説明

処理装置

【課題】異なる種類の処理流体の反応による被処理体の汚染防止、処理効率の向上、装置の小型化を図れるようにすること。
【解決手段】半導体ウエハWを保持する回転可能なロータ21と、ロータ21にて保持された半導体ウエハを密封状態に包囲可能な複数の処理室例えば内チャンバ23及び外チャンバ24と、半導体ウエハに対して処理流体を供給する処理流体供給手段としての薬液供給手段50、IPA供給手段60、リンス液供給手段70及び乾燥流体供給手段80と、内チャンバ及び外チャンバを半導体ウエハに対して相対的に移動するシリンダ27,28を具備する。内チャンバ及び外チャンバを筒体にて形成すると共に、筒体の一端に向かって拡開するテーパ状に形成し、筒体の拡開側部位に、処理流体の排液ポート及び排気ポートを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理装置に関するもので、更に詳細には、例えば半導体ウエハやLCD用ガラス基板等の被処理体に処理流体例えば薬液、リンス液あるいは乾燥流体等を供給して洗浄・乾燥等の処理をする処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造工程やLCD製造工程においては、半導体ウエハやLCD用ガラス等の被処理体(以下にウエハ等という)に付着したレジストやドライ処理後の残渣(ポリマ等)を除去するために、処理液やガス等の処理流体を用いる洗浄・乾燥処理装置が広く採用されている。ここでいう処理液とは、例えば有機溶剤あるいは有機酸や無機酸等の薬液とリンス液等で、ガスとは乾燥ガス等のことをいう。
【0003】
従来のこの種の洗浄・乾燥処理装置として、例えば、一側方にウエハ等の搬入・搬出用の開口及びこの開口を開閉する扉を有する一つの処理室と、この処理室内に配設されると共に、水平軸に対して傾斜した状態でウエハ等を収容したキャリアを回転するロータと、ウエハ等に対して液体を供給する液体供給手段と、ウエハ等に対してガスを供給するガス供給手段と、を具備する洗浄・乾燥装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、メンテナンス時などに処理室(チャンバ)を取り外すことができるものも知られている(例えば、特許文献2参照)。また、この洗浄・乾燥装置においては、上記処理室と共にモータやノズルが取付板に取り付けられた構造となっている(例えば、特許文献3参照)。また、処理室に連通する排液・排気ラインに、気液分離手段を設けて、処理に供された処理液を気液分離し、排出している(例えば、特許文献4参照)。また、気液分離部にセンサを具備するものも知られている(例えば、特許文献5参照)。この洗浄・乾燥装置によれば、複数枚のウエハ等を収容したカセットをロータにて保持した状態で、扉を閉じて処理室を密閉した後、ロータ及びウエハ等を回転すると共に、液体供給手段からウエハ等に対して液体を供給して洗浄処理を行い、洗浄処理後、同様にロータ及びウエハ等を回転すると共に、ウエハ等にガスを供給して乾燥処理を行うことができる。また、カセットレス方式で装置前面からローディングする装置も知られている(例えば、特許文献6,7参照)。
【0004】
また、別の処理装置として、複数の上部開放の処理室(カップ)を備えた枚葉式スピン処理装置も知られている(例えば、特許文献8参照)。
【特許文献1】米国特許第4300581号明細書
【特許文献2】米国特許第5221360号明細書
【特許文献3】米国特許第5022419号明細書
【特許文献4】米国特許第5095927号明細書
【特許文献5】米国特許第5154199号明細書
【特許文献6】米国特許第5678320号明細書
【特許文献7】米国特許第5784797号明細書
【特許文献8】実公平4−34902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような洗浄・乾燥処理装置においては、一つの処理室内において、洗浄処理と乾燥処理を行うため、乾燥処理の際に洗浄処理に使用された洗浄液が残存して、乾燥処理に支障をきたすばかりか、乾燥処理中の雰囲気を乱すという問題があった。この問題は、一種類の洗浄液を使用する場合も問題は起こるが、特に、異なる種類の処理流体を用いて洗浄処理を行う場合、例えばレジスト剥離液やポリマー除去液等の薬液,これら薬液の溶剤(例えばIPA:isopropyl alcohol),リンス液(例えば純水)等の処理液や、乾燥ガス(例えば窒素(N2)ガス等の不活性ガスや清浄空気)等の処理流体を用いて洗浄・乾燥処理する場合、あるいは、酸性の洗浄液(例えばSPM),純水,アルカリ性の洗浄液(例えばAPM)を順次供給して洗浄処理するような場合には、異なる種類の薬液等の処理流体が反応して、クロスコンタミネーションが発生し、ウエハ等が汚染される虞れがある。
【0006】
上記問題を解決する方法として、処理流体の種類に応じて別々の処理室に搬送して処理を施すことが考えられるが、このような方法では、処理効率が低下するという問題があり、また、装置の大型化を招くという問題もある。
【0007】
また、実公平4−34902号公報に記載の枚葉式スピン処理装置においては、複数の処理室(カップ)を有するため、異なる種類の薬液等の処理流体が反応するのをある程度は阻止できるが、上部開放のカップを用いるため、被処理体であるウエハ等の汚染を十分に防止することができないという問題があった。
【0008】
この発明は上記事情に鑑みなされたもので、異なる種類の処理流体の反応による被処理体の汚染を防止すると共に、処理効率の向上を図れるようにし、かつ装置の小型化を図れるようにした処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、被処理体を保持する保持手段と、上記保持手段にて保持された被処理体を包囲可能な複数の処理室と、上記被処理体に対して処理流体を供給する処理流体供給手段と、上記複数の処理室のうちの少なくとも一つの処理室を、上記被処理体に対して相対的に移動するための移動手段と、を具備し、上記処理室の一部を筒体にて形成すると共に、筒体の一端に向かって拡開するテーパ状に形成し、上記筒体の拡開側部位に、処理流体の排液ポート及び排気ポートを設けたことを特徴とする。
【0010】
