説明

制御システム、制御方法、操作制御装置及び作業装置

【課題】被制御体とその周辺にある障害物とが接近していることを操作者に伝えて遠隔制御に係る操作性を向上させる。
【解決手段】ロボット10は、ロボットハンド先端部とその周辺にある障害物との距離Lと、ロボットハンド先端部の移動速度Vを特定し(S1,S2)、ロボットハンド先端部が障害物に接触するまでの推定接触時間を算出する(S3)。ロボット10は、ロボットハンド先端部が障害物に接近している旨を通知する接触情報を操作制御装置20宛てに送信した時から、通信路を経由して接触情報が操作制御装置20に到達するまでの伝送所要時間の予測値Tを取得する(S4)。ロボット10は、推定所要時間が予測値Tと規定時間Tとの和以下になると(S5;YES)、接触情報を送信する(S6,S7)。これにより通信遅延の程度に関わらず、操作制御装置20は、現に接触がある前に接触情報に基づき両者の接近を報知する(S8,S9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の遠隔制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットを遠隔制御する技術にマスタ・スレーブ方式と呼ばれるものがある。この方式の遠隔制御では、操作者(オペレータ)が操作するマスタの情報を基に遠隔側のスレーブを制御する。特許文献1には、スレーブマニピュレータに取り付けられた測定装置の情報を基に周辺の障害物との接触やその接触により発生する力を計算して、その衝突により生じる衝撃を緩和するための技術が開示されている。非特許文献1には、バイラテラル制御を建設機械の操作に応用し、作業により生じる接触力を、マスタ側の装置に触覚によりフィードバックすることが開示されている。特許文献2には、スレーブマニピュレータと障害物との距離が所定値以下の危険領域になると、その距離に応じて、マスタマニピュレータに反力を与えることが開示されている。また、非特許文献2には、GUI(Graphical User Interface)でのポインティング動作において、ポインティングのターゲットへの接近或いは接触をマウスを介して力と触覚により操作者に伝えることで、ポインティングタスクの操作性が向上するという報告がなされている。
【0003】
また、遠隔制御に係る通信遅れを考慮した技術として、特許文献3には、スレーブ側の移動ロボットとマスタ側の監視センタとの間で通信遅延が発生しても、移動ロボットが接触を回避するために自律的に速度制御を行うことが開示されている。特許文献4には、ロボットマニピュレータと対象物との接触・離脱動作の状態を操作者に力感覚で伝達する場合に、通信遅れを考慮してその力の大きさを決めることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−164807号公報
【特許文献2】特開平8−300277号公報
【特許文献3】特開2006−285548号公報
【特許文献4】特開2004−82293号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】内村裕、大西公平、「リアルタイム性の高いネットワークの開発とロボット制御への応用」、鹿島技術研究所年報51号、2003年9月30日
【非特許文献2】M.Akamatsu, S. I. MacKenzie, “Movement characteristics using a mouse with tactile and force feedback”, International Journal of Human-Computer Studies, 45, 483-493, 1996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、スレーブ側のロボットを遠隔制御する場合に、ロボット周辺の画像情報を基に操作者が遠隔操作を行う方法を採用すると、遠隔制御システムにおいてマスタ及びスレーブ間の通信遅延を無視することはできない。この通信遅延の程度が大きいと、操作者を混乱させるなどの問題があり制御系を不安定にする原因となる。このようなことから、遠隔制御システムにおける操作性の向上が従来から望まれている。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被制御体とその周辺にある障害物とが接近していることを操作者に伝えて遠隔制御に係る操作性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の請求項1に係る制御システムは、被制御体の位置を移動させ、当該被制御体を用いて作業を行う作業装置と、前記作業装置と通信路を介して接続され、操作者による操作に従って前記作業装置を制御する操作制御装置とを備え、前記作業装置は、前記操作制御装置の制御に応じて移動させられる前記被制御体の位置と、当該被制御体の周辺にある障害物との距離を特定する距離特定手段と、前記被制御体の位置が前記障害物に接近している旨の通知を前記操作制御装置宛てに送信した時から、前記通信路を経由して当該通知が前記操作制御装置に到達するまでの伝送所要時間の予測値を取得する取得手段と、前記距離特定手段により特定された前記距離と、前記取得手段が取得した前記伝送所要時間の予測値とに基づいて、前記被制御体が前記障害物に接触するよりも前に前記通知が前記通信路を経由して前記操作制御装置に到達するような時期に、当該通知を送信する送信手段とを備え、前記操作制御装置は、前記送信手段により送信された前記通知を受信する受信手段と、前記受信手段により前記通知が受信されると、前記被制御体が前記障害物に接近している旨を報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係る制御システムは、請求項1の構成において、前記作業装置は、前記被制御体が移動する速度を特定する速度特定手段を備え、前記送信手段は、前記距離特定手段により特定された距離を前記速度特定手段により特定された速度で除して前記被制御体が前記障害物に接触するまでの推定時間を算出し、当該推定時間と前記伝送所要時間とに基づいて、前記被制御体が前記障害物に接触するよりも前に前記通知が前記操作制御装置に到達するような時期に、当該通知を送信することを特徴とする。
本発明の請求項3に係る制御システムは、請求項1の構成において、前記作業装置は、前記被制御体が移動する速度を特定する速度特定手段を備え、前記送信手段は、前記速度特定手段より特定された速度と前記取得手段が取得した前記伝送所要時間とを乗算して、前記作業装置が前記通知を送信した時から当該通知が前記操作制御装置に到達するまでに前記被制御体が移動すると推定される移動距離を算出し、当該移動距離と前記距離特定手段により特定された距離とに基づいて、当該距離が予め決められた距離よりも小さくなる前に前記通知が前記遠隔制御装置に到達するような時期に当該通知を送信することを特徴とする。
本発明の請求項4に係る制御システムは、請求項1の構成において、前記作業装置は、前記被制御体の位置を特定する位置特定手段と、前記位置特定手段により特定された前記位置と、当該位置が特定されたときの前記距離との対応関係を記憶する記憶手段とを備え、前記送信手段は、所定の間隔を空けて前記通知を送信し、前記位置特定手段により特定された位置と前記記憶手段に記憶された対応関係とに基づいて、前記被制御体の位置と前記障害物との距離が第1の距離と推定される場合には、前記第1の距離よりも小さい第2の距離と推定される場合に比べて前記間隔を長くすることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る制御システムは、被制御体の位置を移動させ、当該被制御体を用いて作業を行う作業装置と、前記作業装置と通信路を介して接続され、操作者による操作に従って前記作業装置を制御する操作制御装置とを備え、前記作業装置は、前記操作制御装置の制御に応じて移動させられる前記被制御体の位置と、当該被制御体の周辺にある障害物との距離を特定する距離特定手段と、前記距離特定手段により特定された距離を表す距離情報を、前記通信路を経由して前記操作制御装置に送信する送信手段とを備え、前記操作制御装置は、前記