説明

包装充填方法及び包装充填装置

【課題】包装充填装置内におけるウェブ状包装積層材料内部に充填された液体食品の泡立ちをモニターし、縦シールの不都合を未然に防止することができる包装充填方法及び包装充填装置を提供する。
【解決手段】ウェブ状包装材料がチューブ状に成形され、包装材料が縦線方向に縦シールされ、チューブ状包装材料内に液体食品が充填され、包装材料が液面下で横シールされ、横シール帯域で切断されて枕状予備成形体が得られ、折り畳むことにより形成された包装容器を得る、包装充填する。近赤外線光源15から、液面及びその上方に対応するチューブ状包装材料1の側面に、近赤外線を照射し、チューブ状包装材料を透過した近赤外線を受光手段16で受光し、受光手段からの測定値に基づいて、被検査領域の泡立ちの有無を判定手段17で判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジュースや牛乳などの液体食品などを充填した容器を製造する包装充填方法及び包装充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ジュースや牛乳などの液体食品などを充填した紙製容器においては、折り目線を有し紙基材層及びポリオレフィン系ヒートシール最内層を積層するウェブ状包装積層材料をチューブ状に成形し、チューブの縦線方向に縦シールし、チューブ状包装材料内に食品を充填し、容器1個分毎の所定間隔毎にチューブ状包装材料のポリオレフィン系ヒートシール最内層を横断方向に横シールし、横シール帯域中間で切断して枕状予備成形体を得、折り目線に沿って折り畳むことにより形成されたフラップ及びフィンを容器側壁及び容器底面にシールし、最終形状の容器を得る。
【0003】
その紙製容器の充填包装機の一例の概要を、図2に示す。この例に示す充填機では、紙基材層の内外層にポリエチレン等の熱可塑性材料層と、必要に応じて、アルミ箔層のバリア層とを有し、ロール状に巻かれた包装材料ウェブ1を巻き出し、ローラにより充填機内を搬送する。ストリップ2をストリップアプリケータ3により、包装材料ウェブの一端に接合し、滅菌剤槽4内を包装材料ウェブが通過して滅菌し、エアーナイフ5により滅菌剤を除去する。成形ローラ6によりチューブ状ウェブを成形し、包装材料の両端部を重ねてオーバーラップを形成し、オーバーラップで縦線方向に縦シールエレメント8によりチューブ縦方向にシールする。
【0004】
そのチューブ内に充填パイプ7から液体食品を充填する。チューブ内の充填液の液面を所定レベルに調整し、このチューブを下方に送りながら、シールジョー10及び対向ジョー11により挟持し、横断方向に液面レベルの下方で、横シールして2本の横シール帯域を形成する。同時に、枕状予備成形体12に連続的に成形し、繋がった枕状予備成形体のシール帯域の中間をナイフなどにより切断して個々の枕状予備成形体13を得る。ファイナルフォルダー15において切り離された枕状予備成形体の上下のフラップ及びフィンを折り曲げて最終形態の包装充填容器14に成形する。
【0005】
チューブ内の充填液の液面を所定レベルに調整する装置に関しては、実開平1ー82102号公報に、この種の装置として、包装材料チューブ1内部に挿入された充填パイプ7の下端内部に設けられた弁と、弁より上方の充填パイプ7の外周面に上下方向に移動自在に嵌められている円筒状のフロートと、弁の揺動端とフロートとを連結している連結部材とを備えており、フロートの上下動にともなって弁を開閉することにより、充填液の液面を調整する装置を記載する。(例えば、特許文献1参照)
【0006】
図3に、直方体状液体食品充填紙製容器の外観斜視図を示す。その容器14は、折り込まれた横シール帯域23、容器壁22及び22a、頂壁22aから背面の器壁を経て底面に至る縦シール帯域26を有し、稜辺24aを介して折り込まれたフラップ24を備える。
【0007】
上述の縦シールは、容器に収容された液体食品が漏れたり、外気に触れたりすることがないように、十分なシールが行われなければならない。しかし、縦シールの温度及び圧力が適切でない場合、チューブ内の充填液が泡立ちその泡が液面の上方まで達し、縦シールすべき箇所までその泡が付着する場合、縦シールに際し、包装材料の両端部を重ねたオーバーラップが十分に接着しない恐れがある。
【0008】
