説明

内燃機関装置,動力出力装置,内燃機関の運転停止方法および内燃機関装置の制御方法

【課題】内燃機関の状態に拘わらず、安定して内燃機関の運転を停止する。
【解決手段】エンジンの運転を停止する際には、吸入空気の充填状態に関連するエンジン水温Twに基づいて運転時間Tdrvを設定し(S120)、エンジンの停止回転数Nstopでの自立運転が設定した運転時間Tdrvを経過した後に(S170)、エンジンへの燃料供給を停止する(S190)。これにより、エンジンの状態(吸入空気の充填状態)を通常の状態にしてからエンジンの燃料供給を停止することができ、燃料供給を停止した後のエンジンの回転を安定してスムーズなものとすることができる。この結果、エンジンを停止する際の制御をより確実に行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関装置,動力出力装置,内燃機関の運転停止方法および内燃機関装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の内燃機関装置としては、エンジンの運転を停止する際に一定時間に亘ってアイドリング回転数で運転した後に燃料供給を停止してエンジンを停止するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、エンジンの運転を停止する前に吸排気バルブの開閉タイミングを最遅角側に変更することにより次回のエンジンの始動性を良好なものとするためにエンジンの運転を停止する前に一定時間に亘ってアイドリング回転数で運転している。
【特許文献1】特開2001−289086号公報(図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の内燃機関装置では、吸排気バルブの開閉タイミングを最遅角側に変更するためにエンジンをアイドリング回転数で一定時間に亘って運転するため、吸排気バルブの開閉タイミングを最遅角にすることはできるが、エンジンの状態によっては、その運転停止をスムーズに行なうことができない場合が生じる。例えば、比較的高負荷でエンジンを運転している状態からその運転を停止するときには、十分にエンジンの吸入空気量の充填状態が落ち着く前に運転を停止するために、エンジンが惰性で余分に回転してしまう場合が生じる。ハイブリッド車に搭載されているエンジンのようにエンジンを比較的頻繁に間欠運転する装置では、次回のエンジンの始動性を良好なものとするためにエンジンを停止するときにエンジンの回転位置を特定の範囲内にする制御も行なわれているが、上述のようにエンジンが惰性で余分に回転してしまうとエンジンの回転位置を特定の範囲内にすることができず、次回のエンジンの始動性を低下させてしまう。
【0004】
本発明の内燃機関装置,動力出力装置,内燃機関の運転停止方法および内燃機関装置の制御方法は、内燃機関の状態に拘わらず、安定して内燃機関の運転を停止することを目的の一つとする。また、本発明の内燃機関装置,動力出力装置,内燃機関装置の制御方法は、内燃機関の状態に拘わらず、内燃機関を所望の回転位置で停止することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の内燃機関装置,動力出力装置,内燃機関の運転停止方法および内燃機関装置の制御方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の第1の内燃機関装置は、
内燃機関を備える内燃機関装置であって、
前記内燃機関における吸入空気の充填に関連する物理量である充填関連量を検出する充填関連量検出手段と、
前記検出された充填関連量に基づいて停止時運転時間を設定する停止時運転時間設定手段と、
前記内燃機関の運転を停止する際には、前記設定された停止時運転時間に亘って前記内燃機関を所定回転数で運転した後に、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関の運転を停止する停止時制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の第1の内燃機関装置では、内燃機関の運転を停止する際には、内燃機関における吸入空気の充填に関連する物理量である充填関連量に基づいて設定された停止時運転時間に亘って内燃機関を所定回転数で運転した後に、内燃機関への燃料供給を停止して内燃機関の運転を停止する。吸入空気の充填に関連する充填関連量に応じた時間に亘って内燃機関を所定回転数で運転することにより、吸入空気の充填状態を通常の状態にすることができる。このため、その後に内燃機関の運転停止を行なうことにより、安定して内燃機関の運転を停止することができる。即ち、内燃機関の運転を停止する際の吸入空気の充填状態に拘わらず、安定して内燃機関の運転を停止することができる。この結果、内燃機関の運転停止の際に次回の内燃機関の始動性を良好にするための制御や内燃機関の運転停止の際の振動を抑制する制御などの他の制御を良好に行なうことができる。
【0008】
こうした本発明の第1の内燃機関装置において、前記停止時運転時間設定手段は、前記検出された充填関連量に関連する前記吸入空気の充填が大きくなるほど長くなる傾向に停止時運転時間を設定する手段であるものとすることもできる。また、前記充填関連量検出手段は前記内燃機関の温度を反映する媒体の温度を検出する手段であり、前記停止時運転時間設定手段は前記検出された温度が低いほど長くなる傾向に停止時運転時間を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の温度に応じた吸入空気の充填状態に拘わらず、安定して内燃機関の運転を停止することができる。
【0009】
本発明の第2の内燃機関装置は、
内燃機関を備える内燃機関装置であって、
前記内燃機関の温度を反映する媒体の温度を検出する温度検出手段と、
前記検出された温度に基づいて停止時運転時間を設定する停止時運転時間設定手段と、
前記内燃機関の運転を停止する際には、前記設定された停止時運転時間に亘って前記内燃機関を所定回転数で運転した後に、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関の運転を停止する停止時制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0010】
この本発明の第2の内燃機関装置では、内燃機関の運転を停止する際には、内燃機関の温度を反映する媒体の温度に基づいて設定された停止時運転時間に亘って内燃機関を所定回転数で運転した後に、内燃機関への燃料供給を停止して内燃機関の運転を停止する。内燃機関の温度に応じた時間に亘って内燃機関を所定回転数で運転することにより、内燃機関の温度に応じて異なる状態(例えば、吸入空気の充填状態)を通常の状態に近くすることができる。このため、その後に内燃機関の運転停止を行なうことにより、安定して内燃機関の運転を停止することができる。即ち、内燃機関の運転を停止する際の内燃機関の温度に拘わらず、安定して内燃機関の運転を停止することができる。この結果、内燃機関の運転停止の際に次回の内燃機関の始動性を良好にするための制御や内燃機関の運転停止の際の振動を抑制する制御などの他の制御を良好に行なうことができる。