上記のように構成することにより、保持手段によって保持される複数の被処理体を、複数の処理室内で処理流体を供給して処理することができるので、異なる処理流体によって被処理体が汚染されるのを防止することができる。また、処理室の一部を形成する筒体のテーパ状部と、回転する保持手段によって発生する気流によって、処理室内壁に付着する液を効率よく拡開側へ移動して排出することができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の処理装置において、上記処理室は、被処理体を密封状態に包囲可能に形成されることを特徴とする。
【0012】
このように構成することにより、被処理体に外部の雰囲気が接触するのを防止することができるので、被処理体の汚染を更に確実に防止することができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の処理装置において、上記保持手段を回転駆動する駆動手段を更に具備することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の処理装置において、上記処理流体が処理液であることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の処理装置において、上記保持手段は、被処理体の処理面が鉛直になるように被処理体を回転可能に保持し、駆動手段によって水平軸を中心として回転駆動されることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の処理装置において、上記移動手段は、被処理体を包囲する包囲位置と、この包囲位置とは異なる待機位置との間で処理室を移動することを特徴とする。
【0017】
このように構成することにより、被処理体の移動による振動を防止することができ、被処理体へのダメージ等を少なくすることができる。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の処理装置において、上記移動手段は、複数の処理室を同一軸線上に移動することを特徴とする。
【0019】
このように構成することにより、処理室の設置スペースを少なくすることができると共に、装置の小型化が図れる。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の処理装置において、上記複数の処理室のうちの少なくとも一つの処理室を、他の処理室を包囲し得るように出没及び重合可能に形成してなることを特徴とする。
【0021】
このように構成することにより、上記請求項7記載の発明と同様に、処理室の設置スペースを少なくすることができると共に、装置の小型化が図れる。
【0022】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の処理装置において、上記処理流体供給手段は、処理室内において、被処理体に対して薬液と、この薬液の溶剤、リンス液及び乾燥流体のうちの少なくとも一つを供給可能な処理流体供給ノズルを具備することを特徴とする。
【0023】
このように構成することにより、複数の処理流体を共用のノズルにて供給することができるので、ノズルの数を低減することができると共に、処理室及び装置全体を小型にすることができる。
【0024】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載の処理装置において、上記処理室の内面に、フッ素樹脂からなる断熱被膜を形成してなることを特徴とする。
【0025】
請求項11記載の発明は、請求項1ないし10のいずれかに記載の処理装置において、上記処理室を構成する筒体は、フッ素樹脂からなることを特徴とする。
【0026】
請求項10,11記載の発明によれば、処理室内で高温処理を行う場合、処理室を構成する筒体等からの熱の放出を防止することができる。したがって、再度高温処理を行う場合、再加熱が容易となり、温度損失を削減することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上に説明したように、この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0028】
1)請求項1,3,4,5記載の発明によれば、異なる処理流体によって被処理体が汚染されるのを防止することができる他、処理室の一部を形成する筒体のテーパ状部と、回転する保持手段によって発生する気流によって、処理室内壁に付着する液を効率よく拡開側へ移動して排出することができるので、処理効率を更に向上することができる。
【0029】
2)請求項2記載の発明によれば、被処理体に外部の雰囲気が接触するのを防止することができるので、被処理体の汚染を更に確実に防止することができる。
【0030】
3)請求項6記載の発明によれば、被処理体の移動による振動を防止することができ、被処理体へのダメージ等を少なくすることができる。
【0031】
4)請求項7記載の発明によれば、処理室の設置スペースを少なくすることができると共に、装置の小型化が図れる。
【0032】
5)請求項8記載の発明によれば、上記請求項7記載の発明と同様に、処理室の設置スペースを少なくすることができると共に、装置の小型化が図れる。
【0033】
6)請求項9記載の発明によれば、複数の処理流体を共用のノズルにて供給することができるので、ノズルの数を低減することができると共に、処理室及び装置全体を小型にすることができる。
【0034】
7)請求項10,11記載の発明によれば、処理室内で高温処理を行う場合、処理室を構成する筒体等からの熱の放出を防止することができるので、再度高温処理を行う場合、再加熱が容易となり、温度損失を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に、この発明の最良の実施形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0036】
この実施形態では半導体ウエハの洗浄・乾燥処理装置に適用した場合について説明する。
【0037】
図1はこの発明に係る処理装置を適用した洗浄・乾燥処理システムの一例を示す概略平面図である。
【0038】