充填する液体食品に消泡剤を添加して泡立ちを防いだり、充填パイプの出口に消泡部材を装着して泡立ちを防ぐ。また、泡立ちを実際に目視できないために、充填包装機で製品化された液体食品容器を、定期的に抜き取り、抜き取られた容器について、縦シールの良否を判定していいる。
【特許文献1】実開平1ー82102号公報
【特許文献2】特開2003−194662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、包装充填装置内におけるウェブ状包装積層材料内部に充填された液体食品の泡立ちをモニターし、縦シールの不都合を未然に防止することができる包装充填方法及び包装充填装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の包装充填方法は、紙基材層及びヒートシール最内層を積層するウェブ状包装材料がチューブ状に成形され、包装材料が縦線方向に縦シールされ、連続的に垂直に下方に搬送されるチューブ状包装材料内に液体食品が充填され、容器1個分毎に包装材料が液体食品の液面の下方で横断方向に横シールされ、横シール帯域中間で切断されて枕状予備成形体が得られ、折り畳むことにより形成された包装容器を得る、包装充填する方法であって、少なくとも近赤外線を発する近赤外線光源から、液面及びその上方に対応するチューブ状包装材料の第1側面に、近赤外線を照射し、チューブ状包装材料を透過し第1側面の反対側のチューブ状包装材料の第2側面から出た近赤外線を受光手段で受光し、受光手段からの測定値に基づいて、被検査領域の良否、好ましくは、液体食品の泡立ちの有無を判定手段で判定することを含む。
【0011】
この発明の好ましい態様において、受光手段が撮像手段であり、受光手段からの測定値を画像処理する。
【0012】
この発明の包装充填装置は、紙基材層及びヒートシール最内層を積層するウェブ状包装材料がチューブ状に成形され、包装材料が縦線方向に縦シールされ、連続的に垂直に下方に搬送されるチューブ状包装材料内に液体食品が充填され、容器1個分毎に包装材料が液体食品の液面の下方で横断方向に横シールされ、横シール帯域中間で切断されて枕状予備成形体が得られ、折り畳むことにより形成された包装容器を得る、包装充填する装置であって、チューブ状包装材料の外部の一方側方に配置され、少なくとも近赤外線を発し、液面及びその上方に対応するチューブ状包装材料の第1側面に近赤外線を照射する近赤外線光源と、チューブ状包装材料を透過し第1側面の反対側のチューブ状包装材料の第2側面から出た近赤外線を受光する受光手段と、受光手段からの測定値に基づいて、被検査領域の良否、好ましくは、液体食品の泡立ちの有無をで判定する判定手段とを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装充填では、ウェブ状包装積層材料がチューブ状に成形され、包装材料が縦線方向に縦シールされ、連続的に垂直に下方に搬送されるチューブ状包装材料内に液体食品が充填され、容器1個分毎に包装材料が横断方向に液体食品の液面の下方で横シールされ、横シール帯域中間で切断されて枕状予備成形体が得られ、折り畳むことにより形成された包装容器を得る。
本発明の包装充填の特徴は、(a)近赤外線を発する近赤外線光源から、液面及びその上方に対応するチューブ状包装材料の第1側面に、近赤外線を照射し、(b)チューブ状包装材料を透過し第1側面の反対側のチューブ状包装材料の第2側面から出た近赤外線を受光手段で受光し、(c)受光手段からの測定値に基づいて、被検査領域の良否、好ましくは、液体食品の泡立ちの有無を判定手段で判定することである。
【0014】
本発明の包装充填のモニターで用いられる近赤外線は、おおよそ、波長域(700nm〜3000nm)の赤外線である。赤外線LEDが光源としてよく利用される。
近赤外線は、近赤外線の特徴として物質の中を透過しやすい、化学物質への吸収特性を持つ。吸収されない光は物体の中で反射を繰り返し、外に出る。吸収と反射の過程で,近赤外線は物体の内部構造に大きく影響を受る。出てきた光には,物体の内部情報を多く含んでいる。従って、この光の強度を測定し,解析することで物体を破壊することなく成分情報などを知ることができる。
