説明

制御装置及び露光装置

【課題】外乱などに起因する変動を効果的に抑えること。
【解決手段】制御装置は、制御対象を駆動する駆動部と、前記制御対象の位置を計測する位置計測部と、前記制御対象の位置と前記制御対象を駆動するための駆動制御値とが関連付けられた参照テーブルを作成するテーブル生成部と、前記参照テーブルを参照して前記位置計測部で計測された前記制御対象の位置に対応する参照値を出力する参照部と、前記参照部から出力された前記参照値を補正するための補正係数を生成する補正係数生成ユニットと、前記補正係数を用いて前記参照値を補正し補正指令値を生成する補正部と、前記補正指令値を前記駆動制御値に加算する加算部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセスに用いられる露光装置や検査装置等に搭載され、露光原版、被露光物(基板)又は被検査物を位置決めする制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造プロセスに用いられる露光装置として、ステッパと呼ばれる装置とスキャナと呼ばれる装置が知られている。ステッパは、ステージ装置によって半導体ウエハを投影レンズ下でステップ移動させながら、レチクル上に形成されたパターン像を投影レンズでウエハ上に縮小投影し、1枚のウエハ上の複数箇所に順次露光していくものである。
【0003】
また、スキャナは、ウエハステージ上の半導体ウエハとレチクルステージ上のレチクルとを投影レンズに対して相対移動(スキャン)させ、このスキャン中にスリット状の露光光を照射することにより、レチクルパターンをウエハに投影するものである。スキャナは、解像度や重ね合わせ精度の面から露光装置の主流と見られている。
【0004】
図6は、従来例の位置決めステージ装置の実施例の平面図である。可動磁石型の構成を例に説明していくが、可動コイル型であっても基本的な動作はほぼ同様となる。図6に示すような従来の位置決めステージ装置は、ベース構造体101にリニアモータ102が左右に2本配置される。リニアモータは固定子にコイル103を進行方向に沿って複数個備える多相型で構成される。リニアモータコイルと対向するようにN極、S極を持つ可動磁石104が配置される。可動磁石と対面しているコイルに電流を流すことで、ローレンツ力により推力を得て駆動される。
【0005】
可動磁石は磁石支持板107にて可動ステージ106と連結される。可動磁石の推力が磁石支持板を介して可動ステージに伝達されて、一軸方向に駆動される。可動ステージの下面にはステージの自重を支持する軸受け108が複数個配置される。移動精度が高い半導体装置では空気軸受けなどが一般的に採用され、平面度が補償されたベース構造体の表面を案内される。同様に進行方向にはヨーガイド105が配置され、同様に空気軸受け109などで高精度に案内される。
【0006】
可動ステージ上には位置計測用ミラー110が配置され、レーザ干渉計111などによりステージの並進(進行方向)位置が計測される。不図示のステージ制御系により高精度に位置決め制御される。
【0007】
図6に示したような多相リニアモータでは、それぞれのコイル部分で発生する推力は必ずしも同一ではない。またコイルとコイルとの間はある程度間隔を設けて配置するのが一般的である。このコイル間ギャップのため可動子の場所によっても推力が変動するのが通常である。従って、例えば可動子の一定速度制御を行う場合、こうした推力変動の影響により制御偏差を十分低減することは不可能となる。
【0008】
また、可動子の速度を高くしていくと、推力変動の周波数も高くなるため、より推力変動の影響が出やすくなる。
【0009】
そこで、例えば、特許文献1では、多相リニアモータの駆動方向各地点における制御偏差の補正情報を保持した参照テーブルを具備し、駆動時に該参照テーブルを逐次参照して得た値を制御偏差に加算しながら制御する制御方法が示されている。これにより、推力変動等に起因する制御偏差部分をあらかじめ補償し、推力変動等に起因する制御偏差の発生が十分抑圧された制御が行われる。この時、テーブル参照に先んじて行なわれる多相リニアモータの予備的駆動時に得られる系の状態量すなわち可動子の位置および制御偏差の時系列に基づき参照テーブルの作成を行う。
【0010】
そして、さらに制御偏差の抑圧効果を高める為に、上記方法にて作成した参照テーブル(第1の参照テーブル)を用いてさらにリニアモータの駆動を行った結果より第2の参照テーブルを作成する。そして、第1の参照テーブルに要素ごとに加算することで新しい参照テーブルを作成する。これを複数回繰り返すことにより、高精度の位置決めを実現している。
【0011】
また、ステージ装置の性能を表す指標の一つに1時間あたりのウエハ処理枚数で表されるスループットがある。高スループットを達成するためには、ステージ装置には高速移動が要求され、それに伴い移動時の加減速が大きくなっている。
【0012】
図6の従来の空芯型のローレンツ力を用いたリニアモータでは、加減速時に大きな推力を出そうとすると、固定子に巻かれたコイルの発熱が非常に大きくなり、熱がステージ定盤101を保持する構造体に伝わる。その結果、ステージ本体やレチクル自体が熱膨張し、露光時の重ね合わせ精度を悪化させてしまう。また、大電流を流すための電気系設備にも大きな負担を掛けることになる。
【0013】