上記洗浄・乾燥処理システムは、被処理体である半導体ウエハW(以下にウエハWという)の複数枚例えば25枚を水平状態に収納する容器例えばキャリア1を搬入、搬出するための搬入・搬出部2と、ウエハWを液処理すると共に乾燥処理する処理部3と、搬入・搬出部2と処理部3との間に位置してウエハWの受渡し、位置調整及び姿勢変換等を行うインターフェース部4とで主に構成されている。なお、搬入・搬出部2とインターフェース部4の側方には、空のキャリア1を一時収納するキャリアストック5と、キャリア1をクリーニングするキャリアクリーナ6が配設されている。
【0039】
上記搬入・搬出部2は、洗浄・乾燥処理装置の一側端部に配置されており、キャリア搬入部2aとキャリア搬出部2bが併設されている。
【0040】
上記インターフェース部4には、キャリア載置台7が配置されており、このキャリア載置台7と、搬入・搬出部2との間には、キャリア搬入部2aから受け取ったキャリア1をキャリア載置台7又はキャリアストック5上に搬送し、キャリア載置台7上のキャリア1をキャリア搬出部2b又はキャリアストック5へ搬送するキャリア搬送手段8が配設されている。また、インターフェース部4には、処理部3と連なる搬送路9が設けられており、この搬送路9にウエハ搬送手段例えばウエハ搬送チャック10が移動自在に配設されている。このウエハ搬送チャック10は、キャリア載置台7上のキャリア1内から未処理のウエハWを受け取った後、処理部3に搬送し、処理部3にて処理された処理済みのウエハWをキャリア1内に搬入し得るように構成されている。
【0041】
一方、上記処理部3には、ウエハWに付着するレジストやポリマ等を除去するこの発明に係る処理装置20が配設されている。以下に、この発明に係る処理装置について詳細に説明する。
【0042】
上記処理装置20は、図2に示すように、ウエハWを保持する回転可能な保持手段例えばロータ21と、このロータ21を水平軸を中心として回転駆動する駆動手段であるモータ22と、ロータ21にて保持されたウエハWを包囲する複数例えば2つの処理室(第1の処理室,第2の処理室)である内チャンバ23,外チャンバ24と、これら内チャンバ23又は外チャンバ24内に収容されたウエハWに対して処理流体例えばレジスト剥離液,ポリマ除去液等の薬液の供給手段50、この薬液の溶剤例えばイソプロピルアルコール(IPA)の供給手段60、リンス液例えば純水等の処理液の供給手段(リンス液供給手段)70又は例えば窒素(N2)等の不活性ガスや清浄空気等の乾燥気体(乾燥流体)の供給手段80{図1では薬液供給手段50と乾燥流体供給手段80を示す。}と、内チャンバ23を構成する内筒体25と外チャンバ24を構成する外筒体26をそれぞれウエハWの包囲位置とウエハWの包囲位置から離れた待機位置に切り換え移動する移動手段例えば第1,第2のシリンダ27,28及びウエハWを上記ウエハ搬送チャック10から受け取ってロータ21に受け渡すと共に、ロータ21から受け取ってウエハ搬送チャック10に受け渡す被処理体受渡手段例えばウエハ受渡ハンド29とで主要部が構成されている。
【0043】
上記のように構成される処理装置20におけるモータ22、処理流体の各供給手段50,60,70,80{図1では薬液供給手段50と乾燥流体供給手段80を示す。}の供給部、ウエハ受渡ハンド29等は制御手段例えば中央演算処理装置30(以下にCPU30という)によって制御されている。
【0044】
また、図3に示すように、上記ロータ21は、水平に配設されるモータ22の駆動軸22aに片持ち状に連結されて、ウエハWの処理面が鉛直になるように保持し、水平軸を中心として回転可能に形成されている。この場合、ロータ21は、モータ22の駆動軸22aにカップリング22bを介して連結される回転軸21Aを有する第1の回転板21aと、この第1の回転板21aと対峙する第2の回転板21bと、第1及び第2の回転板21a,21b間に架設される複数例えば4本の固定保持棒31と、これら固定保持棒31に列設された保持溝31a(図10参照)によって保持されたウエハWの上部を押さえる図示しないロック手段及びロック解除手段によって押え位置と非押え位置とに切換移動する一対の押え棒32とで構成されている。また、ロータ21の回転軸21Aは、ベアリング33を介して第1の固定壁34に回転可能に支持されており、第1の固定壁側のベアリング33に連接するラビリンスシール35によってモータ22側に発生するパーティクル等が処理室内に侵入しないように構成されている(図3参照)。なお、モータ22は、第1の固定壁34に連設される固定筒体36内に収納されている。また、モータ22は、予めCPU30に記憶されたプログラムに基づいて所定の高速回転例えば100〜3000rpmと低速回転例えば1〜500rpmを選択的に繰り返し行い得るように制御されている。なお、この場合、低速回転の回転数と高速回転の回転数の一部が重複しているが、薬液の粘性に対応して低速回転と高速回転が設定され、同一の薬液の場合には、低速回転と高速回転とは重複しない(以下の説明も同様である)。ここでいう低速回転とは、ウエハW上に接触した薬液を遠心力で振り切るときの回転数に比較して低速という意味で、逆に高速回転とは、供給された薬液がウエハW上で十分に反応できる程度に接触可能な回転数に比較して高速という意味である。
【0045】
したがって、モータ22は高速回転と低速回転との切り換えが何回も行われることによって過熱される虞があるので、モータ22には、過熱を抑制するための冷却手段37が設けられている。この冷却手段37は、図2に示すように、モータ22の周囲に配管される循環式冷却パイプ37aと、この冷却パイプ37aの一部と冷却水供給パイプ37bの一部を配設して、冷却パイプ37a内に封入される冷媒液を冷却する熱交換器37cとで構成されている。この場合、冷媒液は、万一漏洩してもモータ22が漏電しないような電気絶縁性でかつ熱伝導性の良好な液、例えばエチレングリコールが使用されている。また、この冷却手段37は、図示しない温度センサによって検出された信号に基づいて作動し得るように上記CPU30によって制御されている。なお、冷却手段37は必ずしも上記のような構造である必要はなく、例えば空冷式あるいはペルチェ素子を用いた電気式等任意のものを使用することができる。
【0046】