送信手段により送信された前記距離情報を受信する受信手段と、前記送信手段が自装置宛てに前記距離情報を送信した時から、前記通信路を経由して当該距離情報が自装置に到達するまでの伝送所要時間又はその予測値を取得する取得手段と、前記受信手段により受信された前記距離情報が表す距離と、前記取得手段が取得した前記伝送所要時間又はその予測値とに基づいて、前記被制御体が前記障害物に接触するよりも前に当該被制御体が当該障害物に接近している旨を報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る制御方法は、被制御体の位置を移動させ、当該被制御体を用いて作業を行う作業装置と、前記作業装置と通信路を介して接続され、操作者による操作に従って前記作業装置を制御する操作制御装置とを備える制御システムの制御方法であって、前記作業装置が、前記操作制御装置の制御に応じて移動させられる前記被制御体の位置と、当該被制御体の周辺にある障害物との距離を特定する距離特定ステップと、前記作業装置が、前記被制御体の位置が前記障害物に接近している旨の通知を前記操作制御装置宛てに送信した時から、前記通信路を経由して当該通知が前記操作制御装置に到達するまでの伝送所要時間の予測値を取得する取得ステップと、前記作業装置が、前記距離特定ステップにおいて特定した前記距離と、前記取得ステップにおいて取得した前記伝送所要時間の予測値とに基づいて、前記被制御体が前記障害物に接触するよりも前に前記通知が前記通信路を経由して前記操作制御装置に到達するような時期に、当該通知を送信する送信ステップと、前記操作制御装置が、前記送信ステップにおいて送信された前記通知を受信する受信ステップと、前記操作制御装置が、前記受信ステップにおいて前記通知を受信すると、前記被制御体が前記障害物に接近している旨を報知する報知ステップとを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る制御方法は、被制御体の位置を移動させ、当該被制御体を用いて作業を行う作業装置と、前記作業装置と通信路を介して接続され、操作者による操作に従って前記作業装置を制御する操作制御装置とを備える制御システムの制御方法であって、前記作業装置が、前記操作制御装置の制御に応じて移動させられる前記被制御体の位置と、当該被制御体の周辺にある障害物との距離を特定する距離特定ステップと、前記作業装置が、前記距離特定ステップにおいて特定した距離を表す距離情報を、前記通信路を経由して前記操作制御装置に送信する送信ステップと、前記操作制御装置が、前記送信ステップにおいて送信された前記距離情報を受信する受信ステップと、前記操作制御装置が、前記送信ステップにおいて自装置宛てに前記距離情報を送信した時から、前記通信路を経由して当該距離情報が自装置に到達するまでの伝送所要時間又はその予測値を取得する取得ステップと、前記操作制御装置が、前記受信ステップにおいて受信した前記距離情報が表す距離と、前記取得ステップにおいて取得した前記伝送所要時間又はその予測値とに基づいて、前記被制御体が前記障害物に接触するよりも前に当該被制御体が当該障害物に接近している旨を報知する報知ステップとを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る操作制御装置は、被制御体の位置を移動させ、当該被制御体を用いて作業を行う作業装置と通信路を介して接続され、操作者による操作に従って前記作業装置を制御する操作制御装置において、自装置の制御に応じて移動させられる前記被制御体の位置と、当該被制御体の周辺にある障害物との距離を表す距離情報を前記作業装置から受信する受信手段と、前記作業装置が自装置宛てに前記距離情報を送信した時から、前記通信路を経由して当該距離情報が自装置に到達するまでの伝送所要時間又はその予測値を取得する取得手段と、前記受信手段により受信された前記距離情報が表す距離と、前記取得手段が取得した前記所要時間又はその予測値とに基づいて、前記被制御体が前記障害物に接触するよりも前に当該被制御体が当該障害物に接近している旨を報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に係る作業装置は、通信路を介して接続される操作制御装置に対して行われる操作に従って当該操作制御装置により制御されて前記被制御体の位置を移動させ、当該被制御体を用いて作業を行う作業装置において、前記操作制御装置の制御に応じて移動させられる前記被制御体の位置と、当該被制御体の周辺にある障害物との距離を特定する距離特定手段と、前記被制御体の位置が前記障害物に接近している旨の通知を前記操作制御装置宛てに送信した時から、前記通信路を経由して当該通知が前記操作制御装置に到達するまでの伝送所要時間の予測値を取得する取得手段と、前記距離特定手段により特定された前記距離と、前記取得手段が取得した前記伝送所要時間の予測値とに基づいて、前記被制御体が前記障害物に接触するよりも前に前記通知が前記通信路を経由して前記操作制御装置に到達するような時期に、当該通知を送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被制御体とその周辺にある障害物とが接近していることを操作者に伝えて遠隔制御に係る操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態である遠隔制御システムの概念を示す図。
【図2】操作者から見た遠隔制御システムの様子を模式的に表した図。
【図3】遠隔制御システムのハードウェア構成を示すブロック図。
【図4】遠隔制御システムにおいて実行される処理の手順を示すシーケンス図。
【図5】時刻と距離Lとの関係の一例を示すグラフ。
【図6】遠隔制御システムにおいて実行される処理の手順を示すシーケンス図。
【図7】遠隔制御システムの動作を説明するグラフ。
【図8】本発明の第2実施形態である遠隔制御システムのハードウェア構成を示す図。
【図9】ロボットの外観の構成を模式的に表した図。
【図10】先端位置測定装置によって特定される位置を説明する図
【図11】ロボットが実行する処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。この実施形態では、本発明の制御システムを、作業装置としてのロボットと、操作者が操作する操作制御装置とを備える遠隔制御システムに適用した場合について説明する。作業装置であるロボットには例えば、建設機器のひとつである油圧ショベルや、ビル内や街中を警備する警備ロボット、レスキューロボットがあるが、以下ではロボットの一例として油圧ショベルを適用した場合について説明する。
【0017】
(A)第1実施形態
(A−1)遠隔制御システムの構成
図1は、本発明の第1実施形態である遠隔制御システムの概念を示す図である。図2は、操作制御装置を扱う操作者Cから見た遠隔制御システムの様子を模式的に表した図である。
遠隔制御システム1は、ロボット10と、操作制御装置20と、通信路30とにより構成され、マスタ側の操作制御装置20とスレーブ側のロボット10とにより、いわゆるバイラテラルシステムが実現される。作業装置としてのロボット10は、工事や建築などの作業現場において、被制御体としてのロボットハンド先端部17の位置を移動させ、このロボットハンド先端部17を用いて運搬、積込、掘削、破砕などの作業を行う。ここでのロボットハンド先端部17はいわゆるバケット(エンドエフェクタ)により実現され、ロボット10が行う作業は、ロボットハンド先端部17をその作業に応じたものに付け替えることにより変更させられる。図1に示す制御ボックスBには、ロボット10の制御に関わる構成である後述する通信装置11及び制御装置12が収容されている。操作制御装置20は、例えば工場や作業現場に設置されたプレハブなどの建造物の内部に設置され、作業現場とは異なる場所でロボット10の動作を制御する装置である。図2に示すように、操作者Cは、操作機22に設けられたレバーやボタン等からなる操作入力部222の操作を行い、操作制御装置20は、その操作に従ってロボット10の動作を制御する。通信路30は、ここでは通信ケーブルを用いた有線接続により実現される。遠隔制御システム1では、この通信路30を経由して、ロボット10と操作制御装置20との間で制御に関わる情報の遣り取りが行われる。