【0011】
本発明の第2の内燃機関装置において、前記停止時運転時間設定手段は、前記検出された温度が低いほど長くなる傾向に停止時運転時間を設定する手段であるものとすることもできる。
【0012】
本発明の第1または第2の内燃機関装置において、前記内燃機関の出力軸にトルクを出力可能な電動機を備え、前記停止時制御手段は、前記内燃機関の出力軸が所定の回転位置範囲内で停止するよう前記電動機を制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の出力軸を高い精度で所定の回転位置範囲内で停止することができる。この結果、所定の回転位置範囲が内燃機関の始動性を良好にする回転位置の範囲であるときには次回の内燃機関の始動性を良好なものとすることができ、所定の回転位置範囲が内燃機関の運転停止の際に生じ得る振動を抑制する回転位置の範囲であるときには内燃機関の運転停止の際に生じ得る振動を抑制することができる。
【0013】
本発明の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
前記駆動軸に動力を出力可能な内燃機関を前記内燃機関として備える上述の本発明の第1または第2の内燃機関装置、即ち、基本的には、内燃機関を備える内燃機関装置であって、前記内燃機関における吸入空気の充填に関連する物理量である充填関連量を検出する充填関連量検出手段と、前記検出された充填関連量に基づいて停止時運転時間を設定する停止時運転時間設定手段と、前記内燃機関の運転を停止する際には、前記設定された停止時運転時間に亘って前記内燃機関を所定回転数で運転した後に、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関の運転を停止する停止時制御手段と、を備える本発明の第1の内燃機関装置や、内燃機関を備える内燃機関装置であって、前記内燃機関の温度を反映する媒体の温度を検出する温度検出手段と、前記検出された温度に基づいて停止時運転時間を設定する停止時運転時間設定手段と、前記内燃機関の運転を停止する際には、前記設定された停止時運転時間に亘って前記内燃機関を所定回転数で運転した後に、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関の運転を停止する停止時制御手段と、を備える本発明の第2の内燃機関装置と、
前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、
前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記停止時制御手段としても機能すると共に前記内燃機関の間欠運転を伴って前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0014】
この本発明の動力出力装置では、上述のいずれかの態様の本発明の第1の内燃機関装置や第2の内燃機関装置を備えるから、本発明の第1の内燃機関装置や第2の内燃機関装置が奏する効果、例えば、内燃機関の運転を停止する際の吸入空気の充填状態に拘わらず、安定して内燃機関の運転を停止することができる効果や、内燃機関の運転を停止する際の内燃機関の温度に拘わらず、安定して内燃機関の運転を停止することができる効果、内燃機関の運転停止の際に次回の内燃機関の始動性を良好にするための制御や内燃機関の運転停止の際の振動を抑制する制御などの他の制御を良好に行なうことができる効果などと同様な効果を奏することができる。また、本発明の動力出力装置では、内燃機関の間欠運転を伴って駆動軸に要求される要求駆動力に基づく駆動力を駆動軸に出力することができる。
【0015】
こうした本発明の動力出力装置において、前記蓄電手段と電力のやりとりが可能で、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力を伴って前記出力軸と前記駆動軸とに動力を出力する電力動力入出力手段を備え、前記制御手段は、前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電動機とに加えて前記電力動力入出力手段を制御する手段である、ものとすることもできる。この場合、前記停止時制御手段は、前記内燃機関の出力軸が所定の回転位置範囲内で停止するよう制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の出力軸を高い精度で所定の回転位置範囲内で停止することができる。この結果、所定の回転位置範囲が内燃機関の始動性を良好にする回転位置の範囲であるときには次回の内燃機関の始動性を良好なものとすることができ、所定の回転位置範囲が内燃機関の運転停止の際に生じ得る振動を抑制する回転位置の範囲であるときには内燃機関の運転停止の際に生じ得る振動を抑制することができる。
【0016】
本発明の第1の内燃機関の運転停止方法は、
内燃機関の運転を停止する内燃機関の運転停止方法であって、
前記内燃機関における吸入空気の充填に関連する物理量である充填関連量に基づいて停止時運転時間を設定し、前記設定した停止時運転時間に亘って前記内燃機関を所定回転数で運転した後に、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関の運転を停止する、
ことを特徴とする。
【0017】
この本発明の第1の内燃機関の運転停止方法では、内燃機関における吸入空気の充填に関連する物理量である充填関連量に基づいて設定された停止時運転時間に亘って内燃機関を所定回転数で運転した後に、内燃機関への燃料供給を停止して内燃機関の運転を停止する。吸入空気の充填に関連する充填関連量に応じた時間に亘って内燃機関を所定回転数で運転することにより、吸入空気の充填状態を通常の状態にすることができる。このため、その後に内燃機関の運転停止を行なうことにより、安定して内燃機関の運転を停止することができる。即ち、内燃機関の運転を停止する際の吸入空気の充填状態に拘わらず、安定して内燃機関の運転を停止することができる。この結果、内燃機関の運転停止の際に次回の内燃機関の始動性を良好にするための制御や内燃機関の運転停止の際の振動を抑制する制御などの他の制御を良好に行なうことができる。
【0018】
本発明の第2の内燃機関の運転停止方法は、
内燃機関の運転を停止する内燃機関の運転停止方法であって、
前記内燃機関の温度に基づいて停止時運転時間を設定し、前記設定した停止時運転時間に亘って前記内燃機関を所定回転数で運転した後に、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関の運転を停止する、
ことを特徴とする。
【0019】
この本発明の第2の内燃機関の運転停止方法では、内燃機関の温度を反映する媒体の温度に基づいて設定された停止時運転時間に亘って内燃機関を所定回転数で運転した後に、内燃機関への燃料供給を停止して内燃機関の運転を停止する。内燃機関の温度に応じた時間に亘って内燃機関を所定回転数で運転することにより、内燃機関の温度に応じて異なる状態(例えば、吸入空気の充填状態)を通常の状態に近くすることができる。このため、その後に内燃機関の運転停止を行なうことにより、安定して内燃機関の運転を停止することができる。即ち、内燃機関の運転を停止する際の内燃機関の温度に拘わらず、安定して内燃機関の運転を停止することができる。この結果、内燃機関の運転停止の際に次回の内燃機関の始動性を良好にするための制御や内燃機関の運転停止の際の振動を抑制する制御などの他の制御を良好に行なうことができる。