一方、処理室例えば内チャンバ23(第1の処理室)は、第1の固定壁34と、この第1の固定壁34と対峙する第2の固定壁38と、これら第1の固定壁34及び第2の固定壁38との間にそれぞれ第1及び第2のシール部材40a,40bを介して係合する内筒体25とで形成されている。すなわち、内筒体25は、移動手段である第1のシリンダ27の伸張動作によってロータ21と共にウエハWを包囲する位置まで移動されて、第1の固定壁34との間に第1のシール部材40aを介してシールされると共に、第2の固定壁38との間に第2のシール部材40bを介してシールされた状態で内チャンバ23(第1の処理室)を形成する(図3及び図6参照)。また、第1のシリンダ27の収縮動作によって固定筒体36の外周側位置(待機位置)に移動されるように構成されている(図4、図5及び図7参照)。この場合、内筒体25の先端開口部は第1の固定壁34との間に第1のシール部材40aを介してシールされ、内筒体25の基端部は固定筒体36の中間部に周設された第3のシール部材40cを介してシールされて、内チャンバ23内に残存する薬液の雰囲気が外部に漏洩するのを防止している。
【0047】
また、外チャンバ24(第2の処理室)は、待機位置に移動された内筒体25との間にシール部材40bを介在する第1の固定壁34と、第2の固定壁38と、第2の固定壁38と内筒体25との間にそれぞれ第4及び第5のシール部材40d,40eを介して係合する外筒体26とで形成されている。すなわち、外筒体26は、移動手段である第2のシリンダ28の伸張動作によってロータ21と共にウエハWを包囲する位置まで移動されて、第2の固定壁38との間に第4のシール部材40dを介してシールされると共に、内筒体25の先端部外方に位置する第5のシール部材40eを介してシールされた状態で、外チャンバ24(第2の処理室)を形成する(図7参照)。また、第2のシリンダ28の収縮動作によって固定筒体36の外周側位置(待機位置)に移動されるように構成されている(図4及び図5参照)。この場合、外筒体26と内筒体25の基端部間には第5のシール部材40eが介在されて、シールされている。したがって、内チャンバ23の内側雰囲気と、外チャンバ24の内側雰囲気とは、互いに気水密な状態に離隔されるので、両チャンバ23,24内の雰囲気が混じることなく、異なる処理流体が反応して生じるクロスコンタミネーションを防止することができる。
【0048】
なお、上記第1ないし第5のシール部材40a〜40eは、シールする対象物の一方に膨隆可能に装着される例えば合成ゴム製の中空パッキン内に圧縮空気を封入するシール機構にて形成されている。
【0049】
上記のように構成される内筒体25と外筒体26は共に先端に向かって拡開するテーパ状に形成されており、図9及び図10に示すように、同一水平線上に対峙する第1の固定壁34、第2の固定壁38及び装置側壁39に架設された互いに平行な複数(図面では3本の場合を示す。)のガイドレール39Aに沿って摺動可能に取り付けられており、上記第1及び第2のシリンダ27,28の伸縮動作によって同心上に互いに出没可能及び重合可能に形成されている。このように内筒体25及び外筒体26を、一端に向かって拡開するテーパ状に形成することにより、処理時に内筒体25又は外筒体26内でロータ21が回転されたときに発生する気流が拡開側へ渦巻き状に流れ、内部の薬液等が拡開側へ排出し易くすることができる。また、内筒体25と外筒体26とを同一軸線上に重合する構造とすることにより、内筒体25と外筒体26及び内チャンバ23及び外チャンバ24の設置スペースを少なくすることができると共に、装置の小型化が図れる。
【0050】
上記内筒体25及び外筒体26はステンレス鋼にて形成されている。また、内筒体25の外周面には例えばポリテトラフルオロエチレン(テフロン)等の断熱層が形成されており、この断熱層によって内チャンバ23内で処理に供される薬液及び薬液の蒸気が冷えるのを防止し得るように構成されている。
【0051】
一方、上記処理流体供給手段のうち、薬液例えばポリマ除去液の供給手段50は、図2、図3及び図8に示すように、内筒体25内に取り付けられる薬液供給ノズル51と、薬液供給部52と、この薬液供給ノズル51と薬液供給部52とを接続する薬液供給管路53に介設されるポンプ54、フィルタ55、温度調整器56、薬液供給弁57を具備してなる。この場合、薬液供給部52は、薬液供給源58と、この薬液供給源58から供給される新規の薬液を貯留する薬液供給タンク52aと、処理に供された薬液を貯留する循環供給タンク52bとで構成されており、両薬液供給タンク52a,52bには、上記内チャンバ23の拡開側部位の下部に設けられた第1の排液ポート41に第1の排液管42が接続され、第1の排液管42には、図示しない切換弁(切換手段)を介して循環管路90が接続されている。なお、内チャンバ23の拡開側部位の上部には、第1の排気ポート43が設けられており、この第1の排気ポート43には、図示しない開閉弁を介設した第1の排気管44が接続されている。また、両供給タンク52a,52bの外部には温度調整用ヒータ52cが配設されて、供給タンク52a,52b内の薬液が所定の温度に維持されるようになっている。また、薬液供給ノズル51は、ロータ21にて保持された複数例えば25枚のウエハW全体に均一に薬液を供給し得るように、最側端のウエハWの外方及び各ウエハW間に位置する26個のノズル孔(図示せず)を有するシャワーノズルにて形成されており、かつ各ノズル孔から薬液が略扇形状に噴射されるように構成されている。したがって、薬液供給ノズル51のノズル孔から、ロータ21と共に回転するウエハに向かって薬液を供給することにより、ロータ21に保持された複数例えば25枚のウエハWに均一に薬液を供給することができる。なお、ウエハWの表面側のみ薬液を供給する場合は25個のノズル孔でもよい。ここで、ロータ21には25枚のウエハWがキャリア1に収納されていた時と同じ間隔で保持されている場合を説明したが、キャリア収納時の間隔の半分で例えば50枚をロータ21に保持させることもある。この場合は、ノズル孔は51個又は50個となる。
【0052】
