であると判定されたときにアイドルアップを実行することによってアイドリング運転中の機関回転速度NEを上昇させることができる。その結果、機関回転速度NEの上昇に伴って潤滑油の供給量が増大し、潤滑油の供給不足が解消されるようになる。
【0101】
すなわち、アイドリング運転中の潤滑不足を判定して、潤滑不足を速やかに解消することができる。
(2)バルブ23a,23bとバルブガイド25a,25bとの間の摺動部における潤滑油の量の変化を模擬するように機関回転速度NEの大きさに応じて油量カウンタeclubを増減させるようにしている。そのため、油量カウンタeclubの大きさに基づいて上記摺動部における潤滑油の量を推定することができる。そのため、油量カウンタeclubが判定値である「0」に到達したことに基づいて上記摺動部における潤滑不足を判定することができる。
【0102】
(3)バルブ23a,23bとバルブガイド25a,25bとの間の摺動部には、機関回転速度NEが高く、この摺動部に対する潤滑油の供給量が多いときに徐々に潤滑油が溜まっていく。一方で、機関回転速度NEが低く、この摺動部に対する潤滑油の供給量が少ないときには、徐々にその溜まっていた潤滑油が流れ出しその量が減少していく。これに対して、本実施形態にあっては、上記摺動部に溜まっているこうした潤滑油の量の変化を模擬するために、回転速度検出手段であるクランクポジションセンサ101によって検出される機関回転速度NEが第1の閾値NELUBHよりも大きいときに油量カウンタeclubを増大させるようにしている。その一方で、クランクポジションセンサ101によって検出される機関回転速度NEが第1の閾値NELUBHよりも小さい第2の閾値NELUBL未満のときに油量カウンタeclubの値を減少させるようにしている。そのため、実際に摺動部に溜まる潤滑油の量の変化に合わせて油量カウンタeclubを増減させて油量カウンタeclubに基づいて摺動部に溜まっている潤滑油の量を推定することができる。
【0103】
(4)機関回転速度NEが高いときほど、シリンダヘッドオイルノズル38を通じて供給される潤滑油の量は増大する。また機関回転速度NEが高いほど、吸気カムシャフト20a及び排気カムシャフト20bの回転速度が高くなるため、遠心力によってシリンダヘッド内で飛散する潤滑油の量も増大する。したがって、機関回転速度NEが高いときほど、摺動部に対する潤滑油の供給量は多くなる。そのため、単位時間あたりに摺動部に溜まる潤滑油の量は、機関回転速度NEが高いときほど多くなる。これに対して上記実施形態にあっては、機関回転速度NEが高いときほど、油量カウンタeclubの増大量ecincを多くする構成を採用している。したがって、実際の潤滑油の増大量の変化に即した態様で油量カウンタeclubの増大量ecincを増減させることができ、油量カウンタeclubに基づいて潤滑不足をより正確に推定することができる。
【0104】
(5)バルブ23a,23bとバルブガイド25a,25bとの間の摺動部に溜まる潤滑油の量には限界があり、また上記摺動部に溜まる潤滑油の量はゼロ未満にはならない。これに対して、上記実施形態にあっては、油量カウンタeclubの値に上限値及び下限値を設けるようにしている。
【0105】
このように油量カウンタeclubの値に上限値及び下限値を設ける構成を採用しているため、実際にはそれ以上上記摺動部における潤滑油の量が増えないにも拘わらず油量カウンタeclubが潤滑油の量が増大し続けているかのように変化し続けてしまうことを回避することができる。また、実際には上記摺動部における潤滑油の量がゼロになっており、それ以上減少しないにも拘わらず油量カウンタeclubが潤滑油の量が減少し続けているかのように変化し続けてしまうことを回避することができる。
【0106】
すなわち、より実際の潤滑油の量の変化に即したかたちで油量カウンタeclubを算出することができ、油量カウンタeclubに基づいてより的確に潤滑不足を推定することができる。
【0107】
(6)アイドルアップを実行することにより、潤滑油の供給量が増大するようになるため、上述したようにバルブ23a,23bとバルブガイド25a,25bとの間の摺動部における潤滑油の量は増大するようになる。しかし、アイドルアップを実行する期間があまりにも短いとまたすぐに潤滑不足に陥ってしまう。
【0108】
これに対して、上記実施形態にあっては油量カウンタeclubの値が判定値である「0」よりも大きな終了判定値CLUBHに到達するまではアイドルアップを継続させる構成を採用している。そのため、油量カウンタeclubの値が終了判定値CLUBHに到達するまでの期間に亘ってアイドルアップを継続させることができる。したがって、アイドルアップを通じてたくさんの潤滑油を上記摺動部に溜め込むことができ、アイドルアップ終了後すぐに潤滑不足になってしまうことを抑制することができる。
【0109】
(7)上記実施形態のようにバルブ23a,23bとバルブガイド25a,25bとの摺動部には、カムシャフト20a,20bの潤滑に供された潤滑油がカムシャフト20a,20bの回転に伴う遠心力で飛散することによって潤滑油が供給される。