【0020】
本発明の第1の内燃機関装置の制御方法は、
内燃機関と該内燃機関の出力軸にトルクを出力する電動機とを備える内燃機関装置の制御方法であって、
前記内燃機関の運転を停止する際には、前記内燃機関における吸入空気の充填に関連する物理量である充填関連量に基づいて停止時運転時間を設定し、前記設定した停止時運転時間に亘って前記内燃機関を所定回転数で運転した後に、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関の出力軸が所定の回転位置範囲内で停止するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
【0021】
この本発明の第1の内燃機関装置の制御方法では、内燃機関の運転を停止する際には、内燃機関における吸入空気の充填に関連する物理量である充填関連量に基づいて設定された停止時運転時間に亘って内燃機関を所定回転数で運転した後に、内燃機関への燃料供給を停止して内燃機関の出力軸が所定の回転位置範囲内で停止するよう内燃機関と電動機とを制御する。吸入空気の充填に関連する充填関連量に応じた時間に亘って内燃機関を所定回転数で運転することにより、吸入空気の充填状態を通常の状態とし、安定して内燃機関の出力軸が所定の回転位置範囲内で停止するよう内燃機関の運転を停止することができる。この結果、所定の回転位置範囲が内燃機関の始動性を良好にする回転位置の範囲であるときには次回の内燃機関の始動性を良好なものとすることができ、所定の回転位置範囲が内燃機関の運転停止の際に生じ得る振動を抑制する回転位置の範囲であるときには内燃機関の運転停止の際に生じ得る振動を抑制することができる。
【0022】
本発明の第2の内燃機関装置の制御方法は、
内燃機関と該内燃機関の出力軸にトルクを出力する電動機とを備える内燃機関装置の制御方法であって、
前記内燃機関の運転を停止する際には、前記内燃機関の温度に基づいて停止時運転時間を設定し、前記設定した停止時運転時間に亘って前記内燃機関を所定回転数で運転した後に、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関の出力軸が所定の回転位置範囲内で停止するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
【0023】
この本発明の第2の内燃機関装置の制御方法では、内燃機関の運転を停止する際には、内燃機関の温度に基づいて設定された停止時運転時間に亘って内燃機関を所定回転数で運転した後に、内燃機関への燃料供給を停止して内燃機関の出力軸が所定の回転位置範囲内で停止するよう内燃機関と電動機とを制御する。内燃機関の温度に応じた時間に亘って内燃機関を所定回転数で運転することにより、内燃機関の温度に応じて異なる状態(例えば、吸入空気の充填状態)を通常の状態に近くし、安定して内燃機関の出力軸が所定の回転位置範囲内で停止するよう内燃機関の運転を停止することができる。この結果、所定の回転位置範囲が内燃機関の始動性を良好にする回転位置の範囲であるときには次回の内燃機関の始動性を良好なものとすることができ、所定の回転位置範囲が内燃機関の運転停止の際に生じ得る振動を抑制する回転位置の範囲であるときには内燃機関の運転停止の際に生じ得る振動を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0025】
図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、駆動輪63a,63bや図示しない従動輪のブレーキを制御するためのブレーキアクチュエータ92と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0026】
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能なV型の6気筒の内燃機関として構成されており、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入すると共に燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃料室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化装置(三元触媒)134を介して外気へ排出される。なお、燃料噴射弁126は、気筒毎に燃料噴射できるように気筒毎に取り付けられている。
【0027】
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により制御されている。エンジンECU24は、CPU24aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU24aの他に処理プログラムを記憶するROM24bと、データを一時的に記憶するRAM24cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温,燃焼室内に取り付けられた圧力センサ143からの筒内圧力Pin,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からのエアフローメータ信号AF,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温,排気管の浄化装置134の上流側に取り付けられた空燃比センサ135aからの空燃比AF,排気管の浄化装置134の下流側に取り付けられた酸素センサ135bからの酸素信号Oxなどが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。
【0028】
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
【0029】
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0030】
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
【0031】
ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキペダル85の踏み込みに応じて生じるブレーキマスターシリンダ90の圧力(ブレーキ圧)と車速Vとにより車両に作用させる制動力におけるブレーキの分担分に応じた制動トルクが駆動輪63a,63bや図示しない従動輪に作用するようブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧を調整したり、ブレーキペダル85の踏み込みに無関係に、駆動輪63a,63bや従動輪に制動トルクが作用するようブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧を調整したりすることができるように構成されている。ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキ用電子制御ユニット(以下、ブレーキECUという)94により制御されている。ブレーキECU94は、図示しない信号ラインにより、駆動輪63a,63bや従動輪に取り付けられた図示しない車輪速センサからの車輪速や図示しない操舵角センサからの操舵角などの信号を入力して、運転者がブレーキペダル85を踏み込んだときに駆動輪63a,63bや従動輪のいずれかがロックによりスリップするのを防止するアンチロックブレーキシステム機能(ABS)や運転者がアクセルペダル83を踏み込んだときに駆動輪63a,63bのいずれかが空転によりスリップするのを防止するトラクションコントロール(TRC),車両が旋回走行しているときに姿勢を保持する姿勢保持制御(VSC)なども行なう。ブレーキECU94は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってブレーキアクチュエータ92を駆動制御したり、必要に応じてブレーキアクチュエータ92の状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0032】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70には、エンジンECU24を介してクランクポジションセンサ140からのクランクポジションが直接入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0033】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
【0034】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にエンジン22を運転停止する際の動作について説明する。エンジン22の運転停止の処理は、例えば、車速Vがエンジン22を停止してもよい閾値未満の状態でアクセル開度Accや車速V,バッテリ50の状態から車両に要求される車両要求パワーが閾値未満となり、他にエンジン22の運転を継続する要求がないときに行なわれる。図3は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるエンジン停止時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン22の運転停止の要求がなされたときに実行される。
【0035】
エンジン停止時駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、エンジン22をアイドル回転数より若干高い停止回転数Nstopで自立運転するようエンジンECU24に制御信号を出力して指示し(ステップS100)、エンジン22の冷却水の水温(エンジン水温)Twを入力すると共に(ステップS110)、エンジン水温Twに基づいてエンジン22を停止回転数Nstopで自立運転する運転時間Tdrvを設定する処理を実行する(ステップS120)。ここで、停止回転数Nstopは、エンジン22を安定して運転することができる回転数範囲のうちの低回転数領域で設定されるものであり、例えば900rpmや1000rpmなどの回転数を用いることができる。運転時間Tdrvは、燃料噴射を停止した後のエンジン22の回転数の低下を定常的なものとするためにエンジン22の停止回転数Nstopでの自立運転を継続する時間として設定されるものであり、実施例では、エンジン水温Twと運転時間Tdrvとの関係を実験などにより求めて予め運転時間設定用マップとしてROM74に記憶しておき、エンジン水温Twが与えられるとマップから対応する運転時間Tdrvを導出することにより設定するものとした。運転時間設定用マップの一例を図4に示す。図示するように、運転時間Tdrvは、エンジン水温Twが高くなるほど短くなる傾向に、言い換えれば、エンジン水温Twが低くなるほど長くなる傾向に設定される。エンジン水温Twが低いほどエンジン22の吸入空気の充填量が多くなることを考慮したものである。即ち、エンジン22の吸入空気の充填量が多くなると、エンジン22の燃料噴射を停止しても通常時よりエンジン22が回転してしまうため、エンジン22を停止時回転数Nstopで運転する時間を長くすることによってエンジン22の吸入空気の充填量を通常時に近くし、燃料噴射を停止した後にエンジン22が余分に回転しないようにするためである。したがって、実施例では、エンジン水温Twに基づいてエンジン22を停止時回転数Nstopで運転する運転時間Tdrvを設定するものとしたが、エンジン22の吸入空気の充填状態を検出すると共に検出した吸入空気の充填状態に基づいてエンジン22を停止時回転数Nstopで運転する運転時間Tdrvを設定するものとしてもよいし、エンジン22の吸入空気の充填状態を反映する物理量を検出すると共に検出した物理量に基づいてエンジン22を停止時回転数Nstopで運転する運転時間Tdrvを設定するものとしてもよい。なお、エンジン水温Twは、水温センサ142により検出したものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。
【0036】
次に、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやブレーキペダル85からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,クランクポジションセンサ140からのクランク角CA,バッテリ50の入力制限Winなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS130)。ここで、エンジン22の回転数Neは、クランクポジションセンサ140により検出されるクランクポジションから計算されたものを入力するものとし、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、クランク角CAは、クランクポジションセンサ140により検出されるクランクポジションを基準角度からの角度としたものを用いるものとし、バッテリ50の入力制限Winは、温度センサ51により検出されたバッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。なお、入力制限Winは、バッテリ50に入力可能な電力の大きさが大きいほど小さくなるよう負の値として定めた。
【0037】
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP,車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定する(ステップS140)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP,車速Vと要求トルクTr*との関係を予め求めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP,車速Vとが与えられると要求トルク設定用マップから対応する要求トルクTr*を導出することにより設定するものとした。図5に要求トルク設定用マップの一例を示す。