薬液の溶剤例えばIPAの供給手段60は、図8に示すように、内筒体25内に取り付けられる上記薬液供給ノズルを兼用する供給ノズル51(以下に薬液供給ノズル51で代表する)と、溶剤供給部61と、この供給ノズル51と薬液供給部52とを接続するIPA供給管路62に介設されるポンプ54A、フィルタ55A、IPA供給弁63を具備してなる。ここでいう薬液の溶剤とは薬液と反応することなく、その後の工程で使用されるリンス液とも反応することがない液体で、この薬液の溶剤により、ウエハWやチャンバに付着した薬液を大まかに洗い流すことができるものであればよい。この場合、溶剤供給部61は、溶剤例えばIPAの供給源64と、このIPA供給源64から供給される新規のIPAを貯留するIPA供給タンク61aと、処理に供されたIPAを貯留する循環供給タンク61bとで構成されており、両IPA供給タンク61a,61bには、上記内チャンバ23の拡開側部位の下部に設けられた第1の排液ポート41に接続する第1の排液管42に図示しない切換弁(切換手段)を介して循環管路90が接続されている。
【0053】
一方、リンス液例えば純水の供給手段70は、図2,図3及び図8に示すように、第2の固定壁38に取り付けられる純水供給ノズル71と、純水供給源72と、純水供給ノズル71と純水供給源72とを接続する純水供給管路73に介設される供給ポンプ74、純水供給弁75とを具備してなる。この場合、純水供給ノズル71は、内チャンバ23の外側に位置すると共に、外チャンバ24の内側に位置し得るように配設されており、内筒体25が待機位置に後退し、外筒体26がロータ21とウエハWを包囲する位置に移動して外チャンバ24を形成した際に、外チャンバ24内に位置して、ウエハWに対して純水を供給し得るように構成されている。
【0054】
また、外チャンバ24の拡開側部位の下部には、第2の排液ポート45が設けられており、この第2の排液ポート45には、図示しない開閉弁を介設した第2の排液管46が接続されている。なお、第2の排液管46には、純水の比抵抗値を検出する比抵抗計47が介設されており、この比抵抗計47によってリンス処理に供された純水の比抵抗値を検出し、その信号を上記CPU30に伝達するように構成されている。したがって、この比抵抗計47でリンス処理の状況を監視し、適正なリンス処理が行われた後、リンス処理を終了することができる。
【0055】
なお、上記外チャンバ24の拡開側部位の上部には、第2の排気ポート48が設けられており、この第2の排気ポート48には、図示しない開閉弁を介設した第2の排気管49が接続されている。
【0056】
また、乾燥流体供給手段80は、図2、図3及び図8に示すように、第2の固定壁38に取り付けられる乾燥流体供給ノズル81と、乾燥流体例えば窒素(N2)供給源82と、乾燥流体供給ノズル81とN2供給源82とを接続する乾燥流体供給管路83に介設される開閉弁84、フィルタ85、N2温度調整器86とを具備してなり、かつ乾燥流体供給管路83におけるN2温度調整器86の二次側に切換弁87を介して上記IPA供給管路62から分岐される分岐管路88を接続してなる。この場合、乾燥流体供給ノズル81は、上記純水供給ノズル71と同様に内チャンバ23の外側に位置すると共に、外チャンバ24の内側に位置し得るように配設されており、内筒体25が待機位置に後退し、外筒体26がロータ21とウエハWを包囲する位置に移動して外チャンバ24を形成した際に、外チャンバ24内に位置して、ウエハWに対してN2ガスとIPAの混合流体を霧状に供給し得るように構成されている。この場合、N2ガスとIPAの混合流体で乾燥した後に、更にN2ガスのみで乾燥する。なお、ここでは、乾燥流体がN2ガスとIPAの混合流体である場合について説明したが、この混合流体に代えてN2ガスのみを供給するようにしてもよい。
【0057】
なお、上記薬液供給手段50、IPA供給手段60、純水供給手段70及び乾燥流体供給手段80におけるポンプ54,54A、温度調整器56,N2温度調整器86、薬液供給弁57、IPA供給弁63及び切換弁87は、CPU30によって制御されている(図2参照)。
【0058】
なお、上記のように構成される処理装置20は、上方にフィルタユニット(図示せず)を有する処理空間内に配設されて、常時清浄空気がダウンフローされている。
【0059】
次に、この発明に係る洗浄・乾燥処理装置の動作態様について説明する。まず、搬入・搬出部2のキャリア搬入部2aに搬入された未処理のウエハWを収納したキャリア1を、キャリア搬送手段8によってキャリア載置台7上に搬送する。次に、ウエハ搬送チャック10がキャリア載置台7上に移動して、キャリア1内からウエハWを搬出し、受け取ったウエハWを処理部3の処理装置20の上方、すなわち、内筒体25及び外筒体26が待機位置に後退した状態のロータ21の上方位置まで搬送する。すると、図4に示すように、ウエハ受渡ハンド29が上昇して、ウエハ搬送チャック10にて搬送されたウエハWを受け取り、その後、下降してウエハWをロータ21の固定保持棒31上に受け渡した後、ウエハ受渡ハンド29は元の位置に移動する。ロータ21の固定保持棒31上にウエハWを受け渡した後、図示しないロック手段が作動してウエハ押え棒32がウエハWの上側縁部まで移動してウエハWの上部を保持する(図5参照)。
【0060】
上記のようにしてロータ21にウエハWがセットされると、図6に示すように、内筒体25及び外筒体26がロータ21及びウエハWを包囲する位置まで移動して、内チャンバ23内にウエハWを収容する。この状態において、まず、ウエハWに薬液を供給して薬液処理を行う。この薬液処理は、ロータ21及びウエハWを低速回転例えば1〜500rpmで回転させた状態で所定時間例えば数十秒間薬液を供給した後、薬液の供給を停止し、その後、ロータ21及びウエハWを数秒間高速回転例えば100〜3000rpmで回転させてウエハW表面に付着する薬液を振り切って除去する。この薬液供給工程と薬液振り切り工程を数回から数千回繰り返して薬液処理を完了する。なお、図8に二点鎖線で示すように、内筒体25内にN2ナイフノズル100を配設して、薬液を振り切る際に、N2ナイフノズル100からN2ガスを吹き付けるようにすれば、更に薬液の振り切りすなわち除去を迅速に行うことができる。なおこの場合、N2ナイフノズル100は、乾燥流体供給手段80のN2供給源82に開閉弁(図示せず)を介して接続すればよい。
【0061】