【0018】
遠隔制御システム1により実際に作業が行われるときには、カメラ13によって作業現場の様子が撮影され、ロボット10は、カメラ13により撮影された映像を表す映像情報を操作制御装置20に送信する。操作制御装置20は、通信路30を経由して到来する映像情報を受信すると、受信した映像情報が表す映像を映像表示装置23に映し出す。操作者Cはこの映像を見ながら操作入力部222を操作し、操作制御装置20は、操作者Cが行った操作を表す操作情報をロボット10に送信する。ロボット10は、通信路30を経由して到来する操作情報を受信すると、その操作情報に従ってロボットハンド14やロボット移動機構15を動作させて作業を行う。
【0019】
続いて、遠隔制御システム1の構成についてより詳細に説明する。図3は、遠隔制御システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
(A−2)ロボット10の構成
同図に示すように、ロボット10は、通信装置11と、制御装置12と、カメラ13と、ロボットハンド14と、ロボット移動機構15と、距離測定装置16とを備える。
通信装置11は、操作制御装置20との間で情報を送受信するためのインタフェースを備え、映像情報や接触情報を操作制御装置20宛てに送信する送信手段として機能したり、操作制御装置20によって送信されて通信路30を経由して到来する操作情報を受信する。映像情報は、カメラ13によって撮影された映像を表す。接触情報は、ロボットハンド先端部17とその周辺にある障害物とが接近している旨を操作制御装置20に通知するための情報である。制御装置12は、ロボット制御装置121、接触情報変換装置122及び遅延測定装置123を備え、それぞれがCPU(Central Processing Unit)を含む演算装置やメモリを有しており、これらはロボット10の各部を制御する。カメラ13は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラであり、ロボット10の周辺の様子を撮影し、その撮影した映像を表す映像情報を生成して通信装置11に出力する。図1に示すように、カメラ13は、例えばロボット10に運転席上部の屋根に設けられ、操作者Cが操作をしやすいように、運転席から見た様子に近い内容を撮影するようにしている。
【0020】
ロボットハンド14は、いわゆるスレーブマニピュレータ(スレーブアーム)により実現される腕状の部材であり、複数のリンクを関節で結合した構造を有している。このロボットハンド14の先端部分にロボットハンド先端部17が設けられている。ロボットハンド14は、油圧ショベルにおけるアームやブームと呼ばれる構成を含んでおり、作業の実行に伴い移動させられる。ロボットハンド14は、各関節の関節角が制御されて自身の姿勢が変化させられることにより、ロボットハンド先端部17の位置を移動させる。ロボット移動機構15は、ここでは無限軌道と呼ばれる履板の環を有し、ロボット10の移動を可能にする。ロボット移動機構15は、ロボット10を前進させたり後進させたりするための動作を行い、この動作によってもロボットハンド先端部17の位置は移動させられる。距離測定装置16は、例えばレーザ距離計や赤外線距離センサ、超音波距離センサにより実現され、ロボットハンド先端部17に取り付けられている。距離測定装置16は、所定の周期毎に、ロボットハンド14の先端位置であるロボットハンド先端部17とその周辺にある障害物との距離を測定し、その測定結果を制御装置12に出力する。例えばロボットハンド先端部17が障害物に接触した場合には、距離測定装置16により測定される距離はゼロとなる。また、距離測定装置16による測定の周期は、ロボットハンド14の動作速度などに基づいて決められるとよいが、100Hz(1秒間に100回)以上とすることが望ましく、ここでは1000Hz(1秒間に1000回)とする。なお、ここでの障害物は、例えば、地表面や樹木、岩石、材木、瓦礫などであり、作業現場に存在し、ロボットハンド先端部17と接触し得るあらゆる物を指す。
【0021】
次に、制御装置12の構成についてより詳細に説明する。
ロボット制御装置121は、操作制御装置20から与えられる操作情報に従って、ロボットハンド14やロボット移動機構15の動作を制御して、ロボットハンド先端部17を用いて作業を行わせる。接触情報変換装置122は、距離測定装置16による測定結果に基づいてロボットハンド先端部17と障害物との距離を特定する距離特定手段として機能するとともに、特定した距離に基づく所定の条件を満たす場合には、その距離を表す距離情報を、ロボットハンド先端部17と障害物とが接近している旨を表す接触情報に変換して通信装置11に出力する。接触情報変換装置122は、距離測定装置16の測定結果を周期的に取得して、距離情報の接触情報への変換に係る制御を行う。
【0022】
遅延測定装置123は、ロボット10が操作制御装置20宛てにロボットハンド先端部17が接触情報を送信した時から、その接触情報が通信路30を経由して操作制御装置20に到達するまでに要する伝送所要時間(つまり、通信遅延)を測定する。ここでは、遅延測定装置123は、自装置の通信装置11と操作制御装置20の通信装置21との間で、通信遅延測定用データを送受信し合うことで往復通信遅延時間を測定する。具体的には、遅延測定装置123は、通信装置11によって遅延測定用データを送信し、操作制御装置20側の通信装置21はその遅延測定用データを受け取ると直ちにロボット10に対して遅延測定用データを送信する。送信時刻と受信時刻との差が往復遅延時間となるので、通信装置21が遅延測定用データを受信すると、遅延測定装置123は、測定した往復得遅延時間を2で除して、これを伝送所要時間の予測値として算出する。遅延測定装置123は、取得した伝送所要時間の予測値を、接触情報変換装置122に出力する。
【0023】
(A−3)操作制御装置20の構成
図3に示すように、操作制御装置20は、通信装置21と、操作機22と、映像表示装置23とを備える。通信装置21は、ロボット10との間で情報を送受信するためのインタフェースを備え、ロボット10によって送信されて通信路30を経由して到来する映像情報や接触情報を受信する受信手段として機能したり、ロボット10に操作者Cが行った操作の内容を表す操作情報を送信したりする。映像表示装置23は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)モニタを備え、カメラ13により撮影された映像を表す映像情報を通信装置21により受信すると、受信した映像情報が表す映像をモニタに表示する。
【0024】
操作機22は、操作者Cによる操作を受け付け、その操作に関わる制御を実行する。この操作機22は、制御装置221と、操作入力部222と、触覚提示部223とを備える。制御装置221は、CPU等を含む演算装置やメモリを備え、操作機22の各部を制御する。この制御装置221は、操作者Cにより操作入力部222に入力された操作を、ロボット移動機構15及びロボットハンド14の動作を制御するための操作情報に変換する。操作入力部222は、ロボット移動機構15及びロボットハンド14の動作を制御するための操作が操作者Cにより入力されるもので、例えばジョイスティックやボタン、GUIにより実現される。触覚提示部223は、ロボットハンド先端部17とその周辺にある障害物とが接近している旨を操作者に報知する報知手段として機能し、操作入力部222の先端部に取り付けられたソレノイドやボイスコイルモータを備える。制御装置221は、ロボット10から接触情報を受信すると、これを契機として触覚提示部223を振動させることにより、ロボットハンド先端部17が周辺の障害物に接近している旨を、触覚により操作者Cに報知する。
【0025】
(A−4)遠隔制御システムの動作
次に、遠隔制御システム1の動作について説明する。
遠隔制御システム1においては、ロボット10は、所定の周期毎に以下に説明する動作を繰り返し実行する。図4は、遠隔制御システム1において実行される処理の手順を示すシーケンス図である。図5は、時刻と、ロボットハンド先端部17と障害物との距離Lとの関係の一例を示すグラフである。同図において、横軸は時刻t[s]を表し、縦軸は距離L[m]を表す。