そこで、低発熱で大推力を発生できるリニアモータの構成として、図7のような可動磁石型のリニアモータが提案されている。
【0014】
このリニアモータの固定子121は櫛歯状の珪素鋼薄板を積層して構成された鉄心122にコイルが巻かれている。可動子124は永久磁石125をその極性が交互になるように並べて構成されている。永久磁石125と鉄心122の間には吸引力が発生するので、これを相殺するために磁石125を上下方向で挟み込むように固定子121が配置されている。このように構成されたリニアモータでは、同程度の大きさのローレンツ力を用いたリニアモータに比べて発熱量を数十分の1以下に低減することができる。
【0015】
ところが、図7に示す可動磁石型リニアモータでは、コギングと呼ばれる力に起因した外乱が発生する。これは磁石125と鉄心122の位置関係によって、磁石125がある安定した位置に引き込まれるように力を受ける現象である。この力の方向はリニアモータの推進方向であり、コイルの電流の有無には依存していない。
【0016】
コギングの発生周期は、可動磁石型リニアモータでは鉄心122の歯の間隔により定まる。コギング自体を減らすために歯や磁石の形状が工夫されてはいるが、完全に無くすことはできておらず、コギングはステージ位置制御に際して外乱として作用し、位置決め精度を悪化させて露光精度にも影響を与えてしまう。
【0017】
そこで、例えば、特許文献2では、鉄心型リニアモータの駆動方向各地点における駆動制御値の補正情報を保持した参照テーブルを具備し、駆動時に該参照テーブルを逐次参照して得た値を駆動制御値に加算しながら制御する制御方法が示されている。これにより、コギング外乱に起因する駆動制御値の変動をあらかじめ補償し、コギング外乱に起因する駆動制御値の変動の発生が十分抑圧された制御が行われる。
【0018】
この時、テーブル参照に先んじて行なわれる鉄心型リニアモータの予備的駆動時に得られる系の状態量すなわち可動子の位置および駆動制御値の時系列に基づき参照テーブルの作成を行う。参照テーブルは、予備的駆動の際、移動体を低速定速駆動することにとって、得られる各々の計測位置と駆動制御値とに基づいて生成される。または、移動体を微小距離で連続的に移動させることにより得られる各々の静止位置での計測位置と駆動制御値とに基づいて生成される。
【0019】
そして、さらに駆動制御値の変動の抑圧効果を高める為に、上記方法にて作成した参照テーブル(第1の参照テーブル)を用いてさらにリニアモータの駆動を行った結果より第2の参照テーブルを作成する。そして、第1の参照テーブルに要素ごとに加算することで新しい参照テーブルを作成する。これを複数回繰り返すことにより、高精度の位置決めを実現している。
【特許文献1】特開平9−149672号公報
【特許文献2】特開2004−54520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
空芯型のリニアモータの場合、制御偏差の抑圧効果を上げる為に、予備的駆動にて作成した参照テーブル(第1の参照テーブル)を用いてさらにリニアモータの駆動を行った結果より第2の参照テーブルを作成する。そして、第1の参照テーブルに要素ごとに加算することで新しい参照テーブルを作成する。これにより、さらに制御偏差の抑圧効果が高めている。位置決め精度を上げるためには、これを複数回やる必要があった。そのため、この複数回の予備的動作の繰り返しには多大なる時間を費やしてきた。
【0021】
鉄心型のリニアモータの場合、参照テーブルを生成する際、効果を高める為に、駆動速度を出来る限り落とす。そして、低速定速駆動、または、移動体を微小距離で連続的に移動させることにより得られる各々の静止位置での計測位置と駆動制御値とに基づいて参照テーブルの作成が生成される。すなわち、参照テーブルの作成には多大な時間が費やされてきた。
【0022】
さらに、駆動制御値の変動の抑圧効果を上げる為に、予備的駆動にて作成した参照テーブルを用いてさらにリニアモータの駆動を行った結果より、第2の参照テーブルを作成し、第1の参照テーブルに要素ごとに加算することで新しい参照テーブルを作成する。これにより、さらに駆動制御値の変動の抑圧効果が高めている。すなわち、多大な時間の掛かる上記参照テーブルの作成を複数回行わなければならなかった。
【0023】
装置の設置時や、トラブル発生時など、再調整を必要とするたびに多くの時間を掛けて、参照テーブルを作成しなければならなかった。
【0024】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、外乱などに起因する変動を効果的に抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、制御装置に係り、制御対象を駆動する駆動部と、前記制御対象の位置を計測する位置計測部と、前記制御対象の位置と前記制御対象を駆動するための駆動制御値とが関連付けられた参照テーブルを作成するテーブル生成部と、前記参照テーブルを参照して前記位置計測部で計測された前記制御対象の位置に対応する参照値を出力する参照部と、前記参照部から出力された前記参照値を補正するための補正係数を生成する補正係数生成ユニットと、前記補正係数を用いて前記参照値を補正し補正指令値を生成する補正部と、前記補正指令値を前記駆動制御値に加算する加算部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、外乱などに起因する変動を効果的に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の好適な実施の形態に係るステージ装置の概略構成図である。本実施形態に係るステージ装置10は、レチクル又はウエハの位置決め制御に用いられる。ステージ本体11は、ステージ定盤12の上面部と側面部に設けられた不図示の静圧軸受に軸支され、Y方向に沿って移動可能に配置される。ステージ本体11はまた、ステージ定盤12のX方向の側面部をガイド面13として、不図示の静圧軸受によってZ方向及びZ軸まわりの回転であるωz方向への姿勢が保持される。