上記薬液処理工程において、最初に供給される薬液は、循環供給タンク52b内に貯留された薬液が使用され、この最初に使用された薬液は第1の排液管42から廃棄され、以後の処理に供される薬液は供給タンク52b内に貯留された薬液を循環供給する。そして、薬液処理の最後に、薬液供給源58から供給タンク52a内に供給された新規の薬液が使用されて、薬液処理が終了する。
【0062】
なお、薬液処理工程の際には、薬液処理に供された薬液は第1の排液ポート41に排出され、切換弁(図示せず)の動作によって薬液供給部52の循環管路45又は第1の排液管42に排出される一方、薬液から発生するガスは第1の排気ポート43を介して第1の排気管44から排気される。
【0063】
薬液処理を行った後、内チャンバ23内にウエハWを収容したままの状態で、IPA供給手段60のIPAの供給ノズルを兼用する薬液供給ノズル51から低速回転例えば1〜500rpmで回転させた状態で所定時間例えば数十秒間IPAを供給した後、IPAの供給を停止し、その後、ロータ21及びウエハWを数秒間高速回転例えば100〜3000rpmで回転させてウエハW表面に付着するIPAを振り切って除去する。このIPA供給工程とIPA振り切り工程を数回から数千回繰り返して薬液除去処理を完了する。この薬液除去処理においても、上記薬液処理工程と同様に、最初に供給されるIPAは、循環供給タンク61b内に貯留されたIPAが使用され、この最初に使用されたIPAは第1の排液管42から廃棄され、以後の処理に供されるIPAは供給タンク61b内に貯留されたIPAを循環供給する。そして、薬液除去処理の最後に、IPA供給源64から供給タンク61a内に供給された新規のIPAが使用されて、薬液除去処理が終了する。
【0064】
なお、薬液除去処理において、薬液除去処理に供されたIPAは第1の排液ポート41に排出され、切換弁(図示せず)の動作によって溶剤供給部61の循環管路90又は第1の排液管42に排出される一方、IPAガスは第1の排気ポート43を介して第1の排気管44から排気される。
【0065】
薬液処理及びリンス処理が終了した後、図7に示すように、内筒体25が待機位置に後退して、ロータ21及びウエハWが外筒体26によって包囲、すなわち外チャンバ24内にウエハWが収容される。したがって、内チャンバ23内で処理されたウエハWから液がしたたり落ちても外チャンバ24で受け止めることができる。この状態において、まず、リンス液供給手段の純水供給ノズル71から回転するウエハWに対してリンス液例えば純水が供給されてリンス処理される。このリンス処理に供された純水と除去されたIPAは第2の排液ポート45を介して第2の排液管46から排出される。また、外チャンバ24内に発生するガスは第2の排気ポート48を介して第2の排気管49から外部に排出される。
【0066】
このようにしてリンス処理を所定時間行った後、外チャンバ24内にウエハWを収容したままの状態で、乾燥流体供給手段80のN2ガス供給源82及びIPA供給源64からN2ガスとIPAの混合流体を回転するウエハWに供給して、ウエハ表面に付着する純水を除去することで、ウエハWと外チャンバ24内の乾燥を行うことができる。また、N2ガスとIPAの混合流体によって乾燥処理した後、N2ガスのみをウエハWに供給することで、ウエハWの乾燥と外チャンバ24内の乾燥をより一層効率よく行うことができる。
【0067】
上記のようにして、ウエハWの薬液処理、薬液除去処理、リンス処理及び乾燥処理が終了した後、外筒体26が内筒体25の外周側の待機位置に後退する一方、図示しないロック解除手段が動作してウエハ押え棒32をウエハWの押え位置から後退する。すると、ウエハ受渡ハンド29が上昇してロータ21の固定保持棒31にて保持されたウエハWを受け取って処理装置20の上方へ移動する。処理装置の上方へ移動されたウエハWはウエハ搬送チャック10に受け取られてインターフェース部4に搬送され、キャリア載置台7上のキャリア1内に搬入される。処理済みのウエハWを収納したキャリア1はキャリア搬送手段8によってキャリア搬出部2bに搬送された後、装置外部に搬送される。
【0068】
なお、上記実施形態では、ロータ21、内筒体25及び外筒体26を水平軸線上に配設し、ウエハWの処理面を鉛直方向に回転させて、薬液処理、薬液除去処理、リンス処理及び乾燥処理を行う場合について説明したが、ロータ21、内筒体25及び外筒体26を垂直軸線上に配設し、ウエハWの処理面を水平方向に回転させて、薬液処理、薬液除去処理、リンス処理及び乾燥処理を行うようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態において、内チャンバ23は、第1の固定壁34、第2の固定壁38、内筒体25によって囲まれているが、これら第1の固定壁34、第2の固定壁38及び内筒体25の内面に、例えばフッ素樹脂からなる断熱被膜を形成する方が好ましい。
【0070】
このようにすることにより、内チャンバ23で高温薬液処理を行う場合、内筒体25等からの熱の放出を防止することができる。したがって、再度高温薬液処理を行う場合、再加熱が容易となり、温度損失を削減することができる。
【0071】
また、同様に、温度損失を削減する筒体として、図12及び図13に示すようなものを採用することもできる。ここで、図12は、組立前の状態を示す分解斜視図であり、図13は、組立後の状態を示す斜視図である。この場合、筒体200は、フッ素樹脂例えば四フッ化エチレンやPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)からなる円筒部201を有している。この円筒部201には、その底部に一方の側から他方の側へ徐々に深くなるドレン溝202が設けられている。この円筒部201の両端には、環状の補強リング203,204が設けられている。この補強リング203,204もフッ素樹脂例えば四フッ化エチレンやPFAからなり、円筒部201に溶接で接合されている。
【0072】
なお、一方の補強リング204には、ドレン口205が設けられており、円筒部201に接合時に上記ドレン溝202に接続し、処理液の排出ができるようになっている。また、円筒部201両端の補強リング203,204間には、例えばステンレス又はアルミニウム等からなる一対の補強バー206が掛け渡されており、その両端がねじ207で固定されている。
【0073】