【0026】
まず、ロボット10の接触情報変換装置122は、距離測定装置16による距離の測定結果を取得して、この測定結果に基づいて、ロボットハンド先端部17と周辺の障害物との距離Lを特定する(ステップS1)。次に、速度特定手段としての接触情報変換装置122は、ロボットハンド先端部17の移動速度Vを特定する(ステップS2)。距離測定装置16により1000Hzという一定の周期で距離Lが測定されるから、接触情報変換装置122は、この測定周期を利用して、ステップS1で特定した距離Lによって特定される移動距離をその移動に要した時間で除算することにより、その時刻でのロボットハンド先端部17の移動速度Vを算出する。図5を用いるグラフを用いると、このグラフを表した関数を一階微分した値が移動速度Vとなる。
【0027】
次に、接触情報変換装置122は、推定接触時間を算出する(ステップS3)。推定接触時間は、ロボットハンド先端部17が障害物に接触するまでの推定時間であり、距離Lを移動速度Vで除することにより算出される。ここで、現時点の時刻が図5に示すt=Tであり、ステップS1で特定された距離L=Lで、ステップS2で特定された移動速度V=Vであったとすると、ロボットハンド先端部17が障害物に接触すると推定される(つまり、L=0となる)時刻Tは、式(1)の演算により算出される。
=T+L/V ・・・(1)
【0028】
式(1)によると、ロボットハンド先端部17が時刻t=Tから、移動速度Vで移動させられると、T−T秒後にロボットハンド先端部17が障害物に接触すると推定することができる。つまり、T−T=L/Vが推定接触時間である。
【0029】
その一方で、遅延測定装置123は往復通信遅延時間を測定して、伝送所要時間の予測値Tを接触情報変換装置122に出力する。取得手段としての接触情報変換装置122は、遅延測定装置123から伝送所要時間の予測値Tを取得する(ステップS4)。なお、往復通信遅延時間は、遅延測定装置123により所定の周期で測定されることになるが、その周期は距離測定装置16による距離の測定の周期よりも小さくてよい。この場合、接触情報変換装置122は、最新の測定結果の伝送所要時間の予測値Tとして取得するとよい。
【0030】
そして、接触情報変換装置122は、推定接触時間(ここでは、T−T=L/V)が、伝送所要時間の予測値Tに予め決められた規定時間Tを加算した時間(T+T)以下であるか否かを判断する(ステップS5)。規定時間Tは、触覚提示部223に使われているアクチュエータの応答性能や、ロボットハンド14を用いて行う作業の種類、ロボットハンド先端部17が障害物に接触するどの程度前にその旨を報知するかに応じて予め規定されている。例えば、ロボット10を含む遠隔制御システム1で、触覚提示部223にソレノイドの振動子を使用するものとした場合、規定時間T=150ms程度とすることが好ましい。
【0031】
接触情報変換装置122は、ステップS5で「NO」と判断すると、ステップS1に戻る。この場合、伝送所要時間の予測値Tに規定時間Tを加算した時間に対して推定接触時間が十分に長く、ロボットハンド先端部17が障害物に接触する虞が当面はないと言うことができる。この場合、接触情報変換装置122は、ロボットハンド先端部17の障害物への接近を通知することなく、ステップS1に戻る。
【0032】
一方、接触情報変換装置122は、推定接触時間(T−T=L/V)が伝送所要時間の予測値Tに規定時間Tを加算した時間以下であると判断すると(ステップS5;YES)、ステップS6の処理に進む。そして、接触情報変換装置122は、ステップS1で取得した距離情報を接触情報に変換する(ステップS6)。そして、接触情報変換装置122は、変換した接触情報を通信装置11に出力し、通信装置11はこの接触情報を操作制御装置20に送信する(ステップS7)。このようにして、ロボット10は、ロボットハンド先端部17が障害物に接近していることを操作制御装置20に通知する。
【0033】
操作制御装置20の通信装置21は、ロボット10により送信され、通信路30を経由して到来した接触情報を受信すると、これを操作機22の制御装置221に出力する。操作機22の制御装置221は、通信装置21から接触情報を取得する(ステップS8)。制御装置221は、接触情報を取得したことを契機として、接触情報を駆動情報に変換して触覚提示部223に供給し、この駆動情報に応じて触覚提示部223を振動させ、ロボットハンド先端部17が障害物に接近していることを操作者Cに報知する(ステップS9)。なお、かかる報知の態様については、制御装置221は、ステップS5の条件を満たす期間には断続的に振動させて報知してもよいし、或る間隔を空けながら振動させて報知してもよい。
【0034】
この構成によれば、T+T=T−Tの関係を満たす時刻Tに、ロボット10は操作制御装置20宛てに接触情報を送信する。ここでの現実の伝送所要時間は、その予測値Tとほぼ同じはずであるから、操作制御装置20の通信装置21が接触情報を受信するのは、およそ時刻T+T=T−Tである。つまり、ロボットハンド先端部17が障害物に接触すると推定される時刻Tのおよそ規定時間T秒前には、接触情報が操作制御装置20に到達する。このようにして、ロボット10は、ロボットハンド先端部17が障害物に接触するよりも前に接触情報が操作制御装置20に到達するような時期に、接触情報を送信する。図5の点線で示すように、時刻T=Tにおける移動速度Vでロボットハンド先端部17が移動させられ続け、且つ伝送所要時間としておよそTを要したとしても、接触推定時間のおよそT秒前には接触情報が操作制御装置20に到達するので、操作者Cは触覚提示部223の振動により、ロボットハンド先端部17が障害物に接触しそうなことを事前に認識することができる。
操作者Cは、ロボットハンド先端部17が障害物に接触しそうなことを認識すると、それを回避するための操作入力部222の操作を行ったり、接触の際の衝撃が小さくなるような操作の配慮を行う。これにより、ロボット10の周辺にある物の(障害物)破損、損壊などを回避することができる。このような第1実施形態の遠隔制御システム1によれば、通信路30の状態に左右されることなく、ロボットハンド先端部17とその周辺にある障害物とが接近していることを操作者に伝えて、ロボットの遠隔制御に係る操作性を向上させることができる。
【0035】
(A―5)第1実施形態の変形例
上述した第1実施形態の構成を以下のように変形しても良い。
図6は、この変形例の遠隔制御システム1において実行される処理の手順を示すシーケンス図である。なお、同図において、第1実施形態と同じ処理については同じ符号のステップで表し、その説明を省略する。図7は、この変形例における遠隔制御システム1の動作を説明するグラフである。同図において、横軸は時刻t[s]を表し、縦軸は距離L[m]を表す。この変形例では、ロボットハンド先端部17と障害物との距離Lが予め決められた距離Lよりも小さくなる前に、操作制御装置20が、ロボットハンド先端部17が障害物に接近していることを報知するよう、ロボット10は制御を行う。
【0036】
接触情報変換装置122は、ステップS1,S2を実行して距離L及び移動速度Vを特定すると、遅延測定装置123から伝送所要時間の予測値Tを取得する(ステップS3a)。そして、接触情報変換装置122は、ステップS2で特定した移動速度Vと、ステップS3aで取得した伝送所要時間の予測値Tとを乗算して、推定移動距離Lを算出する(ステップS4a)。この推定移動距離Lは、ロボット10が接触情報を送信した時から、その接触情報が操作制御装置20に到達するまでにロボットハンド先端部17が移動すると推定される移動距離のことである。図7に示すように現時点の時刻t=Tである場合、ステップS1で取得した距離Lから、伝送所要時間Tの間に移動し得る推定移動距離Lを差し引いた距離が規定距離L以下となることを契機として、ロボット10は接触情報を送信する。このようにすれば、現に距離Lがおよそ規定距離Lになったときに接触情報が操作制御装置20に到達することになる。ここで、距離L=Lで、ロボットハンド先端部17の移動速度VがVで、伝送所要時間の予測値がTであるとすると、操作制御装置20に接触情報が到達したときにロボットハンド先端部17と障害物との距離Lが規定距離Lよりも短くなるのは、式(2)の条件を満たすときである。