【0028】
このような構成により、ステージ本体11は、ステージ定盤12上で実質的にY方向のみに移動可能となる。他の方向(X、Z、ωx(X軸まわりの回転方向)、ωy(Y軸まわりの回転方向)、ωz)には、静圧軸受の剛性によって姿勢が保持される。また、ステージ本体11上には、不図示のレチクルチャックが搭載され、レチクルを保持することができる。
【0029】
ステージ本体11の両側面部には、可動子14、15が夫々取り付けられる。可動子14、15はそれぞれ永久磁石で構成され、鉄心で構成される固定子16、17とそれぞれ対になってリニアモータを構成する。
【0030】
このようなリニアモータの構成によって、ステージ本体11は、Y方向に駆動力が与えられる。ステージ本体11には、不図示のレーザ干渉計からの計測光を反射する計測用ミラー18が配置され、これによりステージ本体11のY方向の位置が計測される。
【0031】
なお、図1では実質的に1軸方向(Y方向)にのみ移動可能なステージ装置を示したが、これに限定されない。例えば、図1のステージ本体11上に微動ステージを搭載したものにも適用することができる。また、1軸ステージではなく、XY方向の2軸方向に移動可能となるようにリニアモータを構成した、2軸ステージにも適用することができる。さらに、図1では、可動子が永久磁石で構成され、固定子が鉄心コイルで構成されたリニアモータを示したが、これに限定されない。例えば、固定子16、17が空芯コイル型のリニアモータにも適用されうる。また、可動子14、15がコイルで構成され、固定子16、17が永久磁石で構成された可動コイル型のリニアモータにも適用されうる。
(第1の実施形態)
図2は、本発明の好適な第1の実施形態に係るステージ装置を制御するステージ制御系のブロック構成図である。ステージ制御系21は、PID制御を行うフィードバック制御部22と外乱抑制部24とを有する。フィードバック制御部22は、PID制御演算部23を備える。外乱抑制部24は、テーブル生成部25、参照部26、補正係数生成ユニット27、補正部28、加算部29を備える。フィードバック制御部22には、不図示の露光装置全体を制御する露光制御系から、目標位置への移動指令値が入力される。フィードバック制御部22は、入力された移動指令値と、レーザ干渉計により計測されたステージ位置とに基づいて位置偏差を算出し、この位置偏差に基づいて、PID制御演算部23によりステージ装置10に出力される駆動制御値を算出する。ステージ制御系21は、例えばデジタル計算機で構成することができ、実際にステージ装置10に駆動制御値を出力するためには、不図示のD/A変換器が用いられる。
【0032】
次に、テーブル生成部25で作成される参照テーブル31について説明する。ステージ本体11を全ストロークに渡って定速で移動させる(以下「テーブル測定駆動」という。)ために、実際にステージ装置10を駆動するのと同一の目標値(速度・加速度)をステージ装置10に与えて駆動する。本実施形態では、テーブル生成部25が、テーブル測定駆動時のステージ位置とPID制御演算部23で算出された駆動制御値とを、外乱抑制部24のメモリ30内に関連付けて記憶する。そして、これらのデータに基づいてステージ位置に対する駆動制御値の参照テーブル31を作成する。ここで、外来ノイズなどの高周波成分を除去する。例えば、特許文献1に記載された方法を用いて、フィルタリング処理を行ってもよい。
【0033】
ステージ位置の計測は、通常、等間隔で行われるため、テーブル測定駆動時に取得したステージ位置とは必ずしも一致しない。そのため、ステージ位置に対する駆動制御値の補正データを参照テーブル31から算出する場合、適宜補間処理が実行される。例えば、特許文献2に記載された方法を用いることによって、補完処理を行ってもよい。
【0034】
次に、補正係数生成ユニット27で生成される補正係数35について説明する。実際にステージ装置10を駆動するのと同一の目標値(速度・加速度)をステージ装置10に与えて、テーブル測定駆動を行うため、外乱の周波数も高くなる。外乱の周波数が高くなると、参照テーブル31に格納された駆動制御値は、ステージ制御系21の周波数特性の影響を受ける。そのため、参照テーブル31をそのまま用いると、外乱の影響を受けてしまう。そこで、補正係数生成ユニット27は、外乱周波数33と制御系周波数特性34とに基づいて、補正係数演算部32で補正係数31を生成する。例えば、ステージ制御系21の制御系周波数特性(例えば、ゲイン)34が、図3に示す関係にあるとすると、外乱周波数33がA[Hz]のときに、ゲインがB[db]であることがわかる。一般に、ゲインBと増幅率Cとの関係は、以下の数式1で表すことができる。