【0038】
次に、入力したエンジン22の回転数Neを停止回転数Nstopより小さな閾値Nrefより大きいか否かを判定すると共に(ステップS150)やエンジン22の回転数Neが停止回転数Nstop近傍となって運転時間Tdrvが経過したか否かを判定する(ステップS160)。閾値Nrefについては後述する。いま、エンジン22を停止回転数Nstopで自立運転する指示を出力した直後を考えると、エンジン22の回転数Neは停止回転数Nstopより大きくなるから、ステップS150では肯定的な判定(Ne>Nref)がなされると共にステップS160,S170では否定的な判定(Ne≠Nstopまたは運転時間Tdrvは経過していない)がなされる。この場合、エンジン22はフューエルカットなどにより回転数Neを減少させている最中か停止回転数Nstopで自立運転している最中であるから、モータMG1からのトルク出力は不要となるため、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定してモータECU40に送信する(ステップS180)。値0のトルク指令Tm1*を受信したモータECU40は、モータMG1からの出力トルクが値0となるようインバータ41のスイッチング素子をスイッチング制御する。エンジン22が停止回転数Nstopで自立運転しているときの動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を図6に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。C軸上の二つの矢印は、エンジン22の回転を維持するためにエンジン22から出力するトルクTeと、エンジン22の回転による摺動摩擦や圧縮仕事などにより作用するトルクと、を示す。また、R軸上の矢印は、モータMG2から減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに出力されるトルクを示す。
【0039】
モータMG1のトルク指令Tm1*に値0が設定されると、バッテリ50の入力制限WinとモータMG1のトルク指令Tm1*(この場合、値0)に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの下限としてのトルク制限Tminを次式(1)により計算すると共に(ステップS240)、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*(この場合、値0)と動力分配統合機構30のギヤ比ρを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを式(2)により計算し(ステップS250)、計算したトルク制限Tminで仮モータトルクTm2tmpを制限した値としてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する(ステップS260)。トルク指令Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG2からのトルク指令Tm2*のトルクが出力されるようインバータ42のスイッチング素子をスイッチング制御する。このようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力する要求トルクTr*を、バッテリ50の入力制限Winの範囲内で制限したトルクとして設定することができ、車両の運動エネルギのより多くを電力として回生することができる。なお、式(2)は、前述した図6の共線図から容易に導き出すことができる。
【0040】
Tmin=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 (1)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (2)
【0041】
次に、要求トルクTr*からモータMG2のトルク指令Tm2*に減速ギヤ35のギヤ比Grを乗じたものを減じたものとしてブレーキアクチュエータ92の作動によりブレーキホイールシリンダ96a〜96dを介して駆動輪63a,63bや従動輪に作用させるべき制動力としてのブレーキトルク指令Tb*を設定すると共に設定したブレーキトルク指令Tb*をブレーキECU94に送信し(ステップS270)、エンジン22の回転数Neを値0と比較して(ステップS280)、エンジン22の回転数Neが値0でないときには、ステップS130のデータの入力処理に戻る。ブレーキトルク指令Tb*を受信したブレーキECU94は、リングギヤ軸32aに換算した制動トルクがブレーキトルク指令Tb*となるようブレーキアクチュエータ92を作動して駆動輪63a,63bや従動輪に制動力を作用させる。
【0042】
ステップS150〜S170の判定処理で、エンジン22の停止回転数Nstopでの自立運転が開始されてから運転時間Tdrvが経過したと判定されると、即ち、エンジン22の吸入空気の充填状態が通常の状態に至ったと判定されると、エンジン22への燃料供給を停止すると共に点火を停止するようエンジンECU24に燃料カット指示を送信すると共に(ステップS190)、エンジン22の回転数Neが閾値Nref以下に至るまで上述のデータ入力処理(ステップS130)や要求トルクTr*の設定処理(ステップS140),クランク角CAに基づいてエンジン22の回転数Neをスムーズに低下させる(引き下げる)と共にエンジン22の回転に伴う振動を抑制する低下振動抑制トルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータECU40に送信する処理(ステップS200)、設定したトルク指令Tm1*を用いてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する処理(ステップS240〜S260),ブレーキトルク指令Tb*を設定してブレーキECU94に送信する処理(ステップS270)、を繰り返す。このように、エンジン22の停止回転数Nstopでの自立運転が開始されてから運転時間Tdrv経過するのを待つことにより、エンジン22の状態(吸入空気の充填状態)を通常の状態にしてからエンジン22の燃料カットを行なうことができ、エンジン22の回転を安定してスムーズに低下させることができる。しかも、低下振動抑制トルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定して駆動するから、エンジン22の回転数をスムーズに引き下げることができると共にエンジン22の回転に伴って生じ得る振動を抑制することができる。エンジン22への燃料供給を停止した状態でエンジン22の回転数をスムーズに低下させているときの動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を図7に示す。
【0043】
