説明

剪断補強部材及びそれを用いた木質構造部材間の接合構造並びに木質構造部材の接合方法

【課題】機械的強度に優れるため、通常の添え木や添え板よりも寸法を小さくでき、また鋼板と比べて軽量なので搬送性に優れるとともに美観を損なうことも少なく、また建築物の解体時に鋸やチェンソーで容易に切断できるとともに部材のリユースやリサイクルが容易でリユース性やリサイクル性に優れ、また施工現場で構造部材と一体的に穿孔できるため加工誤差を見込んだ先孔加工のために生じるガタツキを防止でき剛性の高い接合構造が得られ、また結露の発生を防止し耐火性や耐腐朽性にも優れ、さらに材料としての有効な工業的利用方法がないまま放置されている竹材を有効活用できる剪断補強部材を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、1片の竹片、又は、複数の竹片乃至は竹繊維と接着剤が加熱され、前記竹片又は前記竹繊維の繊維方向と直交方向に圧縮成形された圧密体を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集成材や木材からなる複数の木質構造部材間を接合し補強する剪断補強部材及びそれを用いた木質構造部材間の接合構造並びに木質構造部材の接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅等の建築の省力化、合理化等を目的として梁と軒桁、軒桁と柱、胴差しと通し柱、柱と柱等の構造部材の接合を目的として、接合部材間に埋設して用いる接合具が開発されている。このような接合具は、例えば(特許文献1)に記載されたものが知られている。しかし、金属製や合成樹脂製等で形成されており硬いため、建物の解体時に鋸やチェンソーで切断するのが困難で、また分別が必要なため部材のリユースやリサイクルが困難であるという問題を有していた。
そこで本発明者らは、この問題を解決するため、竹材を繊維と直交方向に圧縮して成形した棒状部材と、棒状部材の長手方向に形成され棒状部材の両端部で開口する接着剤流入用の中空部と、を備えた接合具の製造方法を開発し特許出願した(特許文献2)。この接合具は、構造部材の当接面に穿孔された一対の連通孔に挿着され、接着剤注入用の中空部に接着剤を注入して連通孔と棒状部材の間に溢れ出させて充填し、連通孔内の接着剤を硬化させて構造部材間を接合するものである。竹材を繊維と直交方向に圧縮すると細胞内腔が減少するため密度が増加し、それに伴って機械的強度が向上するため、機械的強度に優れるとともに建物の解体時に鋸やチェンソーで容易に切断でき、また分別が不要で部材のリユースやリサイクルが容易という優れた特徴を有している。
【特許文献1】特開平5−331919号公報
【特許文献2】特願2005−193140
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献2)に開示の技術によって製造された竹製の接合具は、(特許文献1)に記載された鋼製の接合具とほぼ同等かそれ以上の大きな引張り強度が得られるが、剪断強度については、鋼製の接合具の半分程度である。そのため、学校施設,スポーツ施設等の大規模木造建築物の骨格を形成する長大スパンや大断面の構造部材を接合する場合は、接合部の剪断強度を高めるため、埋設する接合具の本数を増やさなければならない。そのため、連通孔の穿孔作業、接着剤の注入作業等の付帯作業が増え作業性に欠けるという課題を有していた。
(2)注入された接着剤が硬化するまでの間は構造部材を仮固定しておかなければならないが、カスガイや仮筋交い等を用いていたため、構造部材を固定させ難く、接合面に隙間が生じここから接着剤が漏れて接合力を弱めたり、正しい寸法位置で固定できない等の課題を有していた。
(3)従来より、柱梁隅角部やトラス節点等に集合する部材の接合や継手接合に用いる鋼板(ガセットプレート)や添え木,添え板はあるが、大型の鋼板は重量が大きく搬送性に欠け、高所の大規模な架構上での取り付け作業では安全性にも欠けるという課題を有していた。また、ガセットプレートに爪部を設ける場合は、爪部を工場で大型プレス機を使ってガセットプレートに打ち込み一体の長大スパンに仕上げなくてはならないため、工場から施工現場までの搬送性に欠け、施工現場では取付け用クレーンを確保しなければならず、狭小敷地での現場作業が困難であるという課題を有していた。
(4)鋼板で接合する場合は、構造部材と結合させるボルトやドリフトピンを挿通するための孔を予め鋼板に穿孔(先孔加工)しておく必要がある。ボルト等を挿通するための構造部材の貫通孔と鋼板の孔は別個に穿設されるので、加工誤差を見込んで、鋼板の孔を使用するボルト等の径よりも大きく穿孔することが必要になり、これがガタツキの原因になるという課題を有していた。
(5)鋼板で接合する場合は、鋼板が外部に露出しているため、火災時には先に軟化し強度が期待できず建築物が倒壊するおそれがあるという課題を有していた。
(6)鋼板が外部に露出していると、寒冷時に鋼板の表面に結露を生じ易く、鋼板が酸化され強度が低下したり、鋼板や構造部材の腐食を招くことがあるという課題を有していた。
(7)添え木や添え板を用いる場合は、それらの機械的強度が小さいため、所望の機械的強度を確保するためには安全を見込んで断面厚さや面積を大きくする必要があり、鋼板の場合と同様に搬送性に欠けるとともに、特に目に触れる箇所等では美観を損なうことがあるという課題を有していた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、機械的強度に優れるため、通常の添え木や添え板よりも寸法を小さくでき、また鋼板と比べて軽量なので搬送性に優れるとともに美観を損なうことも少なく、また建築物の解体時に鋸やチェンソーで容易に切断できるとともに部材のリユースやリサイクルが容易でリユース性やリサイクル性に優れ、また施工現場で構造部材と一体的に穿孔できるため加工誤差を見込んだ先孔加工のために生じるガタツキを防止でき剛性の高い接合構造が得られ、また結露の発生を防止し耐火性や耐腐朽性にも優れ、さらに材料としての有効な工業的利用方法がないまま放置されている竹材を有効活用できる剪断補強部材を提供することを目的とする。
また、本発明は、学校施設,スポーツ施設等の大規模木造建築物の骨格を形成する長大スパンや大断面の構造部材を接合する際、曲げ強度と剪断強度を高めることができ、また接合具を埋設するための連通孔の穿孔作業、接着剤の注入作業等の付帯作業が最小限で済み接合作業の作業性に優れ、耐火性に優れるとともに結露が原因の木質構造部材の腐食も防止でき合理的で安全な建築物を提供できる木質接合部材間の接合構造を提供することを目的とする。
また、本発明は、木質構造部材を固定した後に接着剤を注入することができ、接合面に隙間が生じ難く接着剤が漏れることなく高い接合力が得られ、また正しい寸法位置で固定することができ接合信頼性に優れた木質接合部材の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の課題を解決するために本発明の剪断補強部材及びそれを用いた木質構造部材間の接合構造並びに木質構造部材の接合方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の剪断補強部材は、1片の竹片、又は、複数の竹片乃至は竹繊維と接着剤が加熱され、前記竹片又は前記竹繊維の繊維方向と直交方向に圧縮成形された圧密体を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)竹片乃至は竹繊維を繊維と直交方向に圧縮すると細胞内腔が減少するため密度が増加し、それに伴って機械的強度が向上するため機械的強度に優れる。このため、通常の添え木や添え板よりも寸法を小さくでき、また鋼板と比べて軽量なので、搬送性に優れるとともに美観を損なうことも少ない。