B = 20 × log10C …(数式1)

増幅率Cは、数式1を用いると、以下の数式2のように表される。

C = 10( B / 20 ) …(数式2)

すなわち、外乱は、参照テーブル31に格納されるときにC倍されて格納される。従って、以下の数式3で表される補正係数35を参照テーブル31に格納された駆動制御値に掛ければよい。

補正係数35 = 1 / C …(数式3)

なお、本実施形態では、ゲインについて説明したが、位相についても同様に補正係数35を求めることができる。
【0035】
次に、図2のステージ制御系21において、テーブル補正を実行する場合について説明する。なお、レーザ干渉計で計測されたステージ位置は、外乱抑制部24に入力される。
【0036】
参照部26は、レーザ干渉計で計測されたステージ位置と、テーブル測定駆動時に作成した参照テーブル31とに基づいて、レーザ干渉計により計測されたステージ位置における駆動制御値(以下、「参照値」という。)を算出する。ここで、レーザ干渉計により計測されたステージ位置と、参照テーブル31で算出したステージ位置とは、必ずしも一致しないため、適宜補間処理を行なう。例えば、特開2004−54520号公報で開示された方法を用いて、補完処理を行ってもよい。補正部28は、参照部26で算出された参照値と、補正係数生成ユニット27で生成された補正係数35とに基づいて、補正指令値を算出する。
【0037】
加算部29は、補正部28で算出された補正指令値を、フィードバック制御部22で算出された駆動制御値に加算する。これにより、外乱がリニアモータの駆動力により略相殺される。
【0038】
以上のように、テーブル測定駆動が、実際にステージ装置10を駆動するのと同一の目標値(速度・加速度)で行われ、一意に定められる補正係数35を用いるため、複数回テーブル測定駆動を行わなくても、効果的に外乱を抑圧することができる。すなわち、テーブル測定駆動が高速かつ一回だけ行われるため、時間を大幅に短縮することができる。
【0039】
なお、本実施形態は、可動コイル式のリニアモータや、固定子が空芯コイルタイプの可動磁石式リニアモータや、固定子が鉄心コイルタイプの可動磁石式リニアモータにも適用することができる。
(第2の実施形態)
図4は、本発明の好適な第2の実施形態に係るステージ装置を制御するステージ制御系のブロック構成図である。図4において、図2と同様の構成要素には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0040】
図4に示すように、補正係数生成ユニット27は、外乱周波数演算部36、制御系周波数特性演算部37及び補正係数演算部32を備える。外乱周波数演算部36は、コイルとコイルとの間隔を示すコイルピッチ38と、ステージ速度39とに基づいて、下記の数式4に従って外乱周波数を算出する。