≦V×T+L=L+L ・・・(2)
【0037】
接触情報変換装置122は、式(2)の条件を満たすと判断すると(ステップS5a;YES)、距離情報を接触情報に変換して(ステップS6)、これを操作制御装置20に送信する(ステップS7)。そして、操作制御装置20は、接触情報を受信すると、上述した第1実施形態と同じ手順でステップS8,S9の処理を実行する。
この構成によれば、通信路30の状態とは無関係に、ロボット10は、距離Lが規定距離Lになったときに操作制御装置20に接触情報が到達するような時期に、接触情報を送信することになる。これにより、接触情報の伝送に要する期間にロボットハンド先端部17が移動させられても、それを考慮した早い時刻にロボット10は接触情報を送信するから、操作制御装置20は事前にロボットハンド先端部17が障害物に接触しそうなことを報知することができ、操作者Cの操作性の向上に寄与する。
【0038】
(B)第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
(B−1)遠隔制御システムの構成
図8は、この実施形態の遠隔制御システム1aの構成を示すブロック図である。図9は、遠隔制御システム1aのロボット10aの外観の構成を模式的に表した図である。図9(a)は、ロボットハンド先端部17が障害物である地表面から或る程度遠い位置にある場合を例示したものであり、図9(b)は、ロボット10aが掘削作業を行っているときのように、ロボットハンド先端部17が障害物である地表面に近い位置にある場合を例示したものである。なお、この第2実施形態の説明では、上述した第1実施形態の遠隔制御システム1と同じ構成については同じ符号を付して表して、その説明を省略する。
【0039】
図8に示すように、ロボット10aは、上述した第1実施形態のロボット10が備える構成に加え、先端位置測定装置18及び記憶装置19を備え、制御装置12が送信間隔制御部124を有している。
先端位置測定装置18は、図9(a),(b)に示すように複数の関節角測定装置181を備えており、ロボットハンド14の先端にあるロボットハンド先端部17の位置を測定する。ここでは、図9(a),(b)に示すように、ロボットハンド14におけるリンクどうしを連結する各関節に1ずつ関節角測定装置181が取り付けられており、それぞれが関節角の角度を検出する。各関節角が特定されることにより、ロボットハンド14の姿勢が決定付けられるので、先端位置測定装置18は、関節角測定装置181によって測定される関節角に基づいてロボットハンド先端部17の位置を特定する。
【0040】
図10は、先端位置測定装置18によって特定される位置を説明する図である。図10(a)は、図9(a)と同じ位置にロボットハンド先端部17がある場合を示し、図10(b)は、図9(b)と同じ位置にロボットハンド先端部17がある場合を示す。図10(a),(b)に示すように、任意の位置を原点とし、水平方向をx軸とし、鉛直方向をy軸としたxy直交座標系を定め、位置特定手段としての先端位置測定装置18は、x、yの各パラメータによりロボットハンド先端部17の水平方向に対する位置と、鉛直方向に対する位置とを表す位置情報を特定する。
【0041】
記憶手段としての記憶装置19は、例えばHD(Hard Disk)であり、先端位置測定装置18によって測定された位置情報(x、y)と、その時刻における距離Lとの対応関係を記憶(蓄積)する。接触情報変換装置122は、記憶装置19に記憶された位置情報(x、y)と距離Lとの各組の対応関係と、距離測定装置16により測定された距離Lとに基づいて距離情報を接触情報に変換する。
制御装置12の送信間隔制御部124は、操作制御装置20に対して接触情報を送信する送信間隔(周期)を決定する制御を行う。上述した第1実施形態では、接触情報変換装置122は、所定の周期で接触情報の送信の有無を判断しており、その送信間隔は固定であったが、この実施形態では送信間隔制御部124の制御により送信間隔が変更させられる。
【0042】
(B−2)遠隔制御システムの動作
次に、遠隔制御システム1aの動作について説明する。
遠隔制御システム1aにおいては、上述した第1実施形態で説明した動作と並行して、ロボット10aが決められた周期で以下に説明する動作を繰り返し実行する。図11は、ロボット10aが実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【0043】
まず、接触情報変換装置122は、距離測定装置16による測定結果に基づいて、ロボットハンド先端部17と障害物との距離Lを取得する(ステップS11)。この距離Lの取得については、接触情報変換装置122は、上述の第1実施形態のステップS1で特定したものを取得すればよい。ここでは、図10(a)に示す位置にロボットハンド先端部17があり、接触情報変換装置122が取得した距離Lは比較的小さいとする。次に、接触情報変換装置122は、先端位置測定装置18の関節角測定装置181によりロボットハンド14の各関節角を測定して、ロボットハンド先端部17の位置を表す位置情報(x、y)を特定する(ステップS12)。ここでは、図10(a)に示すように、接触情報変換装置122は位置情報(x1、y1)を特定したものとする。次に、接触情報変換装置122は、ステップS11で取得した距離Lと、ステップS12で取得した位置情報(x1、y1)との対応関係を記憶装置19に記憶させる(ステップS13)。
【0044】
次に、接触情報変換装置122は、ステップS11で取得した距離L及びステップS12で特定した位置情報(x,y)と、記憶装置19に記憶された対応関係とを送信間隔制御部124に出力し、送信間隔制御部124はこれらの情報に基づいて接触情報の送信間隔を決定する(ステップS14)。図10(a)に示す位置にロボットハンド先端部17がある場合、ロボットハンド先端部17が地表面に対してかなり上方にあり、障害物とロボットハンド先端部17との距離はかなり大きいから、ロボットハンド先端部17が直ちに障害物に接触する可能性は極めて低い。このように、障害物の位置からロボットハンド先端部17の位置が遠いと推定される場合には、送信間隔制御部124は接触情報の送信間隔を長くするよう決定する。接触情報は、ロボットハンド先端部17と障害物との接触を事前に通知するために用いられるものであるから、その虞が小さいときには接触情報を送信する間隔を短くする必要がないので、送信間隔制御部124はこのような制御を行っている。
【0045】
ここで、接触情報変換装置122がステップS11で取得した距離をLとし、ロボットハンド先端部17の最高の移動速度がVmaxであるとする。なお、Vmaxは、ロボットハンド14の最高速度であり、予め決められたものが例えば接触情報変換装置122のメモリに記憶されている。この場合、L/Vmaxが、障害物とロボットハンド先端部17とが接触すると推定される最小時間であり、この最小時間をTminと表す。このようにして表される最小時間Tminが例えば500ms以上である場合、送信間隔制御部124は、送信間隔を100msという具合に比較的長い送信間隔に決定する。
【0046】
一方、図10(b)に示す位置にロボットハンド先端部17があり、接触情報変換装置122がステップS12で特定した位置情報が(x2、y2)であったとする。この場合、接触情報変換装置122がステップS11で取得する距離Lは比較的小さい。すなわち、ロボットハンド先端部17が障害物にかなり接近しているから、直ちにロボットハンド先端部17が障害物に接触する可能性が高い。よって、送信間隔制御部124は、接触情報の送信間隔を短くするよう決定する。このように接触の虞が大きいときには、送信間隔制御部124は接触情報を送信する頻度を高くして、リアルタイムにその旨が操作者Cに報知されるようにする。
具体的には、最小時間Tminが500ms以下である場合、送信間隔制御部124は、例えば送信間隔を10msという具合に短い送信間隔に決定する(ステップS14)。
【0047】