ステップS150〜S170の判定処理で、エンジン22の回転数Neが閾値Nref以下に至ったと判定されたときには、補正トルク設定フラグFの値を調べ(ステップS210)、補正トルク設定フラグFが値0のときには、クランク角CAとエンジン水温Twとに基づいてエンジン22が停止直前にいずれかの気筒が上死点を超えないようにするための補正トルクTmodを設定すると共に補正トルク設定フラグFに値1を設定する(ステップS220)。ここで、閾値Nrefは、エンジン22が停止直前にいずれかの気筒が上死点を超えないよう補正トルクTmodによるモータMG1のトルク指令Tm1*の補正を開始するエンジン22の回転数として設定されており、上述したように停止回転数Nstopより小さな値である。閾値Nrefの値としては、例えば、600rpmや700rpm,800rpmなどを用いることができる。補正トルク設定フラグFは、エンジン停止時駆動制御ルーチンが起動されたときに図示しない初期処理により値0が設定され、上述したように補正トルクTmodが設定されたときに値1が設定される。そして、ステップS210で補正トルク設定フラグFが値1と判定されたときには、既に補正トルクTmodが設定されているため、補正トルクTmodの再度の設定は行なわれない。したがって、補正トルクTmodは、エンジン22の回転数Neが閾値Nrefに至ったときのクランク角CAとエンジン水温Twとに基づいて設定されることになる。補正トルクTmodは、実施例では、エンジン22の暖機が完全に完了した後にエンジン22の運転を停止する際のクランク角CAと補正トルクTmodとの関係を実験などにより予め定めて補正トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておくと共にエンジン水温Twと補正トルクTmodを補正する補正係数kwとの関係を実験などにより予め定めて補正係数設定用マップとしてROM74に記憶しておき、与えられたクランク角CAと補正トルク設定用マップとから対応する補正トルクTmodを導出すると共に与えられたエンジン水温Twと補正係数設定用マップとから対応する補正係数kwを導出し、導出した補正トルクTmodに補正係数kwを乗じて得られる値として設定するものとした。補正トルク設定用マップの一例を図8に示し、補正係数設定用マップの一例を図9に示す。実施例では、補正トルクTmodは、エンジン22が停止したときのクランク角CAが上死点より前の30度から60度となるよう調整されており、図9の例示では、エンジン22の回転数Neが閾値Nrefに至ったときのクランク角CAが値0度(上死点)より前では上述したエンジン22の回転をスムーズに低下させると共にエンジン22の回転に伴う振動を抑制するためにモータMG1のトルク指令Tm1*に設定されるトルクをエンジン22の回転数を更に引き下げる方向に作用するトルクが補正トルクTmodとして設定され、エンジン22の回転数Neが閾値Nrefに至ったときのクランク角CAが値0度(上死点)より後では逆にエンジン22の回転数の引き下げを抑制する方向のトルクが補正トルクTmodとして設定される。補正係数kwは、エンジン水温Twが温度Tref未満では値0が設定され、エンジン水温Twが温度Tref以上で比較的低いときには値1.0より大きな値が設定され、エンジン水温Twが比較的高いときには値1.0が設定される。エンジン水温Twが温度Tref未満で補正係数kwに値0を設定するのは、エンジン22の温度が低いときにはエンジン22を暖機するために他の制御を行なっていることから補正トルクTmodによる制御を行なっても期待する効果(エンジン22の停止直前に上死点を超えないようにするという効果)を奏することが困難なものとなるため、補正トルクTmodを値0として無駄な補正を行なわないためである。また、エンジン水温Twが比較的低いときに補正係数kwに値1.0より大きな値を設定するのは、エンジン水温Twが低いとエンジン22の潤滑オイルの粘性が高くなることに基づく。
【0044】
こうして補正トルクTmodを設定すると、エンジン22の回転数Neが値0になるまで、上述のデータ入力処理(ステップS130)や要求トルクTr*の設定処理(ステップS140),クランク角CAに基づいてエンジン22の回転数Neをスムーズに低下させると共にエンジン22の回転に伴う振動を抑制する低下振動抑制トルクに補正トルクTmodを加えたトルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータECU40に送信する処理(ステップS230)、設定したトルク指令Tm1*を用いてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する処理(ステップS240〜S260),ブレーキトルク指令Tb*を設定してブレーキECU94に送信する処理(ステップS270)、を繰り返し、エンジン22の回転数Neが値0になると(ステップS280)、エンジン停止時駆動制御ルーチンを終了する。このように低下振動抑制トルクに補正トルクTmodを加えたトルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定して制御することにより、エンジン22が停止する直前に上死点を超えるのを抑制することができ、エンジン22が停止する直前に上死点を超えることによって生じ得る振動を抑制することができる。なお、上述したように、エンジン22は上死点から前の30度から60度の範囲に停止する。なお、エンジン停止時駆動制御ルーチンを終了した後は、モータMG2からの出力トルクだけで走行するモータ運転モードによる図示しないモータ走行時駆動制御ルーチンが繰り返し実行される。
【0045】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22の運転を停止する際には、エンジン22を停止回転数Nstopで吸入空気の充填状態に関連するエンジン水温Twに応じた運転時間Tdrvだけ自立運転した後に、エンジン22の燃料供給を停止するから、エンジン22の状態(吸入空気の充填状態)を通常の状態にしてからエンジン22の燃料供給を停止することができる。この結果、燃料供給を停止した後のエンジン22の回転を安定してスムーズなものとすることができ、エンジン22を上死点より前の30度から60度の範囲内でより確実に停止することができる。
【0046】
また、実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22の運転を停止するときには、エンジン22の回転数Neの引き下げを開始してからその回転数Neが閾値Nrefに至ったときのクランク角CAとエンジン水温Twとに基づく補正トルクTmodを引き下げ時の低下振動抑制トルクに加えてモータMG1から出力することにより、エンジン22が停止する直前にクランク角CAが0度の上死点を超えないように、エンジン22を上死点より前の30度から60度の範囲内で停止することができる。この結果、エンジン22が停止する直前に上死点を超えることによって生じる振動を抑制することができる。しかも、エンジン22の回転数Neを引き下げるときに低下振動抑制トルクをモータMG1から出力するから、エンジン22の回転数Neの引き下げをスムーズに行なうことができると共にエンジン22の回転数Neを引き下げるときに生じ得る振動を抑制することができる。さらに、エンジン22の運転を停止するときにエンジン水温Twが温度Tref未満のときには、補正トルクTmodによる制御を行なわないから、無駄な制御を抑制することができる。