チューブ状包装材料に近赤外線をあてた時、チューブ状包装材料の表面で反射する光、チューブ状包装材料及びその内部で吸収される光、チューブ状包装材料及びその内部を透過して出てくる光の3つに分かれる。受光手段はその中で透過して出てくる近赤外線の光を検出し解析分析することによりチューブ状包装材料及びその内部状態がわかる。
【0015】
本発明の包装充填のモニターにおいて、チューブ状包装材料及びその内部を透過するので、液面の近傍に泡立ちがある場合、泡立ちによる水分状態を識別、測定することができる。
受光手段である赤外線カメラは、可視光をシャットアウトする赤外線フィルタを通して用いられる。
本発明の包装充填では、近赤外線光を、充填液体の液面及びその上方に対応するチューブ状包装材料に照射し、透過された光を受光手段で測定し、液面及びその近傍の泡立ち状態を判定するように演算処理する。
【0016】
本発明の包装充填のモニターでは、大きく分けて近赤外線光の照射部、受光手段の検出部、判定手段の演算部で構成され、照射部で近赤外線領域の光を照射し、検出部で照射されて浸透し返ってきた光を検出し電気信号に変換、増幅し、演算部で照射光と検出光を比較演算し、若しくは検出光の画像を画像処理して計算する。この結果、泡立ち状態を判定する。泡立ち状態判定は、例えば、泡立ちがない状態の基準値との比較で行うことができる。
本発明の包装充填のモニターによって、包装充填装置内におけるウェブ状包装積層材料内部に充填された液体食品の泡立ちをモニターし、縦シールの不都合を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の品質検査の概略を示す概略側面断面図である。図2は、紙製容器の充填包装機の一例の概要を示す斜視図である。図3は、直方体状液体食品充填紙製容器の外観斜視図である。
【0018】
この実施態様においては、図2に示すように、ロール状包装材料ウェブ1を巻き出し、成形ローラ6によりチューブ状に成形し、包装材料の両端部が重ねられてオーバーラップが形成され、オーバーラップで縦シールエレメント8により縦線方向に縦シールされ、チューブ状包装材料内に充填パイプ7から液体食品が充填され、チューブを下方に送りながら、液体食品の液面の下方で横シール装置10、11により挟持し、横断方向に横シールして横シール帯域を形成し、枕状予備成形体をナイフなどにより切断して個々の枕状予備成形体13に切り離し、ファイナルフォルダー15において切り離された枕状予備成形体の上下のフラップを折り曲げて最終形態の包装充填容器14に成形して容器を得る。
【0019】
この実施の形態において、図1に示すように、チューブ状包装材料1内に充填パイプ7から液体食品30が充填される。
チューブ包装材料ウェブ1が液体食品30の液面30a下で横断方向に横シールされ、横シール帯域1dが形成され、枕状予備成形体が連続的に成形し、繋がった枕状予備成形体13を得る。
枕状予備成形体13は、横(横線)シール帯域1d及び縦シール帯域で密封され、折り目線によって区分された側壁を有する。折り目線に沿って、枕状予備成形体の本体部分が直方体形状に成形され、端部には、横シール帯域1dのフラップやフィンが形成される。
【0020】
図1を参照して、この実施の形態の泡立ち検査(モニター)を詳細に説明する。
この実施の形態の特徴では、近赤外線Nを発する近赤外線光源15から、液面及びその上方に対応するチューブ状包装材料1の第1側面1aに、近赤外線Nを照射し、チューブ状包装材料1を透過し第1側面1aの反対側のチューブ状包装材料1の第2側面1bから出た近赤外線N’、N’’を受光手段16で受光し、受光手段16からの測定値に基づいて、被検査領域の泡立ち有無を判定手段17で判定する。
透過した近赤外線は、泡立った位置を透過した近赤外線N’’と、泡立っていない位置を透過した近赤外線N’とで、異なった近赤外線のプロフィールを持つ。
この実施の形態では、受光手段である赤外線カメラは、可視光をシャットアウトする赤外線フィルタ16aを通して用いられる。
【0021】
この実施の形態で用いられる近赤外線では、赤外線LEDが近赤外線光源15として用いられる。
液面及びその上方に対応するチューブ状包装材料1の第1側面1aに近赤外線を照射した時、チューブ状包装材料1及びその内部の内容液、泡立ち状態でそれぞれ吸収され、透過して第2側面1bから出てくる。受光手段のCCDカメラ16が赤外線フィルタ16aを透過して出てくる近赤外線の光を検出する。
【0022】