また、送信間隔制御部124は、上記のように最小時間Tminが500ms以上であるか否かに応じて、送信間隔を100msか又は10msのいずれかに決定するだけでなく、以下の制御も行う。上記処理ステップを繰り返していくと、ステップS13の処理によって記憶装置19に蓄えられる位置情報(x、y)と、距離Lとの対応関係に係る情報が増大する。これらの位置情報(x、y)を総合的に判断すると、ロボットハンド先端部17と障害物との距離の予測の精度はさらに向上するといえる。そこで、送信間隔制御部124は、上記のように最小時間Tminが500ms以上か否かで送信間隔を特定する一方で、ステップS14において、記憶装置19に蓄積された対応関係から、接触の危険の度合いに応じてさらに精密な送信間隔の制御を行うようにする。
【0048】
例えば、送信間隔制御部124が、最小時間Tminが500ms以上で、且つ距離Lが或る決められた距離(閾値)よりも大きいことを特定した場合には、その位置情報(x、y)によって表される位置、或いはその位置に近い位置にロボットハンド先端部17があるときには、ロボットハンド先端部17の付近には障害物がなく、障害物との距離が大きいと推定することができる。この場合、接触の虞が極めて小さいとして、送信間隔制御部124は、接触情報を送信しないような送信間隔を決定する。一方、送信間隔制御部124は、最小時間Tminが500msよりも小さく、且つ、距離Lが或る決められた距離(閾値)よりも小さいことを特定した場合には、その位置情報(x、y)によって表される位置、或いはそれに近い位置にロボットハンド先端部17があるときには、ロボットハンド先端部17の近くに障害物があり、ロボットハンド先端部17と障害物との距離が小さいと推定することができる。この場合、接触の虞が極めて高いとして、送信間隔制御部124は、接触情報の送信間隔をさらに短くする。このようにして、送信間隔制御部124は、ステップS12で特定した位置情報(x、y)と、記憶装置19に記憶された対応関係とに基づいて、ロボットハンド先端部17の位置と障害物との距離が第1の距離と推定される場合には、その第1の距離よりも小さい第2の距離と推定される場合に比べて接触情報の送信の周期を長くするよう制御する。なお、ここでの送信間隔の決定に係る演算アルゴリズムは一例であり、そのアルゴリズムの内容は種々取り得る。
この遠隔制御システム1aによれば、ロボットハンド先端部17とその周辺にある障害物との距離Lが大きい場合は、ロボット10aは接触情報の送信の頻度を下げることになるから、通信路30に対する通信に係る負荷を軽減させるとともに、それらの接近があった場合にはその送信の頻度を上げて、接触の旨を操作制御装置20に通知することができる。
【0049】
(C)変形例
本発明は、上述した実施形態と異なる形態で実施することが可能である。また、以下に示す変形例は、各々を組み合わせてもよい。
(C−1)変形例1
上述した第1及び第2実施形態において、通信路30を経由して映像情報、操作情報、及び接触情報が通信されるが、映像情報、操作情報及び接触情報がそれぞれ別の通信路で伝送されても良い。例えば、映像情報は有線のBNC(Bayonet Neill Concelman)ケーブルで伝送され、それ以外の操作情報と接触情報は携帯電話無線を用いるなどして伝送されてもよい。また、通信路30は、無線LAN(Local Area Network)やSS無線、携帯電話無線等を用いた無線接続の通信路で実現されてもよいし、有線接続と無線接続とが併用された通信路であってもよい。また、通信路として公衆回線が用いられてもよいし、遠隔制御システム1専用の通信路が用いられてもよく、通信路の種類はどのようなものでもよい。
【0050】
上述した第1及び第2実施形態では、ロボット10,10aは往復伝搬遅延時間を算出して、伝送所要時間を算出していた。これに対し、通信路30が例えばインターネット回線であり、遠隔制御システム1がTCP/IPプロトコルに従って通信を行う場合、ロボット10,10aは、pingコマンドを使って往復通信遅延を測定して、その半分の時間を伝送所要時間の予測値Tとしてもよい。また、ロボット10,10aと操作制御装置20との間で、計時する時刻の同期を取っておき、ロボット10,10aは自身が送信する情報に送信時のタイムスタンプを押し、操作制御装置20での受信時刻と送信時のタイムスタンプとを比較することで伝送所要時間Tを測定するようにしてもよい。この場合、操作制御装置20側で伝送所要時間の予測値Tを算出し、算出した伝送所要時間の予測値Tをロボット10,10aに送信する。そして、ロボット10,10aは、この伝送所要時間の予測値Tを取得して、これに基づいて接触情報の送信に係る制御を行う。
【0051】
また、ロボット10,10aと操作制御装置20とで時刻の同期を取って、操作情報、接触情報、距離情報にシーケンス番号を付加して一定間隔で送信し、操作制御装置20の受信時刻により伝送所要時間Tを推定しても良い。この場合も、操作制御装置20が伝送所要時間の予測値Tをロボット10,10aに送信し、ロボット10,10aは伝送所要時間の予測値Tを取得する。
要するに、ロボット10,10aが、ロボットハンド先端部17の位置が障害物に接近している旨を通知する接触情報を操作制御装置20宛てに送信した時から、通信路30を経由して接触情報が操作制御装置20に到達するまでの伝送所要時間の予測値を取得する構成であれば、その実現の手法は他のものでも良い。
【0052】
(C−2)変形例2
上述した第1及び第2実施形態では、ロボット10,10aが、距離情報に基づいて、接触が起こる前に接触情報が操作制御装置20に到達するような時期に接触情報を送信していた。これに代えて、ロボット10,10aは、距離測定装置16による測定結果に基づいて距離Lを特定し、特定した距離Lを表す距離情報を所定の周期で操作制御装置20に送信してもよい。この構成においては、ロボット10,10aが距離情報を送信した時から、その距離情報が通信路30を経由して操作制御装置20に到達するのに要する時間が、伝送所要時間の予測値となる。操作制御装置20の制御装置221は、距離情報が表す距離を、その移動に要した時間で除して算出されるロボットハンド先端部17の移動速度Vと、伝送所要時間Tとに基づいて接触情報への変換を行う。具体的には、制御装置221は移動速度Vと伝送所要時間Tとを用いて式(1)の演算を行い、推定接触時間を算出する。そして、制御装置221は、算出した推定接触時間が、伝送所要時間Tと規定時間Tとの和以下になると判断したことを契機として、ロボットハンド先端部17が障害物に接近している旨を報知するよう接触情報への変換を行い、ロボットハンド先端部17が障害物に接近している旨を報知する。また、制御装置221は、式(2)の演算を行って、移動速度Vと伝送所要時間の予測値Tとを用いて推定移動距離Lを算出し、算出した推定移動距離Lと規定距離Lとの和が、ロボット10,10aから取得した距離情報が表す距離L以下となった場合に、接触情報への変換を行って、ロボットハンド先端部17が障害物に接近している旨を報知してもよい。この構成では、操作制御装置20は、ロボットハンド先端部17と障害物との距離Lや、ロボットハンド先端部17の移動速度Vに基づいて、接触情報に従った報知を行う。
【0053】
ところで、ロボット10,10aが接触情報を操作制御装置20に送信する際の、実際の伝送所要時間を正確に予想することは難しい。最新の測定結果よりも急激に通信遅延が増大することもあるからである。よって、特にインターネット回線などの公衆回線を通信路30に用いる場合、通信遅延が大きく変動し、通信遅延が突如大きくなってしまうことがあるので、操作者に提示するべき時刻に接触情報が到達しない可能性がある。そこで、以下のように構成しても良い。
ロボット10,10aは、測定した距離情報にタイムスタンプを付加して操作制御装置20に送信する。そして、操作制御装置20は、距離情報を受信するたびに、タイムスタンプを参照して伝送所要時間を特定する。操作制御装置20は、特定した伝送所要時間に基づいて接触情報への変換の有無を判断する。この場合、操作制御装置20は、実際の距離情報の伝送所要時間を取得して、接触情報の変換に係る制御を行う。すなわち、伝送所要時間の予測値でなく、現に距離情報の伝送に要した伝送所要時間を用いることになるので、この構成よれば、操作制御装置20による報知の時期の精度がさらに向上する。