(2)構造部材間の接合具として使用された建築物の解体時に鋸やチェンソーで容易に切断でき、また分別が不要で部材のリユースやリサイクルが容易である。
(3)竹材は外皮側に近い部分の繊維の密度が高い強靭な材質であって、機械的強度は代表的な高強度の木材であるブナよりも高いため(例えば、マダケの曲げ強さ186MPa,圧縮強さ73MPa,引張強さ243MPa,せん断強さ17MPa、ブナの曲げ強さ98MPa,圧縮強さ44MPa,引張強さ132MPa,せん断強さ13MPa。マダケを圧密化すると(180℃で53%圧縮、密度1.45g/cmの場合)、400MPa以上の曲げ強さが得られた。)、構造部材間の接合具として使用することで、通常の添え木や添え板、木材を加熱・圧縮して製造された強化積層材を用いた接合構造に比べ、高い機械的強度を有する接合構造を得ることができる。
(4)竹を産業用部材として使用することで竹の伐採量が増加すると、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の竹林への固定を促進して地球環境の保全ができるとともに、スギ等の人工林への侵食を防止し国土保全を図ることができる。木や竹のもつ二酸化炭素の固定能力は老齢になると衰えてしまうが、竹は発筍から数か月で10〜20mの背丈に達し3〜4年で成長がほぼ完了してしまう成長の非常に早い竹材資源であり、現存する竹林から毎年発筍しその発生量に相当する伐採量であれば恒常的に利用できる竹材資源なので、発筍から約4年を経過した竹を伐採し竹材として利用すれば竹材資源は枯渇させずに、その竹林のもつ二酸化炭素の固定能力を常に最大にできるからである。また、近年では、材料としての有効な工業的利用方法がないまま放置されているため人工林への侵食が著しく、また地下組織が浅いため、森林の涵養作用を低下させ大雨時の土砂崩れを誘発する等の原因となっているからである。
(5)構造部材と結合させるボルトやドリフトピンを挿通するための孔を、木材用ドリル等を用いて施工現場で構造部材と一体的に穿孔できるため、加工誤差を見込んだ先孔加工は不要であり、先孔加工のために生じるガタツキを防止できる。また、剪断補強部材で挟んでボルトやドリフトピンを使って木質構造部材に取り付けるため、木質構造部材へのボルトのめり込みを軽減して木質構造部材の補強材として使用することができ、木質構造部材の接合部の側面をガセットとして鋼板で挟んだ場合の耐力(25kN)と比較して、剪断補強部材を用いた場合は約2倍の48kNの耐力を接合部に与えることができることがわかった。
(6)構造部材の接合部の外部に露出している場合、火災時には表面は燃焼するが、表面に形成される炭化層の働きにより内部までは燃焼しない。そのため、剪断補強部材の断面厚さに火災時を想定した適度の燃え代を見込むことにより、火災時にも強度を維持することができ耐火性に優れる。
(7)構造部材の接合部の外部に露出していても、通常の状態では表面に結露を生じることはなく、結露が原因の腐食を防止でき強度低下を防止できる。
(8)熱処理によって竹片や竹繊維に含まれるヘミセルローズとリグニンが部分的に解重合し、その結果、竹材腐朽菌の生育を阻害させる性質をもったフェノール化合物やフルフラール化合物等が生成され耐腐朽性に優れる。
【0006】
ここで、圧密体の形状としては、構造部材の仕口や継手の構造に応じて適宜選択することができ、例えば、平面視して略矩形状、略円形状、略楕円状、略長円状、略三角形,略六角形等の略多角形状、略十字状、略L字状等の板状やブロック状にすることができる。
また、圧密体は、一平面上に形成されたものだけではなく、一部を1〜90°程度に折曲形成したり湾曲形成させたりすることもできる。これにより、アーチ型等に架構した木質構造部材間を接合する場合に用いることができる。
【0007】
圧密材の材質としては、マダケ,ハチク,モウソウチク,クロチク,メダケ等の竹や、ネザサ,スズダケ,ヤダケ,クマザサ等の笹からなる竹材の内の1種又は複数種から選択されたものが用いられる。
竹片としては、円筒状の竹材を切断し、さらに縦方向に8〜16程度に分割したものが用いられる。さらに短く切断したものや、さらに細く分割した籤状のものも用いることができる。節を避けて用いてもよいし、節を抜いて節の突起を削ったものを用いることもできる。
【0008】
竹繊維としては、竹片をローラ、プレス等の任意の加圧手段等を用いて繊維状に解したもの、高温高圧状態の竹材を急激に常圧の状態等にして爆砕して繊維状にしたもの、竹材を原料とするパルプ、竹材を原料とするセルロースレーヨン繊維糸,セルロース繊維糸等の繊維糸等が用いられる。
圧縮成形時に複数の竹片や竹繊維を積層したり接合したりする場合は、竹片間に後述する接着剤を塗布しておく。これにより、竹片同士を接着して、圧密体の厚さや大きさを自在に変えることができる。
なお、複数の竹片や竹繊維を積層する場合は、竹片や竹繊維の原料である竹材の表皮(内皮及び外皮)を、サンダ等を用いて研削したりブラスト処理等によって除去しておくのが好ましい。竹材を分割した後にこれらの表皮の処理を行うこともできるし、丸竹の状態で行うこともできる。表皮を除去することにより、竹片間や竹繊維間の接着接合性を高めることができ機械的強度の大きな圧密体を得ることができるからである。
【0009】
竹片や竹繊維は、切り出して間もない竹材から製造した場合は水分を多く含んでいるため、加熱されると竹片や竹繊維に含まれる水分が蒸発して竹片や竹繊維が高温高圧の水蒸気で満たされるので、竹片や竹繊維に熱が良く伝わり竹片や竹繊維が軟化され易く容易に圧縮成形される。
なお、乾燥させた竹材を用いる等の場合は、加熱される間に竹片や竹繊維を水に浸漬して適度な水分を補っておくのが好ましい。竹片等の軟化を促進させ圧縮成形によって圧密体が割れてしまうのを防止するためである。また、金型等の成形装置の外部から水や水蒸気を導入して、水蒸気雰囲気中で加熱し圧縮成形することもできる。
【0010】
圧縮成形時に竹片や竹繊維を接着する接着剤としては、イソシアネート系接着剤、フェノール系接着剤、タンニン、リグフェノール等を用いることができる。イソシアネート系接着剤としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであればよく、例えばTDI(トルエンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルイソシアネート)等が挙げられる。これらの接着剤は、刷毛塗り、噴霧、どぶ漬け等の任意の方法によって竹片等に付着することができる。
【0011】
加熱温度としては、100〜180℃好ましくは130〜180℃が用いられる。温度が130℃より低くなるにつれ、竹片や竹繊維に含まれる水分の蒸発量が少なく竹片や竹繊維が軟化するまでに長時間を要し生産性が低下し、また蒸気の浸透に斑が生じ圧密体に強度斑やワレが生じ易くなる傾向がみられ、100℃より低くなるとこの傾向が著しいため好ましくない。180℃より高くなるにつれ、竹片や竹繊維に割れが生じたりセルロース等の分解が起こり褐色化や焦げ付いたりして機械的強度が低下する傾向がみられるため好ましくない。
【0012】
加熱されることにより、竹片等の温度が上昇するとともに水蒸気が竹片等に浸透し軟化される。軟化した竹片等を繊維方向と直交方向に加圧し、断面積比で1/2〜1/3程度になるまで細胞内腔を減少させ圧縮成形し、同時に接着剤を熱硬化させ竹片等を接着する。この状態で1〜60分程度保持することにより圧密体の形状が固定化される。