透過された光を受光手段で測定し、次いで、入射前の光を前もって測定しておけば、透過された光から吸収された光が解析でき、容易に、チューブ状包装材料1及びその内部の内容液、泡立ちの成分や状態、特に、泡立ち状態の有無や程度のための判定の演算処理する。
受光手段(撮像手段)のCCDカメラ16は、浸透した光を検出し電気信号に変換、増幅し、判定手段17の演算部で照射光と検出光を比較演算し、若しくは検出光の画像を画像処理して計算する。泡立ち状態の有無の基準値との比較によって、泡立ち状態の有無を判定する
【0023】
検出光の画像から情報を取り出す画像処理は、対象とする画像を入力し、この画像に対して濃淡画像を白黒2値にする「2値化」、濃度変化から物体の境界を見出す「エッジ検出」の変換処理を行い、次いで、必要な情報の抽出を行い、最後に得られた情報の分類を行う。
【0024】
上記実施態様に実証されるように、この発明によって、包装充填装置内におけるウェブ状包装積層材料内部に充填された液体食品の泡立ちをモニターし、縦シールの不都合を未然に防止することが可能になる。
【0025】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明の品質検査方法は、牛乳、ジュース、ミネラルウォーターなどの飲料、流動食品などの包装容器の製造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明による包装充填のモニターの概略を示す概略側面断面図である。
【図2】図2は、紙製容器の充填包装機の一例の概要を示す斜視図である。
【図3】図3は、直方体状液体食品充填紙製容器の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 チューブ状包装材料
7 充填パイプ
13 枕状予備成形体
15 近赤外線光源
16 受光手段
17 判定手段
30 液体食品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材層及びヒートシール最内層を積層するウェブ状包装材料がチューブ状に成形され、該包装材料が縦線方向に縦シールされ、連続的に垂直に下方に搬送される該チューブ状包装材料内に液体食品が充填され、容器1個分毎に該包装材料が該液体食品の液面の下方で横断方向に横シールされ、横シール帯域中間で切断されて枕状予備成形体が得られ、折り畳むことにより形成された包装容器を得る、包装充填する方法であって、
少なくとも近赤外線を発する近赤外線光源から、該液面及びその上方に対応する該チューブ状包装材料の第1側面に、近赤外線を照射し、
該チューブ状包装材料を透過し該第1側面の反対側の該チューブ状包装材料の第2側面から出た近赤外線を受光手段で受光し、
該受光手段からの測定値に基づいて、被検査領域の良否を判定手段で判定する
ことを含む包装充填方法。
【請求項2】
該受光手段が撮像手段であり、該受光手段からの該測定値を画像処理する、請求項1の包装充填方法。
【請求項3】
紙基材層及びヒートシール最内層を積層するウェブ状包装材料がチューブ状に成形され、該包装材料が縦線方向に縦シールされ、連続的に垂直に下方に搬送される該チューブ状包装材料内に液体食品が充填され、容器1個分毎に該包装材料が該液体食品の液面の下方で横断方向に横シールされ、横シール帯域中間で切断されて枕状予備成形体が得られ、折り畳むことにより形成された包装容器を得る、包装充填する装置であって、
該チューブ状包装材料の外部の一方側方に配置され、少なくとも近赤外線を発し、該液面及びその上方に対応する該チューブ状包装材料の第1側面に近赤外線を照射する近赤外線光源と、
該チューブ状包装材料を透過し該第1側面の反対側の該チューブ状包装材料の第2側面から出た近赤外線を受光する受光手段と、
該受光手段からの測定値に基づいて、被検査領域の良否をで判定する判定手段とを有する、
ことを特徴とする包装充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−161183(P2009−161183A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339067(P2007−339067)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】