外乱周波数 = ステージ速度39 / コイルピッチ38 …(数式4)

制御系周波数特性演算部37は、制御系周波数特性を算出する。ここで算出される外乱周波数及び制御系周波数特性は、図2の外乱周波数33及び制御系周波数特性34にそれぞれ対応する。補正係数演算部32は、外乱周波数と、制御系周波数特性とに基づいて、補正係数35を算出する。
【0041】
制御系周波数特性演算部37は、必要に応じて、ステージ制御系21の制御系周波数特性を算出する。また、制御系周波数特性演算部37は、予めオフラインで制御系周波数特性を計算し、それを予めテーブルとして格納してもよい。これにより、補正係数生成ユニット27で必要な情報を予め準備できるため、これらの情報に基づいて補正係数35を算出することができる。
(第3の実施形態)
図5は、本発明の好適な第3の実施形態に係るステージ装置を制御するステージ制御系のブロック構成図である。図5において、図2及び図4と同様の構成要素には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0042】
図5に示すように、補正係数生成ユニット27は、外乱周波数演算部36、制御系周波数特性演算部37及び補正係数演算部32を備える。外乱周波数演算部36は、参照テーブル31を用いて外乱周波数を算出する。制御系周波数特性演算部37は、制御系周波数特性を算出する。ここで算出される外乱周波数及び制御系周波数特性は、図2の外乱周波数33及び制御系周波数特性34にそれぞれ対応する。補正係数演算部32は、外乱周波数と、制御系周波数特性とに基づいて、補正係数35を算出する。
【0043】
外乱周波数は、参照テーブル31にFFT(高速フーリエ変換)をかけて、信号中にどの周波数成分がどれだけ含まれているかを抽出する処理を行うことにより算出することができる。制御系周波数特性演算部37は、必要に応じて、ステージ制御系21の制御系周波数特性を算出する。また、制御系周波数特性演算部37は、予めオフラインで制御系周波数特性を計算し、それを予めテーブルとして格納してもよい。これにより、現在発生している外乱の周波数を、テーブル測定駆動で測定した参照テーブル31に基づいて算出し、より現状に合った外乱周波数を算出することができる。その結果、より確度の高い補正係数35を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の好適な実施の形態に係るステージ装置の概略構成図である。
【図2】本発明の好適な第1の実施形態に係るステージ装置を制御するステージ制御系のブロック構成図である。
【図3】ステージ制御系の制御系周波数特性を示す図である。
【図4】本発明の好適な第2の実施形態に係るステージ装置を制御するステージ制御系のブロック構成図である。
【図5】本発明の好適な第3の実施形態に係るステージ装置を制御するステージ制御系のブロック構成図である。
【図6】従来のステージ装置の概略構成図である。
【図7】従来のリニアモータの概略構成図である。
【符号の説明】
【0045】
10 ステージ装置
22 フィードバック制御部
25 テーブル生成部
26 参照部
27 補正係数生成ユニット
28 補正部
29 加算部
31 参照テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象を駆動する駆動部と、
前記制御対象の位置を計測する位置計測部と、
前記制御対象の位置と前記制御対象を駆動するための駆動制御値とが関連付けられた参照テーブルを作成するテーブル生成部と、
前記参照テーブルを参照して前記位置計測部で計測された前記制御対象の位置に対応する参照値を出力する参照部と、
前記参照部から出力された前記参照値を補正するための補正係数を生成する補正係数生成ユニットと、
前記補正係数を用いて前記参照値を補正し補正指令値を生成する補正部と、
前記補正指令値を前記駆動制御値に加算する加算部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記補正係数生成ユニットは、
外乱周波数を算出する外乱周波数演算部と、
制御系周波数特性を算出する制御系周波数特性演算部と、
前記外乱周波数と前記制御系周波数特性を用いて前記参照値を補正するための前記補正係数を算出する補正係数演算部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記駆動部は、複数のコイルを有し、
前記外乱周波数演算部は、前記複数のコイル間のピッチ及び前記制御対象の速度に基づいて前記外乱周波数を算出することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記外乱周波数演算部は、前記参照テーブルにFFTを施して周波数成分抽出することにより前記外乱周波数を算出することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御系周波数特性演算部は、前記制御装置の制御系の周波数特性を予め算出し、その結果を周波数特性テーブルとして具備していることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の制御装置を備えることを特徴とする露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−131762(P2008−131762A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314808(P2006−314808)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】