なお、圧縮成形の圧力としては、加熱温度にもよるが、20〜50MPaが好適に用いられる。圧力が20MPaより小さくなるにつれ圧縮量が小さく高密度の圧密体を製造し難くなる傾向がみられ、50MPaより大きくなるにつれ硬い竹繊維同士が圧迫され竹繊維が切断され機械的強度が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
【0013】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の剪断補強部材であって、前記圧密体が、一面側若しくは両面側に立設された爪部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)爪部を備えているので、木質構造部材間の接合部の側面や当接面に当てて圧入させることができ、ボルトや釘等を用いなくても木質構造部材を相互に接合させることができる。
(2)爪部が木質構造部材の側面や当接面に圧入されると、剪断補強部材が木質構造部材の側面や当接面を滑らなくなるので、接合部の剛性を高めることができる。特に、爪部が木質構造部材の側面に圧入されると、爪部から伝わる剪断力を圧密体で保持でき耐力を高めることができる。
【0014】
ここで、爪部としては、胴部が円柱状、円錐状,角錐状,角柱状等に形成され、先端が尖っていればどのような形状のものでも用いることができ、底部が圧密体に接着,嵌入等されて圧密体の複数箇所に立設される。
【0015】
爪部の材質としては、圧密体と同様に、竹片を加熱し繊維方向と直交方向に圧縮成形されたものや、竹片や竹繊維を接着剤と一緒に加熱し繊維方向と直交方向に圧縮成形したものが用いられる。また、木材を切断して得られた木材単板を加熱し繊維方向と直交方向に圧縮成形したもの、木材を切削して得られた木材薄単板に接着剤を塗布して積層し加熱し繊維方向と直交方向に圧縮して形状を固定化したものが用いられる。いずれも、高強度化され爪部の軸方向に高い座屈耐力が得られるからである。なかでも、竹片や竹繊維を原料にしたものが好適に用いられる。機械的強度が高く、木材よりも高い座屈耐力が得られるからである。
【0016】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の剪断補強部材であって、前記圧密体が、前記爪部の底部が当接した当接体と、支持孔部が形成され前記当接体の一面側若しくは両面側に積層された支持体と、を備え、前記爪部が、前記支持体に形成された前記支持孔部に嵌挿された構成を有している。
この構成により、請求項2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)爪部が支持体に形成された支持孔部に嵌挿されているので、爪部が圧密体から外れたり折れたりし難く、木質構造部材間の接合部の側面や当接面に当てて圧入させた場合、木質構造部材がずれるのを防止し木質構造部材間を相互に強固に接合させることができる。
【0017】
ここで、当接体と支持体は、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レソルシノール樹脂、ビニルウレタン、ポリウレタン、シアノアクリレート、タンニン、リグフェノール等の接着剤を用いて接着し積層することができる。
また、爪部の底部と当接体は、接着,嵌入等によって接合することができる。
【0018】
本発明の請求項4に記載の木質構造部材間の接合構造は、(a)集成材や木材からなる複数の木質構造部材と、(b)前記木質構造部材の当接面に一対に穿孔された接合具用連通孔と、(c)前記接合具用連通孔に装着された、木質又は竹質の棒状部材と、前記棒状部材の長手方向に形成され前記棒状部材の一又は両端で開口する中空部と、を備えた接合具と、(d)前記接合具の前記中空部に注入され前記棒状部材の1乃至複数の開口部から流出し少なくとも前記棒状部材の表面と前記接合具用連通孔の周壁間に充填された接着剤と、(e)前記各木質構造部材に架け渡して前記木質構造部材の側面に固着された請求項1乃至3の内いずれか1に記載の剪断補強部材と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)学校施設,スポーツ施設等の大規模木造建築物の骨格を形成する長大スパンや大断面の構造部材を接合する場合でも、埋設する接合具の本数を増やさずに接合具で曲げ強度を高め剪断強度を剪断補強部材で高めることができ、機械的強度の高い接合構造が得られる。木質や竹質の集成材や積層材等で形成された接合具は、引張り強度を鋼製の接合具とほぼ同等にすることができるが、剪断強度は鋼製の接合具の半分程度しか得られないため、これを補うために埋設する接合具の本数を増やす必要があるからである。
(2)埋設する接合具の本数を増やさなくても接合部の機械的強度を高めることができるので、接合具用連通孔の穿孔作業、接着剤の注入作業等の付帯作業が最小限で済み作業性に優れる。
(3)火災時には剪断補強部材の表面は燃焼するが、表面に形成される炭化層の働きにより内部までは燃焼しないため、剪断補強部材の断面厚さに火災時を想定した適度の燃え代を見込むことにより、火災時にも強度を維持することができ耐火性に優れる。
(4)木質構造部材の側面に固着された剪断補強部材は、通常の状態では表面に結露を生じることはなく、結露が原因の木質構造部材の腐食を防止できる。
【0019】
ここで、接合具の棒状部材としては、木質や竹質の集成材や積層材等で形成することができる。また、請求項1で説明した圧密体と同様に、竹片を加熱し繊維方向と直交方向に圧縮成形されたものや、竹片や竹繊維を接着剤と一緒に加熱し繊維方向と直交方向に圧縮成形したものを用いることもできる。また、木材を切削して得られた木材薄単板に接着剤を塗布して積層し加熱し繊維方向と直交方向に圧縮して形状を固定化したものも用いることができる。いずれも、高強度化され高い曲げ強度が得られるからである。なかでも、竹片や竹繊維を原料にしたものが好適に用いられる。機械的強度が高く、木材よりも高い曲げ強度が得られるからである。
【0020】
木質構造部材の側面に剪断補強部材を固着する手段としては、剪断補強部材を貫通させて木質構造部材の側面に釘を打ち込んだり、コーチスクリューを捻じ込んだりすることができる。また、剪断補強部材が爪部を備えている場合は、爪部を木質構造部材の側面に圧入して固着することができる。また、剪断補強部材及び木質構造部材を貫通する貫通孔を穿設し、この貫通孔にボルトを挿通しナットによって締結して固着することができる。これらと併用して、剪断補強部材の一面側と木質構造部材との間に接着剤を塗布して接着すれば、さらに剛性を増すことができる。
なお、ボルトやナットは、請求項1の圧密体と同様に、竹繊維を圧密化して製造したものを用いるのが好ましい。機械的強度に優れるとともに、建築物の解体時に鋸やチェンソーで容易に切断できるとともに部材のリユースやリサイクルが容易でリユース性やリサイクル性に優れるからである。
【0021】
剪断補強部材は、木質構造部材の表面にそのまま固着してもよいし、木質構造部材の表面に剪断補強部材よりわずかに広い凹部を形成し、凹部内に厚さ方向の一部又は全部を埋め込んで固着することもできる。これにより、木質構造部材と面一に仕上げることができ、見えがかりを良くすることができる。
【0022】
以上の接合構造は、梁と軒桁、軒桁と柱、胴差しと通し柱、柱と柱等の種々の仕口構造や継手構造、耐震補強に用いることができる。
【0023】