【0110】
こうした構成が採用されている場合には、上記摺動部に供給される潤滑油の量は、機関回転速度NEとともに変化するカムシャフト20a,20bの回転速度に応じて変化する。すなわち、機関回転速度NEが低く、カムシャフト20a,20bの回転速度が低いときにはカムシャフト20a,20bに付着した潤滑油に作用する遠心力が小さくなるため、潤滑油が上記の摺動部まで到達しないおそれがある。
【0111】
そして、この摺動部には、潤滑油供給通路33を通じて潤滑油が直接供給されていないため、こうした摺動部における潤滑油の量は、潤滑油供給通路33に油圧センサを設けたとしてもその検出値に基づいて的確に推定することが困難である。
【0112】
これに対して、上記のように、バルブ23a,23bとバルブガイド25a,25bとの摺動部における潤滑油の量の変化を模擬する値として油量カウンタeclubを算出する構成を採用すれば、油量カウンタeclubに基づいてこの摺動部における潤滑油の量を推定することができる。そのため、油圧センサの検出値に基づいて推定する場合よりもこの摺動部における潤滑不足を的確に推定することができる。
【0113】
(8)アイドルアップの実行に伴って機関回転速度NEが急激に上昇すると、内燃機関11の運転音が急に大きくなって違和感がある。そのため、アイドルアップを実行する際には、運転音の増大による違和感を与えないように少しずつ機関回転速度NEを上昇させることが望ましい。これに対して、上記実施形態では、アイドルアップを実現するための具体的な方法として、目標アイドル回転速度entcalを徐々に引き上げる構成を採用している。そのため、目標アイドル回転速度entcalをゆっくりと徐々に引き上げることにより、運転音の増大による違和感を与えないように少しずつ機関回転速度NEを上昇させることができる。
【0114】
(9)また、アイドルアップの終了に伴って機関回転速度NEが急激に低下すると、運転音が急に小さくなって違和感がある。そのため、アイドルアップを終了させる際には、運転音の低下による違和感を与えないように少しずつ機関回転速度NEを低下させることが望ましい。これに対して上記実施形態では、アイドルアップを終了させ、機関回転速度NEを低下させるための具体的な方法として、目標アイドル回転速度entcalを徐々に引き下げる構成を採用している。そのため、目標アイドル回転速度entcalをゆっくりと徐々に引き下げることにより、運転音の低下による違和感を与えないように少しずつ機関回転速度NEを低下させることができる。
【0115】
(10)変速機を介して駆動力が下流側に伝達される状態のときにアイドルアップが実行されると、アイドルアップの実行に伴って変速機を介して同変速機よりも下流側に伝達される駆動力も増大してしまうことになる。
【0116】
この点、上記実施形態にあっては、シフトポジションセンサ105によって検出されるシフトポジションが、内燃機関11の駆動力が自動変速機を介して伝達されなくなるNレンジであることを条件にアイドルアップを実行するようにしている。
【0117】
そのため、自動変速機を介して同自動変速機よりも下流側に駆動力が伝達されない状態のときに、アイドルアップが実行されるようになる。したがって、下流側に伝達される駆動力がアイドルアップの実行に伴って増大してしまうことを抑制することができる。
【0118】
(11)上記実施形態では、ステップS440において下限ガード値entlubを「0」にするとともに、演算用下限ガード値entlubbも「0」にしている。これは、一旦シフトレンジがNレンジ以外のシフトレンジに変更されてアイドルアップが終了された後、再びシフトレンジがNレンジに変更されたときに、演算用下限ガード値entlubbが大きな値に設定されていると、下限ガード値entlubがその演算用下限ガード値entlubbによって急に増大することになるためである。
【0119】
上記実施形態のようにステップS440において下限ガード値entlubを「0」にするとともに、演算用下限ガード値entlubbも「0」にする構成を採用すれば、再びNレンジに変更されたときには演算用下限ガード値entlubbが「0」にリセットされていることになる。そのため、下限ガード値entlubが急に増大してしまうことを回避し、徐々に下限ガード値entlubを変化させて徐々に機関回転速度NEを変更することができるようになる。
【0120】
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、Nポジションであることが検出されていることをアイドルアップの実行条件の1つとし、Nポジションであることが検出されているときにアイドルアップを実行する構成を示した。これに対して、アイドルアップに伴って変速機よりも下流側に伝達される駆動力が増大してしまうことを抑制する上では、アイドルアップの実行を許可するシフトポジションは、内燃機関11の駆動力が自動変速機を介して伝達されないシフトポジションであればよい。そのため、Nレンジに限らず、駐車位置を示すPレンジのときにアイドルアップを実行する構成を採用することもできる。