【0054】
(C−3)変形例3
上述した第1及び第2施形態では、ロボット10,10aは、ステップS2でロボットハンド先端部17の移動速度Vを特定したが、かかる処理を省略してもよい。この場合、移動速度Vに代えてロボットハンド先端部17の最高速度を用いてもよく、接触が起こる前に、操作制御装置20が確実に接近の旨を報知し得るような固定値が用いられればよい。また、上述した第1及び第2実施形態において、ロボットハンド先端部17の移動速度を特定するための構成は、速度を直接的に検出する速度センサなどの他の構成であっても良い。
【0055】
上述した第1及び第2施形態では、ロボット10,10aはロボットハンド先端部17と障害物との距離Lを特定して、ロボットハンド先端部17の障害物への接近を通知していた。一方で、ロボットハンド14も作業に伴い移動するから、ロボットハンド14についても本発明の被制御体の一例として特定し得る。よって、ロボットハンド14に距離測定装置16を設けて、上述した実施形態と同様の手法によりその接近を通知するよう構成してもよい。つまり、被制御体の任意の位置に距離測定装置16を設ければ、その位置について接近を通知することができる。なお、上述した第1及び第2実施形態の説明では、ロボットハンド14に取り付けられるロボットハンド先端部17を、作業の種類に応じて付け替える構成について説明したが、ロボットハンド14とロボットハンド先端部17とが一体成形されていてもよい。また、ロボット10,10a(つまり、作業装置)の任意の位置に距離測定装置16を設ければ、その部分の障害物への接近を実施形態と同じ手法により通知することができる。また、複数の位置に距離測定装置16を設けて、これら各々について接近を通知するための制御を行ってもよい。
また、通信路30として専用の通信路を用いるなど、伝送所要時間の変動が小さい場合には、逐一これを測定せずに、伝送所要時間の予測値として予め決められた固定値を用いてもよい。この場合、ロボット10,10aは、予め記憶装置に記憶された伝送所要時間の予測値を取得すればよい。
【0056】
(C−4)変形例4
上述した第2実施形態では、ロボット10aは、接触情報の送信間隔のみを制御していたが、さらに、操作制御装置20が送信する操作情報の送信間隔を変更する構成を備えるようにしてもよい。例えば、最小時間Tminが500msを超えるような場合、周辺に障害物がないから、ロボット10aが細かい作業を行っていない可能性が高い。この場合、操作情報の送信間隔が長くなっても、作業自体に与える影響は少ない。一方、最小時間Tminが500msを下回るような場合、近くに障害物があるから、それを用いて細かい作業を行っていることが考えられる。この場合、ロボットハンド先端部17の精密な動作が要求されるから、操作情報の送信間隔が短いことが好ましい。
【0057】
そこで、ロボット10aは、操作制御装置20に最小時間Tminを送信する。そして、操作制御装置20は、この最小時間Tminが大きいほど操作情報の送信間隔を大きくするよう制御する。つまり、操作制御装置20は、最小時間Tminが第1の時間である場合には、第1の時間よりも短い第2の時間である場合に比べて、操作情報の送信間隔を長くする。また、最小時間Tminに代えて、ロボット10aは距離Lを表す距離情報を操作制御装置20に送信し、操作制御装置20は、距離情報に基づいて操作情報の送信間隔を制御してもよい。この場合、操作制御装置20は、距離情報が表す距離Lが第1の距離である場合には、第1の距離よりも短い第2の距離である場合に比べて、操作情報の送信間隔を長くする。
【0058】
(C−5)変形例5
上述した第1及び第2施形態では、ロボットハンド先端部17と障害物とが接触する旨を、操作者Cに対して触覚を介した提示を行っていたが、操作制御装置20が放音手段であるスピーカを有し、アラーム音や「接触の危険があります。」などのメッセージを用いて音声により報知してもよい。また、操作制御装置20は、光源を用いて光源の点灯や点滅で提示しても良いし、映像表示装置23に危険を示すメッセージや画像を表示させて操作者Cに報知してもよい。つまり、操作制御装置20による報知の態様はどのようなものでもよい。なお、映像表示装置23の表示を用いずに視覚的に提示する場合には、操作者Cは映像表示装置23を見ながら操作している場合が多いため、映像表示装置23のすぐ傍に設置することが望ましい。
【0059】
(C−6)変形例6
上述した第1及び第2施形態では、本発明の制御システムを、油圧ショベルとしてのロボット10,10aを作業装置として備える遠隔操作システムに適用した場合について説明したが、このような遠隔制御システムの使用場面として、危険で人が立ち入ることのできない現場にて建設機械を遠隔操作して施工を行う様々な無人化施工があるから、これらの用途に本発明の制御システムを適用しても良い。例えば、原子炉や宇宙空間での作業を目的としたロボットの遠隔制御などに用いられてもよく、作業の実行に伴い位置が移動する構成部分は周辺にある障害物に接触する危険性が高いので、その構成部分の障害物への接近を操作者に通知するようなロボットに同様の構成を適用することができる。また、ロボットハンド14は腕状の部材であったが、作業装置が腕状の部材を有さずに作業を行うものであれば、かかる構成は不要である。すなわち、被制御体の位置を移動させ、その被制御体を用いて作業を行う作業装置と、作業装置と通信路を介して接続され、操作者による操作に従って作業装置を制御する操作制御装置とにより構成された遠隔制御システムに、本発明を適用することができる。この場合の被制御体は、作業装置と一体化された内部構成であってもよいし、例えば着脱自在な外部構成であってもよい。
【0060】
また、上述した第1、第2実施形態では、ロボット10,10aが距離情報を接触情報に変換する構成としていたが、変換に概念されるものに限らず、距離Lに基づく所定の条件を満たしたことを契機として接触情報を生成(発生)するものであればよい。
また、上述した第1、第2実施形態において制御装置12,12a、221により実現される機能は、1又は複数のハードウェア回路により実現されてもよいし、1又は複数のプログラムを演算装置が実行することが可能であればそれにより実現されてよいし、また、これらの組み合わせにより実現されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…遠隔制御システム、10,10a…ロボット、11,21…通信装置、12,12a,221…制御装置、121…ロボット制御装置、122…接触情報変換装置、123…遅延測定装置、124…送信間隔制御部、13…カメラ、14…ロボットハンド、15…ロボット移動機構、16…距離測定装置、17…ロボットハンド先端部、18…先端位置測定装置、181…関節角測定装置、19…記憶装置、20…操作制御装置、22…操作機、222…操作入力部、223…触覚提示部、23…映像表示装置、30…通信路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被制御体の位置を移動させ、当該被制御体を用いて作業を行う作業装置と、
前記作業装置と通信路を介して接続され、操作者による操作に従って前記作業装置を制御する操作制御装置とを備え、
前記作業装置は、
前記操作制御装置の制御に応じて移動させられる前記被制御体の位置と、当該被制御体の周辺にある障害物との距離を特定する距離特定手段と、
前記被制御体の位置が前記障害物に接近している旨の通知を前記操作制御装置宛てに送信した時から、前記通信路を経由して当該通知が前記操作制御装置に到達するまでの伝送所要時間の予測値を取得する取得手段と、
前記距離特定手段により特定された前記距離と、前記取得手段が取得した前記伝送所要時間の予測値とに基づいて、前記被制御体が前記障害物に接触するよりも前に前記通知が前記通信路を経由して前記操作制御装置に到達するような時期に、当該通知を送信する送信手段と
を備え、
前記操作制御装置は、
前記送信手段により送信された前記通知を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記通知が受信されると、前記被制御体が前記障害物に接近している旨を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記作業装置は、