本発明の請求項5に記載の木質構造部材の接合構造は、(a)集成材や木材からなる複数の木質構造部材と、(b)前記木質構造部材の当接面に一対に穿孔された接合具用連通孔及び補強部材用連通孔と、(c)前記接合具用連通孔に装着された、木質又は竹質の棒状部材と、前記棒状部材の長手方向に形成され前記棒状部材の一又は両端で開口する中空部と、を備えた接合具と、(d)前記補強部材用連通孔に装着された請求項1乃至3の内いずれか1に記載の剪断補強部材と、(e)前記接合具の前記中空部に注入され前記棒状部材の1乃至複数の開口部から流出し前記棒状部材の表面と前記接合具用連通孔の周壁間に充填された接着剤と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)学校施設,スポーツ施設等の大規模木造建築物の骨格を形成する長大スパンや大断面の構造部材を接合する場合でも、埋設する接合具の本数を増やさずに接合具で曲げ強度を高め剪断強度を剪断補強部材で高めることができ、機械的強度の高い接合構造が得られる。木質や竹質の集成材や積層材等で形成された接合具は、引張り強度を鋼製の接合具とほぼ同等にすることができるが、剪断強度は鋼製の接合具の半分程度しか得られないため、これを補うために埋設する接合具の本数を増やす必要があるからである。
(2)埋設する接合具の本数を増やさなくても接合部の機械的強度を高めることができるので、接合具用連通孔の穿孔作業、接着剤の注入作業等の付帯作業が最小限で済み作業性に優れる。
(3)剪断補強部材も接合具も木質構造部材の内部に埋設されているので見えがかりが良く、また火災時には、表面に形成される炭化層の働きにより内部までは燃焼しないため、火災時にも強度を維持することができ耐火性に優れる。
【0024】
ここで、補強部材用連通孔に剪断補強部材を装着するときに、接着剤で補強部材用連通孔に剪断補強部材を接着することができる。また、接着剤を使用せずに剪断補強部材を補強部材用連通孔に嵌入するだけでもよい。
【0025】
本発明の請求項6に記載の木質構造部材の接合方法は、(a)木質又は竹質の棒状部材と、前記棒状部材の長手方向に形成され前記棒状部材の一又は両端で開口する中空部と、を備えた接合具と略同径の接合具用連通孔を形成する一対の孔部を複数の木質構造部材の当接面の所定部に各々穿孔する工程と、(b)前記工程で穿孔された各孔部に前記接合具を装着し各木質構造部材を当接させる工程と、(c)当接された前記木質構造部材間に架け渡して前記木質構造部材の側面に請求項1乃至3の内いずれか1に記載の剪断補強部材を固着する工程と、(d)前記接合具用連通孔に装着された前記接合具の前記中空部に接着剤を注入し前記棒状部材の1乃至複数の開口部から流出させ前記棒状部材の表面と前記接合具用連通孔の周壁部に前記接着剤を充填する工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)接合具が埋設された接合具用連通孔に注入された接着剤が硬化するまでの間は構造部材を固定しておかなければならないが、木質構造部材の側面に剪断補強部材を固着する工程を備えているので、木質構造部材を固定した後に接着剤を注入することができ、接合面に隙間が生じ難く接着剤が漏れることなく高い接合力が得られ、また正しい寸法位置で固定することができ接合信頼性に優れる。
(2)剪断補強部材は組み立て時の仮筋交いと同じ効果を期待できるので、接着剤の注入を後からまとめて行うこともでき施工性に優れ、また別々に接合しクレーンで吊り上げて、組み立てることもでき自在性に優れる。
【0026】
本発明の請求項7に記載の木質構造部材の接合方法は、(a)木質又は竹質の棒状部材と、前記棒状部材の長手方向に形成され前記棒状部材の一又は両端で開口する中空部と、を備えた接合具と略同径の接合具用連通孔を形成する一対の孔部及び請求項1乃至3の内いずれか1に記載の剪断補強部材と略同じ大きさの補強部材用連通孔を形成する一対の孔部を複数の木質構造部材の当接面の所定部に各々穿孔する工程と、(b)前記工程で穿孔された各孔部に前記接合具及び前記剪断補強部材を装着し各木質構造部材を当接させる工程と、(c)前記接合具用連通孔に装着された前記接合具の前記中空部に接着剤を注入し前記棒状部材の1乃至複数の開口部から流出させ前記棒状部材の表面と前記接合具用連通孔の周壁部に前記接着剤を充填する工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)接合具が埋設された接合具用連通孔に注入された接着剤が硬化するまでの間は構造部材を固定しておかなければならないが、木質構造部材の当接面に剪断補強部材を装着する工程を備えているので、木質構造部材を固定した後に接着剤を注入することができ、接合面に隙間が生じ難く接着剤が漏れることなく高い接合力が得られ、また正しい寸法位置で固定することができ接合信頼性に優れる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明の剪断補強部材及びそれを用いた木質構造部材間の接合構造並びに木質構造部材の接合方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)通常の添え木や添え板、木材を加熱・圧縮して製造された強化積層材と比べて機械的強度に優れるため、通常の添え木や添え板よりも寸法を小さくでき、また鋼板と比べて軽量なので搬送性に優れるとともに美観を損なうことも少ない剪断補強部材を提供することができる。
(2)構造部材間の接合具として使用された建築物の解体時に鋸やチェンソーで容易に切断でき、また分別が不要で部材のリユースやリサイクルが容易でリユース性やリサイクル性に優れた剪断補強部材を提供することができる。
(3)材料としての有効な工業的利用方法がないまま放置されている竹材を有効活用できるため、竹林の人工林への侵食等を防止して森林の涵養作用を維持させ国土保全にも効果的な剪断補強部材を提供することができる。
(4)構造部材と結合させるボルトやドリフトピンを挿通するための孔を、木材用ドリル等を用いて施工現場で構造部材と一体的に穿孔できるため、加工誤差を見込んだ先孔加工は不要であり、先孔加工のために生じるガタツキを防止でき、剛性の高い接合構造が得られる剪断補強部材を提供することができる。
(5)構造部材の接合部の外部に露出している場合、火災時には表面は燃焼するが、表面に形成される炭化層の働きにより内部までは燃焼しないため、火災時にも強度を維持することができ耐火性に優れた剪断補強部材を提供することができる。
(6)構造部材の接合部の外部に露出していても、通常の状態では表面に結露を生じることはなく、結露が原因の腐食や強度低下を防止できる耐久性に優れた剪断補強部材を提供することができる。
(7)熱処理によって竹片や竹繊維に含まれるヘミセルローズとリグニンが部分的に解重合し、その結果、竹材腐朽菌の生育を阻害させる性質をもったフェノール化合物やフルフラール化合物等が生成されるので耐腐朽性に優れた剪断補強部材を提供することができる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)木質構造部材間の接合部の側面や当接面に当てて爪部を圧入させることができ、ボルトや釘等を用いなくても木質構造部材を相互に接合させることができる施工性に優れた剪断補強部材を提供することができる。
(2)爪部が木質構造部材の側面や当接面に圧入されると、剪断補強部材が木質構造部材の側面を滑らなくなるので、接合部の剛性を高めることができる剪断補強部材を提供することができる。
【0029】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加え、
(1)爪部が圧密体から外れたり折れたりし難く、木質構造部材間の接合部の側面や当接面に当てて圧入させた場合、木質構造部材を相互に強固に接合させることができる剪断補強部材を提供することができる。