【0121】
・また上記実施形態では変速機が自動変速機である場合を例示したが、この発明は自動変速機と組み合わされる内燃機関の制御装置に限らず、手動変速機と組み合わされる内燃機関の制御装置として適用することもできる。手動変速機と組み合わされる内燃機関の制御装置としてこの発明を適用する場合には、変速機を介して駆動力が伝達されないシフトポジションとして中立位置であるNポジションに操作されているときにアイドルアップを実行する構成を採用すればよい。
【0122】
・尚、アイドルアップによる駆動力の増大がそれほど問題にならない場合には、駆動力が伝達されないシフトポジションにあることをアイドルアップの実行条件の一つとする構成を省略し、潤滑不足が判定されている場合には駆動力が伝達されないシフトポジションであるか否かに関わらず、アイドルアップを実行する構成を採用することもできる。
【0123】
・下限ガード値entlubを増減させることにより、目標アイドル回転速度entcalを変動させてアイドルアップを実現する構成を示したが、本発明はこうした構成に限定されるものではない。すなわち、アイドルアップを実行することのできる構成であればよいため、例えば、目標アイドル回転速度entcalを直接変動させる構成を採用することもできる。また、目標アイドル回転速度entcalとは別にアイドルアップ用の目標回転速度を設定する構成を採用することもできる。
【0124】
・アイドルアップを終了させる際に、目標アイドル回転速度entcalを徐々に引き下げることにより、機関回転速度NEを徐々に低下させる構成を示したが、目標アイドル回転速度entcalを一度に引き下げる構成を採用することもできる。こうした構成を採用した場合には、アイドリング運転中に内燃機関11の運転音が急に小さくなるため、運転者に違和感を与えてしまうおそれがある。しかし、アイドルアップを速やかに終了させることにより、無駄にアイドルアップを継続することによる燃料消費量の増大を抑制することができるようになる。
【0125】
・アイドルアップを開始する際に、目標アイドル回転速度entcalを徐々に引き上げることにより、機関回転速度NEを徐々に上昇させる構成を示したが、目標アイドル回転速度entcalを一度に引き上げる構成を採用することもできる。こうした構成を採用した場合には、アイドリング運転中に内燃機関11の運転音が急に大きくなるため、運転者に違和感を与えてしまうおそれがある。しかし、機関回転速度NEを速やかに引き上げることにより、潤滑不足を速やかに解消することができるようになる。
【0126】
・上記実施形態にあっては、油量カウンタeclubが終了判定値CLUBHに到達したときに潤滑不足判定フラグexntlubを「OFF」して徐々に演算用下限ガード値entlubbを減少させる構成を示した。そして、終了判定値CLUBHを油量カウンタeclubの上限値と等しい値に設定する構成を示した。これに対して、上記の終了判定値CLUBHは、その大きさを適宜変更しても良い。尚、終了判定値CLUBHの値を大きな値に設定するほどアイドルアップを継続させる期間は長くなる。そのため、アイドルアップを通じて十分に潤滑油を供給し、その後の潤滑不足を抑制する上では、終了判定値CLUBHの値は油量カウンタeclubによって潤滑油の量を模擬する部位にできるだけ多くの潤滑油を溜め込むことができるようにその大きさを設定することが望ましい。
【0127】
・上記実施形態にあってはバルブ23a,23bとバルブガイド25a,25bの摺動部に溜まる潤滑油の量の変化を模擬する値として油量カウンタeclubを算出する構成を示したが、この発明は上記の摺動部に限定して適用されるものではない。すなわち、その他の部位に溜まる潤滑油の量の変化を模擬し、その部位における潤滑不足を推定する構成とすることもできる。
【0128】
・油量カウンタeclubの値に上限値及び下限値を設ける構成を示したが、上限値及び下限値のうち、いずれか一方のみを設ける構成を採用してもよい。また、上限値及び下限値のいずれも設けない構成を採用することもできる。
【0129】
・油量カウンタeclubを増大させるときの機関回転速度NEの大きさに応じて増大量ecincを決定する構成を示したが、増大量ecincの大きさを常に一定にする構成を採用することもできる。
【0130】
・上記実施形態では、潤滑不足を判定するための判定値を「0」にし、油量カウンタeclubが「0」に到達したことに基づいて潤滑不足であると判定する構成を示した。しかし、この判定値は、油量カウンタeclubの値が模擬している部位における潤滑油の量が潤滑不足の水準にあることを判定できるものであればよいため、その大きさは、油量カウンタeclubの値の増減の態様に合わせて適宜変更することができる。
【0131】
・上記実施形態にあっては、推定手段として油量カウンタeclubを算出することにより潤滑不足を推定する構成を示したが、機関回転速度NEに基づいて潤滑不足を推定することのできるものであれば、推定手段の構成は適宜変更することができる。すなわち、推定手段の構成は、上記実施形態のように油量カウンタeclubを算出する構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0132】