このような筒体200にあっても、四フッ化エチレン等製の円筒部201が断熱効果を有し、したがって、再度高温薬液処理を行う場合、再加熱が容易となり温度損失を削減することができる。
【0074】
また、上記実施形態では、図3に示すように、処理室を内チャンバ23(第1の処理室)と外チャンバ24(第2の処理室)の2室で形成する場合について説明したが、内筒体25及び外筒体26と同様の筒状体を3個以上用いて3室以上の複数の処理室にて処理を行うことも可能である。
【0075】
図14は、図3に示す処理装置の別の形態を示す要部断面図である。この処理装置は、図3に示す処理装置が、内筒体25と外筒体26の二重構造であるのに対して、筒体を四重構造にしたものである。この処理装置においては、第1の固定壁34と第2の固定壁38との間を、図3に示す内筒体25と同様の第1の筒体301が覆っている。この第1の筒体301もモータ22から離れるに従い拡径するように形成されている。この第1の筒体301の軸方向両端部は、シール部材340a,340bを介して第1の固定壁34と第2の固定壁38に気密にシールされている。また、この第1の筒体301の内側には、その第1の筒体301のモータ22側の端部から第1の供給ノズル310が軸方向に延在して設けられている。この第1の筒体301の外側には、第2の筒体302が配設されている。この第2の筒体302の両端部は、シール部材350a,350bを介して第1の筒体301の両端部にシールされている。また、第2の筒体302の内側にも、第2の供給ノズル320が設けられている。更に、同様に、第3の筒体303が第2の筒体302の外側に、第4の筒体304が第3の筒体303の外側に配設され、それぞれの筒体303,304の両端部はシール部材360a,360b;370a,370bによってシールされている。また、第3及び第4の筒体303,304の内側には、それぞれ第3,第4の供給ノズル330,340が設けられている。
【0076】
また、第2の固定壁38は、半径方向外方へ延在しており、その外端部にシール部材370cが設けられている。そして、このシール部材370cが第2の固定壁30の外端部と第4の筒体304の前側端部外周との間をシールしている。
【0077】
なお、第1〜第4の筒体301〜304の下端部には、それぞれ第1〜第4の排液ポート401〜404が設けられている。これら排液ポート401〜404は、第2の固定壁38に設けられた孔(図示せず)に挿抜可能に貫通して配設されている。そして、これら排液ポート401〜404からの排液を受ける排液受け405〜408で排液を受け、この排液を排液管410を介して排出するようになっている。
【0078】
また、第1〜第4の筒体301〜304の上端部には、それぞれ第1〜第4の排気ポート421〜424が設けられている。これら排気ポート421〜424は、第2の固定壁38に設けられた孔(図示せず)に挿抜可能に貫通して配設されており、それぞれの先端部から排気管430を介して排気するようになっている。
【0079】
このような構成の処理装置を用いて薬液(薬品)処理、IPA処理、純水処理あるいは乾燥処理を行うには、まず、ウエハWを固定保持棒31と押え棒32で保持し、ウエハWを回転させながら第1の筒体301内の第1の供給ノズル310から薬液を噴射させて洗浄を行う。次に、第1の筒体301をモータ22側へ後退させ、第2の筒体302内の第2の供給ノズル320からIPAを供給してIPAによる洗浄を行う。次いで、第2の筒体302を後退させ、第3の筒体303内の第3の供給ノズル330から純水を噴射して洗浄を行う。その後、第3の筒体303を後退させ、第4の筒体304内の第4の供給ノズル340からN2ガスや洗浄空気等の乾燥ガスを供給してウエハWを乾燥させる。上記処理過程において、排液は第1〜第4の排液ポート401〜404から排出され、排気は、第1〜第4の排気ポート421〜424から排気される。
【0080】
このように、この処理装置にあっては、ウエハW自体を移動させることなく、薬液(薬品)処理、IPA処理、純水処理及び乾燥処理をそれぞれ別の筒体内部で分離して行うことができる。したがって、処理を有効的に行うことができると共に、洗浄媒体の混合を防止し、クロスコンタミネーションを防止することができる。
【0081】
なお、この処理装置では、薬液(薬品)処理、IPA処理、純水処理、乾燥処理を例に説明しているが、他の処理に適用できることは勿論である。
【0082】
また、上記実施形態では、薬液供給ノズル51(IPA供給ノズルを兼用する)を内筒体25内に配設し、純水供給ノズル71及び乾燥流体供給ノズル81を内筒体25と外筒体26の間で、かつ第2の固定壁38に取り付ける場合について説明したが、薬液供給ノズル51(IPA供給ノズルを兼用する)を内筒体25及び外筒体26の外部の第2の固定壁38に取り付け、純水供給ノズル71及び乾燥流体供給ノズル81を外筒体26内に配設してもよく、あるいは、薬液供給ノズル51(IPA供給ノズルを兼用する)、純水供給ノズル71及び乾燥流体供給ノズル81を内筒体25内及び外筒体26内に配設してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、内チャンバ23(第1の処理室)内で薬液処理と薬液除去処理を行い、外チャンバ24(第2の処理室)内でリンス処理と乾燥処理を行う場合について説明したが、この発明の処理方法は、必ずしもこのような処理方法に限定されるものではない。例えば、内チャンバ23(第1の処理室)と外チャンバ24(第2の処理室)において、種類の異なる薬液を用いた薬液処理を行うことも可能である。このように種類の異なる薬液を用いて異なる処理室すなわち内チャンバ23(第1の処理室)と外チャンバ24(第2の処理室)で別々に処理することで、異なる種類の薬液が混じることで生じるクロスコンタミネーションを防止することができる。
【0084】
また、上記実施形態では、ロータ21に収容される最大数のウエハWを処理する場合について説明したが、必要に応じてロータ21に収容される最大枚数より少ない枚数、場合によっては1枚のウエハWの処理を行うことも可能である。
【0085】
なお、上記実施形態では、この発明に係る処理装置及び処理方法を半導体ウエハの洗浄・乾燥処理装置に適用した場合について説明したが、半導体ウエハ以外のLCD用ガラス基板等にも適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】この発明に係る処理装置を適用した洗浄・乾燥処理装置の概略平面図である。