【0030】
請求項4に記載の発明によれば、
(1)学校施設,スポーツ施設等の大規模木造建築物の骨格を形成する長大スパンや大断面の構造部材を接合する場合でも、埋設する接合具の本数を増やさずに接合具で曲げ強度を高め剪断強度を剪断補強部材で高めることができ、機械的強度の高い木質接合部材間の接合構造を提供することができる。
(2)埋設する接合具の本数を増やさなくても接合部の機械的強度を高めることができるので、接合具用連通孔の穿孔作業、接着剤の注入作業等の付帯作業が最小限で済み接合作業の作業性に優れた木質接合部材間の接合構造を提供することができる。
(3)火災時には剪断補強部材の表面は燃焼するが、表面に形成される炭化層の働きにより内部までは燃焼しないため、剪断補強部材の断面厚さに火災時を想定した適度の燃え代を見込むことにより、火災時にも強度を維持することができ耐火性に優れた木質接合部材間の接合構造を提供することができる。
(4)木質構造部材の側面に固着された剪断補強部材は、通常の状態では表面に結露を生じることはなく、結露が原因の木質構造部材の腐食を防止できる木質接合部材間の接合構造を提供することができる。
【0031】
請求項5に記載の発明によれば、
(1)長大スパンや大断面の構造部材を接合する場合でも、埋設する接合具の本数を増やさずに接合具で曲げ強度を高め剪断強度を剪断補強部材で高めることができ、機械的強度の高い木質構造部材の接合構造を提供することができる。
(2)埋設する接合具の本数を増やさなくても接合部の機械的強度を高めることができるので、接合具用連通孔の穿孔作業、接着剤の注入作業等の付帯作業が最小限で済み作業性に優れた木質構造部材の接合構造を提供することができる。
(3)剪断補強部材も接合具も木質構造部材の内部に埋設されているので見えがかりが良く、また火災時には、表面に形成される炭化層の働きにより内部までは燃焼しないため、火災時にも強度を維持することができ耐火性に優れた木質構造部材の接合構造を提供することができる。
【0032】
請求項6に記載の発明によれば、
(1)木質構造部材の側面に剪断補強部材を固着する工程を備えているので、木質構造部材を固定した後に接着剤を注入することができ、接合面に隙間が生じ難く接着剤が漏れることなく高い接合力が得られ、また正しい寸法位置で固定することができ接合信頼性に優れた木質構造部材の接合方法を提供することができる。
(2)組み立て時の仮筋交いと同じ効果を期待できるので、接着剤の注入を後からまとめて行うこともでき施工性に優れ、また別々に接合しクレーンで吊り上げて、組み立てることもでき自在性に優れた木質構造部材の接合方法を提供することができる。
【0033】
請求項7に記載の発明によれば、
(1)木質構造部材の当接面に剪断補強部材を装着する工程を備えているので、木質構造部材を固定した後に接着剤を注入することができ、接合面に隙間が生じ難く接着剤が漏れることなく高い接合力が得られ、また正しい寸法位置で固定することができ接合信頼性に優れた木質構造部材の接合方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における剪断補強部材の斜視図であり、図2は実施の形態1における剪断補強部材の要部断面図であり、図3(a)(b)は実施の形態1における変形例の剪断補強部材の斜視図である。
図1、2において、1は実施の形態1における剪断補強部材、2は後述する当接体3と支持体4とが積層接着されて平面視して略矩形状の板状に形成された2層構造の圧密体、3は竹片乃至は竹繊維が加熱され高温の水蒸気中で軟化した竹片又は竹繊維の繊維方向と直交方向に圧縮され接着剤で接着され形状が固定化された板状の当接体、4は竹片乃至は竹繊維が加熱され高温の水蒸気中で軟化した竹片又は竹繊維の繊維方向と直交方向に圧縮され接着剤で接着されて形状が固定化された板状の支持体であり、繊維方向が当接体3の繊維方向と直交するように当接体3の一面側に積層されている。5は支持体4の複数個所に先窄り状に形成された支持孔部、6は当接体3の一面側に形成された凹部、7は底部が当接体3に形成された凹部6に嵌合して当接体3に当接され胴部が支持体4の支持孔部5に嵌挿されて圧密体2の一面側に立設された略円錐状の爪部である。
【0035】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における剪断補強部材について、以下その製造方法を説明する。
始めに、円筒状の竹材を長手方向と略直交方向に切断し、さらに縦方向に1/8〜1/16程度に分割して竹片を製造する。次に、竹片の表皮(外皮及び内皮)をブラスト処理によって除去する。この竹片の内部に水が浸透するまで、竹片を水に浸漬する。
水中から取り出した竹片の表面に満遍なくイソシアネート系接着剤等の接着剤を塗布した後、固定側金型のキャビティ内に所定の厚さになるまで竹片を順に積み重ねていく。
次に、固定側金型のキャビティを可動側金型の加圧コアで閉じ型締めした後、キャビティをカートリッジヒータ等を用いて100〜180℃好ましくは130〜180℃に加熱する。これにより、竹片に含まれる水分が蒸発してキャビティ内の竹片が高温の水蒸気で満たされるので、竹片に熱が良く伝わり竹片が軟化される。この状態を1〜10分間保持する。
次に、可動側金型に20〜50MPaの圧力を加え、竹片をキャビティで縦横方向を拘束しながら断面積比で1/2〜1/3程度になるように圧縮成形する。この状態で1〜60分程度保持すると、接着剤が熱硬化され竹片同士が接着されて形状が固定化され圧縮成形され当接体3が製造される。さらに、竹片が高温高圧の水蒸気で満たされるため、竹片に含まれるヘミセルローズとリグニンが部分的に解重合し、その結果、竹材腐朽菌の生育を阻害させる性質をもったフェノール化合物やフルフラール化合物等が生成され当接体3の耐腐朽性を向上させる。
当接体3の形状が固定化されたら、固定側金型及び可動側金型を冷却する。当接体3が固定側金型から取り出せる程度の低温になったら、型開きしてキャビティから当接体3を取り出す。同様にして支持体4と、爪部7を製造するための板状体を製造する。
爪部7は板状体を短冊状に切断した後、旋盤等で円錐状に加工して製造することができる。また、円錐状に加工しなくても、板状体を楔状に切断したものを用いることもできる。また、キャビティが円錐状に形成された金型に竹片乃至は竹繊維を充填して、当接体3や支持体4と同様に、加熱し繊維方向と直交方向に圧縮成形して製造することもできる。
次に、当接体3の一面側の所定箇所に木材用ドリル等を用いて凹部6を形成する。また、支持体4の所定箇所に木材用ドリル等を用いて先窄り状の支持孔部5を穿孔する。
次いで、当接体3の一面と凹部6にレソルシノール樹脂等の接着剤を塗布した後、凹部6に爪部7の底部を嵌合させ、次に支持体4の支持孔部5に爪部7の側部を嵌挿させ、支持体4と当接体3とを繊維方向が直交するように接着させて積層し、圧密体2を製造する。
以上のようにして、圧密体2の一面側に爪部7が立設された剪断補強部材1が製造される。
【0036】
図3において、(a)の剪断補強部材1aは圧密体2の一部が同一面内で所定の角度に折曲形成され、楔状に形成された爪部7aが圧密体2の一面側に接着等で配設固定されたものであり、アーチ型等に架構した木質構造部材間を接合する場合に、木質構造部材間の接合部の側面に配設するのに適している。なお、爪部7aを配設しない場合もある。
(b)の剪断補強部材1bは圧密体2の一部が1〜90°の所定の角度に折曲形成されたものであり、アーチ型等に架構した木質構造部材間を接合する場合に、木質構造部材間の接合部の上面と下面に配設するのに適している。なお、剪断補強部材1a,1bは圧密体2が折曲形成された場合について説明したが、湾曲形成させることもできる。