11…内燃機関、12…シリンダ、13…ピストン、14…コネクティングロッド、15…クランクシャフト、20a…吸気カムシャフト、20b…排気カムシャフト、21a…吸気カム、21b…排気カム、22a,22b…ロッカアーム、23a…吸気バルブ、23b…排気バルブ、24a、24b…ラッシュアジャスタ、25a,25b…バルブガイド、30…オイルパン、31…オイルストレーナ、32…オイルポンプ、38…シリンダヘッドオイルノズル、40…電子制御スロットル機構、41…燃料噴射弁、42…点火プラグ、100…電子制御装置、101…クランクポジションセンサ、102…エアフロメータ、103…水温センサ、104…アクセルポジションセンサ、105…シフトポジションセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機関回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、同回転速度検出手段によって検出される機関回転速度を目標アイドル回転速度に一致させるようにアイドリング運転中の機関回転速度を制御する内燃機関の制御装置において、
前記回転速度検出手段によって検出される機関回転速度に基づいて内燃機関における潤滑不足を推定する推定手段を備え、
同推定手段によって潤滑不足が推定されたときに、アイドリング運転中の機関回転速度を上昇させるアイドルアップを実行する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
前記推定手段が、前記回転速度検出手段によって検出される機関回転速度の大きさに応じてカウンタの値を増減させ、同カウンタの値が判定値に到達したことに基づいて潤滑不足であると判定するものである
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、
前記推定手段は、前記回転速度検出手段によって検出される機関回転速度が第1の閾値よりも大きいときに前記カウンタの値を増大させる一方、前記回転速度検出手段によって検出される機関回転速度が前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値未満のときに前記カウンタの値を減少させる
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の内燃機関の制御装置において、
前記推定手段は、前記カウンタの値を増大させる際の増大量を、前記カウンタの値を増大させるときの機関回転速度の大きさに応じて決定し、当該機関回転速度が高いときほど、同増大量を多くする
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
前記カウンタの値には、上限値及び下限値が設けられている
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
前記カウンタの値が前記判定値よりも大きな終了判定値に到達するまでは前記アイドルアップを継続させる
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
前記推定手段は、前記カウンタの値を、バルブガイドとバルブステムの摺動部における潤滑油の量の変化を模擬する値として算出する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
前記目標アイドル回転速度を徐々に引き上げることにより、前記アイドルアップを実行する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
前記目標アイドル回転速度を徐々に引き下げることにより機関回転速度を徐々に低下させ、前記アイドルアップを終了させる
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の内燃機関の制御装置において、
前記目標アイドル回転速度の下限ガード値を変更することにより、前記目標アイドル回転速度を変動させる
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
変速機のシフトポジションを検出するシフトポジション検出手段を備え、
同シフトポジション検出手段によって検出されるシフトポジションが、同内燃機関の駆動力が前記変速機を介して伝達されなくなるシフトポジションであることを条件に前記アイドルアップを実行する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−159022(P2012−159022A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18554(P2011−18554)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】