【0047】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の燃料噴射を停止する前にエンジン22を停止回転数Nstopで自立運転する運転時間Tdrvをエンジン水温Twに基づいて設定するものとしたが、エンジン22の吸入空気の充填状態を直接検出すると共に検出した吸入空気の充填状態に基づいて運転時間Tdrvを設定するものとしてもよく、エンジン22の吸入空気の充填状態を反映するエンジン水温Tw以外の物理量を検出すると共に検出した物理量やこれから推定される吸入空気の充填状態に基づいて運転時間Tdrvを設定するものとしてもよい。この場合、エンジン22の吸入空気の充填状態としての充填量が多くなるほど長くなる傾向に運転時間Tdrvを設定すればよい。
【0048】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転を停止するときには、エンジン22の回転数Neの引き下げを開始してからその回転数Neが閾値Nrefに至ったときのクランク角CAとエンジン水温Twとに基づく補正トルクTmodを引き下げ時の低下振動抑制トルクに加えてモータMG1から出力するものとしたが、エンジン22の運転を停止するときには、エンジン22の回転数Neの引き下げを開始してからその回転数Neが閾値Nrefに至ったときのエンジン水温Twは考慮せずにクランク角CAだけに基づく補正トルクTmodを引き下げ時の低下振動抑制トルクに加えてモータMG1から出力するものとしてもよい。
【0049】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転を停止するときにエンジン水温Twが温度Tref未満のときには、補正トルクTmodによる制御を行なわないものとしたが、エンジン水温Twが温度Tref未満でも補正トルクTmodによる制御を行なうものとしてもかまわない。
【0050】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転を停止するときには、上死点の前の30度から60度の範囲にエンジン22を停止するものとしたが、エンジン22が停止する直前に上死点を超えないようにするものであればよいから、エンジン22を停止するクランク角CAは上死点の30度から60度の範囲外としてもかまわない。
【0051】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転を停止するときには、エンジン22の回転数Neの引き下げを開始してからその回転数Neが閾値Nrefに至ったときのクランク角CAとエンジン水温Twとに基づく補正トルクTmodを引き下げ時の低下振動抑制トルクに加えてモータMG1から出力するものとしたが、エンジン水温Twに代えてエンジン22の温度やこのエンジン22の温度を反映する他の媒体の温度を用いるものとしてもかまわない。
【0052】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転を停止するときには、エンジン22の停止時に生じ得る振動を抑制するためにエンジン22が停止する直前にクランク角CAが0度の上死点を超えないように制御したが、エンジン22の運転を停止する際の制御としてはこうしたエンジン22の停止時に生じ得る振動を抑制するものに限定されるものではなく、他の制御、例えば、次回のエンジン22の始動性を良好なものにするために所定のクランク角範囲でエンジン22を停止するようにする制御などを実行するものとしてもよい。
【0053】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図10の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図10における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
【0054】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図11の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
【0055】
また、内燃機関を備えるものであれば、上述の実施例のエンジン停止時駆動制御ルーチンの一部と同様の制御を行なうことができるから、内燃機関を備える自動車や車両、船舶、航空機などの移動体などに搭載される動力出力装置や内燃機関装置の形態としてもよく、建設設備などの移動しないものに組み込まれる動力出力装置や内燃機関装置の形態としてもよい。また、こうした内燃機関装置や動力出力装置の制御方法の形態としてもよいし、内燃機関の運転停止方法の形態としてもかまわない。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、内燃機関装置や動力出力装置の製造産業などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】エンジン22の構成の概略を示す構成図である。
【図3】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるエンジン停止時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】運転時間設定用マップの一例を示す説明図である。
【図5】要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図6】エンジン22が停止回転数Nstopで自立運転しているときの動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を示す説明図である。
【図7】エンジン22への燃料供給を停止した状態でエンジン22の回転数をスムーズに低下させているときの動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を示す説明図である。
【図8】補正トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図9】補正係数設定用マップの一例を示す説明図である。
【図10】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図11】変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
【0059】