【0037】
(実施の形態2)
次に、実施の形態1における剪断補強部材を用いた実施の形態2における木質構造部材間の接合構造について、図面を参照しながら説明する。
図4は実施の形態1における剪断補強部材を用いた実施の形態2における木質構造部材間の継手接合前の状態を示す斜視図であり、図5は継手接合時の状態を示す斜視図であり、図6は実施の形態2における木質構造部材間の接合構造を示す斜視図であり、図7は実施の形態2における木質構造部材間の接合構造の平面図であり、図8はA−A線における木質構造部材間の接合構造の断面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、10は木材や集成材等からなる木質構造部材としての突付け継ぎ施工における差し木、11は木材や集成材等からなる木質構造部材としての突付け継ぎ施工における受け木、12は差し木10と受け木11の当接面、13,14は当接面12に形成された一対の孔部であり、後述する接合具用連通孔22は孔部13,14を当接して形成される。15は木質や竹質の集成材や積層材等で形成され接合具用連通孔に挿着される接合具、16は断面が略円形上,略楕円形又は略多角形のいずれかの直線状に形成された棒状部材、17は棒状部材16の長手方向に形成され両端部で開口する接着剤流入用の中空部、18は合成樹脂製等で形成され棒状部材の中央部に螺着された枝管、19は棒状部材16の中空部17と連通する枝管18に形成された枝管中空部、20,21は差し木10の当接面12に孔部13と連通して形成され接合具15の枝管18が装着される切削部である。
図7、図8において、22は孔部13,14が当接して形成された接合具用連通孔、23は剪断補強部材1,1、差し木10及び受け木11に穿設された貫通孔、24は貫通孔23に挿通されたボルト、25はボルト24に締結されたナットである。
図8において、26は枝管18の枝管中空部19から棒状部材16の中空部17を通り、棒状部材16の両端の中空部17の開口部から流出し棒状部材16の表面と接合具用連通孔22の周壁との間の隙間に充填された接着剤である。
【0038】
以上のように構成された実施の形態2における木質構造部材間の継手接合による接合構造について、以下、その木質構造部材の接合方法を説明する。
まず、図4に示すように、差し木10、受け木11に、接合具15の棒状部材16と略同一かそれより少し深めの長さを有した接合具用連通孔22が形成される孔部13,14を、ドリル等で当接面12から各々穿孔する。次に、孔部13,13に連通した切削部20,21をドリル等で切削する。
次に、図5に示すように、接合具15の棒状部材16を孔部13に挿着し、接合具15の枝管18を切削部20,21に装着する。次いで、受け木11の当接面12に必要に応じて接着剤を塗布した後、孔部14に接合具15の棒状部材16の他端を挿通させ、差し木10と受け木11を水平にして当接面12を衝合させる。
次いで、図5乃至図7に示すように、剪断補強部材1を差し木10と受け木11に架け渡して、差し木10と受け木11の対向する両側面に爪部7を圧入して固着する。次に、剪断補強部材1,1及び差し木10、剪断補強部材1,1及び受け木11にドリル等で貫通孔23を穿設し、ボルト24を貫通孔23に挿通し、ナット25で締結する。
次いで、図8に示すように、枝管18からレソルシノール樹脂等の接着剤26を図示しないカートリッジガンを用いて注入する。これにより、枝管18に注入された接着剤26が枝管中空部19から棒状部材16の中空部17を通り、棒状部材16の両端の中空部17の開口部から流出し、棒状部材16の表面と接合具用連通孔22の周壁との間の隙間を充填されていく。枝管18と切削部20,21の周壁の間から接着剤26が視認できるか漏出するまで接着剤26の注入を続ける。差し木10や受け木11が吸収性の場合は、接着剤26の注入を2〜3回繰り返す。次いで、枝管18の切削部20,21に込栓又はウッドパテ等のシーリング処理を行い、差し木10と受け木11間を接合することができる。
【0039】
以上のように、本発明の実施の形態1における剪断補強部材1は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)竹片を繊維と直交方向に圧縮すると細胞内腔が減少するため密度が増加し、それに伴って機械的強度が向上するため機械的強度に優れる。このため、通常の添え木や添え板よりも寸法を小さくでき、また鋼板と比べて軽量なので、搬送性に優れるとともに木質構造部材間の接合構造において美観を損なうことも少ない。
(2)剪断補強部材1が竹製なので、建築物の解体時に鋸やチェンソーで容易に切断でき、また分別が不要で部材のリユースやリサイクルが容易である。
(3)表皮(内皮及び外皮)が除去されているので、竹片間の接着接合性を高めることができ機械的強度の大きな圧密体を得ることができる。
(4)鋼製のガセットと異なり、ボルトやドリフトピンを挿通するための貫通孔を木材用ドリル等を用いて施工現場で差し木10や受け木11と一体的に穿孔できるため、鋼製のガセットのように加工誤差を見込んだ先孔加工は不要であり、先孔加工のために生じるガタツキを防止できる。
(5)接合部の外部に露出している場合、火災時には表面は燃焼するが、表面に形成される炭化層の働きにより内部までは燃焼しないので、剪断補強部材の断面厚さに火災時を想定した適度の燃え代を見込むことにより、火災時にも強度を維持することができ耐火性に優れる。
(6)接合部の外部に露出していても、通常の状態では表面に結露を生じることはなく、結露が原因の腐食を防止でき強度低下を防止できる。
(7)熱処理によって竹片に含まれるヘミセルローズとリグニンが部分的に解重合し、その結果、竹材腐朽菌の生育を阻害させる性質をもったフェノール化合物やフルフラール化合物等が生成され耐腐朽性に優れる。
(8)爪部7を備えているので、木質構造部材間の接合部の側面に当てて圧入させることができ、ボルトや釘等を用いなくても木質構造部材を相互に接合させることができる。
(9)爪部7が木質構造部材の側面に圧入されると、剪断補強部材1が木質構造部材の側面を滑らなくなるので、接合部の剛性を高めることができる。
(10)爪部7が支持体4に形成された支持孔部5に嵌挿されているので、爪部7が圧密体2から外れたり折れたりし難く、木質構造部材間の接合部の側面に当てて圧入させた場合、木質構造部材を相互に強固に接合させることができる。
(11)当接体3に凹部6が形成され爪部7の底部が嵌合されているので、爪部7がずれたり外れたりし難く機械的強度を高めることができる。また、支持孔部5が先窄り状に形成され、円錐状に形成された爪部7が嵌挿されているので、爪部7が抜け難く機械的強度を高めることができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては、竹片を圧縮し圧密化した場合について説明したが、繊維状に解した竹繊維を接着剤とともに加熱し圧縮し圧密化する場合もある。
また、剪断補強部材1の爪部7が円錐状に形成された場合について説明したが、先端が尖っていれば、胴部が円柱状,円錐状,角錐状,角柱状等に形成されたものを用いる場合もある。また、当接体3に凹部6を形成して爪部7の底部を嵌合するのではなく、凹部6を形成せずに爪部7の底部を当接体3の表面に当接させただけの場合もある。
また、圧密体2を当接体3と支持体4を積層し、支持体4に形成された支持孔部5に爪部7が挿通された場合について説明したが、当接体3と支持体4を接着して積層し圧密体2を製造するのではなく、金型のキャビティ内で厚めの圧密体2を一体に形成した後、圧密体2の一面側に爪部7の底部を接着し、爪部7を立設する場合もある。なお、爪部7は設けなくてもよい。