前記被制御体が移動する速度を特定する速度特定手段を備え、
前記送信手段は、前記距離特定手段により特定された距離を前記速度特定手段により特定された速度で除して前記被制御体が前記障害物に接触するまでの推定時間を算出し、当該推定時間と前記伝送所要時間とに基づいて、前記被制御体が前記障害物に接触するよりも前に前記通知が前記操作制御装置に到達するような時期に、当該通知を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記作業装置は、
前記被制御体が移動する速度を特定する速度特定手段を備え、
前記送信手段は、前記速度特定手段より特定された速度と前記取得手段が取得した前記伝送所要時間とを乗算して、前記作業装置が前記通知を送信した時から当該通知が前記操作制御装置に到達するまでに前記被制御体が移動すると推定される移動距離を算出し、当該移動距離と前記距離特定手段により特定された距離とに基づいて、当該距離が予め決められた距離となったときに前記通知が前記遠隔制御装置に到達するような時期に当該通知を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記作業装置は、
前記被制御体の位置を特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段により特定された前記位置と、当該位置が特定されたときの前記距離との対応関係を記憶する記憶手段と
を備え、
前記送信手段は、所定の間隔を空けて前記通知を送信し、前記位置特定手段により特定された位置と前記記憶手段に記憶された対応関係とに基づいて、前記被制御体の位置と前記障害物との距離が第1の距離と推定される場合には、前記第1の距離よりも小さい第2の距離と推定される場合に比べて前記間隔を長くすることを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
被制御体の位置を移動させ、当該被制御体を用いて作業を行う作業装置と、
前記作業装置と通信路を介して接続され、操作者による操作に従って前記作業装置を制御する操作制御装置とを備え、
前記作業装置は、
前記操作制御装置の制御に応じて移動させられる前記被制御体の位置と、当該被制御体の周辺にある障害物との距離を特定する距離特定手段と、
前記距離特定手段により特定された距離を表す距離情報を、前記通信路を経由して前記操作制御装置に送信する送信手段と
を備え、
前記操作制御装置は、
前記送信手段により送信された前記距離情報を受信する受信手段と、
前記送信手段が自装置宛てに前記距離情報を送信した時から、前記通信路を経由して当該距離情報が自装置に到達するまでの伝送所要時間又はその予測値を取得する取得手段と、
前記受信手段により受信された前記距離情報が表す距離と、前記取得手段が取得した前記伝送所要時間又はその予測値とに基づいて、前記被制御体が前記障害物に接触するよりも前に当該被制御体が当該障害物に接近している旨を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項6】
被制御体の位置を移動させ、当該被制御体を用いて作業を行う作業装置と、
前記作業装置と通信路を介して接続され、操作者による操作に従って前記作業装置を制御する操作制御装置とを備える制御システムの制御方法であって、
前記作業装置が、前記操作制御装置の制御に応じて移動させられる前記被制御体の位置と、当該被制御体の周辺にある障害物との距離を特定する距離特定ステップと、
前記作業装置が、前記被制御体の位置が前記障害物に接近している旨の通知を前記操作制御装置宛てに送信した時から、前記通信路を経由して当該通知が前記操作制御装置に到達するまでの伝送所要時間の予測値を取得する取得ステップと、
前記作業装置が、前記距離特定ステップにおいて特定した前記距離と、前記取得ステップにおいて取得した前記伝送所要時間の予測値とに基づいて、前記被制御体が前記障害物に接触するよりも前に前記通知が前記通信路を経由して前記操作制御装置に到達するような時期に、当該通知を送信する送信ステップと、
前記操作制御装置が、前記送信ステップにおいて送信された前記通知を受信する受信ステップと、
前記操作制御装置が、前記受信ステップにおいて前記通知を受信すると、前記被制御体が前記障害物に接近している旨を報知する報知ステップと
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項7】
被制御体の位置を移動させ、当該被制御体を用いて作業を行う作業装置と、
前記作業装置と通信路を介して接続され、操作者による操作に従って前記作業装置を制御する操作制御装置とを備える制御システムの制御方法であって、
前記作業装置が、前記操作制御装置の制御に応じて移動させられる前記被制御体の位置と、当該被制御体の周辺にある障害物との距離を特定する距離特定ステップと、
前記作業装置が、前記距離特定ステップにおいて特定した距離を表す距離情報を、前記通信路を経由して前記操作制御装置に送信する送信ステップと、
前記操作制御装置が、前記送信ステップにおいて送信された前記距離情報を受信する受信ステップと、
前記操作制御装置が、前記送信ステップにおいて自装置宛てに前記距離情報を送信した時から、前記通信路を経由して当該距離情報が自装置に到達するまでの伝送所要時間又はその予測値を取得する取得ステップと、
前記操作制御装置が、前記受信ステップにおいて受信した前記距離情報が表す距離と、前記取得ステップにおいて取得した前記伝送所要時間又はその予測値とに基づいて、前記被制御体が前記障害物に接触するよりも前に当該被制御体が当該障害物に接近している旨を報知する報知ステップと
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項8】
被制御体の位置を移動させ、当該被制御体を用いて作業を行う作業装置と通信路を介して接続され、操作者による操作に従って前記作業装置を制御する操作制御装置において、
自装置の制御に応じて移動させられる前記被制御体の位置と、当該被制御体の周辺にある障害物との距離を表す距離情報を前記作業装置から受信する受信手段と、
前記作業装置が自装置宛てに前記距離情報を送信した時から、前記通信路を経由して当該距離情報が自装置に到達するまでの伝送所要時間又はその予測値を取得する取得手段と、
前記受信手段により受信された前記距離情報が表す距離と、前記取得手段が取得した前記所要時間又はその予測値とに基づいて、前記被制御体が前記障害物に接触するよりも前に当該被制御体が当該障害物に接近している旨を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする操作制御装置。
【請求項9】
通信路を介して接続される操作制御装置に対して行われる操作に従って当該操作制御装置により制御されて前記被制御体の位置を移動させ、当該被制御体を用いて作業を行う作業装置において、
前記操作制御装置の制御に応じて移動させられる前記被制御体の位置と、当該被制御体の周辺にある障害物との距離を特定する距離特定手段と、
前記被制御体の位置が前記障害物に接近している旨の通知を前記操作制御装置宛てに送信した時から、前記通信路を経由して当該通知が前記操作制御装置に到達するまでの伝送所要時間の予測値を取得する取得手段と、
前記距離特定手段により特定された前記距離と、前記取得手段が取得した前記伝送所要時間の予測値とに基づいて、前記被制御体が前記障害物に接触するよりも前に前記通知が前記通信路を経由して前記操作制御装置に到達するような時期に、当該通知を送信する送信手段と
を備えることを特徴とする作業装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−248703(P2010−248703A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96396(P2009−96396)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】