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、24a CPU、24b ROM、24c RAM、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90 ブレーキマスターシリンダ、92 ブレーキアクチュエータ、94 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、96a〜96d ブレーキホイールシリンダ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、126 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、130 点火プラグ、132 ピストン、134 浄化装置、135a 空燃比センサ、135b 酸素センサ、136,スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、143 圧力センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149 温度センサ、150 可変バルブタイミング機構。230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関を備える内燃機関装置であって、
前記内燃機関における吸入空気の充填に関連する物理量である充填関連量を検出する充填関連量検出手段と、
前記検出された充填関連量に基づいて停止時運転時間を設定する停止時運転時間設定手段と、
前記内燃機関の運転を停止する際には、前記設定された停止時運転時間に亘って前記内燃機関を所定回転数で運転した後に、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関の運転を停止する停止時制御手段と、
を備える内燃機関装置。
【請求項2】
前記停止時運転時間設定手段は、前記検出された充填関連量に関連する前記吸入空気の充填が大きくなるほど長くなる傾向に停止時運転時間を設定する手段である請求項1記載の内燃機関装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の内燃機関装置であって、
前記充填関連量検出手段は、前記内燃機関の温度を反映する媒体の温度を検出する手段であり、
前記停止時運転時間設定手段は、前記検出された温度が低いほど長くなる傾向に停止時運転時間を設定する手段である
内燃機関装置。
【請求項4】
内燃機関を備える内燃機関装置であって、
前記内燃機関の温度を反映する媒体の温度を検出する温度検出手段と、
前記検出された温度に基づいて停止時運転時間を設定する停止時運転時間設定手段と、
前記内燃機関の運転を停止する際には、前記設定された停止時運転時間に亘って前記内燃機関を所定回転数で運転した後に、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関の運転を停止する停止時制御手段と、
を備える内燃機関装置。
【請求項5】
前記停止時運転時間設定手段は、前記検出された温度が低いほど長くなる傾向に停止時運転時間を設定する手段である請求項4記載の内燃機関装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか記載の内燃機関装置であって、
前記内燃機関の出力軸にトルクを出力可能な電動機を備え、
前記停止時制御手段は、前記内燃機関の出力軸が所定の回転位置範囲内で停止するよう前記電動機を制御する手段である、
内燃機関装置。
【請求項7】
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
前記駆動軸に動力を出力可能な内燃機関を前記内燃機関として備える請求項1ないし5いずれか記載の内燃機関装置と、
前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、
前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記停止時制御手段としても機能すると共に前記内燃機関の間欠運転を伴って前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備える動力出力装置。
【請求項8】
請求項7記載の動力出力装置であって、
前記蓄電手段と電力のやりとりが可能で、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力を伴って前記出力軸と前記駆動軸とに動力を出力する電力動力入出力手段を備え、
前記制御手段は、前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電動機とに加えて前記電力動力入出力手段を制御する手段である
動力出力装置。
【請求項9】
前記停止時制御手段は、前記内燃機関の出力軸が所定の回転位置範囲内で停止するよう制御する手段である請求項8記載の動力出力装置。
【請求項10】
内燃機関の運転を停止する内燃機関の運転停止方法であって、
前記内燃機関における吸入空気の充填に関連する物理量である充填関連量に基づいて停止時運転時間を設定し、前記設定した停止時運転時間に亘って前記内燃機関を所定回転数で運転した後に、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関の運転を停止する、
ことを特徴とする内燃機関の運転停止方法。
【請求項11】
内燃機関の運転を停止する内燃機関の運転停止方法であって、
前記内燃機関の温度に基づいて停止時運転時間を設定し、前記設定した停止時運転時間に亘って前記内燃機関を所定回転数で運転した後に、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関の運転を停止する、
ことを特徴とする内燃機関の運転停止方法。
【請求項12】
内燃機関と該内燃機関の出力軸にトルクを出力する電動機とを備える内燃機関装置の制御方法であって、
前記内燃機関の運転を停止する際には、前記内燃機関における吸入空気の充填に関連する物理量である充填関連量に基づいて停止時運転時間を設定し、前記設定した停止時運転時間に亘って前記内燃機関を所定回転数で運転した後に、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関の出力軸が所定の回転位置範囲内で停止するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする内燃機関装置の制御方法。
【請求項13】
内燃機関と該内燃機関の出力軸にトルクを出力する電動機とを備える内燃機関装置の制御方法であって、
前記内燃機関の運転を停止する際には、前記内燃機関の温度に基づいて停止時運転時間を設定し、前記設定した停止時運転時間に亘って前記内燃機関を所定回転数で運転した後に、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関の出力軸が所定の回転位置範囲内で停止するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする内燃機関装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−210411(P2007−210411A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31306(P2006−31306)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】