【0041】
また、本発明の実施の形態2における木質構造部材間の接合構造によれば、以下のような作用が得られる。
(1)学校施設,スポーツ施設等の大規模木造建築物の骨格を形成する長大スパンや大断面の差し木10や受け木11等の木質構造部材間を接合する場合でも、埋設する接合具15の本数を増やさずに接合具15で曲げ強度を高め剪断強度を剪断補強部材1で高めることができ、機械的強度の高い接合構造が得られる。木質や竹質の集成材や積層材等で形成された接合具は、引張り強度を鋼製の接合具とほぼ同等にすることができるが、剪断強度は鋼製の接合具の半分程度しか得られないため、これを補うために埋設する接合具の本数を増やす必要があるからである。
(2)埋設する接合具15の本数を増やさなくても接合部の機械的強度を高めることができるので、接合具用連通孔22の穿孔作業、接着剤の注入作業等の付帯作業が最小限で済み作業性に優れる。
(3)火災時には剪断補強部材1の表面は燃焼するが、表面に形成される炭化層の働きにより内部までは燃焼しないため、剪断補強部材1の断面厚さに火災時を想定した適度の燃え代を見込むことにより、火災時にも強度を維持することができ耐火性に優れる。
(4)木質構造部材の側面に固着された剪断補強部材1は、通常の状態では表面に結露を生じることはなく、結露が原因の木質構造部材の腐食を防止できる。
(5)竹製の剪断補強部材1,木製や竹製の接合具15を用いて差し木10と受け木11を接合しているので、建築物の解体時に鋸やチェンソーで容易に切断でき、また分別が不要で部材のリユースやリサイクルが容易である。
【0042】
また、本発明の実施の形態2における木質構造部材の接合方法によれば、以下のような作用が得られる。
(1)接合具15が埋設された接合具用連通孔22に注入された接着剤が硬化するまでの間は差し木10や受け木11からなる木質構造部材を固定しておかなければならないが、木質構造部材の側面に剪断補強部材1を固着する工程を備えているので、木質構造部材を固定した後に接着剤を注入することができ、接合面に隙間が生じ難く接着剤が漏れることなく高い接合力が得られ、また正しい寸法位置で固定することができ接合信頼性に優れる。
(2)剪断補強部材1は組み立て時の仮筋交いと同じ効果を期待できるので、接合具15への接着剤の注入を後からまとめて行うこともでき施工性に優れ、また別々に接合しクレーンで吊り上げて、組み立てることもでき自在性に優れる。
【0043】
なお、本実施の形態2においては、剪断補強部材1,1及び差し木10、剪断補強部材1,1及び受け木11にドリル等で貫通孔23を穿設し、ボルト24を貫通孔23に挿通し、ナット25で締結した場合について説明したが、ボルト24に代えて、貫通孔23にドリフトピンを挿通して剪断補強部材1を固着する場合もある。また、貫通孔23を穿設せずに、剪断補強部材1を貫通させて差し木10等の側面に釘を打ち込んだり、コーチスクリューを捻じ込んだりして固着する場合もある。
また、本実施の形態2においては、突付け継ぎ施工における場合について説明したが、大入れ加工,合い欠け継ぎ施工等、当接面に種々の加工を施すことができる。
【0044】
(実施の形態3)
図9は実施の形態1における剪断補強部材を用いた実施の形態3における木質構造部材間の仕口接合前の状態を示す図であり、図10は実施の形態3における木質構造部材間の接合構造を示す斜視図である。なお、実施の形態1又は2で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、10aは桁,梁,母屋等の横架材からなる差し木、11aは柱等からなる受け木、12aは差し木10aと受け木11aの当接面、13a,14aは接合具15の棒状部材16の外径と略同一か少し大きめに当接面12aから差し木10a,受け木11aの各々に形成された孔部であり、差し木10a,受け木11aが当接されて孔部13a,14aが連通した接合具用連通孔が形成される。
【0045】
以上のように構成された実施の形態3における木質構造部材間の仕口接合による接合構造について、以下、その木質構造部材の接合方法を説明する。
まず、差し木10a,受け木11aに、接合具15の棒状部材16を挿着する孔部13a,14a及び切削部20,21を穿設する。次いで、当接面12aを平滑にして接着剤の漏洩を防止する。
次に、接合具15を孔部13a,14aに嵌入挿着し、差し木10aと受け木11aを当接させる。次いで、剪断補強部材1を差し木10aと受け木11aに架け渡して、差し木10aと受け木11aの対向する両側面に爪部7を圧入して固着する。次に、剪断補強部材1,1及び差し木10a、剪断補強部材1,1及び受け木11aにドリル等で貫通孔23を穿設し、ボルト24を貫通孔23に挿通し、ナット25で締結する。
次いで、枝管18からレソルシノール樹脂等の接着剤を注入し、枝管18の外周と切削部20,21の周壁との間から接着剤が視認できるまで接着剤の注入を続ける。
次いで、切削部20,21をパテ等で仕上げ処理をして、差し木10aと受け木11a間を接合することができる。
【0046】
本発明の実施の形態3における木質構造部材間の接合構造によれば、実施の形態2に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)継手接合だけでなく、仕口接合においても高強度の木質構造部材間の接合構造が得られ、汎用性に優れる。
【0047】
(実施の形態4)
図11は実施の形態4における剪断補強部材を用いた木質構造部材間の仕口接合前の状態を示す図である。なお、実施の形態1乃至3で説明したものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、11bは桁,梁,母屋等の横架材からなる受け木、30は竹片乃至は竹繊維が接着剤とともに加熱され高温の水蒸気中で軟化した竹片又は竹繊維の繊維方向と直交方向に圧縮され形状が固定化されたブロック状の圧密体からなる剪断補強部材、31,32は差し木10aと受け木11bの当接面12aに剪断補強部材30の外径と略同一か少し大きめに差し木10a,受け木11bの各々に形成された孔部であり、差し木10a,受け木11bが当接されて孔部31,32が連通した補強部材用連通孔が形成される。
【0048】
以上のように構成された実施の形態4における木質構造部材間の仕口接合による接合構造について、以下、その木質構造部材の接合方法を説明する。
まず、差し木10a,受け木11bに、接合具15の棒状部材16を挿着する孔部13a,14a、切削部20,21、孔部31,32を穿設する。次いで、当接面12aを平滑にして接着剤の漏洩を防止する。
次に、接合具15を孔部13a,14aに嵌入挿着しながら、差し木10a,受け木11bの繊維方向と剪断補強部材30の繊維方向とを合わせて剪断補強部材30を孔部31,32に嵌入させて差し木10aと受け木11aを当接させる。次いで、枝管18からレソルシノール樹脂等の接着剤を注入し、枝管18の外周と切削部20,21の周壁との間から接着剤が視認できるまで接着剤の注入を続ける。
次いで、切削部20,21をパテ等で仕上げ処理をして、差し木10aと受け木11b間を接合することができる。
【0049】
本発明の実施の形態4における木質構造部材間の接合構造によれば、実施の形態3に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)剪断補強部材30も接合具15も差し木10aと受け木11bの内部に埋設されているので見えがかりが良く、また火災時には、差し木10aや受け木11bの表面に形成される炭化層の働きにより内部の剪断補強部材30や接合具15までは燃焼しないため、火災時にも強度を維持することができ耐火性に優れる。