【図2】この発明に係る処理装置の概略構成図である。
【図3】この発明に係る処理装置の要部断面図である。
【図4】この発明におけるウエハの受け取り状態を示す概略断面図である。
【図5】この発明におけるロータへのウエハの受け渡し状態を示す概略断面図である。
【図6】この発明における内チャンバでの薬液処理、薬液除去処理を示す概略断面図である。
【図7】この発明における外チャンバでのリンス処理、乾燥処理を示す概略断面図である。
【図8】この発明における配管系統を示す概略配管図である。
【図9】この発明における内筒体と外筒体を示す斜視図である。
【図10】上記内筒体と外筒体を示す分解斜視図である。
【図11】この発明における気液分離手段を示す斜視図である。
【図12】この発明における筒体の別の構造の組立前の状態を示す分解斜視図である。
【図13】上記筒体の組立後の状態を示す斜視図である。
【図14】この発明に係る処理装置の別の形態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0087】
W 半導体ウエハ(被処理体)
21 ロータ(回転保持手段)
22 モータ(駆動手段)
23 内チャンバ(第1の処理室)
24 外チャンバ(第2の処理室)
25 内筒体
26 外筒体
27,28 シリンダ(移動手段)
29 ウエハ受渡ハンド(被処理体受渡手段)
30 CPU(制御手段)
34 第1の固定壁
37 冷却器(冷却手段)
38 第2の固定壁
40a〜40e シール部材
41 第1の排液ポート
42 第1の排液管
43 第1の排気ポート
44 第1の排気管
45 第2の排液ポート
46 第2の排液管
47 比抵抗計
48 第2の排気ポート
49 第2の排気管
50 薬液供給手段
51 薬液供給ノズル(IPA供給ノズル)
60 IPA供給手段(溶剤供給手段)
70 純水供給手段(リンス液供給手段)
71 純水供給ノズル
80 N2ガス供給手段(乾燥流体供給手段)
81 乾燥流体供給ノズル
200 筒体
310 第1の供給ノズル
320 第2の供給ノズル
330 第3の供給ノズル
340 第4の供給ノズル
401〜404 第1〜第4の排液ポート
421〜424 第1〜第4の排気ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体を保持する保持手段と、
上記保持手段にて保持された被処理体を包囲可能な複数の処理室と、
上記被処理体に対して処理流体を供給する処理流体供給手段と、
上記複数の処理室のうちの少なくとも一つの処理室を、上記被処理体に対して相対的に移動するための移動手段と、を具備し、
上記処理室の一部を筒体にて形成すると共に、筒体の一端に向かって拡開するテーパ状に形成し、上記筒体の拡開側部位に、処理流体の排液ポート及び排気ポートを設けたことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の処理装置において、
上記処理室は、被処理体を密封状態に包囲可能に形成されることを特徴とする処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の処理装置において、
上記保持手段を回転駆動する駆動手段を更に具備することを特徴とする処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の処理装置において、
上記処理流体が処理液であることを特徴とする処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の処理装置において、
上記保持手段は、被処理体の処理面が鉛直になるように被処理体を回転可能に保持し、駆動手段によって水平軸を中心として回転駆動されることを特徴とする処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の処理装置において、
上記移動手段は、被処理体を包囲する包囲位置と、この包囲位置とは異なる待機位置との間で処理室を移動することを特徴とする処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の処理装置において、
上記移動手段は、複数の処理室を同一軸線上に移動することを特徴とする処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の処理装置において、
上記複数の処理室のうちの少なくとも一つの処理室を、他の処理室を包囲し得るように出没及び重合可能に形成してなることを特徴とする処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の処理装置において、
上記処理流体供給手段は、処理室内において、被処理体に対して薬液と、この薬液の溶剤、リンス液及び乾燥流体のうちの少なくとも一つを供給可能な処理流体供給ノズルを具備することを特徴とする処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の処理装置において、
上記処理室の内面に、フッ素樹脂からなる断熱被膜を形成してなることを特徴とする処理装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の処理装置において、
上記処理室を構成する筒体は、フッ素樹脂からなることを特徴とする処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−279056(P2006−279056A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129408(P2006−129408)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【分割の表示】特願2000−110207(P2000−110207)の分割
【原出願日】平成12年4月12日(2000.4.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】