【0050】
ここで、孔部31,32内に嵌入される剪断補強部材30の圧密体は、両面に突起状の爪部を立設させたものを用いる場合もある。この場合は、孔部31,32が剪断補強部材30よりも大きく形成された場合でも、爪部が孔部31,32の底部に食い込むのでずれ難く、接合部の耐力を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、集成材や木材からなる複数の木質構造部材間を接合する剪断補強部材及びそれを用いた木質構造部材間の接合構造並びに木質構造部材の接合方法に関し、機械的強度に優れるため、通常の添え木や添え板よりも寸法を小さくでき、また鋼板と比べて軽量なので搬送性に優れるとともに美観を損なうことも少なく、また建築物の解体時に鋸やチェンソーで容易に切断できるとともに部材のリユースやリサイクルが容易でリユース性やリサイクル性に優れ、また施工現場で構造部材と一体的に穿孔できるため加工誤差を見込んだ先孔加工のために生じるガタツキを防止でき剛性の高い接合構造が得られ、また結露の発生を防止し耐火性や耐腐朽性にも優れ、さらに材料としての有効な工業的利用方法がないまま放置されている竹材を有効活用できる剪断補強部材を提供することができ、また、学校施設,スポーツ施設等の大規模木造建築物の骨格を形成する長大スパンや大断面の構造部材を接合する際、曲げ強度と剪断強度を高めることができ、また接合具を埋設するための接合具用連通孔の穿孔作業、接着剤の注入作業等の付帯作業が最小限で済み接合作業の作業性に優れ、耐火性に優れるとともに結露が原因の木質構造部材の腐食も防止できる木質接合部材間の接合構造を提供することができ、また、木質構造部材を固定した後に接着剤を注入することができ、接合面に隙間が生じ難く接着剤が漏れることなく高い接合力が得られ、また正しい寸法位置で固定することができ接合信頼性に優れた木質接合部材の接合方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態1における剪断補強部材の斜視図
【図2】実施の形態1における剪断補強部材の要部断面図
【図3】実施の形態1における変形例の剪断補強部材の斜視図
【図4】実施の形態2における木質構造部材間の継手接合前の状態を示す斜視図
【図5】継手接合時の状態を示す斜視図
【図6】実施の形態2における木質構造部材間の接合構造を示す斜視図
【図7】実施の形態2における木質構造部材間の接合構造の平面図
【図8】A−A線における木質構造部材間の接合構造の断面図
【図9】実施の形態3における木質構造部材間の仕口接合前の状態を示す図
【図10】実施の形態3における木質構造部材間の接合構造を示す斜視図
【図11】実施の形態4における木質構造部材間の仕口接合前の状態を示す図
【符号の説明】
【0053】
1,1a,1b,30 剪断補強部材
2 圧密体
3 当接体
4 支持体
5 支持孔部
6 凹部
7,7a 爪部
10,10a 差し木
11,11a,11b 受け木
12,12a 当接面
13,13a,14,14a 孔部
15 接合具
16 棒状部材
17 中空部
18 枝管
19 枝管中空部
20,21 切削部
22 接合具用連通孔
23 貫通孔
24 ボルト
25 ナット
26 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1片の竹片、又は、複数の竹片乃至は竹繊維と接着剤が加熱され、前記竹片又は前記竹繊維の繊維方向と直交方向に圧縮成形された圧密体を備えていることを特徴とする剪断補強部材。
【請求項2】
前記圧密体が、一面側若しくは両面側に立設された爪部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の剪断補強部材。
【請求項3】
前記圧密体が、前記爪部の底部が当接した当接体と、支持孔部が形成され前記当接体の一面側若しくは両面側に積層された支持体と、を備え、前記爪部が、前記支持体に形成された前記支持孔部に嵌挿されていることを特徴とする請求項2に記載の剪断補強部材。
【請求項4】
(a)集成材や木材からなる複数の木質構造部材と、(b)前記木質構造部材の当接面に一対に穿孔された接合具用連通孔と、(c)前記接合具用連通孔に装着された、木質又は竹質の棒状部材と、前記棒状部材の長手方向に形成され前記棒状部材の一又は両端で開口する中空部と、を備えた接合具と、(d)前記接合具の前記中空部に注入され前記棒状部材の1乃至複数の開口部から流出し前記棒状部材の表面と前記接合具用連通孔の周壁間に充填された接着剤と、(e)前記各木質構造部材に架け渡して前記木質構造部材の側面に固着された請求項1乃至3の内いずれか1に記載の剪断補強部材と、を備えていることを特徴とする木質構造部材間の接合構造。
【請求項5】
(a)集成材や木材からなる複数の木質構造部材と、(b)前記木質構造部材の当接面に一対に穿孔された接合具用連通孔及び補強部材用連通孔と、(c)前記接合具用連通孔に装着された、木質又は竹質の棒状部材と、前記棒状部材の長手方向に形成され前記棒状部材の一又は両端で開口する中空部と、を備えた接合具と、(d)前記補強部材用連通孔に装着された請求項1乃至3の内いずれか1に記載の剪断補強部材と、(e)前記接合具の前記中空部に注入され前記棒状部材の1乃至複数の開口部から流出し前記棒状部材の表面と前記接合具用連通孔の周壁間に充填された接着剤と、を備えていることを特徴とする木質構造部材間の接合構造。
【請求項6】
(a)木質又は竹質の棒状部材と、前記棒状部材の長手方向に形成され前記棒状部材の一又は両端で開口する中空部と、を備えた接合具と略同径の接合具用連通孔を形成する一対の孔部を複数の木質構造部材の当接面の所定部に各々穿孔する工程と、(b)前記工程で穿孔された各孔部に前記接合具を装着し各木質構造部材を当接させる工程と、(c)当接された前記木質構造部材間に架け渡して前記木質構造部材の側面に請求項1乃至3の内いずれか1に記載の剪断補強部材を固着する工程と、(d)前記接合具用連通孔に装着された前記接合具の前記中空部に接着剤を注入し前記棒状部材の1乃至複数の開口部から流出させ前記棒状部材の表面と前記接合具用連通孔の周壁部に前記接着剤を充填する工程と、を備えていることを特徴とする木質構造部材の接合方法。
【請求項7】
(a)木質又は竹質の棒状部材と、前記棒状部材の長手方向に形成され前記棒状部材の一又は両端で開口する中空部と、を備えた接合具と略同径の接合具用連通孔を形成する一対の孔部及び請求項1乃至3の内いずれか1に記載の剪断補強部材と略同じ大きさの補強部材用連通孔を形成する一対の孔部を複数の木質構造部材の当接面の所定部に各々穿孔する工程と、(b)前記工程で穿孔された各孔部に前記接合具及び前記剪断補強部材を装着し各木質構造部材を当接させる工程と、(c)前記接合具用連通孔に装着された前記接合具の前記中空部に接着剤を注入し前記棒状部材の1乃至複数の開口部から流出させ前記棒状部材の表面と前記接合具用連通孔の周壁部に前記接着剤を充填する工程と、を備えていることを特徴とする木質構造部材の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−146592(P2007−146592A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345596(P2005−345596)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(592135557)株式会社豊夢 (4)
【Fターム(参考)】